(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20231222BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20231222BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
(21)【出願番号】P 2020080892
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-241489(JP,A)
【文献】特開2020-37776(JP,A)
【文献】特開2019-218839(JP,A)
【文献】特開2017-96058(JP,A)
【文献】特開2005-188699(JP,A)
【文献】特開2003-105825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のパッキン部を有し、槽体の底壁部に形成された排水口を開閉するための栓蓋と、
上下動可能に構成された支持軸とを備え、
前記支持軸は、当該支持軸の上動時に前記栓蓋と接触しつつ当該栓蓋を持上げる持上げ部を有し、
前記支持軸の下動に伴い所定の接触対象部に前記パッキン部が接触することで前記排水口が閉状態となる一方、前記支持軸の上動に伴い前記持上げ部によって前記栓蓋が持上げられて前記接触対象部から前記パッキン部が離間することで前記排水口が開状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記排水口が閉状態であるときに前記栓蓋へと下向きの力が加わることで、前記パッキン部が弾性変形して、当該栓蓋が下方に沈み込み可能に構成されており、
前記栓蓋は、前記排水口が閉状態であるときに当該栓蓋が下方に沈み込んだ状態において、所定の受け部と接触することで当該栓蓋のそれ以上の沈み込みを防止する規制部を具備し、
前記受け部に前記規制部が接触した状態において、前記持上げ部及び前記栓蓋が上下方向に離間した状態となるように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記排水口に挿通されるとともに、内側空間が槽体からの排水の流路を構成する筒状の排水口部材を備え、
前記受け部は、前記排水口部材の上端面によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記受け部は、前記排水口部材の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の受け片部によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記栓蓋の外周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の規制片部によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記栓蓋は、
前記規制部よりも上方に位置する板状の蓋部と、
前記蓋部及び前記規制部を連結する補強部とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記栓蓋は、前記蓋部の裏面から下方に向けて突出し、前記パッキン部が外周に配置される筒状部を具備し、
前記補強部は、前記筒状部に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記支持軸に対しその下動方向に向けた引込力を付与する引込力付与部を備え、
前記栓蓋は、
前記規制部よりも上方に位置する板状の蓋部と、
前記蓋部の裏側に設けられるとともに、前記支持軸の上端部に取付けられる被取付部とを有し、
前記支持軸には、所定の係止部が設けられるとともに、
前記被取付部には、前記係止部が係止可能な被係止部が設けられ、
前記支持軸の上端部に前記被取付部が取付けられている状態においては、前記引込力付与部から前記支持軸に付与される引込力が、前記係止部及び当該係止部に係止された前記被係止部を介して前記栓蓋に加わるように構成されており、
前記支持軸の上端部から前記被取付部が外れている状態において、前記支持軸の上端部上に前記被取付部を設置しつつ、前記栓蓋に下向きの力を加えることで、前記支持軸の上端部に前記被取付部を取付可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項8】
前記排水口が開状態であるときに前記栓蓋へと下向きの力が加わった際に、当該栓蓋を介して前記支持軸に加わる負荷を吸収するショックアブソーバ手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉可能な栓蓋を有する排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、栓蓋を上下動させることによって、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)に設けられた排水口を開閉するためのものである。
【0003】
