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特許7407488選択的に活性化可能なファセットを含む光学系
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】選択的に活性化可能なファセットを含む光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017091
(22)【出願日】2023-02-07
(65)【公開番号】P2023115915
(43)【公開日】2023-08-21
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】17/667,044
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シモン・グレイバーニク
(72)【発明者】
【氏名】ツィオン・アイゼンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】エラド・シャーリン
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0232651(US,A1)
【文献】特開2011-17969(JP,A)
【文献】特開2011-90230(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077601(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0063754(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2156417(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備える装置であって、前記少なくとも1つのプロセッサが、
アイモーションボックスのターゲット部分を判定することと、
導光光学素子の主表面に対して斜角で前記導光光学素子内に配置された複数のファセットのうちの1以上のファセットを識別することであって、前記識別された1以上のファセットが、画像視野の少なくとも一部分を含む光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成され、前記識別された1以上のファセットが、少なくとも、前記光線の少なくとも一部分が前記識別された1以上のファセットを通って透過することを可能にするように前記識別された1以上のファセットが構成される第1の状態と、前記光線の前記少なくとも一部分が前記識別された1以上のファセットによって反射される第2の状態との間で、選択的に活性化可能である、1以上のファセットを識別することと、
画像生成器の複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別することであって、前記識別された表示領域が、前記識別された1以上のファセットと連動して前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、前記光線を前記導光光学素子内に注入するように構成されている、表示領域を識別することと、
前記識別された1以上のファセットを前記第1の状態から前記第2の状態に選択的に活性化させ、かつ前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることと、を行うように構成されている、装置。
【請求項2】
前記複数の表示領域の各表示領域が、光線を異なる角度で前記導光光学素子に注入するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光線が、第1の光線を含み、
前記識別された1以上のファセットが、前記複数のファセットのうちの第1のファセットを備え、
前記表示領域が、前記複数の表示領域のうちの第1の表示領域を備え、前記第1のファセット及び前記第1の表示領域が、一緒に第1の組み合わせを画定し、前記第1の表示領域が、前記第1の光線を第1の角度で前記導光光学素子内に注入するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
一緒に第2の組み合わせを画定する、前記複数のファセットのうちの第2のファセット及び前記複数の表示領域のうちの第2の表示領域を識別することであって、前記第2の表示領域が、前記画像視野の少なくとも第2の一部分を含む第2の光線を、前記第2のファセットと連動して前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される第2の角度で、前記導光光学素子内に注入するように構成されている、第2の表示領域を識別することと、
前記第1の組み合わせ及び前記第2の組み合わせを連続的に活性化及び不活性化させて、前記第1の光線及び前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって連続して方向付けることと、を行うように更に構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の組み合わせ及び前記第2の組み合わせを連続的に活性化及び不活性化させて、前記第1の光線及び前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって連続して方向付けることが、
前記第1のファセットを前記第2の状態に設定することと、
前記第2のファセットを前記第1の状態に設定することと、
前記第1の表示領域を活性化させて、前記第1の光線を前記第1の角度で前記導光光学素子に注入することと、
前記第1のファセットを前記第1の状態に設定することと、
前記第2のファセットを前記第2の状態に設定することと、
前記第2の表示領域を活性化させて、前記第2の光線を前記第2の角度で前記導光光学素子に注入することと、を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分を判定することが、
アイトラッキングシステムから位置情報を取得することであって、前記アイトラッキングシステムが、眼の瞳孔の位置を監視するように構成されている、位置情報を取得することと、
前記取得された位置情報に少なくとも部分的に基づいて、前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分を判定することと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記1以上のファセットが、第1のファセットを備え、
前記複数のファセットが、第1の複数のファセットを備え、
前記導光光学素子が、第1の導光光学素子を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、第2の導光光学素子の第2の複数のファセットのうちの第2のファセットを識別するように更に構成され、前記第2の導光光学素子が、前記画像生成器と前記第1の導光光学素子との間に配設され、
前記識別された表示領域が、前記光線を前記第2の導光光学素子を介して前記第1の導光光学素子内に注入して、前記第1のファセット及び前記第2のファセットと連動して前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成され、
前記識別された1以上のファセット及び前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることが、前記第1のファセット、前記第2のファセット、及び前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記識別された1以上のファセットが、第1のファセットを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
外部光源が外部光線を前記導光光学素子内に注入していると判定することと、
前記外部光源が前記外部光線を前記導光光学素子内に注入しているという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファセットのうちの第2のファセットを選択的に不活性化させることと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のファセットを選択的に不活性化させることが、前記第2のファセットを完全に透過性の状態に設定すること、及び前記第2のファセットを部分的に透過性の状態に設定すること、のうちの1つを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記外部光源が前記外部光線を前記導光光学素子内に注入していると判定することが、光源検出システムから、前記外部光源に対応する位置情報を取得することを含み、
前記外部光源が前記外部光線を前記導光光学素子内に注入しているという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファセットのうちの前記第2のファセットを選択的に不活性化させることが、
前記位置情報に少なくとも部分的に基づいて、前記外部光線が前記第2のファセットに向かって方向付けられると判定することと、
前記外部光線が前記第2のファセットに向かって方向付けられるという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第2のファセットを選択的に不活性化させることと、を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記1以上のファセットが、複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントの各セグメントが、前記画像生成器からの光線を方向付けるように別々に活性化可能であり、
