(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】低色および色安定性を有するシリル化ポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/50 20060101AFI20231222BHJP
C08G 18/83 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C08G18/50 096
C08G18/83 070
(21)【出願番号】P 2018506841
(86)(22)【出願日】2016-07-28
(86)【国際出願番号】 US2016044414
(87)【国際公開番号】W WO2017027223
(87)【国際公開日】2017-02-16
【審査請求日】2019-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2015-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(72)【発明者】
【氏名】バネヴィシウス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ミスティ
(72)【発明者】
【氏名】オキーフェ,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】バーベラ,ブルース
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】藤井 勲
【審判官】海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/095029(WO,A1)
【文献】特表2002-536491(JP,A)
【文献】特公昭47-51158(JP,B1)
【文献】特表2012-520360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08G 71/00- 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(11)を有する少なくとも1つのシリル化ポリウレタンポリマー
【化1】
A
1の各存在は、-O-、-S-および-NH-からなる群から選択される官能基であり、
A
2の各存在は、-S-、-NR
6からなる群から選択される官能基であり、ここでR
6は、水素、1から10個の炭素原子を含むアルキル基、5から10個の炭素原子を含むシクロアルキル基、7から10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニル、および、-CH[(C=O)OR
7]CHR
8C(=O)OR
7からなる群から選択され、ここでR
7は1から10個の炭素原子のアルキル基、5から10個の炭素原子のシクロアルキル基、6から10個の炭素原子のアリール基、7から10個の炭素原子のアラルキル基であり、そしてR
8は、1から10個の炭素原子のアルキル基、5から10個の炭素原子のシクロアルキル基、6から10個の炭素原子のアリール基、7から10個の炭素原子のアラルキル基であり、
R
1は、50から4,000個の炭素原子および、-O-、-S-、-OC(=O)NH-、-R
2NC(=O)NH-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-OCHR
2O-、-C(=O)NR
2-、および-NR
2-からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機基であり、ここでR
2の各存在は、独立して、水素、1から6個の炭素原子を含むアルキル基またはフェニルであり;
R
4は1から10個の炭素原子を含む2価のアルキレン基、5から10個の炭素原子を含むシクロアルキレン基、6から10個の炭素原子を含むアリーレン基であり、
R
5の各存在は、1から18個の炭素原子のアルキル基、または-R
9(OR
10)
cOR
11であり、ここでR
9は、1から18個の炭素原子のアルキレン基であり、R
10は、2から4個の炭素原子の2価のアルキレン基であり、そしてR
11は、1から10個の炭素原子のアルキル基、または-C(=O)R
12であり、ここでR
12は、水素、または1から6個の炭素原子のアルキル基であり、そして
下付き文字a、b、cおよびhは整数であり、aが2から5であり、bは0から2であり、そしてcは0から5であり、但しA
1が-O-または-S-である場合、A
2は-NH-であるという条件である;
を含むシリル化ポリウレタンポリマー組成物を調製するためのプロセスであって、
(a)鎖延長剤との反応及びシリル化反応剤との反応で安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物を与える前に、少なくとも1つのホスファイト安定化剤と少なくとも1つのヒンダードフェノールを温度を調整する前にポリオールに加えること;
(b)ステップ(a)を経て得られた安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物をシリル化ユニットに移動させること、ここで前記プレポリマー混合物
は末端反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーを含み、そしてここで反応性官能基の少なくとも1つはヒドロキシルまたはイソシアネートであり、前記鎖延長プレポリマーは、ポリオールをジイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応させることにより調製される;
(c)ステップ(b)のシリル化ユニットで、安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物にシリル化剤を加えて、シリル化反応混合物を提供すること;
(d)反応性官能基を含むプレポリマー混合物をステップ(c)のシリル化反応混合物中のシリル化剤と反応させて、部分的シリル化ポリウレタンポリマーを含む中間生成物を提供すること;
(d.1)部分的シリル化ポリウレタンポリマーを含む中間生成物の少なくとも一部をクエンチングユニットに移動させること;
(d.2)少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの環状C
4-C
7アミド掃去剤を含む掃去剤パッケージを、ステップ(d.1)の部分的シリル化ポリウレタンポリマーを含む中間生成物を含有するクエンチングユニットに、加えて、クエンチング混合物を提供すること;
(d.3)少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの環状C
4-C
7アミド掃去剤を、ステップ(d.2)のクエンチング混合物に存在する部分的シリル化ポリウレタンポリマーとクエンチングユニットにおいて反応させてシリル化ポリウレタンポリマー組成物を生成すること;および
(e)ステップ(d.3)のクエンチングユニットからのシリル化ポリウレタンポリマー組成物を取り出して、シリル化ポリウレタンポリマー組成物を提供すること、を含む;
プロセスが連続プロセスである場合、プロセスはシリル化ポリウレタンポリマー組成物の少なくとも一部のバックミキシングを含まないという条件である、プロセス。
【請求項2】
前記のポリオールおよび鎖延長プレポリマーのいずれかまたは両方の反応性官能基は末端反応性官能基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、液体カルボジイミド変性MDIおよびその誘導体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記シリル化剤は、イソシアナートシラン、メルカプトシラン、ヒドロキシル官能性シランまたはアミノシランである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記シリル化ポリウレタンポリマー組成物は、完全シリル化ポリウレタンポリマーおよび部分的シリル化ポリウレタンポリマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記完全シリル化ポリウレタンポリマーは湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記掃去パッケージは、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの環状C
4-C
7アミド掃去剤との混合物にビニルトリメトキシシランをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの環状C
4-C
7アミド掃去剤は、ε-カプロラクタム、2-ピロリドンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記末端反応性官能基の1つがイソシアネートである場合、前記シリル化剤はアミノシランであり、または前記末端反応性官能基の1つがヒドロキシル基である場合、前記シリル化剤はイソシアナートシランである、請求項
2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記シリル化剤はイソシアナートプロピルトリメトキシシランである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ホスファイト安定化剤は、式(7)のものであり、
【化2】
ここで
R
20の各存在は、独立して、1から25個の炭素原子を含む1価の炭化水素、1から25個の炭素原子および酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む1価の炭化水素、ならびに1から25個の炭素原子を含む多価炭化水素であって、少なくとも1つの炭素原子が酸素-リン基の酸素に結合し、少なくとも1つの炭素原子がR
21基の炭素原子に共有結合しているものからなる群から選択され;
R
21の各存在は、独立して、1から25個の炭素原子を含む1価の炭化水素、1から25個の炭素原子および酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む1価の炭化水素、ならびに1から25個の炭素原子を含む多価炭化水素であって、少なくとも1つの炭素原子が酸素-リン基の酸素に結合し、少なくとも1つの炭素原子がR
20基の炭素原子に共有結合しているものからなる群から選択され;ならびに
R
22の各存在は、独立して、1から25個の炭素原子を含み、および任意にて酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む1価の炭化水素である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ホスファイト安定化剤は、トリイソデシルホスファイト;トリフェニルホスファイト;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト;2-(2,4,8,10-テトラtert-ブチルベンゾ[d][1,3,2]ベンゾジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ-N,N-ビス[2-(2,4,8,10-テトラtert-ブチルベンゾ[d][1,3,2]ベンゾジオキサホスフェピン-6-イル)オキシエチル]エタンアミン;ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)-エチル-ホスファイト;3,9-ビス-(2,4-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファ-スピロ[5.5]ウンデカン;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;フェニルジイソデシルホスファイト;ジフェニルイソオクチルホスファイト;トリイソトリデシルホスファイト;2-エチルヘキシルジフェニルホスファイト;トリラウリルホスファイト;ジフェニルトリデシルホスファイト;およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3-ビス-(イソシアナートメチル)シクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記掃去パッケージは、前記シリル化ポリウレタンポリマー組成物の粘度が25℃で1,000cPから150,000cPの範囲にあるときに前記シリル化ポリウレタンポリマー組成物に加えられる、少なくとも1つの活性水素を有する少なくとも1つの環状C
4-C
7アミド掃去剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
2-ピロリドンおよびε-カプロラクタムの組合せを含む掃去パッケージを前記シリル化ポリウレタンポリマー組成物に加え;そして
前記シリル化剤はイソシアナートプロピルトリメトキシシランであり、前記プレポリマーは末端ヒドロキシル基を有する;
請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記プレポリマーは、ポリオールとイソホロンジイソシアネート(IPDI)との反応から生成されてなる鎖延長プレポリマーである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ポリオールは、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)に対してモル過剰で存在する、または前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)は、前記ポリオールに対してモル過剰で存在する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスは、
a)ポリオールの重量に基づいた重量パーセントで、0.001から5重量%のヒンダードフェノールおよび0.001から5重量%のホスファイト安定化剤を含む、4,000グラム/モルから20,000グラム/モルの分子量を有するポリ(プロピレンオキシド)ジオールを連続的に混合して、安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物を形成すること、
b)前記安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物およびジイソシアネート鎖延長剤を鎖延長ユニットに連続的に加えて鎖延長反応混合物を形成すること、ここで前記ジイソシアネート鎖延長剤は、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、または1,3-ビス-(イソシアナートメチル)シクロヘキサンまたはそれらの混合物からなる群から選択され、
c)85℃から180℃の温度で、前記ジイソシアネート鎖延長剤をステップb)の鎖延長反応混合物に存在するポリ(プロピレンオキシド)ジオールと連続的に反応させて、末端反応性官能基を含む鎖延長プレポリマーを形成すること、
d)前記鎖延長プレポリマーおよびアミノシランまたはイソシアナートシランをシリル化ユニットに連続的に加えて、シリル化反応混合物を提供すること、ならびに
e)85℃から180℃の温度で、前記鎖延長プレポリマーを前記アミノシランまたは前記イソシアナートシランと連続的に反応させて、シリル化ポリウレタンポリマーを含むシリル化ポリウレタンポリマー組成物を形成すること、
を含む連続プロセスである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記シリル化ポリウレタンポリマーは安定化され、クエンチングされ、そして低色および色安定性を有する、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
シリル化ポリマー、特に低色および色安定性を有するシリル化ポリマー、さらにより具体的には、低色および色安定性を有する湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーであるシリル化ポリマーを調製するためのプロセスが本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリマー製造の分野において、シリル化ポリマーは一般に、コーティング、接着剤、シーラントおよび他のエラストマー製品の成分として有用であることが知られている。これらのシリル化ポリマーの製造は、連続プロセスまたはバッチプロセスによって行うことができ、一般にシリル化ステップを含み、ここでプレポリマーはシリル化反応においてシリル化剤と反応してシリル化ポリマー組成物を生成する。多くの場合、このシリル化反応は完了まで進行しない。不完全なシリル化反応は、通常、生成したシリル化ポリマーの劣化をもたらす。例えば、シリル化反応がより不完全であるほど、未反応の反応性基がシリル化ポリマー組成物中により残ることになる。これらの未反応の反応性基は、シリル化ポリマー組成物中で反応し続ける。シリル化ポリマー組成物の形成直後に観察される特性は、一定のままではない。例えば、未反応の反応性基を時間をかけて反応させると、生成されたシリル化ポリマーの粘度を経時的に変化させる粘度クリープが引き起こされる可能性がある。この粘度の変化は、本明細書では粘度クリープと称される。
【0003】
過剰の量のシリル化剤をシリル化ステップに添加することによってシリル化反応を調節しようとする果敢な試みがあったが、これは費用がかかり、しばしば未だに反応を完了に導かせない。反応をさらに完了させる他の試みは、シリル化ステップで使用される反応ユニット中の反応条件またはプロセスパラメータを調整することによって試みられている。しかしながらこれは、プロセスの効率が上流の反応ユニットから下流の反応ユニットへの連続的な供給を必要とする連続プロセスにおいて特に問題である。
【0004】
これらの方法の別の欠点は、未反応の反応性官能基を有する生成したシリル化ポリマー組成物中の成分が可塑剤と同様に機能することである。これに関して、これらはシリル化ポリマー組成物の機械的性質の劣化を生じさせ、そうでなければ存在しないか、またはより少ない程度で存在することになる。例えば、未反応の反応性官能基を有する成分は、これらの未反応の反応性官能基を有さない組成物と比較して、引張強さ、ショア硬度、伸びおよび弾性率のかなりの低下を引き起こす。
【0005】
未反応の反応基はまた、生成したシリル化ポリマー組成物のばらつきに寄与する。このばらつきは、製造業者および消費者にとって望ましくない処理コストおよび損失を与える。また、消費者が製造された湿気硬化性シリル化ポリマーが所望の仕様を満たしているとあまり確信が持てない傾向があるので、望ましくない消費者の意見が生じる。
【0006】
別のアプローチは、未反応の反応性基をクエンチングさせるために掃去剤(scavenging agent、スカベンジング剤)を使用することである。しかし、これらの掃去剤の多くは引火点が低く、結果としてシリル化ポリマーの製造方法で使用される高いプロセス温度では効果がない。
【0007】
従来の方法で製造されたシリル化ポリマーには、しばしば他の欠点もある。例えば、シリル化ポリマーは、しばしば時間の経過に伴う色の劣化または色の変化を受ける。これは、特定の色または色の欠如が重要ないくつかの用途において、これがポリマーの性能に影響を与えるため、問題である。
【0008】
上述した欠点のないシリル化ポリマーを製造する方法が当該分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
