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特許7407559薬品の在庫管理システム及び薬品の在庫管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】薬品の在庫管理システム及び薬品の在庫管理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20231222BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231222BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
G16H20/10
B65G1/137 A
A61J3/00 310K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019194886
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021068338
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599020519
【氏名又は名称】株式会社イーエムシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】國光 宏昌
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-293187(JP,A)
【文献】特開2004-152154(JP,A)
【文献】特開2019-185526(JP,A)
【文献】特開2019-087153(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
B65G 1/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品の在庫数量を記憶する在庫記憶手段と、
調剤薬品構成データを記憶する調剤薬品構成記憶手段と、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段で受け付けた調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成記憶手段に記憶されている前記調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理手段と、
を備えた薬品の在庫管理システムであって、
前記指示入力受付手段が予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記調剤薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が予製の調剤処分指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記在庫記憶手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項2】
薬品の在庫数量を記憶する在庫記憶手段と、
調剤薬品構成データを記憶する調剤薬品構成記憶手段と、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段で受け付けた調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成記憶手段に記憶されている前記調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理手段と、
を備えた薬品の在庫管理システムであって、
前記指示入力受付手段が予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記調剤薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が予製の調剤処分指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用できる場合は再利用し、再利用できない場合は廃棄の処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、
前記調剤を構成する薬品で再利用できる薬品については、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記調剤を構成する薬品で再利用できず廃棄する薬品については、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記在庫記憶手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が出庫処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を出庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が廃棄処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記処理手段は、前記在庫記憶手段に、前記予製の調剤を構成する薬品について薬品有効期限を記憶させると共に、前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記予製の調剤について前記予製の調剤を構成する薬品の中で最も薬品有効期限の短い期限以前の期限を調剤有効期限として記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項6】
請求項に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、更に、前記予製の調剤の使用終了期限を記憶させ、
前記調剤有効期限が前記使用終了期限以上となるように、前記予製の調剤を構成する薬品を指定する
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項7】
請求項又はに記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する任意の薬品について前記薬品有効期限が異なる在庫がある場合には、前記在庫中で、前記薬品有効期限が短い在庫の薬品を優先的に指定する
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項8】
請求項又はに記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤の使用終了期限が前記調剤有効期限以内となるように前記予製の調剤を構成する薬品を指定することができないときは警告を出す
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項9】
請求項1、2、6又は7のいずれかに記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段が前記予製の調剤を構成する薬品を指定することにより当該薬品の前記暫定在庫数量が一定数量以下となると、前記処理手段は警告を出す
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤を、前記予製の調剤を構成する薬品として指定する
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤
の前記暫定在庫数量が一定数量以上又は一定数量以下となると警告を出す
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の薬品の在庫管理システムにおいて、
前記在庫管理システムは、前記薬品の前記正式在庫数量を記憶する正式在庫数量記憶領域と、前記薬品の前記暫定在庫数量を記憶する暫定在庫数量記憶領域と、を有する
ことを特徴とする薬品の在庫管理システム。
【請求項13】
薬品の在庫数量を在庫記憶手段に記憶させる在庫記憶ステップと、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付ステップと、
調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理ステップと、
を含む在庫管理コンピュータによる薬品の在庫管理方法であって、
前記処理ステップは、
前記調剤の指示入力受付ステップで予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、前記調剤薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用処分指示の入力である場合、
前記処理ステップでは、前記調剤を構成する薬品について、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理ステップでは、前記在庫記憶手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理方法。
【請求項14】
薬品の在庫数量を在庫記憶手段に記憶させる在庫記憶ステップと、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付ステップと、
調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理ステップと、
を含む在庫管理コンピュータによる薬品の在庫管理方法であって、
前記処理ステップでは、
前記調剤の指示入力受付ステップで予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、前記調剤薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用できる場合は再利用し、再利用できない場合は廃棄の処分指示の入力である場合、
前記処理ステップでは、
前記調剤を構成する薬品で再利用できる薬品については、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記調剤を構成する薬品で再利用できず廃棄する薬品については、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付ステップで前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理ステップでは、前記在庫記憶手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を記憶させる
ことを特徴とする薬品の在庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品の在庫管理システム及び薬品の在庫管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予製の調剤は、基本的には、医師(歯科医師及び獣医師を含む)が特定の患者(人の他、動物を含む)に対して処方した処方箋に基づくものではなく、薬局が不特定の患者に対する需要を予想して予備的にする調剤である。予製の調剤とはいえ、予製の調剤を構成する薬品について調剤するため、予製の調剤をすることにより構成薬品の在庫はその分減少する。
このような予製の調剤をする場合の薬品の在庫管理を行う装置として、特開2008-293187号公報に開示される装置が提案されている。
図22は、この従来技術を説明するための図である。
この装置は、図22に示すように、CPU(Central Prosessing Unit)911、入力装置912、メモリー913、通信装置914、表示装置915、及び記憶装置916を備える。
記憶装置916は、各種データを登録管理するデータベース管理システム(データベース)を記憶している。当該データベースには、処方箋連携データ961、薬品マスタ962、予製剤構成マスタ963、予製剤処方歴参照データ964、在庫台帳データ965、在庫評価単価データ966、仕入管理データ967等の各種データが登録されている。
この装置では、予製の調剤の指示がされると同時に予製の調剤を構成する薬品の在庫をその分減少させる。
当該装置は、予製の調剤を行う場合の在庫管理をする装置として優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-293187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる装置は、予製の調剤の指示がされると同時に予製の調剤を構成する薬品の在庫をその分減少させるため、処方箋が発行されないのに処方箋が発行されたと同様な在庫管理を行うこととなり、薬品の在庫管理上問題である。
【0005】
そこで、本発明は、薬局内で予製の調剤指示がされてから予製の調剤に対応する処方箋が出て出庫される等の処分がされるまでの間を含む期間における、予製の調剤を構成する薬品等の適切な在庫管理を可能とする薬品の在庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の薬品の在庫管理システムは、
薬品の在庫数量を記憶する在庫記憶手段と、
調剤薬品構成データを記憶する調剤薬品構成記憶手段と、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段で受け付けた調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成記憶手段に記憶されている前記調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理手段と、
