(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】制御電源、蓄電装置および電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20231222BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20231222BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20231222BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231222BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231222BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/35 K
H02J7/34 G
H02J3/38 150
H02J3/32
H02M3/28 U
(21)【出願番号】P 2020008300
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直久
(72)【発明者】
【氏名】小田 義雄
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-096613(JP,A)
【文献】特開2012-137910(JP,A)
【文献】特開2016-063618(JP,A)
【文献】特開2018-207594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
7/34-11/00
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1交流電圧および第2交流電圧が入力される蓄電装置と、
太陽電池を備える太陽光発電装置と、
を含む電源システムであって、
前記蓄電装置は、
前記第1交流電圧が入力される系統入力端と、
前記第2交流電圧が入力されるPV自立入力端と、
蓄電池と、
前記蓄電池の充放電を行う双方向電力変換部と、
一方側が前記双方向電力変換部に接続され、他方側が前記系統入力端および前記PV自立入力端に接続されるリレー回路と、
前記双方向電力変換部および前記リレー回路を制御する制御部と、
前記蓄電池、前記系統入力端および前記PV自立入力端に接続され、前記制御部に電源電圧を供給する制御電源と、
を備え、
前記制御電源は、
前記第1交流電圧が入力される第1入力端と、
前記第2交流電圧が入力される第2入力端と、
前記蓄電池の放電電圧が入力される第3入力端を含む入力回路と、
前記第1入力端に接続された第1直流化手段と前記第2入力端に接続された第2直流化手段とをOR接続したOR回路と、前記入力回路の出力側と前記OR回路の出力側との間に設けられた第3直流化手段とを含む直流化回路と、
前記直流化回路で直流化された電圧に基づいて
前記電源電圧を生成する出力回路と、
前記第1入力端と前記第1直流化手段とを接続する第1電源ラインに介装された第1フィルタ回路と、
前記第2入力端と前記第2直流化手段とを接続する第2電源ラインに介装された第2フィルタ回路と、
前記第1入力端と前記第1フィルタ回路との間および前記第2入力端と前記第2フィルタ回路との間に設けられ、前記第1交流電圧および前記第2交流電圧の同時入力を防止する同時入力防止回路と、
を備え
、
前記太陽光発電装置は、
商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続されるU相端子、O相端子、W相端子を備え、前記商用電力系統から前記U相端子-前記W相端子間に前記第1交流電圧が入力される入力端と、
前記太陽電池の発電電圧に基づいて生成された交流電圧を出力し、前記蓄電装置に供給する自立出力端と、
前記O相端子および前記W相端子と前記自立出力端とを接続する電力ラインに介装され、前記商用電力系統の系統通電時にオン状態となるリレーと、
を備え、
前記O相端子-前記W相端子間に入力された系統電圧を、前記リレーを介して前記自立出力端から出力し、前記蓄電装置に供給することを特徴とする
電源システム。
【請求項2】
前記同時入力防止回路は、
前記第1入力端と前記第1フィルタ回路との間に設けられ、前記第1交流電圧を検出する検出部と、
