(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】冷媒ガス緊急外部放出システム
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20231222BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20231222BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
F25B45/00 Z
F25B49/02 520M
F25B49/02 540
G08B23/00 530E
(21)【出願番号】P 2023059666
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523121956
【氏名又は名称】株式会社YAP
(73)【特許権者】
【識別番号】523121967
【氏名又は名称】一般社団法人仙台技術者養成センター
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(72)【発明者】
【氏名】大滝 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 稔
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-241121(JP,A)
【文献】実開昭61-074078(JP,U)
【文献】特開2006-207928(JP,A)
【文献】特開2022-087617(JP,A)
【文献】特開2021-081157(JP,A)
【文献】特開2021-124215(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151178(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/215877(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 11/00 ~ 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と室内機とに連結した冷媒配管を備える空調機の冷媒ガス緊急外部放出システムであって、
前記冷媒配管には、室外に冷媒を放出可能な電磁弁を備えた外部放出管が分岐して連結してあり、
可燃性の冷媒のガス警報器
であって可燃性冷媒ガスの検知器と前記検知器が一定濃度のガスを検知したとき警報信号を発信する手段とともに備えてあるガス警報器と
、前記電磁弁と
、前記室外機と
、に接続し
、前記空調機の動力回路から充電されるバッテリー充電器と、
前記バッテリー充電器により電力供給される蓄電池と
、を備えた制御装置が、
前記ガス警報器が前記冷媒の漏洩を検知し
45秒後に作動し、前記室外機への電力供給を停止し、同時に、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出し、停電時においても、前記ガス警報器に電力を供給し続け前記ガス警報器が前記冷媒の漏れを検知し
45秒後に作動し、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出
し、一方で、前記室外機への通電は行わないことを特徴とする冷媒ガス緊急外部放出システム。
【請求項2】
さらに、前記制御装置が、室内に設けた火災報知器に接続してあり、
前記制御装置が、前記火災報知器が火災の発生を検知したときに、前記室外機への電力供給を停止し、同時に、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出することを特徴とする請求項1記載の冷媒ガス緊急外部放出システム。
【請求項3】
前記制御装置が、三相交流電源から前記室外機に電力を出力する動力回路に接続した制御回路を有し、
前記制御回路が、
前記ガス警報器への電力出力部と、前記ガス警報器からのガス検知信号の入力部と、前記火災報知器からの火災検知信号の入力部と、前記電磁弁への電力出力部とを有し、
前記動力回路に設けた接点の開閉を制御する電磁開閉器を備え、通電時に前記動力回路を閉じる、交流の室外機用電力出力制御回路と、
前記動力回路から前記バッテリー充電器を充電する交流のバッテリー充電回路と、
前記バッテリー充電器から前記蓄電池を充電する蓄電池充電回路と、
交流を直流に変換するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路に接続し、前記三相交流電源投入時に前記ガス警報器への電力出力部に前記動力回路から電力を出力する第1の警報器用電力出力回路と、
前記ガス警報器への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力する第2の警報器用電力出力回路と、
前記蓄電池充電回路の開閉と前記第2の警報器用電力出力回路の開閉とを切替する接点の開閉を制御するとともに前記室外機用電力出力制御回路を閉じる接点の開閉を制御する第1のリレーを備え、前記スイッチング回路に接続した直流の電源切替回路と、
