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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ドライシャンプー用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20231222BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20231222BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61K8/25
A61Q5/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017047160
(22)【出願日】2017-03-13
(65)【公開番号】P2018150271
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】397024627
【氏名又は名称】株式会社シービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】可児 俊之
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特表10-506644(JP,A)
【文献】国際公開第2014/177647(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/167536(WO,A2)
【文献】Dry Shampoo & Body Powder、ID4319091、Mintel GNPD[online]、2016年10月、[検索日2021.09.09]、URL、https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
MINTEL GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)デンプン及び(B)多孔質シリカを含み、前記(A)デンプンの含有量に対する(B)多孔質シリカの含有量の質量比(シリカ含有量/デンプン含有量)が0.3以上であり、前記(B)多孔質シリカ単体の油分吸着時透明度が60以上であり、毛髪に直接塗布して用いられることを特徴とするドライシャンプー用組成物(ただし、コーンスターチ、シリカ、カプリリルグリコール、parfum、プロピレングリコール、水、酸化鉄(酸化鉄(CI77491)、ピグメントイエロー42、酸化鉄(CI77499))、トウキンセンカエキス、カミツレ花エキスを含むドライシャンプー用組成物は除く)
【請求項2】
更に、(C)分散媒及び(D)エアゾール噴射剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のドライシャンプー用組成物。
【請求項3】
更に、(E)分散剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のドライシャンプー用組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドライシャンプー用組成物を、頭髪に直接塗布する工程を含む頭髪の清浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物に関する。特に、使用者が黒い髪である場合に、美観を損なうことのないドライシャンプー用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、洗髪のためのシャンプーとして用いられる組成物は界面活性剤等を含み、洗髪工程において、界面活性剤の効果により、頭皮あるいは髪に付着した汚れ、皮脂等を頭皮あるいは髪の表面から浮かせ、洗髪工程の最後に水、湯等によって汚れ、皮脂等とともに界面活性剤を含む組成物を流し落とすという工程を含むものである。しかし、使用する地域や環境によっては、上記洗髪工程における十分な水、湯等を確保することが難しい場合や病気等により身体動作に制限があり、上記洗髪工程の頻度を下げる必要がある。このような問題を解決するために、水、湯等を用いることなく、頭皮あるいは髪に付着した汚れ、皮脂等を取り除くドライシャンプーが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、デンプンを主成分とする組成物を配合したドライシャンプーが開示されている。これらの特許文献に開示された発明のドライシャンプーを用いた洗髪工程は、当該ドライシャンプーをエアゾールとして直接頭皮や髪に吹き付け、上記組成物に汚れ、汗や皮脂を吸着させ、その後、櫛等で上記組成物を落とすという工程からなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-520246号公報
【文献】特表2014-524429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライシャンプーを利用すれば、水、湯等を使用することなく洗髪が可能となるが、上記ドライシャンプーに含まれる組成物は一部が髪及び頭皮上に残ることがある。主成分のデンプンは白色のパウダーであるため、デンプンが髪及び頭皮上に残ると、頭垢(ふけ)のように見え、美観を損なうという問題がある。そして、黒髪の頭髪では、白色のパウダーがより目立つことから、特に顕著な問題となる。
【0006】
本発明は、皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物及び当該組成物を用いた頭髪の清浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題に対して鋭意検討したところ、ドライシャンプー用組成物として、デンプン及び特定のシリカを含み、さらにデンプンに対してシリカを一定質量比以上含む構成を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のドライシャンプー用組成物である。
