(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】排気ガス後処理システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20231222BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20231222BHJP
F01N 13/00 20100101ALI20231222BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20231222BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
F01N3/08 B ZAB
F01N13/08 B
F01N13/00 A
F01N3/24 C
F01N3/24 N
B01D53/94 222
B01D53/94 400
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019152707
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブルッチェ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ヘンドリー
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021557(JP,A)
【文献】特開2009-216019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 13/08
F01N 13/00
F01N 3/24
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(21)を有する燃焼エンジン(20)のための、
すなわち、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダ(21)を備える大型船舶エンジンのための排気ガス後処理システム(10)であって、前記排気ガス後処理システム(10)
は排気ガス・レシーバ(11
)を有し、
また前記排気ガス後処理システム(10)は少なくとも1つの弁(9)を有
する、排気ガス後処理システム(10)において、
前記排気ガス後処理システム(10)は、前記弁(9)の開放度を測定するための測定デバイス(14)を有し、
また前記少なくとも1つの弁(9)
は、受動的な弁であることを特徴とする、排気ガス後処理システム(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの弁(9)は、少なくとも1つのフラップ(13)を有する、請求項1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項3】
前記測定デバイス(14)は、前記少なくとも1つのフラップ(13)の角度位置(α)を測定するためのセンサを有する、請求項2に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項4】
前記排気ガス後処理システム(10)は、前記排気ガス・レシーバ(11)内又はその下流に配置されたSCR反応器(12)を有する、請求項1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弁(9)は前記SCR反応器(12)の下流に配置される、請求項4に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項6】
前記排気ガス後処理システム(10)は、前記弁(9)の前記開放度に基づい
て排気ガス流れ速度を決定する制御ユニット(15)を有する、請求項1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項7】
前記排気ガス後処理システム(10)は、温度センサ(16)と、圧力センサ(17)と、温度、圧力、及び
前記開放度に基づいて排気ガス質量流量を決定する制御ユニット(18)とを有する、請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項8】
前記排気ガス後処理システム(10)は還元剤のための投与ユニット(19)を有し
、また前記排気ガス後処理システム(10)は、
前記開放度に基づいて還元剤の量を決定する制御ユニット(24)を有する、請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項9】
前記排気ガス後処理システム(10)は1セット(25)の弁フラップ(13)を有し
、また前記排気ガス後処理システム(10)は、前記1セット(25)の弁フラップ(13)の複数の弁フラップ(13)のうちの少なくとも1つの弁フラップ(13)の角度位置を測定するための少なくとも1つのセンサを有する、請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項10】
前記排気ガス後処理システム(10)は1セット(25)の弁フラップ(13)を有し
、前記1セット(25)の前記弁フラップ(13)は、すべての弁フラップ(13)が等しい角度位置(α)を有するように
、コネクタ(26)によっ
て互いに接続されている、請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項11】
前記排気ガス後処理システム(10)の前記少なくとも1つの弁(9)は少なくとも1つの弁フラップ(13)を有し、前記少なくとも1つの弁フラップ(13)は重力によって閉じ、
ま
た前記排気ガス後処理システム(10)は、重力ベクトル(29)の方向に対する前記弁(9)の空間的配向(28)を決定するための測定デバイス(33
)を有する、請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項12】
前記測定デバイス(33)は、重力ベクトル(29)に対する弁フレーム(32)の垂直方向部分(31)の現在の配向(28)の逸脱を決定するためのジャイロスコープである、請求項11に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項13】
SCR反応器(12)と、SCR反応器(12)の下流に配置される少なくとも1つの反応器出口弁(9)とを有し、少なくとも1つの反応器出口弁(38、39)が逆止弁で
ある、
請求項1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項14】
前記排気ガス後処理システム(10)は少なくとも2つのSCR反応器(12)を有し、少なくとも1つの反応器入口弁(40、41)及び/又は少なくとも1つの反応器出口弁(38、39)が流量制御弁(39)である、請求項
13に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項15】
請求項
1に記載の排気ガス後処理システム(10)を有する、排気ガスのためのシリンダ出口(30)を備える少なくとも1つのシリンダ(21)を有する燃焼エンジン(20)、
すなわち、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダ(21)を備える大型船舶エンジン。
【請求項16】
請求項
15に記載の燃焼エンジン(20)であって、前記燃焼エンジン(20)は、排気ガスのためのシリンダ出口(30)を備える少なくとも1つのシリンダ(21
)を有し、前記排気ガス後処理システム(10)はSCR反応器(12)を有し、前記燃焼エンジン(20)は少なくとも1つの弁(9;46)を有し、前記少なくとも1つの弁(9;46)は前記SCR反応器(12)の上流及び/又は下流に配置され
、前記燃焼エンジン(20)は、前記弁(9;46)の開放度
を測定するための測定デバイス(14)を有し、前記燃焼エンジン(20)は還元剤のための投与ユニット(19)を有し
、前記燃焼エンジン(20)は、前記開放度に基づいて還元剤の量を決定する制御ユニット(24)を有する、燃焼エンジン(20)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの弁(46)が掃気レシーバ(44)内に配置される、請求項
16に記載の燃焼エンジン(20)。
