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特許7407321移動体、移動体の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】移動体、移動体の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231221BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231221BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231221BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231221BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20231221BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/09 F
A61B5/00 102C
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023073664
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2019525470の分割
【原出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2023101500
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2017118917
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安井 裕司
(72)【発明者】
【氏名】浅海 壽夫
(72)【発明者】
【氏名】徳永 詩園
(72)【発明者】
【氏名】結城 雅史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】内富 寛隆
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-171394(JP,A)
【文献】特開2002-224053(JP,A)
【文献】特開2007-183824(JP,A)
【文献】特開2016-064773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
A61B 5/00-5/01
G16Y 10/40
G16Y 20/40
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
移動体の自動運転を実行する自動運転制御部と、
前記生体情報を外部機器に送信するとともに、送信した前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信する通信部と、を備え、
前記自動運転制御部は、前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じた自動運転を実行し、
前記自動運転制御部は、前記生体情報取得部が周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動して、前記生体情報取得部に前記生体情報を取得させる、
移動体。
【請求項2】
前記属性情報は、前記利用者の診断結果情報及び追加診断要否情報の少なくとも一方に応じた位置情報を含み、
前記自動運転制御部は、前記通信部で受信した前記属性情報に含まれる前記位置情報の中から経由地を選択する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記外部機器との相互認証により前記生体情報取得部が取得した生体情報を前記外部機器に連続送信する連続接続提供部を備える、
請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記属性情報及び経路情報に基づいて、前記移動体の経路上に他の移動体を誘導する誘導情報を生成する誘導部を備え、
前記通信部は、前記誘導情報を外部に送信する、
請求項2に記載の移動体。
【請求項5】
前記自動運転制御部は、前記生体情報取得部が動作している間、前記移動体を停止させ、または徐行させる、
請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の移動体。
【請求項6】
前記属性情報に基づいて、前記利用者に対して表示する情報を制御する属性表示制御部を備える、
請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の移動体。
【請求項7】
前記通信部によらず、一次属性を判定する一次属性判定部を備える、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の移動体。
【請求項8】
移動体が、
利用者の生体情報を取得し、
前記生体情報を外部機器に送信するとともに、送信した前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信し、
前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じて前記移動体の自動運転を実行し、
前記生体情報を取得において、前記移動体の周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記自動運転により前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動させた後、前記生体情報を取得する、
移動体の制御方法。
【請求項9】
移動体に、
利用者の生体情報を取得させ、
前記生体情報を外部機器に送信させるとともに、送信された前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信させ、
前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じて前記移動体の自動運転を実行させ、
前記生体情報を取得において、前記移動体の周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記自動運転により前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動させた後、前記生体情報を取得させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、移動体の制御方法、及びプログラムに関する。
本願は、2017年6月16日に、日本に出願された特願2017-118917に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の健康を管理するシステムとして、従来、乗員の身体情報と活動状況に基づいて、乗員に対してアドバイスを報知する健康管理支援システムがある(例えば、特許文献1参照)。この健康管理支援システムでは、乗員の身体情報を検知するとともに、乗員に対するアドバイスを行うことにより、乗員の健康を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-234009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された健康管理支援システムでは、車両に一名で乗車している場合、車両を停止させて身体情報を取得させる必要がある。一方、運転中にも身体情報を取得可能な構成である場合、身体情報の種類が限定的となるため、乗員の健康を把握するために十分な情報が取得できない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、利用者の身体状態を迅速かつ十分に取得して伝達することに寄与できる移動体、移動体の制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体、移動体の制御方法、及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、移動体の自動運転を実行する自動運転制御部と、前記生体情報を外部機器に送信するとともに、送信した前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信する通信部と、を備え、前記自動運転制御部は、前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じた自動運転を実行し、前記自動運転制御部は、前記生体情報取得部が周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動して、前記生体情報取得部に前記生体情報を取得させる、移動体である。
【0007】
(2):(1)の移動体であって、前記属性情報は、前記利用者の診断結果情報及び追加診断要否情報の少なくとも一方に応じた位置情報を含み、前記自動運転制御部は、前記通信部で受信した前記属性情報に含まれる前記位置情報の中から経由地を選択するものである。
【0008】
(3):(2)の移動体であって、前記外部機器との相互認証により前記生体情報取得部が取得した生体情報を前記外部機器に連続送信する連続接続提供部を備えるものである。
【0009】
(4):(2)の移動体であって、前記属性情報及び経路情報に基づいて、前記移動体の経路上に他の移動体を誘導する誘導情報を生成する誘導部を備え、前記通信部は、前記誘導情報を外部に送信するものである。