前記1以上のファセットを識別することが、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される前記複数のセグメントのうちの1つのセグメントを識別することを含み、
前記識別された1以上のファセットを選択的に活性化させることが、前記識別されたセグメントを選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることであって、前記識別された1以上のファセットが選択的に活性化されたときに、前記1以上のファセットの少なくとも1つの他のセグメントが、不活性である、方向付けることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
方法であって、
アイモーションボックスのターゲット部分を判定することと、
導光光学素子の主表面に対して斜角で前記導光光学素子内に配置された複数のファセットのうちの1以上のファセットを識別することであって、前記識別された1以上のファセットが、画像視野の少なくとも一部分を含む光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成され、前記識別された1以上のファセットが、少なくとも、前記光線の少なくとも一部分が前記識別された1以上のファセットを通って透過することを可能にするように前記識別された1以上のファセットが構成される第1の状態と、前記光線の前記少なくとも一部分が前記識別された1以上のファセットによって反射される第2の状態との間で選択的に活性化可能である、1以上のファセットを識別することと、
画像生成器の複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別することであって、前記識別された表示領域が、前記識別された1以上のファセットと連動して前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、前記光線を前記導光光学素子内に注入するように構成されている、表示領域を識別することと、
前記識別された1以上のファセットを前記第1の状態から前記第2の状態に選択的に活性化させ、かつ前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることと、含む、方法。
【請求項12】
前記光線が、第1の光線を含み、
前記1以上のファセットが、前記複数のファセットのうちの第1のファセットを備え、
前記表示領域が、前記複数の表示領域のうちの第1の表示領域を備え、前記第1のファセット及び前記第1の表示領域が、一緒に第1の組み合わせを画定し、前記第1の表示領域が、前記第1の光線を第1の角度で前記導光光学素子内に注入するように構成され、
前記方法が、
一緒に第2の組み合わせを画定する、前記複数のファセットのうちの第2のファセット及び前記複数の表示領域のうちの第2の表示領域を識別することであって、前記第2の表示領域が、前記画像視野の少なくとも第2の一部分を含む第2の光線を、前記第2のファセットと連動して前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される第2の角度で、前記導光光学素子内に注入するように構成されている、第2の表示領域を識別することと、
前記第1の組み合わせ及び前記第2の組み合わせを連続的に活性化及び不活性化させて、前記第1の光線及び前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって連続して方向付けることと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の組み合わせ及び前記第2の組み合わせを連続的に活性化及び不活性化させて、前記第1の光線及び前記第2の光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって連続して方向付けることが、
前記第1のファセットを前記第2の状態に設定することと、
前記第2のファセットを前記第1の状態に設定することと、
前記第1の表示領域を活性化させて、前記第1の光線を前記第1の角度で前記導光光学素子に注入することと、
前記第1のファセットを前記第1の状態に設定することと、
前記第2のファセットを前記第2の状態に設定することと、
前記第2の表示領域を活性化させて、前記第2の光線を前記第2の角度で前記導光光学素子に注入することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記識別された1以上のファセットが、第1のファセットを備え、
前記複数のファセットが、第1の複数のファセットを備え、
前記導光光学素子が、第1の導光光学素子を備え、
前記方法が、第2の導光光学素子の第2の複数のファセットのうちの第2のファセットを識別することを更に含み、前記第2の導光光学素子が、前記画像生成器と前記第1の導光光学素子との間に配設され、
前記識別された表示領域が、前記光線を前記第2の導光光学素子を介して前記第1の導光光学素子内に注入して、前記第1のファセット及び前記第2のファセットと連動して前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成され、
前記方法が、前記識別された1以上のファセット及び前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることが、前記第1のファセット、前記第2のファセット、及び前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記1以上のファセットが、第1のファセットを備え、
前記方法が、
外部光源が外部光線を前記導光光学素子内に注入していると判定することと、
前記外部光源が前記外部光線を前記導光光学素子内に注入しているという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファセットのうちの第2のファセットを選択的に不活性化させることであって、前記第2のファセットの前記選択的な不活性化が、前記第2のファセットを完全に透過性の状態に設定することと、前記第2のファセットを部分的に透過性の状態に設定することと、のうちの1つを含む、選択的不活性化させることと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記1以上のファセットが、複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントの各セグメントが、前記画像生成器からの光線を方向付けるように別々に活性化可能であり、
前記1以上のファセットを識別することが、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される前記複数のセグメントのうちの1つのセグメントを識別することを含み、
前記識別された1以上のファセットを選択的に活性化させることが、前記識別されたセグメントを選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることであって、前記識別された1以上のファセットが選択的に活性化されたときに、前記1以上のファセットの少なくとも1つの他のセグメントが不活性である、方向付けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
光学系であって、
複数のファセットを備える導光光学素子であって、各ファセットが、少なくとも、前記ファセットが、光線が前記ファセットを通って透過することを可能にするように構成される第1の状態と、前記ファセットが前記光線を反射するように構成される第2の状態との間で選択的に活性化可能であり、前記第2の状態にあるときに、前記複数のファセットが、画像視野に対応する光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成される、導光光学素子と、
複数の表示領域を備える画像生成器であって、前記表示領域が、前記画像視野に対応する光線を異なる角度で前記導光光学素子に注入するように選択的に活性化可能である、画像生成器と、
コントローラであって、
前記複数のファセットのうちの1以上のファセットを識別することであって、前記識別された1以上のファセットが、前記画像視野の少なくとも一部分を含む光線を、前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている、識別することと、
前記複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別することであって、前記識別された表示領域が、前記識別された1以上のファセットと連動して前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、前記画像視野の前記少なくとも一部分を含む前記光線を前記導光光学素子内に注入するように構成されている、表示領域を識別することと、
前記識別された1以上のファセットを前記第1の状態から前記第2の状態に選択的に活性化させ、かつ前記識別された表示領域を選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けることと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、光学系。
【請求項18】
前記光学系が、光源検出システムを更に備え、前記光源検出システムが、外部光源に関する情報を前記コントローラに提供するように構成され、
前記コントローラが、
前記光源検出システムによって提供された前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記外部光源が外部光線を前記導光光学素子内に注入していると判定することと、