【請求項18】
請求項
15に記載の燃焼エンジン(20)内でのNO
x排出物を還元するため方法であって、
排気ガス入口(22)内に噴射される還元剤の量が調整パラメータによって決定され、前記調整パラメータは少なくとも1つの弁(9;46)の開放度の測定か
ら導出され、また前記少なくとも1つの弁(9;46)はSCR反応器(12)の上流及び/又は下流に配置されることを特徴とする、方法。
【請求項19】
温度及び圧力が測定され、排気ガスの質量流量が、前記温度、前記圧力、及び前記少なくとも1つの弁(9;46)の前記開放度に基づい
て決定される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
消費燃料の質量流量が決定され、前記排気ガスの前記質量流量が、前記消費燃料の前記質量流量に基づいて、また前記少なくとも1つの弁(9;46)の前記開放度に基づい
て決定され、前記弁(9)は掃気レシーバ(44)内に配置される、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記弁(9;46)は弁フラップ(13)を有し、重力ベクトル(29)に対する現在の弁の配向(28)の逸脱が測定され、また
前記排気ガスの前記質量流量の決定が前記逸脱によって補正される、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
排気ガスの質量流量を決定するための、
請求項2に記載の排気ガス後処理システム(10)内
での複数のフラップ(13)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス後処理システムと、燃焼エンジン、好ましくは大型船舶エンジンと、燃焼機械内でのNOx排出物を還元するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、内燃エンジンからの、好ましくは2ストローク・クロスヘッド大型船舶エンジンからの排気を浄化することが知られている。
【0003】
本発明による大型船舶エンジンは、そのシリンダが少なくとも200mmの内径を有する内燃エンジンである。エンジンは、シリンダの排気ガスのためのシリンダ出口を備える少なくとも1つのシリンダを有する。
【0004】
NOx、COx、又は硫黄化合物などの多様な望ましくない成分を除去するための、従来技術により知られている複数の浄化原理が存在する。
【0005】
具体的には、例えば窒素排出物を還元するための選択的触媒還元(SCR:selective catalytic reduction)を採用することが知られている。この目的のために、触媒要素が、例えば排気マニホルド内に配置され、排気ガスが触媒要素を通るように案内される。選択的触媒還元では、尿素などの還元剤が排気ガスに加えられる必要がある。
【0006】
現在では、浄化機構のすべてが、望ましくない化合物がどの程度の量で存在するのかを、並びにひいては特に還元剤の適切な投与に関連してどの程度の量が浄化され得るか、及びどの程度の量を浄化する必要があるかを概略的に示すことに基づく。
【0007】
さらに、触媒要素の耐用寿命を改善するために触媒要素を通るガスの可能な限り一様な流れを提供することが必要である。
【0008】
独国特許出願公開第102016205299号明細書が、排気ガス処理システムを備える内燃エンジンを示している。複数のシリンダの排気ガスが混合パイプ内で収集され、混合パイプが排気ガスを処理システムまで案内する。混合パイプのアウトフローのところで、排気ガスの流れが約180°方向転換され、その後、その方向転換がSCR触媒を通るように導かれている。独国特許出願公開第102016205299号明細書に示される構成はスペースの不利な使用につながる。提案されている構成は込み入ったものであり、したがってコスト高であり、複雑である。
【0009】
欧州特許出願公開第3050615号明細書が、排気ガスを浄化するための流れユニットを示している。この流れユニットは案内面及び破面(break surface)を有する。一実施例では、欧州特許出願公開第3050615号明細書が、排気システム内に配置され得る流れ要素を示している(
図8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許出願公開第102016205299号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3050615号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の目的は従来技術の欠点を回避することであり、また具体的には排気ガスシステムの効果的な使用及び排気ガス中の排気の成分のより正確な決定を可能にする、排気ガス後処理システムと、内燃エンジンと、排気ガス中の排気の成分の測定方法とを創造することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、これらの目的は、独立特許請求項によるシステム、エンジン、及び方法によって達成される。
【0013】
本発明の第1の態様によると、燃焼エンジンのための排気ガス後処理システムが、排気ガス・レシーバと、好ましくはSCR反応器とを有する。
【0014】
燃焼エンジンが少なくとも1つのシリンダを有し、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0015】
エンジンが、好ましくは、2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンが、例として液化天然ガス又は液化石油ガスなどの、気体燃料で、並びに/或は例としてディーゼル・オイル若しくは船用ディーゼル・オイル又は重油などの、液体燃料で、動くことができる、例えば、ディーゼル・エンジン、二元燃料エンジンであってもよく、或は多種燃料エンジンであってもよい。
【0016】
排気ガス・レシーバが、内燃エンジンの排気ガスのための少なくとも1つのマニホルド入口と、排気ガスを排気処理エリアまで案内するための少なくともハウジング出口とを有する排気マニホルドによって形成され得る。
【0017】
SCR反応器が排気ガス・レシーバ内に配置され得るか、又は排気ガス・レシーバの下流の、例えば排気処理エリア内に配置され得る。
【0018】
排気ガス後処理システムが、好ましくはフラップを備える、少なくとも1つの弁を有する。
【0019】
弁が、移動可能な弁本体と、固定的に設置される弁シートとを有することができる。弁がフラップを有することができるか、或は円板弁、スライド弁、シート弁、及び/又はポペット弁であってよい。
【0020】
弁は、好ましくは、1つの流れ方向のみを可能にして、逆圧によって閉じられ及び/又は開けられる受動的な弁である。
【0021】
例えば、弁が、フラップにかかる重力により、及び/又はばねの復元力により、閉じ、排気ガスによる圧力により、開く。
【0022】
弁が、好ましくは、SCR反応器の下流に配置される。
【0023】
排気ガス後処理システムが、弁の開放度を測定するための測定デバイスを有する。
【0024】
例えば、測定デバイスが、移動可能な弁本体と固定的に配置される弁シートとの間の距離を検出することができる。好ましくは、測定デバイスが、例えば排気ガス・ダンパの角度位置などの、少なくとも1つの弁フラップの角度位置を測定するためのセンサを有する。
【0025】
弁がより大きく開くと、より多量のガスが弁を通って流れることができる。したがって、弁の開放度が、弁を通って流れるガスのボリュームのための測定尺度として使用され得る。
【0026】
弁が受動的な又は少なくとも部分的に受動的な弁である場合、開放度が、ガス流れによる弁にかかる圧力のための及びひいてはガス流れ速度のための測定尺度として使用され得る。
【0027】
システムの有利な実施例では、排気ガス後処理システムが、弁の開放度、好ましくは少なくとも1つの弁フラップの角度位置に基づいて、排気ガス流れ速度を決定するための制御ユニットを有する。
【0028】
制御ユニットが制御ユニットの格納場所に保管され得る物差し又はマップを有することができ、この物差し又はマップにより、測定される開放度とガス流れ速度との間の相関関係が推定され得る。
【0029】
また、フラップの開放面積が開放度から決定され得ることから、体積流量が決定され得る。通常、排気ガス温度及びその温度の圧力が燃焼エンジン内で測定され得る。したがって、さらに、排気の密度及び質量流量が計算され得る。
