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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】加工処理装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/00 20170101AFI20231222BHJP
   B26D 9/00 20060101ALN20231222BHJP
【FI】
B31B50/00
B26D9/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019173814
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021049698
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 健太
(72)【発明者】
【氏名】山口 太一
(72)【発明者】
【氏名】大河内 工平
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-047654(JP,A)
【文献】特開昭58-104739(JP,A)
【文献】特開2017-209773(JP,A)
【文献】特開2018-196964(JP,A)
【文献】特開2010-142988(JP,A)
【文献】特開平2-36093(JP,A)
【文献】米国特許第6481318(US,B1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2008-0006423(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
B31F 1/08
B26D 9/00
B65H 45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記シートの搬送面を挟んで上下に対向配置された第1加工具及び第2加工具が設けられ、前記シートの搬送方向に直交する幅方向に沿って、前記シートに加工を施す加工部と、前記第1加工具を装置本体に対し着脱自在に受容する受容部とを備え、前記第1加工具には、前記幅方向に沿って延在する第1処理部が設けられた第1部材を備え、前記第2加工具には、前記幅方向に沿って延在し、前記第1処理部に係合して前記加工を施す第2処理部が設けられ、前記第2処理部は、前記搬送方向に並んで複数設けられ、前記複数の第2処理部は、前記搬送方向上流側に設けられた上流処理部と、前記上流処理部より下流側に設けられた下流処理部とを含み、前記第1部材の前記搬送方向の向きが反転されることによって、前記第1処理部が前記上流処理部に係合可能な上流装着位置と、前記下流処理部に係合可能な下流装着位置とのいずれかに前記第1部材が設置される加工処理装置。
【請求項2】
前記受容部は、前記第1加工具を前記上流装着位置で受容するとき、前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向上流側に位置させ、前記第1加工具を前記下流装着位置で受容するとき、前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向下流側に位置させる請求項1に記載の加工処理装置。
【請求項3】
前記上流処理部と前記下流処理部とは、前記第1処理部に対する係合量が異なる請求項1または請求項2に記載の加工処理装置。
【請求項4】
前記第1処理部は、前記シートに前記加工を施す凸部を備え、前記上流処理部は、前記第1加工具が前記上流装着位置に受容されるとき、前記凸部に係合する上流凹部を備え、前記下流処理部は、前記第1加工具が前記下流装着位置に受容されるとき、前記凸部に係合する下流凹部を備え、前記上流凹部と、下流凹部とは搬送方向の溝幅が異なる請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項5】
前記第1加工具が前記上流装着位置または前記下流装着位置のいずれの位置に装着されているかを検出する検出部を備えた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項6】
前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいてシートの搬送量を調整するよう前記搬送部を制御する請求項5に記載の加工処理装置。
【請求項7】
前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離を調整するよう前記移動部を制御する請求項5または請求項6に記載の加工処理装置。
【請求項8】
前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記移動部は、前記第1処理部が設けられた第1部材の所定位置に接触し、前記第1処理部を前記第2処理部に近接離間させるカム機構を備え、前記カム機構は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと下流装着位置に受容されるときとで、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離が異なる請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項9】
前記第1加工具には、前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと、下流装着位置に受容されるときとで、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動速度を異ならせるよう前記移動部を制御する請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項10】
シートの加工情報を設定した際に、前記第1加工具を上流装着位置または下流装着位置のいずれに受容させるべきかを表示する表示部を備えた請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてきたシートを、加工部によって所定間隔で加工処理する加工処理装置が知られている。下記特許文献1には、クリース刃が着脱自在に設置されたシート加工機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-196964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置では、クリース刃を交換することで、シートに合わせた異なる折り型を形成可能だが、構造が複雑で、製造コストが高額となる。
