(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20231222BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231222BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20231222BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H05K7/14 C
H02M7/48 Z
H05K5/00 A
H05K7/20 D
(21)【出願番号】P 2019112360
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児島 慎二
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-314261(JP,A)
【文献】実開平06-013196(JP,U)
【文献】国際公開第2013/031147(WO,A1)
【文献】特開2012-210000(JP,A)
【文献】特開平11-145650(JP,A)
【文献】実開平01-118488(JP,U)
【文献】米国特許第04339628(US,A)
【文献】米国特許第04908738(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H02M 7/48
H05K 5/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路が有する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体であって、
底面と前記底面から突出する側板とで囲まれる収容スペースに前記複数の回路部品を収容する箱状の本体と、
前記複数の回路部品のうちの第1回路部品を保持して前記本体に取り付けられる固定部材と
、を備え、
前記固定部材に保持される前記第1回路部品と前記本体の前記底面との間には、前記複数の回路部品のうち1以上の第2回路部品が配置されており、
前記固定部材は、前記本体の前記側板と前記第2回路部品との間に配置されて、前記本体が設置場所に設置される設置状態で、前記第2回路部品の上側を覆う覆い部を有
し、
前記設置状態で、前記固定部材に保持される前記第1回路部品の上側を覆うカバー部材を更に備え、
前記固定部材の一部と前記カバー部材の一部とが上下方向において重なっている、
筐体。
【請求項2】
電気回路が有する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体であって、
底面と前記底面から突出する側板とで囲まれる収容スペースに前記複数の回路部品を収容する箱状の本体と、
前記複数の回路部品のうちの第1回路部品を保持して前記本体に取り付けられる固定部材と、を備え、
前記固定部材に保持される前記第1回路部品と前記本体の前記底面との間には、前記複数の回路部品のうち1以上の第2回路部品が配置されており、
前記固定部材は、前記本体の前記側板と前記第2回路部品との間に配置されて、前記本体が設置場所に設置される設置状態で、前記第2回路部品の上側を覆う覆い部を有し、
前記複数の回路部品が発熱部品を含み、
前記本体の前記底面には、前記本体の外側に配置される放熱部品に前記発熱部品を接触させるための開口が設けられ、
前記設置状態で、前記本体において前記開口の上側の周縁部分から内側に向かって突出する突出部が設けられている、
筐体。
【請求項3】
前記固定部材が、他の部品と共に前記本体に共締めされている、
請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項4】
前記固定部材が、前記本体に直接固定されている、
請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項5】
前記第2回路部品は、前記電気回路の一部が形成された回路基板を含み、
前記覆い部の幅が、前記回路基板の幅よりも広い、
請求項1~4のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
前記覆い部の外縁部分から下向きに突出するガイド部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項7】
前記突出部は前記本体と一体的に設けられている、
請求項2に記載の筐体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の筐体と、
前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品と、を備える、
電気機器。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の筐体と、
前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品と、を備え、
前記複数の回路部品が、電力変換を行う電力変換回路の部品を含む、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置に関する。より詳細には、本開示は、回路部品を収容する筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、直流電力を交流電力に電力変換する電装部品(回路部品)を、前面が開口した箱状の筐体の内部に収納した電力変換装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電力変換装置が湿気の多い場所(例えば住宅における浴室の脱衣所等)に設置される場合、温度差によって筐体の内部に結露水が発生する可能性があり、筐体の内部に収納される電装部品(回路部品)に水がかからないように保護する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、回路部品に水がかかりにくい筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の筐体は、電気回路が有する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体である。前記筐体は、底面と前記底面から突出する側板とで囲まれる収容スペースに前記複数の回路部品を収容する箱状の本体と、前記複数の回路部品のうちの第1回路部品を保持して前記本体に取り付けられる固定部材とを備える。前記固定部材に保持される前記第1回路部品と前記本体の前記底面との間には、前記複数の回路部品のうち1以上の第2回路部品が配置されている。前記固定部材は、前記本体の前記側板と前記第2回路部品との間に配置されて、前記本体が設置場所に設置される設置状態で、前記第2回路部品の上側を覆う覆い部を有している。前記筐体は、前記設置状態で、前記固定部材に保持される前記第1回路部品の上側を覆うカバー部材を更に備える。前記固定部材の一部と前記カバー部材の一部とが上下方向において重なっている。
