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特許7407389プラグコネクタ及びそれを備えたコネクタセット並びにコネクタセットの抜去方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】プラグコネクタ及びそれを備えたコネクタセット並びにコネクタセットの抜去方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/633 20060101AFI20231222BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20231222BHJP
   H01R 12/77 20110101ALN20231222BHJP
【FI】
H01R13/633
H01R43/26
H01R12/77
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019143110
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021026869
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宝
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069091(JP,A)
【文献】特開2015-210918(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047345(WO,A1)
【文献】特開2007-220314(JP,A)
【文献】特開2011-159574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77-12/81
H01R 43/26
H01R 13/633
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクルコネクタに嵌合されるプラグコネクタであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに配置される複数のプラグ端子と、
を備え、
前記ハウジングは、
前記複数のプラグ端子が収容された基部と、
前記レセプタクルコネクタと嵌合した場合に前記レセプタクルコネクタに係止されるように構成されるロック機構と、
前記基部の左右両側にそれぞれに設けられた一対の側部と、
を少なくとも有し、
前記一対の側部の少なくとも一方は、
上方に延びる第1の面と、
前記基部の後面よりも前方でかつ前記第1の面よりも後方に位置し、上方に延びる第2の面と、
を有し、
前記レセプタクルコネクタに前記プラグコネクタが嵌合した状態において、
前記第2の面は、前記レセプタクルコネクタと間隙を挟んで対向し、
前記第1の面は、前記第2の面よりも前記レセプタクルコネクタに近接し、
前記ロック機構は、
前記基部の前方に連結され、片持ち状に支持されたレバーと、
前記レバーの上面から上方に突出し、かつ前記レバーの後方に設けられたリリースボタンと、
前記レバーの上面から上方に突出し、かつ前記リリースボタンと所定の間隔をあけて前記リリースボタンの前方に設けられたフックと、
を少なくとも有し、
上面視で、前記リリースボタンの前面は、前記一対の側部の前記第1の面と面一となるように設けられていることを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項2】
請求項に記載のプラグコネクタにおいて、
前記複数のプラグ端子のそれぞれは、
前記基部の後面から後方に突出し、配線に接続される結合部と、
前記レセプタクルコネクタのレセプタクル端子に電気的に接続される接点部と、
を有していることを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項3】
請求項に記載のプラグコネクタにおいて、
前記配線は支持体に支持されていることを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項4】
請求項ないしのいずれか1項に記載のプラグコネクタと、
前記レセプタクルコネクタと、が接続されたコネクタセットであって、
前記レセプタクルコネクタは、
後面に開口を有する箱形形状のボディと、
前記ボディの開口内に配置される複数のレセプタクル端子と、
を少なくとも有し、
前記ボディの上方に位置する内壁面には、前記ロック機構を係止可能な係止部が設けられており、
前記プラグコネクタが前記ボディの内部に収容された状態において、前記複数のプラグ端子と前記複数のレセプタクル端子とが、それぞれ電気的に接続することを特徴とするコネクタセット。
【請求項5】
プラグコネクタとレセプタクルコネクタとが接続されたコネクタセットの抜去方法であって、
前記プラグコネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングに配置される複数のプラグ端子と、
を備え、
前記ハウジングは、
前記複数のプラグ端子が収容された基部と、
前記レセプタクルコネクタと嵌合した場合に前記レセプタクルコネクタに係止されるように構成されるロック機構と、
前記基部の左右両側にそれぞれ設けられた一対の側部と、
を少なくとも有し、
前記一対の側部の少なくとも一方は、
上方に延びる第1の面と、
前記基部の後面よりも前方でかつ前記第1の面よりも後方に位置し、上方に延びる第2の面と、
を有し、
前記レセプタクルコネクタに前記プラグコネクタが嵌合した状態において、
前記第2の面は、前記レセプタクルコネクタと間隙を挟んで対向し、
前記第1の面は、前記第2の面よりも前記レセプタクルコネクタに近接しており、
前記レセプタクルコネクタは、
後面に開口を有する箱形形状のボディと、
前記ボディの開口内に配置される複数のレセプタクル端子と、
を少なくとも有し、
前記ボディの上方に位置する内壁面には、前記ロック機構を係止可能な係止部が設けられており、
前記プラグコネクタが前記ボディの内部に収容された状態において、前記複数のプラグ端子と前記複数のレセプタクル端子とが、それぞれ電気的に接続しており、
前記基部の上面と平行になるように所定の形状の治具を前記ハウジングにセットする治具配置工程と、
前記治具の一部を前記第2の面に沿って挿入するとともに、前記治具が前記ロック機構を下方に押圧することで、前記ロック機構と前記ボディに設けられた前記係止部との係止を解除するロック解除工程と、
を備えるコネクタセットの抜去方法。
【請求項6】
請求項に記載のコネクタセットの抜去方法であって、
前記ロック解除工程の後に、前記ハウジングを下方に押圧した状態で前記ハウジングを後方に移動させて前記プラグコネクタを前記レセプタクルコネクタから引き抜く抜去工程
