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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/24 20060101AFI20231222BHJP
   A01F 12/28 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
A01F12/24
A01F12/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020185876
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075220
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】実公昭38-005734(JP,Y2)
【文献】実開平03-050829(JP,U)
【文献】米国特許第05489239(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/24
A01F 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸心周りで回転可能な扱胴と、
前記扱胴の周囲に設けられる受網と、
前記扱胴を支持する脱穀フレームと、を備えている脱穀装置であって、
前記受網の上端部に設けられる当接部と、
前記脱穀フレームに設けられる被当接部と、を備え、
前記当接部が前記被当接部に当接することにより、前記受網が前記扱胴の周方向に移動することが規制され
前記当接部は前記脱穀フレームに連結されていない脱穀装置。
【請求項2】
前記当接部が前記被当接部に当接することにより、前記受網が前記扱胴の径方向に移動することが規制される請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記受網は、格子状の受網本体部を有し、
前記当接部は、前記受網本体部よりも前記扱胴の径方向外側で、前記被当接部に当接するように構成されている請求項1又は2に記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記受網の上端部と前記当接部との間及び前記脱穀フレームと前記被当接部との間のうち少なくとも何れかに、前記当接部と前記被当接部との相対位置を調整する調整機構が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記調整機構は、前記脱穀フレームと前記被当接部との間に設けられている請求項4に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記受網は、格子状の受網本体部と、前記受網本体部の上端部を支持する枠部と、を有し、
前記当接部は、前記枠部に設けられている請求項1から5の何れか一項に記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記当接部及び前記被当接部は、夫々、前記回転軸心方向に間隔をあけて複数設けられている請求項1から6の何れか一項に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置として、例えば、特許文献1に記載の脱穀装置が知られている。特許文献1に記載の脱穀装置には、回転軸心(文献では「回転軸芯〔Y1〕」)周りで回転可能な扱胴(文献では「扱胴〔11〕」)と、扱胴の周囲に設けられる受網(文献では「受網〔27〕」)と、扱胴を支持する脱穀フレーム(文献では「可動壁〔55〕等」)と、が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-65475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の脱穀装置では、長期間の使用によって受網が変形すると、受網の上端部と脱穀フレームとの間に隙間が生じ易い。そして、受網の上端部と脱穀フレームとの隙間が大きくなると、受網が扱胴の周方向に位置ずれしてがたつき易い。
【0005】
上記状況に鑑み、受網が扱胴の周方向に位置ずれしてがたつくのを起こり難くする脱穀装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、回転軸心周りで回転可能な扱胴と、前記扱胴の周囲に設けられる受網と、前記扱胴を支持する脱穀フレームと、を備えている脱穀装置であって、前記受網の上端部に設けられる当接部と、前記脱穀フレームに設けられる被当接部と、を備え、前記当接部が前記被当接部に当接することにより、前記受網が前記扱胴の周方向に移動することが規制され、前記当接部は前記脱穀フレームに連結されていないことにある。
【0007】