排水栓装置としては、弾性変形可能な環状のパッキン部を有する栓蓋、当該栓蓋を支持する上下動可能な支持軸、及び、排水口に挿通される筒状の排水口部材などを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。このような排水栓装置では、支持軸が上動して当該支持軸における所定部位(例えば支持軸の上端面)によって栓蓋が持ち上げられることで、排水口が開状態となる。一方、支持軸が下動してパッキン部が所定の接触対象部(例えば、排水口部材や槽体における所定部位など)と接触することで、排水口が閉状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排水口を閉状態としたときにおいては、栓蓋に重量物を載置したり栓蓋を踏み付けたりすること等により、栓蓋に対し下向きの大きな力が加わる可能性がある。このような力が栓蓋に加わると、栓蓋を介して支持軸やパッキン部に対し過大な負荷が印加され、結果的に、支持軸、支持軸に関連する各種部品(例えば、支持軸と連動したり支持軸を支えたりするための部品)及びパッキン部などにおいて破損や変形が生じるおそれがある。また、接触対象部が下方に向けて徐々に内径の減少するテーパ形状をなす場合には、栓蓋に対し下向きの大きな力が加わることで、接触対象部に対するパッキン部の嵌り込みが生じて、排水口の開閉に支障が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水口が閉状態であるときに栓蓋に対し下向きの大きな力が加わった場合であっても、当該力による各種不具合の発生をより確実に防止することができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.環状のパッキン部を有し、槽体の底壁部に形成された排水口を開閉するための栓蓋と、
上下動可能に構成された支持軸とを備え、
前記支持軸は、当該支持軸の上動時に前記栓蓋と接触しつつ当該栓蓋を持上げる持上げ部を有し、
前記支持軸の下動に伴い所定の接触対象部に前記パッキン部が接触することで前記排水口が閉状態となる一方、前記支持軸の上動に伴い前記持上げ部によって前記栓蓋が持上げられて前記接触対象部から前記パッキン部が離間することで前記排水口が開状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記排水口が閉状態であるときに前記栓蓋へと下向きの力が加わることで、前記パッキン部が弾性変形して、当該栓蓋が下方に沈み込み可能に構成されており、
前記栓蓋は、前記排水口が閉状態であるときに当該栓蓋が下方に沈み込んだ状態において、所定の受け部と接触することで当該栓蓋のそれ以上の沈み込みを防止する規制部を具備し、
前記受け部に前記規制部が接触した状態において、前記持上げ部及び前記栓蓋が上下方向に離間した状態となるように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0009】
上記手段1によれば、排水口が閉状態であるときに、例えば栓蓋に対し重量物を載置したり栓蓋を踏んだりすること等によって栓蓋へと下向きの力が加わると、栓蓋に設けられた規制部が所定の受け部と接触することで、当該栓蓋のそれ以上の沈み込みが防止される。そして、規制部が受け部と接触した状態においては、支持軸の持上げ部と栓蓋とが上下方向に離間した状態となる。従って、栓蓋に対し下向きの大きな力が加わったとしても、その力が支持軸(持上げ部)へと伝わることをより確実に防止できる。その結果、支持軸、支持軸に関連する各種部品、及び、パッキン部などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。また、規制部が受け部と接触することで栓蓋の過度の沈み込みを防止可能となるため、接触対象部が下方に向けて徐々に内径の減少するテーパ形状をなす場合には、接触対象部に対するパッキン部の嵌り込みが生じにくくなる。これにより、パッキン部の嵌り込みに伴い、排水口の開閉に支障が生じることを効果的に抑制できる。
【0010】
手段2.前記排水口に挿通されるとともに、内側空間が槽体からの排水の流路を構成する筒状の排水口部材を備え、
前記受け部は、前記排水口部材の上端面によって構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0011】
上記手段2によれば、排水口部材の上端面によって受け部が構成されている。従って、受け部を構成するための特別の部品などを別途設置することなく、排水の流路として機能する排水口部材を有効的に利用して受け部を構成することができる。これにより、装置の製造などに係るコストの低減を図ることができる。また、受け部として特別の部品などを特段設置しないことから、受け部の存在による排水能力の低下を防ぐことができる。加えて、一般に排水口部材及び支持軸は一定の位置関係で配置されるため、力の伝達防止を図るべき対象(支持軸)に対し受け部をより正確に狙いの相対位置関係で配置することができる。これにより、上記手段1の構成(規制部が受け部と接触した状態において持上げ部及び栓蓋が上下方向に離間するという構成)をより確実かつ容易に実現することができる。
【0012】
手段3.前記受け部は、前記排水口部材の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の受け片部によって構成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
