(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A61H15/00 310C
A61H15/00 310D
(21)【出願番号】P 2019019807
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2018237594
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206001(JP,U)
【文献】特開2003-019174(JP,A)
【文献】特開2015-163179(JP,A)
【文献】特開2018-082777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0083135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握るための基部と、
前記基部から延在する第1、第2アームと、
前記第1アームに設けられる第1施術体と、
前記第2アームに設けられる第2施術体と、
を備え、
前記第1アームは、前記基部から延びる第1変形部と、前記第1変形部の前記基部とは反対側から延びる第1支持部と、前記第1支持部の前記第1変形部とは反対側から延びる第1支持軸であって前記第1変形部とは反対側において前記第1施術体を支持する第1支持軸と、を含み、
前記第2アームは、前記基部から延びる第2変形部と、前記第2変形部の前記基部とは反対側から延びる第2支持部と、前記第2支持部の前記第2変形部とは反対側から延びる第2支持軸であって前記第2変形部とは反対側において前記第2施術体を支持する第2支持軸と、を含み、
前記第1、第2支持軸は、実質的に弾性変形不可能に構成され、
前記第1、第2変形部は、前記第1施術体と前記第2施術体との距離が変化するよう弾性変形可能に構成されており、
前記第1、第2変形部はそれぞれ、弾性変形可能な芯材と前記芯材を覆う弾性変形可能なカバーとを含み、
前記カバーは、長手方向における一部分において、全周にわたって密着するように前記芯材を覆って
おり、
前記第1、第2支持部は、実質的に弾性変形不可能に構成されることを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記芯材と前記カバーとは弾性率が異なることを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記第1、第2変形部は、ねじり弾性変形可能に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体、すなわちローラを肌にあてて転がす美容器が知られている。顔に使用すると、あご周りのフェイスラインが引き締まり、リフトアップ効果が実感できる。複数のローラが肌を摘み上げるタイプのものはマッサージ効果もあり、使っているだけでも気持ちがよい。より積極的に、リンパマッサージの要領で使えば、老廃物の排出が促進され、新陳代謝が上がり、肌艶を改善できる。脚に使えばむくみやセルライトもとれやすくなる。
【0003】
従来では、アームが弾性変形し、その弾性力により施術体であるマッサージローラが体に押し付けられる美容器が提案されている。この美容器によれば、使用者が力を入れてマッサージローラを体に押し付ける必要がなく、使用者は楽に使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は係る状況においてされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、商品価値を高めた美容器の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の美容器は、基部と、基部から延在する第1、第2アームと、第1アームに設けられる第1施術体と、第2アームに設けられる第2施術体と、を備える。第1、第2アームはそれぞれ、第1、第2変形部を含み、当該第1、第2変形部は、第1施術体と第2施術体との距離が変化するよう弾性変形可能に構成されており、第1、第2変形部はそれぞれ、芯材と芯材を覆うカバーとを含む。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図12】
図1の美容器の使用状態を示す正面図である。
【
図13】
図1の美容器の使用状態を示す側面図である。
【
図14】
図1の第1施術体の使用状態を示す図である。
【
図15】
図1の第1施術体の使用状態を示す図である。
【
図16】代表的なシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る美容器100の斜視図である。
図2~7は、
図1の美容器100の六面図であり、それぞれ、正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図である。
図8は、
図1の美容器100の分解斜視図である。
図9、10は、
