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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】人口推定装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022563628
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2021037601
(87)【国際公開番号】W WO2022107497
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020192387
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】川崎 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】石黒 慎
【審査官】星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-121077(JP,A)
【文献】特許第5797120(JP,B2)
【文献】特開2014-155105(JP,A)
【文献】特開2019-139462(JP,A)
【文献】特開2013-153286(JP,A)
【文献】特開2006-039771(JP,A)
【文献】特開2013-097471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00~99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯端末から定期的に送出される信号を取得する信号取得部と、
取得された前記信号をエリア毎及び推定単位期間毎に集計し、集計結果に基づいて前記エリア毎及び前記推定単位期間毎の人口を推定する推定部と、を備え、
第1エリアに滞在する第1携帯端末からの前記信号が取得された後、前記第1携帯端末からの前記信号が取得されない、通常時における前記信号の送出間隔よりも長い欠損期間が生じた場合に、前記推定部は、前記欠損期間において前記第1携帯端末に関連付けられる疑似信号を補間すると共に、前記欠損期間後に前記第1携帯端末から最初に送出される前記信号を集計対象から除外した上で、前記信号を集計する、人口推定装置。
【請求項2】
前記信号は、位置登録信号である、請求項1に記載の人口推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記欠損期間後に1回分の前記疑似信号を更に補間する、請求項1又は2に記載の人口推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記欠損期間が予め定められた閾値期間以下であるという条件を満たす場合、前記疑似信号を補間し、前記欠損期間が前記条件を満たさない場合、前記疑似信号を補間しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の人口推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記欠損期間後に前記第1携帯端末から最初に送出される前記信号により特定される前記第1携帯端末の滞在エリアが前記第1エリアと同一又は前記第1エリアからの距離が予め定められた閾値距離以内のエリアである場合に、前記第1エリアに関連付けられる前記疑似信号を補間する、請求項1~4のいずれか一項に記載の人口推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記欠損期間後に前記第1携帯端末から最初に送出される前記信号により特定される前記第1携帯端末の滞在エリアが前記第1エリアと異なる第2エリアである場合に、前記欠損期間を第1期間と前記第1期間の後の第2期間とに分割し、前記第1期間については前記第1エリアに関連付けられる前記疑似信号を補間し、前記第2期間については前記第2エリアに関連付けられる前記疑似信号を補間する、請求項1~4のいずれか一項に記載の人口推定装置。
【請求項7】
前記信号取得部は、前記携帯端末毎の最新の前記信号が送出された時刻及び前記最新の前記信号から特定される前記携帯端末の滞在位置を示す最新情報をデータベースに記憶し、
前記推定部は、前記データベースを参照することにより、前記携帯端末毎に前記欠損期間が生じているか否かを特定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の人口推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、人口推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが保持する携帯端末(移動機)から基地局に定期的に送信される位置登録信号数と、位置登録信号が送出された際の携帯端末の位置とに基づいて、単位領域(例えば250m四方又は500m四方のメッシュ)毎の人口を推定する仕組みが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5797120号公報