【0013】
上記手段3によれば、受け部は、排水口部材の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の受け片部によって構成されている。すなわち、受け部は環状に連続するものではなく非連続のものであって、各受け片部同士の間には隙間が形成された状態となっている。従って、排水口を開状態として槽体からの排水を行うときに、前記隙間を通って排水口部材内(排水の流路)へと排水が流れ込みやすくなる。これにより、仮に規制部の存在による排水能力の低下が若干生じたとしても、その能力低下を補って十分に良好な排水能力をより確実に確保することができる。
【0014】
手段4.前記規制部は、前記栓蓋の外周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の規制片部によって構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0015】
上記手段4によれば、規制部は、栓蓋の外周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の規制片部によって構成されているため、各規制片部同士の間に隙間が形成された状態となる。そのため、排水口を開状態として槽体からの排水を行うときに、前記隙間を通って排水が流れ得る状態となり、ひいては規制部の存在による排水能力の低下をより生じにくくすることができる。その結果、良好な排水能力を一層確実に確保することができる。
【0016】
手段5.前記栓蓋は、
前記規制部よりも上方に位置する板状の蓋部と、
前記蓋部及び前記規制部を連結する補強部とを有することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0017】
上記手段5によれば、蓋部及び規制部を連結する補強部が設けられている。従って、負荷に対する規制部の耐久性を高めることができ、規制部の破損や変形をより確実に防止することができる。その結果、規制部を設けることによる作用効果をより長期間に亘って、かつ、より確実に発揮させることができる。
【0018】
手段6.前記栓蓋は、前記蓋部の裏面から下方に向けて突出し、前記パッキン部が外周に配置される筒状部を具備し、
前記補強部は、前記筒状部に連結されていることを特徴とする手段5に記載の排水栓装置。
【0019】
上記手段6によれば、補強部が筒状部に連結されているため、負荷に対する補強部ひいては規制部の耐久性を一段と高めることができる。これにより、負荷の印加に伴う規制部の破損や変形を一層確実に防止することができる。
【0020】
手段7.前記支持軸に対しその下動方向に向けた引込力を付与する引込力付与部を備え、
前記栓蓋は、
前記規制部よりも上方に位置する板状の蓋部と、
前記蓋部の裏側に設けられるとともに、前記支持軸の上端部に取付けられる被取付部とを有し、
前記支持軸には、所定の係止部が設けられるとともに、
前記被取付部には、前記係止部が係止可能な被係止部が設けられ、
前記支持軸の上端部に前記被取付部が取付けられている状態においては、前記引込力付与部から前記支持軸に付与される引込力が、前記係止部及び当該係止部に係止された前記被係止部を介して前記栓蓋に加わるように構成されており、
前記支持軸の上端部から前記被取付部が外れている状態において、前記支持軸の上端部上に前記被取付部を設置しつつ、前記栓蓋に下向きの力を加えて前記受け部に前記規制部を接触させた状態とすることで、前記支持軸の上端部に前記被取付部を取付可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
【0021】
尚、上記手段5,7における蓋部は同じものであり、上記手段5に従属する上記手段7において蓋部が複数存在することを意図するものではない。
【0022】
上記手段7によれば、支持軸の上端部に被取付部(栓蓋)が取付けられている状態においては、排水口を閉状態としたときに、引込力付与部から支持軸に付与される引込力が、係止部等を介して栓蓋に加わる。従って、接触対象部に対しパッキン部を比較的大きな圧力で接触させることができ、良好な止水性を得ることができる。
【0023】
さらに、上記手段7によれば、支持軸の上端部から被取付部が外れている状態においては、支持軸の上端部上に被取付部に設置(例えば、支持軸及び被取付部が同軸状となった状態で支持軸上に被取付部を載置)しつつ、栓蓋に下向きの力を加えることで、支持軸の上端部に被取付部を取付けることができる。従って、支持軸の上端部に対する被取付部の取付を容易に行うことができる。また、支持軸の上端部に被取付部を取付けるべく栓蓋に力を加えたときに受け部へと規制部が接触し得るため、取付時において支持軸へと過度の負荷が加わらずに済む。これにより、単に栓蓋に下向きの力を加えることで、支持軸などの破損や変形を生じさせることなく、支持軸の上端部に対する被取付部の取付を簡便に行うことができる。
【0024】
手段8.前記排水口が開状態であるときに前記栓蓋へと下向きの力が加わった際に、当該栓蓋を介して前記支持軸に加わる負荷を吸収するショックアブソーバ手段を備えることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の排水栓装置。
