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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】LED前駆体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20231221BHJP
   H01L 33/12 20100101ALI20231221BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20231221BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/12
H01L33/32
H01L21/205
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022559649
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2021057711
(87)【国際公開番号】W WO2021198008
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】2004595.1
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウェイ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユィ,シアン
(72)【発明者】
【氏名】アシュトン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0001416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140274(US,A1)
【文献】特開平07-249795(JP,A)
【文献】特表2018-517295(JP,A)
【文献】特開2000-106348(JP,A)
【文献】特表2015-500573(JP,A)
【文献】特表2015-514312(JP,A)
【文献】特表2013-518447(JP,A)
【文献】特開2011-155241(JP,A)
【文献】特開2000-232239(JP,A)
【文献】特表2013-517622(JP,A)
【文献】特開2009-272637(JP,A)
【文献】特表2015-524173(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152228(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02575311(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第109841712(CN,A)
【文献】特開2013-145867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長表面を有するモノリシック成長スタックを形成することと、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上にモノリシックLEDスタックを形成することと
を含むLED前駆体を製造する方法であって、
a)前記モノリシック成長スタックを形成することは、
III族窒化物を含む第1の半導体層を形成することと、
前記第1の半導体層上に第2の半導体層を形成することであって、前記第2の半導体層は、前記第2の半導体層が少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有するようなドナードーパントを含む第1のIII族窒化物を含む、第2の半導体層を形成することと、
前記第2の半導体層の前記第1の半導体層とは反対側に第3の半導体層を形成することであって、前記第3の半導体層は前記モノリシック成長スタックの前記成長表面を提供し、前記第3の半導体層は、前記第3の半導体層が圧縮歪み下で前記第2の半導体層上に形成されるように、前記第1のIII族窒化物とは異なる第2のIII族窒化物を含む、第3の半導体層を形成することと、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面が前記第3の半導体層のメサ表面と前記メサ表面を囲む前記第3の半導体層の側壁表面とを含むように、前記第3の半導体層の厚さにわたって前記第3の半導体層の一部を前記成長表面から選択的に除去することと
を含み、
前記第3の半導体層の形成に続いて、
前記第2の半導体層の面積多孔度を少なくとも15%まで増大させるために、前記第2の半導体層は多孔度処理を受け、
前記メサ表面の面内格子定数が増大するように前記第3の半導体層が緩和するように前記第3の半導体層は歪み緩和温度まで加熱され、
b)前記モノリシックLEDスタックを形成することは、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上にIII族窒化物を含む第4の半導体層を形成することであって、前記第4の半導体層が前記第3の半導体層の前記メサ表面を覆うようにする、第4の半導体層を形成することと、
前記第4の半導体層上に活性層を形成することであって、前記活性層が複数の量子井戸層を備え、各量子井戸層がIII族窒化物を含む、活性層を形成することと、
前記活性層上にIII族窒化物を含むp型半導体層を形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の半導体層はGaNを含み、および/または
前記第3の半導体層はInGa1-XNを含み、0<X≦1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性層の各量子井戸層はInGa1-ZNを含み、0.2<Z≦0.5である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の半導体層は、前記成長表面から前記第3の半導体層の一部を選択的に除去する前に前記多孔度処理を受ける、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面が前記第2の半導体層の表面を含むように、前記第3の半導体層は選択的に除去される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記モノリシック成長スタックを形成することは、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面が前記第2の半導体層の側壁表面を含むように、前記第3の半導体層の選択的に除去された部分と整列した前記第2の半導体層の部分を選択的に除去することをさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の半導体層は、前記第2の半導体層の前記側壁表面が前記第3の半導体層の前記側壁表面と整列するように選択的に除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の半導体層は、前記成長表面が前記第1の半導体層の表面の一部を含むように選択的に除去される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第4の半導体層はGaNを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第4の半導体層は、前記第3の半導体層の前記メサ表面上の前記第4の半導体層のメサ部分から前記第2の半導体層に向かって延在する傾斜した側壁部分を提供するために、前記成長表面上に形成される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノリシック成長スタックを形成することは、前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上にマスキング層を選択的に形成することをさらに含み、前記マスキング層は、前記モノリシック成長スタックの前記メサ表面と整列した開口部を含む、請求項4から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記モノリシックLEDスタックは、前記モノリシック成長スタックの前記メサ表面上に選択的に形成され、前記マスキング層によって覆われた前記成長表面上には形成されない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成長表面を有するモノリシック成長スタックと、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上に設けられたモノリシックLEDスタックと
を備えるLED前駆体であって、
a)前記モノリシック成長スタックは、
III族窒化物を含む第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に設けられた第2の半導体層であって、前記第2の半導体層は、前記第2の半導体層が少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有するようなドナードーパントを含む第1のIII族窒化物を含み、前記第2の半導体層は、少なくとも15%の面積多孔度および第1の面内格子定数を有する、第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の前記第1の半導体層とは反対側に設けられた第3の半導体層であって、前記第3の半導体層は、前記第1のIII族窒化物とは異なる第2のIII族窒化物を含む、第3の半導体層と
を備え、
前記モノリシック成長スタックは、前記成長表面が前記第3の半導体層のメサ表面と前記メサ表面を囲む前記第3の半導体層の側壁表面とを含み、前記第3の半導体層の前記側壁表面が前記メサ表面に対して傾斜するような、前記第3の半導体層を含むメサ構造を有し、
前記第3の半導体層の前記メサ表面は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有し、
b)前記モノリシックLEDスタックは、
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上に設けられた第4の半導体層であって、前記第4の半導体層は、前記第3の半導体層の前記メサ表面および前記第3の半導体層の前記側壁表面を覆うようにされる、第4の半導体層と、
前記第4の半導体層上に設けられた活性層であって、前記活性層は複数の量子井戸層を備え、各量子井戸層はIII族窒化物を含む、活性層と、
前記活性層上に設けられたIII族窒化物を含むp型半導体層と
を備える、LED前駆体。
【請求項14】
前記第2の半導体層はGaNを含み、および/または
前記第3の半導体層はInGa1-XNを含み、0<X≦1である、請求項13に記載のLED前駆体。
【請求項15】
前記活性層の各量子井戸層はInGa1-ZNを含み、0.2<Z≦0.5である、請求項13または14に記載のLED前駆体。
【請求項16】
前記第3の半導体層の前記側壁表面は、前記メサ表面を横切る方向に傾斜する、請求項13から15のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項17】
前記メサ構造は、前記成長表面が前記第2の半導体層を含むように前記第2の半導体層から延在する、請求項13から16のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項18】
前記モノリシック成長スタックの前記成長表面は、前記第3の半導体層の前記側壁表面と整列した前記第2の半導体層の側壁表面を含む、請求項13から17のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項19】
前記メサ構造は、前記成長表面が前記第1の半導体層の表面の一部を含むように前記第1の半導体層から延在する、請求項18に記載のLED前駆体。
