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  • 特許-跳ね上げ式メガネフレーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】跳ね上げ式メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 9/02 20060101AFI20231222BHJP
   G02C 1/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
G02C9/02
G02C1/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023111195
(22)【出願日】2023-07-06
【審査請求日】2023-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506401668
【氏名又は名称】株式会社ハグ・オザワ
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重久 能輝
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-221980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0093622(US,A1)
【文献】特開2000-075248(JP,A)
【文献】特開平09-068677(JP,A)
【文献】特開2007-304533(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024031(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C1/00-G02C13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右テンプルが両側に取着されるフロントバーと、このフロントバーの前側に配置されてフロントバーにヒンジ連結されるフロント枠と、を含んで構成される跳ね上げ式メガネフレームにおいて、
前記フロント枠が弾性変形可能な材料から成り、フロント枠の左右リムの上部背面に軸孔を有する雌型、或いは軸部を左右外向きに備えた雄型の第二ヒンジ片が形成される一方、
前記フロントバーにおける前記フロント枠の左右リムの後方位置には、部分的に後方に屈曲した凹部が形成されると共に、これら凹部前面に、軸部を左右内向きに備えた雄型、或いは軸孔を有する雌型の第一ヒンジ片がそれぞれ形成され、かつ、前記凹部が、左右の傾斜部位とフラットな形状の底部位から形成されて、左右中央側の深さがテンプル側の深さよりも大きくなっており、
更に前記フロント枠の左右の第二ヒンジ片が、前記フロントバーの第一ヒンジ片に対しフロント枠を前方に湾曲変形させた状態でヒンジ連結されて、その状態でフロント枠の左右リムが、フロントバーの左右バー部と同程度に後方に傾斜した形状になると共に、
前記フロントバーの左右の各凹部における前後凹みの深さが、第一ヒンジ片の前方突出量と一致し、前記フロント枠のブリッジとフロントバーの左右バー連結部の隙間が最小限の大きさとなっている、跳ね上げ式メガネフレーム。
【請求項2】
前記第一ヒンジ片および第二ヒンジ片において、雄型ヒンジ片が軸部と軸基部から構成されて、前記軸基部の雌型ヒンジ片との当接面に嵌合凸部が形成される一方、
雌型ヒンジ片は軸孔とその外周の筒部から構成されて、前記筒部の雄型ヒンジ片との当接面に前記嵌合凸部に対応する嵌合凹部が異なる位置に複数形成されると共に、隣り合う嵌合凹部間に凸カム部が形成されて、
前記フロント枠を跳ね上げたとき、前記嵌合凸部が所定の嵌合凹部内から凸カム部を通って別の嵌合凹部内へと移動する、請求項1記載の跳ね上げ式メガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロント枠を上側に跳ね上げて使用できる跳ね上げ式メガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
矯正用眼鏡や老眼鏡、サングラス等においては、不要となったときに眼鏡を一旦外し、再度必要となったときに眼鏡を再装着するのが一般的であるが、眼鏡の脱着を頻繁に行う作業は使用者にとって非常に煩わしい。またサングラスの場合、運転中やスポーツ中に脱着を行うことで集中力を削がれる要因にもなる。加えて、外した眼鏡を置く場所も必要となるため、眼鏡を置く場所がない状況下では眼鏡を外すことも難しい。
【0003】