前記スイッチング回路に接続し、前記電磁弁への電力出力部に前記動力回路から電力を出力して開弁する第1の電磁弁開閉回路と、
前記電磁弁への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力して開弁する第2の電磁弁開閉回路と、
前記ガス警報器からのガス検知信号の入力部と前記火災報知器からの火災検知信号の入力部とに接続され、前記ガス検知信号及び/又は前記火災検知信号の入力により通電し、前記電源切替回路を動作させる接点の開閉を制御するとともに第1の電磁弁開閉回路又は第2の電磁弁開閉回路を動作させる接点の開閉を制御する第2のリレーを備え、前記スイッチング回路に接続した直流のガス放出制御回路と、
を有し、
前記電源切替回路は、
前記三相交流電源から前記制御回路に電力出力がないときは通電されず、前記第2の警報器用電力出力回路を閉じ、
通電時には、前記室外機用電力出力制御回路を閉じ、前記蓄電池充電回路を閉じ、前記第2の警報器用電力出力回路を開く回路であり、
前記ガス放出制御回路は、
通電時に、前記電源切替回路を開き、前記三相交流電源投入中は前記第1の電磁弁開閉回路を動作させ、前記三相交流電源OFF中は前記第2の電磁弁開閉回路を動作させる回路であり、
前記三相交流電源投入有無に関わらず前記冷媒の漏洩を検知可能とし、前記冷媒の漏洩を検知したとき及び/又は火災の発生を検知したときに前記冷媒を室外へ放出させることを特徴とする請求項2記載の冷媒ガス緊急外部放出システム。
【請求項4】
前記制御回路が復旧スイッチを備え、前記ガス検知信号及び/又は前記火災検知信号が入力された後、前記復旧スイッチが入力されるまでは、前記三相交流電源から電力が入力された後も前記電源切替回路を開いたままで、前記室外機用電力出力制御回路を開き前記第2の警報器用電力出力回路を閉じて前記ガス警報器への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力することにより前記ガス警報器への電力出力を継続することを特徴とする、請求項3に記載の冷媒ガス緊急外部放出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖房機能を有する空調機ないし空調設備(以下「空調機」という。)において可燃性の冷媒ガスが漏れ出た際に外部へ放出するための冷媒ガス緊急外部放出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から、空調機に使用される冷媒として、HFC(ハイドロフルオロカーボン)に分類される冷媒番号R-410AやR-32等の代替フロンが多用されている。もっとも、これら代替フロンの地球温暖化係数(GWP)は、R-410Aで約2090、新冷媒として注目されるR―32でも約675であり、更なる低GWP冷媒への転換が求められている。
【0003】
既存空調機に封入されているフロンガスを可燃性冷媒ガスに入替することによって、地球温暖化係数の大幅な削減にはなるが、可燃性ガスであるが故の危険性がある。例えば、ハイドロカーボン(HC)を含む自然冷媒の一種であるR-290は無毒でGWPが約3以下と非常に低いことで知られているが、強燃性であることから、空調機の冷媒として使用することが困難であると考えられてきた。この点、可燃性ガスを冷媒とした空調機には、その安全対策確保を図る観点からみれば、何もされておらず、良くてもガス警報器を、その室内機の下に設置するのみのものもあり、仮に冷媒ガスの漏出事故が発生した場合には、自ら部屋の窓を開けて換気したり、屋外に避難したりする他ないというのが実情であった。そこで、近年の環境保護の観点からの冷凍空調機器への可燃性冷媒ガスの使用の可能性を鑑みて、火災の延長を早期又は未然に防止する技術が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
今後、地球温暖化防止の観点から、既設の空調機の冷媒を前述の自然冷媒に入れ替えることが考えられる。もっとも、漏れ出した可燃性ガスは一定以上の濃度に達すると爆風を伴った火災を引き起こし、多大な人的ないし物的損害を与えかねないため、空調機の冷媒として可燃性の冷媒を導入する場合には十分な安全対策を講じる必要がある。この点、特許文献1に開示される技術は、ガスの漏洩を検知した場合に、ガス遮断弁を閉止してガスの供給を停止する等の手段を講じるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の従来のシステムでは、室内や冷媒配管内に可燃性の冷媒ガスが残るため、建物火災の場合の防火対策として不十分であり、引火や濃度上昇による火災等の危険は払しょくされない。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、R-290等の可燃性ガスを冷媒として用いた空調機を安全に使用可能とし、かつ、停電時でも可燃性ガスの監視及び緊急放出を可能とし、安全性を高めることができる冷媒ガス緊急外部放出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、上記目的を達成するため、試行錯誤のうえ本発明を発明したものである。
