IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電子株式会社の特許一覧

特許7407680三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置
<>
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図1
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図2
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図3
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図4
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図5
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図6
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図7
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図8
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図9
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図10
  • 特許-三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/68 20210101AFI20231222BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20231222BHJP
   B22F 10/362 20210101ALI20231222BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20231222BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20231222BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231222BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231222BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20231222BHJP
【FI】
B22F10/68
B22F10/28
B22F10/362
B29C64/153
B29C64/35
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020155158
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049115
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】台野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】蔦川 生璃
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴
(72)【発明者】
【氏名】北村 真一
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532204(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110434336(CN,A)
【文献】中国実用新案第215786760(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107584760(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108248027(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートを加熱するステップと、
前記加熱された造形プレート上に粉末を敷き詰めた粉末層を形成するステップと、
前記粉末層にエネルギー線を照射して前記粉末を仮焼結させた仮焼結部を前記粉末層に形成するステップと、
前記仮焼結部における構造体領域にエネルギー線を照射して前記構造体領域を溶融させるステップとを実施する三次元構造体の製造方法であって、
前記造形プレートを加熱するステップの前に、前記造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートの表面をクリーニング処理するステップを行う
三次元構造体の製造方法。
【請求項2】
前記クリーニング処理におけるエネルギー線の照射は、前記造形プレートを加熱するステップよりも低い照射エネルギーで行なうことにより前記造形プレート上の残留粉末を除去する
請求項1に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項3】
前記クリーニング処理におけるエネルギー線の照射は、照射エネルギーを段階的に上昇させた複数の段階で実施する
