(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】天然ゴムからのカーボンナノチューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/16 20170101AFI20231222BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20231222BHJP
C08C 1/02 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C01B32/16
B01J23/755 M
C08C1/02
(21)【出願番号】P 2020517571
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 SG2018050491
(87)【国際公開番号】W WO2019066727
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】10201707943S
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】リン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ユアンティン カレン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,ホイ テン カサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ツィイー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジー ジョン
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102491308(CN,A)
【文献】国際公開第2011/030821(WO,A1)
【文献】特表2016-501305(JP,A)
【文献】特開2009-184871(JP,A)
【文献】国際公開第2009/081362(WO,A1)
【文献】特開2007-070224(JP,A)
【文献】Y. ZHANG et al.,Carbon nanotubes and hydrogen production from the pyrolysis catalysis or catalytic-steam reforming of waste tyres,JOURNAL OF ANALYTICAL AND APPLIED PYROLYSIS,2016年10月27日,vol. 122,p.490-501
【文献】Y. ZHANG et al.,High-value resource recovery products from waste tyres,PROCEEDINGS OF THE INSTITUTION OF CIVIL ENGINEERS,2016年04月22日,vol. 169, no. WR3,p. 137-145
【文献】M. Aksak et al.,Carbon nanotube diameter tuning using hydrogen amount and temperature on SiO2/Si substrate,App. Phys. A,2010年,p.213-222
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
B01J 23/755
C08C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムからカーボンナノチューブを合成する方法であって、
天然ゴム
からなる第1の材料を提供すること、
前記第1の材料を第1の温度で中間材料に熱分解すること、
前記中間材料を触媒と接触させること、
カーボンナノチューブを形成するために、触媒と接触している前記中間材料を第2の温度で熱処理すること、及び
フレッシュ触媒を製造するために使用済みの前記触媒をリサイクルすること、を含み、
前記第1の温度が、200℃~500℃から選択され、
前記第1の材料を熱分解するステップが、第1の場所で実施され、前記第1の場所が、第1の炉内又は前記第1の炉のセクション内であり、
前記中間材料を熱処理するステップが、第2の場所で実施され、前記第2の場所が第2の炉又は前記第1の炉の第2のセクションから選択され、
前記触媒が、前記第2の場所で触媒前駆体として提供され、前記第2の場所で前記触媒に変換される、方法。
【請求項2】
(i)前記第1の材料を熱分解するステップ及び(ii)前記中間材料を熱処理するステップの少なくとも1つが、フォーミングガス下で実施され、前記フォーミングガスが、ガス流として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス流が、前記第1の場所から前記第2の場所までであり、それにより、前記中間材料を前記第1の場所から前記第2の場所まで搬送することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の温度が、600℃~800℃から選択される、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
