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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】間接加熱蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/30 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
C23C14/30 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019193976
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021066935
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康司
(72)【発明者】
【氏名】上岡 昌典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康輔
(72)【発明者】
【氏名】高島 徹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
(72)【発明者】
【氏名】三澤 啓一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 紘晃
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-146430(JP,A)
【文献】米国特許第08435594(US,B2)
【文献】特開2009-062566(JP,A)
【文献】特開昭60-238476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の筒状に形成され、蒸着材料が充填される容器と、
前記容器を保持する容器保持部と、
前記容器を電子衝撃加熱するための熱電子を放出する電子源と、
前記容器と被蒸着物との間に配置され、前記蒸着材料が加熱されて生じる蒸発粒子が通過する開口部を有するルーフと、
前記ルーフに保持され、前記開口部を貫通する開口部カバーと、を備え、
前記開口部カバーは、
前記ルーフにおける前記開口部の壁面に係合する枠状のブロックと、
前記ブロックを貫通する筒部と、前記筒部の軸方向の一端に連続し、前記ブロックに係合するフランジが設けられたカバー本体と、を有する
ことを特徴とする間接加熱蒸着装置。
【請求項2】
少なくとも使用前の前記開口部カバーを保管するカバー保管部と、
前記ルーフに保持された使用済みの前記開口部カバーを、前記カバー保管部に保管された使用前の前記開口部カバーと交換するカバー交換機構と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の間接加熱蒸着装置。
【請求項3】
前記カバー保管部は、使用前の前記開口部カバーと使用済みの前記開口部カバーを保管可能であり、
前記カバー交換機構は、前記ルーフに保持された使用済みの前記開口部カバーを前記カバー保管部へ搬送する第1搬送部と、前記カバー保管部に保管された使用前の前記開口部カバーを前記ルーフへ搬送する第2搬送部と、を有する
ことを特徴とする請求項に記載の間接加熱蒸着装置。
【請求項4】
前記ルーフは、前記開口部を複数有しており、
前記ルーフを移動させて、複数の前記開口部の位置を変更するルーフ移動機構を備え、
前記第1搬送部が使用済みの前記開口部カバーを前記ルーフから受け取る位置は、前記第2搬送部が使用前の前記開口部カバーを前記ルーフへ受け渡す位置が異なる
ことを特徴とする請求項に記載の間接加熱蒸着装置。
【請求項5】
前記ルーフは、前記ブロックの外壁面が当接する段部を有する
ことを特徴とする請求項に記載の間接加熱蒸着装置。
【請求項6】
有底の筒状に形成され、蒸着材料が充填される容器と、
前記容器を保持する容器保持部と、
前記容器を電子衝撃加熱するための熱電子を放出する電子源と、
前記容器と被蒸着物との間に配置され、前記蒸着材料が加熱されて生じる蒸発粒子が通過する開口部を有するルーフと、
前記ルーフに保持され、前記開口部を貫通する開口部カバーと、
少なくとも使用前の前記開口部カバーを保管するカバー保管部と、
前記ルーフに保持された使用済みの前記開口部カバーを、前記カバー保管部に保管された使用前の前記開口部カバーと交換するカバー交換機構と、を備え
前記カバー交換機構は、前記容器を前記容器保持部に対して着脱する容器搬送部を兼ねる
