(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20231222BHJP
B01D 53/48 20060101ALI20231222BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20231222BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20231222BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/48 100
B01D53/50 220
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
(21)【出願番号】P 2020168357
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】504358148
【氏名又は名称】株式会社コベルコE&M
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】前田 基秀
(72)【発明者】
【氏名】岸本 啓
(72)【発明者】
【氏名】重久 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦彦
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-004525(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収液を受け入れ、被処理ガス中の酸性化合物を前記吸収液に吸収させる吸収装置と、
前記吸収装置において前記酸性化合物を吸収した前記吸収液が導入される放散装置と、
前記吸収液に含まれる前記酸性化合物が前記吸収液から放出されるように前記放散装置内の前記吸収液を加熱する加熱部と、
前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前の前記吸収液とにより、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される前の前記吸収液を加熱する多流体熱交換器と、
を備え
、
前記吸収液は、前記酸性化合物を吸収すると二相に分離する吸収液であり、
前記多流体熱交換器は、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される前の前記吸収液の一部であって前記二相に分離したうちの一方が主として流入する第1分流路と、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される前の前記吸収液の他部であって前記二相に分離したうちの他方が主として流入する第2分流路と、を含み、
前記第1分流路において、前記吸収液の前記一部が、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前記吸収液とにより加熱され、
前記第2分流路において、前記吸収液の前記他部が、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前記吸収液とにより加熱されるガス処理装置。
【請求項2】
前記吸収装置には、前記酸性化合物を吸収した前記吸収液が二相に分離した状態で溜まり、
前記第1分流路は、第1リッチ液流路を通して前記吸収装置に接続され、
前記第2分流路は、前記第1リッチ液流路とは別個に設けられた第2リッチ液流路を通して前記吸収装置に接続されている請求項
1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記第1分流路を流れる前記二相に分離した前記一方と前記第2分流路を流れる前記二相に分離した前記他方との間で熱交換がされるように、前記第1分流路と前記第2分流路とが互いに隣接している請求項
1又は
2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
前記多流体熱交換器は、プレート型熱交換器またはシェルアンドチューブ型熱交換器である請求項1~
3のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体であって前記多流体熱交換器に供給される前の流体を圧縮する圧縮機をさらに備えている請求項1~
4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記吸収装置は、前記吸収液を溜めるように構成されたタンクを含み、
前記被処理ガスを前記タンクに流入させるガス供給路は、前記タンク内に溜まった前記吸収液の液面よりも下において前記タンクに接続されている請求項1~
5のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項7】
前記放散装置は、前記酸性化合物を含む前記吸収液を溜めるように構成されたタンクを含み、