本特徴構成によれば、当接部が被当接部に当接することにより、受網が扱胴の周方向に移動することが規制されることになる。これにより、受網の上端部と脱穀フレームとの隙間が大きくなっても、受網が扱胴の周方向に位置ずれし難い。すなわち、受網が扱胴の周方向に位置ずれしてがたつくのを起こり難くする脱穀装置を実現することができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記当接部が前記被当接部に当接することにより、前記受網が前記扱胴の径方向に移動することが規制されると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、当接部が被当接部に当接することにより、受網が扱胴の径方向に移動することが規制されることになる。これにより、受網が扱胴に接触して受網が損傷するのを防止することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記受網は、格子状の受網本体部を有し、前記当接部は、前記受網本体部よりも前記扱胴の径方向外側で、前記被当接部に当接するように構成されていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、当接部及び被当接部が受網本体部と扱胴との間で当接しないことになる。これにより、当接部及び被当接部が扱胴による扱き処理を阻害することがない。
【0012】
さらに、本発明において、前記受網の上端部と前記当接部との間及び前記脱穀フレームと前記被当接部との間のうち少なくとも何れかに、前記当接部と前記被当接部との相対位置を調整する調整機構が設けられていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、長期間の使用によって受網が変形して、当接部と被当接部との隙間が大きくなっても、調整機構によって当接部と被当接部との相対位置を調整することにより、当接部を被当接部に確実に当接させることができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記調整機構は、前記脱穀フレームと前記被当接部との間に設けられていると好適である。
【0015】
脱穀フレームは、剛性の高い構造体である。本特徴構成によれば、調整機構によって当接部に対する被当接部の位置が調整された状態で、当接部と被当接部との相対位置関係が維持されるように、被当接部を脱穀フレームによってしっかりと支持することができる。
【0016】
さらに、本発明において、前記受網は、格子状の受網本体部と、前記受網本体部の上端部を支持する枠部と、を有し、前記当接部は、前記枠部に設けられていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、当接部が受網本体部に設けられていないため、当接部が受網本体部による穀粒の漏下を阻害することがない。
【0018】
さらに、本発明において、前記当接部及び前記被当接部は、夫々、前記回転軸心方向に間隔をあけて複数設けられていると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、当接部と被当接部とが回転軸心方向における複数箇所で当接することになる。これにより、受網が扱胴の周方向に位置ずれするのを確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインを示す左側面図である。
図2】脱穀装置を示す左側面断面図である。
図3】脱穀部を示す正面断面図である。
図4】当接ステー及び被当接ステーの平面配置を示す図である。
図5】当接ステー及び被当接ステーを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」とする。
【0022】
〔コンバインの全体構成〕
図1には、自脱型コンバインを示している。本コンバインには、走行機体1が備えられている。走行機体1には、機体フレーム2と、機体フレーム2を支持するクローラ走行装置3と、が備えられている。走行機体1の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部4が設けられている。走行機体1の前部には、運転部5が設けられている。運転部5の下方には、エンジンEが設けられている。
【0023】
刈取部4の後方には、刈取穀稈を脱穀して脱穀処理物を選別する脱穀装置6が設けられている。脱穀装置6の左側部には、刈取穀稈を搬送するフィードチェーン7が設けられている。脱穀装置6は、走行機体1において、左側に配置されている。脱穀装置6の右隣には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク8が設けられている。穀粒貯留タンク8には、穀粒貯留タンク8内の穀粒を排出する穀粒排出装置9が接続されている。
【0024】
〔脱穀装置〕
図2及び図3に示すように、脱穀装置6には、刈取穀稈を脱穀する脱穀部10と、脱穀部10の下方に設けられ、脱穀処理物を選別する選別部11と、が備えられている。脱穀部10には、機体前後方向に沿って延びる回転軸心Y1周りで回転可能な扱胴12と、扱胴12を収容する扱室13と、扱胴12の周囲に設けられる受網14と、脱穀処理物を拡散させながら切れ藁と穀粒とを分離する分離ドラム15と、塵埃を外部に排出する排塵ファン16と、が備えられている。