を備えた薬品の在庫管理システムであって、
前記指示入力受付手段が予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段が予製の調剤処分指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする。
【0007】
このようにすると、予製の調剤作成指示の入力が受け付けられてから予製の調剤処分指示の入力を受け付けるまでの間は、予製の調剤を構成する薬品については予製の調剤をもとにした数量が暫定在庫数量として記憶され、予製の調剤処分指示の入力を受け付けられると、調剤処分指示の内容に沿った在庫数量が正式在庫数量として記憶されるため、薬局内で予製の調剤指示がされてから、予製の調剤に対応する処方箋が出て出庫される等の処分がされるまでの間を含む期間における、予製の調剤を構成する薬品等の適切な在庫管理が可能となる。
【0008】
ここで、本願の明細書等において、「薬品」には、少なくとも医師が処方箋で指示した薬品が含まれる。指示した薬品には、医師が処方箋に薬品名称を記載することにより直接的に指示した薬品の他、例えば、ジェネリック医薬品への変更を可とした場合のジュネリック薬品のように間接的に指示した薬品が含まれるようにしてもよい。
また、「薬品」には、少なくとも、薬機法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を略して「薬機法」という、以下同様、従来の薬事法を改正した法律)第2条第1項に規定される「医薬品」が含まれる。つまり、第2条第1項に規定される「日本薬局方に収められている物、人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」等が含まれる。換言すると、医師の処方箋を必要とし、薬剤師による調剤によって処方される処方箋医薬品が含まれる。また、処方箋の交付を原則とする処方箋医薬品以外の医療用医薬品が含まれる。また、処方箋を必要とせず、薬局の薬剤師の判断で調剤する薬局製造販売医薬品(薬局製剤)を含めることができる。更に、処方箋不要で薬局開設許可を受けていないドラッグストア等で購入することもできる風邪薬、胃腸薬等の一般用医薬品(OTC医薬品)を含めてもよい。
【0009】
なお、薬機法第2条第12項には「薬局」が規定され、同項の但し書きで「病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く」とされているが、本願の「薬局」は、「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)」をいうものとし、同項の但し書きで「病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く」とする「調剤所」も含まれるものとする。
<薬機法 第2条第12項
この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。>
上記したように、本願において、「薬局」には、いわゆる院外薬局だけでなく、院内薬局(調剤所)が含まれるものとする。病院若しくは診療所(医院、クリニック等を含む)等の医療機関内の調剤所(いわゆる院内薬局)でも予製剤の在庫管理を行うことがあり、本願発明は、院外薬局はもとより、院内薬局においても適用可能だからである。
また、本願において、「薬局」には、調剤を行うことが可能ないわゆる調剤薬局は無論含まれるが、医薬品の他に化粧品、日用雑貨等を取扱うドラッグストアその他の薬店等(店舗販売業)であっても薬局開設許可を受けており調剤が可能であれば本願の「薬局」に含ませてもよい。
また、健康保険等の公的医療保険による調剤報酬を受け取ることが可能ないわゆる保険薬局であっても調剤が可能であれば本願の「薬局」に含まれる。
【0010】
[2]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示入力が出庫の処分指示入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を出庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0011】
このようにすると、予製の調剤が出庫されると予製の調剤を構成する薬品について引当数量が引き落とされ、暫定在庫数量が正式在庫数量として在庫記憶手段に記憶されるため、予製の調剤を構成する薬品等のより一層適切な在庫管理が可能となる。
【0012】
[3]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が廃棄処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させと共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0013】
このようにすると、予製の調剤が廃棄処分される場合、予製の調剤を構成する薬品について引当数量が引き落とされ、暫定在庫数量を正式在庫数量として在庫記憶手段に記憶されると共に、引当数量が廃棄数量として在庫記憶手段に記憶されるため、予製の調剤を構成する薬品等のより一層適切な在庫管理が可能となる。
【0014】
[4]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0015】
このようにすると、予製の調剤が再利用される場合、予製の調剤を構成する薬品について、引当が解消され、暫定在庫数量が引当前の数量に戻され正式在庫数量として在庫記憶手段に記憶されるため、予製の調剤を構成する薬品等のより一層適切な在庫管理が可能となる。
【0016】
[5]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用できる場合は再利用し、再利用できない場合は廃棄の処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、
前記調剤を構成する薬品で再利用できる薬品については、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記調剤を構成する薬品で再利用できず廃棄する薬品については、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0017】
このようにすると、予製の調剤が再利用される場合、及び、再利用できず廃棄される場合の各々に応じた在庫管理が行われるため、予製の調剤を構成する薬品等のより一層適切な在庫管理が可能となる。
【0018】
[6]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記在庫記憶手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を記憶させることが好ましい。
【0019】
このようにすると、予製の調剤を構成する薬品について、予製の調剤の出庫がされない場合の再利用の可否が記憶されているため、再利用の可否に応じた在庫管理ができ、予製の調剤を構成する薬品等のより一層適切な在庫管理が可能となる。
【0020】
[7]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記処理手段は、前記在庫記憶手段に、前記予製の調剤を構成する薬品について薬品有効期限を記憶させると共に、前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記予製の調剤について前記予製の調剤を構成する薬品の中で最も薬品有効期限の短い期限以前の期限を調剤有効期限として記憶させることが好ましい。
【0021】
このようにすると、在庫記憶手段に予製の調剤を構成する薬品について薬品有効期限が記憶されると共に、予製の調剤作成指示の入力が受け付けられたとき、予製の調剤を構成する薬品の中で最も薬品有効期限の短い期限以前の期限が予製の調剤の調剤有効期限として記憶されるため、予製の調剤に関する厳格な調剤有効期限のもとでの在庫管理が可能となる。
【0022】
[8]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、更に、前記予製の調剤の使用終了期限を記憶させ、
前記調剤有効期限が前記使用終了期限以上となるように、前記予製の調剤を構成する薬品を指定することが好ましい。
【0023】
このようにすると、予製の調剤作成指示の入力が受け付けられると、予製の調剤の調剤有効期限が予製の調剤の服用期間内になるように予製の調剤を構成する薬品が指定されるため、有効期限外の予製の調剤が調剤服用期間内に使用されるリスクを低減した在庫管理を行うことが可能となる。
【0024】
[9]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する任意の薬品について前記薬品有効期限が異なる在庫がある場合には、前記在庫中で、前記薬品有効期限が短い在庫の薬品を優先的に指定することが好ましい。
ここで、「前記予製の調剤を構成する薬品について、前記薬品有効期限が異なる在庫がある場合」とは、例えば、予製の調剤が複数の薬品の調剤である場合に、複数の薬品中の任意の薬品について、同じ薬品でありながら薬品有効期限が異なるもの(いわば複数の在庫)が混在していることをいう。
また、「前記処理手段は、前記在庫中で、前記薬品有効期限が短い在庫の薬品を優先的に指定する」とは、同じ薬品でありながら薬品有効期限が異なるものが混在している場合に、同じ薬品中で薬品有効期限が短いものを調剤用に優先的に指定することをいう。
【0025】
このように、予製の調剤を構成する任意の薬品について薬品有効期限が異なる在庫がある場合に、当該在庫中で、薬品有効期限が短い在庫の薬品が優先的に指定されると、古い在庫の薬品から処理することができるため、薬品有効期限到来による廃棄処分等の在庫損失の少ない在庫管理が可能となる。
【0026】
[10]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤の使用終了期限が前記調剤期限以内となるように前記予製の調剤を構成する薬品を指定することができないときは警告を出すことが好ましい。
【0027】
このようにすると、予製の調剤作成指示の入力が受け付けられたときに、予製の調剤の使用終了期限が調剤有効期限以内となるような予製の調剤を構成する薬品の指定ができないと警告されるため、服用期間内に調剤有効期限が到来するような予製の調剤が行われるリスクを低減した薬品の在庫管理が可能となる。
【0028】
[11]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段が前記予製の調剤を構成する薬品を指定することにより当該薬品の前記暫定在庫数量が一定数量以下となると、前記処理手段は警告を出すことが好ましい。
【0029】
ここで、「一定数量」とは、任意の数量で、例えば在庫として保管しておくための適正数量である。「0」(零)を含めてもよい。
「警告」には、アラーム音、音声、メッセージ表示、警告マーク表示等が含まれる。
「暫定在庫数量が一定数量以下となると、処理手段は警告を出す」の例としては、適正在庫数量の限界値(限界数量)を下回ると「発注勧告」という形で発注を促すアラートを出力する例が挙げられる。
このようにすると、予製の調剤を作成することにより、予製の調剤を構成する薬品の暫定在庫数量が減少しても、その数量が一定数量以下になると警告が出されるため、薬品の在庫数量が少なくなり、これらの薬品の使用、販売等に支障をきたすリスクを減らすことが可能となる。
なお、「前記予製の調剤を構成する薬品を指定することにより当該薬品の前記暫定在庫数量が一定数量以下となる」には、後述する中間予製の調剤を構成する薬品を指定することにより最終予製の調剤(又は中間予製の調剤)を構成する薬品の前記暫定在庫数量が一定数量以下となる場合も含まれる。
【0030】
[12]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤を、前記予製の調剤を構成する薬品として指定することが好ましい。
【0031】
このように、予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤が、予製の調剤を構成する薬品として指定されると、例えば、最終的な予製の調剤に時間を要する場合に調剤作成時間を分散できる、最終的な予製の調剤が処方されなかったときの再利用の可能性が広がる場合がある、中間的な予製剤が最終的な複数の予製の調剤に利用できるときにいわば中間在庫として活用できる場合がある、等の効果の少なくとも1つを期待できる場合がある。
【0032】
[13]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤の前記暫定在庫数量が一定数量以上又は一定数量以下となると警告を出すことが好ましい。
【0033】
ここで、「一定数量」は[11]での説明と同様であり、重複した説明は省略する。
また、「警告」も[11]での説明と同様であるが、更に、中間予製の調剤の作成の示唆又は指示を「警告」に含めてもよい。
このようにすると、中間予製の調剤の在庫数量が過少となったり過剰となることを抑制したり、在庫数量を一定の範囲内に維持するサポートをすることが可能となる。
【0034】
[14]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記在庫管理システムは、前記薬品の前記正式在庫数量を記憶する正式在庫数量記憶領域と、前記薬品の前記暫定在庫数量を記憶する暫定在庫数量記憶領域と、を有することが好ましい。