ことを特徴とする間接加熱蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着材料を充填した容器を電子ビーム衝撃(ボンバード)により加熱し、蒸着材料を加熱、蒸発させる間接加熱蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、真空チャンバー内に基板を配置して、この基板に向けて蒸着源を設置した蒸着装置が知られており、間接加熱蒸着源としては、蒸着材料を充填した容器に電子ビーム(熱電子)を放出する電子線衝撃型蒸着源がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された間接加熱蒸着源は、容器と、電子源と、容器保持部と、移動機構と、冷却台とを備える。電子源は、容器の底部に熱電子を放出する。容器保持部は、容器の底部を露出させて保持する。移動機構は、容器保持部を駆動させて、容器を水平方向に移動させる。冷却台は、移動機構により電子源の上方から水平方向に移動した容器の底部が接触する上面を有し、容器を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-16836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているような間接加熱蒸着源は、基板(被蒸着物)の温度上昇を抑制することが望まれている。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、被蒸着物の温度上昇を抑制することができる間接加熱蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の間接加熱蒸着装置の一態様は、有底の筒状に形成され、蒸着材料が充填される容器と、容器を保持する容器保持部と、容器を電子衝撃加熱するための熱電子を放出する電子源と、ルーフと、開口部カバーとを備える。ルーフは、容器と被蒸着物との間に配置され、蒸着材料が加熱されて生じる蒸発粒子が通過する開口部を有する。開口部カバーは、ルーフに保持され、ルーフの開口部を貫通する。開口部カバーは、ルーフにおける開口部の壁面に係合する枠状のブロックと、カバー本体とを有する。カバー本体は、ブロックを貫通する筒部と、筒部の軸方向の一端に連続し、ブロックに係合するフランジが設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上述のように、本発明の一態様は、容器と被蒸着物との間にルーフを配置するため、被蒸着物の温度上昇を抑制することができる。
なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の構成概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の上面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構の側面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構の動作を示す説明図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構が開口部カバーを支持した状態を示す断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構が開口部カバーを支持した状態を示す側面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の開口部カバーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
[間接加熱蒸着装置の構成]
まず、第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の概略構成図である。図2は、第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の上面図である。
【0012】
図1及び図2に示す間接加熱蒸着装置1は、真空チャンバー内に設置され、容器に充填された蒸着材料を加熱、蒸発させて被蒸着物の一例である基板に蒸着させる。間接加熱蒸着装置1は、容器の具体例を示す複数のライナー2と、容器保持部の具体例を示すホルダー3と、防着カバー7と、電子源8と、ルーフ15と、開口部カバー16と備えている(図1参照)。さらに、間接加熱蒸着装置1は、使用済みカバー保管部17と、使用前カバー保管部18と、カバー交換機構19と、基板100を保持する基板保持部20とを備えている(図2参照)。
【0013】
図1に示すように、複数のライナー2は、それぞれ有底の筒状に形成されており、円形の底部2aと、底部2aの周縁に連続する周壁部2bと、周壁部2bの上端に連続するフランジ部2cとを有している。周壁部2bは、底部2aからフランジ部2cに向かうにつれて径が連続的に大きくなる略筒状に形成されている。ライナー2の材料としては、例えば、モリブデンやセラミックスなどの高融点材料を挙げることができる。また、ライナー2には、蒸着材料4が充填される。
【0014】
ホルダー3は、円形の板状に形成されており、複数のライナー2を貫通させる複数の保持用孔3aを有している。複数の保持用孔3aは、円形に形成されており、保持用孔3aの縁部には、ライナー2のフランジ部2cが当接する。ホルダー3の材料は、熱抵抗の大きいものであればよい。したがって、ホルダー3には、ライナー2の熱が伝達され難くなっている。
【0015】
なお、本実施形態では、ホルダー3が6つの保持用孔3aを有している(図2参照)が、本発明に係るホルダー(容器保持部)としては、1つの保持用孔を有し、1つのライナー(容器)を保持するものであってもよく、また、7つ以上の保持用孔を有し、7つ以上のライナー(容器)を保持するものであってもよい。
【0016】
