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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】操作パネル及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20240101AFI20231222BHJP
【FI】
D06F39/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020036867
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021137264
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山村 翔悟
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-162092(JP,A)
【文献】特開2008-066163(JP,A)
【文献】特開2007-185237(JP,A)
【文献】実開平03-092485(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0091904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽が収容された外箱と、
前記外箱の外面部に設けられた操作パネルと、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ、及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画する筒状の周壁を有するLEDホルダと、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う前記筒状の周壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に当該筒状の周壁に沿って延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向或いは前記基板側から前記飾り板側へ向かう方向として、当該筒状の周壁における端縁を部分的に延長した凸状部を有する洗濯機。
【請求項2】
水槽が収容された外箱と、
前記外箱の外面部に設けられた操作パネルと、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ、及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画するLEDホルダと、
前記基板の表面を、前記LEDの発光部を除いて覆うポッティング樹脂と、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向として、その先端部が、前記基板に当接せず且つ前記ポッティング樹脂で覆われる位置まで前記基板側へ延設されている凸状部を有する洗濯機。
【請求項3】
水槽が収容された外箱と、
前記外箱の外面部に設けられた操作パネルと、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ、及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画する筒状の周壁を有するLEDホルダと、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う前記筒状の周壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に当該筒状の周壁に沿って延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向或いは前記基板側から前記飾り板側へ向かう方向とする凸状部として、前記タクトスイッチ側へ凸となり、且つ前記延設方向にわたって当該筒状の周壁に延在する凸条部を有する洗濯機。
【請求項4】
電気機器本体の外面部に設けられる操作パネルであって、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画する筒状の周壁を有するLEDホルダと、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う前記筒状の周壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に当該筒状の周壁に沿って延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向或いは前記基板側から前記飾り板側へ向かう方向として、当該筒状の周壁における端縁を部分的に延長した凸状部を有する操作パネル。
【請求項5】
電気機器本体の外面部に設けられる操作パネルであって、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画するLEDホルダと、