前記加熱部は、前記酸性化合物を含み前記タンク内に溜まった前記吸収液を加熱するように構成されている請求項1~
6のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所からの排ガス、又は高炉での副生ガス等の、二酸化炭素(CO2)等の酸性化合物を含有する大容量のガス(CO2含有ガス)から酸性化合物を回収する種々の方法が知られている。この種の回収方法には、例えば、アミン吸収法等の化学吸収法がある。化学吸収法では、アミン水溶液等のアルカリ性水溶液が吸収液として用いられる。この吸収液にCO2含有ガスを接触させると、吸収液にCO2が吸収され、その後、CO2を吸収した吸収液を加熱することにより、吸収液からCO2を放出させることができる。したがって、この放出したCO2を回収することができる。
【0003】
アミン系吸収液を用いた化学吸収法では、二酸化炭素を吸収したアミン液から二酸化炭素を放散させる工程(一般には液の再生工程と呼ばれる)で多量の熱エネルギーが必要であり、分離コストが高額となる一因となっている。吸収液の再生エネルギーを低減する方法としては、プロセス内の余分な熱を回収する方法が一般であり、CO
2吸収塔の塔底に溜まった低温液(リッチ液)とCO
2放散塔の塔底に溜まった高温液(リーン液)とを熱交換させる手法が広く用いられている。また、例えば下記特許文献1に開示された二酸化炭素回収装置では、
図7に示すように、放散塔81から流出したリッチ液をリーン液で加熱する再生熱交換器83に加え、放散塔81から流出した二酸化炭素含有水蒸気でリッチ液を加熱する二酸化炭素発生器85が設けられている。このため、CO
2吸収塔87からのリッチ液を、再生熱交換器83に向かう流路と二酸化炭素発生器85に向かう流路に分流する分流器89が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された回収装置では、リッチ液をリーン液で加熱するだけでなく、二酸化炭素含有水蒸気でも加熱するため、熱回収効率を向上できる。しかしながら、リッチ液を、再生熱交換器83に向かう流路と二酸化炭素発生器85に向かう流路に分流する分流器89が必要であり、しかも、それぞれの流路に流れる流量を最適に設計しなければ、所望の熱回収効率は得られない。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、分流設計を要することなく、リーン液による熱回収と酸性化合物を含む流体による所望の熱回収効率とを得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係るガス処理装置は、吸収液を受け入れ、被処理ガス中の酸性化合物を前記吸収液に吸収させる吸収装置と、前記吸収装置において前記酸性化合物を吸収した前記吸収液が導入される放散装置と、前記吸収液に含まれる前記酸性化合物が前記吸収液から放出されるように前記放散装置内の前記吸収液を加熱する加熱部と、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前の前記吸収液とにより、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される
前の前記吸収液を加熱する多流体熱交換器と、を備え、前記吸収液は、前記酸性化合物を吸収すると二相に分離する吸収液であり、前記多流体熱交換器は、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される前の前記吸収液の一部であって前記二相に分離したうちの一方が主として流入する第1分流路と、前記吸収装置から前記放散装置へ供給される前の前記吸収液の他部であって前記二相に分離したうちの他方が主として流入する第2分流路と、を含み、前記第1分流路において、前記吸収液の前記一部が、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前記吸収液とにより加熱され、前記第2分流路において、前記吸収液の前記他部が、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体と前記放散装置から前記吸収装置へ供給される前記吸収液とにより加熱される。
【0008】
本発明に係るガス処理装置では、放散装置において吸収液が加熱部によって加熱され、吸収液から酸性化合物が放出される。このため、吸収液及び酸性化合物は高温となる。この高温となった吸収液及び酸性化合物を含む流体により、多流体熱交換器において、吸収装置から放散装置へ供給される前の吸収液を加熱する。したがって、放散装置に供給される吸収液の温度を上げることができるため、加熱部による入熱量を抑えることができる。しかも、吸収装置からの吸収液は、酸性化合物を含む流体との熱交換用の流路と、放散装置からの吸収液との熱交換用の流路とに分流されることなく多流体熱交換器に流入する。このため、吸収装置からの吸収液を、酸性化合物を含む流体と熱交換される吸収液と、放散装置からの吸収液と熱交換される吸収液とに分流するための流量調整が不要となる。したがって、所望の熱回収効率を得るための分流設計をする必要がない。