前記第2電源ラインに介装され、前記検出部が前記第1交流電圧を検出している間、前記第2入力端と前記第2フィルタ回路とを電気的に切り離す開閉手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の
電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御電源、制御電源を備える蓄電装置、蓄電装置および太陽光発電装置を含む電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図4に、従来の電源システムを示す。従来の電源システムは、蓄電装置300および太陽光発電装置400を含む。
【0003】
蓄電装置300は、蓄電池301と、双方向DC/DCコンバータ回路302と、双方向インバータ回路303と、リレーS1~S10を含むリレー回路304と、リレーS11と、制御部305と、制御電源30と、電圧検出部306とを備える。
【0004】
制御電源30は、AC200[V]の電圧が入力される第1入力端T1,T1’と、AC100[V]の電圧が入力される第2入力端T2,T2’と、蓄電池301の放電電圧が入力される第3入力端T3,T3’とを備える。
【0005】
蓄電装置300は、商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続される系統入力端(第4入力端T4、第5入力端T5および第6入力端T6)と、自立出力ラインに接続される自立出力端(第7入力端T7および第8入力端T8)と、太陽光発電装置400に接続されるPV自立入力端(第9入力端T9および第10入力端T10)とを備える。自立出力ラインには、系統停電時に優先的に動作させたい家庭内負荷(例えば、冷蔵庫などの家電製品)が接続される。
【0006】
蓄電装置300は、低価格の深夜電力を利用して蓄電池301を充電し、昼間に蓄電池301を放電させて蓄電池301の放電電力を使用することで、電力会社から購入する高価格の昼間電力を削減することができる。
【0007】
商用電力系統が通電状態にある系統通電時は、制御部305の制御下で、リレーS1,S2,S5~S8,S11がオン状態になり、リレーS3,S4,S9,S10がオフ状態になる。
【0008】
充電動作時において、第4入力端T4、第6入力端T6に入力された商用電力系統の交流電圧(AC200[V]の電圧)は、リレー回路304を介して双方向インバータ回路303に入力され、双方向インバータ回路303で昇圧された直流電圧に変換される。双方向DC/DCコンバータ回路302は、上記直流電圧を蓄電池301が必要とする直流電圧に降圧して、蓄電池301を充電する。
【0009】
放電動作時において、双方向DC/DCコンバータ回路302は、蓄電池301を放電させるとともに蓄電池301の放電電圧を昇圧する。双方向インバータ回路303は、上記放電電圧を交流電圧に変換し、リレー回路304を介して商用電力系統と自立出力端T7,T8に出力する。
【0010】
一方、商用電力系統が停電状態にある系統停電時は、リレーS1,S2,S5,S6,S9,S10がオフ状態になり、リレーS3,S4,S7,S8,S11がオン状態になる。蓄電装置300は、上記の放電動作時と同様に、蓄電池301の放電電圧に基づいて生成した電圧(AC100[V]の電圧)を自立出力端T7,T8に出力する。
【0011】
停電が長時間継続して蓄電池301の電力が尽きた場合、太陽光発電装置400から出力された電圧(AC100[V]の電圧)がPV自立入力端T9,T10に入力されると、蓄電装置300は、リレーS1~S6をオフ状態、リレーS7~S10,S11をオン状態にして上記電圧を自立出力端T7,T8から出力することができる。また、蓄電装置300は、リレーS1,S2,S5~S8をオフ状態、リレーS3,S4,S9,S10,S11をオン状態にすることで、蓄電池301の充電を行うこともできる。
【0012】
太陽光発電装置400は、太陽電池401と、昇圧DC/DCコンバータ回路402と、単方向インバータ回路403と、リレーS21~S24を含む切替回路404と、制御部405と、電圧検出部406とを備える。
【0013】
また、太陽光発電装置400は、商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続されるU相端子T21、O相端子T22、W相端子T23を備える系統入力端T21~T23と、蓄電装置300のPV自立入力端T9,T10に接続される自立出力端T24,T25とを備える。
【0014】
