(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】表示ドライバICチップ、表示モジュール及び表示パネルの駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20231222BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231222BHJP
G09G 3/3275 20160101ALI20231222BHJP
【FI】
G09G3/20 621M
G09G3/20 623V
G09G3/20 623B
G09G3/20 631R
G09G3/36
G09G3/3275
G09G3/20 642K
(21)【出願番号】P 2019137636
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 茂
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 良貴
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-210324(JP,A)
【文献】特開2014-081498(JP,A)
【文献】特開平08-248927(JP,A)
【文献】特開2015-129907(JP,A)
【文献】特開平04-326323(JP,A)
【文献】特開平11-045076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレーム画像に対応する第1フレーム画像データを受け取るように構成されたインターフェース回路部と、
前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域について規定された第1画像領域画像データと第1境界画像データとを抽出し、前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて、ジグザグ画素配置を有する複数の画素を備える表示パネルの複数の表示領域のうちの第1表示領域に対応する第1表示画像データを供給するように構成された画像データ処理回路部と、
前記第1表示画像データに基づいて前記第1表示領域の副画素を駆動するように構成された駆動回路部と
を備え、
前記複数の画素の各画素は、第1種類、第2種類及び第3種類の副画素の組を備え、
前記ジグザグ画素配置では、前記複数の画素が、前記表示パネルにおいて、水平方向において直線状の複数行に配置され、かつ、垂直方向においてジグザグの複数列に、前記ジグザグの複数列のそれぞれにおいて前記第1種類の隣接する副画素の間で物理的に水平方向のオフセットがあるように配置され
、
前記第1境界画像データは、前記第1フレーム画像の第2画像領域の第1部分に位置する前記複数の画素の第1サブセットに対応する画素データを備え、
前記第2画像領域は、前記第1画像領域に隣接しており、
前記第1部分が、前記第1画像領域と前記第2画像領域の間の境界に接している
表示ドライバ
ICチップ。
【請求項2】
前記画像データ処理回路部が、
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを格納するように構成されたバッファメモリを備える
請求項1に記載の表示ドライバ
ICチップ。
【請求項3】
前記バッファメモリが、複数の水平ラインに対応する前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを格納するように構成され、
前記画像データ処理回路部が、更に、ラインメモリを備え、
前記第1画像領域画像データを順次に格納し、
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを前記ラインメモリから前記バッファメモリに転送するように構成された
請求項2に記載の表示ドライバ
ICチップ。
【請求項4】
前記画像データ処理回路部が、
前記バッファメモリに格納された前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに対して画像処理を行うことによって、それぞれ処理後第1画像領域画像データと処理後第1境界画像データとを生成し、
前記処理後第1画像領域画像データと前記処理後第1境界画像データとに基づいて前記第1表示画像データを前記駆動回路部に供給するように構成された
請求項2に記載の表示ドライバ
ICチップ。
【請求項5】
前記画像データ処理回路部は、当該表示ドライバ
ICチップが第1動作モードに設定されたとき、
前記第1フレーム画像データから前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを抽出し、
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを前記バッファメモリに格納し、
前記バッファメモリに格納された前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて前記第1表示画像データを前記駆動回路部に供給するように構成され、
前記画像データ処理回路部は、当該表示ドライバ
ICチップが第2動作モードに設定されたとき、
前記第1フレーム画像データから第2画像領域画像データと第2境界画像データとを抽出し、
前記第2画像領域画像データと前記第2境界画像データとを前記バッファメモリに格納し、
前記バッファメモリに格納された前記第2画像領域画像データと前記第2境界画像データとに基づいて、前記複数の表示領域のうちの第2表示領域に対応する第2表示画像データを前記駆動回路部に供給するように構成され、
前記第2画像領域画像データが、前記第2画像領域に対応する画像データを備え、
前記第2境界画像データが前記第1画像領域の第2部分に位置する前記複数の画素の第2サブセットに対応する画素データを備え、
前記第2部分が、前記第1画像領域と前記第2画像領域との間の境界に接している
請求項2に記載の表示ドライバ
ICチップ。
【請求項6】
前記複数の表示領域の数が3以上であり、
前記第1画像領域が、前記第1フレーム画像の端に位置し、
前記第2画像領域が、前記第1フレーム画像の中間に位置し、
前記画像データ処理回路部は、当該表示ドライバ
ICチップが第1動作モードに設定されたとき、
前記第1フレーム画像データから、
前記第1画像領域画像データと
前記第1境界画像データとを抽出し、
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを前記バッファメモリに格納し、
前記バッファメモリに格納された前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて前記第1表示画像データを前記駆動回路部に供給するように構成され、
前記画像データ処理回路部は、当該表示ドライバ
ICチップが第2動作モードに設定されたとき、
前記第1フレーム画像データから、第2画像領域画像データと第2境界画像データと第3境界画像データとを抽出し、
前記第2画像領域画像データと前記第2境界画像データと前記第3境界画像データとを前記バッファメモリに格納し、
前記バッファメモリに格納された前記第2画像領域画像データと前記第2境界画像データと前記第3境界画像データとに基づいて、前記複数の表示領域のうちの第2表示領域に対応する第2表示画像データを前記駆動回路部に供給するように構成され、
前記第2画像領域画像データは、前記
第2画像領域に対応する画素データを備え、
前記第2境界画像データは、前記第1フレーム画像の前記第2画像領域に隣接する第3画像領域の第2部分に位置する前記複数の画素の第2サブセットに対応する画素データを備え、
前記第2部分は、前記第2画像領域と前記第3画像領域との間の境界に接しており、