【0010】
(5):(1)から(4)のいずれかの移動体であって、前記自動運転制御部は、前記生体情報取得部が動作している間、前記移動体を停止させ、または徐行させるものである。
【0011】
(6):(1)から(5)のいずれかの移動体であって、前記属性情報に基づいて、前記利用者に対して表示する情報を制御する属性表示制御部を備えるものである。
【0012】
(7):(1)から(6)のいずれかの移動体であって、前記通信部によらず、一次属性を判定する一次属性判定部を備えるものである。
【0013】
(8):移動体が、利用者の生体情報を取得し、前記生体情報を外部機器に送信するとともに、送信した前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信し、前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じて前記移動体の自動運転を実行し、前記生体情報を取得において、前記移動体の周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記自動運転により前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動させた後、前記生体情報を取得する、移動体の制御方法である。
【0014】
(9):移動体に、利用者の生体情報を取得させ、前記生体情報を外部機器に送信させるとともに、送信された前記生体情報に対する属性情報を含む応答信号を前記外部機器から受信させ、前記応答信号に含まれる前記属性情報に基づいて形成された経路情報に応じて前記移動体の自動運転を実行させ、前記生体情報を取得において、前記移動体の周囲環境の電磁波の影響を受ける可能性がある場合に、前記自動運転により前記移動体を電磁波の影響を回避する別の場所に移動させた後、前記生体情報を取得させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
(1)、(8)、(9)では、移動体は、生体情報を外部機器に送信するとともに、外部機器から受信する属性情報に基づく経路情報に応じた自動運転を実行する。このため、外部機器を医師などが操作することにより、利用者の生体情報に基づいて、利用者がとる処置、例えば病院に行く処置や投薬する処置などの必要性を判定して、利用者の生体情報に応じて移動できる。したがって、利用者の身体状態を迅速かつ十分に取得して伝達することができる。
(2)では、自動運転制御部は、利用者の診断結果情報及び追加診断要否情報の少なくとも一方に応じた位置情報の中から経由地を選択する。このため、利用者が向かい際に適切な施設を経由できる。
(3)では、外部機器との相互認証により生体情報取得部が取得した生体情報を外部機器に連続送信する。このため、利用者の生体情報、さらには健康状態を随時認識できる。
(4)では、属性情報及び経路情報に基づいて、経路上に他の移動体を誘導する誘導情報を生成する。このため、例えば利用者が緊急性の高い疾病状態にあるときに、他の移動体、例えば医療車両を早期に出動させることができる。
(5)では、自動運転制御部は、生体情報取得部が動作している間、前記移動体を停止させ、または徐行させる。このため、利用者の生体情報を精度よく取得することができる。
(6)では、属性情報に基づいて、利用者に対して表示する情報を制御する。このため、利用者に応じた属性情報を表示できる。
(7)では、一次属性を判定する一次属性判定部を備える。このため、移動体の内部において、利用者の一時的な属性を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の医療ネットワークシステムの構成図である。
図2】外部端末の構成図である。
図3】自動運転車両の構成図である。
図4】送信データを説明する説明図である。
図5】第1実施形態の生体情報処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態の外部端末処理の手順を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態の医療ネットワークシステムの構成図である。
図8】第2実施形態の生体情報処理の手順を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の外部端末処理の手順を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態の病院案内処理の手順を示すフローチャートである。
図11】目的地候補となる病院のデータを説明する説明図である。
図12】自動運転車両が走行可能なマップを説明する説明図である。
図13】第3実施形態の医療ネットワークシステムの構成図である。
図14】第3実施形態の自動運転車両の構成図である。
図15】第3実施形態の管理サーバの構成図である。
図16】第3実施形態の医療ネットワークシステムにより実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の移動体、移動体の制御方法、及びプログラムの実施形態について説明する。なお、以下では実施形態の一例として、医療ネットワークシステムについて、図面を参照して説明する。
医療ネットワークシステムは、自動運転車両に乗車する利用者が体調不良等を起こした場合における処置を支援するためのシステムである。医療ネットワークシステムでは、利用者の生体情報を取得し、取得した生体情報をリモート診断医などに提供する。リモート診断医は、提供された利用者の生体情報に基づいて、利用者の体調を判定する。
【0018】
リモート診断医による判定の結果、利用者が病院に来院すべきと判定したときには、利用者が病院にするための情報を利用者に提供する。また、リモート診断医は、利用者が来院する病院に対して、利用者の生体情報を提供する。これによって、自動運転車両に乗車中の診察が必要な利用者が早期に診察を受けることが可能であるとともに、乗車中でも適切な処置をとることができる。
【0019】
また、来院までは必要ないが、体調に応じた投薬等が有効である場合には、適切な薬品に関する情報を利用者に提供する。これによって、医師の診断までもは必要ではなく、投薬程度で済ませられる体調であるときに、病院への来院を省くことができる。さらには、投薬すべき薬品の情報を利用者に提供することができる。以下、医療ネットワークシステムの第1実施形態について説明する。なお、医療ネットワークシステムにおける利用者は、自動運転車両に乗車する乗員であり、運転者でもよいし運転者以外の者(同乗者)でもよい。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の医療ネットワークシステムの構成図である。図1に示すように、医療ネットワークシステムは、例えば、外部端末100、自動運転車両200、及び医師端末300を備える。外部端末100は、例えばリモート診断医Dによって利用される。医師端末300は、例えば医療機関である病院Hに設置されている。なお、第1実施形態では、自動運転車両200が来院する医療機関である図1に示す病院Hはリモート診断医Dによって決定される。
【0021】
外部端末100及び自動運転車両200は、無線通信によってネットワークNWと接続可能である。また、医師端末300は、ケーブルを介してネットワークNWと接続されている。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局などを含む。
【0022】
外部端末100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。外部端末100では、医療ネットワークシステムを利用するためのアプリケーションプログラム、或いはブラウザなどが起動し、以下に説明するサービスをサポートする。以下の説明では外部端末100がスマートフォンであり、アプリケーションプログラム(医療ネットワークアプリ)が起動していることを前提とする。
【0023】
図2は、外部端末装置の構成図である。図2に示すように、外部端末100は、タッチパネル(入力部、出力部の一例)110、通信部(第2の通信部の一例)120、及び制御部130を備える。タッチパネル110は、利用者であるリモート診断医Dの入力操作を受け付ける。入力操作の内容としては、例えば、生体情報を病院Hの医師端末300に送信する指示、病院Hの指定、指定した病院の識別情報や所在地などの情報を含む要来院情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信する指示などがある。タッチパネル110は、入力操作に応じた入力情報を制御部130に出力する。また、タッチパネル110は、通信部120によって受信された情報、例えば自動運転車両200の通信装置220により送信される生体情報に基づく情報を表示して出力する。
【0024】
通信部120は、例えば、ネットワークNWに接続したり、ネットワークNWを介して、自動運転車両200及び医師端末300との間で通信したりするための無線通信モジュールである。通信部120は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。通信部120は、自動運転車両200により送信された情報を制御部130に出力する。
【0025】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、各種記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。制御部130は、タッチパネル110から入力された情報に基づいて、各種演算処理を行う。制御部130は、各種演算処理の結果に基づく情報をタッチパネル110及び通信部120に出力する。通信部120は、制御部130により出力された情報を、ネットワークNWを介して自動運転車両200や医師端末300に送信する。
