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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ラバーステムおよびスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20231221BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/52 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023502323
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006274
(87)【国際公開番号】W WO2022181427
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2021029180
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀隆
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-235006(JP,A)
【文献】実開昭60-087125(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
H01H 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状の反転ばねを有するスイッチ装置用のラバーステムであって、
押圧操作がなされる操作部と、
前記操作部を取り囲むスカート状に設けられ、前記操作部の前記押圧操作に伴って屈曲するスカート部と、
前記スカート部の下縁部に沿って環状に設けられ、前記スカート部の下縁部を支持する基部と、
前記操作部の裏側、且つ、前記反転ばねの頂部と対向する位置に設けられ、前記操作部の前記押圧操作に伴って、前記反転ばねの頂部を押圧する押圧部と
を備え、
前記スカート部は、低硬度の弾性素材が用いられて形成されており、
前記スカート部を除く部分の少なくとも一部は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されており、
前記基部は、前記高硬度の弾性素材が用いられて形成されている
ことを特徴とするラバーステム。
【請求項2】
前記押圧部は、前記高硬度の弾性素材が用いられて形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のラバーステム。
【請求項3】
ドーム状の反転ばねを有するスイッチ装置用のラバーステムであって、
押圧操作がなされる操作部と、
前記操作部を取り囲むスカート状に設けられ、前記操作部の前記押圧操作に伴って屈曲するスカート部と、
前記スカート部の下縁部に沿って環状に設けられ、前記スカート部の下縁部を支持する基部と、
前記操作部の裏側、且つ、前記反転ばねの頂部と対向する位置に設けられ、前記操作部の前記押圧操作に伴って、前記反転ばねの頂部を押圧する押圧部と
を備え、
前記スカート部は、低硬度の弾性素材が用いられて形成されており、
前記スカート部を除く部分の少なくとも一部は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されており、
前記スカート部を除く部分の全てが、前記高硬度の弾性素材が用いられて形成されている
ことを特徴とするラバーステム。
【請求項4】
前記低硬度の弾性素材の硬度は、Hs30°~Hs60°であり、
前記高硬度の弾性素材の硬度は、Hs60°~Hs90°であり、且つ、前記低硬度の弾性素材の硬度よりも大きい
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のラバーステム。
【請求項5】
前記低硬度の弾性素材と、前記高硬度の弾性素材とを用いた2色成型により形成される
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のラバーステム。
【請求項6】
前記低硬度の弾性素材と前記高硬度の弾性素材とは同種の材料からなる
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のラバーステム。
【請求項7】
前記低硬度の弾性素材と前記高硬度の弾性素材とはシリコンゴムである
ことを特徴とする請求項に記載のラバーステム。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のラバーステムと、
前記反転ばねと
前記反転ばねの反転動作によりオン状態に切り替わるメンブレンスイッチと
を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のラバーステムと、
前記反転ばねと
前記反転ばねの反転動作により導通状態に切り替わる固定接点を有する基板と