【0025】
扱胴12には、略円筒形状の扱胴ドラム17と、扱胴ドラム17の外周部に取り付けられる多数の扱歯18と、扱胴ドラム17を支持する扱胴軸19と、が備えられている。扱胴ドラム17は、扱胴軸19と回転軸心Y1周りで一体回転可能なように、扱胴軸19に支持されている。
【0026】
扱胴12と受網14との間には、刈取穀稈が扱き処理される扱処理空間20が形成されている。扱胴12が回転軸心Y1周りで矢印方向(図3参照)に回転することにより、刈取穀稈が扱処理空間20で扱き処理されることになる。
【0027】
選別部11には、穀粒を揺動選別する揺動選別装置21と、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕22と、揺動選別装置21の下方に設けられ、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部23と、揺動選別装置21の下方に設けられ、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部24と、が備えられている。
【0028】
一番回収部23には、一番物の穀粒を右方に搬送する一番スクリュ25が備えられている。一番回収部23の右端部には、一番スクリュ25からの一番物の穀粒を穀粒貯留タンク8に向けて揚穀する揚穀装置26が接続されている。二番回収部24には、二番物の穀粒を右方に搬送する二番スクリュ27が備えられている。二番回収部24の右端部には、二番スクリュ27からの二番物の穀粒を揺動選別装置21に還元する二番還元装置28が接続されている。
【0029】
〔脱穀フレーム〕
図2及び図3に示すように、扱胴12を支持する脱穀フレーム29が設けられている。脱穀フレーム29は、機体前後方向に沿って延びる揺動軸心Y2周りで扱胴12と共に上下揺動可能に構成されている。揺動軸心Y2は、回転軸心Y1方向に沿って延びている。脱穀フレーム29には、前後の側板30と、扱室ガイド31と、が備えられている。
【0030】
前後の側板30には、扱胴軸19が回転可能に支持されている。扱胴軸19は、前後の側板30に亘って設けられている。
【0031】
扱室ガイド31は、扱胴12に連れ回る切れ藁を案内するように構成されている。扱室ガイド31は、前後の側板30に亘って設けられている。扱室ガイド31は、扱室13の右上部において、受網14の上端部に隣接する状態で設けられている。扱室ガイド31には、扱胴12に連れ回る切れ藁を切断する切断刃32が回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数設けられている。扱室ガイド31には、プレート31aが回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0032】
〔受網〕
図3及び図4に示すように、受網14は、扱胴12の周方向に並ぶ二つの網体33を有し、かつ、二つの網体33に扱胴12の周方向に分割可能に構成されている。網体33として、機体横外側(左側)となる手前側に位置する手前側網体34と、機体横内側(右側)となる奥側に位置する奥側網体35と、が備えられている。受網14の前後両端部の夫々は、受網ガイドフレーム(図示省略)に支持されている。前記受網ガイドフレームは、受網14の外周に沿うように、正面視で略円弧形状に形成されている。なお、本実施形態では、受網14(手前側網体34、奥側網体35)は、回転軸心Y1方向に分割可能に構成されていない。
【0033】
手前側網体34及び奥側網体35は、着脱可能に構成されている。脱穀フレーム29を揺動軸心Y2周りで扱胴12と共に上昇揺動させた状態で、脱穀装置6の左方から手前側網体34及び奥側網体35の着脱を行うことができる。受網14において、奥側網体35のうち手前側網体34とは反対側の端部(上端部)の方が手前側網体34のうち奥側網体35とは反対側の端部よりも高い高さ位置に位置している。
【0034】
手前側網体34には、複数の桟部材36と、多数の線状部材37と、端部フレーム38と、端部フレーム39と、が備えられている。複数の桟部材36及び多数の線状部材37によって、格子状の手前側網体本体部34Aが構成されている。
【0035】
桟部材36は、回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数設けられている。桟部材36は、回転軸心Y1方向視で略円弧形状に形成されている。線状部材37は、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で複数の桟部材36に亘って設けられている。線状部材37は、金属製の線状部材(例えば、超硬ピアノ線)によって構成されている。
【0036】