そこで、従来においては、フロント枠をフロントバーに跳ね上げ自在に取り付けた跳ね上げ式のメガネフレームが公知となっている(例えば、特許文献1~3参照)。しかし、一般的な跳ね上げ式のメガネフレームは、フロント枠とフロントバーの間にヒンジ部が介在することで両者の間に大きな隙間が生じ、その隙間によってレンズの位置がフロントバーから離れやすいだけでなく、フロント枠とフロントバーの一体感が損なわれることでデザインに違和感が生じやすかった。
【0004】
一方、従来においては、フロントバーに凹部を形成して、この凹部内でヒンジ連結を行う跳ね上げ式メガネフレームも提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、この従来のメガネフレームは、フロントバーの凹部内に形成された雌型ヒンジ片に、フロント枠の雄型ヒンジ片を挿入した状態でネジ留めを行う必要があったが、凹部内にネジを挿入することが難しくフロント枠の取り付けが困難な構造であった。またネジにより部品数が増えてコスト面でも課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平2-21622号公報
【文献】特開2001-91905号公報
【文献】特開2002-23112号公報
【文献】特開2001-221980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約するとフロントバーに対するフロント枠の取り付け作業が簡単で、部品数も抑えることができ、更に違和感のないコンパクトなフレームデザインを実現できる跳ね上げ式メガネフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決する手段として、左右テンプルが両側に取着されるフロントバー1と、このフロントバー1の前側に配置されてフロントバー1にヒンジ連結されるフロント枠2と、を含んで構成される跳ね上げ式メガネフレームにおいて、前記フロント枠2を弾性変形可能な材料から構成し、フロント枠2の左右リム21の上部背面に軸孔23aを有する雌型、或いは軸部を左右外向きに備えた雄型の第二ヒンジ片23を形成する一方、前記フロントバー1における前記フロント枠2の左右リム21の後方位置に、部分的に後方に屈曲した凹部11aを形成すると共に、これら凹部11前面に、軸部13aを左右内向きに備えた雄型、或いは軸孔を有する雌型の第一ヒンジ片13をそれぞれ形成して、当該第一ヒンジ片13に対して前記第二ヒンジ片23を、前記フロント枠2を前後に湾曲変形させた状態で前記軸部を前記軸孔に挿入してヒンジ連結する構成を採用した(効果は後述する)。
【0008】
また本発明では、上記フロント枠2をフロントバー1から取り外し、左右中心位置を揃えて前後に並べた状態で、フロント枠2の左右の第二ヒンジ片23の位置を、フロントバー1の第一ヒンジ片13よりも左右外側に配置するのが好ましい。これによりフロント枠2を湾曲させた状態でフロントバーに装着すれば、フロント枠2の弾性復元力によって、第二ヒンジ片23に左右外側方向への付勢力が働き、ヒンジ部に適度なアガキ(回転抵抗)を生み出すことができる。
【0009】
また本発明では、上記フロントバー1の左右の各凹部11aにおける前後凹みの深さを、第一ヒンジ片13の前方突出量と一致または近似させるのが好ましい。これによりフロントバー1とフロント枠2のブリッジ側の隙間を最小限に抑えることができる。
【0010】
また本発明では、上記第一ヒンジ片13および第二ヒンジ片23において、雄型ヒンジ片を軸部13aと軸基部13bから構成して、前記軸基部13bの雌型ヒンジ片との当接面に嵌合凸部13cを形成する一方、雌型ヒンジ片は軸孔23aとその外周の筒部23bから構成して、前記筒部23bの雄型ヒンジ片との当接面に前記嵌合凸部13cに対応する嵌合凹部23cを異なる位置に複数形成すると共に、隣り合う嵌合凹部23c間に凸カム部23dを形成して、前記フロント枠2を跳ね上げたとき、前記嵌合凸部13cを所定の嵌合凹部23c内から凸カム部23dを通って別の嵌合凹部23c内へと移動させることができる。これにより雌型ヒンジ片の左右外側方向への付勢力を利用して、フロント枠2の跳ね上げ・戻し操作をスムーズに行うことができ、跳ね上げたフロント枠を所定角度で固定できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、フロントバーの凹部内に設けた第一ヒンジ片と、フロント枠に設けた第二ヒンジ片をネジ無しでヒンジ連結して構成すると共に、フロント枠を弾性変形可能なメタル枠から構成して、このフロント枠を前後に湾曲変形させた状態でヒンジ連結できるように構成したことにより、フロントバーとフロント枠の隙間を最小限に抑えることができるため、両者の一体感が損なわれないコンパクトなフレームデザインを実現できる。