本開示の一態様の筐体は、電気回路が有する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体である。前記筐体は、底面と前記底面から突出する側板とで囲まれる収容スペースに前記複数の回路部品を収容する箱状の本体と、前記複数の回路部品のうちの第1回路部品を保持して前記本体に取り付けられる固定部材とを備える。前記固定部材に保持される前記第1回路部品と前記本体の前記底面との間には、前記複数の回路部品のうち1以上の第2回路部品が配置されている。前記固定部材は、前記本体の前記側板と前記第2回路部品との間に配置されて、前記本体が設置場所に設置される設置状態で、前記第2回路部品の上側を覆う覆い部を有している。前記複数の回路部品が発熱部品を含む。前記本体の前記底面には、前記本体の外側に配置される放熱部品に前記発熱部品を接触させるための開口が設けられ、前記設置状態で、前記本体において前記開口の上側の周縁部分から内側に向かって突出する突出部が設けられている。
【0007】
本開示の一態様の電気機器は、前記筐体と、前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備える。
【0008】
本開示の一態様の電力変換装置は、前記筐体と、前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備える。前記回路部品が、電力変換を行う電力変換回路の部品を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回路部品に水がかかりにくい筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る筐体を備える電力変換装置を前側から見た分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換装置を後側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電力変換装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電力変換装置の一部破断した斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の電力変換装置を右側から見た断面図である。
【
図6】
図6は、同上の電力変換装置が備える支持台の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の電力変換装置を一部破断した斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の電力変換装置が備える筐体の要部を拡大した斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の電力変換装置を用いる電力変換システムのシステム構成図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態の変形例1に係る電力変換装置が備える本体の分解斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例1の電力変換装置が備える本体の斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態の変形例2に係る電力変換装置の一部破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
本実施形態の筐体1は、
図1~
図3に示すように、電気回路が有する複数の回路部品110を内部に収容する電気機器用の筐体1である。
【0013】
筐体1は、複数の回路部品110を内部に収容する箱状の本体2と、複数の回路部品110のうちの第1回路部品(例えば回路基板113A)を保持して本体2に取り付けられる固定部材121(
図1、
図4~
図6参照)とを備える。
【0014】
固定部材121に保持される第1回路部品と本体2の底面(後板22の前面)との間には、複数の回路部品110のうち1以上の第2回路部品(例えば回路基板113B,113C及びスイッチング素子114等)が配置されている(
図4及び
図5参照)。
【0015】
固定部材121は、本体2が設置場所に設置される設置状態で、第2回路部品の上側を覆う覆い部(第1側板部1211)を有している。
【0016】
ここにおいて、本体2の設置場所は、例えば住宅等の施設の屋内又は屋外の壁300(
図1及び
図3参照)等である。本体2は、例えば、壁300に固定された取付部材8を介して、壁300に取り付けられる。
【0017】
本実施形態の筐体1では、固定部材121に保持される第1回路部品と、本体2の底面(後板22の前面)との間に第2回路部品が配置されており、設置状態においては、固定部材121の覆い部(第1側板部1211)が第2回路部品の上側を覆っている。したがって、本体2の内面に結露等によって水800(
図5参照)が発生した場合に、本体2の内面から落下してきた水を覆い部が受けることで、第2回路部品に水がかかりにくくなるので、回路部品110に水がかかりにくい筐体1を提供することができる。また、第1回路部品を本体2に取り付けるための固定部材121に、第2回路部品の上側を覆う覆い部を設けているので、固定部材121とは別の部品として覆い部を設ける場合に比べて、部品数を減らすことができる。
【0018】
(2)詳細
(2.1)構成
以下、本実施形態に係る筐体1、及び、それを備える電気機器について
図1~
図9を参照して詳しく説明する。以下の説明では、
図1~
図3におけるX軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向(奥行き方向)、Z軸方向を上下方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Y軸方向の正の向きを前側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、筐体1を備える電気機器の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0019】