【0010】
しかも、第1分流路及び第2分流路の何れにおいても、酸性化合物を含む流体と放散装置からの吸収液とによって、吸収装置からの吸収液が加熱される。このとき、第1分流路及び第2分流路において、それぞれの流路面積に応じた熱交換量が得られる。
【0012】
さらに、吸収液において二相に分離した一方の伝熱係数と他方の伝熱係数とが異なる場合でも、多流体熱交換器の性能設計が複雑になることを抑制できる。つまり、二相に分離した一方が主として第1分流路に流入するのであれば、第1分流路に流入する吸収液の流量及び温度から第1分流路における熱交換量を推定でき、また、二相に分離した他方が主として第2分流路に流入するのであれば、第2分流路に流入する吸収液の流量及び温度から第2分流路における熱交換量を推定できる。このため、多流体熱交換器の設計を比較的容易に行うことができる。これに対し、二相に分離した一方及び他方が第1分流路及び第2分流路に流入するのであれば、二相に分離した一方と他方の割合が判明しなければ各分流路での熱交換量を推定することは困難になる。この場合、多流体熱交換器の設計は困難になってしまう。
【0013】
前記吸収装置には、前記酸性化合物を吸収した前記吸収液が二相に分離した状態で溜まってもよい。この場合、前記第1分流路は、第1リッチ液流路を通して前記吸収装置に接続されてもよく、前記第2分流路は、前記第1リッチ液流路とは別個に設けられた第2リッチ液流路を通して前記吸収装置に接続されていてもよい。
【0014】
この態様では、吸収装置において吸収液が二相に分離した状態で溜まっていることを利用して、二相に分離した一方を主として第1分流路に流入させるとともに、二相に分離した他方を主として第2分流路に流入させることができる。
【0015】
前記第1分流路を流れる前記二相に分離した前記一方と前記第2分流路を流れる前記二相に分離した前記他方との間で熱交換がされるように、前記第1分流路と前記第2分流路とが互いに隣接していてもよい。
【0016】
吸収液において二相に分離した一方の伝熱係数と他方の伝熱係数とが異なる場合においては、第1分流路を流れる流体と第2分流路を流れる流体とにおいて昇温の程度が異なり得る。この態様では、第1分流路を流れる流体と第2分流路を流れる流体との間で熱交換されるため、第1分流路を流れる流体の温度と第2分流路を流れる流体の温度との差が大きくならないようにすることができる。
【0017】
前記多流体熱交換器は、プレート型熱交換器またはシェルアンドチューブ型熱交換器であってもよい。この態様では、多流体熱交換器を汎用の熱交換器によって構成することができる。
【0018】
前記ガス処理装置は、前記放散装置から放出された前記酸性化合物を含む流体であって前記多流体熱交換器に供給される前の流体を圧縮する圧縮機をさらに備えていてもよい。
【0019】
この態様では、酸性化合物を含む流体を多流体熱交換器に流入する前に昇温させることができるため、多流体熱交換器において、吸収装置から放散装置へ供給される前の吸収液の加熱効率を向上することができる。
【0020】
前記吸収装置は、前記吸収液を溜めるように構成されたタンクを含んでもよい。この場合、前記被処理ガスを前記タンクに流入させるガス供給路は、前記タンク内に溜まった前記吸収液の液面よりも下において前記タンクに接続されていてもよい。
【0021】
この態様では、被処理ガスが吸収液内を浮上することにより、吸収液が撹拌される。したがって、吸収液による被処理ガスの吸収効率を向上することができる。
【0022】
前記放散装置は、前記酸性化合物を含む前記吸収液を溜めるように構成されたタンクを含んでもよい。この場合、前記加熱部は、前記酸性化合物を含み前記タンク内に溜まった前記吸収液を加熱するように構成されていてもよい。
【0023】
この態様では、加熱部がタンク内に溜まった吸収液を加熱することにより、吸収液から酸性化合物が放出される。このとき、酸性化合物が放出されることにより、タンク内に溜まった吸収液の撹拌効果を得ることができる。特に、吸収液が、酸性化合物を吸収すると二相に分離する吸収液である場合には、二相に分離した一方と他方との界面接触を、吸収液の流動によって増大させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、分流設計を要することなく、リーン液による熱回収と酸性化合物を含む流体による所望の熱回収効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係るガス処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態の変形例に係るガス処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図3】第2実施形態に係るガス処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図4】第3実施形態に係るガス処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図5】第4実施形態に係るガス処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図6】(a)(b)多流体熱交換器の構成を概略的に示す図である。