請求項1または2に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項4】
前記クリーニング処理におけるエネルギー線の照射は、前記各段階でのエネルギー線の照射が終了する毎に処理を続行するか否かを判断し、続行すると判断した場合に次の段階でのエネルギー線の照射を実施する
請求項3に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項5】
前記クリーニング処理におけるエネルギー線の照射は、前記造形プレートの周縁部を除いた領域に対して実施する
請求項1~4のうちの何れか1項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項6】
前記クリーニング処理におけるエネルギー線の照射は、前記造形プレートの周縁部を除いた領域に対して実施した後、前記領域を拡大した領域に対して実施する
請求項5に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項7】
前記クリーニング処理を行うステップおよび前記造形プレートを加熱するステップは、前記造形プレートの周囲をカバー部材で覆った状態で実施する
請求項1~6のうちの何れか1項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項8】
前記各ステップは、減圧雰囲気下において実施される
請求項1~7のうちの何れか1項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項9】
造形プレートと、前記造形プレート上に粉末を敷き詰めた粉末層を形成する粉末層形成機構と、前記造形プレートおよび前記造形プレート上に形成された粉末層に対してエネルギー線を照射するためのエネルギー線照射部と、前記エネルギー線照射部によるエネルギー線の照射を制御する制御部とを備えた三次元構造体の製造装置であって、
前記制御部は、
前記粉末層形成機構によって前記造形プレート上に粉末層が形成される前に、前記エネルギー線照射部の制御により、前記造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートの表面のクリーニング処理を行い、その後、前記造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートを加熱し、
前記粉末層形成機構によって前記造形プレート上に粉末層が形成された後に、前記エネルギー線照射部の制御により、前記造形プレート上の粉末層にエネルギー線を照射して前記粉末を仮焼結させた仮焼結部を前記粉末層に形成し、その後、前記仮焼結部における構造体領域にエネルギー線を照射して前記構造体領域を溶融させる
三次元構造体の製造装置。
【請求項10】
前記造形プレートの周囲を覆うカバー部材を備えた
請求項9に記載の三次元構造体の製造装置。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記造形プレートの周囲に沿った凹形状を有する
請求項10に記載の三次元構造体の製造装置。
【請求項12】
前記カバー部材は、導電性材料によって構成された
請求項10または11に記載の三次元構造体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元構造体の製造方法の一つとして、粉末焼結積層方式の三次元構造体の製造方法が知られており、以下の手順が開示されている。先ず、チャージシールドを造形プレート上面まで降ろし、電子ビームを造形プレート上面全域より少し狭い領域に照射し、金属粉末が完全に仮焼結する程度の温度まで造形プレートをあらかじめ昇温させておく。造形プレート上面が造形枠台上面より僅かに下がった位置に配置されるように、粉末台をZ軸駆動機構により下げる。この僅かに下がったΔZが、その後のZ方向の層厚に相当する。チャージシールドを上方に移動し、金属粉末を造形プレートとその周りに散布して、敷き詰める。造形プレート上に敷き詰めた金属粉末に対して、チャージシールドの内側開口部に電子ビームを照射して、昇温させ、照射領域の金属粉末を確実に仮焼結させる。あらかじめ準備された設計上の3次元積層造形物(造形モデル)をΔZ間隔でスライスした2次元形状に従い、電子銃からの電子ビームにより、その2次元形状領域を溶融する(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2017/163402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した三次元構造体の製造方法では、金属粉末を造形プレートとその周りに散布して敷き詰める前に、電子ビームの照射によって造形プレートをあらかじめ昇温する手順を実施している。しかしながら、この際、造形プレート上に金属粉末が残存していると、残存している金属粉末が電子ビームの照射によって帯電し、帯電した金属粉末が造形プレートから一気に飛散する。これにより、造形枠台上の金属粉末が巻上げられる舞い上げられる現象が発生しプロセスの続行が困難となる。このため、造形プレート上に金属粉末が残存している場合には、プロセスを中断して上述した処理が実施されるチャンバーを大気開放し、造形プレート上の金属粉末を除去する必要があり、手間が掛かっていた。
【0005】
