(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】注出ヘッドおよび飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20231222BHJP
B67D 1/04 20060101ALN20231222BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
B67D1/04 C
(21)【出願番号】P 2019200204
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】398032289
【氏名又は名称】株式会社テックスイージー
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】倉部 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】工藤 嘉洋
(72)【発明者】
【氏名】細野 洋司
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆秀
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-68381(JP,A)
【文献】特許第4854820(JP,B1)
【文献】特開2011-251056(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
B67D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の口部に締結される締結部を有する注出ヘッドであって、
ガスチューブを介してガスボンベに接続されたガス継手が接続される接続部と、
前記接続部と前記飲料容器とを連通させるガス流路と、
前記ガス流路を通して前記飲料容器に供給されるガスの圧力によって前記飲料容器から押し出される飲料を注出する注出部と、
前記口部に前記締結部が締結されていない状態で前記ガス継手が前記接続部に接続される操作を禁止する操作禁止機構と、
を備えることを特徴とする注出ヘッド。
【請求項2】
前記操作禁止機構は、前記口部に前記締結部が締結される際に前記飲料容器と接触する接触部を有し、前記飲料容器への前記接触部の接触に応じて前記操作の禁止を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の注出ヘッド。
【請求項3】
前記操作禁止機構は、前記ガス継手が前記接続部に接続される操作を邪魔する邪魔部材を有し、
前記邪魔部材は、前記接触部に連動して動作し、前記飲料容器への前記接触部の接触に応じて前記操作の禁止を解除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の注出ヘッド。
【請求項4】
前記操作禁止機構は、前記口部に前記締結部が締結されていない状態で前記邪魔部材が前記操作を邪魔した状態を維持する状態維持部を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の注出ヘッド。
【請求項5】
前記邪魔部材は、前記接続部の全部または一部を覆うことによって前記操作を邪魔するカバーを含む、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の注出ヘッド。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の注出ヘッドと、
前記飲料容器を収容する収容部と、を備えることを特徴とする飲料サーバー。
【請求項7】
前記接続部から前記ガス継手が取り外された状態でなければ前記収容部から前記飲料容器を取り出せないように前記ガス継手の可動範囲を規制する規制部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の飲料サーバー。
【請求項8】
前記規制部は、前記ガスチューブの一部分を固定することによって前記ガス継手の可動範囲を規制する、
ことを特徴とする請求項7に記載の飲料サーバー。
【請求項9】
前記ガス継手は、弁を含み、前記弁は、前記接続部への前記ガス継手の接続によって開状態になり、前記接続部からの前記ガス継手の切断によって閉状態となる、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の飲料サーバー。
【請求項10】