筐体1は電気機器に備えられる。換言すれば、電気機器は、筐体1と、筐体1の内部に収容される複数の回路部品110とを備える。本実施形態では、筐体1を備える電気機器が、例えば、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置100である場合を例に説明するが、電気機器は電力変換装置100に限定されない。電力変換装置100は、筐体1と、筐体1の内部に収容される複数の回路部品110とを備えており、複数の回路部品110は、電力変換を行う電力変換回路101(
図9参照)の部品を含んでいる。
【0020】
ここで、電力変換装置100を備えた電力変換システム200について
図9を参照して説明する。
【0021】
電力変換システム200は、1以上(図示例では例えば2つ)の太陽光発電モジュール201と、電力変換装置100と、リモートコントローラ202と、分電盤203と、を備えている。電力変換装置100は、住宅等の施設の壁300に取り付けられるように構成されている。電力変換装置100は、例えばDC-DCコンバータ及びDC-ACコンバータ等の電気回路を含み、太陽光発電モジュール201から出力される直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置100は、電力変換した交流電力を分電盤203に出力し、分電盤203を介して負荷機器205に供給する。負荷機器205は、例えば施設において使用される照明器具、空調機器、テレビジョン等である。電力変換装置100が出力する交流電力のうち負荷機器205で使用されない余剰の交流電力は商用交流電源204に逆潮流させることもできる。電力変換装置100はリモートコントローラ202と電気的に接続されており、リモートコントローラ202を用いて電力変換装置100の駆動条件の設定、及び、太陽光発電モジュール201の発電量の確認等を行うことができるように構成されている。
【0022】
電力変換装置100は、太陽光発電モジュール201から出力される直流電力で蓄電池ユニット206を充電してもよく、蓄電池ユニット206から放電させた直流電力を交流電力に電力変換して分電盤203に出力してもよい。なお、電力変換装置100は、太陽光発電モジュール201と組み合わせられるものに限定されず、燃料電池システム、風力発電システム等の発電システムによって発電される直流電力を交流電力に電力変換するものでもよい。
【0023】
以下では、電力変換装置100の構成について、より具体的に説明する。
【0024】
電力変換装置100は、
図1、
図4及び
図5に示すように、電気回路(上述の電力変換回路101等)を構成する複数の回路部品110を筐体1の内部に収容する。電力変換回路101は、例えばDC-DCコンバータ回路、及び、DC-ACコンバータ等の回路を含む。
【0025】
筐体1は、本体2と、カバー3とを備える。
【0026】
本体2は、アルミニウム又はその合金等の板金に絞り加工を施すことによって、前面に開口21を有する箱状に形成されている。本体2は、矩形板状の後板22と、後板22の全周から前方に突出する側板23と、側板23の前端から外側に向かって突出する外鍔部24とを備えている。本体2において、後板22と側板23とで囲まれる収容スペース20に複数の回路部品110が収容される。
【0027】
カバー3は、例えばアルミニウム又はその合金等の板金に絞り加工を施すことによって形成されている。カバー3は、本体2の開口21を塞ぐように、本体2の外鍔部24に被せた状態で例えばねじ等を用いて本体2に取り付けられる。なお、外鍔部24には環状のパッキン31(
図1及び
図5参照)が配置されており、カバー3はパッキン31を介して本体2に固定されているので、本体2とカバー3との間の隙間から水等が浸入する可能性を低減することができる。
【0028】
また、本体2の後部の右下には、後板22と下側の側板23とにかけて貫通孔25(
図1及び
図2参照)が設けられている。本体2の後板22及び側板23には、貫通孔25が設けられた部位の周囲に、下方及び後方に突出する突出部4が設けられている。突出部4の下部には開口が設けられており、突出部4の下部の開口を塞ぐ蓋部材5が突出部4に取り付けられている。また、突出部4の後面には電線挿入口43が設けられており、本体2の後方から突出部4の電線挿入口43に挿入された電線は貫通孔25を通して収容スペース20に挿入される。ここで、収容スペース20には、回路部品110として、複数の端子台111が貫通孔25の上側に収容されており、複数(例えば4つ)の開閉器112が収容スペース20の左下に左右方向に並べて収容されている。本体2の外部から電線挿入口43と貫通孔25とを通して収容スペース20に挿入された電線は、例えば端子台111等に接続されている。
【0029】
本体2の後板22には、
図2に示すように、左右両側に中空のヒートシンク兼用ケース6がそれぞれ取り付けられており、左右方向の中央にヒートシンク7が取り付けられている。
【0030】
ヒートシンク兼用ケース6は、例えばアルミニウム又はその合金等で形成されており、前面が開口した箱状に形成されている。本体2の後板22には、ヒートシンク兼用ケース6が取り付けられる部位に、ヒートシンク兼用ケース6の前面よりも小さい貫通部が設けられている。この貫通部によって本体2の収容スペース20とヒートシンク兼用ケース6の内部とは繋がっており、ヒートシンク兼用ケース6の内部にも複数の回路部品110の一部(例えばトランス及びACリアクトル等の大型部品)が収容されている。
【0031】
また、本体2の後板22には、ヒートシンク7が取り付けられる部位に開口222(
図5及び
図8参照)が設けられており、複数の回路部品110に含まれる発熱部品が開口222を通してヒートシンク7に接触し、ヒートシンク7に熱的に結合されている。発熱部品とは、通電中に当該部品が発生する熱が、当該部品で放熱可能な熱に比べて大きい部品であって、当該部品を使用中に当該部品の温度が定格温度を超えないようにするためにヒートシンク等の放熱対策を必要とする部品である。複数の回路部品110に含まれる発熱部品としては、DC-DCコンバータ又はDC-ACコンバータに用いられるIPM(Intelligent Power Module)のようなスイッチング素子114(
図5参照)、トランス、又はリアクトル等の部品がある。ヒートシンク7の後面の上部には、左右方向に沿って延びる帯板状の金属製の保持板14が、ヒートシンク7の後面との間に隙間を設けた状態で取り付けられている。
