(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20231221BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 606A
E04H6/42 H
E04H6/18 601F
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
(21)【出願番号】P 2023036129
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2019052308の分割
【原出願日】2019-03-20
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中矢 豪
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-089291(JP,A)
【文献】特開2013-155487(JP,A)
【文献】特開2014-088685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電口が設けられた電気自動車を格納する機械式駐車装置において、
幅方向一側に差込接続器が設けられ且つ該差込接続器が設けられた側を同一方向へ揃えて格納棚に格納されるパレットと、
入庫される電気自動車の幅方向一側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向一側に配設された第一充電側センサと、該第一充電側センサと対をなし且つ入庫される電気自動車の幅方向他側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向他側に配設された第一非充電側センサとを有し、前記第一充電側センサの移送格納許容領域は、前記第一非充電側センサの移送格納許容領域より広く設定される第一センサと、
入庫される電気自動車の幅方向他側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向他側に配設された第二充電側センサと、該第二充電側センサと対をなし且つ充電口のない側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向一側に配設された第二非充電側センサとを有し、前記第二充電側センサの移送格納許容領域は、前記第二非充電側センサの移送格納許容領域より広く設定される第二センサと、
入庫される電気自動車の充電口が入庫部の幅方向何れの側で差込接続器を利用するかの情報に基づき、入庫される電気自動車の充電口に対し差込接続器の利用側に位置するよう入庫部にパレットを呼び出すと共に、前記第一センサと第二センサの何れか一方を選択して切り換える制御装置と
を備えた機械式駐車装置。
【請求項2】
前記差込接続器に対しパレット中心を基準としてパレットの点対称位置に設けられたダミー差込接続器を備えた請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記入庫部のパレットは90°旋回されて格納棚へ搬送される請求項1又は2記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
選択されて切り換えられた前記第一センサと第二センサの何れか一方の検知結果に基づき前記制御装置により、電気自動車が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する警報器を備えた請求項1~3の何れか一項に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
充電口が設けられた電気自動車を格納する機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法であって、
入庫される電気自動車の充電口が入庫部の幅方向何れの側で差込接続器を利用するかの情報に基づき、入庫される電気自動車の充電口に対し差込接続器がその利用側に位置するよう入庫部にパレットを呼び出すパレット呼出工程と、
前記差込接続器の利用側における移送格納許容領域を、反利用側における移送格納許容領域より広く設定するシフト工程と、
該シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車が収まっているか否かを判定する判定工程と
を含む機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法。
【請求項6】
前記判定工程で電気自動車が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合に入庫を許可する入庫許可工程と、
前記判定工程で電気自動車が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する入庫拒否工程と
を含む請求項5記載の機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械式駐車装置は、地上に建設された建屋内部や、地下に形成された空間内部に多数の車両を立体的に格納するものであり、エレベータ式、垂直循環式等、様々な方式の機械式駐車装置が採用されており、利用者として契約者を対象とするマンション等の集合住宅や、不特定多数の利用者を対象とするデパート等の施設に設けられている。
【0003】
近年、モータを動力源とする車両や、モータと内燃機関とを組み合わせたハイブリッド車等の充電を必要とする車両を含む電気自動車が急速に普及している。
【0004】
このため、駐車中の時間を利用して前記電気自動車のバッテリに充電できるようにした機械式駐車装置の開発が進められている。
【0005】
