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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20231221BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022500334
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003697
(87)【国際公開番号】W WO2021161847
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020021427
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】宮道 祐介
(72)【発明者】
【氏名】黒須 敬太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔英
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-261180(JP,A)
【文献】特開2015-176917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0122972(US,A1)
【文献】国際公開第2017/208793(WO,A1)
【文献】特開2013-247238(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および該第1面の逆側の第2面を有し且つ透光性を有する樹脂製の第1保護層と、
前記第2面に対向している状態にある第3面および該第3面の逆側の第4面を有する第2保護層と、
前記第2面と前記第3面との間に位置している1つ以上の太陽電池素子を含む太陽電池部と、
前記第2面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある樹脂製の第1充填材層と、
前記第3面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある樹脂製の第2充填材層と、
前記第4面に対向している状態にある第5面を有する基材と、
前記第4面と前記第5面との間において前記第4面と前記第5面とを接着している状態にある接着層と、を備え、
前記第1保護層は、前記基材よりも柔らかい状態にあり、
前記第2充填材層、前記第2保護層および前記接着層のうちの1つ以上の層のヤング率は、前記第1充填材層のヤング率よりも大きく、
前記第2充填材層および前記接着層のうちの少なくとも一方の層を構成している樹脂の架橋率は、前記第1充填材層を構成している樹脂の架橋率よりも大きい、太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記基材は、板状の部材を含む、太陽電池モジュール。
【請求項3】
第1面および該第1面の逆側の第2面を有し且つ透光性を有する樹脂製の第1保護層と、
前記第2面に対向している状態にある第3面および該第3面の逆側の第4面を有する第2保護層と、
前記第2面と前記第3面との間に位置している1つ以上の太陽電池素子を含む太陽電池部と、
前記第2面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある樹脂製の第1充填材層と、
前記第3面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある樹脂製の第2充填材層と、
前記第4面に対向している状態にある第5面を有する基材と、
前記第4面と前記第5面との間において前記第4面と前記第5面とを接着している状態にある接着層と、を備え、
前記基材は、板状の部材を含み、
前記第1保護層は、前記基材よりも柔らかい状態にあり、
記接着層のヤング率は、前記第1充填材層のヤング率よりも大きい、太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の太陽電池モジュールであって、
前記板状の部材は、金属製の板状の部材を含む、太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第2充填材層のヤング率は、前記第1充填材層のヤング率よりも大きい、太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第2充填材層および前記接着層のうちの少なくとも一方の層は、樹脂の中に該樹脂よりも硬い多数の粒状体が分散された状態にある層を含む、太陽電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第2面と前記第3面とが対向している第1方向において、前記第2充填材層の厚さは、前記第1充填材層の厚さよりも小さい、太陽電池モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第1保護層と前記第1充填材層との第1界面における第1粗さが、前記第1充填材層と前記1つ以上の太陽電池素子との第2界面における第2粗さよりも小さい、太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
平面的に配列されて電気的に接続された複数の太陽電池素子が、透光性部材と背面部材との間に挟まれている状態にある太陽電池モジュールが知られている(例えば、特開2001-250965号公報、特開2004-014791号公報および特開2012-004146号公報の記載を参照)。
【0003】
この太陽電池モジュールでは、例えば、ガラス基板などの透光性部材とバックシートなどの背面部材との間において、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした充填材によって複数の太陽電池素子が覆われている状態にある。
【発明の概要】
【0004】
太陽電池モジュールが開示される。
【0005】
太陽電池モジュールの一態様は、樹脂製の第1保護層と、第2保護層と、太陽電池部と、樹脂製の第1充填材層と、樹脂製の第2充填材層と、基材と、接着層と、を備えている。前記第1保護層は、第1面および該第1面の逆側の第2面を有し且つ透光性を有する。前記第2保護層は、前記第2面に対向している状態にある第3面および該第3面の逆側の第4面を有する。前記太陽電池部は、前記第2面と前記第3面との間に位置している1つ以上の太陽電池素子を含む。前記第1充填材層は、前記第2面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある。前記第2充填材層は、前記第3面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある。前記基材は、前記第4面に対向している状態にある第5面を有する。前記接着層は、前記第4面と前記第5面との間において前記第4面と前記第5面とを接着している状態にある。前記第1保護層は、前記基材よりも柔らかい状態にある。前記第2充填材層、前記第2保護層および前記接着層のうちの1つ以上の層のヤング率は、前記第1充填材層のヤング率よりも大きい。前記第2充填材層および前記接着層のうちの少なくとも一方の層を構成している樹脂の架橋率は、前記第1充填材層を構成している樹脂の架橋率よりも大きい。