【0032】
上述のように、本体2の後板22(底面)には、本体2の外側に配置される放熱部品(ヒートシンク7)に発熱部品(スイッチング素子114)を接触させるための開口222が設けられている。そして、本体2の後板22には、本体2が設置場所に設置される設置状態で、本体2において開口222の上側の周縁部分から内側(収容スペース20側であって、前側)に向かって突出する庇状の突出部223が設けられている。したがって、本体2の後板22に沿って水が流れ落ちてきた場合でも、庇状の突出部223で水を受けることによって、スイッチング素子114に水がかかりにくくできる。なお、図示例では、突出部223は平板状であるが、突出部223の形状は平板状に限定されず、左右方向の中央部に比べて左右方向の両端部が下側になるように傾斜していてもよく、突出部223の形状等は適宜変更が可能である。この突出部223は、例えば、本体2を引き絞り加工で形成することによって、本体2と一体的に設けられているが、突出部223は、本体2と別体に形成され、ねじ止め又は溶接等の方法で本体2に取り付けられていてもよい。
【0033】
ここで、本体2に収容される複数の回路部品110は、電力変換回路101を構成する回路の一部がそれぞれ形成された複数の回路基板113を含んでいる。本実施形態では、本体2の内部に例えば5枚の回路基板113が収容されており、5枚の回路基板113の各々を区別して説明する場合、回路基板113A~113Eと記載する。ここで、回路基板113A,113Cには例えば弱電系の回路が形成されており、回路基板113B,113C,113Eには例えば強電系の回路が形成されている。
【0034】
回路基板113Bは、例えば、本体2に圧入固定されたスペーサ134(
図4及び
図5参照)にねじ止めされている。回路基板113Cは、回路基板113Bにスペーサ135(
図4及び
図5参照)を介して取り付けられている。回路基板113A,113D,113Eは、外付け部品(ヒートシンク又はヒートシンク兼用ケース6等)と共に本体2に共締めされる固定部材を用いて本体2に取り付けられている。本実施形態では、複数の回路部品110のうち、固定部材を用いて本体2に取り付けられる回路基板113A,113D,113E等が第1回路部品となる。また、固定部材に保持される回路基板113Aと、本体2の底面(後板22の表面)との間には、回路基板113B,113C及びスイッチング素子114等の第2回路部品が配置されている。回路基板113Aは左右方向において本体2の中央に配置され、回路基板113Dは回路基板113Aの左側に配置され、回路基板113Eは回路基板113Aの右側に配置されている。以下では、
図4~
図6を参照して、回路基板113Aを本体2に取り付けるための固定部材121について説明し、回路基板113D及び113Eを本体2に取り付けるための固定部材については説明を省略する。
【0035】
ところで、本実施形態では、固定部材121は、第1回路部品である回路基板113Aが取り付けられる保持部材122を介して、回路基板113Aを本体2に間接的に取り付けている。換言すれば、回路基板113Aは、固定部材121と保持部材122とで構成される支持台120を介して本体2に取り付けられている。支持台120は、ヒートシンク7と共に本体2に共締めされる固定部材121と、この固定部材121に取り付けられる保持部材122とで構成されており、保持部材122に回路基板113A(第1回路部品)が取り付けられている。
【0036】
固定部材121は、帯板状の板金の両端を同じ方向に折り曲げることによって、側面視の形状がC字状に形成されている。すなわち、固定部材121は、前後方向の寸法に比べて左右方向の寸法が大きい矩形板状であって、前後方向に沿って配置される第1側板部1211を備える。また、固定部材121は、第1側板部1211の後端部から下向きに突出する第1固定片1212と、第1側板部1211の上端部から下向きに突出する連結片1213とを更に備えている。
図6に示すように、第1固定片1212の左右には、それぞれ、本体2に設けられた位置決め用の突起221(
図5参照)が挿入される孔1214と、固定部材121を本体2に固定するための固定ねじが挿入される挿入孔1215とが1つずつ設けられている。連結片1213には、ねじ溝がそれぞれ形成された複数のねじ孔1216が設けられている。第1固定片1212は本体2の上側に配置され、本体2の内側から挿入孔1215と本体2の孔とに通した取付ねじ130をヒートシンク7にねじ込むことによって、固定部材121とヒートシンク7とが本体2に共締めされる。換言すれば、固定部材121は他の部品と共に本体2に共締めされている。
【0037】
保持部材122は、帯板状の板金を折り曲げることによって側面視の形状がZ字状に形成されており、第2側板部1221と、第2固定片1222と、載置部1223とを一体に備えている。第2側板部1221は、前後方向の寸法に比べて左右方向の寸法が大きい矩形板状に形成されており、前後方向に沿って、第1側板部1211と平行するように配置されている。第2側板部1221には、前後方向に細長い長孔状の複数の通気孔1224が左右方向に並ぶように形成されている。第2固定片1222は、第2側板部1221の後端部から下向きに突出し、本体2の下側部に当接する。第2固定片1222の左右には、本体2に設けられた位置決め用の突起が挿入される孔1227が設けられている。第2側板部1221には、第2側板部1221の一部を切り起こすことによって取付片1225が設けられており、この取付片1225には、取付ねじを挿入するための挿入孔が設けられている。載置部1223は矩形板状であって、第2側板部1221の前端部から上向きに突出する。載置部1223の前側には回路基板113Aが取り付けられる。載置部1223にはスペーサ133が圧入固定されており、回路基板113Aの挿入孔に通した取付ねじをスペーサ133のねじ穴にねじ込むことによって、回路基板113Aが取付ねじを用いて載置部1223に取り付けられている。載置部1223の上端部は、固定部材121の連結片1213の前側に重ねて配置される。載置部1223の上端部には、連結片1213に設けられた複数のねじ孔1216と連続する位置に複数の挿入孔1226が設けられている。
【0038】
ここで、支持台120を本体2に固定するに当たっては、まず、固定部材121とヒートシンク7とを本体2に対して共締めする。本体2の後板22に設けられた突起221を孔1214に挿入することによって、固定部材121を本体2に対して位置決めする。そして、本体2の内側(収容スペース20側)から挿入孔1215と本体2の孔とに通した取付ねじ130を、ヒートシンク7に設けられたねじ穴にねじ込むことによって、固定部材121とヒートシンク7とを本体2に共締めする。
