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特許7407707非球面ミラーを真空成形するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】非球面ミラーを真空成形するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20231222BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20231222BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20231222BHJP
   C03B 23/035 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/10 A
B60K35/00 A
C03B23/035
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020529455
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018015092
(87)【国際公開番号】W WO2019108016
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】62/592,570
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ギュボン
(72)【発明者】
【氏名】チ,ホンクン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,テムン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョンセ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0111403(KR,A)
【文献】特開2016-037446(JP,A)
【文献】特開平10-218630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081428(US,A1)
【文献】国際公開第2016/208967(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B
G02B
B60K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための3次元ミラーを成形する装置において、
凹面及び前記凹面上の少なくとも1つの開口部を含む型であって、前記少なくとも1つの開口部は、ガラス系プリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面の上方の空間に真空を供給するように構成されている、型であって、前記3次元ミラーの有効領域と接触しない領域に前記少なくとも1つの開口部を有する型と、
前記凹面に隣接し且つ前記凹面を少なくとも部分的に包囲するハウジングであって、前記ガラス系プリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面から少なくとも前記ガラス系プリフォームの高さまで延在するハウジングと
を含み、前記ハウジングは、前記ガラス系プリフォームと前記凹面との間の前記空間の一部において前記真空の漏れを防止するようなサイズ及び形状を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記凹面の対向する長手方向辺に沿った第1の長手方向側壁及び第2の長手方向側壁を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記凹面の対向する横方向辺に沿った第1の横方向側壁及び第2の横方向側壁を含み、前記第1の横方向側壁及び前記第2の横方向側壁は、前記ガラス系プリフォームの第1の縁部及び第2の縁部の湾曲に対応する形状に湾曲されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記凹面は、前記ガラス系プリフォームを非球面形状に合致させるように構成された非球面形状を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
2次元ガラス系プリフォームから非球面ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを含むガラス系プリフォームであって、前記小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、前記長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップであって、前記ガラス系プリフォームは、実質的に2次元の形状を有する、ステップと、
前記第2の大面積面に面する非球面形状を有する湾曲面を含む下型上に前記ガラス系プリフォームを配置するステップであって、前記下型は、前記湾曲面と前記第2の大面積面との間の間隙に前記湾曲面上の1つ以上の開口部を介して真空を供給するように構成され、前記1つ以上の開口部は、前記非球面ミラーの有効領域と接触しない前記下型の領域に備えられている、ステップと、
シェルが、前記シェルの実質的に垂直な壁が前記湾曲面から少なくとも前記第2の大面積面まで延在するように前記ガラス系プリフォームを包囲する間、前記間隙に真空圧を供給することにより、一次成形ステップを実施するステップであって、前記実質的に垂直な壁は、前記小面積面に面する、ステップと
を含み、前記シェルの前記実質的に垂直な壁は、0.5mm以下の距離で前記小面積面から離間されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第1の大面積面の周縁部分に締付リングを適用して、前記周縁部分において前記湾曲面に対して前記第2の大面積面を保持することにより、二次成形ステップを実施するステップ
をさらに含み、前記二次成形ステップは、前記下型が前記間隙に真空を供給している間に実施されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面は、前記下型の前記湾曲面の曲率に対応する湾曲形状を有し、
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の前記湾曲形状は、前記一次成形ステップ中、前記湾曲面と実質的に一致したままであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記一次成形ステップ及び前記二次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記非球面ミラーは、前記一次成形ステップ後に切断されないことを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/592,570号の優先権の利益を主張し、この出願の内容は、依拠され、且つその全体が参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、非球面ミラーを真空成形するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムは、ユーザが自らの主要な視界から視線をそらすことなく情報を見ることができるように、透明面上に視覚的情報を投影する。HUDシステムは、通常、ミラーを使用して画像を反射し、透明面上に投影する。HUDシステムに対する1つの応用は、自動車、飛行機、船舶及び他の車両等の交通機関にある。例えば、車両の操縦者又は運転者が前方の視線を維持しながら、且つ表示画面に向かって下を見るか又は目をそらす必要なしに、車両の運転に関する情報を見ることができるように車両にHUDシステムを配備することができる。したがって、HUDシステムは、車両操縦者が安全な運転の視点から目をそらす必要性を最小限にすることにより、安全性を向上させると考えられる。
【0004】
しかしながら、HUDシステムは、投影画像において光学品質が不十分となることが多く、それにより投影画像に望ましくない審美的品質がもたらされる可能性がある。不十分な光学品質により、HUDシステムの安全性がさらに低下する可能性があり、それは、ぼやけた又は不明瞭な投影画像により、ユーザが投影情報を読むか又は理解することがより困難になる可能性があり、その結果、ユーザによる情報の処理時間が長くなり、その情報に基づくユーザの反応時間が遅れ、ユーザの注意散漫が増大するためである。光学品質の低下は、HUDシステムで使用される最適状態に及ばないミラーからもたらされる可能性があり、そうしたミラーは、多くの場合、ミラーの不適切な造形又はミラープリフォームの湾曲中にミラー内に導入される欠陥からもたらされる。
【0005】
したがって、改善された光学品質を有するHUDシステム、特にHUDシステムのための改善されたミラー及びこうしたミラーを成形する改善された方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善された光学品質を有するHUDシステム、特にHUDシステムのための改善されたミラー及びこうしたミラーを成形する改善された方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法が提供される。本方法は、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するガラス系プリフォームであって、小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップを含む。本方法は、凹面を有する型上にガラス系プリフォームを、第2の大面積面が型の凹面に面するように、且つ第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面がハウジングの長手方向壁に隣接するように配置するステップであって、長手方向壁は、凹面から少なくともガラス系プリフォームの第2の大面積面の高さまで延在する、ステップを含む。本方法はまた、第2の大面積面と凹面との間の間隙に真空を供給するステップと、真空を使用して型の凹面に第2の大面積面を沿わせるステップとを含む。第1の横方向側面及び第2の横方向側面は、第2の大面積面の沿わせるステップ中に第1の横方向側面及び第2の横方向側面が凹面と一致したままであるように、凹面の湾曲に対応する湾曲形状を有する。
【0008】
本開示のさらなる実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための3次元ミラーを成形する装置が提供される。本装置は、少なくとも1つの開口部を有する凹面を含む型であって、少なくとも1つの開口部は、ガラス系プリフォームが型上に配置されると、凹面の上方の空間に真空を供給するように構成されている、型と、凹面に隣接し且つ凹面を少なくとも部分的に包囲するハウジングとを含む。ハウジングは、ガラス系プリフォームが型上に配置されると、凹面から少なくともガラス系プリフォームの高さまで延在し、及びハウジングは、ガラス系プリフォームと凹面との間の空間の一部において真空の漏れを防止するようなサイズである。
【0009】
本開示の他の実施形態では、2次元ガラス系プリフォームから非球面ミラーを成形する方法が提供される。本方法は、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを含むガラス系プリフォームを提供するステップを含む。小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含み、ガラス系プリフォームは、実質的に2次元の形状を有する。本方法はまた、第2の大面積面に面する非球面形状を有する湾曲面を含む下型上にガラス系プリフォームを配置するステップであって、下型は、湾曲面と第2の大面積面との間の間隙に真空を供給するように構成されている、ステップと、シェルが、シェルの実質的に垂直な壁が湾曲面から少なくとも第2の大面積面まで延在するようにガラス系プリフォームを包囲する間、間隙に真空圧を供給することにより、一次成形ステップを実施するステップであって、実質的に垂直な壁は、小面積面に面する、ステップとを含む。シェルの実質的に垂直な壁は、間隙における真空圧を改善するための距離において小面積面から離間されている。本方法は、第1の大面積面の周縁部分に締付リングを適用して、周縁部分において湾曲面に対して第2の大面積面を保持することにより、二次成形ステップを実施するステップをさらに含み、二次成形ステップは、下型が間隙に真空を供給している間に実施される。
