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  • 特許-冷却能力測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】冷却能力測定装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/63 20180101AFI20231222BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231222BHJP
   F25B 49/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
F24F11/63
F25B1/00 399Y
F25B49/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018066412
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178790
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】長井 記章
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】竹下 和志
【審判官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-166752(JP,A)
【文献】特開2008-215782(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/111063(JP,A1)
【文献】特開2001-263761(JP,A)
【文献】特開2008-281255(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125583(WO,A1)
【文献】特開平4-93567(JP,A)
【文献】特開2013-137141(JP,A)
【文献】特開2012-159260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0260376(US,A1)
【文献】特開2003-83818(JP,A)
【文献】特開2007-107794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F25B 49/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する冷水タンクと、この冷水タンク内の貯留水を冷却する冷凍機と、前記冷水タンクから冷水負荷へ送水すると共に送水停止中に配管の周辺温度との関係で管内水温が変動し得る送水路と、前記冷水タンクへの入水路とを備えた冷水システムに適用され、
前記送水路の水温を検出する第一温度センサと、
前記入水路の水温を検出する第二温度センサと、
前記送水路に通水中の前記第一温度センサの検出温度と、前記入水路に通水中の前記第二温度センサの検出温度と、前記送水路および/または前記入水路の通水流量に基づき、前記冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する冷熱量算出部と、を備え、
前記冷熱量算出部は、前記各温度センサによる検出温度として、通水開始から所定時間経過後の温度を用いて、前記冷熱量を算出する冷却能力測定装置であって、
前記冷水タンクから前記送水路を介して冷水負荷に送られる冷水は、前記冷水タンクに戻されず、
前記冷水タンク内の水位を設定範囲に維持するように、前記入水路を介して前記冷水タンクに補給水が供給可能とされ、
前記送水路および/または前記入水路に、流量センサが設けられ、
前記冷凍機は、前記入水路から供給されて前記冷水タンクに貯留される水を、前記第二温度センサの検出温度よりも低くなるよう冷却し、
前記冷熱量算出部は、前記送水路に通水中の前記第一温度センサの検出温度と、前記入水路に通水中の前記第二温度センサの検出温度と、前記流量センサの検出流量に基づき、前記冷熱量を算出する
ことを特徴とする冷却能力測定装置。
【請求項2】
前記各温度センサは、配管外面の温度を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却能力測定装置。
【請求項3】
前記送水路に設けたポンプまたは弁の作動の有無により、前記送水路の通水の有無を判定し、
前記入水路に設けたポンプまたは弁の作動の有無により、前記入水路の通水の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却能力測定装置。
【請求項4】
前記送水路および前記入水路について、各通水中における所定時間ごとの水温とその間に流れた流量とに基づき、流量を重みとした加重平均により、冷水負荷への平均給水温度と、冷水タンクへの平均給水温度とを算出し、これに基づき前記冷熱量を算出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の冷却能力測定装置。
【請求項5】
前記冷凍機または前記冷水システムの使用電力量を監視し、