【
図7】従来の二酸化炭素回収装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1に示す第1実施形態に係るガス処理装置10は、アミン系の吸収液を用いた化学吸収法により被処理ガスから酸性化合物を分離する装置である。ガス処理装置10が分離する酸性化合物としては、水溶液が酸性となるものであれば特に限定されないが、例えば塩化水素、二酸化炭素、二酸化硫黄、又は二硫化炭素等が挙げられる。酸性化合物は、水への溶解で酸を生じるガス状の化合物である。
【0028】
図1に示すように、ガス処理装置10は、吸収装置12と、放散装置14と、循環路16と、多流体熱交換器18とを備えている。循環路16は、吸収装置12から吸収液を抜き出して放散装置14に導入させるリッチ液流路21と、放散装置14から吸収液を抜き出して吸収装置12に還流させるリーン液流路22とを含む。
【0029】
吸収装置12は、例えばCO2を含有するガスであるプロセスガス等の被処理ガスを供給するガス供給路24と、処理後のガス(処理ガス)を排出するガス排出路26と、吸収液を放散装置14に送るためのリッチ液流路21と、放散装置14から吸収液を吸収装置12に戻すためのリーン液流路22と、が接続されている。
【0030】
ガス供給路24は、吸収装置12の底部側に位置する下部に接続され、ガス排出路26は、吸収装置12の天部側に位置する上端部に接続されている。リッチ液流路21は、吸収装置12の底部、言い換えると下端部又は下端部近傍に接続されている。すなわち、リッチ液流路21は、吸収装置12内に溜まった吸収液を抜き出すことができる位置に接続されている。リーン液流路22は、吸収装置12の天部、言い換えると上端部又は上端部近傍に接続されている。すなわち、リーン液流路22は、放散装置14から還流された吸収液を上から流下させることができる位置に接続されている。第2流路には、吸収液を冷却する冷却器28が設けられている。なお、冷却器28は省略することが可能である。
【0031】
吸収装置12は、鉛直方向に長い形状に形成され、ガス供給路24を通して導入された被処理ガスと、リーン液流路22を通して導入された低温の吸収液とを接触させる。すなわち、吸収液を吸収装置12の上部から流下させる一方で、被処理ガスを吸収装置12の下部から上方に流動させる。これにより、被処理ガス中の酸性化合物が吸収液に吸収される。酸性化合物が除去された処理ガスはガス排出路26から排出され、酸性化合物を吸収した吸収液(リッチ液)はリッチ液流路21を流れる。
【0032】
吸収装置12は、被処理ガスと吸収液とを連続的に接触させられるものであれば、どのような構成であってもよい。例えば被処理ガスの流路に吸収液を噴霧するように構成されていてもよく、あるいは、被処理ガスの流路に配置される充填剤を伝って吸収液が流下するように構成されていてもよく、あるいは、被処理ガス及び吸収液をそれぞれ多数の微細な流路に導入して被処理ガスの微細流路と吸収液の微細流路とをそれぞれ合流させるように構成されていてもよい。また、吸収装置12は、導入された吸収液を溜めるとともに、この溜められた吸収液に被処理ガスが供給される構成であってもよい。なお、吸収装置12における酸性化合物の吸収は発熱反応である。吸収装置12において発生するこの反応熱は、被処理ガス及び吸収液の温度を上昇させる。
【0033】
放散装置14は、鉛直方向に長い形状に形成され、リッチ液流路21を通して導入された吸収液を流下させるように構成されている。
【0034】
放散装置14には、放散装置14に貯留される吸収液を加熱するための加熱部30が設けられている。放散装置14において加熱部30によって吸収液が加熱されることにより、吸収液から酸性化合物が脱離する。この吸収液からの酸性化合物の脱離は、吸熱反応である。放散装置14は、吸収液を加熱すると、酸性化合物が脱離するだけでなく、吸収液中の水が蒸発する。これらの吸収液及び酸性化合物を含む流体は高温となっている。
【0035】
加熱部30は、処理液が流れる加熱流路32と、加熱流路32に設けられたリボイラ34とを含む。加熱流路32の一端部は、リーン液流路22に接続されているが、放散装置14の底部、言い換えると下端部又は下端部近傍に接続されていてもよい。加熱流路32の他端部は放散装置14の底部側に位置する下部に接続されている。
【0036】
リボイラ34は、放散装置14の内部で吸収液を加熱するよう配設してもよいが、図示するように、放散装置14から外部に抜き出された吸収液を加熱するように構成してもよい。なお、リボイラ34は、例えば電気、蒸気、又はバーナー等任意の熱源により、直接又は間接的に吸収液を加熱するように構成されている。
【0037】
加熱部30は、リボイラ34によって吸収液を加熱する構成に限らず、この構成に代え、あるいはこの構成とともに、吸収装置12で発生した熱を搬送するヒートポンプを備えていてもよい。