尚、前記機械式駐車装置と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5452109号公報
【文献】特許第6023431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、充電口蓋の開放時に電気自動車をパレット側方に突出させない距離で反充電口側に片寄せして車路に乗り込ませる誘導案内部をパレットに形成しなければならず、パレット自体の形状を変更する必要があった。
【0008】
又、特許文献2に開示された発明では、パレットの一方の立上り側縁部の幅を他方の立上り側縁部より広く形成し、その分、対応する側のパレットにおける凹状の車路の幅を狭くしなければならず、特許文献1に開示された発明と同様、パレット自体の形状を変更する必要があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、パレット自体の形状を変更することなく、電気自動車を円滑に且つ効率良く入庫させることができる機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、充電口が設けられた電気自動車を格納する機械式駐車装置において、
幅方向一側に差込接続器が設けられ且つ該差込接続器が設けられた側を同一方向へ揃えて格納棚に格納されるパレットと、
入庫される電気自動車の幅方向一側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向一側に配設された第一充電側センサと、該第一充電側センサと対をなし且つ入庫される電気自動車の幅方向他側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向他側に配設された第一非充電側センサとを有し、前記第一充電側センサの移送格納許容領域は、前記第一非充電側センサの移送格納許容領域より広く設定される第一センサと、
入庫される電気自動車の幅方向他側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向他側に配設された第二充電側センサと、該第二充電側センサと対をなし且つ充電口のない側が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部の幅方向一側に配設された第二非充電側センサとを有し、前記第二充電側センサの移送格納許容領域は、前記第二非充電側センサの移送格納許容領域より広く設定される第二センサと、
入庫される電気自動車の充電口が入庫部の幅方向何れの側で差込接続器を利用するかの情報に基づき、入庫される電気自動車の充電口に対し差込接続器の利用側に位置するよう入庫部にパレットを呼び出すと共に、前記第一センサと第二センサの何れか一方を選択して切り換える制御装置と
を備えた機械式駐車装置に係るものである。
【0011】
前記機械式駐車装置においては、前記差込接続器に対しパレット中心を基準としてパレットの点対称位置に設けられたダミー差込接続器を備えることができる。
【0012】
又、前記機械式駐車装置において、前記入庫部のパレットは90°旋回されて格納棚へ搬送されることが好ましい。
【0013】
更に又、前記機械式駐車装置においては、選択されて切り換えられた前記第一センサと第二センサの何れか一方の検知結果に基づき前記制御装置により、電気自動車が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する警報器を備えることができる。
【0014】
一方、本発明は、充電口が設けられた電気自動車を格納する機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法であって、
入庫される電気自動車の充電口が入庫部の幅方向何れの側で差込接続器を利用するかの情報に基づき、入庫される電気自動車の充電口に対し差込接続器がその利用側に位置するよう入庫部にパレットを呼び出すパレット呼出工程と、
前記差込接続器の利用側における移送格納許容領域を、反利用側における移送格納許容領域より広く設定するシフト工程と、
該シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車が収まっているか否かを判定する判定工程と
を含む機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法に係るものである。
【0015】
前記機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法においては、前記判定工程で電気自動車が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合に入庫を許可する入庫許可工程と、
前記判定工程で電気自動車が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する入庫拒否工程と
を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法によれば、パレット自体の形状を変更することなく、電気自動車を円滑に且つ効率良く入庫させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の機械式駐車装置の実施例を示す概要構成図であって、電気自動車の右側に充電口がある場合を示す図である。
【
図2】本発明の機械式駐車装置の実施例を示す概要構成図であって、電気自動車の左側に充電口がある場合を示す図である。
【
図3】本発明の機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1~
図3は本発明の機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法の実施例である。
【0020】
図1及び