系統通電時で太陽電池401が発電している場合、制御部405の制御下で、リレーS21,S22がオン状態、リレーS23,S24がオフ状態になる。この場合、昇圧DC/DCコンバータ回路402は、太陽電池401の発電電圧を昇圧し、単方向インバータ回路403は、昇圧された発電電圧を交流電圧(AC200[V]の電圧)に変換し、リレーS21,S22を介して商用電力系統に出力する。
【0015】
系統停電時で太陽電池401が発電している場合、リレーS21,S22は制御部405の制御下で自動的にオフ状態になるが、リレーS23,S24は手動でオン状態にする必要がある(例えば、手動で、制御部405の設定を系統出力から自立出力に切り替える等)。リレーS23,S24がオン状態になると、自立出力端T24,T25からAC100[V]の電圧が出力され、蓄電装置300のPV自立入力端T9,T10に入力される。
【0016】
蓄電装置300の制御電源30は、第4入力端T4および第6入力端T6と、PV自立入力端T9,T10に接続されているが、PV自立入力端T9,T10にAC100[V]の電圧が入力されている間は、第4入力端T4および第6入力端T6にAC200[V]の電圧が入力されることはない。このため、制御電源30では、AC200[V]の電圧とAC100[V]の電圧との同時入力は全く想定されておらず、同時入力を防ぐ手段は設けられていない(制御電源30の回路構成については、例えば、特許文献1参照)。
【0017】
しかしながら、太陽光発電装置400は、系統通電時において商用電力系統のAC100[V]の電圧が出力されるように改良される可能性がある。その場合、制御電源30は、AC200[V]の電圧とAC100[V]の電圧との同時入力されることになるので、同時入力を防ぐ手段が要求される。
【0018】
また別の問題として、制御電源30で発生したノイズが、第4入力端T4および第6入力端T6を介して商用電力系統側に放出されたり、PV自立入力端T9,T10を介して太陽光発電装置400側に放出されたりするおそれがある。このため、制御電源30は、ノイズの放出を抑制する手段が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、商用電力系統のAC200[V]の電圧およびAC100[V]の電圧の同時入力を防止可能であり、かつノイズの放出を抑制可能な制御電源、蓄電装置および電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御電源は、
第1交流電圧が入力される第1入力端と、
第2交流電圧が入力される第2入力端と、
蓄電池の放電電圧が入力される第3入力端を含む入力回路と、
前記第1入力端に接続された第1直流化手段と前記第2入力端に接続された第2直流化手段とをOR接続したOR回路と、前記入力回路の出力側と前記OR回路の出力側との間に設けられた第3直流化手段とを含む直流化回路と、
前記直流化回路で直流化された電圧に基づいて電源電圧を生成する出力回路と、
前記第1入力端と前記第1直流化手段とを接続する第1電源ラインに介装された第1フィルタ回路と、
前記第2入力端と前記第2直流化手段とを接続する第2電源ラインに介装された第2フィルタ回路と、
前記第1入力端と前記第1フィルタ回路との間および前記第2入力端と前記第2フィルタ回路との間に設けられ、前記第1交流電圧および前記第2交流電圧の同時入力を防止する同時入力防止回路と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、第1フィルタ回路と、第2フィルタ回路とを備えることにより、ノイズの放出を抑制することができる。
【0023】
また、この構成によれば、第1交流電圧(商用電力系統のAC200[V]の電圧)が入力される第1入力端と第1フィルタ回路との間、および第2交流電圧(商用電力系統のAC100[V]の電圧)が入力される第2入力端と第2フィルタ回路との間に同時入力防止回路が設けられているので、系統電圧の同時入力を防止することができる。
【0024】
上記制御電源において、
前記同時入力防止回路は、
前記第1入力端と前記第1フィルタ回路との間に設けられ、前記第1交流電圧を検出する検出部と、
前記第2電源ラインに介装され、前記検出部が前記第1交流電圧を検出している間、前記第2入力端と前記第2フィルタ回路とを電気的に切り離す開閉手段と、
を備えるよう構成できる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明に係る蓄電装置は、
第1交流電圧が入力される系統入力端と、
第2交流電圧が入力されるPV自立入力端と、