そこで本発明は、造形プレート上に粉末が残存している場合であっても、プロセスを中断することなく造形プレート上における三次元構造体の製造を続行することが可能な三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するための本発明は、造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートを加熱するステップと、前記加熱された造形プレート上に粉末を敷き詰めた粉末層を形成するステップと、前記粉末層にエネルギー線を照射して前記粉末を仮焼結させた仮焼結部を前記粉末層に形成するステップと、前記仮焼結部における構造体領域にエネルギー線を照射して前記構造体領域を溶融させるステップとを実施する三次元構造体の製造方法であって、前記造形プレートを加熱するステップの前に、前記造形プレートの表面にエネルギー線を照射して前記造形プレートの表面をクリーニング処理するステップを行う。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成の本発明によれば、造形プレート上に粉末が残存している場合であっても、プロセスを中断することなく造形プレート上における三次元構造体の製造を続行することが可能な三次元構造体の製造方法および三次元構造体の製造装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る三次元構造体の製造装置の概略構成図である。
図2】三次元構造体の製造装置が有するカバー部材の構造を説明する平面図および断面図である。
図3】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図4図3のフローチャートにおけるクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その1)である。
図6】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その2)である。
図7】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その3)である。
図8】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その4)である。
図9】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その5)である。
図10】実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その6)である。
図11】実施形態に係る三次元構造体の製造方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した実施の形態を三次元構造体の製造装置、三次元構造体の製造方法の順に図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪三次元構造体の製造装置≫
図1は、実施形態に係る三次元構造体の製造装置1の概略構成図である。この図に示す三次元構造体の製造装置1(以下、単に製造装置1と称する)は、粉末溶融積層方式の製造方法を実施するためのものである。この製造装置1は、減圧チャンバー10内に、形成槽11、ステージ12、造形プレート13、粉末供給装置14、規制板15、カバー部材16、およびエネルギー線照射部17を備え、さらにこれらの駆動を制御するための制御部20および入力部21を備えている。以下、これらの構成要素を説明する。
【0011】
<形成槽11>
形成槽11は、減圧チャンバー10内に立設された筒状の構造体であり、筒状の内部において三次元構造体が造形される。形成槽11を構成する筒状は、一例として円筒状である。このような形成槽11は、上部開口の周縁から外周側に向かって延設されたフランジ状の造形枠台11aを備え、造形枠台11aによって筒状の周囲が塞がれた状態となっている。なお、造形枠台11aは、筒状の形成槽11とは別体であってもよく、この場合、形成槽11の上部開口は、造形枠台11aの上面に位置する。
【0012】
<ステージ12>
ステージ12は、形成槽11の側周壁に内接して設けられていて、形成槽11の底面を構成する。形成槽11の側周壁とステージ12との隙間は、ここでの図示を省略したフレキシブルシールが配置され、形成槽11内においてのステージ12の摺動性と密閉性とが確保されていることとする。このようなステージ12によって底面が構成される形成槽11の内部には、以降に説明する造形プレート13が配置されると共に、粉末100が貯蔵される。
【0013】
またステージ12は、ステージ駆動部12aを備える。ステージ駆動部12aは、形成槽11内においてのステージ12の昇降を制御し、形成槽11の深さを可変としている。ステージ駆動部12aによるステージ12の昇降は、エネルギー線照射部17からのエネルギー線[EB]の照射の合間に実施される。このようなステージ駆動部12aは、制御部20に接続され、制御部20からの指示に基づいてステージ12を昇降させる。
【0014】
<造形プレート13>
造形プレート13は、上部に三次元構造体が造形される部材であって、形成槽11内に貯蔵された粉末100上に浮かせた状態で、形成槽11の内部に収容される。このため造形プレート13は、ステージ12の昇降にともなって形成槽11内において昇降する。このような造形プレート13は、例えば形成槽11の内周形状を一回り縮小した板状のものであり、例えば直径280mm程度の円板形状である。また造形プレート13は、接地線13aによってステージ12に接続され、ステージ12と形成槽11とを介して接地されていることとする。
