(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】追跡システム及び追跡システムによって追跡されるマーカー装置
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20231222BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
A61B34/20
A61N5/10 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019222591
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラーメル ユールゲン エルウィン
(72)【発明者】
【氏名】グレイヒ ベルンハルト
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261233(US,A1)
【文献】国際公開第03/053533(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06
A61B 34/20
A61M 25/095 - A61M25/098
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
追跡されるマーカー装置であって、前記マーカー装置は、
ケーシングと、
外部の磁気トルクが磁性体に作用している場合、平衡方向から回転され得るように前記ケーシング内に配置される磁性体と、
前記外部
の磁気トルクによって励起される前記磁性体の回転振動を可能にするため、前記外部の磁気トルクが前記磁性体を前記平衡方向から回転させている場合、前記磁性体を前記平衡方向に強制的に戻すように復元トルクを提供するように構成される復元トルクユニットと
を有する、マーカー装置。
【請求項2】
前記復元トルクユニットは、前記復元トルクを提供するためのねじりばね機構及び/又は他の磁性体を有する、請求項1に記載のマーカー装置。
【請求項3】
前記マーカー装置は、外部
の磁気トルクが前記他の磁性体に作用している場合、前記他の磁性体が平衡方向から回転可能になるように構成され、前記復元トルクユニットは、前記外部の磁気トルクによって励起される前記他の磁性体の回転振動を可能にするために、前記外部の磁気トルクが前記平衡方向から前記他の磁性体を回転させている場合、前記他の磁性体を強制的に前記平衡方向に戻らせるように復元トルクを提供するようにも構成され、前記磁性体と前記他の磁性体との前記回転振動は同じ共振周波数及び180度の位相差を有する、請求項2に記載のマーカー装置。
【請求項4】
前記マーカー装置は、i)少なくとも100のQファクタ、ii)少なくとも0.5μAm
2の動的双極子モーメント、及びiii)少なくとも100Hzの共振周波数からなるリストの少なくとも1つの条件を満たすように構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のマーカー装置。
【請求項5】
セットの各マーカー装置は放射線不透過性材料を有し
、少なくとも2つの前記マーカー装置の前記放射線不透過性材料及び前記共振周波数は互いに異なる、請求項
3又は4に記載のいくつかのマーカー装置のセット。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のマーカー装置を追跡する追跡システムは、
-a)前記マーカー装置の前記磁性体をそれの平衡方向から回転させて、それによって共振周波数で振動するように前記磁性体の回転振動を励起するように磁気トルクを提供する磁場を生成し、b)前記磁性体の前記回転振動によって引き
起こされる誘導信号を生成するように構成される励起及び誘導信号ユニットと、
-前記生成される前記誘導信号に基づいて
前記追跡システムに対する前記マーカー装置
の位置及び方向を決定するように構成される位置決定ユニットと
を
有する、追跡システム。
【請求項7】
前記位置決定ユニットは、前記誘導信号に基づいて前記マーカー装置の前記方向を決定するようにも構成される、請求項6に記載の追跡システム。
【請求項8】
前記追跡システムは、請求項1乃至4の何れか一項に記載のいくつかのマーカー装置の位置を決定するように構成されており、前記いくつかのマーカー装置の前記磁性体は、異なるマーカー装置の前記誘導信号が異なる周波数を有するように異なる共振周波数で回転振動可能であり、前記位置決定ユニットは、前記異なる周波数を有する前記生成される誘導信号に基づいて前記マーカー装置の前記位置を決定するように構成される、請求項6又は7に記載の追跡システム。
【請求項9】
前記マーカー装置は被検体内に配置され、前記位置決定ユニットは、前記マーカー装置の位置に最も近い前記被検体の表面上の位置である前記被検体の前記表面上の最も近い前記位置、及び/又は所定の方向における前記被検体の前記表面上の前記マーカー装置の前記位置の投影を決定するように構成される、請求項6乃至8の何れか一項に記載の追跡システム。
【請求項10】
外科処置中に誘導する誘導システムであって、前記誘導システムは、
-請求項6乃至9の何れか一項に記載のマーカー装置の位置を追跡する追跡システムであって、前記マーカー装置は請求項1乃至4の何れか一項に記載され、追跡される物体に取り付けられるマーカー装置である、追跡システムと、
-前記追跡される位置を出力する出力ユニットと
を備える、誘導システム
。
【請求項11】
前記誘導システムは、前記外科処置が適用される被検体の画像を生成するように構成される撮像システムをさらに備え、前記追跡システムは前記撮像システムにレジストレーションされ、前記出力ユニットは少なくとも前記追跡される位置を前記被検体の画像にオーバレイするように構成される、請求項10に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追跡されるマーカー装置、マーカー装置を備える医療機器、ならびにマーカー装置を追跡するための追跡システム、追跡方法及び追跡コンピュータプログラムに関する。本発明はさらに、外科処置中に誘導するための誘導システム、誘導方法及び誘導コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に低侵襲医療処置において、医用装置を電磁的に追跡することが知られている。この電磁追跡には、医用装置の位置だけでなく方向も決定するために、医用装置に複数の電磁マーカー装置を装備する必要があるという欠点があり、各マーカー装置は、例えば、 3自由度(DoF)又は5自由度ローカリゼーションに対して適応される。さらに、電磁マーカー装置は1 mmよりも大幅に大きくなっている。たとえば、「Journal of Applied Clinical Medical Physics(B.Maxwellら、17巻、223乃至234頁、2016)」の記事「Validation of the Calypso Surface Beacon Transponder」に開示されている追跡システムで使用される電磁マーカー装置のサイズは8 mmである。さらに、電磁マーカー装置は、たとえば30 cmを超える比較的大きな距離から読み取られることはできない。例えば、上記のB. Maxwellらの論文に開示されているシステムは、約16 cmの距離からマーカー装置を読み取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改善されるマーカー装置と、マーカー装置を追跡するための改善される追跡システム、方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。本発明の更なる目的は、承認されるマーカー装置と、マーカー装置及び追跡システムを使用する、外科処置中に誘導するための誘導システム、方法及びコンピュータプログラムを備える医用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、追跡されるマーカー装置であって、マーカー装置は、a)ケーシングと、b)外部の磁気トルクが磁性体に作用している場合、それが平衡方向から回転するようにケーシング内に配置されている磁性体と、c)外部磁気トルクによって励起される磁性体の回転振動を可能にするため、外部の磁気トルクが磁性体を平衡方向から回転させる場合、磁性体を平衡方向に強制的に戻す復元トルクを提供するように構成される復元トルクユニットとを有する、マーカー装置が提示される。
【0005】