【0025】
上記手段8によれば、排水口が開状態であるときに、例えば栓蓋を踏む等により栓蓋へと下向きの大きな力(負荷)が加わった場合であっても、ショックアブソーバ手段によって栓蓋を介して支持軸に加わる負荷を吸収することができる。これにより、排水口が開状態であるときにおいて、支持軸やこれに関連する各種部品(例えば、支持軸と連動したり支持軸を支えたりするための部品)における破損や変形をより確実に防ぐことができる。結果的に、上記手段1の構成を有する上記手段8によれば、排水口が閉状態であっても開状態であっても、栓蓋へと下向きの力が加わることによる支持軸等の破損や変形を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】排水口を閉状態としたときにおける、排水栓装置の断面図である。
【
図3】排水口を開状態としたときにおける、排水栓装置の断面図である。
【
図4】排水口を閉状態としたときに栓蓋に下向きの力が加わった際における、排水栓装置の断面図である。
【
図5】支持軸から被取付部が外れている状態において、支持軸に被取付部を取付ける手法を説明するための説明図である。
【
図6】別の実施形態における排水口部材の斜視図である。
【
図7】別の実施形態における規制部などを示すための栓蓋の斜視図である。
【
図8】別の実施形態における規制部などを示すための栓蓋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられている。浴槽100は、その底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。
【0028】
排水栓装置1は、排水口部材2、配管3、アタッチメント部材4、支持軸機構5及び栓蓋6を備えている。
【0029】
排水口部材2は、内側空間が浴槽100からの排水の流路を構成する筒状部品であり、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致した状態で排水口102に挿設されている。排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。尚、本実施形態において、鍔部21の厚さは比較的大きなものとされているが、鍔部21の厚さを適宜変更してもよい。
【0030】
加えて、排水口部材2は、鍔部21の上面(つまり排水口部材2の上端面)によって構成されてなる、円環状の受け部23を備えている。受け部23は、排水口102を閉状態としたときにおいて、栓蓋6に対し下向きの力が加わり当該栓蓋6が下動したときに、当該栓蓋6の後述する規制部615と接触する部位である。
【0031】
さらに、排水口部材2は、少なくとも排水口102が閉状態であるときに、後述するパッキン部62と接触する被接触面24を備えている。本実施形態における被接触面24は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状をなしている。本実施形態では、被接触面24が「接触対象部」に相当する。
【0032】
配管3は、円筒状をなしており、排水口部材2とともに浴槽100からの排水の流路を構成する。配管3は、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、排水口102に排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31に螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底壁部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
【0033】
また、本実施形態において、配管3の上端面と底壁部101との間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材7が配置されている。当該シール部材7によって、排水口部材2及び配管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。尚、漏水防止をより効果的に図るべく、鍔部21の下面と底壁部101との間にシール部材を配置してもよい。
【0034】
アタッチメント部材4は、排水の流路において支持軸機構5を保持するためのものである。アタッチメント部材4は、排水口部材2の内周面に取付けられる環状の外環部41と、支持軸機構5を保持する筒状の保持部42と、外環部41及び保持部42を連結する複数の連結部43とを備えている。連結部43は、保持部42の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられており、各連結部43間の隙間を通って排水が下流へと流れるようになっている。
【0035】
支持軸機構5は、栓蓋6を上下動させるための機構であり、ケース部51、支持軸52、内筒部53、アブソーバスプリング54及び戻りばね55を備えている。本実施形態では、アブソーバスプリング54が「ショックアブソーバ手段」に相当し、戻りばね55が「引込力付与部」に相当する。
【0036】
ケース部51は、円筒状をなしており、上下動不能な状態で保持部42により保持されている。支持軸52は、上端部が閉塞した円筒状をなしており、往復移動(上下動)可能な状態でケース部51の内周に配置されている。