【0039】
次に、載置部1223の上端部を連結片1213の前側に載せるとともに、本体2の後板22に設けられた突起を孔1227に挿入することによって、保持部材122を本体2に対して位置決めする。そして、保持部材122を本体2に位置決めした状態で、載置部1223の挿入孔1226に通した取付ねじを、連結片1213のねじ孔1216にねじ込むことによって、固定部材121と保持部材122とを結合する。また、保持部材122の取付片1225の挿入孔に取付ねじ132を通し、この取付ねじ132を、本体2の後板22に圧入固定されたスペーサ131のねじ穴にねじ込むことによって、取付片1225を本体2に固定する。これにより、固定部材121と保持部材122とが本体2に対して固定され、載置部1223の上下両端部から第1側板部1211と第2側板部1221とが後方に突出するような形状の支持台120が構成される。そして、回路基板113は、載置部1223に圧入固定されたスペーサ133に取付ねじを用いて固定されており、回路基板113は支持台120を介して本体2に取り付けられている。
【0040】
上述のように、本実施形態では、固定部材121は、取付ねじ130のような結合部品を用いて本体2に取り付けられている。ここで、結合部品は2つの部材を結合するための部品である。結合部品は取付ねじ130に限定されず、スナップフィットで2つの部材を結合するような部品であってもよいし、かしめることで一部を塑性変形させることによって2つの部材を結合するリベット等の部品でもよい。また、本実施形態では、取付ねじ130のような結合部品が、本体2の内側から固定部材121と本体2とを挟んで外付け部品(ヒートシンク7)に結合されることによって、固定部材121と外付け部品(ヒートシンク7)とが本体2に共締めされている。したがって、本体2に回路部品110を収容する方向と同じ方向から、結合部品を用いて固定部材121と外付け部品とを本体2に共締めする作業を行うことができ、作業性が向上するという利点もある。
【0041】
また、本実施形態では、固定部材121は溶接以外の方法で本体2に固定されているので、固定部材121を本体2に溶接で固定する場合に比べて、取付作業が容易であり、溶接の熱で本体2の表面が変色したり表面が荒れたりするのを抑制できる。また、固定部材121を溶接以外の方法で本体2に固定しているので、耐食性に優れているが溶接性が良好ではない高耐食鋼板を用いて本体2を作成することができ、本体2を含む筐体1の耐食性を向上させることができる。また、本体2及びカバー3を高耐食鋼板で作成しているので、1回塗りの製品でも、海岸線から500m以内の重塩害地域において屋外に設置して使用することができる。したがって、標準品と、重塩害地域での使用に対応した重塩害対応品とを1つの品番で実現できるから、筐体1の品種を削減することができる。
【0042】
ここで、支持台120は、本体2の底部(後板22)との間に収容空間700を設けた状態で本体2に取り付けられており、この収容空間700に2つの回路基板113B,113Cとスイッチング素子114とが配置されている。すなわち、本実施形態では、固定部材121に取り付けられる回路基板113Aと、本体2の後板22との間の収容空間700に、第2回路部品として、2つの回路基板113B,113Cとスイッチング素子114とが配置されている。回路基板113Bは、例えば本体2の後板22に圧入固定されたスペーサ134に取付ねじを用いて固定されている。回路基板113Cは、例えば回路基板113Bにスペーサ135を介して取り付けされている。したがって、固定部材121を含む支持台120に取り付けられる回路基板113Aと本体2の後板22との間には、2枚の回路基板113B,113Cが厚み方向に間隔を開けて配置されている。換言すれば、固定部材121に取り付けられる回路基板113Aと厚み方向に重なる位置に1以上の回路基板(本実施形態では2枚の回路基板113B,113C)が配置されている。また、回路基板113Bの後側にはスイッチング素子114が配置されている。スイッチング素子114の後面は、本体2の後板22に設けられた貫通孔を通してヒートシンク7の前面に接触しており、スイッチング素子114がヒートシンク7に熱的に結合されている。このように、収容空間700には回路基板113B,113C及びスイッチング素子114が配置されており、スペースを有効に利用して回路部品110を収容することができるので、本体2の小型化を図ることができる。
【0043】
ここで、固定部材121の第1側板部1211は、
図5に示すように、設置状態において、収容空間700に配置される第2回路部品(回路基板113B,113Cとスイッチング素子114)の上側を覆っている。第2回路部品は、電気回路の一部が形成された回路基板11Bを含んでおり、
図6に示すように、覆い部である第1側板部1211の幅W1が、回路基板11Bの幅W2よりも広くなっている。第1側板部1211は矩形板状であり、第1側板部1211の幅W1が、回路基板11Bの幅W2よりも広くなっているので、収容空間700に配置される第2回路部品の全体を第1側板部1211が覆うことができ、第2回路部品に水がかかりにくくなる。
【0044】
例えば、住宅における浴室の脱衣所等のように湿度が高い場所に筐体1が設置される場合に、温度差によって筐体1の内面に結露によって水800(
図5参照)が発生する可能性がある。ここで、本体2の上側の側板23に結露等で発生した水800が落下したとしても、回路基板113B,113C及びスイッチング素子114の上側は、覆い部である第1側板部1211で覆われているので、第2回路部品に水800がかかりにくくなる。
【0045】
ここで、覆い部である第1側板部1211の外周縁(図示例では前側縁)からは下向きに載置部1223が突出しており、第1側板部1211に水が落下すると、第1側板部1211に落下した水は、ガイド部となる載置部1223に沿って下方へと落下する。すなわち、筐体1は、覆い部(第1側板部1211)の外周縁から下向きに突出するガイド部(載置部1223)を備えている。このように、第1側板部1211に落下した水は、ガイド部である載置部1223を伝って下方に落下しやすくなるので、第1側板部1211に落下した水が第1側板部1211の下面に流れて第2回路部品に落下しにくくなり、第2回路部品に水がかかりにくくできる。
【0046】