所定時間内の前記冷熱量と前記使用電力量とにより、前記冷水システムの成績係数を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却能力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機を用いて製造した冷水を冷水負荷へ供給する冷水システムにおいて、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する冷却能力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍機を用いて冷水タンク内の水を冷却し、その冷水を冷水負荷(冷水使用設備)へ供給する冷水システムが知られている。冷水システムとして、循環仕様と流水仕様とがある。循環仕様では、冷水タンク内の水は、冷水負荷との間で循環されて冷熱を利用され(間接用途)、流水仕様では、冷水タンク内の水は、冷水負荷で使い捨てられる(直接用途)。
【0003】
このような冷水システムにおいて、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を知りたい場合がある。たとえば、冷水システムを新たなものに更新しようとする場合、現状のシステムで冷却負荷がどの程度であるのか知りたい場合がある。
【0004】
従来、下記特許文献1に開示されるように、冷凍機ではなく冷却塔を用いたシステムについて、冷却エネルギ量算出装置が提案されている。この装置は、冷却塔(1)と熱交換部(3)とを備えた冷却水循環路(2)と、上記熱交換部(3)を介して上記冷却水循環路(2)の冷却水で冷却される冷却対象(4,A)と、演算手段(9)とを備え、この演算手段(9)は、上記熱交換部(3)を境にしたその前後における冷却水の温度差(T1,T2)と、上記冷却水循環路(2)の冷却水流量(Q1)とから、冷却エネルギ量(E1)を算出する。
【0005】
冷却塔を用いた冷水システムの場合、基本的には、水は冷却塔と冷水負荷との間で循環される。一方、冷凍機を用いた冷水システムの場合、前述したとおり、循環仕様だけでなく、流水仕様の他、両者の複合仕様もある。しかも、冷水タンクから冷水負荷へ冷水が供給されるタイミングと、冷水タンクに補給水が供給されるタイミングとは、必ずしも一致しない。従って、これらの事情に対処しなければ、冷凍機を用いた冷水システムにおいて、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を、容易に算出することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-83818号公報(請求項1、段落0014-0015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、冷凍機を用いて製造した冷水を冷水負荷へ供給する冷水システムにおいて、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を、容易に算出できる冷却能力測定装置を提供することにある。
【0008】
なお、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を知るために、水温の検出が必要となる。ところが、水温を検出するために、配管の保温材を取り外して管内に温度センサを挿入することは、作業に手間とコストを要するだけでなく、温度センサ取付作業中は冷水システムを停止させる必要もある。そこで、本発明では、冷水システムを停止させることなく、水温を検出して冷熱量を算出可能とすることも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水を貯留する冷水タンクと、この冷水タンク内の貯留水を冷却する冷凍機と、前記冷水タンクから冷水負荷へ送水すると共に送水停止中に配管の周辺温度との関係で管内水温が変動し得る送水路と、前記冷水タンクへの入水路とを備えた冷水システムに適用され、前記送水路の水温を検出する第一温度センサと、前記入水路の水温を検出する第二温度センサと、前記送水路に通水中の前記第一温度センサの検出温度と、前記入水路に通水中の前記第二温度センサの検出温度と、前記送水路および/または前記入水路の通水流量に基づき、前記冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する冷熱量算出部と、を備え、前記冷熱量算出部は、前記各温度センサによる検出温度として、通水開始から所定時間経過後の温度を用いて、前記冷熱量を算出する冷却能力測定装置であって、前記冷水タンクから前記送水路を介して冷水負荷に送られる冷水は、前記冷水タンクに戻されず、前記冷水タンク内の水位を設定範囲に維持するように、前記入水路を介して前記冷水タンクに補給水が供給可能とされ、前記送水路および/または前記入水路に、流量センサが設けられ、前記冷凍機は、前記入水路から供給されて前記冷水タンクに貯留される水を、前記第二温度センサの検出温度よりも低くなるよう冷却し、前記冷熱量算出部は、前記送水路に通水中の前記第一温度センサの検出温度と、前記入水路に通水中の前記第二温度センサの検出温度と、前記流量センサの検出流量に基づき、前記冷熱量を算出することを特徴とする冷却能力測定装置である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、送水路に通水中の冷水負荷への水温と、入水路に通水中の冷水タンクへの水温と、送水路および/または入水路の通水流量とに基づき、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する。