蓄電池と、
前記蓄電池の充放電を行う双方向電力変換部と、
一方側が前記双方向電力変換部に接続され、他方側が前記系統入力端および前記PV自立入力端に接続されるリレー回路と、
前記双方向電力変換部および前記リレー回路を制御する制御部と、
前記蓄電池、前記系統入力端および前記PV自立入力端に接続され、前記制御部に電源電圧を供給する上記の制御電源と、
を備えることを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明に係る電源システムは、
第1交流電圧および第2交流電圧が入力される上記の蓄電装置と、
太陽電池を備える太陽光発電装置と、
を含む電源システムであって、
前記太陽光発電装置は、
商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続されるU相端子、O相端子、W相端子を備え、前記商用電力系統から前記U相端子-前記W相端子間に前記第1交流電圧が入力される入力端と、
前記太陽電池の発電電圧に基づいて生成された交流電圧を出力し、前記蓄電装置に供給する自立出力端と、
前記O相端子および前記W相端子と前記自立出力端とを接続する電力ラインに介装され、前記商用電力系統の系統通電時にオン状態となるリレーと、
を備え、
前記O相端子-前記W相端子間に入力された系統電圧を、前記リレーを介して前記自立出力端から出力し、前記蓄電装置に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、商用電力系統のAC200[V]の電圧およびAC100[V]の電圧の同時入力を防止可能であり、かつノイズの放出を抑制可能な制御電源、蓄電装置および電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電源システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る制御電源の回路図である。
【
図3】本発明の変形例に係る制御電源の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る制御電源、蓄電装置および電源システムの実施形態について説明する。
【0030】
図1に、本発明の一実施形態に係る電源システムを示す。本実施形態に係る電源システムは、蓄電装置100および太陽光発電装置200を含む。
【0031】
蓄電装置100は、蓄電池101と、双方向電力変換部(双方向DC/DCコンバータ回路102および双方向インバータ回路103)と、リレーS1~S10を含むリレー回路104と、リレーS11と、制御部105と、制御電源10Aと、電圧検出部106とを備える。
【0032】
制御電源10Aは、本発明の「第1交流電圧」に相当するAC200[V]の電圧が入力される第1入力端T1,T1’と、本発明の「第2交流電圧」に相当するAC100[V]の電圧が入力される第2入力端T2,T2’と、蓄電池101の放電電圧が入力される第3入力端T3,T3’とを備える。
【0033】
蓄電装置100は、商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続される系統入力端(第4入力端T4、第5入力端T5および第6入力端T6)と、自立出力ラインに接続される自立出力端(第7入力端T7および第8入力端T8)と、太陽光発電装置200に接続されるPV自立入力端(第9入力端T9および第10入力端T10)とを備える。自立出力ラインには、系統停電時に優先的に動作させたい家庭内負荷(例えば、冷蔵庫などの家電製品)が接続される。
【0034】
蓄電池101は、少なくとも1つの電池ユニットを備える。蓄電池101は、電池ユニットに取り付けられたバッテリーマネージメントシステム(BMS)を備えてもよい。バッテリーマネージメントシステムは、電池ユニットの電池情報(例えば、電池電圧)を取得し、制御部105に送信する。
【0035】
双方向DC/DCコンバータ回路102は、一方側にリレーS11を介して蓄電池101が接続され、他方側に双方向インバータ回路103が接続される。双方向DC/DCコンバータ回路102は、蓄電池101の充電動作および放電動作を行うよう構成される。具体的には、双方向DC/DCコンバータ回路102は、制御部105の制御下で、双方向インバータ回路103から供給された直流電圧を昇圧または降圧して蓄電池101に出力したり、蓄電池101の直流の放電電圧を昇圧または降圧して双方向インバータ回路103に出力したりする。
