(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ガイド部材、及び、テープカッター
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
B65H35/07 H
(21)【出願番号】P 2019191594
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】川村 裕一
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102028(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203653(JP,U)
【文献】実開昭61-021759(JP,U)
【文献】実公昭49-043015(JP,Y1)
【文献】特開平07-149323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
B65H 51/00-51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、
前記テープを切断可能な切断刃と、
前記切断刃と前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、前記テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、
前記圧着ローラと前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、を有するテープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材であって、
前記テープカッターの前記本体に取り付けられた場合に、前記圧着ローラと前記第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が前記圧着ローラとの間に形成される第2ガイド軸と
、
前記第2ガイド軸の両端のそれぞれに設けられている、前記本体に取り付け可能な取付部と、を備え、
前記取付部はそれぞれ前記テープカッターに取り付けられて使用され、
前記取付部の間隔を変更可能である、ガイド部材。
【請求項2】
ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、
前記テープを切断可能な切断刃と、
前記切断刃と前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、前記テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、
前記圧着ローラと前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、を有するテープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材であって、
前記テープカッターの前記本体に取り付けられた場合に、前記圧着ローラと前記第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が前記圧着ローラとの間に形成される第2ガイド軸と
、
前記第2ガイド軸の両端の少なくとも一方に設けられている、前記本体に当接して取り付け可能な取付部と、を備え、
前記取付部は、前記テープカッターの前記本体に磁着可能な磁石を有する、ガイド部材。
【請求項3】
ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、
前記テープを切断可能な切断刃と、
前記切断刃と前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、前記テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、
前記圧着ローラと前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、を有するテープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材であって、
前記テープカッターの前記本体に取り付けられた場合に、前記圧着ローラと前記第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が前記圧着ローラとの間に形成される第2ガイド軸と
、
前記テープカッターの前記本体に磁着可能な磁石と、を備える、ガイド部材。
【請求項4】
ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、
前記テープを切断可能な切断刃と、
前記切断刃と前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、前記テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、