【0009】
本発明の第1の態様は、室外機と室内機とに連結した冷媒配管を備える空調機の冷媒ガス緊急外部放出システムであって、
前記冷媒配管には、室外に冷媒を放出可能な電磁弁を備えた外部放出管が分岐して連結してあり、
可燃性の冷媒のガス警報器であって可燃性冷媒ガスの検知器と前記検知器が一定濃度のガスを検知したとき警報信号を発信する手段とともに備えてあるガス警報器と、前記電磁弁と、前記室外機と、に接続し、前記空調機の動力回路から充電されるバッテリー充電器と、前記バッテリー充電器により電力供給される蓄電池と、を備えた制御装置が、
前記ガス警報器が前記冷媒の漏洩を検知し45秒後に作動し、前記室外機への電力供給を停止し、同時に、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出し、停電時においても、前記ガス警報器に電力を供給し続け前記ガス警報器が前記冷媒の漏れを検知し45秒後に作動し、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出し、一方で、前記室外機への通電は行わないことを特徴とする冷媒ガス緊急外部放出システムを提供する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、R-290等の可燃性ガスを冷媒として用いた空調機を安全に使用可能とし、かつ、停電時でも可燃性ガスの監視及び緊急放出を可能とし、安全性を高めることができる。
【0011】
さらに、前記制御装置が、室内に設けた火災報知器に接続してあり、
前記制御装置が、前記火災報知器が火災の発生を検知したときに、前記室外機への電力供給を停止し、同時に、前記電磁弁を開弁して前記冷媒配管内から前記冷媒を室外へ放出することが好ましい。火災も検知して冷媒ガスを室外へ放出することができ、より安全に使用できる。
【0012】
また、前記制御装置が、三相交流電源から前記室外機に電力を出力する動力回路に接続した制御回路を有し、
前記制御回路が、
前記ガス警報器への電力出力部と、前記ガス警報器からのガス検知信号の入力部と、前記火災報知器からの火災検知信号の入力部と、前記電磁弁への電力出力部とを有し、
前記動力回路に設けた接点の開閉を制御する電磁開閉器を備え、通電時に前記動力回路を閉じる、交流の室外機用電力出力制御回路と、
前記動力回路から前記バッテリー充電器を充電する交流のバッテリー充電回路と、
前記バッテリー充電器から前記蓄電池を充電する蓄電池充電回路と、
交流を直流に変換するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路に接続し、前記三相交流電源投入時に前記ガス警報器への電力出力部に前記動力回路から電力を出力する第1の警報器用電力出力回路と、
前記ガス警報器への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力する第2の警報器用電力出力回路と、
前記蓄電池充電回路の開閉と前記第2の警報器用電力出力回路の開閉とを切替する接点の開閉を制御するとともに前記室外機用電力出力制御回路を閉じる接点の開閉を制御する第1のリレーを備え、前記スイッチング回路に接続した直流の電源切替回路と、
前記スイッチング回路に接続し、前記電磁弁への電力出力部に前記動力回路から電力を出力して開弁する第1の電磁弁開閉回路と、
前記電磁弁への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力して開弁する第2の電磁弁開閉回路と、
前記ガス警報器からのガス検知信号の入力部と前記火災報知器からの火災検知信号の入力部とに接続され、前記ガス検知信号及び/又は前記火災検知信号の入力により通電し、前記電源切替回路を動作させる接点の開閉を制御するとともに第1の電磁弁開閉回路又は第2の電磁弁開閉回路を動作させる接点の開閉を制御する第2のリレーを備え、前記スイッチング回路に接続した直流のガス放出制御回路と、
を有し、
前記電源切替回路は、
前記三相交流電源から前記制御回路に電力出力がないときは通電されず、前記第2の警報器用電力出力回路を閉じ、
通電時には、前記室外機用電力出力制御回路を閉じ、前記蓄電池充電回路を閉じ、前記第2の警報器用電力出力回路を開く回路であり、
前記ガス放出制御回路は、
通電時に、前記電源切替回路を開き、前記三相交流電源投入中は前記第1の電磁弁開閉回路を動作させ、前記三相交流電源OFF中は前記第2の電磁弁開閉回路を動作させる回路であり、
前記三相交流電源投入有無に関わらず前記冷媒の漏洩を検知可能とし、前記冷媒の漏洩を検知したとき及び/又は火災の発生を検知したときに前記冷媒を室外へ放出させることが好ましい。
【0013】