【0035】
このように、正式在庫数量記憶領域と暫定在庫数量記憶領域とを有すると、処方箋に従った在庫管理は正式在庫数量記憶領域を利用して行い、調剤の需給予測のもとに予製の調剤が作成される場合の暫定的な(仮の)在庫管理は暫定在庫数量記憶領域を利用して行うことができるため、より一層適切な在庫管理を行うことが可能となる。
【0036】
[15]本発明の薬品の在庫管理方法は、
薬品の在庫数量を在庫記憶手段に記憶させる在庫記憶ステップと、
調剤作成指示及び調剤処分指示の入力を受け付ける調剤の指示入力受付ステップと、
調剤作成指示の入力に従って、調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させる処理ステップと、
を含む薬品の在庫管理方法であって、
前記処理ステップは、
前記調剤の指示入力受付ステップで予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、前記薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫記憶手段に記憶させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させ、
前記指示入力受付手段で予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、前記調剤処分指示に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0037】
このようにすると、予製の調剤作成指示の入力が受け付けられると予製の調剤を構成する薬品が指定され、予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量が引き当てられて引当数量として在庫記憶手段に記憶されると共に、在庫数量から引当数量を減じた在庫数量が薬品の暫定在庫数量として記憶され、予製の調剤処分指示の入力を受け付けられると調剤処分指示の内容に沿った(従った)在庫数量が、薬品の正式在庫数量として在庫記憶手段に記憶されるため、例えば、薬局内で予製の調剤指示がされてから予製の調剤に対応する処方箋が出て出庫される等の処分がされるまでの間を含む期間における、予製の調剤を構成する薬品等の適切な在庫管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100の概要を説明するための図である。
図2】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100の在庫管理処理手順の概要を説明するためのフローチャートである。
図3】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図4】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図5】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤を構成する薬品の薬品有効期限、予製の調剤の調剤有効期限等の関係を説明するための図である。
図6】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図7】実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤の処分指示(出庫以外の処分指示)入力の受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図8】実施形態2に係る薬品の在庫管理システムの在庫管理処理手順の概要を説明するためのフローチャートである。
図9】実施形態2で予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品が全て再利用できる場合)について説明するための図である。
図10】実施形態2で予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品が全て再利用できない場合)について説明するための図である。
図11】実施形態2で予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品の一部が再利用できる場合)について説明するための図である。
図12】実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(全て再利用できる場合)である。図12(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図12(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
図13】実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(全て再利用できない場合)である。図13(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図13(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
図14】実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(一部再利用できる場合)である。図14(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図14(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
図15】実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図16】実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図17】実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図18】実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図19】実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、中間予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図20】実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、最終予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図21】実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、最終予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図22】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の薬品の在庫管理システム及び薬品の在庫管理方法について、図面を用いて実施形態に基づき説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際のシステム構造、在庫管理項目・在庫数量等の在庫管理データ、表示等を厳密に反映したものではない。
【0040】
[実施形態1]
図1図7を用いて、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100について説明する。
在庫管理システムの概要
図1は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100の概要を説明するための図である。
薬品の在庫管理システム100は、複数の在庫管理コンピュータ1と、複数の在庫管理コンピュータ1に共通する情報を記憶する共通記憶装置60と、それらを通信で結ぶ通信回線50と、を備える。
在庫管理コンピュータ1は、マイコン(マイクロコンピュータ)10と、入力装置20と、表示装置30と、記憶装置40と、それらを電気的に接続する在庫管理コンピュータの内部バス51と、を有する。
【0041】
マイコン10は、CPU(CPU:Central Prosessing Unit、演算処理装置)11、ROM(Read Only Memory、読み出し専用のメモリー)12、RAM(Random Access Memory、任意に読み書きできるメモリー)13、及びそれらを電気的に結ぶマイコンの内部バス14を有する。ROM12には、指示入力の受付、在庫数量を記憶させる処理、制御等を行うためのプログラム(処理、制御等をするために組まれた一連の命令)や各種データが格納されている。RAM13には諸データやプログラムがメモリー展開され、CPU11が各種処理を行うためのワーク用のメモリーとして使用される。CPU11は、CPU11に対する命令(処理)を記述したプログラムを読み込んで実行する。
マイコン10の内部バス14は、マイコン10のインターフェース15を介して、在庫管理コンピュータ1の内部バス51に接続されている。
マイコン10の枠の中に示す調剤の「指示入力受付手段」16とは、プログラムを読み込み、調剤の指示入力の受付を行う機能を実行するCPU11をいう。
「処理手段」17とは、プログラムを読み込み、受け付けられた指示入力に従って、予製の調剤を構成する薬品を指定して調剤対応数量を引当て引当数量として記憶装置40(在庫記憶手段46)に記憶させる等の処理の機能を実行するCPU11をいう。
【0042】
入力装置20は、キーボード、マウス等の入力手段21とインターフェース23とを有する。入力装置20は、信号の入出力用の配線22とインターフェース23を介して、在庫管理コンピュータの内部バス51に接続されている。
表示装置30は、ディスプレイ31とインターフェース33とを有する。ディスプレイ31は液晶ディスプレイとした。信号の入出力用の配線32は、インターフェース33を介して、在庫管理コンピュータ1の内部バス51に接続されている。
なお、「入力」とは、マイコン10(又はCPU11)に情報(又はデータ、信号)を入れる(又は供給する、与える、送り込む、投入する)ことをいう。例えば、マイコン10(又はCPU11)に、調剤指示、調剤処分指示等の信号(又は情報等)を供給する(又は入れる等する)ことをいう。
【0043】
記憶装置40は、メモリー41を有する。メモリー41としてはハードディスクドライブ(HDD)を用いた。
図中の「在庫記憶手段」46とは、記憶装置40(メモリー41)内で薬品の在庫を記憶する領域あるいは薬品の在庫を記憶する記憶装置40(メモリー41)の手立てをいう。「調剤薬品構成記憶手段」47とは、記憶装置40(メモリー41)内で調剤の薬品構成を記憶する領域あるいは調剤の薬品構成を記憶する記憶装置40(メモリー41)の手立てをいう。
信号の入出力用の配線42は、インターフェース43を介して、在庫管理コンピュータ1の内部バス51に接続されている。
【0044】
在庫管理コンピュータ1の内部バス51は、在庫管理コンピュータ1のインターフェース52を介して通信回線50に接続されている。
共通記憶装置60はメモリー61を有する。メモリー61には光ディスクを用いた。信号の入出力用の配線62は、インターフェース63を介して、在庫管理コンピュータの内部バス51に接続されている。
【0045】
なお、図1の右上には、予製の調剤の指示入力受付手段16と処理手段17の機能の概略が記載されている。それぞれの機能あるいはそれらが行う処理等については後述するが、概略を説明すると、予製の調剤の指示入力受付手段16は、予製の調剤に関する指示入力を受け付けるが、予製の調剤に関する指示入力としては、予製の調剤の作成指示入力と、予製の調剤の処分指示入力とがある。処分指示の例としては出庫、廃棄、再利用等の処分指示がある。
処理手段17は、予製の調剤の指示入力受付手段16が予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、予製の調剤を構成する薬品を指定する。そして、予製の調剤を構成する薬品について、予製の調剤用とする数量について引き当てする。処理手段17は、薬品の在庫管理について、予製の調剤を構成する薬品に関して予製の調剤用とする数量を引き当てる、予製の調剤の処方箋が出る前の仮の在庫数量(正式在庫数量から引当分を引いた数量)を暫定在庫数量として在庫管理する、等の在庫管理をおこなう。そして、引当については、予製の調剤について処方箋が出たため出庫処分指示が出た、処方箋が出ず廃棄処分指示が出た等の処分指示内容に沿って引当分を引き落とす、引当を解消する等、処分指示内容に沿った在庫管理の処理をおこなう。また、暫定在庫数量については、出庫、廃棄等の処分指示入力を受け付けると処分指示内容に沿って暫定在庫数量を正式在庫数量とする、等の在庫管理をおこなう。
【0046】
在庫管理処理の手順
図2は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100の在庫管理処理手順の概要を説明するためのフローチャートである。図3図7に示す具体的な在庫管理の例を用いて説明する。
【0047】
入力装置20の入力手段21から予製の調剤作成指示の入力がされると、配線22、インターフェース23、在庫管理コンピュータ1の内部バス51及びマイコンのインターフェース15を介して指示入力信号がマイコン10の内部バス14に伝送され、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤指示作成指示の入力があったか否かを判断(検知)し、入力があった場合、調剤指示作成指示の入力を受け付ける(ステップS11、図2参照)。入力がない場合(NOの場合)には、入力があるまでS11の手順を繰り返す。