をさらに備えるコネクタセットの抜去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタ及びそれを備えたコネクタセット並びにコネクタセットの抜去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit;以下、FPCという)等のシート状のケーブルが接続されたプラグコネクタを箱状のレセプタクルコネクタの開口から挿入して両者を嵌合させたコネクタセットが知られている。FPCに接続された電子部品または配線基板等とレセプタクルコネクタに接続された電子部品または配線基板等とがコネクタセットを介して電気的に接続される(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/088308号
【文献】特開2017-204399号公報
【文献】特開2018-206466号公報
【文献】特開2019-016486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、電気機器や、その内部に設けられた配線基板等の小型化に伴い、コネクタセットのさらなる小型化が要求されている。また、配線基板間で授受される信号の多様化に伴い、コネクタセットのさらなる多ピン化が要求されている。
【0005】
一方、コネクタセットが小型化かつ多ピン化することで、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを抜去することが難しくなってきていた。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、レセプタクルコネクタから容易に抜去できるプラグコネクタ及びそれを備えたコネクタセット並びにコネクタセットの抜去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るプラグコネクタは、レセプタクルコネクタに嵌合されるプラグコネクタであって、ハウジングと、前記ハウジングに配置される複数のプラグ端子と、を備え、前記ハウジングは、前記複数のプラグ端子が収容された基部と、前記レセプタクルコネクタと嵌合した場合に前記レセプタクルコネクタに係止されるように構成されるロック機構と、前記基部の左右両側にそれぞれに設けられた一対の側部と、を少なくとも有し、前記一対の側部の少なくとも一方は、上方に延びる第1の面と、前記基部の後面よりも前方でかつ前記第1の面よりも後方に位置し、上方に延びる第2の面と、を有し、前記レセプタクルコネクタに前記プラグコネクタが嵌合した状態において、前記第2の面は、前記レセプタクルコネクタと間隙を挟んで対向し、前記第1の面は、前記第2の面よりも前記レセプタクルコネクタに近接し、前記ロック機構は、前記基部の前方に連結され、片持ち状に支持されたレバーと、前記レバーの上面から上方に突出し、かつ前記レバーの後方に設けられたリリースボタンと、前記レバーの上面から上方に突出し、かつ前記リリースボタンと所定の間隔をあけて前記リリースボタンの前方に設けられたフックと、を少なくとも有し、上面視で、前記リリースボタンの前面は、前記一対の側部の前記第1の面と面一となるように設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコネクタセットの抜去方法は、前記基部の上面と平行になるように所定の形状の治具を前記ハウジングにセットする治具配置工程と、前記治具の一部を前記第2の面に沿って挿入するとともに、前記治具が前記ロック機構を下方に押圧することで、前記ロック機構と前記ボディに設けられた前記係止部との係止を解除するロック解除工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプラグコネクタによれば、段差部に治具を当接させて操作することで、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを容易に抜去することができる。
【0011】
本発明のコネクタセットによれば、プラグコネクタの挿抜が容易となり、簡便に電気回路を構成することができる。
【0012】
本発明のコネクタセットの抜去方法によれば、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを容易に抜去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタセットの斜視図である。
図2】コネクタセットの分解斜視図である。
図3A】プラグコネクタの平面図である。
図3B】ハウジングを前方から見た図である。
図3C】プラグコネクタを後方から見た図である。
図3D】ハウジングの右方面図である。
図4】プラグ端子の斜視図である
図5A】上方から見たFPCの斜視図である
図5B】下方から見たFPCの斜視図である
図6A】レセプタクルコネクタの斜視図である。
図6B】レセプタクルコネクタの別の斜視図である。
図6C】レセプタクルコネクタを前方から見た図である。
図7】レセプタクル端子の斜視図である。
図8】CPAの斜視図である。
図9】抜去用治具の斜視図である。
図10】コネクタセットの抜去工程の説明図である。
図11】別のプラグコネクタの斜視図である。
図12】別のハウジングの斜視図である。
図13図12のXIII-XIII線での断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0015】
(実施形態)
[コネクタセットの構成]
図1は、本実施形態に係るコネクタセットの斜視図を、図2は、コネクタセットの分解斜視図をそれぞれ示す。なお、以降の説明において、図1におけるレセプタクルコネクタ300とプラグコネクタ100との挿抜方向を前後方向と、FPC200の導体パターン210の配列方向を左右方向と、前後方向及び左右方向とそれぞれ直交する方向を上下方向とそれぞれ呼ぶことがある。また、前後方向において、レセプタクルコネクタ300が配置された側を前方あるいは前と、その反対側のプラグコネクタ100が配置された側を後方あるいは後と呼ぶことがある。上下方向において、コネクタ位置保証デバイス400(以下、CPA400という)が配置された側を上方あるいは上と、その反対側の補強板230が配置された側を下方あるいは下と呼ぶことがある。
【0016】
また、以降に説明する図面において、FPC200の導体パターン210を見やすくするために、導体パターン210を上方から被覆する絶縁フィルムの図示を省略している。
【0017】
図1,2に示すように、コネクタセット600は、プラグコネクタ100とレセプタクルコネクタ300とCPA400とを備えている。プラグコネクタ100は後方にFPC200が接続される一方、前方がレセプタクルコネクタ300に嵌合している。レセプタクルコネクタ300の内部で、プラグコネクタ100に設けられた複数のプラグ端子140(図4参照)のそれぞれが、レセプタクルコネクタ300に設けられた複数のレセプタクル端子320(図7参照)のそれぞれと接触して、プラグコネクタ100とレセプタクルコネクタ300とが電気的に接続される。また、複数のプラグ端子140のそれぞれに、FPC200に設けられた複数の接続端子212のそれぞれが接続している。
【0018】
このようにすることで、FPC200の後端側に接続された配線基板(図示せず)あるいはこれに搭載された電子部品(図示せず)が、コネクタセット600を介して、レセプタクルコネクタ300に接続された配線基板(図示せず)あるいはこれに搭載された電子部品(図示せず)と電気的に接続されて、電気回路が構成される。