図2に示す機械式駐車装置は、エレベータ式の駐車装置であって、入庫部10のパレット20は、電気自動車30が搭載された状態で図示していないターンテーブル等の旋回装置により90°旋回され、搬器40により上昇(地下式の場合は下降)されて横移動され、格納棚50へ搬送されるようになっている。尚、前記入庫部10は、出庫部も兼ねており、扉11が開かれて車両の入出庫が行われるようになっている。
【0021】
本実施例の場合、前記パレット20に加え、第一センサ60と、第二センサ70と、制御装置80と、警報器90とを備えている。
【0022】
前記パレット20は、充電口31が幅方向一側に設けられた電気自動車30のために、幅方向一側に差込接続器21が設けられており、該差込接続器21が設けられた側を同一方向へ揃えて格納棚50に格納されるようになっている。これに伴い、前記差込接続器21が設けられた側のクリアランスαは、充電時に充電口蓋32が開かれることを見込んで、該充電口蓋32が搬器40や他の構造物と干渉しないよう、前記差込接続器21が設けられていない側のクリアランスβより広く設定されている。又、前記差込接続器21に対しパレット中心Oを基準としてパレット20の点対称位置には、ダミー差込接続器22が設けられている。該ダミー差込接続器22は、外形のみが差込接続器21と同一で充電機能を有していないものである。更に、前記入庫部10の床板12には、パレット20が収まる開口13と、前記差込接続器21及びダミー差込接続器22が収まる切欠部14、15とが形成されている。尚、前記差込接続器21には、充電コード23が接続されるようになっている。因みに、前記電気自動車30の充電口31は、必ずしも幅方向一側に設けられているわけではなく、前後方向一側に設けられていることもある。
【0023】
前記第一センサ60は、第一充電側センサ61と、第一非充電側センサ62とを有している。
図1に示す如く、前記第一充電側センサ61は、入庫される電気自動車30の幅方向一側(充電口蓋32が開かれる側)が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部10の幅方向一側に配設されている。前記第一非充電側センサ62は、前記第一充電側センサ61と対をなし且つ入庫される電気自動車30の幅方向他側(充電口31のない側)が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部10の幅方向他側に配設されている。前記第一充電側センサ61の配設位置は、充電口蓋32が開かれることを見込んで移送格納許容領域が反対側より広く設定されるよう、
図1に示す如く、右側にシフトされている。尚、
図1及び
図2に示す第一センサ60の第一充電側センサ61及び第一非充電側センサ62はそれぞれ、光源を内蔵し検出媒体となるレーザ光を投射する投光器61a,62aと、該投光器61a,62aから投射されるレーザ光を受光して電気信号に変換する受光器61b,62bとを対向させて配置してなるレーザセンサを採用することができる。但し、前記第一充電側センサ61及び第一非充電側センサ62は、レーザセンサに限定されるものではなく、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の側域センサや他の形式のセンサを採用することもできる。
【0024】
前記第二センサ70は、第二充電側センサ71と、第二非充電側センサ72とを有している。
図2に示す如く、前記第二充電側センサ71は、入庫される電気自動車30の幅方向他側(充電口蓋32が開かれる側)が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部10の幅方向他側に配設されている。前記第二非充電側センサ72は、前記第二充電側センサ71と対をなし且つ入庫される電気自動車30の幅方向他側(充電口31のない側)が移送格納許容領域に収まっているか否かを検知するよう入庫部10の幅方向一側に配設されている。前記第二充電側センサ71の配設位置は、充電口蓋32が開かれることを見込んで移送格納許容領域が反対側より広く設定されるよう、
図2に示す如く、左側にシフトされている。尚、
図1及び
図2に示す第二センサ70の第二充電側センサ71及び第二非充電側センサ72に関してもそれぞれ、前記第一センサ60の第一充電側センサ61及び第一非充電側センサ62と同様、光源を内蔵し検出媒体となるレーザ光を投射する投光器71a,72aと、該投光器71a,72aから投射されるレーザ光を受光して電気信号に変換する受光器71b,72bとを対向させて配置してなるレーザセンサを採用することができる。但し、第二充電側センサ71及び第二非充電側センサ72に関しても、レーザセンサに限定されるものではなく、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の側域センサや他の形式のセンサを採用することができる。
【0025】
前記制御装置80は、入庫される電気自動車30の充電口31が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか登録された情報に基づき、
図1或いは
図2に示す如く、入庫される電気自動車30の充電口31と差込接続器21とが同じ側に位置するよう入庫部10にパレット20を呼び出すと共に、前記第一センサ60と第二センサ70の何れか一方を選択して切り換えるようになっている。入庫される電気自動車30の充電口31が幅方向何れの側に設けられているかの登録については、例えば、機械式駐車装置の操作盤の画面上に、
図1及び