ホルダー3の中心部には、駆動機構の一具体例を示す回転駆動軸14が接続されている。回転駆動軸14は、ホルダー3を回転駆動させて、ホルダー3に保持された複数のライナー2を水平方向に移動させる。この回転駆動軸14は、回転機能を損なわないよう冷却されている。
【0017】
ルーフ15は、ホルダー3の上面に設けられている。このルーフ15は、ホルダー3の上面に接続される支持部21と、支持部21に連続する遮蔽板22とを有している。支持部21は、略円柱状に形成されており、ホルダー3の中心部に固定されている。そのため、ルーフ15は、ホルダー3と一緒に回転駆動する。したがって、ホルダー3を回転駆動させる回転駆動軸14は、本発明に係るルーフ移動機構の一具体例を示す。
【0018】
遮蔽板22は、ホルダー3と略同一の径の円形の板状に形成されている。遮蔽板22には、複数の開口部22aが設けられている。複数の開口部22aは、ライナー2に対向する部分に形成されており、周縁部から中心部に向かって径方向に延びている。開口部22aは、上方から見てライナー2における内壁面を露出させる大きさに設定されている。そのため、ライナー2に充填された蒸着材料4が加熱されて生じる蒸発粒子は、開口部22aを通過する。
【0019】
ライナー2の加熱時は、ライナー2と共にホルダー3も高温となる。ルーフ15は、ホルダー3から発生する輻射熱が基板100へ到達することを防止或いは抑制する。その結果、基板100の温度上昇を抑制することができる。なお、ルーフ15の材料は、熱抵抗の大きいものであればよい。また、ルーフ15は、回転駆動軸14と同様に、冷却されていることが好ましい。
【0020】
また、開口部22aにおける遮蔽板22の中心部側は、半円状に形成されている(図2参照)。そして、開口部22aの壁面には、下段が上段よりも内側に凸となる段部22bが形成されている。この段部22bには、開口部カバー16の後述するブロック31が係合する。
【0021】
開口部カバー16は、ルーフ15の遮蔽板22に保持され、開口部22aを貫通する。この開口部カバー16は、遮蔽板22の段部22bに係合する円環状のブロック31と、ブロック31を貫通するカバー本体32とを有する。
【0022】
ブロック31の外径は、遮蔽板22の段部22bにおける上段の幅(径)と略等しい。したがって、ブロック31の外周面が段部22bにおける上段を形成する壁面に当接し、ブロック31が遮蔽板22(ルーフ15)に対して位置決めされる。また、ブロック31の下面が段部22bにおける水平面に当接し、ブロック31が遮蔽板22(ルーフ15)に保持される。
【0023】
ブロック31の厚みは、遮蔽板22の段部22bにおける上段の厚みと略等しい。そのため、ブロック31の上面は、遮蔽板22の上面と同一平面を形成している。さらに、ブロック31の内径は、遮蔽板22の段部22bにおける下段の幅(径)よりも小さい。したがって、ブロック31の下面は、下方から見て遮蔽板22の開口部22aに露出されている。
【0024】
カバー本体32は、ブロック31を貫通する筒部32aと、筒部32aの軸方向の一端に連続するフランジ32bとを有する。筒部32aの軸方向の長さは、ホルダー3の厚みよりも大きく、筒部32aの軸方向の他端は、ホルダー3の下面よりもライナー2に接近している。
【0025】
筒部32aの内径は、ライナー2における内壁面の径よりも大きい。また、筒部32aの外径は、ブロック31の内径と略等しい。したがって、筒部32aの外周面がブロック31の内壁面に当接し、カバー本体32がブロック31に対してガタつかないようになっている。また、筒部32aの軸方向の他端は、ライナー2の開口部に接近していることが好ましい。これにより、ライナー2とカバー本体32(開口部カバー16)との間から蒸発粒子が漏れ難くすることができる。
【0026】
なお、本発明に係るカバー本体の筒部としては、ライナーにおけるフランジ部の外径よりも大きい内径に設定してもよい。この場合の筒部の軸方向の長さは、筒部の内周面がライナーにおけるフランジ部の側周面に対向する長さに設定するとよい。すなわち、開口部カバーの筒部が、ライナーにおけるフランジ部の上部を囲うようにするとよい。これにより、本実施形態の開口部カバー16よりも、ライナーと開口部カバーとの間から蒸発粒子が漏れないようにすることができる。
【0027】
フランジ32bの外径は、ブロック31の内径よりも大きく、ブロック31の外径よりも小さい。このフランジ32bがブロック31の上面に当接することにより、カバー本体32がブロック31を介して遮蔽板22(ルーフ15)に保持される。すなわち、カバー本体32は、ブロック31を介して遮蔽板22(ルーフ15)に保持される。
【0028】
このように、開口部カバー16は、ブロック31とカバー本体32から構成されている。これにより、カバー本体32におけるフランジ32bを大型化しなくでも、カバー交換機構19の後述する一対の支持アーム67bに支持される部分(ブロック31)を確保することができる。したがって、カバー本体32におけるフランジ32bの大型化を抑制することができ、カバー本体32の小型化を実現することができる。
【0029】
