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特許7407337ビーム加工ヘッドおよびビーム加工のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ビーム加工ヘッドおよびビーム加工のための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20231221BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231221BHJP
   B23K 26/035 20140101ALI20231221BHJP
   B23K 10/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 M
B23K26/035
B23K10/00 501A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023523171
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021078615
(87)【国際公開番号】W WO2022079239
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】20202234.9
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーニ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】カルテンバッハ シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ハース ティトゥス
(72)【発明者】
【氏名】リュディ アンドレアス
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171431(JP,A)
【文献】特表2020-528828(JP,A)
【文献】特開2003-225787(JP,A)
【文献】特開2019-115923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B23K 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物のビーム切断のためのビーム加工ヘッドであって、前記ビーム加工ヘッドは、
粒子ビーム源、燃料流体ビーム源、プラズマビーム源および/または電磁放射線用の源から選択される加工用集束エネルギービーム(15;206)を生成するエネルギービーム源(14;14,201)のためのインタフェース(12)を有し、
開口縁(18)によって境界を定められた、前記加工用エネルギービームのための出口開口(16)と、
前記加工用エネルギービームによって前記被加工物に誘起されるとともにプロセス光(17)である、前記被加工物(11)から前記出口開口(16)を通って前記ビーム加工ヘッド(10;100;200)へ放出された電磁放射線(17)の、少なくとも1つの画像を記録する光検出器ユニット(19)と、
前記放出された電磁放射線(17)の中心と前記出口開口(16)との位置関係を監視する、前記光検出器ユニットにデータ送信方式で接続される監視ユニット(30)であって、
前記監視ユニット(30)は、
前記少なくとも1つの画像における前記出口開口(16)の少なくとも1つの位置(180;182)を判定する第1の判定モジュールと、
前記少なくとも1つの画像における前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の少なくとも1つの位置(170)を判定する第2の判定モジュールと、
前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)との位置関係を判定する第3の判定モジュールと、
を有する監視ユニット(30)と、を有し、
前記第2の判定モジュールは、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記位置(170)として、前記放出された放射線(17)の最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定するように構成されることを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のビーム加工ヘッドであって、
前記監視ユニット(30)は、
特にディスプレイユニットに対して、判定された前記位置関係を示す信号と、
判定された位置関係が所定の位置関係から逸脱していることを示す信号と、
特に制御ユニットに対する、加工を続行するコマンドおよび加工を停止するコマンドから選択される制御コマンドと、
特に位置決めユニット(20;203,205)に対する、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180,182)との位置関係を所定の位置関係に設定する、少なくとも1つの位置決めコマンドと、
から選択される少なくとも1つの要素を出力する制御モジュールを有することを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のビーム加工ヘッドであって、
前記第1の判定モジュールは、少なくとも2つの方向における前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180,182)を判定するように構成され、
および/または
前記第1の判定モジュールは、前記出口開口(16)の境界を定める前記開口縁(18)の前記少なくとも1つの位置(180)と前記出口開口(16)の中心の位置(182)とから選択される少なくとも1つの要素を判定するように構成されることを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッドであって、
前記第2の判定モジュールは、少なくとも2つの方向における前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)を判定するように構成され、および/または
前記第2の判定モジュールは、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記位置(170)として、前記放出された放射線(17)の空間中心の位置を判定するように構成されることを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッドであって、
加工用集束エネルギービームを生成する、前記インタフェース(12)において設けられたエネルギービーム源(14)と、ならびに/または
前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)との位置関係を特に所定の位置関係に連続的または断続的に調整する、特に、前記監視ユニット(30)にデータ送信方式で接続される、位置決めユニット(20;21;22;203,205)、ならびに/または
照明ユニット(102)であって、前記出口開口(16)を通じてまたは前記照明ユニットのためのインタフェースを介して前記被加工物を連続的、断続的、間欠的および/もしくはストロボ的に照明する、照明ユニット(102)、
を有することを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッドであって、
前記出口開口(16)および前記光検出器ユニット(30)は、同軸に、特に、前記出口開口(16)を通る前記加工用エネルギービームの伝播方向に対して同軸に配置され、ならびに/または
前記光検出器ユニット(19)は、前記出口開口(16)を通って前記ビーム加工ヘッド(10;100;200)へ同軸に、特に、前記出口開口(16)を通る前記加工用エネルギービームの伝播方向に対して同軸に、前記被加工物からの放出された電磁放射線(17)の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を記録するように構成され、ならびに/または
前記出口開口(16)は、円形であるように、および/もしくは、0.025~10mm、好ましくは0.6~8mm、より好ましくは0.8~6mmの直径を有するように構成され、ならびに/または