【0030】
質量流量は、それ以外では、非常に高価な超音波デバイスによりのみ決定され得るか、或はPrandtlパイプ又は羽根車を用いても決定され得るが、これらは連続的な測定で使用することが困難である。高粒子質量流量を用いる環境では特に、汚染が誘発される可能性があり、これは相当な労力を要する保守管理のみによってしか排除され得ない。
【0031】
好ましくは、排気ガス後処理システムが、温度センサと、圧力センサとを有する。
【0032】
好ましくは、排気ガス後処理システムが、温度、圧力、及び開放度、好ましくはフラップの角度位置に基づいて、排気ガス質量流量を決定するための制御ユニットをさらに有する。
【0033】
システムの好適な実施例では、排気ガス後処理システムが、還元剤のための投与ユニットを有する。排気ガス後処理システムが、開放度、好ましくは角度位置に基づいて還元剤の量を決定するための制御ユニットをさらに有する。
【0034】
また、制御ユニットが、温度、圧力、及び開放度に基づいて排気ガス質量流量を決定することができる。
【0035】
投与ユニットが、還元剤を収容するためのリザーバを有することができるか又はリザーバに接続され得る。
【0036】
好ましくは、還元剤が、投与ユニットのノズルによる排気ガス入口の中に噴射可能である。
【0037】
弁の開放度と、排気ガス後処理システムの圧力及び温度とに基づいて、質量流量が決定され得る。
【0038】
排気ガス後処理システムにより供給を受けるSCR反応器又はターボチャージャの下流において、また具体的には船のファンネルの下流において、特定のNOx値をg/kWhで測定することが法律によって求められている。正確な量のNOxを達成するために、SCR反応器の上流のNOxの量を知ること及び還元剤を適切に投与することが必要である。
【0039】
投与されることになる量は、排気ガスの質量流量と、エンジン負荷と、後処理システムに入る排気ガスのppm/m3で測定されるNOxの相対含有量と、に基づく。
【0040】
相対的なNOx含有量が測定され得、燃焼エンジンの最新の動作状態に基づき、モデルに従うか又は経験的マップ(empirical map)に従って決定され得る。
【0041】
モデル又はマップが制御ユニット内に記憶され得かるか、又は制御ユニットに入手可能であってよい。
【0042】
測定されるNOx含有量と法律によって与えられる制限との間の差が、投与されることになる還元剤の量を決定する。
【0043】
システムの有利な実施例では、排気ガス後処理システムが少なくとも1つのセットの弁フラップを有し、好ましくは少なくとも1つの弁が少なくとも1つのセットの弁フラップを備える。排気ガス後処理システムが、セットの弁フラップ内の弁フラップのうちの少なくとも1つの弁フラップの角度位置を測定するための少なくとも1つのセンサを有する。
【0044】
好ましくは、セットの弁フラップがSCR反応器の下流に配置される。
【0045】
有利には、排気ガス後処理システムが、好ましくはSCR反応器の下流に配置される、少なくとも1つのセットの弁フラップを有し、ここでは、このセットの弁フラップが、好ましくはコネクタにより、互いに接続される。好ましくは、フラップが、すべての弁フラップに等しい角度位置を有させるように、接続される
【0046】
フラップが一体的に運動し、好ましくはすべてのフラップが同時に等しい開放度を有する。したがって、すべてのフラップを通る流れが一様に分配されることになる。
【0047】
センサが、弁の開放度を決定することを目的としてフラップのうちの1つのフラップの開放度を検出することのみが必要である。
【0048】
有益な実施例では、排気ガス後処理システムがプリテンション弁を有し、また具体的には少なくとも1つの弁フラップを有し、ここでは弁フラップが、例えば、ばねにより、また具体的にはねじりばねにより、予め張力を加えられる。
【0049】
したがって、弁が流れ乱流により振動又はフラッタリングすることが防止され、排気ガス後処理システムを通って流れる排気ガスの量のために、開放度が高い信頼性の測定尺度となる。
【0050】
測定デバイスがセンサを有することができる。
【0051】
センサが、弁の2つの要素の、好ましくは2つの閉鎖要素の、間の距離を検出することができる。センサがさらに、弁閉鎖要素の開放角度を検出することができる。センサがさらに、固定される弁要素を基準として弁作動要素の距離又は角度を検出することができる。
【0052】
センサが後処理システムのハウジング内に配置され得るか、又は外部に配置され得る。
【0053】
弁がフラップ回転軸を有する少なくとも1つのフラップを有することができ、少なくとも1つのフラップがフレームの内側に配置され得る。弁が外部要素をさらに有することができ、この外部要素が、例えばフラップ回転軸を中心として少なくとも1つのフラップを少なくとも部分的に回転させるために、フラップのシャフトに接続されてハウジングの外側に配置される。センサが外部要素の位置を検出することができる。したがって、測定デバイス及び/又はセンサが低温領域内に配置され、測定が排気ガスによって阻害されない。
【0054】
センサが、光学センサ、音響センサ、磁気センサ、又は電磁気センサであってよい。
【0055】
測定デバイスが、ビデオ・デバイスと、ビデオ信号を分析するための評価ユニットとを有することができる。
【0056】
排気ガス後処理システムが、少なくとも1つの弁フラップと、少なくとも1つの弁フラップの運動量を測定するためのセンサとを有することができる。具体的には、弁に予め張力を加えるばね力によって生じる運動量が測定され得る。運動量が弁にかかる動圧力及びひいては開放度に相互に関連する。したがって、運動量を測定するためのセンサがさらに、開放度を測定するためのセンサとしてもみなされ得る。
【0057】
流れ速度が運動量の測定から推定され得る。
【0058】
好ましくは、排気ガス後処理システムの少なくとも1つの弁が少なくとも1つの弁フラップを有し、少なくとも1つの弁フラップが重力により閉じる。
【0059】
したがって、弁フラップが強力な作動システムを必要としない。完全な閉鎖動作又は閉鎖動作の関連する少なくとも一部がフラップの重量によって引き起こされる。
【0060】
一次元の流れを想定しまた局所的な圧力差を省略すると、質量mklappeを有するフラップの運動量Mschliessが以下の式によって決定され得る。
【0061】
【数1】
ここで、rが枢動点と重心との間の距離であり、gが重力による加速度であり、αがフラップの開放角度であり、k
fがプリテンションばねのばね定数である。
【0062】
測定ポイントにおいて一様である排気ガスが気体定数R
exhを有する理想気体であるとみなされる場合、密度ρが以下の式によって決定され得る:
【数2】
ここで、T
exhが温度であり、p
exh,absが排気ガスの圧力である。
【0063】
速度v及び密度ρを有するガスの動圧力p
dyn、
【数3】
が、流れ方向に対して垂直に、フラップの有効表面にかかる開放力F
dynを発生させる。
【0064】
【数4】
ここで、A
klappeが全フラップ面積である。
【0065】
フラップの開放運動量Mdynが、開放力Fdynと、流れ方向r cos(α)における枢動点と重心との間の距離と、の積から得られる。
【0066】
【0067】
開放のモーメントM
dynが閉鎖のモーメントM
schliessより大きい場合、フラップが開くことになり、以下の平衡状態に達するまで開放角度が変化する。
【数6】
又は
【数7】
【0068】
したがって、開放角度αに応じて、流れ速度が決定され得る。
【0069】
【0070】
排気ガスの体積流量Vexhが、流れ速度と、フラップによって開放される開放面積Aoffenと、によって決定され得る。
【0071】
【0072】
噴射されることになる尿素‐水の混合物の体積流量が、例えば、排気ガスの体積流量Vexhと排気ガス中のNOxの体積濃度CNOxとの積に正比例する。
【0073】
弁が完全な閉鎖を実現するために作動システムに接続され得る。これは特には、排気ガス後処理システムが、完全に方向付けられる位置を常には維持しないかもしれないことが理由である。
【0074】
理想的な位置では、例えば、排気ガス後処理システムを中に設置している船が港湾内にある場合、排気ガス後処理システムが、ガス圧力を一切用いないでフラップな完全な閉鎖位置に置くように及び排気ガス圧力の存在時にのみフラップが開けられるように、方向付けられ得る。
