(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】二次元の拡張を有する導光光学素子を含む光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2021512406
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2019057572
(87)【国際公開番号】W WO2020049542
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2018-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイセンフェルド,ツィオン
(72)【発明者】
【氏名】クリーキー,ローネン
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/065975(WO,A1)
【文献】特開2012-008355(JP,A)
【文献】国際公開第2006/061927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップリングイン領域で注入された画像照明を、ユーザーの目による視認のためのアイモーションボックスへ導くための光学システムであって、前記光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、前記LOEは
、
(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、
(b)前記第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、
(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、前記主要外部表面は、前記部分反射表面の第1のセットおよび前記部分反射表面の第2のセットが両方共、前記主要外部表面の間に位置するように、前記第1の領域および前記第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、
ここで、前記部分反射表面の第2のセットは、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、前記LOEからカップリングアウトされるように、前記主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、前記部分反射表面の第1のセットは、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって、前記カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、前記第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、
ここで、前記部分反射表面の第1のセットの前記部分反射表面の各々は、前記LOEの一部を形成する2つのプレート間の接合平面に、部分反射コーティングを含み、および、ここで、前記部分反射コーティングは、前記接合平面の第1の部分上に位置し、そして、前記部分反射表面の少なくとも1つは、前記2つのプレート間
に前記2つのプレートと屈折率が一致した接着剤で、そしてコーティングなしで接着された接着剤層である光学連続体
を形成するように結合している、前記接合平面の第2の部分を有
し、
前記部分反射表面の第1のセットは、前記カップリングイン領域に近い、隣接する部分反射表面間の間隔が、前記カップリングイン領域から遠い、隣接する部分反射表面間の間隔よりも小さくなるように、不均一な間隔を有する、光学システム。
【請求項2】
カップリングイン領域から前記LOE内を伝播し、前記部分反射表面の第1のセットの1つによって屈折し、そして前記部分反射表面の第2のセットの1つによって、アイモーションボックスに到達する方向にカップリングアウトされる、光線経路の範囲は、前記部分反射表面の第1のセットの前記1つの画像領域を定義し、および、ここで、前記範囲の外側に位置する前記部分反射表面の第1のセットの前記1つの領域は、前記部分反射表面の第1のセットの前記1つの非画像領域を定義し、ここで、前記非画像領域の大部分は、前記2つのプレート間
に前記2つのプレートと屈折率が一致した接着剤で、そしてコーティングなしで接着された接着剤層である光学連続体を形成するように結合している、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、前記画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、前記主要外部表面における内部反射によって前記LOE内を伝播する伝播画像として、前記カップリングイン領域で前記LOEに導入するように、前記LOEに光学的にカップリングされており、前記伝播画像は、前記部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、前記屈折伝播画像は、前記部分反射表面の第2のセットによって部分的に反射され、前記主要外部表面の1つからアイモーションボックスの方へ外側へ導かれたカップリングアウト画像を生成し、前記カップリングアウト画像の前記光軸は、前記部分反射表面の第2のセットの平面内の伸長方向に沿った、傾斜の非ゼロ成分を有する前記主要外部表面への垂線に対して傾いている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記光学システムは、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、および、ここで、前記部分反射表面の第2のセットは、前記主要外部表面に対して平行な伸長方向を有し、前記伸長方向は、X軸に対して角度オフセットを有する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記光学システムは、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、前記画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、前記主要外部表面における内部反射によって前記LOE内を伝播する伝播画像として、前記カップリングイン領域で前記LOEに導入するように、前記LOEに光学的にカップリングされており、前記伝播画像の前記光軸の平面内成分は、X軸に対して前記第2の領域の境界の方へ傾いている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記伝播画像の前記視野の1つの末端の平面内成分は、X軸に対して実質的に平行である、請求項
5に記載の光学システム。
【請求項7】