磁性体はケーシング内に配置されているので、磁性体に作用する外部磁気トルクによって平衡方向から回転可能になり、復元トルクユニットは、外部磁気トルクによって励起される磁性体の回転振動を可能にするため、外部の磁気トルクが磁性体を平衡方向から回転させる場合、磁性体を平衡方向に強制的に戻すように構成されるため、磁性体の回転振動によって引き起こされ、マーカー装置の空間的位置及び方向に依存する誘導信号は、追跡システムの励起及び誘導信号ユニットで生成することができる。特に、励起及び誘導信号ユニットは、i)追跡装置の磁性体をその平衡方向から回転させるための磁気トルクを提供する磁場を生成し、それにより磁性体の回転振動を励起するように適合される第1のコイルと、ii)マーカー装置の空間的位置と方向に依存する誘導信号を生成するように適合される第2のコイルとを有することができる。これにより、単一のマーカー装置のみを使用してこのマーカー装置を備える医用装置の位置及び方向を決定できるように、マーカー装置の位置及び方向、すなわち6自由度を決定できる。さらに、追跡システムは、たとえば30 cmを超える比較的大きな距離からマーカー装置を読み取ることができる。さらに、マーカー装置は比較的小さく、例えば1mmより小さくてもよい。好ましい実施形態では、マーカー装置のケーシングは円筒形であり、円筒の外径は1mmより小さく、さらに好ましくは0.5mmより小さく、さらにより好ましくは0.3mmより小さい。
【0006】
「外部磁気トルク」という用語は、マーカー装置の外部にある外部磁場提供ユニットによって引き起こされる磁気トルクを指すことに留意されたい。優先的には、マーカー装置が被検体内に配置されている場合、磁場提供ユニットも被検体の外部にある。
【0007】
優先的に、磁性体は、磁性体を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能であり、磁性体は、仮想回転軸に対して回転対称である。特に、磁性体は、磁気球体又は磁気円筒体である。さらに、復元トルクユニットは、復元トルクを提供するためのねじりばね機構を備えてもよい。それに加えて、又はその代わりに、復元トルクユニットは、復元トルクを提供するための他の磁性体を備えてもよい。一実施形態では、磁性体はフィラメントの一端に取り付けられ、フィラメントの他端はケーシングに取り付けられ、フィラメントは、磁気引力により磁性体が他の磁性体に触れるのを防ぐように適合され、磁性体を回転振動させる。他の磁性体は、優先的にケーシングに固定的に取り付けられる。しかしながら、他の磁性体は、ケーシングに対して回転可能に振動するようにケーシング内に配置することもできる。特に、他の磁性体をフィラメントの一端に取り付けることができ、フィラメントの他端をケーシングに取り付けることができる。好ましい実施形態では、他の磁性体は、他の磁性体を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能であり、他の磁性体は、仮想回転軸に対して回転対称である。また、他の磁性体は、磁気球体又は磁気円筒体である可能性がある。さらに、磁性体及び他の磁性体の仮想軸は、優先的に互いにアラインされる。
【0008】
これらの技法により、復元トルク、したがって磁性体の回転振動を提供することができるので、マーカー装置全体を比較的小さくすることができ、マーカー装置の共振周波数を必要に応じて提供することができ、マーカー装置の構造は依然として比較的簡単である。
【0009】
一実施形態では、マーカー装置は、外部磁気トルクが他の磁性体に作用している場合、他の磁性体が平衡方向から回転可能になるように適合され、復元トルクユニットは、復元トルクも提供して、外部の磁気トルクによって励起される他の磁性体の回転振動を可能にするために、外部の磁気トルクが平衡方向から他の磁性体を回転させる場合、他の磁性体を強制的に平衡方向に戻らせ、磁性体と他の磁性体との回転は同じ共振周波数と180度の位相差を持つ。これにより、ケーシングのトルクが減少し、最適にキャンセルさえされる。復元トルクユニットは、他の磁性体に復元力を提供するために磁性体を使用することができる。特に、一実施形態では、磁性体は第1の磁気双極子を形成し、他の磁性体は第2の磁気双極子を形成し、磁性体及び他の磁性体は平衡方向で第1及び第2の磁気双極子が反対方向に向けさせるように配置される。一実施形態では、磁性体及び他の磁性体は、ねじりばねを介して互いに直接接続されるので、この場合、復元トルクユニットはねじりばねを含む。
【0010】
優先的に、磁性体及び/又は他の磁性体は永久磁石である。さらに、ケーシングは優先的に円筒形である。ケーシングが円筒形の場合、ガイドワイヤのような管状医用装置に比較的簡単に導入できる。
【0011】
好ましくは、マーカー装置は、i)少なくとも100のQファクタ、ii)少なくとも0.5μAm2の動的双極子モーメント、及びiii)少なくとも100Hzの共振周波数からなるリストの少なくとも1つの条件を満たすように適合される。これらの条件の少なくとも1つが満たされると、マーカー装置の位置、優先的には方向の決定の精度をさらに高めることができることがわかった。
【0012】
マーカー装置は放射線不透過性であることがさらに好ましい。これにより、コンピュータ断層撮影システム、X線透視システム、X線CアームシステムなどのX線イメージングシステムを使用してマーカー装置を視覚化することもできる。
【0013】
本発明の更なる態様では、いくつかのマーカー装置のセットが提示され、セットの各マーカー装置は放射線不透過性材料を有し、少なくとも2つのマーカー装置の放射線不透過性材料及び共振周波数は互いに異なる。例えば、マーカー装置の少なくとも2つの放射線不透過性材料は、形状に関して異なっていてもよい。したがって、それらは同じ種類の放射線不透過性材料を有することができるが、放射線不透過性材料の形状は異なっていてもよい。少なくとも異なるマーカー装置の放射線不透過性材料の形状は同じであるが、放射線不透過性材料自体は異なることもあり得る。形状及び放射線不透過性材料自体、すなわち放射線不透過性材料として使用される材料の種類が、少なくとも2つのマーカー装置で異なる可能性もある。これにより、X線画像で異なる共振周波数を持つマーカー装置を識別できる。
【0014】
マーカー装置を追跡するための追跡システムは、マーカー装置を選択的に励起するように適合されることができ、追跡システムは、異なるマーカー装置を示すインジケーションと、それらの共鳴周波数との間の割り当てを有することができるので、医師のようなユーザーがX線画像における所望のマーカー装置を選択でき、その後、既知の割り当てにより、選択されるマーカー装置のみが励起される可能性があり、したがって、これらのマーカー装置についてのみ、位置と、優先的なことに、方向も決定される。
【0015】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つのマーカー装置を備える医用装置が提示される。一実施形態では、医用装置は、カテーテル、ガイドワイヤ又はインプラントである。これにより、比較的小さくすることができ、医用装置の位置及び向きの検出に関して比較的高い感度を可能にする単一のマーカー装置のみを使用することによって、6 DoFのカテーテル、ガイドワイヤ、又はインプラントなどの医用装置の位置と方向を決定でき、すなわち医用装置の位置及び向きは、例えば30cm又は40cmの比較的大きな距離から決定することができる。
【0016】
本発明の更なる態様において、マーカー装置を追跡するための追跡システムであって、追跡システムは、i)a)マーカー装置の磁性体を平衡方向から回転させて、それによって磁性体の回転振動の共振周波数で振動するように磁性体の回転振動を励起するための磁気トルクを提供する磁場を生成し、b)磁性体の回転振動によって引き起こされ、追跡装置の空間的位置と方向に依存する誘導信号を生成するように適合される励起及び誘導信号ユニットと、ii)生成される誘導信号に基づいてマーカー装置の位置を決定するように適合される位置決定ユニットとを有する、追跡システムが提示される。励起及び誘導信号ユニットは、磁性体の回転振動によって引き起こされ、マーカー装置の空間的位置及び方向に依存する誘導信号が、励起及び誘導信号ユニットに関してマーカー装置の空間的位置及び方向に依存するように優先的に適合される。
【0017】
一実施形態では、励起及び誘導信号ユニットは、a)マーカー装置の磁性体をその平衡方向から回転させるための磁気トルクを提供する磁場を生成し、それにより磁性体の回転振動を励起するように適合される第1のコイルと、 b)マーカー装置の空間的位置及び方向に依存する誘導信号を生成するように適合される第2のコイルとを有し、第1及び第2のコイルは分離されている。第1のコイル及び/又は第2のコイルは、マット又はハンドヘルド装置に配置することができる。コイルは、ボックスのような別の要素に配置することもできる。