前記圧着ローラと前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、を有するテープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材であって、
前記テープカッターの前記本体に取り付けられた場合に、前記圧着ローラと前記第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が前記圧着ローラとの間に形成される第2ガイド軸を備え
、
前記第2ガイド軸は、
前記圧着ローラの中心軸と平行な位置である第1位置と、
前記圧着ローラの中心軸に対してねじれの位置である第2位置と、の間で変位可能である、ガイド部材。
【請求項5】
ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、
前記テープを切断可能な切断刃と、
前記切断刃と前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、前記テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、
前記圧着ローラと前記テープ軸部との間に設けられ、前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、
前記本体に少なくとも一方の端部が軸支される第2ガイド軸と、を備え、
前記第2ガイド軸は、
前記圧着ローラの中心軸と平行な位置である第1位置と、
前記圧着ローラの中心軸に対してねじれの位置である第2位置と、の間で変位可能である、テープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材、及び、ガイド部材を備えるテープカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール体のテープの巻回軸と、圧着ローラと、巻回軸と圧着ローラとの間に設けられたガイド軸とを備えるテープカッターが使用されている。このようなテープカッターでは、テープの切断後にテープが垂れ下がり、テープの粘着面どうしが粘着したり、テープの粘着面がロール体の外周面に粘着したりするという問題が生ずる。この問題を解決するものとして、特許文献1に記載のテープカッターがある。特許文献1のテープカッターでは、垂れ下がり防止具を設け、引き出されたテープのガイドとの接点から圧着ロールの外周面を沿って切断歯までの距離が、接点から垂れ下がり防止具の前面に沿ってテープの外周面に至るまでの距離、あるいは、引き出されたテープのガイドに至るまでのテープの粘着面までの距離よりも小さくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のテープカッターでは、引き出されたテープが垂れ下がり防止具を周回して粘着するため、テープの再使用時に垂れ下がり防止具からテープを剥がす必要があり、構造上、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、テープの垂れ下がり時の貼り付きを改善可能な、テープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材、及び、そのガイド部材を備えるテープカッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、テープを切断可能な切断刃と、切断刃とテープ軸部との間に設けられ、本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、圧着ローラとテープ軸部との間に設けられ、本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、を有するテープカッターに取り付けられて使用されるガイド部材であって、テープカッターの本体に取り付けられた場合に、圧着ローラと第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が圧着ローラとの間に形成される第2ガイド軸を備える。
【0007】
第1の構成では、引き出されて垂れ下がったテープの先端は第2ガイド軸を周回し、第2ガイド軸と第1ガイド軸との間に位置するか、第1ガイド軸に貼着するか、第1ガイド軸よりもテープ軸部側に位置するかのいずれかとなる。このいずれの場合にも、第2ガイド軸と第1ガイド軸との間にはテープが位置することとなるため、そのテープを掴むことで、テープの使用を再開することができる。したがって、第1の構成に係るガイド部材をテープカッターに取り付けることで、垂れ下がったテープの貼り付きを改善でき、テープを効率よく再使用することができる。
【0008】
第2の構成は、第1の構成に加えて、第2ガイド軸の両端のそれぞれに設けられた、本体に取り付け可能な取付部を備え、取付部がそれぞれテープカッターに取り付けられて使用される。