【0038】
放散装置14には、吸収液から放出された酸性化合物を含む流体を供給先に供給する供給路38が接続されている。供給路38は、放散装置14内で得られた酸性化合物を供給先に供給するための流路である。供給路38を流れる流体には、吸収液から蒸発した酸性化合物のガスだけでなく、水蒸気も含まれている。供給路38には、これらの混合気体を冷却するコンデンサ40が設けられている。混合気体が冷却されると、水蒸気が凝縮するので、酸性化合物から水蒸気を分離することができる。コンデンサ40としては、川水等の安価な冷却水を用いた熱交換器を用いることができる。分離された水蒸気は、気液分離器42で酸性化合物を含むガスと分離される。環流路44のポンプ45を作動させると、気液分離器42内の凝縮水は、環流路44を通して放散装置14に還流される。
【0039】
放散装置14には、リッチ液流路21とリーン液流路22とが接続されている。リッチ液流路21は、放散装置14の天部側に位置する上部に接続されており、吸収装置12から導出された吸収液(酸性化合物を吸収した後のリッチ液)を放散装置14内に導入させる。リーン液流路22は、放散装置14の底部、言い換えると下端部又は下端部近傍に接続されており、放散装置14から吸収液(酸性化合物を放出した後のリーン液)を導出させる。
【0040】
リッチ液流路21には、ポンプ47と流量調整弁48とが設けられている。ポンプ47は、吸収装置12内の吸収液(リッチ液)が放散装置14へ向かって流れるように吸収液を流動させる。流量調整弁48は、吸収液が吸収装置12と放散装置14との間を適正に循環するようにリッチ液流路21の流量を調整する。
【0041】
リーン液流路22には、ポンプ49と流量調整弁50とが設けられている。ポンプ49は、放散装置14内の吸収液(リーン液)が吸収装置12へ向かって流れるように吸収液を流動させる。流量調整弁50は、リッチ液流路21の流量に応じてリーン液流路22の流量を調整する。
【0042】
多流体熱交換器18は、リッチ液流路21、リーン液流路22、及び供給路38に接続され、リーン液流路22を流れる吸収液(リーン液)と供給路38を流れる流体とにより、リッチ液流路21を流れる吸収液(リッチ液)を加熱するように構成されている。つまり、多流体熱交換器18において、放散装置14に導入される前のリッチ液が加熱される。なお、供給路38を流れる流体は、吸収液から脱離した酸性化合物を含む流体である。
【0043】
多流体熱交換器18は、本実施形態では、プレート型熱交換器によって構成されている。すなわち、多流体熱交換器18では、多数のプレートが重ね合わされていて、隣接プレート間の間隙が、それぞれ流体が流入する流路として機能する。そして、多流体熱交換器18では、リッチ液が流れる流路(低温側流路)56の一方側に隣接するように、リーン液が流れる流路(第1高温側流路)57が設定され、また低温側流路56の他方側に隣接するように、吸収液から脱離した酸性化合物を含む流体が流れる流路(第2高温側流路)58が設定されている。
【0044】
なお、多流体熱交換器18は、プレート型熱交換器に限られるものではなく、
図2に示すように、シェルアンドチューブ型熱交換器によって構成されていてもよい。この構成では、シェル18a内にリッチ液が導入されるように、リッチ液流路21がシェル18aに接続されている。また、シェル18a内には第1の伝熱管18bと第2の伝熱管18cとが配置されている。第1の伝熱管18b内には、リーン液流路22からリーン液が導入され、第2の伝熱管18c内には、供給路38から吸収液から脱離した酸性化合物を含む流体が導入される。そして、シェル18a内のリッチ液は、第1の伝熱管18bを介してリーン液によって加熱されるとともに、第2の伝熱管18cを介して酸性化合物を含む流体に加熱される。
【0045】
吸収液は、酸性化合物を可逆的に吸収脱離することが可能な吸収剤である。吸収液は、例えば、水、アミン化合物、及び有機溶剤を含むアルカリ性の吸収剤である。アミン化合物は30wt%、有機溶剤は60wt%、水は10wt%であってもよい。
【0046】
アミン化合物としては、例えば、2-アミノエタノール(MEA)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(AEE)等の1級アミン、例えば2-(メチルアミノ)エタノール(MAE)、2-(エチルアミノ)エタノール(EAE)、2-(ブチルアミノ)エタノール(BAE)等の2級アミン、又は、例えばトリエタノールアミン(TEA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等の3級アミンなどが挙げられる。
【0047】
有機溶剤としては、例えば1-ブタノール、1-ペンタノール、オクタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDEE)、又は、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)等が挙げられ、複数種を混合して用いてもよい。