【0036】
双方向インバータ回路103は、制御部105の制御下で、交流入力電圧を直流出力電圧に変換するAC/DC変換動作と、直流入力電圧を交流出力電圧に変換するDC/AC変換動作とを行う。
【0037】
リレー回路104は、制御部105の制御下でオン/オフするリレーS1~S10を含む。リレーS1,S2は、双方向インバータ回路103と第4入力端T4、第6入力端T6とを接続する電力ラインに介装されている。リレーS3,S4,S7,S8は、双方向インバータ回路103と自立出力端T7,T8とを接続する電力ラインに介装されている。リレーS5,S6,S9,S10は、第5入力端T5、第6入力端T6とPV自立入力端T9,T10とを接続する電力ラインに介装されている。
【0038】
商用電力系統が通電状態にある系統通電時は、制御部105の制御下で、リレーS1,S2,S5~S8,S11がオン状態になり、リレーS3,S4,S9,S10がオフ状態になる。一方、商用電力系統が停電状態にある系統停電時は、リレーS1,S2,S5,S6,S9,S10がオフ状態になり、リレーS3,S4,S7,S8,S11がオン状態になる。なお、太陽光発電装置200が発電状態で停電を検出した場合には、リレーS21,S22,S25,S26をオン状態、リレーS23,S24をオフ状態とし、自立出力端T24,T25にAC100[V]の電圧を出力し、蓄電装置100のPV自立入力端T9,T10にAC100[V]の電圧が検出されると、リレーS9,S10がオン状態となり、太陽光発電装置200の発電電力が蓄電装置100の自立出力端T7,T8に供給される。
【0039】
停電が長時間継続して蓄電池101の電力が尽きた場合、太陽光発電装置200から出力された電圧(AC100[V]の電圧)がPV自立入力端T9,T10に入力されると、蓄電装置100は、リレーS1~S6をオフ状態、リレーS7~S10,S11をオン状態にして上記電圧を自立出力端T7,T8から出力することができる。なお、蓄電装置100の設定如何によっては蓄電池101からの放電電力に優先して太陽光発電装置200からの発電電力を自立出力端T7,T8に出力させることもできる。また、蓄電装置100は、リレーS1,S2,S5~S8をオフ状態、リレーS3,S4,S9,S10,S11をオン状態にすることで、蓄電池101の充電を行うこともできる。
【0040】
制御部105は、双方向DC/DCコンバータ回路102および双方向インバータ回路103を制御する制御回路と、リレーS1~S11のオンとオフとを切り替える駆動回路とを備える。制御回路は、例えば、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の制御ICによって構成される。
【0041】
電圧検出部106は、系統入力端T4~T6に入力される電圧を検出するよう構成される。電圧検出部106は、例えば、検出した電圧値を制御部105に送信する。本実施形態では、電圧検出部106として電圧センサを用いるが、電流センサを用いて電流値を検出し、当該電流値から電圧値を算出してもよい。
【0042】
制御電源10Aは、第1入力端T1,T1’に入力されるAC200[V]の電圧、第2入力端T2,T2’に入力されるAC100[V]の電圧、または第3入力端T3,T3’に入力される蓄電池101の放電電圧に基づいて、制御部105に供給する電源電圧を生成する。
【0043】
図2に、制御電源10Aの回路図を示す。制御電源10Aは、入力回路1と、整流平滑回路2と、出力回路3と、第1フィルタ回路4と、第2フィルタ回路5と、同時入力防止回路(本実施形態では、リレーコイル6およびリレー接点7a,7b)とを備える。なお、整流平滑回路2は本発明の「直流化回路」に相当し、リレーコイル6は本発明の「検出部」に相当し、リレー接点7a,7bは本発明の「開閉手段」に相当する。
【0044】
入力回路1は、第1スイッチング素子Q1と、第1トランスTR1と、第3入力端T3,T3’とを含む。第3入力端T3,T3’には、蓄電池101の直流の放電電圧が入力される。
【0045】
整流平滑回路2は、第1入力端T1,T1’に接続されたブリッジダイオードD1(第1整流手段)と第2入力端T2,T2’に接続されたブリッジダイオードD2(第2整流手段)とをOR接続したOR回路と、入力回路1の出力側とOR回路の出力側との間に設けられたダイオードD3(第3整流手段)と、OR回路とダイオードD3との間に設けられた平滑コンデンサC1(平滑手段)とを含む。ブリッジダイオードD1と平滑コンデンサC1とが本発明の「第1直流化手段」に相当し、ブリッジダイオードD2と平滑コンデンサC1とが本発明の「第2直流化手段」に相当し、ダイオードD3と平滑コンデンサC1とが本発明の「第3直流化手段」に相当する。ダイオードD3は、カソード側がOR回路の出力側に接続される。