図1の美容器100の透視図であり、それぞれ、透視斜視図、透視正面図である。以下では、美容器100を顔、特に下あごに使用する場合について説明するが、これには限定されず、美容器100を人体の他の部位に使用してもよく、例えばより小さく構成して鼻や目元に使用してもよく、また例えばより大きく構成して腹部や脚に使用してもよい。
【0012】
美容器100は、グリップ(基部)10と、グリップ10から延びる第1アーム20Rおよび第2アーム20Lと、第1アーム20Rの先端側(グリップ10とは反対側)に設けられる2つの第1施術体30R、32Rと、第2アーム20Lの先端側に設けられる2つの第2施術体30L、32Lと、を備える。
【0013】
以下、第1施術体30Rと第2施術体30Lが向き合う方向、言い換えると第1施術体30Rの中心と第2施術体30Lの中心を通る方向を、第1方向P1あるいは左右方向として説明する。なお、第1施術体32Rと第2施術体32Lとが向き合う方向、言い換えると第1施術体32Rの中心と第2施術体32Lの中心を通る方向も、第1方向P1である。また、施術体の中心とは、施術体の赤道EL(
図2参照)の中心であり、施術体の赤道ELは、施術体の回転軸に直交する平面と施術体の外周面とが交わってできる大円である。
【0014】
グリップ10は、形状は特に限定されないが、好ましくは使用者が握りやすい形状に形成され、図示の例では略楕円体状に形成されている。グリップ10は、略楕円体状に形成されるグリップ本体12と、グリップ本体12の内部に配置され、グリップ本体12に固定されるグリップ芯材14と、を含む。グリップ本体12は、比較的剛性が高い(すなわち比較的弾性率が高い)材料、例えばABS樹脂により形成される。グリップ芯材14は、POM(ポリアセタール)により形成される。
【0015】
第1アーム20Rおよび第2アーム20Lは、グリップ10に対して左右対称(すなわち
図2において点線に対して左右対称)となるように構成される。第1アーム20Rおよび第2アーム20Lは、長手方向の略中央部分で両者の間隔が最大となり、それよりもグリップ10側ではグリップ10から離れるほど両者の間隔が徐々に広くなり、それよりも施術体側ではグリップ10から離れるほど両者の間隔が徐々に近くなるように湾曲している。なお、第1アーム20Rおよび第2アーム20Lの形状は、これには限定されない。
【0016】
第1アーム20Rは、グリップ10から延びる第1変形部22Rと、第1変形部22Rの先端側に接続される第1支持部24Rと、第1支持部24Rの先端側から延びる2つの第1支持軸26R、28Rと、を含む。第2アーム20Lは、グリップ10から延びる第2変形部22Lと、第2変形部22Lの先端側に接続される第2支持部24Lと、第2支持部24Lの先端側から延びる2つの第2支持軸26L、28Lと、を含む。
【0017】
第1変形部22Rおよび第2変形部22Lは、第1施術体と第2施術体との距離が変化するよう弾性変形可能に構成される。第1変形部22Rおよび第2変形部22Lは特に、それらの先端同士が互いに離れるように、ひいては各アームの先端同士が互いに離れるように、ひいては第1施術体と第2施術体とが互いに離れるように、弾性変形可能に構成される。また、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lは、ねじり弾性変形可能に構成される。なお、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lは、使用後は、弾性力によって元の状態に戻る、すなわち第1施術体と第2施術体との距離は使用前の状態に戻る。
【0018】
第1変形部22Rは、棒状の変形部芯材36Rと、変形部芯材36Rを覆う変形部カバー38Rと、を含む。変形部芯材36Rおよび変形部カバー38Rは、いずれも比較的剛性が低い(すなわち比較的弾性率(ヤング率)が低い)材料により形成される。変形部芯材36Rと変形部カバー38Rとは異なる弾性率の材料により形成される。ここでは、変形部芯材36Rは、変形部カバー38Rより弾性率が高い材料により形成される。つまり、弾性率が高い部材が当該部材よりも弾性率が低い部材によって覆われている。本実施の形態では、変形部芯材36RはPOMにより形成され、変形部カバー38Rはエラストマにより、より具体的にはハイトレル(登録商標)、エラストラン(登録商標)またはトライタン(登録商標)により形成される。なお、後述するように、変形部カバー38Rをハイトレルにより形成した場合に、最もよい体感が得られている。
【0019】
図11は、
図2のA-A線断面図であって、第1変形部22Rの延在方向に垂直な断面図である。第1変形部22Rは、その延在方向に垂直な断面の面方向に沿った方向であって第1方向P1に直交する方向である第2方向P2(