前記基板の表面を、前記LEDの発光部を除いて覆うポッティング樹脂と、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向として、その先端部が、前記基板に当接せず且つ前記ポッティング樹脂で覆われる位置まで前記基板側へ延設されている凸状部を有する操作パネル。
【請求項6】
電気機器本体の外面部に設けられる操作パネルであって、
前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、
前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、
前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画する筒状の周壁を有するLEDホルダと、を備え、
前記LEDホルダは、前記LEDを囲う前記筒状の周壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に当該筒状の周壁に沿って延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向或いは前記基板側から前記飾り板側へ向かう方向とする凸状部として、前記タクトスイッチ側へ凸となり、且つ前記延設方向にわたって当該筒状の周壁に延在する凸条部を有する操作パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、操作パネル及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭用の洗濯機等の電気機器においては、設定操作や各種表示を行うための操作パネルを備えている。例えば全自動洗濯機では、トップカバーの前側上面に、操作キーや表示部を有する飾り板が設けられ、その飾り板の背面側に、光源となるLED等の電子部品が実装された回路基板が配設されている。こうした操作パネルでは、飾り板の操作キーにおいて洗濯運転に係るコース等の設定操作が行われ、前記LEDがバックライトとして点灯されることで、飾り板の表示部にて所定の表示が行われる。
【0003】
ところで、操作パネルにおいて、繰り返し押圧操作がなされる操作キーの部分にクラックが生じる等して水が浸入したと仮定する。この点、前記回路基板は、ポッティング樹脂で覆うためのポッティングがなされた電子ユニットとして組み込まれており、ポッティングよる防湿、絶縁が図られている。しかしながら、このものでは、LEDの発光部を除いてポッティング樹脂で覆う必要がある一方、当該発光部が露出するとき、そのLEDのリード端子まで露出することから、これを浸入した水で濡らす虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-69192公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、操作パネル内に浸入する水からLEDを保護することができる操作パネル及び洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の洗濯機は、水槽が収容された外箱と、前記外箱の外面部に設けられた操作パネルと、前記操作パネルの表面に配置され、操作部及び表示部を有する飾り板と、前記飾り板の背面側に配置され、前記操作部に対応する押圧式のタクトスイッチ、及び前記表示部の光源としてのLEDを実装した基板と、前記飾り板と前記基板との間において、前記LEDを囲い或いは前記LEDの投光領域を区画する筒状の周壁を有するLEDホルダと、を備え、前記LEDホルダは、前記LEDを囲う前記筒状の周壁における前記タクトスイッチ寄りの位置に当該筒状の周壁に沿って延設された凸状の部分であって、その延設方向を、前記飾り板側から前記基板側へ向かう方向或いは前記基板側から前記飾り板側へ向かう方向として、当該筒状の周壁における端縁を部分的に延長した凸状部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態における洗濯機全体を概略的に示す側面図
図2】操作パネル部分の分解斜視図
図3】タクトスイッチ及びLEDとともに示す電子ユニットの断面図
図4】第2実施形態における電子ユニットの断面図
図5図4の矢印A方向とは反対側から見たLED近傍の断面図
図6図4の矢印A方向から見た凸状部の説明図
図7】第3実施形態における電子ユニットの断面図
図8】第4実施形態における電子ユニットの断面図
図9】第5実施形態における電子ユニットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した複数の実施形態について、図面に基づき説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付す等して説明を省略する。
<第1実施形態>
図1に示す洗濯機1は、槽内の衣類を洗濯する洗濯機としての機能と、槽内の衣類を乾燥する衣類乾燥機としての機能を備え、当該槽の中心軸が垂直方向を指向する、いわゆる縦軸型の全自動洗濯機である。
【0009】