【請求項20】
第4の半導体層はGaNを含む、請求項13から19のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項21】
前記第4の半導体層は、前記第3の半導体層の前記メサ表面上の前記第4の半導体層のメサ部分から前記第2の半導体層に向かって延在する傾斜した側壁部分を提供するために、前記成長表面上に設けられる、請求項13から20のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項22】
前記モノリシック成長スタックは、前記モノリシック成長スタックの前記成長表面上に設けられたマスキング層をさらに備え、前記マスキング層は、前記モノリシック成長スタックの前記メサ表面と整列した開口部を含む、請求項16から21のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項23】
前記モノリシックLEDスタックは、前記モノリシック成長スタックの前記メサ表面上にのみ選択的に設けられる、請求項22に記載のLED前駆体。
【請求項24】
前記LED前駆体はマイクロLED前駆体であり、前記モノリシックLEDスタックは、100μm×100μm未満の前記第1の半導体層と整列した平面内の表面積寸法を有する、請求項13から23のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項25】
請求項13から24のいずれか1項に記載の複数のLED前駆体を備えるLEDアレイ前駆体であって、前記複数のLED前駆体は2次元アレイに配置される、LEDアレイ前駆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオード(LED)に関する。特に、本開示は、III族窒化物を含むLEDに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLEDアレイは、一般に、100×100μm2以下のサイズを有するLEDとして定義される。マイクロLEDは、2次元マイクロLEDアレイを形成するように組み立てられ得る。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、およびピコプロジェクタなどの様々なデバイスでの使用に適し得る自発光ディスプレイまたはプロジェクタを形成することができる。
【0003】
多くの用途において、ある範囲の波長を有する光を出力することができるマイクロディスプレイ/プロジェクタを提供することが望ましい。例えば、多くのカラーディスプレイでは、赤色、緑色、および青色光の組合せを出力する能力を各ピクセルに提供することが一般的である。
【0004】
マイクロLEDアレイの1つの既知の形態は、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、活性発光領域にGaNおよびそのInNとAlNとの合金を含む無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光パワー密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放出される光の量として定義されるより高いルミナンス(輝度)は、高い輝度を必要とする、またはそれから利益を得る用途に適したマイクロLEDを作る。例えば、高輝度から利益を得る用途は、高輝度環境のディスプレイまたはプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDは、他の従来の光源と比較して、ルーメン毎ワット(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0005】
1つの既知のタイプのIII族窒化物LEDは、In-Ga-N合金系を利用して、LEDの活性領域内に複数の量子井戸を画定する。典型的には、GaNおよびInGa1-XNの交互層が量子井戸を画定するために提供される。青色LEDの場合、インジウムモル分率Xは、典型的には0.2未満である。InGa1-XN層に取り込まれるインジウムの量を増加させると、ポテンシャル井戸の深さが増加し、それによってLEDによって放射される光の波長が増大する。
【0006】
例えば、ネイティブの緑色および赤色LEDを提供するために、インジウムモル分率Xを0.2より大きくすると、LEDの効率が大幅に低下することが知られている。基本的な問題の1つは、緩和または圧縮歪みGaN上に堆積された場合のインジウムの低い取り込み効率である。高いIn含有量のInGa1-XN層(すなわち、X>0.2)は、一般に、低い成長温度を使用して形成され、IQEに悪影響を及ぼす相偏析を起こしやすい(例えば、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 123,160901(2018))。
【0007】
特に、ネイティブ赤色LED(すなわち、600nm~680nmの範囲内のピーク放射波長を有するLED)を形成するために、LEDの活性領域は、典型的には、X≧0.3のInGa1-XN層を含む。このようなIn含有量のInGa1-XN層に起因する歪みは、欠陥の形成をもたらす可能性があり、それは結果としてLEDの効率を低下させる。
【0008】
「(In,Ga)N/GaNナノストライプアレイ上への成長によるInGaN格子定数の設計」、Keller S.ら、Semicond.Sci.Technol.、第30巻、(2015)は、InGaN/GaN多重量子井戸からなるナノストライプアレイ上に成長させた平面(In,Ga)N層を開示している。ナノストライプアレイは、パターン作製後にストライプ方向に垂直な弾性緩和を示し、ストライプ方向に垂直なa⊥格子定数がGaNベース層よりも大きくなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、LED前駆体を形成するための改善された方法、ならびに従来技術の方法およびアレイに関連する問題の少なくとも1つに対処する改善されたLED前駆体、または少なくともそれに対する商業的に有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、III族窒化物を含むLEDの効率を改善するために、活性層と、活性層が堆積されるLED前駆体の層との間の歪みに起因する欠陥の形成を低減すべきであることを認識した。本発明者らは、活性層の(歪みのない)面内格子定数により厳密に一致する面内格子定数を有する活性層のための歪み緩和成長面を提供することによって、界面における歪みが低減され得ることを認識した。これにより、界面での欠陥の形成が減少し、したがってLED前駆体の効率が改善され得る。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、LED前駆体が提供される。本方法は、a)成長表面を有するモノリシック成長スタックを形成することと、b)モノリシック成長スタックの成長表面上にモノリシックLEDスタックを形成することとを含む。
【0012】
モノリシック成長スタックを形成することは、III族窒化物を含む第1の半導体層を形成することと、第1の半導体層上に第2の半導体層を形成することであって、第2の半導体層は、第2の半導体層が少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有するようなドナードーパントを含む第1のIII族窒化物を含む、第2の半導体層を形成することと、第2の半導体層の第1の半導体層とは反対側に第3の半導体層を形成することとを含む。第3の半導体層の一部は、成長表面から選択的に除去される。第3の半導体層は、モノリシック成長スタックの成長表面が、第3の半導体層のメサ表面と、メサ表面を囲む第3の半導体層の側壁表面とを含むように、第3の半導体層の厚さにわたって選択的に除去される。第3の半導体層は、モノリシック成長スタックの成長表面を提供し、第3の半導体層は、第3の半導体層が圧縮歪み下で第2の半導体層上に形成されるように、第1のIII族窒化物とは異なる第2のIII族窒化物を含む。第3の半導体層の形成に続いて、第2の半導体層の面積多孔度を少なくとも15%まで増大させるために、第2の半導体層は多孔度処理を受け、メサ表面の面内格子定数が増大するように第3の半導体層が緩和するように第3の半導体層は歪み緩和温度まで加熱される。
【0013】
モノリシックLEDスタックを形成することは、モノリシック成長スタックの成長表面上にIII族窒化物を含む第4の半導体層を形成することであって、第4の半導体層が第3の半導体層のメサ表面を覆うようにする、第4の半導体層を形成することと、第4の半導体層上に活性層を形成することであって、活性層が複数の量子井戸層を備え、各量子井戸層がIII族窒化物を含む、活性層を形成することと、活性層上にIII族窒化物を含むp型半導体層を形成することとを含む。
【0014】
本特許請求の範囲に記載の発明によるLED前駆体は、成長表面を有するモノリシック成長スタックを提供する。成長スタックは、複数のIII族窒化物層を含む。成長表面は、その上に複数のIII族窒化物層を含むモノリシックLEDスタックの形成に適している。特に、成長表面は、ネイティブ赤色または緑色LED用のモノリシックLEDスタックの形成に適している。成長スタックは、3つの半導体層、すなわち第1、第2、および第3の半導体層を含む。第3の半導体層は、第3の半導体層がその上に形成される第2の半導体層とは異なる組成を有する。結果として、圧縮応力下で第2の半導体層上に第3の半導体層が形成される。すなわち、第3の半導体層の格子構造は、第2の半導体層の格子構造から圧縮歪みを受ける。
【0015】
第3の半導体層の選択的除去は、メサ表面を含む成長表面を提供する。このように、モノリシック成長スタックは、その上にモノリシックLEDスタックを過成長させることができるメサ構造にパターニングされる。モノリシック成長スタックのメサ構造上にモノリシックLEDスタックを過成長させることによって、LED接合部のエッチングを必要としない方法を使用してLED前駆体を形成することができる。LED接合部の側壁表面をエッチングすることを回避するLED前駆体を形成する方法は、LED接合部の側壁表面に形成される欠陥の低減または排除をもたらし、それによってLEDのEQEを改善することができる。
【0016】
熱処理プロセスは、第3の半導体層の面内格子定数が(堆積されたままの第3の半導体層の面内格子定数に対して)増大するように、第3の半導体層が多孔質半導体層における塑性変形によってその圧縮歪みを緩和することを可能にする。多孔質半導体層の塑性変形(ミスフィット転位の形成および移動)は、多孔質半導体層と半導体層との界面付近で生じる。空隙の存在およびダングリングボンドの存在は、ミスフィット転位の形成および移動を助ける多孔質半導体層の機械的靱性を低下させる。このため、第3の半導体層は、第の半導体層上でより歪み緩和しやすい。モノリシック成長スタックの成長表面に増大した面内格子定数を提供することによって、成長表面の面内格子定数は、モノリシック成長スタックとモノリシックLEDスタックとの間の界面における歪みを低減および/または排除することができる。したがって、界面での欠陥の形成を低減および/または排除し、それによってLED前駆体の効率を改善することができる。
【0017】
熱処理ステップは、圧縮歪み下で形成された第3の半導体層の歪み緩和を生じさせるために設けられる。しかしながら、圧縮歪み層の過度の歪み緩和は、第2および第3の半導体層の歪みのない面内格子定数の差に起因して、圧縮歪み層の座屈および/または層間剥離をもたらす可能性がある。したがって、第1の態様による方法は、第2の半導体層と第3の半導体層との間の界面における座屈および/または層間剥離の発生を低減または排除しながら、歪み緩和を増大させる特徴を提供する。
【0018】