図2の紙面方向)に寸法が長く、当該面方向に沿った方向であって第2方向P2に直交する第3方向P3に寸法が短くなるように形成される。つまり、第1変形部22Rは、第2方向P2に比較的厚く、第3方向P3に比較的薄くなるよう形成される。これにより第1変形部22Rは、第1施術体が第2施術体から離れる方向に、具体的には第1施術体と第2施術体との第1方向P1における距離が長くなるように弾性変形可能となる。なお、本実施の形態では、第1変形部22Rは、主に、点線56(
図1~3、12参照)で囲んだ根本部分が弾性的に撓み変形する。一方、第1変形部22Rは、第1施術体と第2施術体との第3方向における距離が長くなる方向には、弾性変形不可能あるいは弾性変形しにくくなる。つまり図示の例では、第1変形部22Rは、形状によって弾性変形の方向が規制される。なお、第1変形部22Rの断面は、第2方向P2に寸法が長く第3方向P3に寸法が短ければよく、図示の形状には限定されない。
【0020】
図1~10に戻り、第2変形部22Lは、変形部芯材36Lと、変形部カバー38Lと、を含む。変形部芯材36L、変形部カバー38Lはそれぞれ、左右対称である以外は第1変形部22Rの変形部芯材36R、変形部カバー38Rと同様に構成される。
【0021】
図1~10に戻り、第1支持部24Rおよび第2支持部24Lは、実質的に弾性変形不可能に構成される。具体的には、第1支持部24Rは、棒状の支持部芯材46Rと、支持部芯材46Rを覆う支持部カバー48Rと、を含む。支持部芯材46Rは、POMにより形成される。支持部カバー48Rは、比較的剛性が高い(すなわち比較的弾性率(ヤング率)が高い)材料、例えばABS樹脂により形成される。これにより、第1支持部24R全体としては、実質的に弾性変形不可能となる。第2支持部24Lは、支持部芯材46Lと、支持部カバー48Lと、を含む。支持部芯材46L、支持部カバー48Lはそれぞれ、第1支持部24Rの支持部芯材46R、支持部カバー48Rと同様に構成される。
【0022】
なお、グリップ芯材14、変形部芯材36R、36Lおよび支持部芯材46R、46Lは一体に形成され、全体として概ねY字状の所定の形状を呈する。具体的には、変形部芯材36R、36Lは左右対称にグリップ芯材14から延び、支持部芯材46R、46Lはそれぞれ変形部芯材36R、36Lのグリップ芯材14とは反対側の端部から延びる。
【0023】
また、変形部カバー38R、38Lおよび支持部カバー48R、48Lは一体に形成され、全体として概ねY字状の所定の形状を呈する。具体的には、変形部カバー38Rのグリップ10側の端部38Raと変形部カバー38Lのグリップ10側の端部38Laが連結される。また、支持部カバー48Rは変形部カバー38Rのグリップ10とは反対側の端部38Rbから延び、支持部カバー48Lは変形部カバー38Lのグリップ10とは反対側の端部38Lbから延びる。
【0024】
2つの第1支持軸26R、28Rは、第1支持部24Rと同様に、実質的に弾性変形不可能に、すなわち比較的高い剛性を有するように構成される。本実施の形態では、第1支持軸26R、28Rは、例えばABS樹脂により、第1支持部24Rの支持部カバー48Rと一体に形成される。2つの第1支持軸26R、28Rは、先端側ほど互いに離れるように延在している。したがって第1支持部24Rおよび2つの第1支持軸26R、28Rは、全体として概ねY字状の所定の形状を有する。第1支持軸26R、28Rはそれぞれ、不図示の軸受を介して、第1施術体30R、32Rを回転自在に支持する。
【0025】
第2支持軸26L、28Lはそれぞれ、第1支持軸26R、28Rと同様に構成される。第2支持軸26L、28Lはそれぞれ、不図示の軸受を介して、第2施術体30L、32Lを回転自在に支持する。
【0026】
なお、軸受は施術体側(例えば施術体内)に設けられても、支持軸側(例えば支持軸の先端)に設けられてもよい。例えば軸受が施術体側に設けられる場合、支持軸から突出するローラ軸が施術体側に設けられた軸受に保持される。
【0027】
第1支持軸26Rは、先端側ほど第2支持軸26Lに近づき、かつ、グリップ10から離れるように、第1支持部24Rから延在している。また第2支持軸26Lは、先端側ほど第1支持軸26Rに近づき、かつ、グリップ10から離れるように、第2支持部24Lから延在している。同様に、第1支持軸28Rは、先端側ほど第2支持軸28Lに近づき、かつ、グリップ10から離れるように、第1支持部24Rから延在している。また第2支持軸28Lは、先端側ほど第1支持軸28Rに近づき、かつ、グリップ10から離れるように、第2支持部24Lから延在している。
【0028】
第1支持部24Rおよび第2支持部24Lの少なくとも一方には、電気部品が内蔵される。図示の例では、第1支持部24Rおよび第2支持部24Lの両方に、電気部品、具体的には太陽電池パネル60(
図8参照)が内蔵される。
【0029】
