(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】決定装置、決定方法、および決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20231222BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2019081375
(22)【出願日】2019-04-22
(62)【分割の表示】P 2017240627の分割
【原出願日】2017-12-15
【審査請求日】2020-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博基
(72)【発明者】
【氏名】辻木 勇二
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】花岡 寿
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】松尾 俊介
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-243281(JP,A)
【文献】特許第6035404(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第107292528(CN,A)
【文献】特開2015-005052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者と関連する利用者情報を取得する取得部と、
保険に関連する保険関連商品により保証される事象が生じる確率を、利用者の利用者情報から推定するように学習が行われたモデルを用いて、前記取得部により取得された利用者情報から、前記事象が生じる確率を推定し、推定した確率に基づいて、それぞれ異なる事象に対応する保険関連商品
の種別ごとに費用の配分を決定し、決定した
種別ごとの費用の配分に基づいて、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する決定部と
を有することを特徴とする決定装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記保険関連商品の組合せとして、それぞれ種別が異なる保険関連商品の組合せを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の決定装置。
【請求項3】
前記決定部は、生命保険、損害保険、傷害保険、疾病保険、個人年金保険、もしくは介護保険のうちすくなくともいずれか1つを含む保険関連商品の組合せを決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の決定装置。
【請求項4】
前記決定部は、それぞれ異なる業者により提供される保険関連商品の組合せを決定する
ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1つに記載の決定装置。
【請求項5】
前記利用者の属性として、当該利用者のデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性とを推定する推定部を有し、
前記決定部は、前記モデルとして、デモグラフィック属性とサイコグラフィック属性との組み合わせから前記事象が生じる確率を推定するように学習が行われたモデルを用いて、前記推定部が推定したデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性との組合せから、前記利用者において前記事象が生じる確率を推定し、推定した確率に基づいて、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の決定装置。
【請求項6】
決定装置が実行する決定方法であって、
利用者と関連する利用者情報を取得する取得工程と、
保険に関連する保険関連商品により保証される事象が生じる確率を、利用者の利用者情報から推定するように学習が行われたモデルを用いて、前記取得工程により取得された利用者情報から、前記事象が生じる確率を推定し、推定した確率に基づいて、それぞれ異なる事象に対応する保険関連商品
の種別ごとに費用の配分を決定し、決定した
種別ごとの費用の配分に基づいて、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する決定工程と
を含むことを特徴とする決定方法。
【請求項7】
利用者と関連する利用者情報を取得する取得手順と、
保険に関連する保険関連商品により保証される事象が生じる確率を、利用者の利用者情報から推定するように学習が行われたモデルを用いて、前記取得手順により取得された利用者情報から、前記事象が生じる確率を推定し、推定した確率に基づいて、それぞれ異なる事象に対応する保険関連商品
の種別ごとに費用の配分を決定し、決定した
種別ごとの費用の配分に基づいて、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する決定手順と
をコンピュータに実行させるための決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決定装置、決定方法、および決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者に関する情報に基づいて、利用者に対して提供する情報の最適化を図るサービスが知られている。このような技術の一例として、ライフスタイル診断のために利用者が入力した情報に基づいて、最適な保険額や貯蓄額等といった最適化されたライフスタイルを提案する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、利用者に最適な保険態様を提案できない場合がある。
【0005】