【0037】
また、支持軸52の上端部外周には、外側に向けて突出する係止部52aが設けられている。係止部52aは、支持軸52の周方向に沿って連続的に延びる円環状をなしている。係止部52aが後述する被係止部612aに係止されることで、支持軸52から栓蓋6が外れることを防止したり、支持軸52によって栓蓋6を下方に引込んだりすることが可能となる。
【0038】
さらに、支持軸52の上端部には栓蓋6が取付けられており、支持軸52の往復移動(上下動)に伴い栓蓋6が上下動するようになっている。本実施形態では、支持軸52の上動に伴い当該支持軸52の上端面によって栓蓋6が持上げられることで、栓蓋6が上動する。すなわち、本実施形態では、支持軸52の上端面によって、支持軸52の上動時に栓蓋6と接触しつつ当該栓蓋6を持上げる持上げ部52bが構成されている。
【0039】
内筒部53は、上端部が閉塞した円筒状をなしており、支持軸52の内部に配置されている。内筒部53の内周には、図示しない操作部(例えば押しボタン等)の変位による駆動力を伝達するための伝達部材8(例えば、金属製のワイヤ)の端部が挿通されており、内筒部53の上端部下面に対し当該伝達部材8の端面が接触可能とされている。尚、伝達部材8は、筒状のチューブ部材9の内周において往復移動可能な状態で配置されている。また、前記操作部を備えてなる操作装置(図示せず)には、伝達部材8を往動(前記操作部側から支持軸機構5側に移動)した状態でロックすることにより、内筒部53を往動(上動)した状態でロックするための図示しないロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。
【0040】
アブソーバスプリング54は、金属線を螺旋状に巻回してなるばね部品によって構成されており、支持軸52の内部において、支持軸52の上側段差部分と内筒部53の下側鍔状部分とによって上下方向に挟まれた状態で配置されている。排水口102が開状態(支持軸52が上動した状態)であるときに栓蓋6を踏み付けた場合など、栓蓋6へと下向きの大きな力が加わった場合には、アブソーバスプリング54が圧縮変形することによって、栓蓋6を介して支持軸52に加わる負荷が吸収されるようになっている。尚、
図1等では、アブソーバスプリング54及び戻りばね55について、これらの断面のみをそれぞれ模式的に示している。
【0041】
戻りばね55は、金属線を螺旋状に巻回してなるばね部品によって構成されており、ケース部51と支持軸52との間に若干圧縮変形した状態で配置されている。戻りばね55は、支持軸52に対しその復動(下動)方向に向けた引込力を付与する役割を有する。
【0042】
栓蓋6は、排水口102を開閉するための栓である。栓蓋6は、
図2に示すように、樹脂等からなる栓蓋本体部61と、弾性変形可能な材料(例えばゴムや樹脂等)により形成されるとともに、栓蓋本体部61に取付けられた環状のパッキン部62とを有している。
【0043】
栓蓋本体部61は、円板状の蓋部611と、それぞれ当該蓋部611の下面(裏面)から下方に突出する円筒状の被取付部612(
図1等参照)及びガイド部613とを備えている。本実施形態では、ガイド部613が「筒状部」に相当する。
【0044】
被取付部612は、ガイド部613の内側において当該ガイド部613と同心円状に設けられている。被取付部612は、支持軸52に対する栓蓋6の被取付部として機能する部位であり、当該被取付部612に支持軸52の上端部が挿通されることで、支持軸52の上端部に対し栓蓋6が取付けられている。
【0045】
さらに、被取付部612における下端側内周には、内側に向けて突出する被係止部612aが設けられている(
図1等参照)。本実施形態において、被係止部612aは、被取付部612の周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
【0046】
加えて、ガイド部613は、保持部42の外周に配置されており、支持軸52の往復移動(上下動)に伴い保持部42の外周に沿って移動するものである。ガイド部613は、栓蓋6の傾きや水平方向に沿った位置ずれの発生をより確実に防止した状態で、栓蓋6の往復移動をガイドする役割を担う。
【0047】
また、ガイド部613の外周には、当該ガイド部613の周方向に延びる環状溝613aが設けられている(
図1等参照)。当該環状溝613aに対しパッキン部62が嵌合されることで、ガイド部613の外周にパッキン部62が取付けられた状態となっている。
【0048】
さらに、栓蓋本体部61は、前記環状溝613a(パッキン部62)よりも蓋部611側に位置し、ガイド部613の外周から突出する鍔状基部614と、当該鍔状基部614の外周から突出する規制部615とを備えている。鍔状基部614は、ガイド部613及び規制部615を連結するための部分であり、排水口部材2の上端面、すなわち受け部23の内径よりも小さな外径を有している。
【0049】
規制部615は、栓蓋6の外周方向(ガイド部613の周方向)に沿って間隔をあけて設けられた複数(本実施形態では、等間隔に設けられた4つ)の規制片部615aによって構成されている。本実施形態において、規制片部615aは、平面視矩形状であって、板厚方向が上下方向とされた板状をなしている。規制部615の外径(より詳しくは、各規制片部615aの外周部分を通る仮想円の直径)は、受け部23の内径よりも大きく受け部23の外径よりも小さなものとされている。
