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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ごみ置き場監視システム
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/14 20060101AFI20231221BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20231221BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20231221BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
B65F1/14 Z
B65F1/00 A
B65F1/00 Z
G16Y40/10
G16Y10/35
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022513788
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015906
(87)【国際公開番号】W WO2021205588
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 啓
(72)【発明者】
【氏名】上垣 映理子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋
(72)【発明者】
【氏名】堀 聡美
(72)【発明者】
【氏名】山口 忠博
(72)【発明者】
【氏名】永岡 江太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一生
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
(72)【発明者】
【氏名】高武 直弘
(72)【発明者】
【氏名】腰塚 久洋
(72)【発明者】
【氏名】千葉 玲子
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-317088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00-9/00
G16Y 40/10
G16Y 10/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ置き場に設置されるセンサ装置と、監視サーバと、を備えるごみ置き場監視システムであって、
前記センサ装置は、
前記ごみ置き場の画像を撮影するカメラと、
撮影した画像情報を前記監視サーバへ送信する通信部と、を有し、
前記監視サーバは、
前記センサ装置から前記画像情報を受信するサーバ通信部と、
前記サーバ通信部で受信した前記画像情報に基づいて、前記ごみ置き場の散らかり度を算出する散らかり度算出部と、
前記散らかり度算出部で算出した散らかり度が、基準値以上であるか判定する判定部と、
前記判定部が基準値以上であると判定した場合に、清掃を促す報知をする報知部と、を有する、ごみ置き場監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記センサ装置は、前記ごみ置き場の臭いを測定する臭いセンサと、
前記臭いセンサの測定値を前記監視サーバへ送信する通信部と、を有し、
前記報知部は、前記臭いセンサの測定値にも基づいて、清掃を促す報知をする、ごみ置き場監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記センサ装置は、前記ごみ置き場のごみ量を検出するごみ量センサと、
前記ごみ量センサの検出値を前記監視サーバへ送信する通信部と、を有し、
前記報知部は、前記ごみ量センサの検出値にも基づいて、清掃を促す報知をする、ごみ置き場監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記監視サーバは、過去の前記散らかり度を記録した散らかり度履歴データベースを有し、
前記判定部は、前記散らかり度履歴データベースを参照し、前記散らかり度の上昇することが見込まれる場合、
前記報知部は、前記散らかり度が前記基準値に達しなくても、清掃を促す報知をする、ごみ置き場監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記散らかり度算出部は、散らかっていないときの基準画像と、撮影された現状画像と、を比較し、差分有りの領域の大小に基づいて前記散らかり度を算出する、ごみ置き場監視システム。
【請求項6】