前記第3境界画像データは、前記第1フレーム画像の前記第3画像領域と反対側で前記第2画像領域に隣接する第4画像領域の第3部分に位置する前記複数の画素の第3サブセットに対応する画素データを備え、
前記第3部分が前記第2画像領域と前記第4画像領域の間の境界に接している
請求項
2に記載の表示ドライバ
ICチップ。
【請求項7】
表示ドライバICチップであって、
第1水平方向解像度を有する第1フレーム画像に対応する第1フレーム画像データを受け取るように構成されたインターフェース回路部と、
バッファメモリを備え
る画像データ処理回路部であって、
前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域について規定された第1画像領域画像データと、第1境界画像データとを抽出し、
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとを前記バッファメモリに格納し、
前記バッファメモリに格納された
前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて、ジグザグ画素配置を有する表示パネルの複数の表示領域のうちの第1表示領域に対応する第1表示画像データを供給するように構成された画像データ処理回路部と、
前記第1表示画像データに基づいて前記第1表示領域の表示素子を駆動するように構成された駆動回路部と、
を備え、
前記画像データ処理回路部は、
当該表示ドライバ
ICチップが、前記第1フレーム画像の前記第1水平方向解像度の半分である第2水平方向解像度の第2フレーム画像を表示する単独動作モードに設定されたとき、前記第2フレーム画像に対応する第2フレーム画像データを受け取り、
当該表示ドライバ
ICチップが前記単独動作モードに設定されたとき、前記インターフェース回路部が受け取った前記第2フレーム画像データの全部を前記バッファメモリに格納するように構成され、
前記駆動回路部は、当該表示ドライバ
ICチップが前記単独動作モードに設定されたとき、前記バッファメモリに格納された前記第2フレーム画像データに基づいて第2の表示パネルを駆動するように構成された
表示ドライバ
ICチップ。
【請求項8】
ジグザグ画素配置を有する複数の画素を備え、複数の表示領域を備える表示パネルと、
前記複数の表示領域を駆動するように構成された複数の表示ドライバ
ICチップと
を備え、
前記複数の画素の各画素は、第1種類、第2種類及び第3種類の副画素の組を備え、
前記ジグザグ画素配置では、前記複数の画素が、前記表示パネルにおいて、水平方向において直線状の複数行に配置され、かつ、垂直方向においてジグザグの複数列に、前記ジグザグの複数列のそれぞれにおいて前記第1種類の隣接する副画素の間で物理的に水平方向のオフセットがあるように配置され、
前記複数の表示ドライバ
ICチップのうちの第1表示ドライバ
ICチップが、
第1フレーム画像に対応する第1フレーム画像データを受け取るように構成された第1インターフェース回路部と、
前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域について規定された第1画像領域画像データと、第1境界画像データとを抽出し、前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて第1表示画像データを供給するように構成された第1画像データ処理回路部と、
前記第1表示画像データに基づいて、前記複数の表示領域のうちの第1表示領域の副画素を駆動するように構成された第1駆動回路部と
を備え、
前記第1境界画像データは、前記第1フレーム画像の前記第1画像領域に隣接する第2画像領域の第1部分に位置する前記複数の画素のサブセットに対応する画素データを備え、
前記第1部分が、前記第1画像領域と前記第2画像領域の間の境界に接している
表示モジュール。
【請求項9】
複数の画素を備える表示パネルを駆動する方法であって、
第1フレーム画像に対応する第1フレーム画像データを第1表示ドライバ
ICチップで受け取ることと、
前記第1表示ドライバ
ICチップにより、前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域について規定された第1画像領域画像データと、第1境界画像データとを抽出することと、
前記第1表示ドライバ
ICチップにより、前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて、前記表示パネルの複数の表示領域のうちの第1表示領域に対応する第1表示画像データを生成することと、
前記第1表示ドライバ
ICチップにより、前記第1表示画像データに基づいて前記第1表示領域の表示素子を駆動することと
を含み、
前記複数の画素の各画素は、第1種類、第2種類及び第3種類の副画素の組を備え、
前記表示パネルの前記複数の画素は、ジグザグ画素配置を有しており、
前記ジグザグ画素配置では、前記複数の画素が、前記表示パネルにおいて、水平方向において直線状の複数行に配置され、かつ、垂直方向においてジグザグの複数列に、前記ジグザグの複数列のそれぞれにおいて前記第1種類の隣接する副画素の間で物理的に水平方向のオフセットがあるように配置され、
前記第1境界画像データが、前記複数の画素のうちの、前記第1フレーム画像の前記第1画像領域に隣接する第2画像領域の第1部分に位置する画素に対応する画素データを備え、
前記第1部分が、前記第1画像領域と前記第2画像領域の間の境界に接している
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示ドライバICチップ、表示モジュール及び表示パネルの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルは、隣接する水平ラインの間で画素の配列がずれているジグザグ配置を採用することがある。一方で、特に表示パネルが大型の場合、表示パネルを複数の表示ドライバICチップを用いて駆動することがある。この場合、該複数の表示ドライバICチップは、ジグザグ配置に対応する動作を行うことがある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、表示ドライバICチップが、第1フレーム画像を表す第1フレーム画像データを受け取るように構成されたインターフェース回路部と、前記第1フレーム画像データのうちの少なくとも一部の画像データを格納するように構成されたバッファメモリを備え、前記バッファメモリに格納された前記少なくとも一部の画像データに基づいて、ジグザグ配置を採用する表示パネルの複数の表示領域のうちの第1表示領域に対応する第1表示画像データを供給するように構成された画像データ処理回路部と、前記第1表示画像データに基づいて前記第1表示領域の表示素子を駆動するように構成された駆動回路部とを備える。
【0004】
一実施形態では、表示モジュールが、ジグザグ配置を採用しており、複数の表示領域を備える表示パネルと、前記複数の表示領域をそれぞれに駆動する複数の表示ドライバICチップとを備えている。前記複数の表示ドライバICチップのうちの第1表示ドライバICチップが、第1フレーム画像を表す第1フレーム画像データを受け取るように構成された第1インターフェース回路部と、前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域に対応する第1画像領域画像データと、第1境界画像データとを抽出して第1バッファメモリに格納し、前記バッファメモリに格納された前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて第1表示画像データを供給する第1画像データ処理回路部と、前記第1表示画像データに基づいて、前記複数の表示領域のうちの第1表示領域の表示素子を駆動するように構成された第1駆動回路部とを備えている。前記第1境界画像データは、前記第1フレーム画像の前記第1画像領域に隣接する第2画像領域の、前記第1画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。