を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラバーステムおよびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、押圧部と、押圧部が押圧されたときに屈曲可能な脚部とを備えるラバースプリングにおいて、脚部が、低硬度ゴム領域と、高硬度ゴム領域とを有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-117073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的な従来のスイッチ装置用のラバーステムは、全体的に一定の硬度を有するため、スカート部の超寿命化のために全体を低硬度化した場合、スカート部以外のその他の部分において、低硬度化による不具合が発生する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態のラバーステムは、ドーム状の反転ばねを有するスイッチ装置用のラバーステムであって、押圧操作がなされる操作部と、操作部を取り囲むスカート状に設けられ、操作部の押圧操作に伴って屈曲するスカート部と、スカート部の下縁部に沿って環状に設けられ、スカート部の下縁部を支持する基部と、操作部の裏側、且つ、反転ばねの頂部と対向する位置に設けられ、操作部の押圧操作に伴って、反転ばねの頂部を押圧する押圧部とを備え、スカート部は、低硬度の弾性素材が用いられて形成されており、スカート部を除く部分の少なくとも一部は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されている。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、ドーム状の反転ばねを有するスイッチ装置用のラバーステムにおいて、スカート部の超寿命化を実現でき、且つ、スカート部を除く部分の低硬度化による不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るスイッチ装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係るスイッチ装置の分解斜視図
図3】一実施形態に係るスイッチ装置のXZ平面による断面図
図4】一実施形態に係るラバーステムにおける硬度分布を示す断面図
図5】一実施形態に係るスイッチ装置の一実施例の実施結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、水平方向をX軸方向およびY軸方向とし、垂直方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0009】
(スイッチ装置100の概要)
図1は、一実施形態に係るスイッチ装置100の外観斜視図である。図1に示すスイッチ装置100は、ノートパソコンのキーボード等に用いられる、押圧操作可能な薄型のスイッチ装置である。スイッチ装置100は、弾性変形可能なラバーステム130を有することにより、押圧操作に対してクリック感を呈示できるようになっている。図1に示すように、スイッチ装置100は、上下方向(Z軸方向)に薄型のケース110を備える。ケース110の上面には、金属製且つ薄板状のフレーム120が重ねて設けられている。フレーム120は、円形の開口部121を有する。開口部121からは、ラバーステム130のスカート部132が、上方(Z軸正方向)に突出して設けられている。ラバーステム130は、当該ラバーステム130の中心(スカート部132に囲まれた空間内)に、概ね円柱状の操作部131を有する。また、スイッチ装置100において、ケース110の下側(Z軸負側)には、薄膜状のメンブレンスイッチ150と、平板状の支持板160とが重ねて設けられている。
【0010】
(スイッチ装置100の構成)
図2は、一実施形態に係るスイッチ装置100の分解斜視図である。図3は、一実施形態に係るスイッチ装置100のXZ平面による断面図である。
【0011】
図2および図3に示すように、スイッチ装置100は、ケース110、フレーム120、ラバーステム130、メタルコンタクト140、メンブレンスイッチ150、および支持板160を備える。
【0012】
ケース110は、平面視において正方形状を有する、樹脂製且つ薄い平板状の部材である。ケース110は、当該ケース110を上下方向に貫通する開口部111を有する。開口部111は、平面視において円形状を有する。開口部111には、当該開口部111の内周面に沿って環状の台座部112が形成されている。これにより、開口部111は、台座部112よりも上側(Z軸負側)の上側大径部111Aと、台座部112に囲まれた下側小径部111Bとを有するものとなっている。上側大径部111Aには、ラバーステム130の基部133が配置される。下側小径部111Bには、メタルコンタクト140が配置される。また、ケース110は、開口部111の内周面から半径方向における外側に向かって切り欠かれた4つの切り欠き部113が、90度間隔で形成されている。4つの切り欠き部113の各々には、メタルコンタクト140が有する4つの脚部142の各々が配置される。
【0013】
フレーム120は、金属製且つ薄板状の部材である。フレーム120は、平面視において正方形状(ケース110の上面と同形状)を有する。フレーム120は、ケース110の上面に重ねて設けられる。これにより、フレーム120は、ケース110の開口部111の上側大径部111Aに配置されたラバーステム130の基部133を、ケース110の台座部112との間で挟持する。フレーム120には、円形の開口部121が形成されている。開口部121には、ラバーステム130のスカート部132が挿通される。これにより、開口部121は、ラバーステム130のスカート部132を、フレーム120よりも上方に突出させることができる。
【0014】