【文献】特開2013-121077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くのユーザが集まるイベント会場(例えば、クラシックコンサート等の会場)等においては、イベント開催中に携帯端末の電源をオフにすることが求められる場合がある。この場合、電源がオフにされた携帯端末から位置登録信号が送出されなくなってしまい、その分だけ、人口推定値が実際のユーザ数(人口)よりも少なく計算されてしまう虞がある。さらに、イベント終了後、イベント会場に集まった多くのユーザが一斉に携帯端末の電源をオンにする操作を行った場合、瞬間的に非常に多くの位置登録信号が送出される可能性がある。この場合、多くの位置登録信号がバースト的に送出された推定単位期間において、人口推定値が実際のユーザ数よりも多く計算されてしまう虞がある。以上のように、携帯端末の電源断に起因して、人口推定の誤差が大きくなる虞がある。
【0005】
本発明の一側面は、携帯端末の電源断の影響による推定誤差を低減できる人口推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る人口推定装置は、ユーザが所持する携帯端末から定期的に送出される信号を取得する信号取得部と、取得された信号をエリア毎及び推定単位期間毎に集計し、集計結果に基づいてエリア毎及び推定単位期間毎の人口を推定する推定部と、を備え、第1エリアに滞在する第1携帯端末からの信号が取得された後、第1携帯端末からの信号が取得されない、通常時における信号の送出間隔よりも長い欠損期間が生じた場合に、推定部は、欠損期間において第1携帯端末に関連付けられる疑似信号を補間すると共に、欠損期間後に第1携帯端末から最初に送出される信号を集計対象から除外した上で、信号を集計する。
【0007】
本発明の一側面に係る人口推定装置によれば、例えば携帯端末の電源がオフにされている期間等の欠損期間が生じた場合に、仮に携帯端末の電源がオンであれば取得されていたはずの信号が疑似信号として補間される。その結果、欠損期間において人口推定値が実際の人口(滞在人数)よりも少なく計算されてしまう度合いを低減できる。また、欠損期間が、電源をオフにすることが求められるイベントの開催期間等である場合、欠損期間の終了後(すなわち、イベントの終了後)の推定単位期間において、多くの携帯端末の電源が一斉にオンにされる可能性がある。この場合、当該推定単位期間における人口推定値が、上記のように複数の携帯端末からバースト的に送出される信号によって、実際の人口よりも多く計算されてしまう。一方、上記人口推定装置によれば、欠損期間後に最初に送出される信号が集計対象から除外される。その結果、当該推定単位期間における人口推定値が実際の人口よりも多く計算されてしまう度合いを低減できる。したがって、上記人口推定装置によれば、携帯端末の電源断の影響による推定誤差を低減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、携帯端末の電源断の影響による推定誤差を低減できる人口推定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る人口推定サーバを含むシステム全体の構成を示す図である。
図2】位置登録信号を用いた人口推定処理の概要を示す図である。
図3】人口推定サーバの機能構成を示す図である。
図4】最新情報の一例を示す図である。
図5】実施例及び比較例の各々の人口推定結果の一例を示す図である。
図6】比較例の処理を説明するための図である。
図7】実施例の補正処理を説明するための図である。
図8】人口推定サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図8のステップS2の処理の一例を示すフローチャートである。
図10図8のステップS2の処理の変形例を示すフローチャートである。
図11図8のステップS2の処理の変形例を説明するための図である。
図12】人口推定サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る人口推定サーバ10(人口推定装置)を含む人口推定システム1の全体構成を示す図である。図1に示されるように、人口推定システム1は、人口推定サーバ10と、複数の携帯端末20と、複数の基地局30と、データ集約サーバ40と、最新情報DB50(データベース)と、推定人口DB60と、を含む。人口推定サーバ10は、携帯端末20から送出される位置登録信号(信号)に基づいて、予め定められた推定単位期間(例えば10分等)毎及びエリア毎の人口を推定する。人口推定の単位となるエリアは、予め定められた推定単位領域であり、例えば、2分の1地域メッシュ(500m四方の領域)、4分の1地域メッシュ(250m四方の領域)等である。
【0012】
携帯端末20は、ユーザによって所持(携帯)される端末である。携帯端末20は、移動体通信機能を有する。携帯端末20は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等である。携帯端末20は、所定のタイミングで基地局30に対して位置登録信号を送出するように構成されている。具体的には、携帯端末20は、電源がオフの状態から電源がオンの状態に切り替わったタイミングで位置登録信号を送出する。また、携帯端末20は、電源がオンの状態において、所定の時間間隔(例えば60分)で定期的に位置登録信号を送出する。また、携帯端末20は、一の位置登録エリア内から他の位置登録エリア内へと移動した際(すなわち、隣接する位置登録エリア間の境界を跨いで移動した際)にも、新たに位置登録を行うために位置登録信号を送出する。ここで、位置登録エリア(LA)とは、複数の基地局30の各々によってカバーされる複数のセクタをグループ化したエリアである。
