(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】マイクロスリットマルチビーム要素を有するマルチビューバックライト、マルチビューディスプレイ、及び方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231221BHJP
G02F 1/13357 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 431
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2022523561
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 US2020056533
(87)【国際公開番号】W WO2021081004
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ホークマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブコウスキー,コルトン
(72)【発明者】
【氏名】マー,ミン
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/186955(WO,A1)
【文献】特開2004-046071(JP,A)
【文献】特開2007-214082(JP,A)
【文献】特表平10-511803(JP,A)
【文献】特開2002-208308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビューバックライトであって、
非ゼロ伝播角及び所定のコリメーション係数を有する導波光として伝播方向に光を導くように構成された光ガイドと、
前記光ガイドにわたって互いに離隔したマイクロスリットマルチビーム要素のアレイであって、前記マイクロスリットマルチビーム要素アレイの各マイクロスリットマルチビーム要素が複数のマイクロスリットサブ要素を備え、マルチビューディスプレイの各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイとを備え、
前記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、前記導波光の前記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
マルチビューバックライト。
【請求項2】
各マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、前記マルチビューディスプレイの光バルブのアレイにおける光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項3】
前記マイクロスリットマルチビーム要素が前記光ガイドの放射面上に配置され、前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、前記放射面から離れて前記光ガイドの内部に延在する、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項4】
前記マイクロスリットマルチビーム要素が、前記光ガイドの表面上に位置する光ガイド材料層内に配置され、前記光ガイド材料層の表面が放射面であり、前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が前記放射面から離れて前記光ガイド表面に向かって延在する、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項5】
前記光ガイドの前記表面上に位置する前記光ガイド材料層の屈折率が前記光ガイドの材料の屈折率よりも大きい、請求項4に記載のマルチビューバックライト。
【請求項6】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の前記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って前記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項7】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の前記傾斜反射側壁が、前記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された反射材料を備える、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項8】
前記傾斜反射側壁の前記傾斜角が、前記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であり、前記傾斜角が、前記光ガイドの前記放射面の方向に、かつ前記光ガイドの前記放射面とは反対側の表面から離れるように光を優先的に散乱させるように構成された、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項9】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、前記導波光伝播方向に直交し、かつ前記光ガイドの表面の平面に平行な方向に湾曲形状を有し、前記湾曲形状が前記導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成された、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項10】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちの前記マイクロスリットサブ要素の深
さが、前記複数のマイクロスリットサブ要素内の隣接するマイクロスリットサブ要素間の間隔にほぼ等し
いか、前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の第1の側壁が、前記マイクロスリットサブ要素の第2の側壁の傾斜角とは異なる傾斜角を有し、前記第1の側壁が前記傾斜反射側壁である
か、のいずれかまたは両方である、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
【請求項11】
請求項1に記載のマルチビューバックライトを備えるマルチビューディスプレイであって、前記マルチビューディスプレイが、前記マルチビューディスプレイの前記視線方向に対応する指向性ビューを有するマルチビュー画像を供給するために、前記指向性光ビームを変調するように構成された光バルブのアレイをさらに備える、マルチビューディスプレイ。
【請求項12】
マルチビューディスプレイであって、
導波光として伝播方向に光を導くように構成された光ガイドと、
前記光ガイドにわたって互いに離隔したマイクロスリットマルチビーム要素のアレイであって、前記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が、複数のマイクロスリットサブ要素を備え、マルチビュー画像の各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を反射的に散乱させるように構成された、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイと、
前記マルチビュー画像を供給するために前記指向性光ビームを変調するように構成された光バルブのアレイと
を備え、前記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、前記導波光の前記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
マルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、前記光バルブアレイの光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記導波光が所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ、前記放射光の放射パターンが、前記導波光の前記所定のコリメーション係数の関数である、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が前記光ガイドの放射面上に配置され、前記マイクロスリットサブ要素が前記光ガイドの内部に延在する、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の前記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って前記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
傾斜反射側壁の前記傾斜
角が、前記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であ
るか、前記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、前記導波光伝播方向に直交し、かつ前記光ガイドの表面に平行な方向に湾曲形状を有し、前記湾曲形状が前記導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成され
ているか、のいずれかまたは両方である、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項18】
前記光バルブアレイの光バルブが前記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルを表すセットに配置され、前記光バルブが前記マルチビューピクセルのサブピクセルを表し、前記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が、前記マルチビューディスプレイの前記マルチビューピクセルと一対一に対応する、請求項12に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項19】
マルチビューバックライト動作の方法であって、
非ゼロ伝播角及び所定のコリメーション係数を有する導波光として、光ガイドの長さに沿った伝播方向に光を導くステップと、
マルチビューディスプレイのそれぞれの異なる視線方向に対応する異なる方向を有する指向性光ビームを含む放射光を供給するために、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイを使用して前記導波光の一部を前記光ガイドから反射させるステップであって、前記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が複数のマイクロスリットサブ要素を備える、ステップと
を含み、前記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、前記導波光の前記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
方法。
【請求項20】
前記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って光を反射的に散乱させて、前記導波光の前記一部を前記光ガイドから反射させて、前記放射光を供給する、請求項19に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
【請求項21】
前記傾斜反射側壁の前記傾斜角が、前記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であり、前記傾斜角が、前記光ガイドの前記放射面の方向に、かつ前記光ガイドの前記放射面とは反対側の表面から離れるように光を優先的に散乱させるために、前記導波光の前記非ゼロ伝播角と併せて選択される、請求項19に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
【請求項22】
光バルブのアレイを使用して前記指向性光ビームを変調してマルチビュー画像を供給するステップ
をさらに含み、