また、前記制御回路が復旧スイッチを備え、前記ガス検知信号及び/又は前記火災検知信号が入力された後、前記復旧スイッチが入力されるまでは、前記三相交流電源から電力が入力された後も前記電源切替回路を開いたままで、前記室外機用電力出力制御回路を開き前記第2の警報器用電力出力回路を閉じて前記ガス警報器への電力出力部に前記蓄電池から電力を出力することにより前記ガス警報器への電力出力を継続することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、R-290等の可燃性ガスを冷媒として用いた空調機を安全に使用可能とし、かつ、停電時でも可燃性ガスの監視及び緊急放出を可能とし、安全性を高めることができる。
【0015】
より詳細には、本発明によれば、ガス漏れや火災を検知したときに可燃性冷媒ガスを外部(大気中)に放出する仕組みを備え、さらに停電時も可燃性ガスの監視及び緊急放出を行う仕組みを備えていることから、可燃性ガスを冷媒とする空調機を安全に運転することができる。
【0016】
本発明に係る冷媒ガス緊急外部放出システムは、設置済みのエアコンや業務用冷蔵庫等の空調機に取り付けることもできる。本発明を既設の空調機に適用したうえで、空調機の冷媒をR-290等の可燃性ガスに入れ替えて使用することで、地球温暖化係数の低い冷媒の利用が促進されるため、地球温暖化対策に大きく貢献しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の冷媒ガス緊急外部放出システムの実施例1の全体構成を模式的に示した図である。
【
図2】本発明の冷媒ガス緊急外部放出システムの実施例1の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の冷媒ガス緊急外部放出システムについて、添付図面を参照して実施例を用いて本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
{構成}
図1は、本発明の冷媒ガス緊急外部放出システムの実施例1の全体構成を模式的に示した図である。本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムは、室外機2と室内機(図示省略)とに連結した冷媒配管5を備える空調機の冷媒ガス緊急外部放出システムである。冷媒配管5は室外機2と室内機をつなぎ配管内の冷媒を循環させるための配管で、室外機2は、空調機の室外機であって、室内機内と室外機内にそれぞれ備えた熱交換器で冷媒配管5内の冷媒の熱交換を行うことによって、室内の空気の温度を調整する。本実施例では、
図1で示すように、冷媒配管5には、その内部に冷媒番号R-290の自然冷媒を充填する。冷媒は、室外機2の内部に配置されたコンプレッサーにより圧縮する。圧縮された状態で冷媒は液状となる。冷媒配管5は、室内外を隔てる壁901を貫通し、室外機2と室内機とを連結し、冷媒が室外機と室内機を循環して室内の温度を調節する。
【0020】
冷媒配管5には、分岐して室外に冷媒を放出するための外部放出管6が連結してある。外部放出管6は、ノーマルクローズ型(常時閉)の二方弁型の電磁弁4を備え、配管内の冷媒の外部放出を制御する。また、本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムは、空調を行う室内にガス警報器1を設けてあり、ガス警報器1内には、可燃性冷媒ガスの検知器を備える。可燃性冷媒ガスの検知器は、検知器が一定濃度のガスを検知したとき警報信号を発信する手段とともにガス警報器1内に備えてある。本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムは、電磁弁4と室外機2とガス警報器1とに接続した制御装置を有する。
【0021】
本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムの制御装置は、ガス警報器1が冷媒ガスの漏洩を検知したときに、室外機2への電力供給を停止し、同時に、電磁弁4を開弁して冷媒配管5内から冷媒を室外へ放出する。
【0022】
本実施例では、一例として、空調機がエアコンである場合を述べるが、これに限定するものではなく、空調機が業務用冷凍庫等であってもよい。冷媒は、プロパンである場合を述べるが、これに限定するものではなく、他の可燃性冷媒ガスであってもよい。また、空調機は、もともとは可燃性でない冷媒ガスを用いるものであって、冷媒を可燃性ガスに入れ替えたものであってもよい。冷媒は可燃性ガスでなくてもよいが、本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムは、可燃性の冷媒ガスの取扱いにより適するシステムである。
【0023】
本実施例では、制御装置は、さらに、密閉型鉛蓄電池21、22とバッテリー充電器20とを備える。本実施例では、停電時においても、ガス警報器に電力を供給し続け、ガス警報器がガス漏れを検知したときに、電磁弁4を開弁して冷媒配管5内から冷媒を室外へ放出する。
【0024】
