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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】領域登録システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019213245
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021083343
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】高橋 葵
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161987(JP,A)
【文献】特開2019-097454(JP,A)
【文献】特開2018-033344(JP,A)
【文献】特開2009-245003(JP,A)
【文献】特開2019-175261(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014102036(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00-69/08
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両を走行させて領域の外形を登録する領域登録システムにおいて、
前記作業車両の位置を取得する位置情報取得部と、
前記作業車両の走行中において、前記作業車両の位置を記憶するか否かを設定する設定部と、
前記作業車両の走行中に前記位置情報取得部が取得した前記作業車両の位置のうち記憶された前記作業車両の位置である走行軌跡点と、前記走行軌跡点のうち前記作業車両の位置を記憶しない状態が開始された開始時の位置に基づいて設定された第1走行軌跡点と前記作業車両の位置を記憶しない状態が終了した終了時の位置に基づいて設定された第2走行軌跡点とを結ぶ線分上に登録された走行補間点と、前記走行軌跡点と前記走行補間点とに基づいて特定された前記領域の角部と、に基づいて、前記領域の外形を登録する領域登録部と、
を備えることを特徴とする領域登録システム。
【請求項2】
請求項に記載の領域登録システムであって、
前記領域登録部は、前記走行軌跡点と前記走行補間点に基づいて少なくとも2つの直線を作成し、当該2つの直線の交点を前記領域の角部として登録することを特徴とする領域登録システム。
【請求項3】
作業車両を走行させて領域の外形を登録する領域登録システムにおいて、
前記作業車両の位置を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が前記作業車両の位置である複数の走行軌跡点を取得した後に、取得した前記走行軌跡点のうちオペレータの指示に基づいて設定した不要な前記走行軌跡点を除いて残った前記走行軌跡点と、当該残った走行軌跡点のうち前記不要な走行軌跡点に基づいて設定された第1走行軌跡点と第2走行軌跡点とを結ぶ線分上に登録された走行補間点と、前記走行軌跡点と前記走行補間点とに基づいて特定された前記領域の角部と、に基づいて、前記領域の外形を登録する領域登録部と、
を備えることを特徴とする領域登録システム。
【請求項4】
作業車両を走行させて領域の外形を登録する領域登録システムにおいて、
前記作業車両の位置を取得する位置情報取得部と、
前記作業車両による前記領域の外周の走行中において、障害を避けるための回避走行の開始と終了を当該作業車両の走行中に設定する回避走行設定部と、
前記作業車両が前記領域の外周を走行する間に前記位置情報取得部が取得した前記作業車両の位置であって、かつ、前記回避走行の開始から終了までに取得した前記作業車両の位置を除いた位置に基づいて、前記領域の外形を登録する領域登録部と、
を備え、
前記領域登録部は、前記領域の外形に加え、前記作業車両の走行軌跡点を登録し、
前記領域登録部は、前記回避走行の開始時の位置と終了時の位置を結ぶ線分上に、走行軌跡点を補間する走行補間点を登録し、
前記領域登録部は、前記走行軌跡点と前記走行補間点に基づいて少なくとも2つの直線を作成し、当該2つの直線の交点を前記領域の角部として登録することを特徴とする領域登録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、作業車両を所定の領域の外周に沿って走行させることで、この領域の外形を登録する領域登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測位システムからの測位信号を受信するアンテナを備え、当該アンテナにより受信した信号に基づいて自らの位置情報を取得可能な作業車両が知られている。特許文献1では、GPS装置を備えた作業車両を、作業対象領域の外周に沿って走行させることで、この作業対象領域の外形を登録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-354117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