図1に示すように、洗濯機1において、ほぼ矩形箱状をなす外箱2内には、脱水時等に水を受ける水槽3が弾性吊持機構4を介して設けられている。水槽3内には、内部に洗濯物が収容される脱水槽5が回転可能に設けられている。水槽3及び脱水槽5は、何れも円筒状の胴部と底部とを有して有底円筒状をなしている。このうち、内側の槽たる脱水槽5の内底部には、水流生成用の撹拌体6が設けられている。また、脱水槽5の胴部には多数の脱水孔5aが形成されている。
【0010】
水槽3の外底部には、インバータ駆動方式のアウタロータ形の洗濯機モータ7及び、その洗濯機モータ7の回転駆動力を脱水槽5及び撹拌体6へ伝達するクラッチ機構8が設けられている。詳しい図示及び説明は省略するが、クラッチ機構8は、クラッチの上下移動によって、洗い運転時に洗濯機モータ7の回転駆動力を撹拌体6のみに伝達し、脱水運転時に洗濯機モータ7の回転駆動力を脱水槽5及び撹拌体6の双方に伝達するように切替える構成となっている。
【0011】
これら洗濯機モータ7及びクラッチ機構8により、洗いやためすすぎの行程においては、撹拌体6が正逆回転されて脱水槽5内に撹拌水流が生成され、脱水や脱水すすぎの行程においては、脱水槽5が撹拌体6と一体的に高速回転されるようになっている。なお、洗濯機1は例えばPTCからなるヒータやファン装置を有する周知の乾燥機構を備えており、乾燥の行程においても、脱水槽5が撹拌体6と一体的に回転されるようになっている。
【0012】
水槽3の底部には、脱水槽5からの排水を行うための排水口9a及び排水路9が設けられており、この排水路9の排水弁10に排水ホース11が接続されている。一方、水槽3の上端部には、ほぼリング状をなす桶カバー15が設けられており、その桶カバー15には、脱水槽5の上面開口部に連通する開口部を開閉する蓋15aが設けられている。
【0013】
そして、外箱2の上端部には、前辺部に操作パネル20を有するトップカバー16が設けられている。このトップカバー16は、中央にほぼ円形の洗濯物出入口を有する矩形枠状をなすと共に、薄形の中空箱状をなしている。このトップカバー16の上面部には、前記洗濯物出入口を開閉するための二つ折りタイプの蓋16aが設けられている。
【0014】
なお、図示は省略するが、トップカバー16の後辺部には、脱水槽5内に給水を行うための給水機構等が設けられている。また、前記操作パネル20内には、マイクロコンピュータを主体に構成され、全体を制御する制御装置が設けられている。制御装置は、操作パネル20の操作部からの信号や各種センサからの信号に基づいて、上記各機構を制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥といった洗濯及び乾燥の行程を自動的に実行するとともに、操作パネル20の表示部の表示制御を行うようになっている。
【0015】
続いて、操作パネル20の構成について図2図3も参照しながら説明する。ここで、図2では、操作パネル20表面における飾り板21と、その背面側の電子ユニット22とを隔てた分解斜視図を示している。また、図3の縦断面図は、電子ユニット22の内部構造を模式的に示すものとする。
【0016】
即ち、操作パネル20は、図2図3に示すように飾り板21の裏面側に電子ユニット22を配設した構成となっている。飾り板21は、トップカバー16における上面の前側部位を構成する横長な矩形状をなしており、緩やかな前側下がりの傾斜状に設けられている。この場合、図1に示す飾り板21において、水平面とのなす傾斜角度αを例えば20度とするが、係る角度αは適宜設定しうるものである。
【0017】
図3に示すように、飾り板21の表面部には、ユーザの手指で操作されるドーム状の操作部23と、電子ユニット22側のLED32等を光源とする平坦状の表示部24とが設けられている。
操作部23は例えば、平面視にて円形をなす操作キーであり、図示しない電源の「切・入」キー、「スタート/一時停止」キー、「水流」設定キー、「水位」設定キー、「行程」設定キー、「コース」選択キー、「予約」設定キー、といった操作キー群或いは操作部23群として、飾り板21の左右方向に並ぶようにして配置されている。
【0018】
なお、説明の便宜上、図2の飾り板21では、操作部23の図示を省略しているが、各操作部23の内容を特定する事項、つまり電源の切・入用、スタート/一時停止用、水流設定用、水位設定用、行程設定用、コース選択用、予約設定用のものであること等を特定する文字等の印刷が施されており、これら操作部23の並びは、後述する同図2の応動部35の並びに対応するものとする。
【0019】
表示部24は、例えば上記した水流設定キーの「強」「標準」「弱」、水位設定キーの「高」「中」「低」「少」等を特定するように、係る操作部23の並びに対応して配列されている。
ここで、図3では、1つの操作部23に対応して配列された複数(例えば4つ)の表示部24を例示している。本実施形態では、複数の表示部24を「表示部241,242,243,244」とも称し、又、これに対応する複数のLED32を「LED321,322,323,324」とも称し、相互に区別する。
表示部24は、図3の表示部241~244如くLED321~324に対応するものに限らず、図示しない7セグメントの数字表示部としたり、「すすぎ1」「すすぎ2」「すすぎ3」といった複数の項目或いは文字を特定可能に表示する形態としてもよい。