各流路に通水中の水温に基づき算出することで、流水仕様(直接用途)であっても、冷熱量を容易に算出することができる。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、冷水タンクから送水路を介して冷水負荷に送られる冷水は、冷水タンクに戻されないが、冷水タンク内の水位を設定範囲に維持するように、入水路を介して冷水タンクに補給水が供給可能とされる。この場合、冷水タンクから冷水負荷へ冷水が供給されるタイミングと、冷水タンクに補給水が供給されるタイミングとは、必ずしも一致しない。ところが、送水路に通水中の冷水負荷への水温と、入水路に通水中の冷水タンクへの水温と、送水路および/または入水路の通水流量とに基づき、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を、容易に算出することができる。つまり、流水仕様であっても、冷熱量を容易に算出することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記各温度センサは、配管外面の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の冷却能力測定装置である。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、配管外面の温度から水温を把握することができる。従って、配管内に温度センサを挿入する必要がない。また、配管に保温材が取り付けられていても、保温材の隙間から温度センサを挿入すれば、保温材を大掛かりに取り外す必要もない。さらに、温度センサの取付けのために、冷水システムを停止させる必要もない。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記送水路に設けたポンプまたは弁の作動の有無により、前記送水路の通水の有無を判定し、前記入水路に設けたポンプまたは弁の作動の有無により、前記入水路の通水の有無を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却能力測定装置である。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、送水路や入水路における通水の有無を、ポンプまたは弁の作動の有無により判定して、冷熱量の算出を容易に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記送水路および前記入水路について、各通水中における所定時間ごとの水温とその間に流れた流量とに基づき、流量を重みとした加重平均により、冷水負荷への平均給水温度と、冷水タンクへの平均給水温度とを算出し、これに基づき前記冷熱量を算出することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の冷却能力測定装置である。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、流量を考慮した加重平均により水温を求めることで、流量変化が大きい場合でも流量の変化を加味して正確に冷熱量を算出することができる。
【0021】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記冷凍機または前記冷水システムの使用電力量を監視し、所定時間内の前記冷熱量と前記使用電力量とにより、前記冷水システムの成績係数を算出することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却能力測定装置である。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、所定時間内の冷熱量と使用電力量とにより、冷水システムの成績係数を算出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の冷却能力測定装置によれば、冷凍機を用いて製造した冷水を冷水負荷へ供給する冷水システムにおいて、冷凍機による冷却エネルギ量としての冷熱量を、容易に算出することができる。また、手間とコストを抑えると共に、冷水システムを停止させることなく、水温を検出して冷熱量を算出することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例の冷却能力測定装置が適用された冷水システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の冷却能力測定装置1が適用された冷水システム2の一例を示す概略図である。
【0026】