登録する対象の領域の外周に、作業車両が走行できない一時的な障害(例えば、泥濘又は他の作業車両)が存在する場合、この障害を避けて走行せざるを得ない。その結果、障害を避けて走行した軌跡に基づいて領域が登録されてしまう。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、登録を行う対象の領域の外周に障害があっても、領域の正確な外形を登録可能な領域登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の領域登録システムが提供される。即ち、領域登録システムは、作業車両に領域の外周を走行させて当該領域の外形を登録する。領域登録システムは、位置情報取得部と、回避走行設定部と、領域登録部と、を備える。前記位置情報取得部は、前記作業車両の位置を取得する。前記回避走行設定部は、前記作業車両による前記領域の外周の走行中において、障害を避けるための回避走行の開始と終了を当該作業車両の走行中に設定する。前記領域登録部は、前記作業車両が前記領域の外周を走行する間に前記位置情報取得部が取得した前記作業車両の位置であって、かつ、前記回避走行の開始から終了までに取得した前記作業車両の位置を除いた位置に基づいて、前記領域の外形を登録する。
【0008】
これにより、領域の外周上に障害があって当該障害を回避するように作業車両を走行させた場合でも、領域の正確な外形を登録できる。また、外周走行中に回避走行中であることを設定可能であるため、走行終了後に不要な位置を選択する作業を省略又は簡単にすることができる。
【0009】
前記の領域登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記領域登録部は、前記領域の外形に加え、前記作業車両の走行軌跡点を登録する。前記領域登録部は、前記回避走行の開始時の位置と終了時の位置を結ぶ線分上に、走行軌跡点を補間する走行補間点を登録する。
【0010】
これにより、回避走行を行った箇所においても、他の箇所と同様に走行軌跡点(走行補間点)を作成できるので、走行軌跡を利用した処理を行うことができる。
【0011】
前記の領域登録システムにおいては、前記領域登録部は、前記走行軌跡点と前記走行補間点に基づいて少なくとも2つの直線を作成し、当該2つの直線の交点を前記領域の角部として登録することが好ましい。
【0012】
これにより、走行補間点を利用して領域の角部を適切に求めることができる。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の領域登録システムが提供される。即ち、領域登録システムは、作業車両に領域の外周を走行させて当該領域の外形を登録する。領域登録システムは、位置情報取得部と、回避走行設定部と、領域登録部と、を備える。前記位置情報取得部は、前記作業車両の位置を取得する。前記回避走行設定部は、前記位置情報取得部が取得した前記作業車両の位置のうち、障害を避けるための回避走行中の作業車両の位置を、前記作業車両による前記領域の外周の走行後にオペレータの指示に基づいて設定する。前記領域登録部は、前記作業車両が前記領域の外周を走行する間に前記位置情報取得部が取得した前記作業車両の位置であって、かつ、前記回避走行の開始から終了までに取得した前記作業車両の位置を除いた位置に基づいて、前記領域の外形を登録する。
【0014】
これにより、領域の外周上に障害があって当該障害を回避しても、領域の正確な外形を登録できる。また、外周走行後に回避走行中の位置を設定できるので、オペレータは、外周走行中は作業車両の運転に集中できる。
【0015】
前記の領域登録システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この領域登録システムは、判定部と、報知部と、を備える。前記判定部は、前記作業車両が前記領域の外周を走行して取得した作業車両の走行軌跡が直線か曲線かを判定する。前記報知部は、前記走行軌跡に曲線が含まれている場合にその旨を報知する。
【0016】
回避走行を行う場合は走行軌跡が曲線となることが多い。従って、走行軌跡に曲線が含まれていることを報知することで、オペレータが回避走行の設定を忘れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る領域登録システムで用いられるトラクタの全体的な構成を示す側面図。
図2】トラクタの平面図。
図3】領域登録システムを含む自律走行システムの主要な構成を示すブロック図。
図4】圃場の外周走行によって圃場を登録する処理及び圃場の外周に障害がある場合の課題を示す図。
図5】圃場の外形を登録する第1モードのフローチャート。
図6】圃場登録のためにトラクタの位置を記憶している場合と記憶していない場合の無線通信端末のディスプレイを示す図。
図7】実際の走行軌跡、走行軌跡点、及び走行補間点を示す図。
図8】角部の特定方法及び圃場の外形等を示す図。
図9】圃場の外形を登録する第2モードのフローチャート。