【0019】
[プラグコネクタの構成]
図3Aは、プラグコネクタの平面図を、図3Bは、ハウジングを前方から見た図を、図3Cは、プラグコネクタを後方から見た図を、図3Dは、ハウジングの右方面図をそれぞれ示す。また、図4は、プラグ端子の斜視図を示す。なお、説明の便宜上、図3A~3Dにおいて、ハウジング110に固定具150が取り付けられた状態を示している。
【0020】
図1~3Dに示すように、プラグコネクタ100は、ハウジング110と複数のプラグ端子140とを有している。本実施形態において、プラグ端子140の配列は上下2列で計20ピンの千鳥配列であるが、特にこれに限定されず、適宜他の配列を取りうる。
【0021】
ハウジング110は樹脂材料を成形加工してなる部品であり、基部111とロック機構120と一対の側部130とを有している。
【0022】
図3B,3Cに示すように、基部111には、前面から後面にかけて基部111を前後に貫通する複数の上方端子収容部112と複数の下方端子収容部113とが形成されている。複数の上方端子収容部112は、左右方向に所定の間隔をあけて基部111に10箇所設けられており、複数の上方端子収容部112のそれぞれに上方プラグ端子141が収容される。また、上方プラグ端子141の基端側である結合部141b(図4参照)は基部111の後面から外側に突出してFPC200の接続端子212(図1,5A参照)に接続される。同様に、複数の下方端子収容部113は、左右方向に所定の間隔をあけて基部111に10箇所設けられており、複数の下方端子収容部113のそれぞれに下方プラグ端子142が収容される。また、下方プラグ端子142の基端側である結合部142b(図4参照)は基部111の後面から外側に突出してFPC200の接続端子212(図1,5A参照)に接続される。なお、下方端子収容部113は、上下方向に上方端子収容部112と間隔をあけて設けられており、前面視で、複数の上方端子収容部112と複数の下方端子収容部113とは2列の千鳥状に配列されている。
【0023】
また、基部111の左右両側面には固定具支持部119が形成されている。固定具150は、板状の金属部材で下方が折り曲げられてなる部品である。基部111の固定具支持部119に取り付けられた状態で、固定具150の下面は、基部111の下面と平行である。また、この状態で、固定具150の側面は、基部111の側面に接している。
【0024】
なお、本願明細書において、「平行」とは、各部品の加工公差や組立公差を含んで平行という意味であり、両者が厳密な意味で平行あるいは同じであることまでを意味するものではない。同様に、「同じ」あるいは「等しい」とは、各部品の加工公差や組立公差を含んで同じあるいは等しいという意味であり、比較対象となる両者が厳密な意味で同じあるいは等しいことまでを意味するものではない。「面一」とは、各部品の加工公差や組立公差を含んで比較対象となる面同士が面一という意味であり、各面が厳密な意味で同一平面内に位置することまでを意味するものではない。
【0025】
固定具支持部119には、固定具150が挿入される一対のスリットが設けられている。固定部150の側端部がスリットに挿入されて、固定具150が固定具支持部119に取り付けられる。また、固定具支持部119に取り付けられた固定具150が、半田付け等によりFPC200の結合端子213(図1,5A参照)に接続されることで、FPC200にプラグコネクタ100が強固に固定される。
【0026】
図2,3Aに示すように、基部111の上面には、凹部115が形成されている。この凹部115は前方が開放されており、凹部115を囲む一対の周壁部114は、上面視で略L字形状となっている。なお、一対の周壁部114は、上面視で左右対称に基部111に設けられている。また、一対の周壁部114は、左右方向に所定の間隔をあけて設けられている。また、凹部115の内側には、左右方向に所定の間隔をあけて2本のリブ116が設けられており、リブ116は凹部115の底面から上方に延びるとともに、凹部115の前端から後端まで前後方向に延びている。なお、周壁部114の上面及び凹部115の底面は、それぞれ基部111の上面の一部をなしている。
【0027】
また、図3A~3Cに示すように、2本のリブ116の内側にそれぞれガイド部117が設けられている。ガイド部117の上端部は、左右方向に沿ってそれぞれ内側に延びている。また、ガイド部117は、後面が周壁部114の後面と面一である一方、前面は、上面視で凹部115の内側に位置している。ガイド部117は、CPA400の下方アーム420(図8参照)を収容してCPA400を所定の位置にガイドする機能を有している。
【0028】
また、周壁部114の上面には後述するレバーを保護する一対のレバー保護部118が設けられている。レバー保護部118は、周壁部114の後方の内壁面の近傍から上方に延び、さらに左右方向に沿って内側に延びて設けられており、前面視で略L字形状をなしている。また、レバー保護部118は、上面視で左右対称に基部111に設けられている。ガイド部117の上面とレバー保護部118のうち左右に延びる部分の下面との間は、CPA400の上方アーム410(図8参照)を収容する空間として構成される。また
ロック機構120は、基部111の前方、具体的には、凹部115の底面のうち前端側に連結され、片持ち状に支持された部品であり、基部111と一体成形されている。ロック機構120は、レバー121とフック122とリリースボタン123とを有している。
【0029】
レバー121は、凹部115の底面のうち前端側から上方に延び、さらに一対のレバー保護部118の間に達するまで後方に延びて設けられている。つまり、レバー121は基部111に片持ち状に支持されている。また、レバー121の先端面である後面はレバー保護部118の後面よりもわずかに前方に位置している。レバー121の高さはリブ116の高さと同じである一方、周壁部114の高さよりは低くなっている。つまり、レバー121の上面は、レバー保護部118のうち左右に延びる部分の下面よりも低い位置にあり、レバー121とレバー保護部118とは上下方向に間隔をあけて設けられている。
【0030】
フック122は、レバー121の上面から上方に突出して設けられており、上面視でレバー121の中央部分に位置している。また、フック122は左右方向に沿って間隔をあけて2つ設けられている。
【0031】
リリースボタン123は、レバー121の上面から上方に突出して設けられており、上面視でレバー121の後端部分に位置している。リリースボタン123は、後端側で左右両側にそれぞれ張り出しており、上面視で、略T字形状をなしている。また、リリースボタン123は、その下面から下方に突出しており、前面視でも、略T字形状をなしている。リリースボタン123の下面は、凹部115の底面と上下方向に間隔をあけて設けられている。また、リリースボタン123の上面は、レバー保護部118の上面と面一である。
【0032】
レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100を嵌合させる際、2つのフック122が、ボディ310に設けられたフック受け部(係止部)313(図6A,6C参照)に引っかかることで、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が係止される。一方、リリースボタン123を下方に押圧することで、レバー121の先端、つまり、後方が下方にたわみ、これに対応してレバー121に設けられたフック122が下方に変位して、フック122とフック受け部313との係止が解除される。これにより、レセプタクルコネクタ300からプラグコネクタ100を抜去することが可能となる。
【0033】
また、誤って、リリースボタン123が上方に変位するように操作されると、レバー121が破損する場合がある。このような不具合を回避するため、本実施形態では、ハウジング110に一対のレバー保護部118を設け、レバー121が所定以上に上方に変位するのを防止している。
【0034】
一対の側部130は、基部111の後端部分から左右方向に沿って外側にそれぞれ張り出すとともに、後方に延びて設けられている。それぞれの側部130の前面132は、基部111の前面よりも後方に位置している。また、一対の側部130は、複数のプラグ端子140の基端側を左右両側で囲むように設けられている。側部130もロック機構120と同様に基部111と一体成形されている。レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合した状態において、基部111のうち、側部130の前面132よりも前方にある部分がボディ310の内部に収容される。
【0035】
側部130には、前端側かつ上端側に2つの段差部131が形成されている。段差部131の底面131aは、側部130の前面132に連続して後方に延びている。
【0036】
一方、段差部131の側面131bは、段差部131の底面131aに連続して上方に延び、側部130の上面に連続している。段差部131の側面131bは、基部110の後面より前方でかつ側部130の前面132よりも後方に位置している。また、段差部131の側面131bと側部130の前面132とは、側面131bから前方へと延びる底面131aを介して繋がっている。言い換えれば、段差部131は、ハウジング110の側部130に形成された、上方および前方が開口した凹部でもある。
【0037】
そのため、段差部131の側面131bは、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合した状態において、側部130の前面132よりもレセプタクルコネクタ300から後方に離れた位置にある。特に、段差部131の側面131bがレセプタクルコネクタ300と所定の間隙を挟んで対向するように、プラグコネクタ100とレセプタクルコネクタ300とは嵌合する。
【0038】
なお、段差部131の高さは、後述する抜去用治具500(以下、単に治具500という)のハウジング押圧部540(図9参照)の高さと同じかそれよりもわずかに低くなっている。また、段差部131の前後方向の幅は、ハウジング押圧部540の厚さと同じかそれよりもわずかに狭くなっている。また、段差部131の側面131bとレセプタクルコネクタ300との間の間隙は、ハウジング押圧部540の厚さよりも広くなっている。
【0039】
また、段差部131は、リリースボタン123よりも右に位置する側部130と、リリースボタン123よりも左に位置する側部130とに形成されている。ここで、右に位置する段差部131とリリースボタン123の中心との間の距離は、左に位置する段差部131とリリースボタン123の中心との間の距離と同一、または、ほぼ同一であることが好ましい。
【0040】
また、段差部131は、上面視でリリースボタン123とガイド部117との間に位置してもよい。また、リリースボタン123よりも右に位置する段差部131は、ハウジング110の右端に位置していてもよい。この場合、段差部131は、上方および前方に加え、さらに、右方に開口する凹部であってもよい。同様に、リリースボタン123よりも左に位置する段差部131は、ハウジングの左端に位置していてもよい。この場合、段差部131は、上方および前方に加え、さらに、左方に開口する凹部であってもよい。
【0041】
なお、本実施例では、ハウジング110の左右の両方の側部130の各々に段差部131を設けているが、ハウジング110に一つの段差部131を設けてもよく、3つ以上の段差部131を設けてもよい。また、ここで、一つの段差部131を設ける場合は、ハウジング110の中央付近に設けることが好ましい。また、三つ以上の段差部131を設ける場合は、三つ以上の段差部131は、左右方向に配列されていることが好ましい。さらに、三つ以上の段差部131が左右方向において、左右方向に沿う一軸線上に並んでいることが好ましい。
【0042】
プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合された状態で、側部130の前面132は、ボディ310の前面に当接する。つまり、側部130の前面132が、レセプタクルコネクタ300(具体的には、ボディ310)と近接する。言い換えれば、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合された状態において、側部130の前面132は、レセプタクルコネクタ300(具体的には、ボディ310)と向かい合う。
【0043】
なお、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合された状態において、前面132は、ボディ310と空隙を挟んで向かい合っていてもよいし、ボディ310と接触していてもよい。また、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合された状態において、前面132は、前面132とボディ310との間に配置された部材を挟んで向かい合っていてもよい。
【0044】
また、上面視で、側部130の前面132は、リリースボタン123の前面と面一となるように設けられている。側面視で、側部130の上面は、基部111の上面、この場合は周壁部114の上面と面一となるように設けられている。
【0045】
図4に示すように、複数のプラグ端子140は、上方端子収容部112に収容される複数の上方プラグ端子141と、下方端子収容部113に収容される複数の下方プラグ端子142と、を有している。
【0046】
上方プラグ端子141は、金属の板材を折り曲げ加工等してなる部品であり、FPC200の接続端子212に接続される結合部141bを基端側に、レセプタクル端子320に接触する接点部141aを先端側にそれぞれ有している。
【0047】
結合部141bは、接点部141aの後端側から下方に延びて、途中で後方に屈曲されており、結合部141bとFPC200の接続端子212とが半田付け等により接続される(図1参照)。結合部141bの上下方向の長さは、FPC200の上面から上方端子収容部112までの高さに等しくなるように設定されている。また、結合部141bはハウジング110の後面から外側に突出している(図1,2参照)。接点部141aは、前後方向に延び、上方が開放された筒状で、先端がクリップ状になっている。接点部141aは、上方端子収容部112に収容されるとともに、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合した状態で、先端がレセプタクル端子320を挟持または押圧するように構成されている。
