(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 55/02 20060101AFI20231222BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
B62D55/02
B62D49/00 Z
(21)【出願番号】P 2021033398
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】後野 剛志
(72)【発明者】
【氏名】武岡 達
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一隆
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177059(JP,A)
【文献】特開2004-17788(JP,A)
【文献】特開平4-505902(JP,A)
【文献】特開2012-51389(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016118479(DE,A1)
【文献】特開2018-144663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/02
B62D 49/00
B62D 55/04
B62D 55/084
B60K 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前輪と、左右の後クローラと、を有する走行機体を備え、
前記後クローラは、
後車軸に設けられる駆動輪と、
前記駆動輪よりも前側に配置される前遊輪と、
前記駆動輪よりも後側に配置される後遊輪と、
前記前遊輪と前記後遊輪との間に配置される複数の転輪と、
前記駆動輪、前記前遊輪、前記後遊輪及び前記複数の転輪に巻き回されるクローラベルトと、
機体左右方向に沿って延びる揺動軸を支点として揺動可能に構成され、前記前遊輪、前記後遊輪及び前記複数の転輪を支持するトラックフレームと、を有し、
前記揺動軸は、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成され、
前記揺動軸を位置変更するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動制御する制御装置と、を備えている作業車。
【請求項2】
前記制御装置は、前記アクチュエータによって、前記揺動軸を、前記揺動軸の中心が前記後車軸の中心よりも前側に位置する前側位置と、前記揺動軸の中心が前記後車軸の中心よりも後側に位置する後側位置とに亘って、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記制御装置は、前記アクチュエータを駆動制御する制御モードとして、前記走行機体の旋回に応じて前記アクチュエータを駆動制御する自動制御モードを有している請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記アクチュエータを駆動操作するための操作スイッチを備え、
前記制御装置は、前記制御モードとして、前記操作スイッチの人為操作に応じて前記アクチュエータを駆動制御する手動制御モードを有している請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記アクチュエータは、機体前後方向に沿って伸縮可能な油圧シリンダによって構成されている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車として、例えば、特許文献1に記載の作業車が知られている。特許文献1に記載の作業車には、左右の前輪(文献では「前輪〔5〕」)と、左右の後クローラ(文献では「クローラ〔6〕」)と、を有する走行機体が備えられている。後クローラには、後車軸(文献では「駆動軸〔17〕」)に設けられる駆動輪(文献では「駆動スプロケット〔30〕」)と、駆動輪よりも前側に配置される前遊輪(文献では「前側遊輪〔33〕」)と、駆動輪よりも後側に配置される後遊輪(文献では「後側遊輪〔34〕」)と、前遊輪と後遊輪との間に配置される複数の転輪(文献では「転輪〔35〕」)と、駆動輪、前遊輪、後遊輪及び複数の転輪に巻き回されるクローラベルト(文献では「クローラベルト〔37〕」)と、機体左右方向に沿って延びる揺動軸(文献では「支軸〔14〕」)を支点として揺動可能に構成され、前遊輪、後遊輪及び複数の転輪を支持するトラックフレーム(文献では「トラックフレーム〔31〕」)と、が備えられている。特許文献1に記載の作業車では、走行時に後クローラが揺動軸を支点として揺動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車では、作業車の牽引力、旋回性及び湿田走破性を向上させる観点から、機体前後方向における揺動軸の位置を工夫する余地がある。
【0005】
上記状況に鑑み、作業車の牽引力、旋回性及び湿田走破性を向上させることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
左右の前輪と、左右の後クローラと、を有する走行機体を備え、
前記後クローラは、
後車軸に設けられる駆動輪と、
前記駆動輪よりも前側に配置される前遊輪と、
前記駆動輪よりも後側に配置される後遊輪と、
前記前遊輪と前記後遊輪との間に配置される複数の転輪と、
前記駆動輪、前記前遊輪、前記後遊輪及び前記複数の転輪に巻き回されるクローラベルトと、
機体左右方向に沿って延びる揺動軸を支点として揺動可能に構成され、前記前遊輪、前記後遊輪及び前記複数の転輪を支持するトラックフレームと、を有し、