前記光学システムは、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、前記画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、前記主要外部表面における内部反射によって前記LOE内を伝播する伝播画像として、前記カップリングイン領域で前記LOEに導入するように、前記LOEに光学的にカップリングされており、前記伝播画像は、前記部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、前記屈折伝播画像の前記光軸の平面内成分は、Y軸に対して傾いている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
カップリングイン領域で注入された画像照明を、ユーザーの目による視認のためのアイモーションボックスへ導くための光学システムであって、前記光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、前記LOEは、
(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、
(b)前記第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、
(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、前記主要外部表面は、前記部分反射表面の第1のセットおよび前記部分反射表面の第2のセットが両方共、前記主要外部表面の間に位置するように、前記第1の領域および前記第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、
ここで、前記部分反射表面の第2のセットは、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、前記LOEからカップリングアウトされるように、前記主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、前記部分反射表面の第1のセットは、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって、前記カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、前記第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、
ここで、前記部分反射表面の第1のセットの前記部分反射表面の各々は、前記LOEの一部を形成する2つのプレート間の接合平面に、部分反射コーティングを含み、および、ここで、前記部分反射コーティングは、前記接合平面の第1の部分上に位置し、そして、前記部分反射表面の少なくとも1つは、前記2つのプレート間に前記2つのプレートと屈折率が一致した接着剤で、そしてコーティングなしで接着された接着剤層である光学連続体を形成するように結合している、前記接合平面の第2の部分を有し、
前記光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、前記画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、前記主要外部表面における内部反射によって前記LOE内を伝播する伝播画像として、前記カップリングイン領域で前記LOEに導入するように、前記LOEに光学的にカップリングされており、前記伝播画像は、前記部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、前記LOE内を、前記主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、前記屈折伝播画像は、前記部分反射表面の第2のセットによって部分的に反射され、前記主要外部表面の1つからアイモーションボックスの方へ外側へ導かれたカップリングアウト画像を生成し、前記カップリングアウト画像の前記光軸は、前記部分反射表面の第2のセットの平面内の伸長方向に沿った、傾斜の非ゼロ成分を有する前記主要外部表面への垂線に対して傾いている、光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学システムに関し、特に、光学アパーチャ拡張を達成するための導光光学素子(LOE)を含む光学システムに関する。
【0002】
多くのニアアイディスプレイシステムは、ユーザーの目の前に置かれる、透明な導光光学素子(LOE)または「導波路」を含み、それが、画像をLOE内で内部反射によって伝達し、その後、その画像を、適切な出力カップリングメカニズムによって、ユーザーの目の方へカップリングアウトする。出力カップリングメカニズムは、埋め込まれている部分反射器または「ファセット」に基づくか、または、回折パターンを利用することができる。下記の説明は、主にファセットベースのカップリングアウト配列について言及するが、本発明のさまざまな特徴は回折配列にも適用可能であることを理解されたい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は光学システムである。
【0004】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像照明を、ユーザーの目による視認のためのアイモーションボックス(eye-motion box)へ導くための光学システムが提供され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、ここで、当該部分反射表面の第1のセットの部分反射表面の各々は、LOEの一部を形成する2つのプレート間の接合平面に、部分反射コーティングを含み、および、ここで、当該部分反射コーティングは、接合平面の第1の部分上に位置し、そして、部分反射表面の少なくとも1つは、2つのプレート間に光学連続体を形成するように結合している、接合平面の第2の部分を有する。
【0005】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、カップリングイン領域からLOE内を伝播し、部分反射表面の第1のセットの1つによって屈折し、そして部分反射表面の第2のセットの1つによって、アイモーションボックスに到達する方向にカップリングアウトされる、光線経路の範囲(envelope)は、部分反射表面の第1のセットの1つの画像領域を定義し、および、ここで、当該範囲の外側に位置する部分反射表面の第1のセットの1つの領域は、部分反射表面の第1のセットの1つの非画像領域を定義し、ここで、非画当該像領域の大部分は、2つのプレート間の光学連続体を形成するように結合している。
【0006】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、部分反射表面の第1のセットは、カップリングイン領域に近い、隣接する部分反射表面間の間隔が、カップリングイン領域から遠い、隣接する部分反射表面間の間隔よりも小さくなるように、不均一な間隔を有する。
