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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20231222BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
B65D41/34 110
B65D51/22 110
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020540452
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019051202
(87)【国際公開番号】W WO2019154608
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】102018001102.0
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520264542
【氏名又は名称】ホロパック フェルパックングシュテッヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー クンツラー
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0200855(US,A1)
【文献】米国特許第05040692(US,A)
【文献】特開平06-056161(JP,A)
【文献】特表2008-542136(JP,A)
【文献】特開平10-119995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/34
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料からなる容器であって、前記容器は、流体を収容するための容器本体(1)と、前記容器本体(1)に隣接する首部(7)とを備え、前記首部(7)はその自由端において頭部(11)によって閉じられかつキャップ(19)で覆われた流体の注ぎ口を有し、前記キャップ(19)は、一方の回転方向にねじ込まれると少なくとも1つの開口部(39)によって前記頭部(11)を貫通し、かつ、接続機構(27)を介して保持リング(21)と接続されて前記保持リング(21)と共に構造ユニット(17)を形成しており、前記キャップ(19)は、反対の回転方向にねじ戻す過程で前記接続機構(27)が外れた後で前記容器本体(1)から取り外すと、貫通された前記頭部(11)を通して流体を取り出すための前記注ぎ口を開放し、前記首部(7)には個々の複数の第1のロック要素(43)が外側に突出しており、前記複数の第1のロック要素(43)が前記保持リング(21)から内側に突出する個々の複数の第2のロック要素(47)と協働して、前記構造ユニット(17)を前記首部(7)上の装着位置から前記反対の回転方向に回転させると前記接続機構(27)が外れるようにした、容器において、
前記第1のロック要素(43)と前記第2のロック要素(47)が協働して、装着位置から両回転方向に設定可能な区間だけ回転動作が可能にされており、前記構造ユニット(17)を設定可能な区間を越えてさらにねじ込むと、前記複数の第2のロック要素(47)の一部が対応する前記複数の第1のロック要素(43)を完全に乗り越えて、前記頭部(11)が前記キャップ(19)のそれぞれの前記少なくとも1つの開口部(39)によって貫通され、続いて前記注ぎ口を開放するために前記キャップ(19)をねじ戻すと、前記接続機構(27)が外れて、前記保持リング(21)が少なくとも一時的に少なくとも1つの第2のロック要素(47)を介してねじ戻す方向の回転に抗して前記首部(7)上に保持されており、
前記首部(7)の第1のロック要素は、前記首部(7)の外周を越えて突出する傾斜面(43)の端部(44)によって形成されており、
前記首部(7)は前記容器本体(1)の方向で、環状体(15)の外周に沿って互いに等間隔に配置された個々の傾斜面(43)を支持する環状体(15)を形成しており、環状体(15)はその前記容器本体(1)とは反対側に前記キャップ(19)の自由端面に対するストップ面(54)を有しており、それぞれの前記開口部(39)が前記頭部(11)を貫通したらすぐに前記キャップ(19)がストップ面(54)と当接し、
前記キャップ(19)をストップ面(54)の方向へねじ込むと、前記キャップ(19)は前記接続機構(27)を介して前記保持リング(21)を連行し、前記保持リング(21)は前記キャップ(19)が環状体(15)に衝突するまでの長い間、環状体(15)に沿って前記容器本体(1)の長手方向軸線(3)に対して同軸に前記容器本体(1)に向かって軸方向に移動する、容器。