前記第3の判定モジュールおよび/もしくは前記制御モジュールは、前記少なくとも1つの画像の少なくとも1つの視点、および/もしくは、前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)および前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)の種々の視点を補正するように構成されることを特徴とする、ビーム加工ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッド(10;100;200)を有する、被加工物のビーム切断のための、特にレーザ加工またはプラズマビーム加工のための、ビーム加工装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッド(10;100;200)、または、被加工物のビーム切断のための、特にレーザ加工もしくはプラズマビーム加工のための請求項7に記載のビーム加工装置の使用。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッド(10;100;200)または請求項7に記載のビーム加工装置により、被加工物をビーム切断するための、特にレーザビーム加工またはプラズマビーム加工するための方法であって、前記方法は、
粒子ビーム源、燃料流体ビーム源、プラズマビーム源および/または電磁放射線用の源から選択される加工用集束エネルギービームを生成する、前記ビーム加工ヘッドの前記インタフェース(12)に設けられたエネルギービーム源(14;14,206)により、加工用エネルギービーム(15;206)を生成するステップと、
前記出口開口(16)を通じて前記加工用エネルギービームにより被加工物(11)を照射するステップと、
プロセス光(17)であるとともに、前記出口開口(16)を通って前記ビーム加工ヘッドへ、前記加工用エネルギービームと少なくとも部分的に同軸に放出される電磁放射線(17)を、前記被加工物に誘起する前記加工用エネルギービームにより、前記被加工物を加工するステップと、
前記出口開口(16)を通って前記ビーム加工ヘッドへ、前記加工用エネルギービームによって前記被加工物に誘起された前記放出された電磁放射線(17)の、少なくとも部分の少なくとも1つの画像を、前記ビーム加工ヘッドの前記光検出器ユニット(19)により記録するステップと、
前記放出された電磁放射線(17)の中心と前記出口開口(16)との位置関係を、前記ビーム加工ヘッドの前記監視ユニット(30)により監視するステップであって、
前記監視ユニット(30)の前記第1の判定モジュールは、前記少なくとも1つの画像における前記出口開口(16)の少なくとも1つの位置(180;182)を判定し、
前記監視ユニット(30)の前記第2の判定モジュールは、前記少なくとも1つの画像における前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の少なくとも1つの位置(170)を判定し、
前記監視ユニット(30)の前記第3の判定モジュールは、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180、182)との位置関係を判定する、
監視するステップと、を有し
前記第2の判定モジュールは、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記位置(170)として、前記放出された放射線(17)の最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定することを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記監視ユニット(30)の前記制御モジュールは、
特にディスプレイユニットに対して、判定された前記位置関係を示す信号と、
判定された位置関係が所定の位置関係から逸脱していることを示す信号と、
特に制御ユニットに対する、加工を続行するコマンドおよび加工を停止するコマンドから選択される制御コマンドと、
特に位置決めユニットに対する、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180、182)との位置関係を所定の位置関係に設定する、少なくとも1つの位置決めコマンドと、
から選択される少なくとも1つの要素を出力することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって、
前記第1の判定モジュールは、少なくとも2つの方向において、前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)を判定し、および/または
前記第1の判定モジュールは、前記出口開口(16)を画定する前記開口縁(18)の前記少なくとも1つの位置(180)と前記出口開口(16)の中心の位置(182)とから選択される少なくとも1つの要素を判定することを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第2の判定モジュールは、少なくとも2つの方向において、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)を判定し、および/または
前記第2の判定モジュールは、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記位置(170)として、前記放出された放射線(17)の空間中心の位置を判定することを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項に記載の方法であって、
特に前記位置決めユニットによって、前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)と前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)との位置関係を特に所定の位置関係に連続的または断続的に調整すること、ならびに/または
前記少なくとも1つの画像の撮像スケールを校正すること、ならびに/または
特に前記第3の判定モジュールおよび/もしくは前記制御モジュールによって、少なくとも1つの画像の少なくとも1つの視点、および/もしくは、前記出口開口(16)の前記少なくとも1つの位置(180;182)および前記放出された電磁放射線(17)の前記中心の前記少なくとも1つの位置(170)の種々の視点を補正すること、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の方法であって、
前記光検出器ユニット(30)は、前記出口開口(16)を通って前記ビーム加工ヘッド(10;100;200)へ同軸に、特に、前記出口開口(16)を通って前記加工用エネルギービーム(14;14,206)の伝播方向に対して同軸に、前記被加工物から放出された電磁放射線(17)の少なくとも部分の少なくとも1つの画像を記録し、ならびに/または
前記被加工物は、特に前記照明ユニット(102)により、前記加工用エネルギービームと同軸または非同軸に、前記出口開口(16)を通じて連続的、断続的および/もしくはストロボ的に照明され、
ならびに/または
2つ以上の画像が交互方式で、特に照明を用いた場合と照明を用いない場合とで周期的に交互に繰り返して記録されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
特に、前記第1の判定モジュール、前記第2の判定モジュール、前記第3の判定モジュール、前記制御モジュールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの要素を含む前記監視ユニット(30)のメモリにロードされると、請求項1から6のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッド(10;100;200)または請求項7に記載のビーム加工装置に請求項9から14のいずれか1項に記載の方法ステップを行わせる1つ以上のプログラムモジュールを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
特に、前記監視ユニット(30)、特に、前記第1の判定モジュール、前記第2の判定モジュール、前記第3の判定モジュール、前記制御モジュールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの要素のメモリにロードされると、請求項9から14のいずれか1項に記載の方法ステップを行うために、請求項1から6のいずれか1項に記載のビーム加工ヘッド(10;100;200)または請求項7に記載のビーム加工装置の前記監視ユニット(30)によって可読および実行可能である1つ以上のプログラムモジュールが記憶されるコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物をビーム切断するための、ビーム加工ヘッド、ビーム加工装置、その使用、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を加工するためにエネルギー誘起ビーム(以下、エネルギーインデューサとも呼ばれる)として加工用エネルギービームが用いられる、ビーム加工システム、例えば、プラズマ切断システム、レーザ切断システム、および粒子ビーマーを用いる加工システムがある。電磁放射線および/または熱反応などのエネルギーが被加工物に誘起される。典型的には、加工デバイスの出口開口内におけるエネルギー誘起ビームの位置を知ること、またはその出口開口内でエネルギー誘起ビームの位置を位置合わせすることが望ましい。レーザ切断機において、加工用レーザビームはエネルギーインデューサとして用いられ、出口開口は切断ガスノズルのノズル開口である。プラズマ切断システムにおいて、エネルギーインデューサはプラズマストリームであり、出口開口は同様にガスノズル開口である。粒子エミッタ(イオンエミッタ、電子エミッタ)において、粒子ストリームがエネルギーインデューサとして働き、関連する出口開口は加速電極である。以下において、レーザ切断システムおよびプラズマ切断システムを、特に、ノズルまたはガスノズルとも呼ばれるノズル状出口開口内におけるエネルギー誘起ビームの位置に関して論じる。同じことが、エネルギー誘起ビームと、粒子エミッタを有する加工設備の出口開口とに当てはまる。