前記マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、前記光バルブアレイの光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、
請求項19に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/924,650号の優先権を主張し、その全体は参照によって本明細書中に引用するものとする。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
適用なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、ユーザに多種多様なデバイス及び製品の情報を伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。最も一般的に採用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンスディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械的又は電気流体的な光変調(例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス、エレクトロウェッティング・ディスプレイなど)を採用する様々なディスプレイが含まれる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、他の光源から供給される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。アクティブディスプレイの例には、CRT、PDP及びOLED/AMOLEDがある。パッシブディスプレイの例には、LCD及びEPディスプレイがある。パッシブディスプレイは、本来的に低消費電力を含むがこれに限定されない魅力的な性能特性を示すことが多いが、発光能力がないことを考慮すると、多くの実用的な応用において用途が幾分限られることもある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、以下の[1]から[22]を含む。
[1]マルチビューバックライトであって、
非ゼロ伝播角及び所定のコリメーション係数を有する導波光として伝播方向に光を導くように構成された光ガイドと、
上記光ガイドにわたって互いに離隔したマイクロスリットマルチビーム要素のアレイであって、上記マイクロスリットマルチビーム要素アレイの各マイクロスリットマルチビーム要素が複数のマイクロスリットサブ要素を備え、マルチビューディスプレイの各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として上記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイとを備え、
上記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、上記導波光の上記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
マルチビューバックライト。
[2]各マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、上記マルチビューディスプレイの光バルブのアレイにおける光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[3]上記マイクロスリットマルチビーム要素が上記光ガイドの放射面上に配置され、上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、上記放射面から離れて上記光ガイドの内部に延在する、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[4]上記マイクロスリットマルチビーム要素が、上記光ガイドの表面上に位置する光ガイド材料層内に配置され、上記光ガイド材料層の表面が放射面であり、上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が上記放射面から離れて上記光ガイド表面に向かって延在する、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[5]上記光ガイドの上記表面上に位置する上記光ガイド材料層の屈折率が上記光ガイドの材料の屈折率よりも大きい、上記[4]に記載のマルチビューバックライト。
[6]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の上記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って上記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[7]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の上記傾斜反射側壁が、上記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された反射材料を備える、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[8]上記傾斜反射側壁の上記傾斜角が、上記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であり、上記傾斜角が、上記光ガイドの上記放射面の方向に、かつ上記光ガイドの上記放射面とは反対側の表面から離れるように光を優先的に散乱させるように構成された、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[9]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、上記導波光伝播方向に直交し、かつ上記光ガイドの表面の平面に平行な方向に湾曲形状を有し、上記湾曲形状が上記導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成された、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[10]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちの上記マイクロスリットサブ要素の深さが、上記複数のマイクロスリットサブ要素内の隣接するマイクロスリットサブ要素間の間隔にほぼ等しいか、上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の第1の側壁が、上記マイクロスリットサブ要素の第2の側壁の傾斜角とは異なる傾斜角を有し、上記第1の側壁が上記傾斜反射側壁であるか、のいずれかまたは両方である、上記[1]に記載のマルチビューバックライト。
[11]上記[1]に記載のマルチビューバックライトを備えるマルチビューディスプレイであって、上記マルチビューディスプレイが、上記マルチビューディスプレイの上記視線方向に対応する指向性ビューを有するマルチビュー画像を供給するために、上記指向性光ビームを変調するように構成された光バルブのアレイをさらに備える、マルチビューディスプレイ。
[12]マルチビューディスプレイであって、
導波光として伝播方向に光を導くように構成された光ガイドと、
上記光ガイドにわたって互いに離隔したマイクロスリットマルチビーム要素のアレイであって、上記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が、複数のマイクロスリットサブ要素を備え、マルチビュー画像の各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として上記導波光を反射的に散乱させるように構成された、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイと、
上記マルチビュー画像を供給するために上記指向性光ビームを変調するように構成された光バルブのアレイと
を備え、上記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、上記導波光の上記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
マルチビューディスプレイ。
[13]上記マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、上記光バルブアレイの光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[14]上記導波光が所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ、上記放射光の放射パターンが、上記導波光の上記所定のコリメーション係数の関数である、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[15]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が上記光ガイドの放射面上に配置され、上記マイクロスリットサブ要素が上記光ガイドの内部に延在する、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[16]上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素の上記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って上記導波光の一部を反射的に散乱させるように構成された、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[17]傾斜反射側壁の上記傾斜角が、上記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であるか、上記複数のマイクロスリットサブ要素のうちのあるマイクロスリットサブ要素が、上記導波光伝播方向に直交し、かつ上記光ガイドの表面に平行な方向に湾曲形状を有し、上記湾曲形状が上記導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成されているか、のいずれかまたは両方である、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[18]上記光バルブアレイの光バルブが上記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルを表すセットに配置され、上記光バルブが上記マルチビューピクセルのサブピクセルを表し、上記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が、上記マルチビューディスプレイの上記マルチビューピクセルと一対一に対応する、上記[12]に記載のマルチビューディスプレイ。
[19]マルチビューバックライト動作の方法であって、
非ゼロ伝播角及び所定のコリメーション係数を有する導波光として、光ガイドの長さに沿った伝播方向に光を導くステップと、
マルチビューディスプレイのそれぞれの異なる視線方向に対応する異なる方向を有する指向性光ビームを含む放射光を供給するために、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイを使用して上記導波光の一部を上記光ガイドから反射させるステップであって、上記マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素が複数のマイクロスリットサブ要素を備える、ステップと
を含み、上記複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素が、上記導波光の上記伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える、
方法。
[20]上記傾斜反射側壁が、内部全反射に従って光を反射的に散乱させて、上記導波光の上記一部を上記光ガイドから反射させて、上記放射光を供給する、上記[19]に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