請求項1に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記報知部は、前記画像情報に基づいて算出された、清掃に要する時間を報知する、ごみ置き場監視システム。
【請求項7】
ごみ置き場に設置されるセンサ装置と、監視サーバと、を備えるごみ置き場監視システムであって、
前記センサ装置は、
前記ごみ置き場の臭いを測定する臭いセンサと、
前記臭いセンサの測定値を前記監視サーバへ送信する通信部と、を有し、
前記監視サーバは、
前記臭いセンサの測定値を受信するサーバ通信部と、
前記臭いセンサの測定値が基準値以上であるか判定する判定部と、
前記判定部が基準値以上であると判定した場合に、清掃を促す報知をする報知部と、を有し、
燃えるごみの日は、前記基準値が高く設定されている、ごみ置き場監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載のごみ置き場監視システムにおいて、
前記ごみ置き場には、換気装置又は消臭装置が設置されており、
前記臭いセンサの測定値に応じて、前記換気装置又は消臭装置が動作する、ごみ置き場監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ置き場監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ごみ置き場にごみ出しされたごみは、所定のごみ回収日などに定期的にごみ回収車が巡回して収集される。しかし、ごみの量が多い場合は、ごみ置き場をはみ出してして邪魔になったり、衛生面で問題となったり、する場合がある。このため、ごみの回収を定期的な巡回ではなく、ごみの量に応じてフレキシブルとする方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「ごみ量検出部が検出したごみ量から、ごみ収集ボックスのごみ回収時期が近づいているか否かを判定して、ごみ収集ボックスのごみ回収時期が近づいていると判定した際に、通知信号をサーバに送信する」ことが開示されている(同文献の要約)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-141499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ごみ収集ボックスが満杯に近くなったことを知らせるアラートが、自治体の清掃局へ送信される。しかし、実際には、ごみ置き場が満杯に近くなくても、ごみ置き場が散乱していたり、強い臭いがしたり、した場合には、ごみ置き場をそのまま放置しておくのは望ましくない。一方で、ごみ置き場がマンションであった場合には、マンションの管理会社が、ごみ置き場を定期的に清掃している。
【0006】
本発明の目的は、ごみ置き場の管理者が、ごみ置き場の状況に応じて、適切な時期に清掃を行える、ごみ置き場監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ごみ置き場に設置されるセンサ装置と、監視サーバと、を備えるごみ置き場監視システムであって、前記センサ装置は、前記ごみ置き場の画像を撮影するカメラと、撮影した画像情報を前記監視サーバへ送信する通信部と、を有し、前記監視サーバは、前記センサ装置から前記画像情報を受信するサーバ通信部と、前記サーバ通信部で受信した前記画像情報に基づいて、前記ごみ置き場の散らかり度を算出する散らかり度算出部と、前記散らかり度算出部で算出した散らかり度が、基準値以上であるか判定する判定部と、前記判定部が基準値以上であると判定した場合に、清掃を促す報知をする報知部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ごみ置き場の管理者が、ごみ置き場の状況に応じて、適切な時期に清掃を行える、ごみ置き場監視システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るごみ置き場監視システムの全体構成を示す図である。
図2】実施形態に係るごみ置き場監視システムのブロック図である。
図3】判定基準データベースに格納された、清掃を促す報知をするかどうかを判定する際に用いられる基準値の一例を示す図である。
図4】散らかり度履歴データベースに格納された、各ごみ置き場における過去の散らかり度の一例を示す図である。
図5】臭い/ごみ量履歴データベースに格納された、各ごみ置き場における過去の臭いおよびごみ量の一例を示す図である。
図6】天井にあるカメラがごみ置き場で撮影した画像の差分を抽出する方法を示す図である。
図7】差分有りの領域の大小と、散らかり度との関係を示すテーブルの一例を示す図である。