【0009】
第2の構成では、ガイド軸の両端をテープカッターに取り付けて支持可能であるため、使用時の安定性を向上させることができる。
【0010】
第3の構成は、第2の構成に加えて、取付部の少なくとも一方は、本体に当接して取り付けられ、取付部の間隔を変更可能である。
【0011】
取付部を当接させて取り付ける際に、取付部に過剰な負荷が掛かれば、使用時に取付部がテープカッターの本体から外れるおそれがある。一方、取付部への負荷が過少であれば、当接力が弱まり、使用時に取付部がテープカッターの本体から外れるおそれがある。この点、第3の構成では、取付部の間隔を変更することで本体への当接力を調節可能であるため、最適な状態でガイド部材を使用可能となる。
【0012】
第4の構成は、第1~第3のいずれかの構成に加えて、テープカッターの本体に着脱可能に取り付けられる。
【0013】
第1~第3の構成のテープカッターでは、テープを圧着ローラと第2ガイド軸との間を通過させて使用するが、圧着ローラと第2ガイド軸との間隔は、圧着ローラと第1ガイド軸との間隔よりも狭いため、第2ガイド軸を備えないものと比較して、テープを通過させることが困難である場合がある。この点、第4の構成では、ガイド部材をテープカッターに対して着脱自在としているため、テープを圧着ローラの下方に位置させた後にガイド部材を取り付けてしようすることができるため、使用時の利便性を向上させることができる。
【0014】
第5の構成は、第1~第4のいずれかの構成に加えて、第2ガイド軸は、長尺状の軸部と、軸部を中心として回動可能な回転ローラと、を備える。
【0015】
第5の構成では、テープの引き出しに伴って回転ローラが回転するため、テープを引き出す際の第2ガイド軸の抵抗を低減することができる。
【0016】
第6の構成は、第1~第5のいずれかの構成に加えて、第2ガイド軸は、圧着ローラと第1ガイド軸との間隔よりも狭い間隔が圧着ローラとの間に形成される第1位置と、圧着ローラから離間した第2位置と、の間で変位可能である。
【0017】
第6の構成では、第2ガイド軸を第2位置へと移動させることで、テープを通す空間を十分に確保することができ、テープカッターへテープを取り付ける際の利便性を向上させることができる。
【0018】
第7の構成は、第6の構成に加えて、第1位置は、圧着ローラの中心軸と平行な位置であり、第2位置は、圧着ローラの中心軸に対してねじれの位置である。
【0019】
第7の構成では、第2ガイド軸と圧着ローラとの位置関係をねじれの位置とすることで、テープを通過させる空間をより広くとることができ、テープカッターへテープを取り付ける際の利便性をより向上させることができる。
【0020】
第8の構成は、テープカッターであって、ロール状に巻回されたテープの巻回軸を支持するテープ軸部を有する本体と、テープを切断可能な切断刃と、切断刃とテープ軸部との間に設けられ、本体に少なくとも一方の端部が回転可能に軸支され、テープの圧着面を外面に備える圧着ローラと、圧着ローラとテープ軸部との間に設けられ、本体に少なくとも一方の端部が軸支される第1ガイド軸と、本体に少なくとも一方の端部が軸支される第2ガイド軸と、を備え、圧着ローラと第2ガイド軸との間隔は、圧着ローラと第1ガイド軸との間隔よりも狭い。
【0021】
第8の構成では、第1の構成に準ずる機能を有するテープカッターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ガイド部材を取り付けたテープカッターの斜視図である。
【
図2】ガイド部材を取り付けたテープカッターの斜視図である。
【
図3】ガイド部材を取り付けたテープカッターの正面図である。
【
図4】ガイド部材を取り付けたテープカッターの背面図である。
【
図5】ガイド部材を取り付けたテープカッターの平面図である。
【
図6】ガイド部材を取り付けたテープカッターの底面図である。
【
図7】ガイド部材を取り付けたテープカッターの右側面図である。
【
図8】ガイド部材を取り付けたテープカッターの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
本実施形態に係るガイド部材10は、
図1~
図9に示すように、ロール状に巻き回されたテープ200を保持するテープカッター100に取り付けられて用いられるものである。このテープ200は、裏面に粘着剤が塗布された粘着面を備え、表面が非粘着面となっており、具体的には、OPP(Oriented PolyPropylene)テープである。まず、テープカッター100の構造について、
図1~
図9に加えて
図10及び
図11も参照して説明する。なお、テープカッター100にテープ200が取り付けられた場合におけるロール状のテープ200の軸方向を、左右方向として定義し、引き出されたテープ200を貼り付け対象に貼り付ける際の粘着面を底面と定義する。
【0024】