【0018】
更なる実施形態では、励起及び誘導信号ユニットは、a)マーカー装置の磁性体をその平衡方向から回転させる磁気トルクを提供する磁場を生成し、それにより磁性体の回転振動を励起し、b)マーカー装置の空間的位置と方向に依存する誘導信号を生成するように適合されるコイルを有する。したがって、磁場を生成するため、及び誘導信号を生成するために同じコイルを使用できる。また、この実施形態では、コイルはマット又はハンドヘルド装置に配置されてもよい。コイルは、ボックスのような別の要素に配置することもできる。
【0019】
優先的に、励起及び誘導信号ユニットは、誘導信号を生成するように適合されるいくつかのコイルを備え、各コイルに対して、それぞれのコイルに対するマーカー装置の位置及び方向に依存する誘導信号が生成される。さらに、好ましくは、位置決定ユニットは、誘導信号に基づいてマーカー装置の向きも決定するように適合される。特に、位置決定ユニットは、6 DoFでマーカー装置の位置と方向を決定するように適合される。
【0020】
追跡システムは、マーカー装置の磁性体の回転振動の位置依存共振周波数を生成するために、空間的に不均一な磁場を生成するように適合される磁場生成器をさらに備えてもよく、位置決定ユニットは、位置依存共振周波数に基づいてマーカー装置の位置を決定するようにも適合される。特に、磁場発生器は、空間的に不均一な磁場として磁場傾斜を生成するように適合される。磁場発生器は、空間的に不均一な磁場を生成するための2セットのサドルコイル及びスプリットソレノイドコイルを備えてもよい。これにより、マーカー装置の位置の決定をさらに改善することができる。しかしながら、不均一な場を生成する他のコイル構成ももちろん使用できる。
【0021】
優先的に、追跡システムは、いくつかのマーカー装置の位置を決定するように適合されており、いくつかのマーカー装置の磁性体は、異なるマーカー装置の誘導信号が異なる周波数を有するように異なる共振周波数で回転振動可能であり、位置決定ユニットは、異なる周波数を有する生成される誘導信号に基づいてマーカー装置の位置を決定するように適合される。位置決定ユニットはまた、異なる周波数を有する生成される誘導信号に基づいてマーカー装置の向きを決定するように優先的に適合される。異なる共鳴周波数を備える異なるマーカー装置を使用することにより、異なるマーカー装置を区別し、各マーカー装置について、それぞれの位置、優先的にはそれぞれの方向を決定することが可能である。
【0022】
いくつかのマーカー装置を要素に取り付けることができ、位置決定ユニットは、いくつかのマーカー装置の決定される位置に基づいて要素の形状を決定するように適合されることができる。形状決定ユニットは、いくつかのマーカー装置に対して決定される方向にも基づいて要素の形状を決定するように適合されることができる。この要素は医用装置であることが優先されるが、組織のような身体部分でもある。
【0023】
一実施形態では、位置決定ユニットは、別のマーカー装置の位置に対するマーカー装置の位置を決定するように適合される。また、マーカー装置の向きは、別のマーカー装置の向きに対して決定され得る。しかしながら、位置とオプションで方向は、別の基準に対しても決定できる。
【0024】
さらに、マーカー装置の決定される位置を出力するための出力ユニットを設けることができる。出力ユニットは、マーカー装置の向きを出力するように適合されることもできる。
【0025】
一実施形態では、マーカー装置は被検体内に配置され、位置決定ユニットは、マーカー装置の位置に最も近い被検体の表面上の位置である被検体の表面上の最も近い位置、及び/又は所定の方向における被検体の表面上のマーカー装置の位置の投影を決定するように適合される。例えば、出力ユニットは、発光ダイオード又はレーザーのような光源を有することができ、光源によって生成される光は、決定される最も近い位置及び/又はマーカー装置の決定される位置が投影される表面上の決定される位置で、物体の表面上に光点を生成するために使用され得る。特に、この例では、追跡システムは、光源を有するハンドヘルド装置に少なくとも部分的に一体化されるので、ハンドヘルド装置が患者の前に保持される場合、ハンドヘルド装置は、被検体の表面上のそれぞれの位置における光点を生成することができる。好ましい実施形態では、位置決定ユニットは、被検体の表面上の決定される位置とマーカー装置の位置との間の距離を決定するように適合される。距離は、優先的に法線方向又は既定の方向に沿った被検体内の深さに対応する。距離は、対応する番号で示される場合がある。しかしながら、追加又は代替として、距離に応じて光源が表面上の決定される位置を示すために使用される場合、光点を生成することによって距離を示すことも可能である。たとえば、光点の色、形状、及び/又はサイズは、決定される距離に依存し得る。所定の方向は、例えば、CアームX線イメージングシステムのようなX線イメージングシステムのX線投影方向、ハンドヘルド装置の法線方向などであり得る。
【0026】
追跡システム及びマーカー装置は、マーカー装置の磁性体が少なくとも30度の角度範囲にわたって回転振動するように優先的に適合される。
【0027】
本発明の更なる態様では、外科処置中にガイドする誘導システムであって、誘導システムは、マーカー装置の位置を追跡する追跡システムと、追跡される位置を出力する出力ユニットとを備える誘導システムが提示される。
【0028】
追跡システムは、マーカー装置の向きを追跡するように適合されることができ、出力ユニットは、マーカー装置の追跡される向きも出力するように適合されることができる。標的は、例えば、腫瘍であり、マーカー装置を追跡することにより、外科手術中に被検体内で腫瘍を比較的容易に見つけることができる。
【0029】
好ましくは、誘導システムは、外科処置が適用される被検体の画像を生成するように適合される撮像システムをさらに備え、追跡システムは撮像システムにレジストレーションされ、出力ユニットは少なくとも追跡される位置を被検体の画像にオーバレイするように適合される。これは、例えば、マーカー装置が取り付けられた標的に適用される外科手術中の医師のさらに改善されるガイダンスにつながり得る。
【0030】
一実施形態では、マーカー装置は被検体内に配置され、出力ユニットは、被検体の表面上の決定される最近接位置及び/又はマーカー装置とこの決定される最近接位置との間の距離を示す。
【0031】
別の態様では、マーカー装置を追跡するための追跡方法であって、追跡方法は、a)マーカー装置の磁性体をその平衡方向から回転させ、それにより、磁性体の回転振動の共振周波数で振動するように磁性体の回転振動を励起するための磁気トルクを提供する磁場を生成するステップ、及び磁性体の回転振動によって引き起こされ、追跡装置の空間的位置と方向に依存する誘導信号を生成するステップと、b)生成される誘導信号に基づいてマーカー装置の位置を決定するステップとを有する、追跡方法が提示される。
【0032】
更なる態様では、誘導システムを使用することによって外科処置中に誘導する誘導方法であって、誘導方法は、追跡方法によって規定されるマーカー装置の位置を追跡するステップと、追跡位置を出力するステップとを有する、誘導方法が提示される。
【0033】
本発明の別の態様では、マーカー装置を追跡するための追跡コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、追跡システムを制御するコンピュータが実行されるときに追跡システムに追跡方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する、追跡コンピュータプログラムが提示される。
【0034】
本発明の更なる態様では、外科処置中に誘導するためのガイダンスコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがガイダンスシステムを制御するコンピュータ上で実行されるとき、ガイダンスシステムにガイダンス方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を有する、ガイダンスコンピュータプログラムが提示される。
【0035】