【請求項2】
前記保持リング(21)の第2のロック要素は、前記保持リング(21)の内周側にある個々の傾斜したウェブ(47)からなることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記保持リング(21)の第2のロック要素(47)は対で固持グループ(49)に集約されており、1つの固持グループ(49)の各々第2のロック要素(47)は別の第2のロック要素(47)に対して、前記首部(7)の周方向で見た傾斜面(43)の長手方向延長に等しいか、それよりも大きい距離を取ることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記キャップ(19)を装着位置からねじ込むと、前記首部(7)の傾斜面(43)に隣接して配置された固持グループ(49)のロック要素(47)は傾斜面(43)に沿って滑り上がり、このロック要素(47)が傾斜面(43)を完全に乗り越えると、第2のロック要素(47)の対応する固持グループ(49)と係止することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記首部(7)は前記頭部(11)と環状体(15)との間に多条ねじを有しており、この多条ねじは雄ねじ(35)として設計されていて、ねじ込み及びねじ戻し過程のために前記キャップ(19)の内室側の雌ねじ(33)と協働することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
円筒状に形成された前記頭部(11)は、取出し円錐部(9)を介して前記首部(7)の雄ねじ(35)に隣接しており、前記頭部(11)の自由端面は膜(13)の方式で形成されていて、前記キャップ(19)内のスパイク(39)の形をした前記開口部によって貫通可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記頭部(11)の円筒状外周面は、スパイク(39)を周縁側で取り囲んでいる前記キャップ(19)のガイド体(41)に対するガイド面として働くことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記保持リング(21)は外周側にマーキング(56)を付けており、これを前記容器本体(1)のマーキングと一致させて、前記構造ユニット(17)が前記首部(7)上で設定可能な装着位置を取るようにすることができ、この位置で前記保持リング(21)の固持グループ(49)は外周領域で前記首部(7)の傾斜面(43)の間を反対の回転方向に自由に往復移動できるように案内されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記保持リング(21)と前記キャップ(19)との間の前記接続機構は所定破断箇所(27)を介して実現されており、所定破断箇所(27)は縮小された断面を有する突出した所定破断ウェブとして前記接続機構が外れるまで前記キャップ(19)の外周に作用することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記構造ユニット(17)は、前記キャップ(19)と、前記保持リング(21)と、一体的なプラスチック成形品、特に射出成形品からなる前記接続機構(27)とから構成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記保持リング(21)は、固持グループ(49)と所定破断ウェブ(27)の外部で内周側に支持ウェブ(53)を有しており、これらの支持ウェブ(53)は、好ましくは前記保持リング(21)の上部リング面を起点として、前記構造ユニット(17)の装着位置で支持ウェブ(53)の下方に前記保持リング(21)の内部に前記首部(7)の傾斜面(43)のための移動スペースが残されている長さまで軸方向に延びることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器本体(1)を回転させて容器開口を開放すると、前記保持リング(21)が前記首部(7)から滑り下りて容器から外れることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記首部(7)の雄ねじ(35)は、少なくとも1箇所で前記容器本体(1)の長手方向軸線(3)に対して平行に長手方向流路(37)によって貫通されており、この長手方向流路(37)は好ましくはねじ条を横断し、空気交換に用いられ、前記首部(7)上で前記キャップ(19)のねじ込み及びねじ戻し過程を支障なく可能にすることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の容器。