図2に示す如く、「充電口31の位置を選択してください。」(或いは、「差込接続器を利用する側を選択してください。」等)というメッセージを表示し、利用者が「R」又は「L」のボタンを押して選択することにより行われるようになっている。但し、マンション等の集合住宅の場合、利用者は、管理者と機械式駐車装置の利用契約を行っているため、利用者が所有する車両が電気自動車30である場合、契約時に充電口31が幅方向何れの側に設けられているかの情報を管理者が取得し制御装置80に入力しておくようにしても良い。又、前記電気自動車30の充電口31が幅方向一側ではなく前後方向一側に設けられているような場合、入庫時に利用者が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか選択するか、或いは、契約時に予め差込接続器21を利用する側を管理者に伝えておけば良い。
【0026】
前記警報器90は、選択されて切り換えられた前記第一センサ60と第二センサ70の何れか一方の検知結果に基づき前記制御装置80により、電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発するようになっている。
【0027】
一方、本実施例における機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法は、
図3に示す如く、登録工程と、パレット呼出工程と、シフト工程と、判定工程とを含み、更に、入庫許可工程と、入庫拒否工程とを含んでいる。
【0028】
前記登録工程は、入庫される電気自動車30が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか登録する工程である(
図3のステップS10参照)。
【0029】
前記パレット呼出工程は、前記登録工程で登録された情報に基づき、
図1或いは
図2に示す如く、入庫される電気自動車30の充電口31に対し差込接続器21が登録された側に位置するよう入庫部10にパレット20を呼び出す工程である(
図3のステップS20参照)。
【0030】
前記シフト工程は、前記登録工程で登録された側における移送格納許容領域を、登録されていない側における移送格納許容領域より広く設定する工程である(
図3のステップS30参照)。
【0031】
前記判定工程は、前記シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車30が収まっているか否かを判定する工程である(
図3のステップS40参照)。
【0032】
前記入庫許可工程は、前記判定工程で電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合に入庫を許可する工程である(
図3のステップS50参照)。
【0033】
前記入庫拒否工程は、前記判定工程で電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する工程である(
図3のステップS60参照)。
【0034】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0035】
利用者が電気自動車30を機械式駐車装置に入庫する際には、先ず、入庫される電気自動車30が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか登録される(
図3のステップS10参照)。これが登録工程となる。
【0036】
入庫される電気自動車30の充電口31が幅方向右側に設けられている場合、利用者は、
図1に示す如く、機械式駐車装置の操作盤の画面上に表示された「充電口31の位置を選択してください。」というメッセージに対し、「R」のボタンを押す。但し、マンション等の集合住宅の機械式駐車装置であって、契約時に充電口31が幅方向何れの側に設けられているかの情報を管理者が取得し制御装置80に予め入力してある場合には、利用者が入庫の度に登録を行う必要はない。又、前記電気自動車30の充電口31が幅方向一側ではなく前後方向一側に設けられている場合には、入庫時に利用者が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか選択したり、或いは、契約時に予め差込接続器21を利用する側を管理者に伝えたりしておく。
【0037】
前記登録工程で登録された情報に基づき、制御装置80により、
図1に示す如く、入庫される電気自動車30の充電口31に対し差込接続器21が登録された側に位置するよう入庫部10にパレット20が呼び出される(
図3のステップS20参照)。これがパレット呼出工程となる。
【0038】
前記入庫部10にパレット20が呼び出されると、扉11が開いて利用者は、電気自動車30をパレット20の上に移動させる。この後、利用者は、電気自動車30から降り、充電が必要な場合には、充電口蓋32を開けて充電口31に充電コード23の一端を接続すると共に、該充電コード23の他端を差込接続器21に接続する。接続が完了すると、利用者は、機械式駐車装置から退出し、操作盤の入庫ボタン(図示せず)を押す等して入庫完了操作を行う。
【0039】
利用者が入庫完了操作を行うと、前記登録工程で登録された側における移送格納許容領域が、登録されていない側における移送格納許容領域より広く設定される(
図3のステップS30参照)。これがシフト工程となる。該シフト工程は、制御装置80が、前記第一センサ60と第二センサ70の何れか一方を選択して切り換えることによって行われる。
図1においては、入庫される電気自動車30の充電口31が幅方向右側に設けられているため、第一センサ60が選択される。
【0040】
前記第一センサ60が選択されると、入庫部10の幅方向一側(
図1の例では右側)に配設されている第一充電側センサ61により、開かれた充電口蓋32が移送格納許容領域に収まっているか否かが検知されると共に、入庫部10の幅方向他側(
図1の例では左側)に配設されている第一非充電側センサ62により、充電口31のない側が移送格納許容領域に収まっているか否かが検知される。即ち、前記シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車30が収まっているか否かが制御装置80によって判定される(