従来のプロセスで観察された上述の色劣化は、安定化パッケージをプロセスに組み込む安定化ステップを組み込むことによって改善することができるという驚くべき知見が、本明細書に開示されている。さらに、プロセスの早期に安定化ステップを組み込むことによって、色劣化を改善することができる。生成したシリル化ポリマーの粘性および機械的特性の上記の劣化が、クエンチングステップを組み込むことによって改善され得るという驚くべき知見もまた、本明細書に開示されている。組み込まれたクエンチングステップでは、掃去パッケージがプロセスに組み込まれる。
【0010】
一実施態様では、シリル化ポリマーの調製のためのプロセスは、プレポリマーをシリル化剤とシリル化反応により反応させてシリル化ポリマー組成物を生成すること、および、シリル化反応の前、シリル化反応へ、またはシリル化反応の後に、ホスファイト安定化剤を含む安定化パッケージをプロセスに加えることを含む。このプロセスはバッチプロセスでも連続プロセスでもよいが、ここでこのプロセスは連続プロセスである場合、このプロセスはシリル化ポリマー組成物の少なくとも一部のバックミキシング(backmixing、戻し混合)を含まない。
【0011】
したがって、一態様では、このプロセスは、バックミキシングを伴わないエンドキャッピング管状反応ユニットであるシリル化ユニットにおけるシリル化ステップ、および任意にて、安定化ステップおよび/またはクエンチングステップの少なくとも1つを含む連続プロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、安定化ステップ、ならびにシリル化ステップであって、安定化パッケージを反応性官能基を含むプレポリマーと混合し、安定化された反応性官能基を含むプレポリマーをシリル化剤を含むミキサーに移送し、そして混合物をエンドキャッピング管状反応ユニットの入口に移送すること、ならびに、熱交換器ユニットを用いた上流の温度制御ステップを有するシリル化ポリマーを生成するための連続プロセスの一実施形態を示す図である。
【0013】
【
図2】
図2は、プロセスが、シリル化ステップ、ならびに安定化ステップであって、安定化パッケージを反応性官能基を含むプレポリマーと混合し、安定化した反応性官能基を含むプレポリマーをシリル化剤を含むミキサーに移送して混合し、そして混合物をエンドキャッピング管状反応ユニットの入口に移送すること、ならびに、熱交換器ユニットを使用した上流の温度制御ステップを含み、そしてここでエンドキャッピング管状反応ユニットは、可変直径反応チャンバを有する、シリル化ポリマーを生成するための連続プロセスの一実施形態を示す図である。
【0014】
【
図3】
図3は、安定化ステップ、シリル化ステップ、ならびにクエンチングステップであって、安定化パッケージを反応性官能基を含むプレポリマーと混合し、安定化された反応性官能基を含むプレポリマーをシリル化剤を含むミキサーに移送して混合し、そして混合物をエンドキャッピング管状反応ユニットの入口に移送すること、ならびに熱交換器ユニットを使用した上流の温度制御ステップ、ならびに下流のクエンチングステップを有する、シリル化ポリマーを生成するための連続プロセスの一実施形態を示す図である。
【0015】
【
図4】
図4は、シリル化ステップ、上流の安定化ステップ、上流の熱交換器、上流の鎖延長ユニット、および下流の冷却ユニットを有する、シリル化ポリマーを生成するための連続プロセスの一実施形態を示す図である。
【0016】
【
図5】
図5は、シリル化ステップ、上流の安定化ステップ、上流の熱交換器、上流の鎖延長ユニット、および下流のクエンチングおよび冷却ユニットを有する、シリル化ポリマーを生成するための連続プロセスの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
シリル化ポリマーの調製は、バッチプロセスまたは連続プロセスによることができる。バッチプロセスでは、シリル化ステップのために反応チャンバが設けられる。プレポリマーおよびシリル化剤のような反応物を反応させて、シリル化ポリマー組成物を生成し、安定化ステップおよび任意にてクエンチングステップ(掃去ステップ(scavenging step))の少なくとも1つの組み込みに付す。シリル化ポリマーは、その後、貯蔵のため、またはコーティング、接着剤またはシーラント製品へのさらなる組み込みのために反応装置から取り出される。一実施態様では、シリル化ポリマーは湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーである。安定化ステップについては、安定化パッケージは、反応チャンバに加える前に反応物に加える、他の反応物と共に反応チャンバに直接加える、生成したシリル化ポリマー組成物に加える、取り出されたシリル化ポリマーに加える、またはその後にシリル化ポリマーを使用して最終生成物へ組み込むことができる。クエンチングステップ(掃去ステップ)については、掃去パッケージは、反応チャンバに加えられる、または生成したシリル化ポリマー組成物に加えられる。
【0018】
この方法はバッチプロセスまたは連続プロセスでもよいが、連続プロセスであることが好ましい。連続プロセスの利点は、例えば、大量生産およびスケールアップ作業への適用が容易であることを含む。さらに、プロセスの効率を改善することができる。連続プロセスでは、シリル化ステップのために反応チャンバが設けられる。反応性官能基を含むプレポリマーおよびシリル化剤などの反応物を反応させて、シリル化ポリマー組成物を生成し、安定化ステップおよび任意にてクエンチングステップの少なくとも1つの組み込みに付す。連続プロセスにおいて、シリル化ステップのためのプロセスチャンバは、反応物を受けるための入口と反応生成物を出すための出口とを有するシリル化ユニットである。連続プロセスでは、シリル化反応の反応生成物(すなわち、シリル化ポリマー組成物)は、本明細書において第2の中間生成物と称することとする。本明細書で使用される場合、第2の中間生成物という用語は、シリル化反応から生成されたシリル化ポリマー組成物生成物と交換可能である。この点で、第2の中間生成物は、完全シリル化ポリマー(完全にシリル化されたポリマー)および部分的シリル化ポリマーを含む。完全シリル化ポリマーでは、末端反応性官能基はシリル化されるが、一方で部分的シリル化ポリマーでは、末端反応性官能基の少なくとも1つはシリル化されない。反応性官能基を有するプレポリマーは、本明細書では第1の中間生成物と称することとする。シリル化ユニットには、反応物をシリル化ユニットに供給するために互いに直列または並列に動作する上流のプロセスチャンバが先行している。シリル化ユニットはまた、シリル化ユニットと直列に動作するプロセスチャンバにシリル化ポリマー組成物を下流へと供給する。これらの下流のプロセスチャンバは、互いに対して、直列または並列に動作する。上流および下流のプロセスチャンバは、任意に存在してもよく、シリル化ユニットと様々な組み合わせで存在してもよい。
【0019】
シリル化ステップは、バッチでも連続プロセスでも、バックミキシングを伴わないシリル化反応を含み、ここで反応性官能基を有するプレポリマーはシリル化剤と反応させる。本明細書で使用する「バックミキシング」という用語は、シリル化ポリマー組成物の少なくとも一部を、プロセスの下流点からプロセスの上流点へ取り出すためのバックミキシングループなどのバックミキシング手段の使用を指す。例えば、これには、エンドキャッピング管状反応器の出口からエンドキャッピング管状反応器の入口へ、シリル化ポリマー組成物の少なくとも第1の部分を取り出すためのバックミキシングループの使用が含まれる。
【0020】
このプロセスステップに適した第1の中間生成物は、シリル化ポリマーを生成するシリル化剤と反応性の反応性官能基を含むものである。上記のように、シリル化ポリマー組成物は、第2の中間生成物として、シリル化ポリマーを含有する。シリル化反応が完了するまで進行しない場合、第2の中間生成物は部分的シリル化ポリマー組成物である。部分的シリル化ポリマー組成物は、反応性官能基を有するプレポリマー、シリル化剤またはシリル化ステップに存在する他の成分による未反応の反応性官能基を含む。これらの未反応の反応性官能基は、シリル化ポリマーの粘度および機械的特性を経時的に劣化させるように作用する。
【0021】
様々なプレポリマーは、当業者には容易に明らかであろう。例えば、反応性官能基を有するプレポリマーが好ましい。より好ましくは、プレポリマーは末端反応性官能基を有する。これらのプレポリマーは、ポリオール、鎖延長反応によって延長されて鎖延長プレポリマーを生成するポリオールでありえ、そして末端イソシアネート基を有するポリウレタンは反応性官能基を有する適切なプレポリマーの例である。このプロセスでは、これらは個々に第1の中間生成物として機能し、そしてシリル化反応においてシリル化剤と反応する。
【0022】
本明細書で使用される反応性官能基は、プレポリマー骨格の炭素原子へ直接的にまたはリンカーにより結合された反応性部分を指す。反応性官能基は、プレポリマー骨格の種々のペンダントおよび末端位置に存在し得るが、このプロセスの目的のためには、プレポリマーが末端反応性官能基を有することが好ましい。これらの反応性官能基には、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、またはそれらの混合物、より具体的にはヒドロキシル基、イソシアネート基、またはそれらの混合物が含まれる。
【0023】
種々のポリオールは、本プロセスにおける使用に適している。これらのポリオールは、好ましくは、反応性官能基として末端ヒドロキシル基を有する。
【0024】
第1の中間生成物はポリオールであり得るが、第1の中間生成物が反応性官能基を有する鎖延長ポリオールプレポリマーであることも本開示の範囲内であると考えられる。反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、ポリオールが鎖延長剤と反応する鎖延長反応によって生成される。一実施態様では、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、末端ヒドロキシル基を有するポリオールと鎖延長剤との反応から生成される。
【0025】
様々な鎖延長剤が当業者には明らかであろう。しかしながら、好ましい実施形態では、鎖延長剤は、第1の中間生成物の反応性官能基と反応性である反応性基を含む。一実施態様では、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、末端ヒドロキシル基を有するポリオールと、反応性基として2個以上のイソシアネート基を有する鎖延長剤との反応から生成される。この反応から生成した反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、ヒドロキシル、イソシアネートまたは両方である末端反応性官能基を有していてもよい。これらの得られる官能基は、ポリオールとイソシアネート含有鎖延長剤との相対量に依存する。鎖延長剤によって提供されるイソシアネート基の量に対して、ポリオールの量が鎖延長反応において過剰のヒドロキシル基を提供する場合、得られる鎖延長プレポリマーは末端反応性官能基としてヒドロキシル基を含有することになる。鎖延長反応におけるモル過剰のポリオールは、1:1より大きいOH:NCOモル比を生成する。より具体的な実施形態では、OH:NCOモル比は、約1.1:1から約10:1、さらにより具体的には約1.5:1から約3:1、さらにより具体的には約1.8:1から約2.2:1の範囲となる。しかしながら、鎖延長剤の量が、ポリオールによって提供されるヒドロキシル基の量に対して、鎖延長反応において過剰のイソシアネート基を提供する場合、得られる反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは末端反応性官能基としてイソシアネート基を含むことになる。鎖延長反応におけるモル過剰のポリイソシアネートは、1:1未満のOH:NCOモル比を生成する。より具体的な実施形態では、OH:NCOモル比は、約0.1:1から約0.9:1、さらにより具体的には約0.3:1から約0.7:1、さらにより具体的には約0.45:1から約0.55:1の範囲となる。
【0026】
一実施形態では、反応性官能基が末端ヒドロキシル基および末端イソシアネート基の両方の混合である鎖延長ポリオールを有することが望ましい場合、鎖延長ポリオールは、化学量論的モル量のポリオールをポリイソシアネートと、モル過剰のポリオールをポリイソシアネートと、またはモル過剰のポリイソシアネートをポリオールと、混合し、そしてポリオールおよびポリイソシアネートの反応を完了に進ませないようにして、第1の中間生成物としての末端ヒドロキシルおよびイソシアネート官能基を有するプレポリマーを生成することにより生成することができる。完了に至らなかった鎖延長反応における化学量論的当量、モル過剰のポリオールまたはモル過剰のポリイソシアネートは、OH:NCOモル比が約1:1である第1の中間生成物を生成する。より具体的な実施形態では、OH:NCOモル比は、約0.5:1から約1.5:1、さらにより具体的には約0.9:1から約1.1:1の範囲である。
【0027】
ヒドロキシル末端プレポリマーをジ-またはポリイソシアネートとの反応によって調製された鎖延長プレポリマーは、部分的に反応したジ-もしくはポリイソシアネートから、または未反応のジ-もしくはポリイソシアネートからのいずれかの残留イソシアネートを含むことがありえる。また別の実施態様では、ポリオールの分子量は、それらおよび低分子量グリコール、トリオールもしくはそれよりも高い官能性アルコール、ジ-もしくはポリアミン、ペンダントおよび/もしくは末端のヒドロキシル基もしくはアミノ基を含むポリシロキサンをジ-もしくはポリイソシアネートと反応させることによって増加させることができる。一実施形態では、ヒドロキシル基対イソシアネート基のモル比(OH:NCO)は、具体的には約1.01:1から約3:1、より具体的には約1.05:1から約1.50:1である。
【0028】
第1の中間生成物としての使用または反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーの形成に適したポリオールには、例えば、反応性官能基として末端ヒドロキシル基を有するポリオールが含まれる。適切なヒドロキシル末端ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシル末端ポリカプロラクトンのようなポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとε-カプロラクトンとの反応から得られるもののようなポリエーテルエステルポリオール、ヒドロキシル末端ポリカプロラクトンと、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドなどの1つ以上のアルキレンオキシドとの反応から得られるもののようなポリエステルエーテルポリオール、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、およびそれから誘導されたヒドロキシ末端ポリウレタンプレポリマー、例えばわずかに過剰の前記ポリオールの1つまたは混合物をポリイソシアネートの1つまたは混合物と反応させることによるものが挙げられる。ポリオールは、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、およびポリアセタールも含み得る。適切であれば、ポリオールは、遊離の第3級アミノ基を含有することができる。
【0029】
いくつかの具体的な好適なポリオールとしては、ポリエーテルジオール、特に、ポリ(オキシエチレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、およびポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、およびポリヒドロキシポリチオエーテル、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオールなどが挙げられる。
【0030】
本発明の一実施形態では、シリル化ポリウレタンポリマー、特に湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの生成に使用されるポリオールは、約500から約25,000グラム/モル(g/mol)の数平均分子量を有するポリ(オキシエチレン)ジオールである。本発明の別の実施形態では、シリル化ポリウレタンポリマー、特に湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの生成に使用されるポリオールは、約1,000から約20,000グラム/モルの数平均分子量を有するポリ(オキシプロピレン)ジオールである。種々の構造、分子量および/または官能性のポリオールの混合物も使用することができる。
【0031】
一実施形態では、ポリオールの数平均分子量は、ポリオールのヒドロキシル価およびポリオールの官能性から計算される。ポリオールのヒドロキシル価は、ASTM D4274-11、ポリウレタン原材料を試験するための標準試験方法:ポリオールのヒドロキシル価の測定に従って決定される。
【0032】
使用され得る他のポリエーテルポリオールには、環状酸化物の重合によって得られる生成物、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラヒドロフラン、このような酸化物の1以上を多官能性開始剤に加えることによって得られる生成物、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはビスフェノールAが挙げられる。特に有用なポリエーテルには、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオール、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオールおよびトリオールであって、適切な開始剤へのエチレンおよびプロピレンオキシドの同時または逐次に加えることによって得られるもの、およびテトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
【0033】
遊離第3級アミノ基を含むポリエーテルは、オキシアルキル化、例えば、アンモニア、第1級または第2級アミンおよびアミノアルコールのオキシプロピル化によって得ることができる。適切なアミンの例としては、エチレンジアミン、アニリン、ベンジルアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタンおよびポリメチレンポリフェニルポリアミンが挙げられる。適切なアミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリン、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、およびビス(2-ヒドロキシエチル)ベンジルアミンが挙げられる。オキシアルキル化プロセスでは、アミノを含む開始剤とアミノを含まない開始剤との混合物を必要に応じて使用することができる。
【0034】
ポリチオエーテルポリオールも好適なポリオールである。これらとしては、例えば、チオジグリコールを単独で、または、他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノアルコールまたはアミノカルボン酸とともに縮合することにより得られた生成物が挙げられる。
【0035】
ポリカーボネートポリオールも好適なポリオールである。これらとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールなどのジオールを、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネートと、またはホスゲンと反応させることによって得られる生成物が挙げられる。