【請求項14】
充填された前記容器本体(1)は前記首部(7)及び前記頭部(11)と共に、ブロー・フィル・シール法によって製造されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料からなる容器であって、流体を収容するための容器本体と、容器本体に隣接する首部を備え、首部はその自由端に頭部によって閉じられてキャップで覆われた流体の注ぎ口を有しており、キャップは一方の回転方向にねじ込まれると少なくとも1つの開口部によって頭部を貫通し、接続機構を介して保持リングと接続されてこれと構造ユニットを形成し、反対の回転方向にねじ戻す過程で接続機構が外れた後で容器本体から取り外すと、貫通された頭部を通して流体を取り出すための注ぎ口を開放し、首部には外側に突出する個々のロック要素が存在していて、これらのロック要素が保持リングで内側に突出する個々のロック要素と協働して、構造ユニットを首部上の装着位置から回転させると接続機構が外れるようにした、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類のプラスチック容器は公知である。そのような容器は、当業界では「ボッテルパック(登録商標)」という登録商標で知られているブロー・フィル・シール法(BFS法)で、簡単かつ廉価に製造することができる。キャップと保持リングからなる構造ユニットは、射出成形により製造できることが好ましい。関連する先行技術として特許文献1(国際公開第2014/169979号)は、冒頭に記載した種類の容器を開示している。
【0003】
特に、食品、又は特に医薬品や化粧品などのデリケートな充填物を収容するためにそのような容器が提供されている場合、キャップが構造ユニットの装着位置から、即ち容器を初めて使用するために回転させると、接続機構が外れることによってキャップから分離される保持リングが特別重要になる。保持リングを構造ユニットの他の部分から取り外すことは開閉システムの操作が行われたことを明確に示すので、保持リングは万一の悪用を表示し、さらには防ぐ品質保証の機能を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/169979号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、先行技術で達成された利点を維持しながら、改善された使い勝手を特徴とする、考察された種類の容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有する容器によって解決される。
【0007】
請求項1の特徴部によれば、本発明の本質的な特色は、ロック要素が協働して、装着位置から両回転方向に設定可能な区間だけ回転動作が可能にされており、構造ユニットを設定可能な区間を超えてさらにねじ込むと、第2のロック要素の一部が第1のロック要素を完全に乗り越えて、頭部がキャップのそれぞれの開口部によって貫通され、続いて注ぎ口を開放するためにキャップをねじ戻すと接続機構が外れて、保持リングが少なくとも一時的に少なくとも1つのロック要素を介して回転に抗して首部上に保持されている。
【0008】
本発明においてキャップと保持リングから構成された構造ユニットの装着位置で、即ち容器の出荷状態で、使用者は初めて開けるために、保持リングの接続機構が外れる前に回転動作のための区間が提供されることによって、開口過程は上記の公知の容器解決策に比べてより確実で、それにより使い勝手がよくなる。公知の容器では、ロック要素は容器首部と保持リングで互いに係合しているので、接続機構が外れる前、つまり保持リングが取り外される前に自由な回転角度は事実上提供されていない。
【0009】
頭部を貫通する開口過程のために、使用者はねじ込み動作を生む回転方向にキャップを回転させなければならない。ここでは頭部を完全に突き通す前に回転動作が終了し、容器は実際には開いていないのにキャップを取り外すリスクがある。使用者にとってキャップが取り外されて品質保証が失われた後も容器は閉じたままであるというリスクは、本発明では防止される。なぜなら使用者は、頭部を貫通するねじ込み動作のために、ロック要素を乗り越える可能性によってキャップの開口部が頭部を完全に貫通するための区間が提供されるからである。続いて使用者がキャップを外すためにねじ戻す方向に回すと保持リングは回転に抗して容器の首部に保持されているので、接続機構が外れることによって品質保証が取り消され、キャップを回して取り外した後に容器は確実に開いた状態で提供される。
【0010】