【0020】
図3に示すように、上記した操作部23或いは表示部24は、PETフィルム等の樹脂シートにより、飾り板21の操作窓21a或いは表示窓21bを覆う窓カバーとして、ドーム状或いは平坦状に形成される。つまり、飾り板21を成形する場合、成形型に樹脂シートを予めセットするアウトサート成形により、操作部23が操作窓21aを気密に覆い、表示部24が表示窓21bを気密に覆う窓カバーとして夫々形成される。なお、飾り板21は、アウトサート成形以外の方法で形成してもよい。例えば、操作部23と表示部24とが予め形成された部材に対して、少なくとも操作部23と表示部24とを覆い、或いは当該部材全体を覆う樹脂シートを、接着剤や粘着剤で貼り付けることにより前記窓カバーを形成してもよい。
【0021】
図2図3に示すように、電子ユニット22は、横長な浅底のケース25内に、その奥側から順に、回路基板26、ホルダ部材27を重ねるようにして配置し、飾り板21によりケース25の上面開口部が覆われる向きで設けられている。
【0022】
図3に示す回路基板26は、電気絶縁材料からなる基材に図示しない配線が形成された、横長な矩形板状の基板である。回路基板26には、操作部23群に対応する複数のタクトスイッチ31、表示部24群に対応する複数のLED32が実装されるとともに、図示しない制御IC、抵抗素子、コンデンサ等の電子部品が実装されており、前記配線と前記電子部品とで回路が形成されている。
【0023】
タクトスイッチ31は、その被操作部31aがホルダ部材27の応動部35に連なる位置にあって、応動部35を介して操作部23と対向するように配置されている。LED32は、図3に示すように発光部32aの基端からリード32bが延出した砲弾型のものある。LED32は、発光部32aが表示部24に対向する位置にあって、リード32bを介して回路基板26上に発光部32aが浮き上がった状態で実装される。
【0024】
ホルダ部材27は、例えば光を遮蔽する透過率が低い合成樹脂材料からなり、図2に示すように、全体として横長な略矩形状をなしている。ホルダ部材27には、タクトスイッチ31群に対応する複数の応動部35と、LED32群に対応する複数のホルダ部36とが、同図2の配列をなすように形成されている。また、ホルダ部材27には、回路基板26の表面側に位置決め状態に当該ホルダ部材27を係止するための係止部37が設けられている(図3参照)。
【0025】
応動部35は、飾り板21の操作部23とタクトスイッチ31の被操作部31aとの間を連ねる軸線方向、つまり操作部23の操作方向に延びる柱状をなしている。ホルダ部材27における、応動部35の外周囲には、螺旋状に切り欠いた溝部35aが形成されており(図2図3参照)、その外周囲における可撓性により、応動部35を弾性的に支持している。これにより、応動部35は、飾り板21における操作部23での押圧操作に応動し、被操作部31aを介してタクトスイッチ31内部の回路を通電させる。なお、タクトスイッチ31は、内部に水が浸入しない防水構造を持つものとする。
【0026】
ホルダ部36は、図2に示すように上面側から見て横方向に細長い角筒状をなすとともに、下方へ向かうに従い窄まっていくようなテーパ状をなしている。詳しくは後述するように、ホルダ部材27は、図3に示すホルダ部36にてLED32の発光部32aを囲う、言わばLEDホルダとしての機能と、当該ホルダ部36にてLED32の光を漏れがないようにしながら飾り板21の表示部24側へ向けて案内するガイド部としての機能を備える。
【0027】
ホルダ部材27は、回路基板26の実装面から離間させた位置決め状態で配置され、係止部37により、ケース25の上面開口部側の縁部で係止される。こうして、ケース25内に、回路基板26とホルダ部材27とを配置した状態で、ウレタン樹脂等のポッティング樹脂を注入し固化させて、ケース25内の底部にて回路基板26表面を覆うポッティングを行う。
【0028】
ここで、図3の二点鎖線は、ポッティング樹脂40表面の位置に相当するポッティング高さを表す。即ち、図3では、トップカバー16において電子ユニット22全体を前記角度αの分傾けて組付けた傾斜状態で示しているが、二点鎖線で示すように、ポッティングは、ケース25を平らにした状態で行われるものとする。これにより、回路基板26全部をポッティング樹脂40で包みこむようにして防湿性及び絶縁性の向上が図られている。
【0029】
もっとも、LED32は、リード32bを介して回路基板26上に実装されており、発光部32aがポッティング樹脂40で埋もれないようにする必要がある一方、ポッティング高さが発光部32aより低ければ、リード32bがポッティング樹脂40から露出することとなる。
【0030】
そこで、本実施形態のホルダ部材27は、図3に示すように、ホルダ部36の下端に位置させて、回路基板26側へ向けて延設した凸状部41を有する。以下では、係る凸状部41を含むホルダ部36の構成について詳述する。
ホルダ部36は、図2に示すようにホルダ部材27において応動部35の並びに対応して左右方向及び前後方向に配列されたホルダ部36群として形成されている。
【0031】