反応の残渣から前記カーボンナノチューブを分離すること、をさらに含む、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記触媒を形成すること、をさらに含み、前記触媒を形成する方法は、溶液又はゲルを形成すること、を含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも第1の成分の硝酸塩の形態の第1の成分及び錯化剤が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の成分が、遷移金属及び/又は混合金属である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも第2の成分の硝酸塩の形態の第2の成分が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用される、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の成分が、Al、Si、Mg、La、それらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも第1の成分の硝酸塩の形態の第1の成分及び錯化剤が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用され、
前記溶液又は前記ゲルを、乾燥、及び焼成して焼成物を得ること、及び
元素状態の前記第1の成分を粒子として放出するために、前記焼成物を還元すること、をさらに含む、請求項7から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも第1の成分の硝酸塩の形態の第1の成分及び錯化剤が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用され、
前記溶液又は前記ゲルを、乾燥、及び焼成して焼成物を得ること、及び
元素状態の前記第1の成分を粒子として放出するために、前記焼成物を還元すること、をさらに含み、
前記第2の成分が、焼成中に酸化物に変換される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
乾燥中に採用される乾燥温度が、60℃~120℃から選択される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
焼成中に採用される焼成温度が、500℃~800℃から選択される、請求項11から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
還元ステップが、水素ガスの存在下で実施される、請求項11から14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
還元ステップ中の温度が、650℃~800℃である、請求項11から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記
天然ゴムが、ラテックス、凝固ラテックスの1つ以上である、請求項1から16のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年9月27日に出願されたシンガポール出願番号第10201707943S号の優先権の利益を主張し、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の様々な態様は、天然ゴムからカーボンナノチューブを合成する方法に関係し得る。本開示の様々な態様は、上記合成方法によって製造されて得られるナノチューブの平均特性を調整するための調整方法に関係し得る。
【背景技術】
【0003】
1次元カーボンナノ材料は、その独特の機械的及び物理的特性により、重要な産業用途を持っている。例えば、カーボンナノファイバーは、航空宇宙、ハイエンドスポーツ、及び工業製品で広く使用されている。カーボンナノチューブ(CNT)は、カーボンナノファイバーよりも強く、軽く、導電性が高いもう1つのタイプの1次元カーボンナノ材料である。CNTは、有機太陽電池の必須構成要素である透明電極として、Liイオン電池の電極、スーパーキャパシタ、電界効果トランジスタ、触媒などとして、幅広い用途がある。様々なCNTグレードの世界市場は、2011年には1億9,200万ドルであった。2016年までの売上高は5億2,700万ドルと推定された。2016年の中国の生産量は約3000メートルトンであった。現在、CNTの従来の合成方法は、活性金属触媒上での化石燃料、主にガス状炭化水素(CH4、C2H4、C2H2など)の熱分解によるものである。しかし、化石燃料を使用したCNTの合成は限られた資源に依存しているため、持続可能ではない。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態は、以下では合成方法とも呼ばれる、天然ゴムからカーボンナノチューブを合成する方法を提供することができる。この方法は、第1の材料を提供することを含み得、第1の材料は、天然ゴム又はその誘導体を含み得る。この方法は、第1の材料を第1の温度で熱分解して中間材料にすることをさらに含み得る。この方法は、中間材料を触媒と接触させることをさらに含み得る。この方法は、カーボンナノチューブを形成するために、第2の温度で触媒と接触している中間材料を熱処理することをさらに含み得る。