太陽電池モジュールの一態様は、樹脂製の第1保護層と、第2保護層と、太陽電池部と、樹脂製の第1充填材層と、樹脂製の第2充填材層と、基材と、接着層と、を備えている。前記第1保護層は、第1面および該第1面の逆側の第2面を有し且つ透光性を有する。前記第2保護層は、前記第2面に対向している状態にある第3面および該第3面の逆側の第4面を有する。前記太陽電池部は、前記第2面と前記第3面との間に位置している1つ以上の太陽電池素子を含む。前記第1充填材層は、前記第2面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある。前記第2充填材層は、前記第3面と前記太陽電池部との間において前記1つ以上の太陽電池素子を覆っている状態にある。前記基材は、前記第4面に対向している状態にある第5面を有する。前記接着層は、前記第4面と前記第5面との間において前記第4面と前記第5面とを接着している状態にある。前記基材は、板状の部材を含む。前記第1保護層は、前記基材よりも柔らかい状態にある。前記接着層のヤング率は、前記第1充填材層のヤング率よりも大きい。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)の太陽電池モジュールのIb-Ib線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
図2図2(a)は、太陽電池素子の第1素子面を平面視した場合の構造の一例を示す図である。図2(b)は、太陽電池素子の第2素子面を平面視した場合の構造の一例を示す図である。
図3図3は、鋼球落下試験の実施態様の一例を示す斜視図である。
図4図4(a)は、第2充填材層の剛性の上昇と、鋼球落下試験における太陽電池素子に掛かる最大主応力の時間変化と、の関係を示す図である。図4(b)は、接着層の剛性の上昇と、鋼球落下試験における太陽電池素子に掛かる最大主応力の時間変化と、の関係を示す図である。
図5図5(a)から図5(d)は、それぞれ第1実施形態に係る太陽電池モジュールの製造途中における断面の状態を例示する図である。
図6図6(a)および図6(b)は、それぞれ第1実施形態に係る太陽電池モジュールの製造途中における断面の状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
太陽電池モジュールは、例えば、ガラス基板などの透光性部材と、バックシートなどの背面部材と、透光性部材と背面部材との間で平面的に配列されて電気的に接続されている状態にある複数の太陽電池素子と、を備えている。また、この太陽電池モジュールでは、例えば、透光性部材と背面部材との間において複数の太陽電池素子を覆うように充填されている状態にある、エチレン酢酸ビニル共重合体(ethylene-vinyl acetate copolymer:EVA)などの充填材が位置している。
【0008】
このような太陽電池モジュールについては、例えば、透光性部材としてのガラス基板をこのガラス基板よりも薄い樹脂製の部材に置き換えることで、軽量化を図ることが考えられる。ここでは、ガラス基板の厚さが、例えば、数ミリメートル(mm)程度であるのに対して、樹脂製の部材の厚さが、例えば、1mm以下とされる態様が考えられる。
【0009】
しかしながら、例えば、樹脂製の部材が、ガラス基板よりも柔らかければ、雹(ひょう)などの落下物および強風に伴う飛来物が透光性部材としての樹脂製の部材に衝突すると、太陽電池素子が局所的に変形し、太陽電池素子にクラックが生じる場合がある。換言すれば、例えば、樹脂製の部材が、ガラス基板よりも柔らかければ、太陽電池モジュールの耐衝撃性が低下する場合がある。この場合には、例えば、クラックが生じた太陽電池素子における光電変換効率が低下し、太陽電池モジュールの出力の低下を招く。
【0010】
そこで、本開示の発明者は、太陽電池モジュールについて、軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる技術を創出した。
【0011】
これについて、以下、各種の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1(a)から図3および図5(a)から図6(b)には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池モジュール100において、前面100fの互いに対向している状態にある2辺のそれぞれに沿った方向が+X方向とされ、前面100fの互いに対向している状態にある他の2辺のそれぞれに沿った方向が+Y方向とされている。また、+X方向と+Y方向との両方に直交している前面100fの法線方向が+Z方向とされている。
【0012】
<1.第1実施形態>
<1-1.太陽電池モジュールの構成>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100を、図1(a)から図3に基づいて説明する。太陽電池モジュール100は、例えば、主に光が入射する面(受光面とも前面ともいう)100fと、この前面100fの逆側に位置している裏面100bと、を有する。第1実施形態では、前面100fが、+Z方向を向いている状態にある。裏面100bが、-Z方向を向いている状態にある。+Z方向は、例えば、南中している太陽に向く方向に設定される。図1(a)の例では、前面100fおよび裏面100bが、それぞれ長方形状の形状を有する。
【0013】
図1(a)および図1(b)で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、モジュール本体部120と、接着層5と、基材6と、を備えている。モジュール本体部120は、例えば、第1保護層1と、第2保護層2と、太陽電池部3と、充填材層4と、を備えている。ここで、図1(b)で示されるように、太陽電池モジュール100には、例えば、端子ボックス9を付加してもよい。端子ボックス9は、例えば、太陽電池モジュール100の裏面100b上などに位置し、太陽電池部3における発電で得られた電気を外部に出力することができる。
【0014】
<1-1-1.第1保護層>
第1保護層1は、例えば、太陽電池部3を前面100f側から保護することができる部材(フロント部材とも前面部材ともいう)である。第1保護層1は、第1面1fと第2面1bとを有する。第2面1bは、第1面1fの逆側の面である。第1実施形態では、第1面1fは、例えば、太陽電池モジュール100の前面100fを構成している状態にある。図1(a)および図1(b)の例では、第1面1fが+Z方向を向いた面であり、第2面1bが-Z方向を向いた面である。また、第1面1fは、例えば、太陽電池モジュール100の外部の空間(外部空間ともいう)に対して露出している状態にある。
【0015】
第1保護層1は、透光性を有する。具体的には、第1保護層1は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。特定範囲の波長は、例えば、太陽電池部3が光電変換し得る光の波長を含む。特定範囲の波長に、太陽光のうちの照射強度の高い光の波長が含まれていれば、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上し得る。
【0016】
第1保護層1の素材には、樹脂が適用される。換言すれば、第1保護層1として、透光性を有する樹脂製の層が採用される。第1保護層1に適用される樹脂としては、例えば、ポリカーボネートなどの熱可塑性の樹脂、あるいはフッ素系の樹脂などが採用される。フッ素系の樹脂は、例えば、フッ化エチレンプロピレン共重合体(Fluorinated Ethylene Propylene:FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylene Tetrafluoroethylene:ETFE)およびエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(Ethylene Chlorotrifluoroethylene:ECTFE)などを含む。ここで、例えば、第1保護層1が、2層以上の樹脂で構成されてもよい。この場合には、第1保護層1に適用される樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。ここで、例えば、第1保護層1に適用される樹脂が耐候性を有していれば、第1保護層1が劣化しにくく、太陽電池モジュール100の出力が低下しにくい。ここで、耐候性は、例えば、屋外で使用された場合に、変形、変色および劣化などの変質を起こしにくい性質を意味する。例えば、FEP、ETFEおよびECTFEなどのフッ素系の樹脂は、耐候性を有する。