【0046】
出力回路3は、第2トランスTR2と、第2トランスTR2の1次巻線側に設けられた第2スイッチング素子Q2と、第2トランスTR2の補助巻線側に設けられたダイオードD4、コンデンサC2および1次側出力端Ta,Ta’と、第2トランスTR2の2次巻線側に設けられたダイオードD5、コンデンサC3および2次側出力端Tb,Tb’とを含む。
【0047】
第1フィルタ回路4は、第1入力端T1,T1’とブリッジダイオードD1とを接続する第1電源ラインPL1,PL1’に介装された第1コモンモードチョークコイルL1と、複数のコンデンサとを含む。複数のコンデンサは、第1コモンモードチョークコイルL1の第1入力端T1,T1’側に設けられたXコンデンサと、第1コモンモードチョークコイルL1のブリッジダイオードD1側に設けられたXコンデンサおよびYコンデンサとを含む。第1フィルタ回路4は、制御電源10Aで発生したノイズが第1入力端T1,T1’から放出されるのを抑制する。
【0048】
第2フィルタ回路5は、第2入力端T2,T2’とブリッジダイオードD2とを接続する第2電源ラインPL2,PL2’に介装された第2コモンモードチョークコイルL2と、複数のコンデンサとを含む。複数のコンデンサは、第2コモンモードチョークコイルL2の第2入力端T2,T2’側に設けられたXコンデンサと、第2コモンモードチョークコイルL2のブリッジダイオードD2側に設けられたXコンデンサおよびYコンデンサとを含む。第2フィルタ回路5は、制御電源10Aで発生したノイズが第2入力端T2,T2’から放出されるのを抑制する。
【0049】
リレーコイル6は、第1入力端T1,T1’と第1フィルタ回路4との間に設けられている。リレーコイル6は、例えば、AC200V駆動用コイルであって、AC200[V]の電圧が印加されていないときはリレー接点7a,7bを閉状態(オン状態)にする一方、AC200[V]の電圧が印加されているときはリレー接点7a,7bを開状態(オフ状態)にする。
【0050】
リレー接点7a,7bは、第2入力端T2,T2’と第2フィルタ回路5とに間において第2電源ラインPL2,PL2’に介装されている。リレー接点7a,7bは、開状態のときに、第2入力端T2,T2’と第2フィルタ回路5とを電気的に切り離す。すなわち、第1入力端T1,T1’から第1フィルタ回路4にAC200[V]の電圧が入力されている間は、リレーコイル6によりリレー接点7a,7bが開状態になるので、第2入力端T2,T2’から第2フィルタ回路5にAC100[V]の電圧が入力されることはない。
【0051】
本実施形態では、いつ発生するか分からない停電に備えて系統通電時も入力回路1を動作させている。入力回路1とダイオードD3および平滑コンデンサC1とにより得られる電圧は、AC200[V]の電圧をブリッジダイオードD1および平滑コンデンサC1で整流平滑して得られる電圧よりも低く設定されている一方、AC100[V]の電圧をブリッジダイオードD2および平滑コンデンサC1で整流平滑して得られる電圧よりも高く設定されている。系統通電時において、入力回路1は無負荷で動作している。
【0052】
停電が発生した場合、制御電源10Aは、第3入力端T3,T3’に入力される蓄電池101の放電電圧に基づいて、1次側出力端Ta,Ta’および2次側出力端Tb,Tb’から出力する電源電圧を生成する。停電が長時間継続して蓄電池101の電力が尽きた場合、制御部105はリレーS11をオフ状態にして制御電源10Aの動作を停止させるが、太陽光発電装置200から出力された電圧(AC100[V]の電圧)がPV自立入力端T9,T10を介して第2入力端T2,T2’に入力されると、制御電源10Aが起動して電源電圧を生成する。
【0053】
図1を参照して、太陽光発電装置200は、太陽電池201と、昇圧DC/DCコンバータ回路202と、単方向インバータ回路203と、リレーS21~S26を含む切替回路204と、制御部205と、電圧検出部206とを備える。太陽光発電装置200は、リレーS25,S26を備える点において、
図4に示す従来の太陽光発電装置400と相違する。
【0054】