【0007】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像は、部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、当該屈折伝播画像は、部分反射表面の第2のセットによって部分的に反射され、主要外部表面の1つからアイモーションボックスの方へ外側へ導かれたカップリングアウト画像を生成し、当該カップリングアウト画像の光軸は、部分反射表面の第2のセットの平面内の伸長方向に沿った、傾斜の非ゼロ成分を有する主要外部表面への垂線に対して傾いている。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、および、ここで、部分反射表面の第2のセットは、主要外部表面に対して平行な伸長方向を有し、当該伸長方向は、X軸に対して角度オフセットを有する。
【0009】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像の光軸の平面内成分は、X軸に対して第2の領域の境界の方へ傾いている。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、伝播画像の視野の1つの末端の平面内成分は、X軸に対して実質的に平行である。
【0011】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、投影画像の最初の水平または垂直軸に相当するX軸、および投影画像の他方の軸に相当するY軸を含む主軸で、画像をアイモーションボックスへ投影するように構成され、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像は、部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、当該屈折伝播画像の光軸の平面内成分は、Y軸に対して傾いている。
【0012】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像を、ユーザーの目によって、アイモーションボックスで、視認するために、投影するための光学システムが提供され、当該画像は、投影画像の水平または垂直軸に相当するX軸、およびX軸に対して垂直な、投影画像の軸に相当するY軸を含む主軸で、視認され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、および、ここで、部分反射表面の第2のセットは、主要外部表面に対して平行な伸長方向を有し、当該伸長方向は、X軸に対して角度オフセットを有する。
【0013】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像を、ユーザーの目によって、アイモーションボックスで、視認するために、投影するための光学システムが提供され、当該画像は、投影画像の水平または垂直軸に相当するX軸、およびX軸に対して垂直な、投影画像の軸に相当するY軸を含む主軸で、視認され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像の光軸の平面内成分は、X軸に対して第2の領域の境界の方へ傾いている。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、伝播画像の視野の1つの末端の平面内成分は、X軸に対して実質的に平行である。
【0015】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像を、ユーザーの目によって、アイモーションボックスで、視認するために、投影するための光学システムが提供され、当該画像は、投影画像の水平または垂直軸に相当するX軸、およびX軸に対して垂直な、投影画像の軸に相当するY軸を含む主軸で、視認され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像は、部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、当該屈折伝播画像の光軸の平面内成分は、Y軸に対して傾いている。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、アイモーションボックスは、X軸に対して平行な少なくとも1つの直線によって区切られている。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、投影画像は、X軸およびY軸に対して平行な端部を有する、長方形画像である。
【0018】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、主要外部表面の1つがユーザーの目に向き合い、そして、X軸が水平に配向付けられるような、ユーザーの目に対する配向で、LOEを、ユーザーの頭に対して支持するように構成された、支持配置も提供される。
【0019】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第1の領域および第2の領域は、X軸に対して平行に伸長する境界によって分離される。
【0020】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像照明を、ユーザーの目による視認のためのアイモーションボックスへ導くための光学システムが提供され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、カップリングイン領域に近い、隣接する部分反射表面間の間隔が、カップリングイン領域から遠い、隣接する部分反射表面間の間隔よりも小さくなるように、不均一な間隔を有する。
【0021】
本発明の実施形態の教示によれば、カップリングイン領域で注入された画像照明を、ユーザーの目による視認のためのアイモーションボックスへ導くための光学システムが提供され、当該光学システムは、透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域と、(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第2のセットを含む、第2の領域と、(c)相互に平行な主要外部表面のセットであって、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって伸長する主要外部表面のセットと、を含み、ここで、部分反射表面の第2のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、第1の領域から第2の領域へと伝播する画像照明の一部が、アイモーションボックスの方へ、LOEからカップリングアウトされるように、主要外部表面に対して斜角であり、および、ここで、部分反射表面の第1のセットは、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって、カップリングイン領域から伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方へ屈折させられるように、配向付けられ、光学システムは、光軸の周りに視野の画角を有する、コリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタを、さらに含み、当該画像プロジェクタは、コリメートされた画像を、主要外部表面における内部反射によってLOE内を伝播する伝播画像として、カップリングイン領域でLOEに導入するように、LOEに光学的にカップリングされており、当該伝播画像は、部分反射表面の第1のセットによって部分的に反射され、LOE内を、主要外部表面における内部反射によって伝播する、屈折伝播画像を生成し、当該屈折伝播画像は、部分反射表面の第2のセットによって部分的に反射され、主要外部表面の1つからアイモーションボックスの方へ外側へ導かれたカップリングアウト画像を生成し、当該カップリングアウト画像の光軸は、部分反射表面の第2のセットの平面内の伸長方向に沿った、傾斜の非ゼロ成分を有する主要外部表面への垂線に対して傾いている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、添付の図面を参照して、例示のみによって、本明細書で説明される。
