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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020000896
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021111653
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬太
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183164(JP,A)
【文献】特開2009-117733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をヘッドに取り付けられたノズルで吸着して基板に装着する部品実装装置において、
少なくとも1つのノズルを収容するノズルストッカと、
不良と判断された不良ノズルを前記ヘッドから前記ノズルストッカの少なくとも1つのノズル収容位置のうちの第1の位置に移動させるノズル移動手段と、
前記第1の位置に不良ノズルが収容されているとの情報を記憶する記憶手段と、
前記ノズルストッカの前記ノズル収容位置を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記ノズル収容位置にノズルが存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記記憶手段に記憶された情報を更新する更新手段と、を備え
前記ノズルストッカの前記ノズル収容位置のうちの前記第1の位置とは異なる第2の位置に収容されていたノズルが前記不良ノズルと交換で前記ヘッドに取り付けられている場合、
前記更新手段は、前記判定手段によって前記第1の位置にノズルが存在せず、かつ、前記第2の位置にノズルが存在すると判定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を、前記第2の位置に前記不良ノズルと同じ種類のノズルが収容されていると更新する、部品実装装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記判定手段によって前記第1の位置にノズルが存在しないと判定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を、前記第1の位置に前記不良ノズルが収容されていないと更新する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記部品実装装置による生産が開始された後に前記ノズルストッカの前記ノズル収容位置を撮像する、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記記憶手段が前記第1の位置に前記不良ノズルが収容されているとの情報を記憶する場合のみ、前記第1の位置を撮像する、請求項1からのいずれかに記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドに着脱自在に取り付けられるノズルで部品を真空吸着して基板に装着する部品実装装置は、部品実装作業を繰り返し実行する過程でノズルが目詰まり等により正常に部品を吸着できなくなることがある。このように不良となった不良ノズルは、正常な予備ノズルと交換される。このノズル交換を自動で実行する部品実装装置が提案されている。特許文献1に記載の部品実装装置は、ヘッドに着脱される複数のノズルを収容可能なノズルストッカを備えており、ヘッドに装着されているノズルが不良となると、不良ノズルをノズルストッカに返却し、予めノズルストッカに収容しておいた予備ノズルをヘッドに装着する交換作業を自動で実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/151246号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ノズルストッカに返却された不良ノズルは、部品実装装置が生産する実装基板の種類を変更する段取り替えのタイミングなどに作業者がノズルストッカから取り出して、ノズルストッカに新たなノズルを収容したり、不良ノズルの目詰まりを修理して再収容したりするメンテナンスが実行される。しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、不良ノズルのメンテナンス後に生産を開始するためには部品実装装置に記憶されているノズルストッカの情報を作業者がメンテナンス後の状態に書き換える必要があり、作業者の手間を省いて短時間に生産を開始するためには更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、ノズルストッカに収容された不良ノズルをメンテナンスした後に自動的に生産を開始することができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、部品をヘッドに取り付けられたノズルで吸着して基板に装着する部品実装装置において、少なくとも1つのノズルを収容するノズルストッカと、不良と判断された不良ノズルを前記ヘッドから前記ノズルストッカの少なくとも1つのノズル収容位置のうちの第1の位置に移動させるノズル移動手段と、前記第1の位置に不