【0005】
様々な実施形態は、合成方法によって製造されて得られるナノチューブの平均特性を調整するための調整方法を提供することができる。調整方法は、合成方法を参照方法として実施することを含み得、調整方法は、ナノチューブの平均直径を減少させるために、参照方法に関連して、第2の温度を低下させること、及び/又は反応時間を減少させること、及び/又はフォーミングガス中のH2濃度を増加させることを含み得る。或いは、調整方法は、合成方法を参照方法として実施することを含み得、調整方法は、ナノチューブの平均直径を増加させるために、参照方法に関連して、第2の温度を上昇させること、及び/又は反応時間を増加させること、及び/又はフォーミングガス中のH2濃度を減少させることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、非限定的な実施例及び添付の図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照してよりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、様々な実施形態による、カーボンナノチューブを合成する方法100を示す概略図を示す。
【
図2】
図2は、様々な実施形態による、触媒を形成するためのプロセス200を示す概略図を示す。
【
図3】
図3は、様々な実施形態による、第1の材料の分解、第1の材料の熱処理、触媒前駆体の焼成、触媒前駆体の還元の少なくとも1つを実施するための例示的な反応器300の概略図を示す。
【
図4】
図4は、天然ゴムの熱重量分析(TGA)の結果を含むプロット400を示す。
【
図5】
図5は、様々な実施形態による、バルク形態での、並びに異なる還元時間後及び温度の触媒の様々なサンプルのX線回折(XRD)プロットを示す。
【
図6】
図6は、様々な実施形態による、異なる温度で還元された触媒の様々なサンプルの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図7】
図7は、様々な実施形態による、異なる還元時間後の触媒の様々なサンプルの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図8】
図8は、様々な実施形態による、第1の実施例で得られたCNTの走査型電子顕微鏡(SEM)画像及びTEM画像を示す。
【
図9】
図9は、様々な実施形態による、第2の実施例で得られたCNTの走査型電子顕微鏡(SEM)画像及びTEM画像を示す。
【
図10】
図10は、様々な実施形態による、第3の実施例で得られたCNTの走査型電子顕微鏡(SEM)画像及びTEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の詳細及び実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的及び論理的な変更を行うことができる。様々な実施形態が相互に排他的である必要はなく、いくつかの実施形態は、1つ以上の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成することができる。
【0008】
一実施形態の文脈で説明される特徴は、他の実施形態の同じ又は類似の特徴に対応して適用可能であり得る。一実施形態の文脈で説明される特徴は、これらの他の実施形態で明示的に説明されていなくても、対応して他の実施形態に適用可能であり得る。さらに、一実施形態の文脈における特徴について説明される追加及び/又は組み合わせ及び/又は代替は、他の実施形態における同じ又は類似の特徴に対応して適用可能であり得る。
【0009】
様々な実施形態の文脈において、特徴又は要素に関して使用される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、その特徴又は要素の1つ以上への参照を含む。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0011】
本開示の様々な態様は、触媒(例えば、遷移金属触媒)のゲル、例えば、ゾル-ゲル又は溶液調製を含む固体天然ゴムから直接カーボンナノチューブを合成する方法、並びにゴムの分解及びCNT成長のための2段階プロセスに関係し得る。天然ゴム、又は天然ゴムの廃棄物は、CNTを形成するための炭素源として使用され得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、様々な実施形態によれば、温度や期間などの所与の数値に関連して用語「約」は、特定の所与の数値の+/-10%以内の数値を含み、かつ、特定の所与の数値を含むことを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、様々な実施形態によれば、用語「実質的」及びその派生語は、総重量の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%として定義される。例えば、「実質的に天然ゴムを含む」とは、総重量の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%が天然ゴムであることを意味し得る。