【0013】
図2は、位置登録信号を用いた人口推定処理の概要を示す図である。各基地局30は、カバーする範囲(電波が届く範囲)であるセルを分割した単位である複数のセクタSEを有する。各セクタSEは、基地局30を中心とする扇形状を有する。図2の例では、携帯端末20を所持する一のユーザが、基地局30AのセクタSEaがカバーする領域から他の基地局30BのセクタSEbがカバーする領域へと移動している。この場合、ユーザがセクタSEaに在圏しているときには、当該ユーザの携帯端末20から基地局30Aへと位置登録信号が送出される。同様に、ユーザがセクタSEbに在圏しているときには、当該ユーザの携帯端末20から基地局30Bへと位置登録信号が送出される。各基地局30は、携帯端末20から位置登録信号を受信することにより、位置登録信号が送出された時刻を示す時刻情報と、位置登録信号が送出された携帯端末20(すなわち、携帯端末20のユーザ)を識別するための識別情報(本実施形態では、ユーザを識別するユーザID)と、位置登録信号の送出元である携帯端末20の滞在エリアと、を示す情報(以下、「位置登録信号データ」という。)を取得する。滞在エリアは、例えば、位置登録信号が受信された基地局30及びセクタSEを示す基地局情報及びセクタ情報と、伝送遅延量(すなわち、位置登録信号が携帯端末20から送出されてから基地局30Aにより受信されるまでの伝送時間)と、を含む。各基地局30は、例えば、予め定められた時刻に、それまでに取得された位置登録信号データをデータ集約サーバ40に送信する。これにより、各基地局30において取得された位置登録信号データは、データ集約サーバ40に集約される。
【0014】
人口推定サーバ10は、データ集約サーバ40に集約された位置登録信号データに基づいて、エリア(本実施形態では500m四方のメッシュ)毎の人口を推定する。図3は、人口推定サーバ10の機能構成を示す図である。人口推定サーバ10は、信号取得部11と、推定部12と、を備える。
【0015】
信号取得部11は、携帯端末20から送出される位置登録信号を取得する。上述したように、あるエリアに滞在(静止)している携帯端末20からは、定期的(例えば60分に1回)に位置登録信号が取得される。本実施形態では、信号取得部11は、データ集約サーバ40に集約された位置登録信号データを取得する。また、信号取得部11は、携帯端末20毎に、最新の位置登録信号が送出された時刻及び最新の位置登録信号から特定される携帯端末20の滞在位置を示す最新情報を最新情報DB50に記憶する。例えば、信号取得部11は、各携帯端末20から新たな位置登録信号データを取得する度に、当該位置登録信号データを最新情報として最新情報DB50に記憶する。最新情報DB50に記憶される最新情報は、推定部12によって参照される。
【0016】
図4は、最新情報DB50に格納される最新情報の一例を示す図である。図4に示されるレコードの各々は、1つの最新情報(すなわち、1つの位置登録信号データ)に対応している。図4の例では、1番目のレコードに対応する最新情報(位置登録信号データ)は、時刻「2019年10月12日17時42分03秒」にユーザID「A」により識別されるユーザが所持する携帯端末20から位置登録信号が送出されたことを示している。ユーザIDは、例えばユーザが移動体通信事業者と契約している電話番号等である。また、当該最新情報は、「基地局X、セクタL、伝送遅延量100ms」から特定される滞在エリアにユーザが滞在していたことを示している。
【0017】
推定部12は、取得された位置登録信号をエリア(本実施形態ではメッシュ)毎及び推定単位期間(本実施形態では10分毎に区切った期間)毎に集計し、集計結果に基づいてエリア毎及び推定単位期間毎の人口を推定する。推定部12は、エリア毎及び推定単位期間毎の人口(人口推定値)を、推定人口DB60に格納する。その結果、オペレータ等は、推定人口DB60にアクセスすることにより、所望のエリア又は期間の人口推定値を参照することが可能となる。
【0018】
推定部12は、例えば以下のような処理を行う。ある1つの位置登録信号データに着目すると、当該位置登録信号データに含まれる基地局情報、セクタ情報、及び伝送遅延量から、携帯端末20の大凡の位置を把握することができる。具体的には、基地局情報及びセクタ情報によって特定される基地局30のセクタSE内において、伝送遅延量に基づいて推定される距離だけ当該基地局30から離れた位置に携帯端末20が滞在していたと推定できる。すなわち、推定部12は、位置登録信号データに含まれる基地局情報、セクタ情報、及び伝送遅延量から、携帯端末のある時刻(位置登録信号データに含まれる時刻情報が示す時刻)における滞在エリアを特定することができる。ここで、滞在エリアは、例えば、基地局30を中心とする環状扇形(バウムクーヘン状)の領域(セクタSEの一部の領域)として特定され得る。
【0019】
続いて、推定部12は、このようにして特定された滞在エリアと人口推定の単位領域である各メッシュM(図2参照)との重複割合を算出し、算出された重複割合に基づいて各メッシュMに人口(位置登録信号数)を按分する。
【0020】