以下の説明では、各種信号がインターフェース23、15等を介してCPU11に伝達される説明やその逆のルートでCPU11から各種信号が伝達される説明は極力省略する。
【0048】
図3は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。予製の調剤作成指示の入力受付前には、CPU11(処理手段17)は、記憶装置40の在庫記憶手段46に図3に示すような在庫情報を記憶させている。なお、CPU11(処理手段17)は、在庫記憶手段46に記憶されている在庫内容をディスプレイ31に表示させる。図3等の図面(及びその説明)で「・・在庫記憶状態(表示状態)」と記載し、又は明細書中に「記憶(表示)」と記載しているのは、図3等は、在庫記憶手段46に記憶された在庫状態を示す、又はディスプレイ31に表示される在庫状態を示す趣旨である。
【0049】
図3に示すように、CPU11(処理手段17)は、在庫記憶手段46(及びディスプレイ31)に設けられた医薬品名記憶(表示)領域71、剤形・規格記憶(表示)領域72、入庫(入荷)記憶(表示)領域73、出庫(出荷)記憶(表示)領域74、正式在庫記憶(表示)領域80A、暫定在庫記憶(表示)領域80B、薬品有効期間記憶(表示)領域91、及び備考記憶(表示)領域95の所定の情報を記憶(表示)させる。
ここで、正式在庫記憶(表示)領域80Aの「正式在庫」とは、「正式な意味での在庫」の意味である。処方箋が発行される前の予製の調剤は正式な意味での在庫にならないため、CPU11(処理手段17)は正式在庫としては記憶(表示)しない。
これに対し、暫定在庫記憶(表示)領域80Bの「暫定在庫」とは、予製の調剤に対する処方箋の発行が将来あることを想定した暫定的な在庫をいう。予製の調剤に対する処方箋の発行前に予製の調剤に対する処方箋の発行があることを想定した在庫であるため、CPU11(処理手段17)は、正式な在庫としては扱わず、暫定的な在庫(仮の在庫、仮想的な在庫)として扱う。従って、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)により予製の調剤作成指示の入力受付がされた場合、CPU11(処理手段)は、暫定在庫記憶(表示)領域80Bを、予製の調剤に対応する処方箋が発行されて出庫された処分、処方箋が発行されず廃棄処分となった処分等の最終処分がされるまでの暫定的な在庫状態(在庫数量)を記憶(表示)させておくための領域として使用する。
【0050】
CPU11(処理手段)は、在庫記憶手段46(及びディスプレイ31)に設けられた、暫定在庫記憶(表示)領域80B、引当記憶(表示)領域81、引落記憶(表示)領域82、引当分の再利用可否記憶(表示)領域83及び引当分の処分内容記憶(表示)領域84に薬品の数量等の所定の情報を格納する。これらは予製の調剤に関連する領域であるが、これらについては後述する。
【0051】
CPU11(処理手段17)は、医薬品名記憶(表示)領域71には在庫品である薬品、例えばA薬品、B薬品及びC薬品の薬品名称を記憶(表示)させ、剤形・規格記憶(表示)領域72には、それらの剤形・規格を「普通錠1mg」、「顆粒10%0.5g」及び「細粒20%0.5mg」のように記憶(表示)させている。ここでは、これらの数字は、仕入れ、出庫、在庫管理等における1単位あるいは通常の服用の場合の1回分の数量を示すものとする。
【0052】
CPU11(処理手段17)は、入庫(入荷)記憶(表示)領域に73に、A薬品、B薬品及びC薬品が、2019年1月1日に、それぞれ50(50単位又は50回分、以下同様)入庫(入荷)したことを記憶(表示)させている。正式在庫記憶(表示)領域80Aには、2019年1月19日の在庫確認では1月1日の入荷時と同じ数量の在庫があった(それぞれ「50」あった)ことを記憶(表示)させている。
また、CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品及びC薬品の有効期限がそれぞれ2019年5月31日、6月30日及び7月31日であることを薬品有効期間記憶(表示)領域91に記憶(表示)させている。
その他の数量等の情報についても、CPU11(処理手段17)は、それそれの領域に図3に示すように記憶(表示)させている。
【0053】
予製の調剤の作成指示の入力受付
調剤の指示入力受付手段16が予製の調剤作成指示の入力を受け付ける(S11)と、ステップS13の手順に進む(図2参照)。S13(S13はステップ13の意味、以下同様)では、CPU11(処理手段17)は、記憶装置40の調剤薬品構成記憶手段47に記憶されている予製の調剤の薬品構成情報に沿って、予製の調剤を構成する薬品を予製の調剤用に指定する。そして、予製の調剤を構成する薬品について、予製の調剤に対応する数量(予製の調剤に使用する数量)を予製の調剤用として引き当てる。また、正式在庫数量から引当数量を減じた数量を暫定在庫数量としてメモリー41に記憶させる(ディスプレイ31に表示させる)。
【0054】
図4は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。図4に示す例を用いて説明する。
調剤の指示入力受付手段16が、2019年1月20日に、予製の調剤の作成指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、医薬品名記憶(表示)領域71に新たに予製の調剤の名称を記憶(表示)させる。剤形・規格記憶(表示)領域72には、予製の調剤が、A薬品、B薬品及びC薬品で構成される調剤であることを記憶(表示)させる。(なお、図4中の「D予製の調剤」と「予製の調剤D」とは同じ意味である。)
そして、CPU11(処理手段17)は、メモリー41の調剤薬品構成記憶手段47に記憶されている予製の調剤の薬剤構成情報を読み出す。調剤の薬剤構成情報によると、予製の調剤の1回分は、A薬品1単位分(1回分)と、B薬品1単位分(1回分)と、C薬品1単位分(1回分)とを合わせた調剤で構成される。
すると、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成する薬品としてA薬品、B薬品及びC薬品を指定し、予製の調剤Dの数量「10」に対応する数量として、A薬品、B薬品及びC薬品としてそれぞれ「10」を引き当てて、引当記憶(表示)領域81に記憶(表示)させる。
そして、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dの暫定在庫数量を「10」とし、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の暫定在庫数量を「40」とする暫定在庫数量を暫定在庫記憶(表示)領域80Bに記憶(表示)をさせる。予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の暫定在庫数量「40」は、正式在庫記憶(表示)領域80Aの数量「50」から引当記憶(表示)領域81の数量「10」を減じた数量である。
一方、CPU11(処理手段17)は、正式在庫については正式在庫記憶(表示)領域80Aに記憶(表示)させる正式在庫数量を変更しない。
【0055】
薬品有効期限、予製の調剤の調剤有効期限等
ここで、薬品有効期限、予製の調剤の調剤有効期限等について説明する。
図5は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤を構成する薬品の薬品有効期限、予製の調剤の調剤有効期限等の関係を説明するための図である。
図5に示すように、A薬品、B薬品及びC薬品の入荷日は2019年1月1日である。A薬品、B薬品及びC薬品の有効期限はそれぞれ2019年5月31日、6月30日及び7月31日である。1月20日は、CPU11(指示入力受付手段16)により、これらを構成薬品とする予製の調剤Dの作成指示が受け付けられた日である。
2019年5月31日は、CPU11(処理手段17)が予製の調剤Dの調剤有効期限とした日である。CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品及びC薬品の薬品有効期限中で最も短いA薬品の有効期限日を調剤Dの調剤有効期限日として薬品有効期間記憶(表示)領域91に記憶(表示)させる。
【0056】
CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dで予想される使用終了期限を記憶させ、調剤有効期限が使用終了期限以上となるように、予製の調剤Dを構成する薬品(A薬品、B薬品及びC薬品)を指定する。
図5では、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dについて予想される最も遅い使用終了期限を記憶(表示)させる。予製の調剤Dについて、予想処方箋発行日が2月20日で、予製の調剤Dを2月20日から毎日1回最大10回分(10日)処方することが予想されると、予製の調剤Dについて予想される使用終了期限(日)は3月1日となることから、CPU11(処理手段17)は、この日を予製の調剤Dの使用終了期限として記憶(表示)させる。
【0057】
CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dの調剤有効期限の日が使用終了期限の日(3月1日)以上となるように(使用終了期限の日と同じ日である3月1日、又はそれを超える日、即ち、3月2日、3日、4日・・となるように)、予製の調剤Dを構成する薬品(A薬品、B薬品及びC薬品)を指定する。この場合は、A薬品、B薬品及びC薬品の有効期限はそれぞれ2019年5月31日、6月30日及び7月31日であり、予製の調剤Dの調剤有効期限日は5月31日であり、予製の調剤Dの使用が終了する予製の調剤Dの使用終了期限は3月1日であるため、予製の調剤Dの構成薬品として在庫のA薬品、B薬品及びC薬品を使用しても予製の調剤Dの使用が終了する前に調剤有効期限日が経過してしまうことがなく、問題ない。
仮に、A薬品について、有効期限が2019年5月31日の在庫の他に、有効期限が2019年2月28日の在庫がある場合には、CPU11(処理手段17)は、有効期限が2019年2月28日である在庫のA薬品を指定せず、有効期限が2019年5月31日である在庫のA薬品を指定するようにする。
また、A薬品の在庫が、有効期限が2019年2月28日の在庫だけである場合は、CPU11(処理手段17)は、在庫のA薬品では予製の調剤Dを調剤できない旨の警告を出すようにする。
【0058】
なお、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成する薬品としてA薬品、B薬品及びC薬品を指定する際、それらの薬品の薬品有効期限が、予製の調剤Dの予想使用終了期限以前であるようにこれらの薬品を指定してもよい。そして、例えば、在庫にA薬品等があるが、その有効期限が予製の調剤Dの予想使用終了期限より前である場合には、CPU11(処理手段17)は警告を出し、使用してよいか否かの確認を求めるようにしてもよい。使用許可の入力を受け付けたとき(場合)には、当該薬品を調剤用に使用するようにしてもよい。
あるいは、適当な在庫がない場合には、自動的に発注するようにしてもよい。
【0059】
予製の調剤を構成する薬品の暫定在庫数量が一定数量以下となる場合
調剤の指示入力受付手段16が予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、CPU11(処理手段17)が予製の調剤Dを構成する薬品A、B及びCを予製の調剤用に指定することにより当該薬品(予製の調剤を構成する薬品A、B及びC)の暫定在庫数量が一定数量以下となると、CPU11(処理手段17)は警告を出す。
図4の表を例にして説明する。薬品A、B及びCは、医師により処方箋に記載されることが多く、常に一定数量の在庫を確保しておく必要がある薬品であるとする。これらの適正在庫数量がいずれも「45~65」の場合にはこれらの適正在庫数量の下限の限界値(限界数量)は「45」である。CPU11(処理手段17)が予製の調剤Dを構成する薬品A、B及びCを予製の調剤用に指定すると、これらの暫定在庫数量は「40」となり下限の限界値「45」を下回る(図4の暫定在庫記憶(表示)領域80B参照)。
すると、CPU11(処理手段17)は、「発注勧告」という形で発注を促すアラートを、ディスプレイ31への表示、ブザーあるいは音声等の音で出力する。
このようにすると、予製の調剤Dを作成することにより、予製の調剤Dを構成する薬品A、B及びCの暫定在庫数量が減少しても、それらの数量が一定数量以下になると警告が出されるため、予製の調剤Dを構成する薬品A、B及びCの在庫数量が少なくなり、これらの薬品の使用、販売等に支障をきたすリスクを減らすことが可能となる。
なお、「一定数量」は「0」でもよい。これは在庫がなくなることを意味する。
【0060】
予製の調剤の処分指示の入力受付
入力装置20の入力手段21から予製の調剤処分指示の入力がされると、予製の調剤作成指示の入力がされた場合と同様に、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)は予製の調剤処分指示の入力があったか否かを判断し(S15)、予製の調剤処分指示の入力があった場合(YESの場合)、S17へ進む(図2参照)。処分指示の入力がない場合(NOの場合)には、処分指示の入力があるまでS15の手順を繰り返す。
