(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】保護カバー及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20231222BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20231222BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231222BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H05K7/12 B
H02M3/00 Y
H02M7/48 Z
H05K7/14 G
H05K7/14 C
(21)【出願番号】P 2019213376
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真孝
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-069439(JP,A)
【文献】特開2007-329413(JP,A)
【文献】特開2015-041725(JP,A)
【文献】特開2012-010576(JP,A)
【文献】特開2018-174684(JP,A)
【文献】特開平08-162779(JP,A)
【文献】特開2016-201506(JP,A)
【文献】米国特許第05777850(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H02M 3/00
H02M 7/48
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の第一主面に設けられたコネクタと、保護カバーと、を備える電源装置に用いられる保護カバーであって、
前記第一主面に設けられたコネクタを前記第一主面に沿う第一方向に挿通させるコネクタ挿通孔を有する第一板部と、前記第一方向において前記第一板部に対向する第二板部と、前記第一方向に延びて前記第一板部及び前記第二板部を連結する連結部と、を備え、
前記コネクタ挿通孔に前記コネクタを挿通させた状態で前記第一板部と前記第二板部との間に前記コネクタを配置させることにより取り付けられて前記基板の第一主面を覆い、
前記第一方向における前記第一板部と前記第二板部との間隔が、前記第一方向における前記コネクタの寸法よりも小さい保護カバー。
【請求項2】
前記第一板部、前記第二板部及び前記連結部の少なくとも一部が弾性的に変形可能である請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記コネクタ挿通孔は、前記第一板部のうち前記連結部に接する位置に形成されている請求項1又2に記載の保護カバー。
【請求項4】
基板と、前記基板の第一主面に設けられたコネクタと、請求項1から3のいずれか一項に記載の保護カバーと、を備え、
前記保護カバーは、前記コネクタ挿通孔に前記コネクタを挿通させた状態で前記第一板部と前記第二板部との間に前記コネクタを配置させることにより取り付けられて前記基板の第一主面を覆う電源装置。
【請求項5】
前記第一主面と反対側に向く前記基板の第二主面に対向配置されるベース部と、
前記基板を前記ベース部に固定する固定具と、を備え、
前記保護カバーは、前記第一主面側に位置する前記固定具の部位を覆う請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記保護カバーは、前記第二板部から第一方向において前記第一板部と逆側に延びる第三板部と、前記第三板部の先端から前記第三板部の延長方向に延びる突出部と、を備え、
前記突出部を前記第一方向に挿通させるカバー挿通孔を有する部品が、前記基板の第一主面に設けられ、
前記突出部が前記部品の前記カバー挿通孔に挿通されている請求項4又は5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記保護カバーは、前記突出部の先端から前記突出部の延長方向に交差する方向に延びる屈曲部を備え、