図3のステップS40参照)。これが判定工程となる。
【0041】
前記判定工程で電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合には、入庫が許可される(
図3のステップS50参照)。これが入庫許可工程となる。入庫が許可されると、扉11が閉じ、入庫部10のパレット20は、電気自動車30が搭載された状態で図示していないターンテーブル等の旋回装置により、
図1に示す如く、時計回りに90°旋回され、搬器40により上昇(地下式の場合は下降)されて横移動され、格納棚50へ搬送される。
【0042】
これに対し、前記判定工程で電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合には、警報器90から警報が発せられる(
図3のステップS60参照)。これが入庫拒否工程となる。入庫が拒否された場合、扉11は開いたまま閉じられず、利用者は、機械式駐車装置の内部に再度入り、充電口蓋32を閉じたり、或いは電気自動車30をパレット20上に載置し直したりすることができる。この後、前記判定工程に戻り、電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定されれば、前記入庫許可工程に移行する。
【0043】
一方、前記登録工程において、入庫される電気自動車30の充電口31が幅方向左側に設けられている場合、利用者は、
図2に示す如く、機械式駐車装置の操作盤の画面上に表示された「充電口31の位置を選択してください。」というメッセージに対し、「L」のボタンを押す。但し、マンション等の集合住宅の機械式駐車装置であって、契約時に充電口31が幅方向何れの側に設けられているかの情報を管理者が取得し制御装置80に予め入力してある場合に、利用者が入庫の度に登録を行う必要がないことは、前述と同様である。又、前記電気自動車30の充電口31が幅方向一側ではなく前後方向一側に設けられている場合に、入庫時に利用者が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか選択したり、或いは、契約時に予め差込接続器21を利用する側を管理者に伝えたりしておくことも、前述と同様である。
【0044】
パレット呼出工程においては、前記登録工程で登録された情報に基づき、制御装置80により、
図2に示す如く、入庫される電気自動車30の充電口31に対し差込接続器21が登録された側に位置するよう入庫部10にパレット20が呼び出される(
図3のステップS20参照)。
【0045】
前記入庫部10にパレット20が呼び出されると、扉11が開いて利用者は、電気自動車30をパレット20の上に移動させる。この後、利用者は、電気自動車30から降り、充電が必要な場合には、充電口蓋32を開けて充電口31に充電コード23の一端を接続すると共に、該充電コード23の他端を差込接続器21に接続する。接続が完了すると、利用者は、機械式駐車装置から退出し、操作盤の入庫ボタン(図示せず)を押す等して入庫完了操作を行う。
【0046】
利用者が入庫完了操作を行うと、シフト工程として、前記登録工程で登録された側における移送格納許容領域が、登録されていない側における移送格納許容領域より広く設定される(
図3のステップS30参照)。前記シフト工程においては、
図2に示す如く、入庫される電気自動車30の充電口31が幅方向左側に設けられているため、制御装置80により第二センサ70が選択される。
【0047】
前記第二センサ70が選択されると、入庫部10の幅方向他側(
図2の例では左側)に配設されている第二充電側センサ71により、開かれた充電口蓋32が移送格納許容領域に収まっているか否かが検知されると共に、入庫部10の幅方向一側(
図2の例では右側)に配設されている第二非充電側センサ72により、充電口31のない側が移送格納許容領域に収まっているか否かが検知される。即ち、前記シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車30が収まっているか否かが、判定工程において、制御装置80により判定される(
図3のステップS40参照)。
【0048】
前記判定工程で電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合には、前述と同様、入庫許可工程として、入庫が許可される(
図3のステップS50参照)。入庫が許可されると、扉11が閉じ、入庫部10のパレット20は、電気自動車30が搭載された状態で図示していないターンテーブル等の旋回装置により、
図2に示す如く、反時計回りに90°旋回され、搬器40により上昇(地下式の場合は下降)されて横移動され、格納棚50へ搬送される。
【0049】
これに対し、前記判定工程で電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合には、前述と同様、入庫拒否工程として警報器90から警報が発せられる(
図3のステップS60参照)。入庫が拒否された場合、利用者は、充電口蓋32を閉じたり、或いは電気自動車30をパレット20上に載置し直したりすることができる。この後、前記判定工程に戻り、電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定されれば、前記入庫許可工程に移行する。
【0050】
本実施例の場合、特許文献1、2に開示された発明とは異なり、パレット20自体の形状を変更しなくて済む。
【0051】
又、仮に、前記パレット20を、差込接続器21が設けられた側を同一方向へ揃えずに格納棚50に格納したとすると、充電時に開かれる充電口蓋32が搬器40や他の構造物と干渉しないようにするためには、搬器40に搭載されたパレット20の両側と、格納棚50に格納されたパレット20の両側とにそれぞれクリアランスαを設定する必要が生じる。この場合、トータルで2α×3=6αに相当する寸法だけ機械式駐車装置の幅(