【0010】
請求項に係る主題のさらなる特徴及び利点は、続く詳細な説明に示されており、一部にはその説明から当業者に容易に明らかとなるか、又は続く詳細な説明、特許請求の範囲とともに添付図面を含む、本明細書に記載するような請求項に係る主題を実施することにより理解されるであろう。
【0011】
上述した概要及び以下の詳細な説明の両方は、本開示の実施形態を提示し、請求項に係る主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組を提供するように意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するように意図されており、本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する。図面は、さまざまな実施形態を例示し、本記載と併せて、請求項に係る主題の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0012】
例示の目的で、現在好ましい図面に示す形態があるが、本明細書で開示及び考察される実施形態は、図示する厳密な構成及び手段に限定されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、車両におけるHUDシステムの図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のHUDシステムを使用しているときの自動車運転者の視点の図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態によるいくつかのHUDシステムで使用されるコンバイナの写真である。
図4】いくつかの実施形態による、図3に示すものと同様のコンバイナとともにHUDシステムを使用しているときの自動車運転者の視点の図である。
図5】いくつかの実施形態による、2Dミラープリフォームと、2Dミラープリフォームから成形された結果として得られる非球面ミラーとの平面図である。
図6】いくつかの実施形態による曲げ型上の2Dミラープリフォームの等角図である。
図7】3D成形ステップを受ける前の2Dプリフォームに対応する2D基準面及び成形ステップを受けた後の3Dミラーの概略図である。
図8】いくつかの実施形態によるHUDシステムのための非球面ミラーの等角図である。
図9】いくつかの実施形態による、成形型上の2Dミラープリフォームの等角図である。
図10】成形中の成形型とプリフォームの縁部との間の間隙の断面概略図である。
図11A】曲面ミラーの改善された成形に使用されるハウジングアセンブリの例の等角図である。
図11B】曲面ミラーの改善された成形に使用されるハウジングアセンブリの例の等角図である。
図12】いくつかの実施形態による、矩形ミラープリフォームの平面図(上)及び湾曲端縁部を備えたミラープリフォームの平面図(下)である。
図13A】成形型上の図12の矩形ミラープリフォームの等角図を示す。
図13B】いくつかの実施形態による、成形型上の図12の湾曲端縁部を備えたミラープリフォームの等角図を示す。
図14A】成形型上の図13Aの矩形ミラープリフォームの長辺縁部の断面図を示す。
図14B】成形型上の図13Aの矩形ミラープリフォームの短辺縁部の断面図を示す。
図15A】いくつかの実施形態による、成形型上の図13Bの湾曲端縁部を備えたミラープリフォームの長辺縁部の断面図を示す。
図15B】いくつかの実施形態による、成形型上の図13Bの湾曲端縁部を備えたミラープリフォームの短辺縁部の断面図を示す。
図16A】いくつかの実施形態による、湾曲端縁部を有するミラープリフォームとともに使用されるハウジングの等角図を示す。
図16B】いくつかの実施形態による、湾曲端縁部を有するミラープリフォームとともに使用されるハウジングの平面図を示す。
図17】いくつかの実施形態による、湾曲端縁部を有するミラープリフォームとともに使用される別のハウジングの等角図である。
図18】いくつかの実施形態による、ミラープリフォーム及びハウジングを使用して曲面ミラーを成形するシステム及び方法の断面図である。
図19A】いくつかの実施形態による曲面ミラーを成形するための締付リングの等角図である。
図19B】いくつかの実施形態による曲面ミラーを成形するための締付リングの断面図である。
図20】いくつかの実施形態による、ミラープリフォーム及び締付リングを使用して曲面ミラーを成形するシステム及び方法の断面図である。
図21】本開示の実施形態によって成形された曲面ミラー例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、図面に示すいくつかの図を通して、同様の参照番号は、同様の又は対応する部分を示す。別段の定めがない限り、「上」、「底」、「外向き」、「内向き」等の用語は、便宜上の語であり、限定的な用語として解釈されるべきではないことも理解される。さらに、ある群が要素及びその組合せの群の少なくとも1つを含むものとして記載されている場合には常に、その群は、個々に又は互いに組み合わせてのいずれかで、任意の数の記載されているそれらの要素を含むか、本質的にそれらの要素からなるか、又はそれらの要素からなり得ることが理解される。
【0015】
同様に、ある群が要素又は要素の組合せの群の少なくとも1つのからなるものと記載されている場合には常に、その群は、個々に又は互いに組み合わせてのいずれかで、任意の数の記載されているそれらの要素からなり得ることが理解される。別段の定めがない限り、値の範囲が記載される場合、それは、その範囲の上限及び下限を含む。本明細書で用いる、不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに対応する定冠詞「その」は、別段の定めがない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味する。
【0016】
本開示の以下の説明は、それを実現する教示及びその最良の現在既知の実施形態として提供する。当業者であれば、本開示の有益な結果を依然として得ながら、本明細書に記載する実施形態に対する多くの変更形態がなされ得ることを理解するであろう。本開示の所望の利益のいくつかは、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることも明らかになるであろう。したがって、当業者であれば、本開示の多くの変更形態及び適合形態が可能であり、特定の状況では望ましい可能性さえもあり、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本開示の原理を限定するのではなく、例示するものとして提供されるものである。
【0017】
当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する例示的な実施形態に対する多くの変更形態が可能であることを理解するであろう。したがって、本記載は、与えられる例に限定されるように意図されておらず、且つそのように解釈されるべきではないが、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって提供される保護の全範囲が与えられるべきである。さらに、本開示の特徴のいくつかを、他の特徴の対応する使用なしで使用することができる。したがって、例示的な又は実例となる実施形態の以下の説明は、本開示の原理を限定するのではなく、例示する目的で提供され、本開示の原理に対する変更形態及びそれらの置換形態を含むことができる。
【0018】
HUDシステムは、ユーザの安全性及び便宜の改善のために多様なタイプの情報を提供するために使用することができる。例えば、交通機関では、車両計器又はナビゲーション等、車両の運転に関連する情報を運転者の正面の領域に投影することができる。これは、車両速度、燃料残量、空調設定、エンターテイメント設定、ターンバイターンナビゲーションインジケータ、推定到着時間及び速度、交通渋滞又は危険な状態に関する警報に関するリアルタイム情報を含むことができる。情報は、テキスト、記号、絵、映像、アニメーション及び1つ又は複数の色として提示することができる。これらは、単に例であり、本開示の実施形態は、これらの例に限定されるように意図されていない。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態では、HUDシステムは、画像生成装置と、画像生成装置からの画像を、ユーザに容易に可視である領域に仕向けるか又は投影する1つ又は複数の光学部品とを含むことができる。画像生成装置としては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アセンブリ、レーザ投影システム又は当業者に既知である他のタイプのディスプレイを挙げることができる。HUDシステムは、これらのディスプレイによって作成された画像を生成するコンピュータ又はプロセッサも含むことができる。光学部品は、例えば、レンズ、ビームスプリッタ、ミラー及びコンバイナの何らかの組合せを含むことができる。HUDシステムの部品の組合せは、コリメート光を生成するように構成することができる。
【0020】
コリメート光は、ユーザの視野内にあるコンバイナ上に投影され、それにより、ユーザは、投影画像と通常の視野とを同時に見ることができる。例えば、車両応用では、コンバイナは、フロントガラスであり得る。代わりに、コンバイナは、車両に組み込まれる別個の部品又は運転者若しくは同乗者がコンバイナの透明面上で投影画像を見ることができる場所において車両に取り付けることができる携帯型部品であり得る。ミラーは、湾曲基板上に反射コーティングを含むことができる。湾曲基板は、球面、非球面、フレネル形状及び/又は回折性であり得る。1つの好ましい実施形態では、ミラーは、凹状の非球面上に反射面又はコーティングを有する。
【0021】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるHUDシステム100の一例を示す。HUDシステム100は、自動車で示されているが、実施形態は、さまざまな車両又は非車両応用で使用することができる。運転者Dは、車両VのハンドルW上に手を置いているように示されている。HUDシステム100は、車両Vのダッシュボード110内に組み込まれており、プログラマブルグラフィカルユニット(PGU)102を含み、PGU102は、PGU102からの信号に基づいて画像を作成するように構成された画像源103に接続されている。PGU102は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に動作可能に接続されたプロセッサを含むことができ、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、実行されると、HUDシステム100によって表示すべき画像を画像源103によって生成するためのデータを生成及び/又は供給する命令を含む。その画像は、平面ミラー104によって曲面ミラー106に向かって反射される。曲面ミラー106から、その画像は、フロントガラス108に向かって且つフロントガラス108の投影領域112上に投影される。HUDシステム100は、投影領域112が、車両Vを運転している間、運転者Dの通常の視線の範囲内にあるように構成することができる。例えば、投影領域112は、投影画像が運転者の視点から見えるように道路上に重ね合わされるように位置決めすることができる。このシナリオの一例を図2の図に示す。
【0022】
投影領域112は、図1及び図2ではフロントガラス108に位置しているが、図3及び図4は、投影領域212の場所のためにコンバイナ208が使用される代替実施形態を示す。コンバイナ208は、車両のダッシュボード210に組み込むことができるか、又はダッシュボード210の頂部に位置決めされる携帯型の若しくは別個の部品であり得る。
【0023】
当業者であれば、HUDシステムにおける部品の基本構成を理解すると思われるため、本開示の実施形態は、HUDシステムの光学部品の1つ又は複数の特定の構成に限定されない。本開示は、主に、HUDシステムで使用される曲面ミラー並びにこうしたミラーを成形するシステム及び方法に関する。特に、実施形態は、2次元(2D)ミラープリフォームからこうした3次元(3D)ミラーを成形するシステム及び方法に関する。図5は、本明細書において考察するシステム及び方法を使用して3Dミラー302を成形するために使用することができる2Dミラープリフォーム300の一例を示す。
【0024】