【
図1A】本発明の教示に従い構成され且つ作動する、導光光学素子(LOE)を使用して実装される光学システムの概略等角図であり、トップダウン注入構成および側面注入構成をそれぞれ図示する;
【
図1B】本発明の教示に従い構成され且つ作動する、導光光学素子(LOE)を使用して実装される光学システムの概略等角図であり、トップダウン注入構成および側面注入構成をそれぞれ図示する;
【
図2A】画像の2つの極端フィールドのための光線経路を示す、
図1Aまたは
図1BからのLOEの拡大概略等角図である;
【
図2B】画像の2つの極端フィールドのための光線経路を示す、
図1Aまたは
図1BからのLOEの拡大概略等角図である;
【
図2C】アイモーションボックスで完全な画像を形成するのに必要な、部分反射表面の範囲全体を定義するための、
図1Aおよび1Bのフィールドの、追加的フィールドとの組み合わせの概観である;
【
図2D】部分反射表面が選択的に実施される、
図2Cの代替実装である;
【
図2E】部分反射表面間の可変間隔を図示する、
図2Dに類似する図である;
【
図2F】トリミング(trim)することができる、LOEの領域を図示する、
図2Eに類似する図である;
【
図3A】部分反射表面の必要なプロファイルの外側に、部分反射表面が存在する時、およびそれが存在しない時の、ゴースト形成に関する潜在的な光線経路を図示する、
図2Eに類似する図である;
【
図3B】部分反射表面の必要なプロファイルの外側に、部分反射表面が存在する時、およびそれが存在しない時の、ゴースト形成に関する潜在的な光線経路を図示する、
図2Eに類似する図である;
【
図4A】2つの極端フィールドのための光線経路を示す、
図1Aまたは1Bからの、LOEのさらなる実装からの、LOEの第1の領域の拡大概略等角図である;
【
図4B】部分反射表面間の可変間隔を伴う、部分反射表面の部分的な描写を示す、
図4Aに類似する図である;
【
図4C】フィールドの極端に必要な部分反射表面の一部を示す、
図4Bに類似する図である;
【
図5A】
図2Eに関連して上に図示される原理に従い実装される、
図4Cのものに類似する第1の領域を含む、LOEの拡大概略等角図である;
【
図5B】トリミングすることができる、LOEの領域を図示する、
図5Aに類似する図である;
【
図6A】さまざまな角度オフセットパラメータの効果を図示する、
図2A-2Fに類似する、概略等角図である;
【
図6B】さまざまな角度オフセットパラメータの効果を図示する、
図2A-2Fに類似する、概略等角図である;
【
図6C】さまざまな角度オフセットパラメータの効果を図示する、
図2A-2Fに類似する、概略等角図である;
【
図6D】さまざまな角度オフセットパラメータの効果を図示する、
図2A-2Fに類似する、概略等角図である;
【
図7】本発明の態様に従う、顔カーブ修正および収束修正に必要な、角度オフセットを図示する、ニアアイディスプレイの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のある実施形態は、仮想現実ディスプレイ、またはより好ましくは拡張現実ディスプレイ、であり得る、ヘッドアップディスプレイ、および最も好ましくはニアアイディスプレイ、を目的として、光学アパーチャ拡張を達成するための導光光学素子(LOE)を含む光学システムを提供する。
【0024】
本発明の実施形態の教示に係る、LOE(12)を利用する、全体として(10)で指定される、ニアアイディスプレイの形態をしたデバイスの例示的な実装が、
図1Aおよび1Bに概略的に図示される。ニアアイディスプレイ(10)は、LOE(交換可能に「導波管」、「基材」または「スラブ」と呼ばれる)(12)に画像を注入するために光学的にカップリングされた、コンパクト画像プロジェクタ(または「POD」)(14)を利用し、LOE内部において、画像照明が、相互に平行で平面的な外部表面のセットにおける内部反射によって、1次元で捕えられる。光は、互いに対して平行であるとともに、また画像光の伝播の方向に対して斜めに傾いている部分反射表面(交換可能に「ファセット」と呼ばれる)のセットに当たり、各連続するファセットが、画像光の一部を屈折方向に屈折させ、さらに基材内の内部反射によって捕えられる/導かれる。ファセットのこの第1のセットは、
図1Aおよび1Bで個別に図示されてはいないが、(16)で指定されるLOEの第1の領域に位置する。連続するファセットにおけるこの部分反射は、光学アパーチャ拡張の第1の次元を達成する。
【0025】
本発明の、好ましいが非限定的な例である第1のセットでは、前述のファセットのセットは、基材の主要外部表面に対して直交している。この場合、注入される画像と、領域(16)内を伝播するときに内部反射を受けるその共役の両方は屈折させられ、そして屈折方向に伝播する共役画像になる。好ましいが非限定的な別の例では、部分反射表面の第1のセットは、LOEの主要外部表面に対して斜めに角度付けられている。後者の場合、注入される画像またはその共役のいずれかは、LOE内を伝播する望ましい屈折画像を形成し、一方で、他方の反射は、例えば反射される必要が無い画像によって提示される入射角の範囲までファセットを比較的に透明化する角度選択的コーティングを、ファセットに利用することによって、最小限に抑えられる。
【0026】
部分反射表面の第1のセットは、画像照明を、基材内の全内部反射(TIR)によって捕えられた伝播の第1の方向から、基材内のTIRによって同様に捕えられた、伝播の第2の方向に、屈折させる。
【0027】
その後、屈折画像照明は、隣接する別個の基材として、または単一の基材の連続として実装され得る第2の基材領域(18)に進み、そこで、カップリングアウト配列(部分反射ファセットのさらなるセットまたは回析光学素子のいずれか)が、画像照明の一部を、アイモーションボックス(EMB)として定義される領域内に位置する観察者の目の方へ、漸次カップリングアウトし、それによって、光学アパーチャ拡張の第2の次元を達成する。デバイス全体は、各々の目に対して別々に実装されてもよく、そして好ましくは、ユーザーの頭に対して支持され、各LOE(12)がユーザーの対応する目に面する。本明細書に図示されるような1つの特に好ましい選択肢では、支持配置は、ユーザーの耳に対してデバイスを支持するための側面(20)を備えたメガネフレームとして実装される。支持配置の他の形態も使用することが可能で、それはヘッドバンド、バイザー、またはヘルメットから吊り下げられたデバイスを含むがそれらに限定されない。