【0012】
また本発明の跳ね上げ式メガネフレームは、ヒンジ部にネジが不要であるため、部品数を抑えてコスト面の問題も解決することができ、更に凹部内にネジを挿入する必要もないため、フロント枠を湾曲させて一方のヒンジ片の軸孔に他方のヒンジ片の軸部を挿入するだけで簡単にフロント枠の取り付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態の跳ね上げ式メガネフレームを示す全体平面図である。
図2】本発明の第一実施形態の跳ね上げ式メガネフレームを分解した状態を示す全体平面図である。
図3】本発明の第一実施形態のフロント枠をフロントバーに装着する状態を示す説明図である。
図4】本発明の第一実施形態のフロントバーの第一ヒンジ片とフロント枠の第二ヒンジ片を示す拡大説明図である。
図5】本発明の第一実施形態のフロントバーとフロント枠のヒンジ構造を示す拡大説明図、及びX-X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態を図1図5に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは、フロントバーであり、符号2で指示するものは、フロント枠である。符号Fで指示するものは、メガネフレームであり、符号Hで指示するものは、ヒンジ部であり、符号Nで指示するものは、ノーズパッドである。
【0015】
「跳ね上げ式メガネフレームの構成」
[1]メガネフレームの基本構成について
まず本実施形態の跳ね上げ式メガネフレームFの基本構成について説明する。本実施形態では、図1及び図2に示すようにフロントバー1の前側にフロント枠2を配置し、このフロント枠2をフロントバー1に対して上下方向に回動自在にヒンジ連結してメガネフレームFを構成している。またフロント枠2は弾性変形可能なメタル枠から構成して、図3に示すようにフロント枠2を前後に湾曲させた状態でフロントバー1に装着できるようにしている。なお図示しないが上記フロントバー1の左右両側には耳掛け部であるテンプルが取着される。
【0016】
更に図2に示す上記フロントバー1の左右バー11には、部分的に後方に屈曲した凹部11aをそれぞれ形成すると共に、これら凹部11の前面に、図4(a)(b)に示す軸部13aを左右内向きに備えた雄型の第一ヒンジ片13を形成している。一方、図2に示す上記フロント枠2の左右リム21の上部背面には、軸孔23aを有する雌型の第二ヒンジ片23を形成し、この第二ヒンジ片23の軸孔23aに上記第一ヒンジ片13の軸部13aを挿入して軸支することで図5に示すヒンジ連結部を構成している。
【0017】
上記の構成により、上記フロント枠2の第二ヒンジ片23を、左右リム21の後方位置に形成された凹部11a内でヒンジ連結することができるため、フロントバー1の左右バー11とフロント枠2の左右リム21との間に生じる隙間を最小限に抑えることができる。また上記フロントバー1とフロント枠2をネジ無しでヒンジ連結できるため、フロントバー1に対するフロント枠2の取り付けを容易に行うことができる。
【0018】
[2]フロントバー及びフロント枠の材料について
上記フロントバー1とフロント枠2の材料に関しては、本実施形態ではフロントバー1に金属材料(例えば、チタン、チタン合金、洋白、アルミニウム、金、ステンレス等)を使用しているが、メタル枠として使用される金属材料を適宜使用することができ、プラスチック枠として用いられる樹脂(例えば、アセテート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂など)を使用することもできる。またプラスチック枠やメタル枠だけでなくプラスチック材料と金属材料を組み合わせたコンビ枠からフロントバー1やフロント枠2を構成することもでき、フロントバー1とフロント枠2に異種材料を使用することもできる。
【0019】
[3]フロントバーの全体形状について
上記フロントバー1の形状に関しては、本実施形態では図2に示すように左右バー部11の平面視における形状を、全体として若干後方に傾斜した形状とし、この左右バー部11を繋ぐ左右バー連結部12の平面視における形状を前方に湾曲した形状としている。またフロントバー1の左右バー連結部12の両側には、クリングス14を背面側に設け、その先端にノーズパッドNが取着している。またフロントバー1の左右両端側には、後方に屈曲したヨロイ部15を形成して、このヨロイ部15のヒンジ片にテンプル基端のヒンジ片を連結可能に構成している。
【0020】