例えば、上述した従来技術では、利用者に対して最適な必要年金保険料を担保するために支払うべき保証料を算出し、算出した保証料とともに、その保証料を支払うための手法を利用者に対して提案しているに過ぎない。このため、上述した従来技術では、利用者に対してどのような保険がふさわしいか、どれくらいの保証料を支払うべきかといった保険態様を適切に提案しているとは言えない。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者に対してより適切な保険態様の提案を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る決定装置は、利用者と関連する利用者情報を取得する取得部と、保険に関連する複数の保険関連商品のうち利用者が選択した保険関連商品と、当該利用者の利用者情報との間の関係性を学習したモデルを用いて、前記取得部により取得された利用者情報から、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する決定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、利用者に対して、適切な保険態様を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報提供装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る利用者属性データベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る保険関連商品データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る決定装置、決定方法、および決定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る決定装置、決定方法、および決定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.情報提供装置の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る決定装置の一例である情報提供装置10の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報提供装置の一例を示す図である。
図1では、決定装置の一例である情報提供装置10によって実行される決定処理の一例として、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する処理の一例について説明する。
【0012】
また、以下で説明する保険関連商品とは、各種の保険に関連する商品であり、利用者から所定の保険料の徴収を受付けると、所定の事象が所定の期間内に発生した際に、利用者に対して所定額の支払いを行う者である。なお、保険関連商品は、各種の保険に関連するものであれば、保険の対象となる事象の内容、保険の種別、保険料、保険料の支払い条件、もしくは特約などが設定されたものであってもよい。
【0013】
図1に示す情報提供装置10は、決定処理を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報提供装置10は、利用者が使用する利用者端末100とインターネット等のネットワークN(例えば、
図2参照)を介して通信可能である。なお、情報提供装置10は、任意の数の利用者によって使用される任意の数の利用者端末100と通信可能であってもよい。
【0014】
なお、情報提供装置10は、インターネットを介して各種任意のサーバ装置との間で通信可能であってもよい。例えば、情報提供装置10は、SNS(Social Networking Service)やマイクロブログ等、利用者が投稿した情報や画像等といった任意のコンテンツ(以下、「投稿情報」と総称する。)のログを保持するサーバ装置、利用者が入力した検索クエリの履歴を保持するサーバ装置等と通信可能であるものとする。また、情報提供装置10は、利用者のデモグラフィック属性やサイコグラフィック属性を特定或いは推定するサーバ装置と通信可能であるものとする。
【0015】
利用者端末100は、利用者Uにより利用されるPC(Personal Computer)やスマートフォン等の情報処理端末である。例えば、利用者端末100は、インターネット等のネットワークN(例えば、
図2参照)を介して、情報提供装置10と通信可能である。なお、
図1での図示は省略しているが、情報提供装置10は、さらに任意の数の利用者端末100と通信可能であってもよい。
【0016】
〔1-1.決定処理の概要について〕
ここで、上述した従来技術では、保証料を支払うための手法を利用者に対して提案しているに過ぎず、どのような保険態様が推奨されるかを利用者に対して提示することができない。このため、どのような保険にどれくらいの費用を捻出すればよいか、どのような保険をどのように組合せればよいかという保険態様、いわば保険のポートフォリオを利用者に対して提供しているとは言えない。
【0017】
そこで、情報提供装置10は、以下の決定処理を実行する。まず、情報提供装置10は、利用者と関連する利用者情報を取得する。そして、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、保険に関連する複数の保険関連商品から利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。
【0018】
例えば、情報提供装置10は、利用者情報として、インターネット上における利用者の行動を示す行動情報を取得する。より具体的な例を挙げると、情報提供装置10は、利用者が入力した検索クエリの履歴である検索履歴、利用者がSNSやマイクロブログ等に投稿した情報の履歴である投稿履歴、利用者の位置の履歴である位置履歴、利用者が閲覧したウェブコンテンツの履歴である閲覧履歴、利用者が電子商店街で購入した商品の履歴である購買履歴等を取得する。また、情報提供装置10は、利用者があらかじめウェブ上に登録した情報であって、利用者に関する情報を利用者情報として取得してもよい。
【0019】
例えば、情報提供装置10は、検索サーバや利用者端末100から、検索履歴を取得してもよい。また、情報提供装置10は、SNSサービスを提供するSNSサーバ等から投稿履歴を取得してもよい。また、情報提供装置10は、利用者端末100がGPS(Global Positioning System)等を用いて取得した位置情報を位置履歴として取得してもよく、利用者端末100と通信を行った基地局の履歴若しくは利用者端末100が接続したアクセスポイントの履歴、ビーコンの履歴等を位置履歴として取得してもよい。また、情報提供装置10は、利用者端末100にインストールされたブラウザアプリ等から利用者が閲覧したウェブコンテンツの履歴を取得してもよい。また、情報提供装置10は、電子商店街に関するサービスを提供するサーバ装置から、利用者が購入した商品の履歴を購買履歴として取得してもよい。
【0020】
ここで、上述した各種の利用者情報や、利用者の年齢や性別等といった統計学的な属性(すなわち、デモグラフィック属性)や、利用者の趣味趣向等といった心理学的な属性(すなわち、サイコグラフィック属性)を示唆すると考えられる。このような利用者の属性は、利用者がどのようなライフスタイルを有しているか、万が一の事象が発生した際にどのような保証が求められるかといった、保険関連商品の選択に有用な情報となりえる。
【0021】