【0048】
下方プラグ端子142は、上方プラグ端子141と同様に、基端側に結合部142bを、先端側に接点部142aをそれぞれ有している。接点部142aは、下方端子収容部113に収容され、その形状は上方プラグ端子141の接点部141aと同様である。また、結合部142bは、接点部142aの後端側から下方に延びて、途中で後方に屈曲されている。結合部142bの上下方向の長さは、FPC200の上面から下方端子収容部113までの高さに等しくなるように設定されている。結合部142bは、上方プラグ端子141の結合部141bと同様にハウジング110の後面から外側に突出している。なお、下方プラグ端子142の結合部142bは、前後方向の長さが上方プラグ端子141の結合部141bよりも短くなっている。このようにすることで、2列の千鳥状に配列されたFPC200の接続端子212と、上方プラグ端子141及び下方プラグ端子142のそれぞれの結合部141b,142bとを近接させて接続することができ、FPC200及びこれに接続されるプラグコネクタ100をそれぞれ小型化することができる。また、プラグコネクタ100の多ピン化及び狭ピッチ化が図れる。
【0049】
[FPCの構成]
図5Aは、FPCの斜視図を、図5Bは、FPCの別の斜視図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図5A,5Bにおいて、FPC200に固定具150が取り付けられた状態を示している。
【0050】
図5A,5Bに示すように、FPC200は、導体パターン210と支持体220とを有したシート状のケーブルである。支持体220は複数の絶縁フィルムで構成されており、そのうちの1枚のフィルムの上面に導体パターン210が形成されている。また、導体パターン210の表面は、接続端子212と結合端子213を除いて、図示しない絶縁フィルムに覆われて保護されている。
【0051】
導体パターン210は、左右方向に沿って所定の間隔をあけて設けられた20本の配線211と、配線211のそれぞれの前端部に設けられた接続端子212とを有している。図5Aに示すように、20本の配線211のうち、右端から数えて偶数番目の配線211が、奇数番目の配線211よりも前方に延びている。偶数番目の配線211に設けられた接続端子212が左右方向に沿って一列に配列されている。奇数番目の配線211に設けられた接続端子212は左右方向に沿って一列に配列される一方、偶数番目の配線211に設けられた接続端子212よりも後方に配列されている。つまり、導体パターン210の接続端子212は2列の千鳥状に配列される。
【0052】
また、偶数番目の配線211に設けられた接続端子212が下方プラグ端子142の結合部142bと、奇数番目の配線211に設けられた接続端子212が上方プラグ端子141の結合部141bとそれぞれ接続される。
【0053】
なお、本実施形態では、右端から順に、互いに隣り合う奇数番目の配線211と偶数番目の配線211とが途中で接続されており、同電位となっているが、特にこれに限定されず、それぞれの配線が電気的に分離されていてもよい。
【0054】
また、導体パターン210は、結合端子213を有している。結合端子213は、各接続端子212よりも前方でかつそれらの左右両端側にそれぞれ設けられており、ハウジング110に取り付けられた固定具150と接続される。
【0055】
また、FPC200の下面には、補強板230が取り付けられている。補強板230は、例えば、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等からなる板状の部品である。上面視で、補強板230は、接続端子212及び結合端子213の下方に取り付けられている。また、補強板230は、接着材等により支持体220の下面に貼り合わされている。
【0056】
FPC200に補強板230が取付けられた状態で、プラグコネクタ100に設けられた複数のプラグ端子140が、それぞれFPC200の接続端子212に接続され、さらに、ハウジング110に取り付けられた固定具150がFPC200の結合端子213に接続される。補強板230が、FPC200の接続端子212や結合端子213を下方から支持、補強することで、上記の端子間の接続や結合を確実に行うことができる。
【0057】
また、FPC200に補強板230が取り付けられ、かつプラグコネクタ100にFPC200が接続された状態で、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合され、両者が接続される。補強板230の前方に設けられた切り欠き部230aは、ボディ310の下方の内壁面に設けられた凸部314(図6B参照)の形状に対応している。プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合されるとき、切り欠き部230aが凸部314に嵌まり込むように、切り欠き部230aの形状が設定されている。
【0058】
[レセプタクルコネクタ及びCPAの構成]
図6Aは、レセプタクルコネクタの斜視図を、図6Bは、レセプタクルコネクタの別の斜視図を、図6Cは、レセプタクルコネクタを前方から見た図をそれぞれ示す。図7は、レセプタクル端子の斜視図を示す。また、図8は、CPAの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、図6A~6Cにおいて、ボディ310に固定具330が取り付けられた状態を示している。
【0059】
図6A~6Cに示すように、レセプタクルコネクタ300は、ボディ310と複数のレセプタクル端子320とを有している。
【0060】
ボディ310は樹脂材料を成形加工してなる箱状の部品であり、後方に開口311を有し、内部にプラグ収容部312が設けられている。また、図6Cに示すように、ボディ310の前面には、複数の上方端子挿通孔315と複数の下方端子挿通孔316とが形成されている。複数の上方端子挿通孔315は、左右方向に所定の間隔をあけてボディ310の前面に10箇所設けられており、複数の上方端子挿通孔315のそれぞれに上方レセプタクル端子321(図7参照)が挿通される。また、複数の下方端子挿通孔316は、左右方向に所定の間隔をあけてボディ310の前面に10箇所設けられており、複数の下方端子挿通孔316のそれぞれに下方レセプタクル端子322(図7参照)が挿通される。また、なお、下方端子挿通孔316は、上下方向に上方端子挿通孔315と間隔をあけて設けられており、前面視で、複数の上方端子挿通孔315と複数の下方端子挿通孔316とは2列の千鳥状に配列されている。
【0061】
また、ボディ310の左右両側面には固定具支持部317が形成されている。固定具330は、板状の金属部材の下方が折り曲げられてなる部品である。ボディ310の固定具支持部317に取り付けられた状態で、固定具330の下面は、ボディ310の下面と平行である。また、この状態で、固定具330の側面は、ボディ310の側面に接している。
【0062】