【0036】
ポリアセタールポリオールも好適なポリオールである。これらとしては、例えば、ホルムアルデヒドを伴うジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびヘキサンジオールなどのグリコールである。適切なポリアセタールは、環状アセタールを重合することによっても調製することができる。
【0037】
適切なポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル末端ブタジエンホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0038】
プレポリマーの調製に使用され得るペンダントポリオキシエチレン鎖を有するジオールには、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,905,929号に記載のものが挙げられる。
【0039】
適切なポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、フランジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールまたはそれらの混合物などの多価アルコールと、ポリカルボン酸、特に、特にジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体、例えば、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸またはそれらのジメチルエステル、無水フタル酸またはジメチルテレフタレートとのヒドロキシル末端反応生成物が挙げられる。ラクトン、例えばカプロラクトンの重合によって得られるポリエステルをポリオールと共に使用することもできる。ポリエステルアミドは、ポリエステル化混合物中にエタノールアミンのようなアミノアルコールを含めることによって得ることができる。遊離第3級アミノ基を含有するポリエステルは、ポリエステル化反応において、第3級アミノポリオール、例えばトリエタノールアミンまたはN-メチルジエタノールアミンを含めることによって得ることができる。
【0040】
ポリエーテルポリオールは、ポリマー鎖あたり約5個までのヒドロキシル基、より具体的にはポリマー鎖あたり約1から2個のヒドロキシル基、最も具体的にはポリマー鎖当たり約2個のヒドロキシル基の官能性(すなわちジオール)を有することができる。複金属シアン化物(DMC)触媒、アルカリ金属水酸化物触媒、またはアルカリ金属アルコキシド触媒の存在下で調製されたポリエーテルポリオールが、特に好適であり、例えば、参照によりその全体の各々が本明細書に組み込まれる米国特許第3,829,505号、第3,941,849号、第4,242,490号、第4,335,188号、第4,687,851号、第4,985,491号、第5,096,993号、第5,100,997号、第5,106,874号、第5,116,931号、第5,136,010号、第5,185,420号、および第5,266,681号を参照のこと。複金属シアン化物触媒の存在下で調製されたポリエーテルポリオールは、高い分子量および低いレベルの不飽和を有する傾向があり、それらの特性は改善された性能に関係していると考えられている。ポリエーテルポリオールは、具体的には、約1,000から約25,000グラム/モル、より具体的には約2,000から約20,000グラム/モル、さらにより具体的には約4,000から約18,000グラム/モルの数平均分子量を有する。本発明の一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ポリオール1グラム当たり約0.04ミリ当量以下の末端基不飽和レベルを有する。本発明の別の実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリオール1グラム当たり約0.02ミリ当量以下の末端基不飽和を有する。不飽和の量は、ASTM D4671-05(2010)e1、ポリオールの不飽和度のポリウレタン原材料測定の標準試験方法に従って測定される。
【0041】
一実施形態では、第1の中間生成物としての反応性官能基を有するプレポリマーは一般式(1)のものであり、
R1(X)a (1)
ここで
R1は、約50から約4,000の炭素原子、および、-O-、-S-、-OC(=O)NH-、-R2NC(=O)NH-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-OCHR2O-、-C(=O)NR2-、-NR2-および-CR2=CHR2
2,からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機基であり、ここでR2の各存在は、独立して、水素、1から6個の炭素原子を含むアルキル基またはフェニル、好ましくは水素であり、
Xの各存在は、独立して、-OH、-SH、-NR3H-および-N=C=Oからなる群から選択される反応性官能基であり、ここでR3の各存在は、独立して、水素、1から6個の炭素原子のアルキル基またはフェニル、好ましくは水素であり、そして
下付き文字aは1から5、より具体的には2または3、さらにより具体的には2の整数である。
【0042】
さらに別の実施形態において、式(1)の反応性官能基を含有するプレポリマーは、より詳細には、式(2)、(3)および(4)からなる群から選択される構造を有する。
HO-[(R13O)dC(=O)NHR14NH(C=O)O-]e(R13O)fR13-OH (2)
O=C=N-R14NHC(=O)O-[(R13O)cC(=O)NHR14NH(C=O)O-]d(R13O)eC(=O)NHR14-N=C=O (3)
O=C=N-R14NHC(=O)O-[(R13O)dC(=O)NHR14NH(C=O)O-]e(R13O)fR13-OH (4)
ここでR13の各存在は、独立して、約2から約10個の炭素原子のアルキレン基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキレン基、約6から約10個の炭素原子のアリーレン基、および 約7から約12個の炭素原子のアラルキレン基からなる群から選択され、R14の各存在は、独立して、約1から約10個の炭素原子のアルキレン基、約5から約12個の炭素原子のシクロアルキレン基、約6から約10個の炭素原子のアリーレン基、約7から約12個の炭素原子のアラルキレン基からなる群からから選択され、そして下付き文字d、eおよびfは整数であり、そしてdの各存在は1から約500であり、eは0から約5であり、そしてfは1から約500であり、但し、(d)(e)+fは、約25以上である。
【0043】
さらに別の実施形態では、反応性官能基を有するプレポリマーは、式(2)、(3)または(4)またはそれらの混合物である。1つの具体的な実施形態では、各R
13は独立してエチレンまたはプロピレン、好ましくはプロピレンであり、各R
14は、独立して、ヘキシレン、メチルフェニレン、または
【化1】
であり、cは約100から約500、好ましくは約125から約225であり、dは0、1または2、好ましくは0または1であり、eは約100から約500、好ましくは約125から約225である。
【0044】
市販されているポリオールの例としては、例えば、接着剤、シーラント、エラストマー、成形フォームおよびフレキシブルフォームなどの様々なウレタン用途に使用されるArcol(登録商標)ポリオールファミリーおよびAcclaim(登録商標)ポリオールファミリーのポリエーテルポリオール製品が挙げられる。
【0045】
本開示のプロセスでは、種々の鎖延長剤が適切であると考えられる。ポリイソシアネートは、好ましい鎖延長剤である。ジイソシアネートまたはそれらの混合物が特に好ましい。例えば、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(「pMDI」)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、液体カルボジイミド変性MDIおよびその誘導体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、特に2,6-TDIアイソマー、ならびに当該技術分野において十分に確立されている種々の他の脂肪族および芳香族ポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせでありえる。本発明の一実施形態では、ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその種々のアイソマー、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ならびに1,3-ビス-(イソシアナートメチル)シクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1つの成分である。
【0046】
一実施態様では、このプロセスは、上流のプロセスチャンバとして鎖延長ユニットを含む。この鎖延長ユニットは鎖延長反応に使用される。鎖延長ユニットは、バッチケトル、連続攪拌反応器ユニットまたは管状反応ユニットであり得る。鎖延長ユニットは、好ましくは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する管状反応ユニット反応器である。少なくとも1つの入口は、ポリオールおよび鎖延長剤を鎖延長管状反応ユニットに受け入れる。ポリオールおよび鎖延長剤は、鎖延長管状反応ユニットの入口に導入する前に混合されるか、それらが鎖延長管状反応ユニットにおいて混合される2つの入口を介して別々に導入される。ポリオールと鎖延長剤との混合は、ミキサー、例えば管状反応ユニットに取り付けられた混合スクリュー、スタティックミキサーまたはバッフルのようなものを使用して任意にて促進される。ポリオールおよび鎖延長剤は、管状反応ユニットにおいて反応して、第1の中間生成物として反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーを生成する。そして、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、鎖延長管状反応ユニットを通じて、そして鎖延長管状反応ユニットの出口を通って下流に連続的に供給される。好ましい実施形態において、鎖延長ユニットは、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーを、エンドキャッピングユニットとしても知られているシリル化ユニットに供給する。
【0047】
一実施態様では、このプロセスは、安定化パッケージをプロセスに組み込む安定化ステップを含む。安定化パッケージは、少なくとも1つの安定化剤を含む。安定化パッケージは、上流および下流のプロセスチャンバを含むプロセスの様々なステップに加えることができる。例えば、安定化パッケージは、上流ミキサー、上流熱交換器、上流鎖延長ユニット、シリル化ユニット、下流クエンチングユニット、下流冷却ユニット、下流貯蔵ユニット、またはシリル化ポリマーを組み込んだ最終生成物(すなわち、接着剤)へと加えることができる。
【0048】
安定化パッケージをプロセスの初期に加えると、プレポリマーの色劣化を改善できることが見出されている。したがって、安定化パッケージは、プロセスに沿って様々なステップで加えられ得るが、安定化パッケージはプロセスの初期に加えられることが好ましい。例えば一実施形態では、安定化パッケージは、シリル化ステップの前に、第1の中間生成物に加えられる。好ましくは、安定化パッケージは、第1の中間生成物を生成する鎖延長ステップの前に加えられる。さらにより好ましくは、熱交換器における温度を調整する前、鎖延長剤との反応の前および/またはシリル化剤との反応の前に、ポリオールに安定化パッケージを加える。一実施態様では、安定化パッケージは、上流ミキサー、例えばスタティックミキサー、メカニカルミキサーまたはバッフルを備えたミキシングチューブにおいてポリオールに添加される。ポリオールは、流量計を備えた計量ポンプによってポリオールリザーバから供給され、ミキサーへと導かれる。安定化パッケージはまた、安定化パッケージリザーバからミキサーに供給される。他の実施形態では、安定化パッケージは、例えば触媒のような他のプロセス成分とともにミキサーに供給されることも考えられる。
【0049】
安定化パッケージをポリオールと混合して安定化されたポリオールを生成する。安定化されたポリオールは、本発明のプロセスにおいて第1の中間生成物として機能するか、または本明細書に記載されるように鎖延長されて、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーを形成することができる。このポリオールまたはその結果生じる反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、第1の中間生成物として機能する。
【0050】
一実施態様では、安定化パッケージは、立体障害フェノール、ホスファイト安定化剤またはそれらの組み合わせを含む。安定化パッケージがホスファイト安定化剤を含む場合、プレポリマーの色劣化を改善することができることが見出されている。したがって、好ましい実施形態では、安定化パッケージはホスファイト安定化剤を含む。一実施態様では、安定化パッケージは、立体障害フェノールおよびホスファイト安定化剤を含む。
【0051】
一実施態様では、このプロセスは、ホスファイト安定化剤および任意にて立体障害フェノールを含む安定化パッケージを含み、ここで安定化パッケージは、本プロセスにおいて初期のプロセスチャンバに組み込まれる。好ましくは、初期のプロセスチャンバは、ポリオールがポリオールリザーバから供給される上流ミキサーである。一実施態様では、安定化パッケージはミキサーにおいて触媒を伴う。
【0052】
鎖延長反応の前またはシリル化反応の前のように、安定化パッケージがプロセスの初期に加えられる場合、安定化剤パッケージは、低色のシリル化ポリマー、シリル化ポリマー組成物およびそれらを含有する製品を提供する。一実施態様では、安定化剤または安定化剤パッケージは、ASTM D1209、透明液体の色の標準試験方法(プラチナ-コバルトスケール)に従って測定して、50Pt-Co未満、より具体的には20Pt-Co未満、さらにより具体的には10Pt-Co未満の色を有するシリル化ポリマーおよびシリル化ポリマー組成物を提供する。一実施態様では、シリル化ポリマーは湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーである。
【0053】
非限定的な一実施態様では、本発明のプロセスによって生成されたシリル化ポリマー組成物は、色の変化として定義される色安定性を有し、ここで色の変化は、シリル化ポリマー組成物を80℃で4日間エージングさせた後のシリル化ポリマー組成物の色から、生成時のシリル化ポリマー組成物の色を差し引いたものである。色はASTM D1209-05、透明液体の色の標準試験方法(プラチナ-コバルトスケール)に従って測定された。シリル化ポリマー組成物の色安定性は、40Pt-Co以下、より具体的には25Pt-Co未満、最も具体的には20Pt-Co未満である。一実施態様では、シリル化ポリマーは湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーである。
【0054】
本明細書で使用される「立体障害フェノール酸化防止剤」という用語は、ヒドロキシル基が芳香族炭化水素炭素原子に化学結合し、ヒドロキシル基を含む炭素に隣接する炭素原子は、アルキル基の第1級、第2級または好ましくは第3級の炭素原子に結合している有機化合物を指し、さらにより具体的にはアルキル基の第3級の炭素原子である。一実施形態では、本発明において有用な立体障害フェノール酸化防止剤は、一般式(5)により説明されることができ:
【化2】
ここでR
18の各存在は、1から約50個の炭素原子の1価または多価の有機基であって、任意にてヒドロキシル基、-OH、アミド基、-C(=O)N(-)
2、エステル基、-C(=O)O-、イソシアヌレート基、
【化3】
エーテル基、-O-、アミン基、(-)
2NH、ヒドラジド、-C(=O)N(-)NH(-)
2-、スルフィド基、-S-、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基を有してもよい。
【0055】
具体的には、立体障害フェノール酸化防止剤は、約300グラム/モルから約1,500グラム/モルの分子量を有することができる。より具体的には、立体障害フェノール酸化防止剤は、一般式(6)を有する分子当たり少なくとも2つのフェノール基を含有してもよく、
【化4】
ここでR
19は、1から約50個の炭素原子の2価、3価または4価の有機基であって、任意にて、ヒドロキシル基、-OH、アミド基、-C(=O)N(-)
2、エステル基、-C(=O)O-、イソシアヌラート基、
【化5】
エーテル基、-O-、アミン基、(-)
2NH、ヒドラジド、-C(=O)N(-)NH(-)
2-、スルフィド基、-S-、およびそれらの組み合わせから選択される置換基で置換されてよく、下付き文字iは、約2から約4の整数である。
【0056】
立体障害フェノール酸化防止剤の代表的および非限定的な例としては、
4-[[3,5-ビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル]-2,4,6-トリメチルフェニル]メチル]-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-N’-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル]プロパンヒドラジド、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート-N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオンアミド)、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3-5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H-)-トリオン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-トルエン、4,4-メチレン-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェノール)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
ホスファイト処理安定化剤は、処理中に形成されるヒドロペルオキシドまたはその他の色発生化合物と反応し、プロセス誘起分解を防止し、任意にて立体障害フェノール酸化防止剤の性能を向上させる酸化防止剤である。ホスファイト処理安定化剤は、3つの酸素リン単結合を含有する。具体的には、ホスファイト処理安定化剤は、下記一般式(7)を有し、
【化6】
R
20の各存在は、独立して、1から約25個の炭素原子を含む1価の炭化水素、1から約25個の炭素原子と、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とを含む1価の炭化水素、ならびに、少なくとも1個の炭素原子が酸素-リン基の酸素に結合し、そして少なくとも1個の炭素原子がR
21基の炭素原子に共有結合している1から約25個の炭素原子を含む多価炭化水素からなる群から選択され、
R
21の各存在は、独立して、1から約25個の炭素原子を含む1価の炭化水素、1から約25個の炭素原子と、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とを含む1価の炭化水素、ならびに少なくとも1個の炭素原子が酸素-リン基の酸素に結合し、そして少なくとも1個の炭素原子がR