1つの重要な特徴は、第2の半導体層に少なくとも15%の面積多孔度を提供するために、第2の半導体層がエッチング処理を受けることである。したがって、第2の半導体層は、比較的多孔質の層である。第2の半導体層の多孔度は、第2の半導体層と第3の半導体層との間の界面に、第3の半導体層の歪みが低減され得る局在化領域を提供する。重要なことに、多孔質半導体層14’を設けることは、半ループ転位としての多孔質半導体層14’内のミスフィット転位の伝播を可能にする。したがって、多孔質半導体層14’は、熱処理ステップ中に塑性変形を受ける可能性があり、その結果、第3の半導体層16内の貫通転位の伝播よりもむしろ、多孔質半導体層14’内の半ループ転位の優先的な伝播がもたらされる。多孔質半導体層14’内に半ループ転位を形成することにより、第3の半導体層16が歪み緩和して、モノリシックLEDスタックのための改善された成長表面を提供することが可能になる。
【0019】
本発明者らはまた、第2および第3の半導体層が、概して連続した層、例えば少なくとも30×30μmの領域にわたって延在する層として形成され得るので、第3の半導体層が緩和するのに十分な空間を有することが重要であることを認識した。緩和(拡張)することができる十分な(横方向の)容積なしに歪み緩和させようとする層は、座屈を起こしやすい可能性がある。第3の半導体層の一部を選択的に除去することにより、第3の半導体層の残りの部分は、選択的除去プロセスから生じる自由空間内に緩和することができる。すなわち、第3の半導体層の側壁表面は、(横方向に)歪みが緩和する余地がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層はGaNを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、実質的にドープされていないGaN(すなわち、意図的にドープされていないGaN)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第3の半導体層はInGa1-XNを含み、0<X≦1である。したがって、いくつかの実施形態では、第3の半導体層が圧縮歪み下で第2の半導体層上に形成されるように、第2および第3の半導体層を設けることができる。圧縮歪み下で第3の半導体層を形成することによって、モノリシック成長スタックは、その後、歪み緩和された成長表面がモノリシックLEDスタックの形成のために提供されるように、歪み緩和のために処理されてもよい。歪み緩和成長面は、特に少なくとも525nm(すなわち、緑色または赤色の可視光)の波長を有する光を放出するように構成された活性層について、活性層の歪みのない格子定数とより厳密に一致する面内格子定数を有することができる。
【0021】
例えば、いくつかの実施形態では、活性層の各量子井戸層は、InGa1-ZNを含み、0.2≦Z≦0.5である。したがって、活性層は、少なくとも525nmのピーク放射波長を有する光を放射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、活性層の各量子井戸層はInGa1-ZNを含み、0.3≦Z≦0.5である。したがって、活性層は、少なくとも600nmのピーク放射波長を有する光を放射するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックの成長表面に垂直な方向における第3の半導体層の厚さは、少なくとも200nmである。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、成長表面から第3の半導体層の一部を選択的に除去する前に多孔度処理を受ける。したがって、多孔度処理プロセスは、モノリシック成長スタックを形成する層の任意のパターニングの前に実行することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックの成長表面が第2の半導体層の表面を含むように、第3の半導体層が選択的に除去される。例えば、いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックは、第3の半導体層のメサ表面に略平行な第2の半導体層の表面を含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の半導体層を選択的に除去することにより、メサ構造の形成を可能にすることができ、第3の半導体層は、側壁表面によって囲まれたメサ表面を含む。メサ構造の側壁表面は、第2の半導体層のバルク半導体表面によって囲まれてもよい。したがって、第3の半導体層のメサ表面および側壁表面ならびに第2の半導体層のバルク半導体表面は、モノリシックLEDスタックを形成することができる成長表面を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックを形成することは、モノリシック成長スタックの成長表面が第2半導体の側壁表面を含むように、第3の半導体層の除去された部分と整列した第2の半導体層の部分を選択的に除去することをさらに含む。このように、第1の半導体層の表面から第1の半導体層の表面に略垂直な方向に延在するメサ構造を形成してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、第2の半導体層の側壁表面が第3の半導体層の側壁表面と整列するように選択的に除去される。したがって、第3の半導体層の側壁表面および第2の半導体層の側壁表面は、略同一平面方向に延在する。例えば、いくつかの実施形態では、第2の半導体層の側壁表面および第3の半導体層の側壁表面は、第3の半導体層のメサ表面に略垂直な方向に延在してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、成長表面が第1の半導体層の表面の一部を含むように選択的に除去される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第4の半導体層はGaNを含む。いくつかの実施形態では、第4の半導体層はまた、第4の半導体層がn型半導体であるように、n型ドーパントを含んでもよい。他の実施形態では、第4の半導体層は、ドープされていない半導体層(すなわち、意図的にドープされていない)であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第4の半導体層は、第3の半導体層のメサ表面上の第4の半導体層の第1の部分から第2の半導体層に向かって延在する傾斜した側壁部分を提供するために、成長表面上に形成される。したがって、第4の半導体層は、略台形の断面を形成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックを形成することは、モノリシック成長スタックの成長表面上にマスキング層を選択的に形成することをさらに含む。マスキング層は、モノリシック成長スタックのメサ表面と整列した開口部を含むことができる。したがって、成長表面の一部にマスキング層を設けることは、成長表面のメサ表面以外の領域上のモノリシックLEDスタックの成長を防止または低減することができる。したがって、マスキング層を設けることは、モノリシックLEDスタックのエッチングを用いてLED接合部をパターニングすることを回避しながら、モノリシックLEDスタックを形成する方法を提供することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、モノリシックLEDスタックは、モノリシック成長スタックのメサ表面上に選択的に形成され、マスキング層によって覆われた成長表面上には形成されない。
【0032】
本開示の第2の態様によれば、LED前駆体が提供される。LED前駆体は、成長表面を有するモノリシック成長スタックと、モノリシック成長スタックの成長表面上に設けられたモノリシックLEDスタックとを備える。モノリシック成長スタックは、第1の半導体層、第2の半導体層、および第3の半導体層を備える。第1の半導体層は、III族窒化物を含む。第2の半導体層は、第1の半導体層上に設けられる。第2の半導体層は、第2の半導体層が少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有するようなドナードーパントを含む第1のIII族窒化物を含む。第2の半導体層は、少なくとも15%の面積多孔度および第1の面内格子定数を有する。第3の半導体層は、第2の半導体層の第1の半導体層とは反対側に設けられる。第3の半導体層は、第1のIII族窒化物とは異なる第2のIII族窒化物を含む。モノリシック成長スタックは、成長表面が第3の半導体層のメサ表面とメサ表面を囲む第3の半導体層の側壁表面とを含み、第3の半導体層の側壁表面がメサ表面に対して傾斜するような、第3の半導体層を含むメサ構造を有する。第3の半導体層のメサ表面は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する。モノリシックLEDスタックは、第4の半導体層、活性層、およびp型半導体層を備える。第4の半導体層は、第3の半導体層のメサ表面および第3の半導体層の側壁表面を覆うように、モノリシック成長スタックの成長表面上に設けられる。活性層は複数の量子井戸層を備える。各量子井戸層はIII族窒化物を含む。p型半導体層は、活性層上に設けられたIII族窒化物を含む。
【0033】
このように、本開示の第2の態様に係るLED前駆体は、第1の態様の方法を使用して形成することができる。したがって、本開示の第2の態様によるLED前駆体は、上述の第1の態様の利点および任意選択の特徴のすべてを含むことができる。
【0034】
特に、モノリシックLEDスタックは、モノリシック成長スタックのメサ構造上にモノリシックLEDスタックを過成長させることによって形成することができる。したがって、LED前駆体は、LED接合部の側壁表面のエッチングを必要としない方法を使用して形成することができる。LED接合部の側壁表面をエッチングすることを回避するLED前駆体を形成する方法は、LED接合部の側壁表面に形成される欠陥の低減または排除をもたらし、それによってLEDのEQEを改善することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層はGaNを含む。いくつかの実施形態では、第3の半導体層はInGa1-XNを含み、0<X≦1である。したがって、いくつかの実施形態では、熱処理プロセス後に第3の半導体層に所望の面内格子定数を提供するために、第3の半導体層のIn含有量(X)を制御することができる。特に、いくつかの実施形態では、第3の半導体層はInGa1-XNを含み、0.2≦X≦0.5であり、それにより第3の半導体層は、緑色または赤色可視光スペクトルにピーク放射波長(例えば、少なくとも525nmのピーク放射波長)を有する活性層をその上に形成するのに特に適した成長表面を提供する。
【0036】
例えば、いくつかの実施形態では、活性層の各量子井戸層は、InGa1-ZNを含み、0.2≦Z≦0.5である。したがって、活性層は、少なくとも525nmのピーク放射波長を有する光を放射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、活性層の各量子井戸層はInGa1-ZNを含み、0.3≦Z≦0.5である。したがって、活性層は、少なくとも600nmのピーク放射波長を有する光を放射するように構成され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、第3の半導体層の側壁表面は、メサ表面を横切る方向に傾斜する。したがって、第3の半導体層の側壁表面は、第1の半導体層に対して略垂直な方向に延在してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、メサ構造は、成長表面が多孔質半導体層を含むように多孔質半導体層から延在する。
【0039】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックの成長表面は、第3の半導体層の側壁表面と整列した多孔質半導体層の側壁表面を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、メサ構造は、成長表面が第1の半導体層の表面の一部を含むように第1の半導体層から延在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、第4の半導体層はGaNを含む。