具体的には、第1支持部24Rの支持部カバー48Rには孔40Rが形成され、孔40Rには受光レンズ42Rが嵌着されている。そして受光レンズ42Rの内側(第1支持部24Rの内部)に、太陽電池パネル60が配置されている。第1支持部24R(支持部カバー48R)に内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子、マイナスの出力端子はそれぞれ、第1施術体30R、第1施術体32Rと電気的に接続されている。したがって、第1施術体30Rおよび第1施術体32Rが人体(頬)に触れると、太陽電池パネル60、第1施術体30R、人体、および第1施術体32Rを含む閉回路が形成されて人体に微弱電流が流れ、これにより血流の促進やリンパ液の循環の促進などが図られる。
【0030】
同様に、第2支持部24Lの支持部カバー48Lには孔40Lが形成され、孔40Lには受光レンズ42Lが嵌着されている。そして受光レンズ42Lの内側(第2支持部24Lの内部)に、太陽電池パネル60が配置されている。第2支持部24L(支持部カバー48L)に内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子、マイナスの出力端子はそれぞれ、第2施術体30L、第2施術体32Lと電気的に接続されている。したがって、第2施術体30Lおよび第2施術体32Lが人体(頬)に触れると、太陽電池パネル60、第2施術体30L、人体、および第2施術体32Lを含む閉回路が形成されて人体に微弱電流が流れる。
【0031】
変形例として、第1支持部24Rに内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子、マイナスの出力端子はそれぞれ、第1施術体、グリップ10と電気的に接続されてもよい。この場合、グリップ10を握って第1施術体を頬に当てると、すなわちグリップ10および第1施術体が人体に触れると、太陽電池パネル60、第1施術体、人体およびグリップ10を含む閉回路が形成されて人体に微弱電流が流れる。同様に第2支持部24Lに内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子、マイナスの出力端子はそれぞれ、第2施術体、グリップ10と電気的に接続されてもよい。この場合、グリップ10を握って第2施術体を頬に当てると、すなわちグリップ10および第2施術体が人体に触れると、太陽電池パネル60、第2施術体、人体およびグリップ10を含む閉回路が形成されて人体に微弱電流が流れる。
【0032】
さらなる変形例として、第1支持部24Rに内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子が第1施術体と電気的に接続され、第2支持部24Lに内蔵される太陽電池パネル60のマイナスの出力端子が第2施術体と電気的に接続され、第1支持部24Rに内蔵される太陽電池パネル60のマイナスの出力端子と第2支持部24Lに内蔵される太陽電池パネル60のプラスの出力端子とが電気的に接続(すなわち直列に接続)されてもよい。この場合、第1支持部24R内の太陽電池パネル60、第1施術体、人体、第2施術体、第2支持部24L内の太陽電池パネル60を含む閉回路が形成されて人体に微弱電流が流れる。
【0033】
第1施術体30R、32R、第2施術体30L、32Lはそれぞれ、回転体すなわちローラである。第1施術体30R、32Rは第1アーム20Rに回転自在に支持され、第2施術体30L、32Lは第2アーム20Lに回転自在に支持される。施術体の形状は特に限定されないが、図示の例では概ね球状に形成され、表面に多数の三角形の面を有する。本実施の形態では、第1施術体30R、32R、第2施術体30L、32Lは、同一の形状および大きさに形成される。
【0034】
グリップ10、第1アーム20Rおよび第2アーム20Lの外表面には、美容器100のデザイン性を向上させるために表面処理が施され、具体的には例えばメタリックな外観を付与するために金属メッキ処理が施される。ここで、上述のように芯材はPOMにより形成されている。化学的に非常に安定で結晶性であるPOMにより形成されている部材は、メッキや塗装などの表面処理が困難であることが知られている。これに対し本実施の形態では、芯材はエラストマやABS樹脂により形成されたカバー等によって覆われているため、グリップ10、第1アーム20Rおよび第220Lに表面処理を施すのが容易となっている。
【0035】
変形例として、グリップ10、第1アーム20Rおよび第2アーム20Lの外表面に表面処理を施す代わりに、グリップ本体12、変形部カバー38R、38L、支持部カバー48R、48Lを所望の質感および色の材料で形成することにより、美容器100のデザイン性を向上させてもよい。
【0036】
図6に示されるように、美容器100は、グリップ10とアームの連結部分で屈曲したような形状を有する。具体的には美容器100は、美容器100を第1アーム20R側から第1方向P1(すなわち