また、本体2の後板22には、スイッチング素子114を通すための開口222が設けられ、開口222の上側の周縁部からは前方に突出する突出部223が設けられている。したがって、後板22の表面に結露等で発生した水が、後板22の表面を伝ってスイッチング素子114の方に落下してきた場合でも、開口222の上側の周縁部に設けられた突出部223で水を受けることによって、スイッチング素子114に水がかかりにくくできる。
【0047】
また、筐体1には、設置状態で、固定部材121に保持される第1回路部品(例えば回路基板113A)の上側を覆うカバー部材27が備えられている。カバー部材27は、
図1及び
図7に示すように、前板部271と、上板部272と、横板部273とを一体に備えている。前板部271は、上下方向の寸法に比べて左右方向の寸法が大きい矩形板状に形成されており、本体2に収容される複数の回路部品110の前側に配置され、複数の回路部品110の前側を覆っている。上板部272は、矩形板状に形成されており、前板部271の上側縁から後方に向かって突出している。上板部272の前後方向の寸法は、本体2の前後方向の寸法よりもやや短い寸法に設定されており、上板部272の先端は後板22の表面の近くまで突出している。したがって、筐体1の内部では、カバー部材27(上板部272)の一部と、覆い部である第1側板部1211の一部とが上下方向において重なっている。本実施形態では、カバー部材27の上板部272が、固定部材121の第1側板部1211の上側に配置されており、固定部材121に保持された回路基板113Aの上側は、カバー部材27によって覆われている。したがって、本体2の上部の側板23に結露等で発生した水800がカバー部材27の上板部272に落下した場合、上板部272に落下した水は、上板部272の前端部から下方に突出する前板部271に導かれて下方へと落下する。したがって、カバー部材27の上板部272に落下した水800が、第1回路部品である回路基板113Aにかかりにくくなる。また、カバー部材27の上板部272で受けられなかった水は、上板部272の下側にある第1側板部1211で受けることができるので、第2回路部品に水がかかりにくくできる。
【0048】
なお、本実施形態ではカバー部材27は例えば樹脂製であるが、カバー部材27は樹脂製に限定されない。カバー部材27は金属製でもよく、例えば板金に曲げ加工を施すことによって形成されてもよい。
【0049】
本実施形態の筐体1は取付部材8を用いて壁300に取り付けられる。取付部材8は、壁300にねじ等で固定される背板81と、背板81の左側縁及び右側縁からそれぞれ前方に突出する横ガード82と、背板81の下側縁から前方に突出する下ガード83とを備える。
【0050】
背板81には、壁300に固定するためのねじを通す複数の孔84が設けられている。背板81は、複数の孔84にそれぞれ通されたねじを用いて壁300に固定される。背板81の上側縁には、ヒートシンク7の後面と保持板14との間の隙間に挿入される挿入片88が設けられている。また、背板81には、筐体1が取付部材8に取り付けられた状態で、突出部4に設けられた電線挿入口43に繋がる貫通孔86が設けられている。
【0051】
壁300に固定された取付部材8の上側から筐体1を取付部材8に取り付け、ヒートシンク7の後面と保持板14との間の隙間に取付部材8の挿入片88を挿入させると、取付部材8に筐体1が保持される。筐体1が取付部材8に保持された状態では、ヒートシンク兼用ケース6の側面が横ガード82によって覆われ、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の下面が下ガード83によって覆われる。したがって、取付部材8に設けられた横ガード82及び下ガード83によって、高温になるヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7にユーザが触れる可能性を低減できる。横ガード82及び下ガード83は、本体2を壁300に取り付けるための取付部材8に一体に設けられているので、部品の数を削減できる。また筐体1の施工時又は分解時に作業が必要になる部品の数が少なくなるので、作業性が向上するという利点もある。
【0052】
また、取付部材8には、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面を覆う上ガード9が固定される。上ガード9の左右両側には、取付ねじを通すための挿通孔92が設けられている。取付部材8の左右の横ガード82には、上ガード9の挿通孔92に対応する部位にねじ孔89が設けられている。上ガード9は、挿通孔92に通した固定ねじを横ガード82のねじ孔89にねじ込むことによって、取付部材8に固定される。上ガード9が取付部材8に固定された状態では、上ガード9でヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面が覆われるので、高温になるヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面にユーザが触れる可能性を低減できる。この上ガード9は、金属部品の表面を樹脂材料で覆うことによって形成されている。上ガード9の表面は樹脂材料で覆われているので、上ガード9の表面が樹脂材料で覆われていない場合に比べて、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7等の許容外郭温度を高めに設定できる。
【0053】
上述のように、本実施形態では、本体2に収容される複数の回路部品110が発熱部品(例えばスイッチング素子114等)を含んでいる。そして、固定部材121と共に本体2に共締めされる外付け部品は、発熱部品(例えばスイッチング素子114)と熱的に結合される放熱部品(例えばヒートシンク7)を含んでいる。本実施形態では、放熱部品と固定部材121とを本体2に対して共締めしているので、放熱部品と固定部材121とを別々に本体2に固定する場合に比べて、放熱部品及び固定部材121を本体2に固定するための部品の数を減らすことができる。
【0054】
(2.2)取付方法
本実施形態の筐体1を有する電気機器を、設置場所である壁300に取り付ける取付方法について説明する。本体2には、電気回路を構成する複数の回路部品110が収納され、複数の回路部品110の前側及び上側を覆うカバー部材27が配置されており、本体2の後面にはヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7が予め取り付けられているものとする。
【0055】
まず、電気機器を設置する設置場所である壁300に、取付部材8をねじ等で固定する。壁300には、電線を通すための貫通孔301(
