(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ウエハ支持台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2021017029
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 諒平
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 祐司
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008889(WO,A1)
【文献】特開2003-123943(JP,A)
【文献】特開2018-056332(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156031(JP,U)
【文献】特開平04-101380(JP,A)
【文献】特開2003-288975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有するセラミック基体と、
前記セラミック基体に埋設された複数のヒータと、
を備え、
前記セラミック基体は、前記ウエハ載置面から前記ウエハ載置面とは反対側の面に向かって、第1ヒータ形成面
、第2ヒータ形成面及
び第3ヒータ形成面をこの順に有し、
前記複数のヒータは、前記第1ヒータ形成面に設けられた第1ヒータ、前記第2ヒータ形成面に設けられた第2ヒータ及び前記第3ヒータ形成面に設けられた第3ヒータを含み、
前記第1ヒータは、前記セラミック基体の中心に位置するように設けられ、
前記第2ヒータは、前記第1ヒータの外周に位置するように設けられ、
前記第3ヒータは、
平面視で前記第2ヒータに重なるように設けられ、前記第3ヒータ形成面が半径方向の線分によって複数に分割されたゾーンのそれぞれに設けられている、
ウエハ支持台。
【請求項2】
第2ヒータ用ジャンパは、前記第2ヒータ形成面に設けられ、
第3ヒータ
用ジャンパは、前記第3ヒータ形成面に設けられている、
請求項1に記載のウエハ支持台。
【請求項3】
前記第1ヒータ、前記第2ヒータおよび前記第3ヒータはコイル形状であり、
前記第2ヒータ
用ジャンパは、前記第2ヒータのコイル中心よりも前記ウエハ載置面とは反対側の面側に接続され、
前記第3ヒータ
用ジャン
パは、前記第3ヒータのコイル中心よりも前記ウエハ載置面側に接続されている、
請求項
2に記載のウエハ支持台。
【請求項4】
前記第1ヒータ、前記第2ヒータおよび前記第3ヒータに電気を供給する端子穴は、各ヒータの深さに比例して深くなっている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のウエハ支持台。
【請求項5】
前記セラミック基体は、前記複数のヒータよりも前記ウエハ載置面側にRF電極を有すると共に、前記ウエハ載置面とは反対側の面に筒状のシャフトを有し、
前記第1ヒータに電気を供給するロッドと、前記第2ヒータに電気を供給するロッドと、前記第3ヒータに電気を供給するロッドと、前記RF電極に接続されたロッドは、前記シャフトから突出した部分の長さがすべて同じである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ支持台。
【請求項6】
前記第2ヒータは、前記第2ヒータ形成面を前記セラミック基体と同心円状の境界によって複数に分割されたゾーンのそれぞれに設けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のウエハ支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハにプラズマCVDによる成膜処理等を行う際に用いられるセラミック製のウエハ支持台であって、ウエハ加熱に用いるヒータが多層に配置されたものが知られている。例えば、特許文献1には電気的に独立した多層のヒータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなウエハ支持台はシャフトからの抜熱により中心部の温度が低下することは防ぐことができるが、ウエハ支持台の外周からの影響によって均熱性が悪化するおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ウエハの外周部での均熱性を改善することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ支持台は、