本実施例の冷水システム2は、水を貯留する冷水タンク3と、冷水タンク3内の貯留水を冷却する冷凍機4と、冷水タンク3から冷水負荷(冷水使用設備)5(5A,5B)への送水路6と、冷水タンク3への入水路7とを備える。
【0027】
冷水タンク3は、水を貯留するタンクである。冷水タンク3には、水位センサ8が設けられ、冷水タンク3内の水位を検出可能とされる。
【0028】
冷凍機4は、図示例では、蒸発器4aが冷水タンク3内に設置される。蒸発器4aにおいて冷媒と水とが熱交換されて、冷水タンク3内の水が冷却可能とされる。但し、冷水タンク3内の水が、冷水タンク3外の蒸発器4aとの間で循環して冷却可能とされてもよい。
【0029】
送水路6には送水ポンプ9が設けられている。送水ポンプ9の発停を制御することで、冷水負荷5への給水の有無を制御することができる。但し、場合により、送水ポンプ9の回転数を制御したり、送水路6に設けた送水弁の開度を調整したりして、冷水負荷5への給水流量を調整可能としてもよい。
【0030】
入水路7には、入水弁10が設けられている。入水弁10の開閉を制御することで、冷水タンク3への給水の有無を制御することができる。但し、場合により、入水弁10の開度を調整して、冷水タンク3への給水流量を調整可能としてもよい。また、入水弁10に代えてまたはこれに加えて、入水ポンプを設置して、その発停または回転数を制御してもよい。後述するように、水位センサ8の検出信号に基づき入水弁10(および/または入水ポンプ)を制御することで、冷水タンク3内は設定水位に維持されるが、水位センサ8と入水弁10に代えて、場合により、ボールタップを用いることもできる。
【0031】
冷水システム2は、さらに制御器11を備える。制御器11は、送水ポンプ9、入水弁10、水位センサ8などに接続されている。制御器11は、水位センサ8の検出信号に基づき入水弁10を制御して、冷水タンク3内の水位を設定水位(設定範囲)に維持する。また、冷水負荷5からの冷水要求信号に基づき送水ポンプ9を制御して、冷水タンク3内の冷水を冷水負荷5へ供給可能とされる。但し、冷水負荷5からの冷水要求信号に基づき送水ポンプ9を制御する以外に、送水ポンプ9から冷水負荷5への送水路6の圧力に基づき送水ポンプ9を制御してもよい。つまり、冷水負荷5で冷水が使用されると、送水ポンプ9よりも下流の送水路6の圧力が低下するので、その圧力変化に基づき送水ポンプ9を制御してもよい。なお、冷水タンク3内の貯留水は、冷凍機4により、設定温度(設定範囲)に維持される。
【0032】
図1において、実線で示す送水路6は、流水仕様(直接用途)の場合を示している。この場合、冷水タンク3内の冷水は、送水路6を介して冷水負荷5Aへ供給され、冷水タンク3へは戻されず、使い捨てられる。
【0033】
図1において、二点鎖線で示す還流路12を付加した構成(冷水負荷は5Aの代わりに5Bとした構成)は、循環仕様(間接用途)の場合を示している。この場合、冷水タンク3内の冷水は、送水路6を介して冷水負荷5Bに供給され、冷水負荷5Bにて冷熱を利用(つまり被冷却物と冷水とを熱交換して被冷却物を冷却し冷水は昇温)された後、冷水タンク3へ戻される。循環仕様の場合、還流路12は入水路7として機能する。
【0034】
図1において、二点鎖線で示す還流路12に加えて、一点鎖線で示す送水路13も付加した構成は、流水仕様と循環仕様との複合仕様の場合を示している。この場合、冷水タンク3内の冷水は、送水路6を介した後、一部が還流路12を介して冷水タンク3へ戻され、残部が送水路13を介して冷水負荷5Aで使い捨てられる。使い捨てられた分と対応した量の補給水が、適宜、入水弁10を開けて、入水路7から補給される。
【0035】
なお、図示例では、冷水負荷5Bからの還流路12は、入水弁10よりも下流の入水路7に接続されているが、冷水タンク3に接続されてもよい。つまり、図示例では、還流路12と入水路7とは冷水タンク3側で共通管路とされているが、別個に冷水タンク3に接続されてもよい。言い換えれば、入水路7を介した冷水タンク3への補給水は、還流路12を介して冷水タンク3へ供給されてもよいし、還流路12を介さずに冷水タンク3へ供給されてもよい。
【0036】
次に、本実施例の冷却能力測定装置1について、具体的に説明する。
冷却能力測定装置1は、冷水負荷5(5A,5B)のための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する冷熱量算出手段(冷熱量算出部)14を備える。また、冷水システム2には、後述する各種センサが設けられる。そして、冷熱量算出手段14は、各センサの検出信号や経過時間などに基づき、冷水負荷5のための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する。
【0037】
冷熱量算出手段14は、図示しないが、各種入力や設定などを行う入力部と、各センサからの検出情報を日時(または経過時間)などと共に登録する記憶部と、予め設定されたプログラムに従って前記記憶部の内容に基づき後述する各種演算を行う演算部と、演算結果を出力する出力部とを備える。
【0038】