[21]上記傾斜反射側壁の上記傾斜角が、上記光ガイドの放射面の表面法線に対して0度~約45度であり、上記傾斜角が、上記光ガイドの上記放射面の方向に、かつ上記光ガイドの上記放射面とは反対側の表面から離れるように光を優先的に散乱させるために、上記導波光の上記非ゼロ伝播角と併せて選択される、上記[19]に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
[22]光バルブのアレイを使用して上記指向性光ビームを変調してマルチビュー画像を供給するステップ
をさらに含み、
上記マイクロスリットマルチビーム要素のサイズが、上記光バルブアレイの光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、
上記[19]に記載のマルチビューバックライト動作の方法。
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができ、これらの図面と詳細な説明において、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
【
図2】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの視線方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分の図式表示を示す。
【0007】
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの断面図を示す。
【0008】
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの平面図を示す。
【0009】
【
図3C】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの斜視図を示す。
【0010】
【
図4A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの平面図を示す。
【0011】
【
図4B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの平面図を示す。
【0012】
【
図5A】本明細書に記載の原理の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0013】
【
図5B】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【
図5C】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0014】
【
図6】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマイクロスリットサブ要素を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0015】
【
図7】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における湾曲したマイクロスリットサブ要素の斜視図を示す。
【0016】
【
図8】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0017】
【
図9】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト動作の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特定の例及び実施形態は、上記参照図面に示された特徴に、加えて、及びその代わりの一方で、他の特徴を有する。これら及び他の特徴は、上記参照図面を参照して以下に詳述される。
【0019】
本明細書に記載の原理による実施例及び実施形態は、マルチビューディスプレイに適用されるマルチビューバックライトを提供する。特に、本明細書に記載の原理と一致する実施形態は、放射光を供給するように構成されたマイクロスリットマルチビーム要素のアレイを使用するマルチビューバックライトを提供する。放射光は、マルチビューディスプレイの各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む。様々な実施形態によれば、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素は、光ガイドからの光を放射光として反射的に散乱させるように構成された複数のマイクロスリットサブ要素を備える。マイクロスリットマルチビーム要素内の複数のマイクロスリットサブ要素の存在により、放射光の反射散乱特性の粒度制御が容易になる。例えば、マイクロスリットサブ要素は、様々なマイクロスリットマルチビーム要素に関連する散乱方向、大きさ、及びモアレ緩和の粒度制御を行ってもよい。本明細書に記載のマルチビューバックライトを使用するマルチビューディスプレイの用途には、携帯電話(スマートフォンなど)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(ラップトップコンピュータなど)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車のディスプレイコンソール、カメラディスプレイ、並びに他の様々なモバイル、さらには実質的に非モバイルのディスプレイアプリケーション及びデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書では、「二次元ディスプレイ」又は「2Dディスプレイ」は、画像が視認される方向(すなわち、2Dディスプレイの所定の視野角又は視野範囲内)にかかわらず実質的に同じである画像のビューを供給するように構成されたディスプレイと定義している。多くのスマートフォン及びコンピュータモニタに見られる従来の液晶ディスプレイ(LCD)は、2Dディスプレイの例である。本明細書ではそれとは対照的に、「マルチビューディスプレイ」は、異なる視線方向における、又は異なる視線方向からのマルチビュー画像の異なるビューを供給するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムと定義している。特に、いくつかの実施形態によれば、異なるビューはマルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる斜視図を表してもよい。
【0021】
図1は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。
図1に示すように、マルチビューディスプレイ10は、視認されるマルチビュー画像を表示するための画面12を備える。画面12は、例えば、電話(携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、又は実質的に任意の他の電子ディスプレイの表示画面であってもよい。マルチビューディスプレイ10は、画面12に対して異なる視線方向16にマルチビュー画像の異なるビュー14を供給する。視線方向16は、画面12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示されている。異なるビュー14は、矢印(すなわち視線方向16を示す)の終端にある影付きの多角形ボックスとして示されている。限定ではなく例示として、4つのビュー14及び4つの視線方向16のみが示されている。なお、
図1では異なるビュー14が画面の上方にあるように示されているが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されるとき、ビュー14は実際には画面12上又はその近傍に現れる。画面12の上方にビュー14を示しているのは、単に説明を簡単にするためであり、特定のビュー14に対応する視線方向16のそれぞれの方向からマルチビューディスプレイ10を見ることを表す意図がある。2Dディスプレイは、マルチビューディスプレイ10によって供給されるマルチビュー画像の異なるビュー14に対して2Dディスプレイが一般に表示画像の単一のビュー(例えば、
図14と同様の1つの視野)を供給するように構成されることを除いて、マルチビューディスプレイ10と実質的に同様であり得る。
【0022】
視線方向、又は等価的にマルチビューディスプレイの視線方向に対応する方向を有する光ビームは、一般に、本明細書の定義上角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向又は単に「方向」を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼んでいる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼んでいる。定義上、仰角θは垂直面(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に垂直)における角度であり、方位角φは水平面(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に平行)における角度である。
【0023】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの視線方向(
図1の視線方向16など)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ、φ}の図式表示を示す。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義上特定の点から放射されるか発する。すなわち、定義上、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。
図2は、光ビーム(又は視線方向)の原点Oも示している。
【0024】
本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表すか、又は複数のビューのビュー間の角度視差を含む複数のビューとして定義している。さらに、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、明示的に3つ以上の異なるビュー(すなわち最小で3つのビュー、一般的には3つを超えるビュー)を含み得る。したがって、本明細書で使用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明確に区別され得る。しかしながら、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイが3つ以上のビューを含む一方で、本明細書の定義上、マルチビュー画像は、マルチビューのうちの2つのみを一度に選択する(例えば、1つの眼につき1つの視野)ことによって、(例えば、マルチビューディスプレイ上で)画像の立体ペアとして見られることもある点に留意されたい。
【0025】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの類似の複数の異なるビューのそれぞれにおける「ビュー」ピクセルを表すピクセルのセットと定義している。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおけるビューピクセルに対応するか又はビューピクセルを表す個々のピクセル又はピクセルのセットを有してもよい。したがって、本明細書の定義上、「ビューピクセル」は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル内のビューに対応するピクセル又はピクセルのセットである。いくつかの実施形態では、ビューピクセルは、1つ又は複数のカラーサブピクセルを含んでもよい。さらに、マルチビューピクセルのビューピクセルは、本明細書の定義上、ビューピクセルのそれぞれが異なるビューのうちの対応するビューの所定の視線方向に関連付けられているという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルの異なるビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて同等又は少なくとも実質的に類似の位置又は座標を有してもよい。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれの{x1、y1}に位置する個々のビューピクセルを有してもよく、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューのそれぞれの{x2、y2}に位置するビューピクセルを有してもよく、以下同様である。