【0014】
様々な実施形態によれば、第1の材料は、天然ゴム又はその誘導体を実質的に含み得、或いはそれらからなり得る。様々な実施形態において、天然ゴムは、植物、好ましくは樹木から、かつ、硫黄が添加される前の処理段階から得られるラテックスを指し得る。したがって、様々な実施形態によれば、天然ゴムは、例えば、樹木からの天然ラテックスの採集と、硫黄が添加される前、例えば、加硫ステップの前との間の天然ゴムの処理ステップから得ることができる。例えば、ラテックスは凝固ラテックスであり得る。天然ゴムはまた、好ましくはパラゴムノキ由来の天然ゴムラテックスを指し得る。様々な実施形態において、天然ゴム又はその誘導体中の水分濃度は、1重量%未満であり得る。様々な実施形態において、第1の材料は、10重量%未満の加硫ゴムを含み得る。様々な実施形態において、第1の材料の水分濃度は、1重量%未満であり得る。例えば、天然ゴム含有材料は、第1の材料として提供される前に乾燥され得る。第1の材料は、天然ゴムの処理から得られる廃棄物であり得、又は単に「天然ゴム廃棄物」であり得、例えば、ラテックス、凝固ラテックスから選択され得る。一実施例では、天然ゴム又はその誘導体は、ラテックス、凝固ラテックス、天然ゴム廃棄物、硫黄を除去するために処理された(天然ゴムからの)リサイクルゴムの1つ以上から選択され得る。
【0015】
天然ゴムの主成分はポリイソプレンであり、タンパク質、天然脂質、無機化合物などの不純物を少量含む。ポリイソプレンは繰り返しイソプレン分子の長い鎖からなる。ゴム中のポリイソプレンのモル質量は、約50,000~約3,0000,000g/molの範囲にある。合成ゴムは分解温度が高いため、天然ゴムは合成ゴムと区別できる。
【0016】
様々な実施形態によれば、天然ゴム誘導体は、リサイクルゴムであり得る。リサイクルゴムは、硫黄が除去されるようにゴムを処理され得、例えば、その方法は、硫黄を除去するためにゴムを処理して硫黄の量を減らすことを含み得る。
【0017】
図1は、様々な実施形態による、カーボンナノチューブの合成する方法100を示す概略図を示す。ステップ102において、第1の材料が提供され得る。第1の材料は、天然ゴム又はその誘導体を含み得る。さらなるステップ104において、第1の材料は、第1の温度で中間材料に熱分解され得る。中間材料は、揮発性であり得、ガス流によって搬送され得る。さらなるステップ106において、中間材料を触媒と接触させてもよく、ステップ108において、触媒と接触している中間材料を第2の温度で熱処理することによりカーボンナノチューブを形成してもよい。ステップ106及び108は同時に実施されてもよい。
【0018】
様々な実施形態によれば、第1の材料を熱分解することは、第1の場所で実施されてもよい。第1の場所は、第1の炉内であり得、例えば、第1の場所は、第1の炉の第1のセクションであり得る。
【0019】
様々な実施形態によれば、第1の材料を中間材料に熱分解することは、第1の温度で実施される。第1の温度は、約200℃~約500℃、例えば、約250℃~約450℃、さらに例えば、約350℃~約420℃から選択され得る。
【0020】
様々な実施形態によれば、中間材料を熱処理することは、第2の場所で実施されてもよい。第2の場所は、第1の場所とは異なり得る。第2の場所は、第2の炉又は第1の炉の第2のセクションから選択され得る。例えば、第1の場所は、第1の炉の第1のセクションであり得、第2の場所は、第1の炉の第2のセクションであり得る。
【0021】
様々な実施形態によれば、触媒と接触している中間材料の熱処理中の時間はまた、反応時間と呼ばれ得る。例えば、反応時間は、約10分~約2時間、さらに例えば、約10分~約50分であり得る。
【0022】
様々な実施形態によれば、中間材料を熱処理することは、第2の温度で、例えば、触媒と接触して実施されてもよい。第2の温度は、約600℃~約800℃、例えば、約650℃~約800℃から選択され得る。
【0023】
様々な実施形態によれば、(i)第1の材料を熱分解すること、及び(ii)中間材料を熱処理することの少なくとも1つは、フォーミングガス下で実施される。フォーミングガスは、ガス流として提供され得る。フォーミングガスは、不活性ガス、例えば、窒素(N2)又はアルゴンであり得る。
【0024】
用語「不活性ガス」は、化学気相成長法で使用したときに化学結合を形成しない任意のガスを含むように広く解釈されるべきである。例示的な不活性ガスは、希ガスが挙げられるが、化学結合が形成されない限り、他のガスを含み得る。
【0025】
様々な実施形態によれば、流れは、第1の場所から第2の場所までであってもよく、中間材料は、第1の場所から第2の場所までの流れによって運ばれてもよい。例えば、フォーミングガスは、中間材料を第1の場所から第2の場所に搬送してもよく、それにより、第1の材料が分解された後、中間材料を第2の場所で熱処理してもよい。固形ゴムの熱分解は、揮発性油及び/又はガスをもたらし、例えば、揮発性油は、4~7個のイソプレン単位を含み得る。
【0026】
