(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ずれ検出方法およびずれ検出装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H01M10/04 W
(21)【出願番号】P 2023527050
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021121336
(87)【国際公開番号】W WO2023050064
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王緒明
(72)【発明者】
【氏名】陳継偉
(72)【発明者】
【氏名】張園園
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-170136(JP,A)
【文献】特開2016-219352(JP,A)
【文献】特開2007-141590(JP,A)
【文献】特開2010-177068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01G 11/00-13/02
H01M 6/02-16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータを含む電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出方法であって、
第1のカメラおよび第2のカメラによって、前記電極アセンブリの巻回過程における第1の電極シートの画像を含む第1の画像と、前記電極アセンブリの巻回過程における第2の電極シートの画像を含む第2の画像と、を取得するステップと、
前記第1の画像における基準点および/または前記第2の画像における基準点から、前記第1の画像および前記第2の画像に現れる同じ対象の位置である特定位置までの距離に基づき、前記第1のカメラおよび/または前記第2のカメラがずれているか否かを判定するカメラずれ判断ステップと、
前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれていないと判定された場合、前記第1の画像における基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離と、前記第2の画像における基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離に基づき、前記電極アセンブリがずれているか否かを判定する電極アセンブリずれ判定ステップと、
を含むずれ検出方法。
【請求項2】
前記カメラずれ判断ステップは、
前記第1の画像に基づき、第1の基準点から前記特定位置までの距離である第1の距離を取得するステップと、
前記第2の画像に基づき、第2の基準点から前記特定位置までの距離である第2の距離を取得するステップと、
前記第1の距離と前記第2の距離との差が第1の閾値より大きい場合、前記第1のカメラと前記第2のカメラとの間に相対変位が生じていると判定するステップと、
を含む請求項1に記載のずれ検出方法。
【請求項3】
前記カメラずれ判断ステップは、
前記第1の画像に基づき、第1の基準点から前記特定位置までの距離である第1の距離を取得するステップと、
前記第2の画像に基づき、第2の基準点から前記特定位置までの距離である第2の距離を取得するステップと、
前記第1の距離が前記第1の距離の参考値範囲を超える場合、前記第1のカメラがずれていると判定するステップと、
前記第2の距離が前記第2の距離の参考値範囲を超える場合、前記第2のカメラがずれていると判定するステップと、
を含む請求項1に記載のずれ検出方法。
【請求項4】
前記特定位置は、前記セパレータの境界であるか、または前記電極アセンブリへのレーザ照射位置であり、
前記レーザは、レーザマシンによって放出されて電極アセンブリに照射され、前記第1の画像および前記第2の画像に画素の境界を生成するために用いられる請求項1~3のいずれかに記載のずれ検出方法。
【請求項5】
前記電極アセンブリずれ判定ステップは、
前記第1の画像に基づき、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得するステップと、
前記第2の画像に基づき、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、
前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第3の距離と前記第4の距離との差から前記第1の電極シートの前記境界と前記第2の電極シートの前記境界との所定距離を引いて得られた差が第2の閾値より大きい場合、前記電極アセンブリがずれていると判定するステップと、
を含む請求項2に記載のずれ検出方法。
【請求項6】
前記電極アセンブリずれ判定ステップは、
前記第1の画像に基づき、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得するステップと、
前記第2の画像に基づき、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、
前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第3の距離が第3の距離の参考値範囲を超える場合、前記第1の電極シートがずれていると判定するステップと、
前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第4の距離が第4の距離の参考値範囲を超える場合、前記第2の電極シートがずれていると判定するステップと、
を含む請求項2に記載のずれ検出方法。
【請求項7】
前記電極アセンブリずれ判定ステップは、
前記第1の画像において、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得し、前記第2の画像において、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、
前記第3の距離と前記第4の距離との差から前記第1の電極シートの境界と前記第2の電極シートの境界との所定距離を引いた後、さらに前記第1の距離と前記第2の距離との差を引いて得られた差が第3の閾値より大きい場合、前記電極アセンブリがずれていると判定するステップと、
を含む請求項2に記載のずれ検出方法。
【請求項8】
前記第2のカメラは、赤外線光源を用いて1層の前記セパレータを透過し、その後ろの前記第2の電極シートを撮影する請求項1~3のいずれか1項に記載のずれ検出方法。
【請求項9】
前記セパレータは、第1のセパレータおよび第2のセパレータを含み、
前記第1の画像は、前記第1の電極シートおよび前記第1のセパレータを含み、
前記第2の画像は、前記第2の電極シートおよび前記第2のセパレータを含み、