【0003】
ガスを用いる切断システムにおいて、エネルギーインデューサに加え、ガスジェットも材料加工に必要とされ、また、このガスジェットはガスノズルによって形成されるため、出口開口(ノズル)に対するエネルギーインデューサの相対位置が関係する。これらが互いに対して不都合に位置合わせされる場合、材料加工、切断品質および/または切断速度が損なわれる。例えば、レーザ切断システムの場合において、ガスジェットおよびエネルギーインデューサが互いに同軸であるように配置される場合、ガスジェットは最適には、不活性切断ガス(Nなど)が用いられる場合に、切り口から、エネルギーインデューサによって溶融された材料を吹き飛ばす。ガスジェットはまた、同時にエネルギーインデューサであるものとすることもできることに留意されたい。反応性切断ガス(Oなど)の場合、ガスは最適には、酸化のためにエネルギーインデューサによって着火点に至る。さらに、2つのビームまたは1つのビーム(エネルギーインデューサおよびガスジェット)の同軸ガイドは、方向に依存しないプロセスにも望ましい。2つのビームが十分に重ね合わされる場合、切断システムはすべての切断方向に十分に等しく切断する。2つのビームの(通常は平行な)オフセットが望まれる、加工プロセスもある。エネルギーインデューサビームおよびガスジェットのオフセットを知ることおよびそのオフセットを調整することができることが好都合である。
【0004】
エネルギーインデューサとしてプラズマビームを用いるプラズマ切断システムにおいて、プラズマビームの位置または方向は、出口開口のプラズマノズル電極の位置および配向によって決定することができる。エネルギーインデューサとしてレーザビームを用いるレーザ切断システムにおいて、レーザビームの位置または方向は、ファイバ出口、偏向ミラー、およびレンズなどの様々な光学素子によって決定される。ガスジェットの位置および方向は本質的に、ノズルの位置および配向によって決定される。レーザビームがガスジェットと同軸に位置合わせされることになる場合、エネルギーインデューサをできる限り中心に、すなわち、出口開口またはノズル開口の中央を通るように方向付けることが望ましい。レーザ切断システムの分野において、様々なシステムが、切断前または切断後に、ノズルセンタリング(entering)、すなわち、ノズルにおけるレーザビームのセンタリングを確認することが知られている。この確認は、ドッキングステーション、すなわち、欧州特許第1967316(B1)号、特開2018015808号公報または米国特許出願第2018328725(A)号に開示されているような、切断システムの加工領域の外側に設けられたステーションにより、「オフラインで」行うことができる。ここでは、レーザビームの中心を判定するために作用レーザビームまたは補助レーザビームが観察される。別のオフライン手法は、作用レーザの位置を判定するために板金に穴をあける、特開2003225787号公報に記載されている。
【0005】
被加工物加工プロセス中、一般的に、出口開口/ノズルおよびエネルギーインデューサのセンタリング(ノズルセンタリングとも呼ばれる)を連続的に確認することはほとんど不可能である。したがって、例えば、直立の被加工物部品との微接触および衝突により、切断プロセス中に生じるノズル変位は気付かれない。したがって、調整解除されたノズル位置で切断が行われるとともに不十分な切断品質がもたらされることが起こりかねない。
【0006】
ノズルセンタリングを確認する周知の手法が、欧州特許2673108(B1)号(またはDE102011003717)に開示されている。このため、ノズルを通る加工用レーザビームに沿って被加工物と位置合わせされる同軸カメラが用いられる。切断時、切り口の中心がカメラ画像により判定され、この中心は、同様に同軸カメラを用いて判定される、ノズルの中心と比較される。この手順は、レーザビームの中心が切り口の中心と一致するという前提に基づいている。切断が少なくとも2つの異なる(好ましくは互いに対して垂直な)方向に切断が行われた場合、レーザビームの中心を、レーザビーム伝播に対して垂直な平面内で判定するとともにノズル開口の中心と比較することができる。例えば、ノズル開口が真っ直ぐな切断時に既に真っ直ぐに切断された被加工物部品に触れ、それにより、ノズルが切断方向に僅かに調整解除される場合、不十分な切断品質が直接の結果である。しかしながら、ノズルの調整解除は、切断方向が変化した場合にしか気付かれ得ない。
【0007】
さらに、欧州特許第2894004(B1)号は、同軸カメラを用いてレーザビーム位置特定のために加工時に被加工物から反射するレーザビームを観察することを提案している。しかしながら、レーザビームは一般的に、切断動作時に見えない。さらに、被加工物において反射するレーザビームによるレーザビーム位置特定は、レーザビームがそこで完全に垂直に反射する場合にしか誤りなく機能しない。このことは、被加工物がレーザビームに対して正確に垂直に配向されねばならないことを意味する。特開2019171431号公報は、レーザ光を発振するレーザ発振器と、レーザ光を集光する集光光学系である集光レンズと、集光光学系を通過したレーザ光を被加工物へ向けて出射する開口部を有するノズルと、を有するレーザ加工装置を開示している。このレーザ加工装置は、開口部と、被加工物におけるレーザ光の照射領域とを撮像する撮像部であるカメラと、レーザ発振器から入射される第1の入射光を被加工物へ向けて反射させ、かつ被加工物から入射される第2の入射光を透過させて撮像部へ入射させる光分岐素子であるビームスプリッタと、開口部と照射領域との撮像によって得られた画像データを基に、開口部の中心とレーザ光の中心とのずれを補正するための調整を行う調整部であるレンズ駆動部と、をさらに備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の有意義な監視を可能にする、ビーム加工ヘッド、特にエネルギービーム加工ヘッド、および、ビーム切断、特にエネルギービーム切断の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のビーム加工ヘッド、請求項7に記載のビーム加工装置、請求項8に記載の使用、請求項9に記載の、被加工物をビーム切断する方法、ならびに、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品および請求項16に記載のコンピュータ可読媒体により達成される。
【0010】
本発明の第1の実施形態は、被加工物のビーム切断、特にエネルギービーム切断のためのビーム加工ヘッドであって、粒子ビーム源、燃料流体ビーム源、プラズマビーム源および/または電磁放射線用の源から選択される加工用集束エネルギービームを生成するエネルギービーム源のためのインタフェースを有し、開口縁によって境界を定められた、加工用エネルギービームのための出口開口と、加工用エネルギービームによって被加工物に誘起されるとともにプロセス光である、被加工物から出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ放出された電磁放射線の少なくとも1つの画像を記録する光検出器ユニットと、放出された電磁放射線の中心と出口開口との位置関係を監視する、光検出器ユニットにデータ送信方式で接続される監視ユニットであって、少なくとも1つの画像における出口開口の少なくとも1つの位置を判定する第1の判定モジュールと、少なくとも1つの画像における放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置を判定する第2の判定モジュールと、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を判定する第3の判定モジュールと、を含む監視ユニットと、を有するビーム加工ヘッドに関する。第2の判定モジュールは、放出された電磁放射線の中心の位置として、放出された放射線の最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定するように構成される。
【0011】