図1及び
図2では上下方向の長さ)を広げなければならず、その分、機械式駐車装置の容積も増加する。しかし、本実施例の場合、前記パレット20は、差込接続器21が設けられた側を同一方向へ揃えて格納棚50に格納されるようになっているため、
図1及び
図2に示す如く、トータルでα×3+β=3α+β<4α(β<αであるため)に相当する寸法があれば、充電時に開かれる充電口蓋32が搬器40や他の構造物と干渉することはなく、機械式駐車装置の幅を狭め、その分、機械式駐車装置の容積も減少させることが可能となる。
【0052】
こうして、パレット20自体の形状を変更することなく、電気自動車30を円滑に且つ効率良く入庫させることができる。
【0053】
そして、本実施例の場合、前記差込接続器21に対しパレット中心Oを基準としてパレット20の点対称位置に設けられたダミー差込接続器22を備えている。このように構成すると、
図1に示す如く、前記入庫部10の床板12に形成された開口13にパレット20が収まった状態で、切欠部14には差込接続器21が収まり、切欠部15はダミー差込接続器22によって塞がれる。又、
図2に示す如く、前記入庫部10の床板12に形成された開口13にパレット20が収まった状態で、切欠部15には差込接続器21が収まり、切欠部14はダミー差込接続器22によって塞がれる。仮に、ダミー差込接続器22が設けられていないと、差込接続器21が切欠部14に収まった状態では切欠部15が開放されたままとなり、差込接続器21が切欠部15に収まった状態では切欠部14が開放されたままとなる。切欠部15や切欠部14が開放されたまま放置されていると、利用者が物を落としたり、足を取られたりする可能性も全くないとは言えない。しかし、本実施例の場合、切欠部15や切欠部14が開放されたまま放置されることが避けられ、利用者が物を落としたり、足を取られたりする心配がない。又、ダミー差込接続器22は、差込接続器21と異なり、電気部品等は一切不要で、費用が嵩む心配もない。
【0054】
又、本実施例の場合、前記入庫部10のパレット20は90°旋回されて格納棚50へ搬送される。このように構成すると、電気自動車30の充電口31に対応するようパレット20の差込接続器21が入庫部10において何れの側に配設されていても、
図1に示す如く、時計回りに90°、或いは、
図2に示す如く、反時計回りに90°旋回させれば、パレット20の差込接続器21が設けられた幅方向一側を同一方向へ揃えて格納棚50に格納することが可能となり、効率を高める上で有効となる。
【0055】
更に又、本実施例の場合、選択されて切り換えられた前記第一センサ60と第二センサ70の何れか一方の検知結果に基づき前記制御装置80により、電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する警報器90を備えている。このように構成すると、利用者は、警報器90から発せられる警報により、入庫が拒否されたことを認識し、入庫が許可されるように対応することができる。
【0056】
一方、本実施例において、充電口31が設けられた電気自動車30を格納する機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法は、入庫される電気自動車30の充電口31が入庫部10の幅方向何れの側で差込接続器21を利用するか登録する登録工程と、該登録工程で登録された情報に基づき、入庫される電気自動車30の充電口31に対し差込接続器21が登録された側に位置するよう入庫部10にパレット20を呼び出すパレット呼出工程と、前記登録工程で登録された側における移送格納許容領域を、登録されていない側における移送格納許容領域より広く設定するシフト工程と、該シフト工程で設定された幅方向両側の移送格納許容領域に電気自動車30が収まっているか否かを判定する判定工程とを含んでいる。このような工程を含む形で電気自動車30の入庫可否検知を行うようにすると、パレット20自体の形状を変更することなく、電気自動車30を円滑に且つ効率良く入庫させることができる。
【0057】
更に、本実施例における機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法においては、前記判定工程で電気自動車30が幅方向両側の移送格納許容領域に収まっていると判定された場合に入庫を許可する入庫許可工程と、前記判定工程で電気自動車30が幅方向少なくとも一方の側の移送格納許容領域に収まっていないと判定された場合に警報を発する入庫拒否工程とを含むようになっている。このように更に入庫許可工程と入庫拒否工程とを含む形で電気自動車30の入庫可否検知を行うようにすると、利用者は、入庫が許可されたのか或いは拒否されたのかを認識し、警報が発せられて入庫が拒否された場合には、入庫が許可されるように対応することができる。
【0058】
尚、本発明の機械式駐車装置及び該機械式駐車装置の電気自動車入庫可否検知方法は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10 入庫部
11 扉
12 床板
13 開口
14 切欠部
15 切欠部
20 パレット
21 差込接続器
22 ダミー差込接続器
23 充電コード
30 電気自動車
31 充電口
32 充電口蓋
40 搬器
50 格納棚
60 第一センサ
61 第一充電側センサ
61a 投光器
61b 受光器
62 第一非充電側センサ
62a 投光器
62b 受光器
70 第二センサ
71 第二充電側センサ
71a 投光器
71b 受光器
72 第二非充電側センサ
72a 投光器
72b 受光器
80 制御装置
90 警報器
O パレット中心
α クリアランス
β クリアランス