図10】圃場登録に使用しない走行軌跡点を選択する前後の無線通信端末のディスプレイを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態である自律走行システムについて説明する。自律走行システムは、圃場(走行領域)で1台又は複数台の作業車両を自律的に走行させて、作業の全部又は一部を実行させるものである。本実施形態では、作業車両としてトラクタを例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建設作業装置、除雪車等、乗用型作業機に加え、歩行型作業機も含まれる。本明細書において自律走行とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されることで、予め定められた経路に沿うように少なくとも操舵が自律的に行われることを意味する。また、操舵に加え、車速又は作業機による作業等が自律的に行われる構成であってもよい。自律走行には、トラクタに人が乗っている場合と、トラクタに人が乗っていない場合が含まれる。
【0019】
次に、図1から図3を参照して自律走行システム100について具体的に説明する。図1は、トラクタ1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、トラクタ1の平面図である。図3は、領域登録システム200を含む自律走行システム100の主要な構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すトラクタ1は、自律走行システム100で用いられ、無線通信端末46との間で無線通信を行うことにより操作される。トラクタ1は、圃場内を自律走行することが可能な走行機体(車体部)2を備える。走行機体2には、例えば農作業を行うための作業機3が着脱可能に取り付けられている。
【0021】
この作業機3としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機があり、これらの中から選択された作業機3が走行機体2に装着される。図1及び図2には、作業機3として耕耘機が取り付けられた例が示されている。耕耘機はカバー3aの内側に耕耘爪3bが配置されており、この耕耘爪3bが車幅方向を回転中心として回転することによって圃場を耕耘する。
【0022】
トラクタ1の構成について、図1及び図2を参照してより詳細に説明する。トラクタ1の走行機体2は、図1に示すように、その前部が左右1対の前輪7,7で支持され、その後部が左右1対の後輪8,8で支持されている。
【0023】
走行機体2の前部にはボンネット9が配置されている。このボンネット9内には、トラクタ1の駆動源であるエンジン10及び燃料タンク(図略)が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としては、エンジンに加えて、又はこれに代えて、電気モータを使用してもよい。
【0024】
ボンネット9の後方には、ユーザが搭乗するためのキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、ユーザが操舵を行うためのステアリングハンドル(操舵具)12と、ユーザが着座可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作具と、が主として設けられている。ただし、トラクタ1等の作業車両は、キャビン11を備えていてもよいし、キャビン11を備えていなくてもよい。
【0025】
上記の操作具としては、図2に示すモニタ装置14、スロットルレバー15、複数の油圧操作レバー16、主変速レバー17、等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、座席13の近傍、又はステアリングハンドル12の近傍に配置されている。
【0026】
モニタ装置14は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー15は、エンジン10の回転速度を設定するための操作具である。油圧操作レバー16は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作するための操作具である。主変速レバー17は、トラクタ1の走行速度を無段階で変更するための操作具である。
【0027】
図1に示すように、走行機体2の下部には、トラクタ1のシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、トランスミッション22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
【0028】
機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。トランスミッション22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、トランスミッション22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、トランスミッション22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