そこで、情報提供装置10は、取得した利用者情報から利用者の属性を推定し、推定した利用者の属性に基づいて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。例えば、情報提供装置10は、保険関連商品の組合せとして、それぞれ種別が異なる保険関連商品の組合せを決定してもよい。また、例えば、情報提供装置10は、生命保険、損害保険、傷害保険、疾病保険、個人年金保険、もしくは介護保険のうちすくなくともいずれか1つを含む保険関連商品の組合せを決定してもよい。また、情報提供装置10は、それぞれ異なる業者により提供される保険関連商品の組合せを決定してもよい。
【0022】
すなわち、情報提供装置10は、利用者の属性を利用者のペルソナと見做し、そのペルソナに対して最適な保険関連商品の組合せを決定する。この結果、情報提供装置10は、利用者に対して、適切な保険関連商品の組合せを提供することができる。
【0023】
ここで、情報提供装置10は、デモグラフィック属性とサイコグラフィック属性との組合せに応じて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、利用者のデモグラフィック属性として「30代」および「男性」といった情報を推定し、サイコグラフィック属性として「バイクが好き」といった情報を推定したものとする。このように、「バイクが好き」な「30代」の「男性」の場合、個人年金保険よりも、交通事故によって相手方に負わせてしまった怪我等を賠償するための損害賠償保険、車両保険、若しくは生命保険に対して重点的な費用の振り分けを行った方がよいと考えられる。また、例えば、利用者が既婚である場合は、車両保険よりも生命保険や傷害保険に対して多くの費用を振り分けた方がよいと考えられる。
【0024】
そこで、情報提供装置10は、利用者の属性に基づいて、それぞれ種別が異なる複数の保険関連商品に対する費用の配分を決定し、決定した費用の配分に基づいて、各種別の保険関連商品を選択する。例えば、情報提供装置10は、推定した利用者の属性と関連する事象であって、各保険関連商品により保証される事象が生じる確度を推定する。
【0025】
例えば、情報提供装置10は、「バイクが好き」といった利用者の趣味趣向を示すサイコグラフィック属性から、「バイク事故」、「死亡事故」、「損害賠償の発生」、「後遺症の発生」、「バイクの損失」等といった事象を推定する。このような利用者の属性と関連する事象の推定は、例えば、予め設定されたルールベースのテーブルに基づいて推定されてもよく、連想記憶モデルを用いて、推定された利用者のサイコグラフィック属性から推定されてもよい。例えば、情報提供装置10は、組合せ対象となる保険関連商品により保証される事象のリストをあらかじめ保持する。そして、情報提供装置10は、保持した事象の中から、利用者の属性との関連度が所定の閾値を超える事象を選択する。
【0026】
例えば、寒冷地等においては、温暖な地域よりも心臓発作や脳溢血といった重篤な病気にかかる可能性が高い。また、利用者が女性である場合は、乳がんなどといった女性ならではの疾患に罹患する可能性が高い。そこで、情報提供装置10は、推定された利用者のデモグラフィック属性から、利用者が離間する可能性が所定の閾値よりも高い病気を事象として選択する。また、情報提供装置10は、事象として推定した病気から連想される他の事象(例えば、発生しうる障害の種別や入院費用の発生等)を選択する。
【0027】
ここで、同じバイク好きの利用者であっても、例えば「30代」の「男性」よりは、「30代」の「女性」や「60代」の「男性」の方が、スピードを出さない結果、死亡事故の発生確率や後遺症が発生する確率、損害賠償額等が低くなると考えられる。また、利用者が居住する地域や利用者の年齢によっては、利用者が病気に罹患する可能性や重篤度等が変化すると考えられる。そこで、情報提供装置10は、利用者のデモグラフィック属性やサイコグラフィック属性に基づいて、推定した各事象が生じる確度を推定する。ここで、各事象が生じる確度とは、各事象が実際に発生するか否かの確率のみならず、実際に事象が発生した際に生じる重篤度をも示す概念である。すなわち、情報提供装置10は、利用者の属性に基づいて、利用者に対して生じうる事象を推定し、さらに、利用者の属性に基づいて、各事象が利用者に対して及ぼし得る影響の度合いを示す確度を推定する。
【0028】
なお、情報提供装置10は、組合せ対象となる保険関連商品が保証する各事象から事象の選択を行わずとも、全事象に対し、利用者の属性に応じたスコアリング、すなわち、その属性を有する利用者に対して各事象が及ぼす影響度を示すスコアの付与を行ってもよい。なお、このようなスコアの算出は、例えば、ルールベースで行われてもよく、各種モデルを用いて実現されてもよい。例えば、情報提供装置10は、事象と、利用者の属性との組合せごとに、点数が付与されたスコアテーブルを保持する。そして、情報提供装置10は、ある事象についてのスコアを算出する場合は、その事象と、推定された利用者の属性との組に対して予め付与された点数の合計を、その事象に対するスコアとして採用してもよい。
【0029】
そして、情報提供装置10は、各事象に対して付与したスコアに基づいて、利用者に対して提供する保険関連商品の組合せを決定する。例えば、情報提供装置10は、スコアの値が所定の閾値を超える事象を選択し、選択した事象を保証する種別の保険関連商品を選択する。そして、情報提供装置10は、スコアが他の事象よりも多い事象を保証する種別の保険関連商品に対する費用の配分を、他の種別の保険関連商品よりも多くするように、保険関連商品の組合せを決定する。また、情報提供装置10は、選択した全ての事象が保証されるように、保険関連商品の選択を行う。
【0030】
例えば、情報提供装置10は、各事象の中からスコアの値が所定の閾値を超える事象として、「死亡事故」、「損害賠償の発生」、「バイクの損失」といった事象を選択するものとする。このような場合、情報提供装置10は、「死亡事故」を保証する「生命保険」、「損害賠償の発生」を保証する「損害賠償保険」、「バイクの損失」を補償する「車両保険」を特定する。そして、情報提供装置10は、組合せ対象となる保険関連商品の中から、少なくとも「生命保険」と「損害賠償保険」と「車両保険」とが含まれるように、保険関連商品の選択を行う。
【0031】