前記外部光源が前記外部光線を前記導光光学素子内に注入しているという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファセットのうちの第2のファセットを選択的に不活性化させることであって、前記外部光線が前記導光光学素子を通過するときに、前記第2のファセットの前記選択的な不活性化が、前記外部光線が前記第2のファセットに反射することを抑制するように構成されている、選択的に不活性化させることと、を行うように更に構成されている、請求項17に記載の光学系。
【請求項19】
前記1以上のファセットが、複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントの各セグメントが、前記画像生成器からの光線を方向付けるように別々に活性化可能であり、
前記1以上のファセットを識別することが、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付けるように構成される前記識別された1以上のファセットの前記複数のセグメントのうちの1つのセグメントを識別することを含み、
前記識別された1以上のファセットを選択的に活性化させることが、前記識別されたファセットの前記識別されたセグメントを選択的に活性化させて、前記光線を前記アイモーションボックスの前記ターゲット部分に向かって方向付け、前記識別された1以上のファセットが選択的に活性化されたときに、前記1以上のファセットの少なくとも1つの他のセグメントが不活性である、請求項17に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学系に関する。より具体的には、本開示は、いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイシステムで使用され得る、選択的に活性化可能なファセットを有する光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイシステムなどの光学系は、典型的には、画像でユーザの眼を照明する。場合によっては、光学系は、瞳孔が位置する場所にかかわらず、画像の光線によって眼全体又は瞳孔全体を照明し得る。場合によっては、外部光は、光学系による反射のため、ゴースト像を生成する場合がある。しかしながら、眼全体又は瞳孔全体の照明が非効率的である場合があり、また、ゴースト像が望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサを備える装置が開示される。少なくとも1つのプロセッサは、アイモーションボックスのターゲット部分を判定して、導光光学素子の複数のファセットのうちの1つのファセットを識別するように構成されている。識別されたファセットは、画像視野の少なくとも一部分を含む光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、画像生成器の複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別するように更に構成されている。識別された表示領域は、識別されたファセットと連動して光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、光線を導光光学素子に注入するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、識別されたファセット及び識別された表示領域を選択的に活性化させて、光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように更に構成されている。
【0004】
いくつかの実施形態では、アイモーションボックスのターゲット部分を判定することと、導光光学素子の複数のファセットのうちの1つのファセットを識別することと、を含む方法が開示される。識別されたファセットは、画像視野の少なくとも一部分を含む光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている。本方法は、画像生成器の複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別することを更に含む。識別された表示領域は、識別されたファセットと連動して光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、光線を導光光学素子に注入するように構成されている。本方法は、識別されたファセット及び識別された表示領域を選択的に活性化させて、光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けることを更に含む。
【0005】
一実施形態では、光学系が開示される。光学系は、複数のファセットを備える導光光学素子を備える。各ファセットは、少なくとも、ファセットが、光線がファセットを通って透過することを可能にするように構成される第1の状態と、ファセットが光線を反射するように構成される第2の状態との間で選択的に活性化可能である。ファセットは、第2の状態にあるときに、画像視野に対応する光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている。光学系は、複数の表示領域を備える画像生成器を更に備える。表示領域は、画像視野に対応する光線を異なる角度で導光光学素子内に注入するように選択的に活性化可能である。光学系は、複数のファセットのうちの1つのファセットを識別するように構成されているコントローラを更に備える。識別されたファセットは、画像視野の少なくとも一部分を含む光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている。コントローラは、複数の表示領域のうちの1つの表示領域を識別するように更に構成されている。識別された表示領域は、識別されたファセットと連動して光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように構成される角度で、光線を画像視野の少なくとも一部分を含む導光光学素子内に注入するように構成されている。コントローラは、識別されたファセット及び識別された表示領域を選択的に活性化させて、光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付けるように更に構成されている。
【0006】
前述の概要は、例解的であるにすぎず、いかなる形であれ限定することを意図するものではない。図面及び以下の詳細な説明を参照することで、上で説明される例解的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は、同じ、又は機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】一実施形態による、第1のファセットを活性化させた例示的な光学系の概略図である。
図1B】一実施形態による、第1の表示領域を活性化させた図1Aの光学系の例示的な画像生成器の概略図である。
図2A】一実施形態による、第2のファセットを活性化させた図1Aの光学系の概略図である。
図2B】一実施形態による、第2の表示領域を活性化させた図1Bの例示的な画像生成器の概略図である。
図3A】一実施形態による、第3のファセットを活性化させた図1Aの光学系の概略図である。
図3B】一実施形態による、第3の表示領域を活性化させた図1Bの例示的な画像生成器の概略図である。
図4A】一実施形態による、第4のファセットを活性化させた図1Aの光学系の概略図である。
図4B】一実施形態による、第4の表示領域を活性化させた図1Bの例示的な画像生成器の概略図である。
図5】一実施形態による、図1A図4Bのファセット及び表示領域の連続的な活性化を経時的に例解する表及び図である。
図6A】一実施形態による、アイトラッキングシステムを使用する、眼上への光線の方向を例解する、図1A及び図1Bの光学系の概略図である。
図6B】一実施形態による、アイトラッキングシステムを使用する、眼上への光線の方向を例解する、図1A及び図1Bの光学系の概略図である。
図7A】一実施形態による、アイトラッキングシステムを使用しない、眼上への光線の方向を例解する、図1A及び図1Bの光学系の概略図である。
図7B】一実施形態による、アイトラッキングシステムを使用しない、眼上への光線の方向を例解する、図1A及び図1Bの光学系の概略図である。
図8】一実施形態による、図1の光学系の例示的な導光光学素子(LOE)の、単一の活性化させたファセットの利用可能な視野(FOV)の範囲を示す概略図である。
図9】一実施形態による、図1の光学系の例示的なLOEの、ファセットによって分離されたFOVと共役FOVとの違いを示す概略図である。
図10A】一実施形態による、二次元(2D)展開のための追加的なLOEを有する例示的な光学系の概略図である。
図10B】一実施形態による、図10Aの光学系の例示的な画像投影アセンブリの概略図である。
図11A】一実施形態による、混合器を含む図10Aの光学系の概略図である。
図11B】一実施形態による、図11Aの混合器を含む図10Bの例示的な画像投影アセンブリの概略図である。
図12】一実施形態による、ゴースト像を眼上に作成する外部光源を示す、例示的なLOEの概略図である。
図13】一実施形態による、外部光源からの光が眼上にゴースト像を生じさせることを抑制する、図1のLOEの概略図である。
図14】別の実施形態による、外部光源からの光が眼上にゴースト像を生じさせることを抑制する、図1のLOEの概略図である。
図15】一実施形態による、LOE内を伝搬する光線が半反射ファセットの反射によってゴースト像を生じさせることを示す、例示的なLOEの概略図である。