3Dミラーを成形するために好都合に使用されるさまざまなシステム及び方法がある。しかしながら、本開示の著者らは、HUDシステムで使用される曲面ミラーを成形する設計及び方法に改善が必要であると理解した。画像が曲面ミラーによって反射される際の画質の劣化を防止するために、ミラーは、高水準の形状精度及び表面粗さを有するべきである。例えば、50μm未満の形状精度及び3nm未満の表面粗さ(Ra)が望ましい。HUDシステムのためのミラーで発生する特定のタイプの光学歪みは、エッジ歪みと称され、これは、ミラーの縁部又はその近くで反射する光の光学歪みである。既存のHUDシステムでは、ミラーの製造又は造形中、ミラーに光学的に衝撃を与える不具合が導入される可能性がある。これらの不具合としては、ミラーの製造時に機器によって引き起こされる隆起部分又は陥没部分等のアーチファクト又はミラーの曲率、特にミラーの縁部又はその近くの曲率における不具合を挙げることができる。
【0025】
3D形状のミラー又はミラー基板を成形する最も一般的な方法は、2つのカテゴリ、すなわちプレス法及び真空成形法に分けることができる。しかしながら、プレス法及び真空成形法の両方に不都合がある可能性がある。プレス法では、ガラス基板等の基板を物理的な力によってプレスするために上型及び下型が使用される。例えば、2Dガラスプリフォームが2つの型間に配置された状態で上型を下型に押し込むことができ、型の一方又は両方の上の表面の形状に従ってガラスプリフォームが成形される。その結果、成形されたガラス基板の凹面及び凸面の両方に型の圧痕が残る可能性があり、それは、その後、研磨する必要がある。さらに、上型及び下型の輪郭のずれにより、上型及び下型の輪郭を正確に一致させることが困難であり、したがって成形されたガラス基板に対する正確な形状を達成することが困難である可能性がある。例えば、非球面ミラー輪郭に対する仕様は、±25μm未満であり得るが、機械加工後の型の輪郭のずれは、通常、30~50μmである。
【0026】
真空成形法では、単一の型(例えば、下型)が使用される可能性があり、そこでは、型の表面に真空孔が形成される。例えば、図6に示すように、型310の成形面312上又はその上方に平坦(2D)ガラスシート又は2Dプリフォーム300が配置され、型の湾曲(3D)面にミラープリフォームを沿わせるために真空孔314を介して真空圧が供給される。成形面312は、3Dミラーの所望の形状に造形される。しかしながら、成形されたガラス基板の表面上における真空孔マークの形成を回避することは困難である。これらの真空孔マーク又は製造アーチファクトは、基板又は完成したミラーの光学性能を損なう可能性がある。さらに、典型的な真空成形法は、プレス法と比較して高い成形温度が必要である可能性がある。成形温度が高いことは、表面品質に影響を与え、窪み、ピット及び圧痕等の欠陥を形成する可能性がある。真空成形は、真空成形により3D形状に成形する前に所望のサイズに予め切断される基板であるミラープリフォームにおいて又は真空成形によって3D形状に成形された後に所望のサイズに切断される過大ガラスシートにおいて実施することができる。プリフォームベースの真空成形及び過大ガラスベースの真空成形の両方にいくらかの利点及び欠点がある。
【0027】
過大ガラスベースの成形には、例えば、縁部切断による優れた縁部品質及びより低い成形温度による優れた表面粗さを達成するという利点がある。しかしながら、過大ガラスベースの成形では、成形後にガラスを切断する追加のステップが必要であり、成形後の刈込みガラス又は無駄なガラスのためにガラス利用率が低く、切断後に縁部研磨及び/又は面取りが必要であり、最終的に完成した製品は、プリフォームベースの成形で成形されたものと同じサイズであり得るが、より大型の機器が必要である。
【0028】
他方では、プリフォームベースの真空成形では、真空成形後にミラー基板を切断する必要がなく、無駄なガラス又はカレットガラスの生成が低減する。さらに、プリフォームベースの成形は、より単純なプロセスであり、より費用効果が高い可能性がある。しかしながら、プリフォームベースの真空成形法では、ガラスプリフォームの1つ又は複数の縁部における真空漏れにより、少なくとも一部にはプリフォームと型との間の真空漏れにより、ガラスシートの表面全体にわたって比較的均一な真空圧を加えることが困難であるか又は不可能であった。例えば、成形されたガラスが単一の曲率半径を有するべきである場合、プリフォームの短辺縁部は、成形が完了するまで型表面との接触を維持する可能性があるが、真空は、プリフォームの長辺縁部に沿って漏れる。より複雑な曲率又は非球面型表面(及び非球面成形基板)の場合、4つの角部等、ガラスシートの別個の箇所のみが成形を通して型表面と接触する可能性があり、その結果、ガラス基板のすべての縁部に沿って真空漏れがもたらされる。また、非球面ミラーを成形するために、ミラー又はミラー基板の角部が欠けるか又は破損する可能性があり、これは、ミラー基板の角部のみが型と接触し、外力(例えば、真空圧、型押圧力)が加えられ、したがって基板の4つの角部に圧力が集中する場合に発生する。成形面が非球面ではなく単一の曲率半径を有する場合等、場合により、プリフォームの短辺縁部は、成形が完了するまで成形面とより適切に接触したままである可能性があるが、プリフォームの長辺縁部に沿って真空漏れが発生する可能性がある。これらの間隙又は真空圧の漏れにより、ミラー又はプリフォームの表面全体に比較的均一な真空圧を提供することが困難又は不可能になる。したがって、型表面上にガラスをより完全に沿わせるために、且つ欠けを低減させるように角部の近くの応力を低減させるためにより高い成形温度(及び基板のより低い粘度)が使用される。しかしながら、上述したように、温度が高いことにより、ガラス基板の表面劣化及び光学性能の低下が引き起こされる。より高い温度であっても、ミラーのエッジ歪みが発生する。
【0029】
本開示の背景にいる研究者らは、真空ベースの成形法を使用して成形されたミラーを改善するシステム及び方法を発見した。いくつかの好ましい実施形態では、これらの技法は、プリフォームベースの成形法に対して特に適している可能性がある。しかしながら、いくつかの実施形態は、プリフォームベースの成形法を使用して作製されるミラー、概して真空ベースの方法にさえも限定されない。本開示の実施形態によって対処する1つの問題は、エッジ歪みの問題である。上述したように、真空成形法を使用する場合、均一な真空及びミラー基板を型に均一に沿わせることを達成することが困難である可能性がある。基板の縁部又はその近くでミラー基板を所望の形状に合致させることは、特に困難である可能性があり、それによりエッジ歪みが引き起こされ、縁部の近くでミラーによって反射される画像の品質が劣化する。したがって、本開示の実施形態は、縁部における等、改善された光学性能を有するミラー及び/又はミラー基板と、それらを成形する方法とを提供する。
【0030】
HUDシステムにおけるミラーは、一般に、非球面反射面を有し、それは、ミラー基板の非球面の表面に形成される反射コーティングを含むことができる。上述したように且つ図7に示すように、2Dミラープリフォーム420から3Dミラー400を成形することができる。矩形プリフォームとして、ミラープリフォーム420は、長辺縁部402及び短辺縁部404を有する。3Dミラーを成形する際、長辺縁部402及び短辺縁部404は、成形型に沿うように曲がる。結果として得られる3Dミラーの所望の形状によって決まるような成形型の形状に基づき、対向する短辺縁部404間の直線距離が低減し、短辺縁部間の低減の大きさが長辺縁部間の低減の大きさと異なる可能性がある。非球面又は非球面形状の面は、複数の曲率半径を有する。特に、例えば図7及び図8に示すような四辺ミラーの場合、非球面は、4つの縁部の各々に沿って異なる曲率半径を有する。したがって、図8に示すように、ミラー400は、第1の縁部に沿った曲率半径Raと、第2の縁部に沿った曲率半径Rbと、第3の縁部に沿った曲率半径Rcと、第4の縁部に沿った曲率半径Rdとを有する非球面形状である反射面408を有する。面408は、非球面形状であるため、Ra≠Rb≠Rc≠Rdである。さらに、Rb及びRdは、Ra及びRcより小さい可能性がある。短辺縁部と比較して長辺縁部の曲率が異なるため、長辺縁部の曲率半径Rb、Rdの方が小さく、短辺縁部の曲率半径Ra、Rcの方が大きいことに起因して、成形による短辺縁部404間の距離の変化は、対向する長辺縁部402間の距離のいかなる低減よりも大きい可能性がある。これにより、短辺縁部に沿った真空圧の漏れを防止することの方がより困難となる可能性がある。図8は、ミラー400の4つの角部を接続する2次元平面406に対して量a~eを変化させることにより、湾曲面408上の異なる点がどのように変位したかも示す。いくつかの実施形態では、a≠b≠c≠dである。1つの例では、変位a~eは、以下:a=7.73、b=6.32、c=6.52、d=1.31及びe=1.31に等しいものとし、ここで、変位は、単位なしの相対的な大きさで与えられているが、変位a~eの単位は、ミリメートルであり得る。2次元平面406は、2Dプリフォームの対向する長辺縁部間の短軸408と、2Dプリフォームの対向する短辺縁部間の長軸410とを含む。
【0031】
図9に示すように、2Dミラープリフォーム420が成形型430上に配置されるとき、プリフォーム420を成形面432に沿わせる前にミラープリフォーム420の角部のみが成形型430と接触することができる。したがって、ミラープリフォーム420と成形面432との間に間隙が残る。特に、ミラープリフォーム420の短辺縁部422との間に間隙434が残り、ミラープリフォーム420の長辺縁部424との間に間隙436が残る。プリフォーム420を成形面432に沿わせるステップ中、間隙434及び436が開放したままである程度まで、成形面432における真空孔からの真空吸引の幾分かが損なわれる。これにより、ミラープリフォーム420を成形面432に沿わせることが最適状態に及ばず、したがって3Dミラーの所望の形状に達成しない可能性がある。
【0032】
図10は、図9の2Dミラープリフォーム420を成形型430に沿わせるステップ中又はそのステップ後の3Dミラー420’の縁部の断面図を示す。1つ又は複数の内部真空孔438の近くで成形面432と3Dミラー420’の内側部分との間に十分な合致があり得るが、3Dミラー420’の縁部の近くに間隙434’が残る可能性がある。図10に示すように、間隙434’の結果として真空吸引が損なわれるため、真空孔439が縁部の近くに位置する場合でも、間隙434’が残る可能性がある。その結果、縁部の近くで3Dミラー420’の所望の湾曲が達成されない。真空成形によって成形される3Dミラーの形状にわたって正確な制御を維持する際の上述した課題により、本開示の研究者らは、3Dミラーの改善を達成することができるシステム及び方法を開発した。特に、これらのシステム及び方法により、2Dプリフォームの真空成形を使用して3Dミラーの縁部又はその近くにおける吸引及び成形の改善が可能になる。
【0033】
いくつかの実施形態では、図11Aに示すように、2Dプリフォームを3D成形面に沿わせるステップ中、ハウジング500を使用することができる。ハウジング500は、真空型に沿わせるステップ中、ミラープリフォームの1つ又は複数の縁部又はその近くに位置決めされるように構成された側壁又は封止面を備えたリングのような形状を形成する。図11Aにおいて、型500は、短辺壁502及び長辺壁504を含み、それらは、組み合わせてリングのような形状を形成し、中央にプリフォームを収容するようなサイズ及び形状である空間がある。
【0034】
図11Bに、成形型530上に位置決めされたハウジング540の一例を示す。ハウジング540は、型530の成形面の外周部を包囲し、成形のためにミラープリフォーム520が配置される空間を画定する。ハウジング540は、対向する短辺壁544、545と、対向する長辺壁542、543とを含む。ハウジング540は、ミラープリフォーム520の縁部における真空漏れを最小限にするように作用する。ハウジング540は、真空性能を向上させるために、必ずしもミラープリフォーム520に接触する必要はない。実際に、いくつかの実施形態では、プリフォーム520が、完成品に悪影響を及ぼす可能性があるハウジング540からの摩擦力なしに移動することができるように、ハウジング540とプリフォーム520との間に物理的接触がないことが有利であり得る。ハウジング540の内壁間の隙間は、いくつかの実施形態では例えば0.5mm以下であり得る。しかしながら、この隙間は、ガラス系プリフォーム520及びハウジング540の熱膨張係数に基づいて調整することができる。
【0035】