前記収容部は、前記飲料容器の軸方向が鉛直方向に対して傾斜した状態で前記飲料容器を保持する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の飲料サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出ヘッドおよび飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビール容器内に炭酸ガスを供給することによってビールを供給するビールサーバーが記載されている。該ビールサーバーは、クーラーを具備する下部ベース部と、ビール容器の口部に装着される装着体と、装着体から供給されるビールを注出するタップとを備えている。装着部には、炭酸ガスカートリッジから炭酸ガスチューブを介して炭酸ガスが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたビールサーバーでは、装着体がビール容器の口部に装着されているときでも、装着体がビール容器の口部に装着されていないときでも、ガスチューブを装着体に接続することができる。したがって、装着体がビール容器の口部に装着されていない状態でガスチューブが装着体に接続されると、炭酸ガスカートリッジ内の炭酸ガスが大気中に放出されてしまう。これにより、炭酸ガスが無駄に消費されてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、ガスボンベ内のガスが無駄に消費されることを防止するために有利な注出ヘッドおよび飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、飲料容器の口部に締結される締結部を有する注出ヘッドに係り、前記注出ヘッドは、ガスチューブを介してガスボンベに接続されたガス継手が接続される接続部と、前記接続部と前記飲料容器とを連通させるガス流路と、前記ガス流路を通して前記飲料容器に供給されるガスの圧力によって前記飲料容器から押し出される飲料を注出する注出部と、前記口部に前記締結部が締結されていない状態で前記ガス継手が前記接続部に接続される操作を禁止する操作禁止機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2の側面は、飲料サーバーに係り、前記飲料サーバーは、第1の側面に係る注出ヘッドと、飲料容器を収容する収容部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガスボンベ内のガスが無駄に消費されることを防止するために有利な注出ヘッドおよび飲料サーバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の飲料サーバーを示す斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態の飲料サーバーから蓋部が取り外された状態を示す斜視図。
【
図3】本発明の一実施形態の飲料サーバーの本体を示す斜視図。
【
図4】本発明の一実施形態の飲料サーバーを示す透視図。
【
図5】本発明の一実施形態の飲料サーバーの注出ヘッド(飲料容器に装着されていない状態)を示す側面図。
【
図6】本発明の一実施形態の飲料サーバーの注出ヘッド(飲料容器に装着されていない状態)を示す断面図。
【
図7】本発明の一実施形態の飲料サーバーの注出ヘッド(飲料容器に装着された状態)を示す側面図。
【
図8】本発明の一実施形態の飲料サーバーの注出ヘッド(飲料容器に装着された状態)を示す断面図。
【
図9】接続部にガス継手が接続される操作を邪魔部材が邪魔した状態を維持する状態維持部を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1、
図2、
図3および
図4には、本発明の一実施形態の飲料サーバー200の構成が示されている。飲料サーバー200は、飲料容器10内の飲料(例えば、ビール)を炭酸ガス等のガスの圧力を利用して注出口138からジョッキ又はグラス等の容器に注出するように構成される。飲料サーバー200は、本体260と、注出ヘッド100とを備えうる。本体260は、飲料容器10を収容する収容部230と、ガスボンベ20を収容する収容部240とを備えうる。収容部230は、飲料容器10の軸方向が鉛直方向に対して傾斜した状態で飲料容器10を保持しうる。飲料サーバー200あるいは本体260は、蓋部250を備えてもよい。飲料容器10、ガスボンベ20および注出ヘッド100は、蓋部250が開けられた状態で本体260に装着され、その後に蓋部250が閉じられうる。図示されていないが、飲料サーバー200は、飲料容器10内の飲料、及び/又は、飲料容器10から押し出され注出口138に供給される飲料を冷却する冷却部(不図示)を備えうる。該冷却部は、例えば、ペルチェ素子を含みうる。
【0012】
図5、
図6、
図7、
図8および
図9には、注出ヘッド100が示されている。注出ヘッド100は、ガスボンベ20から供給される炭酸ガス等のガスを利用して、飲料容器10内の飲料を注出口138からジョッキ又はグラス等の容器に注出するように構成される。ここで、飲料容器10は、飲料を飲料容器10の外部に押し出すためのダウンチューブを有し、注出ヘッド100は、ガスボンベ20から供給されるガスを飲料容器10内の空寸部(飲料の液面の上の空間)に供給しうる。飲料の液面がそのガスによって押し下げられることによって、飲料は、ダウンチューブを通して飲料容器10から押し出される。注出ヘッド100は、操作レバー等の操作部136を備え、操作部136が操作されることに応じて不図示のバルブを開いて飲料容器10内の飲料を注出口138から注出するように構成されうる。注出ヘッド100は、操作部136が操作されることに応じて泡を発生させる機能を備えてもよい。
【0013】