図16A】一実施形態による、2D展開のための追加的なLOEを有する例示的な光学系の概略図である。
図16B】一実施形態による、選択的に活性化可能なセグメントを備えたファセットを有する図16Aの光学系の例示的な画像投影アセンブリの概略図である。
図16C】一実施形態による、選択的に活性化可能な表示領域を有する図16Aの光学系の例示的な画像生成器の概略図である。
図17】一実施形態による、例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ニアアイディスプレイシステムなどの光学系では、光線は、ディスプレイシステムから、ディスプレイシステムに近接しているユーザの眼などのターゲット表面に出力される。しばしば、そのような光学系は、画像を投影するときに眼全体又は眼の瞳孔全体を照明する。場合によっては、眼又は瞳孔のそのような包括的な照明は、ニアアイディスプレイシステムの電力効率に関して高コストになり得、バッテリ寿命の低下又は電力消費量の増加をもたらす。
【0009】
場合によっては、外部光源は、光学系に、ゴースト像を眼に提示させ得る。例えば、外部光源からの光線は、光学系に進入し、眼上へ方向付けられ、同時に、光学系によってターゲット画像として生成され得る。そのようなゴースト像は、ユーザの気を散らし、グレアを生じさせ、又は眼に投影されるターゲット画像の質に悪影響を及ぼし得る。
【0010】
図1A図1B図2A図2B図3A図3B図4A図4B、及び図5を参照しながら、例示的な光学系100を説明する。光学系100は、画像投影アセンブリ110と、コントローラ140と、を備える。いくつかの実施形態では、光学系100はまた、アイトラッキングシステム600及び光源検出システム602のうちの1つ以上を備え得る。
【0011】
コントローラ140は、1つ以上の処理装置、メモリ、又は他の構成要素を有する、コンピューティングデバイスを備える。例えば、コントローラ140は、中央処理ユニット(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、専用回路、又は任意の他の構成要素を備え得る。下でより詳細に説明されるように、コントローラ140は、画像を生成して、眼に投影するための導光光学素子(LOE)に出力するように、投影光学装置(POD)を制御するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像投影アセンブリ110に一体化され得るか、又は眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、又は別の装置などの画像投影アセンブリ110を備える装置に一体化され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像投影アセンブリ110の遠隔に位置し得る。例えば、画像投影アセンブリ110は、コントローラ140と通信するように構成される有線又は無線通信デバイスを備え得る。一例として、コントローラ140は、モバイル装置、又は画像投影アセンブリ110とは別個のコンピューティング装置、又は画像投影アセンブリ110を含む装置の一部として含まれ得る。
【0013】
アイトラッキングシステム600は、任意であり、ユーザの眼180の瞳孔の位置を追跡して、対応する位置情報をコントローラ140に提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、アイトラッキングシステム600は、例えば、瞳孔の位置を追跡するように構成され得るか、若しくは瞳孔の位置を判定するために利用され得る情報を生成し得るカメラ又は他の装置を備え得る。
【0014】
光源検出システム602は、任意であり、光学系100に影響を及ぼし得る光源、例えば、太陽、街灯、ヘッドライト、又は他の光源を検出して、対応する情報、例えば、光源の方向、光源の強度、又は光源に関する任意の他の情報をコントローラ140に提供するように構成されている。一例として、光源検出システム602は、カメラ、赤外線検出器、又は光学系100の外部にある光源を検出するように構成される、又は、例えば光源に関する方向、強度、又は任意の他の情報などの、光源の特性を識別及び判定するためにコントローラ140によって利用され得る情報を生成するように構成される、任意の他の装置を備え得る。
【0015】
画像投影アセンブリ110は、投影光学装置(POD)112及び導光光学素子(LOE)114を備え、一次元(1D)又は二次元(2D)の瞳孔拡大を利用して、ユーザの眼180に画像を投影するように構成されている。
【0016】
POD112は、画像生成器200、コリメート光学系300、又は画像投影アセンブリに含まれることもある、例えば、空間光変調器(SLM)などの、他の構成要素を備える。いくつかの実施形態では、これらの構成要素のうちのいくつか又は全ては、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブの表面に配列され得るか、又は他のプリズム配列であり得る。画像生成器200は、ユーザの眼180上へ投影される画像に対応する照明、例えば、光線、レーザビーム、又は他の形態の照明を提供する、1つ以上の構成要素を備える。例えば、画像生成器200は、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)表示素子、バックライト付液晶ディスプレイ(LCD)パネル、マイクロLEDディスプレイ、デジタル光処理(DLP)チップ、液晶オンシリコン(LCOS)チップ、又は他の構成要素を備える。
【0017】
POD112がSLM(図示せず)を備える場合、SLMは、例えばOLED表示素子、バックライト付LCDパネル、マイクロLEDディスプレイ、DLPチップ、又は別の発光構成要素などの構成要素を備える発光SLMとして実装され得るか、又は例えばLCOSチップなどの構成要素を備える反射SLMとして実装され得る。ビームスプリッタキューブブロックは、コリメート光学系とSLMとの間に介在させて、SLMの表面への照明の送達を可能にし得る。SLMは、画像を生成するために、照明の各画素の投影強度を変調するように構成され得る。例えば、SLMは、各表示画素から、LOE114の平面内で、例えば、以下で説明される主LOE表面116及び118の平面内で発散する光線を提供し得る。
【0018】
代替的に、POD112は、走査装置、例えば、高速走査ミラーを含み得、これは、POD112の画像平面全体にわたって光源からの照明を走査し、一方で、照明の強度を画素ごとの運動と同期的に変化させて、画素ごとに所望の強度を投影する。
【0019】
POD112はまた、画像の照明をLOE114内に注入するためのカップリングイン配列、例えば、カップリングイン反射器、角度付き結合プリズム、又は任意の他のカップリングイン配列を備える。いくつかの実施形態では、POD112とLOE114との間の結合は、直接結合を含み得、例えば、POD112は、LOE114の一部分と接触し得るか、又は画像がLOE114の平面に注入されるアパーチャの寸法を拡大するための追加的なアパーチャ拡大配列を介した結合を含み得る。
【0020】
LOE114は、例えば図1A図4Bに示されるように、光学的に活性でない、平行な第1の主LOE表面116及び第2の主LOE表面118と、縁部と、を含む、導波路を備える。LOE114はまた、投影のためにLOE114からの照明をユーザの眼180上へ方向付けるように構成される、カップリングアウト配列120も備える。いくつかの実施形態では、カップリングアウト配列120は、LOE114の主LOE表面116及び118に対して斜角でLOE114内に配列される、本明細書ではファセット1221、1222、1223、及び1224と称される、複数の平行表面として例解される。ファセット1221、1222、1223、及び1224は、本明細書では、集合的に又は個々にファセット122と称され得る。例解的な一実施形態では、4つのファセット1221、1222、1223、及び1224図1A図4Bに例解されているが、他の実施形態では、LOE114は、代替的に、より多い数のファセット122又はより少ない数のファセット122を備え得る。
【0021】
各ファセット122は、ファセット122が光の高透過率を有する状態とファセット122が光の高反射率を有する状態との間で選択的に活性化可能である。一例として、いくつかの実施形態では、ファセット1221は、100%の反射率及び0%の透過率を有するように活性化され得、また、0%の反射率及び100%の透過率を有するように非活性化され得る。いくつかの実施形態では、反射率及び透過率の量は、ファセット122ごとに調整可能であり得、よって、例えば、ファセット1221は、部分的反射率及び部分的透過率を有するように、例えば、25%の反射率及び75%の透過率、50%の反射率及び50%の透過率、75%の反射率及び25%の透過率、又は任意の他の反射率及び透過率の量を有するように調整され得る。一例として、コントローラ140は、各ファセット122を選択的に活性化させて、その反射率及び透過率を調整するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、各ファセット122を活性化させて、特定の角度又は角度範囲の光線についてその反射率及び透過率を、例えば、いくつかの角度又は角度範囲の光線については高い透過率に、及び他の角度又は角度範囲の光線については高反射率に調整するように構成され得る。
【0022】