【0048】
なお、論文[Hiroshi Machida et al.、“Development of phase separation solvent for CO2 capture by aqueous (amine+ether) solution”、J. Chem. Thermodynamics 113 (2017) 64-70]によると、アミン化合物及び有機化合物の組合せを選択すると、酸性化合物の吸収により酸性化合物の含有率が高い相と酸性化合物の含有率が低い相とに二相分離する吸収液が得られる。
【0049】
アミン化合物及び有機溶剤の組合せを選択すると、酸性化合物の吸収により酸性化合物の含有率が高い相と酸性化合物の含有率が低い相とに二相分離する吸収液となる。アミン化合物及び有機溶剤の組合せによっては、吸収液が酸性化合物を吸収しても二相に分離しない場合や吸収液が酸性化合物を吸収する前から二相に分離する場合もある。ただし、本実施形態においては、吸収液は、酸性化合物を吸収することによって相分離する吸収液に限定されない。
【0050】
ここで、第1実施形態に係るガス処理装置10を使用したガス処理方法について説明する。ガス処理方法は、吸収工程と、送液工程と、再生工程とを含む。
【0051】
吸収工程は、吸収装置12において被処理ガスと吸収液とを接触させる工程である。吸収装置12には、ガス供給路24を通して少なくとも二酸化炭素を含むプロセスガス等の被処理ガスが供給される。また、吸収装置12には、循環路16のリーン液流路22を通して低温の吸収液が導入される。吸収液は、吸収装置12内を流下し、被処理ガスに含まれる二酸化炭素と接触して該二酸化炭素を吸収する。吸収装置12内には、二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)が貯留される。吸収液として相分離する吸収液が用いられている場合には、二酸化炭素と接触した吸収液は、二酸化炭素の含有率が高い第1相部分と二酸化炭素分離の含有率が低い第2相部分とに相分離する。
【0052】
送液工程は、吸収装置12内の吸収液(リッチ液)を吸収装置12から放散装置14に送る工程である。吸収液は、多流体熱交換器18において、リーン液流路22を流れる吸収液(リーン液)及び供給路38を流れる酸性化合物を含む流体によって加熱され、その上で放散装置14内に導入される。したがって、放散装置14にける加熱部30による加熱量を低減することができる。
【0053】
再生工程は、放散装置14内に導入された吸収液を加熱することにより、吸収液から二酸化炭素を分離する工程である。放散装置14内では、吸収液が流下しながら加熱される。吸収液として相分離する吸収液が用いられている場合には、二酸化炭素が脱離することによりまた単一相に戻る。吸収液から分離された二酸化炭素を含む流体は、供給路38を流れ、多流体熱交換器18においてリッチ液を加熱する。多流体熱交換器18を通過した流体は、供給路38において、コンデンサ40によって水蒸気が凝縮する。水蒸気は気液分離器42において分離されるため、吸収液から分離された二酸化炭素のみが供給先に供給される。放散装置14内で二酸化炭素が分離された後の吸収液(リーン液)は、リーン液流路22を流れて吸収装置12に還流する。この途中、リーン液は、多流体熱交換器18において、リッチ液流路21を流れるリッチ液を加熱するので、温度が下がる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、放散装置14において吸収液が加熱部30によって加熱され、吸収液から二酸化炭素が放出される。このため、吸収液(リーン液)及び二酸化炭素は高温となる。この高温となったリーン液及び二酸化炭素を含む流体により、多流体熱交換器18において、吸収装置12から放散装置14へ供給される前のリッチ液を加熱する。したがって、放散装置14に供給されるリッチ液の温度を上げることができるため、加熱部30による入熱量を抑えることができる。しかも、吸収装置12からのリッチ液は、二酸化炭素を含む流体との熱交換用の流路と、放散装置14からの吸収液との熱交換用の流路とに分流されることなく多流体熱交換器18に流入する。このため、リッチ液を、二酸化炭素を含む流体と熱交換されるリッチ液と、放散装置14からのリーン液と熱交換されるリッチ液とに分流するための流量調整が不要となる。したがって、所望の熱回収効率を得るための分流設計をする必要がない。
【0055】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
第2実施形態では、供給路38に配置された圧縮機54が設けられている。圧縮機54は、供給路38における放散装置14と多流体熱交換器18との間に配置されている。圧縮機54は、放散装置14から流出し、酸性化合物を含むガス状の流体であって多流体熱交換器18に供給される前の流体を圧縮する。このため、酸性化合物を含むガス状の流体は、多流体熱交換器18に流入する前に昇温する。
【0057】