冷熱量算出手段14は、図示例のように、冷水システム2の制御器11を含む形で構成(あるいは冷水システム2の制御器11に含まれる形で構成)されてもよいが、冷水システム2の制御器11とは別に構成されてもよい。たとえば、パーソナルコンピュータまたはタブレットなどの各種端末から構成されてもよい。その場合において、各センサからの信号などを一旦、記録手段(たとえばデータロガー)に登録し、その記録手段の記録情報を、情報記録媒体や有線もしくは無線で、前記記憶部に取り込んで処理してもよい。以下、冷熱量算出手段14による演算例について、説明する。
【0039】
≪(a)循環仕様の場合≫
循環仕様の冷水システム2では、前述したとおり、冷水タンク3からの冷水は、送水路6を介して冷水負荷5Bへ送られ、冷熱を放出した後、還流路12を介して冷水タンク3へ戻される。この場合において、冷水タンク3への還流路12は、冷水タンク3への入水路7となる。また、送水路6の通水中は、還流路12の通水中でもある。
【0040】
循環仕様の冷水システム2では、送水路6に第一温度センサ15が設けられる一方、還流路12に第二温度センサ16が設けられる。第一温度センサ15は、送水路6を介して冷水負荷5Bへ供給される冷水の温度を検出し、第二温度センサ16は、還流路12を介して冷水タンク3へ戻される冷水の温度を検出する。冷水負荷5Bで冷熱が使用される関係上、第二温度センサ16の検出温度T2は、第一温度センサ15の検出温度T1よりも高くなる(T2>T1)。
【0041】
循環仕様の冷水システム2では、送水路6には、第一流量センサ17が設けられる。但し、送水路6を介した給水は全量、還流路12を介して冷水タンク3へ戻されるので、第一流量センサ17は、送水路6ではなく還流路12に設けてもよい。
【0042】
冷水システム2の運転中、所定の計測期間において、送水路6に通水中の第一温度センサ15の検出温度T1と、還流路12(ここでは前述したとおり入水路7ともいえる)に通水中の第二温度センサ16の検出温度T2と、当該期間内の第一流量センサ17による通水流量Q1とを求め、これら情報は冷熱量算出手段14の記憶部に登録される。そして、入力部の指示により、演算部では、次式に基づき、冷水負荷5Bで使用される冷熱量E1を算出する。冷水負荷5Bで使用される冷熱量E1は、冷凍機4による冷却エネルギ量ということもできる。
【0043】
なお、送水路6(ひいては還流路12)に常時通水されない場合、通水時の水温T1,T2に基づき演算される。通水中であるか否かは、第一流量センサ17により検知できる他、たとえば、送水ポンプ9(または送水弁)の稼働信号を収集して検知することもできる。そして、送水路6および還流路12の水温や前記稼働信号等を好ましくは連続的に計測して、通水中の水温の平均温度を算出することで(言い換えれば冷水使用時のみの平均温度を求めて)、冷熱量E1を適切に算出できる。なお、通水開始直後は、配管内の水や配管壁面の温度が室温(周辺温度)に近づいているため、通水開始直後の水温変動を除いて(具体的には通水開始から所定の待機時間経過後の水温で)、通水中の水温の平均温度を算出するのが望ましい。
【0044】
[数1] E1=(T2-T1)×Q1
【0045】
但し、通水流量や水温が時々刻々と変化し得ることを考慮して、通水中における所定時間ごとの水温とその間に流れた流量とに基づき、流量を重みとした加重平均により、送水路6を介した冷水負荷5Bへの平均給水温度T1´と、還流路12を介した冷水負荷5Bからの平均還水温度(冷水タンク3への平均給水温度)T2´とを算出し、これらに基づき冷熱量E1を算出するのが好ましい。
【0046】
具体的には、前記計測期間を所定時間ごとに分割(n等分)し、所定時間ごとの第一流量センサ17による検出流量(所定時間内の通水流量)が、第一送水流量Q11、第二送水流量Q12、第三送水流量Q13、…第n送水流量Q1nであり、各所定時間内の所定時(たとえば各所定時間の開始時または終了時)または所定時間内の平均の第一温度センサ15の検出温度が、第一送水温度T11、第二送水温度T12、第三送水温度T13、…第n送水温度T1nであり、第二温度センサ16の検出温度が、第一入水温度(還水温度)T21、第二入水温度T22、第三入水温度T23、…第n入水温度T2nである場合、送水路6の平均給水温度T1´と、還流路12の平均還水温度(冷水タンク3への平均給水温度)T2´とは、それぞれ次のとおり算出される。そして、前記数式1において、T1の代わりにT1´を用い、T2の代わりにT2´を用いて、冷熱量E1を算出すればよい。その際、Q1は、計測期間全体での通水流量の合算値である(Q1=Q11+Q12+…Q1n)。
【0047】
なお、流量センサには、瞬時流量(一定時間当たりの流量)を求めるものと、積算流量(これまでの累積流量)とを求めるものとがある。第一流量センサ17として、瞬時流量センサを用いる場合、センサ検出値自体により所定時間当たりの通水流量を把握できるか、センサ検出値に時間を乗算して所定時間当たりの通水流量を把握できる。一方、積算流量センサを用いる場合、前記「所定時間ごとの第一流量センサ17による検出流量」とは、各所定時間について、その所定時間の開始時と終了時とのセンサ検出値の差(つまり積算流量の差)として、前記各送水流量Q11~Q1nを求めればよい。このことは、後述する第二流量センサによる検出流量(各入水流量Q21~Q2n)や、第三流量センサによる検出流量(各還水流量Q31~Q3n)などについても同様である。要は、各所定時間において、その所定時間に流れる流量を求めればよい。