【0005】
一実施形態では、表示パネルの駆動方法が、第1フレーム画像を表す第1フレーム画像データを第1表示ドライバICチップで受け取ることと、前記第1表示ドライバICチップにおいて、前記第1フレーム画像データから、前記第1フレーム画像の第1画像領域に対応する第1画像領域画像データと、前記第1フレーム画像の前記第1画像領域に隣接する第2画像領域の、前記第1画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備える第1境界画像データとを抽出して第1バッファメモリに格納することと、前記第1表示ドライバICチップにおいて、前記第1バッファメモリに格納された前記第1画像領域画像データと前記第1境界画像データとに基づいて、ジグザグ配置を採用する表示パネルの複数の表示領域のうちの第1表示領域に対応する第1表示画像データを生成することと、前記第1表示ドライバICチップにより、前記第1表示画像データに基づいて前記第1表示領域の表示素子を駆動することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態における表示モジュールの構成を示している。
【
図2】一実施形態における表示パネルの構成を示している。
【
図3】一実施形態における表示パネルの構成を示している。
【
図4】一実施形態における表示ドライバICチップの構成及び動作を示している。
【
図5】一実施形態における表示ドライバICチップの構成及び動作を示している。
【
図6】一実施形態におけるデータ抽出回路部の動作例を示している。
【
図7】一実施形態における表示モジュールの構成を示している。
【
図8】一実施形態における表示ドライバICチップの動作を示している。
【
図9】一実施形態における表示モジュールの構成を示している。
【
図10】一実施形態における表示ドライバICチップの構成及び動作を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下において、同一の構成要素を同一の参照符号で示すことがある。また、同一の構成要素を区別する場合、添字を用いることがある。
【0008】
一実施形態では、
図1に示すように、表示モジュール100が、水平方向の解像度が3840画素であるフレーム画像の表示に対応するように構成される。一実施形態では、表示モジュール100が、表示パネル1と複数の表示ドライバICチップ2とを備えている。
【0009】
一実施形態では、表示パネル1が、表示ドライバICチップ2の数と同数の表示領域3に区分される。一実施形態では、表示ドライバICチップ2の数が2であり、該2つの表示ドライバICチップ2が同一構成を有している。一実施形態では、表示領域3は、水平方向に並んで配置された、左側領域3
1と右側領域3
2とを備えている。
図1では、水平方向が、xy座標系のx軸で示されている。一実施形態では、左側領域3
1と右側領域3
2とは、表示パネル1の中央に位置する境界1aで隣接している。一実施形態では、左側領域3
1にフレーム画像の左側半分の画像領域が表示され、右側領域3
2にフレーム画像の右側半分の画像領域が表示される。
【0010】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が、表示パネル1の左側領域31に配置された表示素子を駆動する左チップ21と、右側領域32に配置された表示素子を駆動する右チップ22とを備えている。
【0011】
一実施形態では、左チップ21及び右チップ22は、バス5を介したマルチドロップ通信をホスト4との間で行うように構成されている。一実施形態では、フレーム画像全体を表すフレーム画像データが、該マルチドロップ通信によって左チップ21及び右チップ22の両方に送られる。一実施形態では、フレーム画像データが、フレーム画像の各画素について各色の階調値を記述する画素データを備えている。左チップ21は、受け取ったフレーム画像データに基づいて左側領域31に配置された表示素子を駆動し、右チップ22は、受け取った画像データに基づいて右側領域32に配置された表示素子を駆動する。
【0012】
図2に示すように、一実施形態では、複数の画素6が表示パネル1に配置される。一実施形態では、各画素6が、R副画素7Rと、G副画素7Gと、B副画素7Bとを備えている。
図2において、R副画素7R、G副画素7G及びB副画素7Bは、それぞれ、記号“R”、“G”、“B”で示されている。以下において、色を考慮しない場合、R副画素7Rと、G副画素7G及びB副画素7Bを副画素7と総称することがある。
【0013】
一実施形態では、R副画素7Rと、G副画素7G及びB副画素7Bが、それぞれ、赤色、緑色及び青色を表示する表示素子を備えている。表示パネル1としてOLED(organic light emitting diode display)表示パネルが用いられる場合、一実施形態では、各表示素子が、発光素子、選択トランジスタ及び保持容量を備えていてもよい。表示パネル1として液晶表示パネルが用いられる場合、一実施形態では、各表示素子が、画素電極、選択トランジスタ及び保持容量を備えていてもよい。一実施形態では、各画素6は、赤色、緑色、青色以外の色を表示する副画素7を備えていてもよい。
【0014】
一実施形態では、表示パネル1にジグザグ配置が採用される。一実施形態では、表示パネル1が、隣接する水平ラインの間で画素6の配置がシフトしているように構成される。一実施形態では、
図2に示すように、偶数番目の水平ラインの画素6の配置が、奇数番目の水平ラインの画素6の配置に対して、1個の副画素7の分だけ左方向にシフトしている。
【0015】
画素6の配置がシフトする方向及びシフトする量は、様々に変更可能である。一実施形態では、
図3に示すように、偶数番目の水平ラインの画素6の配置が、奇数番目の水平ラインの画素6の配置に対して、1個の副画素7の分だけ右方向にシフトしていてもよい。左方向、右方向のいずれのシフトについても、シフトする量は、2個の副画素7であってもよい。
【0016】
一実施形態では、表示パネル1にジグザグ配置が採用される場合、左側領域3
1の境界1aの近傍にある副画素7が、元のフレーム画像において右側半分の画像領域にある画素の画素データに応じて駆動されることがある。一実施形態では、
図2に示されている表示パネル1に画像が表示される場合に、符号8で示された偶数番目の水平ラインに位置するR副画素7Rは、左側領域3
1に位置しているにも拘らず、元のフレーム画像の右側の画像領域の、左側の画像領域との境界に接する画素の画素データの赤色の階調値に応じて駆動される。
【0017】
一実施形態では、右側領域3
2の境界1aの近傍にある副画素7が、元のフレーム画像において左側半分の画像領域にある画素に対応する画素データに応じて駆動されることがある。一実施形態では、
図3に示されている表示パネル1に画像が表示される場合に、符号9で示された偶数番目の水平ラインに位置するB副画素7Bは、右側領域3
2に位置しているにも拘らず、元のフレーム画像の左側半分の画像領域の、右側半分の画像領域との境界に接する画素の画素データの青色の階調値に応じて駆動される。
【0018】
一実施形態では、
図4に示すように、左チップ2
1、右チップ2
2が同一構成を有している。一実施形態では、表示ドライバICチップ2が、左チップ2
1、右チップ2
2のいずれとしても動作可能である。一実施形態では、表示ドライバICチップ2が、左動作モードに設定されると、左チップ2