【0008】
本発明のドライシャンプー用組成物は、(A)デンプン及び(B)多孔質シリカを含み、前記(A)デンプンの含有量に対する(B)多孔質シリカの含有量の質量比(シリカ含有量/デンプン含有量)が0.1以上であることを特徴とする。
この特徴によれば、使用後の組成物が頭垢に見えるという美観的なデメリットを最小限とすることができるという効果を奏する。さらに処方としての吸油量が高まることにより、少ない使用量で効果的に頭皮あるいは髪に付着した汗、皮脂等を除去することができるという効果を発揮する。
【0009】
更に、本発明のドライシャンプー用組成物は、(C)分散媒及び(D)エアゾール噴射剤を含むという特徴を有する。
この特徴によれば、ドライシャンプー用組成物をドライシャンプーとして使用する際に、スプレー用に適したエアゾール態様として提供することが可能となる。
【0010】
更に、本発明のドライシャンプー用組成物の一実施態様としては、(E)分散剤を含むという特徴を有する。
この特徴によれば、上記効果に加えて、更に、使用前後で組成物が凝集することを防止し、特にエアゾール態様としての使用に適した組成物を提供することができる。
【0011】
また、本発明は、頭髪の清浄方法であって、上記のドライシャンプー用組成物を頭髪に塗布する工程を含むという特徴を有するものである。
この方法によれば、含有組成物が皮脂を吸着した際に透明性を示すため、頭皮等に残った組成物が頭垢に見えるという美観を損ねる状態になることはなく、かつ皮脂の吸着力に優れるため、少ない使用量で十分な洗髪効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物を提供することができる。
また、本発明のドライシャンプー用組成物を頭髪に直接塗布することで、美観を損ねる状態になることがなく、かつ皮脂の吸着力に優れるため、少ない使用量で水を必要としない頭髪の清浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】油分として模擬皮脂である植物性スクワランを吸着させたデンプン(A)及び多孔質シリカ(B)の写真である。
図2】本発明のドライシャンプー用組成物の透明度と、組成物を構成するデンプンと多孔質シリカの質量比の関係を示すグラフである。
図3】本発明のドライシャンプー用組成物の吸油量(理論値)と、組成物を構成するデンプンと多孔質シリカの質量比の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
[ドライシャンプー用組成物]
本発明のドライシャンプー用組成物は、皮脂を吸着した際に透明性を示し、かつ皮脂の吸着力に優れたドライシャンプー用組成物であって、(A)デンプン及び(B)多孔質シリカを含み、前記(A)デンプンの含有量に対する(B)多孔質シリカの含有量の質量比(シリカ含有量/デンプン含有量)が0.1以上であることを特徴とする。
【0015】
図1は、油分として模擬皮脂である植物性スクワランを吸着させた(A)デンプンと(B)多孔質シリカの写真である。図1に示すように、(A)デンプンは油分を吸着することで不透明化し、これがドライシャンプー用組成物をドライシャンプーとして使用する際に、頭垢のように見える要因となっている。一方で、(B)多孔質シリカは油分を吸着することで透明性を示しており、この(B)多孔質シリカを一定質量比以上含有させることで、皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物を提供することが可能となる。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0016】
<(A)デンプン>
デンプンは、多糖類の一種で、アミロースとアミロペクチンからなる高分子である。デンプンは、吸油性を示し、比較的安価に調達可能であること、かつ人体に害のない成分であることからドライシャンプーの主成分として用いられている。デンプンは、図1に示すように、油分を吸着することで不透明化するが、デンプンは調達の容易性などからドライシャンプー用組成物の主成分として有効な物質であるため、少なくとも多孔質シリカに対して一定量含有することが好ましい。
【0017】
本発明におけるデンプンとしては、どのようなデンプン供給源からでも調製可能であって、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、コメ、コムギ及びタピオカなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。また、これらを疎水化またはシランカップリング処理等、粒子表面に有機物等を修飾したデンプン等が挙げられる。
【0018】
本発明におけるデンプンとしては、吸油量や調達の容易さなどを考慮して、特に疎水化したトウモロコシデンプン(オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAl)やコメデンプンが好ましい。例えば、トウモロコシデンプンとしては日澱化學社のオクティエやアクゾノーベル社のDry Flo Pureなど、コメデンプンとしては日本コーンスターチ社や日澱化學社のコメデンプンなどが挙げられる。特に、吸油量に優れることなどからコメデンプンを用いることがより好ましい。
【0019】
<(B)多孔質シリカ>
多孔質シリカは、粒子内にナノメートルサイズの細孔を有する二酸化ケイ素(SiO)粉末であり、例えば一次粒子がナノメートルサイズであるシリカを利用して調製される(一次粒子が凝集することによって形成され、一次粒子の粒子間隙が細孔となる。)。デンプンの一部を多孔質シリカに置き換えることにより、皮脂の吸着力を低下させることなく、かつ皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物を提供することが可能となる。なお、多孔質シリカは非晶質であることが好ましい。