【0075】
しかし、船が航行中であるか又は船が最適な形で負荷を受けていない場合、排気ガス後処理システムの配置構成は最適な配置構成から逸脱する可能性がある。
【0076】
この事例では、復元力の方向が変化してよく、弁フラップの開放度がガス流れによる圧力の影響を受ける可能性があることに加えて、重力を基準とした弁の配置構成の影響も受ける可能性がある。
【0077】
したがって、システムの好適な実施例では、排気ガス後処理システムが、重力ベクトルの方向を基準とした弁の空間的配置構成の決定のための測定デバイスを有する。
【0078】
具体的には、測定デバイスが、重力ベクトルを基準とした、例えば弁フラップの閉鎖面などの、エンジンに固定的に接続される弁要素の最新の配置構成のずれを決定することができる。
【0079】
測定デバイスはジャイロスコープであってよい。
【0080】
ガス圧力による開放力を計算するために、弁の開放度に加えて、重力センサを基準としたその位置も考慮に入れるべきである。その理由は、開放度がガスの影響を受けていない可能性があるからである。
【0081】
制御ユニットが、排気ガスの流れ速度の計算を補正するために及び/又は質量流量の計算を補正するために空間的配置構成の測定値を使用することができる。
【0082】
また、本発明の目的が、上述した排気ガス後処理システムを有する、排気ガスのためのシリンダ出口を備える少なくとも1つのシリンダを有する燃焼エンジンによって達成される。
【0083】
燃焼エンジンが、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0084】
エンジンが、好ましくは、2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンがディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。
【0085】
また、本発明の目的が、好ましくは上述したような、排気ガス後処理システムを有する、排気ガスのためのシリンダ出口を備える少なくとも1つのシリンダを有する、好ましくは上述したような、燃焼エンジンによって達成される。
【0086】
燃焼エンジンが、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0087】
エンジンが、好ましくは、2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンがディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。
【0088】
燃焼エンジンがSCR反応器を有する。燃焼エンジンが、SCR反応器の上流及び/又は下流に配置される、好ましくは少なくとも1つのフラップを有する少なくとも1つの弁をさらに有し、燃焼エンジンが、弁の開放度、また具体的には少なくとも1つの弁フラップの角度位置、を測定するためのセンサを有する。
【0089】
燃焼エンジンが還元剤のための投与ユニットを有する。上記還元剤が、好ましくは、排気ガス入口の中に噴射可能である。
【0090】
燃焼エンジンが、開放度に基づいて還元剤の量を決定するための制御ユニットを有する。
【0091】
弁が上述した排気ガス後処理システム内に配置され得る。
【0092】
有益な実施例では、少なくとも1つの弁が掃気レシーバ内に配置される。
【0093】
弁が、掃気レシーバの上流に配置されるターボチャージャを逆流から保護する弁であってよい。付加的に燃料の質量流量が決定されるとき、排気ガスの質量流量がシリンダの上流に配置される弁の開放度から推定され得る。
【0094】
また、本発明の目的が、燃焼エンジン内での、また具体的には上述した燃焼エンジン内での、NOx排出物を還元するための方法によって達成される。
【0095】
燃焼エンジンが、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0096】
エンジンが、好ましくは、2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンがディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。
【0097】
この方法が、調整パラメータにより排気ガス入口の中に噴射される還元剤の量を決定するステップを含む。
【0098】
上記調整パラメータが少なくとも1つの弁の開放度の測定から導出され、少なくとも1つの弁がSCR反応器の上流及び/又は下流に配置される。
【0099】
具体的には、調整パラメータが、少なくとも1つの弁フラップの角度位置の測定から導出される。
【0100】
本方法の好適な実施例では、温度及び圧力が測定され、排気ガスの質量流量が、温度と、圧力と、少なくとも1つの弁の開放度とに基づいて決定される。
【0101】
有益なステップで、この方法が、調整パラメータまた具体的には弁の開放度と、ガス速度及び/又は質量流量並びに/或は還元剤の適切な量と、の間の関係を確立するための較正ステップを含む。排気ガス入口の中に噴射される還元剤の量の決定が少なくともこの関係に基づいてよい。
【0102】
具体的には開放度、また特には少なくとも1つの弁フラップの角度位置が、センサによって測定される。
【0103】
本方法の別の好適な実施例では、加えて、消費燃料の質量流量が決定される。排気ガスの質量流量が、消費燃料の質量流量に基づいて、及び少なくとも弁の開放度に基づいて、決定され、ここでは、弁が、好ましくは、掃気レシーバの中に配置される。具体的には、弁フラップの角度位置が測定される。
【0104】
好ましくは、排気ガス入口の中に噴射される還元剤の量を計算するために、バルブ・スプリングの復元力が考慮に入れられる。
【0105】
有利には、重力ベクトルを基準とした最新の弁の配置構成のずれが測定される。好ましくは、質量流量の決定がずれによって補正される。
【0106】
また、本発明の目的が、排気ガスの質量流量の決定のために排気ガス後処理システム内でフラップを使用することによって達成される。
【0107】
本発明の第2の態様によると、燃焼エンジンのための、好ましくは上述したような、排気ガス後処理システムが、SCR反応器と、SCR反応器の下流に配置される少なくとも1つの反応器出口弁とを有する。少なくとも1つの反応器出口弁が、好ましくはノンリターン・フラップ(non-return-flap)を有する、逆止弁である。
【0108】
排気ガス後処理システムが、排気マニホルドと、第1及び第2の処理セクションを備える少なくとも1つの排気処理エリアとを有することができる。各セクション内にSCR反応器が配置され得、各セクションが反応器出口弁を有することができる。処理エリアが単一の反応器入口弁を有することができるか、又は各セクションが反応器入口弁を有することができる。
【0109】
排気ガス後処理システムがバイパスをさらに有することができる。バイパスが1つ又は複数のバイパス弁を用いて開閉され得る。バイパス弁が排気マニホルドの出口のところに配置され得る。バイパスが排気処理セクションを迂回する。したがって、排気ガスが迂回させられる場合では、逆止弁がSCR反応器の中に排気ガスが流れるのを防止する。
【0110】
具体的にはノンリターン・フラップを備える弁である、逆止弁は、一般に、コスト効率が高く、わずかな保守管理しか必要としない。
【0111】
逆止弁は受動的な弁であってよく、外力によって起動される必要がない。
【0112】
センサが、開放度を測定するために、及び流れ速度、好ましくは排気ガスの質量流量を決定するために、逆止弁の近くに配置され得る。
【0113】
好ましくは、排気ガス後処理システムが少なくとも2つのSCR反応器を有し、少なくとも1つの反応器入口弁及び/又は少なくとも1つの反応器出口弁が流量制御弁であり、及び/又は一定の戻り力を有するバルブ・スプリングを有する。
【0114】
SCR反応器の各々が、互いに空間的に分離されるそれぞれの処理セクション内に配置され得る。
【0115】
流量制御弁をオフに設定することにより、処理エリア内の全体の流れが影響を受ける可能性がある。例えば空間的条件を理由としてより多量のガスが第1のSCR反応器を通って流れる場合、それぞれの流れ制御弁がより少量のガスを通過させるように設定され得る。したがって、一様な流れ分布が達成され得る。