本実施形態では、上記左右バー部11の各左右中央部に凹部11を形成しているが、凹部11aの位置はフロント枠の第二ヒンジ片23の左右位置に応じて適宜変更できる。上記凹部11aの平面視における形状としては、本実施形態では図2に示すように凹部11aの左右両側に傾斜部位を形成し、その傾斜部位に挟まれた凹部11aの底部位をフラットな形状としている。更に凹部11aの左右両側の傾斜部位は、左右バー連結部12側(中央側)の深さがテンプル側(両端側)の深さよりも大きくなっている。これによりテンプルを拡げたときに左右バー部11が左右リム21に接触し難くすることができる。
【0021】
本実施形態では、上記フロントバー1の左右の各凹部11aにおける前後凹みの深さ(左右バー連結部12側の深さ)を、第一ヒンジ片13の前方突出量と近似させている。これによりフロント枠2の第二ヒンジ片23が凹部11a内に収まる状態となるため、フロント枠2のブリッジ22とフロントバー1の左右バー連結部12の隙間を最小限に抑えることができる。なお各凹部11aにおける前後凹みの深さを、第一ヒンジ片13の前方突出量と一致させることもでき、その場合には第一ヒンジ片13の前方突出量によって隙間の大きさを調整することができる。
【0022】
[4]フロントバーの第一ヒンジ片について
上記フロントバー1の第一ヒンジ片13については、本実施形態では雄型のヒンジ片としているが、第二ヒンジ片を雄型とする場合には軸孔を有する雌型のヒンジ片とすることもできる。また本実施形態では、図4(a)(b)に示すように第一ヒンジ片13を左右方向に突出した軸部13aと、その軸部13aの根本部分に形成された軸基部13bとから構成し、更に軸基部13bの第二ヒンジ片23(雌型ヒンジ片)との当接面に嵌合凸部13cを部分的に形成している。
【0023】
上記嵌合凸部13cの形状に関しては、本実施形態では図4(a)(b)に示すように、軸基部13bの軸部13aの下側に位置する部位を軸部13aの突出方向に隆起させた段差状に形成している。また本実施形態では、嵌合凸部13cの幅を軸部13aの幅と同じにすることで切削加工による嵌合凸部13cの形成を容易に行うことができる。なお嵌合凸部13cの位置や数、形状は、これに限定されず対応する第二ヒンジ片23の形状(詳しくは後述する)に応じて適宜変更できる。
【0024】
図4(a)(b)に示す右側のコの字型の部位は、左右バー部11に取り付けるための部位であり、このコの字型の部位に左右バー部11の左右中央部を嵌め込んでロウ付けすることでフロントバー1に第一ヒンジ片13を形成している。また軸基部13bの前方突出量や軸部13aの前後位置を調整することで、フロントバー1とフロント枠2の隙間の大きさを適宜調整することもできる。
【0025】
[5]フロント枠の全体形状について
上記フロント枠2の形状に関しては、本実施形態では図2に示す非装着状態での左右リム21の平面視における形状を、左右バー部11よりも後方への傾斜が少ないフラットに近い形状としている。そして、このフロント枠2を図3に示すように湾曲させた状態でフロントバー1に装着することで、図1に示すように左右リム21が左右バー部11と同程度に後方に傾斜した形状となるようにしている。またフロント枠2のブリッジ22は、フロントバー1の左右バー連結部12と同様、前方に湾曲した形状となっている。
【0026】
なお本実施形態では、上記フロント枠2の左右リム21にレンズ全周を囲うフルリム型の形状を採用しているが、第二ヒンジ片23が形成される上辺部を有するリム形状であれば、上側部分のみのハーフリム型の形状を採用することもできる。また本実施形態では、フルリム型の左右リムのネジ留め部を左右外側(テンプル側)に形成し、このネジ留め部がフロント枠2をブローバー1に装着した際にヨロイ部15の下側に配置されるようにしている。
【0027】
[6]フロント枠の第二ヒンジ片について
上記フロント枠2の第二ヒンジ片23については、フロント枠2をフロントバー1から取り外し、図2に示す左右中心位置を揃えて前後に並べた状態で、フロント枠2の左右の第二ヒンジ片23の位置が、フロントバー1の第一ヒンジ片13よりも左右外側(テンプル側)に配置されるようにしている。これによりフロント枠2を湾曲させた状態でフロントバーに装着したとき、図3に示すようにフロント枠2の弾性復元力によって、第二ヒンジ片23に左右外側方向への付勢力が働き、ヒンジ部に適度なアガキが生まれる。
【0028】
本実施形態では、第二ヒンジ片23に軸孔23aを有する雌型ヒンジ片を採用しているが、雌雄を逆転させて軸部を有する雄型のヒンジ片を採用することもできる。また本実施形態では、図4(c)(d)に示すように第二ヒンジ片23を軸孔23aと、その外周の筒部23bとから構成し、更に筒部23bの第一ヒンジ片13(雄型ヒンジ片)との当接面に嵌合凹部23cを異なる位置に複数形成している。更に隣り合う嵌合凹部23c間には凸カム部23dを形成している。