前記特定位置は、前記第2のセパレータが前記第1のセパレータから露出している境界であるか、または前記第1のセパレータが前記第2のセパレータから露出している境界である請求項1~3のいずれか1項に記載のずれ検出方法。
【請求項10】
第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータを含む電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、
前記電極アセンブリの巻回過程における前記第1の電極シートの画像を含む第1の画像と、前記電極アセンブリの巻回過程における前記第2の電極シートの画像を含む第2の画像と、をそれぞれ取得する第1のカメラおよび第2のカメラと、
前記第1の画像における基準点および前記第2の画像における基準点から特定位置までの距離に基づき、前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれているか否かを判定し、
前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれていないと判定された場合、前記第1の画像における基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離と、前記第2の画像における基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離に基づき、前記電極アセンブリがずれているか否かを判定するずれ判定ユニットと、
を備えるずれ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の製造分野に関し、特に、電極アセンブリを巻回して製造する際に電極アセンブリの位置ずれを検出するためのずれ検出方法およびずれ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極アセンブリは、電池セル内で電気化学反応を起こす部品として、一般的に、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータを巻回または積層して形成される。電極アセンブリの巻回過程において、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータにヨーイング現象が発生しやすいため、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータが正常位置からずれてしまう。電極アセンブリの巻回の良否は、電池セルの性能に直接影響する。したがって、電極アセンブリのずれ検出を如何に正確に行えるかは、電池の製造にとって非常に重要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記問題点に鑑み、電極アセンブリの巻回時の位置ずれを正確に検出することができるずれ検出方法およびずれ検出装置を提供する。
【0004】
第1の態様では、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータを含む電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出方法であって、第1のカメラおよび第2のカメラによって、前記電極アセンブリの巻回過程における第1の電極シートの画像を含む第1の画像と前記電極アセンブリの巻回過程における第2の電極シートの画像を含む第2の画像とを取得するステップと、前記第1の画像における基準点および前記第2の画像における基準点から、前記第1の画像および第2の画像に現れる同じ対象の位置である特定位置までの距離に基づき、前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれているか否かを判定するカメラずれ判定ステップと、前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれていないと判定された場合、前記第1の画像における基準点から第1の電極シートの境界までの垂直距離と、前記第2の画像における基準点から第2の電極シートの境界までの垂直距離に基づき、前記電極アセンブリがずれているか否かを判定する電極アセンブリずれ判定ステップと、を含むずれ検出方法を提供する。
【0005】
電極アセンブリが巻回されると、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータが積層され、かつ撮影ユニットの制限を受けるため、第1のカメラによって取得された第1の図および第2カメラによって取得された第2の図を用いて、電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出する必要がある。したがって、電極アセンブリの位置ずれに関する正確な判定にとって、第1のカメラおよび第2のカメラが正しい位置にあることが前提となる。本願の実施例に係る技術案では、第1のカメラによって取得された第1の画像と第2のカメラによって取得された第2画像だけで、カメラの位置ずれと電極アセンブリの位置ずれを判定することができ、カメラ位置ずれの判定のために画像を別途取得する必要がない。これにより、第1のカメラおよび第2のカメラが正しい位置にあることを低コストで効率的に確保し、これを前提として電極アセンブリの位置ずれを正確に判定することができる。
【0006】
一部の実施例では、カメラずれ判定ステップは、第1の画像に基づき、第1の基準点から前記特定位置までの距離である第1の距離を取得するステップと、第2の画像に基づき、第2の基準点から前記特定位置までの距離である第2の距離を取得するステップと、前記第1の距離と前記第2の距離との差が第1の閾値より大きい場合、前記第1のカメラと前記第2のカメラとの間に相対変位が生じていると判定するステップと、を含む。本願の実施例に係る技術案では、第1のカメラおよび/または第2のカメラがずれていない限り、第1の画像の第1の基準点および第2の画像の第2の基準点はそれぞれ電極アセンブリの固定点に対応し、かつ特定位置は、第1の画像にも第2の画像にも現れ、電極アセンブリの固定点にも対応する。したがって、第1の基準点から特定位置までの距離と、第2の基準点から特定位置までの距離との差は一定である。このように、この差を第1の閾値と比較することにより、第1のカメラと第2のカメラとの間に相対変位が生じているか否かを容易に判定することができる。
【0007】
一部の実施例では、カメラずれ判定ステップは、前記第1の画像において、第1の基準点から前記特定位置までの距離である第1の距離を取得するステップと、前記第2の画像において、第2の基準点から前記特定位置までの距離である第2の距離を取得するステップと、前記第1の距離が第1の距離の参考値範囲を超える場合、前記第1のカメラがずれていると判定するステップと、前記第2の距離が第2の距離の参考値範囲を超える場合、前記第2のカメラがずれていると判定するステップと、を含む。このように、第1の距離、第2の距離をそれぞれ所定値と比較することにより、第1のカメラと第2のカメラが位置ずれしているか否かをそれぞれ判定することができ、第1の距離と第2の距離との関係を判定するよりも正確にどのカメラが位置ずれしているかを判定することができる。