【0020】
本発明における多孔質シリカの平均粒子径は、通常0.5~50μmの範囲であって、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは25μm以下である。なお、多孔質シリカの平均粒子径は、例えば動的光散乱法によって測定することができる。
本発明における多孔質シリカの比表面積は、通常10~1000m/gの範囲であって、好ましくは50m/g以上、より好ましくは150m/g以上、さらに好ましくは250m/g以上であり、好ましくは900m/g以下、より好ましくは850m/g以下である。
本発明における多孔質シリカの細孔容積は、通常0.05~10mL/gの範囲であって、好ましくは0.1mL/g以上、より好ましくは1mL/g以上であり、好ましくは7mL/g以下、より好ましくは5mL/g以下である。
本発明における多孔質シリカの細孔直径は、通常2~50nmの範囲であって、好ましくは3nm以上、より好ましくは4nm以上であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下である。
なお、多孔質シリカの比表面積、細孔容積、細孔直径は、例えばガス吸着法によって測定することができる。
多孔質シリカの平均粒子径等が上記範囲内であると、きしみがなく、すべり性がより向上したドライシャンプー用組成物を提供することが可能となる。
【0021】
本発明における多孔質シリカの吸油量は、通常40~600mL/100gの範囲であって、好ましくは60mL/100g以上、より好ましくは100mL/100g以上であり、好ましくは450mL/100g以下、より好ましくは350mL/100g以下である。なお、多孔質シリカの吸油量は、JIS K5101に記載の方法に準拠して測定することができる。
多孔質シリカの吸油量が上記範囲内であると、吸油量に優れるとともに、使用時のきしみを抑制することができる。
【0022】
本発明における多孔質シリカは、下記に定義される油分吸着時透明度が20以上であることが好ましい。
(油分吸着時透明度):多孔質シリカが分散していない油相を1cm通過した直進透過光をL表色系で表したときのL値を100として、多孔質シリカが5質量%分散した油相を1cm通過した直進透過光をL表色系で表したときのL値
本発明における多孔質シリカの油分吸着時透明度は、より好ましくは40以上、さらに好ましくは60以上、特に好ましくは80以上、最も好ましくは90以上である。
【0023】
以下、多孔質シリカの油分吸着時透明度の測定・算出方法を具体例を挙げて詳細に説明する。
油分(模擬皮脂)として植物性スクワランを用い、軟膏板上で多孔質シリカと植物性スクワランをヘラで混合し、フローポイントに達するまで植物性スクワランを加えた。これを多孔質シリカの重量濃度(質量パーセント濃度)が5質量%になるように植物性スクワランで希釈した。さらに、これをデシケーターで減圧し、脱気したものを測定用セル(1cm幅セル)に入れ、測定試料とした。
上記方法で調製した測定試料を、分光測色計(コニカミノルタ社製CM-5)の「透過測定(Tra)」機能を利用して「直進透過光」のみを測定し、L値、a値、b値を得た。なお、多孔質シリカを分散させていない植物性スクワランを基準として、3回測定して、その平均値を多孔質シリカの油分吸着時透明度とした。結果を表1に示す。また、比較として上記測定と同様の方法によって調製したデンプンの油分吸着時透明度も表1に示す。ちなみに、油分吸着時透明度は数字が大きいほど透明性が高いことを示すものである。
【0024】
【表1】
【0025】
本発明における多孔質シリカとしては、例えばAGCエスアイテック社のサンスフェア、日揮触媒化成社のシリカマイクロビード、富士シリシア社のサイロスフェア等が挙げられる。
【0026】
本発明のドライシャンプー用組成物において、デンプンの含有量に対する多孔質シリカの含有量の質量比(シリカ含有量/デンプン含有量)は0.1以上とする。ただし、本発明の課題を解決する効果等を考慮すると、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.5以上であり、特に好ましくは0.8以上であり、通常1000以下、好ましくは100以下、より好ましくは10以下である。
これにより、皮脂吸着能を損なうことなく、皮脂を吸着した際に透明性を示すドライシャンプー用組成物が提供される。
【0027】
本発明のドライシャンプー用組成物には、上記(A)及び(B)以外に、性能を向上させる成分や使用に適した態様を構成するための成分を適宜添加することが好ましい。
以下、本発明の実施態様の一例として用いられる各種添加成分について詳細に説明する。
【0028】
<(C)分散媒>
本発明のドライシャンプー用組成物は、製造及び使用時の態様を考慮して、粉体に対する分散媒を含むことが好ましい。
【0029】
分散媒としては、低級アルコールが挙げられる。特に好適な低級アルコールは、エタノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
<(D)エアゾール噴射剤>
本発明のドライシャンプー用組成物は、エアゾール噴射剤を含むことが好ましい。この構成により、ドライシャンプー用組成物をエアゾール製品とすることで、頭髪に均一に塗布することができ、かつ手軽に使用することが可能となる。
【0031】