請求項1に記載のマーカー装置、請求項5で定義されるマーカー装置のセット、請求項6の追跡システム、請求項10の誘導システム、請求項12の追跡方法、請求項13の誘導方法、請求項14の追跡コンピュータプログラム及び請求項15のガイダンスコンピュータプログラムは、特に上記及び/又は従属請求項で定義される同様の及び/又は同一の好ましい実施形態を有する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせでもあり得ることを理解されるい。
【0037】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】追跡されるマーカー装置の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図2】追跡されるマーカー装置の他の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図3】追跡されるマーカー装置の他の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図4】追跡されるマーカー装置の他の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図5】追跡されるマーカー装置の他の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図6】外科処置中に医師を誘導するための誘導システムの実施形態を概略的かつ例示的に示し、
図1乃至
図5に概略的及び例示的に示されるマーカー装置を追跡する追跡システムを有する。
【
図7】いくつかのマーカー装置を備えるガイドワイヤである医用装置の実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図8】空間的に不均一な磁場を生成する磁場生成器の実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図9】外科処置中に医師を誘導するための誘導方法の実施形態を例示的に示すフローチャートを示す。
【
図10】マーカー装置の6自由度定位を概略的かつ例示的に示す。
【
図11】マーカー装置の他の6自由度定位を概略的かつ例示的に示す。
【
図12】マーカー装置の他の6自由度定位を概略的かつ例示的に示す。
【
図13】外科的処置中の患者の肺内のマーカー装置を概略的かつ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、追跡システムを使用することにより追跡されるマーカー装置の実施形態を概略的かつ例示的に示している。マーカー装置1は、ケーシング2と、外部磁気トルクが磁性体3に作用している場合に平衡方向から回転可能となるようにケーシング2内に配置される磁性体3とを備える。マーカー装置1は、
外部磁気トルクによって励起される磁性体3の回転振
動を可能にするため、外部磁力が磁性体3を平衡方向から回転させた場合に磁性体3を平衡方向に戻す復元トルクを提供するように適合される復元トルクユニット4をさらに備える。この実施形態では、ケーシング2は円筒形であり、磁性体3は、磁性体3を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能であり、磁性体3は仮想回転軸に関して回転対称である。特に、この実施形態では、磁性体3は磁気球体である。
【0040】
復元トルクユニット4は、復元トルクを提供するための他の磁性体4を備える。特に、磁性体3はフィラメント6の一端に取り付けられ、フィラメント6の他端はケーシング2に取り付けられる。フィラメント6は、それらの磁気引力により磁性体3が他の磁性体4に触れることを防ぎ、磁性体3が回転振動することを可能にするように適合される。この実施形態では、他の磁性体4は、ケーシング2に固定的に取り付けられる。
【0041】
磁性体3は第1の磁気双極子を形成し、他の磁性体4は第2の磁気双極子を形成し、磁性体3と他の磁性体4は平衡方向で第1及び第2の磁気双極子が反対方向に向けさせるように配置される。優先的に、第1の磁性体3及び第2の磁性体4は永久磁石であり、平衡方向において、磁性体3のN極は他の磁性体4のS極に面し、逆もまた同様である。
【0042】
ケーシング2は円筒状であり、円筒状ケーシング2は2つの端面30、31を備え、他の磁性体4は第1の端面30及びフィラメント6の端部に固定的に取り付けられ、他の磁性体4は、第1の端面30に固定的に取り付けられ、磁性体3に取り付けられる端部の反対側のフィラメント6の端部は、円筒形ケーシング2の第2の端面31に取り付けられる。
【0043】
図2は、追跡システムによって追跡されるマーカー装置101の更なる実施形態を概略的かつ例示的に示している。マーカー装置101は、マーカー装置101の
他の磁性体104が円筒形であり、マーカー装置1の
他の磁性体4が球状であることを除いて、
図1に概略的かつ例示的に示されるマーカー装置1に類似する。
【0044】
追跡システムを使用して追跡されるマーカー装置201の更なる実施形態は、
図3に概略的かつ例示的に示される。この実施形態においても、マーカー装置201は、円筒形ケーシング2及びケーシング内に配置される球状磁性体3を備えるので、外部の磁気トルクが磁性体に作用している場合、平衡方向から回転可能である。しかしながら、この実施形態では、復元トルクユニットは、
図1を参照して上述した復元トルクユニットとは異なる。
【0045】
マーカー装置201の復元トルクユニット204は、外部磁気トルクによって励起される磁性体3の回転振動を可能にするために、外部磁力が磁性体3を平衡方向から回転させる場合に、磁性体3を平衡方向に戻す復元トルクを提供するように適合される。さらに、この実施形態でも、磁性体3は、磁性体3を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能であり、磁性体3は、仮想回転軸に関して回転対称である。特に、この実施形態でも、磁性体3は磁気球体である。しかしながら、復元トルクユニット204は、復元トルクを提供するためのねじりばね機構を有する。特に、ねじりばね機構は2つのねじりばね204を備え、これらのねじりばね204の1つは円筒形ケーシング2の第1の端面30に磁気球体を取り付け、他のねじりばね204は磁気球体3を円筒形ケーシング2の第2の端面31に取り付ける。
【0046】
図4は、追跡システムによって追跡されるマーカー装置301の更なる実施形態を概略的かつ例示的に示し、これは、マーカー装置301は円筒形の磁性体303を有する一方、マーカー装置201は球形の磁性体3を有することを除いて、
図3で上述したマーカー装置201と同様である。さらに、ねじりばね機構を提供するマーカー装置301のねじりばね304は、マーカー装置201のねじりばね204よりも短い。
【0047】
追跡システムを使用することによって追跡されるマーカー装置401の更なる実施形態は、
図5に概略的かつ例示的に示される。マーカー装置401は、円筒形のケーシング2と、ケーシング2内に配置される磁性体3とを有するので、外部の磁気トルクが磁性体3に作用している場合、平衡方向から回転可能である。さらに、この実施形態においても、磁性体3は磁気球体であり、フィラメント7を介して2つの端面30、31の一方に取り付けられる。さらに、マーカー装置401は、外部磁気トルクによって励起される磁性体3の回転振動を可能にするため、外部磁気トルクが磁性体3を平衡状態から回転させる場合、磁性体3を平衡方向に戻す復元トルクを提供するように適合される復元トルクユニット404、405を備える。さらに、この実施形態でも、磁性体3は、磁性体3を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能であり、磁性体3は、この実施形態では磁気球体であり、もちろん仮想回転軸に対して回転対称である。
【0048】
また、この実施形態では、復元トルクユニットは、復元トルクを提供するためのねじりばね機構404を備え、この実施形態では、ねじりばね機構404は、磁性体3と他の磁性体405とを互いに接続するねじりばねによって提供される。さらに、復元トルクユニットは、復元トルクを提供するための他の磁性体405も備えると見なすことができ、他の磁性体405も磁気球体である。他の磁性体405は、ケーシング2に対して回転振動するようにケーシング内に配置され、他の磁性体405は、他の磁性体405を中心に横断する仮想回転軸の周りで回転可能である。磁性体3及び他の磁性体405がそれぞれ回転可能である、磁性体3及び他の磁性体405の仮想軸は互いにアラインされる。さらに、他の磁性体405は、フィラメント8の一端に取り付けられ、フィラメント8の他端は、円筒形ケーシング2の2つの端面30、31の他方に取り付けられる。