図6の紙面に垂直な方向)に見たとき、グリップ10の基準軸線L1であってグリップ10に外接する2つの円弧の交点Paと交点Pbとを結ぶ基準軸線L1が、2つの交点Pa、Pbのうちの施術体に近い交点Paと第1施術体30Rの中心とを結ぶ直線L2と、交点Paと第1施術体32Rの中心とを結ぶ直線L3との二等分線L4と交差するように構成されている。図示の例では美容器100は、美容器100を第1アーム20R側から第1方向P1に見たとき、基準軸線L1に対して第1施術体30Rおよび第1施術体32Rが同じ側に位置し、かつ、基準軸線L1と直線L2とがなす鋭角α1が基準軸線L1と直線L3とがなす鋭角α2よりも小さくなるように構成されている。なお、第1アーム20R、第1施術体30R、第1施術体32Rをそれぞれ第2アーム20L、第2施術体30L、第2施術体32Lに読み替えることにより、第2アーム20Lにも同様の説明が当てはまる。
【0037】
図12、13はそれぞれ、美容器100の使用状態を示す正面図、側面図である。なお、ここでは美容器100が頬(
図13において点線50で囲んだ部分)に使用される場合について説明するが、美容器100はフェイスライン(
図13において点線52で囲んだ部分)に使用されてもよい。美容器100の使用者は、グリップ10を持ち、第1施術体が右頬に当たり、第2施術体が左頬に当たるように第1施術体と第2施術体とで下あごを挟み、美容器100を上下動させる。このとき、第1施術体と第2施術体とで下あごを挟み込んでいないときに比べて、第1施術体と第2施術体とが互いに離れるように第1変形部22Rおよび第2変形部22Lは弾性変形し、それらの弾性力により、第1施術体、第2施術体が各頬に押し付けられる。
【0038】
第1施術体、第2施術体が各頬に押し付けられている状態で美容器100を上下動させると、頬が摘み上げられたり押し広げられたりする。これについて
図14、15を参照して説明する。ここでは代表して第1施術体を例に説明するが、第2施術体についても同様の説明が当てはまる。
【0039】
図14、15は、第1施術体の使用状態を示す上面図である。第1施術体30R、32Rは、第1支持部24Rから離れるほど、第1施術体30Rの回転軸R1と第1施術体32Rの回転軸R2との間隔が大きくなるように設けられる。そのため、
図12に示されるように第1施術体30R、32Rを頬に押し付けた状態で美容器100を下方向に動かすと、
図14に示すように第1施術体30Rと第1施術体32Rとの間で肌が摘み上げられる。また、
図12に示されるように第1施術体30R、32Rを頬に押し付けた状態で美容器100を上方向に動かすと、
図15に示すように第1施術体30Rと第1施術体32Rとの間で頬が押し広げられる。頬が摘み上げられ又は押し広げられることにより、接触部分の血流やリンパ液の循環が促進する。また、肌がリフトアップされて張りが出る。
【0040】
ここで、第1施術体、第2施術体が押し付けられる力が強すぎると、その分、摘み上げる力が強くなり、肌に負担がかかる。また、美容器100を使用する人の顔が大きいほど、第1施術体と第2施術体とがより離れるように第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが弾性変形するため、その分、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lの弾性力が強くなり、第1施術体、第2施術体が各頬に押し付けられる力も大きくなる。
【0041】
そこで本実施の形態では、第1施術体、第2施術体が的確な力で押し付けられるように第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが構成される。具体的には、常温(例えば20~25℃)の環境において、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離が120mmであるときに、第1施術体30Rおよび第2施術体30Lがそれらの間に挟まれる対象(すなわち頬)を第1方向P1に押し付ける力が3.5~7Nとなるように、より好ましくは3.5~5Nとなるように、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが構成される。押し付け力が3.5~7Nの場合、押し付け力が適当で気持ち良い体感を得られる。押し付け力が3.5~5Nの場合、押し付け力が適当で気持ち良い体感を得られる上に、弾性力によってアームが元の形状に戻るときに施術体同士が衝突しないか、破損しない程度の力で衝突させることができる、すなわち、施術体同士が激しく衝突して施術体が破損するのを抑止できる。
【0042】
具体的には変形部は、上述の押し付け力が実現され、かつ、ねじり弾性変形可能なように、変形部芯材がPOMにより形成され、変形部カバエラストマにより形成され、断面形状および/または太さが決定される。この場合、或る程度顔が小さい人でも、また或る程度顔が大きい人でも、第1施術体、第2施術体が各頬に押し付けられる力が推奨の範囲内となる。なお、第1施術体30Rおよび第2施術体30Lがそれらの間に挟まれる対象を押し付ける力は、例えばテンションゲージで測定される。
【0043】