【0028】
本明細書中の図面および特許請求の範囲では、X軸とY軸について言及されており、X軸が、LOEの第1の領域の全体伸長方向において水平(
図1A)または垂直(
図1B)に伸長し、そしてX軸に対してY軸が直角、すなわち、
図1Aで垂直に、そして
図1Bで水平に伸長する。
【0029】
非常におおまかな言い方をすると、第1のLOE、またはLOE(12)の第1の領域(16)は、X方向のアパーチャ拡張を達成し、一方で、第2のLOE、またはLOE(12)の第2の領域(18)は、Y方向のアパーチャ拡張を達成すると考えられ得る。視野のさまざまな部分が伝播する角度方向の広がりの詳細は、以下にさらに詳しく言及されるだろう。
図1Aに図示されるような配向は「トップダウン」実装とみなすことができ、そこではLOEのメイン(第2の領域)に入る画像照明が上端から入り、一方で、
図1Bに図示される配向は「側面注入」実装とみなされてよく、そこでは本明細書でY軸と呼ばれる軸が水平に配置されることに、留意されたい。残りの図面では、本発明のある実施形態のさまざまな特徴は、
図1Aと類似する、「トップダウン」配向の観点で図示されるであろう。しかし、それらの特徴のすべては、側面注入実装に等しく適用可能であり、その側面注入実装も本発明の範囲内であることを理解されたい。場合によっては、他の中間の配向も適用可能であり、そして、明示的に除外される場合を除いて、本発明の範囲内に含まれる。
【0030】
本発明のデバイスと共に利用されるPODは、好ましくは、コリメートされた画像を生成するよう構成され、すなわちそこでは、各画像画素の光が、画素ポジションに対応する角度方向に平行な、無限にコリメートされたビームである。そのため、画像照明は、2次元の視野角に対応する角度の範囲に広がる。
【0031】
画像プロジェクタ(14)は、一般にLCOSチップなどの空間光変調器を照らすように配置される、少なくとも1つの光源を含む。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって画像を生成する。代替的に、画像プロジェクタは、高速スキャンミラーを使用して一般に実装されるスキャン配置を含んでいてもよく、高速スキャンミラーは、ビームの強度が画素ベースの動きと同期して変化する間に、プロジェクタの画像平面にわたる、レーザー光源からの照明をスキャンし、これによって、各画素に望ましい強度を投影する。どちらの場合にも、コリメート光学系は、無限にコリメートされる出力投影画像を生成するために提供される。上記の構成要素の一部または全ては、一般に、当技術分野で周知の、1以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブ、または他のプリズム配列の表面に配置される。
【0032】
画像プロジェクタ(14)のLOE(12)への光学カップリングは、任意の適切な光学カップリングによって、例えば、斜めに角度付けられた入力表面を備えるカップリングプリズムを介して、または反射カップリング配置を介して、LOEの側端および/または主要外部表面の1つを介して、達成され得る。カップリングイン構成の詳細は本発明にとって重要ではなく、そして、LOEの主要外部表面の1つに適用されるくさび型プリズム(wedge prism)(15)の非限定的な例として、本明細書に概略的に示される。
【0033】
ニアアイディスプレイ(10)は、さまざまな追加的な構成要素を含み、当該構成要素としては、一般に画像プロジェクタ(14)を作動させるコントローラ(22)が挙げられ、これらは一般に小型の搭載バッテリー(図示されず)、または他のあらゆる適切な電源からの電力を使用することが、理解されるであろう。コントローラ(22)は、当技術分野で知られるような、画像プロジェクタを駆動するための少なくとも1つのプロセッサまたは処理回路などの、すべての必要な電気部品を含むことが、理解されるであろう。
【0034】
ここで
図2A-2Fを見ると、ニアアイディスプレイの実装の光学特性がより詳細に示される。具体的には、透明材料で形成される、導光光学素子(LOE)(12)のより詳細な図が示されており、LOEは、第1の配向を有する、平面的で、相互に平行な、部分反射表面(17)の第1セットを含む第1の領域(16)、および、第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する、平面的で、相互に平行な、部分反射表面(19)の第2のセットを含む第2の領域を含んでいる。相互に平行な主要外部表面(24)のセットは、部分反射表面(17)の第1のセットと、部分反射表面の第2のセット(19)の両方が、主要外部表面(24)間に位置するように、第1の領域(16)および第2の領域(18)にわたって伸長する。最も好ましくは、主要外部表面(24)のセットは、第1の領域(16)および第2の領域(18)の全体にわたってそれぞれつながっている表面のペアであるが、第1の領域(16)および第2の領域(18)との間の厚みを減少させるまたは増加させるという選択肢もまた、本発明の範囲内である。第1の領域(16)および第2の領域(18)は、特定用途に応じて、さまざまな追加的な光学的または機械的機能を提供するために、それら領域が、直線的な境界または他の何らかの形態の境界であり得る境界で接触するように、直接並置されても良く、あるいは、それらの領域間に、1以上の追加的なLOE領域を介在させても良い。本発明は、任意の特定の生産技術に限定されないが、ある特定の好ましい実装では、特に高品質の主要外部表面が、別々に形成された、第1の領域(16)および第2の領域(18)を間に挟むことで複合LOE構造を形成する、連続的な外部プレートを利用することによって達成される。
【0035】
LOEの光学特性は、画像照明経路を遡って追跡することによって、理解され得る。部分反射表面(19)の第2のセットは、主要外部表面における内面反射によって、LOE(12)内を、第1の領域(16)から第2の領域(18)へ伝播している画像照明の一部が、LOEからアイモーションボックス(26)の方へカップリングアウトされるように、主要外部表面(24)に対して、斜めに角度付けられている。部分反射表面(17)の第1のセットは、主要外部表面における内面反射によって、LOE(12)内を、カップリングイン領域(カップリングプリズム(15))から伝播している画像照明の一部が、第2の領域(18)の方へ屈折させられるように、配向付けられる。
【0036】
画像プロジェクタ(14)からの投影画像の1次元の角度的広がりは、