こうしたホルダ部36群のうち、図3のホルダ部361~364は、例えば上記した水位設定キーの「高」「中」「低」「少」を示す4つの表示部241~244に対応するものとする。このとき、表示部241~244相互間、ホルダ部361~364相互間、或いはLED321~324相互間で、夫々等間隔とする配置が可能であるが、図3では説明の便宜上、タクトスイッチ31の直ぐ隣にある表示部241、ホルダ部361、及びLED321を、その余の表示部242~244、ホルダ部362~364、及びLED322~324よりも、間隔を空けて表すものとする。
【0032】
ホルダ部361~364は、何れも発光部32a周りの部位を支え部36bとして、その上方の窄み部36aと下方の円筒部36cとを一体に有し、全体として漏斗状をなしている。
【0033】
ホルダ部361~364において、夫々の窄み部36aは、上方へ向かうに従い左右方向(図3の紙面と直交する方向)に拡開したテーパ状をなすとともに、図2の上面側から見た斜視図において細長い角筒状に形成され、夫々の発光部32aの光を表示部242~244側へ案内する。また、ホルダ部361~364における夫々の円筒部36cは、内周面が図3の断面図にて「ハ」字状に拡開したテーパ状となっている。これにより、ホルダ部361~364は夫々、LED321~324の投光領域を区画し、LED321~324を囲う周壁となっている。
【0034】
なお、図3において、タクトスイッチ31寄りのホルダ部361は、窄み部36a内周面を円筒状で表しているが、他ホルダ部362~364と同様、窄み部36a内周面をテーパ状としてもよい。また、ホルダ部361~364は、何れも全体として漏斗状をなす形状としたが、全体として円筒状或いは角筒状をなす形状の周壁としてもよい。何れにしても、ホルダ部361~364は、ホルダ部材27におけるLED用ホルダの部分として、LED321~324の外周囲を夫々囲う壁となっている。
【0035】
そして、ホルダ部361~364のうち、ホルダ部361の円筒部36cには、タクトスイッチ31と対向する部分に位置させて凸状部41が設けられている。凸状部41は、樹脂成形によりホルダ部材27におけるホルダ部361と一体をなすように形成されている。凸状部41は、その先端部41aがポッティング樹脂40で覆われるように回路基板26側へ向けて延設されている。
【0036】
凸状部41は、例えば円筒部36c下端においてタクトスイッチ31に臨む、当該スイッチ31寄りの位置にある凸状の部分であって、図3中、左側の当該下端の部分を回路基板26側へ延長するように延設されている。このように、凸状部41の延設方向は、飾り板21側から回路基板26側へ向かう方向であり、回路基板26と直交する。
また、凸状部41は、矢印A方向から見て短冊形をなしており、後述する図6の二点鎖線で示す短冊形の部分(符号40´参照)の如く、舌片状に形成されるものとする。また、図3に示すように、凸状部41は、先端部41aが回路基板26近傍まで延びる延設寸法L1に設定されている。
【0037】
上記した洗濯機1での洗濯運転の実行に際し、飾り板21において例えば電源の「切・入」キーや、「スタート/一時停止」キー、「水位」設定キー等といった操作部23での押圧操作が行われる。
【0038】
ここで例えば、仮に飾り板21の操作部23の部分にクラックが生じ、洗濯に供される洗濯水等の液体がそのクラックから浸入したケースを想定する。この場合の液体乃至水滴(以下、単に「水」と称する)は、図3に示す飾り板21の操作窓21aから侵入し、矢印100で示すように、応動部35とホルダ部361との間を流下したとしても、LED321のリード32bはもとより、他のLED322~324のリード32bを当該水で濡らすような事態を回避することができる。
【0039】
即ち、操作パネル20は、電子ユニット22ごと前記角度αの分傾けた状態で設けられることにより、操作部23に対応するタクトスイッチ31の斜め上方に、LED321~324が位置する。また、タクトスイッチ31寄りのLED321にあっては、リード32bがタクトスイッチ31側と対向しないように凸状部41で遮られている。
【0040】
よって、矢印100方向で示すように、応動部35とホルダ部361との間を流下する水は、応動部35側を伝い、或いはホルダ部361側を伝うことがあってもその外壁と凸状部41の外壁とを順に伝うようにして流下し、その後ポッティング樹脂40表面の傾斜に沿って前方へ流下させることができる(矢印101参照)。このように、凸状部41によって、これよりも後方側へ水が浸入しないように隔てることができ、LED321を含む電気部品に対して水が触れることによる漏電や故障等の発生を抑制することができる。
【0041】
以上説明したように、ホルダ部材27は、LED321を囲うホルダ部361の壁におけるタクトスイッチ31寄りの位置に延設された凸状の部分であって、その延設方向を、飾り板21側から回路基板26側へ向かう方向とする凸状部41を有する。
【0042】
これによれば、飾り板21の操作部23部分から水が浸入したと仮定しても、凸状部41を、回路基板26側にわたってLED321とタクトスイッチ31とを隔てるように延設することで、LED321側へ水が浸入することを抑制することができる。