CPU11(指示入力受付手段16)が予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、調剤処分指示の内容に沿った在庫数量を薬品の正式在庫数量として在庫記憶手段46に記憶させる(S18、S19)。
【0061】
予製の調剤出庫の処分指示
予製の調剤処分指示の内容が出庫の処分指示であるとCPU11(指示入力受付手段16)が判断する(S17)と、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤を構成する薬品について引当していた数量を引き落として出庫数量として記憶(表示)させる(S18)。そして、暫定在庫記憶(表示)領域80Bに暫定在庫数量として記憶(表示)させていた数量を正式在庫記憶(表示)領域80Aに正式在庫数量として記憶(表示)させる。
【0062】
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
【0063】
2019年2月20日に予製の調剤Dに対応する処方箋が発行され処方箋を持って薬局を訪れた患者に予製の調剤Dを引き渡す場合の在庫管理の例である。CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が2月20日に予製の調剤Dの出庫指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、図6に示すように、A薬品、B薬品及びC薬品(並びに予製の調剤D)について、引当記憶(表示)領域81の引当数量を引き落とし、引落記憶(表示)領域82に引当数量に対応する引落数量を記憶(表示)させる。図6の例では、更に、引当分の処分内容記憶(表示)領域84に処分内容が「出庫」であることを記憶(表示)させている。
【0064】
予製の調剤の出庫以外の処分指示(廃棄処分指示)
CPU11(処理手段17)が予製の調剤処分指示の内容を出庫以外の処分指示(廃棄処分指示)であると判断する(S17)と、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤及び予製の調剤を構成する薬品について引き当てていた数量を引き落とす(S19、図2参照)。そして、暫定在庫記憶(表示)領域80Bに暫定在庫数量として記憶(表示)させていた数量を、正式在庫記憶(表示)領域80Aに正式在庫数量として記憶(表示)させる。なお、後述の図7の例では、更に、引当分の処分内容記憶(表示)領域84には、処分内容が「廃棄」であることを記憶(表示)させている。
【0065】
図7を用いて更に具体的に説明する。図7は、実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100で、予製の調剤の処分指示(出庫以外の処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
【0066】
予製の調剤Dに対応する処方箋が発行される可能性が非常に低くなった等の何らかの事情で、2019年2月20日に予製の調剤Dについて、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が出庫以外の処分指示(例、廃棄処分指示)の入力を受け付けたとき(場合)、図7(a)に示すように、CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品及びC薬品並びに予製の調剤Dについて、引当記憶(表示)領域81の引当数量を引落日2月20日として引き落とし、引落記憶(表示)領域82に引当数量に対応する数量を引落数量として記憶(表示)させる。
【0067】
図7の例では、A薬品、B薬品及びC薬品(及び予製の調剤D)は廃棄され、A薬品、B薬品及びC薬品(及び予製の調剤D)の出庫はないから、CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品及びC薬品(及び予製の調剤D)の出庫(出荷)記憶(表示)領域74は空欄のままとする。出庫がなかったとして数量「0」を記憶(表示)させてもよい。
そして、CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品及びC薬品について、暫定在庫記憶(表示)領域80Bに記憶(表示)させていた暫定在庫数量を正式在庫数量として正式在庫記憶(表示)領域80Aに記憶(表示)させる。暫定在庫記憶(表示)領域80Bを空欄とする(暫定在庫数量「0」としてもよい)。
【0068】
[実施形態2]
実施形態2に係る薬品の在庫管理システム(図示せず)は、基本的には実施形態1に係る薬品の在庫管理システム100と同様であるが、実施形態1では、出庫しない処分指示の入力受付がされると、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤D並びに予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品を廃棄処分として在庫管理をするのに対し、実施形態2では、CPU11(処理手段17)は、出庫しない処分指示の入力受付がされると、暫定在庫記憶(表示)領域80B中の暫定在庫数量を「0」(あるいは空欄)にすると共に、再利用の可否に応じて引当分を解消、引落等することにより正式在庫記憶(表示)領域80A中の数量を増減させる点が異なる。
なお、実施形態2(及び実施形態3、4)の薬品の在庫管理システムは図示しないが、その構成は、図1に示す実施形態1の薬品の在庫管理システム100の構成と同様である。
【0069】
実施形態2を図8図14を用いて説明する。
図8は、実施形態2に係る薬品の在庫管理システムの在庫管理処理手順の概要を説明するためのフローチャートである。
【0070】
実施形態2のスタート~ステップS17までの手順及びS18の手順は、実施形態1と同様である(図2参照)。
しかし、CPU11が予製の調剤処分指示の内容を判断した際(S17)、予製の調剤処分指示の内容が出庫以外の処分指示の内容であった場合には、実施形態1では予製の製剤を構成する薬品を全て引落(廃棄)して暫定在庫記憶(表示)領域80Bの数量を空にして正式在庫記憶(表示)領域80Aの数量を引落前の暫定在庫記憶(表示)領域80Bの数量とする(図2、S19)のに対し、実施形態2では予製の調剤を構成する薬品の再利用の可否を判断して(S20)再利用可の場合には引当を解消する(S21)、再利用不可の場合には引当数量を引き落とす(S23)、のように再利用の可否に対応して異なる在庫管理をする点が実施形態1と異なる(図8参照)。
【0071】
図8のS20、S21及びS23について説明すると、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)は予製の調剤処分指示の入力を受け付け(S15)予製の調剤処分指示の内容を判断する(S17)が、予製の調剤処分指示の内容が予製の調剤について出庫以外の処分指示(出庫中止)の内容であると、CPU11(処理手段17)は予製の調剤を構成する薬品について再利用の可否を判断する(S20)。あるいは、再利用するか否かを判断する。
【0072】
再利用が可能な場合(あるいは再利用する場合)、CPU11(処理手段17)は予製の調剤を構成する薬品についての「引当」を解消する。再利用するため、引当分を引き落とす在庫管理は適当でないためである。CPU11(処理手段17)は、暫定在庫記憶(表示)領域80Bの数量を引当前の数値に戻す(S21)。正式在庫記憶(表示)領域80Aの数量は変更しない。
【0073】
再利用が不可能な場合(あるいは再利用可能であっても、例えば廃棄処分することとするようにして再利用しない場合)、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤を構成する薬品について「引当」分を「引落」す(S23)。再利用しないため、引落分を引き落とすこととして処理するためである。そして、暫定在庫記憶(表示)領域80Bに記憶(表示)させていた暫定在庫数量を正式在庫数量として正式在庫記憶(表示)領域80Aに記憶(表示)させる。
【0074】
なお、一部繰り返しになるが、ステップS17でCPU11(指示入力受付手段16)が予製の調剤処分指示の内容を出庫以外の処分指示であると判断した場合にはステップ20の処理に進むが、ステップ20ではCPU11(処理手段17)は予製の調剤を構成する薬品について再利用可否を判断せずに再利用しない又は再利用するのいずれかに分け、再利用する場合は引当解消等のステップS21の処理をし、再利用しない場合は引当(分)の引落等のステップS23の処理をするようにしてもよい。
例えば、再利用が困難であっても何等かの方法で必ず再利用することが決められているとき(場合)には再利用する引当解消等のステップS21の処理をするようにし、再利用可能であっても必ず廃棄することが決められているとき(場合)にはCPU11(処理手段17)は再利用しないとして引当(分)の引落等のステップS23の処理をするようにしてもよい。
【0075】
予製の調剤を構成する薬品の再利用
予製の調剤を構成する薬品の再利用について説明する。CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤の作成指示の入力を受け付けると、CPU11(調剤の指示入力受付手段16又は処理手段17)は、予製の調剤を構成する薬品の再利用の可否(あるいは再利用するか否か)を引当分の再利用可否記憶(表示)領域83(図12参照)に記憶(表示)させる。
【0076】
ここで、「再利用の可否」について、図9図11を用いて具体例も用いて説明する。
全て再利用可能な場合の例
図9は、予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品が全て再利用できる場合)について説明するための図である。なお、図9図10又は図11で、符号101は予製の調剤D301の1回分の薬包袋を示し、符号102、103及び104はそれぞれA薬品201、B薬品202及びC薬品203の1回分の薬包袋を示す。
図9の左側に示すように、A薬品201、B薬品202及びC薬品203をそれぞれ1回分の薬包袋102、103及び104で包み、更に全体を予製の調剤D301の1回分の薬包袋101で包むようにした場合、図9の右側に示すように予製の調剤D301の薬包袋101を破って薬包袋102、103及び104を取り出せば、A薬品201、B薬品202及びC薬品203の再利用が可能となる。
予製の調剤Dがこのような形態で調剤されている場合には、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成する薬品の再利用の可否(あるいは再利用するか否か)について、A薬品201、B薬品202及びC薬品203の全てに対して再利用「可」(能)である(あるいは再利用する)ことを引当分の再利用可否記憶(表示)領域83(図12参照)に記憶(表示)させる。
【0077】
全て再利用不可能な場合の例
図10は、予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品が全て再利用できない場合)について説明するための図である。
図10の左側に示すように、予製の調剤D301が、A薬品(普通錠)201、B薬品(顆粒)202及びC薬品(細粒)203を個々の薬包袋に分けずひとまとめの状態で予製の調剤D301の1回分の薬包袋101中に包んで調剤されているような場合には、薬包袋101を破いても、A薬品(普通錠)201、B薬品(顆粒)202及びC薬品(細粒)203をそれぞれに分けるのは困難である(図10の右側参照)。例えば、普通錠であるA薬品201は、その表面にB薬品(顆粒)202あるいはC薬品(細粒)203が付着するため、A薬品(普通錠)に付着したB薬品(顆粒)202あるいはC薬品(細粒)203をA薬品を損なうことなく元の状態に戻したり、B薬品あるいはC薬品にA薬品が混ざらないような状態で取り除くことは容易でない。図10のような場合には、予製の調剤D301を構成するA薬品(普通錠)201、B薬品(顆粒)202及びC薬品(細粒)203毎の再利用は困難である。
このような場合、CPU11(処理手段17)は予製の調剤Dを構成する薬品の再利用の可否(あるいは再利用するか否か)について、A薬品201、B薬品202及びC薬品203の全てに対して再利用「不可」であること(あるいは再利用しないこと)を引当分の再利用可否記憶(表示)領域83(後述する図12参照)に記憶(表示)させる。
【0078】
一部再利用可能な場合の例
図11は、実施形態2で予製の調剤の再利用(予製の調剤を構成する薬品の一部が再利用できる場合)について説明するための図である。
図11の左側に示すように、予製の調剤D301が、A薬品(普通錠)201をA薬品1回分の薬包袋102で包み、B薬品(顆粒)202及びC薬品(細粒)203をひとまとめの状態で薬包袋111で包み、薬包袋102及び薬包袋111を予製の調剤D301の1回分の薬包袋112で包むようにした場合、図11の右側に示すように薬包袋112を破ると薬包袋112の中身は薬包袋102及び111に分かれる。薬包袋102で包んだA薬品201は再利用できるが、薬包袋111で包んだB薬品(顆粒)202及びC薬品(細粒)203の混合物は混合物としての利用(用途)がない場合にはB薬品とC薬品とが分離した状態での再利用は困難である。
このような場合、CPU11(処理手段17)は予製の調剤Dを構成する薬品の再利用の可否(あるいは再利用するか否か)について、A薬品201に対しては再利用「可」であること(あるいは再利用すること)、B薬品202及びC薬品203に対しては再利用「不可」であること(あるいは再利用しないこと)を引当分の再利用可否記憶(表示)領域83(図12参照)に記憶(表示)させる。
【0079】
全て再利用可能な場合の在庫管理