【0029】
図3に示すように、トラクタ1は、制御部4を備える。制御部4は公知のコンピュータとして構成されており、図示しないCPU等の演算装置、不揮発性メモリ等の記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及びトラクタ1の制御に関するデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部4を走行制御部4a及び作業機制御部4bとして動作させることができる。走行制御部4aは、走行機体2の走行(前進、後進、停止、及び旋回等)を制御する。作業機制御部4bは、作業機3の動作(昇降、駆動、及び停止等)を制御する。なお、制御部4は、これら以外の制御を行うこともできる。また、制御部4は、1つのコンピュータから構成されていてもよいし、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0030】
走行制御部4aは、トラクタ1の車速を制御する車速制御と、トラクタ1を操舵する操舵制御と、を行う。制御部4は、車速制御を行う場合、エンジン10の回転速度及びトランスミッション22の変速比の少なくとも一方を制御する。
【0031】
具体的には、エンジン10には、当該エンジン10の回転速度を変更させる図略のアクチュエータを備えたガバナ装置41が設けられている。走行制御部4aは、ガバナ装置41を制御することで、エンジン10の回転速度を制御することができる。また、エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に噴射(供給)するための燃料の噴射時期・噴射量を調整する燃料噴射装置45が付設されている。走行制御部4aは、燃料噴射装置45を制御することで、例えばエンジン10への燃料の供給を停止させ、エンジン10の駆動を停止させることができる。
【0032】
また、トランスミッション22には、例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置である変速装置42が設けられている。走行制御部4aは、変速装置42の斜板の角度を図略のアクチュエータによって変更することで、トランスミッション22の変速比を変更する。以上の処理を行うことにより、トラクタ1が目標の車速に変更される。
【0033】
走行制御部4aは、位置情報取得部49からトラクタ1の位置を取得し、トラクタ1が予め定められた経路に沿って走行するように操舵制御を行う。具体的には、ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリングシャフト)の中途部には、操舵アクチュエータ43が設けられている。走行制御部4aは、経路に沿ってトラクタ1が走行するようにステアリングハンドル12の適切な回動角度を計算し、得られた回動角度となるように操舵アクチュエータ43を駆動し、ステアリングハンドル12の回動角度を制御する。
【0034】
作業機制御部4bは、作業実行条件を満たすか否かに基づいて、作業機3の駆動と停止を切り替える。また、作業機制御部4bは、作業機3の昇降を制御する。具体的には、トラクタ1は、作業機3を走行機体2に連結している3点リンク機構の近傍に、油圧シリンダ等からなる昇降アクチュエータ44を備えている。作業機制御部4bが昇降アクチュエータ44を駆動して作業機3を適宜に昇降動作させることにより、所望の高さで作業機3による作業を行うことができる。
【0035】
上述のような制御部4を備えるトラクタ1は、ユーザがキャビン11内に搭乗して各種操作をしなくとも、当該制御部4により走行機体2及び作業機3を制御して、圃場内を自律走行しながら自律作業を行うことができる。
【0036】
次に、自律走行を行うために必要な情報を取得する構成について説明する。具体的には、本実施形態のトラクタ1は、図3等に示すように、測位用アンテナ6、無線通信用アンテナ48、車速センサ53、及び舵角センサ52等を備える。また、これらに加えて、トラクタ1には、走行機体2の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角)を特定することが可能な慣性計測ユニット(IMU)が備えられている。
【0037】
測位用アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。図1に示すように、測位用アンテナ6は、トラクタ1のキャビン11のルーフ5の上面に取り付けられている。測位用アンテナ6で受信された測位信号は、図3に示す位置検出部としての位置情報取得部49に入力される。位置情報取得部49は、トラクタ1の走行機体2(厳密には、測位用アンテナ6)の位置情報を、例えば緯度・経度情報として算出し、取得する。当該位置情報取得部49で取得された位置情報は、制御部4に入力されて、自律走行に利用される。
【0038】
なお、本実施形態ではGNSS-RTK法を利用した高精度の衛星測位システムが用いられているが、これに限るものではなく、高精度の位置座標が得られる限りにおいて他の測位システムを用いてもよい。例えば、相対測位方式(DGPS)、又は静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)を使用することが考えられる。