【0116】
加えて又は別法として、スプリング・バルブの戻り力が、外部の流れ状態を補償するように選択され得る。
【0117】
排気ガス後処理システムが、弁のうちの少なくとも1つの弁の開放度を決定するための測定ユニットをさらに有することができる。
【0118】
また、本発明の目的が、上述したような、排気ガス後処理システムを有する燃焼エンジンによって達成される。
【0119】
本発明の第3の態様によると、燃焼エンジンのための、好ましくは本発明の第1及び第2の態様に関連して上述したような、排気ガス後処理システムが、少なくとも2つのSCR反応器を有する。
【0120】
少なくとも1つの反応器入口弁が各SCR反応器の上流に配置され、好ましくは、少なくとも1つの反応器出口弁が各SCR反応器の下流に配置される。
【0121】
好適な実施例では、第1のSCR反応器の上流に配置される少なくとも反応器入口弁が第1の流量制御弁であり、好ましくは第1のSCR反応器の下流に配置される反応器出口弁が第2の流量制御弁である。燃焼エンジンが、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0122】
エンジンが、好ましくは、2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンがディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。
【0123】
排気ガス後処理システムが、第1の流量制御弁及び好ましくは第2の流量制御弁を閉じるのを実現することができる、制御ユニットをさらに有する。具体的には、制御ユニットが、第1の流量制御弁、及び好ましくは第2の流量制御弁を加熱時間中に閉じた状態で維持するのを実現する。
【0124】
第2のSCR反応器の上流及び下流に配置される弁が、例えば、ノンリターン・フラップ・バルブなどの、受動的な弁であってよく、これが、流れ圧力が加えられるといに開けられ得る。したがって、ガスが加熱時間中に第2のSCR反応器のみを通過することができる。
【0125】
海洋分野のための排気ガス後処理システムがNOx排出物を制御するように設計される。ロケーション、環境ゾーン、及び船の出力に応じて、多様な排出制限を順守する必要がある。
【0126】
性能が温度に大きく左右される。しかし、通常において排気ガス温度がSCRプロセスにとっての限界レベルであるような場合、排ガス規制が、低負荷においても、後処理の効率が十分に高いことを求めている。
【0127】
したがって、後処理システムを、また特にはSCR反応器を、最低動作温度まで、加熱するための時間的な需要(time demand)を可能な限り低く維持するべきであり、それにより可能な限り迅速にシステムにより完全な後処理効率の準備を整わせることができる。
【0128】
後処理システムが2つ以上の流れ経路を有する場合、始動時間が短縮され得る。したがって、後処理システムがシステムの特定のパートを選択的に動作させるのを可能にし、またSCR反応器の数を低減するのを可能にする。排気ガスが、SCR容積の全体のうちの一部分のみに排気ガス流れを通過させるような形で、制御される。したがって、排気ガスの全体の熱エネルギーが、容積全体の場合よりも迅速に、その使用する容積を加熱する。
【0129】
排気ガス後処理システムが、排気マニホルドと、少なくとも第1及び第2の処理セクションを備える少なくとも1つの排気処理エリアとを有することができる。SCR反応器の各々が、互いに空間的に分離されるそれぞれの処理セクション内に配置され得る。
【0130】
各エリアが反応器入口弁及び好ましくは少なくとも1つの反応器出口弁を有することができ、好ましくはSCR反応器ごとに少なくとも1つの反応器出口弁を有する。
【0131】
各セクションが反応器入口及び好ましくは少なくとも1つの反応器出口弁を有することができる。
【0132】
好ましくは、後処理システムが温度センサを有し、より好ましくは、必要な温度に達するとすぐに第1の流量制御弁及び好ましくは第2の流量制御弁を開ける制御ユニットを有する。
【0133】
また、本発明の目的が、上述したような、排気ガス後処理システムを有する燃焼エンジンによって達成される。
【0134】
また、本発明の目的が、上述したような、燃焼エンジン内でのNOx排出物を還元するための方法によって達成される。
【0135】
燃焼エンジンが、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備える大型船舶エンジンである。
【0136】
エンジンが好ましくは2ストローク・クロスヘッドエンジンである。エンジンがディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。
【0137】
本方法が、少なくとも第1の流量制御弁及び好ましくは第2の流量制御弁を閉じるステップを含む。好ましくは、本方法が、加熱時間中に弁を閉じた状態で維持するステップを含む。
【0138】
有利には、本方法が、第2のSCR反応器の上流及び下流に配置される弁を開けるのを可能にするステップを含む。
【0139】
好ましくは、後処理システム内の温度が測定される。第1の流量制御弁及び好ましくは第2の流量制御弁が、温度が必要な温度値に一致するとすぐに開けられ得る。
【0140】
SCR反応器が排気ガス後処理システムのパートを意味し、ここでSCR反応が起こる。しかし、これらのパートのうちの2つ以上のパートが1つの鋳造物としてまとめられてもよい。
【0141】
上述した燃焼エンジン又は排気ガス後処理システム内で使用される弁が、第1の及び第2の側部要素を少なくとも有するフレームを有することができる。弁がフラップ回転軸を有する少なくとも1つのフラップを有することができ、少なくとも1つのフラップがフレームの内側に配置され得る。弁が、フラップ回転軸を中心として少なくとも部分的に少なくとも1つのフラップを回転させるための作動要素を有することができる。作動要素がフレームの外側に配置され得、第1の側部要素から距離Dのところにあってよく、その結果、排気経路の構造要素が作動要素と側部要素との間に配置可能となる。
【0142】
排気ハウジングの外側に作動要素を配置することにより、作動要素が排気に一切接触することがなく、したがって、弁が高い耐久性を有することになる。さらに、排気ハウジングの内側で作動要素が一切場所をとらないことから、弁の断面が最大化される。さらに、フラップ回転軸がフレーム内に容易に固定され、構造要素がさらにフラップ回転軸に容易に接続され、その結果、完全な弁が排気ハウジングの内側に堅固に配置されて容易に起動可能となる。距離Dが、側部要素の外側縁部と作動要素又は連結部との間の距離として定義される。
【0143】
本発明による排気ハウジングが任意のハウジングであってよく、その中で排気が収集されるか又は排気が流れる。排気ハウジングが単に排気マニホルド又は排気パイプであってよい。排気ハウジングがさらに、排気マニホルド及び排気パイプのための組み合わせのハウジングであってよく、さらには、選択的触媒還元反応器などの例えば排気浄化デバイスであってよい。
【0144】
距離Dが、30mmから300mmの間の範囲内にあってよいか、また特には50mmから100mmの間の範囲内にあってよいか、好ましくは実質的に70mmであってよい。
【0145】
この距離では、排気経路の構造要素が作動要素と側部要素との間に配置可能である。
【0146】
フラップ回転軸がフラップの実質的に中央に配置され得、フラップの長手方向軸を延ばす。
【0147】
このようにして、トルクが低減され、フラップが容易に回転させられ得る。
【0148】
弁が、少なくとも2つの、好ましくは3つの、より好ましくは4つの、また具体的には6つの、フラップを有することができる。7つ以上のフラップを有することもさらに考えられる。
【0149】
これにより、開口部断面が最適に分布されるようになり、またフラップ回転軸にトルクがかかるようになる。
【0150】
フラップ回転軸が、フラップの長さFLの少なくとも105%、好ましくは少なくとも110%、より好ましくは少なくとも120%に一致する長さLRを有することができる。
【0151】
これにより、排気ハウジングの構造要素及び作動要素を接続することが可能となり、それにより弁の内側の排気のための断面を失うことなくフラップを回転させることが可能となる。
【0152】