有利な例示的実施形態では、首部の第1のロック要素は、首部の外周を越えて突出する傾斜面の端部によって形成されており、保持リングの第2のロック要素は、保持リングの内周側にある個々の傾斜したウェブからなる。傾斜面は、ねじ込み方向に回転させると第2のロック要素を乗り越えることを可能にする一方で、傾斜面の端部は同時に阻止面を形成し、乗り越えた後にそれぞれの第2のロック要素に当接することによってねじ戻す方向の回転に抗して保持リングを保持する。
【0011】
有利には、保持リングの第2のロック要素は対で固持グループに集約されており、1つの固持グループの各々第2のロック要素は別の第2のロック要素に対して、首部の周方向で見た傾斜面の長手方向延長に等しいか、それよりも大きい距離を取るように配置構成できる。
【0012】
固持グループのロック要素は保持リングに有利に位置決めされていて、キャップを装着位置からねじ込むと、首部の傾斜面に隣接して配置された固持グループのロック要素は傾斜面に沿って滑り上がり、このロック要素が傾斜面を完全に乗り越えると、第2のロック要素の対応する固持グループと係止するようになっている。
【0013】
有利な実施形態では、首部は容器本体の方向で、容器本体の外周に沿って互いに等間隔に配置された個々の傾斜面を支持する環状体を形成しており、環状体はその容器本体とは反対側にキャップの自由端面に対するストップ面を有しており、それぞれの開口部が頭部を貫通したらすぐにキャップがストップ面と当接する。
【0014】
キャップをストップ面の方向へねじ込むと、キャップは接続機構を介して保持リングを連行し、保持リングはキャップが環状体に衝突するまでの長い間、環状体に沿って容器本体の長手方向軸線に対して同軸に容器本体に向かって軸方向に移動する。
【0015】
有利には、首部は頭部と環状体との間に多条ねじを有しており、この多条ねじは雄ねじとして設計されていて、ねじ込み及びねじ戻し過程のためにキャップの内室側の雌ねじと協働する。特に有利には雄ねじ鋸歯形を有し、それによりキャップと保持リングからなる部材を雄ねじにパチンと嵌めるだけで簡単に取り付けることが可能になるが、構造ユニットが首部から離れる軸方向に動かないように保持する。
【0016】
有利な実施形態において、円筒状に形成された頭部は、取出し円錐部を介して首部の雄ねじに隣接しており、頭部の自由端面は膜の方式で形成されていて、キャップ内のスパイクの形をした開口部によって貫通可能である。
【0017】
特に有利には、頭部の円筒状外周面は、スパイクを周縁側で取り囲んでいるキャップのガイド体に対するガイド面として機能できる。
【0018】
閉鎖システムを容器に取り付ける際の組付け補助手段として、保持リングは外周にマーキングを付けることができ、これを容器本体のマーキングと一致させて、構造ユニットが首部上で設定可能な装着位置を取るようにすることができ、この位置で保持リングの固持グループは外周領域で首部の傾斜面の間を反対の回転方向に自由に往復移動できるように案内されている。
【0019】
保持リングとキャップとの間の接続機構は所定破断箇所を介して実現でき、これらの所定破断箇所は縮小された断面を有する突出した所定破断ウェブとして接続機構が外れるまでキャップの外周に作用する。
【0020】
構造ユニット、キャップと、保持リングと、一体的なプラスチック成形品、特に射出成形品からなる接続機構とから構成できる。
【0021】
保持リングは、固持グループと所定破断ウェブの外部で内周側に支持ウェブを有しており、これらの支持ウェブは、好ましくは保持リングの上部リング面を起点として、構造ユニットの装着位置で支持ウェブの下方に保持リングの内部に首部の傾斜面のための移動スペースが残されている長さまで軸方向に延びる。
【0022】
有利には、容器本体を回転させて容器開口を開放すると、保持リングが首部から滑り下りて容器から外れるように配置構成できる。
【0023】
さらに、首部の雄ねじは、少なくとも1箇所で容器本体の長手方向軸線に対して平行に長手方向流路によって貫通されており、この長手方向流路は好ましくはねじ条を横断し、空気交換に用いられ、首部上でキャップのねじ込み及びねじ戻し過程を支障なく可能にするように配置構成できる。
【0024】
特に有利には、充填された容器本体は首部及び頭部と共に、ブロー・フィル・シール法によって製造できる。
【0025】
以下に本発明を図面に示された実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明による容器の実施形態の側面図であり、キャップと保持リングからなる構造ユニットが長手方向で部分的に切断されて示されている。
図2図2は、キャップと保持リングからなる構造ユニットを図1より大きい縮尺で示した縦断面図である。
図3図3は、容器本体に隣接する首部の実施形態の破断側面図であり、図4と90°ずれた容器の回転位置が示されている。