ライナー2に充填された蒸着材料4が加熱されて生じる蒸発粒子は、開口部カバー16のカバー本体32を通って基板100に到達する。このとき、ルーフ15における開口部22aの壁面は、開口部カバー16に覆われているため、蒸発粒子がルーフ15に付着することを防止することができる。また、蒸発粒子がルーフ15に堆積し、その後、ライナー2等に落下する心配がない。
【0030】
また、開口部カバー16のカバー本体32に蒸発粒子が付着して堆積した場合は、カバー交換機構19(図2参照)により容易に開口部カバー16を交換することができる。したがって、真空チャンバーを大気解放せずに、蒸着作業の長時間化を実現することができる。
【0031】
防着カバー7は、略箱状に形成されており、ルーフ15、ホルダー3及び複数のライナー2を覆う。この防着カバー7は、上面板41と、上面板41に連続する側面板42を有している。防着カバー7の上面板41は、基板保持部20に保持された基板100に対向する蒸発用開口部41aを有している。蒸着材料4が加熱されて生じる蒸発粒子は、開口部カバー16を通過後、防着カバー7の蒸発用開口部41aを通って基板100に到達する。
【0032】
基板保持部20は、防着カバー7の上方に配置されている。この基板保持部20は、円形の板状に形成されており、下面において基板100を保持する。また、基板保持部20における上面の中心部には、回転駆動軸51が接続されている。回転駆動軸51は、基板保持部20を回転駆動させて、基板保持部20に保持された基板100を水平方向に移動させる。また、回転駆動軸51は、回転機能を損なわないよう冷却されている。
【0033】
基板100に蒸着膜を付着させる場合は、回転駆動軸51によって基板保持部20を回転駆動させて、基板100を蒸発用開口部41aの上方に移動させる。これにより、基板100は、蒸発用開口部41aに対向する位置に配置されたライナー2に対向する。そして、ライナー2に充填された蒸着材料4が加熱されて蒸発すると、その蒸発粒子が基板100に堆積する。なお、図1では、基板保持部20が1つの基板100を保持しているが、本発明に係る基板保持部としては、複数の基板を保持するものであってもよい。
【0034】
電子源8は、ホルダー3の下方において、ライナー2の回転軌道上の任意の蒸着位置に配置されている。これにより、ホルダー3に保持されたライナー2が蒸着位置に配置されると、ライナー2は、電子源8の上方に位置する。電子源8は、フィラメントと、電界分布を形成するウェネルトとを有している。ウェネルトには、フィラメントを露出させる開口部が形成されている。
【0035】
フィラメントは、タングステン材からなる線材によって形成されている。このフィラメントには、フィラメント電源を介して加速電源9が接続されている。加速電源9は、接地されており、アース電位に対して負の高電圧、例えば300V~6kVの電圧が印加される。ホルダー3は、アース電位となっており、ホルダー3に保持されたライナー2は、アース電位となる。
【0036】
フィラメントに所定の値の電流が供給されると、フィラメントは、ジュール加熱により熱電子供給が可能な温度、例えば2300℃前後に加熱される。加速電源9によりアース電位に対して負の高電圧を印加すると、フィラメントから放出された熱電子(電子ビーム)がアース電位のライナー2に向けて加速し、ライナー2の底部2aが電子衝撃加熱される。
【0037】
電子ビームによりライナー2の底部2aが電子衝撃加熱されると、ライナー2は昇温する。そして、ライナー2からの伝導熱と輻射により蒸着材料4が加熱される。ライナー2の底部2aに対する電子衝撃加熱をある程度持続すると、蒸着材料4は、昇華又は蒸発する。蒸着材料4の蒸発粒子は、開口部カバー16、防着カバー7の蒸発用開口部41aを通過して、基板保持部20に保持された基板100に到達する。その結果、蒸着材料4の蒸発粒子は、基板100に堆積して、所望の厚さの蒸着膜が基板100に付着する。
【0038】
基板100に所定の厚さの蒸着膜が付着すると、フィラメントに対する電流の供給が停止され、電子ビームの出力が停止する。そして、ホルダー3を回転させて、隣りの保持用孔3aを貫通するライナー2を蒸着位置に配置する。また、基板保持部20を回転させて、成膜する基板100を防着カバー7の蒸発用開口部41aに対向する位置に配置する。その後、フィラメントに所定の値の電流が供給され、再び上述の成膜工程が開始される。
【0039】
図2示すように、使用済みカバー保管部17と、使用前カバー保管部18と、カバー交換機構19は、真空チャンバー内における防着カバー7の近傍に配置されている。使用済みカバー保管部17には、ルーフ15に保持されて使用された複数の使用済みの開口部カバー16を保管可能に構成されている。また、使用前カバー保管部18には、複数の使用前の開口部カバーが保管されている。
【0040】
カバー交換機構19は、第1搬送部61と、第2搬送部62とを有する。第1搬送部61は、ルーフ15に保持されて第1の位置P1に配置された使用済みの開口部カバー16を使用済みカバー保管部17へ搬送する。第2搬送部62は、使用前カバー保管部18に保管された使用前の開口部カバー16をルーフ15に設けた複数の開口部22aのうちの第2の位置P2に配置された開口部22aへ搬送する。
【0041】
ホルダー3に保持された複数のライナー2のうちの1つは、蒸着位置に配置される。蒸着位置P3に配置されたライナー2は、防着カバー7の蒸発用開口部41aを介して、基板保持部20に保持された基板100(図1参照)に対向する。図2に示すように、蒸着位置P3は、第1の位置P1及び第2の位置P2とは異なる。