図11Bに示すようなハウジングを使用する場合でも、2Dプリフォームの3Dミラーへの成形中、プリフォームの1つ又は複数の縁部において間隙が現れる可能性があり、それにより縁部の近くに吸引の損失がもたらされる可能性がある。例えば、成形面の曲率に応じて、上述したように且つ図7に示したように、成形中に縁部の著しい横方向の移動があり得る。したがって、図7におけるプリフォーム400の短辺縁部404が互いに向かって移動する際、短辺縁部404は、プリフォーム400の周囲の提供されたハウジングから離れるように対応して移動し、その結果、短辺縁部404に間隙がもたらされる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態は、成形面の曲率と一致するような形状である少なくとも1つの縁部を有するプリフォームを含み、そこでは、プリフォームのその縁部は、成形面と接する。図12の下半分にこうしたプリフォームの1つの例を示し、図12の上半分に標準的な矩形プリフォーム600を示す。具体的には、プリフォーム610は、湾曲縁部614を含む拡張表面領域620を有する。拡張表面領域620は、標準プリフォーム600ではプリフォームの縁部が位置する線Lを越えて延在し、湾曲縁部は、成形面と一致するような形状である。短辺縁部における湾曲縁部614により、プリフォーム610は、成形中、プリフォーム610と型の凹面との間で十分近接した接触を維持することができる。換言すれば、短辺縁部は、湾曲すると、成形プロセスの開始から終了まで凹状成形面との接触を維持することができる。湾曲縁部614の曲率は、型の上面の曲率により正確に追従するように単一の曲率半径又はスプライン曲線から構成され得る。
【0036】
本明細書において、「一致する」は、プリフォームの湾曲縁部の曲率が、プリフォームと成形面との交差部に位置する成形面の曲率に対しておよその合致があることを意味する。湾曲縁部と一致する成形面の湾曲は、湾曲成形面と、型上に配置されたときの2Dプリフォームを収容する基準面との交差湾曲とみなすことができる。図13Bにこれを示し、そこでは、型612の成形面613の上方にプリフォーム610が配置されている。図13Aのプリフォーム600は、直線状の短辺縁部604を有するが、プリフォーム610は、2Dプリフォーム610が配置される成形面613の曲率と一致する湾曲短辺縁部614を有する。1つの好ましい例では、プリフォーム610の短辺縁部の曲率は、交差湾曲部とおよそ同じ曲率半径を有する。拡張表面領域620が、3Dミラーの有効領域となるべきものから延在しているため、HUDミラーの投影画像は、拡張領域620によって悪影響を受けない。
【0037】
図14A及び図14Bは、型602上の標準プリフォーム600のそれぞれ長辺縁部及び短辺縁部の断面図を示し、そこでは、プリフォーム600は、直線状又は非湾曲短辺縁部604を有している。長辺縁部の場合、(図14Aにおいて矢印によって示す)成形中の沈下方向は、実質的に垂直であり、そのため、長辺縁部は、ハウジング608から離れるように実質的に移動しない。したがって、真空孔606が露出するか又は真空圧が損なわれる危険性が低い。他方では、(図14Bにおいて矢印によって示す)沈下の方向は、垂直成分及び水平成分を有する可能性がある。水平移動又は収縮により、短辺縁部がハウジング608から引き離され、短辺縁部の近くの真空圧が低下する恐れがある。距離xは、短辺縁部604と真空孔606との間の相対的な短い距離を表す。対照的に、図15A及び図15Bは、本開示の実施形態によるプリフォーム610のそれぞれ長辺縁部及び短辺縁部の断面図を示す。プリフォーム610は、湾曲短辺縁部614を含む。図15Aにおける長辺縁部の移動は、図14Aに対して記載したものと実質的に同じである。しかしながら、図15Bでは、ハウジング618と真空孔616との間により大きい距離x’がある。この長い距離は、型612の成形面と一致する湾曲縁部と結合されて、縁部の近くで真空圧が維持されることを確実にするのに役立つ。
【0038】
図16A及び図16Bは、いくつかの実施形態による、変更されたハウジング630とともに使用されている、湾曲短辺縁部614を備えた図15A及び図15Bのプリフォーム610を示すそれぞれ斜視図及び平面図である。変更されたハウジング630は、長辺壁634及び短辺壁632を有するが、短辺壁632は、プリフォーム610の湾曲短辺縁部614と一致する湾曲内面を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、湾曲縁部からもたらされる湾曲短辺縁部614における真空吸引の改善及び吸引損失の低下により、プリフォーム610とともに使用される場合、ハウジング630の短辺壁632が不要である可能性がある。したがって、図17は、ハウジング640に長辺壁644のみが設けられ、湾曲短辺縁部614と一致する壁がない別の実施形態を示す。
【0039】
図18は、真空吸引の改善及び真空漏れの低下のためにハウジングを使用して2Dミラープリフォームから3Dミラーを真空成形する方法例を示す。図18において、組立ラインは、3Dミラーを成形する異なるステップに対するゾーンを含む。湾曲成形面(図示せず)を有する型752上に2Dプリフォーム750が提供される。型752は、成形プロセスにおけるさまざまなゾーン又はステップを通してローラ又は他の好適な搬送手段に沿って移動する。加熱ゾーンZHでは、プリフォーム750を加熱するために1つ又は複数のヒータ756が設けられている。上述したように、本開示の実施形態における改善により、従来の真空成形技法より低い温度で2Dプリフォームの成形を実施することができる。加熱ゾーンZHにおける温度は、特に限定されないが、プリフォーム750がプリフォーム750のガラス転移温度Tgに達しないように十分低いものであり得る。いくつかの実施形態では、温度は、Tg-10℃以下であり得る。他の実施形態では、温度は、Tg-20℃以下又はTg-20℃~Tg-10℃であり得る。ヒータ756は、他の成形機器の邪魔にならず、且つプリフォームの表面に熱を向けることができるようにプリフォーム750及び型752の上方に位置することができる。
【0040】
次に、第1の成形ゾーンZF1が設けられ、そこでは、ハウジング758がプリフォーム750の縁部のいくつか又はすべてを包囲するように位置決めされ、プリフォームを型752の成形面に沿わせるように型752に真空圧が供給され、それにより2Dプリフォーム750が湾曲基板750’になる。これは、後述するように、さらなる成形ステップが続くことができる一次成形ステップであり得る。上述したように、特にプリフォーム750又は湾曲基板750’の縁部の周囲に真空圧の改善のためにハウジング758が提供される。方法は、ハウジング758を上昇位置P1からより低い位置P2まで下降させることにより、ハウジング758を提供することを含むことができる。ハウジング758は、P2まで下降すると、ハウジングを保持及び支持するように構成された支持面760上に下降させることができる。真空成形のこのステップ中、熱は、ヒータ756により、ただし、ハウジング758の補助により、供給される真空が改善され且つ均一であるため比較的低い温度で供給され続けることができる。図18には示さないが、プリフォーム750は、真空成形性能を向上させる湾曲短辺縁部を有するプリフォームであり得る。第2の成形ゾーンZF2では、追加の且つ/又は任意選択的なさらなるステップのために、一次成形された基板750’’に依然として真空圧及び/又は熱を加えることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、上記方法における追加のステップは、縁部の形成及び形状の改善のために、ミラープリフォーム又は一次成形されたミラー又はその近くに加えられる力の使用を含む。図19A及び図19Bは、縁部形状を与える1つの実施形態例としての締付リング765を示す。図19Aに示すように、締付リング765は、中央に空間があるリングのような形状を形成する短辺壁766及び長辺壁767を有する。壁766及び767は、所望の3Dミラーの縁部に沿った曲率又は壁766及び767の真下の型752の成形面の曲率に対応するように設計された湾曲底面を有する。したがって、図19Bに示すように、湾曲短辺縁部766は、成形中、プリフォーム750の縁部に下向きの力を加えて、縁部を成形面に沿わせ、縁部における真空孔753からの真空漏れを防止することにより、縁部形状の改善を達成することができる。図19Aは、4つの壁が湾曲底面を有する締付リング765を示すが、締付リングは、プリフォームの縁部のいくつか又は一部分のみに適用され得ることが企図される。
【0042】
図20は、図18に示す方法及び組立ラインの代替的な図を示す。特に、第2の成形ゾーンZF2は、締付リング765を含む。締付リング765は、締付リング支持部材768により、プリフォーム750’の上方の位置P1からプリフォーム750’上の位置P2まで下降する。第2の成形ゾーンZF2後、プリフォーム750’は、冷却ゾーンZC又は冷却ステップまで移動することができる。
【0043】
図18及び図20は、直線状の組立ラインにおける方法を示すが、ステップ又はゾーンZH、ZF1、ZF2及びZCは、異なる物理的場所で実施している場合も実施していない場合もあり得る。例えば、締付リング及びハウジングは、プリフォームを1つの場所から別の場所に移動させることなく使用することができる。さらに、成形中、ハウジング及び締付リングは、同時に使用することができる。さらに、図19A及び図19Bにおける締付リング765の図は、単なる一例である。プリフォームの縁部を成形面に沿わせるために力を提供する機構は、多くの形態をとることができる。
【0044】
図21は、湾曲短辺縁部を備えたプリフォームを含んだ、上述した装置及び方法を使用して成形された3Dミラー800の一例の写真である。
【実施例
【0045】
例えば、図18及び図20に示すような上述した方法を使用して、サンプルプリフォームを3D形状に湾曲させた。本開示のシステム及び方法は、従来のプリフォームベースの真空成形法と比較して必要な成形温度を著しく低下させ、表面粗さによって測定されるような優れた品質も達成されたことが分かった。特に従来のプリフォームベースの真空成形法を使用することにより、2.0mmの厚さを有するGorilla Glass(登録商標)から作製されたガラスプリフォームを使用した場合、約800℃の成形温度が必要とされ、湾曲プリフォームの凹面に対して3.0nm未満の表面粗さが達成された。対照的に、本明細書において考察したシステム及び方法を使用することにより、同じ材料及び厚さから作製されたガラスプリフォームに対して、成形温度は、約700℃であり、表面粗さは、1.5nm未満であった。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態では、ミラープリフォームを成形面に沿わせるために、上述したように1つ又は複数の真空孔を通して真空圧が供給される。しかしながら、真空孔は、基板が真空孔と接触した場所に不具合の形態で製造アーチファクトを残す可能性がある。したがって、型は、ミラープリフォーム又は3Dミラーの有効領域と接触する領域に真空孔を含まないものであり得る。代わりに、型は、3Dミラーの縁部に近い領域に隣接する成形面の外周部における等、有効領域と接触しない型の領域に1つ又は複数の真空孔を有することができる。いくつかの実施形態では、成形面の周縁部に溝型の真空孔を使用することができる。本明細書で用いる有効領域は、投影されユーザによって主に見られる画像を反映するミラー又はミラー基板の部分である。
【0047】
反射面は、スパッタリング、蒸着(例えば、CVD、PVD)、めっき又は当業者に既知である反射面をコーティング又は供給する他の方法を介して形成することができる。反射面は、例えば、1種又は複数の金属、金属/セラミック酸化物、金属/セラミック合金を含むことができる。反射コーティングは、アルミニウム又は銀を含むことができる。反射面は、基板を湾曲又は非球面形状に成形した後に3D成形された基板上に形成される。しかしながら、実施形態は、この順序に限定されず、反射面を有する2Dプリフォームから3Dミラーを成形できることが企図される。
【0048】
ガラス系基板は、3.0mm以下、約0.5mm~約3.0mm、約0.5mm~約1.0mm又は約1.0mm~約3.0mmの厚さを有する。
【0049】
HUDシステムにおけるミラーのための好適なガラス基板は、非強化ガラスシートであり得るか、又は強化ガラスシートでもあり得る。ガラスシート(強化であっても非強化であっても)としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩又はアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを挙げることができる。任意選択的に、ガラスシートは、熱的に強化され得る。非強化ガラスシートとしてソーダ石灰ガラスが使用される実施形態では、従来の装飾材料及び方法(例えば、ガラスフリットエナメル及びスクリーン印刷)を使用することができる。
【0050】