図4図4は、容器本体に隣接する首部の実施形態の破断側面図であり、図3と90°ずれた容器の回転位置が示されている。
図5図5は、構造ユニットを取り外した容器の平面図である。
図6図6は、構造ユニットを装着していない首部の斜視図である。
図7図7は、縮尺を拡大して示した容器の実施形態の平面図である。
図8図8は、ロック要素の協働を明確にするために構造ユニットが装着位置で示されている簡略化された機能図である。
図9図9は、ロック要素の協働を明確にするために、構造ユニットが首部に対して回動された位置で示されている簡略化された機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示した本発明による容器の実施形態は、垂直軸線3を備える実質的に円筒形をした容器本体1を有する。図で上側の直径が縮小している本体1の端部領域5に首部7が隣接しており、その詳細は図3図6に最も明瞭に示されている。図示されているように、首部7の自由端には先が細くなっている取出し円錐部9が続き、また取出し円錐部9は円筒状頭部11に移行している。頭部11の自由端面は、頭部11と一体的な膜13によって閉じられており、これは容器を開けるために貫通可能である。図3図6からも見て取れるように、容器本体1の端部領域5から首部7への移行部は、それに隣接する首部7の端部領域よりも大きい直径を有する円筒状の環状体15によって形成されている。
【0028】
膜13を貫通することによって容器を開き、再び閉じることができる開放システムとして、構造ユニット17が設けられており、これにキャップ19も属している。図2に最も明瞭に示されているように、キャップ19は図で上側の閉じたポット底部23と側壁25を有するポットの形をしており、側壁25は下側のポット端からほぼ円筒状に、より正確に言えば非常にわずかな円錐角で先細りになってポット底部23まで延びている。構造ユニット17を完成させる保持リング21は、所定破断箇所27を介してキャップ19の下縁と取外し可能に接続されている。図7に示すように、所定破断箇所27は保持リング21の上縁からキャップ19の下縁まで延びるウェブブリッジ29のリムによって形成されており、ウェブブリッジ29はキャップ19との接続箇所に向かって細くなっている。同様に図7に示されているように、キャップ19は外側に長手方向波状起伏31を有しており、これらは見やすさのために図7では一部のみ番号が付されている。構造ユニット17と首部7との間にねじ接続を形成するために、キャップ19は雌ねじ33を有し、首部7は取出し円錐部9に隣接する雄ねじ35を有する。雄ねじ35のねじ山は鋸歯形をしているので、キャップ19はその雌ねじ33で、回転させることなしにパチンと嵌めることによって雄ねじ35と係合できる。装着、並びにねじ込み及びねじ戻し過程を支障なく行えるように、空気交換のために雄ねじ35のねじ山を面取りすることにより長手方向流路37(図4及び図6)が形成されている。膜13を貫通するための開口部として、キャップ19のポット底部23の内側から同軸に突出したスパイク39(図2)が設けられており、同軸線中空円筒状のガイド体41に取り囲まれている。この構成では、頭部11の円筒状周面はガイド体41と協働してキャップ19のための軸方向ガイドを形成する。
【0029】
品質保証の構成要素として、容器の開放装置は首部7の環状体15に第1のロック要素として互いに等しい角距離で配置された3つの傾斜面43を有し、これらの傾斜面43は環状体15の外周から同じ方向に突出しており、図5で見ると端部44まで上昇している。端部44は半径方向平面に延びており、それによって第1のロック要素に対するストップ面を形成する。構造ユニット17が別個に平面図で示されている図7、並びに図8及び図9は、保持リング21に付属する品質保証の第2のロック要素の形態を示している。図示のように、第2のロック要素は3対の阻止体47によって形成され、各対は固持グループ49を形成する。保持リング21の内周から斜めに突出する阻止体47は、それぞれ傾斜面43の端部44と対向する阻止面51を形成する。互いに等しい角距離で配置された固持グループ49において、円周方向に測定された阻止体47間の距離は、円周方向の傾斜面43の長さより幾分大きい。図2及び図7が示すように、構造ユニット17は互いに等しい角距離に配置された3つの支持ウェブ53によって完成され、これらの支持ウェブ53は保持リング21の上縁を起点として保持リング21の内側で軸線3に平行な方向に、およそ保持リング21の軸方向長さの半分だけ延びているので、支持ウェブ53の下方には傾斜面43の回転動作のためのスペースが残されている。図8及び図9にのみ示されているように、保持リング21の外周には切欠きの形をしたマーキング56があり、これは構造ユニット17を組み付ける際に容器本体1のマーキング(図示せず)と位置合わせすることによって構造ユニット17の装着位置を指定する。装着位置で傾斜面43は、図8に示されているように、連続する固持グループ49の間の自由な円周領域にある。別のマーキングとして、キャップ19の上側に視覚マーキングとして回転矢印59及び61がある。
