(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】処置部位のための、流体の排出又は送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2020519394
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 NZ2018050134
(87)【国際公開番号】W WO2019070133
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517218653
【氏名又は名称】アロア・バイオサージェリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AROA BIOSURGERY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アセフィ,ドリン
(72)【発明者】
【氏名】クタジャール,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョウジー,アリスター・トッド
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,アイザック・トリストラム・ターン
(72)【発明者】
【氏名】スピーデン,ラッセル・リース
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン-ビーン,エリオット・グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ウォルブラン,ウィリアム・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォード,ブライアン・ロデリック
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511222(JP,A)
【文献】特開2015-198975(JP,A)
【文献】特表2013-517839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0189239(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346444(US,A1)
【文献】特開2000-197696(JP,A)
【文献】特開2007-236821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置部位から流体を排出し、又は処置部位に流体を送達するための、患者の体内の処置部位への埋込み用の生体吸収性デバイスであって、
骨組みを形成するために別個の接合箇所で互いに接合された第1の及び第2の可撓性の細長トラス部材を含み、2つの組織表面を離間して保持することによりチャネルを画定するための、生体吸収性弾性トラス構造であって、該処置部位からの流体が該チャネル内へ流出でき、又は該チャネルから該処置部位へ流体が送達されることができる、生体吸収性弾性トラス構造と、
1つ以上の該チャネルと流体連通しており、陰圧源又は陽圧源に接続可能なポートと、
を含
み、
少なくとも1つのトラス部材は、実質的にらせん状である、
デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つのトラス部材は、
前記チャネルの壁に沿って配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記トラス構造は、前記チャネルを画定する可撓性チューブを形成する、請求項1から
2のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1のトラス部材は、第1のピッチ長を有して実質的にらせん状であり、
前記第2のトラス部材は、第2のピッチ長を有して実質的にらせん状であり、第1のトラス部材と反対の方向にらせん状に巻かれており、該第2のピッチ長は、該第1のピッチ長と同じである、
請求項1から
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
それぞれ前記チャネルの側面に沿って長手方向に延びており、かつ別個の接合箇所で前記第1のトラス部材及び/又は前記第2のトラス部材に接合されている、2つの可撓性の細長側部トラス部材をさらに含む、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項6】
可撓性生体吸収性シートをさらに含み、前記チャネルは、前記可撓性シートの表面と、前記処置部位の組織の表面又は前記処置部位の骨の表面との間に形成されているように、前記シートは、前記チャネルの壁の少なくとも一部を形成している、請求項1から
5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記可撓性シートは、前記トラス構造の周りに巻き付けられている、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
2つの可撓性生体吸収性シートをさらに含み、前記チャネルは、該2つの可撓性シートの相対する表面の間に形成されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記チャネル内への流体の流れを可能にするための、可撓性シート又は少なくとも1つの可撓性シートの、複数の開口部を前記チャネルの壁に沿ってさらに含む、請求項
6から
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つのトラス部材が、少なくとも1つの可撓性シートに織り込まれ若しくは少なくとも1つの可撓性シートの中を縫って通り、又は少なくとも1つの可撓性シートに縫い込まれ若しくは縫い付けられている、所定の長さの糸又はテープを含む、請求項
6から
9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記可撓性シート又は各可撓性シートは、細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)又はポリマー材料の、1つ以上の層を含む、請求項7から
10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ECMは、反芻動物の前胃の脱細胞化された固有粘膜下組織で形成されている、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ECMは、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、銀、FGF-2、TGF-B、TGF-B2、BMR7、BMP-12、PDGF、IGF、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、及びヒアルロナンを含む群から選択される、生物活性剤を含有する、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記トラス構造は、前記チャネルを画定する細長可撓性チューブを形成し、
前記デバイスは、少なくとも所定の長さの該可撓性チューブを波状の形状に保持する、1つ以上の接合器を含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
患者の体内で、処置部位から流体を排出し、又は処置部位に流体を送達するためのシステムであって、
(i)請求項1から
14のいずれか一項に記載のデバイスと、
(ii)デバイスの前記ポートに流体を送達するように該デバイスの前記ポート又は流体不透過性被覆材のいずれかに解放可能に結合された導管と、
(iii)該患者の該体の外部に配置されたリザーバであって、該導管から流体を受け又は該導管に流体を送達するために、該導管と流体連通している、リザーバと、
(iv)該デバイスに陽圧又は陰圧を送達するために該導管に結合された圧力源と、
を含む、システム。
【請求項16】
前記圧力源は、流体が前記処置部位から前記デバイス内に排出されて、前記導管を通して前記リザーバに移送されるように、陰圧を前記デバイスに与えることができる、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
流体を、前記処置部位から運ぶために、及び前記処置部位に運ぶために、圧力源が、該デバイスに陰圧を送達するように構成される、請求項
15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置部位に対して、その部位からの流体の排出のため、又はその部位への流体の送達のために、埋め込むためのデバイスに関する。特に、デバイスは、生体吸収性である。本発明はまた、陰圧又は陽圧を加えて、死腔を縮小させることを助け、かつ処置部位からの流体の排出又は処置部位への流体の送達を改善するための、デバイスを含むシステム、及び手段に関する。本発明はさらに、本発明のデバイスを使用して処置部位から流体を排出し、又は処置部位に流体を送達する方法、並びに該デバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的又は外傷性の創傷からの流体の排出、及び死腔の縮小は、しばしば、患者を適時かつ効果的に回復させるための重要な因子である。現在、手術時に死腔を排除するための良い解決策はない。縫合は、分離した組織面の全体にわたって閉鎖を与えるのではなく、直線型の閉鎖を提供する。外科的ドレーンは、流体の除去に部分的にのみ有効であり、手術直後に死腔を閉鎖するという主要な課題には対処しない。組織接着剤は、信頼性をもって有効である、とは証明されておらず、全領域にわたって手作業で縫合しても、限られた分量の局所的な閉鎖しか提供されない。
【0003】
手術又は外傷後の、漿液腫又は血腫の形成は、回復を妨げる場合がある。漿液腫及び血腫は、創傷部位に蓄積する漿液又は血液のポケットである。十分な排出がされない場合、治癒不良、感染、又は創傷離開が、追加的な手術及びより長期の入院の、必要性につながる場合がある。漿液腫及び血腫は、組織の隆起及び分離を多く伴う、再建形成手術の手技、外傷、乳房切除術、腫瘍切除、帝王切開、ヘルニア修復、及び切開手術の手技の後によく見られる。
【0004】
創傷部位からの死腔を縮小させ、かつ流体の排出をもたらすことは、多くの場合、極めて望ましいが、一方、他の状況では、創傷治癒のプロセスを助けるために、流体を創傷部位に直接送達できることが、有用である。例えば、感染した組織内に局所的に、抗菌性の溶液を注入することは、感染症の管理に有用である。同様に、局所麻酔薬の注入は、痛みの管理を助けることができる。
【0005】
処置部位に埋め込まれて流体を排出できるようにする数多くのデバイスが、利用可能である。これらは、排出孔を含む単純なシリコンチューブから、脱細胞化された組織から作られた、様々な形状の構造の多岐管にまで及ぶ。例えば、米国特許第7,699,831号は、内部の創傷部位への配置のために構成されたハウジングを有する、創傷排出(drainage)アセンブリを説明している。発泡体スポンジは、創傷部位から流体を吸収するために、ハウジング内に配置されている。チューブは、ハウジングに結合され、体外の陰圧源に接続されている。陰圧により、流体が、発泡体スポンジから、外部の収集部位へと流れる。
【0006】
一部の排出デバイスは、創傷部位から一定時間排出がなされた後に、身体から取り除かれなければならない。そのようなデバイスを取り除くと、患者の不快感若しくは痛みが引き起こされ、又は望ましくない追加的な外科的手法が必要になる場合がある一方、デバイスを取り外す必要があることによって、デバイスを配置してその領域にわたって効果的な処置を施す能力が、制限される。しかし、他の排出デバイスは、身体に吸収されることが可能な材料で構築されている。
【0007】
米国特許出願第2015/0320911号は、組織ベースの埋込み可能な排出多岐管について説明している。多岐管は、シート、チューブ、又はカラムに形成された、脱細胞化された組織を含み得る。創傷部位から、多岐管へ、及びチューブを介して身体の外側への、排出を助けるために、陰圧が加えられ得る。組織ベースの多岐管は、排出手順の完了後に取り除かれる必要がない。多岐管構造は、周囲の天然組織からの細胞の移動及び増殖のための、足場も提供する。
【0008】
しかし、いくつかの既存の排出構造は、生体吸収性である一方、それらの構築は、典型的には、完全に合成の材料を要し、かつ、連続チューブ、若しくは厚い壁の部分を含む構造、又は大量の合成物質を有する構造を作り出す、射出成形又は押出しなどの製造技術を使用して構築される。
【0009】