ラバーステム130は、操作者によって下方への押圧操作がなされる部材である。ラバーステム130は、弾性素材(例えば、シリコン、ゴム等)が用いられて形成される。ラバーステム130は、凹部130A、操作部131、スカート部132、基部133、および押圧部134を有する。
【0015】
凹部130Aは、ラバーステム130の中央において、ラバーステム130の上端部から下方に凹んだ形状を有する。凹部130Aは、平面視において円形状を有する。
【0016】
操作部131は、操作者によって下方への押圧操作がなされる部分である。操作部131は、ラバーステム130の中心において、凹部130Aの底部の上面から上方に突出して設けられており、概ね円柱形状を有する。
【0017】
スカート部132は、凹部130Aの上縁部から外側に広がりつつ下方に延在し、且つ、凹部130Aを取り囲むスカート形状を有する。図3に示すように、スカート部132は、フレーム120の開口部121を貫通して、フレーム120よりも上方に突出する。スカート部132は、操作部131の押圧操作にともなって弾性変形(屈曲)することにより、操作部131を下方へ沈み込ませつつ、操作部131に対して操作荷重を付与することができる。なお、スカート部132は、所定量の操作荷重を超えたとき、反転動作を行うことにより、急激にスカート形状を崩した状態に変形する。
【0018】
基部133は、スカート部132の下縁部に沿って環状に設けられ、スカート部132の下縁部を支持する。図3に示すように、基部133は、フレーム120と、ケース110の台座部112との間で挟持される。
【0019】
押圧部134は、ラバーステム130の中心に設けられている水平な円盤状の部分であり、上記した凹部130Aの底部となる部分である。押圧部134は、操作部131の裏側、且つ、メタルコンタクト140のドーム部141の頂部と対向する位置に設けられ、操作部131の押圧操作(操作部131の沈み込み)に伴って、メタルコンタクト140のドーム部141の頂部を押圧する。押圧部134の下面は、接触面134Aとなっている。押圧部134は、操作部131の押圧操作がなされたとき、接触面134Aにおいて、メタルコンタクト140のドーム部141の頂部を押圧する。
【0020】
メタルコンタクト140は、「反転ばね」の一例である。メタルコンタクト140は、金属板が用いられて形成される。メタルコンタクト140は、ドーム部141と、ドーム部141の外周縁部において90度間隔で配置された4つの脚部142を有する。ドーム部141は、メタルコンタクト140の中央に設けられている。ドーム部141は、平面視において円形状、且つ、上方に向かって凸状の、ドーム形状を有する。ドーム部141は、ケース110の下側小径部111Bに配置される。ドーム部141は、その頂部(中央部)がラバーステム130の押圧部134によって押圧されて反転動作することにより、下方に向かって凹状に変形する。これにより、ドーム部141は、その頂部の裏側の部分で、メンブレンスイッチ150を押圧することにより、メンブレンスイッチ150をオン状態に切り替えることができる。4つの脚部142の各々は、ドーム部141の外周縁部から、半径方向における外側且つ下方に向かって突出して設けられている。4つの脚部142の各々は、ケース110の4つの切り欠き部113の各々に配置される。4つの脚部142の各々は、メンブレンスイッチ150の上面に着地することにより、メタルコンタクト140を支持する。
【0021】
メンブレンスイッチ150は、ケース110の下面に対して重ねて設けられる、薄いシート状のスイッチ装置である。メンブレンスイッチ150は、上側シート151と、下側シート152とが重なり合って構成されている。上側シート151の下面の中央部には、導体膜からなる可動接点(図示省略)が設けられている。下側シート152の上面の中央部には、上側シート151の可動接点と対向して、導体膜からなる固定接点(図示省略)が設けられている。メンブレンスイッチ150は、ラバーステム130の押圧部134から押圧されていない状態において、上側シート151の可動接点が、下側シート152の固定接点から離間しており、よって、オフ状態となる。一方、メンブレンスイッチ150は、ラバーステム130の押圧部134から押圧された状態において、上側シート151の可動接点が、下側シート152の固定接点に接触し、よって、オン状態となる。
【0022】
支持板160は、メンブレンスイッチ150の下面に重ねて設けられている平板状の部材である。支持板160は、ラバーステム130の押圧操作がなされたときに、メンブレンスイッチ150が全体的に下方へ撓まないように、メンブレンスイッチ150を下側から支持する。
【0023】
(スイッチ装置100の動作)
上記のように構成されたスイッチ装置100は、ラバーステム130の操作部131の下方(Z軸負方向)への押圧操作により、オフ状態からオン状態に切り替わることができる。
【0024】
具体的には、スイッチ装置100は、ラバーステム130の操作部131が下方へ押圧操作されると、ラバーステム130のスカート部132が弾性変形(屈曲)しながら、ラバーステム130の押圧部134が下方へ移動する。そして、ラバーステム130の押圧部134が、メタルコンタクト140のドーム部141の頂部を押圧する。そして、メタルコンタクト140のドーム部141に加わる荷重がしきい値を超えると、メタルコンタクト140のドーム部141が急激に反転動作する。この反転動作により、操作部131の押圧操作に対してクリック感が呈示されるとともに、メタルコンタクト140のドーム部141の頂部の裏側の部分が、メンブレンスイッチ150を押圧する。その結果、メンブレンスイッチ150は、オン状態に切り替わる。