【0049】
図6は、外科処置中に誘導するための誘導システム30の実施形態を概略的かつ例示的に示している。誘導システムは、患者テーブルのような支持手段32上に配置され、外科的処置が適用される被検体の画像を生成するように適合される撮像システム23を備える。この実施形態では、撮像システム23は、被検体の二次元及び/又は三次元画像を生成するためのCアーム撮像システムである。 Cアームシステム23は、X線源41と、C形支持構造43の両端に取り付けられるX線検出器42とを備えている。
【0050】
誘導システム30は、マーカー装置が追跡される物体に取り付けられる一方、マーカー装置1の位置又は上述のマーカー装置101、201、301、401の何れかの他の位置を追跡する追跡システムをさらに備える。追跡される物体は、例えば、被検体内の病変及び/又は被検体内で移動される医用装置である。特に、これらの物体の位置を追跡し、たとえば、被検体内の病変への医療装置の誘導を可能にするため、複数のマーカー装置が、被検体の1つまたは複数の内部部分および/または被検体内で移動する1つまたは複数の医療装置に取り付けられることができる。しかしながら、追跡システムが、対象内で移動している間、医用装置の位置のみを追跡すること、又は追跡システムが、病変のような被検体の内部部分の位置のみを追跡することも可能である。
【0051】
撮像システム23及び追跡システムは、モニタのような出力ユニット36が、撮像システム23を使用して生成される被検体の画像で、例えば、被検体内の病変及び/又は医用装置の少なくとも追跡される位置を出力及びオーバーレイできるように、互いにレジストレーションされる。
【0052】
追跡システムは、a)マーカー装置1の磁性体3をその平衡方向から回転させるための磁気トルクを提供する磁場を生成し、それによって磁性体3の回転振動を励起し、b)マーカー装置1の空間的な位置と方向に依存する誘導信号を生成するように適合されるコイル20を備える。追跡システムは、所望の磁場が生成されるようにコイル20に電流を提供および制御することによりコイル20を制御し、マーカー装置1の回転振動によって引き起こされるコイル20内に電流に対する誘導効果を示すデジタル誘導信号を生成するように構成される追跡制御ユニット31をさらに備える。コイル20及び追跡制御ユニット31は、マーカー装置1を磁気的に励起し、コイル20及び追跡制御ユニット31が励起及び誘導信号ユニット20、31を形成するとみなすことができるように誘導信号を生成する。
【0053】
この実施形態では、コイル20は、この例では患者テーブルである支持手段上のマット34に配置されている。しかしながら、コイル20は、追跡システムの別の部分内又は別の部分に配置され得る。例えば、コイル20は、追跡システムを手で運ぶことができるようにハンドヘルド装置に配置することもできる。この場合、好ましくは、追跡システムを撮像システム23にレジストレーションするため、撮像システム23の位置及び向きに対するハンドヘルド装置の位置及び向きを追跡するように、更なる追跡システムが使用される。光学追跡システム又は他の追跡システムなどの追跡システムを使用できる。
【0054】
この実施形態では、同じコイル20が磁場の生成と誘導信号の生成に使用されるが、他の実施形態では、a)第1のコイルが、マーカー装置1の磁性体3をその平衡方向から回転させるための磁気トルクを提供する磁場を生成し、それによって磁性体3の回転振動を励起するように使用され、b)第2のコイルが、マーカー装置の空間的位置及び方向に依存する誘導信号を生成するために使用され、第1のコイルと第2のコイルは分離されることも可能である。第1のコイル及び/又は第2のコイルは、マット又はハンドヘルド装置に配置することができる。
【0055】
各コイルに対して誘導信号が生成され、これはそれぞれのコイルに対するマーカー装置1の位置及び方向に依存し、追跡システムの位置決定ユニット33は、これらの誘導信号に基づいてマーカー装置1の位置及び方向を決定するように適合される。例えば、コイル20に対するマーカー装置の各位置及び向きの較正手順において、誘導信号を生成でき、これらの誘導信号又は少なくともこれらの誘導信号の特性を保存できる。この較正が完了した後、位置決定ユニットは、現在生成される誘導信号及び保存される情報に基づいてマーカー装置の位置及び方向を決定するための保存される誘導信号又は誘導信号の保存される特性を使用できる。もちろん、物理的考慮に基づいており、誘導信号が与えられる入力のように、出力としてのマーカー装置の位置と方向提供する、分析モデル、特に機能に基づいて、他の方法で誘導信号に応じてマーカー装置1の位置及び向きを決定するように適合されることもできる。誘導信号に応じてマーカー装置の位置と方向を提供するニューラルネットワークのような人工知能を使用することもできる。人工知能は、保存されるキャリブレーション情報を使用してトレーニングできる。
【0056】
この実施形態では、位置決定ユニット33は、マーカー装置の位置だけでなくマーカー装置の向きも決定するように適合されるが、別の実施形態では、位置決定ユニットは、マーカー装置の位置のみ及びマーカー装置の向きのみを決定するように適合され得る。しかしながら、好ましくは、位置決定ユニット33は、6DoFでマーカー装置1の位置及び向きを決定するように適合される。
【0057】
位置決定ユニット33は、マーカー装置1の位置に最も近い被検体の表面上の位置である被検体の表面上の最も近い位置を決定するように適合され得る。特に、位置決定ユニット33は、被検体の表面上の最も近い位置とマーカー装置1の位置との間の距離を決定するように適合され、被検体の表面上のこの最も近い位置は、モニター36に表示されてもよく、又は被検体の皮膚上に直接表示されてもよい。例えば、発光ダイオード又はレーザー37のような光源は、決定される最も近い位置で被検体上に光スポットを生成するために使用されてもよい。追跡システムの更なる出力ユニットであると見なされ得る光源37は、例えば、撮像システム23において、磁場を生成するためのコイル及び/又は誘導信号を生成するために使用されるコイルを含むハンドヘルド装置において、又はシステム全体の別の部分において配置される。光源37の位置及び向きも追跡システムにレジストレーションされる。
【0058】
追跡システム及びマーカー装置1は、磁性体3が少なくとも30度の角度範囲にわたって回転振動するように優先的に適合される。追跡システムは、いくつかのマーカー装置1の位置及び方向を決定するように適合されることができ、いくつかのマーカー装置1の磁性体3は、異なるマーカー装置1の誘導信号が異なる周波数を有するように、異なる共振周波数で回転振動可能であり、これらの異なる周波数は、これらの異なる周波数を有する生成される誘導信号に基づいて、マーカ装置1の位置及び向きを決定するために位置決定ユニット33によって使用される。
【0059】
一実施形態では、追跡システムによって追跡可能な医用装置50を提供するために、いくつかのマーカー機器1は、ガイドワイヤ又はカテーテル機器のような医用装置51に取り付けられる。そのような医用装置50は、
図7に概略的かつ例示的に示されている。位置決定ユニット33は、細長い医用装置50の長さに沿って配置されるいくつかのマーカー装置1の位置及び向きを決定し、これらの決定される位置及び向きに基づいて医用装置50の形状を決定するように適合され得る。
【0060】
一実施形態では、追跡システムは、支持手段32に取り付けられるか、又は治療される被検体に別の方法で配置される磁場発生器21をさらに有することができる。磁場発生器21は、マーカー装置1の磁性体3の回転振動の位置依存共振周波数を生成するために、空間的に不均一な磁場を生成するように適合され、位置決定ユニット33は、ここでも位置依存共振周波数に基づいてマーカー装置1の位置を決定するように適合され得る。特に、磁場発生器21は、空間的に不均一な磁場として磁場傾斜を生成するように適合される。この例では、磁場発生器21は、空間的に不均一な磁場を生成するための2組のサドルコイルとスプリットソレノイドコイルを有する。また、これらのコイルは、追跡制御ユニット31によって制御されてもよい。
【0061】
以下では、
図9に示されるフローチャートを参照して、誘導システムを使用することにより外科的処置中に誘導するための誘導方法の実施形態を例示的に説明する。
【0062】
ステップ501において、磁場が生成され、これは、被検体内のマーカー装置1の磁性体3をその平衡方向から回転させ、それにより磁性体3の回転振動を励起し、それにより振動する磁気トルクを提供する。さらに、ステップ501において、磁性体3の回転振動によって引き起こされ、追跡装置の相対的な空間的位置及び向きに依存する誘導信号が生成される。ステップ502では、生成される誘導信号に基づいてマーカー装置1の位置が決定され、ステップ503では、決定される位置が出力される。