【0050】
さらに、栓蓋本体部61は、蓋部611及び規制部615を連結する補強部616を備えている。本実施形態において、補強部616は、板状のリブによって構成されており、各規制片部615a及び蓋部611を連結するようにして複数設けられている。また、各補強部616は、ガイド部613の外周面に連結された状態となっている。
【0051】
上述した排水栓装置1においては、次のようにして排水口102の開閉状態を切換えることができる。すなわち、パッキン部62の外周寄り部分が被接触面24と接触している場合(つまり排水口102が閉状態である場合)、前記操作部を操作(例えば、押圧)することで伝達部材8が往動し、伝達部材8によって内筒部53や支持軸52等が戻りばね55からの力に抗して押し上げられて上動する。また、支持軸52の上動に伴い、持上げ部52b(支持軸52の上端面)によって栓蓋6が持上げられて上動する。そして、支持軸52が十分に上動した状態で前記操作部への操作が解除されると、支持軸52が若干だけ下降しつつ、前記ロック機構によって伝達部材8が往動した状態でロックされる。その結果、支持軸52が上動した状態でロックされ、パッキン部62が被接触面24から離間した状態となることで、排水口102が開状態となる(
図3参照)。
【0052】
一方、排水口102が開状態であるときに前記操作部を再度操作(例えば押圧)すると、伝達部材8が再び往動し、前記ロック機構による伝達部材8のロックが解除される。そして、前記操作部に対する操作が解除されると、戻りばね55からの引込力によって支持軸52が下動する。その結果、パッキン部62におけるその外周寄り部分全周が被接触面24と接触することで、排水口102が閉状態となる(
図1参照)。
【0053】
また、本実施形態では、被取付部612に支持軸52の上端部が挿通されて当該支持軸52の上端部に栓蓋6が取付けられている状態においては、排水口102を閉状態としたときに、支持軸52の下部がその下方の部品から浮いた状態となる。つまり、支持軸52の下部に空間S(
図1参照)が存在した状態となる。これにより、戻りばね55から支持軸52に付与される引込力が、係止部52a及び当該係止部52aに係止された被係止部612aを介して栓蓋6に加わることとなる。その結果、被接触面24に対しパッキン部62が比較的大きな圧力で接触することとなる。
【0054】
さらに、本実施形態では、排水口102が閉状態であるときに、例えば栓蓋6に対し重量物を載置したり栓蓋6を踏んだりすること等によって栓蓋6へと下向きの力が加わった際には、パッキン部62が弾性変形することで、栓蓋6が下方に沈み込み可能となっている。そして、
図4に示すように、排水口102が閉状態であるときに栓蓋6が下方に沈み込んだ状態においては、規制部615が受け部23と接触することで当該栓蓋6のそれ以上の沈み込みが防止されるようになっている(
図4参照)。また、受け部23に規制部615が接触した状態においては、戻りばね55から加えられる引込力によって支持軸52が下動(復動)して前記空間Sが存在しない状態となり、その結果、持上げ部52b及び栓蓋6が上下方向に離間した状態となる。
【0055】
加えて、本実施形態では、
図5に示すように、被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部612aに係止部52aが係止されていない状態では、下動させた支持軸52及び被取付部612が同軸状となるように当該支持軸52の上端部上に当該被取付部612を設置した上で、栓蓋6に下向きの力を加えることで、支持軸52の上端部に被取付部612を取付可能とされている。すなわち、支持軸52が下動した状態であっても当該支持軸52へと栓蓋6を取付けることができ、また、栓蓋6に下向きの力を加えた際には受け部23へと規制部615が接触し得るため、取付に伴う余計な力が支持軸52に加わらないようになっている。
【0056】
以上詳述したように、本実施形態によれば、排水口102が閉状態であるときに栓蓋6に下向きの力が加わると、規制部615が受け部23と接触することで、当該栓蓋6のそれ以上の沈み込みが防止される。そして、規制部615が受け部23と接触した状態においては、支持軸52の持上げ部52bと栓蓋6とが上下方向に離間した状態となる。従って、排水口102が閉状態であるときに、栓蓋6に対し下向きの大きな力が加わったとしても、その力が支持軸52(持上げ部52b)へと伝わることをより確実に防止できる。その結果、支持軸52、支持軸52に関連する各種部品(例えば、伝達部材8やアタッチメント部材4等)及びパッキン部62などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。また、規制部615が受け部23と接触することで栓蓋6の過度の沈み込みを防止可能となるため、本実施形態のように、被接触面24が下方に向けて徐々に内径の減少するテーパ形状をなす場合であっても、被接触面24に対するパッキン部62の嵌り込みが生じにくくなる。これにより、パッキン部62の嵌り込みに伴い、排水口102の開閉に支障が生じることを効果的に抑制できる。
【0057】