【0048】
[数2] T1´=(T11×Q11+T12×Q12+…T1n×Q1n)/(Q11+Q12+…Q1n)
【0049】
[数3] T2´=(T21×Q11+T22×Q12+…T2n×Q1n)/(Q11+Q12+…Q1n)
【0050】
≪(b)流水仕様の場合≫
流水仕様の冷水システム2では、前述したとおり、冷水タンク3からの冷水は、送水路6,13を介して冷水負荷5Aへ送られ、使い捨てられる。この場合、還流路12の設置は不要である。また、冷水タンク3から送水路6を介した流出分と対応して、冷水タンク3には入水路7を介して補給水が補給される。但し、冷水タンク3から冷水負荷5Aへ冷水が供給されるタイミングと、冷水タンク3に補給水が供給されるタイミングとは、必ずしも一致しない。
【0051】
流水仕様の冷水システム2では、送水路6(13)に第一温度センサ15が設けられる一方、入水路7に第二温度センサ16が設けられる。第一温度センサ15は、送水路6を介して冷水負荷5Aへ供給される冷水の温度を検出し、第二温度センサ16は、入水路7を介して冷水タンク3へ供給される補給水の温度を検出する。入水路7から補給された水は、冷凍機4により冷却されるので、第一温度センサ15の検出温度T1は、第二温度センサ16の検出温度T2よりも低くなる(T2>T1)。
【0052】
流水仕様の冷水システム2では、送水路6(13)には、第一流量センサ17が設けられる。送水路6からの流出分は入水路7から補給されるので、第一流量センサ17の設置に代えてまたはこれに加えて、入水路7に第二流量センサ(図示省略)を設けてもよい。冷水タンク3に対する出水と入水とのタイミングはずれるが、比較的長い所定の計測期間で見た場合、第一流量センサ17による流量Q1と第二流量センサによる流量Q2とは略同一となる(Q1≒Q2)。但し、より正確な計測を図るためには(特に各流路6,7の水温が変化し得る場合)、第一流量センサ17と第二流量センサとの双方を備えて、後述のように加重平均値の温度を採用するのが好ましい。
【0053】
流水仕様の場合も、循環仕様の場合と同様に処理できる。すなわち、冷水システム2の運転中、所定の計測期間において、送水路6(13)に通水中の第一温度センサ15の検出温度T1と、入水路7に通水中の第二温度センサ16の検出温度T2と、当該期間内の第一流量センサ17による通水流量Q1(および/または第二流量センサによる通水流量Q2)とを求め、前記数式1に基づき、冷水負荷5Aのための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量E1を算出する。
【0054】
なお、送水路6および入水路7に常時通水されない場合、通水時の水温T1,T2に基づき演算される。通水中であるか否かは、第一流量センサ17などにより検知できる他、たとえば、送水路6については、送水ポンプ9(または送水弁)の稼働信号を収集して検知でき、入水路7については、入水弁10(または入水ポンプ)の稼働信号を収集して検知することもできる。そして、送水路6および入水路7の水温や前記稼働信号等を好ましくは連続的に計測して、各流路6,7について、通水中の水温の平均温度を算出することで、冷熱量E1を適切に算出できる。
【0055】
また、循環仕様の場合と同様、通水流量や水温が時々刻々と変化し得ることを考慮して、通水中における所定時間ごとの水温とその間に流れた流量とに基づき、流量を重みとした加重平均により、送水路6(13)を介した冷水負荷5Aへの平均給水温度T1´と、入水路7を介した冷水タンク3への平均給水温度T2´とを算出し、これらに基づき冷熱量E1を算出するのが好ましい。
【0056】
具体的には、循環仕様の場合と同様にして、前記数式2や数式3に基づき算出できる。但し、第一流量センサ17に加えて、第二流量センサも設ける場合、数式3に代えて、次式が用いられる。つまり、所定時間ごとの第二流量センサによる検出流量(所定時間内の通水流量)が、第一入水流量Q21、第二入水流量Q22、第三入水流量Q23、…第n入水流量Q2nであり、各所定時間内の所定時(たとえば各所定時間の開始時または終了時)または所定時間内の平均の第二温度センサ16の検出温度が、第一入水温度T21、第二入水温度T22、第三入水温度T23、…第n入水温度T2nである場合、入水路7を介した冷水タンク3への平均給水温度T2´は、次のとおり算出される。
【0057】
[数3´] T2´=(T21×Q21+T22×Q22+…T2n×Q2n)/(Q21+Q22+…Q2n)
【0058】
≪(c)複合仕様の場合≫
複合仕様の冷水システム2では、前述したとおり、冷水タンク3からの冷水は、送水路6を介して冷水負荷5Bへ送られ、一部が還流路12を介して冷水タンク3へ戻され、残部が送水路13を介して冷水負荷5Aで使い捨てられる。
【0059】