合成材料の埋込みは、典型的には埋込み後に体内で著明であり、骨盤底又は腹壁などの敏感かつ血管分布性の領域に最も特有の、炎症レベルの上昇に寄与する場合がある。多くの生体吸収性材料は、バルク加水分解のプロセスによっても分解及び吸収される。該バルク加水分解では、合成材料のポリマー鎖が水を吸収し、化学構造を、炎症の増進、並びに腹壁ヘルニア修復及び骨盤臓器脱修復に一般的に使用される合成メッシュでみられるものなどの異物反応を引き起こし得る、有害な酸を放出する、様々なモノマーに分解する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点の1つ以上に対処する、流体の排出又は送達のデバイスを提供すること、及び/又は少なくとも既存のデバイスの有用な代替物を提供することである。
【0011】
この明細書において、特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源が参照されている場合、これは、一般に、本発明の特徴を議論するための文脈を提供する目的である。特に別段明記されていない限り、そのような外部文書又は情報源への参照は、そのような文書又はそのような情報源が、任意の法域で、先行技術であるか、又は当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することの、自認として解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、本発明は、処置部位から流体を排出し、又は処置部位に流体を送達するための、患者の体内の処置部位への埋込み用の生体吸収性デバイスを提供する。デバイスは、2つの組織表面を離間して保持し、それによりチャネルを画定するための生体吸収性弾性トラスであって、処置部位からの流体が該チャネル内へ流出でき、又は該チャネルから処置部位へ流体が送達されることができる、生体吸収性弾性トラス、及び1つ以上のチャネルと流体連通しており陰圧源又は陽圧源に接続可能なポートを含む。
【0013】
一実施形態では、トラスは、可撓性の細長トラス部材を含む。トラスは、湾曲してチャネルの壁に沿って配置されてもよい。
【0014】
一実施形態では、トラス部材は、実質的にらせん状である。
【0015】
トラスは、チャネルを画定し得る。例えば、実質的に円柱状のらせん状のトラスの外径は、チャネルの直径に対応し得る。又は、トラスの幅が、チャネルの幅に対応し得る。一実施形態では、トラスは、チャネルを画定する可撓性チューブを形成する。チューブは、実質的に円柱状又は楕円形(oval)又は楕円形(elliptical)又はその他の形状であり得る。一実施形態では、トラスは、静止した埋め込まれていない状態で実質的に円形の断面を有し、かつトラスに作用する圧縮力に応じて埋込み時に楕円形(oval)又は楕円形(elliptical)の断面を呈し、対応して楕円形(oval)又は楕円形(elliptical)の断面を有するチャネルを画定する。
【0016】
デバイスは、複数の可撓性の細長トラス部材を含み得る。一実施形態では、トラス部材の第1のトラス部材は、第1のピッチ長を有して実質的にらせん状であり、トラス部材の第2のトラス部材は、第2のピッチ長を有して実質的にらせん状である。一実施形態では、第2のピッチ長は、第1のピッチ長と異なる。例えば、第1のピッチ長は、第2のピッチ長の約3倍~約5倍、好ましくは第2のピッチ長の約4.5倍であり得る。代替的に、第1のピッチ長及び第2のピッチ長は、同じであってもよく、2つのそれぞれのトラス部材は、互いに反対の方向に巻かれていてもよい。第1のトラス部材及び第2のトラス部材は、接合され、かつ/又は別個の点で補強部材に接合されてもよい。
【0017】
チャネルは、断面が円形、又は非円形、例えば楕円形(oval)若しくは楕円形(elliptical)であり得る。
【0018】
デバイスは、2つの可撓性の細長側部トラス部材であって、それぞれがチャネルの側面に沿って長手方向に延びており、かつ別個の点で第1のトラス部材及び/又は第2のトラス部材に接合されたものを、含み得る。トラス部材は、例えば、熱溶着、縫合、又は接着剤によって接合されてもよい。楕円形(oval)又は楕円形(elliptical)の断面プロファイルを有する実施形態では、可撓性の細長側部トラス部材は、断面の短軸上に設けられてもよい。一実施形態では、デバイスは、トラスの両側に沿って延びている2対の細長側部トラス部材を含む。
【0019】
デバイスは、可撓性生体吸収性シートをさらに含み得、該シートは、チャネルの壁の少なくとも一部を形成する。一実施形態では、チャネルは、可撓性シートの表面と、処置部位の組織の表面又は処置部位の骨の表面との間に、形成されている。例えば、シートは、アーチタイプのトラス部材の上に置かれてもよい。代替的に、例えばトラスを包むために、可撓性シートが、トラスの周りに巻き付けられてもよい。チャネル内への流体の流れを可能にするために、複数の開口部が、チャネルの壁に沿って可撓性シートに設けられてもよい。開口部は、規則的に間隔を置いた開口部の1つ以上の列として、又は不規則に配置されて、設けられてもよい。開口部は、処置部位の標的領域から選択的に流体を排出し、又は処置部位の標的領域に選択的に流体を送達するために、デバイスの選択された部分にのみ設けられてもよい。
【0020】
一実施形態では、デバイスは、2つの可撓性生体吸収性シートを含み、チャネルは、この2つの可撓性シートの相対する表面の間に形成されている。シートは、側部シームに沿って、互いに縫い合わされ又は接着されてもよい。チャネル内への流体の流れを可能にするために、複数の開口部が、チャネルの壁に沿って、一方又は両方の可撓性シートに設けられてもよい。開口部は、規則的に間隔を置いた開口部の1つ以上の列として、又は不規則に配置されて、設けられてもよい。開口部は、処置部位の標的領域から選択的に流体を排出し、又は処置部位の標的領域に選択的に流体を送達するために、デバイスの選択された部分にのみ設けられてもよい。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つのトラス部材が、所定の長さの糸又はテープを含んでもよい。ここで、この所定の長さの糸又はテープは、少なくとも1つの可撓性シートに織り込まれ若しくは少なくとも1つの可撓性シートの中を縫って通り、又は少なくとも1つの可撓性シートに縫い込まれ若しくは縫い付けられている。例えば、ジグザグステッチを使用して可撓性シートの1つ以上の層を通して縫い付けられた、フィラメント/糸である。
【0022】
一実施形態では、トラス部材は、縫合糸を含む。
【0023】
一実施形態では、その可撓性シート又は各可撓性シートは、細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)又はポリマー材料の、1つ以上の層を含む。ECMは、反芻動物の前胃の脱細胞化された固有粘膜下組織で形成されていてもよい。ECMは、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、銀、FGF-2、TGF-B、TGF-B2、BMR7、BMP-12、PDGF、IGF、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、及びヒアルロナンを含む群から選択される、生物活性剤を含有してもよい。
【0024】
一実施形態では、トラスは、チャネルを画定する細長可撓性チューブを形成し、デバイスは、少なくとも所定の長さの可撓性チューブを波状の形状に保持する、1つ以上の接合器を含む。代替的又は追加的に、トラスは、複数のチャネルを画定してもよい。ここで、処置部位からの流体は、該チャネル内へ流出でき、又は該チャネルから、処置部位へ流体が送達されることができる。例えば、トラスは、一次チャネル、及び一次チャネルから分岐している複数の二次チャネルを、画定してもよい。
【0025】
一実施形態では、処置部位は、手術中に又は外傷の結果として分離された、筋肉組織、結合組織、又は皮膚組織の表面の間の空間である。
【0026】
一実施形態では、処置部位は、開放手術創又はトンネル化創内の、筋肉組織又は皮下組織などの、組織の露出領域である。
【0027】
一実施形態では、処置部位に送達される流体は、創傷治癒を促進するための、1つ以上の栄養物又は治療薬を含有する。
【0028】
第2の態様では、本発明は、患者の体内の処置部位から流体を排出し、又は患者の体内の処置部位に流体を送達するためのシステムを提供する。システムは、第1の態様に関連して上記で説明したデバイス、デバイスのポート又は流体不透過性被覆材のいずれかに解放可能に結合された導管、患者の身体の外部に配置されたリザーバ、及びデバイスに陽圧又は陰圧を送達するために導管に結合された圧力源を含む。ここで、該リザーバは、導管と、該導管から流体を受け、又は該導管に流体を送達するために、流体連通している。
【0029】
ある実施形態では、圧力源は、流体が処置部位からデバイス内に排出されて、導管を通してリザーバに移送されるように、陰圧をデバイスに与えることができる。圧力は、連続的に印加されるか、又は変動してもよい。例えば、圧力は、処置の過程にわたって、断続的に加えられ、パルス化され、又は変えられてもよい。
【0030】
ある実施形態では、圧力源は、リザーバ内の流体が導管を通してデバイス内及び処置部位に移送されるように、陽圧をデバイスに与えることができる。圧力は、連続的に印加されるか、又は変動してもよい。例えば、圧力は、処置の過程にわたって、断続的に加えられ、パルス化され、又は変えられてもよい。
【0031】
一実施形態では、処置部位は、開放手術創又はトンネル化創内の、筋肉組織又は皮下組織などの、組織の露出領域である。
【0032】
第3の態様では、本発明は、患者の体内の処置部位から流体を排出し、又は患者の体内の処置部位に流体を送達する方法を提供する。本方法は、第1の態様に関連して上記で説明したデバイスを、処置部位に埋め込むこと、デバイスの前記ポートに導管を結合すること、並びに、流体が、処置部位からデバイス内に排出され、導管を通してリザーバに移送されるように、陰圧をデバイスに与え、又はリザーバ内の流体が、導管を通してデバイス内に、及び処置部位に移送されるように、陽圧をデバイスに与えることを含む。ここで、該導管は、該導管から流体を受け、又は該導管に流体を送達するための、患者の体外に位置するリザーバに接続されている。任意で、創傷被覆材が、処置部位の近くの切開部に適用され、陰圧が、該創傷被覆材に加えられてもよく、創傷被覆材の陰圧の供給も、陽圧源又は陰圧源に結合されている。一実施形態では、処置部位は、開放手術創又はトンネル化創内の、筋肉組織又は皮下組織などの、組織の露出領域であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】腹壁又は筋肉に隣接する漿液腫を管理するための先行技術の排出デバイスの配置を示す、腹腔の断面図である。
【
図2a】本発明の一実施形態によるデバイスを使用したある処置段階を示し、漿液腫に隣接して埋め込まれたデバイスを示す図である。
【
図2b】本発明の一実施形態によるデバイスを使用した別の処置段階を示し、サイズが縮小した、漿液腫及び付随する死腔を示す図である。
【
図2c】本発明の一実施形態によるデバイスを使用したさらに別の処置段階を示し、完全に排出がなされた漿液腫、及びデバイスのポートから切断された陰圧源を示す図である。
【
図2d】本発明の一実施形態によるデバイスを使用したさらに別の処置段階を示し、デバイスが完全に吸収されたことを示す図である。
【
図3a】デバイスの実施形態の外部に配置されたポートの、真空源又は陽圧源への接続を、容易にするために使用される、不透過性被覆材の別個の構成を示す図である。
【
図3b】デバイスの実施形態の外部に配置されたポートの、真空源又は陽圧源への接続を、容易にするために使用される、不透過性被覆材の別個の構成を示す図である。
【
図3c】デバイスの実施形態の外部に配置されたポートの、真空源又は陽圧源への接続を、容易にするために使用される、不透過性被覆材の別個の構成を示す図である。
【
図4】開いた腹部、及び本発明の一実施形態のデバイスの腹壁筋上への配置を、皮膚の外面に配置されているデバイスのポートとともに概念的に示す概略図である。
【
図5a】流体の流れチャネルを作成するために使用される、別個の例示的なトラス及びシートの構成を示す部分断面図であり、下部可撓性シートの下側に設けられた、下部の接合又は補強トラス部材を有する、アーチ型トラス(and arch-shaped truss)を備えた実施形態を示す。
【
図5b】流体の流れチャネルを作成するために使用される、別個の例示的なトラス及びシートの構成を示す部分断面図であり、
図5aと類似の実施形態を示すが、下部トラス部材が、2つのシートの間に挟まれている。
【
図5c】流体の流れチャネルを作成するために使用される、別個の例示的なトラス及びシートの構成を示す部分断面図であり、アーチタイプのトラスによって離れて保持されている、上部及び下部シートを備えた実施形態を示す。
【
図5d】流体の流れチャネルを作成するために使用される、別個の例示的なトラス及びシートの構成を示す部分断面図であり、
図5cと類似の実施形態を示すが、2つのシートが、チャネルの縁に沿って互いに縫い合わされている。
【
図6】2つの可撓性シート間にチャネルを作り出しているアーチ型トラスの1つの形態を示す、切り欠き斜視図である。
【