テープカッター100は、鉄で一体に形成された本体110を備えている。この本体110は、左右方向に略一定の厚みを有する板状の左側壁111及び右側壁112と、その左側壁111及び右側壁112の正面側端部どうしを繋ぐ、略一定の厚みを有する正面壁113とを備えている。左側壁111及び右側壁112は、平行に対向する面を有する板状であり、上下方向の高さは略同等である。左側壁111は背面側へと延びており、前後方向の長さが右側壁112よりも長い。左側壁111の左側面には、左側面視にて長円形状であり、左側へ略均一な量だけ突出した凸部114が形成されている。正面壁113の左右方向の幅は、使用が想定されるテープ200の幅よりも若干大きい。
【0025】
左側壁111の後端には、左側端部の位置が左側壁111の左側面と略一致するように、円筒形のテープ軸部115が一体に形成されている。このテープ軸部115の外径は、使用が想定されるテープ200の軸の内径と略等しいか、若しくは若干小径に形成されている。また、テープ軸部115の左側端部には拡径されたフランジ116が設けられている。
【0026】
正面壁113の正面には、金属で形成された略矩形の板状であり、左右方向の幅が正面壁よりも若干大きい刃部121が、ネジ121cにより取り付けられている。この刃部121の下端には三角形の凹凸が連続する切断刃121aが設けられており、その切断刃121aは、正面壁113よりも下方へ突出している。また、刃部121の両側面には、左右方向の厚みが略一定であり、且つ、切断刃121aの下端よりも下方まで延びるガード部121bが設けられている。
【0027】
刃部121の後ろ側には、略円柱形の圧着ローラ122が設けられている。この圧着ローラ122は、円筒形の芯122bと、その芯122bと同軸であり、内径が芯122bの外径と略等しい円筒形のローラ部122aとで構成でされている。芯122bは金属で形成されており、ローラ部122aは弾性を有する樹脂、例えば、ゴムで形成されている。この圧着ローラ122の左側の端部は、左側壁111の左側から左側壁111と貫通して挿入された留め具123により回動可能に保持されている。一方、圧着ローラ122の右側の端部は、右側壁112の右側から右側壁112と貫通して挿入された留め具124により回動可能に保持されている。留め具123,124の中心軸は、テープ軸部115と平行であり、すなわち、圧着ローラ122は、テープ軸部115と平行となるように軸支されている。また、留め具123の左側端部には、右方向へ略半球状に陥没した陥没部123aが形成されており、留め具124の右側端部には、左方向へ略半球状に陥没した陥没部124aが形成されている。
【0028】
テープ軸部115と圧着ローラ122との間には、円柱形の第1ガイド軸125が設けられている。この第1ガイド軸125の中心軸は、テープ軸部115及び圧着ローラ122の中心軸と平行である。また、第1ガイド軸125には、全周に亘って、左端から右端へと中心軸と平行に延びる溝が形成されている。この第1ガイド軸125の左側の端部は、左側壁111の左側から左側壁111を貫通して挿入された留め具126により、回動可能に保持されている。正面壁113の上部には、テープ軸部115と中心が共通し、且つ、テープ200の未使用時の外径よりも直径が大きい円弧板状のカバー部127が取り付けられている。
【0029】
続いて、テープカッター100に取り付けられて用いられるガイド部材10について、
図12~
図23を参照して説明する。ガイド部材10は、図示のとおり、第2ガイド軸20と、取付部50とを備えている。まず、第2ガイド軸20の構造について、
図16~
図18を参照して説明する。
【0030】
第2ガイド軸20は、長尺状の金属、より具体的にはステンレス製のバネ鋼材で形成された軸部30を備えている。この軸部30は、断面形状が略均一な1本の金属を複数個所で湾曲させることにより形成されている。以下の説明では、軸部30の一方の端部である第1端から他方の端部である第2端へと、構成する各部位を順に説明する。
【0031】
軸部30の第1端には、円形に湾曲された当接部31が形成されている。この円の中心を垂直に通る軸の方向を、第1方向と定義する。この当接部31の第2端側から、第1方向に垂直な第2方向へ向けて延びる第1中間部32が設けられている。その第1中間部32の第2端側から、第1方向及び第2方向のいずれにも垂直な方向である第3方向へ向けて延びる中心軸33が設けられている。軸部30を第1方向の正面側から見れば、中心軸33は第3方向を右方向へと延びている。中心軸33の第2端側からは、第1方向の背面方向へ向けて延びる第2中間部34が設けられている。その第2中間部34の第2端側からは、軸部30を第1方向の正面側から見た場合に、斜め後ろ上方へ向けて延びる被支持部35が設けられている。被支持部35の第2端側には、第3方向の左方向へ向けて延びる端部36が設けられている。この端部36は、軸部30の第2端を構成している。
【0032】
以上のように構成されている軸部30の中心軸33には、その周囲を囲う回転ローラ40が取り付けられている。この回転ローラ40の形状は、中心軸33と中心が一致する略円柱形であり、中心軸33回りに回動可能である。回転ローラ40の長手方向において等間隔に、複数の凸部41と凹部42がそれぞれ全周に亘って設けられている。