カーボンナノチューブは、第2の温度で触媒と接触している中間材料を熱処理する間に形成される。様々な実施形態によれば、方法は、カーボンナノチューブを反応の任意の残渣から分離することをさらに含み得る。
【0027】
図2は、様々な実施形態による、合成方法に含まれ得る、触媒を形成するためのプロセス200を示す概略図を示す。プロセスステップ202において、触媒は、ゲル、例えば、ゾル-ゲル、又は溶液の形態で提供され得る。さらなるプロセスステップ204は、ゲル又は溶液を乾燥することにより乾燥物を得ることを含み得る。任意に、乾燥物を粉砕してもよい。さらなるプロセスステップ206は、触媒前駆体を焼成すること、言い換えると、乾燥物又は粉砕乾燥物を焼成することを含み得る。さらなるプロセスステップ208は、触媒前駆体を還元することにより触媒を形成することを含み得る。
【0028】
様々な実施形態によれば、触媒は、例えば、第2の場所で触媒前駆体として提供され得、さらに、例えば、第2の場所で触媒に変換され得る。触媒前駆体を触媒に変換することは、乾燥物を焼成して焼成物を得る方法ステップと、焼成物を還元する方法ステップとを含み得、この変換ステップは、例えば、第2の場所で実施されてもよい。それにより、触媒前駆体は、異なる場所間の搬送を必要とせずに、反応器内の第2の場所で提供され、変換され、したがって、プロセスを簡素化することができる。
【0029】
様々な実施形態によれば、方法は、触媒を形成することをさらに含み得、触媒を形成することは、例えば、ゾル-ゲルプロセスを用いてゲルを形成すること、又は溶液を形成することを含み得る。したがって、触媒前駆体は、少なくとも1つの形成ステップにおいて、ゲルとして、例えば、乾燥及び粉砕されたゲルとして提供され得る。
【0030】
様々な実施形態によれば、ゲル又は溶液を形成するために、少なくとも第1の成分及び錯化剤を使用することができる。例えば、第1の成分は、第1の成分の硝酸塩の形態で提供され得る。第1の成分は、遷移金属又は混合金属であり得、これらは、遷移金属、貴金属、例えば、Ni、Fe,Coの少なくとも1つから選択され得る。
第1の成分の硝酸塩は、Niの硝酸塩、Feの硝酸塩、Coの硝酸塩の少なくとも1つから選択され得る。
【0031】
様々な実施形態によれば、錯化剤は、クエン酸又は別の適切な薬剤であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ゲル又は溶液を形成するために、例えば、第1の成分及び錯化剤に加えて、少なくとも第2の成分の硝酸塩の形態の第2の成分を使用することができる。第2の成分は、Al、Si、Mg、L、La、及びそれらの組み合わせから選択され得る。本明細書で使用される場合、様々な実施形態によれば、「L」は、ランタニドのファミリーから選択される元素又は元素の組み合わせを指し得る。Lの一例はランタン(La)である。
【0033】
様々な実施形態によれば、第1及び第2の成分は一緒に反応して、触媒前駆体を形成する。
【0034】
様々な実施形態によれば、第2の成分は、例えば、焼成中に酸化物に変換され得る。酸化物は、Al2O3、SiO2、MgO、La2O3の少なくとも1つから選択され得る。
これらの酸化物は、触媒中の担体として機能し得る。
【0035】
様々な実施形態によれば、方法は、ゲル又は溶液を乾燥(したがって、乾燥物を得る)、任意に粉砕、及び焼成して焼成物を得ることをさらに含み得る。方法は、元素状態の成分を粒子、例えば、金属粒子として放出するために、焼成物を還元して触媒を形成することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、乾燥、焼成、還元の少なくとも1つは、触媒を使用してカーボンナノチューブを形成する前に除去を必要とせずに、第2の場所で実施されてもよい。
【0036】
様々な実施形態によれば、乾燥中に採用される乾燥温度は、約60℃~約120℃から選択され得る。
【0037】
様々な実施形態によれば、焼成中に採用される焼成温度は、約500℃~約800℃から選択され得る。焼成ステップは、酸素を含むガス、例えば、空気を含む、又は空気からなるガス中で実施されてもよい。
【0038】
様々な実施形態によれば、還元ステップは、例えば、H2と混合された不活性ガス流を用いて、水素ガスの存在下で実施されてもよい。不活性ガスの一例はN2である。
【0039】
様々な実施形態によれば、還元ステップ中の温度は、約650℃~約800℃から選択され得る。
【0040】
様々な実施形態によれば、触媒は、遷移金属、貴金属、例えば、Ni又はFeNi粒子から選択され得る単一の金属及び/又は混合金属粒子を含み得る。触媒は、例えば、遷移金属、貴金属から選択される、例えば、2種以上の金属を含む触媒粒子の形態で提供され得る。触媒は、酸化アルミニウム、例えば、Al2O3などの担体を含み得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、様々な実施形態によれば、温度は、処理される材料、好ましくは固体又は液体で測定された温度を指し得る。例えば、天然ゴムの乾燥温度は、乾燥されている天然ゴムで測定された温度を指し得る。例えば、ゲル又は溶液の焼成温度は、焼成されている乾燥物で測定された温度を指し得る。例えば、触媒の還元ステップの温度は、還元されている触媒前駆体で測定された温度を指し得る。例えば、第2の温度(形成温度とも呼ばれる)は、カーボンナノチューブが形成されている間に触媒で測定された温度を指し得る。例えば、天然ゴムの分解ステップの温度は、分解されている天然ゴムで測定された温度を指し得る。