いくつかの実施形態では、第4の半導体層は、第3の半導体層のメサ表面上の第4の半導体層のメサ部分から第2の半導体層に向かって延在する傾斜した側壁部分を提供するために、成長表面上に設けられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタックは、モノリシック成長スタックの成長表面上に設けられたマスキング層をさらに備え、マスキング層は、モノリシック成長スタックのメサ表面と整列した開口部を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、モノリシックLEDスタックは、モノリシック成長スタックのメサ表面上にのみ選択的に設けられる。
【0044】
本開示の第1および第2の態様によるLED前駆体、およびLED前駆体を形成する方法は、いくつかの実施形態では、複数のLED前駆体を備えるLEDアレイ前駆体およびその形成方法を提供することができる。複数のLED前駆体は、LED前駆体の各々が他のLED前駆体から離間した2次元アレイに配置されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示の第1および第2の態様によるLED前駆体、LEDアレイ前駆体、ならびにLED前駆体およびLEDアレイ前駆体を形成する方法は、マイクロLED前駆体およびマイクロLEDアレイ前駆体を提供することができる。マイクロLEDアレイ前駆体は、マイクロLED前駆体のアレイである。マイクロLED前駆体は、100μm×100μm未満の第1の半導体層と整列した平面内の表面積寸法を有するモノリシックLEDスタックを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロLED前駆体は、10-8未満の表面積を有し得る。
【0046】
本開示は、以下の非限定的な図に関連して説明される。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本開示の第1の実施形態によるモノリシック成長スタックを形成する中間段階の図である。
図2】本開示の第1の実施形態によるモノリシック成長スタックを形成する中間段階の図である。
図3】本開示の第1の実施形態によるモノリシック成長スタックを形成する中間段階の図である。
図4】本開示の実施形態による複数のモノリシック成長スタックの図である。
図5】本開示の第1の実施形態による複数のLED前駆体の図である。
図6】本開示の第2の実施形態による複数のモノリシック成長スタックの図である。
図7】本開示の第2の実施形態による複数のLED前駆体の図である。
図8】本開示の第3の実施形態による複数のモノリシック成長スタックの図である。
図9】本開示の第3の実施形態による複数のLED前駆体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の実施形態によれば、LED前駆体1を形成するための方法が提供される。
LED前駆体における「前駆体」という用語は、記載されたLED前駆体が、光の放射を可能にするようなLED用の電気接点も、関連する回路も必ずしも含まないことに留意されたい。もちろん、第1の実施形態のLED前駆体を形成する方法は、さらなる電気接点および関連する回路の追加を排除するものではない。したがって、本開示における前駆体という用語の使用は、最終製品(すなわち、LED、LEDアレイなど)を含むことを意図している。
【0049】
図1図5は、第1の実施形態の方法に従って形成されるLED前駆体の図を示す。第1の実施形態による方法は、モノリシック成長スタック10およびモノリシックLEDスタック20を形成することを含む。モノリシックLEDスタック20は、モノリシック成長スタック10の成長表面11上に形成される。第1の実施形態の方法によれば、モノリシック成長スタック10は、第1の半導体層12、第2の半導体層14、および第3の半導体層16を備える。
【0050】
モノリシック成長スタックは、単一部品として形成されたLEDの成長表面を形成する層のスタックの提供を指す。すなわち、モノリシック成長スタック10は、単一部品として形成される。
【0051】
モノリシックLEDスタックは、単一部品として形成されたLEDを形成する層のスタックの提供を指す。すなわち、モノリシックLEDスタックは、モノリシック成長スタック10の成長表面11上に単一部品として形成される。
【0052】
第1の実施形態の方法では、複数のLED前駆体1が単一の形成プロセスで形成される。複数のLED前駆体1は、LED前駆体のアレイとして形成される。したがって、第1の実施形態による方法は、複数のLED前駆体を備えるLEDアレイ前駆体を形成する方法を提供する。
【0053】
図1に示すように、モノリシック成長スタック10を形成することは、第1の半導体層12を形成することを含む。図1の実施形態では、第1の半導体層12はIII族窒化物を含む。例えば、第1の半導体層はGaNを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、ドープされていない半導体層(すなわち、意図的にドープされていない)であってもよい。他の実施形態では、第1の半導体層12はドープ半導体層(例えば、Siなどのn型ドーパントを含む)であってもよい。
【0054】
第1の半導体層12は、基板(図1には示されていない)上に形成されてもよい。基板は、第1の半導体層12の成長表面を提供してもよい。基板は、実質的に平坦な基板であってもよい。基板は、格子不整合を低減するために第1の半導体層12の面内格子定数に対応するように構成された面内格子定数を有してもよい。III族窒化物を含む第1の半導体層12の成長に適した様々な基板が当業者に知られている。例えば、基板は、サファイア基板であってもよいし、シリコン基板であってもよい。基板は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つまたは複数のバッファ層を含むことができる。基板は、第1の半導体層12の(0001)結晶面が基板表面に揃うような基板上に第1の半導体層12が成長するように設けられてもよい。このように、第1の半導体層12は、(0001)結晶面方位を有してもよい。
【0055】
第1の半導体層は、III族窒化物半導体層を製造するための任意の適切なプロセスを使用して形成されてもよい。例えば、第1の半導体層12は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシー法(MBE)を用いて形成されてもよい。
【0056】
図1に示すように、第1の半導体層12上に第2の半導体層14が形成される。第2の半導体層14は、第1の半導体層12の第1の表面13上に形成される。第1の半導体表面13は、第1の半導体層12の基板とは反対側に設けられた第1の半導体層12の表面である。このように、第1の半導体層12は、第2の半導体層14と基板との間に設けられる。
【0057】
第2の半導体層14は、III族窒化物を含む。第2の半導体層14は、第2の半導体層が少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有するようなドナードーパントを含む第1の組成を有する。いくつかの実施形態では、第2の半導体層のドナー密度は、少なくとも1×1019cm-3、3×1019cm-3、5×1019cm-3、7×1019cm-3、または1×1020cm-3であってもよい。このように、第2の半導体層14はn型半導体層である。特に、第2の半導体層14は、第1の半導体層12よりも高いドナードーパント密度を有する。第2の半導体層14は、任意の適切なドナードーパントを含んでもよい。例えば、第2の半導体層14は、SiおよびGeの少なくとも一方を含むドナードーパントを含んでもよい。第2の半導体層14には、後述する多孔度処理ステップにおいて目的とする細孔形成を可能とするために、比較的高いドナー密度が設けられる。比較的高いドナードーパント密度を有する第2の半導体層14を提供することによって、多孔度処理は第2の半導体層14を選択的に対象とする。
【0058】
第2の半導体層14は、第1の半導体層12の主表面を横切る実質的に連続した層に形成されてもよい。したがって、第1および第2の半導体層12、14は、基板を横切って実質的に連続的に設けられてもよい。第2の半導体層14は、第2の半導体層14の第1の半導体層12とは反対側の第2の表面15を有する。
【0059】
第2の半導体層14の第2の表面15は、第1の面内格子定数を有する。第2の半導体層14は、ウルツ鉱型結晶構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の半導体層14は、第1の表面13に平行に設けられた(0001)結晶面を有する第1の半導体層12上に形成されてもよい。そのため、(0001)結晶面に配向した第2の表面を有する第2の半導体層14の面内格子定数は、a(またはb)格子定数を反映した定数であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層14は、基板に垂直な方向に、または少なくとも50nmの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の半導体層14は、2000nm以下の厚さを有してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層12は、少なくとも100nmの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の半導体層12は、2000nm以下の厚さを有してもよい。
【0062】
第2の半導体層14は、III族窒化物半導体層を製造するための任意の適切なプロセスを使用して形成されてもよい。例えば、MOCVD法またはMBE法である。したがって、第2の半導体層14は、第1の半導体層12と同様の方法で、同様の装置を用いて形成されてもよい。
【0063】
図2に示すように、第2の半導体層14の形成に続いて、第2の半導体層14の主表面上に第3の半導体層16が形成される。このように、第3の半導体層16は、第2の半導体層14の第1の半導体層12とは反対側に形成される。第3の半導体層16は、モノリシック成長スタック10の成長表面11を提供する。
【0064】
第3の半導体層16は、III族窒化物を含む。第3の半導体層16は、第2の半導体層14の第1の組成とは異なる第2の組成を有する。第2の半導体層14と第3の半導体層16との組成の違いにより、圧縮歪み下で第3の半導体層16が形成される。すなわち、第2および第3の半導体層の面内格子定数の差により、形成中の第3の半導体層16が圧縮歪みを受ける。したがって、(第3の半導体層16の)第2の組成を有する歪みのない薄膜の面内格子定数は、(第2の半導体層14の)第1の組成を有する歪みのない薄膜の面内格子定数より大きい。
【0065】
第3の半導体層16は、第2の半導体層14とコヒーレントであってもよい結晶構造で形成される。したがって、第3の半導体層16と第2の半導体層14との界面は、コヒーレント界面であってもよい。熱処理プロセス(以下により詳細に説明する)に続いて、第3の半導体層16は緩和して歪み緩和された第3の半導体層16を形成する。歪み緩和された第3の半導体層16は、第2の面内格子定数を有するモノリシック成長スタック10の成長表面11の一部を形成する歪み緩和表面を有する。第2の面内格子定数は、第2の半導体層14の第1の面内格子定数よりも大きい。いくつかの実施形態では、歪み緩和された第3の半導体層16は、第1の半導体層12および第2の半導体層14と同様のウルツ鉱型結晶構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、第1および第2の表面13、15に平行に設けられた(0001)結晶面を有する第1および第2の半導体層12、14上に形成されてもよい。