固定具支持部317には、固定具330が挿入される一対のスリットが設けられている。固定具330の前後両側の端部がスリットに挿入されて、固定具330が固定具支持部317に取り付けられる。また、固定具支持部317に取り付けられた固定具330が、半田付け等により図示しない配線基板の所定の箇所に接続されることで、配線基板にレセプタクルコネクタ300が強固に固定される。
【0063】
図6A,6Cに示すように、ボディ310の内壁面のうち上方にはフック受け部(係止部)313が設けられている。また、図6A,6Bに示すように、ボディ310の内壁面のうち下方には上面視でT字形状の凸部314が設けられている。
【0064】
前述したように、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合される際に、プラグコネクタ100に設けられたフック122が、フック受け部313に引っかかることで、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が係止されて、両者がロックされる。また、補強板230に設けられた切り欠き部230aが凸部314に嵌まり込んで、プラグ収容部312内でのFPC200及びプラグコネクタ100の位置が規制される。
【0065】
図7に示すように、複数のレセプタクル端子320は、複数の上方レセプタクル端子321と、複数の下方レセプタクル端子322と、を有している。
【0066】
上方レセプタクル端子321は、金属の板材を折り曲げ加工等してなる部品であり、図示しない配線基板に接続される結合部321bを基端側に、プラグ端子140に接触する接点部321aを先端側にそれぞれ有している。
【0067】
結合部321bは、接点部321aの前端側から前方に延びて、途中で下方に屈曲され、再度屈曲されて前方に延びている。結合部321bは図示しない配線基板の接続端子に半田付け等により接続される。また、結合部321bはボディ310の前面から外側に突出している。接点部321aは、前後方向に延びた板状である。接点部321aは、上方端子挿通孔315に挿通されて、ボディ310のプラグ収容部312に収容されるとともに、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合した状態で、先端がプラグ端子140に挟持または押圧されるように構成されている。
【0068】
下方レセプタクル端子322は、上方レセプタクル端子321と同様に、基端側に結合部322bを、先端側に接点部322aをそれぞれ有している。接点部322aの形状は上方レセプタクル端子321の接点部321aと同様であり、また、ボディ310のプラグ収容部312に収容されている。また、結合部322bは、接点部322aの前端側から前方に延びて、途中で下方に屈曲され、再度屈曲されて前方に延びている。結合部322bは、上方レセプタクル端子321の結合部321bと同様にボディ310の前面から外側に突出している。上方レセプタクル端子321の結合部321bの下端は、下方レセプタクル端子322の結合部322bの下端と同じ平面内に位置するように設定されている。また、下方レセプタクル端子322の結合部322bは、前後方向の長さが、上方レセプタクル端子321の結合部321bよりも長くなっている。このようにすることで、上方レセプタクル端子321の結合部321bの下端と下方レセプタクル端子322の結合部322bの下端とを2列の千鳥状に配列することができる。
【0069】
図8に示すように、CPA400は、左右方向に所定の間隔をあけて設けられた2本の上方アーム410と、上方アーム410の下方に所定の間隔をあけて設けられた2本の下方アーム420と、2本の上方アーム410及び下方アーム420の後端部を連結する連結部430とを有している。CPA400は、樹脂材料を成形加工して得られる部品である。
【0070】
レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が正しく嵌合されていない状態では、CPA400は前方に移動せず、ボディ310の内部に収容されないようになっている。このため、上面視でCPA400の上方アーム410に設けられた突起411を目視できる。一方、レセプタクルコネクタ300に正しくプラグコネクタ100が嵌合されると、下方アーム420は、前述したようにハウジング110のガイド部117と基部111の上面、具体的には凹部115の底面との間に嵌まり込む。また、上方アーム420は、前述したようにハウジング110のガイド部117とレバー保護部118との間に嵌まり込む。さらに、連結部430の下方は、ハウジング110の基部111の後面に当接する。これらにより、CPA400が前方に移動して、上方アーム410及び下方アーム420がボディ310の内部に収容される。
【0071】
このように、CPA400の位置を目視で確認することにより、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が正しく嵌合されているか否かを簡便に確認できる。
【0072】
なお、本実施形態では、CPA400を設けているが、必須ではなく省略してもよい。CPA400を設けることで、レセプタクルコネクタ300とプラグコネクタ100との結合力を高めることができる。
【0073】
[コネクタセットの抜去方法]
図9は、抜去用治具の斜視図を、図10は、コネクタセットの抜去工程の説明図をそれぞれ示す。
【0074】
図9に示すように、治具500は、平板状の基板510と先端部520とを有する部品であり、樹脂材料を成形加工することにより得られる。なお、以降の説明において、治具500の長手方向を前述の前後方向とし、短手方向を左右方向とし、先端部520及びハウジング押圧部540の延びる方向を上下方向とする。
【0075】
先端部520は、基板510の前端が左右両側で曲げられて下方に延びて設けられている。また、基板510の下面には、前端から後方にかつ下方に延びるボタン押圧部530が設けられている。先端部520とボタン押圧部530とは左右方向に所定の間隔をあけて設けられており、前方から見て、先端部520とボタン押圧部530との間は切り欠かれた形状となっている。また、先端部520のそれぞれに、下方に延びるハウジング押圧部540が設けられている。ハウジング押圧部540は、先端部520よりも前後方向の厚さが薄くなっている一方、前端面が共通している。先端部520をハウジング押圧部540よりも厚くすることで、治具500の強度を確保できる。ただし、先端部520の厚さがハウジング押圧部540と厚さと同じであってもよい。また、先端部520の内側角部は、C面取りされた形状となっている。このようにすることで、後で述べるように、治具500をプラグコネクタ100にセットして下方に押圧する際、引っかかりが小さくなり、押圧しやすくなる。
【0076】
図9に示す治具500を用いて、レセプタクルコネクタ300からプラグコネクタ100を容易に抜去することができる。
【0077】
図10の一番上に示すように、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合された状態で、ハウジング110の上面、この場合、基部111の周壁部114の上面と平行となるように、治具500をハウジングにセットする(治具配置工程)。