複合仕様の冷水システム2では、送水路6に第一温度センサ15が設けられ、入水路7に第二温度センサ16が設けられ、還流路12に第三温度センサ18が設けられる。この場合、図1において、入水路7と還流路12との合流部よりも上流側において、入水路7に第二温度センサ16が設けられ(つまり第二温度センサ16の位置が図とは異なる)、還流路12に第三温度センサ18が設けられる。第一温度センサ15は、送水路6を介して冷水負荷5(5A,5B)へ供給される冷水の温度を検出し、第二温度センサ16は、入水路7を介して冷水タンク3へ供給される補給水の温度を検出し、第三温度センサ18は、還流路12を介して冷水タンク3へ戻される冷水の温度を検出する。なお、第二温度センサ16の検出温度T2は、第一温度センサ15の検出温度T1よりも高く(T2>T1)、第三温度センサ18の検出温度T3は、第一温度センサ15の検出温度T1よりも高い(T3>T1)。
【0060】
複合仕様の冷水システム2では、送水路6には、第一流量センサ17が設けられ、送水路13および/または入水路7には、第二流量センサ(図示省略)が設けられ、還流路12には、第三流量センサ(図示省略)が設けられる。但し、送水路6の流量=送水路13の流量(≒入水路7の流量)+還流路12の流量であるから、第一流量センサ17、第二流量センサおよび第三流量センサの内、少なくとも二つの流量センサを備えれば、すべての流路の流量(送水路6の流量Q1、送水路13または入水路7の流量Q2、還流路12の流量Q3)を算出可能となる。
【0061】
複合仕様の場合、循環仕様および流水仕様の場合と同様に処理できる。具体的には、送水路6と還流路12との関係では、循環仕様と同様に処理でき、送水路13と入水路7との関係では、流水仕様と同様に処理できる。すなわち、冷水システム2の運転中、所定の計測期間において、送水路6に通水中の第一温度センサ15の検出温度T1と、入水路7に通水中の第二温度センサ16の検出温度T2と、還流路12に通水中の第三温度センサ18の検出温度T3とを求める。また、当該期間内の送水路6、送水路13(または入水路7)および還流路12の内、少なくとも二つの流路に流量センサを設置して、通水流量Q1,Q2,Q3を求める。そして、間接用途の冷水負荷5Bのための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量E1aと、直接用途の冷水負荷5Aのための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量E1bとを求め、各冷水負荷5A,5Bのための冷凍機4による冷却エネルギ量としての全体の冷熱量E1を算出する。この際、循環仕様および流水仕様の場合と同様に、流量センサ、またはポンプや弁の稼働信号を用いて、通水時の水温T1~T3が採用されるのがよい。
【0062】
[数4] E1a=(T3-T1)×Q3
【0063】
[数5] E1b=(T2-T1)×Q2
【0064】
[数6] E1=E1a+E1b
【0065】
但し、循環仕様や流水仕様の場合と同様、通水流量や水温が時々刻々と変化し得ることを考慮して、通水中における所定時間ごとの水温とその間に流れた流量とに基づき、流量を重みとした加重平均により、送水路6を介した平均給水温度T1´と、送水路13(または入水路7)を介した平均給水温度T2´と、還流路12を介した平均給水温度T3´とを算出し、これらに基づき冷熱量E1a,E1b、ひいてはE1を算出するのが好ましい。
【0066】
具体的には、所定時間ごとの第一流量センサ17による検出流量が、第一送水流量Q11、第二送水流量Q12、第三送水流量Q13、…第n送水流量Q1nであり、第二流量センサによる検出流量が、第一入水流量Q21、第二入水流量Q22、第三入水流量Q23、…第n入水流量Q2nであり、第三流量センサによる検出流量が、第一還水流量Q31、第二還水流量Q32、第三還水流量Q33、…第n還水流量Q3nであるとする。また、各所定時間内の所定時または所定時間内の平均の第一温度センサ15の検出温度が、第一送水温度T11、第二送水温度T12、第三送水温度T13、…第n送水温度T1nであり、第二温度センサ16の検出温度が、第一入水温度T21、第二入水温度T22、第三入水温度T23、…第n入水温度T2nであり、第三温度センサ18の検出温度が、第一還水温度T31、第二還水温度T32、第三還水温度T33、…第n還水温度T3nであるとする。この場合、送水路6の平均給水温度T1´と、入水路7の平均入水温度T2´と、還流路12の平均還水温度T3´とは、それぞれ次のとおり算出される。そして、前記数式4および数式5において、T1の代わりにT1´を、T2の代わりにT2´を、T3の代わりにT3´を用いて、冷熱量E1a,E1bを算出すればよい。
【0067】
[数7] T1´=(T11×Q11+T12×Q12+…T1n×Q1n)/(Q11+Q12+…Q1n)
【0068】
[数8] T2´=(T21×Q21+T22×Q22+…T2n×Q2n)/(Q21+Q22+…Q2n)
【0069】
[数9] T3´=(T31×Q31+T32×Q32+…T3n×Q3n)/(Q31+Q32+…Q3n)
【0070】
以上から明らかなとおり、本実施例の冷却能力測定装置1によれば、送水路6、入水路7および還流路12に通水中の水温と、前記各流路の通水流量とに基づき、冷水負荷5(5A,5B)のための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出できる。各流路に通水中の水温に基づき算出することで、循環仕様(間接用途)であっても、流水仕様(直接用途)であっても、あるいはこれらの複合仕様であっても、冷熱量を容易に算出することができる。