【0005】
本発明の目的は、シートを異なる態様で加工処理可能であって、かつ構造が簡素で、製造コストを低減可能な加工処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の加工処理装置は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記シートの搬送面を挟んで上下に対向配置された第1加工具及び第2加工具が設けられ、前記シートの搬送方向に直交する幅方向に沿って、前記シートに加工を施す加工部と、前記第1加工具を装置本体に対し着脱自在に受容する受容部とを備え、前記第1加工具には、前記幅方向に沿って延在する第1処理部が設けられた第1部材を備え、前記第2加工具には、前記幅方向に沿って延在し、前記第1処理部に係合して前記加工を施す第2処理部が設けられ、前記第2処理部は、前記搬送方向に並んで複数設けられ、前記複数の第2処理部は、前記搬送方向上流側に設けられた上流処理部と、前記上流処理部より下流側に設けられた下流処理部とを含み、前記第1部材の前記搬送方向の向きが反転されることによって、前記第1処理部が前記上流処理部に係合可能な上流装着位置と、前記下流処理部に係合可能な下流装着位置とのいずれかに前記第1部材が設置される。
【0007】
また、前記各構成において、前記受容部は、前記第1加工具を前記上流装着位置で受容するとき、前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向上流側に位置させ、前記第1加工具を前記下流装着位置で受容するとき前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向下流側に位置させる。
【0008】
そして、前記各構成において、前記上流処理部と前記下流処理部とは、前記第1処理部に対する係合量が異なる。
【0009】
更に、前記各構成において、前記第1処理部は、前記シートに前記加工を施す凸部を備え、前記上流処理部は、前記第1加工具が前記上流装着位置に受容されるとき、前記凸部に係合する上流凹部を備え、前記下流処理部は、前記第1加工具が前記下流装着位置に受容されるとき、前記凸部に係合する下流凹部を備え、前記上流凹部と、下流凹部とは搬送方向の溝幅が異なる。
【0010】
更に、前記各構成において、前記第1加工具が前記上流装着位置または前記下流装着位置のいずれの位置に装着されているかを検出する検出部を備えた。
【0011】
更に、前記各構成において、前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいてシートの搬送量を調整するよう前記搬送部を制御する。
【0012】
更に、前記各構成において、前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離を調整するよう前記移動部を制御する。
【0013】
更に、前記各構成において、前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記移動部は、前記第1処理部が設けられた第1部材の所定位置に接触し、前記第1処理部を前記第2処理部に近接離間させるカム機構を備え、前記カム機構は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと下流装着位置に受容されるときとで、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離が異なる。
【0014】
更に、前記各構成において、前記第1加工具には、前記第1処理部と前記第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる移動部が設けられ、前記搬送部及び前記加工部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと、下流装着位置に受容されるときとで、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動速度を異ならせるよう前記移動部を制御する。
【0015】
更に、前記各構成において、シートの加工情報を設定した際に、前記第1加工具を上流装着位置または下流装着位置のいずれに受容させるべきかを表示する表示部を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明の加工処理装置は、シートを搬送する搬送部と、 前記搬送部により搬送される前記シートの搬送面を挟んで上下に対向配置された第1加工具及び第2加工具が設けられ、前記シートの搬送方向に直交する幅方向に沿って、前記シートに加工を施す加工部と、 前記第1加工具を装置本体に対し着脱自在に受容する受容部とを備え、 前記第1加工具には、前記幅方向に沿って延在する第1処理部が設けられた第1部材を備え、前記第2加工具には、前記幅方向に沿って延在し、前記第1処理部に係合して前記加工を施す第2処理部が設けられ、 前記第2処理部は、前記搬送方向に並んで複数設けられ、前記複数の第2処理部は、前記搬送方向上流側に設けられた上流処理部と、前記上流処理部より下流側に設けられた下流処理部とを含み、前記第1部材の前記搬送方向の向きが反転されることによって、前記第1処理部が前記上流処理部に係合可能な上流装着位置と、前記下流処理部に係合可能な下流装着位置とのいずれかに前記第1部材が設置されるので、シートを異なる態様で加工処理可能であって、構成が簡素で、製造コストを低減可能である。
【0017】
また、前記受容部は、前記第1加工具を前記上流装着位置で受容するとき、前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向上流側に位置させ、前記第1加工具を前記下流装着位置で受容するとき前記第1処理部を前記第1加工具の搬送方向下流側に位置させる場合は、一の第1処理部を上流処理部及び下流処理部の各々の対向位置に容易に位置させることができる。
【0018】
前記上流処理部と前記下流処理部とは、前記第1処理部に対する係合量が異なる場合はシートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、上流処理部及び下流処理部のうち好ましい方を選択でき、適切に加工処理できる。