【0063】
ステップ501から503はループで実行されるので、例えばマーカー装置の位置は追跡され、位置の追跡が例えば医師によって中止されるまで外科手術を行う医師に出力されることができる。特に、医師は、キーボード、タッチパッド、システムの特定のボタンなどのような入力ユニット35を介して、追跡を中止すべきであることを示す場合がある。追跡にのみ関連するステップ501及び502は、マーカー装置を追跡するための追跡方法のステップとみなすこともできる。追跡方法及び追跡システムは、ある時点でのマーカー装置の位置及び任意で方向を決定するように適合されることができ、すなわち、それらは位置及び任意で経時的な方向を決定しないように適合されることができる。しかしながら、追跡方法と追跡システムは、時間とともに位置とオプションで方向を決定することが好ましい
【0064】
低侵襲医療処置での医用装置の3次元追跡や、外部ビーム放射線療法(EBRT)中のターゲットの動きの検出に、電磁(EM)局在化を適用することは知られている。追跡される医用装置の位置だけでなく、方向を取得するため、つまり6 DoFで医用装置を追跡するために、医用装置には通常、いくつかの3又は5 DoF EMマーカーが装備されている。これとは対照的に、特に
図1及び
図2を参照して上記で説明したマーカー装置は、次のものを有する。
図1乃至
図5及び上述の追跡システムは、単一のマーカー装置を使用することにより、無線6DoF検出、すなわち3次元位置及び3つの方向角の検出を可能にする。マーカー装置はサブミリメートルサイズで、最大30乃至40 cmの距離から読み取ることができる。また、特に
図8を参照して上記で説明したように、追加の空間符号化方式は、位置精度をさらに高めるための独立した位置情報を提供できる。さらに、いくつかのマーカー装置を並行して検出できる。つまり、いくつかのマーカー装置の位置と向きを並行して検出できる。
【0065】
上記のマーカー装置の1つは、空間内の完全な位置及び完全な方向情報を取得するのに十分である一方、従来のEMローカリゼーションは、完全な位置情報に加えて、完全な方向情報を取得するために医用装置内又は医用装置に取り付けられた少なくとも2つのマーカー装置、つまり少なくとも2つのコイルを必要とする。さらに、例えば
図6を参照して上述した追跡システムは、2つの独立した定位アプローチ、すなわち、例えば、コイル20を使用することによる定位と、コイル21を使用することによる定位とを組み合わせることができる。 B. Maxwell らによる上述の論文では、従来の無線EMマーカー装置は1mmよりも実質的に大きい、すなわち、例えば、それらは約8mmの直径を有するが、特に
図1及び2を参照して上述したマーカー装置は1乃至5のサブミリメートルサイズである。
【0066】
さらに、マーカー装置は永久磁石を優先的に使用するため、マーカー装置は従来のEMマーカー装置よりも感度が高く、したがって、遠距離、つまり30 cmを超える距離から読み取ることができる。無線EMマーカー装置を備える従来のEM追跡システムは、より小さな作業スペース、すなわち、例えば、上述のB. Maxwell らの論文に開示される無線EMマーカー装置を有する。約16 cmの距離からのみ読み取ることができる。
【0067】
マーカー装置は、それらを区別可能にするために異なる周波数で動作するように適合されることができる磁気マイクロマーカーであるとみなすことができる。追跡システムは、無線マーカー励起、信号受信、及び位置特定のためのコイルアレイ、すなわちコイル20を有する。たとえば、コイルアレイの要素、つまり
図6に示すコイル20の既知の空間コイル感度マップを使用することにより、6つのDoF位置特定が可能である。空間精度を高めるために、追跡システムと追跡方法は、例えば
図8を参照して上述した場傾斜発生器を使用することにより、低周波不均一場の重ね合わせによって生成される位置依存周波数変動に基づく上記の独立した空間符号化を使用する。
【0068】
マーカー装置は、形状が球形であってもよく、フィラメントに取り付けられ、
図1及び
図2を参照して上述したように、固定磁石の磁場によって決定される平衡方向の周りで回転振動を自由に実行できる永久磁石を有することができ、複数の磁石であってもよい。また、マーカー装置は、
図3乃至5を参照して上述したように、共振ねじり振動の復元力を提供するねじりばね機構に接続される永久磁石を備えることも可能である。さらに、
図4を参照して上述したように、円筒形容器内、すなわち円筒形ケーシング内の磁気モーメントを最大化するために、円筒形の磁石を使用することができる。外側シリンダー及び環境からの振動を外すため、マーカー装置は、
図5を参照して前述したように、たとえばフィラメントでハウジング、つまりケーシングに接続される2つの球体のばねベースの逆振動も使用できる。
図1から4に示すように、2つの球体のばねベースの逆振動を使用することにより、ケーシングにトルクがまったく又はほとんど加えられず、したがって周囲からの振動減結合がもたらされる。
図5に示される中央ねじりばね404は、そのような中央ねじりばねを使用しない場合と比較して、共振周波数を増加させる。しかしながら、より低い周波数で十分であればねじりばね404を取り外すことも可能である。
【0069】
図6を参照して上述したコイルアレイ20は、コイルアレイ20の個々のコイル要素の空間感度プロファイルを介して6自由度定位情報を提供する。
図8を参照して上述した追加のコイルシステム21は、必要に応じてローカライズの精度を向上させるために使用できる独立したローカリゼーション情報を提供する空間的に不均一なローカリゼーションフィールドを作成する。このアクティブな空間エンコーディングは、2セットのサドルコイルとスプリットソレノイドコイルによって実現できる。
【0070】
図10乃至12は、マーカー装置1の磁石3のような回転永久磁石を使用することにより可能になる6自由度局在化を示す。
図10は、場強度の等値面プロット60により示される回転対称の双極子場特性を示す。したがって、双極子場を測定することにより、マーカー装置の位置と方向x ''を決定できる(5 DoF:3次元位置と、ローカル座標系でx ''の方向を表す2つの角度(x '、y'、 z '))。
図10では、x ''に直交する矢印61は、y ''及びz ''軸の未知の方向を示している。これは、コイルの双極子場が定位に使用される典型的な状況である。マーカー装置1の懸架される永久磁石3も双極子場特性を有するが、磁石3が振動すると、双極子ベクトル運動によって広がる平面は、欠落した軸の割り当てを可能にする。方向z ''は、振動中に電界強度が変化しない方向であり、y ''の方向はx ''及びz 'から続く(
図11及び12を参照)。 6つのDoFを実装する便利な方法は、周波数空間で双極子場の測定を分離することである。基本周波数の動的双極子モーメントは、回転する永久磁石の双極子モーメントに直交し、振動軸に直交する方向を持つ。 2次高調波(基本周波数の2倍)の動的双極子モーメントは、回転磁石の双極子モーメントに平行で、振動軸に垂直な方向を持つ。 2つの識別可能な直交ダイポールにより、6つのDoFを再構築できる。
【0071】
図1乃至
図5を参照して上述したマーカー装置は、 永久磁石の磁気機械共振に基づいている。今日の永久磁石材料の残留磁化は非常に高く(NdFeB、MR≒1.45 T)、外部から印加される磁場への効率的な結合を可能にする。結果として、エネルギーは、例えば、
図3乃至5を参照して上述したように、ねじりばね機構に接続され、及び/又は高Q振動システムを形成するため、
図1、2及び5を参照して上述したように、第2の永久磁石の磁場にさらされる永久磁石の共振機械的回転振動に効率的に結合されることができる。環境からの分離が望まれる場合、例えば、
図5を参照して上で説明したように、逆振動球を使用することができる。振動周波数は、100 Hz又は数百Hzから1 kHz又は数kHzまでの範囲が優先される。マーカー装置の永久磁石の振動は、
図6を参照して上で説明したコイルアレイ20のようなコイルシステムの電磁誘導によって検出できる時間変化する磁場を作成する。
【0072】
マーカー装置の設計のために、
図1及び
図2を参照して上で例示的に説明した機構の異なる組み合わせが使用される。