【0017】
また、第1保護層1の厚さは、例えば、0.05mmから0.5mm程度とされる。また、例えば、-Z方向に向けて前面100f側から第1保護層1を平面視した場合に、第1保護層1が長方形状の外形を有する構成が考えられる。
【0018】
<1-1-2.第2保護層>
第2保護層2は、例えば、太陽電池部3を裏面100b側から保護することができる部材(バック部材とも裏面部材ともいう)である。第2保護層2は、第3面2fと第4面2bとを有する。第4面2bは、第3面2fの逆側の面である。第3面2fは、第1保護層1の第2面1bに対向している状態にある。図1(a)および図1(b)の例では、第3面2fが+Z方向を向いた面であり、第4面2bが-Z方向を向いた面である。ここでは、第2面1bと第3面2fとが対向している方向(第1方向ともいう)は、+Z方向である。換言すれば、第2面1bと第3面2fとは、第1方向としての+Z方向において離間している。
【0019】
第2保護層2の素材には、例えば、樹脂が適用される。第2保護層2に適用される樹脂としては、例えば、ポリカーボネートなどの熱可塑性の樹脂、またはFEP、ETFEもしくはECTFEなどのフッ素系の樹脂などが採用される。また、第2保護層2の素材には、例えば、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)のうちの1種の樹脂、あるいはこれらの樹脂の少なくとも1種の樹脂が適用されてもよい。ここで、例えば、第2保護層2は、2層以上の樹脂で構成されてもよい。この場合には、第2保護層2に適用される樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。
【0020】
第2保護層2の厚さは、例えば、0.05mmから0.5mm程度とされる。また、例えば、-Z方向に向けて前面100f側から第2保護層2を平面透視した場合に、第2保護層2は、第1保護層1と同様に長方形状の外形を有する構成が考えられる。
【0021】
<1-1-3.太陽電池部>
太陽電池部3は、例えば、第1保護層1の第2面1bと第2保護層2の第3面2fとの間に位置している。別の観点から言えば、太陽電池部3は、例えば、第1保護層1の第2面1bと第2保護層2の第3面2fとの間の領域(間隙領域ともいう)100gに位置している。太陽電池部3は、例えば、1つ以上の太陽電池素子31を含む。換言すれば、例えば、1つ以上の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1bと第2保護層2の第3面2fとの間に位置している。第1実施形態では、太陽電池部3は、複数の太陽電池素子31を有する。この場合には、例えば、複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1bと第2保護層2の第3面2fとの間に位置している。複数の太陽電池素子31は、例えば、2次元的に並んでいる状態にある。図1(a)および図1(b)の例では、複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1bに沿って位置するように平面的に配列された状態にある。
【0022】
また、太陽電池部3は、例えば、複数の第1配線材32と、複数の第2配線材33と、を有する。太陽電池部3は、例えば、複数(ここでは、10個)の太陽電池ストリング30を含む。太陽電池ストリング30は、例えば、複数(ここでは、7個)の太陽電池素子31と、複数の第1配線材32と、を含む。複数の第1配線材32は、例えば、複数の太陽電池素子31のうちの相互に隣り合う太陽電池素子31をそれぞれ電気的に接続している状態にある。複数の第2配線材33は、複数の太陽電池ストリング30のうちの相互に隣り合う太陽電池ストリング30をそれぞれ電気的に接続している状態にある。図1(a)および図1(b)の例では、最も-X方向の端に位置している太陽電池ストリング30に接続された第2配線材33と、最も+X方向の端に位置している太陽電池ストリング30に接続された第2配線材33と、がモジュール本体部120の外部に引き出された状態にある。ここでは、2本の第2配線材33は、例えば、第2保護層2、接着層5および基材6に設けられた貫通孔を介してモジュール本体部120の外部に引き出された状態にある態様が考えられる。また、2本の第2配線材33は、例えば、第2保護層2を貫通することなく、間隙領域100gの側方からモジュール本体部120の外部に引き出された状態にあってもよい。
【0023】
複数の太陽電池素子31のそれぞれは、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。図2(a)および図2(b)で示されるように、複数の太陽電池素子31のそれぞれは、表(おもて)面側に位置している面(第1素子面ともいう)31fと、この第1素子面31fの逆側の面(第2素子面ともいう)31sと、を有する。図2(a)および図2(b)の例では、第1素子面31fが、+Z方向を向いている状態にあり、第2素子面31sが、-Z方向を向いている状態にある。この場合には、例えば、第1素子面31fは、主として光が入射される面(前面とも受光面ともいう)としての役割を果たす。第1実施形態では、図2(a)および図2(b)で示されるように、複数の太陽電池素子31のそれぞれは、半導体基板310と、第1出力取出電極311と、第1集電電極312と、第2出力取出電極313と、第2集電電極314と、を有する。
【0024】
半導体基板310には、例えば、結晶シリコンなどの結晶系半導体、アモルファスシリコンなどの非晶質系の半導体、あるいは銅とインジウムとガリウムとセレンの4種類の元素またはカドミウムとテルルの2種類の元素などを用いた化合物半導体が適用される。ここで、半導体基板310に結晶シリコンが適用される場合を想定する。この場合には、半導体基板310は、主として第1導電型を有する領域(第1導電型領域ともいう)と、第1導電型とは逆の第2導電型を有する領域(第2導電型領域ともいう)と、を有する。第1導電型領域は、例えば、半導体基板310のうちの-Z方向を向いた第2素子面31sに沿った領域に位置している。第2導電型領域は、例えば、半導体基板310のうちの+Z方向を向いた第1素子面31fに沿った表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型である場合には、第2導電型がn型となる。また、例えば、第1導電型がn型である場合には、第2導電型がp型となる。これにより、半導体基板310は、第1導電型領域と第2導電型領域との界面に位置しているpn接合部を有する。半導体基板310の厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度とされる。半導体基板310の第1素子面31f側の面は、例えば、照射された光の反射を低減するための微細な凹凸構造(テクスチャ)を有していてもよい。
【0025】