図7】トラスの側面及び頂上に補強トラス部材を有する代替的なアーチ型トラスを示す、切り欠き斜視図である。
【
図8a】表面を通してデバイスのチャネルへの流体交換を可能にするための、上部可撓性シートを通して提供される開口部を備える実施形態を示すものであり、トラス構造を明らかにする切り欠き斜視図である。
【
図8b】表面を通してデバイスのチャネルへの流体交換を可能にするための、上部可撓性シートを通して提供される開口部を備える実施形態を示すものであり、開口部をよりよく示す斜視図である。
【
図9】デバイスの両方の表面にわたって流体交換を可能にするための、上部及び下部可撓性シートを通して提供される開口部を備える実施形態を示す、切り欠き斜視図である。
【
図10】アーチタイプのトラス部分(and arch-shaped truss)、及びトラスの基部にわたって設けられた斜めの補強トラス部材を有するさらなる代替的なトラス構造を示す、切り欠き斜視図である。
【
図11a】別個の代替的なデバイストラス部材を示す、チャネルの端面図であり、
図6にも示されているようなアーチ型トラスを備える実施形態を示す。
【
図11b】別個の代替的なデバイストラス部材を示す、チャネルの端面図であり、2つのポリマー層間にチャネルを形成する単独のアーチ型トラスを備える実施形態を示す。
【
図11c】別個の代替的なデバイストラス部材を示す、チャネルの端面図であり、ひだがついたトラス構造を有する実施形態を示しており、複数のサブチャネルがひだの間に形成されている。
【
図11d】別個の代替的なデバイストラス部材を示す、チャネルの端面図であり、トラスが3つの離間した細長トラス部材を含み、これらの細長トラス部材が、それらの直径によってチャネルを形成する、実施形態を示す。
【
図12a】上部可撓性シートと下部可撓性シートとの間でハブから延びている複数のチャネルを有する本発明の実施形態のデバイスを示す、上面斜視図である。
【
図12b】上部可撓性シートと下部可撓性シートとの間でハブから延びている複数のチャネルを有する本発明の実施形態のデバイスを示す、下面斜視図である。
【
図13a】
図12a及び12bのものと類似の実施形態を示すが、デバイスの1つの表面が、ポートを外側に配置するために皮膚の外面で終端している、上面斜視図である。
【
図13b】
図12a及び12bのものと類似の実施形態を示すが、デバイスの1つの表面が、ポートを外側に配置するために皮膚の外面で終端している、下面斜視図である。
【
図14a】ハブから延びている複数のチャネルを備えるデバイスの別個の代替実施形態を示す斜視図であり、上部シートの一部が、それぞれのトラス構造を明らかにするために一部切り取られており、チャネル壁に開口部がなく、織物に開口部がない、一実施形態のデバイスを示す。
【
図14b】ハブから延びている複数のチャネルを備えるデバイスの別個の代替実施形態を示す斜視図であり、上部シートの一部が、それぞれのトラス構造を明らかにするために一部切り取られており、
図14aのデバイスを示すが、隣接するチャネル間で組織の接触を可能にする織物の開口部を含んでいる。
【
図14c】ハブから延びている複数のチャネルを備えるデバイスの別個の代替実施形態を示す斜視図であり、上部シートの一部が、それぞれのトラス構造を明らかにするために一部切り取られており、
図14bの実施形態を示すが、チャネル内への流体の通過のために、上部シートにおいてチャネル壁の開口部をさらに含んでいる。
【
図14d】ハブから延びている複数のチャネルを備えるデバイスの別個の代替実施形態を示す斜視図であり、上部シートの一部が、それぞれのトラス構造を明らかにするために一部切り取られており、
図14aのデバイスを示すが、チャネル内への流体の通過のために、上部シートにおいてチャネル壁の開口部を含んでいる。
【
図15a】
図14dに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、チャネル内への流体の通過のために、下部シートにおいてチャネル壁の開口部を追加的に含む、上面斜視図である。
【
図15b】
図14dに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、チャネル内への流体の通過のために、下部シートにおいてチャネル壁の開口部を追加的に含む、上面斜視図である。
【
図16a】
図14dに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、デバイスのポートから直接延びている主要なチャネル(main channel extend directly from the port of the device)のチャネル壁が、壁を通す開口部を含まない、上面斜視図である。
【
図16b】
図14dに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、デバイスのポートから直接延びている主要なチャネル(main channel extend directly from the port of the device)のチャネル壁が、壁を通す開口部を含まない、下面斜視図である。
【
図17a】
図14aに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、チャネル内への流体の通過のために、下部シートにおいてチャネル壁の開口部を含む、上面斜視図である。
【
図17b】
図14aに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示すが、チャネル内への流体の通過のために、下部シートにおいてチャネル壁の開口部を含む、上面斜視図である。
【
図18a】
図14a及び
図14bに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示す図であるが、デバイスの1つの表面が、皮膚の表面で終端している。
【
図18b】
図14a及び
図14bに示されるものと類似の実施形態のデバイスを示す図であるが、デバイスの1つの表面が、皮膚の表面で終端している。
【
図19】またさらなる実施形態のチャネルを示す、切り欠き斜視図であり、トラスが、実質的にらせん状で2つの可撓性シートの間に位置している。
【
図20】
図19と類似の実施形態を示す、切り欠き斜視図であるが、2つの可撓性シートを接合するための、チャネルの側面に沿った縫合をさらに含んでいる。
【
図21】
図20のチャネル構造を示す、切り欠き斜視図であり、トラスが、供給導管に接続してデバイスに陽の陰圧を提供する(provide of positive of negative pressure)ための、結合チューブ内に延びている。
【
図22】
図20のチャネル構造を示す、切り欠き斜視図であり、トラスが、デバイスに陽の陰圧(positive of negative pressure)を供給するための、解放可能に接続された導管内に延びている。
【
図23】側部補強部材を備えた実質的にらせん状のトラス部材を有する、またさらなる実施形態のチャネル、及び単独の可撓性シートであってその縁が側部シームで互いに縫い合わされたものによって形成された、チャネル壁を示す、切り欠き斜視図である。
【
図24】
図23のものと類似の実施形態の、切り欠き斜視図であるが、チャネル壁に設けられた開口部の単独の列を備える。
【
図25】
図23及び
図24のものと類似の実施形態の、切り欠き斜視図であるが、チャネル壁に設けられた開口部の複数の列を備える。
【
図26】さらなる実施形態のチャネルであって、該チャネル内で、トラスが、2つの重なり合うらせん状の部材及び側部補強部材を有するもの、並びに側部シームで互いに接着された縁を有する単独の可撓性シートよって形成された、チャネル壁を示す、切り欠き斜視図である。
【
図27a】
図25のチャネル構造を有する実施形態を示す切り欠き斜視図であり、トラス構造が、デバイスに陽圧又は陰圧を供給するための拡大した結合導管内に延びているデバイスを示す。
【
図27b】
図25のチャネル構造を有する実施形態を示す切り欠き斜視図であり、トラス構造が、導管への結合に適応するためにデバイスのポートに隣接して変更されているデバイスを示している。
【
図28a】組織保持かかりを有する吸収性ロック部材によって外層が固定されているデバイスの部分斜視図であり、右側斜視図である。
【
図28b】組織保持かかりを有する吸収性ロック部材によって外層が固定されているデバイスの部分斜視図であり、左側斜視図である。
【
図29】一実施形態の単独チャネルデバイスの、処置部位での配置を示し、かつ、陰圧源又は陽圧源に接続され、内部に配置されたポートを有する、例示的な概略図である。
【
図30a】
図29に対応する図であるが、陰圧閉鎖療法を使用した切開創の同時処置を示し、
図29のものと類似の処置領域を示す。
【
図30b】
図29に対応する図であるが、陰圧閉鎖療法を使用した切開創の同時処置を示し、切開創の隣接に延びている処置領域の処置を示す。
【
図31】
図29に対応する図であるが、処置流体の供給源に接続されたデバイスの一端を追加的に示している。
【
図32】
図31に対応する図であるが、処置流体の供給源、及び陰圧源又は陽圧源が、単独の埋め込まれたポートを介して、デバイスに結合されている。
【
図33a】2つのらせん状の部材及び2つの側部補強部材を有するトラスを製造する1つの方法を示す図であり、中央マンドレルの周りに巻かれた第1のトラス部材を示す。
【
図33b】2つのらせん状の部材及び2つの側部補強部材を有するトラスを製造する1つの方法を示す図であり、第1のトラス部材に結合された、2つの細長側部補強部材を示す。
【
図33c】2つのらせん状の部材及び2つの側部補強部材を有するトラスを製造する1つの方法を示す図であり、中央マンドレル、第1のトラス部材及び側部部材の周りに巻かれ、第1のトラス部材及び側部部材に結合されている第2のトラス部材を示す。
【
図33d】2つのらせん状の部材及び2つの側部補強部材を有するトラスを製造する1つの方法を示す図であり、トラスから取り外されている中央マンドレルを示す。
【
図34a】トラスを製造する代替的な方法を示す図であり、中央マンドレル及び2つの細長側部補強部材の周りに巻かれた、第1のトラス部材を示す。
【
図34b】トラスを製造する代替的な方法を示す図であり、トラスから取り外されている中央マンドレルを示す。
【
図35a】処置部位に埋め込まれたデバイスの一実施形態の断面図であり、皮下組織空間内の死腔の領域に、最初に埋め込まれたときのデバイスを示す。
【
図35b】処置部位に埋め込まれたデバイスの一実施形態の断面図であり、処置期間後の死腔の縮小を示す。
【
図36a】
図35a及び
図35bに対応する図であり、デバイスが、局所的に適用された創傷処置デバイスに、追加的に接続されて切開創を同時に処置しており、皮下組織空間内の死腔の領域に最初に埋め込まれたときのデバイス、及び最初に適用されたときの被覆材を示す。
【
図36b】
図35a及び
図35bに対応する図であり、デバイスが、局所的に適用された創傷処置デバイスに、追加的に接続されて切開創を同時に処置しており、処置期間後の死腔の縮小を示す。
【
図37a】閉塞が発生した場合に流体の代替流路が形成されることを可能にするように構成された、単独チャネルデバイスの例示的な実施形態であり、遮断されていないデバイス内での流体の流れを示す図である。
【
図37b】閉塞が発生した場合に流体の代替流路が形成されることを可能にするように構成された、単独チャネルデバイスの例示的な実施形態であり、閉塞に応じた流体の流れの変化を示す図である。
【
図38a】
図37a及び
図37bのデバイスの例示的な実施形態であるが、デバイスの形状の維持を助けるための接続の織物又はスリーブを含んでおり、デバイス全体を示す図である。
【
図38b】
図37a及び
図37bのデバイスの例示的な実施形態であるが、デバイスの形状の維持を助けるための接続の織物又はスリーブを含んでおり、デバイスの、ポートの近くの部分を拡大した図である。
【
図39a】2つの内腔導管に解放可能に結合された、さらなる実施形態のトラス及びチャネルを示す斜視図であり、トラス構造が、導管内に延びており、透明の部材として導管を示す。
【
図39b】2つの内腔導管に解放可能に結合された、さらなる実施形態のトラス及びチャネルを示す斜視図であり、トラス構造が、導管内に延びている、切り欠き斜視図である。
【
図40a】
図39a及び
図39bの実施形態の上面斜視図であり、解放可能に結合された導管を、トラスから取り外す順序を示し、ここでは、トラス及びチャネルに結合された、導管を示す。
【
図40b】
図39a及び
図39bの実施形態の上面斜視図であり、解放可能に結合された導管を、トラスから取り外す順序を示し、ここでは、トラスから除去されるプロセス中の、導管を示す。
【
図40c】
図39a及び
図39bの実施形態の上面斜視図であり、解放可能に結合された導管を、トラスから取り外す順序を示し、ここでは、トラスから除去された、導管を示す。
【
図41】開いた処置部位に埋め込まれた、デバイスの一実施形態の断面図であり、残された創傷が、処置を容易にするために、被覆材で覆われている。
【