良ノズルが収容されているとの情報を記憶する記憶手段と、前記ノズルストッカの前記ノズル収容位置を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記ノズル収容位置にノズルが存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記記憶手段に記憶された情報を更新する更新手段と、を備え、前記ノズルストッカの前記ノズル収容位置のうちの前記第1の位置とは異なる第2の位置に収容されていたノズルが前記不良ノズルと交換で前記ヘッドに取り付けられている場合、前記更新手段は、前記判定手段によって前記第1の位置にノズルが存在せず、かつ、前記第2の位置にノズルが存在すると判定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を、前記第2の位置に前記不良ノズルと同じ種類のノズルが収容されていると更新する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノズルストッカに収容された不良ノズルをメンテナンスした後に自動的に生産を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態の(a)部品実装装置が備えるノズルストッカの説明図(b)部品実装装置で使用されるノズル収容情報の一例の説明図
図4】本発明の一実施の形態の(a)ノズル交換後のノズルストッカの説明図(b)ノズル交換後のノズル収容情報の一例の説明図
図5】本発明の一実施の形態の(a)メンテナンス後のノズルストッカの説明図(b)メンテナンス後のノズル収容情報の一例の説明図
図6】本発明の一実施の形態の(a)メンテナンス後のノズルストッカの説明図(b)メンテナンス後のノズル収容情報の一例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、ヘッド、ノズル、ノズルストッカの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。
【0010】
まず、図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。基台2の中央には、基板搬送機構3がX方向に設置されている。基板搬送機構3は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明するヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構3は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。
【0011】
基板搬送機構3の両側方(前後)には、それぞれ部品供給部4が設置されている。両側の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構3に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、ヘッドが部品をピックアップする部品取り出し位置に部品を供給する。
【0012】
図1において、基台2の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア機構を備えたビーム7がY方向に移動自在に結合されている。ビーム7には、ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。ヘッド8は、下端部に着脱自在に装着された部品を吸着して保持するノズルNを昇降し、鉛直軸(Z軸)回りに回転可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備える。
【0013】
Y軸テーブル6およびビーム7は、ヘッド8を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構9を構成する。ヘッド移動機構9およびヘッド8は、部品供給部4から部品を取り出して基板Bの実装位置に装着する部品実装作業を実行する部品実装機構を構成する。部品実装作業においてヘッド8は、部品供給部4の上方に移動し、ノズルNで所定の部品をそれぞれピックアップし、基板Bの上方に移動し、ノズルNが保持する部品を所定の方向に回転させ、それぞれの実装位置に装着する一連のターンを繰り返す。このように、部品実装装置1は、部品をヘッド8に取り付けられたノズルNで吸着して基板Bに装着する。
【0014】
図1において、ビーム7には、ビーム7の下面側に位置してヘッド8とともに一体的に移動するヘッドカメラ10が装着されている。ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ10は基板搬送機構3の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)の位置を認識する。また、ヘッドカメラ10は、後述するノズルストッカ13の上方に移動して、ノズルストッカ13に設けられたノズルNを収容する複数のノズル収容位置13a(図3(a)参照)をそれぞれ撮像する。
【0015】