【0008】
一部の実施例では、前記特定位置は、前記セパレータの境界であるか、または前記特定位置は、前記電極アセンブリへのレーザ照射位置であり、前記レーザは、レーザマシンによって放出されて電極アセンブリに照射され、前記第1の画像および前記第2の画像に画素の境界を生成するために用いられる。本願の実施例に係る技術案では、セパレータは、第1の画像にも第2の画像にも現れ、かつセパレータの縁は第1の電極シートおよび第2の電極シートの縁を超えているため、非常に識別されやすい。したがって、セパレータの境界を特定位置として設定することにより、他の装置を別途導入しなくても、第1のカメラと第2のカメラの位置ずれを容易に判定できる。また、レーザで第1の画像および第2の画像に特定位置を生成し、第1のカメラおよび第2のカメラの位置ずれを判定することもできる。
【0009】
一部の実施例では、電極アセンブリずれ判定ステップは、前記第1の画像において、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得するステップと、前記第2の画像において、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第3の距離と前記第4の距離との差から前記第1の電極シートの境界と前記第2の電極シートの境界との所定距離を引いて得られた差(絶対値)が第2の閾値より大きい場合、前記電極アセンブリがずれていると判定するステップと、を含む。このように、第1のカメラおよび第2のカメラが正しい位置にあることを確保した前提で、依然として第1の画像および第2の画像により、電極アセンブリの巻回時の位置がずれているか否かを正確に判定することができる。
【0010】
一部の実施例では、電極アセンブリずれ判定ステップは、前記第1の画像において、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得するステップと、前記第2の画像において、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第3の距離が第3の距離の参考値範囲を超える場合、前記第1の電極シートがずれていると判定するステップと、前記第1の距離と前記第2の距離との差が前記第1の閾値以下であり、かつ前記第4の距離が第4の距離の参考値範囲を超える場合、前記第2の電極シートがずれていると判定するステップと、を含む。このように、第3の距離および第4の距離をそれぞれ所定値と比較することにより、第1の電極シートと第2の電極シートがそれぞれ位置ずれしているか否かを判定することができ、第3の距離と第4の距離との関係を判定するよりも正確にどの電極シートが位置ずれしているかを判定することができる。
【0011】
一部の実施例では、電極アセンブリずれ判定ステップは、前記第1の画像において、第3の基準点から前記第1の電極シートの境界までの垂直距離である第3の距離を取得し、前記第2の画像において、第4の基準点から前記第2の電極シートの境界までの垂直距離である第4の距離を取得するステップと、前記第3の距離と前記第4の距離との差から前記第1の電極シートの境界と前記第2の電極シートの境界との所定距離を引いた後、さらに前記第1の距離と前記第2の距離との差を引いて得られた差(絶対値)が第3の閾値より大きい場合、前記電極アセンブリがずれていると判定するステップと、を含む。本願の実施例に係る技術案では、第1の距離と第2の距離との差は、第1のカメラと第2のカメラによる第1の画像と第2の画像との間の座標系のずれである。第3の距離と第4の距離との差から、第1の距離と第2の距離との差をさらに引くことにより、巻回時の電極アセンブリの位置判定を行う際に、第1のカメラと第2のカメラの位置ずれを除去し、第1の電極シートの境界と第2の電極シートの境界との実際の距離を取得できるため、電極アセンブリの位置ずれをより正確に判定することができる。
【0012】
一部の実施例では、前記第2のカメラは、赤外線光源を用いて1層の前記セパレータを透過し、その後ろの前記第2の電極シートを撮影する。これにより、第2の画像において第2の電極シートを識別することを確保し、第3の距離と比較して電極アセンブリが巻回時に位置ずれしているか否かを判定するように第4の距離をさらに取得することができる。
【0013】
一部の実施例では、前記セパレータは、第1のセパレータおよび第2のセパレータを含み、前記第1の画像は、第1の電極シートおよび第1のセパレータを含み、前記第2の画像は、第2の電極シートおよび第2のセパレータを含み、前記特定位置は、前記第2のセパレータが前記第1のセパレータから露出している境界であるか、または前記第1のセパレータが前記第2のセパレータから露出している境界である。これにより、第1のセパレータおよび/または第2のセパレータが位置ずれしたとしても、第1の画像における特定位置と第2の画像における特定位置とが対応していることを確保することができる。
【0014】
第2の態様では、第1の電極シート、第2の電極シートおよびセパレータを含む電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、前記電極アセンブリの巻回過程における第1の電極シートの画像を含む第1の画像と、前記電極アセンブリの巻回過程における第2の電極シートの画像を含む第2の画像と、をそれぞれ取得する第1のカメラおよび第2のカメラと、前記第1の画像における基準点および前記第2の画像における基準点から特定位置までの距離に基づき、前記第1のカメラおよび前記第2のカメラがずれているか否かを判定し、前記第1のカメラおよび第2のカメラがずれていないと判定された場合、前記第1の画像における基準点から第1の電極シートの境界までの垂直距離および前記第2の画像における基準点から第2の電極シートの境界までの垂直距離に基づき、前記電極アセンブリがずれているか否かを判定するずれ判定ユニットとを備えるずれ検出装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に示された図面は、本願のさらなる理解を提供するために用いられ、本願の一部を構成し、本願の概略的な実施例およびその説明は、本願の説明に用いられ、本願を不当に制限するものではない。以下のような図面がある。
【0016】
【
図1】本願の一実施例に係る電極アセンブリ製造設備の概略図である。
【
図2】本願の一実施例に係る巻回後の電極アセンブリの概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係る巻回後の電極アセンブリのX-Y断面を含む断面図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電極アセンブリを展開した場合の概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係るずれ検出方法のフローチャートである。