【0066】
例えば、図2の実施形態では、第3の半導体層16は、InGa1-XNを含んでもよく、0<X≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第3の半導体層16はInGa1-XNを含んでもよく、0.03<X≦0.2である。したがって、第3の半導体層16のIn含有率は、所望の面内格子定数を有するメサ表面を与えるように選択すればよい。
【0067】
図2の実施形態では、第2の半導体層14の第1の組成はGaNを含む。第3の半導体層16の第2の組成はInGa1-XNを含んでもよく、0<X≦1である。したがって、第2の組成を有する第3の半導体層16と第1の組成を有する第2の半導体層14とを形成することにより、第2の半導体層12上に第3の半導体層16が圧縮歪み下で形成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は実質的にドープされていない層であってもよい。すなわち、第3の半導体層16は、意図的なドーピングを行わずに形成されてもよい。例えば、第1の実施形態の形成方法では、第3の半導体層16は、実質的にドープされていない層である。いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、ドーパント、例えばドナードーパントを含んでもよい。第3の半導体層がドーパントを含む実施形態では、第3の半導体層は、第2の半導体層14のドナー密度以下のドナー密度でドープされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第3の半導体層15のドナー密度は、第2の半導体層14のドナー密度の50%、25%、10%、5%、1%または0.1%以下であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、少なくとも200nmの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、10μm以下の厚さを有してもよい。例えば、図2の第3の半導体層16は、少なくとも1μmの厚さおよび10μm以下の厚さを有することができる。
【0070】
図2に示すように、第3の半導体層16は、実質的に連続したIII族窒化物半導体の層から形成されたバルク半導体層である。モノリシックLEDスタック20を形成するための歪み緩和表面(成長表面11)を形成するために、第3の半導体層16が設けられることが理解されよう。他の実施形態では、第3の半導体層16は、超格子構造を形成する複数のIII族窒化物層を備えてもよい。例えば、第3の半導体層16は、交互スタック内に配置された複数の第1および第2のIII族窒化物層を備えてもよく、第1および第2のIII族窒化物層は異なる格子定数を有する。例えば、超格子構造の一例は、InGa1-YNの層とGaNの層との交互スタックであり、0<Y≦1である。
【0071】
第3の半導体層16の形成に続いて、第2の半導体層14の面積多孔度を少なくとも15%まで増大させるために、第2の半導体層14は多孔度処理プロセスを受ける。III族窒化物層の多孔度を増大させる方法は、当業者に知られている。例えば、「In-plane bandgap control in porous GaN through electroless wet chemical etching」、Xiuling Li,Young Woon-Kimら、Applied Physics Letters、第8巻第6号、2002年2月11日は、n型ドープIII族窒化物層の多孔度を増大させるためのいくつかのプロセスを記載している。
【0072】
本開示による方法では、少なくとも5×1018cm-3のドナー密度を有する第2の半導体層14に選択的に多孔度処理を施して、第2の半導体層の面積多孔度を増大させることができる。第2の半導体層のドナー密度は、多孔度処理プロセスが第2の半導体層14の多孔度を選択的に増大させることを可能にする。
【0073】
例えば、多孔度処理は、モノリシック成長スタックの層に電気化学的処理プロセスを施すことを含み得る。電気化学的処理プロセスは、シュウ酸浴にモノリシック成長スタックを浸漬することを含み得る。シュウ酸浴とモノリシック成長スタック10との間に電気的接続が行われる。第2の半導体層14内に細孔を電気化学的に形成するために、シュウ酸浴の電気接点とモノリシック成長スタックとの間に電流が流される。いくつかの実施形態では、シュウ酸浴は、0.03M~0.3Mの濃度を有するシュウ酸溶液を含む。他の実施形態では、シュウ酸浴は、KOHまたはHClなどの他の電解質の代わりに使用されてもよい。電気化学プロセスに印加される電気バイアスのレベルは、使用される電気化学溶液、ならびに浴およびモノリシック成長スタック10の相対的な寸法に依存する。多孔度処理のさらなる例は、ACS Applied Nano Materials、2020、3、399-402および米国特許出願公開第2017/0237234号に記載されている。
【0074】
多孔度処理プロセスは、第2の半導体層14に存在する細孔の形成またはサイズの増大をもたらす。第2の半導体層14の多孔度は、面積多孔度によって特徴付けることができる。面積多孔度は、材料を通る(すなわち、第2の半導体層14を通る)断面に存在する細孔の面積分率である。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層14’は、少なくとも15%の面積多孔度を有する。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層14’は、少なくとも30%の面積多孔度を有する。多孔質半導体層14’にそのような面積多孔度を提供することにより、第3の半導体は、その後の熱処理プロセス中により大きな程度まで歪み緩和することができる。重要なことに、多孔質半導体層14’を設けることは、半ループ転位としての多孔質半導体層14’内のミスフィット転位の伝播を可能にする。したがって、第3の半導体層16の歪み緩和は、第3の半導体層16における貫通転位の伝播よりもむしろ、多孔質半導体層14’における半ループ転位の優先的な伝播をもたらす。したがって、多孔質半導体層14’を設けることにより、第3の半導体層16の欠陥密度を低減することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、多孔質半導体層14’は、80%以下の面積多孔度を有する。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層14’は、50%以下の面積多孔度を有する。したがって、多孔質半導体層14’の構造的完全性は、多孔度処理プロセス後に維持され得る。
【0076】
図3に示すように、多孔度処理プロセス後、第2の半導体層14は多孔質半導体層14’である。したがって、モノリシック成長スタック10は、第1の半導体層12および第3の半導体層16から形成され、第1の半導体層12と第3の半導体層16との間に多孔質半導体層14’が設けられている。
【0077】
第1の実施形態による方法では、LEDアレイ前駆体の各LED前駆体1に対してメサ構造を画定するために、第3の半導体層16がさらに処理される。第1の実施形態の形成方法では、多孔度処理プロセスの後にメサ構造を形成する。もちろん、他の実施形態では、メサ構造の形成後に多孔度処理プロセスを実行することができる。したがって、図4に示すように、複数のモノリシック成長スタック10が設けられ、LEDアレイ前駆体の各LED前駆体1に対して1つのモノリシック成長スタック10が設けられる。
【0078】
図4に示すように、複数のモノリシック成長スタック10が形成される(図4に破線で示す)。複数のモノリシック成長スタック10は、互いに離間してモノリシック成長スタック10のアレイを形成する。モノリシック成長スタック10のアレイは、2次元アレイで第1の半導体層12を横切って離間されてもよい。複数のモノリシック成長スタック10は、例えば正方形の充填配置、または代替的に六角形の充填配置を有する2次元アレイで離間されてもよい。モノリシック成長スタック10のアレイは、LEDアレイ前駆体におけるLED前駆体の配置を画定する。したがって、第1の実施形態による方法は、第1の半導体層12にわたってアレイとして配置された複数のLED前駆体を製造するために使用されてもよいことが理解されよう。
【0079】
図4に示すように、第1の実施形態のモノリシック成長スタック10は、第3の半導体層16の厚さにわたって第3の半導体層16の一部を成長表面11から選択的に除去することによって形成される。したがって、各モノリシック成長スタック10の成長表面11は、第3の半導体層16のメサ表面30と、メサ表面30を囲む第3の半導体層16の側壁表面32とを含む。図4において、第3の半導体層16は、モノリシック成長スタック10の成長表面11が多孔質半導体層14’の表面を含むように、その厚さ全体にわたって(成長表面11に垂直な厚さ方向に)選択的に除去される。したがって、モノリシック成長スタック10の成長表面11は、第3の半導体層16を含むメサ構造を画定するように成形される。
【0080】
第1の実施形態の方法によれば、選択的除去プロセスは、熱処理プロセスの前に実行される。熱処理プロセスの前に選択的除去プロセスを実行することによって、各メサ構造には、熱処理プロセス中に第3の半導体層16が歪み緩和し得る各メサ構造間の追加の空間体積が設けられる。第3の半導体層16に歪み緩和可能な追加体積を設けることで、メサ表面の面内格子定数の増大をより大きくすることができる。これにより、デバイスの活性層を形成するときに形成される歪みを低減することができ、それによってLED効率を改善することができる。
【0081】
第3の半導体層16のメサ構造は、選択的除去プロセスを用いて成形されてもよい。このように、第3の半導体層16の一部を選択的に除去して、図4に示すメサ構造を形成してもよい。例えば、図4において、成長表面11は、エッチングプロセスを使用して成形することができる。エッチングプロセスにおいて、メサ画定マスク層(図示せず)が第3の半導体層16の表面上に堆積されてもよい。メサ画定マスク層は、モノリシック成長スタック10のメサ表面30を形成するように意図された第3の半導体層16の部分をマスクするように構成されてもよい。次いで、第3の半導体層16のマスクされていない部分を、エッチング剤を使用して選択的に除去することができる。エッチング剤は、第3の半導体層16の一部をエッチング除去して多孔質半導体層14’の表面を露出させてもよい。もちろん、他の実施形態では、エッチング剤は、下の多孔質半導体層14’を露出させるように第3の半導体層の厚さを完全にエッチングしなくてもよい。次いで、メサ画定マスク層を第3の半導体層16から除去することができる。上記のプロセスに従うことによって、第3の半導体層16は、メサ表面30と、第3の半導体層16によって形成された側壁表面32とを含む成長表面11を提供するように成形されてもよい。
【0082】
各モノリシック成長スタックのメサ表面30は、所望の任意の形状を有することができる。各メサ表面30の形状は、メサ画定マスク層の形状によって決定されてもよい。例えば、メサ表面30は、楕円形、三角形、長方形、または六角形、または実際には任意の規則的または不規則な多角形形状を有することができる。いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体の各メサ表面30は同じ形状を有することができ、それによってモノリシック成長スタックの比較的均一なアレイを提供する。もちろん、他の実施形態では、メサ表面30は異なる形状を有してもよい。
【0083】
メサ表面30(すなわち、メサ表面30の周囲)の形状は、第3の半導体層16の側壁表面32の形状に影響を与える。例えば、メサ表面30が楕円形状である場合、側壁表面32は、単一の連続表面として設けられてもよい。他の実施形態では、例えば、メサ表面30が規則的または不規則な多角形形状を有する場合、複数の側壁表面32があってもよく、一方の表面は、メサ表面30の規則的または不規則な多角形形状の各辺に対応する。