前記突出部が前記カバー挿通孔に挿通された状態で、前記屈曲部の先端が前記部品の内面に近接して配置されている請求項6に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保護カバー及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板(電源基板)における電子部品等の実装面を、絶縁部材からなる保護カバー(電源カバー)によって覆うことで、不用意に基板に接触することによる感電を防ぐ装置が開示されている。特許文献1の装置では、保護カバーが複数のネジ(スクリュー)によってベース部材(フレーム部材)に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように保護カバーが複数のネジによって固定されている装置では、基板のメンテナンスなどにおいて保護カバーをベース部材に対して着脱するために、複数のネジを操作する必要がある。そのため、保護カバーを取り外すだけでも時間がかかり、基板のメンテナンス作業に手間がかかるという課題がある。また、ネジを操作する際に、ネジを装置内に落として紛失したり、当該ネジによって装置内の回路を短絡させたりするという虞がある。さらに、ネジを操作するための工具によって装置を破損させたり、当該工具によって装置内の回路を短絡させたりするという虞もある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、ネジ等の締結部材を用いることなく保護カバーを容易に着脱することが可能な保護カバー及び電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、基板と、前記基板の第一主面に設けられたコネクタと、保護カバーと、を備える電源装置に用いられる保護カバーであって、前記第一主面に設けられたコネクタを前記第一主面に沿う第一方向に挿通させるコネクタ挿通孔を有する第一板部と、前記第一方向において前記第一板部に対向する第二板部と、前記第一方向に延びて前記第一板部及び前記第二板部を連結する連結部と、を備え、前記コネクタ挿通孔に前記コネクタを挿通させた状態で前記第一板部と前記第二板部との間に前記コネクタを配置させることにより取り付けられて前記基板の第一主面を覆い、前記第一方向における前記第一板部と前記第二板部との間隔が、前記第一方向における前記コネクタの寸法よりも小さい保護カバーである。
【0007】
本発明の他の態様は、基板と、前記基板の第一主面に設けられたコネクタと、前記保護カバーと、を備え、前記保護カバーは、前記コネクタ挿通孔に前記コネクタを挿通させた状態で前記第一板部と前記第二板部との間に前記コネクタを配置させることにより取り付けられて前記基板の第一主面を覆う電源装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネジ等の締結部材を用いることなく保護カバーを容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電源装置の要部を示す斜視図である。
【
図5】上記電源装置に備える保護カバーを示す斜視図である。
【
図6】保護カバーを基板及びコネクタから取り外す前の状態を示す拡大断面図である。
【
図7】保護カバーを基板及びコネクタから取り外す過程を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、説明の便宜上、
図1等に示す上下、左右及び前後の矢印に示す方向を、上下方向、左右方向及び前後方向と定義して構成要素の位置や向き等を説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、ベース部2と、基板3と、四つの固定具4と、複数の抵抗器5と、コネクタ6と、部品7と、保護カバー8と、を備える。
【0011】
ベース部2は、例えば電源装置1の筐体や、筐体の内部に固定されるフレームなどであり、平坦面2aを有する板状の部分を備えている。
【0012】
基板3は、互いに反対側を向く第一主面3a(後面)及び第二主面3b(前面)に不図示の配線パターンを有する矩形板状のプリント配線基板である。基板3の配線パターンは、後述する抵抗器5などと共に電源装置1の回路を構成する。基板3は、ベース部2の平坦面2aに対して第二主面3bが間隔をあけて向かい合うように対向配置される。