【0042】
また、第1の位置P1は、第2の位置P2とは異なる。すなわち、ルーフ15が開口部カバー16をカバー交換機構19へ受け渡す位置(第1の位置)は、ルーフ15が開口部カバー16をカバー交換機構19から受け取る位置(第2の位置)と異なる位置に設定されている。これにより、開口部カバー16を受け渡す位置と受け取る位置を同じにする場合よりも、開口部カバー16を交換するために要する時間を短縮することができる。
【0043】
第1搬送部61及び第2搬送部62は、同じ構成であるため、ここでは、第1搬送部61の構成について図3を用いて説明し、第2搬送部62の構成についての説明を省略する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るカバー交換機構(第1搬送部61)の側面図である。
【0044】
図3に示すように、第1搬送部61は、支持部64と、昇降回転部65と、レバーガイド66と、搬送レバー67とを有する。昇降回転部65は、円柱状に形成されている。支持部64は、昇降回転部65を軸方向に移動(昇降移動)可能、且つ、軸回りに回転可能に支持している。
【0045】
レバーガイド66は、昇降回転部65の軸方向の一端(上端)に接合されており、昇降回転部65と一緒に昇降及び回転する。また、レバーガイド66は、搬送レバー67を水平方向に平行な所定の方向へ移動可能に支持する。図2に示すように、搬送レバー67は、レバーガイド66に移動可能に支持されるスライダー67aと、スライダー67aに設けられた一対の支持アーム67bとを有している。
【0046】
一対の支持アーム67bは、細長の角柱状に形成されており、上面、下面、及び2つの側面を有している。一対の支持アーム67bにおける互いに対向する側面間の距離は、開口部カバー16における筒部32aの外径よりも大きい。また、一対の支持アーム67bにおける互いに外側を向く側面間の距離は、ルーフ15に設けた開口部22aの下段における互いに対向する壁面間の距離よりも短い。
【0047】
第1搬送部61によって開口部カバー16を搬送する場合に、一対の支持アーム67bの上面は、開口部カバー16におけるブロック31の下面を支持する。なお、ブロック31の下面は、下方から見てルーフ15に設けた開口部22aに露出されている。そのため、第1搬送部61は、ルーフ15に干渉せずに開口部カバー16を支持することができる。
【0048】
[カバー交換機構の動作]
次に、カバー交換機構19の動作について、図4図6を参照して説明する。
図4は、第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構の動作を示す説明図である。図5は、カバー交換機構が開口部カバーを支持した状態を示す断面図である。図6は、カバー交換機構が開口部カバーを支持した状態を示す側面図である。
【0049】
カバー交換機構19の第1搬送部61は、交換が必要になった使用済みの開口部カバー16が、第1の位置P1に配置されると、使用済みの開口部カバー16を使用済みカバー保管部17へ搬送する。
【0050】
開口部カバー16の交換が必要であるか否かは、例えば、基板100に蒸着した膜厚の累積から判断する。この場合は、被蒸着物に蒸着した膜厚の累積と、開口部カバー16(カバー本体32)に付着した蒸着物(汚れ)との相関関係を予め取得しておく。そして、基板100に蒸着した膜厚の累積が所定の厚さに達すると、その蒸着に使用していた開口部カバー16にある程度の蒸着物(汚れ)が付着していると結論付け、その開口部カバー16の交換が必要であると判断する。
【0051】
また、同じ膜厚の蒸着を繰り返す場合は、開口部カバー16の使用回数が所定の回数に達したときに、開口部カバー16の交換が必要であると判断してもよい。また、本発明に係る間接加熱蒸着装置としては、開口部カバー16を撮像する撮像部を備え、撮像部が撮像した画像に基づいて、開口部カバー16の交換が必要である否かを判断してもよい。
【0052】
第1搬送部61が第1の位置P1に配置された使用済みの開口部カバー16を使用済みカバー保管部17へ搬送する場合は、まず、昇降回転部65を回転させて、一対の支持アーム67bを、防着カバー7に設けられた不図示の抜き出し用開口部に対向させる。そして、昇降回転部65を下降させて、一対の支持アーム67bの上面を使用済みの開口部カバー16におけるブロック31の下面よりも低くする。
【0053】
次に、一対の支持アーム67b(搬送レバー67)をレバーガイド66に沿って移動させ、抜き出し用開口部から防着カバー7内に挿入する。そして、一対の支持アーム67bを使用済みの開口部カバー16におけるブロック31の下方に配置する。
【0054】
次に、図5及び図6に示すように、昇降回転部65を上昇させて、一対の支持アーム67bの上面をブロック31の下面に接触させ、一対の支持アーム67bによってブロック31を持ち上げる。これにより、第1の位置P1に配置された使用済みの開口部カバー16が第1搬送部61に支持される。
【0055】