図1乃至5は、別の永久磁石の磁場を使用するように、及び/又は、ここでは復元トルクである復元力を生成するためのねじりばねを使用するように使用することができる。マーカー装置の目的は、最小サイズで感度を最大化することである。この目的のために、大量の磁性材料と高い発振周波数が望まれる。純粋な磁気マーカーは最も簡単に構築できるが、たとえば
図4を参照して前述したように、円筒振動磁石とばね機構の組み合わせが最高の感度を提供する。
【0073】
マーカーカプセルの長さ、すなわちそれぞれのマーカー装置のケーシングの長さは、ミリメートルよりも小さくすることができ、それでも、例えば最大40cmの距離にわたってマーカーを検出するのに十分な信号を提供する。好ましい実施形態では、マーカー装置は、典型的には0.355mmの直径を有する従来のガイドワイヤに組み込むことができるため、マーカー装置のケーシングの直径は0.3mmよりも小さい。マーカー装置は、ステントなどの小さなインプラントに取り付けたり、組織に直接配置することもできる。異なる周波数で動作するいくつかのマーカー装置を並行して追跡して、被検体の身体内の物体又は組織の形状変形を判断できる。
【0074】
マーカー装置の振動を励起するため、少なくとも1つの励起コイルが励起場を生成するために必要である。マーカー装置の応答信号に基づく6 DoFのローカリゼーションでは、
図6を参照して前述したように、コイルのアレイが必要である。各コイルは、それぞれのマーカー装置内の振動磁石に対するコイルの空間的位置と方向に依存する誘導信号を送信する。コイルの既知の感度から、双極子の位置と方向を再構築できる。ここで、双極子が平面内で振動するという事実により、
図1及び2を参照して上記で説明した6 DoF情報を抽出できる。所望の用途に応じて、コイルは、たとえば
図6に示すように患者テーブルのマットレスに組み込むことができる。又は、フラットフォームファクターが必要ない場合は、コイルの非平面セットを組み込むことができる箱に入れることができる。
【0075】
それぞれのマーカー装置の位置及び向きは、
図6を参照して上述したコイルアレイ20のようなコイルアレイの既知の位置及び向きに関して絶対的に、又は1つ又はたとえば、マークされる医用装置とマークされる組織の間の相互の距離と方向のみが必要な場合、いくつかの基準マーカー装置に関して相対的に決定することができる。マーカー装置を放射線不透過性にして、位置情報をX線又はコンピュータ断層撮影データに直接接続することもできる。
【0076】
図8を参照して上記で説明したコイルのような追加のコイルのセット又は機械的に作動する永久磁石のセットのような他の手段により、動的磁場傾斜を適用して、空間的位置に基づいてマーカー装置の周波数応答を変更できる。この定位方法は、コイル感度ベースの定位方法とは無関係であり、定位の精度を向上させるために使用できる。この追加のコイルのセットは、異なる向きの局所場と場の傾斜の生成を可能にする少なくとも6つのコイルを有することができる。いくつかの異なるフィールド構成のアプリケーションから、マーカーの位置と向きの情報を取得できる。
【0077】
いくつかのマーカー装置を識別するには、十分なスペクトル分離を得るためにそれらの共振周波数を調整する必要がある。この調整は、例えば、マーカー装置がばねを有する場合、それに応じてばね定数を調整することにより、及び/又は振動する磁石の、それぞれのマーカー装置に存在する場合の第2磁石までの距離を変更することにより、実行することができる。異なるマーカー装置の共振周波数のスペクトル分離は、特に10 Hzのローカライズ更新レートが必要な場合、20 Hzよりも優先的に大きくなる。励起パルスは、例えば、すべての振動球の同相励起のタイミングがとられた短い「デルタ」パルスであり得る。しかしながら、励起パルスは、十分なスペクトル選択性でいくつかのマーカー装置を励起できる、かなり長い周波数選択性パルス形状を持つこともできる。
【0078】
マーカー装置は、マーカー装置の共振周波数を変更する物理パラメーターを調べるための検知装置としても使用できる。例えば、
図1に示されるマーカー装置1のようなマーカー装置の端面31は、外部圧力が
図1の2つの磁石3と4の間の距離を変えるように柔軟であり得る。この場合、位置決定ユニットは、マーカー装置の位置及びオプションで方向を決定するように適合されるだけでなく、それぞれのマーカー装置内で磁石が回転振動する周波数に基づいて、マーカー装置の決定される位置で圧力を決定するように適合され得る。たとえば、キャリブレーション手順では、いくつかの周波数をいくつかの圧力値に割り当てることができ、これらの割り当てを実際の圧力測定中に使用して、マーカー装置内の実際に測定される回転振動の周波数に基づいて、マーカー装置の決定される位置の圧力を決定できる。マーカー装置は、放射線のようなマーカー装置の共振周波数に影響を及ぼす別の物理的パラメーターを感知するように適合されることもできる。
【0079】
マーカー装置は、手術や放射線療法での3次元の放射線のない連続的な組織局在化に使用できる。
図13は、患者22の収縮した肺内の2つのマーカー装置1を概略的かつ例示的に示している。
【0080】
しかしながら、マーカー装置は、体内又は体外のテザー装置の位置を特定するためにも使用できる。カテーテル及び/又はガイドワイヤの形状を決定するなどのワイヤレス形状検出には、いくつかのマーカー装置を使用できる。
【0081】
ビデオ支援胸腔鏡手術(VATS)乳腺腫瘤摘出術などの最小侵襲肺手術では、1つ又は複数のマーカー装置を使用できる。最小侵襲性肺手術は、肺分節又は肺葉とともに肺肺腫瘍を除去する治療法である。コンピュータ断層撮影画像のような手術前の医療画像での肺腫瘍の局在化は簡単であるが、手術中は、関連する肺の部分の収縮のために介入ターゲットの位置特定がより困難になる。この局在化のために、上記の磁気マーカー装置の1つ又はいくつかを使用することができ、これにより、X線透視法を使用せずに腫瘍を局在化することが可能になる。 「マイクロボット」と見なされる可能性のあるこれらのマーカー装置は、針ベースの配置を使用するか、より有利にはカテーテルベースのアプローチで腫瘍に血液を供給する血管に注入することにより、腫瘍に挿入できる。したがって、1つ又はいくつかのマーカー装置に基づいて完全な腫瘍領域を識別することができ、マーカー装置は比較的保守的な手順で配置することができる。マーカー装置は、胸腔鏡下手術中に3次元でリアルタイムにローカライズできる。上記で説明したように、マーカー装置は、例えば0.5mmより小さい直径を有することができ、外部磁場によって励起される1つ又はいくつかの永久磁石に基づく磁気共振器を有する。振動は、例えば、励起場の生成に使用される同じコイルのセット、すなわち、例えば、
図6を参照して上述したコイル20において、誘導により検出される磁場を生成する。外科手術中にガイダンスを提供するために、胸腔鏡手術中に取得されるビデオ画像にマーカー装置を重ねることができる。
【0082】
マーカー装置は、優先的に少なくとも30度の回転振動を行うことができる少なくとも1つの永久磁石を有する。一実施形態では、例えば
図1を参照して上述したように、磁石は第2の磁石によって引き付けられる糸に取り付けられる。この用途では、マーカー装置は腫瘍領域に配置又は注入されるため、大きな質量にしっかりと取り付けられていないため、振動磁石はマーカー装置のケーシング、したがって組織にトルクをもたらす。したがって、半剛性組織では、振動子のエネルギーが急速に枯渇する可能性がある。このため、
図5を参照して上述した実施形態のような実施形態では、同じ周波数の回転振動を伴う少なくとも第2の質量が存在する。この第2の質量は、ケーシングのトルクを相殺する。優先的に、この第2の質量は、全体的な磁化変化を増加させる磁石でもある。
【0083】
振動を励起し、誘導信号を生成するために使用されるコイルは、
図6を参照して上述したようにマットに配置することができ、マットは約50 x 50 cm
2のサイズを有し得る。このマットには、たとえば、4 x 4のコイルアレイが含まれる。コイルは、アルミニウム又は別の金属から作られていてもよい。コイルを備えるそのようなマットは、肺領域内のすべてのマーカー装置を同時に配置できる。しかしながら、このようなマットは、少なくとも観血手術が行われる場合、手術室には適さない可能性がある。したがって、一実施形態では、より小さなハンドヘルドバージョンを使用することができる。ハンドヘルドバージョンには、振動の励起と誘導信号の生成に使用されるコイルが含まれる場合がある。コイルの制御と追跡は、マット内のコイルの使用に似ているが、ハンドヘルド装置ではコイルの数とコイルのサイズを小さくすることができる。このハンドヘルド装置には、ディスプレイユニットも含まれる場合がある。それは、それぞれのマーカー装置が見られる組織表面スポットをマークするマイクロプロジェクター又はレーザープロジェクターシステムを有することができる。色コード又は形状は深さを示すことができる。たとえば、大きな円はより深い場所を意味する。