【0019】
更に、前記上流凹部と、下流凹部とは搬送方向の溝幅が異なる場合は、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、上流凹部または下流凹部のうち好ましい方を選択することで、適切な折り型を形成できる。
【0020】
更に、前記第1加工具が前記上流装着位置または前記下流装着位置のいずれの位置に装着されているかを検出する検出部を備えた場合は、制御部は第1加工具の装着位置を容易に把握できる。
【0021】
更に、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいてシートの搬送量を調整するよう前記搬送部を制御する場合は、シートを加工処理の必要な適切な位置で停止し、当該停止位置で加工処理できる。
【0022】
更に、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離を調整するよう前記移動部を制御する場合は、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを必要量移動し、適切な折り型を形成できる。
【0023】
更に、前記移動部は、前記第1処理部が設けられた第1部材の所定位置に接触し、前記第1処理部を前記第2処理部に近接離間させるカム機構を備え、前記カム機構は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと下流装着位置に受容されるときとで、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離が異なる場合は、第1加工具の装着位置に応じた適切な量だけ第1処理部を移動させることができる。
【0024】
更に、前記制御部は、前記第1加工具が上流装着位置に受容されるときと、下流装着位置に受容されるときとで、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動速度を異ならせるよう前記移動部を制御する場合は、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを適切な速度で移動することができる。
【0025】
更に、シートの加工情報を設定した際に、前記第1加工具を上流装着位置または下流装着位置のいずれに受容させるべきかを表示する表示部を備えた場合は、使用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態にかかる加工処理装置の模式縦断面図である。
図2】前記加工処理装置の加工部を上流側から見た図である。
図3】前記加工部の平面図である。
図4】前記加工部の縦断面図である。
図5】前記加工部の要部拡大断面図である。
図6前記加工部の一部を上流側から見た図である。
図7】前記加工装置のフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態にかかる加工装置の加工部の要部拡大図である。
図9】本発明の更に他の実施形態にかかる加工装置の加工部の要部拡大図である。
図10】本発明の更に他の実施形態にかかる加工装置の加工部の平面図である。
図11】本発明の更に他の実施形態にかかる加工装置の加工部の縦断面図である。
【0027】
(加工処理装置の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態にかかる加工処理装置1の模式断面図である。加工処理装置1は、装置本体10の両端に、給紙トレイ111を有する給紙部11と、排紙トレイ121を有する排紙部12とを備えている。給紙部11から排紙部12へは、多数個の対のローラ21からなる搬送部2によって搬送経路20が構成されている。搬送部2は、シートを、給紙部11から排紙部12へ向けて、矢印F方向に、搬送するようになっている。搬送部2には、搬送駆動部(図示せず)が連結している。そして、搬送経路20上には、給紙部11側から、図示しない搬送補正部、情報読取部、及びリジェクト部等を経て、3つの加工部3が設けられている。これらは全て装置本体10内に設けられている。
【0028】
また、加工処理装置1は、装置全体の作動を制御する制御部6を装置本体10内に備えている。制御部6は、操作パネル22に接続したPUを有している。操作パネル22は、シートの加工処理情報を設定する設定部221として機能する。設定部221は、シートの種類や厚さ、硬さ等を使用者が手動で入力し、設定可能に構成される。また設定部221は、使用者が番号等を入力や選択することで、シートの種類や厚さ、硬さなどをシートの処理内容とともに記憶部から呼び出し、設定することも可能である。また、操作パネル22は、各種情報を表示する表示部222としても機能する。表示部222は、シートの加工情報を設定した際に、第1凹部58または第2凹部58のうちどちらを選択すべきかを表示することができる。更に、加工処理装置1は、シートの加工によって発生する切屑を収容するためのゴミ箱101を装置本体10内の底部に有している。
【0029】
加工部3は、搬送部2により搬送されるシートに所定の加工処理を施す加工部材23をそれぞれ備えている。加工部材23には、例えば、シートを裁断するスリッター231やカッター232などの裁断刃、シートに折目を形成する折り型233、また、図示省略するが、シートにミシン目を形成するミシン刃、シートの厚さ方向の一部を裁断するキスカット刃等を用いることができる。装着する加工部材23の種類によって、加工部3は、スリッター231を備えたスリッター機構30、カッター232を備えたカッター機構31、折り型233を備えた折り型機構32とすることができる。また、これらに替えて、ミシン刃を備えたミシン目機構、キスカット刃を備えたキスカット機構等とすることも可能である。
【0030】
各加工部3は、加工部材23を駆動する駆動部16を備える。各加工部3は、装置本体10に形成された受容部9に対して、着脱自在に構成することができる。尚、加工部3の一部または略全ての構成要素を装置本体10に固定し、設置してもよい。駆動部16は、主として装置本体10側に設けられる。加工部3が受容部9に受容されると、加工部材23は連結機構12によって駆動部16に連結され、駆動可能とされる。
【0031】

(折り型機構)