【0026】
また、外部端末100は、図示しないスピーカやバイブレータを備えてよい。外部端末100は、スピーカを介して音声を出力可能である。ここでの音声は、例えば、所定の情報を受信した際に、当該情報を受信した旨や情報の種類などを示すものであってもよいし、受信した情報に応じた所定の機械音などであってもよい。また、バイブレータは、振動することにより、外部端末100の利用者に対して、情報を受信した旨を報知する。これらの構成を備える外部端末100は、外部端末処理を実行する。外部端末処理については、後に説明する。
【0027】
自動運転車両200は、例えば、一以上の利用者が乗員として乗車可能な車両であり、運転操作を行うことなく走行する機能を有する車両である。図3は、自動運転車両200の構成図である。図3に示すように、自動運転車両200は、例えば、外界監視ユニット210と、通信装置(第1の通信部の一例)220と、ナビゲーション装置230と、生体情報取得部240と、生体情報処理部242と、自動運転制御ユニット(自動運転制御部の一例)250と、駆動力出力装置260と、ブレーキ装置262と、ステアリング装置264とを備える。
【0028】
外界監視ユニット210は、例えば、カメラやレーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、これらの出力に基づいてセンサフュージョン処理を行う物体認識装置などを含む。外界監視ユニット210は、自動運転車両200の周辺に存在する物体の種類(特に、車両、歩行者、および自転車)を推定し、その位置や速度の情報とともに自動運転制御ユニット250に出力する。
【0029】
通信装置220は、例えば、ネットワークNWに接続したり、他車両や歩行者の端末装置などと直接的に通信したりするための無線通信モジュールである。通信装置220は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。通信装置220として、用途に応じた複数のものが用意されてもよい。通信装置220は、外部端末100により送信された情報を生体情報処理部242に出力する。通信装置220は、ナビゲーション装置230及び生体情報処理部242により出力された情報を、ネットワークNWを介して外部端末100及び医師端末300に送信する。
【0030】
ナビゲーション装置230は、例えば、HMI(Human machine Interface)232と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機234と、ナビ制御装置236とを備える。HMI232は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ装置やスピーカ、マイクなどを含む。GNSS受信機234は、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて自機の位置(自動運転車両200の位置)を測位する。ナビ制御装置236は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や各種記憶装置を備え、ナビゲーション装置230全体を制御する。
【0031】
記憶装置には、地図情報(ナビ地図)が格納されている。ナビ地図は、ノードとリンクで道路を表現した地図である。ナビ制御装置236は、GNSS受信機234によって測位された自動運転車両200の位置から、HMI232を用いて指定された目的地までの経路を、ナビ地図を参照して決定する。また、ナビ制御装置236は、自動運転車両200の位置と目的地とを、通信装置220を用いてナビゲーションサーバ(不図示)に送信し、ナビゲーションサーバから返信された経路を取得してもよい。なお、経路には、利用者を乗車または降車させるために停止する地点および到達目標時刻の情報が含まれてよい。ナビ制御装置236は、上記いずれかの方法で決定した経路の経路情報を通信装置220及び自動運転制御ユニット250に出力する。
【0032】
生体情報取得部240は、利用者の生体情報を取得する。例えば、生体情報取得部240は、自動運転車両に搭載され、利用者を撮影するカメラやマイク、或いは利用者が装着するウェアラブルセンサなどである。また、生体情報取得部240が動作して取得する利用者の生体情報としては、例えば、心拍数、脈拍数、体温、呼吸回数、瞳孔の開き具合、呼吸音、心電、筋電、心電や筋電の変化(変位)、血糖値、血中酸素濃度などが挙げられる。これらの項目の計測については、例えば、心電計、筋電計、血糖値測定器、血中酸素濃度計測機など各項目の専用の計測装置を用いてもよい。
【0033】
生体情報処理部242は、CPUやMPU(Micro Processing Unit)などの一以上のプロセッサが、各種記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現される。生体情報処理部242は、生体情報取得部240に対して生体情報検出指示を出力する。生体情報取得部240は、生体情報処理部242により出力される生体情報検出指示に応じて、利用者の生体情報を検出する。また、生体情報処理部242は、生体情報取得部240に生体情報検出指示を出力した際には、自動運転制御ユニット250に対して、減速指示を出力する。
【0034】
生体情報処理部242は、生体情報取得部240により出力された生体情報を通信装置220に出力する。通信装置220は、出力された生体情報を外部端末100に対してネットワークNWを介して送信する。生体情報処理の具体的な手順は、後にさらに説明する。外部端末100では、送信された生体情報を受信する。また、生体情報処理部242は、外部端末100により送信された情報に応じて目的地を設定し、設定した目的地に応じた目的地情報をナビゲーション装置230に出力する。
【0035】
自動運転制御ユニット250は、CPUやMPUなどの一以上のプロセッサと各種記憶装置を備える。自動運転制御ユニット250は、ナビゲーション装置230により送信された経路情報に基づく経路を走行するように自動運転車両200を自動的に走行させる自動運転を実行する。自動運転制御ユニット250は、例えば、各種イベントを順次実行する。イベントには、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、前走車両に追従する追従走行イベント、車線変更イベント、合流イベント、分岐イベント、緊急停止イベント、料金所を通過するための料金所イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのハンドオーバイベントなどがある。また、これらのイベントの実行中に、自動運転車両200の周辺状況(周辺車両や歩行者の存在、道路工事による車線狭窄など)に基づいて、回避のための行動が計画される場合もある。
【0036】
自動運転制御ユニット250は、自動運転車両200が将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自動運転車両200の到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの自動運転車両200の到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0037】
自動運転制御ユニット250は、生体情報処理部242により減速指示が出力された場合に、減速が困難な状況であるか否か判定して、減速が困難な状況、例えば後続車両が近い距離にいるような状況でないときには、減速処理を行う。こうして、自動運転制御ユニット250は、減速処理を行うことにより、生体情報取得部240が動作している間、自動運転車両200を停止させまたは徐行させる。また、周囲環境におけるラジオノイズ(電磁波)の影響を受ける可能性がある場合には、自動運転車両200が別の場所に移動してラジオノイズの影響を避けるようにしてから、生体情報取得部240が生体情報を取得するようにしてもよい。このため、例えばS/N比を検出し、S/N比が低いときには、S/N比が高くなる位置に自動運転車両200を移動させるようにしてもよい。
【0038】
駆動力出力装置260は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。駆動力出力装置260は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するパワーECUとを備える。パワーECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは不図示の運転操作子から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0039】
ブレーキ装置262は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置262は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置262は、上記説明した構成に限らず、自動運転制御ユニット250から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0040】
ステアリング装置264は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0041】