【0078】
次に、図10の中央に示すように、ハウジング110の側部130に設けられた段差部131にハウジング押圧部540を嵌め込む。治具500を下方に押圧すると、ボタン押圧部530の下面がリリースボタン123の上面に当接してリリースボタン123を下方に押圧する。さらに、治具500を下方に押圧すると、段差部131の底面131aにハウジング押圧部540の下面が当接する。このとき、ボタン押圧部530と先端部520との間は切り欠かれた形状となっているため、治具500がレバー保護部118を押圧せず、レバー保護部118が破損しないようになっている。また、リリースボタン123が下方に押圧されることで、レバー121に設けられたフック122が下方に変位して、フック122とフック受け部313との係止が解除される(ロック解除工程)。
【0079】
図10の一番下に示すように、治具500がハウジング110を下方に押圧した状態で、治具500の後方を持ち上げると、治具500とボディ310との当接部分が支点となって、先端部520及びハウジング押圧部540に斜め後ろ上への力が作用し、ハウジング押圧部540に当接されたハウジング110が後方に移動する。このことにより、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300から抜去される(抜去工程)。
【0080】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るプラグコネクタ100は、ハウジング110と、ハウジング110に配置される複数のプラグ端子140と、を備えている。なお、複数のプラグ端子140は、先端側がハウジング110に収納され、基端側がハウジング110の後面から突出して配置される。
【0081】
ハウジング110は、複数のプラグ端子140が収容された基部111と、レセプタクルコネクタ300と嵌合した場合にレセプタクルコネクタ300に係止されるように構成されるロック機構120と、基部111の左右両側にそれぞれに設けられた一対の側部130と、を少なくとも有している。なお、基部111には複数のプラグ端子140の先端側が収容される。基部111の側面から左右両側にそれぞれ設けられた一対の側部130と、を少なくとも有している。また、一対の側部130は基部111の左右両側の側面からさらに後方にそれぞれ延びて、複数のプラグ端子140の基端側を左右両側で囲むように設けられている。
【0082】
一対の側部130のそれぞれの前面(第1の面)132は、上方に延びた面である。また、それぞれの側部130には段差部131が形成されている。段差部131の底面131aは、側部130の前面132に連続して後方に延びる一方、段差部131の側面(第2の面)131bは、底面131aに連続して上方に延び、側部130の上面に連続している。また、段差部131の側面(第2の面)131bは、基部111の後面よりも前方でかつ側部130の前面(第1の面)132よりも後方に位置している。
【0083】
レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合した状態において、段差部131の側面131bは、レセプタクルコネクタ300と間隙を挟んで対向している。また、側部130の前面132は、段差部131の側面131bよりもレセプタクルコネクタ300(具体的には、ボディ310)と近接する。
【0084】
プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合されたとき、ハウジング110の側部130は、その前面132がレセプタクルコネクタ300と近接する。従って、側部130の前端側かつ上端側に設けられた段差部131に治具500を当接させて操作することで、治具500がレセプタクルコネクタ300に当接して、プラグコネクタ100に後方に移動する力を作用させることができる。このことにより、レセプタクルコネクタ300からプラグコネクタ100を容易に抜去できる。
【0085】
特に、プラグコネクタ100が小型かつ多ピンである場合に、例えば、特許文献1~4に開示された従来の構成に比べて、プラグコネクタ100の抜去が容易となる。
【0086】
ロック機構120は、基部111の前方に片持ち状に支持されたレバー121と、レバー121の上面から上方に突出し、かつレバー121の後方に設けられたリリースボタン123と、レバー121の上面から上方に突出し、かつリリースボタン123と所定の間隔をあけてその前方に設けられたフック122と、を少なくとも有している。
【0087】
ロック機構120をこのように構成することで、リリースボタン123の操作により、プラグコネクタ100とレセプタクルコネクタ300とのロックを確実に行うことができる。また、ロック解除を容易に行うことができる。
【0088】
上面視で、一対の側部130の前面132は、リリースボタン123の前面と面一となるように設けられている。
【0089】
複数のプラグ端子140のそれぞれは、基部111の後面から後方に突出し、FPC200の配線211に接続される結合部141b,142bと、レセプタクルコネクタ300のレセプタクル端子320に電気的に接続される接点部141a,142aと、を有している。また、配線211は支持体220に支持されている。
【0090】
各プラグ端子140がFPC200の配線211に接続され、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300に嵌合されることで、FPC200の配線211がレセプタクルコネクタ300に設けられた複数のレセプタクル端子320にそれぞれ電気的に接続される。
【0091】
本実施形態に係るコネクタセット600は、プラグコネクタ100と、レセプタクルコネクタ300と、が接続されてなる。
【0092】
レセプタクルコネクタ300は、後面に開口311を有する箱形形状のボディ310と、先端側がボディ310に収納され、基端側がボディ310の前面から突出して配置される複数のレセプタクル端子320と、を少なくとも有している。
【0093】
ボディ310の上方の内壁面には、ロック機構120を係止可能なフック受け部(係止部)313が設けられている。
【0094】
プラグコネクタ100の前方がボディ310の内部に収容され、複数のプラグ端子140と複数のレセプタクル端子320とは、それぞれの先端同士が接触することで電気的に接続されている。
【0095】
コネクタセット600をこのように構成することで、プラグコネクタ100をレセプタクルコネクタ300に嵌合させて、両者を確実にロックできるとともに、プラグコネクタ100に設けられた複数のプラグ端子140のそれぞれを、レセプタクルコネクタ300に設けられた複数のレセプタクル端子320のそれぞれに電気的に接続することができる。
【0096】
本実施形態のコネクタセット600によれば、例えば、プラグコネクタ100にFPC200を接続し、FPC200に接続されたた配線基板(図示せず)あるいはこれに搭載された電子部品(図示せず)と、レセプタクルコネクタ300に接続された配線基板(図示せず)あるいはこれに搭載された電子部品(図示せず)とを電気的に接続して、電気回路を構成することができる。その際、プラグコネクタ100の挿抜が容易であるため、簡便に電気回路を構成することができる。