フラップ回転軸が2つのパートを有することができ、2つのパートが好ましくは互いに接続可能であり、ここでは、第1のパートが実質的にフレームの内側に配置され、第2のパートが実質的にフレームの外側に配置され、好ましくは作動要素に接続される。
【0153】
このデザインにより弁を容易に設置することが可能となる。その理由は、弁の第1のパートが、フラップ回転軸の第1のパートを有する排気ハウジングの内側に配置され得、その後、フラップ回転軸の第1のパートが既に排気ハウジング内に設置されている場合にフラップ回転軸の第2のパートがフラップ回転軸の第1のパートに接続され得るからである。これにより設置コストが大幅に低減される。
【0154】
フラップ回転軸の第1のパートと第2のパートとの間の接続部がヘックス・キー接続部であってよい。
【0155】
ヘックス・キー接続部を使用することにより、フラップ回転軸の回転運動がフラップ回転軸の第2のパートから第1のパートへと高い信頼性で伝達され、さらに、完全なフラップ回転軸を設置することが非常に容易になる。さらに、例えば熱膨張などによる、第1のパートに対しての第2のパートのいかなる角度的なずれも容易に補償され得る。その理由は、ヘックス・キー接続部が角度的なずれを許容するからである。
【0156】
もちろん、正方形キー、オクタゴナル・キー(octagonal key)、又は三角形キーなどの、ヘックス・キー接続部のような類似の接続部が、フラップ回転軸の第1のパート及び第2のパートを接続するのに使用されてもよい。
【0157】
フラップ回転軸の第1のパートの長さが、フラップ回転軸の第2のパートの長さより長くてよい。
【0158】
これにより容易に設置することが可能となり、また同時にフラップ回転軸を安定させることを可能となる。
【0159】
フラップ回転軸が、側部要素内の軸受、好ましくはセラミックの滑り軸受及び/又はグラファイトの滑り軸受、の中に配置され得る。
【0160】
側部要素内の軸受により、フラップ回転軸の回転運動がより安定して案内されるようになる。
【0161】
セラミック又はグラファイトの軸受は、具体的には500℃を超える温度などの、排気ハウジングの過酷な排気環境においても高い耐久性を有する。
【0162】
フラップ回転軸が、側部要素の間で、フレームの内側の少なくとも1つの追加の軸受内に配置されてもよく、これは好ましくはセラミックの滑り軸受及び/又はグラファイトの滑り軸受である。
【0163】
この目的のために、フレームが、少なくとも1つの軸受を有し、側部要素に実質的に平行に配置される中間要素をさらに有する。もちろん、フラップ回転軸の安定性をより高くすることが必要である場合にフレームの内側に配置される2つ以上の中間要素が存在してもよい。
【0164】
フレームが、好ましくは、弁の安定性を向上させるための頂部要素及び底部要素を有する。
【0165】
具体的には、上述した燃焼エンジン又は排気ガス後処理システムが、弁セクション及び上で説明した少なくとも1つの弁を有する排気ハウジングを有することができる。
【0166】
排気ハウジングの弁セクションが、中に弁が配置され得るセクションである。弁セクションが構造要素を有し、構造要素の中に回転軸が配置され得、構造要素が十分な安定性を有し、その結果、フラップ回転軸が安定する形で回転させられ得る。したがって、構造要素が少なくとも50mmの幅を有し、その結果、25mmの直径を有する回転軸が構造要素内に堅固に配置され得る。
【0167】
弁セクションが排気ハウジングの構造プレートであってよい。
【0168】
このようにして、構造プレートがフラップ回転軸の接続ポイントとしても同時に使用され得る。
【0169】
作動要素が排気ハウジングの外側に配置され得る。
【0170】
このようにして、作動要素が排気に接触することがなく、したがって高い耐久性を有する。
【0171】
弁が、SCR反応器の特には上流の、エンジンの高圧エリア内に配置され得る。
【0172】
排気ハウジングのこの過酷な環境で、弁がその機能を最適に満たすことができ、それでも非常に高い耐久性を有する。
【0173】
作動要素が電気モータであってよい。
【0174】
電気モータが容易に制御され、容易に交換される。さらに、電気モータが比較的安価であり、標準的な部品として購入され得る。
【0175】
構造要素が4つの開口部を有することができ、各開口部が1つのフラップ回転軸を受け入れる。
【0176】
これにより、4つのフラップを備える弁を排気ハウジングの中に配置することが可能となる。
【0177】
排気ハウジングが3つ以上の弁を有することができ、具体的には7つの弁を有することができる。
【0178】
これにより、排気を1つ又は2つの排気処理デバイスまで誘導すること又は排気を排気ハウジングの出口まで直接に誘導することが可能となる。出口の後、排気が好ましくはターボチャージャまで誘導される。
【0179】
上述した燃焼エンジン又は排気ガス後処理システムが排気ハウジングを有することができ、排気ハウジングが、内燃エンジンの排気ガスのための少なくとも1つのハウジング入口と、排気ガスのための少なくとも1つのハウジング出口とを有することができる。ハウジングが排気マニホルド及び第1の排気処理エリアを有することができる。排気マニホルドが、少なくとも1つのハウジング入口と、排気ガスを第1の排気処理エリアまで案内するための少なくとも1つのマニホルド出口とを有することができる。第1の排気ガス処理エリアが第1及び第2のダクトを有することができる。第1の排気処理セクションが第1のダクト内に配置され得、第2の排気処理セクションが第2のダクト内に配置され得る。第1の排気ガス処理エリアが、排気ガスを第1のダクトのための第1のパート及び第2のダクトのための第2のパートに分けるための分岐部をさらに有することができる。分岐部が第1及び第2のダクトの上流に配置され得る。
【0180】
第1のダクトが主要な流れ圧縮部(flow constriction)を有することができ、その結果、第1及び第2のダクトの流れ分布が最適化される。
【0181】
通常の動作状態下で、流れ圧縮部が存在しない場合、排気処理セクションのうちの一方に入る流れがもう一方より大きくなる可能性がある。これにより特には排気ハウジングが非対称になり、特には触媒セクションの寿命が短くなる。
【0182】
流れ圧縮部の結果として、第1の排気処理セクションの中に入る流れが減少し、対して第2の排気処理セクションの中に入る流れが増加する。それにより、第1及び第2の排気処理セクションの間の流れ分布が最適化され得る。例えば、一実施例では、流れ圧縮部が、第1及び第2の触媒セクションの中に入る流れを実質的に等しくするように、構成され得る。
【0183】
排気処理セクションのうちの1つ又はすべてが触媒セクションであってよい。触媒セクションが選択的触媒反応(SCR:selective catalytic reaction)のための触媒を有する。代替的実施例では、排気処理セクションが選択的非触媒反応(SNCR:selective non-catalytic reaction)で排気ガスを処理することができる。触媒セクションが1つ又は複数の層を有することができる。層は、標準的な、個別に交換可能な構成要素であってよい。
【0184】
第1及び第2のダクトが平行に配置され得る。「平行に」は、排気ガスを2つのストリームに分離することとして理解される。具体的な実施例では、第1のダクト及び第2のダクトが、少なくとも部分的に実質的に同じ方向に沿うように流体を案内する。他の実施例では、第1及び第2のダクトが流体を反対方向に案内する。
【0185】
排気ガス処理エリアが、排気ガスを第1のダクトのための第1のパート及び第2のダクトのための第2のパートに分離するための、分離領域又は分割パート或は分岐を有することができる。
【0186】
分岐部が、排気ガスを、2つ、3つ、又はそれ以上のパートに分離することができる。第1のダクト及び第2のダクトが、好ましくは、排気ガスを個別に案内にするように適合される。
【0187】
第2のダクトの入口が第1のダクトの入口の上流に配置され得る。このような排気ハウジング内では、流れが下流のダクトに集中する傾向を有することを理由として、流れ分布を案内することが特に有利である。これらのダクト内では、流れ速度が高いことを理由として触媒要素がより迅速に減損する。
【0188】
一実施例では、第1及び第2の排気ダクトがZタイプ又はUタイプのマニホルドとして形成され得る。第1及び第2のダクトがそれらのそれぞれの端部のところで結合することができる。別法として、第1及び第2のダクトが、分離する排気ハウジング出口につながっていてもよい。