部品供給部4と基板搬送機構3との間には、部品認識カメラ11が設置されている。部品認識カメラ11は、部品供給部4から部品を取り出したヘッド8が部品認識カメラ11の上方に位置した際に、ノズルNに保持された部品を下方から撮像する。ヘッド8による部品の基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ10による基板Bの認識結果と部品認識カメラ11による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0016】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル12が設置されている。タッチパネル12は、各種情報を表示するモニタとしての機能と、モニタに表示される操作ボタンなどの操作・入力部を使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う機能を併せて備えている。部品認識カメラ11の横には、ヘッド8の吸着ユニットに装着される複数のノズルNを収容する複数のノズル収容位置13aが設置されたノズルストッカ13が配置されている。すなわち、ノズルストッカ13は、少なくとも1つのノズルNを収容する。
【0017】
ヘッド8がノズルストッカ13にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、吸着ユニットに装着されていたノズルNをノズルストッカ13の所定のノズル収容位置13aに収容されていたノズルNと交換することができる。ノズル交換動作では、まず、ヘッド移動機構9がヘッド8をノズルストッカ13の上方に移動させて、ヘッド8に取り付けられているノズルNをノズルストッカ13の空いているノズル収容位置13aに収容させる。次いで、吸着ユニットの下端にノズル収容位置13aに収容されている交換対象のノズルNを装着する。ノズル交換動作によるノズル交換作業は、ヘッド8に装着されているノズルNの種類を変更する場合の他、後述するノズルNが不良と判断された場合に実行される。
【0018】
部品実装装置1では、ノズルNが部品を吸着する開口から吸引されるエアの流量を計測する流量計(図示省略)を備えており、エアの流量によりノズルNが目詰まりして不良ノズルとなっていないかが監視されている。また、部品実装装置1では、部品の装着ミスの頻度を監視しており、装着ミスが増加したノズルNは不良ノズルと判断される。また、部品認識カメラ11による撮像結果から曲がっていることが検出されたノズルNは不良ノズルと判断される。このように、部品実装装置1では、ヘッド8に装着されているノズルNが不良ノズルと判断されると、不良ノズルをノズルストッカ13に収容されている不良ノズルと同じ種類の予備のノズルNと交換するノズル交換作業が実行される。
【0019】
次に図2を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置20、基板搬送機構3、テープフィーダ5、ヘッド8、ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11、タッチパネル12を備えている。制御装置20は、実装制御部21、ノズル交換制御部22、判定処理部23、更新処理部24、実装記憶部25を備えている。実装記憶部25は記憶装置であり、実装データ26、ノズルデータ27などが記憶されている。
【0020】
実装データ26には、基板Bの種類(基板種)毎に、基板Bのサイズ、実装される部品の種類と実装位置(XY座標)など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。ノズルデータ27には、ヘッド8に取り付けられているノズルNの情報、ノズルストッカ13に収容されているノズルNの情報(ノズル収容情報)など、部品実装装置1が備えるノズルNに関する情報が記憶されている。実装制御部21は、実装データ26に基づいて部品実装装置1の各部を制御して、テープフィーダ5が供給する部品をヘッド8に取り付けられたノズルNで吸着して保持し、実装作業位置に保持された基板Bに装着する部品実装作業を制御する。
【0021】
ここで、図3を参照して、ノズルデータ27に記憶されるノズル収容情報の例について説明する。図3(b)において、ノズル収容情報は、収容位置31、ノズル種類32、状態33が記憶されている。収容位置31は、ノズルストッカ13Aに設置されているノズル収容位置13aを特定する情報である。図3(a)において、ノズルストッカ13Aには、3行4列の合計12箇所のノズル収容位置13aが設置されている。各ノズル収容位置13aには、収容位置31として、「11」~「14」、「21」~「24」、「31」~「34」の番号が付されている。
【0022】
図3(b)において、ノズル種類32は、ノズル収容位置13aに収容されているノズルNの種類を特定する情報である。この例では、収容位置31が「22」,「23」,「24」のノズル収容位置13aにノズル種類32が「A011」のノズルNが収容され、収容位置31が「31」,「32」,「33」のノズル収容位置13aにノズル種類32が「B034」のノズルNが収容されている。状態33は、ノズル収容位置13aの状態を特定する情報である。この例では、収容位置31が「12」、「13」のノズル収容位置13aは、不良ノズルを返却するために空けてある不良ノズル返却位置34であり、状態33には「B」が記憶されている。
【0023】