図2は、折り型機構32を上流側から見た図である。図3は、折り型機構32から天板70を除いた状態の平面図である。図4は折り型機構32の縦断面図である。折り型機構32は、シートの搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って、シートに加工を施す。折り型機構32は、第1加工具41、第2加工具42、受容部44、検出部46、及び支持部48を備える。第1加工具41及び第2加工具42は、搬送部2により搬送されるシートの搬送面を挟んで上下に対向配置される。第1加工具41と第2加工具42の間には、両端部にそれぞれ圧縮ばねからなる付勢部材51が介在される。
【0032】
図2では、第1加工具41が、凸部材53と、移動部54とを備える場合を示す。凸部材53は、第1部材を構成する。凸部材53は直方体状に形成される。凸部材53は、装置本体10に対し着脱自在に構成される。加工部3が受容部9に受容されたままで、凸部材53が装置本体10から取り出される。そして、凸部材53が長手方向中央部を軸心に水平姿勢を維持したまま180度回転され、前後反転させる。その後、凸部材53が装置本体10に再度装着され固定される。このようにして、凸部材53は、搬送方向Fの向きを上流側と下流側とで反転される。受容部44は、このように、凸部材53の搬送方向Fの向きが反転される前と後の双方で、該凸部材53を受容可能である。
【0033】
凸部材53の下部に、幅方向Wに沿って延在する凸部57が設けられる。凸部57は、第1処理部を構成する。凸部57は、シートに加工を施す。凸部57は、第2加工具42に設けられた第2処理部としての凹部58に係合してシートに折り型の加工を施す。
【0034】
凸部57は、凸部材53の下面より下方に向けて突出される。図5に拡大して示すように、凸部57は、凸部材53の搬送方向中央Gから所定量J離間した位置に設けられる。
【0035】
図5(a)は、凸部57が搬送方向中央Gより上流側に位置する。このように凸部57が搬送方向中央Gより上流側に位置するとき、凸部57は、対向する上流処理部581に係合可能となる。一方、図5(b)は、凸部57が搬送方向中央Gより下流側に位置する。凸部57が搬送方向中央Gより下流側に位置するとき、凸部57は、対向する下流処理部582に係合可能となる。図5(a)は、凸部材53が上流装着位置Uで受容された状態を示す。図5(b)は、凸部57が、下流装着位置Dで受容された状態を示す。
【0036】
図5に示すように、凸部57は、縦断面視上部より下部が細くなるテーパ状に形成される。しかし、凸部57は、テーパ状に替えて、縦断面視矩形状に形成されてもよい。
【0037】
凸部材53の長手方向中央部上部位置には取手55が設置される。取手55は凸部材53を取り出す際に使用される。
【0038】
移動部54は、第1処理部と第2処理部を係合するよう第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを移動させる。図2に示す移動部54は、第1処理部としての凸部57を、対向する第2処理部としての凹部58に係合させるよう移動させる場合を示す。これに替えて、第2処理部を第1処理部に向けて近接離間する等移動させてもよく、第1処理部及び第2処理部の双方を移動させてもよい。
【0039】
移動部54は、カム機構60を備える。カム機構60は、第1処理部が設けられた第1部材の所定位置に接触し、第1処理部を第2処理部に近接離間させる。図2に示すカム機構60は、下部に第1処理部としての凸部57が設けられた第1部材としての凸部材53の上部に接触する。これより、移動部54は、凸部57を凹部58に近接離間させる。カム機構60は付勢部材51の付勢力に抗して凸部材53を凹部材56に向けて近接させる。カム機構60は、カム61、カム軸63及び回転検出部64を備える。
【0040】
カム61は左右一対設けられる。左右一対のカム61は、幅方向Wに所定量離間してカム軸63に固定される。カム61は、カム軸63の回転により偏心回転される。カム61は凸部材53の上部に上方より接触する。カム機構60は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるときと下流装着位置Dに受容されるときとで、第1処理部の移動量が異なる。
【0041】
図6は、カム機構60の一部と、凸部材53、凹部材56、受容部44及び検出部46を示す。同図(a)は、第1処理部を有する凸部材53が上流装着位置Uに受容された状態を示す。同図(b)は第1処理部を有する凸部材53が下流装着位置Dに受容された状態を示す。同図(a)の上流装着位置Uでは、カム61は、凸部材53の第1接触部67に接触する。同図(b)の下流装着位置Dでは、カム61は、凸部材53の第2接触部68に接触する。
【0042】
第2接触部68は、凸部材53の上面から所定の深さだけ幅方向Wに所定長さ切欠かれ、凹んで形成される。これより、カム61が第1接触部67に接触するときより、第2接触部68に接触するときの方が、凸部材53が凹部材56により近接する。そして、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されたときより、下流装着位置Dに受容されたとき方が、第1処理部の第2処理部への係合量が多くなる。
【0043】
カム軸63は、上方に設置された天板70の左右両端部近傍から垂下された右側板71及び左側板72に回動自在に軸支される。また、カム軸63の図6における左方に示す一方の端部近傍にギア73が設置される。ギア73は、第1加工具41が受容部44に受容され、且つ折り型機構32が装置本体10に設けられた受容部9に受容されたとき、図2に示すように、装置本体10に設けた連結機構12に連結される。連結機構12はギア73を装置本体10に設けた駆動部16に連結させる。駆動部16が駆動されると、連結機構12を介してギア73が回転され、カム軸63を回転させ、これよりカム61が回転される。そして、凸部57が凹部58に近接離間し係合する。
【0044】
回転検出部64は、カム軸63の回転量を検出する。回転検出部64は遮光板642及び光学センサ641を備える。遮光板642は、カム軸63の図2において右方に示す他方の端部に設置される。光学センサ641は、遮光板642の対向位置となる装置本体10に設置される。なお、光学センサ641は、天板70に垂下させるなど、移動部54とともに装置本体10に対し着脱できるようにしてもよい。
【0045】