したがって、本実施形態では、酸性化合物を含む流体を多流体熱交換器18に流入する前に昇温させることができるため、多流体熱交換器18において、吸収装置12から放散装置14へ供給される前の吸収液の加熱効率を向上することができる。
【0058】
なお、
図3は、多流体熱交換器18がプレート型熱交換器によって構成された例を示しているが、多流体熱交換器18はシェルアンドチューブ型熱交換器によって構成されていてもよい。その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0059】
(第3実施形態)
図4は本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
第3実施形態では、吸収装置12が、吸収液を溜めるように構成されたタンク(吸収側タンク)12aを含み、放散装置14が、酸性化合物を含む吸収液を溜めるように構成されたタンク(放散側タンク)14aを含んでいる。
【0061】
吸収側タンク12aは、吸収液が流下しながら被処理ガスと接触するのではなく、貯留された状態で被処理ガスと接触するように構成されている。このため、吸収側タンク12aは、鉛直方向よりも水平方向に拡がる形状である。吸収側タンク12aは、吸収液を溜める中空状に形成され、ガス供給路24は、吸収側タンク12a内に溜まった吸収液の液面よりも下において吸収側タンク12aに接続されている。
【0062】
放散側タンク14a内では、吸収液が流下しながら徐々に加熱されるのではなく、貯留された状態で加熱される。このため、放散側タンク14aは、鉛直方向よりも水平方向に拡がる形状である。吸収側タンク12aは、吸収液を溜める中空状に形成され、加熱部30は、放散側タンク14a内に溜まった吸収液の液面よりも下側に配置されている。
【0063】
第3実施形態では、第1実施形態のように吸収液が流下しながら被処理ガスと接触するタワー型の吸収装置12とは異なり、吸収液が貯留された状態で被処理ガスと接触する構成の吸収側タンク12aを含む。このため、被処理ガスが吸収液内を浮上することにより、吸収液が撹拌される。したがって、吸収液による被処理ガスの吸収効率を向上することができる。特に、吸収液が、酸性化合物を吸収すると酸性化合物の含有率が高い相(例えばアミン相)と酸性化合物の含有率が低い相(例えばエーテル相)とに二相分離する吸収液である場合には、吸収液が撹拌されることにより、アミン相とエーテル相との相界面の接触効率を向上することができる。これにより、吸収液による被処理ガスの吸収効率を向上できる可能性がある。
【0064】
また第3実施形態では、加熱部30が放散側タンク14a内に溜まった吸収液を加熱することにより、吸収液から酸性化合物が放出される。このとき、酸性化合物が放出されることにより、放散側タンク14a内に溜まった吸収液の撹拌効果を得ることができる。特に、吸収液が、酸性化合物を吸収すると二相分離する吸収液である場合には、二相に分離した一方(例えばアミン相)と他方(例えばエーテル相)との界面接触を、吸収液の流動によって増大させることができる。
【0065】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1及び第2実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0066】
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態を示す。第4実施形態は、酸性化合物を吸収すると二相に分離する吸収液を用いることが前提となっている。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0067】
第3実施形態では、リッチ液流路21において吸収装置12と多流体熱交換器18とを接続する部位が、1つの流路(配管)によって構成されている。これに対し、第4実施形態では、リッチ液流路21において吸収装置12と多流体熱交換器18とを接続する部位が2つの流路(配管)21a,21bによって構成されている。すなわち、リッチ液流路21において吸収装置12と多流体熱交換器18とを接続する部位は、第1リッチ液流路21aと第2リッチ液流路21bとを有している。一方、リッチ液流路21において多流体熱交換器18と放散装置14とを接続する部位は1つの流路(配管)によって構成されている。
【0068】
第1リッチ液流路21aが吸収側タンク12a(吸収装置12)と接続する部位と第2リッチ液流路21bが吸収側タンク12a(吸収装置12)と接続する部位とは、高さ方向において異なっている。例えば、吸収側タンク12aへの第1リッチ液流路21aの接続部位は、第2リッチ液流路21bの接続部よりも位置的に高い。一方、吸収側タンク12a内に溜まっている吸収液は、酸性化合物を吸収することによって、二相に分離している。分離した二相のうち、エーテル相はアミン相よりも軽いため、エーテル相は、アミン相よりも高い位置に溜まる傾向にある。このため、第1リッチ液流路21aには主としてエーテル相が流入し、第2リッチ液流路21bには主としてアミン相が流入する。