好適なガラス基板は、イオン交換プロセスによって化学的に強化することができる。このプロセスでは、典型的には、所定の期間にわたって溶融塩浴内にガラスシートを浸漬することにより、ガラスシートの表面又はその近くのイオンが塩浴からのより大きい金属イオンと交換される。1つの実施形態では、溶融塩浴の温度は、約430℃であり、所定の期間は、約8時間である。ガラス内により大きいイオンを組み込むことにより、表面近くの領域に圧縮応力を引き起こすことによってシートが強化される。圧縮応力を平衡させるために、ガラスの中心領域内に対応する引張応力が誘導される。
【0051】
ガラス基板を成形するために好適である例示的なイオン交換可能ガラスは、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス又はアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスであるが、他のガラス組成が企図される。本明細書で用いる「イオン交換可能」は、ガラスが、ガラスの表面又はその近くに位置する陽イオンを、よりサイズが大きいか又は小さいかのいずれかである同じ原子価の陽イオンと交換できることを意味する。1つの例示的なガラス組成は、SiO、B及びNaOを含み、ここで、(SiO+B)≧66モル%及びNaO≧9モル%である。一実施形態では、ガラスシートは、6重量%の酸化アルミニウムを含む。さらなる実施形態では、ガラスシートは、1種又は複数のアルカリ土類酸化物を含み、アルカリ土類酸化物の含有量は、少なくとも5重量%である。好適なガラス組成物は、いくつかの実施形態では、KO、MgO及びCaOの少なくとも1つをさらに含む。特定の実施形態では、ガラスは、61~75モル%のSiO、7~15モル%のAl、0~12モル%のB、9~21モル%のNaO、0~4モル%のKO、0~7モル%のMgO及び0~3モル%のCaOを含むことができる。
【0052】
ガラス基板を成形するために好適なさらに例示的なガラス組成物は、60~70モル%のSiO、6~14モル%のAl、0~15モル%のB、0~15モル%のLiO、0~20モル%のNaO、0~10モル%のKO、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO、0~1モル%のSnO、0~1モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含み、ここで、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0053】
さらなる例示的なガラス組成物は、63.5~66.5モル%のSiO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、0~5モル%のLiO、8~18モル%のNaO、0~5モル%のKO、1~7モル%のMgO、0~2.5モル%のCaO、0~3モル%のZrO、0.05~0.25モル%のSnO、0.05~0.5モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含み、ここで、14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0054】
特定の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、アルミナと、少なくとも1種のアルカリ金属と、いくつかの実施形態では50モル%を超えるSiO、他の実施形態では少なくとも58モル%のSiO、さらに他の実施形態では、少なくとも60モル%のSiOとを含み、ここで、比は、
【0055】
【数1】
【0056】
であり、この比において、成分は、モル%で表されており、改質剤は、アルカリ金属酸化物である。このガラスは、特定の実施形態では、58~72モル%のSiO、9~17モル%のAl、2~12モル%のB、8~16モル%のNaO及び0~4モル%のKOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、比は、
【0057】
【数2】
【0058】
である。
【0059】
別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、61~75モル%のSiO、7~15モル%のAl、0~12モル%のB、9~21モル%のNaO、0~4モル%のKO、0~7モル%のMgO及び0~3モル%のCaOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。
【0060】
さらに別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、60~70モル%のSiO、6~14モル%のAl、0~15モル%のB、0~15モル%のLiO、0~20モル%のNaO、0~10モル%のKO、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO、0~1モル%のSnO、0~1モル%のCeO、50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、ここで、12モル%≦LiO+NaO+KO≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。
【0061】
さらに別の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、64~68モル%のSiO、12~16モル%のNaO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、2~5モル%のKO、4~6モル%のMgO及び0~5モル%のCaOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、ここで、66モル%≦SiO+B+CaO≦69モル%、NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(NaO+B)-Al≦2モル%、2モル%≦NaO-Al≦6モル%及び4モル%≦(NaO+KO)-Al≦10モル%である。
【0062】
化学強化ガラス及び非化学強化ガラスは、いくつかの実施形態では、NaSO、NaCl、NaF、NaBr、KSO、KCl、KF、KBr及びSnOを含む群から選択される0~2モル%の少なくとも1種の清澄剤とバッチ処理することができる。
【0063】
1つの例示的な実施形態では、化学強化ガラスにおけるナトリウムイオンは、溶融浴からのカリウムイオンと置き換えることができるが、ルビジウム又はセシウム等、より大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンが、ガラスにおけるより小さいアルカリ金属イオンに取って代わることができる。特定の実施形態によれば、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンは、Ag+イオンと置き換えることができる。同様に、イオン交換プロセスにおいて、限定されないが、硫酸塩、ハロゲン化物等の他のアルカリ金属塩を使用することができる。
【0064】
ガラス網目構造が緩和し得る温度未満の温度でより小さいイオンをより大きいイオンと交換することにより、ガラスの表面にわたり、応力プロファイルをもたらすイオンの分布が生じる。入ってくるイオンの体積の方が大きいことにより、ガラスの表面に圧縮応力(CS)、ガラスの中央に張力(中央応力、すなわちCT)が生じる。この圧縮応力は、以下の関係式:
【0065】
【数3】
【0066】
により中央張力に関連付けられ、式中、tは、ガラスシートの全厚さであり、DOLは、層深さとも称される交換深さである。
【0067】
さまざまな実施形態によれば、イオン交換ガラスを含むガラス基板は、低重量、高耐衝撃性及び改善された音響減衰を含む多くの所望の特性を有することができる。一実施形態では、化学強化ガラスシートは、少なくとも300MPa、例えば少なくとも400、450、500、550、600、650、700、750又は800MPaの表面圧縮応力、少なくとも約20μm(例えば、少なくとも約20、25、30、35、40、45又は50μm)の層深さ及び/又は40MPaを超える(例えば、40、45又は50MPaを超える)が、100MPa未満(例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60又は55MPa未満)の中央張力を有することができる。
【0068】
化学強化ガラスシートの弾性率は、約60GPa~85GPa(例えば、60、65、70、75、80又は85GPa)の範囲であり得る。ポリマー中間層とともにガラス系積層体で使用される場合、ガラスシート及びポリマー中間層の弾性率は、結果として得られるガラス積層構造体の機械的特性(例えば、たわみ及び強度)と音響性能(例えば、透過損失)との両方に影響を与える可能性がある。
【0069】
好適なガラス基板は、熱強化プロセス又はアニーリングプロセスによって熱的に強化することができる。熱的に強化されたガラスシートの厚さは、約2mm未満又は約1mm未満であり得る。
【0070】
例示的なガラスシート成形法には、それぞれダウンドロー法の例である溶融延伸及びスロット延伸プロセス並びにフロートプロセスが含まれる。これらの方法を使用して、強化ガラスシート及び非強化ガラスシートの両方を成形することができる。溶融延伸プロセスは、溶融ガラス原材料を受け入れる流路を有する延伸タンクを使用する。流路は、流路の両側に流路の長さに沿って上部が開いている堰を有する。流路が溶融材料で充満すると、溶融ガラスが堰から溢れ出る。重力により、この溶融ガラスは、延伸タンクの外面を流れ落ちる。これらの外面は、下方に且つ内向きに延在し、その結果、延伸タンクの下方の縁部において一緒になる。2つの流動ガラス表面は、この端縁において一緒になって融合し、単一の流動シートを形成する。溶融延伸方法は、流路を流れる2つのガラスフィルムが互いに融合するため、結果として得られるガラスシートのいずれの外面も装置のいずれの部品とも接触しないという利点を提供する。したがって、溶融延伸ガラスシートの表面特性は、こうした接触によって影響を受けない。
【0071】
スロット延伸法は、溶融延伸法と異なる。ここでは、溶融原料ガラスが延伸タンクに提供される。延伸タンクの底部がノズルを備えた開放スロットを有し、ノズルは、スロットの長さを伸長する。溶融ガラスは、スロット/ノズルを通して流れ、連続シートとして下向きに且つアニーリング領域内に延伸される。スロット延伸プロセスは、2つのシートが互いに融合されるのではなく、単一シートのみがスロットを通して延伸されるため、溶融延伸プロセスより薄いシートを提供することができる。
【0072】
ダウンドロープロセスは、比較的無垢な表面を有する均一な厚さのガラスシートを製造する。ガラス表面の強度は、表面傷の量及び大きさによって制御されるため、接触が最小であった無垢表面は、より高い初期強度を有する。この高強度ガラスが化学的に強化されると、結果として得られる強度は、ラップ仕上げ及び研磨された表面の強度より高い可能性がある。ダウンドローガラスは、約2mm未満の厚さまで延伸することができる。さらに、ダウンドローガラスは、コストがかかる研削及び研磨を行わずにその最終用途において使用され得る非常に平坦な平滑面を有する。
【0073】
フロートガラス法では、平滑面及び均一な厚さを特徴とし得るガラスシートは、溶融金属、典型的には錫の床上に溶融ガラスを浮遊させることによって作製される。例示的なプロセスでは、溶融錫床の表面上に供給される溶融ガラスが浮遊リボンを形成する。ガラスリボンが錫槽に沿って流れる際、中実ガラスシートを錫からローラ上に持ち上げることができるまで温度を徐々に低下させる。槽から離れると、ガラスシートをさらに冷却してアニールし、内部応力を低下させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書で考察した実施形態の例示的なガラス基板は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムを有する車両(自動車、飛行機等)に採用することができる。いくつかの実施形態により溶融成形されたガラスの透明度は、フロートプロセスによって成形されたガラスより優れている可能性があり、それにより、より良い運転体験が与えられるとともに安全性が改善され、それは、情報がより容易に読むことができ且つ注意散漫を低減させ得るためである。非限定的なHUDシステムは、プロジェクタユニット、コンバイナ及びビデオ生成コンピュータを含むことができる。例示的なHUDにおけるこの投影ユニットは、限定されないが、焦点にディスプレイがある凸レンズ又は凹面鏡を有する光コリメータ(例えば、光導波路、走査型レーザ、LED、CRT、ビデオ撮像等)であり得る。この投影ユニットは、所望の画像を生成するために採用することができる。いくつかの実施形態において、HUDシステムは、投影ユニットからの投影画像を向け直して、視野又は投影画像を変化又は変更するためのコンバイナ又はビームスプリッタも含むことができる。いくつかのコンバイナは、そこに投影された単色光を反射しながら、他の波長の光を透過させる特別なコーティングを含むことができる。さらなる実施形態では、コンバイナは、投影ユニットからの画像の焦点を再び合わせるために湾曲している場合もある。任意の例示的なHUDシステムは、投影ユニットと、適用可能な車両システムとの間のインタフェースを提供する処理システムも含むことができ、そこからデータを受信、操作、監視及び/又は表示することができる。いくつかの処理システムは、投影ユニットにより表示される像及び記号を生成するためにも使用することができる。