図2Aで、LOEの右側のPODアパーチャから、LOEの左側の方へ広がる照明のコーンによって表されている。本明細書で説明される非限定的な例では、PODの中心光軸は、X軸と位置合わせされたLOE内の伝播の方向を定義し、そして、(LOE内の)角度的広がりはおおよそ±16°である。(角度のFOVが屈折率の変化によってより大きくなることに、留意されたい。)部分反射表面(17)の第1のセットは、第1の領域(16)内に図示され、そして、部分反射表面(19)の第2のセットは、第2の領域(18)内に図示される。
【0037】
ニアアイディスプレイは、投影画像の完全な視野を、「アイモーションボックス」(EMB)(26)(すなわち、一般に長方形として表される形状で、LOEの平面から離間され、そこから目の瞳が投影画像を視認するであろう)によって指定されるポジションの、許容される範囲内のあるポジションに位置するユーザーの目に、提供するように設計される。アイモーションボックスに到達するために、光は、部分反射表面(19)の第2のセットによって、第2の領域(18)からEMB(26)の方へ、カップリングアウトされなければならない。完全な画像視野を提供するために、EMBの各点は、LOEから画像の角度範囲全体を受け取らなければならない。EMBからの視野を遡って追跡すると、関連照明がそこからEMBの方へカップリングアウトされる、より大きな長方形(28)が示される。
【0038】
図2Aは、投影画像の左下の画素に対応する、視野の第1の末端を示す。LOEにカップリングされる際の、プロジェクタの光学アパーチャに対応する幅のビームは、PODから左側へおよび上方へ伝播しており、そして、一連の部分反射表面(17)から部分的に反射されていることが示される。本明細書に説明される通り、ファセットのサブセットのみが、ユーザーによって視認される画像内の対応する画素を提供するのに有用な反射を生成し、そして、それらのファセットのサブ領域のみが、この画素の観察画像に寄与する。関連領域は、太黒線によって図示され、および、ファセット(17)から反射され、そしてファセット(19)によってカップリングアウトされ、EMB(26)の4つの角に到達する、方向転換された画像のこの画素に対応する光線が示される。本明細書および説明を通して、光線の平面内の伝搬方向のみが、本明細書において、LOE内の伝播中で説明されるが、光線が、実際は、2つの主要外部表面からの連続する内部反射のジグザグ経路をたどり、そして、画像視野の1次元全体が、Y次元の画素ポジションに対応する、主要外部表面に対する光線の傾斜の角度によって、コードされることに、留意されたい。1つの追加的な例によって、EMBの左上角で視認される時の、画像の左上末端に対応する、屈折され、そしてカップリングアウトされる光線が、一点破線で示される。
【0039】
図2Bは、
図2Aと同じ構成を図示するが、本明細書は、EMBの4つの角に到達する視野の右下画素に対応する光線を、再び、太線によって表示される関連部分反射面(17)の関連領域と共に、示す。
【0040】
EMBのすべての領域に到達する画像の、すべてのフィールド(方向または画素)のための対応光線経路をさらに追跡することによって、LOE内を伝播し、部分反射表面の第1のセットの1つによって屈折させられ、そして部分反射表面の第2のセットの1つによって、アイモーションボックスに到達する方向にカップリングアウトされる、すべての光線経路の範囲をマッピング(map out)することが可能であり、そして、この範囲は、EMBに到達する画像に寄与する画像照明の一部を屈折させるのに必要な、各ファセット(17)の「画像領域」を定義し、一方で、範囲の外にあるファセット(17)の残りは、必要とされる画像に寄与しない「非画像領域」である。ファセット(17)のすべての「画像領域」に対応するこの範囲の、単純化された輪郭線は、
図2Cの太線で示される。
【0041】
本発明の実装の1つの特に好ましいセットによれば、ファセット(17)は、部分反射特性が各ファセット平面の「画像領域」を含む領域(16)の断面領域のサブ領域内にのみ存在するように、「部分的ファセット」として実装され、そして好ましくは、ファセットのいくつかまたはすべてのための「非画像領域」の少なくとも大部分を除外する。そのような実装は、
図2Dに概略的に図示される。ファセットのアクティブ(active)(部分反射する)領域は、コーティングの端部における欠陥によって引き起こされ得る異常を回避するために、好ましくは、EMB画像投影のために必要な形状的要件を充足するために必要な最低限を少し超えて伸長し、そして、いくつかの場合、ファセットは、画像の向上された統一性を達成するために、ファセット間の整数の数のオーバーラップに関連する追加的検討によって、屈折された画像方向に、さらに伸長され得る。ある特に好ましい実装によれば、カップリング位置からの線に沿って出会う、一番遠い部分反射ファセットの距離は、示される通り、時計回りに増加する角度と共に漸次増加し、プロジェクタ(14)から投影される画像の角度範囲の大部分にわたって、第2の領域(18)との境界から遠くなる。
【0042】
第1の領域(16)が、コーティングされたプレートの積み重ねから形成され、その後(PCT特許公報第WO2007054928A1に説明されるように、および当該技術分野で既知なように)適切な角度に切断される時、部分反射表面の、選択的空間配置は、2つのプレート間の接合平面の第1の部分上に位置する部分反射コーティングを備えたプレートの積み重ねを形成することによって、有利に達成されることができ、一方で、接合平面の第2の部分は、2つのプレート間に光学的連続体を形成するように(一般に、屈折率が一致した接着剤で、そしてコーティングなしで)接着される。部分反射コーティングの選択的適用は、一般に、コーティング処理前に適切なマスキング層を適用すること、およびそのマスキング層をコーティング処理の最後に除去することによって達成される。
【0043】
代替的な生産技術によると、全領域コーティングされたプレートの積み重ねが形成されて良く、そしてその後、(例えば、
図2Dで示されるような、ファセットを備えた領域に対応する)ファセットを含む体積に必要な形状に切断されて良い。LOEの必要な形態はその後、部分反射ファセットを含むこの不規則なブロックを、屈折率の一致した平面ガラスの補完ブロックと共に、光学的に結合することによって完成される。
【0044】
図2Eは
図2Dに類似するが、部分反射表面(17)の第1のセットは、カップリングイン領域に近い、隣接する部分反射表面間の間隔が、カップリングイン領域から遠い、隣接する部分反射表面間の間隔よりも小さくなるように、表面の平面間の不均一な間隔を有する。この可変間隔は、多くの場合、以下でさらに説明するように、投影画像の均一性を高めるのに好ましい。
【0045】
光軸は実際にはX軸に平行ではなく、X-Z平面にあり、ページの中へのZ-成分は、FOVの奥行寸法の角度の範囲全体が、主要外部基材表面での全反射を受けるように選択される。提示の簡素化のために、本明細書のグラフィックによる描写、およびその説明は、本明細書で「平面内成分」または「LOEの主要外部表面に対して平行な成分」と呼ばれる、光線伝播方向の平面(X-Y)内の成分にのみ関係するであろう。
【0046】