20基の炭素原子に共有結合している1から約25個の炭素原子を含む多価炭化水素からなる群から選択され、
R
22の各存在は、独立して、1から約25個の炭素原子を含む1価の炭化水素であって、任意にて酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよいものである。
【0058】
特に、ホスファイト処理安定化剤は、1価のアルキル基、アリール基またはアルキル置換芳香族炭化水素基であるR20、R21およびR22基を含む。
【0059】
代表的で非限定的なホスファイト安定化剤の例としては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2-(2,4,8,10-テトラtert-ブチルベンゾ[d][1,3,2]ベンゾジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ-N,N-ビス[2-(2,4,8,10-テトラtert-ブチルベンゾ[d][1,3,2]ベンゾジオキサホスフェピン-6-イル)オキシエチル]エタンアミン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)-エチル-ホスファイト、3,9-ビス-(2,4-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファ-スピロ[5.5]ウンデカン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
一実施形態では、安定化剤は、それぞれ、「Anox 20」および「Uvasil 299 HM/LM」(Great Lakes)、「Doverphos 6」(Dover Chemical)および「Irganox 1010」、「Irganox 1076」、「Tinuvin 770」、「Tinuvin 327」、「Tinuvin 213」および「Tinuvin 622 LD」(Ciba)の商標として具体的な化学品として入手可能なヒンダードフェノールおよびホスファイトからなる群から選択される。
【0061】
特定の一実施形態では、安定化剤パッケージは、ヒンダードフェノールおよびホスファイトの混合物である。ヒンダードフェノール対ホスファイトの重量比は、ヒンダードフェノールおよびホスファイトの全重量に基づいて、約1から約99重量%のヒンダードフェノール、より具体的には約2から約50重量%のヒンダードフェノール、さらにより具体的には約3から約15重量%のヒンダードフェノールである。一実施態様では、このプロセスは、シリル化ポリマー組成物に2-ピロリドンおよびε-カプロラクタムの混合物を含む掃去パッケージを加えることによってシリル化ポリマー組成物をクエンチングすることを含む。この実施態様では、シリル化剤はイソシアナートプロピルトリメトキシシランであり、プレポリマーは末端ヒドロキシルまたはイソシアネート基を有し、ホスファイト安定化剤を含む安定化パッケージを加えるステップが、ヒンダードフェノールを加えることをさらに含む。
【0062】
一実施態様では、本開示のプロセスは、シリル化ステップを含む。このシリル化ステップはシリル化反応を含み、ここで第1の中間生成物はシリル化剤と反応される。第1の中間生成物およびシリル化剤はシリル化ユニットに供給され、ここでこれらは混合して反応して第2の中間生成物を生成する。第1の中間生成物は、本明細書に記載されているように、反応性官能基を有するプレポリマー、例えばポリオール、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマー、安定化されたポリオール、安定化された反応性官能基を有する鎖延長プレポリマー、またはそれらの任意の組み合わせである。第2の中間生成物は、シリル化ポリマー組成物または部分的シリル化ポリマー組成物である。一実施形態では、第2の中間生成物は湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーを含む。部分的シリル化ポリマー組成物(部分的にシリル化されたポリマー組成物)は、未反応の反応性基を含有する。これらの未反応の反応性基は、第1の中間生成物から、またはシリル化剤から、または任意に含まれる他の成分からであってもよい。例えば、シリル化反応が完了するまで進行しない場合、第2の中間生成物は、プレポリマーが未反応の反応性官能基を有するように部分的にシリル化されたプレポリマーを含む。シリル化または部分的にシリル化されたポリマーは、シリル化ユニットから取り出されてもよく、またはプロセスが連続プロセスである場合には、出口を通じて、熱交換器、他の任意成分を加えるためのミキサー、クエンチングユニット、および貯蔵用リザーバを含む下流のプロセスチャンバ、またはさらなる処理のために下流に送られてもよい。シリル化ポリマーは、必要に応じて公知の方法で、例えば、低沸点成分を取り出すためシリル化ポリマー組成物の減圧および/または熱への曝露、サイズ排除クロマトグラフィー、溶媒からの沈殿、および膜または分子ふるいの通過によって、シリル化ポリマー組成物から取り出すことができる。
【0063】
様々なシリル化剤が本開示の範囲内であることが考えられている。シリル化反応の選択は、第1の中間生成物に存在する反応性官能基に依存する。例えば、第1の中間生成物の反応性官能基がヒドロキシルを含む場合、シリル化剤は、シリル化剤は、第1の中間生成物のヒドロキシル基と反応性の対応する官能基を有することになる。一例では、第1の中間生成物は、反応性官能基としてのヒドロキシル基を有するポリオールであり、シリル化剤はイソシアネート(すなわちNCO)官能基を含む。第1の中間生成物がイソシアネート反応性官能基を含む場合、シリル化剤はアミノ(すなわち-NH-)、ヒドロキシル(すなわち-OH)またはチオール(すなわち-SH)官能基を含む。
【0064】
イソシアネート官能基を有する特定のシリル化剤としては、例えば、イソシアナートシランが挙げられる。アミノ官能基を有する特定のシリル化剤には、例えば、アミノシランが挙げられる。他の特定の好適なシリル化剤も本明細書の他の箇所に記載されている。
【0065】
一実施態様にて、適切なシリル化剤は、一般式(8)を有し:
YR4Si(CH3)b(OR5)3-b (8)
ここで、
Yは、-N=C=O、-SH、-OH、および-NHR6からなる群から選択される官能基であり、ここでR6は、水素、1から約10個の炭素原子を含むアルキル基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキル基、約7から約10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニル、および-CH[(C=O)OR7]CHR8C(=O)OR7からなる群から選択され、ここでR7は1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり、そしてR8は1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり、
R4は1から約10個の炭素原子の2価のアルキレン基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキレン基、約6から約10個の炭素原子のアリーレン基であり、
R5の各存在は、1から約18個の炭素原子のアルキル基または-R9(OR10)cOR11であり、ここでR9は、1から約18個の炭素原子のアルキル基であり、R10は、約2から約4個の炭素原子の2価のアルキレン基であり、そしてR11は、1から約10個の炭素原子のアルキル基または-C(=O)R12であり、ここでR12は、水素、または1から約6個の炭素原子のアルキル基であり、そして
下付き文字bおよびcは整数であり、ここでbは0から約2であり、cは0から約5である。
【0066】
一実施態様では、反応性官能基を有するプレポリマーにおけるX基は、-OHであり、シリル化剤におけるY基は、-N=C=Oである。別の実施態様では、反応性官能基を有するプレポリマーにおけるX基は、-N=C=Oであり、シリル化剤におけるY基は、-NHR6であり、ここでR6は、水素、1から約10個の炭素原子を含むアルキル基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキル基、約7から約10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニルおよび-CH[(C=O)OR7]CHR8C(=O)OR7からなる群から選択され、ここでR7は1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり、そしてR8は1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基である。
【0067】
一実施形態では、シリル化剤は式(8)により定義され、ここでYは、-N=C=Oまたは-NHR6であり、ここでR6は上記定義通りであり、R4はメチレン、エチレンまたはプロピレンであり、R5はメチルまたはエチルであり、bは0または1であり、好ましくは0である。
【0068】
他の適切なシリル化剤としては、イソシアナートシラン、メルカプトシランおよびアミノシランが挙げられる。例えば、イソシアナートシランは、3-イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、および3-イソシアナートプロピルトリエトキシシランから選択することができる。適切なイソシアナートシランは、Momentive Performance Materials, Inc.からSilquest* A Link-35の名称で入手可能である。アミノシランは、例えば、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-メチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシエチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシプロピルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジエトキシメチルシラン、N-メチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびアミノイソプロポキシエチルトリエトキシシランから選択することができる。
【0069】
他の好適なシリル化剤としては、メルカプトシラン類、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリsec-ブトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリ-t-ブトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルトリオクトキシシラン、2-メルカプトエチルトリ-2’-エチルヘキシロキシシラン、2-メルカプトエチルジメトキシエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルシクロヘキソキシジメチルシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、3-メルカプト-3-メチルプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプト-3-メチルプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプト-3-エチルプロピル-ジメトキシメチルシラン、3-メルカプト-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプト-2-メチルプロピルジメトキシフェニルシラン、3-メルカプトシクロヘキシル-トリメトキシシラン、12-メルカプトドデシルトリメトキシシラン、12-メルカプトドデシルトリエトキシシラン、18-メルカプトオクタデシルメトキシジメチルシラン、18-メルカプトオクタデシルメトキシジメチルシラン、2-メルカプト-2-メチルエチル-トリアルコキシシラン、2-メルカプト-2-メチルエチル-トリオクトキシシラン、2-メルカプトフェニルトリメトキシシラン、2-メルカプトフェニルトリメトキシシラン、2-メルカプトトリルトリメトキシシラン、2-メルカプトトリルトリエトキシシラン、1-メルカプトメチルトリルトリエトキシシラン、1-メルカプトメチルトリルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルフェニルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルフェニルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルフェニルトリメトキシシラン、および、3-メルカプトプロピルフェニルトリエトキシシラン、およびアミノシラン類、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、N-メチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルジエトキシメチルシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリエトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、3-(N-メチル-2-アミノ-1-メチル-1-エトキシ)-プロピルトリメトキシシラン、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチル-ブチルジメトキシメチルシラン、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-(シクロヘキシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシシリル-2-メチルプロピル)アミン、およびN-(3’-トリメトキシシリルプロピル)-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0070】
一実施態様では、シリル化剤は、反応性官能基を含有するプレポリマーに基づいて、0.2から1.5モル当量の範囲の量で使用される。式(5)を有するシリル化剤対式(1)を有する反応性官能基を有するプレポリマーのモル比は、シリル化剤のY官能基対反応性官能基を含有するプレポリマーのX官能基のモル比に基づいており、ここでモル比(Y:X)は約0.2:1から約1.2:1、より具体的には約0.8:1から約1.1:1、さらにより具体的には約0.9:1から約1.05:1である。
【0071】
反応性官能基を有するプレポリマーのX基がヒドロキシル基である場合、反応性官能基を有するプレポリマーのヒドロキシル含有量のモル量は、ヒドロキシル価から決定される。ヒドロキシル価は、ASTM D4274-11、ポリウレタン原材料の標準試験方法:ポリオールのヒドロキシル価の決定に従って決定される。反応性官能基を有するプレポリマーのX基またはシリル化剤のY基がイソシアネート基である場合、反応性官能基を有するプレポリマーまたはシリル化剤のイソシアネート含有量のモル量は、ASTM D2572-97(2010)、ウレタン材料またはプレポリマーにおけるイソシアネート基の標準試験方法に従って決定される。XまたはY基がアミノ基である場合、反応性官能基を有するプレポリマーまたはシリル化剤のアミン含有量のモル量は、ASTM D2074-07(2013)、代替インジケーター法による脂肪族アミンの全、第1級、第2級、および第3級アミン価の標準試験方法に従って決定される。
【0072】
シリル化剤の反応は、化学量論量以下のシリル化剤を用いて行うことができる。鎖延長反応におけるポリイソシアネートとポリオールとの反応は、シリル化剤の添加前に不完全であり得る。これらの場合、反応生成物は、反応性官能基を有するプレポリマーからの残留X官能基または、シリル化剤からの官能性基を有することがありえる。この過剰のXまたはY官能基は、クエンチングされることができる。
【0073】
一実施形態では、このプロセスによって生成されたシリル化ポリマーは、反応性官能基を含むシリル化ポリマーが掃去剤でクエンチングされるクエンチングされたシリル化ポリマーである。クエンチングされたシリル化ポリマーは、第3の中間生成物である。一実施形態では、このプロセスによって生成されたクエンチングされたシリル化ポリマーは、湿気硬化性シリル化ポリマー、より具体的には湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーである。
【0074】
クエンチングされたシリル化ポリマーは一般式(9)を有し、
X
1
g-(R
1)[-A
1C(=O)A
2R
4Si(CH
3)
b(OR
5)
3-b]
a-g (9)
ここで
X
1の各存在は、
【化7】
-NHC(=O)OR
15、-NHC(=O)NR
16R
17、N=C=O、CH
2=CH-、および-OHからなる群から選択される官能基であり、ここでR
15の各存在は、約1から約30個の炭素原子を含む1価の炭化水素基であって、任意にて、ヘテロ原子を含み、好ましくは炭素原子数1から約6個のアルキル基またはフェニルであり、R
16の各存在は、水素、1から約6個の炭素原子のアルキル基またはフェニルであり、R
17の各存在は、水素、1から約6個の炭素原子のアルキル基、またはフェニルであり、そして下付き文字hは、1から約6、好ましくは1または2の整数であり;
A
1の各存在は、-O-、-S-および-NH-からなる群から選択される官能基であり;
A
2の各存在は、-S-、-NR
6からなる群から選択される官能基であり、ここでR
6は、水素、1から約10個の炭素原子を含むアルキル基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキル基、約7から約10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニル、および、-CH[(C=O)OR
7]CHR
8C(=O)OR
7からなる群から選択され、ここでR
7は炭素原子1から約10個のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり、そしてR
8は、1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、7から10個の炭素原子のアラルキル基であり;
R
1は、約50から約4,000個の炭素原子および、-O-、-S-、-OC(=O)NH-、-R
2NC(=O)NH-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-OCHR
2O-、-C(=O)NR
2-、および-NR
2-からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機基であり、ここでR
2の各存在は、独立して、水素、1から約6個の炭素原子を含むアルキル基またはフェニル、好ましくは水素であり;
R
4は1から約10個の炭素原子を含む2価のアルキレン基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキレン基、約6から約10個の炭素原子を含むアリーレン基であり;
R
5の各存在は、1から約18個の炭素原子のアルキル基、または-R
9(OR
10)
cOR
11であり、ここでR
9は、1から約18個の炭素原子のアルキル基であり、R