図42】開いた処置部位に埋め込まれた、デバイスの一実施形態の断面図であり、埋込み物の上に置かれ局所的に適用された創傷処置とともに、デバイスが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
I.定義
本明細書で使用される「生体吸収性」という用語は、身体によって分解されて吸収されるか、又は作り変えられることができ、したがって手動で除去される必要がないことを意味する。
【0035】
本明細書で使用される「処置部位」という用語は、筋肉組織、結合組織、又は皮膚組織の表面が、手術中に、又は外傷若しくは除去の結果として分離されている、ヒト又は動物の体内の部位を指す。
【0036】
本明細書で使用される「固有粘膜下組織(propria-submucosa)」という用語は、反芻動物の前胃の中の、粘膜固有層及び粘膜下組織の混合によって形成される組織構造を指す。
【0037】
本明細書で使用される「粘膜固有層」という用語は、細胞外マトリックスの緻密層を含む、固有粘膜下組織の薄層状部分を指す。
【0038】
本明細書で使用される「細胞外マトリックス」という用語は、脱細胞化されており、かつ構造的完全性のための基質(matrix)及び他の材料を運ぶための枠組みを提供する、動物又はヒトの組織を指す。
【0039】
本明細書で使用される「脱細胞化され」という用語は、組織又は器官の一部から、例えばECMからの、細胞及びそれに関連する破片の除去を指す。
【0040】
本明細書で使用される「ポリマー材料」という用語は、多くの反復サブユニットを含む大きな分子又は巨大分子を指し、ポリペプチド類及びタンパク質類(例えば、コラーゲン)、多糖類(例えば、アルギン酸塩)及び糖タンパク質類などのその他の生体ポリマーを含むがこれらに限定されない天然材料であり得、又はポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(Poly-4-hydroxybutyrate:P4HB)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー類、ポリカプロラクトン及びポリジオキサノンを含むがこれらに限定されない合成材料であり得る。
【0041】
II.デバイス
次に、本発明のデバイス及びシステムの様々な実施形態を、
図1~
図42を参照して説明する。これらの図において、同様の参照番号は、同様の特徴を示すために使用される。様々な実施形態が示される場合、同様の参照番号が、後の実施形態における同様又は類似の特徴に使用され得るが、100の倍数が追加される。例えば、2、102、202、302などである。
【0042】
以下の説明で使用される、方向に関する用語は、説明及び参照の平易さのためだけのものであり、限定的であることが意図されているものではない。例えば、「前」、「後」、「上」、「下」及びその他の関連する用語は、一般に、デバイスがどのように図面に示されているかを基準として使用される。
【0043】
図2a~
図28b、
図37a~
図38b、及び
図39a~
図40cは、処置部位から流体を排出し、又は処置部位に流体を送達する目的の、患者の体内の処置部位102への埋込み用の生体吸収性デバイス101の実施形態を示す。処置部位102は、手術中に又は外傷の結果として分離された、筋肉組織103、結合組織104、又は皮膚組織の表面の間の空間であってもよい。処置部位は、漿液腫105若しくは血腫の部位であり得、又は組織の外科的切除後の予防処置として使用され得る。代替的に、処置部位は、外傷、損傷、又は壊死組織若しくは感染組織の外科的切除後などの、開放創であってもよい(
図41及び
図42)。
【0044】
デバイス101は、生体吸収性弾性トラス107を有する。生体吸収性弾性トラス107は、使用時に、2つの組織表面103、104を離間して保持し、それにより、チャネル109を画定する。ここで、処置部位からの流体は、チャネル109内へ流出でき、又はチャネル109から、処置部位へ流体が送達されることができる。トラス107の一端の、形態又は開口部(in the form or an opening)のポート111は、チャネル109と流体連通しており、チャネルを陰圧源又は陽圧源113と接続できるようにする。特に流体の排出を助けるための陰圧又は減圧された圧力(真空)の印加下で、それら2つの組織表面103、104は、一緒につぶれ得るため、2つの組織表面103、104は、離して保持される必要がある。
【0045】
いくつかの代替実施形態では、デバイス101は、1つ以上の他のデバイスに動作可能に接続され得る。ここで、その1つ以上の他のデバイスは、異なるそれぞれの部位に埋め込まれる。同じ圧力源で、そのそれぞれの部位を処置するためである。
【0046】
いくつかの代替実施形態では、デバイスは、また陰圧源又は陽圧源に接続されている別の創傷処置デバイスと、接触している場合がある。
【0047】
図5~
図11d、
図19~
図28b、及び
図39a~
図40cは、弾性トラス107の様々な例示的な実施形態を示す。トラス107、207、307などは、単独のチャネル109、209、309など、又は、例えば分岐構造内の、複数の相互接続されたチャネルを画定し得る。トラス107、207、307などは、その長手方向に可撓性があるため、処置部位102の輪郭に実質的に一致し、周囲の組織への局所的な刺激、又はこすれによる損傷を低減又は防止するようにチャネルが撓むことを可能にする。トラスは、動き又は臨床的に適切なレベルの陰圧の印加下で、トラスが座屈し、又はチャネルがつぶれ、若しくはねじれることなく、少なくとも埋込み時に2つの組織表面103、104を離して保持するために十分な強度を有する、3次元構造である。2つの組織表面103、104が一緒につぶれる場合、流体の流れは、厳しく制限され、場合によっては完全に遮断されるであろう。
【0048】
トラス107は、組織表面を離して保持するのに十分な断面強度を有するとともに、その半径方向の弾力性もある。この弾力性により、力が加えられたとき、チャネル壁がいくらか撓んで、組織への損傷を防止又は軽減することができる。しかし、この弾力性は、力が取り除かれたとき、チャネル109がその元の構成に戻ることを確実にする。例えば、組織の動きによって、トラスへの圧力が増加することとなる場合である。
【0049】
例として
図6及び
図19を参照すると、トラス407、2307は、チャネル409、2309の骨組みを形成するように配置された、少なくとも1つの可撓性の細長トラス部材415、2315を含む。細長トラス部材415は、好ましくは、チャネル2309、又はチャネル409の一部の長さよりも、長い弧長を有する。ここで、細長トラス部材415は、チャネル2309、又はチャネル409の一部に沿って延びている。好ましくは、トラス部材2315又は少なくとも1つのトラス部材415は、チャネル壁417、3217の内面の湾曲した輪郭に沿うように、湾曲している。例えば、トラス部材415、2315は、実質的にチャネル壁の湾曲に沿って、弓状、らせん状、波状、又はその他湾曲していてもよい。トラスは、追加的又は代替的に、実質的に直線状のトラス部材を含んでもよい。トラス部材は、フィラメント/トレッド(tread)を含んでもよい。
【0050】
トラスは、「開いた」形態を有してもよく、この場合、トラス部材は、チャネルの上部若しくは下部、及び/若しくは側部に沿ってのみ、又は主にチャネルの上部若しくは下部、及び/若しくは側部に沿って位置し、例えば、
図5c、
図5d、及び
図6~
図10に示されるように、アーチ型トラス407、507、607、707、807を形成して、それぞれのチャネル409、509、609、709、809が、アーチの下に画定されている。
図6を参照すると、湾曲したトラス部材415は、圧縮される時に、上にある部材がつぶれることを防止又は阻止することを、下にあるトラス部材が助けるような方法で、経路を互いに交差させるように配置されている。
図7を参照すると、トラス607は、トラス部材616のそれぞれの接着点又は接合点を離間した関係で保持するために、別個の点618で湾曲したトラス部材615に結合され又はその他接合された、補強トラス部材616a、616bをさらに含んでもよく、それにより、トラス部材のそれぞれの部分の相対運動によってチャネル壁617がつぶれることが、軽減又は防止される。例えば、
図7~
図9の例示的なデバイス601、701、801、901では、アーチ型トラスは、2つの細長側部補強部材616b、716b、816b、及びそのアーチの頂上にある細長補強部材616a、716a、816aを含む。補強部材616a、616b、716a、716b、816a、816bは、チャネル、又はチャネルの一部の長さと、実質的に同じ長さを有する。ここで、補強部材616a、616b、716a、716b、816a、816bは、該チャネル、又は該チャネルの一部に沿って延びている。
【0051】
代替的に、トラスは、「閉じた」形態を有してもよく、この形態において、トラスは、本質的に管状であり、すべての半径方向で組織表面への支持を提供する。例えば、
図10の実施形態は、アーチ916bの下縁間の間隔を実質的に維持するために、アーチの基部に沿った一連の斜めの補強支柱916cを追加的に含む。
図19~
図26は、閉じたトラス形態2307を有する、例示的な実施形態をさらに示す。ここで、閉じたトラス形態2307は、円柱状のチャネル2309を画定する少なくとも1つの実質的にらせん状のトラス部材2315を含む。
図23~
図28bに示されるように、らせん状のトラス2707は、らせん状のトラス部材2715の隣接する一巻きを離間して保持するために、別個の点でらせん状のトラス部材2715に結合され又はその他接合された、1つ以上の補強トラス部材2716をさらに含んでもよく、それにより、トラス部材の隣接する一巻きの相対運動によってチューブがつぶれることが、軽減又は防止される。
図23~
図28bに示される実施形態は、チャネル、又はチャネルの一部の長さと、実質的に同じ長さを有する、2つの細長側部補強部材2716を含む。ここで、この2つの細長側部補強部材2716は、該チャネル、又は該チャネルの一部に沿って延びている。実施形態は、追加の補強部材、例えば(
図27bに示されるような)3つの補強部材を任意で含んでもよく、又は代替的に、より少ない補強部材を有してもよい。
【0052】
トラスは、複数のらせん状のトラス部材を含んでもよい。例えば、
図33dは、重なり合う第1及び第2の実質的にらせん状のトラス部材3515a、3515bを含む、さらなる実施形態のトラス3507を示す。第1のトラス部材3515aは、第1のピッチ長P1を有し、第2のトラス部材3515bは、第1のピッチ長P1より大きい、第2のピッチ長P2を有する。示されている実施形態では、第2のピッチ長P2は、第1のピッチ長P1の約3.5倍である。しかし、他の比率が予期されており、例えば、第1のピッチ長P1は、第2のピッチ長P2の約4.5倍若しくは約3倍~約5倍、又は第1のピッチ長P1の約2倍~約10倍であってもよい。
【0053】
示されている実施形態では、トラス3507は、第1のらせん状のトラス部材及び第2のらせん状のトラス部材の両方に接合された、2つの細長側部補強部材をさらに含む。細長側部部材は、チャネル、又はチャネルの一部の長さと、実質的に同じ長さを有する。ここで、該細長側部部材は、該チャネル、又は該チャネルの一部に沿って延びている。代替実施形態では、トラスは、より多く若しくはより少ない補強部材を有してもよく、かつ/又は2つより多くのらせん状の部材を有してもよい。
【0054】
第1及び第2のトラス部材3515a、3515bは、互いに結合され、かつ/又は別個の点3518で補強部材3516に結合される。ここで、別個の点3518では、部材が互いに重なり合う。互いに結合された複数のらせん状の部材を有するこの例示的な構造は、有利なことに、より少ないトラス材料を使用してより高強度のトラスが作成されることを可能にする。
【0055】
図39a~
図40cは、等しいピッチ長を有するが相対する方向に巻く第1及び第2の実質的にらせん状のトラス部材3915a、3915bを有する、さらなる実施形態のトラス3907を示す。第1及び第2のらせん状のトラス部材3915a、3915bは、非円形の断面プロファイルを有するチャネル3909を画定する。示されている実施形態(
図41及び
図42を参照)では、チャネル3909は、長寸法(major dimension)及び長寸法よりも小さい短寸法(minor dimension)を有する、楕円形(oval)又は楕円形(elliptical)の断面プロファイルを有する。2つの組織表面の間の創傷内に置かれる場合、デバイスは、好ましくは、2つの組織表面の間の間隔が短寸法に対応するように、長軸が2つの組織の界面に沿って延びる方向に向けられる。これにより、2つの組織表面が互いに接近し、同じ断面積の円柱状のトラスを備えた実施形態よりも良好に治癒を促進できると同時に、患者の快適性も向上する。
【0056】
トラスは、
図40a及び