図1に戻り、医師端末300は、図示しない通信装置、演算装置、画像表示装置等を備える。医師端末300は、ネットワークNWを介して外部端末100により送信される生体情報を含む送信情報を通信装置によって受信可能である。また、医師端末300は、受信した生体情報を画像表示装置に表示可能である。医師端末300を操作する病院Hにおける医師は、外部端末100により送信された生体情報に基づいて、利用者をさらに精密に診断する二次的な診断の準備を行うことができる。
【0042】
外部端末100では、自動運転車両200における通信装置220により送信された生体情報に基づいて、例えば生体情報(或いは生体情報を加工した情報)を含む送信情報を生成する。送信情報には、例えば図4に示すように、「車両ID」「(自動運転車両200の)現在位置」「乗員年齢」「乗員性別」「乗車位置」「脈拍数」「心拍数」「体温」の各項目が含まれる。これらの項目のうち、「脈拍数」「心拍数」「体温」「血糖値」、「血中酸素濃度」が生体情報となる。生体情報取得部240は、例えば、時系列に沿って利用者の生体情報を取得する。生体情報は、例えば、120Hz以下程度の周波数をもって時系列で利用者の生体情報を取得する。図4に示す送信情報は、時刻t1,t2,t3,t4,t5で計測した生体情報をそれぞれ含む送信情報を示している。外部端末100は、生成した送信情報を、医師端末300に対してネットワークNWを介して送信する。
【0043】
次に、第1実施形態の医療ネットワークシステムにおける処理について説明する。医療ネットワークシステムにおける処理には、生体情報処理部242で実行される生体情報処理及び外部端末100で実行される外部端末処理が含まれる。生体情報処理及び外部端末処理は、例えば、自動運転車両200に乗員が乗車し、設定された目的地に向けて自動運転車両200が走行している状態で行われる。以下、生体情報処理及び外部端末処理について具体的に説明する。
【0044】
図5は、生体情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、生体情報処理部242は、生体情報取得部240に乗員の生体情報を取得させる(ステップS11)。生体情報処理部242は、例えば一定時間ごとに乗員の生体情報を生体情報取得部240に取得させて生体情報処理部242に出力させる。生体情報取得部240では、例えば、生体情報を時系列で計測した数秒~数十秒のデータを圧縮して送信するようにしてもよい。データを圧縮して送信するにあたっては、例えば、図4に示す複数の送信情報を圧縮して送信するようにしてもよい。
【0045】
次に、生体情報処理部242は、生体情報取得部240により出力された生体情報を外部端末100に対して通信装置220を介して送信する(ステップS12)。次に、生体情報処理部242は、外部端末100により送信される返答情報を受信したか否かを判定する(ステップS13)。その結果、返答情報を受信していないと判定した場合、生体情報処理部242は、返答情報を受信するまでステップS13の処理を繰り返す。なお、生体情報処理部242は、所定の待機時間、例えば15分間が経過しても返答情報を受信しない場合、そのままタイムアウトして生体情報処理を終了してもよい。
【0046】
外部端末100では、自動運転車両200の生体情報処理部242により送信された生体情報に基づく処理を行い、その結果として返答情報を生体情報処理部242に送信する。そこで、生体情報処理部242における生体情報処理の説明を続ける前に、外部端末100における制御部130で実行される外部端末処理について説明する。
【0047】
図6は、外部端末処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、外部端末100における制御部130は、自動運転車両200の生体情報処理部242により送信された生体情報を受信したか否かを判定する(ステップS21)。その結果、生体情報を受信していないと判定した場合、制御部130は、生体情報を受信するまでステップS21の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS21において、生体情報を受信したと判定した場合、制御部130は、送信された生体情報に基づく画像をタッチパネル110に表示させる(ステップS22)。この際に、制御部130は、外部端末100のスピーカから表示音を出力させたり、バイブレータを振動させたりして、生体情報に基づく画像がタッチパネル110に表示されたことを外部端末100の利用者に報知してもよい。
【0049】
リモート診断医Dは、外部端末100に表示された画像に基づいて乗員の一次的な診断を行う。例えば、リモート診断医Dは、脈拍数や心拍数が正常値よりも高かったり、体温が平熱よりも高かったりした場合に、病気の疑いがあり、病院Hの来院が必要であるといった一次的な診断を行う。診断を行ったリモート診断医Dは、タッチパネル110を操作して診断結果を入力する。
【0050】
続いて、制御部130は、リモート診断医Dによるタッチパネル110の診断結果の入力操作があったか否かを判定する(ステップS23)。その結果、タッチパネル110の操作がなかったと判定した場合、制御部130は、タッチパネル110の操作があるまでステップS23の処理を繰り返す。また、タッチパネル110の操作があったと判定した場合、ステップS24に進む。リモート診断医Dは、タッチパネル110によって、来院の必要性や来院する病院の識別情報や所在地を入力する。病院の識別情報等は、リモート診断医Dの経験等によって判定してもよいし、別途病院リストを用意し、この病院リストの中からリモート診断医Dが選別して判定してもよい。なお、制御部130は、所定の待機時間、例えば10分間が経過しても入力操作がない場合、そのままタイムアウトして外部端末処理を終了してもよい。
【0051】
生体情報に基づく一次的な診断は、リモート診断医Dが行ってもよいし、その他の看護師やコンサルタントなどの専門家が行ってもよい。また、リモート診断医Dを含む医師やその他の専門家などを含めた複数の者で診断を行ってもよいし、診断用プログラムなどを用いて制御部130が行ってもよい。制御部130が自動的に診断を行う場合には、タッチパネル110への入力操作は省略されてもよい。
【0052】
続いて、制御部130は、入力された診断結果を参照し、病院Hへの来院が必要か否か(リモート診断医Dが病院Hへの来院が必要と入力したか否か)を判定する(ステップS24)。その結果、病院Hへの来院が必要であると判定した場合、返答情報に、病院Hへの来院が必要であることを示す要来院情報を付加する(ステップS25)。次に、制御部130は、生体情報を含む情報を医師端末300に送信する(ステップS26)。そして、制御部130は、返答情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信して(ステップS27)、外部端末処理を終了する。また、病院Hへの来院が必要でないと判定した場合、制御部130は、返答情報に要来院情報を付加することなく、さらに、生体情報を医師端末300に送信することなく、返答情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信する(ステップS27)。こうして、制御部130は、外部端末処理を終了する。
【0053】
図5に示す生体情報処理に戻り、生体情報処理部242は、ステップS13において、返答情報を受信したと判定した場合、要来院情報が付加されているか否かを判定する(ステップS14)。その結果、要来院情報が付加されていると判定した場合、生体情報処理部242は、目的地を病院Hに設定する(ステップS15)。続いて、生体情報処理部242は、設定した目的地情報をナビゲーション装置230に出力する(ステップS16)。ナビゲーション装置230では、目的地が予め設定された目的地から病院Hに変更される。ナビゲーション装置230では、目的地が変更された旨を音声や画像表示によって乗員に報知してもよい。また、ステップS14において、要来院情報が付加されていないと判定した場合、生体情報処理部242は、目的地を変更することなく、そのまま維持する。こうして、生体情報処理部242は、生体情報処理を終了する。
【0054】
このように、第1実施形態の医療ネットワークシステムでは、生体情報取得部240で取得した利用者の生体情報をリモート診断医Dが所持する外部端末100に送信する。このため、外部端末100を所持するリモート診断医Dによって生体情報に基づいて一次診断を行うことができるので、利用者の身体状態を迅速かつ十分に取得して伝達することができる。
【0055】
したがって、利用者は、自らが取るべき適切な処理、例えば病院に行く処置や投薬する処置などの必要性を判定して、自動運転車両に提供することができる。よって、利用者は、リモート診断医Dの判定に従うことにより、例えば、自動運転車両200に乗車中でも病院Hに来院するなどの適切な処置を早期にとることができる。
【0056】
また、第1実施形態の医療ネットワークシステムにおいては、リモート診断医Dが外部端末100のタッチパネル110に入力した病院の識別情報または所在地に基づいて、自動運転車両200の目的地を決定している。このため、リモート診断医Dなどの専門家によって入力された情報に基づいて、目的地となる病院を決定できるので、利用者が向かう際に適切な病院を目的地とすることができる。
【0057】
また、第1実施形態の医療ネットワークシステムにおいて、外部端末100は、生体情報処理部242により送信された生体情報を病院Hの医師端末300に送信している。このため、病院Hでは、生体情報を参照することによって、利用者を迎え入れる準備を進めておくことができる。したがって、自動運転車両に乗車中の診察が必要な利用者が早期に診察を受けることが可能となる。