【0015】
<粉末供給装置14>
粉末供給装置14は、形成槽11内に粉末100を供給するものであって、次に説明する規制板15と共に粉末層形成機構を構成する。この粉末供給装置14は、粉末タンクと粉末タンクの底部に接続された定量供給器とを備え、制御部20からの指示により、形成槽11の上部開口にわたる幅で造形枠台11a上に所定量の粉末を供給する。このような粉末供給装置14は、形成槽11の上部開口を挟んだ2か所に配置されていてもよく、この場合には、2か所の粉末供給装置14の粉末タンクにはそれぞれ異なる種類の金属粉末を充填してもよい。
【0016】
<規制板15>
規制板15は、形成槽11の上部開口にわたる長尺状の板材であって、先に説明した粉末供給装置14と共に粉末層形成機構を構成する。このような規制板15は、板材の一辺が形成槽11の上部開口に接触する程度の高さ位置を保った状態で、形成槽11における造形枠台11aの上面および上部開口に沿って移動自在である。また規制板15は、制御部20からの指示により、粉末供給装置14から造形枠台11a上に粉末100が供給された後に、粉末100の供給位置よりも形成槽11の上部開口の外側から、造形枠台11aの上面に沿って上部開口に向かって移動し、さらに上部開口にわたって上部開口上を通過するように移動する。これにより、造形枠台11a上に供給された粉末100を形成槽11内に供給し、形成槽11内に収容された粉末100を形成槽11の上部開口と同じ高さに揃える。
【0017】
なお、形成槽11内に収容しきれずに形成槽11の上部開口からはみ出した粉末100は、規制板15によって、形成槽11における造形枠台11aの外周に配置されたダストケース(図示省略)内に掃き落される。
【0018】
<カバー部材16>
カバー部材16は、形成槽11の側周壁と、形成槽11内に収容された造形プレート13との間の隙間[d]を覆うものである。図2は、三次元構造体の製造装置1が有するカバー部材16の構造を説明する平面図および断面図であり、断面図は平面図のA-A断面である。図2および先の図1を参照し、カバー部材16は、例えば略矩形の平面形状を有し、形成槽11内の造形プレート13の中央を広く露出させる開口部16aを有する。
【0019】
この開口部16aは、造形プレート13が形成槽11の上部開口と同じ高さに位置する状態で、造形プレート13の中央を広く露出させ、かつ造形プレート13の周縁部分をカバー部材16で覆う開口形状であることとする。このような開口部16aの開口径は、造形プレート13の直径よりも5~10mm程度小さいこととする。
【0020】
またカバー部材16は、平板状のものであってもよいが、図示したように略矩形の外周縁部と、開口部16aの縁部とを立ち上げた凹形状16bを有するものであってもよい。この凹形状16bは、以降に説明するようにエネルギー線[EB]の照射によって飛散した粉末100の収容部となる。
【0021】
このようなカバー部材16は、チャージシールドとしても用いられる。この場合、カバー部材16の材質は、例えば、金属などの導電性材料やステンレスなどの合金などが代表的であり、好ましくは、耐熱性の高い材料がよいが、シールドとしての役割を果たす材料であればこれらには限定されない。またカバー部材16は、厚さ10mm以上であり、電気的に接地されていることとする。
【0022】
以上のようなカバー部材16は、ここでの図示を省略した移動機構を有し、制御部20からの指示にしたがって、上述した隙間[d]を覆う位置と、粉末供給装置14および規制板15による形成槽11への粉末100の供給に支障のない位置との間で移動する。カバー部材16の移動のタイミングは、以降の三次元構造体の製造方法において説明する。
【0023】
<エネルギー線照射部17>
エネルギー線照射部17は、粉末100を溶融可能なエネルギー線[EB]の照射部であって、ステージ12上の造形プレート13に対向して配置され、造形プレート13または造形プレート13上に貯蔵された粉末100に対してエネルギー線[EB]を照射する。エネルギー線[EB]は、例えば電子線であって、図示したエネルギー線照射部17は、電子線照射装置である。このようなエネルギー線照射部17は、形成槽11内の造形プレート13上に貯蔵された粉末100に対して、自在に設定された照射範囲において、エネルギー線[EB]を走査させながら照射可能である。またエネルギー線照射部17は、エネルギー線[EB]の照射エネルギーが可変である。
【0024】
例えば、エネルギー線照射部17が、図示したような電子線照射装置である場合、エネルギー線照射部17は、電流値が可変であって、各電流値に調整されたエネルギー線[EB]の照射により、粉末100を焼結させ、また溶融させて三次元構造体を造形する。またエネルギー線照射部17は、造形プレート13への各電流値に調整されたエネルギー線[EB]の照射により、造形プレート13のクリーニング処理を行い造形プレート13上に残存する粉末100を除去し、また造形プレート13の加熱を行う。
【0025】
以上のようなエネルギー線照射部17は、制御部20からの指示にしたがって、電流値の調整およびエネルギー線の走査を実施する。エネルギー線照射部17によるエネルギー線[EB]の照射の詳細は、以降の三次元構造体の製造方法において説明する。