【
図6】本願の一実施形態に係る第1の画像および第2の画像の概略図である。
【
図7】本願の一実施形態の、第1のカメラおよび第2のカメラが許容範囲内の位置ずれを起こした際の実際の電極アセンブリのずれ量を示す図である。
【
図8】本願の一実施形態の、第1のセパレータが第2のセパレータから露出している際の特定位置を示す図である。
【0017】
符号の説明:
100-電極アセンブリ
1-第1の電極シート
11-第1のタブ
2-第2の電極シート
22-第2のタブ
3-セパレータ
31-第1のセパレータ
32-第2のセパレータ
4-撮影ユニット
41-第1のカメラ
42-第2のカメラ
5-巻線針
6-特定位置
T1-第1の画像
T2-第2の画像
A1-第1の基準点
A2-第2の基準点
d1-第1の距離
d2-第2の距離
d3-第3の距離
d4-第4の距離
200-ずれ検出方法
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願の実施例の目的、技術案および利点をより明確化するために、以下は本願の実施例における図面を参照し、本願の実施例に係る技術案を明確に説明する。明らかに、ここで説明される実施例は本願の全部の実施例ではなく、一部に過ぎない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な努力をせずに得られる他の実施例はいずれも本願の保護範囲内である。
【0019】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本願に係る当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明するためだけであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲および図面の簡単な説明における「含む」や「有する」という用語、並びにそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものである。本願の明細書や特許請求の範囲または上記図面における「第1」「第2」などの用語は、特定の順序や主従関係を表すためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。
【0020】
本明細書で言う「実施例」は、実施例に記載の特定の特徴、構造または特性を組み合わせたものが本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各箇所に現れるこの用語は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と互いに排他的で独立または代替の実施例を意味するものでもない。当業者が明示的にも暗黙的にも理解できるように、本願に記載された実施例は他の実施例と組み合わせることができる。
【0021】
本願の説明において、特に明記・限定しない限り、技術用語の「装着」、「つながる」、「接続」、「取付」などは、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体化でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願におけるこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0022】
本願の「および/または」という用語は、関連する対象の関連関係を説明するものに過ぎず、3つの関係があり得ることを意味する。「Aおよび/またはB」を例にすると、単にA、AとBの両方、単にBという3つの場合があり得る。また、本文における「/」は、一般的に前後の関連対象が「または」という関係を有すると示す。
【0023】
本願に現れた「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味する。同様に、「複数組」は、2組以上(2組を含む)を意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0024】
図1は、本願の一実施例に係る電極アセンブリ製造設備の概略図である。
図2は、巻回してなる電極アセンブリ100を示している。
図1に示すように、電極アセンブリ製造設備は、搬送装置および巻回装置、つまり巻線針5を備える。搬送装置によって、ベルト状の第1の電極シート1、第2の電極シート2およびセパレータ3を巻線針5まで搬送し、第1の電極シート1、セパレータ3、第2の電極シート2およびセパレータ3を順次に巻線針5に巻き付けて電極アセンブリ100を形成する(
図2を参照)。
図1における巻線針5は例示的なものに過ぎず、電池セルの種類や電池筐体の形状に応じて、電極アセンブリは断面が円筒形または楕円形である電極アセンブリとして巻回されることができる(
図2、
図3を参照)。
【0025】
巻線針5が1回転する(360°)毎に、電極アセンブリ100は1層ずつ増加する。
図2に示すように、電極アセンブリ100のX方向における厚さは、巻線針5の回転につれて徐々に厚くなる。また、ベルト状の第1の電極シート1、第2の電極シート2およびセパレータ3(第1のセパレータ31および第2のセパレータ32を含む)の幅によって、電極アセンブリ100のZ軸方向における高さが決められる。
図3は、
図2に示す電極アセンブリ100のX-Y平面における断面図である。
図3に示すように、各巻回層において、X方向に沿って外から内へと順次に第2のセパレータ32、第2の電極シート2、第1のセパレータ31および第1の電極シート1である。このように、各巻回層において、第2の電極シート2および第1の電極シート1は、第1のセパレータ31および第2のセパレータ32によって分離されている。
【0026】
電極アセンブリの巻回過程において重要なパラメータは、巻回後の電極アセンブリ100のZ軸方向における整列度である。具体的には、巻回後の電極アセンブリ100のZ軸方向における整列度とは、Z軸方向における第2の電極シート2と第1の電極シート1との相対位置のことである。
図4は、積層して巻回された後の電極アセンブリ100をY方向に沿って展開した図である。図に示すように、Z軸方向(すなわち、展開された電極アセンブリ100の幅方向)において、外から内へと順次に、セパレータ3(第1のセパレータ31、第2のセパレータ32を含む)、第2の電極シート2および第1の電極シート1が位置している。すなわち、Z軸方向において、第1のセパレータ31と第2のセパレータ32は境界が面一で最外側に位置し、第1の電極シート1は最内側に位置し、かつ第2の電極シート2は第1の電極シート1から一定の距離(所定距離)を隔てている。電極アセンブリ100の巻回過程では、第2の電極シート2および第1の電極シート1にヨーイング現象が発生しやすいため、第2の電極シート2と第1の電極シート1との相対位置がずれてしまい、製造される電池セルの品質や性能に影響を及ぼす。したがって、第2の電極シート2と第1の電極シート1との相対位置のずれを監視するために、電極アセンブリ製造装置は、撮影ユニット4をさらに備える。