【0058】
また、第1実施形態の医療ネットワークシステムにおいて、自動運転車両200における自動運転制御ユニット250は、生体情報取得部240が利用者の生体情報を取得するための動作しているときには、自動運転車両を停止させ、減速させるようにしている。このため、生体情報取得部240による利用者の生体情報の取得中には、自動運転車両200の走行による振動を少なくすることができる。したがって、生体情報取得部240における検出精度を高めることができる。また、生体情報処理部242が周囲環境におけるラジオノイズの影響を受ける可能性がある場合に、自動運転車両200が別の場所に移動することにより、生体情報処理部242は、生体情報を確実に取得することができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、自動運転車両が来院する医療機関として指定されるのは、複数の医療機関の中から選択された医療機関である。図7は、第2実施形態の医療ネットワークシステムの構成図である。図7に示すように、第2実施形態の医療ネットワークシステムは、第1実施形態と同様、外部端末100及び自動運転車両200を備える。また、第2実施形態の医療ネットワークシステムは、複数の医師端末300A,300B,300C…を備える。医師端末300A,300B,300C…は、例えばそれぞれ第1病院HA,第2病院HB,第3病院HC…に設置されている。さらに、第2実施形態の医療ネットワークシステムは、サービスセンターSに備えられた情報処理装置400を備える。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第2実施形態の医療ネットワークシステムについて説明する。
【0060】
図7に示すように、第2実施形態の医療ネットワークシステムにおける外部端末100及び自動運転車両200は、いずれも第1実施形態と同様の構成を有している。また、複数の医師端末300A,300B,300C…は、いずれも第1実施形態の医師端末300と同様の構成を有する。
【0061】
情報処理装置400は、ネットワークNWと接続されている。情報処理装置400は、図示しない通信装置、演算装置、画像表示装置等を備える。情報処理装置400は、ネットワークNWを介して外部端末100により送信される処置情報を含む送信情報を通信装置によって受信可能である。また、情報処理装置400は、受信した処置情報を画像表示装置に表示可能である。また、情報処理装置400は、受信した処置情報に基づいて、病院案内処理を行う。病院案内処理では、自動運転車両200の走行位置に基づいて、自動運転車両200の目的地候補となる医療機関を決定し、決定した医療機関の識別情報または所在地を自動運転車両200の通信装置220に送信する。病院案内処理については、後に説明する。
【0062】
次に、第2実施形態の医療ネットワークシステムにおける処理について説明する。第2実施形態の医療ネットワークシステムにおける処理には、生体情報処理部242で実行される生体情報処理、外部端末100で実行される外部端末処理、及び情報処理装置400で実行される病院案内処理が含まれる。生体情報処理、外部端末処理、及び病院案内処理は、例えば、自動運転車両200に乗員が乗車し、設定された目的地に向けて自動運転車両200が走行している状態で行われる。以下、生体情報処理、外部端末処理、及び病院案内処理について具体的に説明する。
【0063】
図8は、生体情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、生体情報処理部242は、上記第1実施形態のステップS11と同様に、生体情報取得部240に利用者の生体情報を取得させ(ステップS31)、取得した生体情報を生体情報処理部242に出力させる。また、生体情報処理部242は、ナビゲーション装置230から自動運転車両200の現在位置に基づく現在地情報を取得する(ステップS31)。
【0064】
次に、生体情報処理部242は、生体情報取得部240により出力された生体情報及びナビゲーション装置230から取得した現在地情報を、外部端末100の制御部130に対して通信装置220を介して送信する(ステップS32)。続いて、生体情報処理部242は、サービスセンターSの情報処理装置400により送信される返答情報を受信したか否かを判定する(ステップS33)。その結果、返答情報を受信していないと判定した場合、生体情報処理部242は、返答情報を受信するまでステップS33の処理を繰り返す。なお、生体情報処理部242は、所定の待機時間、例えば15分間が経過しても返答情報を受信しない場合、そのままタイムアウトして生体情報処理を終了してもよい。
【0065】
外部端末100では、自動運転車両200の生体情報処理部242により送信された生体情報に基づく処理を行い、その結果として処置情報をサービスセンターSの情報処理装置400に送信する。また、情報処理装置400は、外部端末100により送信された処置情報に基づいて、返答情報を生成し、生体情報処理部242に送信する。そこで、生体情報処理部242における生体情報処理の説明を続ける前に、外部端末100における制御部130で実行される外部端末処理及び情報処理装置400で実行される病院案内処理について説明する。
【0066】
図9は、外部端末処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、外部端末100における制御部130は、生体情報を受信したか否かを判定する(ステップS51)。生体情報を受信していないと判定した場合、制御部130は、ステップS51の処理を繰り返す。また、生体情報を受信したと判定した場合、制御部130は、タッチパネル110に生体情報を表示し(ステップS52)、入力操作があったか否かを判定する(ステップS53)。その結果、入力操作がなかったと判定した場合、制御部130は、ステップS53の処理を繰り返す。ここまでは、上記第1実施形態におけるステップS21~ステップS23と同様の処理を実行する。
【0067】
また、ステップS53において、入力操作があったと判定した場合、制御部130は、病院への来院が必要と入力されたか否かをする(ステップS54)。ここでは、外部端末を所持するリモート診断医Dは、特定の病院ではなく、いずれかの病院への来院が必要か否か、また、入院の可能性があるなどの緊急度の高い疾病であるか否かを判定して判定結果を入力する。さらには、リモート診断医Dは、医療車両である救急車が必要か否かを判定して判定結果を入力する。また、病院の来院までは必要なく、投薬を行うことで十分と判定した場合、リモート診断医Dは、投薬で十分である旨及び投薬に適した薬品の種類を入力する。この場合、後に説明するように、ナビゲーション装置(提案部の一例)230は、自動運転車両200の最寄りの医療機関外の施設、例えば薬局を目的地とし、薬局への立ち寄り及び薬品の購入の提案を、HMI232を用いて利用者に対して実行する。
【0068】
ステップS54において、来院が必要であると判定した場合、制御部130は、処置情報に要来院情報を付加する(ステップS55)。要来院情報には、疾病の緊急度も合わせて付加する。続いて、制御部130は、救急車が必要か否かを判定する(ステップS56)。その結果、救急車が必要であると判定した場合、制御部130は、処置情報に、救急車が必要であることを示す要救急車情報を付加する(ステップS57)。また、救急車が必要でないと判定した場合、制御部130は、要救急車情報を付加することなくステップS58に進む。
【0069】
その後、制御部130は、サービスセンターSの情報処理装置400に処置情報を送信する(ステップS58)。ここで、制御部130は、生体情報処理部242により送信された現在地情報をサービスセンターSの情報処理装置400に送信する処置情報に付加する。また、ステップS54において、来院が必要でないと判定した場合、制御部130は、病院の来院までは必要なく、投薬で十分であるか否かを判定する(ステップS59)。
【0070】
その結果、投薬で十分であると判定した場合、制御部130は、投薬される薬品の種類に応じた薬品購入情報を処置情報に付加する(ステップS60)。また、投薬の必要もないと判定した場合、制御部130は、薬品購入情報などを処置情報に付加することなく、ステップS58に進む。その後、制御部130は、処置情報に現在地情報を付加してサービスセンターSの情報処理装置400に送信する(ステップS58)。
【0071】
続いて、制御部130は、生体情報処理部242により送信される行先病院情報を受信したか否かを判定する(ステップS61)。行先病院情報は、生体情報処理部242で決定されて、制御部130に送信される。生体情報処理部242により送信される行先病院情報を受信していないと判定した場合、制御部130は、ステップS61の処理を繰り返す。なお、制御部130は、所定の待機時間が経過しても行先病院情報を受信しない場合、そのままタイムアウトして外部端末処理を終了してもよい。
【0072】
また、生体情報処理部242により送信される行先病院情報を受信したと判定した場合、制御部130は、ステップS51で受信した生体情報を行先病院の医師端末に送信する(ステップS62)。例えば、第1行先病院が第1病院HAである場合、制御部130は、生体情報を医師端末300Aに送信する。こうして、制御部130は、外部端末処理を終了する。
【0073】
次に、病院案内処理について説明する。図10は、病院案内処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、サービスセンターSにおける情報処理装置400は、外部端末100により送信される処置情報を受信したか否かを判定する(ステップS71)。その結果、処置情報を受信していないと判定した場合、情報処理装置400は、ステップS61の処理を繰り返す。なお、情報処理装置400は、所定の待機時間が経過しても処置情報を受信しない場合、そのままタイムアウトして病院案内処理を終了してもよい。