1として動作し、右動作モードに設定されると、右チップ2
2として動作する。
【0019】
一実施形態では、左チップ21、右チップ22のそれぞれが、インターフェース回路部11と、画像データ処理回路部12と、駆動回路部13とを備えている。
【0020】
一実施形態では、インターフェース回路部11は、ホスト4から画像データを受け取って画像データ処理回路部12に転送する。一実施形態では、表示ドライバICチップ2とホスト4との間の通信がLVDS(low voltage differential signaling)によって行われ、インターフェース回路部11が、LVDSインターフェースを備えている。一実施形態では、インターフェース回路部11が各垂直同期期間に受け取り、画像データ処理回路部12に転送するフレーム画像データ31は、1フレーム画像の全ての画素に対応する画素データを備えている。
【0021】
一実施形態では、フレーム画像データ31が、左側画像データ32と、右側画像データ33を備えている。一実施形態では、左側画像データ32が、フレーム画像の左側の画像領域に対応しており、左側の画像領域の画素の各色の階調値を記述している。一実施形態では、右側画像データ33が、フレーム画像の右側の画像領域に対応しており、右側の画像領域の画素の各色の階調値を記述している。
【0022】
一実施形態では、1水平ラインに対応する左側画像データ32が、フレーム画像の水平方向解像度の半分の画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、フレーム画像の水平方向解像度が3840画素であり、1水平ラインに対応する左側画像データ32は、1920画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、1水平ラインに対応する右側画像データ33が、同様に、フレーム画像の水平方向解像度の半数の画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、1水平ラインに対応する右側画像データ33が、1920画素に対応する画素データを備えている。
【0023】
一実施形態では、画像データ処理回路部12は、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ31に基づいて、駆動回路部13が表示パネル1の駆動に用いる表示画像データ34を生成する。
図4において、左チップ2
1の画像データ処理回路部12によって生成される表示画像データ34は、添字が添付された符号34
1によって示されており、右チップ2
2の画像データ処理回路部12によって生成される表示画像データ34は、添字が添付された符号34
2によって示されている。
【0024】
一実施形態では、左チップ21の駆動回路部13が、画像データ処理回路部12から受け取った表示画像データ341に応じて表示パネル1の左側領域31の表示素子を駆動し、右チップ22の駆動回路部13が、画像データ処理回路部12から受け取った表示画像データ342に応じて表示パネル1の右側領域32の表示素子を駆動する。
【0025】
一実施形態では、画像データ処理回路部12が、ラインメモリ21と、バッファメモリ22と、画像処理IP(intellectual property)コア23と、IP制御回路部24と、ラインラッチ25とを備えている。
【0026】
一実施形態では、ラインメモリ21が、インターフェース回路部11から受け取った1水平ライン分のフレーム画像データ31を格納するように構成される。一実施形態では、元のフレーム画像の水平方向の解像度が3840画素であり、ラインメモリ21が、3840画素に対応するフレーム画像データ31を格納する容量を有している。
【0027】
一実施形態では、バッファメモリ22が、ラインメモリ21から逐次にフレーム画像データ31を受け取り、受け取ったフレーム画像データ31を格納するように構成される。一実施形態では、バッファメモリ22が、複数水平ライン分のフレーム画像データ31を格納するように構成されている。
図4には、バッファメモリ22が68水平ラインのフレーム画像データ31を格納する構成が図示されている。一実施形態では、バッファメモリ22がFIFO(first-in-first out)動作を行い、新しい1水平ラインのフレーム画像データを受け取ると、最も古い水平ラインのフレーム画像データを出力する。
【0028】
一実施形態では、左チップ21、右チップ22のそれぞれに、タッチパネルへの物体の接触又は近接を検出する近接検出を行うためのタッチコントローラ(図示されない)が設けられる。このような場合、一実施形態では、バッファメモリ22がフレーム画像データ31を格納する水平ラインの数が、各水平同期期間においてタッチコントローラによる近接検出のための時間を確保するために十分であるように選択される。
【0029】
一実施形態では、画像処理IPコア23が、バッファメモリ22から受け取ったフレーム画像データ31に対して所望の処理を行って処理後画像データ35を生成する。
図4において、左チップ2
1の画像データ処理回路部12によって生成される処理後画像データ35は、添字が添付された符号35
1によって示されており、右チップ2
2の画像データ処理回路部12によって生成される処理後画像データ35は、添字が添付された符号35
2によって示されている。一実施形態では、画像処理IPコア23によって行われる処理が、IP制御回路部24によって制御される。
【0030】
一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア23によって生成される処理後画像データ351が、処理後左側画像データ36と処理後右境界画像データ37とを備えている。一実施形態では、処理後左側画像データ36が、フレーム画像データ31のうちの左側画像データ32に基づいて生成される。一実施形態では、処理後左側画像データ36は、左側画像データ32に対して所望の画像処理を行うことで生成される。一実施形態では、その代わりに、フレーム画像データ31から抽出された左側画像データ32が、そのまま処理後左側画像データ36として用いられる。一実施形態では、処理後右境界画像データ37が、右側画像データ33の、フレーム画像の右側の画像領域の、左側の画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データに基づいて生成される。一実施形態では、右側画像データ33から、フレーム画像の右側の画像領域の、左側の画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データが抽出され、抽出された画像データに対して画像処理を行うことで処理後右境界画像データ37が生成される。一実施形態では、その代わりに、右側画像データ33から抽出された当該画素データが、そのまま、処理後右境界画像データ37として用いられる。
【0031】
一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア23によって生成される処理後画像データ352が、処理後右側画像データ38と処理後左境界画像データ39とを備えている。一実施形態では、処理後右側画像データ38が、フレーム画像データ31のうちの右側画像データ33に基づいて生成される。一実施形態では、処理後右側画像データ38が、右側画像データ33に対して所望の画像処理を行うことで生成される。一実施形態では、その代わりに、フレーム画像データ31から抽出された右側画像データ33が、そのまま処理後右側画像データ38として用いられる。一実施形態では、処理後左境界画像データ39が、左側画像データ32のうち、フレーム画像の左側の画像領域の、右側の画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データに基づいて生成される。一実施形態では、左側画像データ32から、フレーム画像の左側の画像領域の、右側の画像領域との境界に接する部分に位置する画素に対応する画素データが抽出され、抽出された画像データに対して画像処理を行うことで処理後左境界画像データ39が生成される。一実施形態では、その代わりに、左側画像データ32から抽出された当該画像データが、そのまま、処理後左境界画像データ39として用いられる。