【0042】
様々な実施形態によれば、任意の記載された方法の様々な方法ステップは、大気圧、例えば、約101325Paで実行され得る。
【0043】
様々な実施形態によれば、使用済み触媒は、フレッシュ触媒の製造のためにリサイクルされ得る。したがって、様々な実施形態による方法は、フレッシュ触媒の製造のために使用済み触媒をリサイクルすることを含み得る。
【0044】
合成方法は、得られるナノチューブの特性を調整するために例えば、特定の直径を有するナノチューブを得るために、容易に適合させることができる。
【0045】
様々な実施形態は、合成方法によって製造されて得られるナノチューブの平均特性を調整するための調整方法を提供することができる。調整方法は、第2の温度を参照の第2の温度として、参照反応時間及びフォーミングガス中の参照H2濃度で、合成方法を参照方法として実施することにより、参照平均直径を有するカーボンナノチューブを製造することを含み得る。調整方法は、第2の温度を調整された第2の温度に、反応時間を調整された反応時間に、フォーミングガス中のH2の濃度を調整された濃度に調整することにより、調整された合成パラメータを提供することをさらに含み得る。調整方法は、調整された合成パラメータを用いて合成方法を実施することにより、調整された平均直径を有するカーボンナノチューブを生成することをさらに含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、参照平均直径よりも小さい調整された平均直径を有するカーボンナノチューブを製造するために、以下の少なくとも1つが提供され得る。調整された第2の温度は、参照の第2の温度よりも低い。調整された反応時間は、参照反応時間よりも短い。調整された濃度は、参照濃度よりも高い。或いは、いくつかの実施形態では、参照平均直径よりも大きい調整された平均直径を有するカーボンナノチューブを製造するために、以下の少なくとも1つが提供され得る。調整された第2の温度は、参照の第2の温度より高い。調整された反応時間は、参照反応時間よりも長い。調整された濃度は、参照濃度よりも低い。
【0047】
図3は、様々な実施形態による、第1の材料の分解、第1の材料の熱処理、触媒前駆体の焼成、触媒前駆体の還元の少なくとも1つを実施するための例示的な反応器300の概略図を示す。
図3は、反応器300は、例えば、石英反応管で、第1の材料が提供され得る第1の場所322、及び、例えば、石英反応管で、触媒が提供され得るか、又は触媒前駆体が提供されて触媒に変換され得る第2の場所332を含む。説明のために、
図3に示す例では、第1の場所322は第1の炉320に含まれるように示され、第2の場所332は第2の炉330に含まれるように示されている。或いは、第2の場所は、第1の炉に配置されてもよく、例えば、第1の材料及び触媒は同じ石英反応管に含まれていてもよく、第2の炉は必ずしも必要ではない。
図3はまた、第1の場所322から第2の場所332に流れることができるガス302、例えば、フォーミングガスのための流路304を示す。
(実験結果)
【0048】
図3に示すような反応器を使用して実験を行った。石英反応管は、電気炉で個別に加熱され、温度は完全に制御及び監視された。触媒は最初に窒素/水素流により上部炉で還元され、その後触媒反応に使用された。ゴムの分解は、反応器の底部から窒素ガス流を導入した下部炉で行われた。したがって、第1の材料及び触媒前駆体を導入した後、触媒前駆体を触媒に変換することができ、反応器の開封を必要とせずナノチューブを合成することができる。
(ゴムの分解)
【0049】
図4は、天然ゴムの熱重量分析(TGA)の結果を含むプロット400を示す。横軸402は、摂氏での温度を表す。プロット410は、軸412で表されるサンプルの重量損失を示す。プロット420は、軸422で表されるプロット410の導関数を示す。プロット430は、軸432で表される熱流を示す。
【0050】
TGAの結果(
図4)は、天然ゴムは200℃で分解を開始し、450℃で分解が完了し、残りは2重量%未満であることを示す。単一の重量損失ピークが350~450℃で観察され、ゴムの分解が1段階の反応であることを示す。図示のように、熱分解はシンプルで複雑な手順や高価な装置を必要としないため、固体ポリイソプレンを小分子に分解するのに適したルートである。したがって、ポリイソプレンを含有する任意の天然ゴムをカーボンナノチューブの製造に使用することができる。
(触媒の調製)
【0051】
Ni-Al2O3触媒は、上記のようにNi担持量を5mol%超~30mol%の範囲でクエン酸錯化法により調製された。典型的には、硝酸ニッケル(II))六水和物(11.6g、0.04mol)、硝酸アルミニウム一水和物(67.0g、0.18mol)、クエン酸(46.0g、0.24mol)を200mLの脱イオン水に溶解した。溶液をオーブンに入れ、粘着性のゲルが形成されるまで85℃で維持した。次にオーブンの温度を130℃に上げ、完全に乾燥するまで加熱した。乾燥混合物を注意深く粉砕し、400℃で1時間、次いで700℃で5時間、1.5℃/minのランピングレートで焼成した。