画像生成器200は、LOE114に進入し、かつ異なる角度で主LOE表面116及び118に反射する、対応する光線L1、L2、L3、及びL4を生成するようにコントローラ140によって選択的に活性化可能である、表示領域2021、2022、2023、及び2024を備える。表示領域2021、2022、2023、及び2024は、本明細書では、個々に及び集合的に表示領域202と称され得る。光線L1、L2、L3、及びL4はまた、本明細書では、個々に又は集合的に光線Lと称され得る。図1B図2B図3B、及び図4Bの例示的な画像生成器200には、4つの表示領域202及び対応する光線Lが示されているが、他の実施形態では、画像生成器200は、より多い数の又はより少ない数の表示領域202及び対応する光線Lを含み得る。各表示領域202は、コントローラ140によって選択的に活性化され得る1つ以上の画素又は他の表示素子を備える。いくつかの実施形態では、例えば、各表示領域202は、単一の画素を備える。他の実施形態では、各表示領域202は、一群の画素、画素の水平線、画素の垂直線、又は任意の他の一群の画素を備え得る。
【0023】
図1A図4Bに示されるように、例えば、光線Lは、主LOE表面116及び118に反射することによって、LOE114を通ってファセット122に向かって進行する。例えば、主LOE表面116及び118は、LOE114を通って進行する任意の光線Lに対して全反射(TIR)を提供することができる。光線Lは、例えば不活性ファセット122の高透過率により、任意の不活性ファセット122を通って進行する。光線Lが活性ファセット122に遭遇したときに、光線Lは、活性ファセット122の高反射率のため、活性ファセット122によってLOE114から例えば眼180に向かって再方向付けされる。
【0024】
図1Aは、表示領域2021及びファセット1221が活性であり、かつ表示領域2021によって生成された光線L1がLOE114を通って進行する、第1の例示的なシナリオを例解する。このシナリオでは、表示領域2022、2023、及び2024、並びにファセット1222、1223、及び1224は、不活性である。光線L1は、活性ファセット1221に反射して眼180に向かって再方向付けされる前に、主LOE表面116及び118に反射し、不活性ファセット1224、1223、及び1222の順に通過する。
【0025】
図2Aは、表示領域2022及びファセット1222が活性であり、かつ表示領域2022によって生成された光線L2がLOE114を通って進行する、第2の例示的なシナリオを例解する。このシナリオでは、表示領域2021、2023、及び2024、並びにファセット1221、1223、及び1224は、不活性である。光線L2は、活性ファセット1222に反射して、眼180に向かって再方向付けされる前に、主LOE表面116及び118に反射して、不活性ファセット1224及び1223の順に通過する。このシナリオでは、ファセット1222が活性であり、かつ完全反射であるので、例えば100%反射であるので、光線L2は、ファセット1221に到達しない。いくつかの実施形態では、ファセット1222は、活性であるときであっても、完全反射でない場合がある。そのような場合、ファセット1221が不活性であるので、光線L2は、ファセット1221に到達し得るが、反射されない。
【0026】
図3Aは、表示領域2023及びファセット1223が活性であり、かつ表示領域2023によって生成された光線L3がLOE114を通って進行する、第3の例示的なシナリオを例解する。このシナリオでは、表示領域2021、2022、及び2024、並びにファセット1221、1222、及び1224は、不活性である。光線L3は、活性ファセット1223に反射して眼180に向かって再方向付けされる前に、主LOE表面116及び118に反射し不活性ファセット1224を通過する。このシナリオでは、ファセット1223が活性であり、かつ完全反射であるので、例えば100%反射であるので、光ビームL3は、ファセット1221及び1222に到達しない。いくつかの実施形態では、ファセット1223は、活性であるときであっても、完全反射でない場合がある。そのような場合、ファセット1221及び1222が不活性であるので、光線L3は、ファセット1221及び1222のうちの1つ以上に到達し得るが、反射されない。
【0027】
図4Aは、表示領域2024及びファセット1224が活性であり、かつ表示領域2024によって生成された光線L4がLOE114を通って進行する、第4の例示的なシナリオを例解する。このシナリオでは、表示領域2021、2022、及び2023、並びにファセット1221、1222、及び1223は、不活性である。光線L4は、活性ファセット1224に反射し、眼180に向かって再方向付けされる前に、主LOE表面116及び118に反射する。このシナリオでは、ファセット1224が活性であり、かつ完全反射であるので、例えば100%反射であるので、光ビームL4は、ファセット1221、1222、及び1223に到達しない。いくつかの実施形態では、ファセット1224は、活性であるときであっても、完全反射でない場合がある。そのような場合、ファセット1221、1222、及び1223が不活性であるので、光線L4は、ファセット1221、1222、及び1223のうちの1つ以上に到達し得るが、反射されない。
【0028】
図1A図4Bに見られるように、各図では、表示領域202及びファセット122の異なる組み合わせが活性であるが、生成された光線L1、L2、L3、及びL4は、それぞれ眼180に向かって方向付けられるが、角度が異なる。例えば、各ファセット122及び眼180の瞳孔の相対位置は、ファセット122によって投影することができる画像視野(FOV)のどの部分が、各表示領域202によって眼180の瞳孔に向かうかを画定する。いくつかの実施形態では、光学系100のエネルギー効率を最適化するために、各ファセット122によって投影することができる画像FOVの一部分のみが、対応する表示領域202によって生成される。例えば、画像FOVの特定の部分に対して、コントローラ140は、画像FOVのその部分を眼180の瞳孔の位置に方向付ける表示領域202及び対応するファセット122のみを活性化させることができる。
【0029】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、表示領域202及びファセット122の組み合わせを選択的にかつ連続的に活性化させて、同じ画像のフレームごとに画像FOVの異なる部分を眼180上へ投影し得る。
【0030】
一例として、ファセット1221及び表示領域2021を時間T1で活性化させて、第1のフレームの画像FOVの第1の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1222及び表示領域2022を時間T2で活性化させて、第1のフレームの画像FOVの第2の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1223及び表示領域2023を時間T3で活性化させて、第1のフレームの画像FOVの第3の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1224及び表示領域2024を時間T4で活性化させて、第1のフレームの画像FOVの第4の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1221及び表示領域2021を時間T5で活性化させて、第2のフレームの画像FOVの第1の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1222、表示領域2022を時間T6で活性化させて、第2のフレームの画像FOVの第2の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1223及び表示領域2023を時間T7で活性化させて、第2のフレームの画像FOVの第3の部分を眼180上に方向付け得る、ファセット1222、表示領域2022を時間T8で活性化させて、第2のフレームの画像FOVの第4の部分を眼180上に方向付け得る、などである。
【0031】
上で説明されるように、画像の第1のフレームの画像FOVの一部分は、時間T1~T4の間に連続的に生成されて、眼180上に方向付けられ得、一方で、画像の第2のフレームの画像FOVの一部分は、時間T5~T8の間に生成されて、眼180上へ方向付けられ得る。時間T1~T8は、画像のフレームを眼180上へ投影するためのターゲットフレームレートを提供するように構成される、任意の単位時間を含み得る。例えば、時間T1~T8は、ミリ秒(ms)で、又は任意の他の測定単位であり得る。
【0032】
活性ファセット122が完全反射であり、かつ全ての他のファセット122が完全に透過性である状態で、画像FOVの一部分を眼180上へ投影するために、1つの活性ファセット122及び1つの対応する表示領域202のみが一度に利用されるので、画像生成器200によって生成される光線の潜在的に100%又はほぼ100%が、活性ファセット122によって眼180に向かってLOE114に反射されるので、POD112のエネルギー効率は、静的半反射ファセットを有する光学系を超えて改善される。
【0033】
例えば、いくつかのLOEは、LOE内を異なる角度で伝搬するLOEからの光線を方向付けるように構成される半反射ファセットを備える。これらのLOEでは、特定の角度の光線のみが各ファセットによって反射され、一方で、他の角度は、ファセットを通過することが可能になる。この効果のため、PODによってLOEに提供される光の一部分は、そうした一部分の光がユーザの眼に向かって方向付けられる場合であっても、1つを超えるファセットによって反射され得、PODの無駄な電力及び非効率性をもたらし得る。
【0034】
加えて、選択的に活性化可能なファセット122及び表示領域202の使用は、静的半反射ファセットを備えたLOEを有する光学系と比較して、光学系100が、ファセット122ごとにより大きい利用可能な画像FOVを提供することを可能にする。例えば、各静的半反射ファセットは、光線が反射する角度に応じて、特定の画像FOVに対応する光線を眼に提供することだけが可能であり得る。ファセット122がより多くの角度からの光を再方向付けすることができるので、ファセット122は、活性化させたときに完全反射であり得るので、より大きい利用可能な画像FOVが可能である。