図12は、実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(全て再利用できる場合)である。図12(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図12(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
具体的には、2019年2月20日に出庫以外の処分指示の入力の受付があった場合の例で、図12(a)は2月19日即ち処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図12(b)は2月20日における処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
【0080】
図12(a)に示すように、予製の調剤Dについて処分指示の入力の受付前、CPU11(処理手段17)は正式在庫記憶(表示)領域80AにA薬品、B薬品及びC薬品の正式在庫数量を記憶(表示)させている。処方箋が発行される前の予製の調剤Dは正式の調剤ではないから正式在庫記憶(表示)領域80Aには予製した調剤Dの数量を正式在庫数量としては記憶(表示)させていない。
一方、暫定在庫記憶(表示)領域80Bには、予製の調剤D並びに予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の暫定在庫数量を記憶(表示)させている。A薬品、B薬品及びC薬品の暫定在庫数量は、正式在庫記憶(表示)領域80Aの正式在庫数量から引当記憶(表示)領域81の引当数量を減じた数量としている。
【0081】
CPU11(処理手段17)は、引当分の再利用可否記憶(表示)領域83には、予製の調剤D並びに予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の再利用可否の内容を記憶(表示)させている。図12の例は、図9を用いて説明したような場合で、A薬品、B薬品及びC薬品の全てが再利用可能な例であり、予製の調剤D並びに予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の全てについて「可」(再利用可能)と記憶(表示)させている。
図12(b)に示すように、出庫以外の処分を行う(再利用できる場合は再利用する)との処分指示の入力をCPU11(調剤の指示入力受付手段16)が2月20日に受け付けると、CPU11(処理手段17)は引当を解消する。引当分の再利用可否記憶(表示)領域83には、予製の調剤D並びに予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の全てが再利用「可」とされているため、CPU11(処理手段17)は、暫定在庫記憶(表示)領域80BのA薬品、B薬品及びC薬品の暫定在庫数量「40」を引当前の数量「0」に戻し空欄とする。正式在庫記憶(表示)領域80Aの正式在庫数量は「50」のまま変更しない。引当しないから、引当記憶(表示)領域81の引当数量は空欄(または「0」)とする。引落しないから、引落記憶(表示)領域82は空欄(または「0」)のままとする。A薬品、B薬品及びC薬品は再利用され出庫されないからである。出庫(出荷)記憶(表示)領域74の出庫数量も「0とし空欄のままとする。引当分の処分内容記憶(表示)領域84には、A薬品、B薬品及びC薬品について「再利用」と記憶(表示)させる。予製の調剤Dについても「再利用」と記憶(表示)させる。
【0082】
全て再利用不可能な場合の在庫管理
図13は、実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(全て再利用できない場合)である。図13(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図13(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
【0083】
全て再利用できない場合には、CPU11(処理手段17)は、図13(a)に示すように、引当分の再利用可否記憶(表示)領域83に、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品(及び予製の調剤D)について「不可」(再利用不可能)と記憶(表示)させている。
【0084】
そして、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、図13(b)に示すように、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品(及び予製の調剤D)について図13(a)で引当記憶(表示)領域81に引落数量と記憶(表示)された数量を引き落とし(引落記憶(表示)領域82等参照)、暫定在庫記憶(表示)領域80Bで暫定在庫数量と記憶(表示)されていた数量を正式在庫数量として正式在庫記憶(表示)領域80Aに記憶(表示)させる。引当分の処分内容記憶(表示)領域84には「廃棄」と記憶(表示)させる。
【0085】
一部再利用可能な場合の在庫管理の在庫管理
図14は、実施形態2に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力受付前後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図(一部再利用できる場合)である。図14(a)は処分指示の入力受付前の状態を説明するための図で、図14(b)は処分指示の入力受付後の状態を説明するための図である。
【0086】
図14では、図12及び図13と異なり、図14(a)に示すように、CPU11(処理手段17)は、引当分の再利用可否記憶(表示)領域83に、予製の調剤Dを構成するA薬品は(再利用)「可」、B薬品及びC薬品は「再利用)「不可」と記憶(表示)させている。予製の調剤Dについては「一部可」と記憶(表示)させている。「一部可」とは予製の調剤を構成する薬品のうちの一部の薬品については(再利用)「可」(能)で、その他の薬品については再利用「不可」(能)の意味である。図14に示す例は、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品のうち、A薬品については(再利用)「可」(能)で、B薬品及びC薬品については(再利用)「不可」(能)である場合の例である。
【0087】
CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤の処分指示(再利用できる薬品は再利用する処分指示)の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、廃棄するB薬品、C薬品については引当数量の引落を行うが、再利用するA薬品については引当数量の引落は行わない。正式在庫記憶(表示)領域80Aの正式在庫数量は、B薬品、C薬品については引当分を引き落とした引落後の数量を正式在庫数量とするが、A薬品については予製の調剤作成指示の入力受付前の数量に戻す(引当記憶(表示)領域81、引落記憶(表示)領域82等参照)。
なお、図14(b)では、A薬品について引落記憶(表示)領域82に引落日「2019/2/20」と引落数量「0」とを記憶(表示)したが、引落「0」(引落がない場合)には空欄にしてもよい。あるいは、図14(b)のように引落数量「0」として記憶(表示)してもよい。(他の実施形態でも同様)
【0088】
[実施形態3]
実施形態3は、基本的には実施形態1及び2と同様であるが、実施形態3は予製の調剤を構成する同じ薬品中に薬品有効期限の異なる薬品が混在している場合に、CPU11(処理手段17)が薬品有効期限の短い薬品を優先的に使用させるように在庫管理処理をする実施形態である。
図15図17を用いて説明する。
【0089】
図15は、実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図15に示すように、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成する場合に使用するA薬品について、入庫日が2019年1月1日及び1月10日のように同じA薬品であるが入庫日が異なる入庫のものがある場合に、前者をA薬品(1)、後者をA薬品(2)として別々に在庫管理している(医薬品名記憶(表示)領域71、入庫(入荷)記憶(表示)領域73参照)。A薬品(1)及びA薬品(2)は同じA薬品であるが、入庫日が異なるため薬品有効期限が異なっている(薬品有効期間記憶(表示)領域91参照)。A薬品(1)の薬品有効期間が2019年5月31日であるのに対し、A薬品(2)の薬品有効期間は2019年6月30日であり、A薬品(1)の薬品有効期間の方がA薬品(2)の薬品有効期間より短い。CPU11(処理手段17)はA薬品(1)及びA薬品(2)についてそれぞれの薬品有効期限を記憶(表示)させている。
【0090】
図16は、実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤D(A薬品、B薬品及びC薬品を調剤、10回分)の作成指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成する薬品(A薬品、B薬品及びC薬品を調剤)の薬品有効期限が予想使用有効期限以前であるか否かをチェックする。
全ての薬品(A薬品、B薬品及びC薬品を調剤)の薬品有効期限が予想使用有効期限以前である場合、各々の薬品について薬品有効期限が異なるものがあるかをチェックする。この例の場合、A薬品については薬品有効期間が異なるA薬品(1)とA薬品(2)とが混在していることを検出した。A薬品(1)、A薬品(2)共に、薬品有効期限は予想使用有効期限以前であるが、薬品有効期限が異なる。
CPU11(処理手段17)は、A薬品(1)及びA薬品(2)中で、薬品有効期限の短いA薬品(1)を調剤D用に優先的に使用させるように在庫管理処理をする。即ち、薬品有効期間が短いA薬品(1)の数量「10」を予製の調剤D用に引き当て、薬品有効期間が長いA薬品(2)は引き当てない。
なお、A薬品(1)の在庫数量が例えば「7」のように調剤D用で必要とする数量「10」に足りない場合は、A薬品(1)について在庫数量「7」を引き当て、残りの「3」はA薬品(2)の在庫中から「3」を引き当てる。
CPU11(処理手段17)は、B薬品及びC薬品については、薬品有効期間が異なるものが混在していないことを確認し、それぞれについて数量「10」を予製の調剤D用に引き当てる(引当記憶(表示)領域81参照)。
【0091】
図17は、実施形態3に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が受け付けた予製の調剤Dの処分指示(出庫処分指示)の入力に沿って(従って)、CPU11(処理手段17)は、図16に示す引当(数量)通り(引当記憶(表示)領域81参照)、図17に示すように引落をする(引落記憶(表示)領域82参照)。出庫処分の入力受付後、CPU11(処理手段17)は、図17に示す正式在庫記憶(表示)領域80Aの数量を、図16に示す暫定在庫記憶(表示)領域80Bの数量に置き換えたものとする。そして、CPU11(処理手段17)が薬品有効期間の短いA薬品(1)を優先的に使用するように在庫管理をした結果、A薬品(1)の在庫はなくなり、薬品有効期間の長いA薬品(2)の在庫が残る(正式在庫記憶(表示)領域80A参照)。
A薬品(1)を優先的に使用した予製の調剤DについてA薬品(1)の出庫がされると、CPU11(処理手段17)は、出庫(出荷)記憶(表示)領域74に、調剤D、A薬品(1)、B薬品及びC薬品の出庫日及び出庫数量を記憶(表示)させる。また、引当分の処分内容記憶(表示)領域84には、処分が「出庫」であることを記憶(表示)させる。
【0092】
このように、調剤を構成する薬品中に薬品有効期限の異なる薬品が在庫としてある場合に、CPU11(処理手段17)が薬品有効期限の短い薬品を優先的に使用させるようにすると、薬品が使用されず薬品有効期限が経過することによる廃棄処分等の在庫損失を低減した在庫管理を行うことが可能となる。
【0093】
[実施形態4]
実施形態4は、基本的には実施形態1、2及び3と同様であるが、実施形態4ではCPU11(処理手段17)は、最終的な予製剤の前段階である中間予製剤を用いて在庫管理をする点が異なる。
【0094】
実施形態4を図18図21を用いて説明する。
図18は、実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、予製の調剤作成指示の入力受付前の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図18には、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)による予製の調剤作成指示の入力受付前の、A薬品、B薬品、C薬品及びG薬品の在庫状態が示されている。
2019年1月20日に予製の調剤Z(中間予製剤)作成指示の入力を受け付けた場合(とき)であるが(図19参照)、予製の調剤Z作成指示の入力受付前である2019年1月19日時点においては、CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品、C薬品及びG薬品の在庫状況を図18に示すように記憶(表示)させている。
【0095】
中間予製の調剤