【0052】
図5は、バルク触媒の様々なサンプルのX線回折(XRD)プロットを示す。
図5(A)は、バルク触媒のXRDパターンを示し、プロット511において還元前(触媒前駆体)、600℃で還元後(プロット512)、650℃で還元後(プロット513)、700℃で還元後(プロット514)、750℃で還元後(プロット515)、及び800℃で還元後(プロット516)のものを示す。
図5(A)のプロットは、可視化を高めるために垂直方向にオフセットされている。
図5(B)は、還元中の異なる時点でのバルク触媒のXRDパターンを示す。プロット521は、還元前のバルク触媒(触媒前駆体)のXRDパターンを示しており、プロット522は0.5時間後、プロット523は1時間後、プロット524は2時間後のものである。
【0053】
XRDパターンからは、還元後のバルク触媒の構造情報が明らかになる。触媒を焼成した後の空気処理では、まずNiAl2O4(スピネル)相が形成された。水素による還元中に、Ni元素は還元され、NiAl2O4相から分離され、Al2O3/NiAl2O4表面にNiナノ粒子を形成することができる。これらの新たに形成されたNiナノ粒子は、CNT成長の活性成分である。XRDパターンにおいて、44.4°、51.5°及び76°における3つの主要ピークは、金属Niに帰属され得る。ピーク強度は、還元温度と時間の増加に伴って高くなり、NiAl2O4相からより多くのNiが分離されることを示している。さらに、ピークの半値全幅が狭くなることは、高温や還元時間によりNi粒径が増加することを意味する。一般に、還元温度や時間の増加に伴い、平均Ni粒径が増加する。適切な触媒は、少量の無定形炭素球を含むCNTの成長のために約7nmの粒径を有し得る。
【0054】
同じサンプルをTEMで特性評価した。還元温度と還元時間を変化させたNi系触媒のTEM画像をそれぞれ
図6及び
図7に示す。
図6は、600℃で還元したサンプルA、650℃で還元したサンプルB、700℃で還元したサンプルC、750℃で還元したサンプルD、及び800℃で還元したサンプルEを示す。
図6のこれらのサンプルは、
図5(A)のXRDプロットに対応する。
【0055】
図7は、0.5時間の還元時間後のサンプルA、1時間の還元時間後のサンプルB、及び1.5時間の還元時間後のサンプルCを示す。
図7のこれらのサンプルは、
図5(B)のXRDプロットに対応する。
【0056】
白い点はNi活性粒子の存在を示し、灰色の大きな粒子はAl2O3又はNiAl2O4基質である。これらのTEM画像は、Ni粒子のサイズが各サンプル内で比較的均一であることを示している。XRD結果と同様に、温度の上昇又は還元時間の延長と共に粒径が増加する一般的傾向がある。
(カーボンナノチューブの成長)
【0057】
触媒を過剰にした状態で、ゴムのカーボンナノチューブへの変換率と触媒1gあたりのカーボンナノチューブの収率を測定した。実験結果によると、多量、例えば、約40%~約60%のゴムを多層カーボンナノチューブに変換できることを示す。ラマンスペクトルから計算されたIG/ID(IGはGバンドのラマンシグナル強度、IDはDバンドのラマンシグナル強度)の値は、化石油前駆体から成長したカーボンナノチューブに類似しており、欠陥の少ないCNTの品質が類似していることを示す。
【0058】
以下では、様々な実施形態による、第1の材料として天然ゴムを使用したCNT成長の3つの実施例について説明する。
【0059】
実施例1:第1の場所に、1gの乾燥天然ゴムを第1の材料として提供した。第2の場所に、0.5gの乾燥、粉砕、及び焼成した触媒(焼成物)を提供した。以上のようにして、焼成物を製造した。触媒は、N
2/H
2流(20:10mL/min)下で775℃の温度で1時間還元して形成した。触媒を形成した後、第1の材料は、400℃の第1の温度で熱分解して、第2の場所に運ばれて触媒と接触する中間材料を得た。中間材料を、N
2/H
2流(20:10mL/min)下で700℃の第2の温度で1時間熱処理した。0.20gの多層カーボンナノチューブを得た。製造されたカーボンナノチューブの平均外径は20.9nmで、層厚は約7.7nmである。得られたカーボンナノチューブの典型的な画像を、
図8(A)のSEM画像及び
図8(B)のTEM画像に示す。
【0060】
実施例2:第2の温度を750℃とし、N
2流(20mL/min)で1時間とした以外は実施例1と同様にして第2の実験を行った。0.15gの多層カーボンナノチューブを得た。製造されたカーボンナノチューブの平均外径は25.1nmで、層厚は約9.3nmである。得られたカーボンナノチューブの典型的な画像を、
図9(A)のSEM画像及び
図9(B)のTEM画像に示す。
【0061】
実施例3:第2の温度を700℃とした以外は実施例2と同様にして第3の実験を行った。0.13gの多層カーボンナノチューブを得た。製造されたカーボンナノチューブの平均外径は25.6nmで、層厚は約7.7nmである。得られたカーボンナノチューブの典型的な画像を、
図10(A)のSEM画像及び
図10(B)のTEM画像に示す。
【0062】