【0026】
<制御部20>
制御部20は、上述した構成要素の駆動を制御するものであって、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部、さらにはネットワークインターフェースを備えていてもよい。このような計算機によって構成された制御部20は、CPUが、ROMやRAMに記録されたプログラムを実行することにより、以降に説明する三次元構造体の製造方法を実施する。
【0027】
<入力部21>
入力部21は、三次元構造体の形成開始を指示するための入力、および三次元構造体を形成するために必要なデータを入力するためのものである。入力部21から入力されるデータは、例えば製造装置1によって製造する三次元構造体の形状データ、および制御部20のROMやRAMに記録される三次元構造体の製造方法のプログラムである。このような入力部21は、例えばタッチパネル付きの表示部、キーボード、および外部のパーソナルコンピュータとの接続インターフェースなどである。
【0028】
≪三次元構造体の製造方法≫
図3は、実施形態に係る三次元構造体の製造方法を示すフローチャートである。図4は、図3のフローチャートにおけるクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。図3のフローチャートに示す手順は、先に説明した入力部21(図1参照)から新たな三次元構造体の製造の指示が入力されたことによって開始される。また図5図10は、実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明するための図(その1)~(その6)である。以下、先ずは図3のフローチャートに沿って、図5図10を参照しつつ実施形態に係る三次元構造体の製造方法を説明する。
【0029】
<ステップS101>
先ずステップS101において、制御部20は、減圧チャンバー10内の排気を行う。ここで図1および図5を参照すると、新たな三次元構造体の製造を開始するべく、本ステップS101において減圧チャンバー10内の排気を実施する時点においては、造形プレート13は形成槽11の上部開口と同じ高さにまで引き上げられている。また、カバー部材16は、形成槽11の内周壁と造形プレート13との間の隙間[d]の上部を覆う位置において、粉末100に接触する状態で配置されていることとする。
【0030】
さらに、造形プレート13上の粉末100は、規制板15によって除去された状態となっている。ただし造形プレート13の表面には、除去しきれずに残されたか、または減圧チャンバー10内の排気の影響によって造形プレート13上に飛着した残留粉末100aが付着している場合がある。そこで、次のステップS102を実施する。
【0031】
<ステップS102>
ステップS102において、制御部20は、エネルギー線照射部17の制御によって、エネルギー線[EB]の照射による造形プレート13の表面のクリーニング処理を実施する。図1および図6を参照すると、制御部20は、エネルギー線照射部17の駆動により、造形プレート13の表面にエネルギー線[EB]を照射し、造形プレート13表面の残留粉末100aをエネルギー線[EB]によって飛散させて除去する。
【0032】
このようなクリーニング処理は、エネルギー線[EB]の照射により、造形プレート13を加熱する必要はなく、造形プレート13が加熱されないように行われる。また、このようなクリーニング処理は、エネルギー線[EB]の照射によって造形プレート13の表面の残留粉末100aを飛散させるが、飛散した残留粉末100aによって粉末100の舞い上がりが発生することのない程度に弱い第1の電流値[I1]を上限値として実施されることとする。
【0033】
このような第1の電流値[I1]は、予め実験的に得られた上限値であることとする。また、第1の電流値[I1]は、次に実施する造形プレート13の加熱処理において造形プレート13に照射するエネルギー線[EB]の電流値(以下、第2の電流値[I2]と称する)よりも低く、典型的には第2の電流値[I2]の1/10以下である。
【0034】
上記クリーニング処理の具体例として、例えば、制御部20は、予め求められている第1の電流値[I1]を上限とした範囲において、低い電流値から、段階的に電流値を大きくして、造形プレート13に対してエネルギー線[EB]の照射を行う。具体的な一例として、第1の電流値[I1]が3.0mAである場合、制御部20は、エネルギー線照射部17の制御により、第1段階…0.3mA、第2段階…1.0mA、第3段階…2.0mA、および第4段階…3.0mAの全4段階でエネルギー線(ここでは電子線)の照射を行う。各段階におけるエネルギー線[EB]の照射時間は、各段階について個々に設定された時間であってよく、例えばそれぞれの段階において30秒以下であることとする。
【0035】
また、制御部20は、カバー部材16の開口部16aから露出している造形プレート13の周縁部を除いた中央部をエネルギー線[EB]の照射領域[A1]とし、この照射領域[A1]の範囲において上記各段階の電流値のエネルギー線[EB]を走査させながら照射する。このような照射領域[A1]の範囲は、実験的に求められた領域であって、エネルギー線[EB]を直接照射することなく造形プレート13上の残留粉末100aが除去される周縁部を除く中央部分の範囲であることとする。一例として照射領域[A1]は、カバー部材16の開口部16aの開口径よりも、5~10mm程度小さい直径の範囲であることとする。