図8】散らかり度に基づいて清掃を促す報知をする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】臭いに基づいて清掃を促す報知をする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
<ごみ置き場監視システム>
本実施形態に係るごみ置き場監視システムの全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るごみ置き場監視システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るごみ置き場監視システムは、ごみ置き場200に設置されるセンサ装置210と、監視サーバ100と、ネットワーク3と、で構成されている。ここでは、1つのごみ置き場200を用いた例で説明するが、共通の監視サーバ100に対して、実際には、複数のゴミ置き場のセンサ装置がネットワーク3を介して接続される。
【0012】
ごみ置き場200には、センサ装置210の他に、換気/脱臭装置220と、ルータ230と、が設置されている。ここで、センサ装置210は、カメラ211と、臭いセンサ212と、ごみ量センサ213と、を備えている。そして、カメラ211の通信部211a、臭いセンサ212の通信部212a、ごみ量センサ213の通信部213aが、ごみ置き場200に設置された共通のルータ230を介して、ネットワーク3に接続されている。
【0013】
換気/脱臭装置220は、換気や脱臭によって、ごみ置き場200の臭いを抑制する換気/脱臭機221を備えるものであり、単体の装置であっても良いし、空気調和機や空気清浄機などであっても良い。また、この換気/脱臭機221も、通信部220aを介して共通のルータ230を介して、ネットワーク3に接続されている。そして、監視サーバ100からの指令に基づいて、換気/脱臭機221を制御することも可能となっている。なお、各センサおよび換気/脱臭装置220は、ルータ230を介さずに、直接ネットワーク3に接続するものであっても良いし、無線でなく有線であっても良い。
【0014】
図2は、本実施形態に係るごみ置き場監視システムのブロック図である。本実施形態では、ごみ置き場200が、マンションの1階の所定の部屋などに置かれ、監視サーバ100が、マンションの管理会社等に置かれた場合を例に挙げて説明する。なお、監視サーバ100は、単一のコンピュータで構築されるものであっても、多数のコンピュータ群で構築されるクラウド型のものであっても良い。
【0015】
<センサ装置210>
本実施形態のセンサ装置210は、上述の通り、カメラ211と、臭いセンサ212と、ごみ量センサ213と、を備えている。
【0016】
カメラ211は、CCDイメージセンサなどの固体撮像素子を有する画像センサであり、ごみ置き場200の天井に設置されて、上方から下方を見下ろしたエリアを撮影する。なお、カメラ211の設置場所は、天井に限られず、ごみ置き場200の全体の状況が撮影できる場所であれば、どこに設置しても構わない。そして、カメラ211で取得した画像のデータは、通信部211aおよびルータ230を経由して、ネットワーク3に接続された監視サーバ100へ送信され、監視サーバ100の画像情報データベース131に記録される。本実施形態では、カメラ211で取得した画像データは、監視サーバ100内で処理される例について説明するが、カメラ211に、高度な処理が可能なプロセッサとメモリを持たせ、カメラ211内で処理できるようにしても良い。
【0017】
臭いセンサ212は、臭気成分の濃度などを測定することで、臭いの程度を数段階に分けて出力するものである。この臭気センサは、単体で設けられても良いし、換気/脱臭機221と同様に、空気調和機や空気清浄機に内蔵させたものであっても良い。
【0018】
ごみ量センサ213は、ごみ置き場200にあるごみ収集庫などに設けられ、許容量に対してどの程度までごみが蓄積されてきているかを検出するものである。このごみ量センサ213としては、例えば、超音波センサが用いられる。この超音波センサでは、まず超音波を送信し、その反射波を受信するまでの時間を測定することで、蓄積されたごみの上端までの距離を検出する。そして、この超音波センサは、検出した距離と、ごみ収集庫の底面や蓋部までの距離とを比較することで、ごみの蓄積量を推定する。なお、ごみ量センサ213の種類は、超音波センサに限らず、重量センサなど他のセンサを用いても構わない。
【0019】
<監視サーバ100>
本実施形態の監視サーバ100は、プロセッサ110と、サーバ通信部111と、メモリ112と、ストレージ113と、報知部114と、を備えている。図2では、概念的にプロセッサ110が実行する機能を、散らかり度算出部120、判定部121として示している。本実施形態では、計算や制御等の機能は、プログラムがプロセッサ110によって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。これらの機能を実現するためのプログラムは、メモリ112に格納される。