エアゾール噴射剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンなどを主成分とする液化石油ガス(LPG)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)類、ジメチルエーテルなどの液化ガス、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。該噴射剤は、それぞれ単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に好適なエアゾール噴射剤には、分散媒に対して混和性(可溶性)を有するものが挙げられるが、これに制限されるものではない。また、環境特性や毒性などを考慮して選択されることがより好ましい。
【0032】
<(E)分散剤>
本発明のドライシャンプー用組成物は、分散剤を配合することが好ましい。一般に、粉体を含む組成物は、使用から次の使用までの間に時間が空くなど放置されることでケーキングを起こすことがあるため、ドライシャンプー用組成物に分散剤を配合し、軽く振盪するだけで元の状態に再分散可能な構成とすることが好ましい。
【0033】
分散剤は公知のものを用いることができる。例えば、非多孔質シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、珪藻土、タルク、粘土、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、ナイロンパウダー等の合成繊維由来球状粒子、PMMA等のアクリル酸系球状粒子、ポリメチルシルセスキオキサンや(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等のシリコーン系球状粒子、ウレタンパウダー等のバルク流動性を高める球状粒子等が挙げられる。
【0034】
<その他の成分>
本発明のドライシャンプー用組成物は、ヘアケア用品に通常使用される他の成分を含有することができる。例えば、抗フケ剤、抗菌剤、紫外線防御剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、毛髪の静電防止剤、金属イオン封鎖剤、防臭用薬剤、消臭用薬剤、清涼化剤、収れん剤、香料、ビタミン類、ハイドロキシアパタイト等、その他本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0035】
抗フケ剤としては、ピリジンチオン塩、ケトコナゾール、エコナゾール及びエルビオールなどのアゾール、硫化セレン、粒状硫黄、サリチル酸などの角質溶解剤などが挙げられる。
【0036】
抗菌剤としては、銀担持リン酸カルシウム、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類塩、フェノール、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、パラベン、クロルクレゾール、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、感光素201号、フェノキシエタノール、トリクロサン、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、ビサボロール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、トリクロロ・サリチルアニリド、トリブロモ・サリチルアニリド、水銀系化合物、ホルマリン、白降こう、ビチオノール、ホウ酸・ホウ砂、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ハロゲン化サリチルアニリド等が挙げられる。
【0037】
紫外線防御剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等の紫外線吸収剤、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄等の紫外線散乱剤が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、BHT、没食子酸エステル類等が挙げられる。また、酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。
【0039】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
毛髪の静電防止剤としては、四級アンモニウム塩、タンパク質誘導体、合成四級アンモニウムポリマー、アミン、プロトン化アミンオキシド、ベタイン、シリコーン等があげられる。また、四級アンモニウム塩としては、アセトアミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ベヘントリモニウムクロリド、セテチルモルホリニウムエトサルフェート、セトリモニウムクロリド、ココアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ジセチルジモニウムクロリド、ジメチコーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシエチルベヘンアミドプロピルジモニウムクロリド等が挙げられる。
【0041】
防臭用薬剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩酸クロルヘキシジン等の殺菌成分、チオタウリン、ヒポタウリン、トコフェロール等の酸化防止成分等が挙げられる。
【0042】
消臭用薬剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、銀含有ゼオライト、ミョウバン、焼ミョウバン等の制汗成分、ポリフェノール系カキタンニン、茶カテキン等の消臭成分等が挙げられる。
【0043】
清涼化剤としては、例えば、メントール(XII)、カンフル等が挙げられる。
【0044】