【0075】
こうしたHUDシステムを使用して、HUDシステムからの画像をガラス系ミラー基板の内側に面する表面上に投影することにより、情報(例えば、数字、画像、方向、言葉又はその他)の表示を作成することができる。その後、ミラーは、運転者の視野に入るように画像を向け直すことができる。
【0076】
したがって、いくつかの実施形態による例示的なガラス基板は、ミラーのための薄い無垢な表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、溶融延伸されたGorilla Glassをガラス基板として使用することができる。こうしたガラスは、フロートプロセスによって製造された従来のガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)に特有のいかなるフロート線も含まない。
【0077】
本開示の実施形態によるHUDは、本明細書に記載した例示的なガラス基板を利用して、自動車、航空機、合成視野システム及び/又はマスクディスプレイ(例えば、ゴーグル、マスク、ヘルメット等のヘッドマウントディスプレイ)において採用することができる。こうしたHUDシステムは、ガラス積層構造体を通して運転者の正面に重大な情報(速度、燃料、温度、方向指示、ナビゲーション、警告メッセージ等)を投影することができる。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載したHUDシステムは、曲率半径、屈折率及び入射角に対する公称HUDシステムパラメータ(例えば、曲率半径Rc=8301mm、供給源までの距離Ri=1000mm、屈折率n=1.52及び入射角θ=62.08°)を使用することができる。
【0079】
本開示の態様1は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法であって、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するガラス系プリフォームであって、小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップと、凹面を有する型上にガラス系プリフォームを、第2の大面積面が型の凹面に面するように、且つ第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面がハウジングの長手方向壁に隣接するように配置するステップであって、長手方向壁は、凹面から少なくともガラス系プリフォームの第2の大面積面の高さまで延在する、ステップと、第2の大面積面と凹面との間の間隙に真空を供給するステップと、真空を使用して型の凹面に第2の大面積面を沿わせるステップとを含み、第1の横方向側面及び第2の横方向側面は、第2の大面積面の沿わせるステップ中に第1の横方向側面及び第2の横方向側面が凹面と一致したままであるように、凹面の湾曲に対応する湾曲形状を有する、方法に関する。
【0080】
本開示の態様2は、凹面が、間隙に真空を供給するために少なくとも1つの開口部を含む、態様2の方法に関する。
【0081】
本開示の態様3は、ハウジングの長手方向壁が、第1の長手方向側面と凹面との間及び第2の長手方向側面と凹面との間の間隙の一部における真空の漏れを防止する、態様1又は態様2の方法に関する。
【0082】
本開示の態様4は、型の凹面が、型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、第2の曲率半径が第1の曲率半径より大きい、態様1~3のいずれかの方法に関する。
【0083】
本開示の態様5は、凹面が、沿わせるステップ中、ガラス系プリフォームの第1の長手方向側面と第2の長手方向側面との間の距離がガラス系プリフォームの第1の横方向側面と第2の横方向側面との間の距離より小さく低減するような形状である、態様1~4のいずれかの方法に関する。
【0084】
本開示の態様6は、ハウジングの横方向壁が、第1の横方向側面と凹面との間及び第2の横方向側面と凹面との間の間隙の一部における真空の漏れを防止する、態様1~5のいずれかの方法に関する。
【0085】
本開示の態様7は、ハウジングと小面積面との間の隙間が約0.5mm未満である、態様1~6のいずれかの方法に関する。
【0086】
本開示の態様8は、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の少なくとも一方の湾曲形状が単一の曲率半径を含むことを特徴とする、態様1~7のいずれかの方法に関する。
【0087】
本開示の態様9は、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の少なくとも一方の湾曲形状がスプライン曲線を含む、態様1~8のいずれかの方法に関する。
【0088】
本開示の態様10は、3次元ミラーが、HUDシステムのための3次元ミラーが、凹状の形状である第1の大面積面と、第1の大面積面に対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを有するように第2の大面積面を沿わせた後に切断されず、小面積面がガラスプリフォームの小面積面に対応する、態様1~9のいずれかの方法に関する。
【0089】
本開示の態様11は、第1の大面積面の少なくとも一部が反射面である、態様1~10のいずれかの方法に関する。
【0090】
本開示の態様12は、反射面が、第1の大面積面上に配置された金属、金属酸化物、セラミック酸化物又は金属-セラミック酸化物を含む、態様11の方法に関する。
【0091】
本開示の態様13は、金属層がAl、Ag、TiO又はSiOを含む、態様12の方法に関する。
【0092】
本開示の態様14は、型の凹面に第2の大面積面を沿わせるステップが、ガラス系プリフォームのガラス転移温度より低い温度で実施される、態様1~13のいずれかの方法に関する。
【0093】
本開示の態様15は、温度が、ガラス系プリフォームのガラス転移温度より約5℃~30℃低い、態様14の方法に関する。
【0094】
本開示の態様16は、温度が、ガラス系プリフォームのガラス転移温度より約10℃~20℃低い、態様15の方法に関する。
【0095】
本開示の態様17は、凹面に第2の大面積面を沿わせるステップ後、第1の大面積面上に反射面を形成するステップをさらに含む、態様1~16のいずれかの方法に関する。
【0096】
本開示の態様18は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための3次元ミラーを成形する装置であって、少なくとも1つの開口部を有する凹面を含む型であって、少なくとも1つの開口部は、ガラス系プリフォームが型上に配置されると、凹面の上方の空間に真空を供給するように構成されている、型と、凹面に隣接し且つ凹面を少なくとも部分的に包囲するハウジングであって、ガラス系プリフォームが型上に配置されると、凹面から少なくともガラス系プリフォームの高さまで延在するハウジングとを含み、ハウジングは、ガラス系プリフォームと凹面との間の空間の一部において真空の漏れを防止するようなサイズである、装置に関する。
【0097】
本開示の態様19は、ハウジングが、凹面の対向する長手方向辺に沿った第1の長手方向側壁及び第2の長手方向側壁を含む、態様18の装置に関する。
【0098】
本開示の態様20は、ハウジングが、凹面の対向する横方向辺に沿った第1の横方向側壁及び第2の横方向側壁を含み、第1の横方向側壁及び第2の横方向側壁が、ガラス系プリフォームの第1の縁部及び第2の縁部の湾曲に対応する形状に湾曲されている、態様18又は19の装置に関する。
【0099】
本開示の態様21は、凹面が、ガラス系プリフォームを非球面形状に合致させるように構成された非球面形状を有する、態様18~20のいずれかの装置に関する。
【0100】
本開示の態様22は、2次元ガラス系プリフォームから非球面ミラーを成形する方法であって、第1の大面積面と、第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、第1の大面積面及び第2の大面積面を接続する小面積面とを含むガラス系プリフォームであって、小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップであって、ガラス系プリフォームは、実質的に2次元の形状を有する、ステップと、第2の大面積面に面する非球面形状を有する湾曲面を含む下型上にガラス系プリフォームを配置するステップであって、下型は、湾曲面と第2の大面積面との間の間隙に真空を供給するように構成されている、ステップと、シェルが、シェルの実質的に垂直な壁が湾曲面から少なくとも第2の大面積面まで延在するようにガラス系プリフォームを包囲する間、間隙に真空圧を供給することにより、一次成形ステップを実施するステップであって、実質的に垂直な壁は、小面積面に面する、ステップとを含み、シェルの実質的に垂直な壁は、間隙における真空圧を改善するための距離において小面積面から離間されている、方法に関する。
【0101】
本開示の態様23は、第1の大面積面の周縁部分に締付リングを適用して、周縁部分において湾曲面に対して第2の大面積面を保持することにより、二次成形ステップを実施するステップをさらに含み、二次成形ステップが、下型が間隙に真空を供給している間に実施される、態様22の方法に関する。
【0102】
本開示の態様24は、二次成形ステップが一次成形ステップ後に実施される、態様23の方法に関する。
【0103】
本開示の態様25は、第1の横方向側面及び第2の横方向側面が、下型の湾曲面の曲率に対応する湾曲形状を有し、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の湾曲形状が、一次成形ステップ中、湾曲面と実質的に一致したままである、態様22~24のいずれかの方法に関する。
【0104】
本開示の態様26は、一次成形ステップのためにシェルを下型上に下降させるように構成された下方支持部材上にシェルを配置するステップをさらに含む、態様22~25のいずれかの方法に関する。
【0105】
本開示の態様27は、二次成形ステップのために締付リングをガラス系プリフォーム上に下降させるように構成された下方支持部材を使用して、ガラス系プリフォーム上に締付リングを配置するステップをさらに含む、態様23~26のいずれかの方法に関する。
【0106】
本開示の態様28は、一次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱するステップをさらに含む、態様22~27のいずれかの方法に関する。
【0107】
本開示の態様29は、一次成形ステップ及び二次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱するステップをさらに含む、態様23~28のいずれかの方法に関する。
【0108】
本開示の態様30は、二次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱する温度が、一次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱する温度より低い、態様29に記載の方法に関する。
【0109】
本開示の態様31は、ヒータが、ガラス系プリフォームの第1の大面積面に面して下型の上方に配置される、態様28の方法に関する。
【0110】
本開示の態様32は、ヒータが、ガラス系プリフォームの第1の大面積面に面して下型の上方に配置される、態様30の方法に関する。
【0111】
本開示の態様33は、非球面ミラーが一次成形ステップ後に切断されない、態様22~32のいずれかの方法に関する。
【0112】