第1出力取出電極311および第1集電電極312は、例えば、半導体基板310のうちの+Z方向を向いており且つ第1素子面31fに沿った面上に位置している。第1出力取出電極311には、例えば、バスバー電極が適用される。第1集電電極312には、例えば、フィンガー電極が適用される。図2(a)の例では、第1素子面31fに沿って、+Y方向に沿った互いに略平行な2本の第1出力取出電極311が位置しているとともに、略平行な多数本の第1集電電極312が2本の第1出力取出電極311に略直交するように位置している。また、半導体基板310の第2導電型領域の上のうち、第1出力取出電極311および第1集電電極312が形成されていない領域には、例えば、窒化シリコンなどで構成されている状態にある反射防止膜315としての絶縁膜が位置していてもよい。ここで、例えば、第1出力取出電極311の主成分が銀である場合には、第1出力取出電極311は、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。銀ペーストには、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。例えば、第1集電電極312の主成分が銀である場合には、第1集電電極312は、第1出力取出電極311と同様に、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。第1出力取出電極311と第1集電電極312とは、例えば、互いに別工程で形成されてもよいし、同一の工程で形成されてもよい。
【0026】
第2出力取出電極313および第2集電電極314は、例えば、半導体基板310のうちの-Z方向を向いており且つ第2素子面31sに沿った面上に位置している。第2出力取出電極313には、例えば、バスバー電極が適用される。図2(b)の例では、第2素子面31sに沿って、+Y方向に沿った互いに略平行な2列の第2出力取出電極313が位置している。第2集電電極314は、第2素子面31sのうち、第2出力取出電極313と第2集電電極314とが重畳することで相互に接続されている部分を除き、第2出力取出電極313が形成されていない領域の略全面に位置している。2列の第2出力取出電極313のそれぞれは、例えば、一列に並んでいる複数(ここでは、4つ)の電極部分を含む。また、例えば、半導体基板310の第1導電型領域と第2出力取出電極313および第2集電電極314との間に、所望のパターンで酸化アルミニウムなどの酸化物または窒化物の薄膜がパッシベーション膜として存在していてもよい。ここで、例えば、第2出力取出電極313の主成分が銀である場合には、第1出力取出電極311と同様に、第2出力取出電極313は、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。例えば、第2集電電極314の主成分がアルミニウムである場合には、第2集電電極314は、アルミニウムペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。アルミニウムペーストには、例えば、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。
【0027】
第1配線材32は、例えば、第1の太陽電池素子31の第1出力取出電極311と、この第1の太陽電池素子31の隣の第2の太陽電池素子31の第2出力取出電極313とを電気的に接続している状態にある。図2(a)および図2(b)の例では、複数の太陽電池素子31のそれぞれに接合された第1配線材32の外縁が仮想的に2点鎖線で描かれている。ここでは、第1配線材32は、例えば、第1出力取出電極311および第2出力取出電極313に接合された状態にある。具体的には、例えば、第1配線材32と第1出力取出電極311との間に位置しており、第1配線材32と第1出力取出電極311とを接合している部分(第1接合部分ともいう)321が存在している。このため、例えば、第1配線材32は、第1の太陽電池素子31の第1出力取出電極311に第1接合部分321を介して接合している状態にある。また、例えば、第1配線材32と第2出力取出電極313との間に位置しており、第1配線材32と第2出力取出電極313とを接合している部分(第2接合部分ともいう)322が存在している。このため、例えば、第1配線材32は、第1の太陽電池素子31の隣の第2の太陽電池素子31の第2出力取出電極313に第2接合部分322を介して接合している状態にある。第1配線材32には、例えば、線状あるいは帯状の導電性を有する金属体が適用される。第1接合部分321および第2接合部分322の素材には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などが適用される。より具体的には、例えば、0.1mmから0.2mm程度の厚さと1mmから2mm程度の幅とを有する銅箔が第1配線材32に適用され、この第1配線材32の全面に半田が被覆された状態にある。第1配線材32は、例えば、半田付けによって、第1出力取出電極311および第2出力取出電極313に電気的に接続されている状態にある。この場合には、例えば、第1配線材32と第1出力取出電極311との間に位置している半田が第1接合部分321を構成している状態にある。また、例えば、第1配線材32と第2出力取出電極313との間に位置している半田が第2接合部分322を構成している状態にある。
【0028】
<1-1-4.充填材層>
充填材層4は、第1保護層1と第2保護層2との間において太陽電池部3を覆っている状態にある。換言すれば、充填材層4は、第1保護層1と第2保護層2との間において、複数の太陽電池素子31を覆っている状態にある。別の観点から言えば、充填材層4は、例えば、第1保護層1と第2保護層2との間の間隙領域100gに、太陽電池部3を覆いつつ充填されている状態にある。
【0029】
充填材層4は、例えば、第1充填材層41と、第2充填材層42と、を有する。第1充填材層41は、例えば、間隙領域100gのうちの第1保護層1と太陽電池部3との間に位置している。ここでは、第1充填材層41は、例えば、太陽電池部3の第1保護層1側の全面を覆っている状態にある。換言すれば、第1充填材層41は、例えば、第1保護層1の第2面1bと太陽電池部3との間において1つ以上の太陽電池素子31を覆っている状態にある。第2充填材層42は、例えば、間隙領域100gのうちの第2保護層2と太陽電池部3との間に位置している。ここでは、第2充填材層42は、例えば、太陽電池部3の第2保護層2側の全面を覆っている状態にある。換言すれば、第2充填材層42は、例えば、第2保護層2の第3面2fと太陽電池部3との間において1つ以上の太陽電池素子31を覆っている状態にある。このため、第1実施形態では、太陽電池部3は、例えば、第1充填材層41と第2充填材層42とによって挟み込まれるように囲まれている状態にある。これにより、例えば、充填材層4によって太陽電池部3の姿勢が保たれ得る。
【0030】
充填材層4は、例えば、透光性を有する。ここでは、充填材層4は、例えば、上述した特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。ここで、例えば、充填材層4を構成する第1充填材層41および第2充填材層42のうち、少なくとも第1充填材層41が透光性を有していれば、前面100f側からの入射光が、太陽電池部3まで到達し得る。
【0031】
第1充填材層41および第2充填材層42のそれぞれの素材には、例えば、樹脂が適用される。換言すれば、充填材層4は、樹脂製の第1充填材層41と、樹脂製の第2充填材層42と、を有する。第1充填材層41および第2充填材層42のそれぞれの素材には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)またはアイオノマーなどの樹脂が適用される。第1充填材層41および第2充填材層42は、例えば、2種類以上の素材によって構成されていてもよい。第1方向としての+Z方向における第1充填材層41の厚さは、例えば、0.2mmから1mm程度とされ、第1方向としての+Z方向における第2充填材層42の厚さは、例えば、0.2mmから1mm程度とされる。
【0032】
<1-1-5.基材>