【0033】
続いて、取付部50の構造について、
図19~23を参照して説明する。なお、取付部50の構造を説明するうえで、各方向の定義については、テープカッター100に取り付けた場合における各方向の定義を援用する。取付部50は、基部60及び蓋部70により構成されている。基部60は、左右方向に所定の厚みを有する略長方形の底部61と、その周囲から右方向へ一定の高さを有し、且つ、厚みが略均一の周壁部62とを有している。底部61の左側面には、右方向へ窪んだ円筒形の窪み63が3つ設けられている。加えて、底部61には、左右方向へ貫通した貫通孔64が3つ設けられている。この貫通孔は、前後方向を長辺とする略長方形状の孔であり、左右方向の略中間位置から右側面までは、上下方向の幅が拡幅されている。底部61の右側面には、右側から左側へと窪んだ凹部65が設けられている。この凹部65の形状は、テープカッター100の本体110の左側壁111の左側面に設けられた凸部114と略同形状である。
【0034】
周壁部62の背面側の部分には、正面側から背面側へ向けて窪んだ係止溝66が設けられている。この係止溝66は、正面側から所定位置までは上下幅が一定で、その所定位置から背面側へ向けて上下方向のそれぞれから縮幅しており、左側面視にて円弧状となっている。この係止溝66の上下幅は、軸部30の直径と略等しい。周壁部62の底面側の前方寄りには、底面側から上面側へ向けて半円弧状に窪んだ弧状凹部67が設けられている。この弧状凹部67には、左側面側から右側面側へ向けて断面円弧状に凹んだ導入部68が設けられている。この導入部68は、左側面視にて弧状凹部67の前方寄りに設けられ、斜め下方から斜め上方へ向けて延びる溝であり、導入部60の断面を構成する円弧の直径は、軸部30の直径と略同等かやや大きい。
【0035】
蓋部70は、外形が基部60の底部61と略同形状であり、左右方向に所定の厚みを有する略長方形である。この蓋部70の右側面には、長方形柱状の係止突起71が3つ設けられている。この係止突起71は、上下幅及び左右幅が基部60の貫通孔64の上下幅及び左右幅のそれぞれと略等しく、先端には、拡幅された返しが設けられている。蓋部70の右側面の四隅には、円柱形の係止ピン72が設けられている。蓋部70の下端における前方寄りの位置には、上方へ向けて半円弧状に窪んだ弧状凹部73が設けられている。この弧状凹部73の側面視での形状は、基部60の弧状凹部67の形状と略等しい円弧状である。この弧状凹部73の前方寄りの位置から、後端近傍に至るまで、右側面から左側面へと窪んだ線状の窪みである保持溝74が形成されている。この保持溝74は、右側面視にて、弧状凹部73の前方寄りの位置から斜め後ろ上方へ延び、その位置から水平に後端近傍にまで延びている。この保持溝74の断面形状は略均一の円弧状であり、その断面の円弧の直径は、軸部30の直径と略同等かやや大きい。
【0036】
以上のように構成される基部60と蓋部70とを組み合わせて取付部50とし、第2ガイド軸20を保持する構造について説明する。まず、基部60の3つの窪み63に、直径が各窪み63と略等しい円柱状又は円板状の磁石を嵌め込んでおく。続いて、第2ガイド軸20の軸部30の第2中間部34を、基部60の導入部68に対して左側から嵌め込み、軸部20の端部36を、基部60の係止溝66に嵌め込む。これにより、軸部20が基部60により保持される。このとき、磁石によっても、軸部20の基部からの離脱が抑制されている。
【0037】
軸部20が基部60に保持された状態で、基部60に対して蓋部70を取り付ける。このとき、蓋部70の保持溝74に、軸部30の第2中間部34及び被支持部35が当接する。また、蓋部70の係止突起71が基部60の貫通孔64に挿入され、係止突起71の先端に設けられた反しによって、蓋部70が基部60に係止される。蓋部70に設けられた係止ピン72は、基部60の周壁部62の内周面の四隅に当接する。
【0038】
続いて、ガイド部材10のテープカッター100への取り付け方について説明する。まず、テープ200をテープ軸部115に取り付けておき、テープ200の先端を引き出し、圧着ローラ122の下方あたりに位置させておく。この状態で、ガイド部材10の取付部50を、テープカッター100の本体110の左側壁111の左側面に取り付ける。このとき、取付部50の基部60の底部61の右側面に設けられている凹部65に、テープカッター100の本体110の左側壁111の左側面に設けられている凸部114が嵌合する。また、取付部50の内部に設けられている磁石により、取付部50がテープカッター100の本体の左側壁111に磁着される。取付部50の基部60に設けられている弧状凹部67、及び、蓋部70に設けられている弧状凹部73は、テープカッター100の第1ガイド軸125の左端を支持する留め具126を、上方から囲うように位置する。
【0039】