続いて、推定部12は、所定の拡大係数をメッシュM毎の集計結果(推定単位期間毎の位置登録信号の総数)に乗算する。拡大係数は、例えば、ユーザの属性(性別等)、年代、住所(例えば市区町村単位)毎に予め算出され得る。拡大係数は、携帯端末20の存在確率(すなわち、市区町村単位の区画において取得される位置登録信号数の期待値N1)に対する実際の人口(N2)の割合(N2/N1)である。このような拡大係数は、例えば、市区町村単位で、深夜時間帯(すなわち、人の移動が少ない時間帯)に推定単位期間当たりに取得される位置登録信号数と住民基本台帳等に登録された人口とを比較することにより、算出され得る。
【0021】
ここで、推定単位領域であるエリア(メッシュM)内に、例えばクラシックコンサート、ライブ等、開催中に携帯端末20の電源をオフにすることが求められるイベントが実施される会場が含まれる場合がある。このようなエリアにおいては、イベント会場に多くのユーザ(携帯端末20を所持するユーザ)が存在するにもかかわらず、イベント開催中にこれらのユーザの携帯端末20の電源がオフにされていることにより、これらのユーザに対応する位置登録信号が取得されなくなる。さらに、イベント終了後には、これらのユーザが一斉に携帯端末20の電源をオンにするため、短い期間に瞬間的に非常に多くの位置登録信号がバースト的に送出される。
【0022】
図5は、上述したような性質を有する場所(例えば、上述したイベント会場等)を含むある対象エリア(メッシュ)についての、実施例及び比較例の各々の人口推定結果の一例を示す図である。図5において、横軸は時間を示し、縦軸は人口推定値(人)を示す。また、実施例は、後述する推定部12の補正処理を実行する形態である。比較例は、当該補正処理を実行しない形態(すなわち、ここまでで説明した位置登録信号に基づく集計処理のみを実行する形態)である。
【0023】
まず、図5において一点鎖線で示される比較例について説明する。図5における破線は、携帯端末20の電源をオフにしたユーザの数(すなわち、対象エリアに在圏する電源がオフにされた携帯端末20の数)を示している。期間R1は、イベント開催期間である。具体的には、図5の例では、対象エリア内のイベント会場において、17時から20時までの期間R1に、携帯端末20の電源をオフにすることが求められるイベントが開催されている。このため、期間R1において、他の期間よりも多くの電源オフユーザ数が存在している。期間R1においては、電源オフユーザ数の分だけ、携帯端末20から定期的に送信される位置登録信号の数が減ることになる。その結果、期間R1において、対象エリアの人口推定値が、本来の人口(すなわち、電源オフユーザ数を含めた人数)よりも低く算出されてしまう。
【0024】
また、イベント終了直後の20時以降の短期間(期間R2)において、電源オフユーザが一斉に携帯端末20の電源をオンにする。このため、期間R2においては、通常時よりも多くの位置登録信号が取得される。より具体的には、通常時には、あるユーザが対象エリアを含む位置登録エリアに入ったタイミングで位置登録信号が送出され、その後は、当該送出時点を基準として60分毎に位置登録信号が定期的に送出される。ここで、ユーザが位置登録エリアに入るタイミングは、ユーザによってバラバラであるため、当該位置登録エリア内において複数のユーザ(携帯端末20)から位置登録信号が送出されるタイミングは一様に分散すると考えられる。また、上述した拡大係数は、複数のユーザ(携帯端末20)から位置登録信号が送出されるタイミングが一様に分散していることを前提としている。このため、上述した期間R2のように多くの携帯端末20から短期間にバースト的に位置登録信号が送出された場合、当該期間R2における対象エリアの人口推定値が、本来の人口よりも多く算出されてしまう。すなわち、図5に示されるように、期間R2において人口推定値がパルス的に上振れしてしまう。
【0025】
図6は、比較例の処理(すなわち、比較例において位置登録信号が取得されるタイミング)を模式的に示す図である。図6においては、説明を簡単にするために限定された数の携帯端末20からの位置登録信号のみを図示している。また、拡大係数を「6」としている。図6における期間R0は、イベントが開始される前の通常の期間(すなわち、イベント開催に伴う電源オフユーザがいない期間)である。期間R0においては、上述したように複数のユーザ(携帯端末20)から位置登録信号が送出されるタイミングはバラバラに分布している。このため、期間R0においては、比較例(後述する補正処理を含まない処理)によっても、比較的精度の良い人口推定値を得ることができる。一方、イベント開催中で電源オフユーザ数が多くなる期間R1においては、上述したように、電源オフユーザの携帯端末20からの位置登録信号が途絶えてしまうため、人口推定値が下振れしてしまう。また、イベント開催直後の期間R2においては、上述したように、同じタイミングで電源がオンにされた多くの携帯端末20からバースト的に位置登録信号が送出されるため、人口推定値が上振れしてしまう。
【0026】
実施例(すなわち、本実施形態に係る人口推定サーバ10)は、上述したような比較例の問題点(すなわち、期間R1における人口推定値の下振れ及び期間R2における人口推定値の上振れ)を解消するために、以下の補正処理を実行するように構成されている。
【0027】