基材6は、例えば、モジュール本体部120を支持している状態にある部材(支持部材ともいう)である。基材6は、例えば、第1保護層1よりも硬い状態にある。換言すれば、第1保護層1は、基材6よりも柔らかい状態にある。ここで、第1保護層1が基材6よりも柔らかい状態は、例えば、第1保護層1が基材6よりも低い剛性を有する状態を含む。例えば、基材6がモジュール本体部120よりも高い剛性を有していれば、基材6は、モジュール本体部120の形状を維持するようにモジュール本体部120を支持することができる。ここで、第1保護層1と基材6との間における相対的な柔らかさおよび硬さの関係については、例えば、太陽電池モジュール100の状態で、第1保護層1および基材6のそれぞれを対象としたビッカース硬度計を用いたビッカース硬度の測定結果から算出および評価を行うことが可能である。また、例えば、太陽電池モジュール100を分解して第1保護層1および基材6を取り出し、第1保護層1および基材6のそれぞれについて、機械的試験法、共振法および超音波パルス法を用いて、第1保護層1と基材6との間における相対的な柔らかさおよび硬さの関係を算出および評価してもよい。機械的試験法には、例えば、試験片を用いた引張試験、ねじり試験および圧縮試験がある。ヤング率は、機械的試験法で得られる応力-ひずみ線図の傾きから容易に算出される。共振法では、試験片に機械的または電気的に強制振動を与えて、試験片の共振周波数(固有振動数)を計測し、この共振周波数からヤング率を計算することができる。また、強制振動には、縦振動、横振動および捻り振動があり、縦振動および横振動の共振周波数から試験片のヤング率が求まり、捻り振動の共振周波数から試験片の剛性率(横弾性係数)が求まる。超音波パルス法では、縦波用振動子および横波用振動子を用いて約1メガヘルツ(MHz)から20MHzの超音波パルスを試験片に伝播させ、試験片内を伝播する縦波および横波の伝播速度からヤング率および剛性率を計算することができる。
【0033】
第1実施形態では、基材6は、例えば、板状の部材(板材ともいう)である。基材6は、例えば、第5面6fと、第6面6bと、を有する。第6面6bは、基材6のうちの第5面6fの逆側に位置している。図1(a)および図1(b)の例では、第5面6fが+Z方向を向いた面であり、第6面6bが-Z方向を向いた面である。第1実施形態では、第5面6fは、第2保護層2の第4面2bと対向している状態にある。基材6を構成する板材には、例えば、車両もしくは船舶などの移動体のボディの外板、または建築物の屋根材もしくは外壁材などが適用される。この場合には、例えば、車両もしくは船舶などの移動体または建築物などに太陽電池モジュール100を容易に適用することができる。ここで、板材としては、例えば、めっき鋼板もしくはステンレス鋼板などの鋼板、あるいはアルミニウム板などの金属製の板材が採用される。めっき鋼板には、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛アルミめっき鋼板などの各種のめっきが施された鋼板が適用される。このように、例えば、基材6を構成する板材として、金属製の板材が適用されれば、モジュール本体部120よりも高い剛性を有する板状の基材6が容易に実現され得る。基材6を構成する板材の形状は、例えば、平板状であってもよいし、若干の湾曲などの曲がりを有する形状であってもよい。基材6の厚さは、例えば、0.5mmから数センチメートル(cm)程度とされる。
【0034】
<1-1-6.接着層>
接着層5は、例えば、モジュール本体部120を基材6に接着している状態にある。第1実施形態では、接着層5は、例えば、第2保護層2の第4面2bと基材6の第5面6fとの間に位置している。このため、接着層5は、例えば、第4面2bと第5面6fとを接着している状態にある。接着層5には、例えば、接着テープあるいはエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)またはアイオノマーなどの樹脂が適用される。接着テープは、例えば、支持体と、支持体の両面上に位置している粘着剤と、を有する。支持体の形状は、例えば、帯状である場合には、支持体の両面は、帯状の支持体のうちの表側の面(第1表面とも前面ともいう)およびこの前面の逆側の面(第2表面とも裏面ともいう)である。第1方向としての+Z方向における接着層5の厚さは、例えば、0.1mmから1mm程度とされる。
【0035】
<1-2.太陽電池モジュールの耐衝撃性>
上記構成を有する太陽電池モジュール100において、例えば、第2充填材層42、第2保護層2および接着層5のうちの1つ以上の層が、第1充填材層41よりも大きなヤング率を有していれば、太陽電池素子31と基材6との間の少なくとも1つの層の剛性が高まる。これにより、例えば、ガラス基板よりも柔らかい樹脂製の第1保護層1の第1面1fに雹などの落下物または強風に伴う飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31と基材6との間に位置している部分が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなる。このため、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性が高まり得る。よって、例えば、太陽電池モジュール100の軽量化を図るために第1保護層1を樹脂製の部材としても、第2充填材層42、第2保護層2および接着層5のうちの1つ以上の層のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくすることで、太陽電池モジュール100の耐衝撃性を向上させることができる。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる。
【0036】
ここでは、例えば、第2充填材層42のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくすることが考えられる。具体的には、例えば、第1充填材層41の素材をEVAとし、第2充填材層42の素材をアイオノマーとすることで、第1充填材層41のヤング率よりも第2充填材層42のヤング率を大きくすることができる。このアイオノマーとしては、例えば、三井・ダウポリケミカル(株)社製のハイミラン(登録商標)などを採用することができる。また、このアイオノマーに、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを適用してもよい。このエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と金属化合物とを反応させることで取得され得る。このようにして、例えば、太陽電池素子31の直ぐ基材6側に位置している第2充填材層42の剛性を高めることができる。これにより、例えば、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、第2充填材層42が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子31には局所的な変形がより生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックがより生じにくくなる。したがって、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性が高まり得る。
【0037】
また、ここでは、例えば、接着層5のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくすることが考えられる。具体的には、例えば、第1充填材層41の素材をEVAとし、接着層5の素材をアイオノマーとすることで、第1充填材層41のヤング率よりも接着層5のヤング率を大きくすることができる。このアイオノマーとしては、例えば、三井・ダウポリケミカル(株)社製のハイミラン(登録商標)などを採用することができる。また、このアイオノマーに、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを適用してもよい。また、例えば、接着層5の素材を、2液を混合して使用するタイプ(2液混合タイプともいう)の接着剤とすることで、第1充填材層41のヤング率よりも接着層5のヤング率を大きくしてもよい。このようにして、例えば、太陽電池素子31と基材6との間に位置している接着層5の剛性を高めることができる。これにより、例えば、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、接着層5が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなる。したがって、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性が高まり得る。