様々な実施形態による合成方法を使用して、天然ゴム又はその誘導体を高温で熱分解し、金属系触媒上で再構成してカーボンナノチューブを形成してもよい。高い収率、例えば、ゴムの40~60%を狭い直径分布を有する多層カーボンナノチューブに変換することができることが示された。合成条件を変えることで、カーボンナノチューブの直径と層厚を調整することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 天然ゴムからカーボンナノチューブを合成する方法であって、
天然ゴム又はその誘導体を含む第1の材料を提供すること、
前記第1の材料を第1の温度で中間材料に熱分解すること、
前記中間材料を触媒と接触させること、及び
カーボンナノチューブを形成するために、触媒と接触している前記中間材料を第2の温度で熱処理すること、を含む、方法。
2. 前記第1の材料を熱分解するステップが、第1の場所で実施され、前記第1の場所が、第1の炉内又は前記第1の炉のセクション内である、1.に記載の方法。
3. 前記中間材料を熱処理するステップが、第2の場所で実施され、前記第2の場所が第2の炉又は前記第1の炉の第2のセクションから選択される、1.又は2.に記載の方法。
4. (i)前記第1の材料を熱分解するステップ及び(ii)前記中間材料を熱処理するステップの少なくとも1つが、フォーミングガス下で実施され、前記フォーミングガスが、ガス流として提供される、3.に記載の方法。
5. 前記ガス流が、前記第1の場所から前記第2の場所までであり、それにより、前記中間材料を前記第1の場所から前記第2の場所まで搬送することができる、4.に記載の方法。
6. 前記第1の温度が、約200℃~約500℃から選択される、上記のいずれかに記載の方法。
7. 前記第2の温度が、約600℃~約800℃から選択される、上記のいずれかに記載の方法。
8. 反応の残渣から前記カーボンナノチューブを分離すること、をさらに含む、上記のいずれかに記載の方法。
9. 前記触媒が、前記第2の場所で触媒前駆体として提供され、前記第2の場所で前記触媒に変換される、3.から8.のいずれかに記載の方法。
10. フレッシュ触媒を製造するために使用済みの前記触媒をリサイクルすること、をさらに含む、上記のいずれかに記載の方法。
11. 前記触媒を形成すること、をさらに含み、前記触媒を形成する方法は、任意にゾル-ゲルプロセスを用いて、溶液又はゲルを形成すること、を含む、上記のいずれかに記載の方法。
12. 少なくとも第1の成分の硝酸塩の形態の第1の成分及び錯化剤が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用される、11.に記載の方法。
13. 前記第1の成分が、遷移金属及び/又は混合金属であり、好ましくは、遷移金属、貴金属から選択され、さらに好ましくは、Ni、Fe、Coの少なくとも1つから選択される、12.に記載の方法。
14. 少なくとも第2の成分の硝酸塩の形態の第2の成分が、前記溶液又は前記ゲルを形成するために使用される、11.又は13.に記載の方法。
15. 前記第2の成分が、Al、Si、Mg、La、それらの組み合わせから選択される、14.に記載の方法。
16. 前記溶液又は前記ゲルを、乾燥、任意に粉砕、及び焼成して焼成物を得ること、及び
元素状態の前記第1の成分を粒子として放出するために、前記焼成物を還元すること、をさらに含む、12.から15.のいずれかに記載の方法。
17. 前記第2の成分が、焼成中に酸化物に変換され、前記酸化物は、好ましくは、Al
2
O
3
、SiO
2
、MgO、La
2
O
3
の少なくとも1つから選択される、16.に記載の方法。
18. 乾燥中に採用される乾燥温度が、約60℃~約120℃から選択される、16.又は17.に記載の方法。
19. 焼成中に採用される焼成温度が、約500℃~約800℃から選択される、16.から18.のいずれかに記載の方法。
20. 還元ステップが、水素ガスの存在下で実施される、16.から19.のいずれかに記載の方法。
21. 還元ステップ中の温度が、約650℃~約800℃である、16.から20.のいずれかに記載の方法。
22. 前記第1の材料が、10重量%未満の加硫ゴムを含み、任意に、前記天然ゴムが、ラテックス、凝固ラテックスの1つ以上である、上記のいずれかに記載の方法。
23. 前記天然ゴム誘導体が、リサイクルゴムであり、前記リサイクルゴムが、硫黄を除去するために処理される、1.から21.のいずれかに記載の方法。
24. 前記第1の材料が、天然ゴムの処理から得られるゴム廃棄物である、1.から21.のいずれかに記載の方法。
25. 4.から24.のいずれかに記載の方法によって製造されて得られるカーボンナノチューブの平均特性を調整するための調整方法であって、
前記方法を参照方法として実施することにより参照平均直径を含むカーボンナノチューブを製造すること、を含み、かつ
カーボンナノチューブの前記平均直径を減少させるために、前記参照方法に関連して、前記第2の温度を低下させること、及び/又は反応時間を減少させること、及び/又は前記フォーミングガス中のH
2
濃度を増加させること、或いは
カーボンナノチューブの前記平均直径を増加させるために、前記参照方法に関連して、前記第2の温度を上昇させること、及び/又は反応時間を増加させること、及び/又は前記フォーミングガス中のH
2
濃度を減少させること、を含む、方法。