図40bで(短軸上で)見てトラスの上部に2つ、及びトラスの下部に2つの、4つの細長補強トラス部材3916を含み、らせん状のトラス部材3915a、3915bの隣接する一巻きを離間して保持する。対の補強部材3916の使用は、単独の補強部材を2つ有する実施形態と比較して、トラス3907が押しつぶされ又はねじれることに対する追加的な支持及び抵抗を与える。しかし、代替実施形態では、補強を改善するために、トラスは、単独の上部補強部材及び単独の下部補強部材を含んでもよく、かつ、これらの補強部材は、改善された補強をするため、例えばテープの形態で、らせん状のトラス部材よりも厚く、かつ/又は幅が広くてもよい。各補強トラス部材3916は、2つのトラス部材3915a、3915bの間に位置し、第1のトラス部材3915aは、別個の点で補強トラス部材3916の内面に結合され又はその他接合され、第2のトラス部材3915bは、別個の点で補強トラス部材3916の外面に結合され又はその他接合されている。第1及び第2のトラス部材3915a、3915bは、それらが補強トラス部材に結合される点で、互いに重なり合う。
図41及び
図42の使用断面図に最もよく示されているように、第1のトラス部材3915aは、内側にねじれる部分を有し、この部分で、第1のらせん状のトラス部材3915aが、それぞれの補強トラス部材3916に接合され、補強トラス部材3916及び第2のトラス部材3915bに適応する。補強部材3916の周りの、第1のトラス部材3915aのこの内側へのねじれは、もしトラスが押しつぶされた場合、チャネル3909が完全に遮断される可能性を低減するのに役立つ。第1のトラス部材3915a及び補強部材は、側壁3919の互いに向かう動きを制限することで、相対する補強部材が互いに向かって押されたときに特に補強部材のいずれかの側でいくらかの流れを可能にする。
【0057】
非円形の断面プロファイル及び短軸上の補強部材を備えたこの例示的な構造は、有利なことに、トラス3907が、1つの方向でより可撓性を有する一方、らせん状のトラス部材3915a、3915bの間の部分でトラスがねじれ、又はつぶれることを防ぐことも可能にする。
【0058】
開いた形態と閉じた形態との両方のトラスについて、あらゆる補強部材の数及び性質は、要素となるトラス部材の強度特性、トラス部材の数、それらの構成、及びチャネルの断面積に依存するであろうし、開いた形態を有するトラスは、他のトラス部材を補強するために、1つ以上の細長トラス部材を含み得る。
【0059】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、チャネルは、約28mm2の断面積を有する。これは、直径若しくは最大幅が約6mmの円柱状のチャネル、又は代替的に楕円形(oval)若しくは楕円形(elliptical)のチャネルによって、提供される。しかし、様々な断面積が可能であるし、異なる用途では、異なる断面のチャネルが必要になる場合がある。例えば、代替実施形態では、チャネルは、約3mm2~約80mm2、好ましくは約12mm2~50mm2の範囲の断面積、すなわち、円柱状のチャネルの実施形態において、おおよそ1mm~10mm、好ましくは約4mm~約8mmの範囲の直径又は幅を、有してもよい。断面積は、一定であってもよく、又は様々であってもよい。従来の流体排出デバイスに比べて断面積が大きいチャネルは、チャネルの長さ全体にわたって、より良好な、より低い圧力降下をもたらし、かつ、閉塞を防ぐためにも良好である。
【0060】
弾性トラスは、既存の先行技術のデバイスと比較した場合において、単位長さあたりの合成材料の全体の量を減らすことにより、2つの表面の間にチャネルを提供するためのより効果的な構造も提供する。
【0061】
トラスは、チャネル内に流体を通過させるために小径の開口部/穴に依存している、既存の先行技術の閉じた形態の性質と比較して、より効果的な流体の通過のために、内部チャネルから周囲領域への自由な流体交換を可能にする多孔質構造も有する。合成生体吸収性ポリマーはまた、典型的には、それらが分解するとき、酸を放出する。断面の厚さを考えれば、既存の先行技術のデバイスがより長く残存する場合、この分解は、高レベルの炎症を引き起こし得るものである。
【0062】
図11c及び
図11dに示されるさらなる代替として、トラス1107、1207は、所定の長さの糸のテープ1215(lengths of tape of thread 1215)、又はチャネル1109、1209の所望の厚さに対応する厚さtを有する、ひだ1115を含んでもよい。次に、サブチャネル1120、1220は、2つの所定の長さの糸若しくはテープ1215の間で、所定の長さの糸若しくはテープ1215のいずれかの側に沿って、長手方向に形を成し、又はトラス部材1115のひだ若しくはその他の3次元構造によって画定される空洞内に、長手方向に形を成す。
【0063】
いくつかの実施形態では、トラス107は、トラスが処置部位の表面に直接接触するように、処置部位に直接埋込み可能である。処置部位の表面は、場合によっては組織と骨の組み合わせの(of possibly a combination of tissue and bone)組織(例えば、筋肉組織、結合組織、若しくは皮膚)又は骨から、形成されているであろう。そして、チャネルを画定する1つ以上の壁が、組織表面自体によって形成されている。該壁において、それら組織表面は、トラスによって離れて保持されている。チャネルは、可撓性材料の1つのシートの表面と、処置部位の表面との間に、形成されてもよい。
【0064】
図5a~
図28bを参照すると、代替的に、デバイスは、生体吸収性材料の1つ以上の可撓性シート219、221を含んでチャネル壁217の少なくとも一部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の可撓性シート219、221は、チャネル壁217を部分的にのみ形成してチャネル壁の残りの部分が組織表面によって形成されてもよい。すなわち、チャネルは、可撓性シートの表面と、処置部位の組織の表面又は処置部位の骨の表面との間に、形成されてもよい。代替的に、1つ以上の可撓性シートが、チャネル壁の主要部分、又はチャネル壁の実質的に全体を形成してもよい。このような実施形態は、2つ以上の生体吸収性可撓性シートを、そのシートを離して保持しているトラスとともに、シート219、319、419などと、221、321、421などとの、向かい合う表面の間に1つ以上のチャネルが画定されるように含んでもよく(
図1~
図22を参照)、又は、単独の可撓性生体吸収性シート2719、2819、2919、3019などが、トラスの周りに巻き付けられてチャネルの壁を形成してもよい(
図23~
図28bを参照)。
【0065】
トラスの上又は周りに1つ以上の可撓性シートを固定するために、1つ以上のシートが、チャネルの側面のシームに沿って縫い合わされてもよい。
図5d及び
図20~
図22は、例示的な実施形態を示す。この実施形態において、2つの上側及び下側可撓性シート519、521は、2つの側部シーム523、2423、2523、2623に沿って縫い合わされている。トラスの周りに巻き付けられた単独の可撓性シートを備える実施形態では、
図23~
図25、
図27a及び
図27b、並びに
図39a~
図40cに示されるように、単独の側部シーム2723、2823、2923だけが、必要である。代替的に、縫い合わせるのでなく、例えば
図26に示されているように、接着剤3024が、相対するシートの縁を互いに接合するために、1つ以上のシームに使用されてもよい。
【0066】
ここで
図8a~
図9を参照すると、チャネル709、809内への流体の流れを促進するために、複数の開口部725、825が、可撓性シート719、819、821の一方又は両方に設けられてもよい。開口部は、上面、側面、及び/又は下面のうち、1つ以上に沿って設けられてもよい。開口部725、825は、1つ以上の列に整列されてもよく、又は互い違いに若しくはその他に配置されてもよい。
図8a、
図8b、及び
図10は、チャネル内への又はチャネルから外への流体の流れを促進するために、チャネル壁に沿って上部シート719、919にのみ設けられた開口部725、925を備える、2つの可撓性シートを含む実施形態を示す。一方、
図9及び
図14c~
図16bは、開口部825、1425などが、チャネルに沿って上部及び下部両方のシート819、821、1419、1421などに設けられて、チャネル内への又はチャネルから外への流体の流れをさらに改善する、代替実施形態を示す。代替的に、
図17a~
図18bに示すように、開口部2125、2225は、チャネル壁の下側に沿って下側シート2121、2221にのみ設けられてもよい。チャネル壁上での開口部の位置は、所望の性能特性に応じて様々であってもよい。例えば、流体の送達又は取出しを、処置領域のある一定の部分から排除するために、開口部が、デバイスの対応する部分のチャネル壁から除かれてもよい。一方、処置流体の送達が特定の領域に対して望ましい、例えば神経又は器官などの特定の表面に対して標的とする鎮痛の場合、チャネル壁の開口部は、チャネルの特定の部分に沿ってのみ設けられてもよい。
【0067】
トラスの周りに巻き付けられた単独のシートを備える実施形態では、例えば1つ以上の開口部の列に配置された、複数の開口部が、可撓性シートに設けられてもよい。単独の列のみが設けられる場合、チャネル内への又はチャネルから外への流体の流れの類似の速度を与えるために、開口部は、2つ以上の列を有する実施形態のものよりも大きくてもよい。例えば、
図24は、開口部2825の単独の列を有するチャネルを示す。ここで、開口部2825は、チャネル開口部の2つの列を有する
図25の実施形態のものよりも大きい。
図24に示されている実施形態では、開口部2825の表面積は、チャネル壁2717の表面積の約50%である。しかし、代替実施形態では、チャネル壁の開口部を含む部分において、開口部の表面積は、チャネル壁2717の表面積の約20%から約70%、好ましくは約30%から約60%であってもよいことが理解されよう。
【0068】
デバイスは、生体吸収性であり、除去される必要がないから、チャネル壁の開口部2825、2925のサイズ及び間隔は、除去時の組織への外傷を限定する必要性により制限されることはない。開口部を有する既存の除去可能なドレーンは、デバイスの壁の開口部を通した流体移送の必要性と、除去時の患者の外傷を減らす必要性とのバランスを取らなければならない。したがって、既存のドレーンデバイスは、内方成長がデバイス除去時の外傷の増加に結び付きデバイス閉塞の一因となるため、開口部を通した組織の内方成長を最小限にするためにチャネル開口部のサイズを制限し、開口部のサイズのこの減少は、流体を排出するということにおいて、そのようなデバイスの有効性を低下させる。対照的に、本デバイスでは、開口部の下にあるトラスは、トラス部材の隣接する部分間のギャップを通して流体の進入又は排出を可能にする一方、閉塞の一因となり得る、チャネル内への組織の内方成長を低減する。
【0069】
上述のように、トラス103、203、303などは、単独のチャネル又は複数の相互接続されたチャネルを、例えば分岐構造として、画定し得る。本発明のいくつかのデバイスは、流体の流れのための多くのチャネル、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれを超えるチャネルを含むであろうが、一方、本発明のいくつかのデバイスは、1つ又は2つのチャネルのみを含んでもよいことが理解されよう。
図4及び
図12a~
図18aは、分岐構造を有する、様々な実施形態のデバイスを示す。該分岐構造において、複数の二次チャネル109b、1309b、...、2209bは、1つ以上のハブ又はジャンクション110、1310、...、2210で、一次チャネル109a、1309a、...、2209aから分岐する。二次チャネルは、処置部位の周辺に向かって、それぞれ異なる方向に延びている。二次チャネルは、一次チャネルよりも小さい断面積を有してもよく、かつ/又はチャネルの1つ以上は、チャネルの一部に沿ってテーパーであってもよい。
【0070】
デバイスは、チャネルの相対位置を維持し、かつデバイスの埋込みの容易さを向上し、又はデバイスの埋込みを助けるために、隣接するチャネル間に生体吸収性ウェビング1322、...、2222を任意で含んでもよい。ウェビング1322、...、2222は、
図12a~
図18bに示される実施形態におけるように、可撓性シート1319、...、2219と1321、...、2221の一方又は両方によって提供されてもよい。
【0071】
一般に、ウェビングを含んでいると、デバイスの表面積が望ましくなく増加し、かつ、そのことによって、死腔内で相対する組織面の付着に対する障壁が作り出され得、その結果、以前に分離された組織の治癒及びその後の再接続が妨げられる。ウェビングによる生理学的影響を最小限にするために、開口部1627、1727が、織物(web)に設けられてもよい(
図14b及び
図14cを参照)。これらの織物開口部1627、1727は、織物の表面積を減少させるとともに、有利なことに、治癒を早めるためのデバイスを通じて、組織と組織の接触、又は組織の付着を可能にする。
【0072】