端部フレーム38は、手前側網体34のうち奥側網体35側の端部に、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で設けられている。端部フレーム38は、手前側網体本体部34Aのうち奥側網体35側の端部を支持している。端部フレーム38は、断面形状が略C字形状の部材によって構成されている。端部フレーム38には、手前側網体34と奥側網体35とを連結(端部フレーム38と、後述する端部フレーム42とを連結)するための連結ピン38aが、回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0037】
端部フレーム39は、手前側網体34のうち奥側網体35とは反対側の端部に、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で設けられている。端部フレーム39は、手前側網体本体部34Aのうち奥側網体35とは反対側の端部を支持している。端部フレーム39は、断面形状が略C字形状の部材によって構成されている。
【0038】
奥側網体35には、複数の桟部材40と、多数の線状部材41と、端部フレーム42と、端部フレーム43(本発明に係る「枠部」に相当)と、が備えられている。複数の桟部材40及び多数の線状部材41によって、格子状の奥側網体本体部35A(本発明に係る「受網本体部」に相当)が構成されている。奥側網体35の前部には、穀粒が漏下しないように、奥側網体35を塞ぐ塞ぎ板44が設けられている。
【0039】
桟部材40は、回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数設けられている。桟部材40は、回転軸心Y1方向視で略円弧形状に形成されている。線状部材41は、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で複数の桟部材40に亘って設けられている。線状部材41は、金属製の線状部材(例えば、超硬ピアノ線)によって構成されている。
【0040】
端部フレーム42は、奥側網体35のうち手前側網体34側の端部に、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で設けられている。端部フレーム42は、奥側網体本体部35Aのうち手前側網体34側の端部を支持している。端部フレーム42は、断面形状が略C字形状の部材によって構成されている。端部フレーム42には、複数の連結ピン38aに対応する各位置に、連結ピン38aが差し込まれるピン孔(図示省略)が形成されている。連結ピン38aが前記ピン孔に差し込まれることにより、手前側網体34と奥側網体35とが連結(端部フレーム38と端部フレーム42とが連結)されることになる。
【0041】
端部フレーム43は、奥側網体35の上端部に、回転軸心Y1方向に沿って延びる状態で設けられている。端部フレーム43は、奥側網体本体部35Aのうち手前側網体34とは反対側の端部(上端部)を支持している。端部フレーム43は、断面形状が略C字形状の部材によって構成されている。
【0042】
〔当接ステー〕
図3から図5に示すように、奥側網体35の上端部には、当接ステー45(本発明に係る「当接部」に相当)が設けられている。当接ステー45は、端部フレーム43の開口部内に設けられている。当接ステー45は、端部フレーム43から扱胴12の径方向外側に向かって突出する状態で端部フレーム43に固定(本実施形態では、溶接固定)されている。
【0043】
当接ステー45は、回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、三つ)設けられている。具体的には、奥側網体35における回転軸心Y1方向の中心C1に対して、前側に一つの当接ステー45が配置され、後側に二つの当接ステー45が配置されている。最前端に位置する当接ステー45と前後中間に位置する当接ステー45との間隔D1は、前後中間に位置する当接ステー45と最後端に位置する当接ステー45との間隔D2よりも長い。
【0044】
〔被当接ステー〕
図3から図5に示すように、扱室ガイド31には、被当接ステー46(本発明に係る「被当接部」に相当)が設けられている。被当接ステー46は、プレート31aに沿う状態でプレート31aにボルト47によって固定されている。すなわち、被当接ステー46は、着脱可能に構成されている。
【0045】
被当接ステー46は、回転軸心Y1方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、三つ)設けられている。具体的には、奥側網体35における回転軸心Y1方向の中心C1に対して、前側に一つの被当接ステー46が配置され、後側に二つの被当接ステー46が配置されている。最前端に位置する被当接ステー46と前後中間に位置する被当接ステー46との間隔D1は、前後中間に位置する被当接ステー46と最後端に位置する被当接ステー46との間隔D2よりも長い。
【0046】
〔調整機構〕
図5に示すように、当接ステー45と被当接ステー46との相対位置を調整する調整機構48が設けられている。本実施形態では、調整機構48は、扱室ガイド31(プレート31a)と被当接ステー46との間に設けられている。調整機構48には、被当接ステー46に形成された長孔46aと、長孔46aに挿通され、被当接ステー46をプレート31aに固定するボルト47と、が備えられている。