図7は、実施例の補正処理を模式的に示す図である。実施例において、推定部12は、対象エリア(第1エリア)に滞在する携帯端末20(第1携帯端末)からの位置登録信号Lが取得された後、当該携帯端末20からの位置登録信号Lが取得されない欠損期間(本実施形態では、期間R1を含む期間)が生じた場合に、当該欠損期間において当該携帯端末20に関連付けられる疑似信号PLを補間する。ここで、欠損期間とは、通常時における位置登録信号の送出間隔(本実施形態では60分)よりも長い期間である。
【0028】
図7において、位置登録信号L1は、ユーザID「A」の携帯端末20から取得された位置登録信号を示す。図7の例では、当該携帯端末20の電源が期間R1(イベント開催期間である17時00分から20時00分まで期間)にオフにされていることによって、16時02分に当該携帯端末20から位置登録信号L1が送出された後、イベント終了直後の期間R2(ここでは一例として20時03分)に当該携帯端末20からの位置登録信号L1が送出されるまで、当該携帯端末20からの位置登録信号L1が送出されていない。この場合、推定部12は、当該携帯端末20について、欠損期間に当該携帯端末20の電源がオンであれば取得されていたはずの位置登録信号(すなわち、疑似信号PL)を補間する。図7の例では、推定部12は、17:02分、18時02分、及び19時02分に、ユーザID「A」の携帯端末20に関連付けられる疑似信号PL1を補間する。ここで、「疑似信号PLを補間する」とは、実際には位置登録信号Lが得られていないが、位置登録信号Lが得られたものとして、上述した集計処理を行うことを意味する。
【0029】
また、図7に示されるように、推定部12は、欠損期間後に携帯端末20から最初に送出される位置登録信号Lを集計対象から除外する。これにより、比較例における期間R2に人口推定値が上振れする問題を解消することができる。ただし、このように欠損期間後の最初の位置登録信号を単純に集計対象から除外してしまうと、欠損期間後に電源がオンにされた各携帯端末20について、1回分の位置登録信号が失われてしまうことになる。このため、欠損期間後の期間R2において、比較例のようなパルス的な上振れを抑制できる代わりに、実際よりも人口推定値が低く算出される問題が生じ得る。そこで、推定部12は、欠損期間後に1回分の疑似信号PLを更に補間してもよい。すなわち、推定部12は、欠損期間後に発生する実際の位置登録信号Lを集計対象から除外する代わりに、欠損期間における疑似信号PLの補間処理を欠損期間後にも実行してもよい。図7の例では、推定部12は、ユーザID「A」の携帯端末20について、欠損期間(17:02分、18時02分、及び19時02分)における疑似信号PL1を補間すると共に、欠損期間後の1回目のタイミング(20時02分)でも疑似信号PL1を補間する。上記構成によれば、期間R2における人口推定値のパルス的な上振れの発生を防止できると共に、欠損期間後の一定期間において実際よりも人口推定値が低く算出される問題を回避できる。
【0030】
なお、推定部12は、各携帯端末20の欠損期間後の2回目以降の位置登録信号については、集計対象から除外しなくてもよい。これは以下の理由による。すなわち、欠損期間後(すなわち、イベント終了後)には、各ユーザはイベント会場を出て様々なエリアに散らばっていくことになる。そして、各ユーザの携帯端末20からは、位置登録エリアを跨いだタイミングで位置登録信号が送出され、その後は当該タイミングを基準として一定時間(60分)毎に位置登録信号が送出されることになる。したがって、欠損期間後しばらくすると、欠損期間前の通常期間(期間R0)のように、各携帯端末20から位置登録信号が送出されるタイミングは自然とバラバラになると考えられる。したがって、推定部12は、位置登録信号の送出タイミングが複数の携帯端末20間で揃ってしまう蓋然性が高い欠損期間後の最初の位置登録信号のみを集計対象から除外すればよい。
【0031】
以上説明した推定部12の補正処理によれば、図5において実線で示されるように、欠損期間(主に期間R1)における人口推定値の下振れを抑制できると共に、欠損期間後(すなわちイベント終了後)の期間R2における人口推定値の急激な上振れを抑制できる。
【0032】
なお、推定部12は、以下のようにして、携帯端末20毎に、欠損期間が生じたか否かを特定できる。例えば、推定部12は、最新情報DB50に記憶された最新情報を参照することにより、携帯端末20毎に欠損期間が生じているか否かを特定する。図7の例では、推定部12は、20時03分にユーザID「A」の携帯端末20から送出された位置登録信号L1が得られた場合、最新情報DB50に記憶された当該携帯端末20の最新情報を参照する。これにより、推定部12は、当該携帯端末20の最新の位置登録信号L1(ここでは、20時03分の位置登録信号L1よりも1つ前に取得された位置登録信号L1)が16時02分に送出されていたことを特定できる。そして、推定部12は、今回の位置登録信号L1の送出時刻(20時03分)と前回の位置登録信号L1の送出時刻(16時02分)との時間差(ここでは3時間59分)を算出し、当該時間差が通常時の送出間隔(60分)よりも長い場合に、当該携帯端末20について欠損期間が生じたと特定できる。このように、最新情報DB50に携帯端末20毎の最新情報(最新の位置登録信号データ)に格納しておくことにより、推定部12が補正処理の要否(すなわち欠損期間の有無)を適切且つ容易に判断することができる。
【0033】