【0027】
理想的には、撮影ユニットは、巻回後の電極アセンブリ100を撮影し、得られた画像において第2の電極シート2および第1の電極シート1を識別することによって、第2の電極シート2と第1の電極シート1との相対位置の関係を判定する。しかし、上述したように、電極アセンブリの各巻回層について、第1の電極シート1を撮影するために、第2のセパレータ32、第2の電極シート2および第1のセパレータ31を透過しなければならない。既存の撮影ユニットの限界により、例えば、赤外線撮影ユニットの透過能力は非常に限られており、撮影された巻回後の第1の電極シート1または第2の電極シート2の画像において、第2の電極シート2および第1の電極シート1を正確に識別してその相対位置の関係を判定することは非常に難しい。そのため、第1の電極シート1と第2の電極シート2がそれぞれ撮影された第1の画像T1と第2の画像T2によって、電極シートの位置ずれを判定する必要がある。
【0028】
したがって、通常、第1のカメラ41と第2のカメラ42の撮影ユニットを用いて第1の画像T1と第2の画像T2をそれぞれ撮影する。第1の画像T1は、電極アセンブリ100の巻回過程における第1の電極シート1を含み、第2の画像T2は、電極アセンブリ100の巻回過程における第2の電極シート2を含む。しかし、続く問題は、まず第1の画像T1における座標系と第2の画像T2における座標系との相対関係が固定され、つまり、第1のカメラ41および第2のカメラ42が所定の位置にあり、ずれていないことを確保しなければならないということである。
【0029】
以上のことを考慮し、発明者らが鋭意検討を行った結果、電極アセンブリ100の巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出方法200を提供する。
図5は、本願の一実施例に係るずれ検出方法200のフローチャートである。
図6は、本願の一実施形態に係る第1の画像および第2の画像の概略図である。
図5、
図6に示すように、このずれ検出方法200は、第1のカメラ41および第2のカメラ42によって、電極アセンブリ100の巻回過程における第1の電極シート1の画像を含む第1の画像T1と、電極アセンブリ100の巻回過程における第2の電極シート2の画像を含む第2の画像T2と、をそれぞれ取得するステップと、第1の画像T1における基準点および第2の画像T2における基準点から、第1の画像T1および第2の画像T2に現れる同じ対象の位置である特定位置6までの距離に基づき、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれているか否かを判定するカメラずれ判定ステップと、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれていないと判定された場合、第1の画像T1における基準点から第1の電極シート1の境界までの垂直距離と、第2の画像T2における基準点から第2の電極シート2の境界までの垂直距離に基づき、電極アセンブリ100がずれているか否かを判定する電極アセンブリずれ判定ステップと、を含む。
【0030】
上述したように、電極アセンブリ100がずれているか否かを判定するために、第1のカメラ41によって撮影された第1の電極シート1を含む第1の画像T1と、第2のカメラ42によって撮影された第2の電極シート2を含む第2の画像T2と、を用いる必要がある。本願の実施例では、特定位置6は、第1の画像T1にも第2の画像T2にも現れ、電極アセンブリ100の固定点に対応している。また、第1の画像T1および第2の画像T2には、対応関係を有する基準点が予め設定されており、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれていない限り、第1の画像T1および第2の画像T2における基準点は、それぞれ電極アセンブリ100の固定点に対応し、つまり、第1の画像T1における基準点から特定位置6までの距離と、第2の画像T2における基準点から特定位置6までの距離との差は一定である。したがって、第1の画像T1における基準点から特定位置6までの距離と、第2の画像T2における基準点から特定位置6までの距離に基づき、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれているか否かを判定することができる。次に、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれていないと判定された場合、依然として第1の画像T1および第2の画像T2により、電極アセンブリ100がずれているか否かを判定する。つまり、カメラ位置ずれ判定のためだけに画像を別途取得する必要がない。このように、低コストで効率的に第1のカメラ41、第2のカメラ42が正しい位置にあることを確保し、これを前提として電極アセンブリの位置ずれを正確に判定することができる。
【0031】
本願の一部の実施例によれば、特定位置6はセパレータ3の境界であるか、または特定位置6は電極アセンブリへのレーザ照射位置であり、ここで、レーザは、レーザマシンによって放出されて電極アセンブリに照射され、第1の画像T1および第2の画像T2において画素の境界を形成するために用いられる。
図6に示される特定位置6は、タブ11、22側から離れたセパレータ3の境界であるが、本願はこれに限定されず、特定位置6は、タブ11、22側のセパレータ3の境界であってもよい。特定位置6が電極アセンブリへのレーザ照射位置である場合、好ましくは、照射点が第1のカメラ41によっても第2のカメラ42によっても取得できる一つのレーザマシンを用いる。本願は2つのレーザマシンを用いることも可能であるが、2つのレーザマシンの位置合わせなどの問題を考慮する必要がある。
【0032】
図6に示すように、撮影された巻回前の電極アセンブリ100を有する第1の画像T1において、第1の電極シート1は、X軸方向に沿って最外側に位置し、第1の電極シート1の下方では順次に第1のセパレータ31、第2の電極シート2および第2のセパレータ32である。撮影ユニット4の透過能力にもよるが、第1の画像T1において、第1の電極シート1および第1のセパレータ31を識別することが可能である。撮影された巻回後の電極アセンブリ100を有する第2の画像T2において、第2のセパレータ32は、X軸方向に沿って最外側に位置し、第2のセパレータ32の下方では順次に第2の電極シート2、第1のセパレータ31および第1の電極シート1である。撮影ユニット4の透過能力にもよるが、第2の画像T2において、少なくとも第2のセパレータ32および第2の電極シート2を識別することが可能である。また、第1の画像T1において、第1のセパレータ31の縁は第1の電極シート1を超えており、第2の画像T2において、第2のセパレータ32の縁は第2の電極シート2の縁を超えているため、第1の画像T1および第2の画像T2において第1のセパレータ31の境界および第2のセパレータ32の境界を識別しやすい。さらに、