【0097】
また、ロック機構120を操作することで、プラグコネクタ100とレセプタクルコネクタ300とのロックを容易にセット及び解除できる。
【0098】
本実施形態に係るコネクタセット600の抜去方法は、治具配置工程とロック解除工程と抜去工程とを備えている。治具配置工程では、ハウジング110の基部111の上面と平行になるように治具500をハウジング110にセットする。また、ロック解除工程では、治具500に設けられたハウジング押圧部540を段差部131の底面131aに当接させる。さらに、治具500に設けられたボタン押圧部530がロック機構120のリリースボタン123を下方に押圧することで、ロック機構120に設けられたフック122とボディ310に設けられたフック受け部(係止部)313との係止を解除する。
【0099】
抜去工程では、ロック解除工程の後に、ハウジング110を下方に押圧した状態で治具500の後方を持ち上げることで、ハウジング110を後方に移動させてプラグコネクタ100をレセプタクルコネクタ300から引き抜く。
【0100】
本方法によれば、リリースボタン123に治具500のボタン押圧部530を当接させて、治具500を下方に押圧することで、ロック機構120とフック受け部313との係止を容易に解除できる。また、治具500とボディ310との当接部分が支点となって、ハウジング押圧部540に当接されたハウジング110を後方に移動させることができる。このことにより、プラグコネクタ100がレセプタクルコネクタ300から容易に引き抜かれる。
【0101】
また、本方法によれば、FPC200を直接把持せずにプラグコネクタ100を引き抜くことができるため、FPC200に余分な力が加わることない。このため、配線211が断線したり、接続端子212とプラグ端子140との接続が外れたりすることがなく、FPC200とプラグコネクタ100との接続信頼性が低下するのを抑制できる。また、コネクタセット600が小型でが、人の手でプラグコネクタ100を抜去するのが難しい場合にも、本方法によれば容易に対応できる。
【0102】
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態において、プラグコネクタ100にFPC200が接続される例を示したが、FFC(Flexible Flat Cable)が接続されるようにしてもよい。また、これに限られず、例えば、図11に示すように、それぞれ別個に設けられた複数の配線240がプラグコネクタ100に接続されるようにしてもよい。この場合、図示しない導線が絶縁被膜で被覆されて配線240が構成されており、配線240の先端部分で絶縁被膜が除去されてプラグ端子140との接続部品241が取り付けられている。この接続部品241とプラグ端子140とが接続される。また、図示しないが、複数の配線240が支持基板に支持されるようにしてもよいし、複数の配線240が結束されていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、ハウジング110の側部130に段差部131を設け、レセプタクルコネクタ300からプラグコネクタ100を引き抜く場合に、段差部131に治具500のハウジング押圧部540を挿入するようにしたが、例えば、図12,13に示すように段差部131の代わりに凹部133を設けるようにしてもよい。
【0104】
この場合、凹部133の底面133aが図2~3Dに示す段差部131の底面131aに、凹部133の後方の内壁面(第2の面)133bが段差部131の側面131bにそれぞれ相当する。つまり、凹部133の後方の内壁面133bは、基部111の後面よりも前方でかつ側部130の前面132よりも後方に位置している。また、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合した状態において、凹部133の後方の内壁面133bは、レセプタクルコネクタ300と間隙を挟んで対向している。また、側部130の前面132は、凹部133の後方の内壁面133bよりもレセプタクルコネクタ300(具体的には、ボディ310)と近接する。
【0105】
このように、段差部131に代えて凹部133を設けた場合にも実施形態と同様の効果を奏することは言うまでもない。また、図13に示すように、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ100が嵌合した状態において、凹部133の途中までボディ310の内部に収容されるようにしてもよい。この場合も、凹部133の後方の内壁面133bは、レセプタクルコネクタ300と間隙を挟んで対向する。なお、上記実施形態に示すのと同様に、側部130の前面132がボディ310に近接または当接するようにしてもよい。
【0106】
また、段差部131の底面131aや凹部133の底面133aは平面である必要はなく、例えば、下方に窪む曲面であってもよい。
【0107】
また、プラグコネクタ100及びレセプタクルコネクタ300の端子数は、実施形態に示した例に特に限定されず、適宜他の値を取りうる。また、プラグコネクタ100及びレセプタクルコネクタ300の各端子が1列に配列されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明のプラグコネクタは、レセプタクルコネクタから容易に抜去でき、小型かつ多ピンのプラグコネクタを実現できるため有用である。
【符号の説明】
【0109】
100 プラグコネクタ
110 ハウジング
111 基部
112 上方端子収容部
113 下方端子収容部
114 周壁部
115 凹部
117 ガイド部
118 レバー保護部
119 固定具保持部
120 ロック機構
121 レバー
122 フック
123 リリースボタン
130 側部
131 段差部
131a 段差部の底面
131b 段差部の側面(第2の面)
132 側部の前面(第1の面)
133 凹部
133a 凹部の底面
133b 凹部の後方の内壁面(第2の面)
140 プラグ端子
141 上方プラグ端子
141a 接点部
141b 結合部
142 下方プラグ端子
142a 接点部
142b 結合部
150 固定具
200 FPC
210 導体パターン
211 配線
212 接続端子
213 結合端子
220 支持体
230 補強板
300 レセプタクルコネクタ
310 ボディ
311 開口
313 フック受け部(係止部)
314 凸部
315 上方端子挿通孔
316 下方端子挿通孔
317 固定具保持部
320 レセプタクル端子
321 上方レセプタクル端子
321a 接点部
321b 結合部
322 下方レセプタクル端子
322a 接点部
322b 結合部
300 固定具
400 CPA(コネクタ位置保証デバイス)
410 上方アーム
420 下方アーム
430 連結部
500 抜去用治具(治具)
510 基板
520 先端部
530 ボタン押圧部
540 ハウジング押圧部
600 コネクタセット
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13