【0039】
無線通信用アンテナ48は、ユーザが操作する無線通信端末46からの信号を受信したり、無線通信端末46への信号を送信したりするものである。図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11が備えるルーフ5の上面に取り付けられている。無線通信用アンテナ48で受信した無線通信端末46からの信号は、図3に示す無線通信部40で信号処理された後、制御部4に入力される。また、制御部4等から無線通信端末46に送信する信号は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて無線通信端末46で受信される。
【0040】
上記の車速センサ53は、トラクタ1の車速を検出するものであり、例えば前輪7,7の間の車軸に設けられる。車速センサ53で得られた検出結果のデータは、制御部4へ出力される。なお、トラクタ1の車速は車速センサ53で検出せずに、測位用アンテナ6に基づいて所定距離におけるトラクタ1の移動時間に基づいて算出してもよい。舵角センサ52は、前輪7,7の舵角を検出するセンサである。本実施形態において、舵角センサ52は前輪7,7に設けられた図示しないキングピンに備えられている。舵角センサ52で得られた検出結果のデータは、制御部4へ出力される。なお、舵角センサ52をステアリングシャフトに備える構成としてもよい。
【0041】
図3に示すように、無線通信端末46は、ディスプレイ31及びタッチパネル32を備える。無線通信端末46は、タブレット端末であるが、スマートフォン又はノートPC等であってもよい。なお、トラクタ1にユーザが搭乗した状態でトラクタ1に自律走行を行わせる場合は、トラクタ1側(例えば制御部4)に無線通信端末46と同じ機能を持たせてもよい。ユーザは、無線通信端末46のディスプレイ31に表示された情報(例えば車速センサ53等からの情報)を参照して確認することができる。また、ユーザは、上記のタッチパネル32又は図略のハードウェアキー等を操作して、トラクタ1の制御部4に、トラクタ1を制御するための制御信号を送信することができる。
【0042】
無線通信端末46は、図示しないCPU等の演算装置、不揮発性メモリ等の記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及び経路に関するデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、無線通信端末46を表示制御部33、領域登録部34、回避走行設定部35、判定部36、及び報知部37として動作させることができる。
【0043】
表示制御部33は、ディスプレイ31に表示する表示用データを作成し、表示内容を適宜に制御する。例えば、表示制御部33は、トラクタ1を経路に沿って自律走行させている間は、所定の監視画面、指示画面等をディスプレイ31に表示させる。
【0044】
次に、圃場の外形の登録について説明する。圃場の外形の登録は、領域登録システム200によって行われる。領域登録システム200は、圃場の外形を登録するための機器及び部分(例えば、位置情報取得部49及び領域登録部34)によって構成されている。
【0045】
初めに、図4を参照して、圃場を登録する方法の概要及び従来の課題について説明する。オペレータは、無線通信端末46を操作して、圃場を登録するモードを実行する。そして、オペレータは、圃場の外周に沿ってトラクタ1を走行させる。外周走行の終了後、無線通信端末46は、外周走行中に位置情報取得部49が取得したトラクタ1の位置を接続して、適宜の調整を行うことで、圃場の外形(即ち、圃場の外縁の緯度経度情報)が作成されて記憶部に記憶される(登録される)。
【0046】
ここで、圃場には、トラクタ1が走行できない(走行することが好ましくない)障害が存在することがある。容易に除去可能な障害(比較的軽い飛来物やゴミ等)であれば、それを除去することで、外周走行を継続できる。また、長期間にわたって除去できない障害(木や建物等)は、障害が存在する箇所に作業を行うことはないので、障害を避けるように走行すればよい。しかし、容易に除去できない一時的な障害(泥濘又は他のトラクタ)がある場合、図4に示すように、その障害を回避して走行せざるを得ない。しかし、障害を回避して走行した場合、実際は圃場であるにもかかわらず、圃場として登録されない領域が生じてしまう。特に、一時的な障害の場合は、障害が存在していた位置にも作業を行うことがあるため、この位置を圃場として登録することが好ましい。この場合、後から圃場を再度登録する必要があり、オペレータにとって手間となる。
【0047】
この点、本実施形態では、回避走行時のトラクタ1の位置を使用せずに、それ以外のタイミングで取得されたトラクタ1の位置を使用して、圃場の外形を作成して登録可能である。また、本実施形態では、トラクタ1の走行中に回避走行中か否かをリアルタイムで設定する第1モードと、圃場の外周走行の終了後に回避走行中に取得した位置を選択する第2モードと、を有している。領域登録システム200は、オペレータの指示に基づいて、第1モードと第2モードの何れか一方を実行する。なお、領域登録システム200は、第1モードのみが実行可能な構成であってもよいし、第2モードのみが実行可能な構成であってもよい。