加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置を監視するために、実施形態のビーム加工ヘッドは、加工用エネルギービームを観察するのではなく、プロセス光または被加工物の固有照明とも呼ばれる、加工用エネルギービームによって被加工物に誘起された、被加工物から出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ放出された電磁放射線の中心を観察する。したがって、加工用エネルギービームの位置を観察するために、被加工物から反射された放射線ではなく、加工用エネルギービームと被加工物の材料との相互作用によって生成された放射線が用いられる。換言すると、加工用エネルギービームのエネルギー的に関係する中心が間接的に観察される。したがって、監視は、加工用エネルギービームの作用を観察しながら行われる。監視結果を用いて、加工用エネルギービームおよび/または出口開口のセンタリングとしても知られる、所望のオフセットを有してまたは有さずに加工用エネルギービームおよび出口開口の相対位置の再調整を行う場合、この再調整は、いわゆる効果的なセンタリングによって行われる。これにより、出口開口またはノズル開口に対するビーム軸の既知のセンタリングによるよりも精密なセンタリングおよびはるかに正確な切断が可能となることが示されている。ビーム加工ヘッドはまた、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の監視を、一方向だけでなく、切断方向とは関係なく、2つ以上の方向においても可能にする。さらに、位置関係は、連続的または断続的に、および/またはビーム切断時に、特にリアルタイムで監視することができる。加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の監視および/または任意の必要な再調整は、記録された画像における放出された電磁放射線および出口開口のそれぞれの位置を基に行われる。したがって、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の監視および/または再調整は、加工用エネルギービームの形状、振動、または分散とは実質的に関係なく行うことができる。
【0012】
検出器装置がビーム加工ヘッドの第2のインタフェースに設けられ得る。ビーム加工ヘッドのユニットの少なくともいくつかは、ビーム加工ヘッドのコンピュータベースの制御ユニットに有線または無線データ送信方式で接続することができる。監視ユニットは制御ユニットの一部とすることもできる。第3の判定モジュールは、判定された位置を比較するコンパレータモジュールとすることができるか、またはコンパレータモジュールを有することができる。第1、第2、および第3の判定モジュールは、コンピュータプログラムモジュールであってもよく、および/または、コンピュータプログラムに任意の組み合わせで実装されてもよい。
【0013】
ビーム加工ヘッドにおいて、監視ユニットは、特にディスプレイユニットに対して、判定された位置関係を示す信号と、判定された位置関係が所定の位置関係から逸脱していることを示す信号と、特に制御ユニットに対する、加工を続行するコマンドおよび加工を停止するコマンドから選択される制御コマンドと、特に位置決めユニットに対する、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を所定の位置関係に設定する、少なくとも1つの位置決めコマンドと、から選択される少なくとも1つの要素を出力する制御モジュールを有し得る。所定の位置関係は、加工動作時であっても、例えば、加工仕様に応じて、一定または可変であるものとして指定することができる。所定の位置関係は、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いからの、所望の、一定または可変の、平行または非平行の相対オフセットを考慮し得る。代替的に、加工用エネルギービームおよび出口開口の所望の相対オフセットを、それぞれの位置を判定した後で、例えば、それぞれの位置に加え、第1もしくは第2の判定モジュールによって、または、比較において、第3の判定モジュールによって考慮することができる。前述した措置により、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の監視および/または再調整は、種々のやり方で実現することができる。これにより、出口開口を通過した加工用エネルギービームおよび切断ガスジェットのオフセットが監視および/または調整されることも可能となる。
【0014】
さらに、制御モジュールは、少なくとも1つの画像の撮像スケールを校正する校正コマンドを出力するように構成され得る。撮像スケールは概して、物体の画像の光学サイズ、例えば、この場合では、記録された画像における出口開口のサイズと、物体の実際のサイズ、例えば、この場合では、出口開口のサイズとの比として理解される。
【0015】
ビーム加工ヘッドにおいて、第1の判定モジュールは、少なくとも2つの方向における出口開口の少なくとも1つの位置を判定するように構成され得る。代替的にまたは付加的に、第1の判定モジュールは、出口開口を画定する開口縁の少なくとも1つの位置と出口開口の中心の位置とから選択される少なくとも1つの要素を判定するように構成され得る。
【0016】
さらに、第2の判定モジュールは、少なくとも2つの方向、特に、切断方向に対して横断方向および長手方向における放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置を判定するためにビーム加工ヘッド内に構成され得る。第2の判定モジュールはさらに、3~10%、好ましくは4~6%の誤差許容度を推定および/または含むことによって、および/または第1のモーメント法を用いることによって、切断方向に対して長手方向における放出された放射線の中心の位置を判定するように構成され得る。これは、特に、例えば、切断プロセスの速度および/または被加工物における残光および/または検出器ユニットの低いカメラ画像周波数に起因して、切断方向に細長くなった放出された放射線を表示する記録された画像の場合に当てはまる。第2の判定モジュールはさらに、放出された電磁放射線の中心の位置として、放出された放射線の空間中心の位置を判定するように構成され得る。放出された放射線の空間中心の位置を判定するために、例えば、検出器ユニットにより記録されたデジタル画像のピクセル数を単位として用いることができる。最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定するために、例えば、検出器ユニットにより記録されたデジタル画像の最も大きな、特に平均された明るさを有する、最も明るいピクセルまたは連続ピクセル群を用いることができる。
【0017】
ビーム加工ヘッドには、加工用集束エネルギービームを生成するためにインタフェースに設けられたエネルギービーム源、および/または、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を特に所定の位置関係に連続的または断続的に調整する、特に監視ユニットにデータ送信方式で接続される位置決めユニット、および/または、照明ユニットであって、出口開口、または、かかる照明ユニットのためのインタフェースを通じて、被加工物を連続的、断続的、間欠的および/またはストロボ的に照明する照明ユニットが設けられ得る。監視ユニットが位置決めユニットにデータ送信方式で接続される実施形態では、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置を再調整するためにさらなるドッキングステーションは必要とされない。
【0018】
ビーム加工ヘッドにおいて、出口開口および光検出器ユニットは、同軸に、特に、出口開口を通る加工用エネルギービームの伝播方向に対して同軸に配置され得る。さらに、光検出器ユニットは、出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ同軸に、特に、出口開口を通る加工用エネルギービームの伝播方向に対して同軸に、被加工物からの放出された電磁放射線の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を記録するように構成され得る。代替的にまたは付加的に、出口開口は、円形であるように、および/または、0.025~10mm、好ましくは0.6~8mm、より好ましくは0.8~6mmの直径を有するように構成され得る。さらに、第3の判定モジュールおよび/または制御モジュールは、少なくとも1つの画像の少なくとも1つの視点、および/または、出口開口の少なくとも1つの位置および放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置の種々の視点を補正するように構成され得る。
【0019】
さらなる実施形態は、上記の実施形態またはその変形によるビーム加工ヘッドを有する、被加工物のビーム切断のための、特にレーザ加工またはプラズマビーム加工のためのビーム加工装置に関する。
【0020】