天板70の上部に、複数の摘みねじ75が突設されている。摘みねじ75は、受容部44に受け入れられた第1加工具41を装置本体10に対し固定する。尚、図示省略するが、天板70上に取手を設けてもよい。当該取手は、移動部54を装置本体10から着脱する際に使用される。
【0046】
第2加工具42には、幅方向Wに沿って延在し、第1処理部に係合して加工を施す第2処理部が設けられる。第2加工具42は第2部材としての凹部材56を備える。凹部材56は、直方体状に形成される。凹部材56の上部に、幅方向Wに沿って延在する凹部58が設けられる。凹部58は凹部材56の上面から断面視矩形状に所定深さ切り欠かれ形成される。凹部58は、第1加工具41に設けられた凸部57に係合してシートに折り型の加工を施す。凹部58は第2処理部を構成する。
【0047】
図5に拡大して示すように、第2処理部としての凹部58は、搬送方向Fに沿って複数並設される。複数の第2処理部は、搬送方向F上流側に設けられた上流処理部77と、上流処理部より下流側に設けられた下流処理部78を含む。凹部58はそれぞれ凸部57に係合してシートに折り型の加工を施す。上流処理部77は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるとき、凸部57に係合する上流凹部581を備える。下流処理部78は、第1加工具41が下流装着位置Dに受容されるとき、凸部57に係合する下流凹部582を備える。上流凹部581と、下流凹部582とは搬送方向Fの溝幅L1,L2が同じでもよく、異なってもよい。図5では、上流凹部581の溝幅L1より下流凹部582の溝幅L2の方が長く形成される。
【0048】
受容部44は、第1加工具41を装置本体10に対し着脱自在に受容する。受容部44は、第1加工具41を上流装着位置Uと下流装着位置Dとの双方で受容する。上流装着位置Uは、図5(a)に示すように、一の第1処理部が、上流処理部77に係合可能な位置である。受容部44は、第1加工具41を上流装着位置Uで受容するとき、第1処理部を第1加工具41の搬送方向F上流側に位置させる。
【0049】
図5(b)に示すように下流装着位置Dは、一の第1処理部が、下流処理部78に係合可能な位置である。受容部44は、第1加工具41を下流装着位置Dで受容するとき、第1処理部を第1加工具の搬送方向F下流側に位置させる。
【0050】
第1加工具41が上流装着位置Uと下流装着位置Dとの間で移動されるときは、まず、摘みねじ75が緩められる。次に、移動部54が上方に取り出される。そして、凸部材53が受容部44から上方に取り出される。凸部材53は水平姿勢を維持したまま当該凸部材53の長手方向略中央部を軸心として180度回転される。これにより、凸部材53の上流側位置と下流側位置とが反転される。その後、凸部材53が下方の受容部44に挿通され、さらに、移動部54が戻され、固定される。
【0051】
受容部44は、左右一対設けられる。受容部44は、平面市コ字状に形成された第1受容体81と第2受容体82とを備える。受容部44は、凸部材53及び凹部材56の双方の左右両端部を側方から支持する。受容部44の上部は、凸部材53を上下方向に摺動自在に支持する。また、受容部44の下部には、凹部材56が固定される。 図2、6では第1受容体81及び第2受容体82の双方ともそれぞれ一部品から形成される場合を示すが、分割されていてもよい。また、受容部44は、凸部材53及び凹部材56の双方を支持するが、少なくとも凸部材53を受容できればよい。
【0052】
受容部44は、第1加工具41を加工部3に対し、着脱自在に受容する。すなわち、受容部44は加工部3が装置本体10に装着されたとき、及び、装置本体10から取り出されたときのいずれにおいても、第1加工具41を加工部3に装着及び取り出しすることができる。
【0053】

検出部46は、第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかを検出する。検出部46は、光学センサ461及び遮光板462を備える。光学センサ461は、装置本体10に固定される。尚、光学センサ461は装置本体10に替えて、天板70または左右側板71,72に固定してもよい。遮光板462は、図2において右方に示す凸部材53の一端部近傍に設置される。遮光板462は、凸部材53の上流側面から上流側に向けて突出して設けられる。
【0054】
第1加工具41が図6(a)に示すように、上流装着位置Uにあるとき、遮光板462が光学センサ461に対向し、当該光学センサ461を遮光する。一方、図6(b)に示すように、第1加工具41が下流装着位置Dにあるとき、遮光板462は光学センサ461に対向しない。遮光板462は、図6(b)において二点鎖線で示す左端部近傍、且つ凸部材53の下流側面から下流側に向けて突出する。このため、第1加工具41が下流装着位置Dにあるとき光学センサ461は遮光されず、通光となる。制御部6は、光学センサ461が遮光されるかどうかを検出することで、第1加工具41の装着位置を把握する。
【0055】
支持部48は、第2加工具42を下方より支持する。支持部48は、第2加工具42の設置高さを調整する調整部49を備える。調整部49は、偏心台86、支持軸87、モータ88、及び検出部89を備える。偏心台86は、幅方向Wに所定量離間して左右一対設けられる。偏心台86は、第2部材の脚部90を支持する。支持軸87はモータ88の駆動によりウォームギア95を介して回転される。そして、支持軸87の回転により、偏心台86が回転し、脚部90を押し上げ、または押し下る。これにより、第2部材は、上下位置を調整可能となっている。第2部材の高さは、検出部89により検出される。
【0056】
第1加工具41及び第2加工具42は上流側には、シートを凸部材53と凹部58の間に案内する案内部材91,92が設置される。
【0057】

(制御部)

制御部6は、搬送部2及び加工部3を含む装置全体の動作を制御する。制御部6は、加工部3の検出部46の検出結果に基づいてシートの搬送量を調整するよう搬送部2を制御することができる。また、制御部6は、検出部46の検出結果に基づいて、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動量を調整するよう移動部54を制御することができる。制御部6は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるときと、下流装着位置Dに受容されるときとで、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動速度を異ならせるよう移動部54を制御することができる。