太陽光発電装置200は、商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続されるU相端子T21、O相端子T22、W相端子T23を備える系統入力端T21~T23と、蓄電装置100のPV自立入力端T9,T10に接続される自立出力端T24,T25とを備える。
【0055】
昇圧DC/DCコンバータ回路202は、一方側に太陽電池201が接続され、他方側に単方向インバータ回路203が接続される。昇圧DC/DCコンバータ回路202は、制御部205の制御下でMPPT(最大電力点追従)動作を行うよう構成され、太陽電池201の発電電圧を昇圧して単方向インバータ回路203に出力する。
【0056】
単方向インバータ回路203は、制御部205の制御下で、直流入力電圧(昇圧後の発電電圧)を交流出力電圧(AC200[V]の電圧)に変換するDC/AC変換動作を行う。
【0057】
切替回路204は、制御部205の制御下でオン/オフするリレーS21~S26を含む。リレーS21,S22は、単方向インバータ回路203とU相端子T21、W相端子T23とを接続する電力ラインに介装されている。リレーS23,S24は、単方向インバータ回路203と自立出力端T24,T25とを接続する電力ラインに介装されている。リレーS25,S26は、O相端子T22、W相端子T23と自立出力端T24,T25とを接続する電力ラインに介装されている。
【0058】
系統通電時で太陽電池201が発電している場合、制御部205の制御下で、リレーS21,S22,S25,S26がオン状態、リレーS23,S24がオフ状態になる。一方、系統停電時で太陽電池201が発電している場合、リレーS21,S22,S25,S26が制御部205の制御下で自動的にオフ状態になり、リレーS23,S24が制御部205の制御下で自動的にオン状態になる。
【0059】
制御部205は、昇圧DC/DCコンバータ回路202および単方向インバータ回路203を制御する制御回路と、リレーS21~S26のオンとオフとを切り替える駆動回路とを備える。制御回路は、例えば、マイコンまたはFPGA等の制御ICによって構成される。
【0060】
電圧検出部206は、系統入力端T21~T23に入力される電圧を検出するよう構成される。電圧検出部206は、例えば、検出した電圧値を制御部205に送信する。本実施形態では、電圧検出部206として電圧センサを用いるが、電流センサを用いて電流値を検出し、当該電流値から電圧値を算出してもよい。
【0061】
系統通電時で太陽電池201が発電している場合、太陽光発電装置200は、昇圧DC/DCコンバータ回路202で太陽電池201の発電電圧を昇圧し、単方向インバータ回路203で昇圧後の発電電圧を交流電圧(AC200[V]の電圧)に変換し、リレーS21,S22を介してU相端子T21、W相端子T23から出力する。
【0062】
系統通電時で太陽電池201が発電していない場合、太陽光発電装置200は、商用電力系統からO相端子T22-W相端子T23間に入力される系統電圧(AC100[V]の電圧)を、リレーS25,S26を介して自立出力端T24,T25から出力する。これにより、蓄電装置100側では、何らかの要因で(例えば、系統入力端T4~T6と第1入力端T1,T1’とを接続する電力ラインが断線して)第1入力端T1,T1’にAC200[V]の系統電圧が入力されない場合であっても、第2入力端T2,T2’にAC100[V]の系統電圧を入力することができる。
【0063】
系統停電時で太陽電池201が発電している場合、太陽光発電装置200は、自動的にオン状態になるリレーS23,S24を介して自立出力端T24,T25からAC100[V]の電圧を出力する。
【0064】
太陽光発電装置200は、上記のとおり、系統通電時も自立出力端T24,T25からAC100[V]の電圧を出力し、系統停電時も自立出力端T24,T25からAC100[V]の電圧を出力する。
【0065】
このため、蓄電装置100の制御電源10Aは、同時入力防止回路(リレーコイル6およびリレー接点7a,7b)を備えていなければ、AC100[V]の電圧とAC200[V]の電圧が同時入力されることになる。同時入力された場合、第1入力端T1に入力された電流が第1入力端T1’に向かう電流と第2入力端T2’に向かう電流とに分流し、第1コモンモードチョークコイルL1および第2コモンモードチョークコイルL2に流れる電流が不平衡になる。その結果、第1コモンモードチョークコイルL1および第2コモンモードチョークコイルL2において、磁気飽和による異常発熱が発生し、フィルタ機能が喪失するという問題が発生する。
【0066】