別の実施形態では、上述の実施形態もしくはその変形形態によるビーム加工ヘッド、または、被加工物のビーム切断のための、特にレーザ加工もしくはプラズマビーム加工のための、上述の実施形態によるビーム加工装置の使用が開示される。
【0021】
さらなる実施形態は、上記の実施形態もしくはその変形によるビーム加工ヘッドまたは上記の実施形態によるビーム加工装置を用いての、被加工物のビーム切断のための、特にレーザビーム加工またはプラズマビーム加工のための方法であって、以下のステップ、すなわち、粒子ビーム源、燃料流体ビーム源、プラズマビーム源および/または電磁放射線用の源から選択される加工用集束エネルギービームを生成する、ビーム加工ヘッドのインタフェースに設けられたエネルギービーム源により、加工用エネルギービームを生成するステップと、出口開口を通じて加工用エネルギービームにより被加工物を照射するステップと、プロセス光(17)であるとともに、出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ、加工用エネルギービームと少なくとも部分的に同軸に放出される電磁放射線を、被加工物に誘起する加工用エネルギービームにより、被加工物を加工するステップと、出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ、加工用エネルギービームによって被加工物に誘起された放出された電磁放射線の、少なくとも部分の少なくとも1つの画像を、ビーム加工ヘッドの光検出器ユニットにより記録するステップと、放出された電磁放射線の中心と出口開口との位置関係を、ビーム加工ヘッドの監視ユニットにより監視するステップであって、監視ユニットの第1の判定モジュールは、少なくとも1つの画像における出口開口の少なくとも1つの位置を判定し、監視ユニットの第2の判定モジュールは、少なくとも1つの画像における放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置を判定し、監視ユニットの第3の判定モジュールは、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を判定する、監視するステップと、を有する方法に関する。第2の判定モジュールは、放出された電磁放射線の中心の位置として、放出された放射線の最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定する。
【0022】
方法において、監視ユニットの制御モジュールは、特にディスプレイユニットに対して、判定された位置関係を示す信号と、判定された位置関係が所定の位置関係から逸脱していることを示す信号と、特に制御ユニットに対する、加工を続行するコマンドおよび加工を停止するコマンドから選択される制御コマンドと、特に位置決めユニットに対する、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を所定の位置関係に設定する、少なくとも1つの位置決めコマンドとから選択される少なくとも1つの要素を出力し得る。さらに、制御モジュールは、少なくとも1つの画像の撮像スケールを校正する校正コマンドを出力し得る。
【0023】
方法において、第1の判定モジュールは、少なくとも2つの方向における出口開口の少なくとも1つの位置を判定し得る。代替的または付加的に、第1の判定モジュールは、出口開口の境界を定める開口縁の少なくとも1つの位置と出口開口の中心の位置とから選択される少なくとも1つの要素を判定し得る。
【0024】
方法において、第2の判定モジュールは、少なくとも2つの方向における放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置を判定し得る。代替的または付加的に、第2の判定モジュールは、放出された電磁放射線の中心の位置として、放出された放射線の空間中心の位置を判定し得る。
【0025】
方法は、特に位置決めユニットによって、放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの中心と出口開口の少なくとも1つの位置との位置関係を特に所定の位置関係に連続的または断続的に調整すること、および/または、少なくとも1つの画像の撮像スケールを校正すること、および/または、特に第3の判定モジュールおよび/または制御モジュールによって、少なくとも1つの画像の少なくとも1つの視点、および/または、出口開口の少なくとも1つの位置および放出された電磁放射線の中心の少なくとも1つの位置の種々の視点を補正すること、をさらに含み得る。
【0026】
方法において、光検出器ユニットは、出口開口を通ってビーム加工ヘッドへ同軸に、特に、出口開口を通る加工用エネルギービームの伝播方向に対して同軸に、被加工物からの放出された電磁放射線の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を記録し得る。さらに、被加工物を、特に照明ユニットにより、出口開口を通じて加工用エネルギービームと同軸または非同軸に、連続的、断続的および/またはストロボ的に照明することができる。方法において、2つ以上の画像が交互方式で、特に、照明を用いた場合と照明を用いない場合とで周期的に交互に繰り返してさらに記録され得る。
【0027】
別の実施形態は、特に、第1の判定モジュール、第2の判定モジュール、第3の判定モジュール、制御モジュールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの要素を特に含む監視ユニットのメモリにロードされると、前述の実施形態もしくはその変形形態によるビーム加工ヘッドまたは前述の実施形態によるビーム加工装置に前述の実施形態またはその変形形態による方法ステップを行わせる1つ以上のプログラムモジュールを含む、コンピュータプログラム製品に関する。すなわち、上述の実施形態またはその変形形態による方法を実行するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムが提供される。
【0028】
さらなる実施形態は、特に、監視ユニット、特に、第1の判定モジュール、第2の判定モジュール、第3の判定モジュール、制御モジュールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの要素のメモリにロードされると、上記の実施形態またはその変形形態による方法ステップを行うために、前述の実施形態もしくはその変形形態によるビーム加工ヘッドまたは前述の実施形態によるビーム加工装置の監視ユニットによって可読および実行可能である1つ以上のプログラムモジュールが記憶されるコンピュータ可読媒体を開示する。すなわち、コンピュータ可読媒体は、上述の実施形態のコンピュータプログラム製品が記憶されるコンピュータ可読媒体が提供され得る。
【0029】
上述の実施形態のビーム加工装置、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータ可読媒体を用いて、特に同一および/または類似の特徴を有する、ビーム加工ヘッドの実施形態および変形形態と同じ利益および機能を実現することができる。
【0030】
さらなる特徴および性能は、以下の例示的な実施形態の説明、図および従属請求項から明らかになる。上述の特徴および以下で説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、示されたそれぞれの組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいて、または単独で用いることができる。
【0031】
本発明を、添付の図面を参照しながら、本発明に本質的な特徴を同様に開示する例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、単に例示のために用いられ、限定するものと解釈されるべきではない。例えば、多数の要素または構成要素を伴う例示的な実施形態の説明は、これらの要素または構成要素のすべてが実施に必要であるという趣旨で解釈されるべきではない。むしろ、他の例示的な実施形態が、代替的な要素および構成要素、より少ない要素または構成要素、あるいはさらなる要素または構成要素を含むこともできる。種々の例示的な実施形態の要素または構成要素を、別段の記載がない限り、互いに組み合わせることができる。例示的な実施形態のうちの1つについて記載される変形および変形形態は、他の実施形態に適用することもできる。繰り返しを避けるため、同じであるかまたは互いに対応する要素を、種々の図において同じ参照符号によって示し、何度も説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1ーザ切断ヘッド10を概略的に示す図である。
図2a】出口開口と、出口開口を通ってレーザ切断ヘッドへ放出された電磁放射線とを有する、レーザ切断ヘッド10の出口開口を通じた被加工物のプロセスゾーンの画像を概略的に示す図である。
図2b図2aに対応する、カメラによって記録された画像を示す図である。