【0026】
本明細書では、「光ガイド」は、内部全反射を用いて構造内で光を導く構造物と定義している。特に光ガイドは、光ガイドの動作波長で実質的に透明となるコアを含んでもよい。「光ガイド」という用語は、一般に、光ガイドの誘電体材料と光ガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を導くために内部全反射を用いた誘電体光導波路を指す。定義上、内部全反射の条件は、光ガイドの屈折率が光ガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、光ガイドは内部全反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて又はその代わりにコーティングを含んでもよい。コーティングは、例えば反射コーティングであってもよい。光ガイドは、プレート若しくはスラブガイド及びストリップガイドの一方又は両方を含むがこれらに限定されないいくつかの光ガイドのいずれかであってもよい。
【0027】
さらに本明細書では、「プレート光ガイド」のように光ガイドに適用される場合の「プレート」という用語は、区分的又は微分的に平面の層又はシートと定義し、「スラブ」ガイドと呼ぶことがある。特に、プレート光ガイドは、光ガイドの上面及び下面(すなわち、反対側の表面)によって境界が定められた2つの実質的に直交する方向に光を導くように構成された光ガイドとして定義される。さらに、本明細書の定義上、上面及び下面は両方とも互いに分離されており、少なくとも微分的な意味で互いに実質的に平行であってもよい。すなわち、プレート光ガイドの任意の微分的に小さな区間内で上面及び下面は実質的に平行又は同一平面上にある。いくつかの実施形態では、プレート光ガイドは実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であり得るため、プレート光ガイドは平面光ガイドである。他の実施形態では、プレート光ガイドは、1つ又は2つの直交する次元で湾曲してもよい。例えば、プレート光ガイドは、一次元で湾曲して円筒形のプレート光ガイドを形成してもよい。ただし、曲率は、光を導くために内部全反射がプレート光ガイド内で維持されることを保証するのに十分な大きさの曲率半径を有する。
【0028】
本明細書の定義上、「マルチビーム要素」は、複数の指向性光ビームを含む放射光を生成するバックライト又はディスプレイの構造又は要素である。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、バックライトの光ガイドに光学的に結合されて、光ガイド内で導かれた光の一部を結合又は散乱させることによって複数の光ビームを供給してもよい。他の実施形態では、マルチビーム要素は、指向性光ビームとして放射される光を生成してもよい(例えば、光源を備えてもよい)。さらに、マルチビーム要素によって生成された複数の指向性光ビームの指向性光ビームは、本明細書の定義上、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義上、複数の光ビームのうちの1つの指向性光ビームは、複数の指向性光ビームのうちの別の指向性光ビームとは異なる所定の主角度方向を有する。さらに、複数の指向性光ビームは光照射野を表してもよい。例えば、複数の指向性光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に限定され、又は複数の光ビームにおける指向性光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有してもよい。したがって、組み合わせた指向性光ビームの所定の角度広がり(すなわち、複数の光ビーム)は、光照射野を表してもよい。
【0029】
様々な実施形態によれば、複数の様々な指向性光ビームの異なる主角度方向は、サイズ(例えば、長さ、幅、面積など)及び向き又は回転を含むがこれらに限定されないマルチビーム要素の特性によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、本明細書の定義上、「拡張された点光源」、すなわちマルチビーム要素の範囲にわたって分布する複数の点光源と見なすことができる。さらに、マルチビーム要素によって生成された指向性光ビームは、本明細書の定義上、
図2に関して上述したように角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0030】
本明細書では、「角度維持散乱特徴部」、又はそれと等価の「角度維持散乱体」は、特徴部又は散乱体に入射する光の角度広がりを散乱光において実質的に維持するように光を散乱するよう構成された任意の特徴部又は散乱体として定義している。特に、定義上、角度維持散乱特徴部によって散乱される光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσの関数である(すなわち、σs=f(σ))。いくつかの実施形態では、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σの一次関数である(例えば、σs=a・σであり、aは整数)。すなわち、角度維持散乱特徴部によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σに実質的に比例してもよい。例えば、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσ(例えば、σs≒σ)と実質的に等しくてもよい。均一回折格子(すなわち、実質的に均一又は一定の回折特徴部間隔又は格子ピッチを有する回折格子)は、角度維持散乱機構の一例である。対照的に、ランバート散乱体又は反射体、並びに一般的な拡散体(例えば、ランバート散乱を有するか、又は近似するもの)は、本明細書の定義上、角度維持散乱体ではない。
【0031】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置と定義している。様々な実施形態によれば、コリメータによって供給されるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度又は量で変動してもよい。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、垂直方向及び水平方向)の一方又は両方においてコリメーションをもたらすように構成されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態によれば、コリメータは、光コリメーションをもたらす2つの直交方向の一方又は両方の形状を含んでもよい。
【0032】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度と定義している。特に、コリメーション係数は、本明細書の定義上、コリメートされた光ビーム内の光線の角度広がりを決定する。例えば、コリメーション係数σは、コリメートされた光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心角度方向又は主角度方向から+/-σ度)内にあるように指定してもよい。いくつかの例によれば、コリメートされた光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、その角度広がりは、コリメートされた光ビームのピーク強度の半分で決定される角度であってもよい。
【0033】
本明細書では、「光源」は、光の供給源(光を生成して放射するように構成された光エミッタなど)と定義している。例えば、光源は、起動又はオンにされると光を放射する発光ダイオード(LED)などの光エミッタを備えてもよい。特に本明細書では、光源は実質的に任意の光の供給源であるか、発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び実質的に他の任意の光の供給源のうちの1又はそれ以上を含むがこれらに限定されない実質的に任意の光エミッタを備えてもよい。光源によって生成された光は、色を有してもよく(すなわち、特定の波長の光を含んでもよく)、又は波長の範囲(白色光など)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光エミッタを備えてもよい。例えば、光源は、光エミッタのセット又はグループのうち少なくとも1つの光エミッタがそのセット又はグループの少なくとも1つの他の光エミッタによって生成される光の色、又は等価的に波長とは異なる波長を有する光を生成する、セット又はグループを含んでもよい。異なる色は、例えば原色(赤色、緑色、青色など)を含んでもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味を有すること、すなわち「1つ以上」であることを意図している。例えば、「マイクロスリットマルチビーム要素(a micro-slit multibeam element)」は1つ又は複数のマイクロスリットマルチビーム要素を意味し、したがって、本明細書では「マイクロスリットマルチビーム要素(the micro-slit multibeam element)」は「(1つ以上の)マイクロスリットマルチビーム要素(micro-slit multibeam elements(s))」を意味する。また、本明細書における「上(top)」、「底(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「上(up)」、「下(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「第1(first)」、「第2(second)」、「左(left)」、又は「右(right)」への言及は、いずれも本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約(about)」という用語は、値に適用される場合、一般に、値を生成するために使用される機器の許容範囲内を意味するか、特に明記しない限り、プラス若しくはマイナス10%、プラス若しくはマイナス5%、又はプラス若しくはマイナス1%を意味し得る。さらに、本明細書で使用される「実質的に(substantially)」という用語は、大部分、ほぼ全て、全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを意図し、限定ではなく説明の目的で提示されたものである。
【0035】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューバックライトが提供される。
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の断面図を示す。
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の平面図を示す。
図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の斜視図を示す。
図3Cの斜視図は、本明細書での説明のみを容易にするために部分的に切り取られて示されている。
【0036】
図3A~
図3Cに示すマルチビューバックライト100は、(例えば、光照射野となる、又は光照射野を表す)互いに異なる主角度方向を有する指向性光ビームを含む放射光102を供給するように構成される。特に、放射光102の指向性光ビームは、マルチビューバックライト100から反射的に散乱され、マルチビューディスプレイの各視線方向、又は等価的に、マルチビューディスプレイによって表示されるマルチビュー画像の異なる視線方向に対応する異なる方向に、マルチビューバックライト100から離れるように向けられる。いくつかの実施形態では、放射光102の指向性光ビームは、マルチビューコンテンツ、例えばマルチビュー画像を有する情報の表示を容易にするために(例えば、後述するように光バルブを使用して)変調されてもよい。マルチビュー画像は、例えば、三次元(3D)コンテンツを表すか、又は含んでもよい。