【0074】
また、ステップS71において、外部端末100により送信される処置情報を受信したと判定した場合、情報処理装置400は、処置情報に要来院情報が付加されているか否かを判定する(ステップS72)。その結果、処置情報に要来院情報が付加されていると判定した場合、情報処理装置400は、行先候補病院決定処理を行う(ステップS73)。
【0075】
情報処理装置400は、行先候補病院決定処理では、自動運転車両200の行先の候補となる病院を決定する。情報処理装置400は、自動運転車両200や利用者の疾病の緊急度などに応じて自動運転車両200の行先の候補となる病院を決定することができる。例えば、情報処理装置400は、外部端末100により送信された処置情報に付加された現在地情報に基づいて、自動運転車両200の現在の走行位置を取得し、地理的条件として、取得した自動運転車両200から半径10km以内にある病院を行先候補として決定することができる。また、情報処理装置400は、地理的条件の他、自動運転車両200が例えば20分以内に到達できる病院といった時間的条件で行先の候補となる病院を決定してもよい。さらに、情報処理装置400は、行先の候補となる病院を決定する際には、要来院情報に付加される疾病の緊急度も考慮してもよい。例えば、情報処理装置400は、入院が必要となる可能性があるほど緊急度の高い疾病が利用者に想定される場合には入院施設のある病院を決定し、緊急度の低い疾病が利用者に想定される場合には小規模の病院を決定してもよい。
【0076】
行先候補病院決定処理を行った結果、情報処理装置400は、行先候補となる病院があったか否かを判定する(ステップS74)。その結果、行先候補となる病院があったと判定した場合、情報処理装置400は、要来院情報に行先候補病院情報を付加する(ステップS75)。行先候補病院情報には、図11に示すように、行先候補となる病院の住所、診療科目、休診日と等の情報が含まれている。また、行先候補となる病院がなかったと判定した場合、情報処理装置400は、行先候補病院情報を付加することなく、そのままステップS76に進む。
【0077】
それから、情報処理装置400は、返答情報に要来院情報を付加する(ステップS76)。続いて、情報処理装置400は、処置情報に要救急車情報が付加されているか否かを判定する(ステップS77)。その結果、処置情報に要救急車情報が付加されていると判定した場合、情報処理装置400は、図7に示す救急車AMの出動要請を行う(ステップS78)。救急車AMの出動要請を行う際、情報処理装置400は、例えば、自動運転車両200の経路上の所定位置まで救急車AMを移動させる要請情報を送信する。
【0078】
その後、情報処理装置400は、返答情報に救急車出動情報を付加する(ステップS79)。その後、情報処理装置400は、返答情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信して(ステップS80)、病院案内処理を終了する。また、ステップS77において、処置情報に要救急車情報が付加されていないと判定した場合、情報処理装置400は、そのままステップS80に進む。そして、情報処理装置400は、返答情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信して(ステップS80)、病院案内処理を終了する。
【0079】
また、ステップS72において、処置情報に要来院情報が付加されていないと判定した場合、情報処理装置400は、処置情報に薬品購入情報が付加されているか否かを判定する(ステップS81)。その結果、薬品購入情報が付加されていると判定した場合、情報処理装置400は、返答情報に薬品購入情報を付加して(ステップS82)、ステップS80に進む。また、薬品購入情報が付加されていないと判定した場合、情報処理装置400は、返答情報に薬品購入情報を付加することなくステップS80に進む。そして、情報処理装置400は、返答情報を自動運転車両200の生体情報処理部242に送信し(ステップS80)、病院案内処理を終了する。
【0080】
図8に示す生体情報処理に戻り、生体情報処理部242は、ステップS33において、返答情報を受信したと判定した場合、生体情報処理部242は、返答情報に要来院情報が付加されているか否かを判定する(ステップS34)。その結果、要来院情報が付加されていないと判定した場合、生体情報処理部242は、返答情報に薬品購入情報が付加されているか否かを判定する(ステップS35)。ここで、返答情報に薬品購入情報が付加されていないと判定した場合、生体情報処理部242は、そのままステップS42に進む。また、返答情報に薬品購入情報が付加されているとした場合、生体情報処理部242は、自動運転車両200の現在地における最寄りの薬局を目的地として設定する(ステップS36)。また、生体情報処理部242は、最寄りの薬局を目的地として設定した際に、薬品購入情報に応じた薬局情報をナビゲーション装置230に出力する。ナビゲーション装置230は、生体情報処理部242により出力された薬局情報に基づく自動運転車両200の最寄りの薬局に立ち寄り、薬品を購入する旨を、例えばHMI232を用いて利用者に画像表示や音声によって提案する。
【0081】
例えば、図12に示すように、自動運転車両200の周囲に4つの第1薬局MA~第4薬局MDが存在する場合には、生体情報処理部242は、自動運転車両200から最寄りの第4薬局MDを目的地とすればよい。また、自動運転車両200が走行している道路がUターン禁止等で走行に制約がある場合には、生体情報処理部242は、自動運転車両200から最寄りではないが、走行距離が最も短い第1薬局MAを目的地としてもよい。
【0082】
また、ステップS34において、返答情報に要来院情報が付加されていると判定した場合、生体情報処理部242は、要来院情報に行先候補病院情報が付加されているか否かを判定する(ステップS37)。その結果、要来院情報に行先候補病院情報が付加されていると判定した場合、生体情報処理部242は、目的地となる行先病院を決定する(ステップS38)。生体情報処理部242は、行先病院を決定するにあたり、行先候補病院情報に含まれる病院の中から、自動運転車両200の現在地における最寄りの病院を行先病院として決定する。
【0083】
生体情報処理部242は、行先病院を決定したら、決定した行先病院に関する行先病院情報を外部端末100の制御部130に出力する(ステップS39)。外部端末100の制御部130は、図9に示すステップS61からステップS62を実行して、行先病院に生体情報を送信する。
【0084】
また、ステップS37において、要来院情報に行先候補病院情報が付加されていないと判定した場合、生体情報処理部242は、あらかじめ設定された乗員のかかりつけの病院を目的地に設定する(ステップS40)。なお、乗員のかかりつけの病院が設定されていない場合には、自動運転車両200の現在地における最寄りの病院を目的地として設定してもよい。図12に示す例では、第1病院HA~第4病院HDの4つの病院のうち、第1病院HAが目的地となるようにすればよい。
【0085】
ステップS36もしくはステップS40で目的地を設定し、またはステップS38で目的地を設定しステップS39で外部端末100に行先病院情報を出力した後、生体情報処理部242は、目的地情報をナビゲーション装置230に出力する(ステップS41)。続いて、生体情報処理部242は、返答情報に救急車出動情報が付加されているか否かを判定する(ステップS42)。その結果、返答情報に救急車出動情報が付加されていると判定した場合、生体情報処理部242は、救急車出動案内を出力する(ステップS43)。生体情報処理部242は、例えばナビゲーション装置230のHMI232を利用して、救急車を呼んでいる旨を音声出力や画像表示で表して乗員に報知する。こうして、生体情報処理部242は、生体情報処理を終了する。また、ステップS42において、返答情報に救急車出動情報が付加されていないと判定した場合、生体情報処理部242は、そのまま生体情報処理を終了する。
【0086】
第2実施形態の医療ネットワークシステムでは、上記第1実施形態の医療ネットワークシステムと同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態の医療ネットワークシステムでは、自動運転車両200の走行位置に基づいて、行先の候補となる病院を自動運転車両200の通信装置220に送信し、行先の候補となる病院の中から目的地を決定している。このため、リモート診断医Dなどの専門家によって入力された情報に基づいて、目的地となる病院を決定できるので、利用者が向かう際に適切な病院を目的地とすることができる。また、疾病の緊急度に応じて行先の候補となる病院を通信装置220に送信している。このため、疾病の度合いに応じたさらに適切な病院を目的地とすることができる。
【0087】
また、第2実施形態の医療ネットワークシステムでは、リモート診断医Dは、救急車の必要性を判定し、救急車が必要である場合には、サービスセンターSの情報処理装置400が救急車の出動要請を行うようにしている。このため、利用者が緊急性の高い疾病状態にあるときに、救急車を早期に出動させることができる。また、救急車は、自動運転車両200の走行経路に向かうようになっている。このため、自動運転車両200に対して、さらに早期に救急車を出動させるようにすることができる。
【0088】