【0047】
被当接ステー46が長孔46aの範囲内で移動することにより、被当接ステー46が当接ステー45に対して近接又は離間することになる。すなわち、当接ステー45と被当接ステー46との相対位置が調整されることになる。
【0048】
〔受網の移動規制の態様〕
図3に示すように、当接ステー45が被当接ステー46に当接すると、奥側網体35が回転軸心Y1周りで矢印A1の方向(扱胴12の周方向上側)にこれ以上移動することがない。すなわち、当接ステー45が被当接ステー46に当接することにより、奥側網体35が扱胴12の周方向に移動することが規制される。
【0049】
ここで、当接ステー45と被当接ステー46との当接箇所Pは、奥側網体本体部35Aよりも径方向外側に位置している。すなわち、当接ステー45は、奥側網体本体部35Aよりも径方向外側で、被当接ステー46に当接するように構成されている。当接箇所Pに接する直線L1は、回転軸心Y1に対して上側に位置している。
【0050】
また、奥側網体35が連結ピン38aを支点にして扱胴12の径方向内側に倒れようとしても、当接ステー45が被当接ステー46に当接することにより、奥側網体35が扱胴12の径方向内側に移動することが規制される。ここで、奥側網体35が連結ピン38aを支点にして扱胴12の径方向内側に倒れようとする場合において、連結ピン38aと当接箇所Pとを結ぶ直線をL2とすると、当接ステー45が被当接ステー46に当接することにより、扱胴12の径方向内側であって直線L2に対して垂直(角度αが90度)な方向(矢印A2の方向)への奥側網体35の移動が規制される。なお、受網14(手前側網体34、奥側網体35)の扱胴12の径方向外側への移動は、前記受網ガイドフレームによって規制されている。
【0051】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、当接ステー45が被当接ステー46に当接することにより、奥側網体35が扱胴12の径方向内側に移動することが規制される。しかし、当接ステー45が被当接ステー46に当接することにより、奥側網体35が扱胴12の周方向に移動することが規制されれば、奥側網体35が扱胴12の径方向内側に移動することが規制されなくてもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、調整機構48は、扱室ガイド31と被当接ステー46との間に設けられている。しかし、調整機構48は、調整機構48を扱室ガイド31と被当接ステー46との間に設けることに代えて、あるいは、調整機構48を扱室ガイド31と被当接ステー46との間に設けることに加えて、奥側網体35の上端部(端部フレーム43)と当接ステー45との間に設けられていてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、当接ステー45は、端部フレーム43に溶接固定されている。しかし、当接ステー45は、端部フレーム43にボルト固定されていてもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、被当接ステー46は、扱室ガイド31にボルト固定されている。しかし、被当接ステー46は、扱室ガイド31に溶接固定されていてもよい。
【0055】
(5)上記実施形態では、当接ステー45及び被当接ステー46は、夫々、回転軸心Y1方向に間隔をあけて三つ設けられている。しかし、当接ステー45及び被当接ステー46は、夫々、回転軸心Y1方向に間隔をあけて二つ又は四つ以上設けられていてもよい。あるいは、当接ステー45及び被当接ステー46は、夫々、一つだけ設けられていてもよい。
【0056】
(6)上記実施形態では、受網14は、扱胴12の周方向に並ぶ二つの網体33を有し、かつ、二つの網体33に扱胴12の周方向に分割可能に構成されている。しかし、受網14は、扱胴12の周方向に並ぶ三つ以上の網体33を有し、かつ、三つ以上の網体33に扱胴12の周方向に分割可能に構成されていてもよい。あるいは、受網14は、扱胴12の周方向に分割可能に構成されていなくてもよい。
【0057】
(7)上記実施形態では、受網14は、回転軸心Y1方向に分割可能に構成されていない。しかし、受網14は、回転軸心Y1方向に分割可能に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、自脱型コンバインの脱穀装置の他、全稈投入型コンバインの脱穀装置にも利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
6 脱穀装置
12 扱胴
14 受網
29 脱穀フレーム
35A 奥側網体本体部(受網本体部)
43 端部フレーム(枠部)
45 当接ステー(当接部)
46 被当接ステー(被当接部)
48 調整機構
Y1 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5