一方、ガイド部材10の第2ガイド軸20の取付部50が取り付けられている側とは反対側の端部、すなわち、軸部30の当接部31は、テープカッター100の圧着ローラ122の右端を支持する留め具124に、右側から当接する。留め具124の右側端部には、左方向へ略半球状に陥没した陥没部124aが形成されているため、円環状の形状である当接部31は陥没部124aに嵌まり込み、位置が固定される。すなわち、取付部50と当接部31とにより本体110を挟むことで、軸部30のバネ性により本体を挟持して取り付けられることとなる。なお、当接部31はテープカッター100への取り付けに使用されるため、取付部と称することもできる。
【0040】
軸部30の当接部31に当接させる場合には、当接力を調節することが可能である。具体的には、第1中間部32を軸として、当接部31をその軸回りに回動させる。こうすることで、留め具124に対する当接部31の角度が変化し、これは、取付部50から当接部31までの距離が変化することを意味する。留め具124に対して当接部31が直角に当接する場合には、取付部50と当接部31との距離が最も近くなり、当接力は強くなる。一方、留め具124に対する当接部31の角度が水平に近づくほど、取付部50と当接部31との距離は遠ざかり、当接力は弱くなる。
【0041】
以上のようにガイド部材10がテープカッター100に取り付けられるため、側面視にて、第2ガイド軸20は圧着ローラ122と第1ガイド軸125との間に位置する。すなわち、圧着ローラ122と第2ガイド軸20との間隔、及び、第1ガイド軸125と第2ガイド軸20との間隔は、圧着ローラ122と第1ガイド軸125との間隔よりも狭い。また、第2ガイド軸20の外周面の接線であり且つ切断刃121aの先端を通る仮想直線の、第2ガイド軸20の外周面との接点から切断刃121aの先端までの長さは、第2ガイド軸20及び第1ガイド軸125のいずれにも接する仮想直線の、第2ガイド軸20との接点から第1ガイド軸125との接点までの長さよりも大きい。
【0042】
以上のように構成されているため、テープ200の引き出された先端部分は第2ガイド軸20と圧着ローラ122との間を通過する。すなわち、圧着ローラ122には、テープ200の外面すなわち非粘着面が対向し、第2ガイド軸20には、テープ200の内面すなわち粘着面が対向する。第2ガイド部20から切断刃121aに至るテープ200の長さは、第2ガイド軸20から第1ガイド軸125までの長さよりも長いため、第2ガイド軸20を周回して垂れ下がったテープ200は、第1ガイド軸125に粘着する。
【0043】
また、本実施形態に係るガイド部材10をテープカッター100に取り付けるうえで、第2ガイド軸20と圧着ローラ122との間隔を変更することが可能である。この場合には、第2ガイド軸20の軸部30の当接部31を摘まんで中心軸33回りに回転させる。こうすることで、軸部30の第2中間部34が、基部60の弧状凹部67に設けられた導入部68の入り口近傍を支点として湾曲し、第2ガイド軸20の圧着ローラ122に対する相対位置が変化する。
【0044】
上記構成により、本実施形態に係るガイド部材10及び、そのガイド部材20を備えるテープカッター100は、以下の効果を奏する。
【0045】
・引き出されて垂れ下がったテープ200の先端は第2ガイド軸20を周回し、第2ガイド軸20と第1ガイド軸125との間に位置するか、第1ガイド軸125に貼着するか、第1ガイド軸125よりもテープ軸部115側に位置するかのいずれかとなる。このいずれの場合にも、第2ガイド軸20と第1ガイド軸125との間にはテープ200が位置することとなるため、そのテープ200を掴むことで、テープ200の使用を再開することができる。したがって、本実施形態に係るガイド部材10をテープカッター100に取り付けることで、垂れ下がったテープ200の貼り付きを改善でき、テープ200を効率よく再使用することができる。
【0046】
・第2ガイド軸20の一方の端部に取付部50を設け、他方の端部には当接部31を設けることで、第2ガイド軸20の両端をテープカッター100により支持可能であるため、使用時の安定性を向上させることができる。
【0047】
・当接部31を当接させて取り付ける際に、当接部31に過剰な負荷が掛かれば、使用時がテープカッター100から外れるおそれがある。一方、当接部31への負荷が過少であれば、当接力が弱まり、使用時にテープカッター100から外れるおそれもある。この点、本実施形態では、当接部31を回転させることで当接力を調節可能であるため、最適な状態でガイド部材10を使用可能である。
【0048】
・テープ200を圧着ローラ122と第2ガイド軸20との間を通過させて使用する場合、圧着ローラ122と第2ガイド軸20との間隔は、圧着ローラ122と第1ガイド軸125との間隔よりも狭いため、第2ガイド軸20を備えない場合と比較して、テープ200を通過させることが困難である場合がある。この点、本実施形態では、ガイド部材10をテープカッター100に対して着脱自在としているため、テープ200を圧着ローラ122の下方に位置させた後にガイド部材100を取り付けて使用することができ、使用時の利便性を向上させることができる。