【0071】
ところで、前記実施例において、各温度センサ15,16,18は、検知部を配管内に挿入して配管内の水温を直接に検出する以外に、配管外面の温度を検出することで間接的に水温を検出(推定)するようにしてもよい。その場合、配管内に温度センサ15,16,18を挿入する必要がない。また、配管に保温材が取り付けられていても、配管の保温材の隙間から温度センサ15,16,18を挿入すれば、保温材を大掛かりに取り外す必要もない。さらに、温度センサ15,16,18の取付けのために、冷水システム2を停止させる必要もない。
【0072】
また、前記実施例において、前記各流路が通水中か否かは、フローセンサや流量計を設ける以外に、次のようにして検知してもよい。すなわち、前述したとおり、送水路6に設けた送水ポンプ9または送水弁の作動の有無により、送水路6の通水の有無を判定したり、入水路7に設けた入水ポンプまたは入水弁10の作動の有無により、入水路7の通水の有無を判定したりしてもよい。還流路12についても同様であるが、循環仕様の場合、送水ポンプ9または送水弁の作動の有無で、還流路12の通水の有無を判定することができる。なお、前述した加重平均により各温度を算出する場合、流量を重みに算出する関係上、ポンプや弁の作動の有無を検知しなくても、通水中の平均温度を算出可能となる。
【0073】
さらに、冷却能力測定装置1は、冷凍機4または冷水システム2の使用電力量を求めて、所定時間内の冷熱量と使用電力量とにより、冷水システム2の成績係数を算出する機能を有していてもよい。成績係数COPは、次式で求められる。
【0074】
[数10] 成績係数COP=冷熱(kW)/入熱(kW)=流量×ΔT(出口温度-入口温度)/入力電力
【0075】
たとえば、流水仕様(循環仕様などでも同様)において、冷水量(送水量であり入水量でもある)と、冷水タンク3に対する平均出口水温(送水路6の水温)および平均入口水温(入水路7の水温)が、前述したとおり算出できる。特に、平均出口水温や平均入口水温は、単純な算術平均よりも、前述した加重平均として求めるのが好ましい。そして、所定の計測期間(たとえば1週間(7日×24h))内における必要熱量(J/期間)は、冷水量×(平均入口温度-平均出口温度)×水の比熱、で算出できる。これから、平均必要熱量(kj/h、さらにはkWの単位で)を算出できる。一方、冷水システム2全体(または電力消費の要部である冷凍機4(および送水ポンプ9))の稼働中平均電力(kW)は、たとえば、冷凍機4の電流値(好ましくはさらに電圧値)、送水ポンプ9の電流値(好ましくはさらに電圧値)を計測することで求められる。そして、稼働中平均電力と前記平均必要熱量とから、次式に基づき成績係数COPを算出することができる。なお、ここでは、計測期間として1週間を例に挙げたが、計測期間は、これよりも長くてもよいし短くてもよい。たとえば、数時間または1日の冷熱量やCOPを求めるようにしてもよい。その場合、冷熱負荷が急増するピーク時の冷熱量やCOPを知ることができる。
【0076】
[数11] COP=平均必要熱量/稼働中平均電力
【0077】
本発明の冷却能力測定装置1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、水を貯留する冷水タンク3と、この冷水タンク3内の貯留水を冷却する冷凍機4と、冷水タンク3から冷水負荷5への送水路6と、冷水タンク3への入水路7とを備えた冷水システム2に適用され、(a)送水路6の水温を検出する第一温度センサ15と、(b)入水路7の水温を検出する第二温度センサ16と、(c)送水路6に通水中の第一温度センサ15の検出温度と、入水路7に通水中の第二温度センサ16の検出温度と、送水路6および/または入水路7の通水流量に基づき、冷水負荷5のための冷凍機4による冷却エネルギ量としての冷熱量を算出する冷熱量算出部14とを備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0078】
たとえば、前記実施例において、冷水タンク3内の貯留水は、冷凍機4の蒸発器4aとの間を循環可能であると共に、冷水負荷5への送水時には、蒸発器4aを介して送出されるように構成されてもよい。その場合も、冷水負荷5へ供給される水の温度や流量を監視することで、同様に制御可能である。
【0079】
また、前記実施例において、第一温度センサ15は、送水ポンプ9の閉切り運転時に軸動力の入熱による配管温度の上昇のない位置に備えられるのが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 冷却能力測定装置
2 冷水システム
3 冷水タンク
4 冷凍機(4a:蒸発器)
5(5A,5B) 冷水負荷
6 送水路
7 入水路
8 水位センサ
9 送水ポンプ
10 入水弁
11 制御器
12 還流路
13 送水路
14 冷熱量算出手段
15 第一温度センサ
16 第二温度センサ
17 第一流量センサ
18 第三温度センサ
図1