【0030】
開口過程のために、使用者はキャップ19を装着位置(図8)から回転矢印59に従ってねじ込み方向に回転させる。このときスパイク39は頭部11の膜13を貫通し、回転方向でその都度先行している阻止体47は、傾斜面43を滑り上がることによってそれぞれの第1のロック要素を乗り越えて、傾斜面43はそれぞれの固持グループ49と係止し、キャップ19の下側端面は環状体15の下縁によって形成されたストップ面54に当接する。スパイク39によって形成された容器開口を開放する目的で構造ユニット17を取り外すには、使用者はキャップ19を第2の回転矢印61で示されたねじ戻す方向に回転させる。このとき保持リング21は、第2のロック要素の阻止体47のそれぞれの阻止面51と協働して一緒に回転しないように保持されているので、所定破断箇所27が引き裂かれて品質保証が消滅する。キャップ19を取り外した後、容器は内容物を放出するために開放された状態で使用者に提供される。流体を取り出すために容器本体1を回転させると、自由になった保持リング21が首部7から滑り下りる。さらに容器は必要に応じてキャップ19によって再び閉じることもできる。
また、本開示は以下の発明も含む。
第1の態様は、
プラスチック材料からなる容器であって、前記容器は、流体を収容するための容器本体(1)と、前記容器本体(1)に隣接する首部(7)とを備え、前記首部(7)はその自由端において頭部(11)によって閉じられかつキャップ(19)で覆われた流体の注ぎ口を有し、前記キャップ(19)は、一方の回転方向にねじ込まれると少なくとも1つの開口部(39)によって前記頭部(11)を貫通し、かつ、接続機構(27)を介して保持リング(21)と接続されて前記保持リング(21)と共に構造ユニット(17)を形成しており、前記キャップ(19)は、反対の回転方向にねじ戻す過程で前記接続機構(27)が外れた後で前記容器本体(1)から取り外すと、貫通された前記頭部(11)を通して流体を取り出すための前記注ぎ口を開放し、前記首部(7)には個々の複数の第1のロック要素(43)が外側に突出しており、前記複数の第1のロック要素(43)が前記保持リング(21)から内側に突出する個々の複数の第2のロック要素(47)と協働して、前記構造ユニット(17)を前記首部(7)上の装着位置から回転させると前記接続機構(27)が外れるようにした、容器において、
前記第1のロック要素(43)と前記第2のロック要素(47)が協働して、装着位置から両回転方向に設定可能な区間だけ回転動作が可能にされており、前記構造ユニット(17)を設定可能な区間を越えてさらにねじ込むと、前記複数の第2のロック要素(47)の一部が対応する前記複数の第1のロック要素(43)を完全に乗り越えて、前記頭部(11)が前記キャップ(19)のそれぞれの前記開口部(39)によって貫通され、続いて前記注ぎ口を開放するために前記キャップ(19)をねじ戻すと、前記接続機構(27)が外れて、前記保持リング(21)が少なくとも一時的に少なくとも1つの第2のロック要素(47)を介してねじ戻す方向の回転に抗して前記首部(7)上に保持されていることを特徴とする、容器である。
第2の態様は、
前記首部(7)の第1のロック要素は、前記首部(7)の外周を越えて突出する傾斜面(43)の端部(44)によって形成されており、前記保持リング(21)の第2のロック要素は、前記保持リング(21)の内周側にある個々の傾斜したウェブ(47)からなることを特徴とする、第1の態様における容器である。
第3の態様は、
前記保持リング(21)の第2のロック要素(47)は対で固持グループ(49)に集約されており、1つの固持グループ(49)の各々第2のロック要素(47)は別の第2のロック要素(47)に対して、前記首部(7)の周方向で見た傾斜面(43)の長手方向延長に等しいか、それよりも大きい距離を取ることを特徴とする第1の態様又は第2の態様における容器である。
第4の態様は、
前記キャップ(19)を装着位置からねじ込むと、前記首部(7)の傾斜面(43)に隣接して配置された固持グループ(49)のロック要素(47)は傾斜面(43)に沿って滑り上がり、このロック要素(47)が傾斜面(43)を完全に乗り越えると、第2のロック要素(47)の対応する固持グループ(49)と係止することを特徴とする、第1の態様~第3の態様のいずれか一つにおける容器である。
第5の態様は、