ここで、情報提供装置10は、例えば、「死亡事故」のスコアが「損害賠償の発生」や「バイクの損失」よりも高い場合、「死亡事故」を保証する「生命保険」に対する費用の割合が最も多くなるように、保険関連商品の選択を行う。例えば、情報提供装置10は、「死亡事故」のスコアと、「損害賠償の発生」のスコアと、「バイクの損失」のスコアとの割合を、「生命保険」に対する費用と、「損害賠償保険」に対する費用と、「車両保険」に対する費用との割合とする。そして、情報提供装置10は、予め設定された総費用(例えば、利用者があらかじめ設定した総費用)と、各保険に対する費用の割合とに基づいて、各保険に対して割り当てられる費用の額を算出し、保険料が算出した額の範囲内に収まるように、「生命保険」と、「損害賠償保険」と、「車両保険」との選択を行う。なお、情報提供装置10は、これらの条件を満たすような保険関連商品の組合せを複数決定してもよい。
【0032】
そして、情報提供装置10は、選択した各保険関連商品の組合せを利用者に対して提供する。この結果、情報提供装置10は、利用者に対して、適切な保険態様の提案を行うことができる。
【0033】
〔1-2.決定処理の一例について〕
次に、
図1を用いて、情報提供装置10が実行する処理の一例について説明する。まず、情報提供装置10は、利用者端末100を利用する利用者の利用者情報を収集する(ステップS1)。例えば、情報提供装置10は、利用者の検索履歴「バイク」、「旅行」、投稿履歴「ツーリング!」、位置履歴「位置#1」、「位置#2」、閲覧履歴「サイト#1」、「サイト#2」、購買履歴「商品#1」、登録情報「登録情報#1」等を収集する。
【0034】
そして、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて利用者の属性を推定する(ステップS2)。例えば、情報提供装置10は、利用者の検索履歴や購買履歴、登録情報等に基づいて、利用者のデモグラフィック属性「30代」、「男性」を推定する。また、例えば、
図1に示す例では、利用者の検索履歴に「バイク」や「旅行」が含まれており、投稿履歴に「ツーリング!」が含まれている。このため、情報提供装置10は、利用者のサイコグラフィック属性として「バイクが好き」といった情報を推定する。なお、このような属性の推定は、任意の推定技術が採用可能である。
【0035】
また、情報提供装置10は、推定した利用者の属性に基づいて、各保険により保証される事象が生じる確度を推定する(ステップS3)。例えば、情報提供装置10は、利用者のデモグラフィック属性「30代」、「男性」や、サイコグラフィック属性「バイクが好き」等から、事象「交通事故」の確度「80」を算出し、事象「死亡事故」の確度「70」を算出する。
【0036】
また、情報提供装置10は、推定した確度に基づいて、各種の保険に対する費用の配分割合を決定する(ステップS4)。例えば、情報提供装置10は、交通事故や死亡事故が発生した際に、それらの事象を保証するための保険として、「生命保険」、「損害保険」、「傷害保険」、「疾病保険」等を選択する。そして、情報提供装置10は、ステップS3にて事象ごとに算出した確度に基づいて、選択した各保険関連商品の種別ごとに、費用の配分割合を算出する。例えば、情報提供装置10は、「生命保険」に対する費用の割合「0.3」、「損害保険」に対する費用の割合「0.5」、「障害保険」に対する費用の割合「0.1」、「疾病保険」に対する費用の割合「0.1」を算出する。
【0037】
そして、情報提供装置10は、決定した費用の配分割合に基づいて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する(ステップS5)。例えば、情報提供装置10は、ステップS4にて算出した費用の配分割合を満たすように、各種別の保険関連商品を組合せることで、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。例えば、情報提供装置10は、保険関連商品を識別する保険ID(Identifier)が「保険#1」、「保険#3」、「保険#5」、「保険#8」となる保険関連商品の組合せを決定する。
【0038】
そして、情報提供装置10は、決定した保険関連商品の組合せを利用者に対して提供する(ステップS6)。この結果、情報提供装置10は、利用者の性別、年代、趣味趣向等といった各種属性に応じて、適切な保険関連商品の組合せを提案することができる。
【0039】
〔1-3.組合せの決定について〕
ここで、情報提供装置10は、利用者の属性から保険関連商品の組合せを生成するモデルの学習を行い、モデルを用いて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、DNN(Deep Neural Network)等といった各種ニューラルネットワークや、SVM(Support Vector Machine)をモデルとして採用してもよい。
【0040】
例えば、情報提供装置10は、学習データとして、利用者の属性を示す属性情報と、その属性を有する利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを示す組合せ情報とを取得する。このような学習データは、予めルールベースで人手により作成されたものであってもよい。そして、情報提供装置10は、属性情報を入力した際に、対応する組合せ情報を生成するように、モデルの学習を行う。すなわち、情報提供装置10は、利用者の属性が有する特徴と、そのような特徴を有する属性の利用者に対して提案したい保険関連商品の組合せが有する特徴との間の関係性をモデルに学習させる。
【0041】
また、情報提供装置10は、上述した学習処理により学習が行われたモデルを用いて、利用者の属性からその利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを生成し、生成した保険関連商品の組合せを提供する。ここで、情報提供装置10は、保険関連商品の組合せを提供した利用者から、提案内容に対する満足度や、実際に提案した保険関連商品を購入した割合(すなわち、コンバージョンレート)等を修正情報として取得する。そして、情報提供装置10は、取得した修正情報に基づいて、モデルの修正を行ってもよい。
【0042】
例えば、情報提供装置10は、ある属性を有する利用者に対して、「生命保険」と「個人年金」と「損害賠償保険」との組合せを提案したが、その利用者が「生命保険」と「損害賠償保険」との契約のみを行った場合、その利用者の属性を入力した際に「生命保険」と「損害賠償保険」との組合せを出力するように、モデルの修正を行ってもよい。また、情報提供装置10は、利用者に対して提案した保険対象商品が保証する事象が所定の期間内に実際に生じたか否かに基づいて、モデルの修正を行ってもよい。
【0043】
〔1-4.その他〕
なお、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定するのであれば、任意の処理を実行して良い。例えば、情報提供装置10は、利用者情報が有する特徴と、その特徴の利用者情報が示す利用者にとって適切であると予測される保険関連商品の組合せが有する特徴との関係性をモデルに学習させる。そして、情報提供装置10は、取得した利用者情報をモデルに入力することで、利用者のペルソナの推定や、各事象のスコアを算出せずとも、保険関連商品の組合せを決定してよい。