本実施例では、上述した制御装置に接続された火災報知器(図示省略)が室内の天井等に設けてある。火災報知器は、火災を検知したとき警報信号を発信する手段を備える。本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムでは、制御装置が、火災報知器からの火災検知信号を受けたときもガス警報器1からガス検知信号を受けたときと同様に、電磁弁4を開弁し冷媒配管5内から冷媒を室外へ放出するとともに、室外機2への電力供給を停止する。
【0025】
外部放出管6は、壁901から離れる方向に延設し、その他端は上方に向けて配設され大気中に開放されている。該他端の先端にはキャップが設けてあり、外部からの雨風・ゴミ等が外部放出管6内に侵入しないように、また、内部から冷媒ガスが放出されたときはその圧力で容易にキャップが外れて外部へ冷媒ガスが放出できるようにしてある。
【0026】
電磁弁4は、常時閉であるので、平常時には外部放出管6内の冷媒の流れが電磁弁4によって遮断されており、後述するとおり、電磁弁4を開弁したとき、冷媒配管5内に充填された圧縮状態の冷媒ガスが外部放出管6を通じて建物から離れた位置で大気中に放出される。外部放出管6は銅管であり、冷媒配管5と電磁弁4とを繋ぐ連結部601と、基端側が電磁弁4に取り付けられ先端側が上方に向けて伸びる放出部602と、により構成される。
【0027】
{回路}
次に、上記の機能を発揮するために本実施例の制御装置が備える回路の構成について説明する。
図2は、本発明の冷媒ガス緊急外部放出システムの実施例1の回路図である。
図2は、シーケンス回路を表す図である。本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムの制御装置は、三相交流電源から室外機に電力を出力する動力回路に接続した制御回路を有する。制御回路は、室外機2、電磁弁4、ガス警報器1及び火災報知器の回路に接続されたインターロック回路で、電装部品収納盤3内に設けられている。
【0028】
制御回路は、ガス警報器1への電力出力部と、ガス警報器1からのガス検知信号の入力部と、火災報知器からの火災検知信号の入力部と、電磁弁4への電力出力部とを備える。また、制御回路は、室外機用電力出力制御回路と電源切替回路とガス放出制御回路とを有する。また、本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムの制御装置の制御回路には、ガス漏れ又は火災発生を知らせるパイロットランプ17が備えてある。以下詳細に述べる。
【0029】
ガス警報器1への電力出力部及びガス警報器1からのガス検知信号の入力部はガス警報器用操作線7を介してガス警報器1に接続され、火災報知器からの火災検知信号の入力部は火災報知器に接続され、電磁弁4への電力出力部は電磁弁用操作線10を介して電磁弁4に接続されている。
【0030】
三相交流電源からは入力電源線8を介して
図2中の3Pの端子台11に設けられた端子R、S、Tから動力回路へ電力が出力され、動力回路からは3Pの端子台11に設けられた端子R1、S1、T1より出力電源線9を介して室外機2へ電力を出力する。10Pの端子台12には、ガス警報器1への電力出力部である端子TB1~TB6、ガス警報器1からのガス検知信号の入力部である端子TB7~TB12、火災報知器からの火災検知信号の入力部である端子TB13と端子TB14、電磁弁4への電力出力部である端子TB15と端子TB16とアース(端子TB19と端子TB20)が設けられている。制御回路にはスイッチング回路15が設けられ、交流から直流へ変換される。また、電源切替回路は第1のリレーY14のコイル部を含み、ガス放出制御回路は第2のリレーX13のコイル部を含み、室外機用電力出力制御回路は電磁開閉器Z16のコイル部を含む。
図2において、接点X-1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、3b、3cは第2のリレーX13に対応し、接点Y-1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、3b、3c、4a、4b、4cは第1のリレーY14に対応し、接点Z-1a、1b、1cは電磁開閉器Z16に対応する。第1のリレーY14、第2のリレーX13には、本実施例では直流動作式のメカニカルリレーを、電磁開閉器Z16には交流動作式のメカニカルリレーを採用している。制御回路のうち、直流回路部分は複数のダイオードを用いて整流されている。
【0031】
図2において、端子RからZ-1aを通って端子R1までの回路と端子SからZ-1bを通って端子S1までの回路と端子TからZ-1cを通って端子T1までの交流の3回路を動力回路と総称し、端子Sの動力回路と端子Tの動力回路とに接続された回路を制御回路とする。
【0032】