【0013】
図1に示すように、四つの固定具4はそれぞれベース部2の平坦面2aに取り付けられている。四つの固定具4は、平坦面2aにおいて左右方向及び上下方向にそれぞれ間隔をあけて並んだ状態で設けられている。上下方向に並ぶ二つの固定具4は、上下方向における基板3の両端部の位置に対応して配置されている。なお、固定具4の数や配列は上記に限らず、適宜変更してもよい。四つの固定具4は、上記のように基板3をベース部2に対して対向配置させた状態で保持するように、基板3をベース部2に対して固定する。
【0014】
図4に示すように、四つの固定具4はそれぞれ、ベース部2の平坦面2aに取り付けられる台座部44と、基板3の第二主面3bを支持する支持部41と、基板3に挿通される挿通部42と、基板3を支持部41との間に挟む爪部43と、を有する。
【0015】
支持部41は、台座部44の後面から後方に延びる棒状に形成されている。支持部41は、その延長方向の先端に平坦な先端面41aを有する。支持部41は、先端面41aに基板3の第二主面3bを面接触させることにより、基板3をベース部2の平坦面2aに対して間隔をあけた状態で支持する。
【0016】
挿通部42は、支持部41の先端面41aから支持部41の延長方向(後方)に延びる棒状に形成されている。支持部41の延長方向から見た挿通部42の大きさは、支持部41の先端面41aの大きさよりも小さい。挿通部42が基板3に挿通されることで、基板3がベース部2に対してベース部2の平坦面2aに沿う上下及び左右方向に移動することが規制される。
【0017】
爪部43は、第一腕部431、第二腕部432及び突起部433を有する。第一腕部431は、支持部41の外周から支持部41の径方向に離れるように延びる。第二腕部432は、第一腕部431の先端から支持部41や挿通部42と同じ後方に延びる。第二腕部432は、支持部41や挿通部42に対してその径方向に離れて位置する。第二腕部432は、支持部41の先端面41aよりも後方に長く延びている。第一及び第二腕部431,432は、第二腕部432の先端部分が挿通部42に対してその径方向に近接または離隔するように弾性的に撓み変形可能である。突起部433は、第二腕部432の先端部分における挿通部42の外周面に対向する面に形成されている。突起部433は、第一及び第二腕部431,432の弾性的な撓み変形に伴って、支持部41や挿通部42からその径方向に離れることができる。
【0018】
四つの固定具4はそれぞれ、基板3の第二主面3b側から挿通部42を基板3に挿通させ、第二主面3bを支持部41の先端面41aに面接触させるとともに、基板3の第一主面3aに爪部43の突起部433を係止させることにより、基板3の縁部を先端面41aと突起部433とで挟み込んで基板3を固定支持する。基板3をベース部2から取り外す際には、爪部43の突起部433を基板3の縁部から離すように、爪部43の第一及び第二腕部431,432を弾性的に撓み変形させればよい。このように、固定具4は、基板3をベース部2に対して着脱自在に固定する。
【0019】
図2及び
図3に示すように、複数の抵抗器5は、基板3の第二主面3b側に実装され、基板3の配線パターンに接続されて電源装置1の回路を構成する。複数の抵抗器5はそれぞれ、基板3の配線パターンに接続するための二つのリード51を有する。抵抗器5は、基板3の第二主面3b側から各リード51を基板3に挿通させて半田付けされることで基板3の配線パターンに接続される。このため、各リード51の先端部は、基板3の第一主面3aから後方に突出している。複数の抵抗器5は、二つのリード51が上下方向に配置される姿勢で、第二主面3bに左右方向に並んで配置されている。本実施形態では、八つの抵抗器5が第二主面3bに左右方向に並んで配置されている。なお、基板3の第一主面3a及び第二主面3bにはそれぞれ、不図示の複数の電子部品も実装されている。
【0020】
図1~
図3に示すように、コネクタ6は、基板3の第一主面3a側に設けられ、基板3の配線パターン(電源装置1の回路)に接続される。コネクタ6は、基板3の第一主面3aに実装された第一コネクタ61と、第一コネクタ61に対して着脱可能に接続される第二コネクタ62と、を有する。