図1~10に戻り、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが弾性変形していない状態において、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1と、第1施術体32Rの外表面と第2施術体32Lの外表面との最短距離D2とが異なっている。図示の例では、最短距離D1よりも最短距離D2が広くなっている。一例として、最短距離D1と最短距離D2の比は、1:4とする。一般に下あごは後ろ側ほど幅広であるところ、弾性変形していない状態での最短距離がより短い第1施術体30Rおよび第2施術体30Lが下あごの前側に当たり、最短距離がより長い第1施術体32Rおよび第2施術体32Lが下あごの後ろ側に当たるように美容器100を使用(以下、「順向きで使用」と呼ぶ)することで、第1施術体30Rおよび第2施術体30Lが頬を押し付ける力と第1施術体32Rおよび第2施術体32Lが頬を押し付ける力とを同程度にできる。
【0044】
もちろん、第1施術体30Rおよび第2施術体30Lが下あごの後ろ側に当たり、第1施術体32Rおよび第2施術体32Lが下あごの前側に当たるように美容器100を使用(以下、「逆向きで使用」と呼ぶ)してもよく、この場合、各施術体の頬への当たり方が順向きで使用する場合と異なり、順向きで使用する場合と異なる体感を得られる。
【0045】
なお変形例として、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが弾性変形していない状態において、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1と、第1施術体32Rの外表面と第2施術体32Lの外表面との最短距離D2とが同じであってもよい。
【0046】
続いて、以上説明した本実施の形態が奏する効果について述べる。本実施の形態によれば、アームの変形部は、変形部芯材と当該変形部芯材を覆う変形部カバーとで構成される。変形部芯材と変形部カバーとを異なる弾性率の材料で形成することで、施術体が頬を押し付ける押し付け力に関して、変形部をひとつの材料だけで構成した場合には実現できない3.5~7Nの押し付け力を実現できる。本実施の形態では特に、変形部芯材をPOMにより形成し、変形部カバーをエラストマにより形成することで、3.5~7Nの押し付け力を実現している。また、変形部芯材と変形部カバーとを異なる弾性率の材料で形成し、3.5~5Nの押し付け力を実現することで、弾性力によってアームが元の形状に戻るときに施術体同士が激しく衝突して施術体が破損するのを抑止できる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、グリップ10およびアームの芯材は、カバー等によって覆われる。これにより、カバー等を所望の質感および色の材料で形成することにより美容器100のデザイン性を向上できる。また、本実施の形態によれば、グリップ10およびアームの芯材は、POMにより形成される。POMは、高い引張強度を持ち、したがって疲労強度が高く、したがって美容器100を多数回(例えば100万回以上)使用しても破壊されない。つまり、所望の押し付け力を実現しつつも、疲労破壊しにくい美容器100を実現できる。しかしながら、POMは、メッキや塗装などの表面処理を施すのが困難である。これに対し、本実施の形態では、グリップ10およびアームは表面処理が容易な材料、例えばエラストマにより形成されるカバー等で覆われるため、比較的容易にグリップ10およびアームに表面処理を施すことができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、各アームは、第1施術体と第2施術体とが互いに離れるように弾性変形可能な変形部を含み、その弾性力により、第1施術体と第2施術体が頬に押し付けられる。これにより、使用者が力を入れて施術体を頬に押し付ける必要がなく、使用者は楽に美容器100を使用できる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、変形部はねじり弾性変形可能に構成される。このため、使用時には、下あごの形にならって、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1と、第1施術体32Rの外表面と第2施術体32Lの外表面との最短距離D2とが変化することが許容され、その結果、各施術体を頬に密着させることができ、的確な力で施術体を頬に押し付けることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、各アームは、実質的に弾性変形不可能な支持部を含み、この支持部に電子部品が内蔵される。これにより、電子部品はアームの変形の影響を受けずに済む。
【0051】