【0020】
なお、上記プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されたり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM等の計算機で読み取り可能な記録媒体に記録して提供されたり、配布されても良い。さらには、上記プログラムは、インターネット等のネットワークに接続された計算機上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されたり、配布されたりしても良い。
【0021】
サーバ通信部111は、ネットワーク3を介して、センサ装置210および換気/脱臭装置220との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。報知部114は、センサ装置210で取得した情報により、ごみ置き場200の清掃が必要になってきていると判定された場合に、清掃を促す報知をするものである。ここで、清掃を促す報知とは、ごみ置き場200の状況が一定以上となった場合に管理者へ知らせるものであり、例えば「今汚くなっています」などの警告も含まれる。
【0022】
ごみ置き場200の清掃が必要になってきていると判定された場合、報知部114は、ネットワーク3を介して、マンション管理会社などの管理者が所持する管理者端末装置150へ、清掃を促す報知をする。そして、連絡を受けた管理者は、管理者端末装置150を用いて監視サーバ100へアクセスすることにより、ごみ置き場200のより詳細な情報、例えば各センサの現在の測定値やカメラで撮影した画像などを確認することが可能となっている。
【0023】
ストレージ113は、判定基準データベース130と、画像情報データベース131と、散らかり度履歴データベース132と、臭い/ごみ量履歴データベース133と、を有している。
【0024】
図3は、判定基準データベース130に格納された、清掃を促す報知をするかどうかを判定する際に用いられる基準値の一例を示す図である。図3に示すように、散らかり度、臭い、ごみ量の各項目に対し、基準値が定められており、これらの基準値以上になると、報知部114により、ごみ置き場200の清掃を促す報知を行う。各基準値は、ごみ置き場200ごとに適宜異なる値を設定することも可能である。なお、基準値は、このまま放置すると居住者やごみ回収業者から苦情が届くような状態かどうかで決められるものであり、今すぐ清掃が必要なレベルに限らず、注意が必要なレベルのものであっても良い。
【0025】
各基準値は、基本的には、毎日同じ値が採用されている。しかし、臭いについては、燃えるごみの日は、生ごみなどが出されるため通常臭いが強くなることを考慮し、その他の日と比べて、基準値を高く設定しても良い。燃えないごみでない日は、通常臭いが殆どしないはずのところ、弱くても臭いがあった場合は、液体の漏れなど何らかの異常が考えられるためである。例えば、臭いの測定値が3であった場合、燃えるごみの日のときは基準値に達せず報知されないが、その他の日のときは基準値に達して報知される。なお、燃えるごみの日が何曜日かに関しては、ごみ置き場200の設置された地域によって異なる。したがって、判定基準データベース130には、臭いセンサ212のあるごみ置き場200ごとに、ごみの収集スケジュールが登録されている。
【0026】
図4は、散らかり度履歴データベース132に格納された、各ごみ置き場200における過去の散らかり度の一例を示す図である。各ごみ置き場200における散らかり度は、各ごみ置き場200に設置されたカメラ211で撮影した画像情報に基づいて、監視サーバ100の散らかり度算出部120が算出する。ここで、散らかり度とは、ごみや異物がない状態に対して、相応のごみや異物が存在している度合のことをいう。
【0027】
図5は、臭い/ごみ量履歴データベース133に格納された、各ごみ置き場200における過去の臭いおよびごみ量の一例を示す図である。各ごみ置き場200における臭いは、臭いセンサ212によって測定され、各ごみ置き場200におけるごみ量は、ごみ量センサ213によって検出される。
【0028】
ここで、散らかり度算出部120について説明する。散らかり度算出部120は、サーバ通信部111を介して受信した画像情報に基づいて、ごみ置き場200の散らかり度を算出するものである。以下、散らかり度算出部120での具体的な処理に関し、図6,7を用いて具体的に説明する。図6は、天井にあるカメラ211がごみ置き場200で撮影した画像の差分を抽出する方法を示す図であり、図7は、差分有りの領域の大小と、散らかり度との関係を示すテーブルの一例を示す図である。