【0032】
一実施形態では、ラインラッチ25が、1水平ラインに対応する処理後画像データ35を格納するように構成される。一実施形態では、左チップ21のラインラッチ25が、処理後画像データ351を格納するように構成され、右チップ22のラインラッチ25が、処理後画像データ352を格納するように構成される。一実施形態では、ラインラッチ25は、駆動回路部13にデータ転送が可能であるように構成される。
【0033】
一実施形態では、ラインラッチ25から駆動回路部13へのデータ転送においてデータ並び替えが行われ、これにより表示画像データ34が駆動回路部13に供給される。データ並び替えは、表示パネル1の画素6の配置に合わせて行われる。一実施形態では、左チップ21においてラインラッチ25に格納された処理後画像データ351のうち、左側領域31の表示素子の駆動に用いられる画像データが、表示パネル1の画素6の配置に応じて選択され、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、駆動回路部13に転送された当該画像データが、表示画像データ341として用いられる。一実施形態では、同様に、右チップ22においてラインラッチ25に格納された処理後画像データ352のうち、右側領域32の表示素子の駆動に用いられる画像データが、表示パネル1の画素6の配置に応じて選択され、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、駆動回路部13に転送された当該画像データが、表示画像データ342として用いられる。
【0034】
一実施形態では、左チップ21において生成される処理後画像データ351が、フレーム画像の全ての水平ラインについて処理後右境界画像データ37を備えており、右チップ22において生成される処理後画像データ352が、フレーム画像の全ての水平ラインについて処理後左境界画像データ39を備えている。このような実施形態では、ラインラッチ25から駆動回路部13へのデータ転送におけるデータ並び替えを変更することで、表示パネル1の様々な画素6の配置に適合した表示画像データ341、342を生成することができる。
【0035】
一実施形態では、
図5に示すように、各表示ドライバICチップ2の画像データ処理回路部12Aが、データ抽出回路部41と、ラインメモリ42と、バッファメモリ43と、画像処理IPコア44と、IP制御回路部45と、ラインラッチ46とを備えている。
【0036】
一実施形態では、インターフェース回路部11が各垂直同期期間に受け取るフレーム画像データ31が1フレーム画像の全ての画素に対応する画素データを備えており、データ抽出回路部41は、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ31のうちから、ラインメモリ42とバッファメモリ43とに格納すべき画像データを抽出する。一実施形態では、抽出された画像データが、ラインメモリ42に転送される。
【0037】
一実施形態では、左チップ21のデータ抽出回路部41は、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ31のうちから、左側画像データ32と、右境界画像データ51とを抽出する。一実施形態では、右境界画像データ51は、フレーム画像の右側の画像領域のうち、左側の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、抽出された左側画像データ32及び右境界画像データ51が、左チップ21のラインメモリ42に転送される。
【0038】
一実施形態では、右チップ22のデータ抽出回路部41は、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ31のうちから、右側画像データ33と左境界画像データ52とを抽出する。一実施形態では、左境界画像データ52は、フレーム画像の左側の画像領域のうち、右側の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、抽出された右側画像データ33及び左境界画像データ52が、右チップ22のラインメモリ42に転送される。
【0039】
一実施形態では、1水平ラインに対応する右境界画像データ51及び左境界画像データ52は、画像処理IPコア44において行われる画像処理に応じて決められた数の画素の画素データを含んでいる。一実施形態では、画像処理IPコア44が、同一水平ラインに位置するα個の画素(αは、2以上の自然数)で構成されるブロックを単位として画像処理を行うように構成されており、1水平ラインに対応する右境界画像データ51及び左境界画像データ52は、それぞれ、1ブロックのα個の画素に対応する画素データを含んでいる。
図5には、1ブロックが8個の画素で構成される場合が図示されている。
【0040】
一実施形態では、左チップ21のラインメモリ42は、データ抽出回路部41から受け取った左側画像データ32と右境界画像データ51を順次に格納し、バッファメモリ43に順次に転送する。一実施形態では、右チップ22のラインメモリ42は、データ抽出回路部41から受け取った右側画像データ33と左境界画像データ52とを順次に格納し、バッファメモリ43に順次に転送する。
【0041】
データ抽出回路部41の動作例を示す
図6を参照して、一実施形態では、水平同期期間が開始されると、フレーム画像データ31の画素データが、順次にホスト4から左チップ2
1及び右チップ2
2のインターフェース回路部11に送信される。
図6においてフレーム画像の左からi番目の画素の画素データが、記号“#i”で示されている。フレーム画像の水平方向解像度が3840画素である一実施形態では、まず、左側画像データ32を構成する画素データ#1~#1920が順次にインターフェース回路部11に送信され、続いて、右側画像データ33を構成する画素データ#1921~#3840が順次にインターフェース回路部11に送信される。
【0042】
一実施形態では、左チップ21のデータ抽出回路部41が、画素データ#1~#1920を、左側画像データ32として抽出し、更に、画素データ#1921~#1928を、右境界画像データ51として抽出する。このような実施形態は、画像処理IPコア44が、同一水平ラインに位置する8個の画素で構成されるブロックを単位として画像処理を行うように構成される場合に対応している。一実施形態では、抽出された左側画像データ32及び右境界画像データ51が、ラインメモリ42に転送されて格納される。一実施形態では、ラインメモリ42に格納された左側画像データ32及び右境界画像データ51は、次の水平同期期間においてバッファメモリ43に転送される。
【0043】
一実施形態では、右チップ22のデータ抽出回路部41が、画素データ#1913~#1920を、左境界画像データ52として抽出し、更に、画素データ#1921~#3840を、右側画像データ33として抽出する。一実施形態では、抽出された左境界画像データ52及び右側画像データ33が、ラインメモリ42に転送されて格納される。一実施形態では、ラインメモリ42に転送されて格納された左境界画像データ52及び右側画像データ33は、次の水平同期期間においてバッファメモリ43に転送される。
【0044】