また、本実施の形態によれば、第1施術体30Rと第1施術体32Rとの間と、第2施術体30Lと第2施術体32Lとの間で、頬が摘み上げられたり押し広げられたりする。これにより、各頬の血流やリンパ液の循環が促進する。また、両頬を同時に摘み上げたり押し広げたりできるため、片方ずつ摘み上げたり押し広げたりする場合と比べて、時間を短縮(例えば半分に)できる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lの弾性変形による弾性力により、第1施術体および第2施術体が的確な力で頬に押し付けられる。これにより、施術体を押し付ける力を使用者が調節する必要がなくなり、使用者の負担が低減する。また、第1アーム20Rと第2アーム20Lが左右対称に構成されているため、第1施術体、第2施術体が各頬を押し付ける力が同じになる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、最短距離D1よりも最短距離D2が広くなっている。これにより、美容器100を順向きで使用することで、第1施術体30Rおよび第2施術体30Lが頬を押し付ける力と第1施術体32Rおよび第2施術体32Lが頬を押し付ける力とを同程度にできる。また、美容器100を逆向きで使用することで、順向きで使用する場合と異なる体感を得られる。つまり、使い方次第で、ひとつの美容器100で2つの体感を得られる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、第1アーム20Rおよびアーム20Lが弾性変形していない状態において、第1施術体と第2施術体との間には隙間が存在する。これにより、第1施術体と第2施術体との間に顔のあご付近を挿入しやすく、顔に沿った施術を行いやすい。
【0055】
また、本実施の形態によれば、第1施術体、第2施術体から各頬に微弱電流が流れる。つまり、両頬に同時に微弱電流を流すことができる。また、上述のように、第1施術体、第2施術体が頬に押し付けられているため、施術体と人体との安定した電気的接続状態を実現できる。
【0056】
また、例えば美容器100がアームを1つだけ備える場合、右頬を摘み上げたり押し広げたりするときは右手で美容器100を使用し、左頬を摘み上げたり押し広げたりするときは左手で美容器100を使用することになる。つまり、一方の頬は利き手で美容器100を使用し、他方の頬は利き手ではない手で美容器100を使用することになる。利き手ではない手で美容器100を使用する場合、利き手で美容器100を使用する場合と比べて、施術体を頬に押し付ける力の調節は多少なりとも難しい。これに対し、本実施の形態によれば、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lの弾性変形による弾性力により、第1施術体および第2施術体が的確な力で頬に押し付けられるため、利き手で美容器100を使用しようが利き手でない手で使用しようが、第1施術体および第2施術体を的確な力で頬に押し付けることができる。
【0057】
以上が本実施の形態が奏する効果である。続いて、変形部芯材にPOMを採用し、変形部カバーにエラストマ、特にハイトレルを採用した根拠を示す。
【0058】
本発明者はまず、頬に加えられる押し付け力が4~8N程度の場合に人は気持ち良いと感じるとの知見のもと、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離が120mmのときに4~8N前後の押し付け力が得られると想定され、かつ、外観は自由に装飾可能な変形部の構成を検討した。なお、120mmとの距離は、国立研究開発法人産業技術総合研究所により提供された情報に基づく距離であって、男女ともに成人の95%の人の下顎角幅が収まる距離である。
【0059】
本発明者は、鋭意検討した結果、変形部を、変形部芯材と変形部芯材を覆う変形部カバーの二部材で構成することとし、PEI(ポリエーテルイミド)、POMおよびゴムメタル(登録商標)を変形部芯材の材料の候補に選び、ハイトレル、エラストランおよびトライタンを変形部カバーの材料の候補に選んだ。
【0060】
本発明者は、変形部芯材の候補の中から50万回の使用に耐えうる芯材を特定するためのシミュレーションを行った。なお、美容器100の施術体を頬を1往復させるのを1回の使用とする。50万回という使用回数は、美容器100を5年間毎日、2秒に1回のペースで6分間使用した場合の使用回数に安全率(ここでは1.5)を乗じた回数である。
【0061】
図16は、代表的なシミュレーション結果を示す図である。シミュレーションでは、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1が120mmの場合および200mmの場合のそれぞれに、変形部芯材の最も弱いと想定されるの部分、具体的には
図1~3、12において点線56で囲んだ根本部分に対応する変形部芯材の部分に生じる応力を計算した。なお、200mmとの距離は、国立研究開発法人産業技術総合研究所により提供された情報に基づく距離であって、男女ともに成人の97.5%の人の耳珠間幅が収まる距離である170mmに大きめの余裕をみた距離である。
【0062】
ここで、各変形部芯材の材料の50万時間強度は以下の通りである。
PEI:7MPa
POM:45MPa
ゴムメタル:330MPa
【0063】