かかる制御回路のうち、電磁開閉器Z16であるリレーのコイル部を通り、動力回路に設けた接点(Z-1a、Z-1b、Z-1c)の開閉を制御する電磁開閉器16を備え、接点Y-1aとY-1cを通って、通電時に動力回路を動作させて室外機2への電力出力する交流の回路を、室外機用電力出力制御回路とする。また、バッテリー充電器20から2Cの端子台19を介して密閉型鉛蓄電池21、22を充電する直流の回路を、蓄電池充電回路とする。また、動力回路からバッテリー充電器20を充電する交流の回路をバッテリー充電回路とする。また、室外機用電力出力制御回路に接続して、三相交流電源投入時に、交流と直流をスイッチングする回路を、スイッチング回路15とする。スイッチング回路15に接続し、ダイオードを介して、ガス警報器1への電力出力部(端子TB1~TB6)に、動力回路から電力を出力する回路を、第1の警報器用電力出力回路とする。停電時等、三相交流電源から制御回路への電力出力がない場合に動作する回路で、ガス警報器1への電力出力部(端子TB1~TB6)に密閉型鉛蓄電池21、22から、接点Y-4bとY-4c、接点Y-3cとY-3b、接点Y-2bとY-2cを通って、ダイオードを介して電力を出力する回路を、第2の警報器用電力出力回路とする。また、室外機用電力出力制御回路を動作させる接点(Y-1aとY-1c)の開閉を制御するとともに蓄電池充電回路の動作と第2の警報器用電力出力回路の動作とを切替する接点(Y-3a・3bとY-3c、Y-4a・4bとY-4c)の開閉を制御する第1のリレーY14を備え、接点X-2bとX-2cを通って、スイッチング回路15に接続した直流の回路を、電源切替回路とする。
【0033】
また、スイッチング回路15に接続し、電磁弁4への電力出力部(端子TB15~TB16)に、動力回路から、ダイオードを介して接点X-3aとX-3cを通って、電磁弁4に電力を出力して電磁弁4を開弁する回路を、第1の電磁弁開閉回路とする。また、電磁弁4への電力出力部(端子TB15~TB16)に、密閉型鉛蓄電池21、22から、接点Y-4bとY-4cを通って接点Y-3cとY-3bを通って接点Y-2bとY-2cを通って、ダイオードを介して接点X-3aとX-3cを通って、電磁弁4に電力を出力して電磁弁4を開弁する回路を、第2の電磁弁開閉回路とする。また、ガス警報器1からのガス検知信号の入力部(TB7~TB12)と火災報知器からの火災検知信号の入力部(TB13~TB14)とに接続され、ガス検知信号又は火災検知信号の入力あるいは両方の信号の入力により通電し、電源切替回路を動作させる接点(X-2cとX-2b)の開閉を制御するとともに、第1の電磁弁開閉回路又は第2の電磁弁開閉回路を動作させる接点(X-3aとX-3c)の開閉を制御し、さらに、パイロットランプ17を動作させるランプ点灯回路を動作させる接点(X-1aとX-1c)の開閉を制御する、第2のリレーX13を備え、スイッチング回路15に接続した直流の回路を、ガス放出制御回路とする。また、ガス警報器1からのガス検知信号の入力部(TB7~TB12)と火災報知器からの火災検知信号の入力部(TB13~TB14)とに接続され、パイロットランプ17を通って、接点X-1cとX-1aを通って、復旧スイッチ18がOFFのとき繋がる接点を通る回路を、ランプ点灯回路とする。各回路は、回路中に接点がある場合、接点が接続されると回路が閉じ、通電可能となる。複数の回路で共通する部分があり、接点が切り替わると通電可能な(すなわち閉じる)回路が切り替わる。
【0034】
電源切替回路が閉じて通電されると、第1のリレーY14により、接点Y-3cはY-3aと接続し、接点Y-4cはY-4aと接続し、したがって、蓄電池充電回路は閉じて動作し第2の警報器用電力出力回路は開いて動作しない。電源切替回路がOFF(非通電)時は、接点Y-3cはY-3bと接続し、接点Y-4cはY-4bと接続し、蓄電池充電回路は開いて動作せず、第2の警報器用電力出力回路は閉じて動作する。ガス放出制御回路が閉じて通電されると、第2のリレーX13により、接点X-2cはX-2aと接続し、したがって、電源切替回路は開いて動作しない。ガス放出制御回路が閉じて通電すると、第2のリレーX13により、接点X-1cはX-1aと接続し、ランプ点灯回路が閉じ、パイロットランプ17が点灯する。電源切替回路が開いて通電されている時は、第1のリレーY14により、接点Y-2cはY-2bと接続するので、回路中に接点Y-2cとY-2bとを有する第2の警報器用電力出力回路は開いて通電せず、第1の警報器用電力出力回路が閉じて通電可能となり、ガス警報器1への電力出力部(端子TB1~TB6)に電力が出力され、すなわち三相交流電源を電源としてガス警報器1が稼働する。このとき、冷媒のガス感知によりガス放出制御回路に通電すると、第2のリレーX13により、接点X-3cはX-3aと接続する。したがって、動力回路に通電中(三相交流電源投入中)でガス警報器が冷媒の漏れを感知したときには第2の電磁弁開閉回路が閉じて通電可能となり、電磁弁4への電力出力部(端子TB15~TB16)に電力が出力されて電磁弁4が開弁する。一方、動力回路に通電されていないとき(三相交流電源未投入中)には、上述のように第2の警報器用電力出力回路が閉じて動作し、密閉型鉛蓄電池21、22から接点Y-4bとY-4c、接点Y-3cとY-3b、接点Y-2bとY-2cを通って、ガス警報器1への電力出力部(端子TB1~TB6)に電力が出力され、すなわち密閉型鉛蓄電池21、22を電源としてガス警報器1が稼働する。このとき、冷媒のガス感知によりガス警報器が冷媒の漏れを感知したときには、第2のリレーX13により、接点X-3aとX-3cを通る第1の電磁弁開閉回路が閉じて通電可能となり、閉型鉛蓄電池21、22から、接点X-3aとX-3cを通って、電磁弁4への電力出力部(端子TB15~TB16)に電力が出力されて電磁弁4が開弁する。すなわち、三相交流電源からの電力供給(電源投入)の有無にかかわらず、ガス警報器1には電力が供給され、ガス警報器1が冷媒のガスの漏洩を検知したときに冷媒のガスを室外へ放出させる。よって停電時も安全性を保つことができる。