図3a】出口開口と、出口開口を通ってレーザ切断ヘッドへ放出された電磁放射線とを有する、レーザ切断ヘッド10の出口開口を通じた被加工物のプロセスゾーンの画像を概略的に示す図である。
図3b図3aに対応する、カメラによって記録された画像を示す図である。
図4】照明ユニットを有する、例示的な実施形態の例示的なレーザ切断ヘッド100を概略的に示す図である。
図5a】照明を用いた、レーザ切断ヘッド100の出口開口を通じた被加工物の画像を概略的に示す図である。
図5b図5aに対応する、カメラによって記録された画像を示す図である。
図6a】それぞれ照明を用いた場合の、レーザ切断ヘッド100の出口開口を通じた被加工物のプロセスゾーン(左側)、ならびに、出口開口の判定された位置および出口開口を通じてレーザ切断ヘッドへ放出された電磁放射線の判定された位置(右側)を有する画像を概略的に示す図である。
図6b図6aに対応する、カメラによって記録された画像を示す図である。
図7a】上列が照明を用い、下列が照明を用いていない、レーザ切断ヘッド10の出口開口を通じた被加工物のプロセスゾーン(左側)、ならびに、出口開口の判定された位置および出口開口を通じてレーザ切断ヘッドへ放出された電磁放射線の判定された位置(右側)を有する画像を概略的に示す図である。
図7b図7aに対応する、カメラによって記録された画像を示す図である。
図8示的な実施形態のプラズマ切断ヘッド200を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の例示的な実施形態は、レーザ切断ヘッドおよびプラズマ切断ヘッドに関して説明するが、本発明はそれらに限定されない。「放出された電磁放射線の中心の位置」、「出口開口の位置」、「開口縁の位置」、「出口開口の中心の位置」という用語、およびそれらの変形語は、検出器ユニットによって記録された少なくとも1つの画像におけるそれぞれの位置を指し、画像位置とも呼ばれ得る。以下において、「加工用エネルギービームのセンタリング」および「出口開口のセンタリング」という用語およびそれらの変形語は、所望のオフセットを有するかまたは有しない、加工用エネルギービームおよび出口開口の互いに対する相対位置の調整を指す。さらに、「放出された電磁放射線」という用語およびその変形語は同義的に、対応する変形語で「放出された放射線」と呼ばれる。以下において、記載された値範囲の場合、より狭い代替的または好ましい範囲を有する広範な明細書は、指定された範囲下限および指定された範囲上限の任意の組み合わせによって形成することができる範囲も開示することが理解される。
【0034】
図1aは、レーザ切断による被加工物11の加工のためのレーザ切断ヘッド10の形態のビーム加工ヘッドを示す。レーザ切断ヘッド10は、この例では、加工用集束エネルギービームとして加工用レーザビーム15を放出する加工用レーザ源14が提供される、インタフェース12と、開口縁18を有する、加工用レーザビーム15のための出口開口16と、放出された電磁放射線として、被加工物11によって放出された、プロセス光17とも呼ばれるプロセス光ビーム17を検出する光検出器ユニット19と、加工用レーザビーム15を反射させるとともにそれを出口開口16の方向に偏向し、プロセス光ビーム17のために少なくとも部分的に透明であるダイクロイック偏向ミラー21と、レンズ22、この場合では、偏向ミラー21と出口開口22との間の集束レンズと、を有する。
【0035】
本例における加工用レーザ源14は、約12kWのパワーを有し、1070nmの中心波長を有する加工用レーザビーム15を生成する。しかしながら、レーザ加工、特にレーザ切断に適した、例えば300W~25kWおよび200~1100nmの範囲の、他のパワー出力および/またはスペクトル範囲も選択することができる。
【0036】
出口開口16の開口縁18は、本例では円形であり、4mmの直径を有する。
【0037】
光検出器ユニット19を用いて、被加工物11から出口開口16を通ってレーザ切断ヘッド10へ放出されたプロセス光ビーム17の少なくとも1つの画像を記録する。本例では、フィルタが備わった単色CMOSビデオカメラが使用され、このビデオカメラは、プロセス光ビーム17の波長範囲、例えば、400~1000nmに感度がある。光検出器ユニット19および加工用レーザ源14は、レーザ切断ヘッド10に対して互いに置き換え可能に配置することもできる。この場合では、偏向ミラー21が、加工用レーザビーム15に関して少なくとも部分的に透過性であるとともにプロセス光に関して反射的であるように構成される。さらなる例では、フォトダイオードまたはCCDカメラなどの他の放射線感受性検出器が設けられてもよい。光検出器ユニット19は、個々の画像および/または一連の画像を生成することができ、一連の画像は特にビデオストリームとして生成することができる。以下において、検出器ユニット19は、カメラまたはビデオカメラとも呼ばれ、それにより、生成された個々の画像または連続画像は、記録もしくはビデオ記録またはビデオストリームとも呼ばれる。
【0038】
本例では、集束レンズ22が、駆動部(図示せず)を装備した制御可能なマウントによってその中心軸に対して枢動して、出口開口16を通って被加工物11へ向かう加工用レーザビーム15の伝播方向を調整するように構成される。集束レンズ22の代わりに、対応する枢動コリメータレンズが設けられてもよい。任意選択的に、加工用レーザビーム15を誘導および整形する他の光要素が設けられてもよい。他の例では、偏向ミラー21が、駆動部を装備した制御可能なマウントによって枢動して、出口開口16を通って被加工物11へ向かう加工用レーザビーム15の伝播方向を調整するように構成される。このようにして、記録された画像におけるプロセス光17の中心の少なくとも1つの位置と出口開口16の少なくとも1つの位置との位置関係を特に所定の位置関係に連続的または断続的に調整するために、位置決めユニット20を実装することができる。ビーム誘導構成要素、すなわち、偏向ミラー21または集束レンズ22を調整することによって、加工用レーザビームの位置を調整することに対して代替としてまたは付加的に、出口開口16の位置を変えることができ、それにより、駆動部を有する制御可能な自動出口開口シフトシステム(図示せず)を提供することができる。
【0039】
さらに、検出器ユニット19にデータ送信方式で(有線または無線)接続される監視ユニット30が設けられる。監視ユニット30はまた、図1に示すように、集束レンズ22の取り付け部にデータ送信方式で(有線または無線)接続されて、出口開口16を通る加工用レーザビーム15の伝播方向の調整、および/または、被加工物11の方向に互いからのその所望のオフセットを可能にし得る。枢動偏向ミラー21による例では、監視ユニット30は代替的または付加的に、偏向ミラー21の取り付け部の駆動部にデータ送信方式で接続することができる。可動出口開口16による例では、監視ユニット30は代替的または付加的に、自動出口開口シフトシステムの駆動部にデータ送信方式で接続することができる。
【0040】
監視ユニット30は、少なくとも1つの画像における出口開口16の少なくとも1つの位置を判定する第1の判定モジュールと、少なくとも1つの画像におけるプロセス光ビーム17の中心の少なくとも1つの位置を判定する第2の判定モジュールと、プロセス光ビーム17の中心の少なくとも1つの位置と出口開口16の少なくとも1つの位置との位置関係を判定する第3の判定モジュールと、を有する。本例では、監視ユニット30は、レーザ切断ヘッド10のコンピュータベースの中央制御ユニットの一部である。第1、第2、および第3の判定モジュールは、本例では、監視ユニット30のメモリにロードされた後でレーザ切断ヘッド10によって実行することができるコンピュータプログラムモジュールである。本例では、第3の判定モジュールは、記録された画像において判定された出口開口16の中心の位置とプロセス光ビーム17の中心の位置とを比較するコンパレータモジュールである。
【0041】
レーザ切断ヘッド10の動作時、加工用レーザビーム15が生成され、ダイクロイックミラー21および集束レンズ22によって被加工物11上に結像される。被加工物11は、加工用レーザビーム15により加工され、加工用レーザビーム15は、被加工物の上に誘導される。これにより、切り口を有する切断部が被加工物11につくり出される。被加工物11の自己発光、すなわち被加工物の自己照明によってレーザ切断時に生成される放射線が、出口開口16を少なくとも部分的に通ってプロセス光17としてレーザ切断ヘッド10に入る。放射線はそこで集束レンズ22およびダイクロイックミラー21を通過し、集束レンズおよびダイクロイックミラーは両方とも、プロセス光ビーム17に対して少なくとも部分的に透過性である。この放射線は最終的に、検出器ユニット19に入り、そこでビデオカメラによって記録される。このようにして得られたビデオ記録は、監視ユニット30に送られ、そこに記憶され、判定モジュールにより分析される。ビデオ記録は、個々の記録および/またはビデオストリームとして、レーザ加工の瞬間に、すなわち、ライブでモニタ(図示せず)に再生することができる。