図16を参照すると、PEIには50万時間強度以上の応力が生じており、一方、POMおよびゴムメタルには50万時間強度未満の応力しか生じていないことが分かる。本発明者は、このシミュレーション結果より、POMおよびゴムメタルを変形部芯材の候補として残し、PEIを変形部芯材の候補から外した。また、シミュレーション結果より、いずれの組み合わせも、4~8N前後の押し付け力を実現できることが分かる。
【0064】
続いて本発明者は、候補に残った各変形部芯材と変形部カバーとの組み合わせについて試作品を作成し、それぞれによる押し付け力を測定した。
図17は、押し付け力の測定結果を示す図である。測定では、第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1が120mmのときの押し付け力を、テンションゲージでそれぞれ10回測定した。
図17を参照すると、いずれの組み合わせも、シミュレーション結果の通り、4~8N前後の押し付け力を実現できることが分かる。
【0065】
続いて本発明者は、試作品を用いて体感試験を行った。体感試験は、25歳~49歳の女性32名に対して実施した。被験者には、各美容器を体感してもらい、施術体が頬を押し付ける力が最適で一番気持ち良いと感じる美容器を回答させた。
図18は、体感試験の結果を示す。
図18に示すように、変形部芯材がPOM製で変形部カバーがハイトレル製の美容器が一番気持ち良いと回答した被験者が、32人中18人と最も多かった。本発明者は、この試験結果より、変形部芯材の材料としてPOMを選定し、変形部カバーの材料としてハイトレルを選定した。
【0066】
また本発明者は、一番気持ち良いと回答した被験者が最も多かった、変形部芯材がPOM製で変形部カバーがハイトレル製の美容器での押し付け力の測定結果より、美容器の施術体が使用者の頬に加えるべき押し付け力の範囲を決定した。すなわち、
図17に示される変形部芯材がPOM製で変形部カバーがハイトレル製の美容器での押し付け力の測定値のうち、最も低い測定値である3.5Nを押し付け力の範囲の下限とし、最も高い測定値である7Nを押し付け力の範囲の上限に決定した。
【0067】
以上、本発明について実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0068】
(変形例1)
実施の形態では、第1、第2施術体がそれぞれ回転体であり、第1アーム20R、第2アーム20Lに回転自在に支持される場合について説明したが、これに限られず、第1、第2施術体はそれぞれ非回転体であってもよい。すなわち、第1、第2施術体は、第1アーム、第2アームに対して回転しなくてもよい。この場合、美容器を上下動させると、第1施術体および第2施術体は各頬に押し付けられながら各頬を摺動する。
【0069】
(変形例2)
実施の形態では、第1施術体30R、32R、第2施術体30L、32Lが同じ大きさに形成される場合について説明したが、これに限られない。例えば第1施術体30Rと第2施術体30Lが、第1施術体32Rと第2施術体32Lが、それぞれ同じ大きさで、第1施術体30R、第2施術体30Lが第1施術体32R、第2施術体32Lよりも大きくてもよい。この場合、第1施術体30Rの中心と第1施術体32Rの中心とを通る直線と、第2施術体30Lの中心と第2施術体32Lの中心とを通る直線とが平行になるように各施術体を配置しても、第1変形部22Rおよび第2変形部22Lが弾性変形していない状態において、第1施術体30Rと第2施術体30Lとの最短距離D1よりも、第1施術体32Rと第2施術体32Lとの最短距離D2を長くできる。
【0070】
(変形例3)
実施の形態では、第1アーム20Rおよびアーム20Lが弾性変形していない状態において、第1施術体と第2施術体との間には隙間が存在する場合について説明したが、これには限定されず、例えば、第1アーム20Rおよびアーム20Lが弾性変形していない状態において第1施術体30Rと第2施術体30Lとの間には隙間が存在しなくても、言い換えると第1施術体30Rと第2施術体30Lとが接触していても、さらに言い換えると第1施術体30Rの外表面と第2施術体30Lの外表面との最短距離D1が0mmであってもよい。ここで、第1施術体30Rと第2施術体30Lとの間に隙間を設ける場合、製造誤差により、隙間が製品ごとで不均一になるおそれがある、すなわち見た目が製品ごとで不均一になるおそれがある。これに対し、第1施術体30Rと第2施術体30Lとの間に隙間を設けない場合、例えば第1施術体30Rと第2施術体30Lとがわずかに押し付け合うように構成すれば、多少の製造誤差があってもそれらは互いに接触するため、見た目が製品ごとで不均一になるといった問題が生じない。
【0071】
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0072】
10 グリップ、 20R 第1アーム、 20L 第2アーム、 22R 第1変形部、 22L 第2変形部、 30R,32R 第1施術体、 30L,32L 第2施術体、 100 美容器。