【0035】
ガス放出制御回路が動作すると第2のリレーX13により接点X-1cとX-1aが接続され、パイロットランプ17への通電を制御し、冷媒ガスの漏洩を検知したとき及び/又は火災の発生を検知したときに、パイロットランプ17を点灯させる。本実施例の冷媒ガス緊急外部放出システムの制御装置の制御回路は、ガス漏れ又は火災発生による緊急状態を解除するための復旧スイッチ18を備え、ガス検知信号及び/又は火災検知信号が入力された後、復旧スイッチ18が入力される(ONに切り替えられる)までガス放出制御回路への通電を継続し、三相交流電源から電力が入力された後も、電源切替回路と室外機用電力出力制御回路とに通電せず、ガス警報器1への電力出力部には密閉型鉛蓄電池21、22から電力を出力することによりガス警報器1への電力出力を継続する。
【0036】
図2は、第1のリレーY14、第2のリレーX13、電磁開閉器Z16がいずれもOFF(非通電)の状態(初期状態)を示す。第2のリレーX13がOFFのとき、接点X-1cはブレーク接点X-1bと、接点X-2cはブレーク接点X-2bと、接点X-3cはブレーク接点X-3bと接続される。第1のリレーY14がOFFのとき、接点Y-1cはブレーク接点Y-1bと、接点Y-2cはブレーク接点Y-2bと、接点Y-3cはブレーク接点Y-3bと、接点Y-4cはブレーク接点Y-4bと接続され、電磁開閉器Z16がOFFのとき、Z-1a、Z-1b、Z-1cはいずれもスイッチがOFFの状態となる。
【0037】
第2のリレーX13がOFFからONに切り替わる(第2のリレーX13のコイル部に電流が流れる)と、点X-1cはメーク接点X-1aと、接点X-2cはメーク接点X-2aと、接点X-3cはメーク接点X-3aと接続される。第1のリレーY14がOFFからONに切り替わると、接点Y-1cはメーク接点Y-1aと、接点Y-2cはメーク接点Y-2aと、接点Y-3cはメーク接点Y-3aと、接点Y-4cはメーク接点Y-4aと接続され、電磁開閉器Z16がONのとき、Z-1a、Z-1b、Z-1cはいずれもスイッチがONの状態となる。
【0038】
{処理プロセス:通電時}
三相交流電源に電源を供給する前は、
図2に示す状態である。この状態では、室外機2への電力は供給されていない。端子R、S、Tから動力回路へ三相電圧AC200Vが供給されると、スイッチング回路15でAC200VがDC24Vに変換され、接点X-2cはブレーク接点X-2bと接続されているため、DC24Vの電流が、第1のリレーY14、X-2c、アースへと流れ、第1のリレーY14がONとなるため、接点Y-1cがメーク接点Y-1aと接続され、したがって、AC200Vの電流が、電磁開閉器Z16、Y-1cへと流れ、電磁開閉器Z16がONとなるため、Z-1a、Z-1b、Z-1cのスイッチがONとなり、端子R、S、Tから端子R1、S1、T1へとAC200Vが供給される。
【0039】
室外機2が起動待機状態となり、エアコンリモコンスイッチをONにすると、室外機2が作動する。また、スイッチング回路15のDC24Vが10Pの端子台12の端子TB1~TB6を介してガス警報器1(DC24V用)に供給され、ガス警報器1が監視状態に入る。このとき、第1のリレーY14がONであるので、接点Y-2cはメーク接点Y-2aと、接点Y-3cはメーク接点Y-3aと、接点Y-4cはメーク接点Y-4aと接続されているので、2Cの端子台19に設けられたプラス端子とマイナス端子を介して、バッテリー充電器20からDC12Vの密閉型鉛蓄電池21、22に電力が供給され充電が行われる。室外機2が起動待機状態であるとき、バッテリー充電器20にはAC200Vが供給される。
【0040】
{処理プロセス:通電状態でのガス検知時}
可燃性ガスの冷媒が室内で漏洩し規定の濃度に達した場合、ガス警報器1がガス漏れを検知し45秒後に作動し、a接点無電圧が出力、10Pの端子台12の端子TB7~TB12がショート、すなわち、ガス検知信号を受信すると、したがって、第2のリレーX13が作動し、同時に、次の(ア)~(ウ)の3つの動作が引き起こされる。(ア)第2のリレーX13がONとなることにより接点X-2cはメーク接点X-2aに接続されるため、第1のリレーY14の回路が遮断され、第1のリレーY14がOFFとなる。第1のリレーY14がOFFになることにより接点Y-1cはメーク接点Y-1aに接続されるため、電磁開閉器Z16の回路(室外機用電力出力制御回路)が遮断され、電磁開閉器Z16がOFFとなる。電磁開閉器Z16がOFFとなることにより室外機2への電力供給がストップし、室外機2の圧縮機の動作がOFFとなる。(イ)第2のリレーX13がONとなることにより接点X-3cはメーク接点X-3aに接続されるため、スイッチング回路15から、DC24Vの二方弁型冷媒用の電磁弁4への電力出力部である端子TB15と端子TB16に電力が出力され、電磁弁4が開弁し、室外機2及び冷媒配管5内の冷媒は、外部放出管6の連結部601から電磁弁4を介して放出部602へと流れガス化して外部へと全量放出される。(ウ)第2のリレーX13がONとなることにより接点X-1cはメーク接点X-1aに接続されるため、復旧スイッチ18のパイロットランプ17が赤色に点灯し、第2のリレーX13はON状態を保持し続ける。なお、