【0058】
次に、加工処理装置1の動作について説明する。使用者は、設定部を用いてシートの加工情報を設定する。その際使用者は、設定部としての操作パネル46を用いて加工情報を入力するか記憶部から呼び出し、設定する。使用者は、供給台36に、加工処理すべきシートの束を載置する。
【0059】
はシート加工装置1の制御フローを示す。同図のステップ1で、制御部6は、使用者の設定によりシートの加工情報を取得する。ステップ2において、制御部6は、処理開始の準備を行う。ステップ3で、制御部6は、給紙部11のシートの搬送路5への供給動作を開始する。ステップ4で、搬送路5上へ供給されたシートは、搬送部2によって下流側へ搬送され加工部3で加工処理される。
【0060】
スリッター部30では、回転するスリッター231によってシートが裁断される。
【0061】
折り型機構32では、シートが上下の案内部材91,92によって第1処理部と第2処理部との間に案内されつつ搬送される。シートの折目形成位置が第1処理部及び第2処理部の間に到達するタイミングで、制御部6は、搬送部2の駆動を停止する。シートの搬送は停止される。制御部6は駆動部16を駆動する。駆動部16の駆動により連結機構12を介してギア73が回転されることで、カム軸63が回転される。制御部6はカム軸63の回転量を回転検出部64の検出結果を基に把握する。
【0062】
カム軸63が回転されると、カム61が偏心回転し、付勢部材51の付勢力に抗して凸部材53を凹部材56へ向けて移動させる。凸部57は、対向する凹部58に近接し、シートを介在させた状態で凸部57が凹部58に係合する。これより、シートに幅方向Wに沿った折り型が形成される。
【0063】
シートの厚さや種類に応じて、使用者は第1加工具41を上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれに受容させるべきかを判断する。表示部222には、シートの加工情報を設定した際に、第1加工具41を上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれに受容させるべきかが表示される。使用者は表示部222の表示に従って第1加工具41の装着位置を適切に選択可能である。
【0064】
使用者が第1加工具41の装着位置を変更する際は、まず、摘みねじ75を所定方向へ回動する。これより、第1加工具41の装置本体10への固定から解放される。そして、第1加工具を離脱可能な状態となる。次に、移動部54を上方へ持ち上げる。その後使用者は取手55を把持し、凸部材53を受容部44から上方へ向けて引き出す。凸部材53の左右両端部は、第1受容体81及び第2受容体82にぞれぞれ摺接し案内され、上方へ取り出される。
【0065】
使用者は、第1加工具41の天地方向を維持し、水平姿勢を継続させつつ鉛直方向、且つ、第1部材の長手方向略中央部を軸心として180度第1加工具41を回転させる。これより、第1加工具41の搬送方向Fにおける位置が反転される。第1処理部は、図5(a)に示す上流処理部77に係合可能な位置と、図5(b)に示す下流処理部78に係合可能な下流装着位置Dとの間で反転により移動される。
【0066】
その後、使用者は、凸部材41を受容部44へ上方より挿通する。凸部材41の上へ移動部54を設置し、摘みねじ75を所定方向へ回転する。これより、第1加工具41が装置本体10に固定される。
【0067】

検出部46は、第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかを検出し、制御部6に送信する。 制御部6は、シートの加工情報を取得したとき、第1加工具41が適正な位置に装着されているか検出部46の検出結果を基に判断することができる。第1加工具41の装着位置が加工情報から得られた位置と異なる場合には、制御部6は、第1加工具41の装着位置を変更するよう表示部222を用いて警告報知することができる。これより、第1加工具41の装着位置が誤っていることを使用者に知らせることができる。シートに誤った加工処理が施されるのを防止できる。
【0068】
例えば、シートの厚さがあらかじめ設定した所定値より薄いときは、図5(a)に示すように、第1加工具41を上流装着位置Uに受容させることが好ましい。この場合、第1処理部は、上流処理部77に係合される。上流凹部581の溝幅L1の方が下流凹部582の溝幅L2よりも短く形成されるので、シートが薄くても鋭いくっきりとした綺麗な折目を形成できる。ここで、シートの厚さの基準となる所定値は予め設定される。所定値は使用者の設定により変更可能としてもよい。
【0069】
一方、シートが所定値より厚いときは、図5(b)に示すように、第1加工具41を下流装着位置Dに受容させる。この場合、第1処理部は、下流処理部78に係合される。下流凹部582の溝幅L2の方が上流凹部581の溝幅L1よりも長く形成されるので、シートが厚く硬いときでも第1処理部が適切に下流凹部582に挿通され、くっきりとした綺麗な折目を形成できる。また、折り型形成時にシートが損傷するのを抑制できる。
【0070】
更に、第1加工具41が上流装着位置Uにあるときは、図6(a)に示すように、カム61が第1接触部67に接触する。この場合、制御部6が駆動部16を駆動し、カム61を回転させ、凸部材53が凹部材56へ向けて移動させた際、凸部57の凹部58の距離が長くなる。凸部57の凹部58への係合量が小さくなる。これより薄いシートを破損等傷つけることなく折り型処理することができる。
【0071】
一方、第1加工具41が下流装着位置Dにあるときは、図6(b)に示すように、カム61が第2接触部68に接触する。この場合、カム61が回転し、凸部材53が凹部材56へ向けて移動された際、凸部57と凹部58とはより近接し、距離が短くなる。そして、凸部57の凹部58への係合量が多くなる。これより、厚いシートや比較的丈夫な硬いシートであっても適切に折り型を形成することができる。
【0072】