【0044】
なお、各保険関連商品は、任意の保険関連商品が採用可能である。例えば、情報提供装置10は、それぞれ異なる事業者により提供される保険関連商品の組合せを決定してもよい。また、情報提供装置10は、終身保険や一年間の保証を行う保険等を組合せてもよい。例えば、情報提供装置10は、所定の期間内において利用者にとって適切と推定される保険関連商品の組合せ(例えば、直近1年の保証を行う保険関連商品の組合せ)を決定してもよい。
【0045】
また、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、利用者の将来のペルソナを推定し、推定したペルソナに基づいて、将来の保証を行う保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、利用者が将来にわたって特定の疾病に罹患する可能性が低い場合は、疾病保険に対する割合を低下させてもよい。
【0046】
また、情報提供装置10は、利用者に配偶者が存在する場合は、配偶者のペルソナに基づいて、その利用者にとって適切な保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、利用者に配偶者が存在する場合は、死亡時の保証額がより高い保険関連商品を選択してもよい。
【0047】
また、保険関連商品によっては、保険加入の際に利用者の心身的あるいは経済的な加入条件が課される場合がある。そこで、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、各保険関連商品を利用者が利用可能であるか否かを判定し、利用者が利用可能であると判定された保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、利用者情報から利用者の心理傾向、利用者が過去に罹患した疾病、罹患する可能性が高い疾病、所定の疾病に罹患する確率、喫煙者であるか否か、家族に所定の疾病に罹患したものがいるか否か、職業、収入等といった加入条件に関する各種の情報を推定する。そして、情報提供装置10は、推定結果と、各保険関連商品の加入条件とを比較し、利用者が利用可能な保険関連商品を特定するとともに、特定した保険関連商品の中から、利用者情報に基づいて、利用者にとって適切な保険関連商品の組合せを決定してもよい。
【0048】
また、情報提供装置10は、保険関連商品の特約を考慮して、保険関連商品の組合せを決定してもよい。例えば、情報提供装置10は、ある利用者に対して死亡保障を行う生命保険と、傷害保険との組合せを選択したが、その障害保険に利用者が死亡した際の死亡保障が特約として含まれている場合には、生命保険を提案対象から除外してもよい。
【0049】
〔2.情報提供装置の構成〕
以下、上記した情報提供装置10が有する機能構成の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報提供装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0050】
通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、利用者端末100との間で情報の送受信を行う。
【0051】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、利用者情報データベース31、利用者属性データベース、保険関連商品データベース33、およびモデルデータベース34(以下「各データベース31~34」と総称する場合がある。)を記憶する。
【0052】
以下、
図3~
図5を用いて、各データベース31~34に登録される情報の一例について説明する。利用者情報データベース31には、利用者情報が登録される。例えば、
図3は、実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
図3に示した例では、利用者情報データベース31は、「利用者ID」、「検索履歴」、「投稿履歴」、「位置履歴」、「閲覧履歴」、「購買履歴」、および「登録情報」等が対応付けて登録されている。なお、利用者情報データベース31には、
図3に示す情報以外にも、利用者に関する情報であれば任意の情報が登録されていてもよい。
【0053】
ここで、「利用者ID」とは、利用者を識別する識別子である。また、「検索履歴」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者が入力した検索クエリの履歴である。また、「投稿履歴」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者が投稿した投稿情報の履歴である。また、「位置履歴」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者の位置の履歴であり、例えば、利用者端末100の位置の履歴である。また、「閲覧履歴」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者が視聴したウェブコンテンツの履歴である。また、「購買履歴」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者が電子商店街で購入した商品や役務等の履歴を示す情報である。また、「登録情報」とは、対応付けられた「利用者ID」が識別する利用者が予め登録した利用者の情報である。
【0054】
例えば、
図3に示す例では、利用者情報データベース31には、利用者ID「利用者#1」、検索履歴「検索履歴#1」、投稿履歴「投稿履歴#1」、位置履歴「位置履歴#1」、閲覧履歴「閲覧履歴#1」、購買履歴「購買履歴#1」、および登録情報「登録情報#1」が対応付けて登録されている。このような情報は、利用者ID「利用者#1」が示す利用者の検索履歴が「検索履歴#1」であり、投稿履歴が「投稿履歴#1」であり、位置履歴が「位置履歴#1」であり、閲覧履歴が「閲覧履歴#1」であり、購買履歴が「購買履歴#1」であり、登録情報が「登録情報#1」である旨を示す。
【0055】
なお、
図3に示す例では、「検索履歴#1」、「投稿履歴#1」、「位置履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購買履歴#1」、「登録情報#1」といった概念的な値について記載したが、実際には、検索クエリとなる文字列や画像、投稿された投稿情報、GPS等によって取得された緯度経度情報、ウェブコンテンツのURL(Uniform Resource Locator)、利用者が購買した取引対象の名所、販売者、価格、購入日時、および利用者の性別等を示す数値や文字列等が登録されることとなる。