視野の最上部の光線方向は、観察者の目に到達する、視野の左側に対応し、一方で、最も低い光線の方向は、視野の右側に対応することに留意されたい。視野の左側のいくらかの反射は、LOEの右側に近いファセットから、EMBに到達しない方向に反射され、そのため失われるであろうことにも留意されたい。同様に、視野の右側からのいくらかの光線は、LOEの左に近いファセットから反射され、そしてEMBに到達しない方向に屈折させられ、そのため失われるであろう。本発明のある態様は、これらの観察の利点を生かし、第1のLOE(またはLOE領域)の寸法(したがって体積および重量)を縮小させる。
【0047】
特に、
図2Fは、EMBに到達する画像に寄与せず、そのためユーザーの目への画像投影を妨げることの無い、切り捨て用に利用可能である、
図2Eのさまざまな領域を影付きで図示する。画像プロジェクタからの画像の注入のための光学アパーチャは、LOE(12)の第1の領域(16)の下半分にあることに留意されたい、というのは、示されるような、下向きに角度付けられた光線に対応する画像の一部は、第1の領域(16)の左部分により近いファセットから反射される必要が無い、画像視野の右側に相当するからである。このことにより、LOE(12)の第1の領域(16)の比較的コンパクトな実装が可能になる。具体的には、POD光軸の下のLOEの範囲は視野の最右の画素に相当するPODアパーチャからの光線がEMBの領域全体の方へ屈折させられるファセットに到達するように、選択されるが、ファセットは、そのような角度がもはやEMBに到達し得ない領域において短くされる。第1の領域(16)の高さを縮小すると、X次元の縮小をも引き起こす、というのは、LOE高さの縮小が、ファセットをEMBにより近付け、そのため、FOVの角度の望ましい範囲を覆うのに必要なX次元を縮小させるからである。本文書のここおよび他の場所の、「トリミングされた」および「切り捨てられた」という用語は、参照点として、例えば
図2Aの実装の、理論的開始点に対して縮小された最終生成物の形状または寸法を指すのに使用されることに、留意されたい。本術語は、素材を物理的に切断すること、または任意の他の生産技術の実装を全く伴わない。LOEが示された領域の境界に沿って、正確に切り捨てられることは必ずしも想定されておらず、むしろ、これらの領域は設計の柔軟性を提供し、LOEを、審美的に好ましいと見なされる、および/または、望ましい用途の追加的詳細と機械的に互換性があると見なされる、任意のあらゆる外側輪郭によっても終了させることができる。
【0048】
図2D-2Fを参照して上に説明されるように、部分的ファセットの使用は、多くの利点の1以上を提供し、その利点としては、カップリングイン領域からさらに遠いファセットからの画像の転送が、第2のLOE領域に到達する前に、それほど多くの追加的ファセットを通過する必要が無いことが挙げられることに、留意されたい。追加的利点は、
図3Aおよび3Bを参照して、本明細書で示される。
【0049】
具体的には、
図3Aは、EMBに投影画像を転送するのに必要なファセット領域の範囲の外側で、17’とラベル付けられたファセットの領域を図示する。(このファセットは通常多くのうちの1つであるが、ここではその重要性をより容易に説明するために、分離して図示されている。)
図3Aは、画像プロジェクタで開始し、部分反射表面を直接通って通過する下向きに方向付けられた画像光線のための、光線経路を図示する。この光線は、(全内部反射によって伝播しながら)第2の領域(18)の中へ進み、そこで部分反射表面(19)の第2のセットの1つに入射し、そして、示されるように、部分的に反射され、第1の領域(16)の中へ、上向きに戻って伝播する、望まれない「ゴースト」反射を生成する。この光線の角度は、ファセット17’の延長から、EMB(24)に向かう方向に反射されるかもしれず、そのことが、視認画像を妨げる可視ゴーストを形成するかもしれない。
【0050】
図3Bは、対照的に、ファセットが、出力画像を形成するのに必要な領域の、またはその領域の近傍の、縮小された領域にのみ配置される場合に、同じゴースト光線に何が起こるのかを図示している。この場合、表面(19)から反射され、そして第1の領域(16)の中へと上向きに方向を戻される光線は、LOEの第1の領域を通って伝播するので、いずれの部分反射表面にも出会わない。その結果、光線は、LOEの外面端部に到達するまで継続し、外面端部で、好ましくは、適切に準備された無反射表面によって吸収される、あるいは拡散される。
【0051】
図2A-2Fの例では、POD(14)の光軸の上の、第1のLOE領域(16)の寸法は、FOVの最左の領域がLOEの最左の極端でファセットから反射されなければならないので、大幅に縮小することはできない。
図4A-5Bは、第1のLOE領域(16)の寸法のさらなる縮小を可能にする、本発明のある特に好ましい実装のさらなる特徴に従う、代替的アプローチを示す。
【0052】
具体的には、
図4Aの配置で、PODおよび/またはカップリングインプリズムは、画像投影の中心光軸が第1のLOE領域(16)を横切って下方へ、FOVの最左の極端がX軸に対してほぼ平行に投影されるように最も好ましく選択される角度で角度付けられるように、回転される。この場合、PODのカップリングインは、好ましくは、第1のLOE領域(16)の上部極端、あるいはその近傍(一般に上部1/3)である。PODアパーチャの下のLOEの必要寸法は、
図2A-2Fを参照して説明されるものに類似する形状考察によって決定され、すなわち、画像のすべての光線は、投影FOVの対応する領域を、EMB全体に送り届けるように、適切に配置および角度付けされたファセットに出会う必要がある。最右の光線はこの場合、より急な角度で傾斜し、そしてファセット角度はそれに従って調節されるが、第1のLOEのY次元全体は、さらに縮小される。
【0053】
いくつかの場合、そして
図4Aで視野の右側に図示されたより急な角度によって特に強調されるように、EMBを「満たす」形状的要件は、視野の右側と左側の間の、大幅に異なるファセット間隔を必要とする。そのため、
図4Aに図示される例において、示されるようなカップリングインされる光学アパーチャの幅については、左側フィールドは、1つのファセットから反射される画素ビームの一方の側面によって効果的に満たされ、同時に、そのビームの他方の側面は隣接するファセットから反射される。しかし、フィールドの右側で、図示されるような均一なファセット間隔は、(ここでは幅広の黒線として図示される)「黒線」となり、その中には画像照明はもはや存在しない。もしファセット間隔が均一に減少するならば、このことは、フィールドの左側に近い、明るいストライプの逆の問題につながるだろう。この問題に対処するために、
図4Bに示されるファセットの部分的セットによって図示されるように、可変ファセット間隔が好まれ、対応する形状的構築物は、ファセット間隔がどのようにして適切に調節され、視野の各極端のためにEMBを「満たす」のかを示す。ファセット間隔は、好ましくは、LOE領域(16)にわたって漸次(必ずしも継続的であったり線形的であったりする必要は無いが)変化する。
【0054】
図2A-2Eを参照して上述されるとおり、