【0036】
次に図4のフローチャートに沿って、図6を参照しつつ、上述した本ステップS102におけるクリーニング処理の手順を説明する。
【0037】
[ステップS102-1]
ステップS102-1において、制御部20は、第n段階n=1の処理を実施する。
【0038】
[ステップS102-2]
ステップS102-2において、制御部20は、第n段階(先ずは第1段階)に設定した電流値(先ずは第1段階0.3mA)のエネルギー線[EB]を、造形プレート13の表面に設定した上述の照射領域[A1]に対して、走査しながら照射する。この際、予め設定した例えば30秒以下の時間の間、エネルギー線[EB]の照射を行う。
【0039】
[ステップS102-3]
ステップS102-3において、制御部20は、クリーニング処理を続行するか否かの判断を実施する。この際、制御部20は、入力部21(図1参照)から、クリーニング処理を続行させるための入力が成された場合には、クリーニング処理を続行する(YES)と判断し、次のステップS102-4に進む。これにより、三次元構造体の製造装置1のオペレーターが、減圧チャンバー10の観察窓を介してCCDカメラが撮像した画像を見て、造形プレート13の表面に、残留粉末100aが残っていると判断した場合に、入力部21からの入力によって、クリーニング処理を続行させることができる。
【0040】
一方、制御部20は、入力部21(図1参照)から、クリーニング処理を終了させるための入力が成された場合に、クリーニング処理を続行しない(NO)と判断し、クリーニング処理を終了さる。これにより、三次元構造体の製造装置1のオペレーターが、CCDカメラ画像を見て、造形プレート13の表面に残留粉末100aが有ると判断した場合に、入力部21からの入力によってクリーニング処理を終了させ、次のステップS103に進むことができる。
【0041】
[ステップS102-4]
ステップS102-4において、制御部20は、クリーニング処理におけるエネルギー線[EB]の電流値の段階(第n段階)が、最終段階(例えば第4段階)であるか否かの判断を実施する。そして、最終段階である(YES)と判断した場合には、ステップS102-5に進む。一方、最終段階ではない(NO)と判断した場合には、次のステップS102-6に進む。
【0042】
[ステップS102-5]
ステップS102-5において、制御部20は、入力部21(図1参照)からの入力信号に基づいて、クリーニング処理が良好に行われなくて強制終了させるか否かの判断を実施する。制御部20は、入力部21において、クリーニング処理が良好に行われなくて強制終了させるための入力がなされた(YES)と判断した場合には、クリーニング処理が良好に行われなくて強制終了させる。
【0043】
一方、制御部20は、入力部21において、クリーニング処理が良好に行われていなくて強制終了させるための入力がなされていない(NO)と判断した場合には、ステップS102-2に戻る。これにより、最終段階(第4段階)の電流値でのエネルギー線[EB]の照射が繰り返される。
【0044】
[ステップS102-6]
ステップS102-6において、制御部20は、第n段階n=n+1の処理を実施する。その後は、ステップS102-2に戻り、次の段階の電流値でのエネルギー線[EB]の照射を実施し、ステップS102-3において、クリーニング処理を続行しない(NO)と判断されるまで、以上のステップを繰り返し実施する。そして、ステップS102-3において、クリーニング処理を続行しない(NO)と判断された場合に次のステップS103に進む。
【0045】
なお、制御部20は、上述したステップS102を実施するにあたり、ステップS101とステップS102との間に、入力部21(図1参照)からクリーニング処理を実施するための指示があったか否かの判断を実施してもよい。この場合、制御部20は、指示があった(YES)と判断した場合にのみステップS102を実施し、指示がない(NO)と判断した場合には、ステップS101からステップS103に進めばよい。これにより、三次元構造体の製造装置1のオペレーターが、減圧チャンバー10の外からの目視により、造形プレート13の表面に、残留粉末100aが残っていると判断した場合にのみ、ステップS102のクリーニング処理を実施させることができる。
【0046】
<ステップS103>
図3のフローに戻り、ステップS103において、制御部20は、エネルギー線[EB]の照射による造形プレート13の加熱処理を実施する。図1および図7を参照すると、制御部20は、エネルギー線照射部17の駆動により、造形プレート13の表面が加熱される程度の電流値(第2の電流値[I2])で造形プレート13の表面にエネルギー線[EB]を照射する。これにより、以降に造形プレート13上に供給される粉末100が、以降に実施する仮焼結処理において完全に仮焼結する程度の温度にまで、造形プレート13を予め昇温させておく。
【0047】
このような造形プレート13の加熱処理において照射されるエネルギー線[EB]の第2の電流値[I2]は、造形プレート13を加熱できる程度に高い値とすることができる。このような第2の電流値[I2]は、ステップS102におけるクリーニング処理の際の第1の電流値[I1]よりも高い電流値であり、典型的には第1の電流値[I1]の10倍以上である。
【0048】