【0084】
図4では、モノリシック成長スタック10は、第3の半導体層16のメサ表面30に対して実質的に垂直に延在する側壁表面32を有して示されている。他の実施形態では、メサ構造の側壁表面は、メサ表面30に対して異なる角度傾斜で形成されてもよい。すなわち、側壁表面32は傾斜していてもよい。このように、第3の半導体層16によって形成されるメサ構造は、メサ表面30に垂直な面において台形状の断面を有してもよい。
【0085】
図4の図において、メサ構造は、多孔質半導体層14’から100μm以下の距離だけ延在してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、10μm以下のメサ表面に垂直な方向の厚さを有してもよい。特に、いくつかの実施形態では、メサ構造は、多孔質半導体層14’から1μm~5μmの距離だけ延在してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第3の半導体層16は、約1μm~5μmのメサ表面に垂直な方向の厚さを有してもよい。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態では、メサ表面30は各々、少なくとも1μm×1μmの表面積寸法を有することができる。したがって、メサ表面が完全に緩和するためには、弾性変形メカニズムは十分ではない。すなわち、ミスフィット転位の伝播は、メサ表面が所望の格子定数に歪み緩和することができるメカニズムを提供することができる。重要なことに、多孔質半導体層14’の存在は、ミスフィット転位が半ループ転位として優先的に伝播する領域を提供し、それによって欠陥密度が低減されたメサ構造を提供する。III族窒化物ヘテロ界面におけるミスフィット転位に関するさらなる情報は、少なくとも「Basal-plane Slip in InGaN/GaN Hetero Structures in the Presence of Threading Dislocations」、Applied Physics Letters、第90巻、2007年、に見出すことができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、メサ表面30は各々、100μm×100μm以下の表面積寸法を有することができる。
【0088】
第3の半導体層16内にメサ構造を形成した後、モノリシック成長スタック10の成長表面の面内格子定数を増大させるために、モノリシック成長スタックの層は熱処理プロセスを受ける。
【0089】
熱処理プロセスは、モノリシック成長スタック10の第3の半導体層16を歪み緩和温度まで加熱することを含む。歪み緩和温度は、第3の半導体層16を多孔質半導体層14’上で歪み緩和させる。したがって、熱処理プロセスに続いて、第3の半導体層16の成長表面11の面内格子定数が増大する。
【0090】
熱処理プロセスは、第3の半導体層16の面内格子定数が、堆積中の第3の半導体層16の面内格子定数に対して増大するように、第3の半導体層16が歪み緩和することを可能にする。
【0091】
いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、第3の半導体層16を室温から歪み緩和温度まで加熱することを含む。歪み緩和温度は、圧縮歪みを受けた第3の半導体層16を変形させるのに十分な温度である。例えば、いくつかの実施形態では、歪み緩和温度は、少なくとも500°Cの温度であってもよい。したがって、第3の半導体層は、第3の半導体層が圧縮されることから生じる機械的ポテンシャルエネルギーを放出する温度まで加熱されてもよい。
【0092】
第3の半導体層16の歪み緩和は、第3の半導体層16と第2の半導体層14との界面に向かって(ミスフィット)転位の形成をもたらし得る。熱処理プロセスの結果として、歪み緩和は、c面を横断する方向ではなく、実質的に多孔質半導体層14’のc面を横切って界面に向かって、または多孔質半導体層14’と第3の半導体層16との間の界面でミスフィット転位が伝播する(すなわち、ミスフィット転位はc面内で滑る)ことによって起こり得る。転位の伝播は、第3の半導体層16の歪みが緩和するように、形成中の第3の半導体層16の歪みの少なくとも一部を緩和する。したがって、第3の半導体層16の歪みは、貫通転位の伝播ではなく、ミスフィット転位の伝播によって緩和する。その結果、熱処理プロセスは、転位が伝播する狭いバンドの上方の第3の半導体層16の領域における歪みを低減することができる。多孔質半導体層14’内に空隙およびダングリングボンドが存在すると、多孔質半導体層14’内のミスフィット転位の伝播が改善される。したがって、第3の半導体層16は、多孔質半導体層14’の上で効果的に歪み緩和する(すなわち、滑る)。ミスフィット転位の伝播のさらなる議論は、少なくともMeiら、Basal-plane Slip in InGaN/GaN Hetero Structures in the Presence of Threading Dislocations、Applied Physics Letters、第90巻、2007年、およびFloro J.A.ら、Misfit Dislocation Formation in the AlGaN/GaN Heterointerface、Journal of Applied Physics、第96巻、2004年、に見出すことができる。
【0093】
第3の半導体層16が第2の半導体層14とコヒーレント界面を形成する実施形態では、熱処理プロセスにより、第2の半導体層14と第3の半導体層16との間の界面はコヒーレント界面ではなくなることが理解されよう。
【0094】
熱処理プロセスは、材料をアニーリングするための任意の適切な方法によって提供されてもよい。例えば、熱処理ステップは、第3の半導体層16を室温から第1の歪み緩和温度まで加熱してもよい。第3の半導体層16は、第1の歪み緩和温度で第1の期間保持されてもよい。次いで、第3の半導体層16を室温に冷却してもよい。熱処理ステップは、空気中で、例えばホットプレート上で、またはオーブン内で行われてもよい。熱処理プロセスはまた、制御雰囲気中で行われてもよい。制御雰囲気では、酸素および水などの大気化合物は、大幅に低減または完全に排除され得る。例えば、制御雰囲気は、NH、Ar、またはN雰囲気であってもよい。いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、NおよびNHを含む制御雰囲気下で形成されてもよい。制御雰囲気下で熱処理プロセスを実行することにより、熱処理プロセス中に第3の半導体層16の表面で起こる望ましくない化学反応を低減または排除することができる。例えば、いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、モノリシックLEDスタックを形成するプロセスの直前に(すなわち、MOCVD反応器内でその場で)実行することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、第3の半導体層を少なくとも500°Cの第1の歪み緩和温度まで加熱することができる。いくつかの実施形態では、第1の歪み緩和温度は、少なくとも800°C、950°C、1000°C、または1050°Cであってもよい。第1の期間は、少なくとも5分であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも10分、20分、30分または1時間であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、熱処理ステップは、第3の半導体層16を800°Cに加熱し、第3の半導体層をこの温度に1時間保持し、続いて室温に冷却することを含んでもよい。より高い第1の歪み緩和温度では、第1の期間を短縮することができる。
【0096】
多孔度処理プロセスに続いて熱処理ステップを実行することにより、第3の半導体層16と第2の半導体層14との界面を伝播するミスフィット転位は、第2の半導体層14に細孔が存在することに起因して、より一層伝播し易くなる。
【0097】
次に、モノリシック成長スタック10の各々の成長表面11上にモノリシックLEDスタック20を形成することができる。
【0098】
各LED前駆体1について、モノリシックLEDスタック20が成長表面11上に形成される。図5に示すように、モノリシックLEDスタック20は、メサ表面30および側壁表面32を覆う。モノリシックLEDスタック20は、複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、III族窒化物層は、AlInGaN、AlGaN、InGaN、およびGaNのうちの1つまたは複数を含む。図5に示す第1の実施形態では、モノリシックLEDスタック20は、第4の半導体層40、活性層22、およびp型半導体層24を備える。
【0099】
図5に示すように、モノリシック成長スタック10の成長表面11上に第4の半導体層40が形成される。これにより、第4の半導体層40は、第3の半導体層16のメサ表面30および第3の半導体層16の側壁表面32を覆う。このように、第4の半導体層40は、第3の半導体層16の多孔質半導体層14’とは反対側の第3の半導体層16上に形成される。
【0100】
第4の半導体層40は、III族窒化物の成長のための任意の適切な方法によって成長表面11上に形成されてもよい。図5の実施形態において、第4の半導体層40は、成長表面11の上にモノリシックに形成される(すなわち、過成長法)。図5に示すように、第4の半導体層40は、成長表面11の全体を実質的に覆う略連続した層として形成されてもよい。
【0101】
図5に示すように、第4の半導体層40は、第3の半導体層16のメサ表面30上の第4の半導体層40のメサ部分44から多孔質半導体層14’に向かって延在する略傾斜した側壁部分42を形成するように、成長表面11上に形成される。第4の半導体層40はまた、各モノリシックLED前駆体1の傾斜した側壁部分42の間の多孔質半導体層14’の表面上に延在するバルク部分46を含む。
【0102】
したがって、第3の半導体層16のメサ構造上に第4の半導体層40を過成長させて、傾斜した側壁表面42によって囲まれた第4の半導体層のメサ表面44を含むIII族窒化物半導体層を設けることができる。このように、第4の半導体層40は、第3の半導体層16のメサ構造上に過成長して、メサ表面30に垂直な平面内に規則的な台形断面を有するカラムを形成してもよく、第4の半導体層のメサ表面44は台形断面の実質的に平坦な上面を形成する。規則的な台形断面とは、カラムが底部よりも頂部で狭く、側面に傾斜を有する実質的に平坦な上面を有することを意味する。これは、円錐台形状、または3つ以上の辺、典型的には6つの辺を有する円錐台形状をもたらし得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、例えば図5に示すように、第4の半導体層40の側壁部分42は、成長表面11のメサ表面30に平行な面に対して実質的に一定の角(α)を有する。すなわち、第4の半導体層40の側壁表面とメサ表面30に平行な面とのなす角αは大きく変化しない。例えば、いくつかの実施形態では、角αは、70度以下で少なくとも50度であってもよく、いくつかの実施形態では、角αは、58度~64度であってもよい。
【0104】
したがって、いくつかの実施形態では、第4の半導体層の側壁部分42は、第3の半導体層16の結晶構造の(0001)面に対して傾斜していてもよい。傾斜した側壁は、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【数1】

に沿って配向されてもよく、C面表面(半極性表面)と比較して偏光場が減少する。
【0105】