図3A~
図3Cはまた、光バルブ108のアレイを備えるマルチビューピクセル106を示す。放射光102の指向性光ビームが光バルブ108から出たり光バルブ108に向かったりして反射的に散乱されるマルチビューバックライト100の表面は、マルチビューバックライト100の「放射面」と呼ぶことがある。
【0037】
図3A~
図3Cに示すように、マルチビューバックライト100は光ガイド110を備える。光ガイド110は、導波光104として伝播方向103に光を導くように構成される。さらに、様々な実施形態において、導波光104は、所定のコリメーション係数σを有するか、又はそれに従って導かれてもよい。例えば、光ガイド110は、光導波路として構成された誘電材料を含んでもよい。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有してもよい。屈折率の差は、光ガイド110の1つ又は複数の導波モードに従って、導波光104の内部全反射を促進するように構成されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、光ガイド110は、光学的に透明な誘電体材料による、延長された実質的に平面のシートを含むスラブ又はプレートの光導波路(すなわち、プレート光ガイド)であってもよい。誘電材料による実質的に平面のシートは、内部全反射を用いて導波光104を導くように構成される。様々な実施例によれば、光ガイド110の光学的に透明な材料は、様々な種類のガラス(シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうち1又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、様々な誘電材料のいずれかを含むか、又はそれらから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光ガイド110は、光ガイド110の表面(例えば、上面及び底面の一方又は両方)の少なくとも一部にクラッド層(図示せず)をさらに含んでもよい。いくつかの実施例によれば、クラッド層は、内部全反射をさらに促進するために使用されてもよい。特に、クラッドは、光ガイド材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料を備えてもよい。
【0039】
さらに、いくつかの実施形態によれば、光ガイド110は、光ガイド110の第1の表面110’(例えば、「前部」又は「頂部」の表面又は側面)と第2の表面110’’(例えば、「後部」又は「底部」の表面又は側面)との間の非ゼロ伝播角での内部全反射に従って導波光104を導くように構成される。特に、導波光104は、光ガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で非ゼロ伝播角で反射又は「跳ね返る」ことによって、導波光ビームとして伝播する。いくつかの実施形態では、導波光104は、異なる色の光を表す複数の導波光ビームを含んでもよい。異なる色の光は、色固有の非ゼロな異なる伝播角のそれぞれにおいて光ガイド110によって導かれてもよい。なお、説明を簡単にするために、非ゼロ伝播角は
図3A~
図3Cには示されていない。しかしながら、伝播方向103を表す太い矢印は、
図3Aの光ガイド長に沿った導波光104の一般的な伝播方向を示す。
【0040】
本明細書の定義上、「非ゼロ伝播角」は、光ガイド110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角は、ゼロよりも大きく、光ガイド110内の内部全反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角は、約10度(10°)~約50度(50°)、又は約20度(20°)~約40度(40°)、又は約25度(25°)~約35度(35°)であってもよい。例えば、非ゼロ伝播角は約30度(30°)度であってもよい。他の例では、非ゼロ伝播角は、約20°、又は約25°、又は約35°であってもよい。さらに、個別の非ゼロ伝播角が光ガイド110内の内部全反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、個別の非ゼロ伝播角が特定の実施態様に対して(例えば、任意に)選択されてもよい。
【0041】
光ガイド110内の導波光104は、非ゼロ伝播角(例えば、約30~35度)で光ガイド110に導入又は誘導されてもよい。いくつかの実施形態では、限定はしないが、構造、例えばレンズ、ミラー又は同様の反射器(例えば、傾斜コリメートリフレクタ)、回折格子、及びプリズム(図示せず)、並びにこれらの様々な組み合わせなど、を使用して、光を導波光104として光ガイド110に導入してもよい。他の例では、光は、構造(すなわち、直接又は「突合せ」結合を使用したもの)を使用せずに、又は実質的に使用せずに、光ガイド110の入光端に直接導入してもよい。光ガイド110内に導かれると、導波光104は、入光端から概して離れた伝播方向103に光ガイド110内を伝播するように構成される。
【0042】
さらに、所定のコリメーション係数σを有する導波光104は、「コリメートされた光ビーム」又は「コリメートされた導波光」と呼ぶことがある。本明細書では、「コリメートされた光」又は「コリメートされた光ビーム」は、一般に、コリメーション係数σによって許容される場合を除いて、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光ビーム)内で互いに実質的に平行である光のビームとして定義している。さらに、コリメートされた光ビームから発散又は散乱される光線は、本明細書の定義上、コリメートされた光ビームの一部とは見なされない。
【0043】
図3A~
図3Cに示すように、マルチビューバックライト100は、光ガイド110にわたって互いに離隔したマイクロスリットマルチビーム要素120のアレイをさらに備える。特に、アレイのマイクロスリットマルチビーム要素120は、有限の空間によって互いに分離され、光ガイド110にわたって個々に明確に分けられた要素を表す。すなわち、本明細書の定義上、アレイのマイクロスリットマルチビーム要素120は、有限(すなわち、非ゼロ)の要素間距離(例えば、有限の中心間距離)に従って互いに離隔している。さらに、いくつかの実施形態によれば、アレイのマイクロスリットマルチビーム要素120は、一般に、互いに交差したり、重なり合ったり、他の方法で接触したりしない。したがって、アレイの各マイクロスリットマルチビーム要素120は、一般に別個であり、他のマイクロスリットマルチビーム要素120から分離されている。いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素120は、マイクロスリットマルチビーム要素120の個々のサイズよりも大きい距離だけ離隔していてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、アレイのマイクロスリットマルチビーム要素120は、一次元(1D)アレイ又は二次元(2D)アレイのいずれかに配置されてもよい。例えば、マイクロスリットマルチビーム要素120は、線形1Dアレイ(例えば、マイクロスリットマルチビーム要素120の互い違いのラインを含む複数のライン)として配置されてもよい。別の例では、マイクロスリットマルチビーム要素120は、長方形の2Dアレイ又は円形の2Dアレイとして配置されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、アレイ(すなわち、1D又は2Dアレイ)は、規則的又は均一なアレイであってもよい。特に、マイクロスリットマルチビーム要素120間の要素間距離(例えば、中心間距離又は間隔)は、アレイにわたって実質的に均一又は一定であってもよい。他の例では、マイクロスリットマルチビーム要素120間の要素間距離は、アレイにわたる範囲、光ガイド110の長さに沿った範囲、又は光ガイド110にわたる範囲のうちの一方又は両方において変化してもよい。
【0045】
図4Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の平面図を示す。特に、
図4Aは、光ガイド110にわたって2Dアレイに配置されたマイクロスリットマルチビーム要素120を有するマルチビューバックライト100を示している。導波光伝播方向103も
図4Aに示されている。図示のように、マイクロスリットマルチビーム要素120の2Dアレイは、長方形アレイを表す。2Dアレイに配置されたマイクロスリットマルチビーム要素120は、ビューの2D配置、例えば、長方形ビュー配置(例えば、2×4ビュー、2×8ビュー、4×8ビューなど)又は正方形ビュー配置(例えば、2×2のビュー又は4×4のビューなど)などを有する全視差マルチビューディスプレイと併用してもよい。
【0046】
図4Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の平面図を示す。
図4Bに示すように、マルチビューバックライト100は、光ガイド110にわたって1Dアレイに配置されたマイクロスリットマルチビーム要素120を備える。特に、マイクロスリットマルチビーム要素120は、図示のように、傾斜した線形又は傾斜した線散乱要素として1Dアレイに配置される。(例えば、傾斜した線散乱要素として)1Dアレイに配置されたマイクロスリットマルチビーム要素120は、ビューの1D配置(例えば、1×4のビュー、1×8のビューなど)を有する水平視差のみ(HPO)マルチビューディスプレイと併用してもよい。
図4Bは、1Dアレイを横切るように向けられた導波光伝播方向103も示す。いくつかの実施形態によれば、導波光伝播方向103はビューの1D配置に対応してもよい。
【0047】
様々な実施形態によれば、マイクロスリットマルチビーム要素アレイの各マイクロスリットマルチビーム要素120は、複数のマイクロスリットサブ要素122を備える。さらに、マイクロスリットマルチビーム要素アレイの各マイクロスリットマルチビーム要素120は、指向性光ビームを含む放射光102として導波光104の一部を反射的に散乱させるように構成される。特に、様々な実施形態によれば、導波光の一部は、反射又は反射散乱を用いて、マイクロスリットマルチビーム要素120のマイクロスリットサブ要素によって集合的に反射的に散乱される。様々な実施形態によれば、本明細書の定義上、複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素122は、導波光の伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える。様々な実施形態によれば、反射散乱は、マイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁で発生するように構成されるか、又は傾斜反射側壁によってもたらされる。
図3A及び
図3Cは、放射光102の指向性光ビームを、光ガイド110の第1の表面110’(すなわち、放射面)から離れる向きの複数の分岐矢印として示している。
【0048】
様々な実施形態によれば、(例えば、
図3Aの小文字「s」に示すように)そのサイズ内に複数のマイクロスリットサブ要素を含むマイクロスリットマルチビーム要素120のそれぞれのサイズは、(例えば、