【0069】
第1リッチ液流路21a及び第2リッチ液流路21bには、それぞれポンプ47及び流量調整弁48が設けられている。
【0070】
多流体熱交換器18はプレート型熱交換器によって構成されており、隣接するプレート間の間隙によって形成される流路には、リッチ液が流れる流路(低温側流路)56と、リーン液が流れる流路(第1高温側流路)57と、吸収液から脱離した酸性化合物を含む流体が流れる流路(第2高温側流路)58とが含まれている。このうち、低温側流路56には、第1リッチ液流路21aを通してエーテル相が主として流入する第1分流路56aと、第2リッチ液流路21bを通してアミン相が主として流入する第2分流路56bと、が含まれている。
【0071】
第1分流路56a及び第2分流路56bは、
図6(a)に示すように、互いに隣接している。このため、第1分流路56aに流入したエーテル相と第2分流路56bに流入したアミン相との間で熱交換が行われることもある。つまり、エーテル相の伝熱係数とアミン相の伝熱係数との違いにより、両者の昇温速度が異なることもあるため、その場合に、エーテル相とアミン相との間で熱交換が行われる。なお、エーテル相の昇温速度とアミン相との昇温速度とが異なるのは、両者の流量又は比熱等の差異にも起因する。
【0072】
図6(a)は、1つの第1分流路56aと1つの第2分流路56bとが形成されている構成を示しているが、これに限られない。
図6(b)に示すように、複数の第1分流路56aと複数の第2分流路56bとが形成されていてもよい。この場合、第1リッチ液流路21aにヘッダ60が接続されていて、このヘッダ60により、第1リッチ液流路21aを流れたエーテル相が各第1分流路56aに分配される。また、第2リッチ液流路21bにもヘッダ61が接続されていて、このヘッダ61により、第2リッチ液流路21bを流れたアミン相が各第2分流路56bに分配される。
【0073】
したがって、本実施形態では、第1分流路56a及び第2分流路56bの何れにおいても、酸性化合物を含む流体と放散装置14からの吸収液とによって、吸収装置12からの吸収液が加熱される。このとき、第1分流路56a及び第2分流路56bにおいて、それぞれの流路面積に応じた熱交換量が得られる。
【0074】
また本実施形態では、吸収液において二相に分離した両者の流量および物性等が大きく異なる場合でも、多流体熱交換器18の性能設計が複雑になることを抑制できる。つまり、二相に分離した一方が主として第1分流路56aに流入するのであれば、第1分流路56aに流入する吸収液の流量及び温度から第1分流路56aにおける熱交換量を推定でき、また、二相に分離した他方が主として第2分流路56bに流入するのであれば、第2分流路56bに流入する吸収液の流量及び温度から第2分流路56bにおける熱交換量を推定できる。このため、多流体熱交換器18の設計を比較的容易に行うことができる。
【0075】
また本実施形態では、第1リッチ液流路21aが吸収側タンク12a(吸収装置12)と接続する部位と第2リッチ液流路21bが吸収側タンク12a(吸収装置12)と接続する部位とは、高さ方向において異なっている。このため、吸収装置12において吸収液が二相に分離した状態で溜まっていることを利用して、二相に分離した一方を主として第1分流路56aに流入させるとともに、二相に分離した他方を主として第2分流路56bに流入させることができる。
【0076】
また本実施形態では、第1分流路56aを流れる流体と第2分流路56bを流れる流体との間で熱交換されるため、第1分流路56aを流れる流体の温度と第2分流路56bを流れる流体の温度との差が大きくならないようにすることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、多流体熱交換器18がプレート型熱交換器によって構成された例を示しているが、多流体熱交換器18はシェルアンドチューブ型熱交換器によって構成されてもよい。この場合、シェル18a内の空間が2つに分けられ、一方の空間が第1分流路56aとして機能し、他方の空間が第2分流路56bとして機能する。
【0078】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、多流体熱交換器18は、単一の熱交換器によって構成されていてもよく、複数の熱交換部を備えた構成であってもよい。複数の熱交換部を備えた構成では、各熱交換部が低温側流路56と第1高温側流路57と第2高温側流路58とを備えた構成となる。そして、1つの熱交換部における低温側流路56が第1分流路56aとして機能し、他の1つの熱交換部における低温側流路56が第2分流路56bとして機能する。
【符号の説明】
【0080】
10 :ガス処理装置
12 :吸収装置
12a :吸収側タンク
14 :放散装置
14a :放散側タンク
18 :多流体熱交換器
21 :リッチ液流路
21a :第1リッチ液流路
21b :第2リッチ液流路
22 :リーン液流路
30 :加熱部
38 :供給路
54 :圧縮機
56a :第1分流路
56b :第2分流路