代替実施形態では、デバイスは、単独チャネルデバイス3401、3801であってもよい。単独チャネルデバイス3401、3801は、外科医が、デバイス3401、3801を、処置部位3402内にフィットするように所望の通りに曲げて構成することができるように、細長くかつ可撓性であってもよい。例えば、デバイスは、
図29~
図32及び
図37a~
図38bに示されるような波状の形状でそれ自体が前後に曲げられるか、又はコイル若しくは別の適切な形状に形成されてもよい。示されている波状の構成に加えて、多くの潜在的な構成が可能である。例えば、例えば乳房切除術のための三角形の構成、例えば外傷部位のための環状、楕円形、又は不規則な形状である。デバイスはまた、特に帝王切開、直視下腹壁修復(open abdominal wall repair)などにおける切開線の下で皮下に配置するために直線型構成で、又はT字型切開のためにT字型構成で、使用されてもよい。形状の組み合わせが、例えば、体内の複数の部位を処置するために複数のデバイスを互いに結合することによって、利用されてもよい。
【0073】
単独の線の形状は、腹腔鏡などの低侵襲外科手術の中でもうまく機能し得る。この場合、その単独の線の形状は、手術後に予防処置として、若しくは漿液腫を処置するために遡及的に、又は感染症若しくは疾患などを処置するために薬剤を周期的に点滴注入する手段として、利用されてもよい。
【0074】
図38a及び
図38bに示すように、単独チャネルデバイスは、チャネルを所望の構成に保持し、デバイスの埋込みの容易さを向上するために、例えば連続するチャネル屈曲部の間に、織物又はタブ3822を含んでもよい。好ましくは、デバイスは、チャネルの1つ以上の部分が処置部位の周辺の近くに配置されるように、構成及び配置される。示される実施形態では、単独チャネルデバイスは、一定のチャネル直径を有するが、代替実施形態では、チャネル直径は、様々であってもよく、例えば、その単独チャネルデバイスは、一端でより狭くなるようにテーパーであってもよい。
【0075】
デバイスのタイプ及びサイズは、処置部位の特性に基づいて選択されるであろう。例えば、分岐している実施形態は、比較的大きな表面積を有する処置部位に適している場合がある。いくつかの例では、流体の流れのための1つ以上のチャネルが、可能な限り最大限に処置部位の領域にわたって広がるように、構成されたデバイスが概ね幅広の形状を有することが、望ましいであろう。他の例では、シートの形状は、例えば外科的切開線のちょうど下にあるように、長くかつ細くてもよい。
【0076】
任意で、デバイスは、該デバイスが埋め込まれてしかるべき位置に固定される間、処置部位の領域に適合するようにデバイスの形状を調整できる、取り外し可能な位置決め器具又は位置決めデバイスによって、該デバイスの所望の構成で一時的に保持されてもよい。
【0077】
任意で、1つ以上のチャネル又はデバイスが、チャネル又はデバイスが遮断された場合に1つ以上の代替流路を提供するように、配置されてもよい。
図37a~
図38bは、波状に構成されている単独のチャネルを備える、例示的なデバイスを示す。この構成では、隣接する屈曲部にあるチャネルの部分3841、3843は、極めて近接して配置されている。
図37bを参照すると、チャネルが、主流路Fに沿って局所的な閉塞3840に遭遇する場合、流体は、隣接する屈曲部にあるチャネルの部分3841、3843の間を流れて、代替流路XFを確立することができる。
【0078】
デバイスは、デバイスの1つ以上のチャネルと流体連通するポート111を有し、そのため、チャネルのいずれか1つの中に流出する流体は、ポート111に向かって、及びポート111から外へ、流出するであろう。複数の二次チャネル109b、1309b、...、2209bを備える
図4及び
図12a~
図18aにおけるものなどの、分岐構造を有するデバイスについては、二次チャネルが、ポートの上流、一次チャネル109a、1309a、...、2209aに集まるであろうことが理解されよう。ここで、該ポートは、一次チャネル上に配置されている。
【0079】
ポートは、患者の内部の位置、又は外部の位置、例えば患者の皮膚の外面上、若しくはその他、身体の外科的開口部に近い患者の身体の外側のために、構成されてもよい。内部に配置されるポートの場合、使用時、デバイスの主な構造は、処置部位に配置され、かつ、ポートは、処置部位の辺縁の内側、若しくは代替的に処置部位の辺縁の近くで、内部に配置されるか、又は逆に身体の他の場所で遠隔の位置に配置されるであろう。ポート111は、陰圧源又は陽圧源13からの導管14との連通のための、トラス又はチャネルの端部の開口部のみからなることができる。デバイスのいくつかの実施形態、2501、2601、3101では、トラス2507、2670、3107は、1つ以上の可撓性シートを超え、かつ導管2514、2614、3114によって受けられて導管をチャネルに結合するために、延びている(
図21、
図22、
図27a及び
図27bを参照)。トラスに取り付けられるとき、導管は、
図21、
図27a及び
図39a~
図40cに示すように可撓性シートの縁に接してもよく、又は導管がシートの下に延びてもよい(
図22)。代替的に、ポートは、導管とデバイスとの間の結合を強化するための特徴を含んでもよい。例えば、デバイストラスの形状、直径、及び/又は構成は、ポートに隣接して変化してもよい。
図27bを参照すると、一例として、トラス3307は、ポートに隣接する所定の長さの部分3346を含み供給導管3314との解放可能な接続を形成するために増加した直径を有してもよい。この所定の長さの部分3346において、供給導管3314は、トラス3307内へと、内側で受けられる。トラスのピッチは、この領域3346内で変化してもよい。この変化することは、接続が、例えば強度及び剛性についての必要な増加など、適切な機械的特性を有することを確実にするためである。トラス3307は、好ましくは、ピッチの変化及び直径の変化が徐々にである、移行領域3345を含む。
【0080】
代替的に、装置3901は、
図39a~
図40aに示されるように、デバイス3901を導管3914に解放可能に結合するために、導管3914によって受けられるように1つ以上の可撓性シート3919を越えて延びている、トラス3907の部分3946を含んでもよい。この例示的な実施形態では、導管3914は、2つの内部内腔、すなわち一次内腔、及び二次内腔3947を含む。一次内腔、及び二次内腔3947を分離する内壁又はバッフルは、トラス3907の結合部分3946の端部に隣接して終端してもよい。しかし、導管3914は、好ましくは、閉塞の発生を減らすために、流体をデバイスチャネル3909から二次limen3947内に方向付けるための、例えば導管壁のくぼみ/チャネル、又はリップ若しくはバッフルの形態の、流れを方向付ける機能を、この点の前方に含む。二次内腔は、デバイス3901を介した処置部位への流体の注入のため、又は処置部位の圧力若しくは温度などのパラメータの測定を容易にするために、有用な場合がある。
【0081】
図40a~
図40cは、この例示的な実施形態のトラスから導管3914を取り外す方法を示している。
図40aに示されるように、導管3914が、トラス3907に結合されるとき、導管の直径が、該導管がトラスと重なり合う領域でより大きくなるように、トラス3946と重なり合う導管の部分が、拡張してトラス上にフィットする。トラス上での導管3914の拡張を容易にするために、複数のスリット3948が、導管の結合領域の、導管の壁に設けられている。スリットは、導管壁に沿って長手方向に延びており、導管の外周のあちこちに、又は導管の特定の領域のみに、例えば上部及び下部の領域に設けられて、導管壁がより多く拡張することが望ましい領域により多くのスリットが設けられてもよい。これらのスリット3948は、楕円形トラス3907と、異なる断面形状を有する導管、例えば円柱状の導管との間の結合を容易にするために有用である。導管の拡張された部分は、トラス3907に圧縮力を加えて、強固な接続を形成する。
【0082】
図40b及び
図40cに示されるように、導管3914をトラス3907から取り除くために、導管が長手方向に引っ張られて、トラスから離れる。スリット3948は、導管壁がトラスの端から滑って外れるときに、取り外しを助け、壁のスリット3948が閉じて、導管壁が、その導管壁が実質的にその元の形状及び寸法に戻るまで、収縮する。導管壁は、好ましくは、拡張した導管部分がその元の寸法に戻ることを助け、かつ強固な接続を確保するために、シリコーンなどの弾性材料を含む。
【0083】
追加の保持機能を含む、デバイスを供給導管に結合する他の方法が、認識され、かつ想定されることが理解されよう。例えば、導管の内面は、意図しない連絡切断を防止するため、トラスとの追加的な係合のために、ねじ山がつけられ、又は突起/戻り止めを有し得る(could may)。二次的な保持の方法は、導管の内腔を通過してトラス部材と導管の境界面に通された糸又は縫合糸のループを利用して、強固な接続を提供することを含み得る。ここで、この接続は、この接続を解放するために糸のループを引っ張ることによって、簡便に解放されることができる。
【0084】
図13及び
図18で、ポートが外部に配置されることが意図され、トラスのそれぞれのその部分が組織に囲まれないであろう実施形態において示されるように、1つ以上の可撓性シートが、ポートに隣接して一部切り取られてもよい。
【0085】
デバイスは、軟部組織に対してデバイスを固定するための1つ以上の特徴を含んでもよい。
図28a及び
図28bは、例えばデバイス3201の周りに巻き付けられたポリマー材料のカフを含む、吸収性ロック部材3226を有する実施形態を示す。組織保持かかり3228は、デバイス3201を処置部位の軟部組織に固定するために、カフから突出する。
【0086】
外部に配置されたポートは、内部に配置されたポートに関連して上記で説明したものと類似の形態を有してもよい。有利なことに、流体送達の流体排出の機能(function of fluid drainage of fluid delivery)が完了すると、導管は、外部に配置されたポートから分離されることができ、ポートは、外科用開口部を通して身体に挿入されることができ、開口部は、外科的に閉じられる。デバイス全体が生体吸収性材料で形成されているため、ポートは、その後、時間の経過とともに、デバイスとともに身体に吸収され、又は作り変えられるであろう。代替的に、デバイスのポートが、デバイスから切り取られるか、又はその他、デバイスから除去されて、それから、外科的開口部が、外科的に閉じられてもよい。
【0087】
上記で説明したデバイスは、患者の体内の処置部位から流体を排出し、又は患者の体内の処置部位に流体を送達するためのシステムでの使用が意図されている。例示的なシステムは、
図2a~
図4、
図29~
図32、
図35a~
図36b、及び
図41~
図42に示されている。システムは、デバイス3401のポート3411又は流体不透過性被覆材のいずれか、及び患者の身体の外部に位置するリザーバ3429に、解放可能に結合された導管3414を含み、リザーバは、導管3414と、該導管から流体を受けるために、流体連通している。代替的又は追加的に、システムは、流体を導管3414に送達するために処置流体を保持する、リザーバ3437を有してもよい。圧力源3413は、デバイス3401に陽圧又は陰圧を送達するために導管3414に結合される。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポート3411は、皮膚3406の外面に位置する不透過性被覆材3433に結合されてもよく、不透過性被覆材3433は、皮膚切開部周辺の気密性の密閉シール、及び導管が被覆材に解放可能に結合されるための代替手段(means to which a conduit is releasably coupled to the dressing)を提供する。1つの例示的なシステムが、
図2aに概略的に示されており、この
図2aは、漿液腫105から流体を除去するために、デバイス101が筋肉103に隣接して置かれた、腹腔108の断面図を与える。デバイス101のポート111は、皮膚106の外面よりも突き出て示され、不透過性密閉被覆材112に覆われて接続されている(covered and connected to an impermeable hermetic dressing 112)。ここで、不透過性密閉被覆材112は、陰圧源又は陽圧源113に接続されているチューブ114の形態の導管に、解放可能に結合されている。デバイス101及びトラス107は、皮膚106の外面から、皮下組織104を通って、処置部位102まで続く。処置部位102において、デバイス101は、漿液腫105又は死腔と、筋肉組織103との両方に接触している。デバイス101内のチャネル109は、漿液腫105とデバイス101のポート111との間の、流体連通を提供する。代替実施形態では、ポート111は、代わりに、内部にあって、例えば処置部位102の辺縁の近くに設けられてもよい。
【0089】
図29を参照すると、代替的に、導管3414とポート3411との間の結合は、
図29~