【0043】
例えばウレタン樹脂やエポキシ樹脂からなるポッティング樹脂40は、回路基板26表面の防湿、絶縁を図ることができるが、ポッティング樹脂40の量のばらつきやポッティング高さ如何によっては、LED321~324の発光部32aが埋もれたり、リード32bが大きく露出し、又、電子部品の絶縁や放熱効率等に影響を及ぼすこととなる。
【0044】
この点、本実施形態では、回路基板26の表面を、LED321~324の発光部32aを除いて覆うポッティング樹脂40を備え、凸状部41は、その先端部41aがポッティング樹脂40で覆われるように回路基板26側へ延設されている。
【0045】
これによれば、LED321~324のリード32bがポッティング樹脂40から露出していても、凸状部41によりLED321側へ水が浸入しないように遮ることができ、リード32bが水に濡れることをより抑制することができる。また、ポッティング樹脂40の量のばらつきがあっても、回路基板26表面が、LED321~324の発光部32aを除いて覆われていれば、その回路基板26上の電子部品の絶縁や放熱効率等に及ぼす不具合を抑制することができ、発光部32aによる表示機能を損なうことがない。
【0046】
<他の実施形態>
図4図9は、本発明の第2~第5実施形態を示している。以下では、既述した実施形態と実質的に異なる点について述べることとする。
【0047】
図4図6は、第2実施形態における一対の凸状部42,42を示している。このうち図6は、図4の矢印A方向から見た凸状部42,42の説明図として、ポッティング樹脂40側のみハッチングを付している。また、図5では、矢印A方向とは反対の方向から見たLED321近傍の断面図を表すものとする。
【0048】
図4図6に示すように、本第2実施形態の凸状部42,42は、何れもホルダ部361における円筒部36c内周面から回路基板26側へ延びる舌片状をなしている。この場合、凸状部42,42は夫々、円筒部36c内周面からLED321側たる中心側へ突起しており、その突起長は支え部36b内周面と揃うように設定されている。このため、凸状部42,42がLED321側へ突起するものとしても、支え部36bの内径寸法D(図5参照)よりも狭めることはない。
【0049】
そして、凸状部42,42は、図5図6に示すように円筒部36cの周方向に相互に離間し、且つその周方向の間隙が、ポッティング樹脂40を充填するときの濡れ性或いは毛細管現象により、吸い上げられた樹脂40´で塞がれる寸法L2に設定されるものとする。
これにより、ホルダ部361におけるタクトスイッチ31寄りの位置において、一対の凸状部42,42とその間の樹脂40´でもって、タクトスイッチ31側とリード32b側とを遮ることができる。
【0050】
以上のように、本第2実施形態の凸状部42,42は、LED321を囲うホルダ部361の壁に複数設けられ、その複数の凸状部42,42が前記延設方向として例えば回路基板26側へ夫々延設されている。
これによれば、複数の凸状部42,42により、ホルダ部361から回路基板26側にわたってLED321とタクトスイッチ31とを隔てることができる。また、凸状部42,42間を樹脂40´で塞ぐ構成とすることにより、LED321とタクトスイッチ31とを遮る領域を広くとることができ、LED321側へ、より水が浸入し難いものとすることができる。
なお、本第2実施形態の凸状部42,42は、タクトスイッチ31寄りの位置にあって、円筒部36c下端から夫々の先端42a,42aまでの延長寸法は、第1実施形態の凸状部41と同じ延設寸法L1に設定されている(図6参照)。それ故、第1,第2実施形態の凸状部41,42は、何れもホルダ部361の壁の一部を回路基板26側へ延長した延長部ということができる。
【0051】
図7は、第3実施形態の凸状部43を示している。凸状部43は、ホルダ部361の外壁において、タクトスイッチ31側へ凸となる凸条部であり、当該外壁の上端から下部の付近まで延設されている。
【0052】
即ち、凸状部43は、ホルダ部361外壁において縦向きのリブの如く一体成形されており、直線的に延設されている。この場合、凸状部43の延設方向は、飾り板21側から回路基板26側へ向かう方向、或いは回路基板26側から飾り板21側へ向かう方向を指向するものといえる。また、凸状部43の上部には、ホルダ部361の上端外壁に向かって傾斜した傾斜面43aが形成されている。
【0053】
従って、仮に飾り板21の操作窓21aから侵入した水が、矢印100で示すように、ホルダ部361側に至ることがあっても、その水は、ホルダ部361上端の傾斜面43aを伝って、凸状部43に沿って流下するように案内され、その後ポッティング樹脂40表面の傾斜に沿って前方へ流下させることができる(矢印101参照)。このように、ホルダ部361下端とポッティング樹脂40表面との間に隙間があっても、凸状部43によって案内する流路を、その隙間から離間した箇所に形成することができる。
【0054】
このように、本第3実施形態の凸状部43は、LED321を囲うホルダ部361の壁においてタクトスイッチ31側へ凸となり、且つ前記延設方向に延びる凸条部として形成されている。