図1参照)が設けられており、取付部材8は、取付部材8に設けられた貫通孔86が壁300の貫通孔301と連続するように、壁300に固定される。
【0056】
壁300に取付部材8が固定されると、本体2を取付部材8の上方から下方に降ろし、取付部材8の挿入片88を保持板14とヒートシンク7の後面との間に隙間に挿入することによって、本体2が取付部材8に引っ掛けられる。そして、取付部材8の上側に上ガード9を被せ、上ガード9の挿通孔92に通した取付ねじを横ガード82のねじ孔89にねじ込むことによって上ガード9が取付部材8に固定され、筐体1が取付部材8と上ガード9との間に保持される。
【0057】
ここで、本体2が取付部材8に取り付けられた状態では、突出部4の後部に設けられた電線挿入口43が、取付部材8の貫通孔86と連続している。
【0058】
したがって、壁300の裏側に配線された電線を電気機器に接続する隠蔽配線を行う場合、壁300の貫通孔301から電線挿入口43を通して突出部4の内部に挿入した電線を貫通孔25を通して本体2の内部に挿入する。そして、本体2の内部に挿入された電線を、本体2の内部に収容されている端子台111及び開閉器112等の回路部品110に接続することによって、筐体1を有する電気機器に対して外部からの電線を接続することができる。
【0059】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0060】
(3.1)変形例1
変形例1の筐体1が備える本体2Aについて
図10及び
図11を参照して説明する。なお、本体2A以外の構成は上記実施形態の電力変換装置100と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0061】
変形例1の本体2Aでは、下側の側板23の後部に複数の丸孔231が左右方向に沿って設けられている。複数の丸孔231には電線管600が接続され、電線管600内の電線が丸孔231を通して本体2Aの内部に挿入され、本体2Aの内部に収容された回路部品に接続される。ここで、下側の側板23には、前端部から丸孔231が設けられた部位の前側まで凹部28が設けられている。本体2Aには、
図11に示すように、左右の側板23の間を連結する板状の連結板29が例えばねじ等の締結部材を用いて取り付けられており、この連結板29を用いて凹部28が閉塞される。
【0062】
変形例1の本体2Aに電線管600を用いて配線する場合、本体2Aから連結板29を取り外した状態で、丸孔231に電線管600を接続し、電線管600内の電線を本体2A内に挿入して、本体2Aの内部に収容された回路部品に接続する。その後、本体2Aに連結板29を取り付け、本体2Aにカバー3を取り付けることによって筐体1が組み立てられる。
【0063】
このように、変形例1の本体2Aでは、連結板29を外した状態で、電線管600に通した電線の配線作業が行えるので、電線を曲げる作業を行う際に側板23の前側縁が邪魔になりにくく、電線の配線作業を容易に行うことができる。また、電線の配線作業を終えた後は、本体2Aに連結板29を取り付けることで、本体2Aの強度アップを図ることができる。
【0064】
(3.2)変形例2
変形例2の電力変換装置100Aについて
図12及び
図13を参照して説明する。
【0065】
上記実施形態及び変形例1で説明した電力変換装置100は屋内及び屋外のいずれにも設置可能なタイプであるが、変形例2の電力変換装置100Aは、屋外に設置されるタイプの電力変換装置である点で、上記実施形態と相違する。なお、電力変換装置100Aの構成は上記実施形態の電力変換装置100と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0066】
変形例2の電力変換装置100Aの筐体1は、施設(例えば住居等)の屋外の壁等に固定される取付部材8を用いて、屋外の壁等に取り付けられる。
【0067】
変形例2の電力変換装置100Aが備える筐体1は、本体2と、本体2の前面の開口21を塞ぐカバー3とを備えている。
【0068】
本体2の内部には、電力変換回路101等の電気回路が有する複数の回路部品110が収容されている。複数の回路部品110は、電気回路の少なくとも一部が形成された回路基板を含み、この回路基板は上記の実施形態で説明した固定部材121を用いて本体2に固定されている。固定部材121は、上記の実施形態又は変形例1と同様、本体2が設置場所に設置される設置状態で、第2回路部品の上側を覆う覆い部(第1側板部1211)を備えており、本体2の内面に結露等で発生した水が回路部品にかかりにくくできる。
【0069】
(3.3)その他の変形例
上記実施形態及び変形例1、2では、固定部材121が保持部材122を介して一部の回路部品を本体2に間接的に取り付けているが、固定部材121は一部の回路部品を本体2に直接取り付けてもよい。
【0070】
上記実施形態及び変形例1、2では、固定部材121が他の部品と共に本体2に共締めされているが、固定部材121は単独で本体2に固定されていてもよい。つまり、固定部材121は本体2に直接固定されてもよい。固定部材121は、例えば圧入又は溶接等の方法で、本体2に対して直接固定されてもよく、固定部材121を単品で本体2に取り付けることができる。
【0071】
上記実施形態及び変形例1、2では、本体2において開口222の上側の周縁部に突出部223が設けられているが、突出部223は必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。上記実施形態及び変形例1、2では、筐体1の内部にカバー部材27が配置されているが、カバー部材27は必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。
【0072】
上記実施形態及び変形例1、2では、固定部材121は回路基板113Aを本体2に取り付けているが、固定部材121が本体2に取り付ける第1回路部品は回路基板113Aに限定されない。固定部材121は、トランス、リアクトル、又はスイッチング素子のような単体の第1回路部品を本体2に取り付けてもよい。
【0073】
また、固定部材121が回路部品110と共に本体2に共締めする外付け部品はヒートシンク7に限定されず、例えば本体2の外部に取り付けられるケース等の部品でもよい。
【0074】
上記実施形態及び変形例1、2では、本体2が絞り加工で形成されているが、本体2は板金に曲げ加工又は溶接加工を施すことによって形成されてもよい。