【0038】
ところで、第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、太陽電池モジュール100の軽量化などを図るために、フロント部材として、ガラス基板の代わりに、樹脂製の第1保護層1が採用されている。
【0039】
ここで、ガラス基板については、例えば、ガラス基板を作製する際に用いるロールの外周面における凹凸の影響で、ガラス基板の表面の粗さが大きくなり得る。例えば、このガラス基板の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、数μmから数百μm程度となる。また、太陽電池素子31については、例えば、半導体基板310の第1素子面31f側の面が微細な凹凸構造(テクスチャ)を有することで、第1素子面31fの粗さがある程度大きくなり得る。この第1素子面31fの算術平均粗さ(Ra)は、例えば、100nmから数百nm程度となる。これに対して、樹脂製の第1保護層1の表面の粗さは、ガラス基板の表面の粗さよりも小さくなり得る。この樹脂製の第1保護層1の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、数nmから数十nm程度となる。
【0040】
このため、例えば、フロント部材を、ガラス基板から、このガラス基板よりも表面の粗さが小さく平坦な樹脂製の第1保護層1に変更すれば、フロント部材と第1充填材層41との接触面積が小さくなる。このため、例えば、フロント部材と第1充填材層41との間で剥離が生じやすい。これにより、例えば、第1面1fに対する落下物または飛来物の衝突によって、第1保護層1と第1充填材層41との間で剥離が生じて、第1保護層1と第1充填材層41との間ですべりが生じやすく、太陽電池モジュール100の全体における剛性が低下し得る。その結果、例えば、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突すると、太陽電池素子31には局所的な変形が生じやすくなり、太陽電池素子31にクラックが生じやすく、太陽電池モジュール100における耐衝撃性の低下を招く場合がある。
【0041】
第1実施形態では、例えば、第1保護層1と第1充填材層41との界面(第1界面ともいう)10における粗さ(第1粗さともいう)が、第1充填材層41と1つ以上の太陽電池素子31との界面(第2界面ともいう)20における粗さ(第2粗さともいう)よりも小さい態様が考えられる。ここで、高温高湿の環境に置かれる前後の太陽電池モジュール100をそれぞれ対象として、第1界面10および第2界面20について算術平均粗さ(Ra)を求めた。その結果、第1界面10の算術平均粗さ(Ra)は、5nmから15nm程度であり、第2界面20の算術平均粗さ(Ra)は、150nmから250nm程度であった。ここでは、各太陽電池モジュール100をXZ平面に沿って切断して得た切断面を対象として、電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いた撮影で画像を取得し、この画像を対象とした二値化などの画像処理によって第1界面10および第2界面20の断面形状を検出した上で算術平均粗さ(Ra)を算出した。
【0042】
ここでは、例えば、第1保護層1と第1充填材層41との第1界面10における第1粗さが、第1充填材層41と1つ以上の太陽電池素子31との第2界面20における第2粗さよりも小さくなると、第1保護層1と第1充填材層41との接触面積が小さくなる。このため、例えば、フロント部材としてガラス基板を用いる場合と比較して、フロント部材としての第1保護層1と第1充填材層41との間で剥離が生じやすくなり、1つ以上の太陽電池素子31が割れやすくなる。このような場合であっても、例えば、1つ以上の太陽電池素子31と基材6との間の少なくとも1つの層の剛性を高めることで、第1保護層1の第1面1fに対して落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなる。その結果、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性を高めることができる。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる。
【0043】
<1-3.太陽電池モジュールの耐衝撃性についての具体例>
<1-3-1.シミュレーションの結果>
ここで、日本工業規格(JIS)のC8991で規定される降ひょう(雹)試験を模したシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、図3で示されるように、雹(ひょう)を想定した鋼球800を第1面1fから高さ方向に1メートル(m)離れた位置から第1面1f上に落下させた際に、太陽電池素子31に掛かる主応力の最大値(最大主応力ともいう)の時間変化を得た。ここでは、鋼球800を直径が38mmである球体とした。基材6のX方向に沿った相互に対向する2辺の長さ(幅ともいう)W1を200mmとし、基材6のY方向に沿った相互に対向する2辺の長さ(奥行きともいう)D1を200mmとした。そして、太陽電池モジュール100を、便宜的に、基材6の上に、接着層5と、第2保護層2と、第2充填材層42と、太陽電池素子31の層と、第1充填材層41と、第1保護層1と、がこの記載の順に単純に積層された積層体とした。また、基材6を厚さが0.7mmである鉄板とした。接着層5を厚さが0.4mmである接着テープ、EVAまたはアイオノマーの層とした。第2保護層2を厚さが0.2mmであるPETの層とした。第2充填材層42を厚さが0.31mmであるEVAの層とした。太陽電池素子31を厚さが0.18mmである結晶シリコンの層とした。第1充填材層41を厚さが0.51mmであるEVAの層とした。第1保護層1を厚さが0.10mmであるFEPの層とした。各厚さは、第1方向としての+Z方向における厚さとした。第1面1f上に鋼球800が衝突する際の初速を4.43メートル毎秒(m/s)とした。
【0044】
図4(a)では、第2充填材層42のヤング率(E2)を第1充填材層41のヤング率(E1)で除した値(E2/E1)を1とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い破線で示している。また、図4(a)では、値(E2/E1)を20とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い1点鎖線で示している。また、図4(a)では、値(E2/E1)を50とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い実線で示している。図4(a)で示されるように、第1充填材層41のヤング率(E1)に対して、第2充填材層42のヤング率(E2)が大きくなれば大きくなる程、太陽電池素子31に掛かる最大主応力が小さくなることが確認された。このため、例えば、第2充填材層42のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくして、第2充填材層42の剛性を高めることで、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくく、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなるものと推察された。