【0056】
利用者属性データベース32には、利用者の属性を示す情報(以下、「属性情報」と記載する場合がある。)が登録される。例えば、
図4は、実施形態に係る利用者属性データベースの一例を示す図である。
図4に示した例では、利用者属性データベース32は、「利用者ID」、「デモグラフィック属性」、および「サイコグラフィック属性」が対応付けて登録される。また、「デモグラフィック属性」には、「年代」、「性別」、「住所」、「年収」、「結婚」といった項目が含まれ、「サイコグラフィック属性」には、「趣味」、「購買傾向」といった項目が含まれる。なお、利用者属性データベース32には、
図4に示す情報以外にも、利用の属性に関する任意の情報が登録されていてもよい。
【0057】
ここで、「デモグラフィック属性」は、各項目に示すように、利用者の統計学的な属性を示す情報である。また、「サイコグラフィック属性」とは、各項目に示すように、利用者の心理学的な属性を示す情報である。例えば、
図4に示す例では、利用者ID「利用者#1」に対し、年代「30代」、性別「男性」、住所「住所#1」、年収「年収#1」、結婚「未婚」、趣味「バイク・ツーリング」、および購買傾向「慎重」が対応付けて登録されている。このような情報は、利用者ID「利用者#1」が示す利用者が、30代の男性であり、「住所#1」が示す居所に居住しており、年収が「年収#1」であり、未婚である旨を示す。また、このような情報は、利用者ID「利用者#1」が示す利用者が、バイクによるツーリングを趣味とし、取引対象を慎重に選んでから購買する傾向がある旨を示す。
【0058】
なお、
図4に示す例では、「住所#1」や「年収#1」といった概念的な値について記載したが、実際には、住所を示す文字列や数値、年収を示す数値等が登録される。
【0059】
保険関連商品データベース33には、保険関連商品に関する情報が登録される。例えば、
図5は、実施形態に係る保険関連商品データベースの一例を示す図である。
図5に示した例では、保険関連商品データベース33は、「保険関連商品ID」、「種別」、「保険料」、「加入条件」、「満期期間」、「特約情報」等といった情報が登録されている。なお、保険関連商品データベース33には、
図5に示す情報以外にも、保険関連商品に関する各種の情報が登録されていてもよい。
【0060】
ここで、「保険関連商品ID」とは、保険関連商品を識別する識別子である。また、「種別」とは、保険関連商品の種別(例えば、生命保険であるか、傷害保険であるか等)を示す情報である。また、「保険料」とは、保険関連商品の料金である。また、「加入条件」とは、保険関連商品を利用する際に利用者に対して課される条件である。また、「満期期間」とは、保険が所定の事象に対する補償を行う期間を示す情報である。また、「特約情報」とは、所謂特約を示す情報である。
【0061】
例えば、
図5に示す例では、保険関連商品データベース33には、保険関連商品ID「保険#1」、種別「生命」、保険料「保険料#1」、加入条件「条件#1」、満期期間「終身」、および特約情報「特約#1」が対応付けて登録されている。このような情報は、保険関連商品ID「保険#1」が示す保険関連商品が、終身生命保険であり、保険料が「保険料#1」であり、加入条件が「条件#1」であり、特約が「特約#1」である旨を示す。
【0062】
なお、
図5に示す例では、「保険#1」、「保険料#1」、「条件#1」、「特約#1」といった概念的な値について記載したが、実際には、保険関連商品を識別する数値や文字列、保険料を示す数値、加入条件を示す数値や文字列、特約を示す数値や文字列等が登録される。
【0063】
図2に戻って説明を続ける。モデルデータベース34には、学習済モデルが登録される。例えば、モデルデータベース34には、モデルに入力される情報である入力情報が入力される入力層と、入力層に入力された入力情報に対して所定の処理を順次行う複数の中間層と、複数の中間層のうち最後に処理を行う中間層の出力に基づいて、入力情報に対応する出力情報を生成する出力層とを有するモデルのデータが登録されている。より具体的には、モデルデータベース34には、各ノードの接続関係や、ノード間の接続係数を示すデータが登録される。
【0064】
ここで、モデルは、入力層から出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素とを含み、入力層に入力された情報に対し、出力層以外の各層に属する各要素を第1要素として、第1要素と第1要素の重みとに基づく演算を行うことにより、入力層に入力された情報と対応する情報を出力層から出力するようコンピュータを機能させる。なお、モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定されるものであってもよい。
【0065】
このようなモデルは、入力層に利用者の利用者情報や利用者の属性情報の少なくともいずれか一方が入力された場合に、出力層から、その利用者情報や属性情報と対応する利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを示す情報を出力するようコンピュータを機能させる。例えば、モデルは、CPU及びメモリを備えるコンピュータにて用いられる。具体的には、コンピュータのCPUが、メモリに記憶された学習済モデルからの指令に従って、モデルの入力層に入力された利用者情報や属性情報に対して、ニューラルネットワークにおける学習済みの重みづけ係数と応答関数等に基づく演算を行い、出力層から利用者情報と対応する利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを示す情報を出力するよう動作する。
【0066】
ここで、モデルがDNN等、1つまたは複数の中間層を有するニューラルネットワークで実現される場合、各モデルが含む第1要素とは、入力層または中間層が有するいずれかのノードと見做すことができ、第2要素とは、第1要素と対応するノードから値が伝達されるノード、すなわち、次段のノードと対応し、第1要素の重みとは、第1要素と対応するノードから第2要素と対応するノードに伝達される値に対して考慮される重み、すなわち、接続係数である。
【0067】