図19は、実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、中間予製の調剤Z作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。図19では、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が、最終予製の調剤D(A薬品、B薬品及びC薬品より構成される調剤)、及び最終予製の調剤E(B薬品、C薬品及びG薬品より構成される調剤)作成指示の入力を受け付けた際に(又はその前又はその後に)、それらの中間予製の調剤Z(B薬品及びC薬品より構成される調剤)作成指示の入力を受けた場合の例を示している。中間予製の調剤については後述する。
図19には、2019年1月20日に、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が、B薬品とC薬品との組み合わせからなる中間予製の調剤Z(20回分)作成指示の入力を受け付けた後の記憶(表示)状態を示している。CPU11(処理手段17)は、医薬品名記憶(表示)領域71に「Z予製の調剤」を記憶(表示)させる。暫定在庫記憶(表示)領域80Bには、予製の調剤Zの在庫数量「20(回分)」を記憶(表示)させる。引当記憶(表示)領域81には、中間予製の調剤Zに対応するB薬品及びC薬品の引当数量「20」を記憶(表示)させる。暫定在庫記憶(表示)領域80Bには、予製の調剤Zの数量「20」及びB薬品及びC薬品の本来の数量から引当数量を減じた数量「30」を記憶(表示)させる。
【0096】
ここで、「中間予製の調剤」とは、処方箋で処方される調剤(最終予製の調剤に対応する調剤)の一部を構成する調剤をいう。
例えば、処方箋で処方された調剤Dが薬品A、B及びCで構成される調剤である場合、薬品B及びCから構成される調剤Zは、調剤Zに更に薬品Cを調剤する(組み合わせる)と調剤Dになるため、調剤Zは調剤D(最終予製の調剤)に対する中間予製の調剤である。なお、調剤Zは、別の処方箋で調剤Z自体が最終予製の調剤として処方されるような調剤であってもよい。
【0097】
実施形態4では、最終予製の調剤D(1回分)は、A薬品(普通錠1mg)、B薬品(顆粒10%、0.5g)及びC薬品(細粒20%、0.5g)で構成され、最終予製の調剤E(1回分)は、B薬品(顆粒10%、0.5g)、C薬品(細粒20%、0.5g)及びG薬品(細粒30%、0.5g)で構成される(図20図21参照)。中間予製の調剤Z(1回分)は、B薬品(顆粒10%、0.5g)及びC薬品(細粒20%、0.5g)で構成される(図20図21参照)。
【0098】
ここで、最終予製の調剤D(1回分)を調剤する場合に、A薬品(普通錠1mg)、B薬品(顆粒10%、0.5g)及びC薬品(細粒20%、0.5g)を一度に調剤することによって調剤してもよいが、予め中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)を用意して、この中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)と、A薬品(普通錠1mg)とを調剤することにより最終予製の調剤Dを調剤することもできる。
同様に、最終予製の調剤E(1回分)を調剤する場合に、B薬品(顆粒10%、0.5g)、C薬品(細粒20%、0.5g)及びG薬品(細粒30%、0.5g)を一度に調剤することによって調剤してもよいが、予め用意した中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)とG薬品((細粒30%、0.5g)とを調剤することにより最終予製の調剤Eを調剤することもできる。
【0099】
そして、B薬品とC薬品とを調剤した中間予製の調剤Zが、最終予製の調剤D及びEのように複数の最終予製の調剤で共通に使用される場合には、中間予製の調剤Zを予め用意しておくことにより、最終予製の調剤D、E等をそれらを構成する薬品を組み合わせて一度に調剤する場合に比べて調剤する際の手間を減らしたり調剤する際の時間を分散させることが可能となる。
例えば、調剤Dを調剤する際にA薬品を粉砕しなければならないがそれに手間や時間を要する場合や、一度に多数(大量)の調剤Dを用意しなければならない場合に、調剤Dを予め調剤しておくと手間や時間を削減することが可能となる。調剤ミスを抑制することも可能となる。
また、B薬品のように顆粒であったり、C薬品のように細粒であったりする場合には、A薬品のような普通錠とこれらを1つの薬包袋に入れて混ぜてしまうと、A薬品等をそれぞれ単独で取り出して再利用するのは困難な場合がある。普通錠に顆粒や細粒が付着してしまいこれらをそれぞれ単独で取り出すことが困難だからである(同様に、顆粒と細粒の混合物、異なる顆粒の混合物、異なる細粒の混合物から混合前の顆粒や細粒を単独で取り出すことも困難である)。
しかし、中間予製の調剤Zを用意しておき、最終段階で中間予製の調剤ZとA薬品とを調剤すると、仮に最終予製の調剤Dの処方箋が発行されず中間予製の調剤ZとA薬品との調剤がされていない場合には、A薬品については調剤Zと混合される前であり再利用が可能となる場合がある(未使用状態での利用が可能)。また、中間予製の調剤Zが別の処方箋に対する調剤として利用できる場合がある。
【0100】
次のようにしてもよい。
例えば、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が最終予製の調剤D及び最終予製の調剤Eの作成指示を受け付けると、CPU11(処理手段17)が、最終予製の調剤D及びEに共通のB薬品及びC薬品の調剤を中間予製の調剤Zとして、その作成を提案(又はアドバイス)する出力を出すようにしてもよい(ブザー、音声、メッセージ等)。
CPU11(処理手段17)がこのような出力をするする場合としては、中間予製の調剤Zを用いることにより最終予製の調剤D(調剤E)の調剤をする時間や手間を短縮できるとCPU11(処理手段17)が判断する場合、中間予製の調剤Zは複数の最終予製の調剤(調剤D及び調剤E)に使用できると判断する場合、最終予製の調剤D(調剤E)に対する処方箋が発行されないリスクがあるが処方箋が発行されなかった場合でも中間予製の調剤Zや中間予製の製剤と組み合わされる薬品の再利用を図ることができると判断する場合等の場合がある。
当該提案に従って中間予製の調剤Zの作成指示がされ、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が中間予製の調剤Z作成指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は調剤Zを構成するB薬品及びC薬品について引当をし、暫定在庫記憶(表示)領域80Bに、中間予製の調剤Z及び調剤Zを構成するB薬品及びC薬品等を含む暫定在庫数量を記憶(表示)させるようにしてもよい。
【0101】
中間予製の調剤の在庫が一定数量以上又は一定数量以下となる場合
最終予製の調剤D、Eを構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤Zの暫定在庫数量が一定数量以下、一定数量以上、又は一定数量範囲外となると、処理手段17(CPU11)が警告を出力するようにしてもよい。
例えば、中間予製の調剤Zが使用されることが多く、常に一定数量の在庫を確保しておくと利便性が高い調剤であるとする。中間予製の調剤Zの適正在庫数量が「10~30」の場合、適正在庫数量の下限の限界値(限界数量)は「10」で上限の限界値(限界数量)は「30」ある。
図19の表を例にして説明すると、中間予製の調剤Zの在庫数量は「20」である(図19の暫定在庫記憶(表示)領域80B参照)が、この在庫数量が「10」以下となると、処理手段17(CPU11)は、「発注勧告」という形で発注を促すアラートを、ディスプレイ31への表示、ブザーあるいは音声等の音で出力するようにする。このようにすると、中間予製の調剤Zの在庫が過少となることを抑制することが可能となる。
逆に、中間予製の調剤Zの在庫数量が一定数量以上となると警告を出すようにしてもよい。このようにすると、中間予製の調剤Zの過剰在庫を防止することが可能となる。
また、中間予製の調剤Zの在庫数量が、適正数量範囲外(一定数量以下及び一定数量以上)となると警告を出すようにしてもよい。このようにすると、中間予製の調剤Zの適正数量の在庫維持をすることが可能となる。
なお、中間予製の調剤Zの作成指示の入力を受け付けることにより(あるいは最終予製の調剤D、Eの作成指示の入力を受け付けることにより)、調剤を構成する薬品の暫定在庫数量が一定数量以下、一定数量以上又は一定数量範囲外となると、処理手段17(CPU11)が警告を出力するようにしてもよい。
【0102】
最終予製の調剤
図20は、実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、最終予製の調剤(D、E)作成指示の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図20には、2019年2月1日に、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が、最終予製の調剤D及びE作成指示の入力を受け付けた後の記憶(表示)状態を示している。CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が、最終予製の調剤D及びE作成指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、医薬品名記憶(表示)領域71に「D予製の調剤」及び「E予製の調剤」を記憶(表示)させる。暫定在庫記憶(表示)領域80Bには、予製の調剤D及びEの在庫数量「10(回分)」をそれぞれ記憶(表示)させる。
最終予製の調剤Dは、A薬品、B薬品及びC薬品を構成薬品とする調剤であるが、調剤DはA薬品と中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)とを組み合わせることによっても調剤することが可能であり、最終予製の調剤Eは、B薬品、C薬品及びG薬品を構成薬品とする調剤であるが、調剤Eは中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)とG薬品とを組み合わせることによっても調剤することが可能であるため、CPU11(処理手段17)は最終予製の調剤D及びEの調剤に中間予製の調剤Z(B薬品+C薬品)を全て使用させることとし、暫定在庫記憶(表示)領域80Bの中間予製の調剤Zの数量を「0」とする(あるいは空欄にする)。
A薬品及びG薬品については、引当数量として「10」を引き当て引当記憶(表示)領域81に記憶(表示)させる。これらの暫定在庫数量として「40(回分)」(正式在庫数量50から引き当て数量10を減算した数量)を暫定在庫記憶(表示)領域80Bに記憶(表示)させる。正式在庫記憶(表示)領域80Aに記憶(表示)する正式在庫数量は「50」のままとして変更しない。
最終予製の調剤D及びEは暫定在庫数量「10(回分)」を暫定在庫記憶(表示)領域80Bに記憶(表示)させる。正式在庫記憶(表示)領域80Aの正式在庫数量は「0」とし空欄とする(あるいは「0」を記憶(表示)させる)。
【0103】
図21は、実施形態4に係る薬品の在庫管理システムで、最終予製の調剤の処分指示(出庫処分指示)の入力受付後の在庫記憶状態(及び表示状態)を説明するための図である。
図21には、2019年2月20日に、最終予製の調剤D及びEに対する処方箋が発行され、CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が、これらの処分指示(出庫処分指示)の入力を受け付けた後の在庫記憶状態(表示状態)を示している。
CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が上記処分指示(出庫処分指示)の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、最終予製の調剤D及びE及びそれらを構成するA薬品等について、引落記憶(表示)領域82に記憶(表示)させた引落数量(出庫処分に対応する引当数量)を引き落とす。この例では引当数量を全て引き落とすから、引当記憶(表示)領域81は空欄(または0)とする。そして、最終予製の調剤D及びEについては、出庫(出荷)記憶(表示)領域74に出庫数量(A薬品:「10(回分)」等)を記憶(表示)させる。それに伴い引当数量を引き落とす。
CPU11(処理手段17)は、A薬品、B薬品、C薬品及びG薬品について、正式在庫記憶(表示)領域80Aには、それまで暫定在庫記憶(表示)領域80Bに暫定在庫数量として記憶(表示)されている数量を正式在庫数量として記憶(表示)させる。
【0104】
なお、上記の本発明は表示を主体とする次のような発明としても成立する。
[1]本発明の薬品の在庫管理システムは、
薬品の在庫数量を表示する薬品の在庫表示手段と、
調剤に関する指示入力を受け付ける調剤の指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段で受け付けた調剤作成の指示入力に従って、調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫表示手段に表示させる処理手段と、
を備えた薬品の在庫管理システムであって、
前記指示入力受付手段は、予製の調剤作成指示及び予製の調剤処分指示の入力を受け付け、
前記指示入力受付手段が予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、前記処理手段は、前記薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫表示手段に表示させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として表示させ、