【0049】
・第2ガイド軸20と軸部30と回転ローラ40とにより構成しているため、テープ200の引き出しに伴って回転ローラ40が回転し、テープ200を引き出す際の第2ガイド軸20の抵抗を低減することができる。
【0050】
<変形例>
・実施形態では、第2ガイド軸20の軸部30の中心軸33、及び、回転ローラ40について、圧着ローラ122及び第1ガイド軸125に平行なものとした。この点、第2ガイド軸20の軸部30の中心軸33、及び、回転ローラ40の少なくとも一方を、圧着ローラ122及び第1ガイド軸125と平行な形状としなくてもよい。すなわち、第2ガイド軸20と圧着ローラ122との間隔が、第1ガイド軸125と圧着ローラ122との間隔よりも狭くなりさえすればよい。
【0051】
・第2ガイド軸20について、軸部30と回転ローラ40とで構成するものとしたが、軸部30に準ずる部材のみで構成してもよい。この場合には、軸部30に準ずる部材について、直径を実施形態に係る軸部と同等とすれば、軸部30に準ずる部材を周回したテープ200の粘着面どうしが貼り付きやすくなる可能性がある。したがって、軸部30に準ずる部材の直径を回転ローラ40と同程度の径とすることが好ましい。
【0052】
・実施形態では、第2ガイド軸20の一端側に設けられた取付部50をテープカッター100の本体110の左側面111に取り付け、他端側の当接部31を本体110が備える留め具124に取り付けることで、第2ガイド軸10の両側をテープカッター100に支持させるものとした。この点、当接部31を設けなかったり、当接部31による当接を行わなかったりすることで、取付部50のみによりテープカッター100に片持ちで支持させるものとしてもよい。
【0053】
・実施形態では、取付部50が磁石を備えるものとし、その磁石によりテープカッター100の本体110に磁着させるものとしたが、磁石以外の手段、例えば粘着力を有する部材等により取り付けるものとしてもよい。また、ネジ等により固定するものとしてもよい。これらの場合には、テープカッター100の本体110が磁性体で形成されていない場合でも取り付けることができる。
【0054】
・実施形態では、テープ200を第2ガイド軸20と圧着ローラ122との間を通す際に、ガイド部材10を取り外すものとした。この点、テープ200を第2ガイド軸20と圧着ローラ122との間に通す作業を容易とすべく、ガイド部材10の構造を一部変更してもよい。例えば、ガイド部材10の取付部50をテープカッター100に取り付けた状態で、軸部30の当接部31をテープカッター100から外し、第2ガイド軸20の位置を変更可能とすればよい。この場合には、第2ガイド軸20の軸部30を取付部50の近傍で屈曲自在としておき、第2ガイド軸20を下方へと変位させることで、第2ガイド軸20は圧着ローラ122から離間し、圧着ローラ122の中心軸に対してねじれの位置へと移動する。こうすることで、テープ200を圧着ローラ122の下方に位置させてから第2ガイド軸20を元の平行な位置へと戻すことができ、テープ200の取付時の利便性を向上させることができる。
【0055】
・実施形態では、ガイド部材10をテープカッター100に着脱自在に取り付けるものとしたが、ガイド部材10に準ずる部材、又は、第2ガイド軸20に準ずる部材を着脱自在とせず、テープカッター100に固定されるものとしてもよい。この場合には、テープ200を圧着ローラ122と第2ガイド軸20に準ずる部材との間を通す作業を容易とすべく、上述したとおり、第2ガイド軸20に準ずる部材の位置を、圧着ローラ122の中心軸に対してねじれの関係にある位置へと変位可能としておき、圧着ローラから離間させることを可能とすればよい。
【0056】
・実施形態では、取付部50を本体110の外面から取り付け、当接部31を本体110の外面から当接させるものとしたが、取付部50を本体110の内面から取り付けたり、当接部31を本体の内面から当接するものとしてもよい。この場合にも、実施形態と同様に、取付部50と当接部31との間隔を変更可能としておき、当接部31の当接力を調節することで、ガイド部材10のテープカッター100からの外れを抑制することができる。
【0057】
・実施形態に示した各部材等の素材はあくまで一例であって、同等の効果を奏するものであれば、適宜変更が可能である。また、ガイド部材10の取り付け対象であるテープカッター100の構造についても、実施形態で示したものに限られず、異なる構造のテープカッターに対しても取り付けることができる。この場合には、取付部50の形状等を、取り付け対象であるテープカッターの形状や素材に合致したものとすればよい。
【符号の説明】
【0058】
ガイド部材…10、第2ガイド軸…20、軸部…30、当接部…31、回転ローラ…40、取付部…50、テープカッター…100、本体…110、テープ軸部…115、切断刃…121a、圧着ローラ…122、第1ガイド軸…125、テープ…200