【0029】
上記嵌合凹部13cの形状に関しては、本実施形態では図4(c)(d)に示すように、筒部23bの軸孔23aの下側に位置する部位と、軸孔23aの後側(先端側)に二カ所形成している。この嵌合凹部23cの相対的な位置関係はフロント枠2の跳ね上げ角度に対応して形成している。また本実施形態では、二カ所の嵌合凹部23cの幅を軸孔23aの幅と同じにすることで切削加工による嵌合凹部23cの形成を容易にしている。また嵌合凹部23cの位置や数、形状は、これに限定されず対応する第一ヒンジ片13の形状に応じて適宜変更することができる。
【0030】
図4(c)(d)に示すの左側の部位は、左右リム21に取り付けるための部位であり、この左側の部位を左右リムの上側背面にロウ付けすることでフロント枠2に第二ヒンジ片23を形成している。また筒部23bの後方突出量や軸孔23aの前後位置を調整することで、フロントバー1とフロント枠2の隙間の大きさを適宜調整することもできる。
【0031】
[7]第一ヒンジ片と第二ヒンジ片によるヒンジ構造
上記フロントバー1の第一ヒンジ片13とフロント枠2の第二ヒンジ片23によるヒンジ構造について説明する。図1及び図5(a)に示すようにフロントバー1の第一ヒンジ片13の軸部23を、フロント枠2の第二ヒンジ片23の軸孔2に内側(ブリッジ側)から外側(テンプル側)に挿入してヒンジ連結を行う。この際、ネジ等は用いず図3に示すようにフロント枠の弾性変形を利用して装着を行う。
【0032】
フロント枠2を跳ね上げていない状態(フロントバー1とフロント枠2が平行に配置された状態)において、図5(b)に示すように第一ヒンジ片13の嵌合凸部13cは、第二ヒンジ片23の一方の嵌合凹部23c内に挿入され、湾曲したフロント枠2の弾性反発力により固定された状態となる。この状態からフロント枠2を上方に跳ね上げて第二ヒンジ片23が回転すると、図5(c)に示すように第一ヒンジ片13の嵌合凸部13cは、第二ヒンジ片23の他方の嵌合凹部23c内に移動し、湾曲したフロント枠2の弾性反発力によりこの位置に固定された状態となる。
【0033】
上記の第一ヒンジ片13の嵌合凸部13cを、図5(b)に示す一方の嵌合凹部23cから図5(c)に示す他方の嵌合凹部23cに移動させる際、その中間の凸カム部23dを通って移動する。この凸カム部23dは両端に傾斜部が形成されているため、フロント枠2を上方向または下方向に回動させる力を加えると、傾斜部によって力の方向がフロント枠2の伸展方向(湾曲方向と逆方向)に変換される。これにより、嵌合凸部13cが凸カム部23dに沿って一方の嵌合凹部23cから他方の嵌合凹部23cに移動することが可能となる。
【0034】
上記のヒンジ構造によって本実施形態のメガネフレームFは、フロント枠2の跳ね上げ・戻し操作をスムーズに行うことができ、また跳ね上げたフロント枠を所定角度で固定することができる。なお本実施形態では、第二ヒンジ部23に嵌合凹部23cを二カ所設けているが、三カ所以上設けることもでき、その場合には、フロント枠2の跳ね上げ角度を段階的に固定することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 フロントバー
11 左右バー部
11a 凹部
12 左右バー連結部
13 第一ヒンジ片
13a 軸部
13b 軸基部
13c 嵌合凸部
14 クリングス
15 ヨロイ部
2 フロント枠
21 左右リム
22 ブリッジ
23 第二ヒンジ片
23a 軸孔
23b 筒部
23c 嵌合凹部
23d 凸カム部
F メガネフレーム
N ノーズパッド
【要約】
【課題】 フロントバーに対するフロント枠の取り付け作業が簡単で、部品数も抑えることができ、更に違和感のないコンパクトなフレームデザインを実現できる跳ね上げ式メガネフレームを提供すること。
【解決手段】 フロント枠2を弾性変形可能な材料から構成し、フロント枠2の左右リム21の上部背面に軸孔23aを有する雌型、或いは軸部を左右外向きに備えた雄型の第二ヒンジ片23を形成する一方、前記フロントバー1における前記フロント枠2の左右リム21の後方位置に、部分的に後方に屈曲した凹部11aを形成すると共に、これら凹部11前面に、軸部13aを左右内向きに備えた雄型、或いは軸孔を有する雌型の第一ヒンジ片13をそれぞれ形成して、当該第一ヒンジ片13に対して前記第二ヒンジ片23を、前記フロント枠2を前後に湾曲変形させた状態で前記軸部を前記軸孔に挿入してヒンジ連結する構成を採用した。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5