図6に示すようなデータ抽出回路部41の動作は、ジグザグ配置を採用する表示パネル1の駆動を可能にする一方で、ラインメモリ42及びバッファメモリ43の容量の低減に有用である。
【0045】
図5に戻り、一実施形態では、左チップ2
1の画像処理IPコア44が、バッファメモリ43から左側画像データ32及び右境界画像データ51を受け取り、受け取った左側画像データ32及び右境界画像データ51に基づいて処理後画像データ35
1を生成する。一実施形態では、処理後画像データ35
1が処理後左側画像データ36と処理後右境界画像データ37とを備えている。一実施形態では、処理後左側画像データ36が、フレーム画像データ31の左側画像データ32に基づいて生成され、処理後右境界画像データ37が、右境界画像データ51に基づいて生成される。一実施形態では、処理後左側画像データ36は、左側画像データ32に対して所望の画像処理を行うことで生成される。一実施形態では、左側画像データ32がそのまま処理後左側画像データ36として用いられる。一実施形態では、処理後右境界画像データ37が、右境界画像データ51に基づいて生成される。一実施形態では、右境界画像データ51に対して画像処理を行うことで処理後右境界画像データ37が生成される。一実施形態では、右境界画像データ51が、そのまま、処理後右境界画像データ37として用いられる。
【0046】
一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア44が、バッファメモリ43から右側画像データ33及び左境界画像データ52を受け取り、受け取った右側画像データ33及び左境界画像データ52に基づいて処理後画像データ352を生成する。一実施形態では、処理後画像データ352が処理後右側画像データ38と処理後左境界画像データ39とを備えている。一実施形態では、処理後右側画像データ38が、フレーム画像データ31のうちの右側画像データ33に基づいて生成され、処理後左境界画像データ39が、左境界画像データ52に基づいて生成される。一実施形態では、処理後右側画像データ38は、右側画像データ33に対して所望の画像処理を行うことで生成される。一実施形態では、右側画像データ33がそのまま処理後右側画像データ38として用いられる。一実施形態では、処理後左境界画像データ39が、左境界画像データ52に基づいて生成される。一実施形態では、左境界画像データ52に対して画像処理を行うことで処理後左境界画像データ39が生成される。一実施形態では、左境界画像データ52が、そのまま、処理後左境界画像データ39として用いられる。
【0047】
一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア44と、右チップ22の画像処理IPコア44とが、画像処理に用いる制御データを交換してもよい。一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア44は、左側画像データ32に基づいてフレーム画像の左側の画像領域の特徴量を算出し、算出した特徴量を右チップ22の画像処理IPコア44に送信する。一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア44は、左側画像データ32に基づいてフレーム画像の左側の画像領域の特徴量、例えばAPL(average picture level)を算出し、算出した特徴量を左チップ21の画像処理IPコア44に送信する。一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア44が、自身が算出した特徴量と右チップ22が算出した特徴量とに基づいてフレーム画像全体の特徴量を算出し、算出したフレーム画像全体の特徴量に基づいて画像処理を行う。一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア44が、自身が算出した特徴量と左チップ21が算出した特徴量とに基づいてフレーム画像全体の特徴量を算出し、算出したフレーム画像全体の特徴量に基づいて画像処理を行う。このような動作は、左チップ21、右チップ22の画像処理IPコア44の両方が、フレーム画像全体の特徴量、例えば、APLに基づく画像処理を行うことを可能にする。
【0048】
一実施形態では、処理後画像データ35
1、35
2に対して
図4に示す構成と同様のデータ転送が行われ、駆動回路部13に表示画像データ34
1、34
2が供給される。一実施形態では、このデータ転送において、表示パネル1の画素6の配置に合わせたデータ並び替えが行われる。一実施形態では、左チップ2
1の駆動回路部13が、画像データ処理回路部12から受け取った表示画像データ34
1に応じて表示パネル1の左側領域3
1の表示素子を駆動し、右チップ2
2の駆動回路部13が、画像データ処理回路部12から受け取った表示画像データ34
2に応じて表示パネル1の右側領域3
2の表示素子を駆動する。
【0049】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が、左動作モードに設定されると
図5に示す左チップ2
1として動作し、右動作モードに設定されると
図5に示す右チップ2
2として動作する。
【0050】
一実施形態では、
図7に示すように、表示ドライバICチップ2が、更に、水平方向の解像度が
図1に示す表示パネル1の半分である表示パネル1Aを駆動する単独動作モードを有している。このような実施形態では、表示ドライバICチップ2は、表示モジュール100Aにおいて単独で表示パネル1Aを駆動可能である。
【0051】
図8に示すように、一実施形態では、表示ドライバICチップ2が単独動作モードに設定されると、データ抽出回路部41の動作が停止され、インターフェース回路部11は、ホスト4から受け取ったフレーム画像データ53を、そのままラインメモリ42に順次に転送する。一実施形態では、ラインメモリ42に転送されたフレーム画像データ53が、更に、バッファメモリ43に転送されて格納される。一実施形態では、画像処理IPコア44は、バッファメモリ43からフレーム画像データ53を受け取り、受け取ったフレーム画像データ53に対して画像処理を行って処理後画像データ54を生成する。一実施形態では、処理後画像データ54は、ラインラッチ46に転送され、更に、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、駆動回路部13は、処理後画像データ54に基づいて表示パネル1Aの表示素子を駆動する。
【0052】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が単独動作モードに設定されると、左動作モード又は右動作モードに設定された場合と比べ、バッファメモリ43に格納される画像データの一水平ライン当たりの画素数が低減される。一実施形態では、表示ドライバICチップ2が単独動作モードに設定されると、バッファメモリ43に画像データが格納される水平ラインの数が増加される。このような動作は、例えば、表示ドライバICチップ2にタッチコントローラ(図示されない)が集積化される場合に有用である。一実施形態では、より多くの水平ラインに対応する画像データをバッファメモリ43に格納することは、各水平同期期間においてタッチコントローラによる近接検出のための時間を十分に確保するために有用である。
【0053】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が左動作モードに設定されると、p水平ラインに対応する左側画像データ32及び右境界画像データ51がバッファメモリ43に格納される。pは、2以上の自然数であり、