【0075】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の筐体(1)は、電気回路が有する複数の回路部品(110)を内部に収容する電気機器用の筐体(1)である。筐体(1)は、箱状の本体(2)と、固定部材(121)とを備える。本体(2)は複数の回路部品(110)を内部に収容する。固定部材(121)は、複数の回路部品(110)のうちの第1回路部品(113A)を保持して本体(2)に取り付けられる。固定部材(121)に保持される第1回路部品(113A)と本体(2)の底面(22)との間には、複数の回路部品(110)のうち1以上の第2回路部品(113B,113C,114)が配置されている。固定部材(121)は、本体(2)が設置場所に設置される設置状態で、第2回路部品(113B,113C,114)の上側を覆う覆い部(1211)を有している。
【0076】
この態様によれば、本体(2)の内面に結露等で水(800)が発生した場合でも、水(800)を覆い部(1211)で受けることによって、水(800)が第2回路部品(113B,113C,114)にかかりにくくなる。したがって、回路部品(110)に水(800)がかかりにくい筐体(1)を提供することができる。
【0077】
第2の態様の筐体(1)では、第1の態様において、固定部材(121)が、他の部品と共に本体(2)に共締めされている。
【0078】
この態様によれば、固定部材(121)と他の部品とを本体(2)に共締めできるので、回路部品(110)を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0079】
第3の態様の筐体(1)では、第1の態様において、固定部材(121)が、本体(2)に直接固定されている。
【0080】
この態様によれば、固定部材(121)を単体で本体(2)に固定することができる。
【0081】
第4の態様の筐体(1)では、第1~3のいずれかの態様において、第2回路部品は、電気回路の一部が形成された回路基板(113B)を含む。覆い部(1211)の幅(W1)が、回路基板(113B)の幅(W2)よりも広い。
【0082】
この態様によれば、本体(2)の内面に結露等で水(800)が発生した場合でも、水(800)を覆い部(1211)で受けることによって、水(800)が回路基板(113B)にかかりにくくすることができる。
【0083】
第5の態様の筐体(1)は、第1~4のいずれかの態様において、覆い部(1211)の外縁部分から下向きに突出するガイド部(1223)を更に備える。
【0084】
この態様によれば、水(800)を覆い部(1211)で受けた場合に、覆い部(1211)に落下した水(800)がガイド部(1223)を伝って下方に落下しやすくなる。したがって、水(800)が第2回路部品(113B,113C,114)にかかりにくくできる。
【0085】
第6の態様の筐体(1)は、第1~5のいずれかの態様において、設置状態で、固定部材(121)に保持される第1回路部品(113A)の上側を覆うカバー部材(27)を更に備える。固定部材(121)の一部とカバー部材(27)の一部とが上下方向において重なっている。
【0086】
この態様によれば、カバー部材(27)によって、固定部材(121)に保持される第1回路部品(113A)に水(800)がかかりにくくすることができる。
【0087】
第7の態様の筐体(1)では、第1~6のいずれかの態様において、複数の回路部品(110)が発熱部品(114)を含む。
【0088】
この態様によれば、回路部品(110)に水(800)がかかりにくい筐体(1)を提供することができる。
【0089】
第8の態様の筐体(1)では、第7の態様において、本体(2)の底面(22)には、本体(2)の外側に配置される放熱部品(7)に発熱部品(114)を接触させるための開口(222)が設けられている。設置状態で、本体(2)において開口(222)の上側の周縁部分から内側に向かって突出する突出部(223)が設けられている。
【0090】
この態様によれば、突出部(223)によって、本体(2)の底面を伝って落下する水(800)が発熱部品(114)に接触する可能性を低減できる。
【0091】
第9の態様の筐体(1)では、第8の態様において、突出部(223)は本体(2)と一体的に設けられている。
【0092】
この態様によれば、本体(2)に突出部(223)を設ける手間を減らすことができる。
【0093】
第10の態様の電気機器は、第1~9のいずれかの態様の筐体(1)と、筐体(1)の内部に収容される回路部品(110)とを備える。
【0094】
この態様によれば、回路部品(110)に水がかかりにくい筐体(1)を備える電気機器を提供することができる。
【0095】
第11の態様の電力変換装置(100)は、第1~9のいずれかの態様の筐体(1)と、筐体(1)の内部に収容される回路部品(110)とを備え、回路部品(110)が、電力変換を行う電力変換回路(101)の部品を含む。
【0096】
この態様によれば、回路部品(110)に水がかかりにくい筐体(1)を備える電力変換装置(100)を提供することができる。
【0097】
第2~第9の態様に係る構成については、筐体(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0098】
また、第8の態様については、第1~6のいずれかの態様を前提とすることは必須ではない。すなわち、第8の態様に係る筐体(1)は、電気回路が有する複数の回路部品(110)を内部に収容する電気機器用の筐体(1)であって、箱状の本体(2)を備える。本体(2)は、発熱部品(114)を含む複数の回路部品(110)を内部に収容する。本体(2)の底面(22)には、本体(2)の外側に配置される放熱部品(7)に発熱部品(114)を接触させるための開口(222)が設けられている。設置状態で、本体(2)において開口(222)の上側の周縁部分から内側に向かって突出する突出部(223)が設けられている。この場合、筐体(1)が覆い部(1211)を有することは必須ではなく、突出部(223)により発熱部品(114)に水がかかりにくい筐体(1)を実現できる。
【符号の説明】
【0099】
1 筐体
2 本体
7 ヒートシンク(放熱部品)
22 後板(底面)
27 カバー部材
100 電力変換装置
101 電力変換回路
110 回路部品
113A 回路基板(第1回路部品)
113B,113C 回路基板(第2回路部品)
114 スイッチング素子(第2回路部品、発熱部品)
121 固定部材
222 開口
223 突出部
800 水
1211 覆い部
1223 ガイド部
W1 覆い部の幅
W2 回路基板の幅