本開示の態様34は、第1の大面積面が反射面を含む、態様22~33のいずれかの方法に関する。
【0113】
本開示の態様35は、反射面が金属、金属酸化物、セラミック酸化物又は金属-セラミック酸化物を含む、態様34の方法に関する。
【0114】
本開示の態様36は、金属がAl、Ag、TiO又はSiOである、態様35の方法に関する。
【0115】
本開示の態様37は、シェルの実質的に垂直な壁が小面積面から離間される距離が1mm以下である、態様22~36のいずれかの方法に関する。
【0116】
本開示の態様38は、シェルの実質的に垂直な壁が小面積面から離間される距離が1mm未満である、態様22~37のいずれかの方法に関する。
【0117】
本開示の態様39は、二次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱する温度が、ガラス系プリフォームのガラス転移温度より低い、態様30~38のいずれかの方法に関する。
【0118】
本開示の態様40は、二次成形ステップ中にガラス系プリフォームを加熱する温度が、ガラス系プリフォームのガラス転移温度より約5℃~20℃低い、態様39の方法に関する。
【0119】
本開示の態様41は、真空圧が70~90kPaである、態様22~40のいずれかの方法に関する。
【0120】
本開示の態様42は、締付リングが、下型の湾曲面の第1の部分及び第2の部分に対応する第1の湾曲面及び第2の湾曲面を含み、第1の湾曲面及び第2の湾曲面が、真空圧を改善するために下型と接触して周縁部分を保持するような形状である、態様23~41のいずれかの方法に関する。
【0121】
本開示の態様43は、第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面の長さが、第1の横方向側面及び第2の横方向側面の長さより大きい、態様22~42のいずれかの方法に関する。
【0122】
本開示の態様44は、非球面ミラーがヘッドアップディスプレイ(HUD)のためのミラーである、態様22~43のいずれかの方法に関する。
【0123】
本開示の態様45は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのためのガラス系3次元(3D)ミラーであって、態様1~17及び22~44のいずれかの方法によって成形されるガラス系3次元(3D)ミラーに関する。
【0124】
本開示の態様46は、ガラス系プリフォームが、3.0mm以下である厚さを有する、態様45のミラーに関する。
【0125】
本開示の態様47は、ガラス系プリフォームの厚さが約0.5mm~約3.0mmである、態様46のミラーに関する。
【0126】
本開示の態様48は、ガラス系プリフォームの厚さが約0.5mm~約1.0mmである、態様47のミラーに関する。
【0127】
本開示の態様49は、ガラス系プリフォームの厚さが約1.0mm~約3.0mmである、態様47のミラーに関する。
【0128】
本開示の態様50は、第1の大面積面が凹状形状を有し、及び第2の大面積面が凸状形状を有するような第1の曲率半径を有し、第1の曲率半径が第1の曲率軸に対するものである、態様45~49のいずれかのミラーに関する。
【0129】
本開示の態様51は、第1の曲率軸と異なる第2の曲率軸に対する第2の曲率半径を有する、態様50のミラーに関する。
【0130】
本開示の態様52は、第1の曲率軸が第2の曲率軸に対して垂直である、態様51のミラーに関する。
【0131】
本開示の態様53は、第1の大面積面が非球面形状を有する、態様45~51のいずれかのミラーに関する。
【0132】
本開示の態様54は、ガラス系プリフォームが強化ガラスを含む、態様45~53のいずれかのミラーに関する。
【0133】
本開示の態様55は、強化ガラスが化学的に強化されている、態様54のミラーに関する。
【0134】
本記載は、多くの詳細を含み得るが、これらは、それらの範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態に関連してここまで記載したいくつかの特徴は、単一の実施形態における組合せにおいても実施することができる。逆に、単一の実施形態に関連して記載したさまざまな特徴は、複数の実施形態において別個に又は任意の好適な部分的組合せにおいても実施することができる。さらに、特徴は、いくつかの組合せにおいて作用するものとして上述している場合があり、そのようなものとして最初に特許請求することも可能であるが、場合により、特許請求される組合せからの1つ又は複数の特徴をこの組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形形態に向けることができる。
【0135】
同様に、動作は、図面又は図において特定の順序で示すが、これは、望ましい結果を達成するために、こうした動作が、示されている特定の順序若しくは連続した順序で実施されること又は図示するすべての動作を実施すべきであることを必要とするものとして理解されるべきではない。いくつかの状況において、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。
【0136】
本明細書において、「約」1つの特定の値から且つ/又は「約」別の特定の値までとして範囲を表現することができる。こうした範囲が表現される場合、例は、1つの特定の値から且つ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用により近似値として表現されている場合、特定の値は、別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲の各々の端点は、他方の端点と関連して及び他方の端点とは無関係の両方で重要であることもさらに理解されるであろう。
【0137】
本明細書における記載は、特定の方法で機能するように「構成」又は「適合」されている本開示の構成要素を指すことに留意されたい。この点で、こうした構成要素は、特定の特性を具体化するように又は特定の様式で機能するように「構成」又は「適合」されており、ここで、こうした記載は、意図する使用の記載とは対照的に構造的な記載である。より具体的には、本明細書における構成要素が「構成」又は「適合」されている様式に対する言及は、その構成要素の既存の物理的状態を示し、それ自体、その構成要素の構造的特徴の明確な記載として解釈されるべきである。
【0138】
図に例示するさまざまな構成及び実施形態によって示すように、ヘッドアップディスプレイのためのさまざまなガラス系構造体について説明した。
【0139】
本開示の好ましい実施形態について説明したが、説明した実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲は、本明細書を熟読することにより当業者に当然のように想到される均等物、多くの変形形態及び変更形態の全範囲が与えられる場合、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきであることが理解されるべきである。
【0140】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0141】
実施形態1
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための3次元ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを有するガラス系プリフォームであって、前記小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、前記長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップと、
凹面を有する型上に前記ガラス系プリフォームを、前記第2の大面積面が前記型の前記凹面に面するように、且つ前記第1の長手方向側面及び前記第2の長手方向側面がハウジングの長手方向壁に隣接するように配置するステップであって、前記長手方向壁は、前記凹面から少なくとも前記ガラス系プリフォームの前記第2の大面積面の高さまで延在する、ステップと、
前記第2の大面積面と前記凹面との間の間隙に真空を供給するステップと、
前記真空を使用して前記型の前記凹面に前記第2の大面積面を沿わせるステップと
を含み、前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面は、前記第2の大面積面の前記沿わせるステップ中に前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面が前記凹面と一致したままであるように、前記凹面の湾曲に対応する湾曲形状を有することを特徴とする方法。
【0142】
実施形態2
前記凹面は、前記間隙に真空を供給するために少なくとも1つの開口部を含むことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0143】
実施形態3
前記ハウジングの前記長手方向壁は、前記第1の長手方向側面と前記凹面との間及び前記第2の長手方向側面と前記凹面との間の前記間隙の一部における前記真空の漏れを防止することを特徴とする、実施形態1又は2に記載の方法。
【0144】
実施形態4
前記型の前記凹面は、前記型の長手方向に延びる、第1の曲率に対する第1の曲率半径と、前記型の横方向に延びる、第2の曲率に対する第2の曲率半径とを含み、前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径より大きいことを特徴とする、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
実施形態5
前記凹面は、沿わせるステップ中、前記ガラス系プリフォームの前記第1の長手方向側面と前記第2の長手方向側面との間の距離が前記ガラス系プリフォームの前記第1の横方向側面と前記第2の横方向側面との間の距離より小さく低減するような形状であることを特徴とする、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
実施形態6
前記ハウジングの横方向壁は、前記第1の横方向側面と前記凹面との間及び前記第2の横方向側面と前記凹面との間の前記間隙の一部における前記真空の漏れを防止することを特徴とする、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
実施形態7
前記ハウジングと前記小面積面との間の隙間は、約0.5mm未満であることを特徴とする、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
実施形態8
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の少なくとも一方の前記湾曲形状は、単一の曲率半径を含むことを特徴とする、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0149】
実施形態9
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の少なくとも一方の前記湾曲形状は、スプライン曲線を含むことを特徴とする、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0150】
実施形態10
前記3次元ミラーは、前記HUDシステムのための前記3次元ミラーが、凹状の形状である第1の大面積面と、前記第1の大面積面に対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを有するように前記第2の大面積面を沿わせた後に切断されず、前記小面積面は、前記ガラスプリフォームの前記小面積面に対応することを特徴とする、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0151】
実施形態11
前記第1の大面積面の少なくとも一部は、反射面であることを特徴とする、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0152】
実施形態12
前記反射面は、前記第1の大面積面上に配置された金属、金属酸化物、セラミック酸化物又は金属-セラミック酸化物を含むことを特徴とする、実施形態11に記載の方法。
【0153】
実施形態13
金属層は、Al、Ag、TiO又はSiOを含むことを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0154】
実施形態14