前記首部(7)は前記容器本体(1)の方向で、前記容器本体(15)の外周に沿って互いに等間隔に配置された個々の傾斜面(43)を支持する環状体(15)を形成しており、環状体(15)はその前記容器本体(1)とは反対側に前記キャップ(19)の自由端面に対するストップ面(54)を有しており、それぞれの前記開口部(39)が前記頭部(11)を貫通したらすぐに前記キャップ(19)がストップ面(54)と当接することを特徴とする、第1の態様~第4の態様のいずれか一つにおける容器である。
第6の態様は、
前記キャップ(19)をストップ面(54)の方向へねじ込むと、前記キャップ(19)は前記接続機構(27)を介して前記保持リング(21)を連行し、前記保持リング(21)は前記キャップ(19)が環状体(15)に衝突するまでの長い間、環状体(15)に沿って前記容器本体(1)の長手方向軸線(3)に対して同軸に前記容器本体(1)に向かって軸方向に移動することを特徴とする、第1の態様~第5の態様のいずれか一つにおける容器である。
第7の態様は、
前記首部(7)は前記頭部(11)と環状体(15)との間に多条ねじを有しており、この多条ねじは雄ねじ(35)として設計されていて、ねじ込み及びねじ戻し過程のために前記キャップ(19)の内室側の雌ねじ(33)と協働することを特徴とする、第1の態様~第6の態様のいずれか一つにおける容器である。
第8の態様は、
円筒状に形成された前記頭部(11)は、取出し円錐部(9)を介して前記首部(7)の雄ねじ(35)に隣接しており、前記頭部(11)の自由端面は膜(13)の方式で形成されていて、前記キャップ(19)内のスパイク(39)の形をした前記開口部によって貫通可能であることを特徴とする、第1の態様~第7の態様のいずれか一つにおける容器である。
第9の態様は、
前記頭部(11)の円筒状外周面は、スパイク(39)を周縁側で取り囲んでいる前記キャップ(19)のガイド体(41)に対するガイド面として働くことを特徴とする、第1の態様~第8の態様のいずれか一つにおける容器である。
第10の態様は、
前記保持リング(21)は外周側にマーキング(56)を付けており、これを前記容器本体(1)のマーキングと一致させて、前記構造ユニット(17)が前記首部(11)上で設定可能な装着位置を取るようにすることができ、この位置で前記保持リング(21)の固持グループ(49)は外周領域で前記首部(7)の傾斜面(43)の間を反対の回転方向に自由に往復移動できるように案内されていることを特徴とする、第1の態様~第9の態様のいずれか一つにおける容器である。
第11の態様は、
前記保持リング(21)と前記キャップ(19)との間の前記接続機構は所定破断箇所(27)を介して実現されており、所定破断箇所(27)は縮小された断面を有する突出した所定破断ウェブとして前記接続機構が外れるまで前記キャップ(19)の外周に作用することを特徴とする、第1の態様~第10の態様のいずれか一つにおける容器である。
第12の態様は、
前記構造ユニット(17)は、前記キャップ(19)と、前記保持リング(21)と、一体的なプラスチック成形品、特に射出成形品からなる前記接続機構(27)とから構成されていることを特徴とする、第1の態様~第11の態様のいずれか一つにおける容器である。
第13の態様は、
前記保持リング(21)は、固持グループ(49)と所定破断ウェブ(27)の外部で内周側に支持ウェブ(53)を有しており、これらの支持ウェブ(53)は、好ましくは前記保持リング(21)の上部リング面を起点として、前記構造ユニット(17)の装着位置で支持ウェブ(53)の下方に前記保持リング(21)の内部に前記首部(7)の傾斜面(43)のための移動スペースが残されている長さまで軸方向に延びることを特徴とする、第1の態様~第12の態様のいずれか一つにおける容器である。
第14の態様は、
前記容器本体(1)を回転させて容器開口を開放すると、前記保持リング(21)が前記首部(7)から滑り下りて容器から外れることを特徴とする、第1の態様~第13の態様のいずれか一つにおける容器である。
第15の態様は、
前記首部(7)の雄ねじ(35)は、少なくとも1箇所で前記容器本体(1)の長手方向軸線(3)に対して平行に長手方向流路(37)によって貫通されており、この長手方向流路(37)は好ましくはねじ条を横断し、空気交換に用いられ、前記首部(7)上で前記キャップ(19)のねじ込み及びねじ戻し過程を支障なく可能にすることを特徴とする、第1の態様~第14の態様のいずれか一つにおける容器である。
第16の態様は、
充填された前記容器本体(1)は前記首部(7)及び前記頭部(11)と共に、ブロー・フィル・シール法によって製造されていることを特徴とする、第1の態様~第15の態様のいずれか一つにおける容器である。
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