10は、約2から約4個の炭素原子の2価のアルキレン基であり、そしてR
11は、1から約10個の炭素原子のアルキル基、または-C(=O)R
12であり、ここでR
12は、水素、または1から約6個の炭素原子のアルキル基であり、そして
下付き文字a、b、cおよびhは、aが1から約5の整数であり、bは0から約2であり、cは0から約5であり、そしてgは0または1であり、但し(i)a-gは1以上であり、そして(ii)A
1が-O-または-S-である場合、A
2は-NH-であるという条件である。
【0075】
一実施形態では、本開示のプロセスは、クエンチングステップを含む。クエンチングステップは、少なくとも1つの掃去剤をプロセスに組み込むことを含む。バッチプロセスでは、少なくとも1つの掃去剤は、好ましくはシリル化ユニットに直接、またはシリル化ユニットから取り出した後のシリル化ポリマー組成物に加えられることが好ましい。あるいは、連続プロセスにおいて、少なくとも1つの掃去剤が、シリル化ユニットを含む様々なプロセスチャンバに加えられることが考えられる。しかしながら、少なくとも1つの掃去剤は、クエンチングユニットの下流に加えられることが好ましい。シリル化ポリマー組成物のクエンチングは、第3の中間生成物としてのクエンチングされたシリル化ポリマー組成物を生成する。連続プロセスでは、第3の中間生成物をプロセスチャンバから取り出すことができ、クエンチングされたシリル化ポリマーを回収することができる。あるいは、クエンチングされたシリル化ポリマー組成物は、本明細書に記載されているように、下流プロセスチャンバに向けて下流に導かれる。
【0076】
シリル化ポリマーをクエンチングするために、単一の掃去剤の代わりに掃去パッケージを使用することができる。掃去パッケージは、少なくとも1つの掃去剤と、例えば溶媒、乾燥剤、触媒などのような少なくとも1つの他の成分、または2つ以上の掃去剤と、任意にて他の成分とを含む。掃去パッケージは、シリル化ポリマー組成物、または少なくともそれらの第2の部分と反応して、シリル化ポリマー組成物に存在する未反応の反応性官能基の量を減少させる。種々の掃去剤が本プロセスのために考えられるが、驚くべきことに、環状アミド、特にC4-C7アミドである掃去剤がより効率的なプロセスを提供し、粘度クリープの少ないシリル化ポリマーを提供することが見出されている。1つの理論に縛られることを望むものではないが、本プロセスの方法の高温は、従来の掃去剤の有用性を低下させると考えられる。対照的に、高引火点を有する好適なC4-C7アミドは、高いプロセス温度の影響を受けにくく、そのため第2の中間生成物に残存する未反応の反応性基を失活させるのにより適している。好ましい実施形態では、C4-C7アミドは、2-ピロリドンおよびε-カプロラクタムから選択される。一実施形態では、掃去パッケージは、さらにビニルトリメトキシシランを、少なくとも1つの環状アミド掃去剤との混合物に含む。
【0077】
適切な掃去剤には、少なくとも1つの活性水素を有するイソシアネート反応性掃去剤が含まれる。さらに、本発明のイソシアネート反応性掃去剤は、粘度の上昇を引き起こす望ましくない反応よりも速い速度でイソシアネートと反応するものである。望ましくない反応には、イソシアネート基を含むシリル化剤とシリル化ポリマーとのさらなる反応、例として、アロファネートを形成するイソシアネートとウレタンとの反応、ビウレットを形成するイソシアネートとウレアとの反応、および、ヒドロキシル末端ポリマーとイソシアネート末端ポリマーとの反応であって新規ウレタン基を形成し、シリル化ポリマー組成物の粘度を増加させるものが挙げられる。
【0078】
一実施形態では、適切な掃去パッケージは、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、またはそれらの混合物などの環状C4-C7アミドを含む。掃去パッケージが掃去剤としてε-カプロラクタムを含む場合、掃去剤を可溶化するために溶媒を用いることがあり得る。例えば、掃去剤は、溶媒およびε-カプロラクタムを含む掃去パッケージの一部であってもよい。別の実施形態では、掃去パッケージは2-ピロリドンまたは溶媒中の2-ピロリドンである。さらに別の実施形態において、掃去パッケージは、溶媒、2-ピロリドンおよびε-カプロラクタムを含む。適切な溶媒には、エーテル、ケトン、エステル、またはビニルトリメトキシシランが含まれる。
【0079】
イソシアネート反応性掃去剤または掃去パッケージは、シリル化反応の終わり近くの所望の点で、シリル化剤、反応性官能基を含有するプレポリマー、部分的シリル化ポリマー、シリル化ポリマー、および任意にて触媒および非プロトン性溶剤などの他の成分をいまだに含むことがありえるシリル化反応のシリル化ポリマー組成物に加えることができる。ジ-またはポリイソシアネート-延長ポリオールについて、ヒドロキシル末端ポリマーは、部分的に反応したジ-またはポリイソシアネートから、または未反応のジ-またはポリイソシアネートからの残留イソシアネートを含むことがありえることが理解される。シリル化ポリマー組成物に存在する残留イソシアネートは、ポリオールを鎖延長するために使用されるジ-またはポリイソシアネートから、またはヒドロキシル官能基を含むプレポリマーと反応するために使用されるイソシアネートシランからもたらされ得る。イソシアネート反応剤の添加のための所望の点は、反応混合物の粘度によって、またはいくつかの他の方法によって決定することができる。したがって、イソシアネート反応性掃去剤は、最終生成物の配合物および所望の特性に依存して、特定の粘度で反応混合物に加えられる。
【0080】
一実施形態では、25℃の温度で測定して約1,000cPから約150,000cP、本発明の別の実施形態では、25℃の温度で測定して約30,000cPから約75,000cPの粘度範囲で、イソシアネート反応性掃去剤を反応混合物に加える。このようにして、イソシアネート反応性掃去剤は、シリル化ポリマー組成物の最終粘度のバッチ間バラツキを最小にする。
【0081】
イソシアネート反応性掃去剤は、イソシアネート含有反応混合物と十分な時間反応させて、全てまたは相当量の残留イソシアネートが反応したことを確かにする。イソシアネート反応性掃去剤は、残留イソシアネートに対して化学量論量で添加することができるが、過剰のイソシアネート反応性掃去剤を添加して、全ての残留イソシアネートが反応したことを確実にすることが好ましい。
【0082】
イソシアネート反応性掃去剤は、そのまま、または他の物質との混合物として添加することができる。そして、シリル化ポリマー組成物をモニターして、シリル化ポリマー組成物が未だ特定の未反応反応性基を含むか否かを決定することができる。例えば、未反応の反応性基の消失は、赤外分光法および滴定のような分析技術によって、またはシリル化ポリマー組成物の一定粘度の測定によって間接的に測定することができる。例えば、反応性官能基がイソシアネートである反応性官能基を有するプレポリマーのシリル化は、0.05重量%未満のNCO、より具体的には0.02重量%未満のNCO、より具体的には残留無しの-N=C=Oがいずれの技術によって検出される場合、完了したと考えられる。残留N=C=Oを測定するための好ましい方法は、ASTM D2572 - 97(2010)、ウレタン材料またはプレポリマーにおけるイソシアネート基の標準試験方法である。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、イソシアネート反応性掃去剤は、モノアルコールまたは異なるモノアルコールの混合物である。別の実施態様では、モノアルコールは、C4-C7アミンと組み合わされる。
【0084】
臭気が少なく、シリル化ポリマーの色に寄与せず、そして残留ヒドロキシ末端ポリマーとアルコキシシリル基との反応を阻害することがないことから、モノアルコールが使用される。アミンおよび有機酸のような他の活性水素化合物は強い臭気を有し、色を形成することがありえ、そして残留ヒドロキシル末端ポリマーと、アルコキシシリル基との反応を触媒することがありえる。
【0085】
モノアルカノールイソシアネート反応性掃去剤は、一般式(10)を有し、
R15-OH (10)
ここでR15は、約1から約30個の炭素原子を含む1価の炭化水素基であって、任意にてヘテロ原子を含むことがある。ヘテロ原子は、例えば、エーテル、エステル、およびケトン基のような有機官能基を形成し得る酸素であり得る。別の実施形態において、炭化水素基は、直鎖状、分岐状、およびシクロのアルキル、およびアルケニル、アリール、アレニルおよびアラルキルからなる群から選択される。
【0086】
代表的な非限定的なR15の例としては、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ドデシル、シクロヘキシル、シクロペンチル、および3-メチルヘキシル;アルケニル、例えば、ビニル、アリルおよびメタリル;アリール、例えば、フェニル;アレニル、例えば、4-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、および2,4,6-トリメチルフェニル;ならびに、アラルキル、例えば、ベンジル、および2-フェニルエチルが挙げられる。
【0087】
本発明の別の実施形態では、モノアルコールは、第1級炭素に結合したヒドロキシル基を有する。第1級炭素は、少なくとも2個の水素原子が炭素に結合しているもの、-CH2OHである。本発明のモノアルコール掃去剤は、立体障害がより少ないので、イソシアネート基との反応性がより高い。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、イソシアネート反応性掃去剤として有用なモノアルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0089】
本発明の特定の実施形態では、シリル化ポリマーの末端アルコキシシリル基がメトキシシリルである場合、特定のイソシアネート反応性掃去剤はメタノールである。本発明の別の特定の実施形態では、シリル化ポリマーの末端アルコキシシリル基がエトキシシリルである場合、特定のイソシアネート反応性掃去剤はエタノールである。
【0090】
本発明の一実施形態では、第2の中間生成物と掃去パッケージとの混合物は、未反応の反応性官能基の含有量が低減されたクエンチングされたシリル化ポリマー組成物をもたらす。例えば、特定の一実施形態では、シリル化ポリマー組成物と掃去剤または掃去パッケージとの混合物は、イソシアネート基の量を減少させる。イソシアネート基の量は、滴定などの既知の方法によって測定することができる。さらに、イソシアネート基の減少はまた、25℃ですべて測定されたとき、特に約1,000cPから約150,000cP、より具体的には約30,000cPから約75,000cP、最も具体的には約35,000cPから約65,000cPの粘度を有する組成物によって示される。一実施態様では、掃去パッケージは、少なくとも1つのC4-C7アミドまたはイソシアネート反応性モノアルコールを含む。
【0091】
1つの具体的な実施形態では、クエンチングされたシリル化ポリマーは、一般式(11)を有する新規ポリマーであり、
【化8】
A
1の各存在は、-O-、-S-および-NH-からなる群から選択される官能基であり;
A
2の各存在は、-S-、-NR
6からなる群から選択される官能基であり、ここでR
6は、水素、1から約10個の炭素原子を含むアルキル基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキル基、約7から約10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニル、および、-CH[(C=O)OR
7]CHR
8C(=O)OR
7からなる群から選択され、ここでR
7は1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり、そしてR
8は、1から約10個の炭素原子のアルキル基、約5から約10個の炭素原子のシクロアルキル基、約6から約10個の炭素原子のアリール基、約7から約10個の炭素原子のアラルキル基であり;
R
1は、約50から約4,000個の炭素原子および、-O-、-S-、-OC(=O)NH-、-R
2NC(=O)NH-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-OCHR
2O-、-C(=O)NR
2-、および-NR
2-からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機基であり、ここでR
2の各存在は、独立して、水素、1から約6個の炭素原子を含むアルキル基またはフェニル、好ましくは水素であり;
R
4は1から約10個の炭素原子を含む2価のアルキレン基、約5から約10個の炭素原子を含むシクロアルキレン基、約6から約10個の炭素原子を含むアリーレン基であり;
R
5の各存在は、1から約18個の炭素原子のアルキル基、または-R
9(OR
10)
cOR
11であり、ここでR
9は、1から約18個の炭素原子のアルキル基であり、R
10は、約2から約4個の炭素原子の2価のアルキレン基であり、そしてR
11は、約1から約10個の炭素原子のアルキル基、または-C(=O)R
12であり、ここでR
12は、水素、または1から約6個の炭素原子のアルキル基であり、そして
下付き文字a、b、cおよびhは整数であり、aが2から約5であり、bは0から約2であり、そしてcは0から約5であり、但しA
1が-O-または-S-である場合、A
2は-NH-であるという条件である。
【0092】
さらに別の実施態様では、式(11)のクエンチングされたシリル化ポリマーでは、ここでR1は、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールに由来し、より具体的には、4,000から20,000グラム/モルの数平均分子量を有するポリ(プロピレンオキシド)ジオールに由来し、さらにより具体的には、ジイソシアネート延長ポリ(プロピレンオキシド)ジオールに由来し;R4は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、または-CH2CH(CH3)CH2-であり、より具体的には-CH2CH2CH2-であり、;R5は-CH3または-CH2CH3であり;A1は-O-または-NH-であり;A2は-NR6であり、ここでR6は、水素、1から約5個の炭素原子を含むアルキル基、約5から約7個の炭素原子を含むシクロアルキル基、約7から約10個の炭素原子を含むアラルキル基、フェニル、および-CH[(C=O)OR7]CHR8C(=O)OR7からなる群から選択され、ここでR7は1から約5個の炭素原子のアルキル基であり、そしてR8は1から約10個の炭素原子のアルキル基であり、より具体的にはA2は-NH-または-NCH3-であり;そしてaは2または3、より具体的には2の整数である。
【0093】
一実施形態では、このプロセスは、シリル化ユニットに直接的にまたは間接的に接続されている(連続的に連通している)少なくとも1つの上流プロセスチャンバを含む。少なくとも1つの上流プロセスチャンバは、例えば、反応物リザーバ、反応ユニット、供給ライン、プレミキサー、熱交換器、およびそれらの様々な組み合わせを含む。
【0094】
一実施形態では、プロセスは、上流プロセスチャンバとしての鎖延長ユニットを含む。この鎖延長ユニットは鎖延長反応に使用される。鎖延長ユニットは、好ましくは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する管状反応器である。少なくとも1つの入口は、ポリオールおよび鎖延長剤を管状反応器に受け入れ、そこでそれらを混合し、反応させて、第1の中間生成物として反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーを生成する。そして、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーは、鎖延長管状反応ユニットを通り、そして鎖延長管状反応ユニットの出口を通って下流に連続的に供給される。好ましい実施形態では、鎖延長ユニットは、反応性官能基を有する鎖延長プレポリマーをシリル化ユニットに供給する。
【0095】
一実施形態では、プロセスは、上流プロセスチャンバとしてのミキサーを含む。ミキサーは、反応性官能基を有するプレポリマーを安定化パッケージと混合するために使用されるか、あるいは反応性官能基を有するプレポリマーを触媒などの他の成分と混合するために使用される。ミキサーは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを含む。プロセスが安定化剤または安定化パッケージの早期組込みを含む場合、少なくとも1つの入口はポリオールおよび安定化剤または安定化パッケージをミキサーに受け入れ、ここでそれらが混合され、そして安定化された反応性官能基を有するプレポリマーを提供する。一実施形態では、反応性官能基を有するプレポリマーは、ポリオールまたは鎖延長ポリオールである。安定化されたプレポリマーは、少なくとも1つの出口によって、シリル化ユニットおよび他の下流プロセスチャンバに向かって連続的に下流に移動させる。
【0096】
一実施形態では、プロセスは、シリル化ユニットに直接的または間接的に(連続的に連通して)接続された少なくとも1つの下流プロセスチャンバを含む。少なくとも1つの下流プロセスチャンバは、例えば、反応物リザーバ、反応ユニット、供給ライン、プレミキサー、熱交換器、貯蔵ユニット、冷却ユニット、およびそれらの様々な組み合わせを含む。
【0097】
一実施形態では、プロセスは下流プロセスチャンバとしてのクエンチングユニットを含む。クエンチングユニットは、第2の中間生成物に残存する未反応の反応性基をクエンチングするために使用される。例えば、シリル化反応が完了するまで進行しない場合、第2の中間生成物に残っている未反応の末端反応性官能基は、このクエンチングステップにおいてクエンチングされ得る。クエンチングユニットは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含む管状反応ユニットである。第2の中間生成物は、少なくとも1つの入口を介してクエンチングユニットに供給され、ここで掃去剤または掃去パッケージと反応して、第3の中間生成物としてクエンチングされたシリル化ポリマー組成物を生成する。シリル化ポリマーは、クエンチングユニットから取り出すことができ、または少なくとも1つの出口によって、貯蔵チャンバ、分析チャンバ、または冷却チャンバなどの下流プロセスチャンバに向けて移動させることができる。
【0098】
特定の実施形態では、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、
(a)少なくとも1つの安定化剤または安定化剤パッケージおよび任意にて触媒を第1の中間生成物に加えて、安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物を提供すること;
(b)ステップ(a)の安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物をシリル化ユニットに移動させること;
(c)ステップ(b)のシリル化ユニットへステップ(b)の安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物にシリル化剤を加えて、シリル化反応混合物を提供すること;
(d)ステップ(c)のシリル化反応混合物における反応性官能基を含むプレポリマー(第1の中間生成物)をシリル化剤と反応させて、任意にて部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物を提供すること;ならびに