前記型の前記凹面に前記第2の大面積面を沿わせる前記ステップは、前記ガラス系プリフォームのガラス転移温度より低い温度で実施されることを特徴とする、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
実施形態15
前記温度は、前記ガラス系プリフォームの前記ガラス転移温度より約5℃~30℃低いことを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0156】
実施形態16
前記温度は、前記ガラス系プリフォームの前記ガラス転移温度より約10℃~20℃低いことを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
【0157】
実施形態17
前記凹面に前記第2の大面積面を沿わせる前記ステップ後、前記第1の大面積面上に反射面を形成するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
実施形態18
ヘッドアップディスプレイ(HUD)のための3次元ミラーを成形する装置において、
少なくとも1つの開口部を有する凹面を含む型であって、前記少なくとも1つの開口部は、ガラス系プリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面の上方の空間に真空を供給するように構成されている、型と、
前記凹面に隣接し且つ前記凹面を少なくとも部分的に包囲するハウジングであって、前記ガラス系プリフォームが前記型上に配置されると、前記凹面から少なくとも前記ガラス系プリフォームの高さまで延在するハウジングと
を含み、前記ハウジングは、前記ガラス系プリフォームと前記凹面との間の前記空間の一部において前記真空の漏れを防止するようなサイズであることを特徴とする装置。
【0159】
実施形態19
前記ハウジングは、前記凹面の対向する長手方向辺に沿った第1の長手方向側壁及び第2の長手方向側壁を含むことを特徴とする、実施形態18に記載の装置。
【0160】
実施形態20
前記ハウジングは、前記凹面の対向する横方向辺に沿った第1の横方向側壁及び第2の横方向側壁を含み、前記第1の横方向側壁及び前記第2の横方向側壁は、前記ガラス系プリフォームの第1の縁部及び第2の縁部の湾曲に対応する形状に湾曲されていることを特徴とする、実施形態18又は19に記載の装置。
【0161】
実施形態21
前記凹面は、前記ガラス系プリフォームを非球面形状に合致させるように構成された非球面形状を有することを特徴とする、実施形態18~20のいずれか一項に記載の装置。
【0162】
実施形態22
2次元ガラス系プリフォームから非球面ミラーを成形する方法において、
第1の大面積面と、前記第1の大面積面と対向する第2の大面積面と、前記第1の大面積面及び前記第2の大面積面を接続する小面積面とを含むガラス系プリフォームであって、前記小面積面は、互いに対向する第1の長手方向側面及び第2の長手方向側面と、前記長手方向側面を接続する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを含む、ガラス系プリフォームを提供するステップであって、前記ガラス系プリフォームは、実質的に2次元の形状を有する、ステップと、
前記第2の大面積面に面する非球面形状を有する湾曲面を含む下型上に前記ガラス系プリフォームを配置するステップであって、前記下型は、前記湾曲面と前記第2の大面積面との間の間隙に真空を供給するように構成されている、ステップと、
シェルが、前記シェルの実質的に垂直な壁が前記湾曲面から少なくとも前記第2の大面積面まで延在するように前記ガラス系プリフォームを包囲する間、前記間隙に真空圧を供給することにより、一次成形ステップを実施するステップであって、前記実質的に垂直な壁は、前記小面積面に面する、ステップと
を含み、前記シェルの前記実質的に垂直な壁は、前記間隙における前記真空圧を改善するための距離において前記小面積面から離間されていることを特徴とする方法。
【0163】
実施形態23
前記第1の大面積面の周縁部分に締付リングを適用して、前記周縁部分において前記湾曲面に対して前記第2の大面積面を保持することにより、二次成形ステップを実施するステップ
をさらに含み、前記二次成形ステップは、前記下型が前記間隙に真空を供給している間に実施されることを特徴とする、実施形態22に記載の方法。
【0164】
実施形態24
前記二次成形ステップは、前記一次成形ステップ後に実施されることを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
【0165】
実施形態25
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面は、前記下型の前記湾曲面の曲率に対応する湾曲形状を有し、
前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の前記湾曲形状は、前記一次成形ステップ中、前記湾曲面と実質的に一致したままであることを特徴とする、実施形態22~24のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
実施形態26
前記一次成形ステップのために前記シェルを前記下型上に下降させるように構成された下方支持部材上に前記シェルを配置するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態22~25のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
実施形態27
前記二次成形ステップのために前記締付リングを前記ガラス系プリフォーム上に下降させるように構成された下方支持部材を使用して、前記ガラス系プリフォーム上に前記締付リングを配置するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態23~26のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
実施形態28
前記一次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態22~27のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
実施形態29
前記一次成形ステップ及び前記二次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱するステップをさらに含むことを特徴とする、実施形態23~28のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
実施形態30
前記二次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱する温度は、前記一次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱する温度より低いことを特徴とする、実施形態29に記載の方法。
【0171】
実施形態31
ヒータは、前記ガラス系プリフォームの前記第1の大面積面に面して前記下型の上方に配置されることを特徴とする、実施形態28に記載の方法。
【0172】
実施形態32
ヒータは、前記ガラス系プリフォームの前記第1の大面積面に面して前記下型の上方に配置されることを特徴とする、実施形態30に記載の方法。
【0173】
実施形態33
前記非球面ミラーは、前記一次成形ステップ後に切断されないことを特徴とする、実施形態22~32のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
実施形態34
前記第1の大面積面は、反射面を含むことを特徴とする、実施形態22~33のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
実施形態35
前記反射面は、金属、金属酸化物、セラミック酸化物又は金属-セラミック酸化物を含むことを特徴とする、実施形態34に記載の方法。
【0176】
実施形態36
前記金属は、Al、Ag、TiO又はSiOであることを特徴とする、実施形態35に記載の方法。
【0177】
実施形態37
前記シェルの前記実質的に垂直な壁が前記小面積面から離間される前記距離は、1mm以下であることを特徴とする、実施形態22~36のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
実施形態38
前記シェルの前記実質的に垂直な壁が前記小面積面から離間される前記距離は、1mm未満であることを特徴とする、実施形態22~37のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
実施形態39
前記二次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱する前記温度は、前記ガラス系プリフォームのガラス転移温度より低いことを特徴とする、実施形態30~38のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
実施形態40
前記二次成形ステップ中に前記ガラス系プリフォームを加熱する前記温度は、前記ガラス系プリフォームの前記ガラス転移温度より約5℃~20℃低いことを特徴とする、実施形態39に記載の方法。
【0181】
実施形態41
前記真空圧は、70~90kPaであることを特徴とする、実施形態22~40のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
実施形態42
前記締付リングは、前記下型の前記湾曲面の第1の部分及び第2の部分に対応する第1の湾曲面及び第2の湾曲面を含み、前記第1の湾曲面及び前記第2の湾曲面は、前記真空圧を改善するために前記下型と接触して前記周縁部分を保持するような形状であることを特徴とする、実施形態23~41のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
実施形態43
前記第1の長手方向側面及び前記第2の長手方向側面の長さは、前記第1の横方向側面及び前記第2の横方向側面の長さより大きいことを特徴とする、実施形態22~42のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
実施形態44
前記非球面ミラーは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)のためのミラーであることを特徴とする、実施形態22~43のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
実施形態45
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのためのガラス系3次元(3D)ミラーにおいて、実施形態1~17又は22~44のいずれか一項に記載の方法によって成形されることを特徴とするガラス系3次元(3D)ミラー。
【0186】
実施形態46
前記ガラス系プリフォームは、3.0mm以下である厚さを有することを特徴とする、実施形態45に記載のミラー。
【0187】
実施形態47
前記ガラス系プリフォームの前記厚さは、約0.5mm~約3.0mmであることを特徴とする、実施形態46に記載のミラー。
【0188】
実施形態48
前記ガラス系プリフォームの前記厚さは、約0.5mm~約1.0mmであることを特徴とする、実施形態47に記載のミラー。
【0189】
実施形態49
前記ガラス系プリフォームの前記厚さは、約1.0mm~約3.0mmであることを特徴とする、実施形態47に記載のミラー。
【0190】
実施形態50
前記第1の大面積面が凹状形状を有し、及び前記第2の大面積面が凸状形状を有するような第1の曲率半径を有し、前記第1の曲率半径は、第1の曲率軸に対するものであることを特徴とする、実施形態45~49のいずれか一項に記載のミラー。
【0191】
実施形態51
前記第1の曲率軸と異なる第2の曲率軸に対する第2の曲率半径を有することを特徴とする、実施形態50に記載のミラー。
【0192】
実施形態52
前記第1の曲率軸は、前記第2の曲率軸に対して垂直であることを特徴とする、実施形態51に記載のミラー。
【0193】
実施形態53
前記第1の大面積面は、非球面形状を有することを特徴とする、実施形態45~51のいずれか一項に記載のミラー。
【0194】
実施形態54
前記ガラス系プリフォームは、強化ガラスを含むことを特徴とする、実施形態45~53のいずれか一項に記載のミラー。
【0195】
実施形態55
前記強化ガラスは、化学的に強化されていることを特徴とする、実施形態54に記載のミラー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21