【0084】
手術室での外科手術中、追跡システムの座標系は、胸腔鏡手術中に使用される撮像システム23のような撮像システムに空間的に関連している。これは、直接校正プロセスを介して行うことができる。たとえば、カメラシステムと見なされる可能性のあるイメージングシステムで表示されるサンプルマーカー装置のセットの位置とオプションの向きは、追跡システムを使用して追跡できる。追跡システムを使用してイメージングシステムを追跡するために、マーカー装置をイメージングシステム自体に取り付けることもできる。レジストレーションは、別の方法で、たとえばハイブリッド手術室システムのイメージング空間を介して、すなわち、たとえばCアームシステム23の画像空間に対する追跡手術器具及びマーカー装置コイルアレイの関係を使用することで行うこともできる。コンピュータ断層撮影計画又はCアームイメージングの同時レジストレーションでは、マーカー装置を放射線不透過性にすることができる。
【0085】
マーカー装置の位置は、胸腔鏡手術中に使用されるX線CTシステムのような撮像システムによって生成される画像上のオーバーレイとして外科医に提示することができる。
【0086】
マーカー装置を使用して生成される選択的誘導信号により、つまりマーカー装置は異なる共振周波数を持ち、特定のマーカー装置のみを励起することができるため、マーカー装置を被検体内において間違った位置に挿入/挿入した場合、誤った位置におけるこれらのマーカー装置は、正確な外科的ガイダンスを可能にするために、手術中に励起されない場合がある。例えば、手術前の較正ステップでは、異なるマーカー装置の異なる共振周波数はそれぞれ、X線画像内のそれぞれのマーカー装置のそれぞれの位置に関連付けることができる。X線画像は、どのマーカー装置が被検体内の正しい位置に配置され、どのマーカー装置が被検体内の間違った位置に配置されるかを決定するために使用できる。追跡制御ユニット31は、マーカー装置の励起を制御するように適合できるコイル20を使用することにより、正しい位置にあるマーカー装置のみが励起されるようになり、正しい位置にあるマーカー装置を励起するために使用される周波数は、手術前の較正から得ることができる。
【0087】
追跡システムは、腫瘍位置にあるマーカー装置に対して、マーカー装置が取り付けられた1つ又はいくつかの外科用装置の位置を優先的に決定するように適合されることができる。したがって、1つ又はいくつかの外科用装置の位置、優先的には方向、及び腫瘍領域の位置におけるマーカー装置の位置及び任意選択で方向も、同じ基準フレームで提供することができる。マーカー装置は、位置/タイプの識別を簡素化し、術前検査での位置特定システムの必要性を回避するために、周波数に相関する形状又は減衰パターンを有する放射線不透過性マーキングを有することができる。換言すれば、マーカー装置を示すX線画像において、異なる共振周波数を有するマーカー装置も異なる外観を有し、外観と共振周波数との間の関係は既知である。したがって、外科医が正しい位置に置かれたマーカー装置を特定した後、X線画像におけるそれらの出現のために、これらのマーカー装置を正確に出すための周波数がすぐにわかり、それに応じてマーカー装置を励起することができる。
【0088】
上記の実施形態では、肺腫瘍をマークするためにマーカー装置が使用されるが、もちろん、他の種類の腫瘍のような他の物体、上記で説明した医用装置、又は追跡されるべき他のあらゆる物体をマーキングするために、標識装置を使用することもできる。
【0089】
上記のマーカー装置の特定の実施形態について説明したが、ケーシング、磁性体、及び復元トルクを提供して磁性体を平衡方向に戻す復元トルクを提供するように適合される復元トルクユニットを有する他のマーカー装置も使用できる。外部磁気トルクは、外部磁気トルクによって励起される磁性体の回転振動を可能にするために、平衡方向から磁性体を回転させた。例えば、
図5を参照して上述したマーカー装置は、ばね404なしで使用することもでき、この場合、復元トルクは
他の磁性体405によって生成される。
【0090】
上記の実施形態では、撮像システムは優先的にX線Cアームシステムであるが、光学カメラシステムを備えるCアームシステム、超音波撮像システム、例えば経食道心エコー検査( TEE)超音波撮像システム又は血管内超音波撮像システムなど。
【0091】
マーカー装置は、共振周波数の可能な温度依存性を低減するための手段も有することができる。例えば、マーカー装置は、磁性体の位置で磁場を変化させ、それにより温度とともに共振周波数を変化させるために、温度とともに磁化が変化する磁性材料を有することができる。この磁性材料は、磁性材料によって引き起こされる温度による共振周波数の変化が、マーカー装置の1つ又はいくつかの他の要素によって引き起こされる温度変化による共振周波数の一般に起こりうる変化を補償するように構成できる。磁性材料は、他の磁性体上又はそれに隣接して配置されてもよい。代替的又は追加的に、温度によってその磁気双極子モーメントを変化させ、磁気双極子モーメントのこの変化が、マーカー装置の1つ又は複数の他の要素によってもたらされる温度変化による共振周波数の一般的に起こり得る変化を補償するようにするため、磁性材料は磁性体に適用されることができる。
【0092】
測定装置の磁性体をその平衡方向から回転させ、それにより共振周波数で振動するように磁性体の回転振動を励起するための磁気トルクを提供する磁場の生成は多くの異なる方法で実装できる。例えば、励起は磁場の個々の単一パルスを使用することができ、パルス間で誘導信号の周波数と位相を測定できる。これから、次の短いパルスのタイミングを計算して、磁性体の振動振幅を増加させることができる。別の方法として、単一のパルスを、正と負の振幅を持つ少数のパルスのパルス列に置き換えることができる。この短いパルス列は、比較的広い潜在的な励起スペクトルをカバーし、その中心は、予想される共振周波数にほぼ一致するように設計されている。パルス列のタイミングは再び調整され、磁性体の振動振幅が増加する。結果として生じる最適化される誘導信号の周波数は、共振周波数と見なすことができる。
【0093】
開示される実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。
【0094】
請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0095】
単一のユニット又は装置は、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0096】
生成される誘導信号に基づいてマーカー装置の位置を決定し、優先的に方向を決定する手順、コイル内の電流を制御することによるマーカー装置の励起の制御など、1つ又はいくつかのユニット又は装置は、他の任意の数のユニット又は装置で実行できる。これらの手順及び/又は追跡方法による追跡システムの制御及び/又は誘導方法による誘導システムの制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実装することができる。
【0097】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として提供される、光学記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布できるが、インターネット又は他の有線又は無線の通信システムなどの他の形式で配布することもできる。
【0098】
請求項中の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0099】
本発明は、マーカー装置及びマーカー装置を追跡するための追跡システムに関し、マーカー装置は、回転振動可能な磁性体を備え、回転振動は、外部磁場、すなわち、マーカー装置の外部に配置される磁場提供ユニットによって生成される磁場によって励起可能である。磁性体の回転振動は、コイルに電流を誘導し、これらの誘導電流に基づいて、マーカー装置の位置とオプションで方向も決定される。このワイヤレスの種類の追跡は、たとえばガイドワイヤに配置できる比較的小さなマーカー装置で実行できる。マーカー装置は、比較的長い距離にわたって読み取ることができ、 6自由度の局所化のために単一のマーカー装置を使用することができる。