またこの加熱処理において制御部20は、造形プレート13の周縁を除いた中央部をエネルギー線[EB]の照射領域とし、その範囲において上記各段階の電流値のエネルギー線[EB]を走査させながら照射する。
【0049】
このような造形プレート13の加熱処理は、段階的に電流値を変更しながら、それぞれの段階に設定した時間でのエネルギー線[EB]の照射を実施してもよい。具体的な一例として、制御部20は、エネルギー線照射部17の制御により、第1段階…35mA、15分、第2段階…15mA、10分、第3段階…63mA、10分、および第4段階53mA、5分の全4段階でエネルギー線(ここでは電子線)の照射を行う。
【0050】
<ステップS104>
ステップS104において、制御部20は、粉末供給装置14および規制板15の駆動に影響のない位置に、カバー部材16を移動させる。
【0051】
<ステップS105>
ステップS105において、制御部20は、ステージ12、粉末供給装置14および規制板15の駆動により粉末層の形成処理を行う。図1および図8を参照すると、制御部20は、先ずステージ駆動部12aの駆動により、ステージ12を所定の高さ[h]だけ降下させ、これにより、ステージ12上の造形プレート13を、形成槽11の上部開口に対して所定の高さ[h]だけ降下させる。次に、制御部20は、粉末供給装置14から造形枠台11a上に所定量の粉末100を供給する。次に、規制板15を造形枠台11aの上面および上部開口に沿って移動させる。これにより、造形プレート13の上部に、高さ[h]で粉末100を敷き詰めた粉末層101を形成する。
【0052】
<ステップS106>
ステップS106において、制御部20はカバー部材16を移動させる。図1および図9を参照すると、制御部20は、形成槽11の内周壁と造形プレート13との間の隙間[d]の上部を覆う位置にカバー部材16を移動させる。これにより、カバー部材16は、粉末層101に接触する状態で配置されることとする。
【0053】
<ステップS107>
ステップS107において、制御部20は、エネルギー線[EB]の照射による粉末層101の仮焼結処理を実施する。引き続き図1および図9を参照すると、制御部20は、エネルギー線照射部17の駆動により、粉末層101が完全に仮焼結する温度にまで昇温する電流値(第3の電流値[I3])で粉末層101にエネルギー線[EB]を照射する。これにより、粉末層101内に仮焼結部102を形成する。このような第3の電流値[I3]は、ステップS102におけるクリーニング処理の際の第1の電流値[I1]よりも高い電流値である。また制御部20は、粉末層101が完全に仮焼結するように設定した時間でのエネルギー線[EB]の照射を実施する。
【0054】
またこの仮焼結処理において、制御部20は、粉末層101に接触する状態で配置されたカバー部材16にエネルギー線[EB]が照射されない程度の広い領域に対して、エネルギー線[EB]を走査させながら照射する。
【0055】
<ステップS108>
ステップS108において、制御部20は、エネルギー線[EB]の照射による粉末層101の溶融処理を実施する。図1および図10を参照すると、制御部20は、あらかじめ保持している三次元構造体の設計データに基づき、設計上の三次元構造体を高さ[h]の間隔でスライスした部分の二次元形状に従った構造体領域にエネルギー線[EB]を照射する。この際、制御部20は、粉末層101における仮焼結部102が溶融する程度の電流値(第4の電流値[I4])でエネルギー線[EB]を照射する。このような第4の電流値[I4]は、ステップS107における仮焼結処理の際の第3の電流値[I3]よりも高い電流値である。
【0056】
以上により、粉末層101の仮焼結部102においてエネルギー線[EB]を照射した構造体領域を溶融させ、溶融部分を凝固させた三次元構造体の板状構造体103を形成する。
【0057】
<ステップS109>
ステップS109において、制御部20は、三次元構造体の製造処理を終了させるか否かの判断を実施する。この場合、制御部20は、三次元構造体の設計データに基づいてこの判断を実施し、板状構造体103の積層によって三次元構造体が完成した場合に、三次元構造体の製造処理が終了した(YES)と判断し、処理を終了させる。一方、制御部20は、三次元構造体の設計データに基づいて、三次元構造体が完成していない場合には、三次元構造体の製造処理を終了しない(NO)と判断し、次のステップS110に進む。
【0058】
<ステップS110>
ステップS110において、制御部20は、エネルギー線[EB]の照射による下地層の加熱処理を実施する。ここで下地層とは、板状構造体103を有する粉末層101である。この際、制御部20は、エネルギー線照射部17の駆動により、粉末層101の表面が加熱される程度の電流値(第5の電流値[I5])でエネルギー線[EB]を照射する。これにより、以降に粉末層101上に供給される粉末100が、以降に実施する仮焼結処理において完全に仮焼結する程度の温度にまで、粉末層101を予め昇温させておく。このような第5の電流値[I5]は、ステップS108における粉末層101の溶融処理の際の第4の電流値[I4]よりも高い電流値である。なお、ステップS108の溶融処理時にはエネルギー線が最も絞られるので、エネルギー線[EB]の電流密度はステップS108の方がステップS110よりも高い。
【0059】
以上の後には、ステップS104に戻り、以降を繰り返すことにより、粉末100が凝固した板状構造体103を積層させた三次元構造体を形成する。