【0021】
第一コネクタ61は、直方体状の第一ハウジング612と、第一ハウジング612の内部に固定された複数のコネクタ端子(コンタクト)とを有する。第一ハウジング612は、上方に開口した接続開口部611を有している。複数のコネクタ端子はそれぞれ、コネクタ端子の一端部が第一ハウジング612の内部空間(接続開口部611に連通する空間)に配置され、コネクタ端子の他端部が第一ハウジング612の前壁部から前方に突出している。第一コネクタ61は、基板3の第一主面3a側から当該コネクタ端子の他端部を基板3に挿通させて半田付けされることで基板3の配線パターンに接続される。このとき、第一コネクタ61は、第一ハウジング612の前壁部外面を第一主面3aに近接させた状態で、第一主面3aに実装される。第一コネクタ61は、第一主面3aの上縁部(上端部の近傍領域)に実装され、接続開口部611が設けられた第一ハウジング612の上端部側が第一主面3aから上方に張り出した状態となっている。
【0022】
第二コネクタ62は、直方体状の第二ハウジング622と、第二ハウジング622の内部に固定された複数のコネクタ端子(コンタクト)とを有する。第二ハウジング622は、第一コネクタ61の接続開口部611から第一ハウジング612内に嵌合可能な凸状の嵌合凸部621を有している。第二コネクタ62は、嵌合凸部621を第一コネクタ61の第一ハウジング612内に嵌合させると、第二コネクタ62の各コネクタ端子と第一コネクタ61の各コネクタ端子とがそれぞれ接触し、第二コネクタ62と第一コネクタ61とが電気的に接続される。第二コネクタ62は、複数のコネクタ端子における第一コネクタ61のコネクタ端子と接触する一端側の反対側の他端側が電力供給源10と繋がる電気配線9に接続されている。電源装置1では、電力供給源10からの電力が、電気配線9、第二コネクタ62、第一コネクタ61及び基板3の配線パターンを介して、基板3に実装された複数の抵抗器5及び複数の電子部品に供給されるようになっている。
【0023】
部品7は、基板3の第一主面3aにおける第一コネクタ61の下方に間隔をあけた位置に設けられる。部品7は、複数の抵抗器5よりも下方の位置に設けられる。基板3の第一主面3aにおいて、上方から順に、第一コネクタ61、複数の抵抗器5(リード51,51)、部品7という配置関係になる。部品7は、平板部材に曲げ加工を施して形成された上壁部71、後壁部72及び左右の側壁部73を有する矩形箱状であり、第一主面3aから後方に延びるように立設される。
【0024】
上壁部71は、基板3の第一主面3aから後方に延びる板状に形成されている。上壁部71には、基板3の第一主面3aに近い前端部側の位置に、上下方向に貫通した二つのカバー挿通孔711が左右に並んで形成されている。左右のカバー挿通孔711はそれぞれ、矩形状の貫通孔であり、左右の側壁部73と隣接している。左右のカバー挿通孔711はそれぞれ、上壁部71において、前方側(基板3側)及び左右の側壁部73側に開口する位置に配置されている。後壁部72は、上壁部71の後端部から下方に延びる板状に形成されている。左右の側壁部73は、上壁部71及び後壁部72の左右の端部から下方に延びる板状に形成されている。部品7は、下壁部が無く、下方に開口している(
図3参照)。
【0025】
保護カバー8は、
図5に示すように、ポリカーボネート等の樹脂平板に曲げ加工やカッティング加工を施して形成され、電気絶縁性及び可撓性を有している。保護カバー8は、第一板部81と、第二板部82と、連結部83と、第三板部84とを備える。第一板部81は、前後左右方向に延びる平板状に形成されている。第一板部81には、上下方向に貫通した矩形状のコネクタ挿通孔811が形成されている。コネクタ挿通孔811は、第一板部81において、後方側に開口する位置(連結部83に隣接する位置)に配置されている。コネクタ挿通孔811は、第一コネクタ61(第一ハウジング612)を接続開口部611側からコネクタ挿通孔811内に挿入可能な前後左右の寸法になっている。また、コネクタ挿通孔811は、コネクタ挿通孔811内に第一コネクタ61が挿通された状態において、第一ハウジング612の外周面に対して若干の間隔を有する前後左右の寸法になっている。
【0026】