また、第2実施形態の医療ネットワークシステムでは、リモート診断医Dが、病院の来院までは必要なく、一般に販売されている薬品の投薬で十分と判定した場合には、ナビゲーション装置230は、薬局への立ち寄り及び薬品の購入を提案し、自動運転車両200は、目的地を最寄りの薬局とするようにしている。このため、医療機関にまで行く必要が乏しい軽度の疾病の場合、薬局等に立ち寄る処置をとることができる。
【0089】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と同様、自動運転車両が来院する医療機関は、病院Hである。図13は、第3実施形態の管理システムである医療ネットワークシステムの構成図である。図13に示すように、第3実施形態の医療ネットワークシステムは、第1実施形態と同様、自動運転車両200を備える。また、第3実施形態の医療ネットワークシステムは、管理サーバ500及び施設側端末600を備える。管理サーバ500は、サービスセンターSに設置され、施設側端末600は、病院Hに設置されている。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第3実施形態の医療ネットワークシステムについて説明する。
【0090】
図14は、第3実施形態の自動運転車両の構成図である。図14に示すように、自動運転車両200は、外界監視ユニット410、通信部420、ナビゲーション装置430、生体情報取得部440、生体情報処理部441、自動運転制御ユニット450、駆動力出力部460、ブレーキ装置462、及びステアリング装置464を備えている。
【0091】
このうち、外界監視ユニット410、通信部420、ナビゲーション装置430、生体情報取得部440、自動運転制御ユニット450、駆動力出力部460、ブレーキ装置462及びステアリング装置464は、上記第1の実施形態の外界監視ユニット210、通信装置220、ナビゲーション装置230、自動運転制御ユニット250、駆動力出力装置260、ブレーキ装置262及びステアリング装置264と同様の構成を有している。
【0092】
生体情報処理部441は、一次属性判定部442、連続接続提供部444、誘導部446、及び属性表示制御部448を備えている。このうち、一次属性判定部442は、生体情報取得部440が取得した利用者の生体情報の一次属性を判定する。一次属性としては、例えば、リモート診断医Dが行う診断と同等の判断による判断結果(診断結果)である。例えば、利用者の脈拍数や心拍数が正常値の範囲内にあるか、もしくは正常値の範囲よりも高いか低いかなどを属性として分類する。一次属性判定部442は、分類した一次属性を管理サーバ500に通信部420を介して送信する。
【0093】
連続接続提供部444は、生体情報取得部440から取得した生体情報を、通信部420を介して連続的に管理サーバ500に生体信号として提供する。連続接続提供部444が設けられていることにより、管理サーバ500は、利用者の生体情報を時系列で取得し生体情報の計時的な変化を取得できる。
【0094】
誘導部446は、各種情報に基づいて、自動運転車両200が移動する際の経由地を設定したり、必要に応じた車両要請判定を行ったりする。誘導部446は、設定した経由地をナビゲーション装置430に出力する。ナビゲーション装置430は、出力された経由地に沿った走行のための情報を自動運転制御ユニット450に出力する。また、誘導部446は、車両要請を行う場合には、通信部420を介して管理サーバ500に車両要請信号を送信する。
【0095】
属性表示制御部448は、一次属性判定部442が判定した生体情報の特性や、管理サーバ500から送信される各種情報などの表示を表示する。また、生体情報処理部441は、第1実施形態における生体情報取得部240と同等の機能も備えている。
【0096】
図15は、第3実施形態の管理サーバの構成図である。図15に示すように、管理サーバ500は、通信部510、応答生成部520、利用者情報取得部530、連続受信判定部540、施設利用可否判定部550、照会信号生成部560、記憶部570、及び接続許可部580を備えている。
【0097】
応答生成部520は、属性付与判定部521及び追加属性付与判定部522を備えている。記憶部570は、生体履歴情報571、施設情報572、利用者情報573、共有生体情報574を記憶している。
【0098】
通信部510は、管理サーバ500から見た外部の機器、例えば、自動運転車両200や施設側端末600との間で情報(信号)の送受信を行う。通信部510は、例えば、自動運転車両200から送信される生体信号を受信し、応答信号を自動運転車両に送信する。応答信号には、属性情報、病院などの施設の位置を示す位置情報が含まれる。また、通信部510は、対応可能属性情報に応じた施設側端末600に照会信号を送信し、施設側端末600から送信される施設情報及び追加属性情報を受信する。通信部510は、施設側端末600に照会信号を送信した後、追加情報取得要求に応じて、生体履歴情報を施設側端末600に送信する。生体履歴情報を送信する場合には、例えば生体履歴情報を圧縮して送信する。
【0099】
応答生成部520における属性付与判定部521は、自動運転車両200から送信される生体信号に対して、生体履歴情報571等を参照して二次属性を付与した生体情報を生成する。二次属性情報を含む属性情報は、生体情報に付与されて、応答信号として通信部510を介して自動運転車両200に送信される。
【0100】
追加属性付与判定部522は、施設側端末600から送信される三次判定の結果に基づく追加属性情報を属性情報に付与する。追加属性情報は、追加診断の要否となる追加診断要否情報を含む。追加属性付与判定部522は、追加属性情報を付与した属性情報を自動運転車両200に通信部510を介して送信する。
【0101】
利用者情報取得部530は、記憶部570に記憶されている利用者情報を参照し、自動運転車両200を利用する利用者に関する情報を取得する。利用者情報取得部530は、取得した利用者情報によって、自動運転車両200の利用者を判定する。
【0102】
連続受信判定部540は、自動運転車両200から連続的に送信される生体信号を受信する連続接続の可否を判定する。連続受信判定部540は、連続接続が可能であるときには、通信部510を介して、自動運転車両200に連続接続判定認証情報を送信する。また、連続受信判定部540は、連続受信可能であるときには、受信した生体情報を共有生体情報574として記憶部570に記憶させる。連続受信判定部540は、信号変換部となる。なお、信号変換部は、連続受信判定部540とは別個に設けてもよい。
【0103】
施設利用可否判定部550は、記憶部570に記憶されている施設情報を参照し、属性情報に含まれる診断の内容に応じた施設(医療機関)を判定する。施設利用可否判定部550は、施設からの利用可否情報に基づいて当該施設の利用可否を判定し、利用可能な施設についての施設情報を、通信部510を介して、自動運転車両200に送信する。
【0104】
照会信号生成部560は、利用可否を施設に問い合わせるための照会信号を生成し、通信部510を介して、施設側端末600に送信する。照会信号生成部560から照会信号を送信すると、施設から利用可否情報が返信される。施設利用可否判定部550は、返信された利用可否情報に基づいて当該施設の利用可否を判定する。
【0105】
記憶部570が記憶する生体履歴情報571は、利用者が過去に取得し、管理サーバ500に送信した生体情報の履歴である。記憶部570における生体履歴情報571を記憶する部分は、信号保持部となる。施設情報572は、管理サーバが管轄する領域内における施設に関する情報である。施設情報には、その施設の位置情報や対応可能属性情報が含まれる。利用者情報573は、例えば、管理サーバに登録済の利用者の関する情報である。共有生体情報574は、API(Application Programming Interface)を介して得られる情報であり、利用者の生体情報である。共有生体情報574は、自動運転車両200の利用者のみならず、他の外部機器、例えば施設側端末600とも共有可能な生体情報である。
【0106】
接続許可部580は、自動運転車両200の通信部510を介した管理サーバ500における共有生体情報574の格納部との接続の可否を判定する。例えば、接続許可部580は、あらかじめ管理サーバ500に登録されている自動運転車両200について、管理サーバ500における共有生体情報574の格納部との接続を許可する。
【0107】
施設側端末600は、追加属性を付与する付与部を備える。施設側端末600は、管理サーバ500から送信される照会信号を受信した後、追加情報取得要求に応じて送信される生体履歴情報を参照して、追加診断の要否を判断する。施設側端末600は、追加診断が必要であるときに、追加属性情報を送信する。
【0108】
図16は、第3実施形態の医療ネットワークシステムにより実行される処理を示すシーケンス図である。図14及び図15に示す自動運転車両200と管理サーバ500との接続は、管理サーバ500における接続許可部580において、自動運転車両200との接続が許可された後に開始される。
【0109】
図16に示すように、自動運転車両200は、生体情報取得部440において生体信号を取得し(ステップS402)、一次属性判定部442において一次属性を判定する(ステップS404)。次に、自動運転車両200は、一次判定を行った生体信号を管理サーバ500に送信する(ステップS406)。
【0110】
管理サーバ500は、送信された生体信号を受信して記録する(ステップS408)。続いて、管理サーバ500は、生体信号に属性情報を付与する(ステップS410)。ここでの属性情報は、管理サーバ500における属性付与判定部521の判定に基づく二次属性の判定結果を付与する。