【0042】
図2aは、出口開口16の開口縁18と、出口開口を通ってレーザ切断ヘッド10へ放出されたプロセス光ビーム17とを示す、出口開口16を通じた被加工物11のプロセスゾーンの記録、すなわち、記録された画像を概略的に示す。図2bは、図2aが基づくカメラ記録を示す。本例では、開口縁18は、真鍮または銅から形成され、反射面を有するため、加工用レーザビーム15によって被加工物11に誘起されるとともに被加工物から放出されたプロセス光17だけでなく、開口縁18においてレーザ切断ヘッドへ反射されたプロセス光17も、ビデオカメラにより記録される。
【0043】
図2bの画像から、第1の判定モジュールが、撮像された内部開口縁18の少なくとも3つのピクセルの位置を判定し、この位置から、画像における出口開口16の空間中心の位置を判定する。本例では、第2の判定モジュールが、撮像されたプロセス光17の空間中心ピクセルの位置、例えば、2つの相互に垂直の方向におけるその位置を判定し、この位置から、画像におけるプロセス光の中心の空間位置を判定する。両方の位置が第3の判定モジュールによって比較され、第3のモジュールはその比較から位置関係を判定する。
【0044】
カメラ画像におけるプロセス光17が、図3a、図3bに示すように、例えば、切断プロセスの速度に起因して、および/または、被加工物における残光により、切断方向にその長さに沿って引き伸ばされて撮像されている場合、撮像されたプロセス光17の長手方向におけるプロセス光17の中心空間位置を判定するために評価が行われる。例えば、この場合、横断方向における約1~5%に比して、長手方向において約10%のより高い誤差許容度が考慮される。本例では、この評価は、第2の判定モジュールまたは第3の判定モジュールによって行われる。
【0045】
本例では、判定された位置関係はモニタに表示される。代替的または付加的に、2つの位置間に望ましくないずれがある場合、警告信号を例えば聴覚的に発することができ、このようにしてずれを指摘することができる。
【0046】
代替的な例では、判定された位置関係を示すための上述の措置は、レーザ切断ヘッド10の監視ユニット30におけるコンピュータプログラムモジュールとしても実装される制御モジュールによってもたらされる。制御モジュールはさらに、特に中央制御ユニットに対して、加工を続行するコマンドおよび加工を停止するコマンドから選択される制御コマンドを出力することができる。
【0047】
他の例は、例えば図2a、図2bの画像における、関連する記録条件を記憶しつつ1つ以上の取得された画像の撮像スケールの一回の校正(加工前もしくは加工開始時点)または(加工の間の)繰り返し校正に基づく。画像の撮像スケールは、出口開口16の開口縁18の既知の直径、および、カメラ画像における撮像された出口開口16の直径のピクセル数から判定される。したがって、記録された物体の寸法のピクセル数または記録された物体の距離のピクセル数から、それぞれの物体の、すなわち、この場合では、切断ヘッド10におけるプロセス光ビーム17および出口開口16の、実際の空間的寸法または距離を断定することができる。
【0048】
そのような校正に基づいて、制御モジュールは、特に位置決めユニット20に対して、この場合では偏向ミラー21および/または焦点レンズ22の制御可能なホルダに対して、少なくとも1つの位置決めコマンドを発することができる。その結果、プロセス光ビーム17の中心の少なくとも1つの位置と出口開口16の少なくとも1つの位置との位置関係が、例えば、進行中のビデオストリームにおいて、所定の位置関係に設定される。この設定は、加工動作前に断続的に、加工動作開始時点に、または加工動作中断により、および/またはビーム切断の加工動作中に断続的もしくは連続的に行うことができる。加工動作以外すなわちオフラインで所定の位置関係に設定することは、レーザ切断ヘッド10および検出器ユニット19が動いておらず、これにより、プロセス光17が細長に表示されないようにすることができるという利点、および、記録を低いカメラ画像周波数で行うことができるという利点をもたらす。
【0049】
所定の位置関係は、例えば、加工仕様に応じて、一定または可変であるものとして指定することができる。所定の位置関係は、加工用レーザビーム15および出口開口16の互いからの所望の一定もしくは可変の、平行または非平行のオフセットを考慮し得る。
【0050】
代替的または付加的に、切断ヘッド10を加工機内で動かす操作者に位置決めコマンドを発することができ、操作者は、加工動作前または加工動作の中断後に加工機における出口開口16付近において切断ヘッド10のハウジングをクランプし、例えば進行中のビデオストリームにおいて、撮像された出口開口16とプロセス光17の撮像された中心との間に所望の位置関係が達成されるまで、切断ヘッド10を適した方向に動かす。代替的に、校正されたシステムにおいて、実際の出口開口16をどの程度だけ動かさねばならないかが分かっている場合、進行中のビデオストリームを監視する必要なく、その量だけ切断ヘッド10を動かすことができる。
【0051】
出口開口16だけまたはプロセス光17の中心だけが一般的に、レーザ切断ヘッド10の理想位置から、衝突、部分接触などによってシフトすることが分かっている場合、所定の位置関係への調整は、関係するシフト位置だけを補正することによって単純化することができる。例えば、出口開口16の位置だけが動かされる可能性があり、プロセス光17の位置が常に変わらないままであることが分かっている場合、出口開口の位置だけを新たに判定することもできる。次いで、出口開口16の新たに判定された位置を、その既知の位置と比較し、および/または、必要であれば再調整することができる。代替的に、出口開口16の新たに判定された位置を、プロセス光17の既知の位置またはオフラインで判定された位置と比較し、必要であれば補正することもできる。
【0052】
図4は、レーザ切断ヘッド10に比して、照明ユニットをさらに有する、例示的な実施形態のレーザ切断ヘッド100を概略的に示す。この例では、出口開口16を通る加工用レーザビーム15の伝播方向を、および/または、被加工物11の方向に互いに対して同じように所望のオフセットを調整することができるようにするために、偏向ミラー21が枢動可能であるとともに監視ユニット30が偏向ミラー21の取り付け部の駆動部にデータ送信方式で接続される。
【0053】
照明ユニットは、照明光ビーム103を発する照明光源102を有する。照明光源102として、狭帯域の空間指向性光源、この例ではダイオードレーザが使用される。本例では、照明光源102は、約1000mWのパワーで動作し、6nmの波長帯域を有する、約638nmの中心波長で、照明光ビーム103を生成する。代替的に、400~1000nmの波長範囲の照明光ビームを生成する照明光源を使用することができる。照明光源のパワーは調整可能とすることができる。加工用レーザ源14のパワーおよび/または被加工物11の性質に応じて、種々の照明パワーが有利であり得る。例えば、照明光源は、約100~2000mWの間で調整可能とすることができる。
【0054】
さらに、照明光源102がレーザ切断ヘッドに横に配置される本例では、加工用レーザビーム15と同軸に出口開口16の方向に照明光ビーム103を少なくとも部分的に偏向するダイクロイック偏向ミラー104が設けられる。被加工物11によって加工ヘッド100へ反射された照明光ビーム103もまた検出されるように、検出器ユニットは(また)、照明光ビームに少なくとも部分的に感度が高く、偏向ミラー104、偏向ミラー21および集束レンズ21は(また)照明光ビームに対して少なくとも部分的に透過性である。
【0055】
図5aは、被加工物11が単に照明されているにすぎず、加工されていない、レーザ切断ヘッド100の出口開口16を通じた被加工物11の画像を概略的に示す。これは、この画像では、加工用レーザ源14がオフにされており、照明光源102がオンにされていることを意味する。図5bは、カメラによって記録された対応する画像を示す。照明光源102はここでは、開口縁18および被加工物11の両方を照明している。したがって、この画像は、出口開口16の開口縁18を示す。画像において、第1の判定モジュールによって判定された対応するピクセル、すなわち、画像における開口縁18の位置が、破線180によりマーキングされている。第1の判定モジュールは、レーザ切断ヘッド10に関して上記で説明したように、この位置から、画像における出口開口16の空間中心の位置を判定する。この画像は、ノズル開口の大きさが実際にどの程度であるかが分かっている場合、上記に記載したように撮像比を校正するために用いることもできる。
【0056】
切断動作時、被加工物11のプロセスゾーンは、レーザ切断ヘッド100によって加工用レーザビーム15により加工されるだけでなく、出口開口16を通じて照明光ビーム103によって照明される。照明光ビームは実際、連続的、断続的、間欠的および/またはストロボ的とすることができる。
【0057】