(e)ステップ(d)から第2の中間生成物を取り出し、シリル化ポリマー組成物を提供すること、ここでシリル化ポリマー組成物は安定化され、低色および色安定性を有する、を含む。
【0099】
別の実施形態では、安定化され、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するための方法は、バッチプロセスまたは連続プロセスのいずれかである。さらに別の実施形態では、安定化され、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、各ステップ(a)から(e)が連続的に行われる連続プロセスである。さらに別の実施形態では、安定化され、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、シリル化反応がエンドキャッピング管状反応ユニットで行われる連続プロセスである。さらに別の実施形態において、このプロセスは、シリル化ユニットの上流に少なくとも1つのプロセスチャンバおよび/またはシリル化ユニットの下流に少なくとも1つのプロセスチャンバをさらに含む。
【0100】
本発明は、バックミキシングを伴わずにシリル化ポリマー組成物を製造する連続プロセスのいくつかの特定の実施形態を表す図面の記載を通じてさらに理解されるであろう。
【0101】
図1は、シリル化ポリマーを製造するための連続プロセスの一実施形態を示す。このプロセスは、バックミキシングを伴わないシリル化ステップおよび上流安定化ステップを含む。反応性官能基を含むプレポリマーを、安定化パッケージおよび触媒と混合して、安定化されたプレポリマーを提供する。シリル化ステップは、本明細書においてシリル化ユニット(30)と称される管状反応器(30)におけるエンドキャッピング反応を含む。エンドキャッピング反応において、シリル化剤および安定化された反応性官能基を有するプレポリマーは、シリル化ユニット(30)において反応して第2の中間生成物としてのシリル化ポリマー組成物を形成する。供給ライン(62)は、リザーバ(60b)からミキサー(21)へのシリル化剤の新しい流れを送る。第2の中間生成物は、他のプロセスチャンバに向けて連続的に下流へ移動される。この実施形態では、プレポリマーは、ポンプ(11)によってリザーバ(10)からミキサー(70)にポンプ輸送され、ここでリザーバ(60a)から供給ライン(61)によって送られる安定化パッケージおよび触媒と混合される。そして、混合された安定化パッケージ、触媒およびプレポリマーを熱交換器(80)に移動され、ここで混合物の温度を所定の温度に調整され、そして第2のミキサー(21)に移動されて、ここでシリル化剤と混合される。シリル化ポリマー組成物は、そして、熱交換器(51)へとシリル化ユニット(30)の下流に移動され、ここで温度が所定の温度に調整され、そして貯蔵容器(90)に向かって下流に移動される。
【0102】
別の実施形態では、
図2に示すように、このプロセスは、シリル化ステップおよび上流安定化ステップを含む。シリル化ステップは、シリル化反応を含み、この反応は、可変直径反応器チャンバ(31)に連結された反応器チャンバ(30)を有する管状反応器において行われる。シリル化剤および反応性官能基を有する安定化プレポリマーをシリル化ユニット(30)において反応させて第2の中間生成物としてシリル化ポリマー組成物を形成する。供給ライン(62)は、リザーバ(60b)からミキサー(21)へのシリル化剤の新しい流れを送る。第2の中間生成物は、他のプロセスチャンバに向けて連続的に下流に移動される。この実施形態では、プレポリマーは、ポンプ(11)によってリザーバ(10)からミキサー(70)にポンプ輸送され、ここでリザーバ(60a)から供給ライン(61)によって送られる安定化パッケージおよび触媒と混合される。そして混合された安定化パッケージ、触媒およびプレポリマーを熱交換器(80)に移動させ、ここで混合物の温度を所定の温度に調整し、そしてシリル化ポリマー組成物を生成するシリル化ユニット(30)に送られる前に可変直径管状シリル化ユニット(31)に移動させる。シリル化ポリマー組成物は、熱交換器(51)へとシリル化ユニット(30)の下流に移動され、ここで温度が所定の温度に調整され、そして貯蔵容器(90)に向かって下流に移動される。
【0103】
別の特定の実施形態では、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、
(a)少なくとも1つの安定化剤または安定化剤パッケージおよび任意にて触媒を第1の中間生成物に加え、安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物を提供すること;
(b)ステップ(a)の安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物をシリル化ユニットに移動させること;
(c)ステップ(b)のシリル化ユニットへステップ(b)の安定化された反応性官能基を含むプレポリマー混合物にシリル化剤を加えて、シリル化反応混合物を提供すること;
(d)反応性官能基を含むプレポリマー(第1の中間生成物)を、ステップ(c)のシリル化反応混合物に存在するシリル化剤と反応させて部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物を提供すること;
(d.1)ステップ(d)の部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物の少なくとも一部をクエンチングユニットに移動させること;
(d.2)ステップ(d.1)の部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物を含有するクエンチングユニットに掃去剤または掃去パッケージを加えてクエンチング混合物を提供すること;
(d.3)少なくとも1つの掃去剤を、ステップ(d.2)のクエンチング反応混合物に存在する部分的シリル化ポリマーとクエンチングユニットにおいて反応させてシリル化ポリマー組成物を生成すること;
(e)ステップ(d.3)のクエンチングユニットからのシリル化ポリマー組成物を取り出して、シリル化ポリマー組成物を提供すること、ここでシリル化ポリマー組成物は安定化およびクエンチングされ、低色および色安定性を有する、を含む。
【0104】
別の実施形態において、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、シリル化ステップ、上流安定化ステップ、および下流クエンチングステップを含む。このプロセスによって生成されるシリル化ポリマー組成物は低色および色安定性を有し、バッチプロセスまたは連続プロセスによって生成される。一実施形態では、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、ステップ(a)から(e)に記載されるような連続プロセスである。安定化およびクエンチングされ、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、シリル化反応がエンドキャッピング管状反応ユニットで行われ、クエンチング反応が下流クエンチング管状反応ユニットで行われる連続プロセスである。さらに別の実施形態では、このプロセスは、シリル化ユニットの上流に少なくとも1つのプロセスチャンバおよび/またはクエンチングユニットの下流に少なくとも1つの他のプロセスチャンバをさらに含む。
【0105】
図3は、シリル化ポリマーを製造するための連続プロセスの一実施形態を示す。このプロセスは、バックミキシングを伴わないシリル化ステップ、上流安定化ステップ、および下流クエンチングステップを含む。安定化ステップでは、反応性官能基を含むプレポリマーを安定化パッケージおよび触媒と混合して、安定化されたプレポリマーを提供する。シリル化ステップは、本明細書においてシリル化ユニット(30)と称される管状反応器(30)におけるエンドキャッピング反応を含む。シリル化剤および安定化された反応性官能基を有するプレポリマーはシリル化ユニット(30)において反応して第2の中間生成物としてのシリル化ポリマー組成物を形成する。供給ライン(62)は、リザーバ(60b)からミキサー(21)へのシリル化剤の新しい流れを送る。第2の中間生成物は、の他のプロセスチャンバに向けて連続的に下流に移動される。この実施形態では、プレポリマーは、ポンプ(11)によってリザーバ(10)からミキサー(70)にポンプ輸送され、ここでリザーバ(60a)から供給ライン(61)によって送られる安定化パッケージおよび触媒と混合される。そして、混合された安定化パッケージ、触媒およびプレポリマーは、熱交換器(80)に移動され、ここで混合物の温度を所定の温度に調整して、そして第2のミキサー(21)に移動され、ここでシリル化ユニット(30)に送られる前にシリル化剤と混合してシリル化ポリマー組成物を生成する。シリル化ポリマー組成物は、そしてミキサーまたは供給ラインへとシリル化ユニット(30)の下流に移動され、そこで掃去パッケージがリザーバー(60c)から供給ラインを通してミキサーに移送される。ミキサーは、掃去剤を部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物と混合し、そしてクエンチングユニット(40)の混合物を移送し、ここで掃去剤は部分的シリル化ポリマーと反応して第3の中間生成物を生成し、これは任意にて冷却され、そして貯蔵容器(90)に向かって下流に移動される。
【0106】
さらに別の特定の実施形態では、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、
a)重量パーセントがポリオールの重量に基づいた、約0.001から約5重量%、より具体的には約0.1から約2重量%、さらにより具体的には約0.5から約1重量%の立体障害フェノール、および約0.001から約5重量%、より具体的には約0.1から約2重量%、さらにより具体的には約0.5から約1重量%のホスファイト安定化剤を含む、約4,000グラム/モルから約20,000グラム/モルの分子量を有するポリ(プロピレンオキシド)ジオールを連続的に混合して、安定化されたポリオール混合物を形成すること、
b)鎖延長ユニットに安定化されたポリオール混合物およびジイソシアネート鎖延長剤を連続的に加えて鎖延長反応混合物を形成すること、ここでジイソシアネート鎖延長剤は、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、または1,3-ビス-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、またはこれらの混合物からなる群から選択され、
c)ジイソシアネート鎖延長剤を、ステップb)の鎖延長反応混合物に存在するポリ(プロピレンオキシド)ジオールと約85℃から約180℃の温度で連続的に反応させて末端反応性官能基を含む鎖延長プレポリマーを形成すること;
d)鎖延長プレポリマーおよびアミノシランまたはイソシアナートシランをシリル化ユニットに連続的に加えて、シリル化反応混合物を形成すること;
e)鎖延長プレポリマーをアミノシランまたはイソシアナートシランと約85℃から約180℃の温度で連続的に反応させて、シリル化ポリマーを含むシリル化ポリマー組成物を形成すること;
f)シリル化ポリマー組成物からシリル化ポリマーを連続的に取り出すこと、を含む。
【0107】
任意にて、このプロセスは、ステップ(e-1)および(e-2)をさらに含む。ステップ(e-1)において、ステップe)のシリル化ポリマー組成物および掃去剤または掃去パッケージは、クエンチング混合物を形成するためにクエンチングユニットに連続的に移動され、クエンチング混合物を形成し、そしてステップ(e-2)において、掃去剤または掃去パッケージをシリル化ポリマー組成物と連続的に反応させて、シリル化ポリマー組成物における未反応の反応性官能基の量を減少させる。
【0108】
このプロセスから製造されたシリル化ポリマーは、安定化され、クエンチングされ、そして低色および色安定性を有する。
【0109】
別の実施形態では、安定化され、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するプロセスは、バッチプロセスまたは連続プロセスのいずれかである。さらに別の実施形態において、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、ステップ(a)から(f)に記載されるような連続プロセスである。安定化され、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、シリル化反応がエンドキャッピング管状反応ユニットで行われる連続プロセスである。さらに別の実施形態では、このプロセスは、鎖延長反応ユニットの上流に少なくとも1つのプロセスチャンバおよび/またはシリル化ユニットの下流に少なくとも1つの他のプロセスチャンバをさらに含む。
【0110】
一実施形態では、
図4に示すように、このプロセスは、シリル化ステップおよびシリル化ステップの上流の安定化ステップを含む。このプロセスはまた、ポリオールを鎖延長剤と反応させて、末端反応性官能基を有する鎖延長ポリマーを提供する鎖延長反応を含む上流鎖延長ステップを含む。安定化ステップでは、第1の供給ライン(61)がリザーバ(60a)からの触媒およびリザーバ(60a)から安定化剤の流れを第1のミキサー(70)に送り、ここでこれらはポリオールと混合される。この混合物は下流の熱交換器(80)に移動され、混合物の温度を調整し、それが管状鎖延長反応器ユニット(20)に送られる前にプレミキサー(21)へと下流に移動する。鎖延長剤であるポリイソシアネートもまた、この鎖延長ユニット(20)に移動され、ここでポリオールと反応して鎖延長ポリマーを生成する。そして鎖延長ポリマーは、シリル化ユニット(30)に向かって下流に移動され、そこでシリル化反応を受けてシリル化ポリマー組成物を生成する。そしてシリル化ポリマー組成物は、冷却ユニット(51)または貯蔵ユニット(90)に向けて下流に移動される。このポリマーは末端反応性官能基を含む。この安定化ステップは、最終的に生成された低減された変色を伴うシリル化ポリマーおよび低減した変色を伴うプロセスに沿った中間生成物を生じる。シリル化ポリマーが経時的にエージングするにつれて変色も減少される。
【0111】
さらに別の特定の実施形態では、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、
(a)少なくとも1つの安定化剤または安定化剤パッケージおよび任意にて触媒をポリオールに加えて安定化されたポリオール混合物を形成すること;
(b)ステップ(a)の安定化されたポリオール混合物を鎖延長ユニットに移動させること;
(c)鎖延長剤をステップ(b)の鎖延長ユニットに加えて鎖延長反応混合物を形成すること;
(d)鎖伸長剤をステップ(c)の鎖延長反応混合物に存在するポリオールと反応させ、反応性官能基を有する安定化されたプレポリマーを含む第1の中間生成物混合物を形成すること;
(e)ステップ(d)の第1の中間生成物混合物をシリル化ユニットに移動させること;
(f)シリル化剤を第1の中間生成物を有するステップ(e)のシリル化ユニットに加えて、それらを混合させてシリル化反応混合物を提供すること;
(g)反応性官能基を含むプレポリマーを、ステップ(g)のシリル化反応混合物に存在するシリル化剤と反応させて、部分的シリル化ポリマーを含む第2の中間生成物を提供すること;
(h)ステップ(g)の第2の中間生成物の少なくとも一部をクエンチングユニットに移動させること;
(i)掃去剤または掃去パッケージをステップ(h)における第2の中間生成物を含むクエンチングユニットに加えてクエンチング混合物を提供すること;
(j)少なくとも1つの掃去剤または掃去パッケージを、クエンチングユニットにおけるステップ(i)のクエンチング反応混合物に存在するシリル化ポリマー組成物と反応させて、未反応の反応性官能基の量が減少したクエンチングされたシリル化ポリマー組成物を生成すること;
(k)シリル化ポリマー組成物をステップ(j)のクエンチングユニットから取り出してシリル化ポリマーを提供すること、ここでシリル化ポリマーは安定化され、クエンチングされ、低色および色安定性を有する、を含む。
【0112】
別の実施形態において、シリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、シリル化ステップ、上流安定化ステップおよび下流クエンチングステップを含む。このプロセスは、バッチプロセスまたは連続プロセスのいずれかであり得、低色および色安定性を有するシリル化ポリマーを生成する。安定化およびクエンチングされ、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、ステップ(a)から(k)に記載されるような連続プロセスである。さらに別の実施形態では、安定化およびクエンチングされ、低色および色安定性を有するシリル化ポリマー組成物を調製するためのプロセスは、連続プロセスである。シリル化ユニットはエンドキャッピング管状反応ユニットであり、クエンチングユニットはクエンチング管状反応ユニットである。さらに別の実施形態では、プロセスは、鎖延長ユニットの上流に少なくとも1つのプロセスチャンバおよび/またはクエンチング反応ユニットの下流に少なくとも1つの他のチャンバをさらに含む。
【0113】
一実施形態では、
図5に示すように、このプロセスは、シリル化ステップ、上流鎖延長ステップ、および上流安定化ステップを含み、ここで安定化ステップは鎖延長ステップおよびシリル化ステップの上流である。鎖延長ステップは、ポリオールを鎖延長剤と反応させて末端反応性官能基を有する鎖延長ポリマーを提供する鎖延長反応を含む。安定化ステップでは、第1の供給ライン(61)は、リザーバ(60a)からの触媒およびリザーバ(60a)からの安定化剤の流れを第1のミキサー(70)へ送り、ここでそれらはポリオールと混合される。この混合物は下流の熱交換器(80)に移動され、混合物の温度を調整し、そしてポリオールを管状鎖延長反応器ユニット(20)へと下流へ移動させる。鎖延長剤であるポリイソシアネートもまたこの鎖延長ユニット(20)に移動され、ここでポリオールと反応して鎖延長ポリマーを生成する。このポリマーは末端反応性官能基を含む。そして、安定化され鎖延長されたポリマー組成物である第1の中間生成物は、シリル化ユニット(30)に向けて下流に移動される。シリル化ユニット(30)におけるシリル化反応は、シリル化ポリマー組成物を生成する。
【0114】
シリル化ステップの後に下流のクエンチングステップが続く。シリル化ポリマー組成物は、シリル化ユニット(30)から管状クエンチングユニットに向けて下流に移動され、ここでシリル化ポリマー組成物はクエンチングステップでクエンチングされる。クエンチングステップでは、少なくとも1つの掃去剤を含む掃去パッケージが、リザーバ(60c)からクエンチングユニットへと移動される。掃去パッケージをシリル化ポリマー組成物と混合し、そして組成物中の未反応の反応性官能基の量が所定のレベルに達するまで反応させる。クエンチング後、シリル化ポリマー組成物は冷却ユニット(51)に向けて下流に移動され、そしてユニット(90)の出口に移動される。シリル化ポリマーは、シリル化ポリマー組成物から既知の単離法によって得られる。この安定化ステップは、最終的に生成された低減された変色を伴うシリル化ポリマーおよび低減された変色を伴うプロセスに沿った中間生成物を生じる。シリル化ポリマーが経時的にエージングするにつれて変色も減少する。クエンチングステップは、未反応の官能基を掃去剤と反応させる。
【0115】