図5に示す実施形態では、pが66である。一実施形態では、pが、バッファメモリ43の容量及び水平方向の解像度に基づいて決定される。一実施形態では、1水平ラインに対応する左側画像データ32が、1920画素に対応する画素データを備えており、一水平ラインに対応する右境界画像データ51が8画素に対応する画素データを備えている。このような実施形態では、左動作モードにおいてバッファメモリ43が各水平ラインについて画像データを格納する画素の数は、1928である。
【0054】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が右動作モードに設定された場合、p水平ラインに対応する右側画像データ33及び左境界画像データ52がバッファメモリ43に格納される。一実施形態では、1水平ラインに対応する右側画像データ33が、1920画素に対応する画素データを備えており、一水平ラインに対応する左境界画像データ52が8画素に対応する画素データを備えている。このような実施形態では、右動作モードにおいてバッファメモリ43が各水平ラインについて画像データを格納する画素の数は、1928である。
【0055】
一実施形態では、表示ドライバICチップ2が単独動作モードに設定されると、q水平ラインに対応するフレーム画像データ53がバッファメモリ43に格納される。ここで、qは、pよりも大きい自然数である。
図8に示す実施形態ではqが68である。一実施形態では、1水平ラインに対応するフレーム画像データ53が、1920画素に対応する画素データを備えている。このような実施形態では、単独動作モードにおいてバッファメモリ43が各水平ラインについて画像データを格納する画素の数は、1920である。
【0056】
一実施形態では、
図9に示すように、表示モジュール100Bにおいて、表示パネル1が3個の表示ドライバICチップ2によって駆動される。一実施形態では、表示パネル1が水平方向に並ぶ3つの表示領域3に区分される。一実施形態では、該3つの表示領域3が、左側領域3
1と右側領域3
2と中間領域3
3とを備えている。左側領域3
1と中間領域3
3とは、境界1bを挟んで隣接しており、中間領域3
3と右側領域3
2とは、境界1cを挟んで隣接している。一実施形態では、3個の表示ドライバICチップ2が、左側領域3
1を駆動する左チップ2
1と、右側領域3
2を駆動する右チップ2
2と、中間領域3
3を駆動する中間チップ2
3とを備えている。
【0057】
一実施形態では、左チップ21、右チップ22及び中間チップ23が同一構成を有している。一実施形態では、表示ドライバICチップ2がそれぞれ左動作モード、右動作モード、中間動作モードに設定されると、当該表示ドライバICチップ2が、それぞれ、左チップ21、右チップ22、中間チップ23として動作する。
【0058】
一実施形態では、
図10に示すように、左チップ2
1、右チップ2
2、中間チップ2
3それぞれの画像データ処理回路部12Aが、データ抽出回路部41Aと、ラインメモリ42と、バッファメモリ43と、画像処理IPコア44と、ラインラッチ46とを備えている。
【0059】
一実施形態では、インターフェース回路部11が各垂直同期期間に受け取るフレーム画像データ61が1フレーム画像の全ての画素に対応する画素データを備えており、データ抽出回路部41Aは、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ61のうちから、ラインメモリ42とバッファメモリ43とに格納すべき画像データを抽出する。一実施形態では、抽出された画像データが、ラインメモリ42に転送される。
【0060】
一実施形態では、フレーム画像データ61が、左側画像データ62と、右側画像データ63と、中間画像データ64とを備えている。一実施形態では、左側画像データ62が、フレーム画像の左端の画像領域に対応しており、左端の画像領域の画素の各色の階調値を記述している。一実施形態では、右側画像データ63が、フレーム画像の右端の画像領域に対応しており、右端の画像領域の画素の各色の階調値を記述している。一実施形態では中間画像データ64が、フレーム画像の中間の画像領域に対応しており、中間の画像領域の画素の各色の階調値を記述している。
【0061】
一実施形態では、1水平ラインに対応する左側画像データ62が、フレーム画像の水平方向解像度の3分の1の画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、フレーム画像の水平方向解像度が3840画素であり、1水平ラインに対応する左側画像データ62が、1280画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、1水平ラインに対応する右側画像データ63及び中間画像データ64が、同様に、フレーム画像の水平方向解像度の3分の1の画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、1水平ラインに対応する右側画像データ63及び中間画像データ64が、いずれも、1280画素に対応する画素データを備えている。
【0062】
一実施形態では、左チップ21のデータ抽出回路部41Aが、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ61から、左側画像データ62と第1右境界画像データ65とを抽出する。一実施形態では、第1右境界画像データ65は、フレーム画像の中間の画像領域のうち左端の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、抽出された左側画像データ62及び第1右境界画像データ65が、左チップ21のラインメモリ42に転送される。
【0063】
一実施形態では、右チップ22のデータ抽出回路部41Aが、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ61から、右側画像データ63と第1左境界画像データ66とを抽出する。一実施形態では、第1左境界画像データ66は、中間の画像領域のうち右端の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、抽出された右側画像データ63及び第1左境界画像データ66が、右チップ22のラインメモリ42に転送される。
【0064】
一実施形態では、中間チップ23のデータ抽出回路部41Aが、インターフェース回路部11から受け取ったフレーム画像データ61のうちから、中間画像データ64と第2左境界画像データ67と第2右境界画像データ68とを抽出する。一実施形態では、第2左境界画像データ67は、左端の画像領域のうち中間の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、第2右境界画像データ68は、右端の画像領域のうち中間の画像領域に接する部分に位置する画素に対応する画素データを備えている。一実施形態では、抽出された中間画像データ64、第2左境界画像データ67及び第2右境界画像データ68が、中間チップ23のラインメモリ42に転送される。
【0065】
このようなデータ抽出回路部41Aの動作は、ジグザグ配置を採用する表示パネル1の駆動を可能にする一方で、ラインメモリ42及びバッファメモリ43の容量の低減に有用である。
【0066】
一実施形態では、1水平ラインに対応する第1右境界画像データ65、第1左境界画像データ66、第2左境界画像データ67及び第2右境界画像データ68が、画像処理IPコア44において行われる画像処理に応じて決められた数の画素の画素データを含んでいる。一実施形態では、画像処理IPコア44が、同一水平ラインに位置するα個の画素(αは、2以上の自然数)で構成されるブロックを単位として画像処理を行うように構成されており、1水平ラインに対応する第1右境界画像データ65、第1左境界画像データ66、第2左境界画像データ67及び第2右境界画像データ68は、それぞれ、1ブロックのα個の画素に対応する画素データを含んでいる。