このとき、使用済みの開口部カバー16が防着カバー7の上面板41に接触しない高さで昇降回転部65の上昇を停止する。次に、一対の支持アーム67b(搬送レバー67)をレバーガイド66に沿って移動させ、防着カバー7に設けられた不図示の抜き出し用開口部から使用済みの開口部カバー16を抜き出す。
【0056】
その後、昇降回転部65を回転させると共に、一対の支持アーム67b(搬送レバー67)をレバーガイド66に沿って移動させ、使用済みの開口部カバー16を使用済みカバー保管部17へ搬送する。その結果、使用済みの開口部カバー16が、使用済みカバー保管部17に保管される。
【0057】
カバー交換機構19の第2搬送部62は、ルーフ15における開口部カバー16が取り除かれた開口部22aが第2の位置P2に配置されると、その開口部22aに使用前の開口部カバー16を搬送する。
【0058】
開口部22aに使用前の開口部カバー16を搬送する場合は、まず、使用前カバー保管部18に保管されている使用前の開口部カバー16を、第2搬送部62の一対の支持アーム67bによって支持する。そして、昇降回転部65を回転させると共に昇降させ、使用前の開口部カバー16を、防着カバー7に設けられた不図示の挿入用開口部に対向させる。
【0059】
次に、一対の支持アーム67b(搬送レバー67)をレバーガイド66に沿って移動させて、使用前の開口部カバー16を挿入用開口部から防着カバー7内に挿入し、第2の位置P2に配置された開口部22aの上方に配置する。そして、昇降回転部65を下降させて、使用前の開口部カバー16のブロック31を開口部22aの段部22bに係合させる。これにより、使用前の開口部カバー16がルーフ15に対して位置決めされる。
【0060】
その後、一対の支持アーム67bの上面がブロック31の下面から離れ、使用前の開口部カバー16がルーフ15に保持される。そして、一対の支持アーム67b(搬送レバー67)をレバーガイド66に沿って移動させ、挿入用開口部から一対の支持アーム67b(搬送レバー67)を抜き出す。これにより、使用前の開口部カバー16のルーフ15への搬送が終了する。
【0061】
本実施形態では、カバー交換機構19(第1搬送部61及び第2搬送部62)によって開口部カバー16を搬送する。しかし、本発明に係る間接加熱蒸着装置としては、カバー交換機構19が、ライナー2をホルダー3に対して着脱する容器搬送部を兼ねていてもよい。この場合は、下方から見てライナー2におけるフランジ部2cの下面が保持用孔3aに露出されるようにする。これにより、ライナー2の交換を容易に行うことができる。
【0062】
<第2の実施形態>
[間接加熱蒸着装置の構成]
次に、第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の構成について、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の開口部カバーを示す断面図である。
【0063】
第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置は、第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置1(図1及び図2参照)と同様の構成を備えており、異なる点は、開口部カバーの構成である。そこで、ここでは、第2の実施形態に係る開口部カバーの構成について説明し、第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置1(図1参照)と同じ構成の説明を省略する。
【0064】
図7に示すように、第2の実施形態に係る開口部カバー72は、ルーフ15の開口部22aを貫通する筒部72aと、筒部72aの軸方向の一端に連続するフランジ72bとを有する。筒部72aの軸方向の長さは、ホルダー3の厚みよりも大きく、筒部32aの軸方向の他端は、ホルダー3の下面よりもライナー2に接近している。
【0065】
筒部72aの内径は、ライナー2における内壁面の径よりも大きく、筒部72aの外径は、遮蔽板22の段部22bにおける下段の幅(径)よりも小さい。また、筒部72aの軸方向の他端は、ライナー2の開口部に接近していることが好ましい。これにより、ライナー2とカバー本体32(開口部カバー16)との間から蒸発粒子が漏れ難くすることができる。
【0066】
なお、本発明に係る開口部カバーの筒部としては、ライナーにおけるフランジ部の外径よりも大きい内径に設定してもよい。この場合の筒部の軸方向の長さは、筒部の内周面がライナーにおけるフランジ部の側周面に対向する長さに設定するとよい。すなわち、開口部カバーの筒部が、ライナーにおけるフランジ部の上部を囲うようにするとよい。これにより、本実施形態の開口部カバー72よりも、ライナーと開口部カバーとの間から蒸発粒子が漏れないようにすることができる。
【0067】
フランジ72bの外径は、遮蔽板22の段部22bにおける上段の幅(径)と略等しい。したがって、フランジ72bの外周面が段部22bにおける上段を形成する壁面に当接することにより、フランジ72bが遮蔽板22(ルーフ15)に対して位置決めされる。また、フランジ72bの下面が段部22bにおける水平面に当接し、開口部カバー72が遮蔽板22(ルーフ15)に保持される。
【0068】