一実施形態では、プロセスはエンドキャッピングユニットを含む。任意の上流プロセスチャンバは、例えば、エンドキャッピングユニットの上流にある、エンドキャッピングユニットのプレミキサーの上流にある、鎖延長ユニットの上流にある、鎖延長ユニットのプレミキサーの上流にある、熱交換器ユニットの上流の混合チャンバを含む。任意の下流プロセスチャンバは、例えば、貯蔵ユニットの上流にある、少なくとも1つの分析ユニットの上流にある、少なくとも1つの冷却ユニットの上流にある、クエンチングユニットの上流にある、クエンチングユニットのプレミキサーを含む。存在する場合、これらの反応チャンバは、互いに、および供給ラインを介して反応物リザーバと流体接触(連通)している。1つの上流の反応チャンバからの生成物は、別のプロセスチャンバに向かって下流に連通される。供給ラインは、プロセスチャンバの入口にて、またはプロセスチャンバの入口とプロセスチャンバの出口との間のある中間位置にて、様々なプロセスチャンバに反応物の供給流を送る。反応ユニットにおける反応物は、反応生成物が生成され、反応ユニットの出口に移動されるように、加熱され、混合され、反応時間が提供され、またはそれらの任意の組み合わせがなされる。
【0116】
プロセスチャンバおよび反応物リザーバは、上記段落では任意であると記載されているが、好ましい実施形態では、任意のプロセスチャンバの少なくとも1つが存在し、反応物リザーバの少なくとも1つが存在する。別の実施形態では、少なくとも1つの反応チャンバがエンドキャップユニットの上流にあり、少なくとも1つの反応チャンバがエンドキャッピングユニットの下流に存在する。
【0117】
種々の反応チャンバで起こる様々な反応において、反応物は、混合され、加熱され、反応され、またはそれらの任意の組み合わせである。例えば、第1の中間生成物およびシリル化剤は、エンドキャッピングユニットにおいて混合され、加熱され、そして反応されて第2の中間生成物を提供する。
【0118】
本明細書において反応ユニットについてなされる言及は、当業者に公知の反応器を包含する。このプロセスで使用される反応ユニットは、反応ユニットが動作する条件、流量、温度、反応速度、反応物、または圧力などの種類に依存する。一実施形態では、反応ユニットは、内部スタティックミキサーを有する管状反応器である。反応器の長さ対直径の比(L/D)は、典型的には約10:1から約50:1の範囲であるが、この範囲外の比を適切な場合に使用することができる。一実施形態では、反応は、典型的には約200℃までの温度で行われる。別の実施形態において、反応温度は、約80℃から約170℃の範囲であり得る。さらに別の実施形態において、反応温度は、約120℃から約150℃の範囲であり得る。反応物は、反応チャンバを通して直線的に移動される。管状反応器における反応物の滞留時間は典型的には約120分まででありえるが、任意の適切な滞留時間を選択することができる。
【0119】
連続プロセスとして、1より多くのプロセスチャンバが使用されるが、それらはすべて管状反応器であってもよいが、寸法は異なる場合がある。しかしながら、好ましい実施形態では、反応ユニットは管状反応ユニットである。いくつかの実施形態では、単一の管状反応器は、流速および滞留時間、したがって反応速度論を所望通りに操作できるように、変化する直径を有することができる。例えば、特定の一実施形態では、エンドキャッピングユニットは、ユニット内の所望の流速または滞留時間に対応する直径または最終シリル化ポリマーの所望の特性に応じて変化する可変直径部分を有する管状反応器である。
【0120】
このプロセスは連続プロセスであり、エンドキャッピングユニットの上流および下流の反応ユニットは任意でありえることは、本開示の範囲内であると考えられるが、延長ユニットが、エンドキャッピング管状反応ユニットの上流に存在し、2つのユニットの間に流体連通があるように、エンドキャッピング管状反応ユニットと直接的に又はラインによって接続されることが好ましい。鎖延長反応により延長ユニットにおいて形成された鎖延長ポリオールは、第1の中間生成物としてのエンドキャッピング管状反応ユニットに連続プロセスによって送られる。
【0121】
鎖延長反応を実施するための適切な鎖延長ユニットは、当業者には容易に明らかであろうが、延長ユニットが、例えば、本明細書に記載の上流入口と下流出口を備えた管状反応器であることが本明細書において考えられる。一実施形態では、ポリオールは、手動または自動または上流プロセスチャンバの出口などの配送手段によって延長ユニットに送られまたは供給される。鎖延長剤は同様に、手動または自動によって、または上流プロセスチャンバの出口もしくは上流リザーバからの配送手段によって延長ユニットに送られまたは供給される。ポリオールおよび鎖延長剤は、同時に、または交代に、延長ユニットに供給されてもよいが、より高い質量を有する反応物が最初に供給されることが好ましい。ポリオールと鎖伸長剤とを延長ユニットにおいて混合して反応させて、反応性官能基を有するプレポリマー、特に鎖延長ポリオールを第1の中間生成物として生成する。
【0122】
反応性官能基を有するプレポリマーがポリオールである実施形態では、ポリオールの延長が必要とされないので、延長ユニットは任意である。
【0123】
追加の成分もまた、バックミキシングを伴うシリル化ポリマーを調製するための連続プロセスへ添加することが考えられる。適切な追加の成分は、本明細書に記載されている。例えば、追加の成分としては、触媒、可塑剤、着色剤、安定化剤、酸化防止剤、チキソトロープ剤、充填剤などの少なくとも1つが挙げられる。追加の成分は、連続プロセスの間に、または接着剤、コーティングなどへの組み込みの最後、前、または後に添加されてもよい。例えば、一実施形態では、安定化剤、触媒またはそれらの混合物が連続プロセスに含まれる。
【0124】
プロセスが追加の成分を含む場合、追加の成分は、連続プロセスに沿って異なるステップで追加されてもよい。例えば、一実施形態では、1つの安定化剤がミキサーに加えられ、別の1つが鎖延長ユニットのプレミキサーに加えられる。触媒、可塑剤、着色剤、安定化剤、酸化防止剤、チキソトロープ剤、充填剤などは、個々に添加してもよいし、プロセスの同じ段階または別個の段階に混合してもよい。複数の安定化剤などの追加の成分を混合してシリル化反応ユニットの上流または下流の様々な反応ユニットに、またはシリル化ユニットに添加する。
【0125】
一実施形態では、シリル化ポリマーを調製するためのプロセスは、触媒、可塑剤、着色剤、安定化剤、チキソトロープ剤、充填剤などのさらなる成分を組み込むことを含む。例示的な可塑剤には、フタレート、ジプロピレンおよびジエチレングリコールジベンゾエートならびにそれらの混合物、エポキシ化大豆油などが含まれる。ジオクチルおよびジイソデシルフタレートの有用な供給源には、Exxon Chemicalからの商品名「Jayflex DOP」および「Jayflex DIDP」で入手可能なものが含まれる。ジベンゾエートは、Velsicol Chemical Corporationから「Benzoflex 9-88」、「Benzoflex 50」および「Benzoflex 400」として入手可能である。可塑剤は、典型的には、湿気硬化性シリル化ポリマー100部当たり100部までを含み、40から80部が好ましい。
【0126】
典型的な充填剤には、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、クレー、アルミナ、アルミノシリケートおよびカルシウムカーボネートのような強化充填剤が含まれる。配合物の物理的強度をさらに向上させるために、補強用カーボンブラックを主充填剤として使用することができ、黒色系が得られる。「Corax」製品(Degussa)のような、本発明に有用ないくつかの市販級のカーボンブラックが利用可能である。半透明の配合物を得るためには、カーボンブラックを含まずに、主充填剤として、より高いレベルのヒュームドシリカまたは沈降シリカを使用すべきである。
【0127】
0.07ミクロンから4ミクロンの粒径を有する処理炭酸カルシウムが好ましい充填剤であり、以下のようないくつかの商標名で入手可能である:Specialty Mineralsからの「Ultra Pflex」および「Hi Pflex」; Zeneca Resinsからの「Winnofil SPM」および「Winnofil SPT」、Huberからの「Hubercarb 1Qt」、「Hubercarb 3Qt」および「Hubercarb W」ならびにECCからの「Kotomite」。これらの充填剤は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。充填剤は、一般にシリル化ポリマー100部当たり300部までを含み、80から150部がより好ましい充填レベルである。
【0128】
触媒は一般に、ポリオールと鎖延長剤との間の反応速度を増加させて第1の中間生成物を生成するために添加される。例えば、一実施形態では、触媒を加えてポリオールとポリイソシアネートとの間の反応を増加させて、ヒドロキシル基またはイソシアネートの末端反応性基を有するポリウレタンプレポリマーの第1の中間生成物を生成する。いくつかの適切な触媒は、ジアルキルスズジカルボキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズアセテート、第3級アミン、カルボン酸の第1スズ塩、例えば、第1スズオクトエートおよび第1スズアセテートなどである。
【0129】
第1の中間体生成物の調製において典型的に使用される触媒はまた、第1の中間体生成物とシリル化剤との反応を触媒するために使用され得る。好適な触媒には、金属および非金属触媒が含まれる。本発明に有用な金属縮合触媒の金属部分の例には、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマスおよび亜鉛化合物が含まれる。第1または第2の中間生成物を製造するために使用される触媒の他の適切な非限定的な例は、当該技術分野において周知であり、Al、Be、Mg、Zn、Cd、Pb、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Niなどの様々な金属およびMoO2++、UO2++などの金属酸化物イオンを伴う、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、サリチルアルデヒド、シクロペンタノン-2-カルボキシレート、アセチルアセトンイミン、ビスアセチルアセトン-アルキレンジイミン、サリチルアルデヒドイミンなどから得られるものなどの各種金属のキレート、Ti(OR)4、Sn(OR)4、Sn(OR)2、Al(OR)3、Bi(OR)3などの種々の金属のアルコラートおよびフェノレート、ここでRは1から約18個の炭素原子のアルキルまたはアリールであり、および、カルボン酸、β-ジケトンおよび2-(N,N-ジアルキルアミノ)アルカノールとの種々の金属のアルコラートとの反応生成物、例えばこの周知または同等の手順によって得られるチタンの周知のキレートが含まれる。さらなる触媒としては、4価のスズ、3価および5価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、および鉄およびコバルトの金属カルボニル、およびそれらの組み合わせを含む。特定の一実施形態では、カルボン酸のジアルキルスズ塩である有機スズ化合物としては、非限定的な例として、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズビス(4-メチルアミノベンゾエート)、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズ-ビス(6-メチルアミノカプロエート)など、およびこれらの組合せが挙げられる。同様に、別の具体的な実施形態では、トリアルキルスズヒドロキシド、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジアルコキシド、またはジアルキルスズジクロライドおよびそれらの組み合わせを使用することができる。これらの化合物の非限定的な例としては、トリメチルスズヒドロキシド、トリブチルスズヒドロキシド、トリオクチルスズヒドロキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジラウリルスズオキシド、ジブチルスズ-ビス(イソプロポキシド)、ジブチルスズ-ビス(2-ジメチルアミノペンチレート)、ジブチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリドなど、およびこれらの組合せが挙げられる。例えば、一実施形態では、ヒドロキシルである末端反応性基を有するポリウレタンプレポリマーの第1の中間生成物を、Sn金属触媒のような触媒の存在下でイソシアナートシランと反応させてシリル化ポリウレタン組成物である第2の中間生成物を形成する。
【0130】
一実施形態では、触媒の量は、反応性官能基を含有するプレポリマーの重量に基づいて、0.01から5重量%、より具体的には0.1から2重量%、さらにより具体的には0.15から1重量%である。
【0131】
さらなる安定化剤および抗酸化剤もまた、プロセスに添加され得るさらなる成分として考えられる。UV安定化剤および/または酸化防止剤は、湿気硬化性シリル化ポリマー100部当たり0.0001から5部の量で本発明のシーラントまたは接着剤配合物中に組み込むことができ、0.5から2部が好ましい。安定化剤はシーラントまたは接着剤に組み込むことができるが、シリル化ポリマーの生成プロセスのステップの少なくとも1つに安定化剤を添加することも考えられる。
【0132】
本発明は、シリル化ポリマーを生成するプロセスのいくつかの具体的な実施形態を表す図面の記載を通してさらに理解されるであろう。このプロセスは、一実施形態では、本質的に、シリル化ポリマー組成物を生成するためのバックミキシングを伴わないシリル化ステップ、および安定化ステップおよびクエンチングステップの少なくとも1つからなる。
【0133】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに記載して開示する。
【実施例】
【0134】
実施例1
ε-カプロラクタム掃去剤を使用した湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの調製のためのバッチプロセス
4つ首の樹脂ケトルに、400グラムのポリオール予乾燥ポリプロピレンオキシドジオール(HMBT-80、Zhejiang Huangma Chemical製)をフェノール系安定化剤(2gのIrganox 1135、BASF製)と共に充填した。ケトルを攪拌しながら80℃に加熱し、N2で覆った。ケトルに、Sn金属触媒を添加した(10ppmのSnはFomrez SUL-4から計算、Momentive Performance Materials, Inc製)。10分間混合した後、鎖延長剤であるイソホロンジイソシアネート(5.18gのIPDI、Bayer製)をケトルに加えた。滴定によってモニターされたNCOが検出されなくなるまで(0%近傍に達するまで)反応を83℃で維持し、そして3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(11.64gのSilquest A-Link35、Momentive Performance Materials, Inc.から入手)をケトルに加えた。NCO含量が約0.04%(滴定によって測定)になるまで、反応混合物を80℃に維持した。そして掃去パッケージをケトルに加えた。
【0135】
掃去パッケージは、ε-カプロラクタム(0.5グラム、SigmaAldrichから入手)およびビニルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc製のSilquest A-171シランとして得られた3.3グラム)から製造された予め溶融したクエンチ溶液であった。混合物を熱/磁気攪拌プレート上で溶融させた。
【0136】
温度をさらに30分間80℃に維持し、そしてケトルを冷却し、ポリマーを排出した。最終生成物は、FTIRによって測定した場合、検出可能なNCO含量を含まない。硬化した生成物は、破断点の引張強さが95psi、伸長が164%、伸長100%で弾性率が70psi、ショアA硬度が22を有する。
【0137】
ε-カプロラクタムは室温で固体であり、連続ユニットに容易に取り込まれない。0.5gのε-カプロラクタムおよび3.3gのビニルトリメトキシシランの予め溶融したクエンチ溶液は、室温で静置するとε-カプロラクタムを沈殿させた。ε-カプロラクタムの結晶化を克服するために、ε-カプロラクタム、2-ピロリドンおよびビニルトリメトキシシランの混合物からなる一連の掃去パッケージが作られた。これらの一連の掃去パッケージを、23℃で1日および0℃で5時間の安定性について評価した。2-ピロリドンは、ε-カプロラクタムの結晶化を遮り、液体掃去パッケージを提供することができる。これら掃去パッケージの安定性を表1に示す。ε-カプロラクタムおよび2-ピロリドンの混合物を使用する掃去パッケージは、クエンチングの反応速度論(NCO基と2-ピロリドンとの反応がε-カプロラクタムより遅い)および混和性の良好なバランスを提供するアプローチであった。
【0138】
実施例2
バッチプロセス、フェノール系安定化剤、ならびにε-カプロラクタムおよび2-ピロリドン掃去剤を用いた湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの調製
4つ首の樹脂ケトルに、予乾燥ポリプロピレンオキシドジオール(400gのHMBT-120、Zhejiang Huangma Chemical製)をフェノール系安定化剤(2gのIrganox 1135、BASF製)とともに充填した。ケトルを撹拌しながら80℃に加熱し、N2で覆った。ケトルに、Sn金属触媒を加えた(10ppmのSnはFomrez SUL-4から計算、Momentive Performance Materials, Inc.製)。10分間混合した後、鎖延長剤(4.08グラムのIPDI)をケトルに加えた。滴定によってモニターされるNCOが約0%に達するまで反応を83℃に維持し、そして11.64gの3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc.製のSilquest A-Link 35として得られた11.64g)をケトルに加え、NCO含量が約0.04%(滴定による)になるまで、反応を80℃で維持した。そして、予め溶融したクエンチ溶液をケトルに加えた。温度をさらに30分間80℃に維持し、ついでケトルを冷却し、ポリマーを排出した。翌日、粘度は25℃で56,000cPと測定され、残りのNCOはFTIRによる測定でゼロであった。
【0139】
この実験で使用した掃去パッケージは、ビニルトリメトキシシラン(Silquest A-171シランとして得られた7.2g、1.84gのε-カプロラクタムおよび0.56gの2-ピロリドン)の混合物であった。ε-カプロラクタムは、ビニルトリメトキシシランおよび2-ピロリドンと混合する前に、80℃のオーブン中で溶融させた。機械的特性を表2に示す。
【0140】
実施例3
フェノール系安定化剤およびε-カプロラクタムおよびメタノール掃去剤による湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーのバッチ調製
4つ首の樹脂ケトルに、予乾燥HMBT-120(400グラムのZhejiang Huangma Chemical)をフェノール系安定化剤(2グラムのIrganox 1135)と共に充填した。ケトルを攪拌しながら80℃に加熱し、N