図6aは左側に、レーザ切断ヘッド100の出口開口を通じた被加工物の加工および照明されたプロセスゾーンの画像を概略的に示す。このため、検出器ユニット19の照明および/またはカメラ露出は、プロセス光17と出口開口16の縁との両方が可視であるように選択された。画像は、プロセス光17、開口縁18、および切り口110を示す。図6aは右側に、出口開口16の内側開口縁18の判定された位置180と、出口開口を通ってレーザ切断ヘッドへ放出されたプロセス光17の判定された位置170と、を有する同じ画像を概略的に示す。第1の判定モジュールおよび第2の判定モジュールによって判定された、画像における位置、またはそれらのピクセルが、破線によりマーキングされている。図6bは、カメラによって記録された対応する画像を示す。第1の判定モジュールは、この画像から、画像における出口開口16の空間中心の位置を判定し、第2の判定モジュールは、この画像から、プロセス光ビーム17の最も高いエネルギー密度の中心の位置を判定する。例えば、記録されたデジタル画像の最も大きな、特に平均された明るさを有する、最も明るいピクセルまたは連続ピクセル群を用いることができる。出口開口16の判定された位置およびプロセス光ビーム17の判定された位置が、第3の判定モジュールによって比較され、第3の判定モジュールはその比較から位置関係を判定する。
【0058】
代替的な例では、被加工物11のプロセスゾーンは、照明を用いた場合と照明を用いない場合とで交互に繰り返す2つ以上の画像により記録される。一例では、照明光源102は、周期的に交互に繰り返す、特にストロボ的なやり方で動作し、つまり、照明は、特定の等間隔の時間間隔で行われる。このため、被加工物11の加工時、そのプロセスゾーンは、プロセスゾーンが照明されない第2の時間間隔だけ互いから隔てられる第1の時間間隔で照明される。検出器ユニット19は、プロセス光17および反射照明光103を検出するように構成されているとともに、照明されたプロセスゾーンおよび照明されていないプロセスゾーンの交互の画像を提供するように構成される。照明されていないプロセスゾーンの画像は、例えばビデオストリームの形態をとることができる。ビデオストリームは、フレームレートとも呼ばれる、画像周波数で、プロセスゾーンの画像/記録を再生する複数のビデオフレームとして提供される。第1の時間間隔および第2の時間間隔は、フレームレートと同期する。
【0059】
図7aは、照明を用いた場合(図7aの上列)と照明を用いない場合(図7aの下列)とを交互にとる被加工物11のプロセスゾーンの2つの画像を概略的に示す。図7aは左側に、レーザ切断ヘッド100の出口開口16を通じたプロセスゾーンの2つの画像を概略的に示す。これは、開口縁18、切り口110およびプロセス光17を示す。図7aは右側に、開口縁18の判定された位置180、出口開口16の空間中心の判定された位置182、およびプロセス光17の判定された位置170を有する同じ画像を概略的に示す。図7bは、図7aに対応する、カメラによって記録された画像を示す。図6a、図6bについて上記で説明したように、第1の判定モジュールは、画像における出口開口16の空間中心の位置182を判定し、第2の判定モジュールは、プロセス光ビーム17の空間中心の位置170を判定する。出口開口16の中心の判定された位置182およびプロセス光ビーム17の判定された位置170は、第3の判定モジュールによって比較され、第3の判定モジュールはその比較から位置関係を判定する。
【0060】
レーザ切断ヘッドの上記の例示的な実施形態では、光検出器ユニット19は、出口開口16と同軸であり、出口開口16を通る加工用レーザビーム15の伝播方向に対して同軸である。その結果、検出器ユニット19は、出口開口16を通ってビーム加工ヘッドへ、被加工物11によって同軸に、特に、出口開口を通る加工用エネルギービーム15の伝播方向に対して同軸に放出されたプロセス光17の、少なくとも部分の少なくとも1つの画像を記録する。このようにして、被加工物11のプロセスゾーンおよび出口開口16の開口縁18は、同じ視点により記録される。代替的な例では、光検出器ユニット19は、出口開口と同軸に設けられるのではなく、例えばレーザ切断ヘッドの側面に設けられる。そのような例では、プロセス光17および反射照明光103を検出器ユニット19に方向付ける偏向ミラーなどの偏向デバイスが、切断ヘッド内に設けられ得る。これにより、被加工物11のプロセスゾーンおよび出口開口16の開口縁18が同じ視点により記録されることが可能となる。他の例では、光検出器ユニット19および出口開口16が非同軸的に配置される場合、デフレクタは検出器装置に提供されない。その場合、被加工物11のプロセスゾーンおよび出口開口16の開口縁18は、種々の視点により記録される。これらの場合、第3の判定モジュールおよび/または制御モジュールは、少なくとも1つの画像の少なくとも1つの視点、および/または、出口開口16の少なくとも1つの位置およびプロセス光17の中心の少なくとも1つの位置の種々の視点を補正するとともにそのような補正を動作時に行うように構成される。
【0061】
図8、例示的な実施形態のプラズマ切断ヘッド200を概略的に示す。プラズマ切断ヘッド200は、ガスリザーバ202と、切断ヘッドにおいて出口開口16に配置されたノズル状リング電極204と、を有するプラズマ発生装置201を含む。リング電極204は、電極ホルダ203に設けられ、この電極ホルダは、駆動部が設けられた電極調整ユニット205によって調整可能である。電極調整ユニット205が次いで監視ユニット30にデータ送信方式で接続され、監視ユニット30が次いで、検出器ユニット19にデータ送信方式で接続される。リング電極204の位置は、電極ホルダ203および電極調整ユニット205によって出口開口に対して調整することができる。ガスリザーバ202は、アルゴン、窒素、酸素、および/または水素などのガスを収容し、リング電極204の内部にガス伝導方式で接続される。プラズマ発生装置201はまた、電源と、リング電極204とカウンタ電極としての役割を果たす金属被加工物11との間に電圧および電場をそれぞれ印加する電気接続部と(それぞれ図示せず)、を含む。この例では、検出器ユニット19の光軸および検出器ユニットに収容されたビデオカメラの光軸は、プラズマビーム206と同軸ではなく、傾いている。このため、プロセス光17のうち、プロセスゾーンから側方にプラズマビーム206に対して傾いて放出される部分は、偏向ミラー207において偏向させることによって検出器ユニット19に誘導される。
【0062】
代替的な例では、リング電極204の代わりに、ガスノズルによって囲まれたロッド状内部電極を切断ヘッドにおいて出口開口16に設けることができ、その位置は調整することができる。
【0063】
プラズマ切断ヘッド200の動作時、陽イオンおよび陰イオンならびに電極のプラズマビーム206が、プラズマ発生装置201によって発生し、リング電極204へ方向付けられたガスに点火することによって被加工物11に方向付けられる。これにおいて、プラズマは、プラズマ発生装置201によって高電圧パルスでガスに導入される。プラズマビーム206内にアークがもたらされる。プラズマビーム206は、被加工物11を切断するために被加工物の表面の上に誘導される。このプロセスにおいて、プロセス光17が、被加工物11から放出された電磁放射線として、プラズマビーム206と被加工物11との相互作用から生じる。プロセス光17と出口開口16との互いに対する位置関係は、レーザ切断ヘッドについて上記で説明したのと同じやり方で判定および監視され、必要であれば調整される。位置関係を判定するために、検出器ユニット19の光軸がプラズマビーム206に対して傾いていることにより、監視ユニット30を用いて、検出器ユニット19によって記録された少なくとも1つの画像の視点を補正することができる。例えば、画像(複数可)における、出口開口16の少なくとも1つの位置180、182、および、放出された電磁放射線17の中心の少なくとも1つの位置170の種々の視点が、第3の判定モジュールおよび/または制御モジュールによって補正され得る。
【符号の説明】
【0064】
10 レーザ切断ヘッド、11 被加工物、12 インタフェース、14 加工用レーザ源、15 加工用レーザビーム、16 出口開口、17 放出された電磁放射線,プロセス光,プロセス光ビーム、18 開口縁、19 検出器ユニット,カメラ,ビデオカメラ、20 位置決めユニット、21 偏向ミラー、22 レンズ,集束レンズ、30 監視ユニット、100 レーザ切断ヘッド、102 照明ユニット,照明光源、103 照明光ビーム、104 偏向ミラー、110 切り口、170 放出された電磁放射線の中心の位置、180 出口開口の位置,開口縁の位置、182 出口開口の位置,出口開口の中心の位置、200 プラズマ切断ヘッド、201 プラズマ発生装置、202 ガスリザーバ、203 電極ホルダ、204 リング電極、205 電極調整ユニット、206 プラズマビーム、207 偏向ミラー。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8