【0189】
流れ圧縮部が、第1のダクトに沿う形で、第1のダクトの入口のところに配置され得るか、又は第1のダクトの出口のところに配置され得る。好適な実施例では、流れ圧縮部が第1のダクトの入口のところに配置される。流れ圧縮部の後方での圧力降下の結果として、第1の排気処理セクション内の圧力が低下する。
【0190】
排気マニホルドがバイパスをさらに有することができる。バイパスが1つ又は複数のバイパス弁を用いて開閉され得る。バイパス弁が排気マニホルドの出口のところに配置され得る。バイパスが排気処理セクションを迂回する。それにより、排気ガスが、排気マニホルド入口から排気ハウジング出口まで直接に案内される。これにより、排気マニホルドをエネルギーを節約する構成にすることが可能となる。
【0191】
制御装置が弁を制御するように構成され得、その結果、第1の弁構成内で排気ガスが第1及び第2の排気処理セクションを通るように案内され、第2の弁構成内で排気ガスがバイパスを通るように案内される。
【0192】
第1及び/又は第2のダクトがダクト出口弁を有することができる。それにより、選択されるダクトのみが動作させられ得る。例えば、触媒セクションのうちの1つの触媒セクションの中の触媒要素に欠陥がある場合、この触媒セクションを有するダクトが閉じられ得る。
【0193】
さらに、排気マニホルドが、バイパスが開けられているときにダクト出口弁を閉じるように構成される制御装置を有することができる。それにより、バイパスが開けられているときの第1及び/又は第2のダクトの中への逆流が防止され得る。
【0194】
排気マニホルドがマニホルド出口弁を有することができる。マニホルド出口弁が、マニホルド出口弁が閉じられているときの排気ガス処理エリアの中への或は第1及び第2のダクトの一方又は両方の中への流れを阻止することができるように、構成され得る。別法として、第1及び/又は第2のダクトが個別の入口弁を有することができる。
【0195】
一実施例では、排気マニホルドが複数の入口を有する。排気マニホルドが複数の出口をさらに有することができる。好適な実施例では、排気マニホルドが、内燃エンジンの各シリンダのための少なくとも1つの入口を有する。
【0196】
排気ガス処理エリアが、第1及び第2のダクトの下流に排気ガス収集チャンバを有することができる。第1及び第2のダクトが排気ガスをガス収集チャンバまで案内することができる。少なくとも1つの排気マニホルド出口が排気ガス収集チャンバ内に配置され得る。排気ガス収集チャンバが、排気ガスの処理の後で排気ガスを混合するのを可能にする。
【0197】
各触媒セクションが少なくとも1つの触媒要素を有することができる。触媒要素が交換可能であってよい。触媒セクション及び/又は触媒要素が標準的な構成要素であってよく、及び/又は等しいサイズを有することができる。それにより、単一の触媒セクション及び/又は触媒要素の交換が非常に単純なものである。触媒要素が触媒層であってよい。
【0198】
一実施例では、第1及び第2の触媒セクションが2つ又は3つ或はそれ以上の触媒要素を有することができる。好ましくは、両方の触媒セクションが2つ又は3つ或はそれ以上の触媒要素を有する。
【0199】
一実施例では、流れ圧縮部が:バッフル・プレート、多孔プレート、弁また具体的にはプレート弁、1つ又は複数のフラップ、第1のダクトの断面の圧縮部、のうちの少なくとも1つによって形成される。一実施例では、流れ圧縮部がプレートによって形成され、プレートが第1のダクトの断面の一部分を覆う。
【0200】
多孔プレートが好適な実施例である。多孔プレートは特に単純であり、作るのが容易である。さらには、組み込むこと、つまり多孔プレートを既存の排気マニホルドに加えることが、特に単純である。
【0201】
本明細書で使用される場合の多孔プレートは、そこを流体が通って流れることができる1つ又は複数の孔を備えるプレートである。孔は、円形、楕円形、正方形、三角形、又は任意の他の適切な形状であってよい。好適な実施例では、孔が規則的であり、多孔プレート全体にわたって一様に分布される。一実施例では、孔が細長いスリットによって形成され得る。代替的実施例では、多孔プレートが1つの孔のみを有することができる。
【0202】
一実施例では、流れ圧縮部が調整可能である。それにより、流れ圧縮部が最新の流体ストリームに合うように調整され得、任意のスループットでストリームの平衡状態を維持することができる。流れ圧縮部は具体的には可変の多孔プレートであってよい。
【0203】
多孔プレートは、例えば2つの多孔プレートを互いの上に配置することにより、可変となり得る。多孔プレートのうちの一方の多孔プレートがもう一方の多孔プレートを基準として相対的に移動させられ得、それにより孔のうちの一部又はすべてを閉じることができる。多孔プレートが例えばモータにより能動的に作動され得る。別法として、多孔プレートが、例えば、ばねを用いて多孔プレートに接続されることにより、受動的に作動され得る。それにより、圧力が増大する場合に多孔プレートがさらに開くようになる。
【0204】
本明細書で使用されるバッフル・プレートは、流体の流れの方向を方向転換するのに使用され得るプレートである。
【0205】
一実施例では、流れ圧縮部が、乱流を導入するように設計される。乱流は、第1のダクトの断面に対して孔のサイズを変化させることによって導入され得る。圧縮部の直前の第1のダクトの断面と流れ圧縮部の断面との間の好適な比は5%から60%の間であり、さらに好ましくは10%から40%の間である。
【0206】
また、流れ圧縮部のサイズ(つまり、最小流れ断面の面積)が、排気ガス・マニホルドを通って質量流量に関連して選択され得る。排気ハウジングが、エンジンからの排気ガスの質量流量に関する情報を受け取るためのインターフェースを有することができる。別法として又は加えて、排気マニホルドが流れセンサを有することができる。流れセンサが、排気マニホルド入口のところに並びに/或はダクトのうちの1つ若しくは複数のダクト又はすべてのダクトの中に、配置され得る。この情報に従って、流れ圧縮部が調整され得る。
【0207】
一実施例では、流れ圧縮部が、意図される流れ方向に対して垂直に配置される多孔プレートである。これは、主要な流れ圧縮部のための特に単純な構成である。
【0208】
第1の排気処理セクションが第1のキャパシティを有することができ、第2の排気処理セクションが第2のキャパシティを有することができる。流れ圧縮部が、第2のダクトを通る体積ストリーム(volume stream)によって割られる第1のダクトを通る体積ストリームの比を触媒セクションのキャパシティの比に一致させるように、設計され得る。それにより、各排気処理セクションが等しい率で減損する。好ましくは、第1及び第2の触媒セクションが等しいキャパシティを有する。
【0209】
一実施例では、主要な流れ圧縮部が、第1及び第2の排気処理セクションを通るスループットを実質的に等しくするように、設計される。その結果、排気ガスが一様に分配されるようになり、したがって触媒反応の効率が向上する。
【0210】
一実施例では、第1及び第2の排気処理セクションが実質的に等しいスループット・キャパシティを有する。スループットは、各排気処理セクションのサイズ及び材料特性と、それぞれの触媒セクション内の触媒要素の数とによって画定される。
【0211】
好適な実施例では、排気ハウジングが第2の排気ガス処理エリアを有する。第1の排気ガス処理エリアが排気ガスの1つのパートを処理するように適合され、第2の排気ガス処理エリアが排気ガスの別のパートを処理するように適合される。第2の排気ガス処理エリアが第3及び第4のダクトを有する。さらに、第2の排気ガス処理エリアが、排気ガスを第3のダクトのための第3のパート及び第4のダクトのための第4のパートに分けるための分岐部を第3及び第4のダクトの上流に有する。第3及び第4の排気処理セクションが、それぞれ、第3及び第4のダクト内に配置される。副次的な流れ圧縮部が第3のダクト内に配置され、その結果、第3及び第4のダクトの流れスループットが最適化される。
【0212】
それにより、排気マニホルドのキャパシティが増大され得る。加えて、第2の排気ガス処理エリアが触媒セクションをコンパクトな構成にするのを可能にする。さらに、第3及び第4のダクトの間の流れの平衡状態が維持される。
【0213】