これによれば、操作部23部分から水が浸入した場合を仮定しても、その水を凸状部43を伝わせるようにして、ホルダ部361の壁におけるタクトスイッチ31側で流下させることができる。よって、LED321側へ水が浸入することを抑制することができる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
【0055】
図8は、第4実施形態の凸状部44を示している。本第4実施形態の凸状部44は、第3実施形態の凸状部43と以下の点で相違する。
【0056】
即ち、凸状部44は、ホルダ部361の外壁における、上下方向中間部から下部付近まで延設された凸条部である。この場合、凸状部44は、応動部35の下側にあって、これによりタクトスイッチ31側への当該凸状部44の突起長L4を、凸状部43の突起長よりも大きくなるように設定している。また、凸状部44の上部には、ホルダ部361外壁に対して緩やかな傾斜角をなすように連ねた傾斜面44aが形成されている。
【0057】
従って、仮に飾り板21の操作窓21aから侵入した水が、矢印100で示すように、ホルダ部361側に至ることがあっても、その水は、ホルダ部361上部から凸状部44の傾斜面44aを伝って、タクトスイッチ31側たる前側へ流下させるように案内することができる(図8の矢印102、103参照)。この場合、同矢印102に示すように、凸状部44の傾斜面44aは、これとホルダ部361外壁とのなす傾斜角度と、電子ユニット22全体の傾斜角度αとが相俟って、流下する水を前側、つまりはホルダ部361下端からより遠ざけて案内する流路を形成することができる。
【0058】
このように、本第4実施形態の凸状部44も、ホルダ部361の壁においてタクトスイッチ31側へ凸となり、且つ前記延設方向に延びる凸条部として形成されている。このため、凸状部44に水を伝わせて、タクトスイッチ31側で流下させることができる等、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
図9は、第5実施形態の凸状部45を示している。凸状部45は、ホルダ部361上端において、応動部35に臨む位置つまりタクトスイッチ31寄りの前縁部分に一体形成されている。
【0060】
この場合、凸状部45は、ホルダ部361上端における前縁部分が他の部分よりも高くなるように、飾り板21側へ延設された凸状の延長部となっている。このように、ホルダ部361上端における、凸状部45の延設方向は、回路基板26側から飾り板21側へ向かう方向を指向する。
【0061】
詳しい図示は省略するが、凸状部45は、矢印A方向から見てホルダ部361上端の前縁部分わたる比較的幅広な矩形状をなす舌片状の部分であり、先端部45aが飾り板21近傍まで延びる延設寸法L5に設定されている。従って、仮に飾り板21の操作窓21aから侵入した水が、矢印100で示すように、ホルダ部361側に至ることがあっても、その水を凸状部45によりホルダ部361内に浸入しないように阻止して、ホルダ部361外壁側を流下させ、その後ポッティング樹脂40表面の傾斜に沿って前方へ流下させることができる(矢印101参照)。
【0062】
このように、本第5実施形態の凸状部45は、LED321を囲うホルダ部361の壁において、タクトスイッチ31寄りの位置で当該壁の高さが高くなるように飾り板21側へ延設されている。
これによれば、操作部23部分から水が浸入した場合を仮定しても、ホルダ部361上部の凸状部43により、ホルダ部361内への水の浸入を阻止することができる。よって、LED321のリード32bが水に濡れることを抑制することができる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
上記した各実施形態について、図示しない所謂横軸型のドラム式洗濯機はもとより、電気機器本体の外面部に設けられる操作パネルを有する各種の電気機器にも適用しうることは勿論である。また、各実施形態を組み合わせて実施することもできる。
例えば、図8に示した第5実施形態のホルダ部361において、上端側に一の凸状部45を設けるとともに、下端側に一の凸状部41或いは複数の凸状部42,42を設けるようにしてもよい。
図3に示した第1実施形態のホルダ部361において、凸状部41を、第2実施形態の凸状部42,42の如く複数設けるようにしてもよい。また、第3、第4実施形態において、凸条をなす凸状部43,44についても夫々、ホルダ部361の周方向に複数の凸条が相互に所定間隔を有して並行するように複数条設けるようにしてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は洗濯機、2は外箱、3は水槽、20は操作パネル、21は飾り板、23は操作部、24は表示部、26は回路基板(基板)、31はタクトスイッチ、32,321~324はLED、27はホルダ部材(LEDホルダ)、36,361~364はホルダ部(LEDを囲う壁)、40,40´はポッティング樹脂、41,42,45は凸状部(延長部)、43,44は凸状部(凸条部)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9