【0048】
初めに、図5から図8を参照して、第1モードについて説明する。領域登録部34は、オペレータから圃場登録の指示を受け、かつ、圃場登録の開始条件を満たした場合、トラクタ1の外周走行による圃場登録を開始する(S101)。その後、オペレータは、トラクタ1を圃場の外周に沿って走行させる。
【0049】
トラクタ1の走行中において、無線通信端末46のディスプレイ31には、図6に示すように一時停止ボタン91が表示される。一時停止ボタン91は、タッチパネル上のボタンであるが、ハードウェアキーであってもよい。一時停止ボタン91は、トラクタ1の位置を圃場の外形を作成するための位置として記憶するか否かを設定するためのボタンである。オペレータは、例えば障害を回避するために、圃場の外周から離れた位置を走行するタイミング(回避走行を開始するタイミング)で、一時停止ボタン91を操作する。
【0050】
これにより、回避走行設定部35は、回避走行が開始したこと(即ち、回避走行中になったこと)を設定する。回避走行中と設定されている間は、トラクタ1の位置が記憶されない。また、一時停止中は、図6の下側の無線通信端末46に示すように、一時停止ボタン91に代えて再開ボタン92が表示され、更にトラクタ1の位置の記憶の一時停止中である旨の警告文が表示される。また、警告文の表示に代えて又は加えて警告音等によって警告を行ってもよい。また、オペレータが再開ボタン92を操作することで、回避走行設定部35は、回避走行が終了したことを設定する(回避走行中との設定を解除する)。これにより、トラクタ1の位置の記憶が再開される。
【0051】
この処理は、フローチャートのステップS102からS104に示されている。即ち、領域登録部34は、トラクタ1の位置の記憶の一時停止指示があるか否かを判定する(S102)。この判定は、上記の回避走行設定部35の設定状況に応じて判定される。そして、一時停止指示がない場合はトラクタ1の位置を記憶し(S103)、一時停止指示がある場合はトラクタ1の位置を記憶しない(S104)。
【0052】
次に、領域登録部34は、圃場登録のための外周走行が終了したか否かを判定する(S105)。この判定は、外周走行の終了時にオペレータが行う所定の操作が行われたか否かに基づいて判定される。そして、外周走行が終了するまで、ステップS102からS104の処理が繰り返し行われる。これにより、回避走行を行っていない間(つまり、圃場の外周を走行している間)のトラクタ1の位置が記憶されることとなる。
【0053】
次に、領域登録部34は、上記のようにして取得したトラクタ1の位置に基づいて、圃場を登録する処理を行う。初めに、領域登録部34は走行軌跡点及び走行補間点を作成し、表示制御部33はこの走行軌跡点及び走行補間点を無線通信端末46のディスプレイ31等に表示する(S106)。以下、図7を参照して、走行軌跡点と走行補間点について説明する。
【0054】
走行軌跡点は、圃場登録のための外周走行中に取得されたトラクタ1の位置を示す点である。ただし、この種の点は非常に多く存在するため、例えば一定時間間隔又は一定距離間隔で抽出される(あるいは、外周走行時に一定時間間隔で記憶される)。ここで、図7の下側に示すように、回避走行中はトラクタ1の位置を記憶しないため、回避走行中の走行軌跡点は作成されない。
【0055】
走行補間点は、走行軌跡点が作成されない領域を補間するものである。具体的には、障害が存在していた箇所は、トラクタ1が実際に走行しないため、走行軌跡点が作成されない。しかし、走行軌跡点は後述のように他の処理で必要となる。そのため、領域登録部34は、以下の方法で走行補間点を作成する。初めに、領域登録部34は、回避走行の開始時(開始の直前及び直後を含む範囲)に取得した走行軌跡点と、回避走行の終了時(終了の直前及び直後を含む範囲)に取得した走行軌跡点と、を直線で接続する(図7の下側の図の破線を参照)。次に、領域登録部34は、この直線上に一定距離間隔で走行補間点を配置する。また、表示制御部33は、この走行軌跡点及び走行補間点を無線通信端末46のディスプレイ31に表示する処理を行う。なお、表示制御部33は、例えば地図データ等に重畳させて、走行軌跡点及び走行補間点を表示する処理を行ってもよい。
【0056】
次に、領域登録部34は、圃場の角部を特定する(S107)。以下、図8を参照して、圃場の角部を特定する処理について説明する。トラクタ1は直角に旋回することができないので、圃場の角部よりも内側を例えば弧状に旋回することになる。そのため、領域登録部34は、走行軌跡点及び走行補間点に基づいて、圃場の角部を特定する。初めに、領域登録部34は、圃場の角部の近傍において、走行軌跡点及び走行補間点を通る直線を作成する。なお、トラクタ1が厳密に直進するとは限らないので、複数の走行軌跡点及び走行補間点にできる限り近い位置を通るように(例えば最小二乗法等の近似法を用いて)直線を作成してもよい。領域登録部34は、圃場の角部の近傍に作成された2直線の交点を圃場の角部として特定する。このように、走行補間点は、圃場の角部を特定する際に用いられる。