連結部83は、第一板部81の後端部から下方に延びる平板状に形成されている。連結部83の左右寸法は、第一板部81の左右寸法よりも長くなっている。連結部83の左右両端部がそれぞれ、第一板部81の左右両端部よりも左右方向に延びて張り出している。連結部83の上下寸法は、第一コネクタ61の第一ハウジング612における第二コネクタ62との嵌合方向の寸法(
図2に示す上下方向の寸法)よりも短くなっている。
【0027】
第二板部82は、連結部83の下端部から前方に延びる平板状に形成されている。第二板部82の左右寸法は、連結部83の左右寸法と同じ長さである。第二板部82の前後寸法は、第一板部81のコネクタ挿通孔811の前後寸法(第一コネクタ61の第一ハウジング612における
図1に示す前後寸法)よりも短くなっている。第二板部82の上面と第一板部81の下面及びコネクタ挿通孔811とが対向する配置になっている。連結部83の上下寸法が上記のようになっているため、第二板部82の上面と第一板部81の下面(コネクタ挿通孔811)との間隔は、第一コネクタ61の第一ハウジング612における第二コネクタ62との嵌合方向の寸法(
図2に示す上下方向の寸法)よりも小さくなっている。第一板部81、連結部83及び第二板部82は、左右方向から見るとコ字状になっている。
【0028】
第三板部84は、第二板部82の前端部から下方に延びる平板状に形成されている。第三板部84の左右寸法は、連結部83及び第二板部82の左右寸法と同じ長さである。第三板部84の上下寸法は、基板3に実装された第一コネクタ61の下面と部品7の上壁部71の上面との間隔よりも少し短い長さになっている。
【0029】
保護カバー8は、第三板部84の下端部(先端)から下方に延びる平板状の左右二つの突出部85と、二つの突出部85の下端部から後方に延びる平板状の左右二つの屈曲部86とを更に備える。右側の突出部85は、第三板部84の下端部における右端側に配置されている。左側の突出部85は、第三板部84の下端部において、右側の突出部85の左方に間隔をあけて配置されている。二つの突出部85はそれぞれ、部品7の二つのカバー挿通孔711内に挿入可能な左右寸法になっている。また、二つの突出部85の配置間隔は、部品7の二つのカバー挿通孔711の配置間隔に対応している。二つの突出部85の上下寸法はそれぞれ、部品7の左右の側壁部73の上下寸法よりも短くなっている(
図1参照)。二つの屈曲部86の左右寸法はそれぞれ、二つの突出部85の左右寸法と同じ長さになっている。二つの屈曲部86の前後寸法はそれぞれ、部品7の左右の側壁部73の前後寸法よりも少し短い長さになっている(
図3参照)。
【0030】
以上のように構成される保護カバー8は、第二コネクタ62が取り外された状態の第一コネクタ61に取り付けられる。具体的には、第一板部81と第二板部82の間隔が広がるように力を加えて第一板部81、連結部83及び第二板部82のコ字状の部分を弾性変形させて、基板3の第一主面3aから上方に張り出した第一コネクタ61(第一ハウジング612)の上端部側を、第一板部81の下面側からコネクタ挿通孔811に挿通させ、第一板部81を基板3の上端部に載置し、さらに第二板部82を第一ハウジング612の下面側に配置することで、保護カバー8が第一コネクタ61に取り付けられる。
【0031】
このように保護カバー8が第一コネクタ61に取り付けられると、
図1~
図3に示すように、基板3から上方に張り出した第一ハウジング612の上端部側が、コネクタ挿通孔811を通って第一板部81よりも上方に突出した状態となり、第一ハウジング612の下部側が、第一板部81と第二板部82との間の空間に位置した状態となる。第一ハウジング612の下部側の後面が連結部83の前面に近接対向した状態となり、第一ハウジング612の下面が第二板部82の上面に近接対向した状態となる。第一板部81の前端部は、基板3の第二主面3bよりも前方(ベース部2側)に延びた状態となり、第一板部81の下面が基板3の上端部に当接して第一板部81が基板3の上端部の上に載置された状態となる(
図3参照)。第一板部81におけるコネクタ挿通孔811の前端811bは、第一ハウジング612の前面に対して間隔をあけて位置する状態となる(