【0025】
一方、スイッチ装置100は、ラバーステム130の押圧操作が解除されると、ラバーステム130が、自身の弾性力によって復帰動作することにより、元の屈曲していない状態に復帰する。また、メタルコンタクト140も、自身のばね力によって復帰動作することにより、元の凸状に復帰する。これにより、メタルコンタクト140によるメンブレンスイッチ150の押圧が解除される。その結果、メンブレンスイッチ150は、オフ状態に切り替わる。
【0026】
(ラバーステム130の硬度分布)
図4は、一実施形態に係るラバーステム130における硬度分布を示す断面図である。図4は、ラバーステム130の断面を、硬度別に異なるハッチングを付して示す。
【0027】
図4に示すように、一実施形態に係るラバーステム130は、基部133および押圧部134が、高硬度の弾性素材が用いられて形成されている。特に、一実施形態に係るラバーステム130は、高硬度の弾性素材の硬度が、Hs60°~Hs90°であり、且つ、低硬度の弾性素材の硬度よりも高い。
【0028】
一方、図4に示すように、一実施形態に係るラバーステム130は、基部133および押圧部134を除く部分(すなわち、スカート部132を含む)が、低硬度の弾性素材が用いられて形成されている。特に、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材の硬度が、Hs30°~Hs60°である。
【0029】
一実施形態に係るラバーステム130は、上記した高硬度の弾性素材と、上記した低硬度の弾性素材とを用いた2色成型によって、高硬度の弾性素材を用いた部分と、低硬度の弾性素材とを用いた部分とが一体的に形成される。
【0030】
一実施形態に係るラバーステム130は、スカート部132が、低硬度の弾性素材が用いられて形成されているため、スカート部132の柔軟性を高めることができ、スカート部132の弾性変形(屈曲)に伴う亀裂等の発生を抑制し、スカート部132の長寿命化を実現できる。
【0031】
また、一実施形態に係るラバーステム130は、押圧部134が、高硬度の弾性素材が用いられて形成されているため、メタルコンタクト140の反転動作および復帰動作の動作速度を抑制することができ、よって、メタルコンタクト140の反転動作および復帰動作に伴う動作音の音量を抑制することができる。
【0032】
例えば、押圧部134の硬度が低い場合、押圧操作の際に、操作部131とメタルコンタクト140との間で押し縮められた押圧部134が、急激に伸長することにより、メタルコンタクト140の反転動作が加速される。このため、押圧部134の硬度が低い場合、メタルコンタクト140の反転動作の動作音が大きくなる。
【0033】
また、例えば、押圧部134の硬度が低い場合、押圧操作が解除された際に、押圧部134が、メタルコンタクト140の急激な復帰動作の加速力を十分に減衰することができない。このため、押圧部134の硬度が低い場合、メタルコンタクト140の反転動作の動作音が大きくなる。
【0034】
また、一実施形態に係るラバーステム130は、基部133が、高硬度の弾性素材が用いられて形成されているため、パーツフィーダを用いて複数のラバーステム130の整列作業を行う際に、パーツフィーダからの振動を伝わり易くすることができ、よって、当該整列作業の作業効率を高めることができる。
【0035】
(実施例)
図5は、一実施形態に係るスイッチ装置100の一実施例の実施結果を示す図である。
【0036】
本実施例では、「実施例」として、図4に示すラバーステム130の硬度分布を有する、スイッチ装置100を用いた。但し、ラバーステム130の基部133および押圧部134の硬度を「80°」とし、その他の部分の硬度を「50°」としている。
【0037】
また、本実施例では、「比較例」として、ラバーステムの硬度が部分に依らず一定であるスイッチ装置を用いた。但し、ラバーステムの全体の硬度を「50°」としている。
【0038】
本実施例では、「実施例」のスイッチ装置100と、「比較例」のスイッチ装置との各々について、押圧操作を1回につき1秒で5回行い、各押圧操作について、メタルコンタクトの反転動作および復帰動作の各々の発生音量を計測した。
【0039】
図5に示すように、「実施例」のスイッチ装置100は、メタルコンタクトの反転動作の平均音量が「40.0dB」であり、メタルコンタクトの復帰動作の平均音量が「41.3dB」であった。
【0040】
一方、図5に示すように、「比較例」のスイッチ装置100は、メタルコンタクトの反転動作の平均音量が「44.2dB」であり、メタルコンタクトの復帰動作の平均音量が「50.5dB」であった。
【0041】
本実施例により、一実施形態に係るスイッチ装置100は、押圧部134の硬度を部分的に高めたことにより、メタルコンタクト140の反転動作および復帰動作の動作音を抑制できることが確認された。
【0042】
以上説明したように、一実施形態に係るラバーステム130は、ドーム状のメタルコンタクト140(反転ばね)を有するスイッチ装置100用のラバーステムであって、押圧操作がなされる操作部131と、操作部131を取り囲むスカート状に設けられ、操作部131の押圧操作に伴って屈曲するスカート部132と、スカート部132の下縁部に沿って環状に設けられ、スカート部132の下縁部を支持する基部133と、操作部131の裏側、且つ、メタルコンタクト140の頂部と対向する位置に設けられ、操作部131の押圧操作に伴って、メタルコンタクト140の頂部を押圧する押圧部134とを備え、スカート部132は、低硬度の弾性素材が用いられて形成されており、スカート部132を除く部分の少なくとも一部は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されている。