【0111】
次に、管理サーバ500は、施設情報の照会を行う(ステップS412)。管理サーバ500は、施設情報の照会を行うにあたり、一次属性及び二次属性が付与された生体信号に応じた施設の照会を行う。例えば、管理サーバ500は、記憶部570に記憶される施設情報572を参照し、生体信号に付された一次情報や二次情報に対応する対応可能属性情報に応じた施設を検索する。続いて、管理サーバ500は、検索した施設に対して照会信号を送信する(ステップS414)。照会信号には、生体信号及び属性情報が含まれる。
【0112】
施設側端末600は、送信された照会信号を受信し(ステップS416)、追加情報の取得要求を行う(ステップS418)。続いて、管理サーバ500の接続許可部580は、連続接続可否判定を行い(ステップS420)、連続接続可能であるときに連続接続判定認証情報を自動運転車両200及び施設側端末600に送信する。こうして、管理サーバ500は、自動運転車両200及び施設側端末600との間で相互認証を行う。
【0113】
自動運転車両200は、送信された連続接続判定認証情報を受信し(ステップS422)、連続接続を開始する(ステップS424)。自動運転車両200は、連続接続を開始することにより、生体情報及び一次属性の判定結果を管理サーバ500及び施設側端末600に連続送信する(ステップS424)。
【0114】
次に、施設側端末600は、APIを経由して得られた共有生体情報574からデータを読み込み(ステップS426)、生体信号を表示する(ステップS428)。続いて、施設側端末600は、管理サーバ500から送信される生体履歴情報を参照して追加診断の要否を判断する。ここで、追加診断が必要と判断したときに、追加属性情報を生体情報に付与する(ステップS430)。さらに、施設側端末600は、施設利用可否判定を行い(ステップS432)、施設利用可否判定の結果及び追加属性情報が付加された生体信号を管理サーバ500に送信する。
【0115】
管理サーバ500は、生体信号に付加された属性情報(一次属性から三次属性)及び対応可能施設の位置を示す位置情報を含む応答信号を自動運転車両200に送信する(ステップS434)。続いて、自動運転車両200は、送信された属性情報を利用者に通知し、表示する(ステップS436)。さらに、自動運転車両200は、施設利用可否情報を参照して経由地を選択し、経由地の設定を行う(ステップS438)。その後、自動運転車両200は、車両要請判定を行い(ステップS440)、車両要請を行う場合には、誘導部446は、車両要請信号を管理サーバ500に送信し、救急車などの緊急車両(他の車両)を自動運転車両200の経路に誘導する。そして、自動運転車両200は、自動運転制御を開始する(ステップS442)。また、管理サーバ500では、車両要請信号を受信したときには、受信した経路に車両を派遣する要請を行う(ステップS444)。
【0116】
以上説明した第3実施形態の医療ネットワークシステムでは、自動運転車両200は、生体情報を管理サーバ500に送信するとともに、管理サーバ500から受信する属性情報に基づく経路情報に応じた自動運転を実行する。このため、利用者の生体情報に基づいて、利用者がとる処置、例えば病院に行く処置や投薬する処置などの必要性を判定して、利用者の生体情報に応じて移動できる。したがって、利用者の身体状態を迅速かつ十分に取得して伝達することができる。
【0117】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上記の第2実施形態では、リモート診断医DとサービスセンターSとは別個の位置に配置されているが、リモート診断医DがサービスセンターSに滞在するようにしてもよい。この場合、情報処理装置400が外部端末を兼ねる構成としてもよい。
【0118】
また、上記第2実施形態においては、情報処理装置400が自動運転車両200の行先の候補を決定するようにしているが、他の態様で自動運転車両200の行先の候補を決定するようにしてもよい。例えば、リモート診断医Dが外部端末100に行先の候補となる病院を入力し、入力した行先の候補を生体情報処理部242に送信するようにしてもよい。また、外部端末100の制御部130又は情報処理装置400等が、医師の往診を依頼したり、医師宅を行先の候補にしたりしてもよい。
【0119】
また、上記第1実施形態では、リモート診断医Dは、病院への来院への必要性を判定しているが、第2実施形態と同様に、救急車の出動要請の判定、病院への来院を行うことのない薬局への立ち寄りの判定等を行うようにしてもよい。これらの場合、外部端末100は、第2実施形態における情報処理装置400のように、救急車の出動要請を行って、通信部120が要請情報を送信したり、生体情報処理部242へ送信する返答情報に薬品購入情報及び救急車出動情報を付加したりすればよい。
【0120】
また、外部端末100は、生体情報を受信し、自動運転車両200の生体情報処理部242に返答情報を送信するに当たり、利用者の関係者の利用する端末に返答情報に対応する情報としての利用者情報を通知するようにしてもよい。利用者関係者には、例えば利用者の親兄弟などの家族、叔父、叔母、祖父母などの親せき、友人、同僚等、さらに利用者が子供である場合には、利用者が通う幼稚園や保育園、学校等が挙げられる。また、利用関係者は、例えば予め利用者ごとに外部端末100等に登録されているようにしてもよい。また、利用者情報には、返答情報に付加される要来院情報で示される医療機関や薬品購入情報で示される薬局の関する情報が含まれていればよい。また、所定の条件を満たすとき、例えば要来院情報が含まれているときなどに限って利用者関係者に利用者情報を通知するようにしてもよい。これらの利用者情報を利用者の関係者に通知することにより、利用者の状態を早期に関係者に知らせることができる。利用者情報の通知の態様は特に限定されず、例えば、通信部120を介した通信によってもよいし、電話などの手動による通知であってもよい。
【0121】
また、外部端末100には、利用者情報の通知の要否を設定する通知要否設定部が設けられていてもよい。通知要否設定部が設けられていることにより、外部端末100は、不要な通知を行わないようにすることができる。通知要否設定部に対する設定の操作は、例えば、利用者が行えるようにしてもよいし、利用者の関係者が行えるようにしてもよい。あるいは、利用者や利用者の関係者以外の者が行えるようにしてもよい。
【0122】
また、上記第1実施形態では自動運転車両200の目的地となる医療機関(病院)をリモート診断医Dが決定し、第2実施形態で目的地の候補を情報処理装置400が決定し、目的地または目的地の候補を自動運転車両200の生体情報処理部242が決定しているが、自動運転車両200の目的地または目的地の候補を他の態様で決定してもよい。例えば、目的地となる医療機関(病院)が予め定められており、返答情報に要来院情報が付加されていれば、定められた病院を目的地としてもよい。また、情報処理装置400が目的地の候補を決定する代わりに、目的地を決定するようにしてもよい。また、自動運転車両200の利用者がリモート診断医D等が決定した目的地を拒否したときには、再度目的地となる医療機関を決定し直すようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、外部端末100は、生体情報処理部242により送信された生体情報を、目的地となる病院の医師端末300(300A,300B,…)に送信するが、他の態様としてもよい。例えば、外部端末100は、目的地の医療機関が決定される前に、目的地の候補となりえる複数の医療機関の医師端末に生体情報を送信してもよいし、これらの中からさらに絞った範囲の医療機関の医師端末に生体情報を送信してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、生体情報を取得される利用者は、自動運転車両200の運転者または運転者以外の乗員(同乗者)であるが、利用者は、運転者及び同乗者のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。また、運転者の生体情報を取得するモードと、同乗者の生体情報を取得するモードの2つのモードを有しており、一方のモードが作動しているときに他方のモードが停止するようにしてもよい。
【0125】
また、医療ネットワークシステムは、生体情報取得部240で生体情報を取得しているときの利用者の状況を撮像するカメラを有し、このカメラによって生体情報の取得状況を記録しておいてもよい。また、第2実施形態において、サービスセンターSで行先の候補を決定する場合に、サービスセンターSは、複数の医療機関に対して患者の受け入れが可能であるかを問い合わせ、受け入れを拒否した医療機関を行先の候補から除くようにしてもよい。また、サービスセンターSは、各医療機関の受け入れ可否の対応履歴により、医療機関に対するサービスに制限を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
100 外部端末
110 タッチパネル
120 通信部
130 制御部
200 自動運転車両
210 外界監視ユニット
220 通信装置
230 ナビゲーション装置
232 HMI
234 GNSS受信機
236 ナビ制御装置
240 生体情報取得部
242 生体情報処理部
250 自動運転制御ユニット
260 駆動力出力装置
262 ブレーキ装置
264 ステアリング装置
300 医師端末
400 情報処理装置
AM 救急車
D リモート診断医
H 病院
NW ネットワーク
S サービスセンター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16