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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】風呂用マット
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A47K3/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020031222
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132844
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 シンエイテクノ総合カタログ、第11号 2020(令和2年)、第12ページ シンエイテクノ総合カタログ、第11号改 2020(令和2年)、第12ページ シンエイテクノ株式会社パンフレット「ダイヤタッチハイ」 株式会社ウェルファンカタログ「福祉用具便利帳」、第37号、第185ページ
(73)【特許権者】
【識別番号】500084108
【氏名又は名称】シンエイテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】南條 潤二
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-041875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0328833(US,A1)
【文献】中国実用新案第202801116(CN,U)
【文献】登録実用新案第3002304(JP,U)
【文献】実開平01-150090(JP,U)
【文献】特開2002-010938(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03320928(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
A47G 27/00 - 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のマット本体の外周縁部が外方に向かって厚みを減じるよう、該外周縁部の上面が傾斜面となっている風呂用マットにおいて、
該マット本体の外周縁部には、指掛用凹部が凹湾曲状に形成されていることを特徴とする風呂用マット。
【請求項2】
前記マット本体の表裏両面には、防滑用の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の風呂用マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床面や浴槽の底といった濡れて滑りやすい場所に敷いて用いられる風呂用マットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の床面や浴槽の底(以下、「床面等」という。)は濡れて滑りやすいため、バランスを崩しやすいお年寄りや足腰の弱い人の転倒事故が起きやすい。そこで、このような転倒事故を未然に防止すべく、風呂用マットを浴室の床面等に敷くことが従来から行われている(例えば、先行技術文献1参照)。
【0003】
従来の風呂用マットは、マット本体の外周縁部の厚みが外方に向かうにしたがって減じるよう、外周縁部の上面が傾斜面となっているので、床面等との間の段差が小さくなり、躓きにくい。また、マット本体の底面に形成されている防滑用の凹凸の存在により風呂用マットが横ズレしにくく、バランスを崩して転倒するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-118486号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入浴後、風呂用マットを浴室の床面等に敷いたままにしておくと、風呂用マットに湯垢が付着したりカビが発生して不衛生である。そこで、風呂用マットを床面等から引き剥がして乾燥させるのであるが、上述したように風呂用マットは、躓き防止のために外周縁部の段差が小さくなっているため、指先で引っ掛けて摘み上げようとしても引っ掛かりが小さく、また、防滑用の凹凸が床面等に密着していることとも相まって、風呂用マットを床面等から引き剥がすのは大変な困難を伴う作業となっている。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、床面等に敷いた後、簡単に引き剥がすことが可能な風呂用マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、「シート状のマット本体12の外周縁部12aが外方に向かって厚みを減じるよう、該外周縁部12aの上面12bが傾斜面となっている風呂用マ
ットにおいて、
該マット本体12の外周縁部12aには、指掛用凹部16が凹湾曲状に形成されている」ことを特徴とする風呂用マット10である。
【0009】
請求項に記載した発明は、「マット本体12の表裏両面には、防滑用の凹凸14が形成されている」ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明において、指掛用凹部に指を挿入すると、指の腹全体が指掛用凹部に当接するので、指とマット本体との間の接触面積が大幅に増加し、風呂用マットを床面等から簡単に引きはがすことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明に係る風呂用マットを示す図である。
図2】風呂用マットの外周縁部を示す側面図である。
図3】指掛用凹部に指を引っ掛けて風呂用マットを床面等から引き上げる様子を示す図である。
図4】指掛用凹部をマット本体のコーナー部分近傍に形成した例を示す図である。
図5】指掛用凹部をマット本体のコーナー部分に形成した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明にかかる風呂用マット10を示す図である。この図が示すように、本発明の風呂用マット10は、矩形シート状のマット本体12の表裏両面に、防滑用の凹凸14が形成されたものである。