ウエハ載置面を有するセラミック基体と、
前記セラミック基体に埋設された複数のヒータと、
を備え、
前記セラミック基体は、前記ウエハ載置面から前記ウエハ載置面とは反対側の面に向かって、第1ヒータ形成面、前記第2ヒータ形成面及び前記第3ヒータ形成面をこの順に有し、
前記複数のヒータは、前記第1ヒータ形成面に設けられた第1ヒータ、前記第2ヒータ形成面に設けられた第2ヒータ及び前記第3ヒータ形成面に設けられた第3ヒータを含み、
前記第1ヒータは、前記セラミック基体の中心に位置するように設けられ、
前記第2ヒータは、前記第1ヒータの外周に位置するように設けられ、
前記第3ヒータは、前記第2ヒータに重なるように設けられ、前記第3ヒータ形成面が半径方向の線分によって複数に分割されたゾーンのそれぞれに設けられている、
ものである。
【0007】
本発明のウエハ支持台では、第3ヒータ形成面が半径方向の線分によって複数に分割されたゾーンのそれぞれに第3ヒータを有するため、複数の第3ヒータを個別に温度制御することができ、それによって、外周部要因による均熱性への影響を抑制することができる。また、第1ヒータを他のヒータの形成面と異なりよりウエハ載置面に近くに埋設することにより、他のヒータのジャンパ線が通ることが無く、第1ヒータの設計自由度が高くなり均熱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】プラズマ発生装置に用いられるウエハ支持台の断面図。
【
図2】コイル状のヒータとジャンパとの関係を示す説明図。
【
図3】セラミック基体の第1ヒータ形成面の平面図。
【
図4】セラミック基体の第2ヒータ形成面の平面図。
【
図5】セラミック基体の第3ヒータ形成面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1はプラズマ発生装置に用いられるウエハ支持台の断面図、
図2はコイル状のヒータとジャンパとの関係を示す説明図、
図3~
図5はセラミック基体の第1~第3ヒータ形成面の平面図である。
図3~
図5ではコイル状のヒータをハッチングで示した。
【0010】
ウエハ支持台は、ウエハ載置面を有するセラミック基体と、セラミック基体に埋設された複数のヒータと、セラミック基体のウエハ載置面とは反対側の面に設けられた筒状のシャフトとを備える。
【0011】
セラミック基体は、ウエハ載置面からウエハ載置面とは反対側の面に向かって、第1ヒータ形成面、第2ヒータ形成面及び第3ヒータ形成面をこの順に有する。
【0012】
複数のヒータは、第1ヒータ形成面に設けられた第1ヒータ、第2ヒータ形成面に設けられた第2ヒータ(第2ヒータX,Y)及び第3ヒータ形成面に設けられた第3ヒータ(第3ヒータA~D)を含む。第1ヒータは、セラミック基体の中心に位置するように設けられている。
【0013】
第1ヒータは、一方の端子から一筆書きの要領で他方の端子に至るようにコイルを配線したものである。
【0014】
第2ヒータは、第2ヒータ形成面の内側に設けられた第2ヒータXと、第2ヒータ形成面の外側に設けられた第2ヒータYとを備える。第2ヒータX,Yは、いずれも第1ヒータの外周に位置するように設けられている。第2ヒータXは、一方の端子から一方の第2ヒータX用ジャンパによって第1ヒータの外側に引き出されたあと、一筆書きの要領でコイルが配線され、他方の第2ヒータX用ジャンパによって中心側の他方の端子に引き込まれている。第2ヒータYは、一方の端子から一方の第2ヒータY用ジャンパによって第2ヒータXの外側に引き出されたあと、一筆書きの要領でコイルが配線され、他方の第2ヒータY用ジャンパによって中心側の他方の端子に引き込まれている。第2ヒータX,Y用ジャンパは、第2ヒータ形成面に設けられている。つまり、第2ヒータX,Y用ジャンパは、第2ヒータX,Yと同一面に形成されている。なお、同一面とは、第2ヒータX,Yの高さと重複する面であればよい。例えば、第2ヒータX,Yがコイル状の場合、ウエハ載置面に最も近いコイル上部とウエハ載置面から最も遠いコイル下部の間であれば、同一面である(以下同じ)。
【0015】
第3ヒータは、4つの第3ヒータA~Dを備える。第3ヒータA~Dは、第3ヒータ形成面が半径方向の線分によって複数(