注出ヘッド100は、飲料容器10の口部12に締結される締結部110を有しうる。注出ヘッド100は、接続部120、ガス流路122、注出部130および操作禁止機構140を含みうる。接続部120には、ガス継手210が接続される。ガス継手210には、ガスチューブ212を介してガスボンベ20に接続される。ガス流路122は、接続部120と飲料容器10とを連通させる。注出部130は、ガス流路122を通して飲料容器10に供給されるガスの圧力によって飲料容器10から押し出される飲料を、注出バルブアセンブリ132を通して注出する。操作禁止機構140は、飲料容器10の口部12に締結部110が締結されていない状態でガス継手210が接続部120に接続される操作を禁止する。
【0014】
操作禁止機構140は、飲料容器10の口部12に締結部110が締結される際に飲料容器10と接触する接触部142を有し、飲料容器10への接触部142の接触に応じて、ガス継手210が接続部120に接続される操作の禁止を解除しうる。操作禁止機構140は、ガス継手210が接続部120に接続される操作を邪魔する邪魔部材144を有しうる。邪魔部材144は、接触部142に連動して動作し、飲料容器10への接触部142の接触に応じて、ガス継手210が接続部120に接続される操作の禁止を解除しうる。邪魔部材144は、接続部120の全部または一部を覆うことによって、ガス継手210が接続部120に接続される操作を邪魔するカバーを含みうる。
【0015】
一例において、接触部142および邪魔部材144は、一体化された回動部材を構成し、軸134の周りでの所定の回動角の範囲内での該回動部材の回動を許すように支持されうる。操作禁止機構140は、飲料容器10の口部12に締結部110が締結されていない状態で、接続部120にガス継手210が接続される操作を邪魔部材144が邪魔した状態を維持する状態維持部150を含みうる。
図9には、状態維持部150の構成が例示されている。状態維持部150は、邪魔部材144に力を加えるための力印加部を含むことができる。該力印加部は、例えば、トーションバネ、板バネ、コイルバネ等のバネを含みうる。該力印加部は、例えば、飲料容器10の口部12に締結部110が締結された状態では復元力を蓄積しうる。また、該力印加部は、飲料容器10の口部12から締結部110が取り外されることに応じて、該復元力によって、接続部120にガス継手210が接続される操作を邪魔部材144が邪魔するように動作しうる。
図9に示された例では、トーションバネが軸134に設けられることによって状態一部(力印加部)が構成されている。
【0016】
図5、
図6には、注出ヘッド100が飲料容器10の口部12に接続されていないために、接続部120にガス継手210を接続する操作を邪魔部材144が邪魔した状態が例示されている。この状態では、ユーザーは、ガス継手210を注出ヘッド100の接続部120に接続する操作を行うことができない。したがって、注出ヘッド100が飲料容器10の口部12に接続されていない状態において接続部120にガス継手210が接続されること、そして、これによってガスボンベ20内のガスが無駄に大気中に放出されることが防止される。
【0017】
図7、
図8には、注出ヘッド100が飲料容器10の口部12に接続されているために、接続部120にガス継手210を接続する操作が可能な状態が例示されている。ガス継手210は、例えば、不図示の弁を含み、該弁は、接続部120へのガス継手210の接続によって開状態になり、接続部120からのガス継手210の切断によって閉状態となるように構成されうる。
【0018】
図4に示されるように、ガスボンベ20にはガスヘッド214が装着されうる。ガスボンベ20内のガスは、ガスヘッド214を介してガスチューブ212に供給されうる。ガスヘッド214は、例えば、レギュレータを含んでもよい。
図2、
図3に例示されるように、飲料サーバー200あるいは本体260は、ガス継手210の可動範囲を規制する規制部220を備えうる。規制部220は、接続部120からガス継手210が取り外された状態でなければ収容部230から飲料容器10を取り出せないようにガス継手210の可動範囲を規制しうる。規制部220を設けることによって、接続部120にガス継手210が接続された状態(ガスボンベ20から注出ヘッド100にガスを供給可能な状態)で飲料容器10から注出ヘッド100(締結部110)が取り外されることを防止することができる。これにより、ガスボンベ20から注出ヘッド100を介して大気中に無駄にガスが放出されることを防止することができる。規制部220は、
図2、
図3に例示されるように、ガスチューブ212の一部分を固定することによってガス継手210の可動範囲を規制しうる。
【0019】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0020】
10:飲料容器、12:口部、20:ガスボンベ、100:注出ヘッド、110:締結部120:接続部、122:ガス流路、130:注出部、132:注出バルブアセンブリ、136:操作部、140:操作禁止機構、142:接触部、144:邪魔部材、150:状態維持部、200:飲料サーバー、210:ガス継手、212:ガスチューブ、214:ガスヘッド、220:規制部、230:収容部、240:収容部、250:蓋部、260:本体