【0013】
マット本体12は、矩形のシート状部材で、その大きさは任意に設定することができる(本実施例では、浴槽内に敷くことができるような大きさに設定されている)。
【0014】
マット本体12の厚みは、本実施例では3mm程度に設定されている。マット本体12の外周縁部12aは、外方に向かうにしたがって厚みが減じるよう、その上面12bが下り傾斜しており(図2参照)、その傾斜した上面12bの先端から垂直面12cが垂れ下がっている。
【0015】
マット本体12の一対の長辺の中央部分および一対の短辺の中央部分には、指掛用凹部16がそれぞれ形成されている。各指掛用凹部16は、略U状に切り欠かれた凹湾曲形状の部分で、その内寸aは、指(通常は人差し指)を挿入できるよう、指の外寸と大略等しく或いは若干大きめに設定されている。
【0016】
マット本体12の上面および下面には、防滑用の凹凸14が形成されている。防滑用の凹凸14は、マット本体12に対して凹溝14aを形成することにより構成される。凹溝14aは、斜行して所定間隔で交差してダイヤ形状の凸部14bを作るように、架橋時における金型の加熱圧締によって押圧形成されている。
【0017】
凹溝14aの深さは、マット本体12の厚み等によって適宜設定すればよく、本実施例では、マット本体12の厚み3mmに対して、凹溝14aの深さが0.5mmに設定されている。
【0018】
凹凸14の大きさ(凹溝14aの間隔。換言すれば、各凸部14bの大きさ)は、マット本体12の表裏両面で同じ大きさに設定してもよいし、異なるようにしてもよい。本実施例では、マット本体12の裏面側の凹凸14が表面側の凹凸14よりも大きめに設定されている。
【0019】
マット本体12の母材となる樹脂としては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ポリ塩化ビニルといった一般的に風呂用マットとして使用される熱可塑性弾性樹脂を使用することができる。本実施例では、母材としてEPDMが使用され、これに無機充填剤、架橋剤、プロセスオイルおよび着色剤が添加される。
【0020】
無機充填剤は、製品の強度を高める改質剤或いは増量剤として添加されるもので、母材(ここではEPDM)の配合量を100重量%としたとき、約30~40重量%の割合で添加される。
【0021】
無機充填剤としては、公知のものを適宜使用することができ、その一例としては、カーボンブラック、シリカ、クレイ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機フィラーや、セルロース、レシチン、リグニン、デンドリマー等の有機フィラーを例示することができる。
【0022】
架橋剤は、母材同士を連結(架橋)させるためのもので、母材の配合量を100重量%としたとき、約1重量%程の割合で添加される。
【0023】
架橋剤としては、公知のものを適宜使用することができ、その一例としては、ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ジイソプロピルベンゼンのようなパーオキシケタール、或いは、ジクミルパーオキサイドのようなジアルキルパーオキサイド等が挙げられる。
【0024】
プロセスオイルは、ゴムの可塑性を高めて作業性をよくしたり、ゴムの硬度を下げるために用いられるもので、母材の配合量を100重量%としたとき、約6~8重量%の割合で添加される。
【0025】
プロセスオイルとしては、公知のものを適宜使用することができ、その一例としては、例えばパラフィンオイル、ナフテンオイル、トリグリセリド系植物オイルなどが挙げられる。
【0026】
着色剤は、マット本体12を着色するためのもので、母材の配合量を100重量%としたとき、約3~5重量%の割合で添加される。着色剤の具体例としては、有機顔料や無機顔料或いは染料が挙げられる。
【0027】
次に、風呂用マット10の製造方法について説明する。まず、下記表1に記載された配合に従って、各配合物をそれぞれ個別にオープンロール、バンバリーミキサ、加圧ニーダ等で均一に混練し、風呂用マット10を製造するための混練物を調整した。
【0028】
【表1】
【0029】
上記混練物を、ロール、押出機等により所定の厚みに成形し、加熱・加圧用の金型で一段加熱・加圧方式により、温度150~180℃、圧力:100~160kg/cmで7~8分程度保持して混練物を架橋させることで、目的とする風呂用マット10が得られる。
【0030】
風呂用マット10を使用する際は、浴室の洗い場や浴槽など濡れて滑りやすい場所に敷くだけでよい。マット本体12は、その外周縁部12aの厚みが外周に向かうにしたがって減じるようにその上面12bが傾斜しているので、床面等との間の段差が小さく、つまづきを防止できる。また、マット本体12の表裏両面に防滑用の凹凸14が形成されているので、転倒を防止できる。
【0031】
入浴後等、風呂用マット10を干す時は、指掛用凹部16に指を入れ、指の腹を指掛用凹部16の垂直面12cに引っ掛けてマット本体12を引き上げる。
【0032】
ここで、指掛用凹部16は、その内寸aが指の外寸と大略等しく或いは若干大きめに設定されているので、指掛用凹部16に指を引っ掛けると、指の腹が指掛用凹部16の垂直面12cや上面12bの湾曲ラインに当たって指とマット本体12との間の接触面積が大きくなり、床面等から風呂用マット10を簡単に引き剥がすことができる。
【0033】
なお、上述実施例では、指掛用凹部16がマット本体12の長辺および短辺の各中央部分に設けられていたが、図4に示すように、指掛用凹部16を長辺および短辺の各コーナー部分近傍にそれぞれ設けるようにしてもよいし、図5に示すように、指掛用凹部16をマット本体12のコーナー部分に設けるようにしてもよい。これらの場合、マット本体12のコーナー部分が最初に捲れあがるので、風呂用マット10を床面等からより簡単に引き剥がすことが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
10:風呂用マット、12:マット本体、12a:外周縁部、12b:上面、12c:垂直面、14:(防滑用の)凹凸、14a:凹溝、14b:凸部、16:指掛用凹部、a:(指掛用凹部の)内寸

図1
図2
図3
図4
図5