図3Aの大文字「S」に示すように)マルチビューディスプレイの光バルブ108のサイズに相当する。本明細書では、「サイズ」は、限定はしないが、長さ、幅、又は面積を含むように様々な方法のいずれかで定義され得る。例えば、光バルブ108のサイズはその長さであってもよく、マイクロスリットマルチビーム要素120の相当するサイズはまた、マイクロスリットマルチビーム要素120の長さであってもよい。別の例では、サイズは、マイクロスリットマルチビーム要素120の面積が光バルブ108の面積に相当するような面積のことであってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、各マイクロスリットマルチビーム要素120のサイズは、マルチビューディスプレイの光バルブアレイ内の光バルブ108のサイズの約25パーセント(25%)~約200パーセント(200%)である。他の例では、マイクロスリットマルチビーム要素のサイズは、光バルブのサイズの約50パーセント(50%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約60パーセント(60%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約70パーセント(70%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約75パーセント(75%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約80パーセント(80%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約85パーセント(85%)より大きいか、又は光バルブのサイズの約90パーセント(90%)より大きい。他の例では、マイクロスリットマルチビーム要素のサイズは、光バルブのサイズの約180パーセント(180%)未満か、又は光バルブのサイズの約160パーセント(160%)未満か、又は光バルブのサイズの約140パーセント(140%)未満か、又は光バルブのサイズの約120パーセント(120%)未満である。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、マイクロスリットマルチビーム要素120及び光バルブ108の相当するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間のダークゾーンを低減するように、又はいくつかの実施形態では最小化するように選択してもよい。さらに、マイクロスリットマルチビーム要素120及び光バルブ108の相当するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー(又はビューピクセル)間のオーバーラップを低減し、いくつかの実施形態では最小化するように選択してもよい。
図3A~
図3Cは、放射光102の指向性光ビームを変調するように構成された光バルブ108のアレイを示す。光バルブアレイは、例えば、マルチビューバックライト100を使用するマルチビューディスプレイの一部であってもよい。説明を容易にする目的で、光バルブ108のアレイがマルチビューバックライト100と共に
図3A~
図3Cに示されている。
【0051】
図3A~
図3Cに示すように、異なる主角度方向を有する放射光102の指向性光ビームのうちの異なるものが光バルブアレイにおける光バルブ108の異なるものを通過し、それらによって変調されてもよい。さらに、図示のように、アレイの光バルブ108は、マルチビューピクセル106のサブピクセルに対応し、光バルブ108のセットは、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル106に対応してもよい。特に、いくつかの実施形態では、光バルブアレイの光バルブ108の異なるセットは、マイクロスリットマルチビーム要素120のうちの対応するものによって供給された、又はそこからの放射光102の指向性光ビームを受光かつ変調するように構成され、すなわち、図示のように、各マイクロスリットマルチビーム要素120につき唯一の光バルブ108のセットがある。様々な実施形態では、光バルブアレイの光バルブ108として、液晶光バルブ、電気泳動光バルブ、及びエレクトロウェッティングに基づく光バルブのうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない異なるタイプの光バルブを採用してもよい。
【0052】
なお、
図3Aに示すように、マルチビューピクセル106のサブピクセルのサイズは、光バルブアレイ内の光バルブ108のサイズに対応してもよい。他の例では、光バルブのサイズは、光バルブアレイの隣接する光バルブ108間の距離(例えば、中心間距離)として定義してもよい。例えば、光バルブ108は、光バルブアレイ内の光バルブ108間の中心間距離よりも小さくてもよい。光バルブのサイズは、例えば、光バルブ108のサイズ、又は光バルブ108間の中心間距離に対応するサイズのいずれかとして定義してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素120と、対応するマルチビューピクセル106(すなわち、サブピクセルのセット及び対応する光バルブ108のセット)との間の関係は、一対一の関係であってもよい。すなわち、マルチビューピクセル106とマイクロスリットマルチビーム要素120とは同数存在してもよい。
図3Bは、一対一の関係を一例として明示的に示しており、光バルブ108の異なるセットを備える各マルチビューピクセル106が破線で囲まれて示されている。他の実施形態(図示せず)では、マルチビューピクセル106の数及びマイクロスリットマルチビーム要素120の数は互いに異なっていてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットマルチビーム要素120のうち一対のマイクロスリットマルチビーム要素の間の要素間距離(例えば、中心間距離)は、例えば光バルブセットによって表される、対応する一対のマルチビューピクセル106の間のピクセル間距離(例えば、中心間距離)に等しくてもよい。例えば、
図3Aに示すように、第1のマイクロスリットマルチビーム要素120aと第2のマイクロスリットマルチビーム要素120bとの間の中心間距離は、第1の光バルブセット108aと第2の光バルブセット108bとの間の中心間距離に実質的に等しい。他の実施形態(図示せず)では、一対のマイクロスリットマルチビーム要素120と、対応する光バルブセットとの相対的な中心間距離は異なっていてもよく、例えば、マイクロスリットマルチビーム要素120は、マルチビューピクセル106を表す光バルブセット間の間隔よりも大きいか小さい要素間間隔を有してもよい。
【0055】
さらに(例えば、
図3Aに示すように)、いくつかの実施形態によれば、各マイクロスリットマルチビーム要素120は、放射光102の指向性光ビームを唯一のマルチビューピクセル106に供給するように構成されてもよい。特に、マイクロスリットマルチビーム要素120の所与の1つについて、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向を有する指向性光ビームは、単一の対応するマルチビューピクセル106及びそのサブピクセル、すなわち、マイクロスリットマルチビーム要素120に対応する光バルブ108の単一のセットに実質的に限定されてもよい。したがって、マルチビューバックライト100の各マイクロスリットマルチビーム要素120は、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向のセットを有する放射光102の対応する指向性光ビームのセット(すなわち、指向性光ビームのセットは、異なる視線方向のそれぞれに対応する方向を有する光ビームを含む)を供給する。
【0056】
図3Aに示すように、第1の光バルブセット108aは、第1のマイクロスリットマルチビーム要素120aからの放射光102の指向性光ビームを受光して変調するように構成される。さらに、第2の光バルブセット108bは、第2のマイクロスリットマルチビーム要素120bからの放射光102の指向性光ビームを受光して変調するように構成される。結果として、光バルブアレイ内の光バルブセットのそれぞれ(例えば、第1及び第2の光バルブセット108a、108b)は、異なるマイクロスリットマルチビーム要素120(例えば、要素120a、120b)及び異なるマルチビューピクセル106の両方にそれぞれ対応し、光バルブセットの個々の光バルブ108は、各マルチビューピクセル106のサブピクセルに対応する。
【0057】
いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素120は、光ガイド110の表面上又は表面に配置されてもよい。例えば、マイクロスリットマルチビーム要素120は、例えば
図3Aに示すように、光ガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’)に対向する第2の表面110’’上に配置されてもよい。この例では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122は、光ガイド110の内部及び放射面に向かって延在する。別の例では、マイクロスリットマルチビーム要素120は、光ガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’)上又は放射面に配置されてもよく、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122は、放射面から離れて光ガイド110の内部に延在してもよい。
【0058】
他の実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素120は光ガイド110内に配置されてもよい。これらの実施形態では、特に、マイクロスリットマルチビーム要素120の複数のマイクロスリットサブ要素は、光ガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’の両方の間に、それらから離隔して配置されてもよい。例えば、マイクロスリットマルチビーム要素120を光ガイド110の表面に設け、次いで光ガイド材料の層で覆ってマイクロスリットマルチビーム要素120を光ガイド110の内部に効果的に埋め込んでもよい。
【0059】
さらに別の実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素120は光ガイド110の表面上に位置する光学材料層内に配置されてもよい。いくつかのこれらの実施形態では、光学材料層の表面は放射面であってもよく、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122は、放射面から離れて光ガイド面に向かって延在してもよい。いくつかの実施形態では、光ガイド110の表面上に位置する光学材料層は、光ガイド110と材料層との間の界面での光の反射を低減又は実質的に最小化するために、光ガイド110の材料に対する屈折率に屈折率整合されてもよい。他の実施形態では、材料は光ガイド材料の屈折率よりも高い屈折率を有してもよい。このような高屈折率材料層は、例えば、放射光102の輝度を改善するために使用してもよい。
【0060】
図5Aは、本明細書に記載の原理の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の一部の断面図を示す。
図5Aに示すように、マルチビューバックライト100は、光ガイド110の第1の表面110’上に配置されたマイクロスリットマルチビーム要素120を有する光ガイド110を備える。
図5Aに示すマイクロスリットマルチビーム要素120は、光ガイド110の内部に延在するマイクロスリットサブ要素122を有する複数のマイクロスリットサブ要素を備える。図示のように、導波光104は、マイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aによって反射され、放射光102として光ガイド110(例えば、第1の表面110’)の放射面を出る。さらに、
図5Aに示すように、マイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aは、導波光104の伝播方向103から離れるように傾斜した傾斜角αを有する。いくつかの実施形態では、マイクロスリットサブ要素122の深さdは、マイクロスリットマルチビーム要素120内の隣接するマイクロスリットサブ要素122間のピッチp(又は間隔)にほぼ等しくてもよい。
【0061】
図5Bは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の一部の断面図を示す。
図5Bに示すように、マルチビューバックライト100は、光ガイド110と、マイクロスリットマルチビーム要素120とを備える。しかしながら、
図5Bでは、マイクロスリットマルチビーム要素120は、第1の表面110’と第2の表面110’’との間の光ガイド110内に配置される。
図5Aと同様、導波光104は、マイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aによって反射され、放射光102として光ガイド110の放射面(第1の表面110’)を出るものとして