【0035】
いくつかの実施形態では、ファセット122は、特定の角度の光線が各ファセット122によって反射される上で説明される静的半反射ファセットと同様である半反射状態で、コントローラ140によって活性化され得、一方で、他の角度は、各ファセット122を通過することが可能になり、よって、POD200によってLOE114に提供された光の一部分が、そうした光の一部分がユーザの眼に向かって方向付けられない場合であっても、1つを超えるファセットによって反射され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ファセット122は、上で説明される静的半反射ファセットの機能を模倣するようにコントローラ140によって活性化され得る。
【0036】
図6A及び図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ140は、アイトラッキングシステム600から受信した位置情報を利用して、眼180の瞳孔182の位置を判定し、表示領域202及びファセット122の対応する組み合わせを活性化させて、画像FOVの一部分を、眼180の瞳孔182の判定された位置に対応するアイモーションボックス(EMB)の一部分184に向かって投影し得る。例えば、図6A及び図6Bには、活性ファセット1222によって眼180に向かって投影された画像FOVの一部分と、EMBのこの一部分184を通して投影される画像FOVの一部分を生成する画像生成器200の対応する表示領域2022との関係が例解されている。
【0037】
光線204及び206は、ファセット1222の縁部と眼180の瞳孔182とを接続する。アイトラッキングシステム600は、LOE114に対する瞳孔182の位置に対応する位置情報を生成して、その位置情報をコントローラ140に提供する。コントローラ140は、位置情報を使用して、光線204及び206が、瞳孔182の位置に対応するEMBの一部分184上へ投影されるように、LOE114に対して進行する必要がある角度及び方向を判定する。例えば、コントローラ140は、光線204及び206を、LOE114の主LOE表面116に対してファセット1222に反射する必要がある角度208及び210を判定するように構成され得る。光線204と206との間の角度212は、ファセット1222によって瞳孔182内に投影される画像FOVの拡大を画定する。主LOE表面116に対する光線204及び206の角度208及び210は、例えば幾何光学法、例えば光反射及び屈折の幾何学法を使用して、POD112の出口にプロジェクタ光軸214に関する光線204及び206の対応する角度に変換され得る。図6Aに示されるように、プロジェクタ光軸214に対して、POD112の出口において、角度208は、角度216に対応し、角度210は、角度218に対応する。例えば、EMB又は眼の瞳孔に向かって放出されたときに画像FOVの中心方向が主LOE表面116に対して直角であり、画像FOVの中心方向がPOD112の光軸と一致するシステムでは、角度216は、90度から角度208を減算した角度に等しく、角度218は、90度から角度210を減算した角度に等しい。
【0038】
次いで、以下の式(1)及び(2)に従って、歪み法を適用して、コリメート光学系300の焦点距離、角度α、すなわち、角度218、及び角度β、すなわち、角度216を介して、活性化させた表示領域2022の座標X1及びX2を判定し得る。
X1=f×tan(α) (1)
X2=f×tan(β) (2)
【0039】
このようにして、エネルギーが瞳孔182の位置のみを照明するために使用されるので、画像投影アセンブリ110によるエネルギー使用量が最適化され得、光学系100のエネルギー効率が増加され得る。
【0040】
図7A及び図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、例えばアイトラッキングシステム600が存在しない、又は活性でない場合、瞳孔182に関する位置情報は、コントローラ140による使用に利用可能ではない場合がある。この実施形態では、瞳孔182の実際の場所は、コントローラ140に知られていない。そのような場合、瞳孔182の実際の場所に対応するEMBの一部分184を使用する代わりに、EMBのより大きい部分186が計算に使用される。いくつかの実施形態では、部分186は、光学系100の動作中に瞳孔182を位置付けることができるEMB全体に対応し、一方で、部分184は、EMBの一部のみに対応する。部分184の代わりにターゲットとして部分186を使用することで、コントローラ140は、図6A及び図6Bについて上で説明されるものと同様の様式で、必要とされる光線に対応する角度を判定し、それに応じて、対応するファセット122及び表示領域202を活性化させ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像FOVの一部分をEMBの一部分186に向かって投影するために、多数の表示領域202を活性化する必要があると判定し得る。そのような場合、コントローラ140は、例えば図7Bに示されるように組み合わせた表示領域220を活性化させるために、判定された表示領域202の各々を選択的に活性化させるように、又はいくつかの実施形態では、EMBの一部分186を照明するために必要である表示領域202の各々の選択画素のみを選択的に活性化させるように構成され得る。例えば、表示領域220は、表示領域2021の一部分及び2022の一部分を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせた表示領域220の活性化は、アイトラッキングシステム600が存在する場合であっても、図6A及び図6Bの実施形態によって利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、判定された瞳孔182の位置は、コントローラ140による多数の表示領域202のうちの一部分の活性化を必要とし得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、対応する画像FOVをEMB186内の瞳孔182のそれぞれの可能な場所に提供するために、多数のファセット122を表示領域202ごとに連続的に活性化させることが必要であると判定し得る。例えば、特定の表示領域202は、特定の画像FOV又は特定の画像FOVの一部分を眼180に提供するように、コントローラ140によって活性化され得る。活性化されている特定の表示領域202について、各ファセット122は、活性化させたときに、画像FOVを異なる場所へ方向付けるように構成される。瞳孔182の場所に関して不確実性が存在する場合、対応する画像FOVがEMB186の瞳孔182の位置のサブセットに方向付けられることを確実にするために、ファセット122の少なくともいくつかが連続的に活性化され得る。
【0043】
場合によっては、ファセット122のいくつかだけが、特定の表示領域202からの光をEMB186上へ方向付けるように構成され得、一方で、他のファセット122は、例えばLOE114の光の角度に応じて、特定の表示領域202からの光をEMB186の外側に方向付けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、特定の表示領域202からの光をEMB186上へ方向付けるように構成される一群のファセット122のみを連続的に活性化させて、特定の表示領域202から、瞳孔182が位置し得るEMB186の各部分上へ画像FOVを方向付け得、一方で、特定の表示領域202について画像FOVをEMB186上へ方向付けない他のファセット122は、活性化され得ない。いくつかの実施形態では、例えば各表示領域202が異なる角度で光をLOE114及びファセット122に提供するので、異なる一群のファセット122を表示領域202ごとに連続的に活性化させて、対応する画像FOVをEMB186の各部分上へ方向付けることが必要であり得る。
【0044】
図8を参照すると、例解的な実施形態では、LOE114の活性ファセット122について眼180に向かって投影することができる利用可能な画像FOVは、活性ファセット122が完全反射であるので、上で説明されるような静的半反射ファセットによって投影され得る画像FOVよりもかなり大きくなり得る。これは、光線が完全に透過性であるので、光線の角度に関係なく、活性表示領域202によって生成される全ての光が、唯一の活性ファセット122によって反射されて、任意の不活性ファセット122を通過するからである。活性ファセット122の利用可能な画像FOVは、上で説明される半反射ファセットの場合のように特定の角度の光を反射することができるのではなく、LOE114の主LOE表面116及び118の全反射によってのみ制限される。
【0045】
例えば、図8に見られるように、光線L5及びL6は、画像生成器200(図1A)の対応する表示領域によって生成されて、該光線が活性ファセット122に到達するまで、LOE114の主LOE表面116及び118によって反射される。この実施例では、光線L5は、主LOE表面116の法線にして垂直な角度124で主LOE表面116に反射し、一方で、光線L6は、主LOE表面116の法線に対して角度126で主LOE表面116に反射する。光線L5は、浅い角度で活性ファセット122に反射するように示され、一方で、光線L6は、急な角度で活性ファセット122に反射するように示されている。一実施形態では、角度124は、LOE114の最大伝搬角度であり、一方で、角度126は、LOE114の全反射臨界角である。例えば、角度124は、90度、85度、又は任意の他の値で構成され得る。いくつかの実施形態では、最大使用可能角度124は、光線がLOE114に注入される様式に基づき得る。角度124及び角度126は、個々のファセット122によって提供することができる最大使用可能画像FOVを一緒に画定する。