【0057】
次に、領域登録部34は、圃場の外形、走行軌跡点、及び走行補間点を記憶部に記憶(登録)する(S108)。圃場の外形は、上述した圃場の角部と、走行軌跡点及び走行補間点と、に基づいて作成される。例えば、圃場の角部を通るように、かつ、走行軌跡点及び走行補間点のできる限り近くを通るように複数の線分を作成し、これらの線分を合わせたものが圃場の外形となる。また、領域登録部34が取得した位置は、厳密には測位用アンテナ6の位置であるため、この位置を外周の外側方向にオフセットした位置を圃場の外形としてもよい。測位用アンテナ6がトラクタ1の車幅方向の中央に配置される場合、オフセット量は例えばトラクタ1の車幅の半分にすればよい。以上により、圃場を登録する作業が完了する。その後、登録した圃場内に、自律走行用の経路を作成するための作業領域、及び、枕地領域等が作成される。なお、走行軌跡点及び走行補間点は、作業領域及び枕地領域の作成時にも用いられる。また、本実施形態の領域登録システム200が圃場を登録する際に行った各処理は、作業領域を登録する際にも行われてもよい。
【0058】
次に、圃場登録のための第2モードについて図9及び図10を参照して説明する。上述したように第2モードでは、圃場の外周走行の終了後に、トラクタ1の不要な位置(回避走行中に取得したトラクタ1の位置)を除外して、圃場の外形の登録を行う。従って、第2モードでは、圃場の外周走行に係る処理は従来と同様である。即ち、外周走行による圃場登録を開始した後に(S201)、領域登録部34はトラクタ1の位置を記憶し続け(S202)、圃場登録のための外周走行が終了したと判定したタイミングで(S203)、トラクタ1の位置の記憶を終了する。
【0059】
圃場登録のための外周走行の後に、領域登録部34は第1モードと同様に走行軌跡点を作成し、表示制御部33は走行軌跡点を無線通信端末46のディスプレイ31に表示する(S204)。図10の上側には、このときにディスプレイ31に表示される画面が示されている。図10に示すように、ここで表示される走行軌跡点は、回避走行中に取得した走行軌跡点を含んでいる。
【0060】
次に、判定部36は、走行軌跡が所定条件の曲線を含むか否かを判定する(S205)。ここで、回避走行を行う場合、トラクタ1を旋回させる必要があるため、走行軌跡も曲線を含むこととなる。そのため、走行軌跡が曲線を含んでいる場合は、回避走行を行った可能性があると考えられる。しかし、圃場の角部を曲がる際もトラクタ1を旋回させるため、可能な限り回避走行と角部の旋回とを区別することが好ましい。なお、この判定の目的はオペレータに走行軌跡点の除外が必要な可能性があることを知らせるだけなので、100%の精度で両者を区別する必要はない。上記の「所定条件」は、圃場の角部を旋回する際に生じた走行軌跡の曲線と、回避走行を行う際に生じた走行軌跡の曲線と、を区別するための条件である。ここで、圃場の角部は基本的に直角であり、オペレータは、できる限り圃場の外周に近い位置を走行するため、角部の旋回時の走行軌跡は急激に向きが変わるような曲線になる傾向がある。一方で、例えば泥濘等の障害は外形が直線である可能性は低いため、回避走行時の走行軌跡は緩やかに向きが変わるような曲線になる傾向がある。従って、所定条件は、例えば走行軌跡の曲率の大きさに基づいて定められる。また、圃場が基本的に矩形であることを考慮すると、全体の走行軌跡に基づいて圃場の四隅の位置を特定できる可能性が高い。従って、圃場の四隅以外の箇所の走行軌跡が曲線を含むか否かを判定してもよい。
【0061】
走行軌跡が所定条件の曲線を含むと判定部36が判定した場合、報知部37は、表示制御部33に指令を行って、例えば無線通信端末46のディスプレイ31に警告文を表示する(S206)。この警告文は、走行軌跡点の調整が必要であることをオペレータに知らせる文章であればよい。
【0062】
次に、領域登録部34は、ステップS205の判定の結果に関係なく、圃場登録に使用しない走行軌跡点の選択を受け付ける(S207)。オペレータは、例えば無線通信端末46のディスプレイ31に表示された走行軌跡点をタッチする等して、圃場登録に使用しない走行軌跡点を選択する。領域登録部34は、オペレータによって選択された走行軌跡点を圃場登録に使用せずに除外する(S207)。
【0063】
次に、領域登録部34は、除外されなかった走行軌跡点に基づいて走行補間点を作成し、表示制御部33は、作成された走行補間点を無線通信端末46のディスプレイ31に表示する(S208)。図10の下側には、走行軌跡点及び走行補間点の表示例が示されている。また、本実施形態では、除外された走行軌跡点(圃場登録に使用しない点)も表示されているが、この表示を省略してもよい。
【0064】