図5Bに示されている。
【0062】
図5Cは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100の一部の断面図を示す。図示のように、マルチビューバックライト100はまた、光ガイド110の第1の表面110’上に配置された光学材料層112を有する光ガイド110を備える。
図5Cに示すマイクロスリットマルチビーム要素120は光学材料層112内に配置され、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122は、光学材料層112の表面を含む放射面から離れて、光ガイド110の第1の表面110’に向かって延在する。さらに、マイクロスリットサブ要素122の深さは、例えば図示のように、光学材料層112の厚さ又は高さhに相当してもよい。
図5Cでは、光ガイド110から光学材料層112内を通過し、次いでマイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aによって反射されて放射光102を供給する導波光104が示されている。
【0063】
なお、マイクロスリットマルチビーム要素120のマイクロスリットサブ要素122のそれぞれは、
図5A~
図5Cにはサイズ及び形状が類似しているものとして示されているが、いくつかの実施形態(図示せず)では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122は互いに異なっていてもよい。例えば、マイクロスリットサブ要素122は、マイクロスリットマルチビーム要素120内及びそれにわたって異なるサイズ、異なる断面プロファイル、さらには異なる向き(例えば、導波光伝播方向に対する回転)のうちの1つ又は複数を有してもよい。特に、いくつかの実施形態によれば、複数のマイクロスリットサブ要素のうちの少なくとも2つのマイクロスリットサブ要素122は、放射光102内で互いに異なる反射散乱プロファイルを有してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aは、内部全反射に従って(すなわち、傾斜反射側壁122aの両側の材料の屈折率の差のために)導波光104の一部を反射的に散乱させるように構成される。すなわち、傾斜反射側壁122aで臨界角未満の入射角を有する導波光104は、傾斜反射側壁122aによって反射されて放射光102となる。
【0065】
いくつかの実施形態では、傾斜反射側壁122aの傾斜角αは、光ガイド110の(又は等価的にマルチビューバックライト100の)放射面の表面法線に対して0度(0°)~約45度(45°)である。いくつかの実施形態では、傾斜反射側壁122aの傾斜角αは、10度(10°)~約40度(40°)である。例えば、傾斜反射側壁122aの傾斜角αは、光ガイド110の放射面の表面法線に対して約20度(20°)、又は約30度(30°)、又は約35度(35°)であってもよい。
【0066】
様々な実施形態によれば、傾斜角αは、指向性光ビームを含む放射光102の目標角を得るために、導波光104の非ゼロ伝播角と併せて選択される。さらに、選択された傾斜角αは、光ガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’)の方向及び光ガイド110の放射面とは反対側の表面(例えば、第2の表面110’’)から離れる方向に光を優先的に散乱させるように構成されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、傾斜反射側壁122aは放射面から離れる方向に導波光104をほとんどか又は実質的に全く散乱させなくてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素122の傾斜反射側壁122aは、導波光104の一部を反射的に散乱させるように構成された反射材料を備える。例えば、反射材料は、傾斜反射側壁122aにコーティングされた反射金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、金、銀、クロム、銅など)又は反射金属ポリマー(例えば、ポリマーアルミニウム)の層であってもよい。別の例では、マイクロスリットサブ要素122の内部が反射材料で充填又は実質的に充填されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロスリットサブ要素122に充填される反射材料は、傾斜反射側壁122aで導波光の一部の反射散乱をもたらしてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では(例えば、
図5A~
図5Cに示すように)、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素の第1の側壁は、マイクロスリットサブ要素の第2の側壁の傾斜角と実質的に同様の傾斜角を有する。すなわち、マイクロスリットサブ要素の対向する側壁は、互いに実質的に平行であってもよい。他の実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素の第1の側壁は、第1の側壁が傾斜反射側壁122aである場合、マイクロスリットサブ要素の第2の側壁の傾斜角とは異なる傾斜角を有してもよい。
【0069】
図6は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマイクロスリットサブ要素122を含むマルチビューバックライト100の一部の断面図を示す。図示のように、マイクロスリットサブ要素122は、光ガイド110の第1の表面110’に示され、マイクロスリットサブ要素122の第1の側壁122-1は、傾斜角αを有する傾斜反射側壁122aを表す。さらに、マイクロスリットサブ要素122の第2の側壁122-2は、図示のように、第1の側壁122-1の傾斜角αとは異なる傾斜角を有する。特に、
図6に示す第2の側壁122-2は約0度(0°)の傾斜角を有し、すなわち、第2の側壁122-2の傾斜角は、図示のように、光ガイド110の第1の表面110’の表面法線に実質的に平行である。
【0070】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、導波光伝播方向103に直交する方向に湾曲した形状を有してもよい。特に、湾曲形状は、伝播方向103に直交する方向であってもよく、光ガイド110の表面に平行な平面内であってもよい。いくつかの実施形態によれば、湾曲形状は、導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0071】
図7は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における湾曲したマイクロスリットサブ要素122の斜視図を示す。図示のように、湾曲したマイクロスリットサブ要素122は光ガイド110内に配置され、導波光の伝播方向103に対して凸状の湾曲形状を有する。マイクロスリットサブ要素122の凸湾曲形状は、図示のように、反射散乱光のx-y方向の広がりを増加させるために使用してもよい。別の例(図示せず)では、マイクロスリットサブ要素122の湾曲形状は、例えば、反射散乱光の広がりを減少させるために伝播方向103に対して凹状であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、湾曲形状の曲率半径を優先的に選択して、反射散乱光の広がり量を制御してもよい。また、
図4A~
図4Bは湾曲したマイクロスリットサブ要素122を示す。
【0072】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイが提供される。マルチビューディスプレイは、マルチビューディスプレイのビューピクセルとして変調光ビームを放射してマルチビュー画像を供給するように構成される。放射された変調光ビームは、互いに異なる主角度方向を有する。さらに、放射された変調光ビームは、マルチビューディスプレイの複数の視線方向若しくはビュー又はマルチビュー画像の同等物に優先的に向けられてもよい。非限定的な例では、マルチビュー画像は、対応する数の視線方向を有する、1×4、1×8、2×2、4×8、又は8×8のビューを含んでもよい。ある方向にあって別の方向にはない複数のビュー(例えば、1×4及び1×8のビュー)を含むマルチビューディスプレイは、これらの構成が、ある方向(例えば、水平視差としての水平方向)では異なるビュー又はシーン視差を表すが、直交方向(例えば、視差のない垂直方向)では表さないビューを供給し得るという点で、「水平視差のみ」マルチビューディスプレイと呼ばれることがある。直交する2つの方向に2つ以上のシーンを含むマルチビューディスプレイは、ビュー又はシーン視差が直交する両方の方向(例えば、水平視差と垂直視差の両方)で変化し得るという点で、完全視差マルチビューディスプレイと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイは、三次元(3D)コンテンツ又は情報を有するマルチビューディスプレイを提供するように構成される。マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の異なるビューは、例えば、マルチビューディスプレイによって表示されているマルチビュー画像内の情報の「グラスレスの」(例えば、自動立体視の)表現を提供してもよい。
【0073】
図8は、本明細書で説明される原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。様々な実施形態によれば、マルチビューディスプレイ200は、異なる視線方向の異なるビューに従ってマルチビュー画像を表示するように構成される。特に、マルチビューディスプレイ200によって放射された放射光202の変調指向性光ビームは、マルチビュー画像を表示するために使用され、異なるビューのピクセル(すなわち、ビューピクセル)に対応してもよい。
図8では、限定ではなく例として、破線を有する矢印が放射光202の変調指向性光ビームを表すために使用されている。
【0074】
図8に示すように、マルチビューディスプレイ200は光ガイド210を備える。光ガイド210は、導波光として伝播方向に光を導くように構成される。様々な実施形態において、光は、例えば導波光ビームとして内部全反射に従って導かれてもよい。例えば、光ガイド210は、その入光縁からの光を導波光ビームとして導くように構成されたプレート光ガイドであってもよい。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200の光ガイド210は、マルチビューバックライト100に関して上述した光ガイド110と実質的に同様であってもよい。
【0075】
図8に示すマルチビューディスプレイ200は、マイクロスリットマルチビーム要素220のアレイをさらに備える。様々な実施形態によれば、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素220は、光ガイド110にわたり互いに離隔している。マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素220は、複数のマイクロスリットサブ要素を備える。さらに、マイクロスリットマルチビーム要素220は、マルチビューディスプレイ200によって表示されるマルチビュー画像の各視線方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光202として導波光を反射的に散乱させるように構成される。放射光202の指向性光ビームは、互いに異なる主角度方向を有する。様々な実施形態によれば、指向性光ビームの異なる主角度方向は、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれの異なる視線方向に対応する。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200のマイクロスリットサブ要素を含むマイクロスリットマルチビーム要素220は、上述のマルチビューバックライト100のマイクロスリットマルチビーム要素120及びマイクロスリットサブ要素122とそれぞれ実質的に同様であってもよい。特に、複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素は、導波光の伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える。