フランジ72bの厚みは、遮蔽板22の段部22bにおける上段の厚みと略等しい。そのため、フランジ72bの上面は、遮蔽板22の上面と同一平面を形成している。また、フランジ72bの下面は、下方から見て遮蔽板22の開口部22aに露出されている。本実施形態では、開口部カバー72を1つの部材で形成した。これにより、間接加熱蒸着装置の部品点数を削減することができる。
【0069】
第1搬送部61(第2搬送部62)により開口部カバー72を搬送する場合は、一対の支持アーム67bの上面をフランジ72bの下面に接触させ、一対の支持アーム67bによって開口部カバー72を持ち上げる。これにより、開口部カバー16が第1搬送部61(第2搬送部62)に支持される。なお、第2の実施形態に係るカバー交換機構19の動作については、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0070】
<まとめ>
以上説明したように、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置は、有底の筒状に形成され、蒸着材料(蒸着材料4)が充填される容器(ライナー2)と、容器を保持する容器保持部(ホルダー3)と、容器を電子衝撃加熱するための熱電子を放出する電子源(電子源8)とを備える。さらに、容器と被蒸着物(基板100)との間に配置され、蒸着材料が加熱されて生じる蒸発粒子が通過する開口部(開口部22a)を有するルーフ(ルーフ15)と、ルーフに保持され、開口部を貫通する開口部カバー(開口部カバー16)とを備える。
【0071】
これにより、容器保持部から発生する輻射熱が基板100へ到達することをルーフによって防止或いは抑制することができる。その結果、被蒸着物の温度上昇を抑制することができる。また、ルーフにおける開口部の壁面は、開口部カバーに覆われるため、蒸発粒子がルーフに付着することを防止することができる。
【0072】
また、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置は、少なくとも使用前の開口部カバー(開口部カバー16)を保管するカバー保管部(使用前カバー保管部18)と、ルーフ(ルーフ15)に保持された使用済みの開口部カバーを、カバー保管部に保管された使用前の開口部カバーと交換するカバー交換機構(カバー交換機構19)と、を備える。
【0073】
これにより、使用済みの開口部カバーと使用前の開口部カバー容易に交換することができる。そして、間接加熱蒸着装置を真空チャンバー内に配置する場合は、真空チャンバーを大気解放せずに、使用済みの開口部カバーと使用前の開口部カバーを交換することができるため、蒸着作業の長時間化を実現することができる。
【0074】
また、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置は、カバー保管部(使用済みカバー保管部17及び使用前カバー保管部18)が使用前の開口部カバー(開口部カバー16)と使用済みの開口部カバーを保管可能である。そして、カバー交換機構(カバー交換機構19)は、ルーフ(ルーフ15)に保持された使用済みの開口部カバーをカバー保管部へ搬送する第1搬送部(第1搬送部61)と、カバー保管部に保管された使用前の開口部カバーをルーフへ搬送する第2搬送部(第2搬送部62)とを有するこれにより、使用済みの開口部カバーの搬送と、使用前の開口部カバーの搬送を別々に行うことができ、開口部カバーの交換作業に要する時間を短縮することができる。
【0075】
また、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置は、ルーフ(ルーフ15)が開口部(開口部22a)を複数有している。また、間接加熱蒸着装置は、ルーフを移動させて、複数の開口部の位置を変更するルーフ移動機構(回転駆動軸14)を備えている。そして、第1搬送部(第1搬送部61)が使用済みの開口部カバー(開口部カバー16)をルーフから受け取る位置(第1の位置P1)は、第2搬送部(第2搬送部62)が使用前の開口部カバーをルーフへ受け渡す位置(第2の位置P2)が異なる。これにより、使用済みの開口部カバーの搬送と、使用前の開口部カバーの搬送を同時に行うことができ、開口部カバーの交換作業に要する時間の短縮することができる。
【0076】
なお、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置では、第1の位置P1と第2の位置P2が、蒸着位置P3と異なる位置に設定されている。これにより、蒸着作業中に、使用済みの開口部カバーの搬送と、使用前の開口部カバーの搬送を同時に行うことができる。すなわち、蒸着作業を停止せずに開口部カバーの交換を行うことができる。
【0077】
また、上述した第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の開口部カバー(開口部カバー16)は、ブロック(ブロック31)と、カバー本体(カバー本体32)とを有する。ブロックは、ルーフ(ルーフ15)における開口部(開口部22a)の壁面に係合する枠状に形成されている。カバー本体は、ブロックを貫通する筒部(筒部32a)と、筒部の軸方向の一端に連続し、ブロックに係合するフランジ(フランジ32b)が設けられている。これにより、カバー本体におけるフランジを大型化しなくでも、カバー交換機構に支持される部分を確保することができる。したがって、カバー本体におけるフランジの大型化を抑制することができる。