更に、制御部6は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるときと、下流装着位置Dに受容されるときとで、凸部57の凹部58への移動速度を異ならせるよう移動部54を制御することで、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ適切な加工処理を実行できる。第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるとき、凸部57の凹部58への移動速度を所定値より遅くする。これより、シートが薄いときに、シートを傷つけることなく鮮明な美しい折り型を形成できる。これに対し、第1加工具41が下流装着位置Dに受容されるとき、凸部57の凹部58への移動速度を所定値より速くする。これより、シートが厚いや硬いときでも、適切に折り型を形成できる。
【0073】

上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれに第1加工具41を位置させるかは、使用者の所望により選択で可能である。使用者はシートの厚さ、硬さや種類に合わせ、2種類の溝幅L1、L2、カム61の回転による第1処理部の第2処理部への係合量、凸部57の移動速度等を調整できる。
【0074】
第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかは、検出部46によって検出される。制御部6は、検出部46の検出結果に基づいて搬送部2を制御する。第1加工具41が上流装着位置Uに位置するときは、図5(a)に示すように、凸部57が凸部材53の搬送方向中央Gから所定量Jだけ上流側に位置する。また、第1加工具41が下流装着位置Dに位置するときは、図5(b)に示すように、凸部57が凸部材53の搬送方向中央Gから所定量Jだけ下流側に位置する。
【0075】
制御部6は、第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかを判断し、シートに折り型を施すべき所定位置が凸部57と第2処理部の間に位置する所定のタイミングで搬送部2の駆動を停止する。第1加工具41が上流装着位置Uに位置するときは、加工位置が凸部57と、上流凹部581との間に位置するときに、シートの搬送を停止する。第1加工具41が下流装着位置Dに位置するときは、加工位置が凸部57と、下流凹部582との間に位置するときに、シートの搬送を停止する。これよりシートを加工処理の必要な適切な位置で停止し、当該停止位置で加工処理できる。
【0076】
第1処理部が第2処理部に係合し、折り型が形成された後も制御部6は駆動部16の駆動を継続する。これより、凸部材53は、凹部材56から離間する。その後、搬送部2はシートの搬送を再開する。制御部6は次の折り型の形成位置があるかどうかを判断する。次の折り型形成位置がある場合、この動作が繰り返される。
【0077】
カッター部31では、シートの幅方向Wに平行な裁断線がカッター232の設置位置に到達するタイミングでシートの搬送を停止させる。制御部6は駆動部16を駆動し、シートを幅方向Wに沿って裁断する。裁断処理によりシートから切り取られた切屑は下向きに移動し、ゴミ箱101に収容される。
【0078】
全ての加工処理が終了すると、ステップ5に進む。各加工部3で加工され、得られた加工処理物は、排紙トレイ121に排出された後、搬送を停止する。このようにして、一連のシートの加工処理が終了する。
【0079】
以上より、本実施形態にかかる加工処理装置1は、受容部44は、一の第1処理部が、上流処理部77に係合可能な上流装着位置Uと、下流処理部78に係合可能な下流装着位置Dとの双方で、第1加工具を受容するので、一の第1処理部を上流処理部77及び下流処理部78の双方に容易に係合させ、加工処理することができる。
【0080】
また、受容部44は、第1加工具41を上流装着位置Uで受容するとき、第1処理部を第1加工具41の搬送方向F上流側に位置させ、第1加工具41を下流装着位置Dで受容するとき第1処理部を第1加工具41の搬送方向F下流側に位置させるので、一の第1処理部を上流処理部77及び下流処理部78の各々の対向位置に容易に位置させることができる。
【0081】
また、上流処理部77と下流処理部78とは第1処理部に対する係合量が異なるので、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、上流処理部77及び下流処理部78のうち好ましい方を選択でき、適切に加工処理できる。
【0082】
そして、上流凹部581と、下流凹部582とは搬送方向Fの溝幅L1,L2が異なるので、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、上流凹部581または下流凹部582のうち好ましい方を選択することで、適切な折り型を形成できる。
【0083】
更に、第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかを検出する検出部46を備えたので、制御部6は第1加工具の装着位置を容易に把握できる。
【0084】
更に、制御部6は、検出部46の検出結果に基づいてシートの搬送量を調整するよう搬送部を制御するので、シートを加工処理の必要な適切な位置で停止し、当該停止位置で加工処理できる。
【0085】
更に、カム機構60は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるときと下流装着位置Dに受容されるときとで、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離が異なるので、第1加工具41の装着位置に応じた適切な量だけ第1処理部を移動させることができる。
【0086】
更に、制御部6は、第1加工具41が上流装着位置Uに受容されるときと、下流装着位置Dに受容されるときとで、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかの移動速度を異ならせるよう移動部54を制御する場合は、シートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを適切な速度で移動することができる。
【0087】
更に、シートの加工情報を設定した際に、第1加工具41を上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれに受容させるべきかを表示する表示部222を備えたので、使用者の利便性が向上する。
【0088】