図32の実施形態に示されるように、患者の内部に設けられてもよい。その実施形態では、デバイス3401は、皮下組織又は皮下及び筋肉組織3404の層の下に配置される。システムの圧力源3413は、創傷被覆材3436、例えば外科的切開部3434上の被覆材に、圧力を加えるためにも利用されてもよい。そのようなシステムの1つが、
図30a及び
図30bに示されている。
図30a及び
図30bでは、コネクタ3435は、被覆材3436及び排出デバイス3401のそれぞれの導管を、圧力源3413及び導管3429に結合する。
【0090】
圧力源3413は、流体が処置部位3402からデバイス3401内に排出され、かつ導管3414を通してリザーバ3429に移送されるように、陰圧をデバイス3401に与えることができてもよく、又はリザーバ内の流体が導管を通してデバイス内及び処置部位に移送されるように、陽圧をデバイスに与えることができてもよい。流体の流路は、図面に示されている実施形態では、流れの矢印Fで示され(indicated in)ている。
【0091】
圧力源は、典型的には、処置部位への送達のためにリザーバからデバイス3401内へ流体をポンピングするためのポンプ、又は陰圧を加えて処置部位3402から流体を排出するための真空ポンプ3413であろう。ポンプは、例えばスクイズバルブを使用して、手動で操作されてもよく、又は部位へのより正確な流体の送達のために、電子的に制御されてもよい。
【0092】
流体が処置部位に送達されているシステムにおいて、送達される流体は、1つ以上の栄養物、揺変性ゲル又は高粘性の流体であってそれでもなお導管を介して運ばれることができるものなどの「流動性の流体」、創傷治癒を促進するための細胞懸濁液治療薬を含有してもよい。本明細書で説明するデバイスは、有利には、デバイスが機能する期間を調整するために、所与の用途のためにインサイツでカスタマイズされてもよい。例えば、壁の厚さ、又はトラス部材の厚さ若しくは密度を調整することによる。
【0093】
III.製造方法
図33aから33dは、2つのらせん状のトラス部材3515a、3515bを有するトラスを形成する例示的な方法のステップを示している。
図33aに示されている第1のステップでは、縫合糸又は他の生体吸収性ポリマーフィラメントの形態の、第1のトラス部材3515aが、一端でクランプ3544によってクランプされ、かつ棒状のマンドレル3530の周りに第1のピッチ長P1でらせん状に巻かれている。次に、2つの細長補強部材3516も、それらの端部でクランプ3544によってクランプされ、マンドレルの相対する両側に沿って、らせん状のトラス部材の上に置かれる。次に、
図33cに示されるように、第2のトラス部材3515bが、クランプ3544によってクランプされ、第1のらせん状の部材3515a、補強部材3516、及びマンドレル3530の周りに巻かれる。次に、マンドレル3530又は環境が、加熱されて、補強部材を、第1のらせん状の部材に、それらが重なり合う点で、溶着させる。トラス3507が冷却されてトラス部材の形状がセットされ、それからクランプ3544及びマンドレル3530が取り外されて、
図33dに示されるように中空のトラス3507が残る。方法のステップの順序は、様々であってもよく、かつすべてのステップが必要というわけではないことは明らかであろう。
【0094】
図34a及び
図34bは、代替的かつ例示的な方法を示す。該方法では、トラスは、連続的に製造される。2つの細長補強部材3616が、マンドレル3630の相対する両側に沿って供給され、それからトラス部材3615が、
図34aに示すように補強部材3616の周りに巻かれて、この部材の部分3607aが、局所印加若しくは熱(local application or heat)によって補強部材3616に取り付けられ、又はマンドレル3630に対してクランプされ若しくはその他固定される。トラス部材3615が巻かれると、トラス部材3615、3616の頂点3618の近くに局所的に熱が加えられて、トラス部材と補強部材を互いに結合する。トラス3607は、冷却され、トラスがマンドレル3630から外れて割出しされてプロセスが次へ進む前に、トラス部材3615のらせん形状がセットされる。
【0095】
図5a~
図11bのトラス及びシートの配置を有するデバイスなどの代替実施形態では、所定の長さの、縫合糸などの、生体吸収性の、弾性の、糸又はテープが、少なくとも1つの可撓性シートに織り込まれ若しくは少なくとも1つの可撓性シートの中を縫って通り、又は少なくとも1つの可撓性シートに縫い込まれ若しくは縫い付けられて、トラスを形成してもよい。例えば、ロッド上にジグザグタイプのステッチを機械縫いして、チャネルを作成する3次元形状を提供する。機械縫いのジグザグステッチを作成するために使用される上糸及び下糸は、stichesのインターロックを容易にするために、それぞれ異なるゲージ又は太さであってもよい。ジグザグステッチを使用して構築される実施形態は、製造中の裂けを防止するために、追加的な下側シート221、321(
図5a及び
図5bを参照)を含んでもよい。
【0096】
IV.材料
本発明のデバイスは、生体吸収性材料で形成されている。典型的には、2つのタイプの生体吸収性材料が、使用され、1つは、可撓性シート及びあらゆる織物のためのものであり、もう1つは、トラスのためのものである。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、可撓性シートは、ECMで形成されている。ECMシートは、典型的には、高度に保存されたコラーゲン類、糖タンパク質類、プロテオグリカン類、及びグリコサミノグリカン類を、それらの自然な構成及び自然な濃度で含む、コラーゲンベースの生分解性シートである。ECMは、様々な供給源から得ることができる。この様々な供給源の例としては、豚、牛、及び羊、又はその他の温血脊椎動物を含む食肉の生産のために飼育された動物から採取された、真皮の心膜組織又は腸組織(dermis pericardial or intestinal tissue)が挙げられる。
【0098】
本発明での使用に適したECM組織は、ECMの供給源に応じてECM内に自然に見出される、自然な関連性のあるECMタンパク質、糖タンパク質類及びその他の因子を含む。ECM組織の供給源の1つは、温血脊椎動物の前胃組織である。本発明での使用に適したECMは、メッシュ又はスポンジのシートの形態であってもよい。
【0099】
前胃組織は、本発明における使用のためのECM組織の好ましい供給源である。適切な前胃ECMは、典型的には、反芻動物の前胃の固有粘膜下組織を含む。本発明の特定の実施形態において、固有粘膜下組織は、前胃の第一胃、第二胃又は第三胃に由来する。これらの組織足場は、典型的には、輪郭が付けられた薄層状表面を有する。一実施形態では、ECM組織は、上皮、基底膜又は筋層の一部、及びそれらの組み合わせを含む、脱細胞化された組織を含有する。組織はまた、コラーゲンI、コラーゲンIII、又はエラスチン、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1以上の線維状タンパク質を含んでもよい。これらのシートは、供給源である脊椎動物の種に応じて、厚さ、及び輪郭の明確さが異なることが知られている。
【0100】
本発明に従って使用するためにECM組織を調製する方法は、米国特許第8,415,159号に記載されている。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリマー材料のシートが、使用されてもよい。ポリマー材料は、シート又はメッシュの形態であってもよい。ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグレカプロン25などの合成材料は、短期的にはさらなる強度を与えるであろうが、長期的には吸収されるであろう。代替的に、ポリマー材料は、天然材料であるか、又はタンパク質類(例えば、コラーゲン)、多糖類(例えば、アルギン酸塩)、及び糖タンパク質(例えば、フィブロネクチン類)などの、天然材料に由来してもよい。
【0102】
トラスを形成するトラス部材は、デバイスが処置部位の輪郭に一致できるようにする程度の可撓性を有する材料で形成され、かつ、2つの表面を離して保持してそれによりチャネルが形成されることができるようにするために、十分な構造的強度及び完全性を有するであろうことが理解されよう。この材料の構造的完全性、及びもたらされる形状は、デバイスが任意の状況でねじれ又は押しつぶされた場合に、流体の流れチャネルが回復するための手段も、提供するであろう。例えば、トラス部材は、ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)、ポリグリコール-ポリラクティックコポリマー類(polyglycolic-polylactic copolymers)、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)、ポリカプロラクトン、又はポリジオキサノンなどの生体吸収性材料から作られた、所定の長さの縫合糸、糸、ひも、又はテープを含んでもよい。
【0103】
V.生理活性材料の送達
あらゆる所望の生物活性分子を、ECM、若しくはポリマー材料、又はトラス部材材料自体に組み込むことができる。適切な分子には、例えば、小分子、ペプチド類、若しくはタンパク質類、又はそれらの混合物が含まれる。生物活性材料は、ECM内部に生じるものであり得、又は埋込み片を製造するプロセスの間若しくは後に、ECM及び/若しくはポリマー材料の中に組み込まれる材料であり得る。いくつかの実施形態では、2以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の異なる生物活性分子を、非共有結合的に、ECM又はポリマーの中に組み込むことができる。生理活性分子は、懸濁液、カプセルに入れられた粒子、微粒子、及び/若しくはコロイドとして、又はそれらの混合物としてのいずれかで、非共有結合的に材料の中に組み込むことができる。生物活性分子は、ECM/ポリマー材料層間で分配されることができる。生物活性材料は、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、銀、FGF-2、TGF-B、TGF-B2、BMR7、BMP-12、PDGF、IGF、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、及びヒアルロナンを含むタンパク質類、成長因子、抗菌剤、及び抗炎症剤を含む場合があるが、これらに限定されない。
【0104】
VI.外科的配置
デバイスの外科的配置は、
図4に最もよく示されている。
図4では、デバイス101は、例えば腹腔内の、筋肉103に固定されて示されている。デバイス101のポート111は、切開部142から外へ出て示されている。切開部142は、主要な外科的切開部134とは別個のものであり、デバイス101が皮膚106の外面上に置かれることを可能にする。デバイス層119、121を分離するために使用されるデバイス101の構造は、皮膚106の外面上に見ることができ、かつ、この特定の図では、組織皮下層104を通過するように示されており、そこでは、デバイス101の下面が、下で筋肉103に固定されている。
【0105】
図2aは、デバイス101のポート111が、不透過性密閉皮膚被覆材112で覆われている場所の例を示す。ここで、不透過性密閉皮膚被覆材112は、デバイス及び
図4に示される出口切開部142の周りに、気密性シールを提供する。不透過性密閉被覆材は、供給源又は処置部位102からの流体を交換するために、チューブ114を陰圧源又は陽圧源113に解放可能に接続する手段も提供する。主要な外科的切開部は、典型的には、臨床的用途に応じて、通気性又は不透過性のいずれかの被覆材(図示せず)で覆われている。
【0106】
代替的に、デバイスは、開放創の底に置かれて、被覆材と組み合わせて使用される場合がある。
図41及び
図42は、楕円形トラス3907及びチャネル3909を有するデバイス3901を利用した、開放創内での配置の例である。デバイス3901は、皮下組織4004内で、排出チャネル3909を作成するために、露出した筋肉4003の表面又はその近くに配置される。創傷が治癒するときにチャネル3909から流体を吸引するために、陰圧が、デバイス3901に加えられてもよい。
【0107】
図41の例4034では、創傷の露出表面の保護も行いながらデバイス3901を介して処置部位に陰圧を加えることを可能にするために、創傷の残りの露出領域上に空気閉塞性の被覆材4039が適用される。任意で、陰圧創傷被覆材4139が、
図42に示されるように、デバイス3901と流体連通して、創傷の上に適用されてもよい。
図42に示されている実施形態では、発泡体被覆材が、皮膚及び周囲の創傷周囲領域上のシーリング被覆材4112とともに、デバイス3901上、創傷内に置かれる。
【0108】
VII.処置流体の注入