図4に示すように、第1のセパレータ31の境界と第2のセパレータ32の境界はZ軸方向において面一であり、つまり、第1の画像T1における第1のセパレータ31の境界は、第2の画像T2における第2のセパレータ32の境界に対応している。したがって、セパレータ3の境界は、第1の画像T1にも第2の画像T2にも現れ、かつ電極アセンブリ100の同じ位置に対応している。このように、セパレータ3の境界を特定位置に設定することにより、他の装置を別途導入しなくても、第1のカメラ41および第2のカメラ42の位置ずれを容易に判定することができる。
【0033】
レーザによって第1の画像T1および第2の画像T2に特定位置6を形成してもよい。これにより、例えば、第1のセパレータ31および/または第2のセパレータ32の製造誤差や第1のセパレータ31および/または第2のセパレータ32のずれによる影響を排除することができる。特定位置6が電極アセンブリへのレーザ照射位置である場合、好ましくは、照射点が第1のカメラ41によっても第2のカメラ42によっても取得できる一つのレーザマシンを用いる。
【0034】
本願の一部の実施例によれば、ずれ検出方法200のカメラずれ判定ステップは、第1の画像T1に基づき、第1の基準点A1から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離である第1の距離d1を取得するステップと、第2の画像T2に基づき、第2の基準点A2から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離である第2の距離d2を取得するステップと、第1の距離d1と第2の距離d2との差が第1の閾値より大きい場合、第1のカメラ41と第2のカメラ42との間に相対変位が生じていると判定するステップと、を含む。
【0035】
第1の距離d1は、第1の基準点A1から特定位置6までのZ軸方向に沿った画素点に画素当量を乗じたものであり、第2の距離d2は、第2の基準点A2からZ軸方向に沿って特定位置6までの画素点に画素当量を乗じたものである。ここで、画素当量とは、一つの画素点が表す実際の距離であり、例えば、第1の画像T1において、第1の電極シート1のZ軸の実際の幅を第1の画像T1における第1の電極シート1の総画素値で割ることによって求めることができる。
【0036】
第1のカメラ41がずれていない場合、第1の基準点A1が確定されると、第1の基準点A1は、常に第1の電極シート1の固定点に対応し、つまり、第1の画像において、第1の基準点A1から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離d1は一定である。同様に、第2のカメラ42がずれていない場合、第2の基準点A2から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離d2も一定である。したがって、第1の距離d1と第2の距離d2との差も一定である。通常、第1のカメラ41と第2のカメラ42が同時にずれる確率は非常に低い。よって、第1のカメラ41および第2のカメラ42の位置ずれを別々に判定する必要がなく、判定効率を向上させることができる。
【0037】
図6に示すように、第1の基準点A1を以下のように確定してもよい。すなわち、第1のカメラ41がラインスキャンカメラの場合、第1の電極シート1のZ軸方向における中点が第1の画像T1の中央位置に現れ、つまり第1の電極シート1のZ軸方向における中点が、第1の画像T1のZ軸方向における画素中央点と重ねるように(例えば、第1の画像T1がZ軸方向において4096画素を有する場合、画素中央点は2048番目の画素点である)、第1のカメラ41の視野範囲を調整し、第1の基準点A1を第1の画像T1のZ軸方向における画素中央点として設定する。第2の基準点A2を同様に確定してもよい。すなわち、第2の電極シート2のZ軸方向における中点が、第2の画像T2のZ軸方向における画素中央点と重ねるように、第2のカメラ42の視野範囲を調整し、第2の基準点A2を第2の画像T2のZ軸方向における画素中央点として設定する。これにより、第1の基準点A1は、第1の電極シート1のZ軸方向における中点の画素点(2048番目の画素点)に対応し、第2の基準点A2は、第2の電極シート2のZ軸方向における中点の画素点(2048番目の画素点)に対応する。第1の画像T1および第2の画像T2の特定位置6はともにセパレータ3の境界に対応し、かつ理想的には第1の電極シート1の中点と第2の電極シート2の中点とが重なる。この理想的な場合では、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれていなければ、第1の基準点A1から特定位置6までの第1の距離d1は、第2の基準点A2から特定位置6までの第2の距離d2に等しい。このように、この差を第1の閾値(例えば、0.15mm)と比較することにより、第1のカメラと第2のカメラとの間に相対変位が生じているか否かを容易に判定することができる。ただし、第1の基準点A1および第2の基準点A2は、画素中央点に限定されず、得られる第1の距離d1と第2の距離d2との関係が確定されているものであれば、第1の基準点A1および第2の基準点A2を任意に選択してもよい。また、第1のカメラ41および第2のカメラ42がラインスキャンカメラの場合、得られる第1の画像T1および第2の画像T2は一次元の線となる。しかし、第1のカメラ41および第2のカメラ42は、ラインスキャンカメラでなくてもよく、この場合、第1の画像T1および第2の画像T2は、二次元の画像であり、つまり、Y方向に一定の長さを有するものである。第1の画像T1および第2の画像T2が二次元の場合、第1の画像T1および第2の画像T2におけるY方向のある同じ位置に対してラインスキャンカメラと同じ操作を行ってもよく、第1の距離d1および第2の距離d2をY方向全体の平均距離にしてもよい。
【0038】
本願の一部の実施例によれば、ずれ検出方法200のカメラずれ判定ステップは、第1の画像T1において、第1の基準点A1から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離である第1の距離d1を取得するステップと、第2の画像T2において、第2の基準点A2から特定位置6までのZ軸方向に沿った距離である第2の距離d2を取得するステップと、第1の距離d1が第1の距離の参考値範囲d1_refを超える場合、第1のカメラ41がずれていると判定するステップと、第2の距離d2が第2の距離の参考値範囲d2_refを超える場合、第2のカメラ42がずれていると判定するステップと、を含む。
【0039】
これにより、第1の距離d1および第2の距離d2をそれぞれ所定値d1_refおよび所定値d2_refと比較することにより、第1のカメラ41と第2のカメラ42とが位置ずれしているか否かをそれぞれ判定でき、第1の距離d1と第2の距離d2との関係を判定するよりも正確にどのカメラが位置ずれしているかを判定することができる。
【0040】