加えて、本実施形態では、排水口部材2の上端面によって受け部23が構成されている。従って、受け部23を構成するための特別の部品などを別途設置することなく、排水の流路として機能する排水口部材2を有効的に利用して受け部23を構成することができる。これにより、排水栓装置1の製造などに係るコストの低減を図ることができる。また、受け部23として特別の部品などを特段設置しないことから、受け部23の存在による排水能力の低下を防ぐことができる。加えて、支持軸52(支持軸機構5)はアタッチメント部材4を介して排水口部材2に取付けられており、支持軸52及び排水口部材2は一定の位置関係で配置されているため、力の伝達防止を図るべき対象(支持軸52)に対し受け部23をより正確に狙いの相対位置関係で配置することができる。これにより、「規制部615が受け部23と接触した状態において持上げ部52b及び栓蓋6が上下方向に離間するという構成」をより確実かつ容易に実現することができる。
【0058】
さらに、規制部615は複数の規制片部615aによって構成されているため、各規制片部615a同士の間に隙間が形成された状態となる。そのため、排水口102を開状態として浴槽100からの排水を行うときに、前記隙間を通って排水が流れ得る状態となり、ひいては規制部615の存在による排水能力の低下をより生じにくくすることができる。その結果、良好な排水能力を一層確実に確保することができる。
【0059】
また、蓋部611及び規制部615を連結する補強部616が設けられているため、負荷に対する規制部615の耐久性を高めることができ、規制部615の破損や変形をより確実に防止することができる。その結果、規制部615を設けることによる作用効果をより長期間に亘って、かつ、より確実に発揮させることができる。さらに、本実施形態では、補強部616がガイド部613に連結されているため、負荷に対する補強部616ひいては規制部615の耐久性を一段と高めることができる。これにより、負荷の印加に伴う規制部615の破損や変形を一層確実に防止することができる。
【0060】
加えて、本実施形態では、支持軸52の上端部に被取付部612(栓蓋6)が取付けられている状態においては、排水口102を閉状態としたときに、戻りばね55から支持軸52に付与される引込力が、係止部52a等を介して栓蓋6に加わる。従って、排水口102を閉状態としたときに、被接触面24に対しパッキン部62を比較的大きな圧力で接触させることができ、良好な止水性を得ることができる。
【0061】
さらに、支持軸52の上端部から被取付部612が外れている状態においては、支持軸52の上端部上に被取付部612に設置しつつ、栓蓋6に下向きの力を加えることで、支持軸52の上端部に被取付部612を取付けることができる。従って、支持軸52に対する被取付部612の取付を容易に行うことができる。また、支持軸52に被取付部612を取付けるべく栓蓋6に力を加えたときに受け部23へと規制部615が接触し得るため、取付時において支持軸52へと過度の負荷が加わらずに済む。これにより、単に栓蓋6に下向きの力を加えることで、支持軸52などの破損や変形を生じさせることなく、支持軸52に対する被取付部612(栓蓋6)の取付を簡便に行うことができる。
【0062】
また、排水口102が開状態である(支持軸52が上動した状態である)ときに下向きの大きな力(負荷)が加わった場合であっても、アブソーバスプリング54によって栓蓋6を介して支持軸52に加わる負荷を吸収することができる。これにより、排水口102が開状態であるときにおいて、支持軸52やこれに関連する各種部品における破損や変形をより確実に防ぐことができる。結果的に、本実施形態によれば、排水口102が閉状態であっても開状態であっても、栓蓋6へと下向きの力が加わることによる支持軸52等の破損や変形を効果的に防止することができる。
【0063】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0064】
(a)上記実施形態において、受け部23は、排水口部材2の上端面によって構成されているが、排水口部材2の上端面以外の部分によって構成されていてもよい。従って、例えば、アタッチメント部材4や浴槽100の底壁部101などによって受け部を構成してもよい。また、排水口部材2やアタッチメント部材4等とは別に設けた部品によって、受け部を構成してもよい。
【0065】
(b)上記実施形態において、受け部23は、排水口部材2の周方向に沿って連続する円環状をなしている。これに対し、
図6に示すように、受け部23を、排水口部材2の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数(本例では、等間隔に設けられた8つ)の受け片部23aによって構成してもよい。すなわち、受け部23を、環状に連続するものではなく非連続のものであって、各受け片部23a同士の間に隙間23bが形成されるように構成してもよい。このように構成した場合には、排水口102を開状態として浴槽100からの排水を行うときに、隙間23bを通って排水口部材2内(排水の流路)へと排水が流れ込みやすくなる。これにより、仮に規制部615の存在による排水能力の低下が若干生じたとしても、その能力低下を補って十分に良好な排水能力をより確実に確保することができる。
【0066】