図3参照)。第一板部81の左右両端部はそれぞれ、基板3の上端部側に設けられた左右二つの固定具4の爪部43の左右側面に近接対向した状態となる。連結部83は、基板3の上端部側に設けられた左右二つの固定具4の挿通部42及び爪部43の突起部433の後方側に配置され、連結部83の前面が挿通部42の先端部及び突起部433と対向した状態となる。当該二つの固定具4の後方側は連結部83によって覆われた状態となる(
図4参照)。
【0032】
上記のように、第一板部81のコネクタ挿通孔811に第一ハウジング612が挿通された状態となるため、保護カバー8が第一コネクタ61及び基板3に対して前後及び左右方向に移動された場合に、コネクタ挿通孔811の端部が第一ハウジング612の外周面に当接することにより、所定の遊びはあるものの保護カバー8の前後及び左右方向への移動が規制される。また、第一板部81の左右両端部が左右二つの固定具4に挟まれて近接対向した状態となるため、保護カバー8が左右方向に移動された場合に、第一板部81の左右端部が左右の固定具4に当接することによっても、保護カバー8の左右方向への移動が規制される。第二板部82の上面が第一ハウジング612の下面に近接対向した状態となるため、保護カバー8が第一コネクタ61及び基板3に対して上方に移動された場合に、第二板部82の上面が第一ハウジング612の下面に当接することにより、所定の遊びがあるものの保護カバー8の上方への移動が規制される。保護カバー8が取り付けられた第一コネクタ61に第二コネクタ62を嵌合接続させることにより、保護カバー8を第一コネクタ61から取り外すことができなくなる。
【0033】
上記のように保護カバー8が第一コネクタ61に取り付けられると、第三板部84の前面が基板3の第一主面3aに対向した状態となり、第一主面3aが第三板部84によって覆われた状態となる。第三板部84は、第一主面3aにおける複数の抵抗器5のリード51が配設された領域の後方側に配置され、複数のリード51の第一主面3aから後方に突出した部分が第三板部84によって覆われた状態となる。
【0034】
また、保護カバー8が第一コネクタ61に取り付けられると、左右二つの突出部85がそれぞれ、部品7の二つのカバー挿通孔711を通って部品7内に挿入された状態となる。左右二つの突出部85が部品7内に挿入されると、二つの突出部85の左右側部が、部品7のカバー挿通孔711の端部及び側壁部73の内面に近接対向した状態となる。また、二つの屈曲部86の左右側部が部品7の側壁部73の内面に近接対向した状態となり、二つの屈曲部86の先端部が部品7の後壁部72の内面に近接対向した状態となる。このように左右二つの突出部85及び屈曲部86が部品7内に挿入された状態となるため、保護カバー8が基板3に対して左右方向に移動された場合に、二つの突出部85の左右側部がカバー挿通孔711の端部及び側壁部73の内面に当接するとともに、二つの屈曲部86の左右側部が側壁部73の内面に当接することにより、所定の遊びはあるものの保護カバー8の左右方向への移動が規制される。また、保護カバー8が基板3に対して後方に移動された場合に、二つの屈曲部86の先端部が後壁部72の内面に当接することにより、所定の遊びがあるものの保護カバー8の後方への移動が規制される。
【0035】
保護カバー8を第一コネクタ61から取り外すには、先ず、第一コネクタ61から第二コネクタ62を取り外す。そして、第一板部81と第二板部82の間隔が広がるように力を加えて第一板部81、連結部83及び第二板部82のコ字状の部分を弾性変形させて、コネクタ挿通孔811に挿通されて第一板部81と第二板部82との間の空間に配置されている第一コネクタ61(第一ハウジング612)を当該空間から引き抜くように、保護カバー8を第一コネクタ61及び基板3に対して上方に移動させる。具体的には、
図6及び