【0043】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、スカート部132の柔軟性を高めることができ、スカート部132の弾性変形(屈曲)に伴う亀裂等の発生を抑制し、スカート部132の超寿命化を実現できる。また、一実施形態に係るラバーステム130は、スカート部132を除く部分の低硬度化による不具合の発生を抑制することができる。
【0044】
また、一実施形態に係るラバーステム130において、押圧部134は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されている。
【0045】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、メタルコンタクト140の反転動作および復帰動作の動作速度を抑制することができ、よって、メタルコンタクト140の反転動作および復帰動作に伴う動作音の音量を抑制することができる。
【0046】
また、一実施形態に係るラバーステム130において、基部133は、高硬度の弾性素材が用いられて形成されている。
【0047】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、パーツフィーダを用いて複数のラバーステム130の整列作業を行う際に、パーツフィーダからの振動を伝わり易くすることができ、よって、当該整列作業の作業効率を高めることができる。
【0048】
また、一実施形態に係るラバーステム130において、低硬度の弾性素材の硬度は、Hs30°~Hs60°であり、高硬度の弾性素材の硬度は、Hs60°~Hs90°であり、且つ、低硬度の弾性素材の硬度よりも高い。
【0049】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、スカート部132を除く部分の高硬度化に伴うより高い効果を奏することができる。
【0050】
また、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材と、高硬度の弾性素材とを用いた2色成型により、一体的に形成される。
【0051】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材を用いた部分と、高硬度の弾性素材を用いた部分とを、シームレスに形成することができる。
【0052】
また、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材と高硬度の弾性素材とは同種の材料からなる。特に、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材と高硬度の弾性素材とはシリコンゴムである。
【0053】
これにより、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材と高硬度の弾性素材とに、同種の材料を用いたために、収縮率が互いに同じであるため、容易に成型することができる。また、両者の間の境界面での剥離も生じ難い。さらに、一実施形態に係るラバーステム130は、低硬度の弾性素材と高硬度の弾性素材とに、シリコンゴムを用いたために、2色成型により一体化し易い。
【0054】
また、一実施形態に係るスイッチ装置100は、ラバーステム130と、メタルコンタクト140と、メタルコンタクト140の反転動作によりオン状態に切り替わるメンブレンスイッチ150とを備える。
【0055】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置100は、ラバーステム130のスカート部132の超寿命化を実現できる。また、一実施形態に係るスイッチ装置100は、ラバーステム130のスカート部132を除く部分の高硬度化に伴う効果を奏することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0057】
例えば、ラバーステム130は、スカート部132を除く部分の全てが、高硬度の弾性素材が用いられて形成されてもよい。
【0058】
また、例えば、スイッチ装置100は、ラバーステム130と、メタルコンタクト140とメタルコンタクト140の反転動作により導通状態に切り替わる固定接点を有する基板とを備えてもよい。
【0059】
本国際出願は、2021年2月25日に出願した日本国特許出願第2021-029180号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0060】
100 スイッチ装置
110 ケース
111 開口部
111A 上側大径部
111B 下側小径部
112 台座部
113 切り欠き部
120 フレーム
121 開口部
130 ラバーステム
130A 凹部
131 操作部
132 スカート部
133 基部
134 押圧部
134A 接触面
140 メタルコンタクト
141 ドーム部
142 脚部
150 メンブレンスイッチ
151 上側シート
152 下側シート
160 支持板
図1
図2
図3
図4
図5