【0076】
図8に示すように、マルチビューディスプレイ200は光バルブ230のアレイをさらに備える。光バルブ230のアレイは、放射光202の指向性光ビームを変調してマルチビュー画像を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、光バルブ230のアレイは、マルチビューバックライト100に関して上述した光バルブ108のアレイと実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素のサイズは、光バルブアレイの光バルブ230のサイズの約25パーセント(25%)~約200パーセント(200%)である。他の実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素120及び光バルブ108に関して上述したように、他の相対サイズのマイクロスリットマルチビーム要素220及び光バルブ230を使用してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、導波光は所定のコリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。いくつかの実施形態では、放射光の放射パターンは、導波光の所定のコリメーション係数の関数である。例えば、所定のコリメーション係数は、マルチビューバックライト100に関して上述した所定のコリメーション係数σと実質的に同様であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素220の複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、光ガイド210の表面上に配置されてもよい。例えば、表面は、マルチビューバックライト100に関して上述したように、光ガイド210の放射面、又は光ガイド210の放射面の反対側の光ガイドの表面のいずれかであってもよい。これらの実施形態では、マイクロスリットサブ要素は、光ガイドの内部に延在してもよい。他の実施形態では、マイクロスリットサブ要素は、光ガイド210内において光ガイド表面の間に、それらから離隔して配置されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、内部全反射に従って導波光の一部を反射的に散乱させるように構成される。いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、上述のマイクロスリットサブ要素の傾斜反射側壁に隣接してこれを被覆する反射材料(例えば、限定されないが、反射性金属又は金属ポリマー)をさらに備える。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素の傾斜反射側壁の傾斜角は、光ガイド210の放射面の表面法線に対して0度(0°)~約45度(45°)である。いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、導波光伝播方向に直交しかつ光ガイドの表面に平行な湾曲形状を有する。湾曲形状は、例えば、導波光伝播方向に直交する平面内の散乱光の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、光バルブアレイの光バルブ230は、マルチビューディスプレイ200のマルチビューピクセルを表すセットに配置される。いくつかの実施形態では、光バルブはマルチビューピクセルのサブピクセルを表す。いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素220は、マルチビューディスプレイ200のマルチビューピクセルに一対一に対応する。
【0082】
これらの実施形態のいくつか(
図8には図示せず)では、マルチビューディスプレイ200は光源をさらに備えてもよい。光源は、光ガイド210に非ゼロ伝播角で光を供給するように構成されてもよく、いくつかの実施形態では、光ガイド210内の導波光の所定の角度広がりをもたらすために所定のコリメーション係数に従ってコリメートされる。いくつかの実施形態によれば、光源は、マルチビューバックライト100に関して上述した光源130と実質的に同様であってもよい。
【0083】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューバックライト動作の方法が提供される。
図9は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト動作の方法300のフローチャートを示す。
図9に示すように、マルチビューバックライト動作の方法300は、導波光として光ガイドの長さに沿った伝播方向に光を導くステップ310を含む。いくつかの実施形態では、光は非ゼロ伝播角で導かれてもよい(310)。また、導波光をコリメートしてもよい。特に、導波光は所定のコリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。いくつかの実施形態によれば、光ガイドは、マルチビューバックライト100に関して上述した光ガイド110と実質的に同様であってもよい。特に、様々な実施形態によれば、光は光ガイド内の内部全反射に従って導かれてもよい。同様に、所定のコリメーション係数及び非ゼロ伝播角は、マルチビューバックライト100の光ガイド110に関して上述した所定のコリメーション係数σ及び非ゼロ伝播角と実質的に同様であってもよい。
【0084】
図9に示すように、マルチビューバックライト動作の方法300は、マイクロスリットマルチビーム要素のアレイを使用して導波光の一部を光ガイドから反射させて、マルチビューディスプレイのそれぞれの異なる視線方向に対応する異なる方向を有する指向性光ビームを含む放射光を供給するステップ320をさらに含む。様々な実施形態では、指向性光ビームの異なる方向は、マルチビューディスプレイのそれぞれの視線方向に対応する。様々な実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素は、複数のマイクロスリットサブ要素を備える。さらに、本明細書の定義上、複数のマイクロスリットサブ要素の各マイクロスリットサブ要素は、導波光の伝播方向から離れるように傾斜した傾斜角を有する傾斜反射側壁を備える。いくつかの実施形態では、各マイクロスリットマルチビーム要素のサイズは、マルチビューディスプレイの光バルブのアレイ内の光バルブのサイズの25パーセント~200パーセントである。
【0085】
いくつかの実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素は、上述のマルチビューバックライト100のマイクロスリットマルチビーム要素120と実質的に同様である。特に、マイクロスリットマルチビーム要素の複数のマイクロスリットサブ要素は、上述の複数のマイクロスリットサブ要素122と実質的に同様であってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、光ガイドの表面、例えば、光ガイドの放射面又は放射面の反対側の表面のいずれかに配置される。他の実施形態では、複数のマイクロスリットサブ要素のうちのマイクロスリットサブ要素は、対向する光ガイド表面の間に、それらから離隔して配置される。様々な実施形態によれば、放射光の放射パターンは、少なくとも部分的に、導波光の所定のコリメーション係数の関数であってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、傾斜反射側壁は、内部全反射に従って光ガイドから光を反射的に散乱させて放射光を供給する。他の実施形態では、マイクロスリットマルチビーム要素アレイのマイクロスリットマルチビーム要素は、複数のマイクロスリットサブ要素の傾斜反射側壁に隣接しこれを被覆する反射材料をさらに備える。
【0088】
いくつかの実施形態では、傾斜反射側壁の傾斜角は、光ガイドの放射面の表面法線に対して0度(0°)~約45度(45°)である。様々な実施形態によれば、傾斜角は、光ガイドの放射面の方向に、かつ光ガイドの放射面とは反対側の表面から離れるように光を優先的に散乱させるために、導波光の非ゼロ伝播角と併せて選択される。
【0089】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチビューバックライト動作の方法は、光源を使用して光ガイドに光を供給するステップをさらに含む。供給された光は、光ガイド内で非ゼロ伝播角を有し、コリメーション係数に従って光ガイド内でコリメートされて、光ガイド内で導波光の所定の角度広がりをもたらしてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、上述のマルチビューバックライト100の光源130と実質的に同様であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では(例えば、
図9に示すように)、マルチビューバックライト動作の方法300は、マルチビュー画像を供給するために光バルブを使用してマイクロスリットマルチビーム要素によって反射的に散乱された放射光の指向性光ビームを変調するステップ330をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、複数又はアレイの光バルブのうちの光バルブは、マルチビューピクセルのサブピクセルに対応し、光バルブアレイの光バルブのセットは、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルに対応するか、マルチビューピクセルとして配置される。すなわち、光バルブは、例えば、サブピクセルのサイズに相当するサイズ、又はマルチビューピクセルのサブピクセル間の中心間間隔に相当するサイズを有してもよい。いくつかの実施形態によれば、複数の光バルブは、上述した通り、マルチビューバックライト100に関して上述した光バルブ108のアレイと実質的に同様であってもよい。特に、光バルブの異なるセットは、第1及び第2の光バルブセット108a、108bが異なるマルチビューピクセル106に対応するのと同様に、異なるマルチビューピクセルに対応してもよい。さらに、光バルブアレイの個々の光バルブは、上述の光バルブ108が上記参照の説明のサブピクセルに対応するため、マルチビューピクセルのサブピクセルに対応してもよい。
【0091】
以上より、傾斜反射側壁を有するマイクロスリットサブ要素を備えるマイクロスリットマルチビーム要素を使用して、マルチビュー画像の異なる指向性ビューに対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光を供給するマルチビューバックライト、マルチビューバックライトの動作方法、及びマルチビューディスプレイの実施例及び実施形態が説明された。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの具体例のうちのいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当分野の技術者は、以下の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 マルチビューディスプレイ
12 画面
14 ビュー
16 視線方向
20 光ビーム
100 マルチビューバックライト
102 放射光
103 導波光伝播方向
104 導波光
106 マルチビューピクセル
108 光バルブ
108a 第1の光バルブセット
108b 第2の光バルブセット
110 光ガイド
110’ 第1の表面
110’’ 第2の表面
112 光学材料層
120 マイクロスリットマルチビーム要素
120a 第1のマイクロスリットマルチビーム要素
120b 第2のマイクロスリットマルチビーム要素
122 マイクロスリットサブ要素
122a 傾斜反射側壁
122-1 第1の側壁
122-2 第2の側壁
130 光源
200 マルチビューディスプレイ
202 放射光
210 光ガイド
220 マイクロスリットマルチビーム要素
230 光バルブ
300 方法