【0045】
図4(b)では、接着層5のヤング率(E5)を第1充填材層41のヤング率(E1)で除した値(E5/E1)を1とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い破線で示している。また、図4(b)では、値(E5/E1)を10とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い2点鎖線で示している。また、図4(b)では、値(E5/E1)を285とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い1点鎖線で示している。また、図4(b)では、値(E5/E1)を1000とした場合に太陽電池素子31の層に掛かる最大主応力の時間変化のシミュレーション結果を太い実線で示している。図4(b)で示されるように、第1充填材層41のヤング率(E1)に対して、接着層5のヤング率(E5)が大きくなれば大きくなる程、太陽電池素子31に掛かる最大主応力が小さくなることが確認された。このため、例えば、接着層5のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくして、接着層5の剛性を高めることで、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくく、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなるものと推察された。また、図4(b)で示されるように、第1充填材層41のヤング率(E1)に対して、接着層5のヤング率(E5)をある程度大きくすると、接着層5のヤング率(E5)の増加に対して最大主応力が低下しにくくなることも確認された。このため、例えば、接着層5のヤング率(E5)を大きくして、太陽電池素子31にクラックが生じにくくする場合には、接着層5のヤング率(E5)を大きくするための容易さを考慮して、第1充填材層41のヤング率(E1)に対する接着層5のヤング率(E5)の大きさを適切な範囲に設定する態様があるものと考えられた。
【0046】
また、図4(a)および図4(b)で示されるように、第1充填材層41のヤング率(E1)に対して、接着層5のヤング率(E5)を大きくするよりも、第2充填材層42のヤング率(E2)を大きくする方が、太陽電池素子31に掛かる最大主応力が小さくなりやすい傾向が確認された。ここでは、例えば、太陽電池素子31の直ぐ基材6側に位置している第2充填材層42の剛性を高めると、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31に局所的な変形がより生じにくく、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなるものと推察された。
【0047】
<1-3-2.実験の結果>
ここで、日本工業規格(JIS)のC8991で規定される降雹試験を模した実験の結果について説明する。この実験では、雹(ひょう)を想定した鋼球800を異なる複数の高さの位置から第1面1f上にそれぞれ落下させた後に、モジュール本体部120の外部に引き出された2本の第2配線材33の間に一定の電流を流しながら、第1素子面31fにおける発光(Electro Luminescence:EL)の状態を撮像素子で撮影する検査(太陽電池EL検査ともいう)を実施した。ここでは、複数の高さは、第1面1fを基準とした、高さ方向における11センチメートル(cm)、50cm、100cm、125cm、150cmおよび190cmの高さとした。ここでは、鋼球800を直径が38mmである球体とした。基材6を厚さが0.7mmである鉄板とした。第2保護層2を厚さが0.2mmであるPETの層とした。第2充填材層42を厚さが0.4mmであるEVAの層とした。太陽電池素子31の半導体基板310として厚さが0.18mmである結晶シリコンを用いた。第1充填材層41を厚さが0.6mmであるEVA製の層とした。第1保護層1を厚さが0.10mmであるFEPの層とした。そして、接着層5を、厚さが0.4mmである接着テープの層とした太陽電池モジュール100と、接着層5を、厚さが0.4mmであるアイオノマーの層とした太陽電池モジュール100と、を用いた。各厚さは、第1方向としての+Z方向における厚さとした。接着テープとして、3M社製の3M(登録商標)VHB(登録商標)テープを用いた。アイオノマーとして、三井・ダウポリケミカル(株)社製のハイミラン(登録商標)を用いた。ここでは、接着テープを用いた接着層5のヤング率は、EVA製の第1充填材層41のヤング率よりも低く、アイオノマーを用いた接着層5のヤング率は、EVA製の第1充填材層41のヤング率よりも高かった。この実験では、接着層5として接着テープを用いて、複数の高さ(11cm、50cm、100cm、125cm、150cmおよび190cm)のすべて位置から第1面1f上にそれぞれ鋼球800を落下させた太陽電池モジュール100を対象とした太陽電池EL検査において、太陽電池素子31に発光を生じないクラックが存在していることが確認された。これに対して、接着層5の素材としてアイオノマーを用いた場合には、100cm以下の高さの位置から第1面1f上にそれぞれ鋼球800を落下させた太陽電池モジュール100を対象とした太陽電池EL検査においては、太陽電池素子31に発光を生じないクラックが存在していないことが確認された。このため、例えば、接着層5のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくして、接着層5の剛性を高めることで、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくく、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなるものと推察された。
【0048】
ここで、接着層5を厚さが0.1mmであるアイオノマーの層として、100cmの高さの位置から第1面1f上に鋼球800を落下させた太陽電池モジュール100を対象とした太陽電池EL検査において、太陽電池素子31に発光を生じないクラックが存在していることが確認された。このため、接着層5については、ヤング率だけでなく厚さも適宜調整して、接着層5の剛性を高めることで、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくく、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなるものと推察された。
【0049】
<1-4.太陽電池モジュールの製造>
太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、図5(a)から図5(d)を参照しつつ説明する。
【0050】
図5(a)および図5(b)で示されるように、第2保護層2、第2シート42s、太陽電池部3、第1シート41sおよび第1保護層1を、この記載順に積層することで、積層体110を形成する。このとき、太陽電池部3からモジュール本体部120の外部に引き出されて端子ボックスなどに接続させるための配線が適宜配置される。ここでは、第1シート41sは、例えば、第1充填材層41の素になる樹脂(EVAなど)製のシートである。第2シート42sは、例えば、第2充填材層42の素になる樹脂(EVAもしくはアイオノマーなど)のシートである。ここで、例えば、第1保護層1の片面である第2面1bにコロナ処理またはプラズマ処理などの表面を活性化させるための処理を事前に施しておけば、後述するラミネート処理において第1保護層1と第1充填材層41との間における密着性が向上し得る。
【0051】