収れん剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸、クエン酸、乳酸等が挙げられる。
【0045】
<形態>
本発明のドライシャンプー用組成物の形態については特に制限されず、使用目的に応じて適宜選択されるものであって、パウダータイプ、エアゾールタイプ、ノンエアゾールタイプとしてもよい。特に、使用時の簡便性を考慮すると、エアゾールタイプが好ましい。
【実施例
【0046】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0047】
[デンプンと多孔質シリカの粉体混合物の油分吸着時透明度の評価]
前述した油分吸着時透明度の測定・算出方法と同様の方法により、デンプンと多孔質シリカの粉体混合物の油分吸着時透明度を測定した。油分に対する粉体混合物の重量濃度(質量パーセント濃度)は、多孔質シリカの測定と同じように5質量%とした。デンプンと多孔質シリカの質量比を変えて測定を行い、それぞれ得られた油分吸着時透明度を表2及び図2に示す。なお、表2には、参照として、デンプン、多孔質シリカ単体の油分吸着時透明度も表記した。また、図2には、参照として、デンプン単体の油分吸着時透明度を破線で示している。
【0048】
【表2】
【0049】
表2及び図2の結果から、本発明のドライシャンプー用組成物において多孔質シリカを一定の質量比以上含有させることで油分吸着時透明度が増加し、本発明におけるドライシャンプー用組成物が皮脂を吸着することで透明性を有することが示された。
【0050】
[吸油量の評価]
図3は、本発明のドライシャンプー用組成物として用いたデンプン(コメデンプン)と多孔質シリカ(サンスフェアH-201)の吸油量から算出した組成物の吸油量(理論値)と質量比の関係をグラフに示したものである。
【0051】
図3の結果から、本発明のドライシャンプー用組成物において多孔質シリカを一定の質量比以上含有させることで吸油量が増加し、本発明におけるドライシャンプー用組成物が皮脂の吸着能にも優れることが示された。
【0052】
[使用感の評価]
上記に示したデンプン及び多孔質シリカを用いて調製したドライシャンプー用組成物による頭髪の清浄を行い、清浄後の頭髪の「見た目」について、以下に示す評価方法により評価した。
また、頭髪に適用する際の使用感として「すべり性」について、以下の評価方法により評価した。「見た目」および「すべり性」の結果を表3に示す。
【0053】
(評価方法)
<見た目>
表3に示すデンプンと多孔質シリカの質量比でドライシャンプー用組成物を調製し、各ドライシャンプー用組成物を、分散媒(エタノール)及びエアゾール噴射剤(LPG)と以下の組成で混合して、エアゾールタイプのドライシャンプーとした。
[エアゾールタイプのドライシャンプーの組成]
デンプン及び多孔質シリカ 7質量%
エタノール 18質量%
LPG 75質量%
次に、パネラー(30~40代男性、黒髪、洗髪後24時間後)の頭皮に対して、ドライシャンプー用組成物(デンプン及び多孔質シリカ)の吐出量が約5gとなるように噴霧した。その後、ドライシャンプー用組成物と皮脂が接触するように両手で2分間揉み込み、最後に、コームで髪を軽くとかして、ドライシャンプー用組成物を取り除いた。処理後のパネラーの頭髪の状態を目視し、以下の基準で評価した。
◎:よく見れば頭髪に粉のようなものがあるが、気にならない。
○:頭髪にまばらに白い粉があるが、あまり気にならない。
△:頭髪全体にやや白い粉があり、少し頭垢(ふけ)があるように見える。
×:頭髪全体に白い粉が残り、多量の頭垢(ふけ)があるように見える。
【0054】
<すべり性>
各例のドライシャンプー用組成物0.025gを人毛毛束1g(「人毛黒」(株)毛束屋)にまぶした後、パネラーが毛束表面を指の腹で撫でるように触り、次に、手櫛で毛束をほぐすように触ってすべり性を評価した。なお、評価は、以下の基準で行った。
◎:毛束表面を撫でた感触、手櫛でほぐした感触とも、ツルツルとしていた。
〇:毛束表面を撫でた感触はツルツルとしているが、手櫛の際にやや抵抗を感じた。
△:毛束表面を撫でた感触、手櫛でほぐした感触とも、やや抵抗を感じた。
×:毛束表面を撫でた感触、手櫛でほぐした感触とも、強く抵抗を感じた。
【0055】
【表3】
【0056】
表3の結果から、本発明のドライシャンプー用組成物におけるデンプンの含有量に対するシリカの含有量が増加することにより、見た目及びすべり性において、使用感がより良い方向に向上することが示された。
【0057】
[処方例]
本発明のドライシャンプー用組成物を、ドライシャンプーに適用した配合処方の例を示す。ただし、この処方例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0058】
(処方例1)
下記処方でドライシャンプーを調製した。
【0059】
【表4】
【0060】
(処方例2)
下記処方でドライシャンプーを調製した。
【0061】
【表5】
【0062】
(処方例3)
下記処方でドライシャンプーを調製した。
【0063】
【表6】
【0064】
(処方例4)
下記処方でドライシャンプーを調製した。
【0065】
【表7】
【0066】
(処方例5)
下記処方でドライシャンプーを調製した。
【0067】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のドライシャンプー用組成物は、皮脂を吸着した際に透明性を示し、美観を損なうことのないドライシャンプー組成物として利用することができる。
また、本発明のドライシャンプー用組成物を用いた頭髪の清浄方法は、通常の洗髪工程で必要とされる水、湯を使用することなく洗髪が可能であり、水資源が限られた地域や水の使用が制限される介護現場や災害避難所や、病気等により身体動作に制限があり、洗髪工程の頻度を下げる必要のある病院やリハビリ施設などで有効に活用されるものである。
図1
図2
図3