前記指示入力受付手段が予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、前記処理手段は、前記調剤処分指示の内容に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させることを特徴とする。
【0105】
[2]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示入力が出庫の処分指示入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させると共に、前記引当数量を出庫数量として前記在庫表示手段に表示させることが好ましい。
【0106】
[3]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が廃棄処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫表示手段に表示させることが好ましい。
【0107】
[4]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、前記調剤を構成する薬品について、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させることが好ましい。
【0108】
[5]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が受け付けた前記予製の調剤処分指示の入力が再利用できる場合は再利用し、再利用できない場合は廃棄の処分指示の入力である場合、
前記処理手段は、
前記調剤を構成する薬品で再利用できる薬品については、前記引当を解消し、前記暫定在庫数量を引当前の数量に戻して正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させ、
前記調剤を構成する薬品で再利用できず廃棄する薬品については、前記引当数量を引落して前記暫定在庫数量を前記正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させると共に、前記引当数量を廃棄数量として前記在庫表示手段に表示させることが好ましい。
【0109】
[6]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記在庫表示手段に、前記調剤を構成する薬品について、前記予製の調剤を作成後に当該予製の調剤の出庫をしない場合の再利用の可否を表示させることが好ましい。
【0110】
[7]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記処理手段は、前記在庫表示手段に、前記予製の調剤を構成する薬品について薬品有効期限を表示させると共に、前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記予製の調剤について前記予製の調剤を構成する薬品の中で最も薬品有効期限の短い期限以前の期限を調剤有効期限として表示させることが好ましい。
【0111】
[8]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、更に、前記予製の調剤の使用終了期限を記憶させ、
前記調剤有効期限が前記使用終了期限以上となるように、前記予製の調剤を構成する薬品を指定することが好ましい。
【0112】
[9]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する任意の薬品について前記薬品有効期限が異なる在庫がある場合には、前記在庫中で、前記薬品有効期限が短い在庫の薬品を優先的に指定することが好ましい。
【0113】
[10]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤の使用終了期限が前記調剤期限以内となるように前記予製の調剤を構成する薬品を指定することができないときは警告を出すことが好ましい。
【0114】
[11]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段が前記予製の調剤を構成する薬品を指定することにより当該薬品の前記暫定在庫数量が一定数量以下となると、前記処理手段は警告を出すことが好ましい。
【0115】
[12]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記指示入力受付手段が前記予製の調剤作成指示の入力を受け付けたとき、前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤を、前記予製の調剤を構成する薬品として指定することが好ましい。
【0116】
[13]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記処理手段は、前記予製の調剤を構成する薬品の一部を組み合わせた中間予製の調剤の前記暫定在庫数量が一定数量以上又は一定数量以下一定数量以下となると警告を出すことが好ましい。
【0117】
[14]本発明の薬品の在庫管理システムにおいては、
前記在庫管理システムは、前記薬品の前記正式在庫数量を表示する正式在庫数量表示領域と、前記薬品の前記暫定在庫数量を表示する暫定在庫数量表示領域と、を有することが好ましい。
【0118】
[15]本発明の薬品の在庫管理方法は、
薬品の在庫数量を在庫表示手段に表示させる薬品の在庫表示ステップと、
調剤に関する指示入力を受け付ける調剤の指示入力受付ステップと、
調剤作成の指示入力に従って、調剤薬品構成データに基づき調剤を構成する薬品を指定して薬品の前記在庫数量から調剤対応数量を減じた数量を前記薬品の在庫数量として前記在庫表示手段に表示させる処理ステップと、
を含む薬品の在庫管理方法であって、
前記処理ステップは、
前記調剤の指示入力受付ステップで予製の調剤作成指示の入力を受け付けると、前記薬品構成データに基づき、前記予製の調剤を構成する薬品を指定して、前記予製の調剤を構成する薬品について調剤対応数量を引当てて引当数量として前記在庫表示手段に表示させると共に、前記在庫数量から前記引当数量を減じた在庫数量を前記薬品の暫定在庫数量として表示させ、
前記指示入力受付手段で予製の調剤処分指示の入力を受け付けると、前記調剤処分指示の内容に沿った在庫数量を、前記薬品の正式在庫数量として前記在庫表示手段に表示させることを特徴とする。
【0119】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能である。例えば、下記に示すような変形も可能である。
[変形例]
【0120】
(1)上記した実施形態1~4においては、CPU11(処理手段)は、暫定在庫記憶(表示)領域80B、引当記憶(表示)領域81、引落記憶(表示)領域等を専ら予製の調剤に関連する薬品等の在庫等の数量の記憶(表示)用に使用したが、予製の調剤関係以外の在庫等の数量の記憶(表示)用と兼用して使用するようにしてもよい。
【0121】
(2)上記した実施形態1~4において、CPU11(処理手段)は、在庫等の数量の他に在庫等の数量に対応する金額を記憶(表示)させてもよい。例えば、少なくとも、入庫(入荷)記憶(表示)領域73に更に入庫金額を記憶(表示)させ、出庫(出荷)記憶(表示)領域74に更に出庫金額を記憶(表示)させるようにしてもよい。このようにすると、入庫数量、出庫数量等の数量だけでなく、それに付随して入庫金額、出庫金額等の金額も記憶(表示)されるため、在庫管理に伴い収益の計算等も容易になる。
【0122】
(3)調剤薬品構成記憶手段47に予製の調剤を作成する場合の方法及び再利用可否を記憶させておいてもよい。
例えば、予製の調剤Dを作成する場合には、図9図11の中のどの方法で予製の調剤Dを作成するかを調剤薬品構成記憶手段47に予め記憶させておく。CPU11(調剤の指示入力受付手段16)が予製の調剤Dの作成指示の入力を受け付けると、CPU11(処理手段17)は、調剤薬品構成記憶手段47に予め記憶された方法で予製の調剤Dが作成されるものとする在庫管理を行う。
例えば、調剤薬品構成記憶手段47に、予製の調剤Dを図9の方法で作成するように調剤薬品構成記憶手段47に予憶されている場合には、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の全てについて再利用可否記憶(表示)領域83に再利用「可」と記憶(表示)させ、図12を用いて説明したと同様の在庫管理を行う。
また、調剤薬品構成記憶手段47に、予製の調剤Dを図10の方法で作成するように調剤薬品構成記憶手段47に予憶されている場合には、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成するA薬品、B薬品及びC薬品の全てについて再利用可否記憶(表示)領域83に再利用「不可」と記憶(表示)させ、図13を用いて説明したと同様の在庫管理を行う。
また、調剤薬品構成記憶手段47に、予製の調剤Dを図11の方法で作成するように調剤薬品構成記憶手段47に予憶されている場合には、CPU11(処理手段17)は、予製の調剤Dを構成するA薬品については再利用可否記憶(表示)領域83に再利用「可」と記憶(表示)させ、B薬品及びC薬品については「不可」と記憶(表示)させ、図14を用いて説明したと同様の在庫管理を行う。
【0123】
(4)上記した実施形態1~3においては、予製の調剤が調剤Dの1つだけの場合を例にして説明したが、予製の調剤が複数であってもよい。そのような場合も、実施形態1~3と同様な在庫管理が可能である。
【0124】
(5)上記した実施形態1~4においては、予製の調剤を構成する薬品をA薬品等としたが、例えば、A薬品について成分が同じであるが、製造会社が異なるため薬品名が「A1薬品」、「A2薬品」・・のように異なる場合、CPU11(処理手段)は、予製の調剤の使用有効期限や、予製の調剤を構成する薬品「A1薬品」、「A2薬品」・・の薬品有効期限により、「A1薬品」、「A2薬品」・・のうちのどの薬品を調剤用に用いるか選択できるようにしてもよい。
あるいは、どの薬品を調剤用に用いるかの案内、メッセージ、警告等を出すようにしてもよい。
【0125】
(6)上記した実施形態1~4において、調剤薬品構成データは、予め調剤薬品構成記憶手段47中に記憶されたデータではなく、調剤の作成指示と共に、あるいは調剤の作成指示とは別に入力装置20を介して入力されたデータであってもよい。
また、このような場合、調剤薬品構成データを記憶する調剤薬品構成記憶手段47としてHDDを使用してもよいが、RAM13等の一時的なメモリーを使用してもよい。
【0126】
(7)上記した実施形態1~4において、キーボード、マウス等の入力手段21を有する入力装置20を使用して入力する代わりに、他の在庫管理コンピュータ等のコンピュータから、入力装置20を介さず、在庫管理コンピュータ1のマイコン10(又はCPU11)に入力するようにしてもよい。
このようにすると、キーボード、マウス等の入力手段21の操作に要する入力時間を短縮することが可能となる。
【0127】
なお、明細書のはじめに、予製の調剤は、基本的には、医師が特定の患者(人の他、動物を含む)に対して処方した処方箋に基づくものではなく、薬局が不特定の患者に対する需要を予想して予備的にする調剤である、と記載したが、予製の調剤として、特定の患者のために予め準備しておく調剤を含めてもよい。また、処方箋の交付を原則とする処方箋医薬品以外の医療用医薬品(調剤)も含まれる。また、予製の調剤として、処方箋を必要とせず、薬局の薬剤師の判断で調剤する薬局製造販売医薬品(薬局製剤)を含めることができる。
予製の調剤がこのようなものであっても実施例等で説明したと同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0128】
1…在庫管理コンピュータ、10…マイコン、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…マイコンの内部バス、15…インターフェース、16…入力受付手段、17…処理手段、20…入力装置、21…入力手段、22…配線、23…インターフェース、30…表示装置、31…ディスプレイ、32…配線、33…インターフェース、40…記憶装置、41…メモリー、42…配線、43…インターフェース、46…在庫記憶手段、47…調剤薬品構成記憶手段、50…通信回線、51…在庫管理コンピュータの内部バス、52…インターフェース、60…共通記憶装置、61…メモリー、62…配線、63…インターフェース、71…医薬品名記憶(表示)領域、72…剤形・規格記憶(表示)領域、73…入庫(入荷)記憶(表示)領域、74…出庫(出荷)記憶(表示)領域、80A…正式在庫記憶(表示)領域、80B…暫定在庫記憶(表示)領域、81…引当記憶(表示)領域、82…引落記憶(表示)領域、83…引当分の再利用可否記憶(表示)領域、84…引当分の処分内容記憶(表示)領域、91…薬品有効期間記憶(表示)領域、95…備考記憶(表示)領域、100…薬品の在庫管理システム、101…予製の調剤Dの1回分の薬包袋、102…A薬品の1回分の薬包袋、103…B薬品の1回分の薬包袋、104…C薬品の1回分の薬包袋、111…B薬品とC薬品を合わせた1回分の薬包袋、201…A薬品、202…B薬品、203…C薬品、301…予製の調剤D
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図19
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