【0029】
まずカメラ211が、ごみ置き場200全体の基準画像を撮影すると、この基準画像が、通信部211a等を介して、監視サーバ100の画像情報データベース131に記録される。この基準画像は、図6(a)に示すように、ごみ置き場200が散らかっていない状態の画像であり、例えば、管理者がごみ置き場200を清掃した直後の画像が考えられる。
【0030】
次に、所定時間経過後に、再びカメラ211が、ごみ置き場200全体の現状画像を撮影すると、この現状画像が、通信部211a等を介して、監視サーバ100の画像情報データベース131に記録される。この現状画像は、図6(b)に示すように、清掃直後などに撮影した基準画像と比べると、ごみ置き場200が一定程度散らかっていることが考えられる。
【0031】
なお、基準画像を撮影してから現状画像を撮影するまでの時間や、繰り返し現状画像を撮影する周期については、カメラ211が設置されるごみ置き場200ごとに適宜異なる設定をすることも可能である。例えば、ごみ置き場200のごみの収集スケジュールに応じて、撮影の周期を変更したり、散らかり度履歴データベース132に記録された過去の散らかり度に応じて、撮影の周期を変更したりしても良い。
【0032】
新たな現状画像が撮影されて監視サーバ100へ送信されると、散らかり度算出部120は、基準画像と現状画像とを比較し、図6(c)に示すように、差分有りの領域を抽出する。そして、散らかり度算出部120は、差分有りの領域が全体に対してどのくらいの割合を占めるかを計算する。その後、散らかり度算出部120は、図7に示すテーブルを参照して、差分有り領域の割合に対応する散らかり度を算出する。例えば、差分有りの領域が5%の場合、散らかり度はLv1と算出する。散らかり度が算出されると、その情報が、図4に示すように、散らかり度履歴データベース132に記録される。
【0033】
ただし、新たな現状画像として撮影された画像に、人が映り込んだり、移動させる途中のものが映り込んだりする場合も考えられる。したがって、散らかり度算出部120は、所定時間さらに経過した後に撮影した次の現状画像が、前の現状画像から変化がなかった場合に限り、散らかり度を算出するようにしても良い。
【0034】
次に、判定部121について説明する。判定部121は、判定基準データベース130を参照して、散らかり度算出部120で算出した散らかり度が、散らかり度の基準値以上であるかを判定する。また、判定部121は、臭いについても、判定基準データベース130を参照し、基準値以上であるかを判定する。散らかり度や臭いが基準値以上と判定された場合、報知部114が、清掃を促す報知をする。
【0035】
なお、報知部114は、散らかり度か臭いのどちらかの項目が基準値を上回った時点で報知しても良いし、基準値を上回った項目が増える度に、警告のレベルを上げて行くようにしても良い。ここで、ごみ量の項目は、単独の情報だけでは、清掃を促す報知をするかどうかの判定には用いられないが、散らかり度や臭いの項目と組合せることで、判定の精度をより向上させる効果が期待できる。また、基準値を複数設けて、例えば、1つ目の基準値を上回ったときは、注意喚起の報知をし、2つ目の基準値を上回ったときは、出動指令の報知をすることも可能である。さらに、判定部121は、散らかり度履歴データベース132や臭い/ごみ量履歴データベース133に基づき、散らかり度等が上昇する傾向のある日時(例えばクリスマスや年度末など)を予測しても良い。散らかり度等が上昇する傾向のある日時は、各履歴データベース以外にも、予め用意されたスケジュール情報に基づいて特定しても構わない。このように散らかり度等の上昇が見込まれる場合、散らかり度等が基準値に達しなくても、報知部114が事前に報知を行う。
【0036】
また、上述した散らかり度の算出方法は、一例であって、散らかり度算出部120は、カメラ211で撮影した画像を他の処理によって、散らかり度を算出しても構わない。さらに、本実施形態では、差分を用いて一旦散らかり度を算出し、散らかり度が基準値以上の場合に報知したが、散らかり度を算出せずに、差分が基準値以上の場合に報知するようにしても良い。
【0037】
<ごみ置き場200の散らかり度に基づいて清掃を促す報知をする場合の動作例>
図8は、本実施形態に係るごみ置き場監視システムにおいて、散らかり度に基づいて清掃を促す報知をする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
図8に示すように、まず、管理者がごみ置き場200を清掃する(ステップS801)。清掃後は、ごみ置き場200が散らかっていないと考えられるため、このときのごみ置き場200の状況を、カメラ211が撮影する(ステップS802)。カメラ211で撮影した画像情報は、通信部211a等を介して監視サーバ100へ送信され、基準画像として画像情報データベース131に記録される(ステップS803)。基本的には、最初に基準画像が記録されれば、その後に清掃があっても基準画像は更新されないが、清掃の度に基準画像を更新しても良い。