【0046】
例示的な角度124及び126は、活性ファセット122全体を十分に利用して、活性ファセット122をEMB内の任意の場所で画像FOVを眼180上へ投影するために利用することを可能にする、利用可能な画像FOVを例解する。例えば、任意の眼180の位置について、光線が主LOE表面116を通過するときに活性ファセット122に反射して主LOE表面116によって屈折するときに、眼180の位置に対応する角度で、LOE114内で反射する光線を生成するように構成される、対応する表示領域202が選択的に活性化されて、画像FOVを眼180に提示し得る。
【0047】
選択的に活性化可能なファセット122ごとの利用可能な画像FOVは、静的半反射ファセットよりも大きいので、いくつかの実施形態では、光学系100の効率も高める同じ画像FOVの範囲を提供するために、より少ない数のファセット122が利用され得る。
【0048】
図9は、LOE114及び共役FOV130内を伝搬する例示的なFOV136を例解する。FOV136は、LOE114の主LOE表面116及び118の全反射の結果として、共役FOV130内へ反射する。図9に見られるように、活性ファセット122は、共役FOV130を2つの部分、FOV132及びFOV134に分ける。
【0049】
上で言及される静的半反射ファセットを有するLOEでは、半反射ファセットは、結果として生じる画像に影響を及ぼすことなく、LOE内を伝搬する共役FOVを分けることができない。例えば、半反射コーティングは、しばしば、大きい入射角で非常に高い反射率を有する。この非常に高い反射率のため、半反射ファセットの角度に近い角度で伝搬する共役FOV130の一部分は、半反射ファセットによって反射され、ゴースト像の一因となる。そのようなゴースト像の存在を低減するために、半反射ファセットを備えたLOEを有する光学系は、例えば浅い角度のFOV134内、又は例えば半反射コーティングによって反射されない十分に大きい角度のFOV132内、のいずれかに画像を提供し得るが、ファセットの角度に近い角度以下の完全共役FOV130内には提供し得ない。
【0050】
例解的な実施形態では、ファセット122は、不活性化させて、ゴースト像を生成することなく、そのようなその共役FOV130がファセットを通して伝搬するように、高い入射角であっても透過させることができる。これは、共役FOV130を利用して、半反射ファセットを有するLOEのFOVと比較して、図8に示される活性ファセット122について、より大きい画像FOVを生成する能力をもたらす。1つの例示的なシナリオでは、LOE114は、1.8の屈折率及び33.7度の臨界角で構成され得る。LOE114内で伝搬するFOVは、約51.3度で構成され得、この例示的なシナリオにおいてLOE114の活性ファセット122によって出力されるFOVは、約93度のFOVで構成され得る。
【0051】
図10A及び図10Bを参照しながら、別の実施形態による例示的な光学系400を説明する。図10A及び図10Bに例解されるように、同様の要素は、図1A図4Bの光学系100と同様の参照番号を有する。例えば、光学系400は、POD412及びLOE414を備える画像投影アセンブリ410と、コントローラ440と、光学系100について上で説明されるものと同様の他の構成要素と、を備える。LOE414は、主LOE表面416及び418と、ファセット4221、4222、4223、及び4224を備えるカップリングアウト配列420と、を備える。図10A及び図10Bの実施形態では、画像投影アセンブリ410は、POD412とLOE414との間に配設されたLOE500を更に備える。
【0052】
LOE500は、本明細書において集合的に及び個々にファセット504とも称され得るファセット5041、5042、5043、5044、5045、5046、及び5047を備える、カップリングアウト配列502を備える。図10A及び図10Bの例示的な光学系400では7つのファセット504を備えるように例解されているが、他の実施形態では、LOE500は、代替的に、より多い数の又はより少ない数のファセット504を備え得る。
【0053】
LOE500及びファセット504は、LOE射出瞳の2D拡大に使用される。いくつかの実施形態では、ファセット504は、上で言及される半反射ファセットなどの誘電コーティングを含む静的半反射ファセットを備え得る。他の実施形態では、ファセット504は、代替的に、図1A図4Bのファセット122と同様である選択的に活性化可能なファセットを備え得、また、例えば、100%の透過率及び0%の反射率を有する不活性状態、0%の透過率及び100%の反射率を有する活性状態、又は部分的透過率及び部分的反射率を有する別の状態に、ファセット122を参照して上で説明されるものと同様の様式でコントローラ440によって選択的に活性化可能であり得る。
【0054】
図11A及び図11Bを参照しながら、光学系400の別の実施形態を説明する。図11A及び図11Bの実施形態では、画像投影アセンブリ410は、主LOE表面416及び418に平行である、LOE414の内側の半反射面を備える混合器506を更に備える。混合器506は、図11Aにおいて実線及び破線の矢印によって示されるように、LOE414の光線を分ける。混合器506による分割は、画像投影アセンブリ410がLOE414のアパーチャを完全に満たすことを可能にする。
【0055】
図12を参照すると、例示的な比較のシナリオでは、1つ以上の外部光源700及び702は、LOE714に入る光線を生成し得る。このシナリオのLOE714は、静的半反射ファセット7221、7222、7223、及び7224を備える。図12に示されるように、外部光源700からの光線724がLOE714に進入すると、該光線は、ファセット7224において、ファセット7224を通過してLOE714を出る第1の部分726と、ファセット7224に反射してLOE714を通って伝搬する第2の部分728とに分けられる。図12に見られるように、第1の部分726は、眼180に影響を及ぼさないが、第2の部分728は、ファセット7222によってLOE714から眼180に向かって方向付けられる。このシナリオでのLOE714による眼180上への光線724の第2の部分728の伝搬及び方向は、眼180上へ投影されるゴースト像をもたらし得る。大部分の事例では、ゴースト像は、LOEの多数のファセットによる光線の反射からの外部光源に起因し、単一のファセットからの反射は、それ自体では、LOEからの光線をユーザの眼に向かって方向付けないことに留意することが重要である。
【0056】
図13を参照すると、別の例示的なシナリオにおけるLOE114が例解されている。この実施例では、ファセット1224が不活性であるので、光線724は、ファセット1224によって分けられず、代わりに、眼180に影響を及ぼすことなく、LOE114を通過する。加えて、活性ファセット122、この例示的なシナリオではファセット1222は、完全反射であるので、外部光源702によって生成された光線730は、LOE114内に反射するが、ファセット1222によって分けられず、かつ眼180に向かって方向付けられない。ファセット1222が唯一の活性ファセットであるので、ゴースト像は、光線724及び730によって生成されない。
【0057】
図14を参照すると、別の例示的なシナリオでは、平行光線730が外部光源702によって生成されて、光線732、734、及び738のそれぞれが、同じ角度でLOE114の異なる部分に進入する。光線730は、例えば該光線がLOE114内を伝搬する角度のため、LOE114の主LOE表面116上でフレネル反射を受ける。例えば、光線730がLOE114に進入する角度のため、該光線は、図13の例示的なシナリオにおいて光線724が行った様式と同じ様式で主LOE表面116を通過しない。そのような場合、単一の活性ファセット1222のみを有することは、依然として、例えば光線734によって示されるように、眼180の瞳孔182に向かって方向付けられているゴースト像をもたらし得る。しかしながら、ファセット1221及び1223のどちらかが活性である場合、対応する光線732及び736は、眼180の瞳孔182に向かって方向付けられず、かついかなるゴースト像も生じない。
【0058】
外部光源700の位置は、光源検出システム602(図1A)を使用してコントローラ140によって判定され得、一方で、瞳孔182の位置は、アイトラッキングシステム600(図1A)を使用してコントローラ140によって判定され得る。外部光源700及び瞳孔182の既知の位置に基づいて、コントローラ140は、どのファセット122が瞳孔182上へゴースト像を投影し得るかを判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像を生成するときの外部光源700によるゴースト像の一因となるファセット122の活性化をスキップするように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、外部光源700によるゴースト像の一因となるファセット122の反射率を調整するように構成され得、例えば、ファセット122は、生成された画像を瞳孔182上へ投影するために少ない数の利用可能なFOVを有することを代価にしてゴースト像を減衰させるために、100%未満の反射率に設定することができる。
【0059】