図5では4つ)に分割されたゾーンのそれぞれに設けられ、平面視でいずれも第2ヒータと重なっている。ここでは、第3ヒータAと第3ヒータBとは、一体化されている。具体的には、第3ヒータAは、一方の端子から第3ヒータA用ジャンパによって外側に引き出されたあと、一筆書きの要領でコイルが配線されて第3ヒータA,B用共通ジャンパ(グランド端子に接続される)の接続部に至る。第3ヒータBは、その接続部から一筆書きの要領でコイルが配線されたあと第3ヒータB用ジャンパによって中心側の他方の端子に引き込まれている。また、第3ヒータCと第3ヒータDとは、一体化されている。具体的には、第3ヒータCは、一方の端子から第3ヒータC用ジャンパによって外側に引き出されたあと、一筆書きの要領でコイルが配線されて第3ヒータC,D用共通ジャンパ(グランド端子に接続される)の接続部に至る。第3ヒータDは、その接続部から一筆書きの要領でコイルが配線されたあと第3ヒータD用ジャンパによって中心側の他方の端子に引き込まれている。第3ヒータA,B用ジャンパと、第3ヒータA,B用共通ジャンパと、第3ヒータC,D用ジャンパと、第3ヒータC,D用共通ジャンパは、いずれも第3ヒータA~Dと同様、第3ヒータ形成面に設けられている、つまり、これらのジャンパは、第3ヒータA~Dと同一面に形成されている。
【0016】
セラミック基体には、ウエハ載置面とは反対側の面から、第1ヒータ、第2ヒータ(第2ヒータX,Y)および第3ヒータ(第3ヒータA~D)のそれぞれに対応する端子に向かって端子穴が形成されている。第1ヒータ、第2ヒータ(第2ヒータX,Y)および第3ヒータ(第3ヒータA~D)に対応する端子穴は、各ヒータの深さに比例して深くなっている。
【0017】
第1ヒータ、第2ヒータ(第2ヒータX,Y)および第3ヒータ(第3ヒータA~D)は上述したようにコイル形状である。第2ヒータ用ジャンパは、第2ヒータのコイルのうちウエハ載置面から反対側の面側に位置するコイル下部に接続されている。第3ヒータ用ジャンパは、第3ヒータのコイルのうちウエハ載置面側に位置するコイル上部に接続されている。
【0018】
セラミック基体は、第1ヒータよりもウエハ載置面側にRF電極を有する。第1ヒータに電気を供給するロッドと、第2ヒータ(第2ヒータX,Y)に電気を供給するロッドと、第3ヒータ(第3ヒータA~D)に電気を供給するロッドと、RF電極に接続されたロッドは、シャフトから下方へ突出した部分の長さがすべて同じである。
【0019】
第2ヒータは、第2ヒータ形成面がセラミック基体と同心円状の境界によって複数(ここでは2つ)に分割されたゾーンのそれぞれに設けられている。
【0020】
以上説明した本実施形態のウエハ支持台では、第3ヒータ形成面が半径方向の線分によって複数に分割されたゾーンのそれぞれに第3ヒータA~Dを有するため、複数の第3ヒータA~Dを個別に温度制御することができ、それによって、外周部要因による均熱性への影響を抑制することができる。また、第1ヒータを他のヒータの形成面と異なりよりウエハ載置面の近くに埋設することにより、他のヒータのジャンパ線が通ることが無く、第1ヒータの設計自由度が高くなり均熱性が向上する。
【0021】
また、環状の第2ヒータと扇状の第3ヒータとが重なっているため、より精密な温度制御が可能になる。
【0022】
更に、第1ヒータ、第2ヒータ(第2ヒータX,Y)および第3ヒータ(第3ヒータA~D)に対応する端子穴は、各ヒータの深さに比例して深くなっている。そのため、セラミック基体の厚さ方向に延びるジャンパがなく、製造が容易となる。
【0023】
更にまた、第2ヒータのコイル中心よりもウエハ載置面とは反対側の面側(本実施形態ではコイル下部)から第2ヒータ用ジャンパを引き出しているため、ウエハ載置面からジャンパまでの距離D1(
図2参照)を大きくすることができ、ジャンパの発熱による影響を小さくすることができる。
【0024】
そしてまた、第3ヒータのコイル中心よりもウエハ載置面側(本実施形態ではコイル上部)から第3ヒータ用ジャンパを引き出しているため、セラミック基体のウエハ載置面とは反対側の面からジャンパまでの距離D2(
図2参照)を長くすることができる。これにより、端子を取り付ける穴の長さを確保することができる。
【0025】
そして更に、複数のヒータおよびRF電極に電力を供給するロッドがシャフトから出る長さがそろっているため、ロッド受け側の構造を簡略化することができる。