尚、本発明は、上述した実施形態に対する限定されない。上記実施形態では、第1加工具41がシートの搬送面の上に、第2加工具42が下に設置される場合を示したが、これに限定されず、図8に示すように、凸部57aを有する第1加工具41aがシートの搬送面の下に、凹部58aを有する第2加工具42aが上に設置されてもよい。第2処理部は、搬送方向Fに並んで2つ設けられたが、図9に示すように、3個以上設置されてもよい。第2処理部が3個ある場合、中央部に位置する第2処理部は上流処理部または下流処理部のいずれに構成要素にもなりえる。
【0089】
受容部44は第1加工具41を反転させることで、上流装着位置U及び下流装着位置Dの双方を同じ位置で受容したが、これに限定されず、図9に示すように、受容部44bが、断面視T字状に形成された第1加工具41bの上部を、搬送方向Fに所定量ずつずらせた異なる位置E、H、Iで受容してもよい。また、上流処理部77と下流処理部78とは、第1処理部に対する係合量が異なったが、同じであってもよく、上流処理部77の方が下流処理部78より大きい係合量を有してもよい。
【0090】
図9凸部材53bを搬送方向で前後反転させずに、搬送方向に移動させる場合を参考例として示す。この場合、第1加工具41bを上流装着位置Eで受容するときと、下流装着位置Iで受容するときとで第1処理部の第1加工具における搬送方向Fの位置が同じとなる。また、受容部44は、第1加工具41を上流装着位置Uで受容するとき、第1処理部を第1加工具41の搬送方向F上流側に位置させ、第1加工具41を下流装着位置Dで受容するとき、第1処理部を第1加工具41の搬送方向F下流側に位置させたが、これに限定されず、第1加工具を上流装着位置で受容するときに第1処理部を第1加工具の下流側に位置させ、第1加工具を下流装着位置で受容するとき第1処理部を第1加工具の上流側に位置させてもよい。
【0091】
また、凸部材53は、一の部材により構成されたが、図10に示すように、凸部材53bが中央凸部材531cと側方部材532cとに分割可能に形成されてもよい。中央凸部材531cは、凸部材53cの長手方向中央部に位置される。側方部材532cは、中央凸部材531cの左右両側方に設置される。中央凸部材531cの下部に凸部57cが形成されている。受容部44cは、側方部材532cの端部を外方より支持する。中央凸部材531cが側方部材532cに対し、搬送方向Fで前後に移動できるよう構成してもよい。これより、凸部57cを、搬送方向Fに所定量ずつずらせた異なる位置K、Nに位置するよう構成してもよい。この場合、受容部44cは、側方部材532cの同じ位置を受容したまま第1処理部が、上流装着位置K、Nと下流装着位置N、Rとの間で移動可能となる。カム61の接触位置は上流装着位置K、Nと下流装着位置N、Rの間で変化しない。制御部は必要により駆動部の駆動量を調整することで、凸部57cの移動量を調整し、上流凹部または下流凹部への係合量を調整することができる。
【0092】
第1処理部は、折り型を形成するための凸部57を備えたが、これに限定されず、折り型やミシン刃を形成するための凹部であってもよく、ミシン刃であってもよく、ミシン刃に係合シートにミシン目を形成するための平面であってもよい。上流処理部77は、凸部に係合する上流凹部を備えたが、対向する凹部に係合する凸部であってもよく、ミシン刃やミシン刃に対向する平面でもよい。下流処理部78は、凸部に係合する下流凹部を備えたが、対向する凹部に係合する凸部であってもよく、ミシン刃やミシン刃に対向する平面でもよい。また、上流凹部581と、下流凹部582とは搬送方向Fの溝幅L1、L2が異なったが、同じであってもよい。
【0093】
第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に装着されているかを検出する検出部46を備えたが、検出部を必ずしも備えなくてもよい。シートの加工情報を設定した際に、第1加工具41を上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれに受容させるべきかを表示する表示部222を備えたが、上流装着位置または下流装着位置のいずれに受容させるべきかを表示しなくてもよい。
【0094】
カム61の回転に伴って凸部57がシートの加工の際に移動する移動量は、第1加工具41が上流装着位置Uまたは下流装着位置Dのいずれの位置に受容されるときでも同じであったが、制御部は第1加工具の装着位置に応じて、係合の際の第1処理部と第2処理部のいずれかの移動量を異ならせてもよい。例えば、凸部材に第2接触部68のような切り欠きが設けられていない場合、制御部は、移動部を制御することで、第1処理部の移動量を異ならせるよう移動部の駆動を制御することができる。シートが所定値より厚いときには、薄いときより、第1処理部と第2処理部とをより近接させるよう移動させることができる。これよりシートの種類や厚さ、硬さ、加工処理の内容等に応じ、第1処理部及び第2処理部の少なくともいずれかを必要量移動し、適切な折り型を形成できる。
【0095】
また、第2接触部68は、凸部材53の上面から所定の深さだけ幅方向Wに所定長さ切欠かれ、凹んで形成されたが、これに替えて、図11に示すように、カム61dが接触する凸部材53dの上部を、搬送方向中央部を境として、上流側または下流側のいずれか一方に幅方向に所定長さの切り欠き98を形成してもよい。これより、カム機構60dは、第1加工具41dが受容部44dによって上流装着位置Udに受容されるときと下流装着位置Ddに受容されるときとで、カム61dの接触する凸部材53d上面の高さ位置を異ならせることができる。そして、係合の際の第1処理部と第2処理部の距離を異ならせることができる。
【0096】
また、各種加工処理情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取部によりバーコードM2を読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなど外部の情報処理装置と通信を行って設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動入力によって、シートの配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
D 下流装着位置、U 上流装着位置、W 幅方向、1 加工処理装置、2 搬送部、3 加工部、6 制御部、41 第1加工具 、42 第2加工具、44 受容部、46 検出部、60 カム機構、57 凸部、77 上流処理部、78 下流処理部、222 表示部、581 上流凹部、582 下流凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11