ここで、情報提供装置10は、利用者情報データベース31、利用者属性データベース32、保険関連商品データベース33に登録される情報を学習データとして利用することで、流行の伝播先を予測するモデルを生成する。すなわち、利用者情報データベース31、利用者属性データベース32、保険関連商品データベース33に登録される情報は、需要情報が入力される入力層と、出力層と、入力層から出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素とを含み、入力された利用者情報または属性情報の特徴を反映させた重みに基づく演算を行うことにより、入力された利用者情報または属性情報に対応する情報であって、入力された利用者情報または属性情報と対応する利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを示す情報を出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるためのデータである。
【0068】
制御部40は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報提供装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(通知プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0069】
図2に示すように、制御部40は、取得部41、推定部42、決定部43、提供部44、および学習部45を有する。取得部41は、利用者と関連する利用者情報を取得する。例えば、取得部41は、利用者情報として、インターネット上における利用者の行動を示す行動情報を取得する。例えば、取得部41は、検索履歴、投稿履歴、位置履歴、閲覧履歴、購買履歴、登録情報等、インターネットを介して取得可能な利用者に関する情報を取得する。そして、取得部41は、取得した情報を利用者情報として利用者情報データベース31に登録する。
【0070】
推定部42は、取得された利用者情報に基づいて、利用者の属性を推定する。例えば、推定部42は、利用者の属性として、利用者のデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性とを推定する。例えば、推定部42は、利用者情報データベース31に登録された情報に基づいて、利用者の性別、年齢、住所、趣味趣向等を推定する。なお、推定部42は、例えば、利用者情報から利用者の属性情報を推定する所定の推定モデルを用いて、利用者の属性情報を推定してもよい。そして、推定部42は、推定した利用者の属性情報を利用者属性データベース32に登録する。
【0071】
決定部43は、利用者情報に基づいて、保険に関連する複数の保険関連商品から利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。例えば、決定部43は、保険関連商品の組合せとして、それぞれ種別が異なる保険関連商品の組合せを決定する。また、決定部43は、例えば、生命保険、損害保険、傷害保険、疾病保険、個人年金保険、もしくは介護保険のうちすくなくともいずれか1つを含む保険関連商品の組合せを決定する。また、決定部43は、それぞれ異なる業者により提供される保険関連商品の組合せを決定してもよい。
【0072】
例えば、決定部43は、モデルを用いた処理を実行する場合は、モデルデータベース34に登録されたモデルを読み出し、利用者情報データベース31に登録された利用者情報や利用者属性データベース32に登録された属性情報をモデルに入力する。そして、決定部43は、モデルが出力した保険関連商品の組合せを取得する。
【0073】
一方、例えば、決定部43は、ルールベースにより処理を実行する場合は、利用者情報や属性情報に基づいて、保険関連商品データベース33に登録された保険関連商品の組合せを生成する。なお、決定部43は、推定部42による推定された属性情報のみに応じて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定してもよい。
【0074】
例えば、決定部43は、推定されたデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性との組合せに応じて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定してもよい。また、例えば、決定部43は、推定された利用者の属性と関連する事象であって、保険関連商品により保証される事象が生じる確度に応じて、保険関連商品の組合せを決定してもよい。また、決定部43は、利用者情報に基づいて、それぞれ種別が異なる複数の保険関連商品に対する費用の配分を決定し、決定した費用の配分に基づいて、各種別の保険関連商品を選択してもよい。また、決定部43は、保険関連商品のうち、保証対象となる事象が生じる確度が他の事象よりも多い保険関連商品に対する費用の配分を、他の種別の保険関連商品よりも多くしてもよい。
【0075】
提供部44は、決定部43により決定された保険関連商品の組合せを利用者に対して提供する。例えば、提供部44は、保険関連商品データベース33から、決定部43が決定した保険関連商品の組合せに含まれる保険関連商品の情報を読み出す。そして、提供部44は、読み出した情報を利用者端末100へと送信する。
【0076】
学習部45は、モデルの学習を行う。例えば、学習部45は、ある利用者の利用者情報や属性情報をモデルに入力した際に、その利用者に対して提案された保険関連商品の組合せであって、ルールベースに基づいて決定された保険関連商品の組合せを示す情報を出力するように、バックプロパゲーション等の学習手法を用いて、モデルの学習を行う。また、学習部45は、例えば、ある利用者に対して保険関連商品の組合せが提案された場合は、その組合せに含まれる保険関連商品のうち、利用者の評価が高い保険関連商品や、利用者が実際に加入した保険関連商品を特定する。そして、学習部43は、その利用者の利用者情報や属性情報をモデルに入力した際に、利用者の評価が高い保険関連商品や、利用者が実際に加入した保険関連商品を含む保険関連商品の組合せを示す情報を出力するように、モデルの学習を行う。
【0077】
〔3.処理手順〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報提供装置10による決定処理の手順について説明する。
図6は、実施形態に係る決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、情報提供装置10は、利用者情報を取得し(ステップS101)、利用者情報から利用者の属性を推定する(ステップS102)。このような場合、情報提供装置10は、推定した属性に基づいて、各保険関連商品が保証する事象が生じる確度を推定する(ステップS103)。そして、情報提供装置10は、推定した確度に基づいて、各種別の保険関連商品に割り当てる費用の割合を決定し(ステップS104)、決定結果に基づいて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する(ステップS105)。その後、情報提供装置10は、決定した保険関連商品の組合せを提供し(ステップS106)、処理を終了する。