図7に示すように、第一板部81の前端部を矢印D1の方向に持ち上げることにより、第一板部81、連結部83、第二板部82及び第三板部84のそれぞれの接続部分を支点として、第一板部81、連結部83及び第二板部82のコ字状の部分を弾性変形させる。このように弾性変形させて保護カバー8を上方に移動させて、第一コネクタ61を第一板部81と第二板部82との間の空間から引き抜くとともに、部品7の二つのカバー挿通孔711を通って部品7内に挿入されている二つの突出部85及び屈曲部86を部品7内から引き抜くことにより、保護カバー8が第一コネクタ61から取り外される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、保護カバー8を基板3に対してネジ止めしなくても、第一コネクタ61を利用して保護カバー8を基板3の第一主面3aを覆った状態で保持することができる。このため、保護カバー8を取り外す際に、従来のように複数のネジを操作する必要がないため、基板3のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。また、ネジ止めしていないため、ネジを装置内に落として紛失したり、当該ネジによって装置内の回路を短絡させたりするという虞がない。さらに、ネジを操作するための工具によって装置を破損させたり、当該工具によって装置内の回路を短絡させたりするという虞もない。
【0037】
また、上述のように保護カバー8が弾性的に変形可能であることで、第一板部81を連結部83及び第二板部82に対して移動させて、第一コネクタ61を第一板部81、連結部83及び第二板部82のコ字状の部分に対して容易に挿抜させることが可能となる。したがって、ネジ止めの場合と比較して、保護カバー8を基板3に対して容易に着脱することができる。また、保護カバー8を弾性的に変形させない限り、保護カバー8を第一コネクタ61から取り外すことができないため、保護カバー8が不意に第一コネクタ61から外れることも防止することができる。
【0038】
本実施形態では、電力供給源10に繋がる電気配線9に接続された第二コネクタ62が、保護カバー8のコネクタ挿通孔811に挿通されている第一コネクタ61に対して嵌合接続される。このため、第二コネクタ62が第一コネクタ61に接続された状態では、
図7に示したように保護カバー8を弾性的に変形させても、第一コネクタ61から保護カバー8を取り外すことができない。したがって、第二コネクタ62が第一コネクタ61に接続されることで基板3に実装された複数の抵抗器5に電力供給源10からの電力が供給され、基板3の第一主面3aから突出する複数の抵抗器5のリード51の先端部や、基板3の配線パターンに電気が流れている状態であっても、これらを保護カバー8によって覆っているため、作業者が当該リード51の先端部や配線パターンに誤って触れることを確実に防止することができる。
【0039】
本実施形態では、保護カバー8のコネクタ挿通孔811が、第一板部81における連結部83に接する位置に形成されている。このため、コネクタ挿通孔811に挿通された第一コネクタ61(第一ハウジング612)の後面を、連結部83の前面に近接対向させることができる。これにより、第一コネクタ61に取り付けられた保護カバー8が、基板3や第一コネクタ61に対して前後方向に動く(ガタつく)ことを抑制することができる。特に、保護カバー8が基板3の第一主面3aに近づく方向に動くことを、第一ハウジング612の後面と連結部83の前面との当接によって抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、第一コネクタ61に取り付けられた保護カバー8の連結部83により、基板3の上端部側に設けられた左右二つの固定具4において、基板3の第一主面3aの後方側に位置する固定具4の部位(爪部43の突起部433)を覆い隠すようになっている。このため、保護カバー8を第一コネクタ61から取り外す前に、誤って基板3をベース部2から外してしまうことを抑止することができる。第二コネクタ62が第一コネクタ61に接続されることで基板3の配線パターンや複数の抵抗器5に電力が供給されている状況では、前述したように保護カバー8が第一コネクタ61から外れないようになっている。そして、このような状況で保護カバー8が固定具4を覆い隠すことにより、基板3をベース部2から外す作業を保護カバー8によって防ぐことができる。
【0041】