ここで、ある携帯端末20の欠損期間が長過ぎる場合(例えば、イベント開催期間の2倍よりも長い場合等)には、欠損期間において当該携帯端末20からの位置登録信号Lが得られなかった要因は、イベント開催に伴う電源オフ以外の要因である可能性がある。また、上述した欠損期間における疑似信号PLの補間は、欠損期間において当該携帯端末20の電源がイベント開催によってオフにされていたという仮定に基づいている。したがって、上記のように欠損期間が長過ぎる場合、すなわち欠損期間において電源がオフにされた携帯端末20が対象エリアに滞在していた(すなわち、当該携帯端末20のユーザがイベント会場に滞在していた)蓋然性が高いとはいえない場合、推定部12は、上述した疑似信号PLの補間を行わなくてもよい。すなわち、推定部12は、欠損期間が予め定められた閾値期間(本実施形態では一例として、イベント開催期間の2倍である6時間)以下であるという条件を満たす場合、疑似信号PLを補間し、欠損期間が上記条件を満たさない場合、疑似信号PLを補間しなくてもよい。上記構成によれば、欠損期間において携帯端末20が電源オフの状態で対象エリアに滞在していた蓋然性が高い場合に限って、疑似信号PLの補間が実行されるため、人口推定の精度向上を図ることができる。
【0034】
また、推定部12は、対象エリアにおいて位置登録信号が送出された後に欠損期間が生じた携帯端末20について、欠損期間後に当該携帯端末20から最初に送出される位置登録信号Lにより特定される当該携帯端末20の滞在エリアが対象エリアと同一又は対象エリアからの距離が予め定められた閾値距離以内のエリア(例えば、対象エリアと隣接するメッシュ)である場合に、対象エリアに関連付けられる疑似信号PLを補間してもよい。欠損期間後に最初に特定される携帯端末20の滞在エリアが対象エリアから非常に離れたエリアである場合等には、当該携帯端末20が欠損期間に対象エリアに滞在し続けていた蓋然性が高いとはいえない。したがって、上記条件を満たす場合(すなわち、欠損期間において携帯端末20が電源オフの状態で対象エリアに滞在していた蓋然性が高い場合)に限って、対象エリアに関連付けられる疑似信号PLを補間することにより、人口推定の精度向上を図ることができる。
【0035】
次に、図8のフローチャートを参照して、人口推定サーバ10の動作の一例について説明する。
【0036】
ステップS1において、信号取得部11は、各エリア(メッシュ)に滞在するユーザが所持する携帯端末20から送出される位置登録信号を取得する。一例として、信号取得部11は、データ集約サーバ40に集約された位置登録信号データを取得する。信号取得部11は、例えば、予め定められた時間間隔(例えば数分間隔)で、データ集約サーバ40から位置登録信号データを定期的に取得する。人口推定サーバ10の処理のリアルタイム性(すなわち、人口推定のリアルタイム性)が求められる場合には、データ集約サーバ40が各基地局30から位置登録データを取得する頻度、及び信号取得部11がデータ集約サーバ40から位置登録データを取得する頻度を大きくすればよい。
【0037】
ステップS2において、推定部12は、エリア毎及び携帯端末20毎の補正処理を実施する。ステップS2における補正処理は、補正処理の要否の判断処理も含んでいる。なお、上述したように、補正処理が有効であるエリアは、多くのユーザが集まる場所であって携帯端末20の電源をオフにすることが求められるイベントが開催される場所を含むエリアである。したがって、推定部12は、補正処理の対象となるエリア(メッシュ)を上記条件等を用いて予め抽出し、抽出された特定のエリアのみに対して補正処理を実行してもよい。また、補正処理が有効な期間は、上述したようなイベントの開催期間である。したがって、推定部12は、補正処理の対象となる期間を上記条件等を用いて予め抽出し、抽出された特定の期間のみに対して補正処理を実行してもよい。ステップS2の処理の詳細については後述する。
【0038】
ステップS3において、推定部12は、ステップS2における補正処理(具体的には、欠損期間における疑似信号の補間、及び欠損期間後の最初の位置登録信号の除外等)が反映されたデータに基づく集計処理を行うことにより、エリア毎及び推定単位期間毎の人口推定値を算出する。
【0039】
図9を参照して、図8におけるステップS2の処理の一例について説明する。なお、上述したように、ステップS2の処理は対象エリア及び携帯端末20毎に実行される。図9に示されるフローチャートは、一の携帯端末20についての処理を示している。推定部12は、処理対象の携帯端末20毎に、図9に示されるフローチャートの処理を実行すればよい。
【0040】
ステップS21において、推定部12は、最新情報DB50を参照することにより、欠損期間が生じたか否かを判定する。推定部12は、判定結果が「YES」の場合には、ステップS22の判定処理を実行し、判定結果が「NO」の場合には、当該携帯端末20については補正処理を実行しない。
【0041】
ステップS22において、推定部12は、欠損期間が閾値期間(例えば6時間)以下であるか否かを判定する。推定部12は、判定結果が「YES」の場合には、ステップS23の判定処理を実行し、判定結果が「NO」の場合には、当該携帯端末20については補正処理を実行しない。
【0042】
ステップS23において、推定部12は、欠損期間後に携帯端末20から最初に送出される位置登録信号L(位置登録信号データ)により特定される当該携帯端末20の滞在エリアが対象エリアと同一又は対象エリアからの距離が予め定められた閾値距離以内のエリア(例えば、対象エリアと隣接するメッシュ)であるか否かを判定する。推定部12は、判定結果が「YES」の場合には、ステップS24及びS25の処理を実行し、判定結果が「NO」の場合には、当該携帯端末20については補正処理を実行しない。