図4Cの2つの極端フィールド用に図示されるような画像の各フィールド(画素)のためにEMB画像を満たすために、部分反射を提供するのに必要なさまざまなファセットの領域を特定することが可能である。本明細書でも、アイモーションボックス(26)で出力画像を提供するのに必要なすべてのファセットのすべての領域を含む「範囲」を定義することによって、第1の領域にわたってその範囲が変化する、選択的に配置された部分反射表面を備えたLOE(12)の第1の領域(16)を、構造および機能が
図2Dおよび2Eを参照して上述されているものに完全に類似する様式で、実装することが可能である。この場合の光学システム全体の対応する実装は、
図5Aで図示される。
図5Bは、映像転送に寄与せず、各々の特定の用途の必要に応じて、示されるようにさらにトリミングすることができる、第1のLOEおよび第2のLOEのさまざまな追加的領域を図示する。
【0055】
そのため、X軸に対して第2の領域(18)の境界の方へ傾いている伝播画像の光軸の画像プロジェクタの平面内成分を備えた画像プロジェクタ(14)を配置することによって、そして最も好ましくは、伝播画像の視野の1つの極端の平面内成分を、X軸に対して確実に、実質的に平行にすることによって、
図2A-2Fの構成と比較して、構成全体のさらなるコンパクト化を達成することが可能である。他のすべての点では、
図4A-5Bの装置を実装するための構造、機能、オプションの範囲は、
図2A-3Bを参照して上述されるとおりである。
【0056】
図4A-5Bに説明される画像プロジェクタの光軸方向の傾斜に加えて、多くの他の角度パラメータが、光学システムの特性へのさまざまな調節を達成するのに使用されても良い。このさまざまな例は、ここで、
図6A-6Dおよび7を参照して図示されるであろう。
【0057】
最初に、
図6Aおよび6Bを参照すると、これらは、LOE(12)の第2の領域の幅寸法にわたってアイモーションボックス位置の調節に内在する、形状的原理を図示する。
図6Aでは、
図2A-2Fと同等の配置が示され、光線経路は、アイモーションボックスの中心から視認される時の画像の中心光線に対応する。これにより、EMBの中心の位置決めがなされる。
【0058】
図6Bは、X軸に対して角度的にオフセットされたファセット(19)を備える、LOE(12)の第2の領域(18)を実装することの効果を図示する。この場合、アイモーションボックスの中心でフィールドの中心を形成する光線がずらされ、その結果、アイモーションボックスは水平に変位させられ、LOEに対してEMBの非対称的な配置が必要な場合に便利である。この文脈では、ファセットの「伸長方向」は、LOEの主要外部表面に対して平行な平面と交差するファセットの線であると解釈される。同等の定義は、部分反射表面を含む平面と主要外部表面との間の交差の線である。この線は、本明細書で、主要外部表面に対して平行なファセットの伸長方向、または「平面内の」伸長方向と呼ばれる。この文脈における、X軸に対する「角度的オフセット」の範囲は、必要とされる水平方向のずれの範囲によって決まるが、ある好ましい場合には、その範囲は5-25度の範囲であっても良く、とはいえ、それより小さい、および大きい角度的オフセットの両方が可能である。
【0059】
図6Cおよび6Dを参照すると、これは、
図7に示されるような、「顔の屈曲」および/または収束角度のための修正を可能にする調節の、さらなる形態を図示する。具体的には、
図7は、LOEが互いに対して傾いて配置され、顔の側面から側面までの屈曲に(ある程度)追従するような形状をした「巻き付け」フレームで装着できるような、ニアアイディスプレイの平面図を概略的に示す。そのような構成で立体映像を達成するためには、画像が、スペース中の平行線(
図7の一点破線)に沿って中央に提示されるように、顔の屈曲に対して修正を行うことが必要であり、その画像は、LOEに対する垂線に対して水平にオフセットされる。追加的にまたは代替的に、さまざまな用途で、それだけに限定されないが特に屋内使用で、両眼で視認される物体が、ディスプレイを通して、ユーザーから望ましい方向に位置していると見えるように、2つのディスプレイ間に収束角度を提供することが望ましい。この修正もまた、LOE平面に対する垂線から、水平(X軸)方向の成分を伴う屈折を必要とする。
【0060】
この修正を達成するために、画像プロジェクタ(14)および部分反射表面の第1のセット(17)は、画像プロジェクタ(14)からLOEへカップリングインされた伝搬画像が、ファセット(17)によって屈折させられて、Y軸に対して傾いている光軸の平面内成分で伝播する、屈折伝播画像を生成するように、配向付けられる。このオフセットの結果、ファセット(19)によるカップリングアウト後に、カップリングアウト画像の光軸が、水平平面で屈折され、すなわち、
図6Dに示されるように、部分反射表面の第2のセットの平面内の伸長方向に沿って、主要外部表面に対する垂線に対して、傾斜の非ゼロ成分で傾く。
【0061】
これらの調節は独立した調整として提示されてきたが、プロジェクタの光軸傾斜、第1のLOE領域のファセット角度、および第2のLOE領域のファセット角度のさまざまなパラメータが相互に関連しており、そして、これらのパラメータの1つの変形が、視野全体の転送を確実にするために、他のパラメータで対応する調節を必要とし、および、これらの調節によって、注入画像がその中心軸の周りを回転することになるかもしれず、その回転は、
図6Dに概略的に図示されるようなプロジェクタおよび/またはカップリング配置の回転によって直接修正され得る。
【0062】
図1Bの文脈で上に言及されるように、上の原理のすべては、「サイドウェイ」構成に適用されることも可能であり、そこでは、画像が、ユーザーの目の中へのカップリングのために、視認領域の外側で縦に位置するPODから注入され、そして、ファセットの第1のセットによって垂直に、そしてその後にファセットの第2のセットによって水平に広げられる。上述の構成および変形のすべては、側面注入構成にも適用可能であることが、理解されるべきである。
【0063】
上記の説明を通して、示されるようにX軸およびY軸に対する言及がなされ、ここでX軸は、水平または垂直のいずれかで、光学アパーチャ拡張の第1の次元に相当し、そしてY軸は、拡張の第2の次元に相当する他方の主要軸である。この文脈では、XとYは、
図1Aおよび1Bの前述の眼鏡フレームなどの支持配置によって一般に定義される配向でユーザーの頭に装着された時の、デバイスの配向に対して定義され得る。一般にX軸の定義と共に出てくる他の用語としては:(a)アイモーションボックスを区切る少なくとも1つの直線で、それはX軸に対して平行な方向を定義するのに使用され得る;(b)長方形の投影画像の端部は、一般にX軸およびY軸に対して平行である;および、(c)第1の領域(16)と第2の領域(18)との間の境界は、一般にX軸に対して平行に伸長する、が挙げられる。
【0064】
上記の説明は例としての役割を果たすことのみを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内において、他の多くの実施形態が可能であることが理解されよう。