あるいは、先に第1の距離d1と第2の距離d2との関係を判定し、第1のカメラ41および第2のカメラ42が位置ずれしているか否かを確認してもよい。第1のカメラ41および第2のカメラ42が位置ずれしていると確認されたら、第1の距離d1と第1の距離の所定値d1_ref、および第2の距離d2と第2の距離の所定値d2_refとの比較をさらに行い、どのカメラが位置ずれしているかをより正確に把握する。第1のカメラ41および第2のカメラ42が位置ずれしていないと確認された場合、第1の距離d1と第1の距離の所定値d1_ref、および第2の距離d2と第2の距離の所定値d2_refとの比較を行う必要がないため、ずれ判定の効率を向上させることができる。
【0041】
本願の一部の実施例によれば、ずれ検出方法200の電極アセンブリずれ判定ステップは、第1の画像T1において、第3の基準点A3から第1の電極シート1の境界までの垂直距離である第3の距離d3を取得するステップと、第2の画像T2において、第4の基準点A4から第2の電極シート2の境界までの垂直距離である第4の距離d4を取得するステップと、第1の距離d1と第2の距離d2との差が第1の閾値以下であり、かつ第3の距離d3と第4の距離d4との差から、第1の電極シート1境界と第2の電極シート2境界との所定距離を引いて得られた差が第2の閾値より大きい場合、電極アセンブリ100がずれていると判定するステップと、を含む。
【0042】
上述したように、電極アセンブリの巻回過程における重要なパラメータは、巻回後の電極アセンブリ100のZ軸方向における整列度であり、特に第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界との間の垂直距離である。第1のカメラ41および第2のカメラ42が正しい位置にあることが確保される前提において(第1の距離d1と第2の距離d2との差が第1の閾値以下である)、依然として第1の画像T1および第2の画像T2により、第3の距離d3と第4の距離d4との差を用いて第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界との垂直距離を取得することができ、得られた第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界との垂直距離をその所定距離とさらに比較すれば、電極アセンブリ100の巻回時の位置がずれているか否かを正確に判定することができる。
【0043】
なお、
図6に示すように、第1の画像T1において、第3の基準点A3は、第1の基準点A1と重なっていてもよい。第2の画像T2において、第4の基準点A4は、第2の基準点A2と重なっていてもよい。ただし、第3の基準点A3および第4の基準点A4はこれに限定されるものではなく、得られる第3の距離d3と第4の距離d4との関係が確定されているものであればよい。
【0044】
本願の一部の実施例によれば、ずれ検出方法200の電極アセンブリずれ判定ステップは、第1の画像T1において、第3の基準点A3から第1の電極シート1の境界までの垂直距離である第3の距離d3を取得するステップと、第2の画像T2において、第4の基準点A4から第2の電極シート2の境界までの垂直距離である第4の距離d4を取得するステップと、第1の距離d1と第2の距離d2との差が第1の閾値以下であり、かつ第3の距離d3が第3の距離の参考値d3_ref範囲を超える場合、第1の電極シート1がずれていると判定するステップと、第1の距離d1と第2の距離d2との差が第1の閾値以下であり、かつ第4の距離d4が第4の距離の参考値d4_ref範囲を超える場合、第2の電極シート2がずれていると判定するステップと、を含む。このように、第3の距離d3および第4の距離d4を、所定値d3_refおよび所定値d4_refとそれぞれ比較することにより、第1の電極シート1と第2の電極シート2が位置ずれしているかをそれぞれ判定することができ、第3の距離d3と第4の距離d4との関係を判定するよりも正確にどの電極シートが位置ずれしているかを判定することができる。
【0045】
あるいは、先に第3の距離d3と第4の距離d4との関係を判定し、電極アセンブリ100が巻回時に位置ずれしているかを判定してもよい。電極アセンブリ100が巻回時に位置ずれしていると判定されたら、第3の距離d3と第3の距離の所定値d3_ref、および第4の距離d4と第4の距離の所定値d4_refとの比較をさらに行い、どの電極シートが位置ずれしているかをより正確に把握することができる。電極アセンブリ100が巻回時に位置ずれしていないと判定された場合、第3の距離d3および第4の距離d4と、所定値d3_refおよび所定値d4_refとの比較を行う必要がないため、ずれ判定の効率を向上させることができる。
【0046】
本願の一部の実施例によれば、ずれ検出方法200の電極アセンブリずれ判定ステップは、第1の画像T1において、第3の基準点A3から第1の電極シート1の境界までの垂直距離である第3の距離d3を取得し、第2の画像T2において、第4の基準点A4から第2の電極シート2の境界までの垂直距離である第4の距離d4を取得するステップと、第3の距離d3と第4の距離d4との差から前記第1の電極シートの境界と前記第2の電極シートの境界との所定距離を引いた後、さらに第1の距離d1と第2の距離d2との差を引いて得られた差が第3の閾値より大きい場合、電極アセンブリがずれていると判定するステップと、を含む。
【0047】
図7に示すように、第1のカメラ41および/または第2のカメラ42の位置がわずかにずれているものの、d1-d2が第1の閾値より小さい場合、第3の距離d3と第4の距離d4との差によって得られる第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界とのずれ量は二つの部分を含む。すなわち、第1のカメラ41および第2のカメラ42による第1の画像T1、第2の画像T2における座標系のずれd1-d2と、実際の第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界とのずれ量である。したがって、実際の第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界とのずれ量は、第3の距離d3と第4の距離d4との差から第1の距離d1と第2の距離d2との差を引いたものになる。このように、第1のカメラ41と第2のカメラ42の位置ずれによる影響を排除し、電極アセンブリ100の位置ずれをより正確に判定することができる。
【0048】
図7には、第1の基準点A1と第3の基準点A3が重なっており、かつ第2の基準点A2と第4の基準点A4が重なっている場合が示されている。理解すべきなのは、本願はこれに限定されるものではなく、第3の基準点A3および第4の基準点A4によって得られるd3およびd4が明確な対応関係を有し、第1の基準点A1および第2の基準点A2によって得られるd1およびd2が明確な対応関係を有し、かつd1-d2が第1のカメラ41および第2のカメラ42による第1の画像T1および第2の画像T2における座標系のずれであることを満たせば、第1の基準点A1~第4の基準点A4を任意に選択してもよい。