図2において、復旧スイッチ18の下には電圧計が描かれている。
【0041】
ガス警報器1でのガス検知状態が解除されて10Pの端子台12の端子TB7~TB12からの信号がなくなり室内が通常の状態となっても、第2のリレーX13がON状態を保持し続けるため、電磁開閉器Z16はONにならず、室外機2はOFF状態となっている。火災報知器が火災発生を検知したときもガス検知時と同様に動作する。
【0042】
{処理プロセス:手動復旧時}
ガス検知後に通常の状態となった後、第2のリレーX13をOFFにする、すなわち、ガス放出制御回路をOFFにする場合、操作者は手動で復旧スイッチ18を押す。復旧スイッチ18が押下されることにより、復旧スイッチ18のパイロットランプ17が消灯し、第2のリレーX13のロック状態が解除されOFFとなり、これに伴い、第1のリレーY14がONとなり、電磁開閉器Z16がONとなり、室外機2に通電され起動待機状態になる。
【0043】
{処理プロセス:停電時}
室外機2が起動待機状態又は起動中に停電又は電源消失すると、インターロック回路を組み込んだ上記制御回路の第1のリレーY14と電磁開閉器Z16がOFFとなる。第1のリレーY14がOFFとなることにより、接点Y-2cはブレーク接点Y-2bに、接点Y-3cはブレーク接点Y-3bに接続され、接点Y-4cはブレーク接点Y-4bに接続されるので、直接接続した密閉型鉛蓄電池21、22から端子TB1~6を介してガス警報器1に電力が出力され、第2のリレーX13が監視状態となる。したがって、停電又は電源消失時にガス漏れが発生して規定の濃度に達した場合、バックアップ用の密閉型鉛蓄電池21、22により、通電状態でのガス検知時と同様に、配管内のガス放出とパイロットランプ点灯が行われる。スイッチング回路15のDC24Vが故障した場合は、室外機2への通電は行われない。その場合でも、密閉型鉛蓄電池21、22によりDC24Vが供給され監視状態を継続する。
【0044】
{効果}
本実施例によれば、ガス漏れや火災を検知したとき、室外機の運転を停止し、冷媒配管内から冷媒を室外へ放出し、停電時においても、ガス警報器に電力を供給し続け、ガス漏れを検知したときに冷媒配管内から冷媒を室外へ放出するので、R-290等の可燃性ガスを冷媒として用いた空調機を安全に使用可能とし、かつ、停電時でも可燃性ガスの監視及び緊急放出を可能とし、安全性を高めることができる。また、本実施例によれば、既存の空調機に封入されている代替フロンガスのR-32やR-410Aと比較して、はるかに低い地球温暖化係数を有する可燃性ガスR-290を上述したフロンガスと入れ替えた後のガス漏れや火災に対して、人的、物的な損害を削減する安全対策の一環としても役立つ。本実施例によれば、安全性を担保出来るので、地球温暖化係数の大幅な削減を恒常的に可能とする。また、本実施例は、高圧ガス保安法で求められる、冷媒ガス漏洩検知警報設備としての要件を満たしている。
【0045】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ガス警報器
2 室外機
3 電装部品収納盤
4 電磁弁
5 冷媒配管
6 外部放出管
601 連結部
602 放出部
7 ガス警報器用操作線
8 入力電源線
9 出力電源線
10 電磁弁用操作線
11 3Pの端子台
12 10Pの端子台
13 第2のリレーX
14 第1のリレーY
15 スイッチング回路
16 電磁開閉器Z
17 パイロットランプ
18 復旧スイッチ
19 2Cの端子台
20 バッテリー充電器
21 密閉型鉛蓄電池
22 密閉型鉛蓄電池
901 壁
【要約】
【課題】R-290等の可燃性ガスを冷媒として用いた空調機を安全に使用可能とし、かつ、停電時でも可燃性ガスの監視及び緊急放出を可能とし、安全性を高めることができる。
【解決手段】室外機2と室内機とに連結した冷媒配管5を備える空調機の冷媒ガス緊急外部放出システムであって、冷媒配管5には、室外に冷媒を放出可能な電磁弁4を備えた外部放出管6が分岐して連結してあり、可燃性の冷媒のガス警報器1と電磁弁4と室外機2とに接続し蓄電池とバッテリー充電器とを備えた制御装置が、ガス警報器2が前記冷媒の漏洩を検知したときに、室外機2への電力供給を停止し、同時に、電磁弁4を開弁して冷媒配管5内から前記冷媒を室外へ放出し、停電時においても、ガス警報器2に電力を供給し続けガス警報器2が前記冷媒の漏れを検知したときに電磁弁4を開弁して冷媒配管5内から前記冷媒を室外へ放出するものとする。
【選択図】
図1