この点、制御電源10Aは、同時入力防止回路(リレーコイル6およびリレー接点7a,7b)を備えているので、AC100[V]の電圧とAC200[V]の電圧が同時入力されることはなく、上記問題を回避できる。
【0067】
以上、本発明に係る制御電源、蓄電装置および電源システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0068】
[変形例]
図3に、変形例に係る制御電源10Bの回路図を示す。制御電源10Bは、同時入力防止回路として、リレー接点7a,7bと、電圧検出部8と、リレー駆動回路9とを備えること以外、上記実施形態に係る制御電源10Aと共通している。本変形例では、電圧検出部8が本発明の「検出部」に相当し、リレー接点7a,7bが本発明の「開閉手段」に相当する。
【0069】
リレー接点7a,7bは、第2入力端T2,T2’と第2フィルタ回路5とに間において第2電源ラインPL2,PL2’に介装されている。リレー接点7a,7bは、開状態のときに、第2入力端T2,T2’と第2フィルタ回路5とを電気的に切り離す。
【0070】
電圧検出部8は、第1入力端T1,T1’と第1フィルタ回路4との間に設けられている。電圧検出部8は、第1入力端T1,T1’に入力される電圧を検出し、リレー駆動回路9に検出信号を送信するよう構成される。電圧検出部8は、例えば、フォトカプラの発光ダイオードを含む回路で構成される。
【0071】
リレー駆動回路9は、第2入力端T2,T2’とリレー接点7a,7bとの間に設けられている。リレー駆動回路9は、電圧検出部8の検出信号の有無に応じて、リレー接点7a,7bの閉状態(オン状態)と開状態(オフ状態)とを切り替えるよう構成される。リレー駆動回路9は、例えば、フォトカプラのフォトトランジスタを含む回路と、リレー接点7a,7bの状態を切り替えるためのリレーコイルとを含む。整流平滑回路をさらに含む場合、リレーコイルとして直流駆動用コイルを用いることができる。
【0072】
制御電源10Bでは、電圧検出部8が第1入力端T1,T1’に入力される電圧(AC200[V]の電圧)を検出している間、リレー駆動回路9がリレー接点7a,7bを開状態(オフ状態)にするので、AC100[V]の電圧とAC200[V]の電圧との同時入力を防止することができる。
【0073】
[その他の変形例]
本発明に係る制御電源は、第1交流電圧が入力される第1入力端、第2交流電圧が入力される第2入力端、蓄電池の放電電圧が入力される第3入力端を含む入力回路、第1整流手段および第2整流手段をOR接続したOR回路と入力回路-OR回路間に設けられた第3整流手段と平滑手段とを含む整流平滑回路、整流平滑回路で整流平滑された電圧に基づいて電源電圧を生成する出力回路、第1電源ラインに介装された第1フィルタ回路、第2電源ラインに介装された第2フィルタ回路、第1交流電圧および第2交流電圧の同時入力を防止する同時入力防止回路を備えるのであれば適宜構成を変更できる。
【0074】
本発明に係る蓄電装置は、第1交流電圧が入力される系統入力端と、第2交流電圧が入力されるPV自立入力端と、蓄電池と、蓄電池の充放電を行う双方向電力変換部と、リレー回路と、双方向電力変換部およびリレー回路を制御する制御部と、制御部に電源電圧を供給する上記本発明に係る制御電源と、を備えるのであれば適宜構成を変更できる。
【0075】
本発明に係る電源システムは、上記本発明に係る蓄電装置と太陽光発電装置とを含み、太陽光発電装置が、商用電力系統のU相、O相、W相にそれぞれ接続されるU相端子、O相端子、W相端子と、太陽電池の発電電圧に基づいて生成された交流電圧を出力する自立出力端と、O相端子およびW相端子と自立出力端とを接続する電力ラインに介装されて系統通電時にオン状態となるリレーとを備え、O相端子-W相端子間に入力される系統電圧を自立出力端から出力するのであれば適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0076】
1 入力回路
2 整流平滑回路
3 出力回路
4 第1フィルタ回路
5 第2フィルタ回路
6 リレーコイル
7a,7b リレー接点
8 電圧検出部
9 リレー駆動回路
10A,10B 制御電源
100 蓄電装置
101 蓄電池
102 双方向DC/DCコンバータ回路
103 双方向インバータ回路
104 リレー回路
105 制御部
106 電圧検出部
200 太陽光発電装置
201 太陽電池
202 昇圧DC/DCコンバータ回路
203 単方向インバータ回路
204 切替回路
205 制御部
206 電圧検出部