尚、排水性能の向上を図るという点では、隙間23bの幅(排水口部材2の周方向に沿った各受け片部23a間の間隔)を規制片部615aの幅(栓蓋6の外周方向に沿った規制片部615aの幅)以上とすることが好ましい。但し、隙間23bの幅を規制片部615aの幅以上とする場合には、例えば、排水口部材2に対する栓蓋6(規制部615)の回転を規制する手段など、隙間23bに規制片部615aが落ち込まないようにするための手段を設けることが好ましい。
【0067】
一方、隙間23bに規制片部615aが落ち込まないようにするための手段を設けることなく、受け部23(受け片部23a)に対し規制部615をより確実に接触可能とするという点では、隙間23bの幅を規制片部615aの幅よりも小さなものとすることが好ましい。従って、排水性能という点では、隙間23bの幅を規制片部615aの幅以上とすることが好ましく、製造コストの増大や装置の複雑化を防止するという点では、隙間23bの幅を規制片部615aの幅よりも小さなものとすることが好ましい。
【0068】
(c)上記実施形態において、補強部616としての板状のリブが規制部615に連結されているが、
図7に示すように、リブ617が、規制部615に連結されることなく、鍔状基部614及び蓋部611を連結するように構成してもよい。この場合には、鍔状基部614の破損や変形をより確実に防止することが可能となり、その結果、鍔状基部614の外周に設けられた規制部615による作用効果をより長期間に亘って、かつ、より確実に発揮させることができる。
【0069】
(d)上記実施形態において、規制片部615aは平面視矩形状をなしているが、規制片部615aの形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、
図7に示すように、規制片部615aが平面視三角形状をなすように構成してもよい。また、
図8に示すように、鍔状基部614を設けることなく、規制片部615aを補強部616と一体的に形成し、規制片部615a及び補強部616が全体で板状をなすように構成してもよい。
【0070】
加えて、規制部615を蓋部611と一体的に形成してもよい。例えば、蓋部611の裏面(下面)に突部を設け、当該突部によって規制部を構成してもよい。また、突部などを設けることなく、単に蓋部611の裏面(下面)の一部によって規制部を構成してもよい。
【0071】
さらに、規制部615は、必ずしも相互に離間した複数の規制片部615aによって構成されるものではなく、環状に連続した部分によって構成されていてもよい。
【0072】
(e)上記実施形態において、持上げ部52bは支持軸52の上端面によって構成されているが、持上げ部52bを支持軸52におけるその他の部位によって構成してもよい。例えば、支持軸52の上動時に、被取付部612と接触してこれを持上げる段部(肩部)によって持上げ部を構成してもよい。
【0073】
(f)上記実施形態では、排水口部材2を利用して浴槽100に対し配管3が接続されているが、排水口部材2を設けることなく、例えばねじ止め等によって浴槽100に対し配管3を接続するように構成してもよい。この場合、受け部を、アタッチメント部材4や浴槽100の底壁部101などによって構成すればよい。
【0074】
(g)上記実施形態におけるパッキン部62の構成は一例であって、パッキン部62の構成を適宜変更してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ガイド部613の外周にパッキン部62が配置されており、ガイド部613によって「筒状部」が構成されている。これに対し、蓋部611の裏面(下面)から下方に突出する筒状部をガイド部613とは別に設け、当該筒状部の外周にパッキン部が配置されるように構成してもよい。
【0076】
(h)上記実施形態では、栓蓋6に対し重量物を載置したり栓蓋6を踏んだりした際に栓蓋6が下方に沈み込んで、受け部23に規制部615が接触する例を挙げている。これに対し、栓蓋6に加わる力がより小さな場合において、栓蓋6が下方に沈み込んで受け部23に規制部615が接触するように構成してもよい。例えば、浴槽100に貯留された水から加わる水圧によって栓蓋6が下方に沈み込むとともに受け部23に規制部615が接触するように構成してもよい。このように構成した場合には、水圧の印加に伴いパッキン部62に過大な負荷が加わることをより確実に防止でき、パッキン部62の保護を効果的に図ることができる。
【0077】
(i)上記実施形態では、被接触面24によって接触対象部が構成されているが、被接触面24以外の部位によって接触対象部を構成してもよい。従って、例えば、浴槽100(底壁部101)によって接触対象部を構成してもよい。
【0078】
(j)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…排水栓装置、2…排水口部材、23…受け部、23a…受け片部、24…被接触面(接触対象部)、6…栓蓋、52…支持軸、52a…係止部、52b…持上げ部、54…アブソーバスプリング(ショックアブソーバ手段)、55…戻りばね(引込力付与部)、62…パッキン部、611…蓋部、612…被取付部、612a…被係止部、613…ガイド部(筒状部)、615…規制部、615a…規制片部、616…補強部、100…浴槽(槽体)、101…底壁部、102…排水口。