癌性組織の外科的切除後又は進行中の感染が憂慮される場合の多くの臨床的手法において、手術後、流動性の細胞ベースの流体を、処置部位に制御可能に注入及び投与する能力が望ましい。投与濃度、契約時間(contract time)、投与量、及び処置部位における部位などの様々なパラメータを精密に制御する能力は、投与プロファイルについて材料の分解特性にしばしば依存する既存の薬剤溶出、又は投与される埋込みデバイスに対する優位性も与える。
【0109】
以下の
図31、
図32及び例5は、処置流体が正確かつ標的化された方法で処置部位に注入されることができる、実施形態を説明する。流体は、例えばECM、ヒアルロン酸、治癒を助ける成長因子、感染症の処置のためのto抗菌薬(to antimicrobial drugs)、鎮痛のためのフェンタニル又はモルヒネなどの鎮痛薬、及びケトロラック又はジクロフェナクなどの抗炎症薬に由来する、流動性のゲルを含んでもよい。けれども、他の流体は、想定されており、かつ当業者に明らかであろう。
【0110】
多血小板血漿、幹細胞、間質細胞、ケラチノサイト、リンパ球、骨髄穿刺液、血清、及び樹状細胞のいずれかを含有する、自家組織又は同種異型の細胞ベースの治療注入が、創傷の修復及び治癒を助ける場合がある。
【0111】
例えば、腸の幹細胞の注入は、炎症性腸疾患の処置に役立つ場合があり、一方、部分的又は完全な膵臓切除後の膵島細胞の注入は、損傷組織の修復及び再生を助ける場合がある。
【0112】
化学療法薬の注入は、手術可能でないかもしれない癌性細胞の局所的処置を助ける場合もあり、又は癌性組織の切除後の総合的な処置計画として使用される場合がある。
【0113】
実施例
実施例1:外科的切開部の下の皮下組織死腔を閉じる
大量の脂肪(adipose)(脂肪(fat))組織が関わる手法において、閉じられた外科的切開部の下の皮下組織の管理は、臨床的に困難な場合がある。脂肪組織は、縫合を維持するその能力において、機械的強度に乏しいことが知られており、皮膚と下にある筋肉との間の距離の増加は、手術後に流体を蓄積させる、死腔の形成につながる場合がある。このことは、後の、創傷離開及び手術部位の感染などの合併症につながる場合がある。以下で与える実施例は、このデバイスが、外科的切開部の下の外科的死腔を排除するためにどのように利用され得るかを示している。
【0114】
デバイスの外科的配置は、
図35a及び
図35bの断面図に最もよく示されている。
図35a及び
図35bでは、デバイス3701は、皮膚切開部3734の下の処置部位3701で筋肉3703に固定されて示されている。埋め込まれた処置デバイス3701は、ECM又はポリマー材料の単独の層で囲まれた中空トラス3707を含み、処置部位3702とデバイスに結合された(結合を図示せず)陰圧源との間での流体の通過を可能にするチャネル3709を画定するように、示されている。
図35bに示されるように、一旦、陰圧又は吸引力が加えられると、処置部位3702からの流体Fは、デバイス3701に向かって引き寄せられ、その結果、皮下組織内の死腔が縮小及び閉鎖されて、以前に分離された組織3704の2つの相対する面の付着3739がもたらされる。
【0115】
実施例2:外科的切開部の二重の管理
主要な外科的切開部の表面に陰圧を加える、局所的に適用される創傷処置デバイスは、創傷離開及び手術部位の感染などの外科的合併症の予防のために、広く採用されるようになった。これらの局所的に適用されるデバイスは、主に、副次的な機械的保持を提供して主要な縫合線上の張力を低減することによって、並びに皮膚からの過剰な滲出液を覆いかつ除去して浸軟及び感染を防ぐことによって、治癒を助ける。
【0116】
これらのデバイスは、皮膚切開部の治癒を支援することについての有効性を示したが、それらは、より深い皮下組織、特に、皮膚切開部と比べてしばしばより多くの時間を治癒に必要とする、大量に削り取られ、分離され、又は切除されたものの死腔を、効果的に管理することはできない。これらのシナリオでは、埋め込まれた処置デバイス3701及び局所的に適用された創傷処置デバイス3736の複合システムが、外科的皮膚切開部3734の治癒を管理しながら内側処置部位の死腔を排除するために、利用されてもよい。
【0117】
複合の局所的及び埋め込まれた処置システムの外科的配置は、
図36a及び
図36bの断面図に最もよく示されている。デバイス3701は、皮膚切開部3734の下の処置部位3702で筋肉3703に固定されて示されている。埋め込まれた処置デバイス3701は、処置部位3702と陰圧源との間での流体の通過を可能にするチャネル3709を画定するための、ECM又はポリマー材料の単独の層で囲まれたトラス3707を含む(is comprises)。局所的に適用された創傷処置デバイス3736は、皮膚切開部3734の上に配置され、切開創への同時処置を可能にする。
【0118】
図36bに示されるように、一旦、埋め込まれた処置デバイス3701に陰圧又は吸引力が加えられると、処置部位からの流体Fは、デバイス3701に向かって引き寄せられ、皮下組織3704内の死腔が縮小及び閉鎖されて、以前に分離された組織3704の2つの相対する面の付着3739がもたらされる。
【0119】
複合処置システムの概略図は、追加的に
図30a及び
図30bに示されている。
図30a及び
図30bでは、埋め込まれた処置デバイス3401が、体内の処置部位3402に配置されて固定され、局所的に適用された創傷処置デバイス3436が、皮膚切開部3434に適用されている。
図30aは、処置部位3402を、皮下組織の層3404の下にあるように示している。ここで、皮下組織の層3404は、脂肪組織、筋肉、骨、腱、又はこれらの組織の任意の組み合わせの、いずれかを含む部位にあり得る。
【0120】
図30bを参照すると、処置部位3402は、皮膚切開部の下、又は縫合糸若しくはステープルのいずれかで閉じられた主要な皮膚切開部3434の下の、いずれかに位置する皮下組織3404内の死腔を含み得る。
図30aと
図30bの両方で、埋め込まれた処置デバイス3401、及び局所的に適用された創傷処置デバイス3436は、チューブコネクタ3435を介して互いに接続されたチューブに、結合されており、圧力源3413によって供給される陰圧又は陽圧を介して、流体を創傷に運び、創傷から流体を運ぶ。圧力源3413は、処置部位から取り出された流体、又は任意で、処置部位に導入するための流体を貯蔵するための、適切なリザーバ3429も含む。
【0121】
両方の図で、埋め込まれた処置デバイス3401は、デバイス3401が広い領域にわたって処置剤を効果的に送達できるようにするために波状構成で配置された、単独のチャネルデバイスである。しかし、他のデバイスタイプ又は構成が、利用されてもよい。
【0122】
実施例3:トラス部材の製造方法
デバイストラス部材の製造の1つの実施例は、
図33a~
図33dに関連して上記で全体的に説明されており、トラス部材3515a、3516、及び3515bは、それらの第1の端部でクランプされ、中央マンドレル3530の周りにきつく巻かれ、それらの反対側の端部でクランプされている。
【0123】
この時点で、アセンブリ全体が約120℃の温度でおおよそ5分間オーブン内に置かれ、トラス部材3516、3515a、3515bの交差するすべての頂点3518を、互いに結合させる。一旦、十分な結合が形成される(have has formed)と、アセンブリは、オーブンから取り出されて、両方のクランプ3544が取り除かれる前に冷却させられ、
図33dに示されるように、中央の成形マンドレル3530は、取り除かれ、デバイストラス3507は、単独の、弾性であるが可撓性かつ柔軟な部材として残される。
【0124】
この実施例では、第2の(外側)トラス部材3515bは、3.5:1の比率で、第1のトラス部材のピッチとは異なる連続的なピッチで巻かれている。
【0125】
この実施例におけるトラス部材は、直径おおよそ0.4mmの、USP size #0の生体吸収性ポリジオキサノンモノフィラメント縫合糸材料を含むが、この方法は、任意の材料タイプの、任意の直径の縫合糸に使用され得る。オーブン温度及び熱を加える時間は、それぞれ異なる実施形態によって、例えばトラス部材のサイズ及び材料特性並びにトラス部材の数に応じて、様々であろう。この実施例では、弾性であるが柔軟な、最終的なトラス構造を形成するために必要とされる、適切な剛性を提供するために、モノフィラメント縫合糸が選択されるが、モノフィラメント若しくは編状フィラメント又は2つのタイプのフィラメントの任意の組み合わせが、必要とされる構造とトラス特性に応じて使用され得る。
【0126】
実施例4:連続製造方法における、トラス部材の製造方法
トラスを連続プロセスで製造する代替的方法が、以下で与えられる。
図34aを参照すると、長手方向の2つの「補強」トラス部材3616が、中央成形マンドレル3630に沿って供給される。第1のトラス部材3615は、局所的な熱を加えることにより、端部3607aに沿って、長手方向の2つの「補強」トラス部材3607aに取り付けられる。この領域のその後の冷却により、この局所的な区間の溶着が完了し、トラス部材が互いに固定され、回転する巻取フィーダが第1のトラス部材3615を中央マンドレル3630及び補強トラス部材3616の周りに連続的に巻き付けるようにさせると同時に、補強トラス部材3616が中央成形マンドレル3630に沿って供給される。
【0127】
第1のトラス部材3615が巻かれると、熱がアセンブリのゾーンに局所的に加えられて、トラス部材3615、3616の交差する頂点3618を結合する。一旦、十分な熱が加えられたら、形成されたトラス3607は、冷却され、
図34bに示されるように中央マンドレル53から外れて割出しされて、連続プロセスが進行できるようにする。
【0128】
実施例5:流体を処置部位に供給し、処置部位から流体を除去することによる、創傷部位の処置
体内の標的の処置部位に薬剤及び液体を投与する能力は、特に痛み、局所感染、又は疾患の処置のために、医療の分野で重要なツールとなっている。薬剤の日常的な投与は、世界中で多くの患者に一般的であるが、処置期間は、短期間から生涯依存する患者まで、大きく異なり得る。
【0129】
本明細書に開示されるデバイスの一態様は、所定の接触時間の間、埋め込まれたデバイスを、抗生物質薬剤、流動性ゲル、細胞ベースの流体、及び鎮痛薬などの処置流体の供給源に結合する能力である。そのような処置システムの概略図は、
図31に最もよく示されている。この実施例では、処置部位3402は、皮下組織3404、又は皮下組織3404と筋肉組織の両方の組み合わせの、いずれかの下の、隔離された局所的な領域に位置し、埋込み処置デバイス3401は、その処置デバイスの一方の端部で、導管3414を介して、処置流体の供給源3437に解放可能に接続され、処置デバイスの反対側の端部3411は、陰圧源3413に解放可能に接続されている。
【0130】
埋め込まれた処置デバイス3401はまた、デバイスの表面3419を通してデバイスから外へ流体が通過できるようにするために、チャネル壁にいくつかの開口部3425を含んで示されている。チャネル開口部3425の配置は、特に、所望の処置部位3402への、薬剤の制御された投与のために重要である。埋め込まれた処置デバイス3401は、デバイス3401の長さの大部分に沿って、チャネル開口部3425を有して示されており、これらの開口部の位置及び頻度は、処置部位3402に適合するように、調整されることができる。
【0131】
この実施例では、陰圧源3413は、連続的か、断続的か、絶えず変化するか、又は不連続な、いずれかのモードで動作している場合があり、この場合、適用される陰圧は、0mmHg~200mmHgの範囲であるか、又は動作している間、任意の所定のレベルの間を循環する。薬剤の注入は、処置流体リザーバ3437のバルブを開くか、又は流体を処置リザーバ3437に注入することによって管理されることができ、この場合、陰圧源は、処置流体を陰圧源3413に向かって引き寄せるであろう。薬物が処置部位と接触している時間は、デバイス3401のチャネル内で薬物を静的に保持するために停止されることができる、圧力源3413での陰圧の動作によって、制御することができる。
【0132】
代替的に、薬剤の投与は、生理食塩水又はその他の流体を注入するか、又は処置流体リザーバ3437を滅菌生理食塩水又はその他の流体の供給源に接続して、ラインからあらゆる処置薬剤を取り除くことによって、制御されてもよい。
【0133】
本明細書における先行技術文献へのあらゆる言及は、そのような先行技術が、広く知られ、又は当分野における共通の一般知識の一部を形成することの自認と見なされるべきではない。
【0134】
本明細書で使用される「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味に解釈されるべきではない。言い換えると、それらは、「含むがこれらに限定されない」という意味であることが意図されている。
【0135】
本発明を例示の方法で説明してきたが、特許請求の範囲で定められた本発明の範囲から逸脱することなく、変形及び変更がなされてもよいことが理解されよう。さらにまた、既知の均等物が、特定の特徴に対して存在する場合、そのような均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。