図10には、1ブロックが8個の画素で構成される場合が図示されている。
【0067】
一実施形態では、左チップ21のラインメモリ42が、データ抽出回路部41Aから受け取った左側画像データ62と第1右境界画像データ65を順次に格納し、バッファメモリ43に順次に転送する。一実施形態では、右チップ22のラインメモリ42が、データ抽出回路部41Aから受け取った右側画像データ63と第1左境界画像データ66とを順次に格納し、バッファメモリ43に順次に転送する。一実施形態では、中間チップ23のラインメモリ42が、データ抽出回路部41Aから受け取った中間画像データ64と第2左境界画像データ67と第2右境界画像データ68とを順次に格納し、バッファメモリ43に順次に転送する。
【0068】
一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア44が、バッファメモリ43から受け取った左側画像データ62と第1右境界画像データ65とに対して所望の処理を行い、処理後画像データ691を生成する。一実施形態では、処理後画像データ691は、処理後左側画像データ71と第1処理後右境界画像データ72とを備えている。一実施形態では、左チップ21の画像処理IPコア44が、左側画像データ62と第1右境界画像データ65とに対して所望の画像処理を行い、それぞれ、処理後左側画像データ71と第1処理後右境界画像データ72とを生成する。一実施形態では、生成された処理後画像データ691が、左チップ21のラインラッチ46に転送される。
【0069】
一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア44が、バッファメモリ43から受け取った右側画像データ63と第1左境界画像データ66とに対して所望の処理を行い、処理後画像データ692を生成する。一実施形態では、処理後画像データ692は、処理後右側画像データ73と第1処理後左境界画像データ74とを備えている。一実施形態では、右チップ22の画像処理IPコア44が、右側画像データ63と第1左境界画像データ66とに対して所望の画像処理を行い、それぞれ、処理後右側画像データ73と第1処理後左境界画像データ74とを生成する。一実施形態では、生成された処理後画像データ692が、右チップ22のラインラッチ46に転送される。
【0070】
一実施形態では、中間チップ23の画像処理IPコア44が、バッファメモリ43から受け取った中間画像データ64と第2左境界画像データ67と第2右境界画像データ68とに対して所望の処理を行い、処理後画像データ693を生成する。一実施形態では、処理後画像データ693は、処理後中間画像データ75と第2処理後左境界画像データ76と第2処理後右境界画像データ77とを備えている。一実施形態では、中間チップ23の画像処理IPコア44が、中間画像データ64、第2左境界画像データ67及び第2右境界画像データ68に対して所望の画像処理を行い、それぞれ、処理後中間画像データ75、第2処理後左境界画像データ76及び第2処理後右境界画像データ77を生成する。一実施形態では、生成された処理後画像データ693が、中間チップ23のラインラッチ46に転送される。
【0071】
一実施形態では、ラインラッチ46は、駆動回路部13にデータ転送が可能であるように構成される。一実施形態では、ラインラッチ46から駆動回路部13へのデータ転送においてデータ並び替えが行われ、これにより表示画像データ70が駆動回路部13に供給される。データ並び替えは、表示パネル1の画素6の配置に合わせて行われる。
【0072】
一実施形態では、左チップ21においてラインラッチ46に格納された処理後画像データ691のうちから、左側領域31の表示素子の駆動に用いられる画像データが選択され、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、左チップ21の駆動回路部13に転送された画像データが、表示画像データ701として用いられる。
【0073】
一実施形態では、右チップ22においてラインラッチ46に格納された処理後画像データ692のうちから、右側領域32の表示素子の駆動に用いられる画像データが選択され、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、右チップ22の駆動回路部13に転送された画像データが、表示画像データ702として用いられる。
【0074】
一実施形態では、中間チップ23においてラインラッチ46に格納された処理後画像データ693のうちから、中間領域33の表示素子の駆動に用いられる画像データが選択され、駆動回路部13に転送される。一実施形態では、中間チップ23の駆動回路部13に転送された画像データが、表示画像データ703として用いられる。
【0075】
一実施形態では、左チップ21の駆動回路部13が、表示画像データ701に応じて表示パネル1の左側領域31の表示素子を駆動し、右チップ22の駆動回路部13が、表示画像データ702に応じて表示パネル1の右側領域32の表示素子を駆動し、中間チップ23の駆動回路部13が、表示画像データ703に応じて表示パネル1の中間領域33の表示素子を駆動する。
【0076】
一実施形態では、表示パネル1が、M個の表示ドライバICチップ2(Mは、3以上の整数)によって駆動される。このような実施形態では、表示パネル1が、M個の表示領域3に区分される。一実施形態では、M個の表示領域3のうちの左端の表示領域3を駆動する表示ドライバICチップ2が、
図9に示す左チップ2
1と同様に動作し、右端の表示領域3を駆動する表示ドライバICチップ2が
図9に示す右チップ2
2と同様に動作する。一実施形態では、中間の表示領域3を駆動するM-2個の表示ドライバICチップ2が、
図9に示す中間チップ2
3と同様に動作する。
【0077】
以上には、本開示の様々な実施形態が具体的に記載されているが、本開示に記載された技術は、様々な変更と共に実施され得る。
【符号の説明】
【0078】
100、100A、100B:表示モジュール
1、1A:表示パネル
1a :境界
1b :境界
1c :境界
2 :表示ドライバICチップ
21 :左チップ
22 :右チップ
23 :中間チップ
3 :表示領域
31 :左側領域
32 :右側領域
33 :中間領域
4 :ホスト
5 :バス
6 :画素
7 :副画素
7B :B副画素
7G :G副画素
7R :R副画素
11 :インターフェース回路部
12、12A:画像データ処理回路部
13 :駆動回路部
21 :ラインメモリ
22 :バッファメモリ
23 :画像処理IPコア
24 :IP制御回路部
25 :ラインラッチ
31 :フレーム画像データ
32 :左側画像データ
33 :右側画像データ
341、342:表示画像データ
351、352:処理後画像データ
36 :処理後左側画像データ
37 :処理後右境界画像データ
38 :処理後右側画像データ
39 :処理後左境界画像データ
41、41A:データ抽出回路部
42 :ラインメモリ
43 :バッファメモリ
44 :画像処理IPコア
45 :IP制御回路部
46 :ラインラッチ
51 :右境界画像データ
52 :左境界画像データ
53 :フレーム画像データ
54 :処理後画像データ
61 :フレーム画像データ
62 :左側画像データ
63 :右側画像データ
64 :中間画像データ
65 :第1右境界画像データ
66 :第1左境界画像データ
67 :第2左境界画像データ
68 :第2右境界画像データ
691、692、693:処理後画像データ
701、702、703:表示画像データ
71 :処理後左側画像データ
72 :第1処理後右境界画像データ
73 :処理後右側画像データ
74 :第1処理後左境界画像データ
75 :処理後中間画像データ
76 :第2処理後左境界画像データ
77 :第2処理後右境界画像データ