次に、領域登録部34は、第1モードと同様に、圃場の角部の特定(S209)と、圃場の外形、走行軌跡点、及び走行補間点の登録(S210)と、を行う。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態の領域登録システム200は、トラクタ1に領域(本実施形態では圃場)の外周を走行させて当該領域の外形を登録する。領域登録システム200は、位置情報取得部49と、回避走行設定部35と、領域登録部34と、を備える。位置情報取得部49は、トラクタ1の位置を取得する。回避走行設定部35は、トラクタ1による領域の外周の走行中において、障害を避けるための回避走行の開始と終了を当該トラクタ1の走行中に設定する。領域登録部34は、トラクタ1が領域の外周を走行する間に位置情報取得部49が取得したトラクタ1の位置であって、かつ、回避走行の開始から終了までに取得したトラクタ1の位置を除いた位置に基づいて、領域の外形を登録する。
【0066】
これにより、領域の外周上に障害があって当該障害を回避するようにトラクタ1を走行させた場合でも、領域の正確な外形を登録できる。また、走行中に回避走行中であることを設定可能であるため、走行終了後に不要な位置を選択する作業を省略又は簡単にすることができる。
【0067】
また、本実施形態の領域登録システム200の領域登録部34は、領域の外形に加え、トラクタ1の走行軌跡点を登録する。領域登録部34は、回避走行の開始時の位置と終了時の位置を結ぶ線分上に、走行軌跡点を補間する走行補間点を登録する。
【0068】
これにより、回避走行を行った箇所においても、他の箇所と同様に走行軌跡点(走行補間点)を作成できるので、走行軌跡を利用した処理を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態の領域登録システム200の領域登録部34は、走行軌跡点と走行補間点に基づいて少なくとも2つの直線を作成し、当該2つの直線の交点を領域の角部として登録する。
【0070】
これにより、走行補間点を利用して領域の角部を適切に求めることができる。
【0071】
また、本実施形態の領域登録システム200において、回避走行設定部35は、位置情報取得部49が取得したトラクタ1の位置のうち、障害を避けるための回避走行中のトラクタ1の位置を、トラクタ1による領域の外周の走行後にオペレータの指示に基づいて設定する。領域登録部34は、トラクタ1が領域の外周を走行する間に位置情報取得部49が取得したトラクタ1の位置であって、かつ、回避走行の開始から終了までに取得したトラクタ1の位置を除いた位置に基づいて、領域の外形を登録する。
【0072】
これにより、領域の外周上に障害があって当該障害を回避しても、領域の正確な外形を登録できる。また、外周走行後に回避走行中の位置を設定できるので、オペレータは、外周走行中はトラクタ1の運転に集中できる。
【0073】
また、本実施形態の領域登録システム200は、判定部36と、報知部37と、を備える。判定部36は、トラクタ1が領域の外周を走行して取得したトラクタ1の走行軌跡が直線か曲線かを判定する。報知部37は、走行軌跡に曲線が含まれている場合にその旨を報知する。
【0074】
回避走行を行う場合は走行軌跡が曲線となることが多い。従って、走行軌跡に曲線が含まれていることを報知することで、オペレータが回避走行の設定を忘れることを防止できる。
【0075】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0076】
上記実施形態では、第1モードにおいて、回避走行中のトラクタ1の位置を記憶しない構成である。これに代えて、回避走行中であっても、回避走行中という情報を付加してトラクタ1の位置を記憶してもよい。この場合、回避走行中という情報が付加されたトラクタ1の位置は、圃場の外形を特定する処理において用いられない。この場合、回避走行中という情報が付加されたトラクタ1の位置を、他の走行軌跡点と区別して無線通信端末46のディスプレイ31に表示してもよい。
【0077】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、第1モード及び第2モードにおいて、走行補間点を作成する処理を省略してもよい。また、第2モードにおいて、判定部36及び報知部37が行う処理を省略してもよい。また、これらのフローチャートに記載の処理の少なくとも一部をトラクタ1側の機器(例えば制御部4)で行う構成であってもよい。また、表示する情報は、無線通信端末46に限られず、モニタ装置14又は別の携帯端末に表示してもよい。
【0078】
上記実施形態では、第1モードと第2モードの何れか一方のみを行う流れを説明したが、第1モードを行って圃場登録のための外周走行が終了した後に、第2モードのステップS207(圃場登録に使用しない走行軌跡の選択)等を行ってもよい。これにより、オペレータがトラクタ1の走行中に一時停止ボタン91を操作するのを忘れた場合であっても、事後的に対応することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 トラクタ(作業車両)
34 領域登録部
35 回避走行設定部
49 位置情報取得部
100 自律走行システム
200 領域登録システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10