【0043】
ステップS24において、推定部12は、欠損期間において疑似信号を補間する。図7の例では、推定部12は、ユーザID「A」の携帯端末20について、欠損期間(17:02分、18時02分、及び19時02分)における3つの疑似信号PL1を補間する。このような処理が他の同様の携帯端末20についても実行されることにより、欠損期間(図5図7における期間R1)における人口推定値の下振れが抑制される。
【0044】
ステップS25において、推定部12は、欠損期間後の最初の位置登録信号Lを集計対象から除外する。その結果、欠損期間直後の期間(図5図7における期間R2)における人口推定値の急激な上振れが抑制される。なお、推定部12は、最初の位置登録信号Lを除外した分だけ人口推定値が下振れすることを抑制するために、欠損期間後の1回目のタイミング(20時02分)でも疑似信号PL1を補間してもよい。
【0045】
次に、図10及び図11を参照して、図8におけるステップS2の処理の変形例について説明する。図10の変形例のフローチャートは、図9におけるステップS23及びS24の代わりに、ステップS23A及びS24Aを含む点で、図9のフローチャートと相違しており、その他の点については図9のフローチャートと同一である。なお、変形例の処理(ステップS23A及びS24A)は、図9におけるステップS23及びS24の処理と併用されてもよい。例えば、図9におけるステップS23の判定結果が「NO」の場合に、ステップS23Aの判定処理が実行されるように構成されてもよい。
【0046】
変形例では、ステップS23Aにおいて、推定部12は、欠損期間後に携帯端末20から最初に送出される位置登録信号L(位置登録信号データ)により特定される当該携帯端末20の滞在エリアが対象エリア(第1エリア)と異なるエリア(第2エリア)であるか否かを判定する。推定部12は、判定結果が「YES」の場合には、ステップS24A及びS25の処理を実行し、判定結果が「NO」の場合には、当該携帯端末20については補正処理を実行しない。
【0047】
ステップS24Aにおいて、推定部12は、欠損期間を第1期間と第1期間の後の第2期間とに分割する。そして、推定部12は、第1期間については対象エリア(第1エリア)に関連付けられる疑似信号を補間し、第2期間については第2エリアに関連付けられる疑似信号を補間する。
【0048】
図11は、ある携帯端末20のユーザが、欠損期間(期間R1)において、メッシュA(第1エリア)からメッシュZ(第2エリア)に移動した例である。この例では、推定部12は、欠損期間(期間R1)を前半の1/2期間である第1期間R11と後半の1/2期間である第2期間R12とに分割する。そして、推定部12は、第1期間R11についてはメッシュAに関連付けられる疑似信号PLaを補間し、第2期間R12についてはメッシュZに関連付けられる疑似信号PLzを補間する。上記変形例によれば、欠損期間の前後において、位置登録信号に基づいて特定される携帯端末20の滞在エリア(メッシュ)が互いに異なる場合であっても、欠損期間の前半にはメッシュAに滞在し、欠損期間の後半にはメッシュZに滞在していたものと見做して疑似信号PLを補間することにより、人口推定値を適切に補正することが可能となる。
【0049】
以上説明した人口推定サーバ10によれば、例えば携帯端末20の電源がオフにされている期間等の欠損期間(例えば、図5図7における期間R1を含む期間)が生じた場合に、仮に携帯端末20の電源がオンであれば取得されていたはずの位置登録信号が疑似信号PLとして補間される。その結果、欠損期間において人口推定値が実際の人口(滞在人数)よりも少なく計算されてしまう度合いを低減できる。また、欠損期間が、電源をオフにすることが求められるイベントの開催期間等である場合、欠損期間の終了後(すなわち、イベントの終了後)の推定単位期間(例えば、図5図7における期間R2に含まれる推定単位期間)において、多くの携帯端末20の電源が一斉にオンにされる可能性がある。この場合、当該推定単位期間における人口推定値が、複数の携帯端末20からバースト的に送出される位置登録信号によって、実際の人口よりも多く計算されてしまう。一方、人口推定サーバ10によれば、欠損期間後に最初に送出される位置登録信号が集計対象から除外されることにより、当該推定単位期間における人口推定値が実際の人口よりも多く計算されてしまう度合いを低減できる。したがって、人口推定サーバ10によれば、携帯端末20の電源断の影響による推定誤差を低減できる。
【0050】
なお、上記実施形態では、携帯端末20からの位置登録信号に基づいて人口推定を行う場合を例に挙げて説明したが、位置登録信号以外の信号(情報)が用いられてもよい。具体的には、携帯端末20の電源がオンにされたタイミングで送出されると共に、携帯端末20の電源がオンの状態において予め定められた時間間隔で定期的に送出される信号であって、当該信号に基づいて携帯端末20の位置を特定することが可能であればよい。例えば、携帯端末20において、GPS等を用いた位置測位が上記タイミングで実施されるように構成されている場合、当該位置測位の結果を示す測位信号が、上記実施形態の位置登録信号の代わりに用いられてもよい。この場合、測位信号に含まれる位置情報(緯度、経度)に基づいて携帯端末20の滞在エリア(メッシュ)を特定することができる。
【0051】
また、上述した疑似信号を補間するタイミングは、60分に1回のタイミングに限られない。例えば、疑似信号を補間するタイミングは、通常期間(例えば図6及び図7の期間R0)における位置登録信号の発生頻度に応じて決定されればよい。すなわち、疑似信号は、欠損期間において携帯端末20の電源がオフでなければ取得されたであろう位置登録信号を補うことを目的としたものであるため、推定部12は、通常期間と同様の頻度で疑似信号を補間すればよい。
【0052】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0053】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0054】
例えば、本開示の一実施の形態における人口推定サーバ10は、本開示の通信制御方法を行うコンピュータとして機能してもよい。図12は、本開示の一実施の形態に係る人口推定サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の人口推定サーバ10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0055】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。人口推定サーバ10のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0056】
人口推定サーバ10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0057】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0058】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、推定部12は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0059】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る通信制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0060】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0061】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0062】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0063】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0064】
また、人口推定サーバ10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0065】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0066】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0067】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0068】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0069】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0070】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0071】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0072】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0073】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0074】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0075】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0076】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0077】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0078】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0079】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…人口推定サーバ(人口推定装置)、11…信号取得部、12…推定部、20…携帯端末、50…最新情報DB(データベース)。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11
図12