【0039】
その後、所定時間が経過すると(ステップS804)、カメラ211が再びごみ置き場200の状況を撮影する(ステップS805)。カメラ211で撮影した画像情報は、通信部211a等を介して監視サーバ100へ送信され、現状画像として画像情報データベース131に記録される(ステップS806)。
【0040】
次に、散らかり度算出部120は、画像情報データベース131に記録された、基準画像と現状画像との差分を抽出する(ステップS807)。さらに、散らかり度算出部120は、差分有りの領域の大小に基づいて、散らかり度を算出する(ステップS808)。算出された散らかり度は、散らかり度履歴データベース132に記録される(ステップS809)。
【0041】
そして、判定部121は、算出された散らかり度が、判定基準データベース130に格納された基準値以上かどうかを判定する(ステップS810)。散らかり度が基準値以上の場合、報知部114は、清掃を促す報知をする(ステップS811)。管理者端末装置150を介して報知を受けた管理者は、ごみ置き場200へ清掃に出向く。一方、散らかり度が基準値未満の場合、ステップS804に戻って、所定時間後にカメラ211が再びごみ置き場200を撮影する。
【0042】
このように、従来はごみ置き場200の管理者が定期的に清掃に出向いていたところ、本実施形態によれば、管理者は適切な時期に清掃に出向くことができるため、清掃業務の効率化が可能となる。また、ごみ置き場200が散らかった状態で、管理者の定期巡回の時期まで放置される事態を防ぐことができる。
【0043】
<ごみ置き場200の臭いに基づいて清掃を促す報知をする場合の動作例>
図9は、本実施形態に係るごみ置き場監視システムにおいて、臭いに基づいて清掃を促す報知をする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
図8に示すように、まず、管理者がごみ置き場200を清掃する(ステップS901)。その後、所定時間が経過すると(ステップS902)、臭いセンサ212がごみ置き場200の臭いを測定する(ステップS903)。臭いセンサ212の測定値は、通信部212a等を介して監視サーバ100へ送信され、臭い/ごみ量履歴データベース133に記録される(ステップS904)。
【0045】
そして、判定部121は、臭いセンサ212の測定値が、判定基準データベース130に格納された基準値以上かどうかを判定する(ステップS905)。臭いの測定値が基準値以上の場合、報知部114は、清掃を促す報知をする(ステップS906)。管理者端末装置150を介して報知を受けた管理者は、ごみ置き場200へ清掃に出向く。一方、臭いの測定値が基準値未満の場合、ステップS902に戻って、所定時間後に臭いセンサ212が再びごみ置き場200の臭いを測定する。
【0046】
なお、臭いセンサ212の測定値が、所定値以上の場合は、監視サーバ100がごみ置き場200の換気/脱臭装置220へ指令を出し、換気/脱臭機221を動作させることで、ごみ置き場200の臭いを抑制するようにしても良い。
【0047】
<変形例>
上述した実施形態では、判定部121や判定基準データベース130が、監視サーバ100側に設けられているが、センサ装置210側に設けられても良い。また、散らかり度算出部120が、カメラ211で撮影された画像情報に基づいて、清掃に要する時間を算出し、その時間を報知部114が報知するようにしても良い。さらに、カメラ211、臭いセンサ212、ごみ量センサ213など複数のセンサの情報を用いて、きれいな状態のごみ置き場200のモデルを予め学習しておき、このモデルとの比較を様々な分析手法で行うことにより、乖離度合いを算出し、この乖離度で報知の要否を判定しても良い。
【符号の説明】
【0048】
3 ネットワーク、100…監視サーバ、110…プロセッサ、111…サーバ通信部、112…メモリ、113…ストレージ、114…報知部、120…散らかり度算出部、121…判定部、130…判定基準データベース、131…画像情報データベース、132…散らかり度履歴データベース、133…臭い/ごみ量履歴データベース、150…管理者端末装置、200…ごみ置き場、210…センサ装置、211…カメラ、211a…通信部、212…臭いセンサ、212a…通信部、213…ごみ量センサ、213a…通信部、220…換気/脱臭装置、221…換気/脱臭機、221a…通信部、230…ルータ
図1
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図9