2で覆った。ケトルにSn金属触媒を添加した(10ppmのSnはFomrez SUL-4から計算、Momentive Performance Materials, Inc.製)。10分間混合した後、鎖延長剤(4.08グラムのIPDI)をケトルに加えた。滴定によってモニターされたNCOが0%近傍に達するまで反応を83℃に維持し、そして3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(11.64グラムのSilquest A-Link 35)を添加し、NCO含量が約0.04%(滴定による)になるまで80℃で反応を続けた。掃去パッケージ(7.2グラムのSilquest A-171シランおよび2グラムのメタノール)を添加した。反応混合物を室温まで冷却して排出した。翌日、粘度は25℃で66,000cPと測定され、残存%NCOはFTIRで測定してゼロであった。機械的特性を表2に示す。
【0141】
実施例4
フェノール系およびホスファイト系安定化剤およびメタノール掃去剤による湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーのバッチ調製
オーバーヘッド機械式撹拌器、窒素ライン、ストッパーおよびサーモカップルを備えた4つ口の500mL丸底フラスコに、ポリオールポリ(プロピレンオキシド)ジオール(309.6gのHMBT-120、Zhejiang Huangma Chemical)、ヒンダードフェノール系安定化剤(BASFから入手した1.58gのIrganox1135)およびホスファイト安定化剤であるトリイソデシルホスファイト(Dover Chemicalから入手した1.59gのDoverphos 6)を充填した。この混合物を、約180分間加熱マントルを用いて80℃に加熱しながら窒素をスパージして乾燥させた。(ホスファイトがカールフィッシャー滴定水測定に干渉するため、含水量を測定することはできなかった。)混合物を窒素ブランケット下で72℃に冷却した。ジブチルスズジラウレートの溶液(トルエン中の(Momentive Performance Materials, Inc.から入手した)Fomrez SUL-4の10重量%の225μL)を充填して、25分間混合した。鎖延長剤であるイソホロンジイソシアネート(3.18gのDesmodur I、Bayer)を充填し、混合物の粘度が25℃で31500cPになるまで57分間加熱し、そしてシリル化剤、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc.から入手した6.39gのSilquest* A-Link 35)を加えた。さらに230分後、混合物は61100cPの粘度を有し、その時点で掃去パッケージ(Momentive Performance Materials, Inc.から入手したビニルトリメトキシシラン、Silquest* A-171シランおよびメタノール(5.7重量%のメタノール)の混合物6.42g)を充填した。そして、反応混合物をゆっくりと冷却させた。最終生成物粘度は25℃で52800cPであり、生成物は14Pt-Coの色を有していた。生成物のサンプルを80℃で4日間加熱し、加熱後、ポリマーは22Pt-Coの色を有していた。
【0142】
実施例5
フェノール系およびホスファイト安定化剤およびε-カプロラクタムおよび2-ピロリドン掃去剤を用いて湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーを調製するためのバッチプロセス
オーバーヘッド機械式撹拌器、窒素ライン、ストッパーおよびサーモカップルを備えた4つ口の500mL丸底フラスコに、ポリオールポリ(プロピレンオキシド)ジオール(350.2グラムのZhejiang Huangma Chemicalから入手したHMBT-120)、ヒンダードフェノール安定化剤(1.83グラムのBASFから入手したIrganox 1135)およびホスファイト安定化剤トリイソデシルホスファイト(1.95グラムのDover Chemicalから入手したDoverphos 6)を充填した。この混合物を約150分間加熱マントルで80℃に加熱しながら窒素をスパージして乾燥させた。(ホスファイトがカールフィッシャー滴定水測定に干渉するため、含水量を測定することはできなかった。)混合物の色は10Pt-Coであった。混合物を窒素ブランケット下で150℃に加熱した。触媒の溶液(トルエン中、215μLの10重量%のジブチルスズジラウレート、Fomrez SUL-4、Momentive Performance Materials)を130℃で充填し、15分間混合した。混合物を150℃に加熱しながら、鎖延長剤であるイソホロンジイソシアネート(3.09gのBayerから入手したDesmodur I)を充填し、混合物の粘度が25℃で77200cPになるまで99分間反応させた。反応混合物を94分かけて80℃に冷却した。反応混合物の粘度は85500cPであり、色は16Pt-Coであった。シリル化剤、3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(6.80gのMomentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest* A-Link 35シラン)を加えた。さらに101分間反応させた後、混合物の粘度は95300cPであり、色は18Pt-Coであった。掃去パッケージ(ビニルトリメトキシシラン78.9重量部、ε-カプロラクタム16.6重量部および2-ピロリドン4.5重量部からなる溶液7.96g)を充填した。混合物をゆっくりと冷却した。最終生成物の粘度は25℃で83500cPであり、生成物の色は21Pt-Coであった。生成物のサンプルを80℃で4日間加熱した後、30Pt-Coの色を有した。
【0143】
実施例6
ヒンダードフェノール安定化剤とメタノール掃去剤を用いた湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの調製のためのバッチプロセス
オーバーヘッド機械式撹拌器、窒素ライン、ストッパーおよびサーモカップルを備えた4つ口の500mL丸底フラスコに、ポリオールポリ(プロピレンオキシド)ジオール(328.6gのZhejiang Huangma Chemicalから入手したHMBT-120)およびヒンダードフェノール系安定化剤(1.66gのBASFから入手したIrganox 1135)を充填した。混合物を加熱マントルで約60分間80℃に加熱しながら38ppmの含水量まで窒素をスパージすることによって乾燥させた。混合物を窒素ブランケット下で72℃に冷却した。触媒の溶液(トルエン中、240μLの10重量%のジブチルスズジラウレート、Fomrez SUL-4)を充填し、約10分間混合した。鎖延長剤であるイソホロンジイソシアネート(3.33gのBayerから入手したDesmodur I)を充填し、混合物が0.04%イソシアネート(NCOとして)を含有し、混合物の粘度が25℃で33400cPになるまで反応混合物を79分間加熱した。シリル化剤、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(6.66gのMomentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest* A-Link 35シラン)を添加した。温度を85℃に上昇させた。混合物が0.04%のイソシアネートを含有し、61800cPの粘度を有するとき、掃去パッケージ(ビニルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest* A-171シラン)とメタノール(5.7重量%メタノール)との混合物6.56グラム)を充填した。混合物をゆっくりと冷却した。最終生成物の粘度は25℃で55200cPであり、生成物は25Pt-Coの色を有していた。生成物のサンプルを80℃で4日間加熱した後、61Pt-Coの色を有した。
【0144】
実施例7
ヒンダードフェノール安定化剤およびε-カプロラクタムおよび2-ピロリドン掃去剤を用いた湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの調製のためのバッチプロセス
オーバーヘッド機械式撹拌器、窒素ライン、ストッパーおよびサーモカップルを備えた4つ口の1000mL丸底フラスコに、ポリオールポリ(プロピレンオキシド)ジオール(645.5gのZhejiang Huangma Chemicalから入手したHMBT-120)およびヒンダードフェノール系安定化剤(6.53gのBASFから入手したIrganox 1135)を充填した。加熱マントルにより約240分間80℃で加熱しながら、窒素をスパージして混合物を乾燥させた。混合物の色は11Pt-Coであった。混合物を窒素ブランケット下で150℃に加熱し、約120分間保持し、その時点で混合物の色は25Pt-Coであった。触媒の溶液(トルエン中の756μLの10重量%のジブチルスズジラウレート(Fomrez SUL-4、Momentive Performance Materials, Inc.)含有溶液)を充填して、約54分間混合し、その時点で色は33Pt-Coであった。鎖延長剤であるイソホロンジイソシアネート(4.72gのBayerから入手したDesmodur I)を充填し、混合物の粘度が25℃で54400cPになるまで混合物を168分間加熱した。混合物を冷却し、その時点で25℃で粘度55600cP、色44Pt-Coを有し、イソシアネートを0.04%含有していた。反応中間体(259.4グラム)をさらなる処理のために500mLフラスコに移した。反応中間体を窒素で62から80℃で86分間スパージして、小さなフラスコに移す間に吸収された水を除去した。80℃で、シリル化剤である3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(5.83グラムのMomentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest
* A-Link 35シラン)を添加し、混合物が0.01%イソシアネートを含み、25℃の粘度64900cPおよび色45Pt-Coを有するまで196分間反応させた。最後に、掃去パッケージ(ビニルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest
* A-171シラン)78.9重量部、ε-カプロラクタム(Aldrichから入手)16.6重量部、および2-ピロリドン(Aldrichから入手)4.5重量部の6.17グラム)を充填した。そして、混合物をゆっくりと室温まで冷却させた。生成物は、25℃で最終粘度52200cP、色50Pt-Coを有していた。
【0145】
実施例8
連続プロセスにより製造された湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーにおける掃去パッケージの影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの連続プロセスは、
図5に記載した反応器シーケンスを用いて調製し、鎖延長の温度は約151℃であり、シリル化反応は約140℃であった。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール(Zhejiang Huangma Chemicalから商品名HMBT-120で入手したポリオール、ヒドロキシル価9.90、数平均分子量11,300グラム/モル)は、リザーバ(10)から供給ラインにポンプ輸送され、そして756.7g/分の速度でミキサー(70)に移送された。ジブチルスズジラウレート触媒(Fomrez SUL-4、Momentive Performance Materials, Inc.から入手)、ヒンダードフェノール(BASFから入手したIrganox 1135)およびトリイソデシルホスファイト(DoverChemicalから入手したDoverphos 6)を、それぞれ0.082グラム/分、3.783グラム/分および3.783グラム/分の速度でミキサー(70)に加え、ここでこれらの成分は、供給ライン(61)を通ってリザーバ(60a)に貯蔵された触媒および安定化剤混合物として移送された。ポリオール、触媒および安定化剤を混合し、そしてミキサー(70)から熱交換器(80)に移送してポリオール、触媒および安定化剤の混合物を鎖延長温度まで加熱した。加熱されたポリオール、触媒および安定化剤の混合物は、第2のミキサー(21)に移送され、ここでイソホロンジイソシアネート(Bayerから入手したDesmodur I)はリザーバ(60b)からポンプ輸送されて、供給ライン(62)によって5.71グラム/分の速度で第2のミキサー(21)に加えられ、混合された。ポリオール、触媒、安定化剤およびジイソシアネートの混合物を、鎖延長反応ユニット(20)、スタティックミキサーを備えた管状反応ユニットに移送し、約25分間反応させた。鎖延長反応生成物を第3のミキサー(31)に移送し、3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials, Inc.から入手したSilquest
* A-Link 35)を供給ライン(63)によってリザーバ(60c)からミキサー(31)に16.94グラム/分の速度でポンプ輸送し、そしてバックミキシングループ(33)およびポンプ(34)を備えたシリル化反応ユニット(30)に移送された。バックミキシング比は0.5であり、平均反応時間は7分であった。シリル化反応生成物をシリル化反応ユニット(30)から第4のミキサーに移送し、ここで掃去パッケージの1つは19.93グラム/モルの割合で加えられ、混合された。掃去パッケージは、安定化剤パッケージ、シリル化ポリマーおよび掃去パッケージの総重量に基づいて、量がε-カプロラクタム0.44重量%、2-ピロリドン0.12重量%およびビニルトリメトキシシラン2.0重量%となるような割合で添加した。掃去パッケージを含む混合物をクエンチング反応ユニット(40)、スタティックミキサーを備えた管状反応ユニットに移送し、約4分間反応させた。次いで、第2の反応生成物をクエンチング反応ユニット(40)から取り出しそして出口に移送し、ここで冷却して分析した。イソシアネート濃度(NCO)は、反応の最後に滴定により測定した。データを表5に示す。
【0146】
実施例9
連続プロセスにより製造された湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーにおける掃去パッケージの影響
実施例9は実施例8の繰り返しであった。データを表5に示す。
【0147】
実施例10
連続プロセスにより製造された湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーにおける掃気パッケージの影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、掃去パッケージを16.65グラム/分の割合でミキサーに添加したことを除いて、実施例8に従って調製した。掃去パッケージは、安定化剤パッケージ、シリル化ポリマーおよび掃去パッケージの総重量に基づいて、量が2-ピロリドン0.12重量%およびビニルトリメトキシシラン2.0重量%となるような割合で添加した。イソシアネート濃度(NCO)は、反応の最後に滴定により測定した。データを表5に示す。
【0148】
実施例11
連続プロセスにより製造された湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーにおける掃去パッケージの影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、掃去パッケージを16.65グラム/分の割合でミキサーに添加したことを除いて、実施例8に従って調製した。掃去パッケージは、安定化剤パッケージ、シリル化ポリマーおよび掃去パッケージの総重量に基づいて、量が2-ピロリドン0.18重量%およびビニルトリメトキシシラン2.0重量%となるような割合で加えた。イソシアネート濃度(NCO)は、反応の最後に滴定により測定した。データを表5に示す。
【0149】
実施例12-15
連続プロセスにより製造された湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーにおける掃去パッケージの影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、掃去パッケージを16.65グラム/分の割合でミキサーに添加したことを除いて、実施例8に従って調製した。掃去パッケージは、安定化剤パッケージ、シリル化ポリマーおよび掃去パッケージの総重量に基づいて、ビニルトリメトキシシランの量が2.0重量%のビニルトリメトキシシランとなるような割合で添加した。イソシアネート濃度(NCO)は、反応の最後に滴定により測定した。調製を3回繰り返した。データを表5に示す。
【0150】
実施例8から11は、環状ラクタムが残留イソシアネートに対して効果的なクエンチャーであることを示しているが、反応がビニルトリメトキシシランのみでクエンチングされる場合、最終生成物は残留イソシアネート基を有する。
【0151】
実施例16
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーを製造するための連続プロセスにおけるホスファイト安定化剤の効果
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、ジブチルスズジラウレートおよびトリイソデシルホスファイトからなる触媒および安定化剤の混合物を、ポリオールの重量に基づいて、ジブチルスズジラウレートが20ppmのSnおよびホスファイトが0.5重量%となるような割合で添加したことを除き、実施例8に従って製造された。
【0152】
色は、新しく製造された材料、および材料を80℃で4日間エージングさせた後に測定した。BYK Gardner LCS IVを測定に使用した。データを表6に示す。
【0153】
実施例17
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーの製造のための連続プロセスにおけるヒンダードフェノールおよびホスファイト安定化剤の混合物の影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、ジブチルスズジラウレート、ヒンダードフェノール(BASFからのIrganox1135)およびトリイソデシルホスファイト(Dover ChemicalsからのDoverphos 6)からなる触媒および安定化剤の混合物を、ポリオールの重量に基づき、ジブチルスズジラウレートが20ppmのSn、ヒンダードフェノールが0.5重量%、およびホスファイトが0.5重量%となるような割合で加えられたことを除き、実施例8に従って製造された。
【0154】
色は、新しく製造された材料、および材料を80℃で4日間エージングさせた後に測定した。BYK Gardner LCS IVを測定に使用した。データを表6に示す。
【0155】
比較例IおよびII
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーを製造するための連続プロセスにおける安定化剤がないことの影響
湿気硬化性シリル化ポリウレタンポリマーは、ジブチルスズジラウレートおよびヒンダードフェノール(BASFからのIrganox1135)からなる触媒および安定化剤を、ポリオールの重量に基づき、ジブチルスズジラウレートが20ppmのSn、ヒンダードフェノールが1.0重量%となるような割合で加えられたことを除き、実施例8に従って製造した。
【0156】
色は、新しく製造された材料、および材料を80℃で4日間エージングさせた後に測定した。BYK Gardner LCS IVを測定に使用した。調製を繰り返した。データを表6に示す。
【0157】
湿気硬化性シリル化ポリマーを製造するための連続プロセスにおいて、安定化剤パッケージは、このプロセスで使用されるより高い温度から、低色および色安定性を有する生成物を生成するためにホスファイト安定化剤を含む必要があることを、表6のデータは示している。