あるいは、例えば、第2の実施形態に関連して説明したように、第4の半導体層40は、各モノリシック成長スタック10のメサ表面30および側壁表面32を覆い、第3の半導体層16のメサ構造を囲む多孔質半導体層14’の領域にわたって延在する、略不連続な層として形成されてもよい。第4の半導体層40は、III族窒化物膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えばMOCVDまたはMBEを使用して堆積されてもよい。
【0106】
第4の半導体層40は、III族窒化物を含む。図5の実施形態において、第4の半導体層40はGaNを含む。いくつかの実施形態では、第4の半導体層40はn型ドープされてもよい。第4の半導体層40は、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。図5の実施形態では、第4の半導体層40は意図的にドープされていない。したがって、第4の半導体層40は(実質的に)ドープされていない層であってもよい。実質的にドープされていないことにより、III族窒化物は、有意な量のドーパント元素を含まないが、製造プロセスの結果としていくらかの不純物が存在し得ることが理解される。ドープされていない半導体から第4の半導体層40を形成することによって、LED前駆体を通る電荷キャリアの流れをメサ構造内により効率的に閉じ込めることができる。
【0107】
第3の半導体層16によって提供される成長表面上に第4の半導体層40を成長させることによって、第4の半導体層40は、第3の半導体層16の結晶構造とコヒーレントな結晶構造を有してもよい。例えば、第3の半導体層16のメサ表面30がIII族窒化物の(0001)面に配向している場合、メサ表面30上に形成される第4の半導体層40は、コヒーレント界面を形成し、同様の(0001)結晶方位を有していてもよい。このように、メサ表面30における第4の半導体層40の面内格子定数は、メサ表面30における第3の半導体層16の面内格子定数に対応してもよい。
【0108】
次に、図5に示すように、第4の半導体層40上に活性層22が形成されてもよい。活性層22は、モノリシックLEDスタック20の一部として第1の波長の光を生成するように構成される。
【0109】
活性層22は、モノリシックLEDスタック20の一部として第1の波長の光を生成するように構成される。図5の実施形態では、活性層22は、1つまたは複数の量子井戸層(図示せず)を含むことができる。したがって、活性層22は多重量子井戸層であってもよい。活性層22内の量子井戸層は各々、III族窒化物半導体、例えばInを含むIII族窒化物合金を含むことができる。図5の実施形態では、活性層22は、GaNとInGa1-Z との交互層を含み、0<Z≦1である。特に、いくつかの実施形態では、活性層は、InGa1-ZN層を含み、0.2≦Z≦0.5であってもよい。したがって、モノリシックLEDスタックの活性層22は、少なくとも525nmの波長を有する光を出力するように構成されてもよい。量子井戸層の厚さおよびIn含有率は、活性層22によって生成される光の波長を制御するために制御されてもよい。活性層22は、露出した成長表面の実質的な部分を覆う連続層として形成されてもよい。活性層22は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えばMOCVDまたはMBEを使用して堆積されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、活性層22は、歪み界面層(図示せず)を備えてもよい。当該技術分野で知られているように、歪み界面層は、成長表面11と多重量子井戸構造との間に形成されてもよい。
【0111】
第4の半導体層40上への活性層22の堆積は、第4の半導体層のメサ部分44では比較的高い堆積速度で、第4の半導体層42の傾斜した側壁部分では著しく低い堆積速度で起こり得る。この効果は、様々な表面の異なる結晶面配向から生じ、傾斜した側壁部分42上よりもメサ表面30上の活性層22が厚くなる。この効果は、英国特許第1811190.6号明細書にさらに詳細に記載されている。
【0112】
したがって、活性層22は、第4の半導体層40のメサ部分44の上に延在する活性層メサ部分23を含んでもよい。活性層22はまた、第4の半導体層40の側壁部分42の上に延在する活性層側壁部分28を含んでもよい。活性層側壁部分28は、活性層メサ部分23を囲み、活性層メサ部分23から多孔質半導体層14’に向かって延在する。したがって、活性層側壁部分28は、第4の半導体層の傾斜した側壁部分42と略整列する。
【0113】
活性層22はまた、各モノリシックLED前駆体1の活性層側壁部分28の間の第4の半導体層40のバルク部分46の上に延在する活性層バルク部分29を含むことができる。
【0114】
活性層22を含むモノリシックLEDスタック20を形成するための様々な方法論が当業者に知られていることが理解されよう。したがって、図1図5に関連して説明された方法論は、モノリシックLEDスタック20を形成する可能な方法論の一例にすぎないことが理解されるであろう。例えば、図5の実施形態では、活性層22は、少なくとも30nmおよび150nm以下の成長表面にほぼ垂直な方向の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、活性層22は、少なくとも40nmから60nm以下の厚さ方向の厚さを有することができる。
【0115】
次いで、モノリシックLEDスタック20のさらなる層を、活性層22のモノリシック成長スタック10とは反対側の活性層22上に堆積させることができる。例えば、図5に示すように、続いて、活性層22上にp型半導体層24が形成される。
【0116】
図5に示すように、p型半導体層24は活性層22上に設けられる。p型半導体層24は、III族窒化物を含む。p型半導体層24は、適切な電子アクセプタ、例えばMgでドープされる。p型半導体層24は、活性層24の露出表面の実質的な部分(例えば、すべて)を覆う実質的に連続した層として形成されてもよい。p型半導体層は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えばMOCVDまたはMBEを使用して形成されてもよい。
【0117】
図5に示すように、p型半導体層24は、活性層22の露出表面上に形成される。したがって、図5の実施形態では、p型半導体層24は、略連続した層である。もちろん、他の実施形態では、p型半導体層24は不連続層として形成されてもよい。
【0118】
p型半導体層24は、少なくとも50nm、60nm、70nm、80nm、または100nmの(メサ表面30に垂直な厚さ方向の)厚さを有することができる。さらに、p型半導体層24は、300nm、250nm、または200nm以下の厚さを有することができる。例えば、図5の実施形態では、p型半導体層24は、約100nmの厚さを有することができる。
【0119】
各LED前駆体のp型半導体層24は、p型メサ部分25と、1つまたは複数のp型側壁部分26とを含むことができる。p型メサ部分25は、モノリシック成長スタック10のメサ表面30と実質的に整列してもよい。p型側壁部分26は、p型メサ部分25を囲み、p型メサ部分25から多孔質半導体層14’に向かって延在する。したがって、p型側壁部分26は、第4の半導体層42の傾斜側壁部分と略整列する。p型半導体層24はまた、各モノリシックLED前駆体1のp型側壁部分26の間の活性層バルク部分29上に延在するp型バルク部分27を含むことができる。
【0120】
したがって、図5は、本開示によるLEDアレイ前駆体の一実施形態を示す。LEDアレイ前駆体は、上述の方法に従って製造することができる。本開示における前駆体という用語の定義によれば、図5のLEDアレイ前駆体は、LED前駆体の各々への電気接点を形成するためにさらなる製造ステップを受けることができることが理解されよう。したがって、LEDおよび/またはLEDアレイを提供するために、LEDアレイ前駆体がさらなる製造ステップを受けてもよいことが理解されよう。
【0121】
例えば、第1の実施形態によるモノリシックLED前駆体のうちの1つの独立した制御を提供するために、少なくともp型メサ部分25の一部、またはメサ表面30を囲むp型側壁部分26を選択的に除去することができる。したがって、各モノリシックLED前駆体1のp型メサ部分25には、他のp型メサ部分25とは独立して電力(すなわち、電流/電圧)を供給することができる。そのような選択的除去プロセスは、モノリシックLED前駆体1への電気接点を形成するプロセスの一部として実行することができる。
【0122】
特に、いくつかの実施形態では、モノリシック成長スタック10は、マイクロLED前駆体および/またはマイクロLEDアレイ前駆体を提供するためのサイズにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、各マイクロLED前駆体のモノリシックLEDスタック20は、第1の半導体層12上のフットプリントが100μm×100μm未満であってもよい。したがって、各LED前駆体は、モノリシックLEDスタック20が100μm×100μm未満の第1の半導体層12と整列した平面内の表面積寸法を有するマイクロLED前駆体であってもよい。
【0123】
図1図5を参照して説明した方法によれば、LED前駆体1が提供される。したがって、本開示によるLED前駆体1の一実施形態を図5に示す。図5のLED前駆体1は、モノリシック成長スタック10およびモノリシックLEDスタック20を備える。モノリシック成長スタック10は、第1の半導体層12、第2の半導体層14、および第3の半導体層16を備える。モノリシックLEDスタックは、活性層22およびp型半導体層24を備える。モノリシック成長スタック10およびモノリシックLEDスタック20の各層は、上述のLED前駆体1を形成する方法の説明による特性を有することができる。
【0124】
本開示の第2の実施形態によれば、LED前駆体1が提供される。いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体を形成するように配置された複数のLED前駆体1が提供されてもよい。例えば、第2の実施形態による複数のLED前駆体を含むLEDアレイ前駆体は、図3図6、および図7に示す方法を使用して形成することができる。
【0125】
本開示の第2の実施形態による方法は、各LED前駆体1についてモノリシック成長スタック10およびモノリシックLEDスタック20を形成することを含む。第1の実施形態と同様に、モノリシックLEDスタック20は、それぞれのモノリシック成長スタック10の成長表面11上に形成される。第1、第2の実施形態の同様の特徴は、対応する参照番号を有する。図3は、第2の実施形態のモノリシック成長スタック10を形成するために使用される層の図を示す。図3に示すように、モノリシック成長スタック10は、第1の半導体層12、多孔質半導体層14’、および第3の半導体層16から形成される。前述のように、図3の多孔質半導体層14’は、多孔度処理プロセスを受けた第2の半導体層14から形成される。
【0126】
第3の半導体層16は、第1の実施形態の方法と同様に、複数のメサ構造を形成するために、熱処理プロセスの前に選択的除去プロセスを受ける。選択的除去ステップを使用して形成された各メサ構造は、LEDアレイ前駆体のLED前駆体を画定するために使用されてもよい。メサ構造は、上記の第1の実施形態について説明したように、2次元アレイに配置されてもよい。第2の実施形態の方法が第1の実施形態の方法と異なる点は、選択的除去ステップが、第3の半導体層16の一部と、各メサ構造を囲む多孔質半導体層14’の一部とを除去する点である。
【0127】