【0078】
また、上述した第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のルーフ(ルーフ15)は、ブロック(ブロック31)の外壁面が当接する段部(段部22b)を有する。これにより、開口部カバーをルーフに対して容易に位置決めすることができる。
【0079】
また、上述した第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置の開口部カバー(開口部カバー72)は、ルーフ(ルーフ15)の開口部(開口部22a)を貫通する筒部(筒部72a)と、筒部の軸方向の一端に連続し、ルーフにおける開口部の縁部に係合するフランジ(フランジ72b)を有する。これにより、間接加熱蒸着装置の部品点数を削減することができる。
【0080】
また、上述した第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のルーフ(ルーフ15)は、開口部カバー(開口部カバー72)におけるフランジ(フランジ72b)の外周面が当接する段部(段部22b)を有する。これにより、開口部カバーをルーフに対して容易に位置決めすることができる。
【0081】
また、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置のカバー交換機構(カバー交換機構19)は、容器(ライナー2)を容器保持部(ホルダー3)に対して着脱する容器搬送部を兼ねる。これにより、容器の交換を容易に行うことができる。
【0082】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態は、本発明を分かり易く詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0083】
例えば、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置では、使用済みカバー保管部17と使用前カバー保管部18を設ける構成にした。しかし、本発明に係る間接加熱蒸着装置としては、使用済みの開口部カバーと使用前の開口部カバーを1つの保管部に保管してもよい。また、使用済みの開口部カバーは、交換後にカバー交換機構が支持可能な姿勢に保つ必要がないため、他の部品と干渉しない位置に配置しておいてもよい。そのため、本発明に係る間接加熱蒸着装置としては、少なくとも使用前の開口部カバーを保管するカバー保管部を備えていればよい。
【0084】
また、上述した第1及び第2の実施形態に係る間接加熱蒸着装置では、カバー交換機構19が第1搬送部61と第2搬送部62を有する構成にした。しかし、本発明に係る間接加熱蒸着装置としては、1つの搬送部を有するものであってもよい。この場合は、使用済みの開口部カバーを使用済みカバー保管部に搬送した後に、使用前カバー保管部からルーフへ使用前の開口部カバーを搬送する。
【0085】
また、上述した第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置では、ブロック31を円環状に形成した。しかし、本発明に係る間接加熱蒸着装置に係るブロックとしては、カバー本体が貫通する孔を有する枠状であればよい。また、上述した第1の実施形態に係る間接加熱蒸着装置では、カバー本体32(筒部32a)を円筒状に形成した。しかし、本発明に係る間接加熱蒸着装置に係るカバー本体としては、蒸発粒子が通過する筒孔を有する筒状でであればよい。
【0086】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、移動機構として回転駆動軸14を適用した。しかし、本発明に係る移動機構としては、ホルダー3を回転させる機構に限定されるものではなく、ホルダー及びライナーを移動させるものであればよい。本発明に係る移動機構としては、例えば、ホルダー及びライナーを直線移動させる直線移動機構を採用してもよい。この場合は、電子源は、ホルダーの下方において、ライナーの軌道上の任意の位置に配置されている。
【符号の説明】
【0087】
1…間接加熱蒸着装置、 2…ライナー(容器)、 3…ホルダー(容器保持部)、 4…蒸着材料、 7…防着カバー、 8…電子源、 9…加速電源、 14…回転駆動軸、 15…ルーフ、 16,72…開口部カバー、 17…使用済みカバー保管部、 18…使用前カバー保管部、 19…カバー交換機構、 20…基板保持部、 21…支持、 22…遮蔽板、 22a…開口部、 22b…段部、 31…ブロック、 32…カバー本体、 32a,72a…筒部、 32b,72b…フランジ、 41…上面板、 41a…蒸発用開口部、 42…側面板、 51…回転駆動軸、 61…第1搬送部、 62…第2搬送部、 64…支持部、 65…昇降回転部、 66…レバーガイド、 67…搬送レバー、 67a…スライダー、 67b…支持アーム、 100…基板、 P1…第1の位置、 P2…第2の位置、 P3…蒸着位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7