【0060】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、エネルギー線[EB]の照射によって造形プレート13を加熱する前に、エネルギー線[EB]の照射によって造形プレート13のクリーニング処理を実施する。これにより、減圧チャンバー10を大気開放してプロセスを中断することなく、造形プレート13上から残留粉末100aを除去して三次元構造体の製造を開始することが可能になる。
【0061】
また、減圧チャンバー10内を排気する際には、排気速度が速いと減圧チャンバー10内の粉末100が排気流に乗って飛散し、造形プレート13上に付着する場合がある。このような場合であっても、本実施形態によれば、減圧チャンバー10を大気開放することなく、造形プレート13上から残留粉末100aを除去することが可能であるため、減圧チャンバー10内の高速排気が可能となる。この結果、三次元構造体の製造プロセスを短縮することができる。
【0062】
また、エネルギー線[EB]の照射による造形プレート13のクリーニング処理と加熱処理などにおいては、造形プレート13の周囲に露出している未焼結の粉末100をカバー部材16で覆った状態で実施される。このため、エネルギー線[EB]の照射によって造形プレート13から飛散した残留粉末100aに起因し、未焼結の粉末100が舞い上がることを防止しつつ、造形プレート13のクリーニング処理と加熱処理とを実施することが可能である。
【0063】
≪実施形態の変形例≫
図11は、実施形態に係る三次元構造体の製造方法の変形例を示すフローチャートである。この図11に示す変形例の製造方法は、図3に示したフローチャートにおけるステップS102とステップS103との間に、ステップS102aとステップS102bとを追加した方法である。追加したステップS102aおよびステップS102b以外のステップは、図3に示したフローチャートの手順と同様である。このため以下では、追加したステップS102aおよびステップS102bを説明する。
【0064】
<ステップS102a>
ステップS102aにおいて、制御部20は、クリーニング処理を終了させるか否かの判断を実施する。この際、制御部20は、入力部21(図1参照)から、クリーニング処理を終了させるための入力がなされた場合に、クリーニング処理を終了させる(YES)と判断し、クリーニング処理を終了さる。これにより、三次元構造体の製造装置1のオペレーターが、減圧チャンバー10の外からの目視により、造形プレート13の表面に残留粉末100aが無いと判断した場合に、入力部21からの入力によってクリーニング処理を終了させ、次のステップS103に進むことができる。
【0065】
一方、制御部20は、入力部21(図1参照)から、クリーニング処理を続行させるための入力がなされた場合には、クリーニング処理を終了させない(NO)と判断し、ステップS102bに進む。これにより、三次元構造体の製造装置1のオペレーターが、減圧チャンバー10の外からの目視により、造形プレート13の表面に残留粉末100aが残っている判断した場合には、入力部21からの入力によって次のステップS102bのクリーニング処理を実施することができる。
【0066】
<ステップS102b>
ステップS102bにおいて、制御部20は、拡大領域[A2]へのエネルギー線[EB]の照射による造形プレート13の表面のクリーニング処理を実施する。ここで拡大領域[A2]とは、図6を参照すると、ステップS102においての照射領域[A1]を、一回り大きくした領域であり、カバー部材16にエネルギー線[EB]が照射されない程度の広い領域であることとする。
【0067】
このステップS102bにおいて照射するエネルギー線[EB]は、造形プレート13の表面の残留粉末100aを飛散させるが、残留粉末100aの飛散によって粉末100の舞い上がりが発生することのない程度に弱い第1の電流値[I1]を上限値とすることは、ステップ102と同様である。また、段階的に電流値を上昇させてエネルギー線[EB]を照射することも、ステップS102と同様であってよく、図4に示したフローは、ステップS102bのフローでもある。ただし、エネルギー線[EB]の照射の段階数および各段階における電流値は、ステップS102とは別に設定された値であってよい。
【0068】
≪実施形態の変形例の効果≫
以上説明した実施形態によれば、エネルギー線[EB]の照射によって造形プレート13のクリーニング処理を実施した後、さらにエネルギー線[EB]の照射領域を拡大した拡大領域[A2]に対してクリーニング処理が実施される。これにより、最も残留粉末100aが付着し易い造形プレート13の周縁の領域に、直接エネルギー線[EB]を照射したクリーニング処理を実施することが可能であり、より確実に残留粉末100aを除去することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…三次元構造体の製造装置
13…造形プレート
14…粉末供給装置(粉末層形成機構)
15…規制板(粉末層形成機構)
16…カバー部材
16a…凹形状
17…エネルギー線照射部
20…制御部
100…粉末
100a…残留粉末
101…粉末層
102…仮焼結部
[A1]…照射領域(周縁部を除いた領域)
[A2]…拡大領域
[EB]…エネルギー線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11