図15を参照すると、例示的な比較のシナリオでは、LOE814は、POD(図示せず)から光線824を受ける。この例示的な比較のシナリオでは、LOE804は、静的半反射ファセット8221、8222、8223、及び8224を備える。光線824がLOE814を通って伝搬すると、光線824は、1つ以上のファセット822によって、異なる伝搬角度を有する多数の部分に分けられ得る。例えば、図15に示されるように、光線824は、半反射ファセット8224によって、光線824と同じ伝搬経路に沿って進む第1の部分826、例えば投影された画像と、変化した伝搬経路及び角度を有する第2の部分828、例えばゴースト光線とに分けられる。場合によっては、光線824の分けられた部分826及び828は、ファセット822のうちの1つ以上によって眼180上へ投影されるゴースト像を生じさせ得る。例えば、図15に見られるように、第2の部分828は、ファセット8223によって眼180上へ部分的に反射され、一方で、第1の部分826は、ファセット8222によって眼180上へ部分的に反射され、その結果、第1の部分826による画像及び第2の部分828によるゴースト像の両方を眼180上に同時に投影する。
【0060】
例解的な実施形態では、光線を眼180上へ方向付けるファセットだけしか活性させる必要がなく、よって、光線が分けられる機会が存在しないので、選択的に活性化可能なファセット122を有する開示されるLOE114は、この問題を克服する。加えて、活性ファセットが100%の反射率に設定され得、一方で、不活性ファセットが100%の透過率に設定され得るので、POD112から受けた光線は、活性ファセット122によってLOE114に完全反射され、ゴースト像を生じさせるいかなる有意な方法においても、不活性ファセット122によって影響を及ぼされない。
【0061】
図16A図16Cを参照すると、光学系400の例示的な一実施形態が説明されている。図16A図16Cの実施形態では、画像投影アセンブリ410は、POD412とLOE414との間に配設されたLOE900を更に備える。
【0062】
LOE900は、本明細書において集合的に及び個々にファセット904とも称され得るファセット9041、9042、9043、9044、9045、9046、及び9047を備える、カップリングアウト配列902を備える。図16A図16Cの例示的な光学系400では7つのファセット904を備えるように例解されているが、他の実施形態では、LOE900は、代替的に、より多い数の又はより少ない数のファセット904を備え得る。
【0063】
LOE900及びファセット904は、LOE射出瞳の2D拡大に使用される。図16A図16Cの実施形態では、ファセット904は、図1A図4Bのファセット122と同様である選択的に活性化可能なファセットを備え得、また、例えば、100%の透過率及び0%の反射率を有する不活性状態、0%の透過率及び100%の反射率を有する活性状態、又は部分的透過率及び部分的反射率を有する別の状態に、ファセット122を参照して上で説明されるものと同様の様式でコントローラ440によって選択的に活性化可能であり得る。加えて、図16A図16Cの実施形態では、ファセット904は、ファセット904全体を活性化させることなく、コントローラ440によって別々に活性化又は不活性化され得る、例えば実線によって示されるファセット9043の活性セグメントなどの、選択的に活性化可能なセグメント908を更に備える。いくつかの実施形態では、LOE414のファセット422はまた、ファセット422全体を活性化させることなく、コントローラ440によって別々に活性化又は不活性化され得る、例えば実線によって示されるファセット4223の活性セグメントなどの、選択的に活性化可能なセグメント910も備え得る。
【0064】
図16Cに示されるように、POD412は、グリッド状に配置された表示領域1002を備える画像生成器1000を備える。いくつかの実施形態では、各表示領域1002は、画像生成器1000の画素に対応し得る。他の実施形態では、各表示領域1002は、一群の画像生成器1000の画素に対応し得る。各表示領域1002は、出口アパーチャ906を介して画像をLOE900に投影するために、コントローラ440によって選択的に活性化可能である。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の表示領域1002が活性化されて、特定のFOVの画像を投影し得る。
【0065】
図16Bに見られるように、LOE900内の単一の活性化ファセット904及びセグメント908、並びにLOE414内の単一の活性化ファセット422及びセグメント910について、X軸に沿って眼180に向かって投影されるFOVは、アイトラッキングシステム600(図1A)を伴う光学系内の瞳孔182の位置及びPOD412の出口アパーチャ906によって画定される。
【0066】
瞳孔182の位置を知ることによって、光線を瞳孔182の位置に向かって方向付けるために必要な角度が、図6A及び図6Bについて上で説明されるものと同様の様式で、コントローラ440によって計算され得る。計算された角度は、出口アパーチャ906からの光線を、瞳孔182の判定された位置に対応するEMBの一部分912に向かって方向付けるために活性化させる必要がある、表示領域1002、ファセット904、セグメント908、ファセット422、及びセグメント910を画定する。この実施形態では、図6A及び図6Bの実施形態についてコントローラ440によって実行される計算と比較して、LOE900の追加により、追加的な計算が必要であり得る。例えば、式(1)及び(2)の上で言及した歪み法を利用又は拡張して、EMBの、表示領域1002から出口アパーチャ906までの、出口アパーチャ906からセグメント908までの、セグメント908からセグメント910までの、及びセグメント910から部分912までの、光線ごとの角度が計算され得る。
【0067】
アイトラッキングシステム600を有しない光学系では、図7A及び図7Bを参照して上で説明されるものと同様の様式で光線の角度及び方向を計算するために、EMBのより大きい部分186(図7A)が使用され得る。
【0068】
以下、図17を参照しながら、選択的に活性化可能なファセット122及び選択的に活性化可能な表示領域202の制御部を備える光学系100を動作させるための例示的なプロセスが説明される。本プロセスは、コントローラ140、アイトラッキングシステム600、POD112、及びLOE114によって少なくとも部分的に行われ得るか、又は光学系100の任意の他の部分によって少なくとも部分的に行われ得る。
【0069】
図17のプロセスは、ステップ1100~1106を含む。図17のプロセスは、他の実施形態では、特定のステップ又は特定の順序のステップを有するように本明細書で説明されているが、本プロセスは、代替的に、任意の順序でステップを行い得るか、追加のステップを含み得るか、より少ないステップを含み得るか、又は以下で説明されるステップの一部分だけを行い得る。
【0070】
ステップ1100で、コントローラ140がEMBのターゲット部分を判定する。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ140は、図6A及び図6Bを参照して上で説明されるようにアイトラッキングシステム600から取得した位置情報を使用して、EMBの一部分184としてターゲット部分を判定し得る。例えば、アイトラッキングシステム600が含まれていないか、又は利用不能である、いくつかの実施形態では、コントローラ140は、図7A及び図7Bを参照して上で説明されるように、EMBの一部分186としてターゲット部分を判定し得る。
【0071】
ステップ1102及び1104で、コントローラ140が、画像視野の少なくとも一部分を含む光線をEMBのターゲット部分に向かって方向付けるように構成されている、LOE114のファセット122及び画像生成器200の表示領域202を識別する。例えば、ファセット122及び対応する表示領域202は、上の実施形態で説明されるコントローラ140によって識別され得る。ステップ1102及び1104は、特定の順序で行われるように例解されているが、任意の他の順序が使用され得る。加えて、いくつかの実施形態では、ステップ1102及び1104は、単一のステップを含み得る。
【0072】
ステップ1106で、コントローラ140が、識別されたファセット122及び識別された表示領域202を選択的に活性化させて、例えば図1A図4B又は上で説明される他の実施形態に示されるように、光線をアイモーションボックスのターゲット部分に向かって方向付ける。
【0073】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に示していない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことが更に理解されるであろう。
【0074】
以下の特許請求の範囲において、該当する場合、全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクション要素の、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わせてその機能を行うための、あらゆる構造、材料、又は行為を含むことを意図している。本発明の開示される実施形態は、例解及び説明のために提示されているが、網羅的であること又は開示された形態の発明に限定されることを意図するものではない。多くの修正及び変形が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。本発明の原理及び実際の用途を最良に説明し、想到される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本発明を他の当業者が理解することを可能にするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17