【0049】
本願の一部の実施例によれば、第2のカメラ42は、赤外線光源を用いて1層のセパレータを透過し、その後ろの第2の電極シート2を撮影する。上述したように(
図6を参照)、第2の画像T2において、第2の電極シート2は、第2のセパレータ32の下方に位置する。このように、第2のセパレータ32を透過可能な赤外線カメラの使用により、第2の画像T2において第2の電極シート2を識別することを確保し、第3の距離d3と比較して電極アセンブリ100が巻回時に位置ずれしているか否かを判定するように第4の距離d4をさらに取得することができる。
【0050】
本願の一部の実施例によれば、セパレータ3は、第1のセパレータ31および第2のセパレータ32を含み、第1の画像T1は、第1の電極シート1および第1のセパレータ31を含み、第2の画像T2は、第2の電極シート2および第2のセパレータ32を含み、特定位置6は、第2のセパレータ32が第1のセパレータ31から露出している境界であるか、または第1のセパレータ31が第2のセパレータ32から露出している境界である。
【0051】
図8は、第1のセパレータ31が第2のセパレータ32から露出している例を示す図である。
図8から分かるように、第1の画像T1では、第1のセパレータ31は、第2のセパレータ32の上方にあるため、第1のセパレータ31の境界を識別し、それを特定位置6にすることができる。第2の画像T2では、第1のセパレータ31は、第2のセパレータ32の下方にあるが、第1のセパレータ31が第2のセパレータ32から露出しているため、第2の画像T2において第1のセパレータ31の境界を識別し、それを特定位置6にすることもできる。これにより、第1の画像T1における特定位置6と第2の画像T2における特定位置6とが対応し、ともに第1のセパレータ31の境界である。第2のセパレータ32の境界が第1のセパレータの境界から露出している場合も同じである。このように、第1のセパレータ31および/または第2のセパレータ32が位置ずれしたとしても、第1の画像T1における特定位置6と第2の画像T2における特定位置6とが対応し、かつ電極アセンブリ100の同じ位置に対応することを確保することができる。
【0052】
本願の一部の実施例によれば、第2の画像T2を取得する時間は、第1の画像T1を取得する時間よりも遅く、この時間差は、第1のカメラ41および第2のカメラ42の撮影位置や電極アセンブリ100の巻回速度によって設定される。このように、この時間差を調整することにより、撮影された第1の画像T1および第2の画像T2に、巻回後の同じ位置での第1の電極シート1および第2の電極シート2を表示させることができるため、同じ位置での第1の電極シート1および第2の電極シート2に対して位置ずれ検出を行うことが可能となり、検出結果がより正確になることができる。
【0053】
本願の一部の実施例によれば、電極アセンブリの巻回時の位置ずれを検出するためのずれ検出装置であって、電極アセンブリ100は、第1の電極シート1、第2の電極シート2およびセパレータ3を含み、ずれ検出装置は、電極アセンブリ100の巻回過程における第1の電極シート1の画像を含む第1の画像T1と電極アセンブリ100の巻回過程における第2の電極シート2の画像を含む第2の画像T2とをそれぞれ取得する第1のカメラ41および第2のカメラ42と、第1の画像T1における基準点および第2の画像T2における基準点から特定位置6までの距離に基づき、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれているか否かを判定し、第1のカメラ41および第2のカメラ42がずれていないと判定された場合、第1の画像T1における基準点から第1の電極シート1の境界までの垂直距離および第2の画像T2における基準点から第2の電極シート2の境界までの垂直距離に基づき、電極アセンブリ100がずれているか否かを判定するずれ判定ユニットとを備えるずれ検出装置を提供する。
【0054】
本願の一部の実施例によれば、
図1~
図6を参照すると、本願は、
第1のカメラ41および第2のカメラ42によって、電極アセンブリ100の巻回過程における第1の電極シート1の画像を含む第1の画像T1と、電極アセンブリ100の巻回過程における第2の電極シート2の画像を含む第2の画像T2と、を取得するステップと、
第1の画像T1における第1の基準点A1を第1の画像T1のZ軸方向における画素中央点(例えば、Z軸方向に4096画素を有するラインスキャンカメラの場合、画素中央点は2096番目の画素点である)として設定し、第2の画像T2における第2の基準点A2を第2の画像T2のZ軸方向における画素中央点として設定し、かつ特定位置6をセパレータ3の境界として設定する。これにより、第1の画像T1における第1の基準点A1からセパレータ3の境界までの第1の距離d1と、第2の画像T2における第2の基準点A2から特定位置6までの第2の距離d2と、を取得する。第1の距離d1および第2の距離d2を第1の閾値と比較することにより、前記第1のカメラ41および/または前記第2のカメラ42がずれているか否かを判定する。第1のカメラ41および/または第2のカメラ42がずれている場合、第1の距離d1と第1の距離の所定値d1_ref、第2の距離d2と第2の距離の所定値d2_refをさらに比較することにより、第のカメラ41と第2のカメラ42のどちらのカメラがずれているかを判定するステップと、を含むずれ検出方法200を提供する。
【0055】
前記第1のカメラ41および前記第2のカメラ42がずれていないと判定された場合、電極アセンブリ100がずれているか否かを判定する。第1の画像T1において、第3の基準点A3が第1の基準点A1と重ねるように設定し、かつ第2の画像T2において、第4の基準点A4が第2の基準点A2と重ねるように設定する。これにより、第1の画像T1における第3の基準点A3(第1の基準点A1)から第1の電極シート1の境界までの第3の距離d3と、第2の画像T2における第4の基準点A4(第2の基準点A2)から第2の電極シート2の境界までの第4の距離d4と、を取得する。この場合、d3-d4-(d1-d2)は実際の第1の電極シート1の境界と第2の電極シート2の境界とのずれ量であり、つまり、第1のカメラ41および第2のカメラ42の影響を排除した実際の電極アセンブリ100のずれ量である。これに基づき、電極アセンブリ100がずれているか否かをより正確に判定することができる。
【0056】
最後に、説明すべきなのは、本願は上述した実施例に限定されるものではないことである。上述した実施例は、例示的なものに過ぎず、本願の技術案の範囲内で、技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同一の効果を奏する実施例はすべて本願の保護範囲内に含まれる。また、本願の主旨を逸脱しない範囲で、実施例に対して当業者が考え得る様々な変形を加え、実施例の構成要素の一部を組み合わせてなる他の形態も本願の範囲内に含まれる。