【0078】
〔4.変形例〕
上述した情報提供装置10は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてもよい。そこで、以下では、情報提供装置10の他の実施形態について説明する。
【0079】
〔4-1.情報提供装置について〕
例えば、情報提供装置10は、利用者情報を取得する取得装置と、上述した決定処理を実行する決定装置とが協調して動作することにより、上述した処理を実現してもよい。このような場合、取得装置は、
図2に示す取得部41を有し、決定装置は、推定部42、および決定部43を有することとなる。また、記憶部30に登録された各データベース31~34は、例えば、外部のストレージサーバ等が管理してもよい。
【0080】
〔4-2.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、逆に、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0081】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組合せることが可能である。
【0083】
〔4-3.プログラム〕
また、上述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0084】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0085】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0086】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0087】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0088】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0089】
例えば、コンピュータ1000が情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。
【0090】
〔5.効果〕
上述してきたように、情報提供装置10は、利用者と関連する利用者情報を取得する。そして、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、保険に関連する複数の保険関連商品から利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。このため、情報提供装置10は、利用者に対して適切であると推定される複数の保険関連商品の組合せを示すことができるので、適切な保険態様を提案することができる。
【0091】
また、情報提供装置10は、保険関連商品の組合せとして、それぞれ種別が異なる保険関連商品の組合せを決定する。また、情報提供装置10は、生命保険、損害保険、傷害保険、疾病保険、個人年金保険、もしくは介護保険のうちすくなくともいずれか1つを含む保険関連商品の組合せを決定する。また、情報提供装置10は、それぞれ異なる業者により提供される保険関連商品の組合せを決定する。このため、情報提供装置10は、適切な保険態様の提案を実現できる。
【0092】
また、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、利用者の属性を推定し、推定結果に応じて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。このように、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて利用者のペルソナを推定し、推定したペルソナに応じた保険関連商品の組合せを決定するので、利用者のペルソナに応じて適切な保険態様を提案することができる。
【0093】
また、情報提供装置10は、利用者の属性として、その利用者のデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性とを推定し、推定したデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性との組合せに応じて、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せを決定する。このため、例えば、情報提供装置10は、バイクが好きな30代の男性、すなわち、バイク事故を発生させやすい属性の利用者に対して、生命保険や賠償保険の組合せを提案することができる。
【0094】
情報提供装置10は、推定された利用者の属性と関連する事象であって、保険関連商品により保証される事象が生じる確度に応じて、保険関連商品の組合せを決定する。このため、情報提供装置10は、より発生する可能性が高い事象を保証する保険関連商品を提案できる。
【0095】
また、情報提供装置10は、利用者情報に基づいて、それぞれ種別が異なる複数の保険関連商品に対する費用の配分を決定し、決定した費用の配分に基づいて、各種別の保険関連商品を選択する。例えば、情報提供装置10は、保険関連商品のうち、保険関連商品により保証される事象が生じる確度が他の事象よりも多い事象を保証する種別の保険関連商品に対する費用の配分を、他の種別の保険関連商品よりも多くする。このため、情報提供装置10は、より発生する可能性が高い事象を保証する保険関連商品を重視した組合せを提案できる。
【0096】
また、情報提供装置10は、利用者情報として、インターネット上における利用者の行動を示す行動情報を取得する。このため、情報提供装置10は、保険関連商品の組合せを得るために、利用者に対して様々な情報の入力を求めずとも、利用者に対して適切な保険態様を提案することができる。
【0097】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0098】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、推定部は、推定手段や推定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0099】
10 情報提供装置
20 通信部
30 記憶部
31 利用者情報データベース
32 利用者属性データベース
33 保険関連商品データベース
34 モデルデータベース
40 制御部
41 取得部
42 推定部
43 決定部
44 提供部
45 学習部
100 利用者端末