一般に、第3のダクトが第1のダクトと同様に構成され得る。第1のダクトに関連して言及したすべての特徴及び特定の実施例が第3のダクトにも適用される。同様のことが第4及び第2のダクトにもそれぞれ適用される。
【0214】
好適な実施例では、第1及び第2の破棄処理エリアが互いに対称に配置される。好ましくは、第1及び第2の排気処理エリアが平面対称である。第1及び第2の排気処理エリアが等しいキャパシティを有することができる。
【0215】
単に例として、添付図面に関連させて、本発明の非限定の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【
図1】排気ガス後処理システムを備える燃焼機械の第1の実例を示す概略断面図である。
【
図2】1セットの弁フラップを備える弁を示す概略斜視図である。
【
図3】燃焼機械の第2の実例を示す概略断面図である。
【
図4】排気ガス後処理システムの第2の実例を示す断面図である。
【
図5】排気ガス後処理システムの第3の実例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0217】
図1は、シリンダ出口30を備える少なくとも1つのシリンダ21と、排気ガス後処理システム10とを有する燃焼エンジン20の第1の実例の概略図を断面図として示す。
【0218】
排気ガス後処理システム10は、排気ガス・レシーバ11と、排気ガス・レシーバ11の中に又はその下流に配置されるSCR反応器12とを有する。
【0219】
排気ガス後処理システム10はフラップ13を備える弁9を有し、弁9はSCR反応器12の下流に配置される。
【0220】
排気ガス後処理システム10は、例えば光学センサを備える、弁9の開放度(opening degree)を測定するための測定デバイス14を有する。
【0221】
排気ガス後処理システム10は、弁9の開放度に基づいて、排気ガス流れ速度を決定するための制御ユニット15を有する。
【0222】
排気ガス後処理システム10は、温度センサ16と、圧力センサ17と、温度、圧力、及び開放度に基づいて排気ガス質量流量を決定するための制御ユニット18とを有する。排気ガス速度を決定するための制御ユニット15及び排気ガス質量流量を決定するための制御ユニット18は単一のユニットとして形成され得る。
【0223】
排気ガス後処理システム10は、還元剤のための投与ユニット19をさらに有する。還元剤は、好ましくは、ノズル23により排気ガス入口22の中に噴射可能である。
【0224】
排気ガス後処理システム10は、弁9の開放度に基づいて還元剤の量を決定するための制御ユニット24を有する。
【0225】
還元剤の量を決定するための制御ユニット24及び排気ガス質量流量を決定するための制御ユニット18は単一のユニットとして形成され得る。排気ガス質量流量を決定するための制御ユニット18は、還元剤の量を決定するための制御ユニット24の一部であってよい。
【0226】
図2は、1セット25の弁フラップ13を有する弁9の概略図を斜視図として示している。1セット25の弁フラップ13はコネクタ26により互いに接続され、その結果、すべての弁フラップ13が等しい角度位置αを有する。弁9の開放度を決定するためには、角度位置αを測定することで十分である。
【0227】
1つの弁フラップ13がばね27によって予め張力を加えられる。
【0228】
弁9の空間的配な配向(向き)28が重力ベクトル9に一致していない場合でも、重力により及びばね27の張力によりフラップは閉じる。
【0229】
燃焼エンジン20(
図1を参照)の理想的な位置では、例えば弁フレーム32の垂直方向部分31などの弁9の特別な配向28が重力ベクトル29に一致し、又は重力ベクトル29を基準として少なくとも固定位置を有する。
【0230】
排気ガス後処理システム10は、重力ベクトル29の方向を基準とした弁9の空間的配向28を決定するための測定デバイス33(
図1を参照)を有する。開放度から流れ速度を計算するために、ずれ(逸脱;deviation)が考慮に入れられ得る。
【0231】
図3は燃焼機械20の第2の実例の概略図を断面図として示す。
【0232】
燃焼エンジン20は、シリンダ21の排気ガスのためのシリンダ出口30を備える1つのシリンダ21と、SCR反応器12を備える排気ガス後処理システム10とを有する。
【0233】
燃焼エンジン20は還元剤のための投与ユニット19を有する。この還元剤は排気ガス入口22の中に噴射可能である。
【0234】
空気が、ターボチャージャ45から供給を受ける掃気レシーバ44からシリンダ21の中に導入される。
【0235】
掃気レシーバ44がフラップ13を備える入口弁46を有する。
【0236】
弁46はSCR反応器12の上流に配置される。
【0237】
燃焼エンジン20は、弁46の開放度を測定するための測定デバイス14をさらに有し、また燃焼エンジン20は、開放度に基づいて還元剤の量を決定するための制御ユニット24を有する。還元剤の量を決定するために、温度、圧力、及び/又は燃料の質量流量に関する情報をやはり考慮に入れる必要がある。
【0238】
図4は排気ガス後処理システム10の第2の実例の断面を示す。
【0239】
排気ガス後処理システム10の排気ガス・レシーバ11が、排気マニホルド34、及び2つの排気処理エリア35を有し、排気処理エリア35の各々が第1の処理セクション36及び第2の処理セクション37を備える。各セクション36、37の中にSCR反応器12が配置され、各セクションは反応器出口弁38、39を有することができる。
【0240】
各処理エリア35は反応器入口弁40、41をさらに有する。
【0241】
排気ガス後処理システム10はバイパス42をさらに有する。バイパス42はバイパス弁43を用いて開閉され得る。バイパス弁43は排気マニホルド34の出口として配置される。バイパス42は排気処理セクション36、37を迂回する。
【0242】
処理セクション36、37の反応器出口弁38、39は逆止弁である。したがって、排気ガスが迂回させられる事例では、逆止弁38、39がSCR反応器12内に排気ガスが流れるのを防止する。
【0243】
第2の処理セクション37の反応器出口弁39は流量制御弁であり、対して第1の処理セクション38の反応器出口弁38は受動的な弁であり、受動的な弁はガス流れの圧力によって開く。
【0244】
流量制御弁39は、例えば完全に開くのを防止され得、その結果、セクション36、37を通るガスの自由流れと比較してより多量のガスが第1のセクション36を通って流れることになる。
【0245】
排気ガス後処理システム10は、弁38、39の開放度を測定するための測定デバイス14(この図では開示されない)をさらに有することができる。測定デバイス14は排気ガス後処理システム10のハウジング45の外側に配置され得る。測定デバイス14は弁フラップ13のシャフトに結合されるセンサを有することができる。
【0246】
図5は、排気ガス後処理システム10の第3の実例の断面を示す。
【0247】
排気ガス後処理システム10は、排気マニホルド34と、第1の処理セクション37と、第2の処理セクション36とを有する。各セクション36、37の中にSCR反応器12が配置され、各セクション36、37は、反応器出口弁38、39、及び反応器入口弁40、41を有することができる。
【0248】
反応器入口弁41は第1の流量制御弁であり、反応器出口弁39は第2の流量制御弁である。
【0249】
弁38、40は受動的な弁であってよく、受動的な弁は排気ガスの圧力によって開く。
【0250】
反応器出口弁39及び反応器入口弁41は昇温時間中に閉じた状態で維持され、その結果、昇温時間中、排気ガス全体が第2のセクション36のみを通過する。
【符号の説明】
【0251】
9 弁
10 排気ガス後処理システム
11 排気ガス・レシーバ
12 SCR反応器
13 フラップ
14 測定デバイス
15 制御ユニット
16 温度センサ
18 制御ユニット
19 投与ユニット
20 燃焼エンジン
21 シリンダ
22 排気ガス入口
23 ノズル
24 制御ユニット
26 コネクタ
27 ばね
28 空間的配向
29 重力ベクトル
30 シリンダ出口
31 垂直方向部分
32 弁フレーム
33 測定デバイス
34 排気マニホルド
35 排気処理エリア
36 第1の処理セクション
37 第2の処理セクション
38、39 反応器出口弁
40、41 反応器入口弁
42 バイパス
43 バイパス弁
44 掃気レシーバ
46 入口弁
α 角度位置