図2において、ノズル交換制御部22は、ヘッド8とヘッド移動機構9を制御して、ヘッド8に取り付けられているノズルNをノズルストッカ13に収容されているノズルNと交換するノズル交換作業を実行させる。ノズル交換制御部22は、不良ノズルのノズル交換作業の際は、ノズルデータ27に記憶されたノズル収容情報に基づいて、ノズル交換作業を実行させる。
【0024】
ここで図4を参照して、ノズル交換制御部22による不良ノズルのノズル交換作業の例について工程順に説明する。ここでは、図3(a)に示すノズルストッカ13Aおよび図3(b)に示すノズル収容情報の状態から、ヘッド8に取り付けられている不良ノズルと判断されたノズルN1を収容位置31が「33」のノズル収容位置13aに収容されている予備のノズルN2と交換する例で説明する。
【0025】
図4(a)において、まず、ノズル交換制御部22は、ヘッド8をノズルストッカ13Bの上方に移動させて、ヘッド8に取り付けられているノズルN1を不良ノズル返却位置34のうち空いている収容位置31が「12」に収容させる(不良ノズル返却工程)。次いでノズル交換制御部22は、返却したノズルN1が取り付けられていた吸着ユニットの下端に、収容位置31が「33」のノズル収容位置13aに収容されている予備のノズルN2を取り付けさせる(矢印a)(予備ノズル取り付け工程)。
【0026】
次いでノズル交換制御部22は、ノズル収容情報をノズル交換作業後のノズルストッカ13Bの状態に更新させる。具体的には、図4(b)において、不良ノズル(ノズルN1)を収容した収容位置31が「12」のノズル種類32に、ノズルN1の種類である「B034」を記憶させる(点線の囲みb)。また、収容位置31が「33」の状態33に、ノズルN2がヘッド8に取り付けられたことを示す「H」を記憶させる(点線の囲みc)。
【0027】
このように、ヘッド8、ヘッド移動機構9、およびノズル交換制御部22は、不良と判断された不良ノズル(ノズルN1)をヘッド8からノズルストッカ13Bの少なくとも1つのノズル収容位置13aのうちの第1の位置(収容位置31が「12」)に移動させるノズル移動手段である。また、実装記憶部25は、第1の位置に不良ノズル(ノズルN1)が収容されているとの情報(ノズル収容情報)を記憶する記憶手段である。
【0028】
ノズルストッカ13Bに返却された不良ノズル(ノズルN1)は、部品実装装置1が生産する実装基板の種類を変更する段取り替えのタイミングなどに、作業者によりノズルストッカ13Bから取り出される。その後、作業者は、不良ノズルの目詰まりを修理してノズルストッカ13Bに再収容したり、不良ノズルと同じ種類の新しいノズルをノズルストッカ13Bに収容したりするメンテナンスを実行する(ノズルストッカメンテナンス工程)。
【0029】
図2において、判定処理部23は、段取り替え後などの部品実装装置1による生産が開始された後に、ノズルストッカ13の各ノズル収容位置13aにノズルNが存在するか否かを判定するノズル存在判定処理を実行する。具体的には、判定処理部23は、ヘッドカメラ10とヘッド移動機構9を制御して、ノズルストッカ13に設置されたノズル収容位置13aを順に撮像させる(ノズル収容位置撮像工程)。次いで判定処理部23は、撮像画像を画像処理して、各ノズル収容位置13aにノズルNが存在するか否かを判定する(ノズル有無判定工程)。
【0030】
このように、ヘッドカメラ10とヘッド移動機構9は、ノズルストッカ13のノズル収容位置13aを撮像する撮像手段である。撮像手段は、部品実装装置1による生産が開始された後にノズルストッカ13のノズル収容位置13aを撮像する。また、判定処理部23は、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、ノズル収容位置13aにノズルNが存在するか否かを判定する判定手段である。
【0031】
図2において、更新処理部24(更新手段)は、判定処理部23(判定手段)による判定結果に基づいて、実装記憶部25(記憶手段)に記憶された情報(ノズル収容情報)を更新するノズル収容情報更新処理を実行する(ノズル収容情報更新工程)。ここで図5図6を参照して、ノズル収容情報更新処理の具体例について説明する。
【0032】
図5(a)は、図4(a)に示すノズル交換作業後のノズルストッカ13Bに対して、収容位置31が「12」のノズル収容位置13aに返却されていた不良ノズル(ノズルN1)を取り除くメンテナンスが実行された後のノズルストッカ13Cを示している。ノズル収容情報更新処理では、まず、判定処理部23(判定手段)は、ヘッドカメラ10によりノズルストッカ13Cのノズル収容位置13aを順番に撮像させて(ノズル収容位置撮像工程)、ノズル収容位置13aにノズルNが存在するか否かを判定する(ノズル有無判定工程)。ノズルストッカ13Cでは、収容位置31が「12」のノズル収容位置13a(第1の位置)にはノズルN1(不良ノズル)が存在しないと判定される。
【0033】
図5(b)において、次いで更新処理部24(更新手段)は、判定処理部23による判定結果に基づいて、ノズル収容情報を更新する。具体的には、判定処理部23によって状態33に「B」が記憶されている収容位置31が「12」のノズル収容位置13aにノズルN1が存在しない(不良ノズルが返却済み)と判定されたため、収容位置31が「12」のノズル種類32に記憶されていた「B034」を削除する(点線の囲いd)。これによって、ノズル収容情報における収容位置31が「12」の情報が、図3(b)に示す元のノズル収容情報の状態に更新される(ノズル収容情報更新工程)。