本実施形態では、保護カバー8が第一コネクタ61に取り付けられると、保護カバー8の二つの突出部85が部品7の二つのカバー挿通孔711を通って部品7内に挿入され、二つの屈曲部86の先端部が部品7の後壁部72の内面に近接対向するようになっている。このため、保護カバー8が基板3に対して左右方向に移動された場合に、二つの突出部85の左右側部がカバー挿通孔711の端部及び側壁部73の内面に当接することにより、保護カバー8の左右方向への移動を規制することができる。また、保護カバー8が基板3に対して後方に移動された場合に、二つの屈曲部86の先端部が後壁部72の内面に当接することにより、保護カバー8の後方への移動を規制することができる。したがって、保護カバー8が基板3に対して動く(ガタつく)ことを抑制することができる。
【0042】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0043】
本発明において、第一コネクタ61は、基板3の縁から外側に張り出した状態で基板3に実装されていなくてもよい。すなわち、第一コネクタ61は、第一ハウジング612全体が基板3の第一主面3a上に収まるように配置されてもよい。但し、この場合には、第一ハウジング612の第一主面3aに対向する面と第一主面3aとに間隔をあけて、第一コネクタ61を第一主面3aに実装するようにするとよい。このように第一コネクタ61を実装することにより、第一コネクタ61を保護カバー8のコネクタ挿通孔811に挿通させて、保護カバー8を第一コネクタ61に取り付けることができる。
【0044】
本発明において、保護カバー8は、コネクタ挿通孔811に第二コネクタ62を挿通させた状態で取り付けられるようにしてもよい。この場合には、第二コネクタ62を第一コネクタ61に対して着脱する際に、コネクタ挿通孔811に対して第二コネクタ62を挿抜することで、保護カバー8を容易に着脱することができる。また、第二コネクタ62が保護カバー8のコネクタ挿通孔811に挿通される場合には、保護カバー8は弾性的に変形しない材質であってよい。
【0045】
本発明において、保護カバー8のコネクタ挿通孔811は、第一板部81において連結部83から離れた位置に形成されてもよい。また、保護カバー8は、一つ或いは三つ以上の突出部85を有する構成であってもよい。その場合には、部品7においても、保護カバー8の突出部85に対応した個数のカバー挿通孔711を有する構成とすればよい。保護カバー8は、屈曲部86を有していなくてもよい。保護カバー8は、第三板部84において、基板3の第一主面3aに実装された電子部品等を挿通させる貫通孔を有していてもよい。
【0046】
本発明において、保護カバー8の第一板部81の前端部には、基板3の縁に引っ掛ける鉤部が形成されてもよい。鉤部は、例えば、第一板部81の前端部から下方に突出する突起であってよい。このような鉤部により、保護カバー8が基板3に対して第一主面3aから離れる方向(後方)に移動することを規制することができる。また、第一コネクタ61(第一ハウジング612)の後面に突起部を備える場合には、その突起部を挿通させる貫通孔を保護カバー8の連結部83に形成してもよい。或いは、当該突起部に係止される爪部を連結部83の前面に形成してもよい。
【0047】
本発明において、保護カバー8の連結部83は、左右方向の寸法が第一及び第二板部81,82の左右寸法よりも短くなっていてもよい。その場合には、左右方向に並ぶ複数の連結部83によって第一及び第二板部81,82が連結されるようにしてもよい。保護カバー8は、樹脂材料に限らず、絶縁材料であればよい。
【0048】
本発明において、基板3をベース部2に固定する固定具4は、例えばネジであってもよい。この場合、ベース部2には、基板3に通されたネジの軸部に噛み合う雌ねじが形成されればよい。また、保護カバー8は、基板3の第一主面3a側に位置するネジの頭部を覆えばよい。基板3の第一主面3aに設けられる部品7は、少なくとも保護カバー8の突出部85を挿入可能なカバー挿通孔711を有していればよく、第一主面3aに予め設けられる既存部品であってよい。
【符号の説明】
【0049】
1 電源装置
2 ベース部
3 基板
3a 第一主面
3b 第二主面
4 固定具
5 抵抗器
6 コネクタ
61 第一コネクタ
62 第二コネクタ
7 部品
711 カバー挿通孔
8 保護カバー
81 第一板部
811 コネクタ挿通孔
82 第二板部
83 連結部
83a 対向面
84 第三板部
85 突出部
86 屈曲部