例えば、図6に示すように、選択的除去プロセスは、第3の半導体層16の(メサ表面30に垂直な厚さ方向における)厚さおよび多孔質半導体層14’の厚さにわたって、成長表面11から第3の半導体層16の一部を選択的に除去している。したがって、モノリシック成長スタック10の各々の成長表面11は、第3の半導体層16のメサ表面、第3の半導体層16の側壁表面32、および多孔質半導体層14’の多孔質側壁表面34を含む。したがって、図6に示すように、第3の半導体層16および多孔質半導体層14’は、第1の半導体層12の第1の表面13が各メサ構造の間に露出するように、それらの厚さ全体にわたって選択的に除去される。選択的除去プロセスは、第1の実施形態について上述した選択的除去プロセスと同様の方法でエッチング剤を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、選択的除去プロセスはまた、第1の半導体層12の一部を選択的に除去してもよい。したがって、メサ構造は、モノリシック成長スタック10(図6に破線で示す)によって画定することができる。
【0128】
第1の実施形態と同様に、第3の実施形態におけるメサ表面30の形状は任意の形状であってよい。さらに、側壁表面32および多孔質側壁表面34は、メサ表面30に対して任意の傾斜角で形成されてもよい。このように、第3の半導体層16および多孔質半導体層14’によって形成されるメサ構造は、メサ表面30に垂直な面において台形状の断面を有してもよい。
【0129】
メサ構造の形成に続いて、熱処理プロセスが実行される。熱処理プロセスは、実質的に第1の実施形態について説明したように実行することができる。熱処理プロセスは、第3の半導体層16の歪み緩和を可能にし、成長表面の面内格子定数が増大する。歪み緩和の後、第3の半導体層16と多孔質半導体層14’との界面はもはやコヒーレントではない。
【0130】
次に、モノリシック成長スタック10の各々の成長表面11上にモノリシックLEDスタック20を形成することができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、モノリシックLEDスタック20は、例えば、第1の実施形態に関して上述したように、実質的に連続した層として成長させることができる。
【0132】
他の実施形態では、例えば第2の実施形態に示すように、モノリシック成長スタック20は、略不連続な層として形成されてもよい。
【0133】
図6に示すように、モノリシック成長スタック10の形成に続いて、多孔質半導体層14’の露出表面上にマスキング層50が設けられる。マスキング層50は、マスキング層50上で核生成(すなわち、開始)する第4の半導体層40の成長を防止するか、または大幅に低減するように構成される。マスキング層は、各モノリシック成長スタック10の成長表面11を、メサ表面30およびモノリシック成長スタック10の側壁表面に制限するように構成される。このように、第2の実施形態におけるマスキング層50は、第4の半導体層40のバルク部分46の形成を低減または防止するように構成される。したがって、マスキング層50の使用は、不連続なモノリシックLEDスタック20を形成する方法の一例である。
【0134】
いくつかの実施形態では、マスキング層50は、SiO、SiN、または誘電体材料(すなわち、誘電体層)などの任意の他の適切なマスキング材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、マスキング層50は、少なくとも50nmのメサ表面30に垂直な方向の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、マスキング層50のメサ表面30に垂直な方向の厚さは、500nm以下であってもよい。
【0135】
次に、モノリシック成長スタック10のアレイの(不連続な)成長表面11上にモノリシックLEDスタック20を形成することができる。結果として得られる構造を図7に示す。第4の半導体層40は、第3の半導体層16のメサ表面30上の第4の半導体層40のメサ部分44から多孔質半導体層14’に向かって延在する略傾斜した側壁部分42を形成するように、成長表面11上に形成される。第4の半導体層40は、マスキング層50上で成長しないか、または著しく減少した速度で成長する。マスキング層50に重なる第4の半導体層40の領域は、メサ構造の側壁表面32から延在する第4の半導体層40の成長から生じることが理解されよう。
【0136】
したがって、第3の半導体層16のメサ構造上に第4の半導体層40を過成長させて、傾斜した側壁表面42によって囲まれた第4の半導体層のメサ表面44を含むIII族窒化物半導体層を設けることができる。このように、第4の半導体層40は、第3の半導体層16のメサ構造上に過成長して、メサ表面30に垂直な平面内に規則的な台形断面を有するカラムを形成してもよく、第4の半導体層のメサ表面44は台形断面の実質的に平坦な上面を形成する。規則的な台形断面とは、カラムが底部よりも頂部で狭く、側面に傾斜を有する実質的に平坦な上面を有することを意味する。これは、円錐台形状、または3つ以上の辺、典型的には6つの辺を有する円錐台形状をもたらし得る。
【0137】
第4の半導体層40は、第1の実施形態で使用されたのと同様の材料から、上述したのと同様のプロセスを用いて形成されてもよい。
【0138】
次いで、活性層22およびp型半導体層24を第4の半導体層40上に形成することができる。
【0139】
図7に示すように、活性層22は、各モノリシックLED前駆体1について、活性層メサ部分23と、活性層側壁部分28とを含む。活性層22は、第1の実施形態で説明したのと同様のプロセスを用いて形成することができる。
【0140】
図7に示すように、p型半導体層24は、p型メサ部分25とp型側壁部分26とを含む。p型半導体層24は、第1の実施形態で説明したのと同様のプロセスを用いて形成することができる。
【0141】
したがって、本開示の第2の実施形態による複数のLED前駆体1を含むLEDアレイ前駆体は、上述の方法によって形成することができる。
【0142】
本開示の第3の実施形態によれば、複数のLED前駆体1を含むLEDアレイ前駆体を形成する方法が提供される。図3図8および図9は、第3実施形態によるLEDアレイ前駆体を形成するプロセスを説明する図を示す。第3の実施形態による方法は、各LED前駆体についてモノリシック成長スタック10およびモノリシックLEDスタック20を形成することを含む。第1および第2の実施形態と同様に、モノリシックLEDスタック20は、それぞれのモノリシック成長スタック10の成長表面11上に形成される。第1、第2、および第3の実施形態の同様の特徴は、対応する参照番号を有する。前述のように、図3は、モノリシック成長スタック10を形成するために使用される層の図を示す。図3に示すように、第2の半導体層14は、第2の半導体層14が多孔質半導体層14’となるような多孔度処理プロセスを受けている。
【0143】
第3の実施形態による方法では、各LED前駆体に対してメサ構造を画定するために、第3の半導体層16がさらに処理される。第3の実施形態の方法によれば、選択的除去プロセスは、実質的に図4および第1の実施形態に関連して説明したように、または実質的に図6および本開示の第2の実施形態に関連して説明したように実行することができる。第4の実施形態の方法が第3の実施形態に関連して説明された選択的除去プロセスに等しく適用可能であることを当業者は理解するであろうが、以下の説明は、第1の実施形態および図4に示されるように実施される選択的除去プロセスに焦点を当てる。
【0144】
選択的除去ステップに続いて、モノリシック成長スタック10は、第3の半導体層16を歪み緩和するために熱処理プロセスを受ける。熱処理プロセスは、本開示の他の実施形態に関して実質的に上述したように実行することができる。
【0145】
熱処理ステップに続いて、モノリシック成長スタック10の成長表面11上にマスキング層を選択的に形成することができ、マスキング層50は、各モノリシック成長スタック10のメサ表面30と整列した開口部を含む。このように、マスキング層50は、各メサ構造の側壁表面32を覆うが、第3の半導体層16のメサ表面30を覆わないように設けられる。実効的には、マスキング層は、モノリシックLEDスタックの成長を各モノリシック成長スタック10の露出したメサ表面30に制限するように作用する。
【0146】
例えば、図8に示されるように、マスキング層50は、第3の半導体層の側壁表面32上に形成されるとともに、多孔質半導体層14’の多孔質表面15上にも形成される。したがって、マスキング層50は、第3の半導体層16の側壁部分を覆う側壁部分52と、多孔質半導体表面15の先に露出した表面を横切って延在する充填部分54とを備える。図の実施形態では、マスキング層50は、メサ構造のメサ表面30の各々に対して複数の開口部を含む単一の連続層であってもよいことが理解されよう。メサ表面30の各々のための開口部は、メサ表面30上へのマスキング層50の形成を防止するためにマスク層を使用することによって形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、メサ構造の各々を画定するために使用されるマスク層(図示せず)を画定するメサを使用して、マスキング層50の開口部を画定することもできる。
【0147】
すなわち、(メサ構造を形成するための)選択的除去プロセスおよびマスキング層50の形成の両方を、マスク層を画定するメサを除去する前に実行することができる。あるいは、マスク層を画定する別個のメサが、選択的除去プロセスおよびマスキング層50の形成のために使用されてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、マスキング層50は、SiO、SiN、または誘電体材料(すなわち、誘電体層)などの任意の他の適切なマスキング材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、マスキング層50の充填部分54は、少なくとも50nmのメサ表面に垂直な方向の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、マスキング層50の充填部分のメサ表面30に垂直な方向の厚さは、500nm以下であってもよい。マスキング層50の側壁部分52は、充填部分54に対してそれらが形成される表面に垂直な同様の厚さを有することができることが理解されよう。もちろん、側壁部分52の異なる配向に起因して、マスキング層50の側壁部分52の厚さは、充填部分54よりも厚くても薄くてもわずかに異なっていてもよいことが理解されよう。
【0149】
次に、モノリシック成長スタック10の成長表面上にモノリシックLEDスタック20を形成することができる。図9に示すように、各モノリシック成長スタック10の成長表面11は、メサ表面30に制限される。マスキング層50の存在は、マスキング層50上のモノリシックLEDスタック20の成長を防止するか、または大幅に低減する。
【0150】
したがって、図9に示すように、モノリシック成長スタック20は、モノリシック成長スタック10の成長表面11の各々に形成される。図9に示すように、モノリシックLEDスタック20は、各メサ表面30を覆う。第2および第3の実施形態とは対照的に、モノリシックLEDスタック20は、第3の半導体層16の側壁表面32上に延在しない。第1、第2および第3の実施形態と同様に、モノリシックLEDスタック20は複数の層を備える。モノリシックLEDスタック20の各層は、III族窒化物を含む。III族窒化物層のいくつかの実施形態は、AlInGaN、AlGaN、InGaN、およびGaNのうちの1つまたは複数を含む。図9に示す第4の実施形態では、モノリシックLEDスタック20は、活性層22、およびp型半導体層24を備える。
【0151】
活性層22は、第1、第2および第3の実施形態で説明した方法と同様の方法で形成することができる。
【0152】
p型半導体層24は、第1、第2および第3の実施形態で説明したp型層24と同様に形成することができる。
【0153】
したがって、複数のLED前駆体を含むLEDアレイ前駆体を、第4の実施形態の方法に従って形成することができる。第4の実施形態の方法によれば、モノリシックLEDスタックは、モノリシック成長スタック10のメサ表面30上に選択的に形成され、マスキング層50によって覆われた成長表面11の領域上には形成されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9