次に、例えば、積層体110を対象としたラミネート処理を行う。ここでは、例えば、ラミネート装置(ラミネータ)を用いて、積層体110を一体化させる。例えば、ラミネータでは、チャンバー内のヒーター盤上に積層体110を載置し、チャンバー内を50パスカル(Pa)から150Pa程度まで減圧させつつ、積層体110を摂氏100度(100℃)から摂氏200度(200℃)程度まで加熱する。このとき、第1シート41sおよび第2シート42sが加熱によってある程度流動可能な状態となる。この状態で、チャンバー内において、積層体110を、ダイヤフラムシートなどで押圧しながら、第1シート41sおよび第2シート42sにおける樹脂の架橋反応を進行させて、積層体110を一体化させる。これにより、図5(c)で示されるように、モジュール本体部120を作製することができる。
【0052】
そして、例えば、図5(d)で示されるように、接着層5によって基材6にモジュール本体部120を接着させることで、図1(a)および図1)で示されたような太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0053】
ここでは、例えば、図6(a)および図6(b)で示されるように、基材6、接着層5、第2保護層2、第2シート42s、太陽電池部3、第1シート41sおよび第1保護層1を、この記載順に積層することで形成した積層体111を対象としたラミネート処理を行うことで、太陽電池モジュール100を製造してもよい。
【0054】
その後、例えば、太陽電池モジュール100に、端子ボックス9を適宜取り付けてもよい。このとき、例えば、太陽電池部3からモジュール本体部120の外部に引き出された配線が、端子ボックス内の端子に適宜接続されてもよい。ここで、太陽電池モジュール100は、例えば、端子ボックス9を有していなくてもよい。
【0055】
<1-5.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、1つ以上の太陽電池素子31と基材6との間に位置している、第2充填材層42、第2保護層2および接着層5のうちの1つ以上の層が、第1充填材層41よりも大きなヤング率を有している。このため、例えば、太陽電池素子31と基材6との間の少なくとも1つの層の剛性が高まり得る。これにより、例えば、ガラス基板よりも柔らかい樹脂製の第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31と基材6との間に位置している部分が局所的な変形を生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなる。よって、例えば、太陽電池モジュール100の軽量化を図るために第1保護層1を樹脂製の部材としても、太陽電池モジュール100の耐衝撃性を向上させることができる。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における軽量化と耐衝撃性の向上とを図ることができる。
【0056】
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0057】
上記第1実施形態では、例えば、第2充填材層42および接着層5の少なくとも一方の層を、樹脂の中にこの樹脂よりも硬い多数の粒状体が分散された状態にある層としてもよい。これにより、例えば、第2充填材層42および接着層5の少なくとも一方の層のヤング率を、第1充填材層41のヤング率よりも大きくしてもよい。ここで、多数の粒状体には、例えば、絶縁性を有する無機酸化物もしくは有機物のフィラーなどが適用される。多数の粒状体の径は、例えば、数nmから数μm程度とされる。ここでは、例えば、第2充填材層42の素となる第2シート42sを作製する際に、樹脂に多数の粒状体を添加することで、第2充填材層42を構成する樹脂中に多数の粒状体を分散させることができる。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池素子31の直ぐ基材6側に位置している第2充填材層42の剛性を容易に高めることができる。これにより、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性を容易に高めることができる。また、例えば、接着層5が樹脂製の層である場合には、接着層5の素となる樹脂製のシートを作製する際に、樹脂に多数の粒状体を添加することで、接着層5を構成する樹脂中に多数の粒状体を分散させることができる。
【0058】
上記第1実施形態では、例えば、第1充填材層41を構成している樹脂の架橋率よりも、第2充填材層42を構成している樹脂の架橋率を大きくすることで、第1充填材層41のヤング率よりも第2充填材層42のヤング率を大きくしてもよい。この場合には、例えば、太陽電池モジュール100を製造する際に、第1保護層1よりも第2保護層2がヒーター盤の近くに位置するようにラミネータのヒーター盤上に積層体110もしくは積層体111を載置することが考えられる。これにより、例えば、第1シート41sよりも第2シート42sにおいて樹脂の架橋反応を進行させることで、第1充填材層41を構成している樹脂の架橋率よりも、第2充填材層42を構成している樹脂の架橋率を大きくすることができる。ここで、例えば、接着層5が樹脂製の層である場合には、第1充填材層41を構成している樹脂の架橋率よりも、接着層5を構成している樹脂の架橋率を大きくすることで、第1充填材層41のヤング率よりも接着層5のヤング率を大きくしてもよい。換言すれば、例えば、第2充填材層42および接着層5のうちの少なくとも一方の層を構成している樹脂の架橋率が、第1充填材層41を構成している樹脂の架橋率よりも大きくてもよい。
【0059】
上記第1実施形態では、例えば、第1方向としての+Z方向において、第2充填材層42の厚さを第1充填材層41の厚さよりも小さくしてもよい。この場合には、例えば、第1保護層1の第1面1fに落下物または飛来物などが衝突しても、太陽電池素子31の直ぐ裏側に位置している第2充填材層42における凹み量が小さくなり得る。これにより、例えば、太陽電池素子31には局所的な変形が生じにくくなり、太陽電池素子31にクラックが生じにくくなる。その結果、例えば、樹脂製の第1保護層1を有する太陽電池モジュール100における耐衝撃性を高めることができる。
【0060】
上記第1実施形態では、例えば、基材6は、金属製以外の素材の板材であってもよい。金属製以外の素材には、例えば、樹脂、セラミックス、コンクリートまたは木材などの種々の素材が適用され得る。また、例えば、基材6は、板状以外の形状を有していてもよい。板状以外の形状には、例えば、塊状などの種々の形状が適用され得る。
【0061】
上記第1実施形態では、例えば、モジュール本体部120の外周部分において、第1保護層1と第2保護層2とが接着した状態として、第1保護層1と第2保護層2との間の間隙領域100gを封止してもよい。また、例えば、モジュール本体部120の外周部分にブチル系の樹脂などの封止材を配置して、第1保護層1と第2保護層2との間の間隙領域100gを封止してもよい。
【0062】
上記第1実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【0063】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。第1実施形態および各種変形例に係る太陽電池モジュール100は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、および「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0064】
1 第1保護層
1b 第2面
1f 第1面
2 第2保護層
2b 第4面
2f 第3面
3 太陽電池部
4 充填材層
5 接着層
6 基材
6b 第6面
6f 第5面
10 第1界面
20 第2界面
31 太陽電池素子
41 第1充填材層
42 第2充填材層
100 太陽電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6