【0034】
このように、更新手段(更新処理部24)は、判定手段(判定処理部23)によって第1の位置(収容位置31が「12」のノズル収容位置13a)にノズルN1が存在しないと判定された場合に、記憶手段(実装記憶部25)に記憶された情報(ノズル収容情報)を、第1の位置に不良ノズル(ノズルN1)が収容されていないと更新する。これによって、ノズルストッカ13Bに収容された不良ノズルをメンテナンスした後に、自動的にノズル収容情報を現在のノズルストッカ13Cの状態に更新させて生産を開始することができる。
【0035】
図6(a)は、図5(a)に示すメンテナンスが実行されたノズルストッカ13Cに対して、さらに収容位置31が「33」のノズル収容位置13aにヘッド8に不良ノズルとの交換で取り付けられた予備のノズルN2の代わりとして新しいノズルN3を収容するメンテナンスが実行された後のノズルストッカ13Dを示している。以下、ノズルストッカ13Cと同じメンテナンスが実行された部分には同じ処理(ノズル収容位置撮像工程、ノズル有無判定工程、ノズル収容情報更新工程)が実行され、重複する説明は省略する。
【0036】
ノズルストッカ13Dに対するノズル収容情報更新処理では、判定処理部23によって収容位置31が「12」のノズル収容位置13a(第1の位置)にはノズルN1(不良ノズル)が存在せず、かつ、収容位置31が「33」のノズル収容位置13a(第2の位置)にノズルN3が存在すると判定される。
【0037】
図6(b)において、更新処理部24は、状態33に「H」が記憶されている収容位置31が「33」のノズル収容位置13aにノズルN3が存在すると判定されたため、不良ノズルと交換でヘッド8に取り付けられた予備のノズルN2と同じノズル種類32のノズルN3が収容されていると判断して収容位置31が「33」の状態33から「H」を削除する(点線の囲みe)。これによって、ノズル収容情報における収容位置31が「33」の情報が図3(b)に示す元のノズル収容情報の状態に更新される。
【0038】
このように、ノズルストッカ13Dのノズル収容位置13aのうちの第1の位置(収容位置31が「12」)とは異なる第2の位置(収容位置31が「33」)に収容されていたノズルN2が不良ノズル(ノズルN1)と交換でヘッド8に取り付けられている場合、更新手段(更新処理部24)は、判定手段(判定処理部23)によって第1の位置にノズルN1が存在せず、かつ、第2の位置にノズルN3が存在すると判定された場合に、記憶手段(実装記憶部25)に記憶された情報(ノズル収容情報)を、第2の位置に不良ノズルと同じ種類(ノズル種類32)のノズルN3が収容されていると更新する。これによって、ノズルストッカ13に収容された不良ノズルをメンテナンスした後に自動的に生産を開始することができる。
【0039】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、ノズルNを収容するノズルストッカ13と、不良と判断された不良ノズルをヘッド8からノズルストッカ13のノズル収容位置13aのうちの第1の位置に移動させるノズル移動手段(ヘッド8、ヘッド移動機構9、ノズル交換制御部22)と、第1の位置に不良ノズルが収容されているとの情報(ノズル収容情報)を記憶する記憶手段(実装記憶部25)と、ノズルストッカ13のノズル収容位置13aを撮像する撮像手段(ヘッドカメラ10、ヘッド移動機構9)と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、ノズル収容位置13aにノズルNが存在するか否かを判定する判定手段(判定処理部23)と、判定手段による判定結果に基づいて、記憶手段に記憶された情報を更新する更新手段(更新処理部24)と、を備える。
【0040】
これによって、ノズルストッカ13に収容された不良ノズルをメンテナンスした後に、ノズルストッカ13の状態を記憶しているノズル収容情報を作業者が変更することなく自動的に現在の状態に更新することができ、自動的に生産を開始することができる。
【0041】
なお、撮像手段による撮像と更新手段による情報の更新は、段取り替えなどの後の生産開始後に毎回実行することなく、生産開始前にノズルストッカ13の第1の位置に不良ノズルが収容されていた場合にのみ実行するようにしてもよい。すなわち、撮像手段は、記憶手段が第1の位置に不良ノズルが収容されているとの情報(ノズル収容情報)を記憶する場合のみ、第1の位置を撮像する。具体的には、生産開始前のノズル収容情報において、状態33に不良ノズル返却位置34であることを示す「B」が記憶されている収容位置31のノズル種類32が空白でない場合にのみ、撮像手段によりそのノズル収容位置13aの撮像が実行される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の部品実装装置は、ノズルストッカに収容された不良ノズルをメンテナンスした後に自動的に生産を開始することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 部品実装装置
8 ヘッド(ノズル移動手段)
9 ヘッド移動機構(ノズル移動手段、撮像手段)
10 ヘッドカメラ(撮像手段)
13、13A~13D ノズルストッカ
13a ノズル収容位置
B 基板
N、N1~N3 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6