前記揺動軸は、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成され、
前記揺動軸を位置変更するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動制御する制御装置と、を備えていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、機体前後方向における揺動軸の位置がアクチュエータによって変更されることになる。これにより、牽引時、旋回時及び湿田走破時において、機体前後方向における揺動軸の位置を夫々に応じた最適な位置に変更することができる。すなわち、本特徴構成によれば、作業車の牽引力、旋回性及び湿田走破性を向上させることができる。また、揺動軸の位置がアクチュエータによって変更されることになる。これにより、揺動軸の位置変更を容易に行うことができる。
【0008】
さらに、本発明において、
前記制御装置は、前記アクチュエータによって、前記揺動軸を、前記揺動軸の中心が前記後車軸の中心よりも前側に位置する前側位置と、前記揺動軸の中心が前記後車軸の中心よりも後側に位置する後側位置とに亘って、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、揺動軸が後側位置に位置変更されることにより、機体前後方向における前輪の中心と揺動軸の中心との距離が長くなる。これにより、後クローラが全面でしっかりと接地して、強い牽引力を発揮することができる。また、揺動軸が前側位置に位置変更されることにより、機体前後方向における前輪の中心と揺動軸の中心との距離が短くなる。これにより、最小回転半径が小さくなって旋回性を向上させることができると共に、前輪の接地圧が減少して湿田走破時に前輪が田面を荒らし難くなる。
【0010】
さらに、本発明において、
前記制御装置は、前記アクチュエータを駆動制御する制御モードとして、前記走行機体の旋回に応じて前記アクチュエータを駆動制御する自動制御モードを有していると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、走行機体の旋回に応じて揺動軸の位置が変更されることになる。これにより、走行機体を旋回させる際に、運転者が揺動軸の位置を変更する手間を省くことができる。
【0012】
さらに、本発明において、
前記アクチュエータを駆動操作するための操作スイッチを備え、
前記制御装置は、前記制御モードとして、前記操作スイッチの人為操作に応じて前記アクチュエータを駆動制御する手動制御モードを有していると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、操作スイッチの人為操作に応じて揺動軸の位置が変更されることになる。これにより、運転者が自らの適切な判断に基づいて、揺動軸の位置を変更することができる。
【0014】
さらに、本発明において、
前記アクチュエータは、機体前後方向に沿って伸縮可能な油圧シリンダによって構成されていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、油圧シリンダを伸縮させることにより、機体前後方向における揺動軸の位置を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】位置変更機構を示す左側面図であって、揺動軸が前側位置に位置している状態を示す図である。
【
図5】位置変更機構を示す左側面図であって、揺動軸が後側位置に位置している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0018】
〔トラクタの全体構成〕
図1には、トラクタ(本発明に係る「作業車」に相当)を示している。本トラクタには、走行機体1と、原動部2と、運転部3と、変速部4と、作業装置(図示省略)と、が備えられている。走行機体1には、走行装置5と、走行装置5に支持される機体フレーム6と、が備えられている。
【0019】
走行装置5には、左右の前輪7と、左右の後クローラ8と、が備えられている。前輪7は、操舵可能、かつ、駆動可能に構成されている。後クローラ8は、操舵不能、かつ、駆動可能に構成されている。すなわち、本トラクタ(走行機体1)は、左右の後クローラ8のみが駆動する二輪駆動状態と、左右の前輪7及び左右の後クローラ8が駆動する四輪駆動状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0020】
原動部2は、機体フレーム6上の前部に設けられている。原動部2には、エンジンEと、エンジンEを覆うボンネット9と、が備えられている。運転部3は、機体フレーム6上の後部に設けられている。運転部3には、運転者が着座する運転座席10と、走行機体1を操向操作するためのステアリングハンドル11と、運転者の搭乗空間を覆うキャビン12と、が備えられている。前記作業装置(例えば、ロータリ耕耘装置)は、機体フレーム6の後部にリンク機構Mを介して昇降可能に支持されている。
【0021】
変速部4は、運転部3の下方に設けられている。変速部4は、エンジンEからの動力を変速して、左右の前輪7、左右の後クローラ8及び前記作業装置に伝達するように構成されている。変速部4には、トランスミッションケース13が備えられている。トランスミッションケース13は、機体フレーム6の後部を構成する部材として兼用されている。トランスミッションケース13の左右両側部には、夫々、後車軸ケース14が連設されている。後車軸ケース14には、機体左右方向に沿って延びる、後クローラ8を駆動する後車軸15が備えられている。
【0022】
〔後クローラ〕
図2及び
図3に示すように、後クローラ8には、駆動輪16と、前遊輪17と、後遊輪18と、複数(本実施形態では、四つ)の転輪19と、クローラベルト20と、トラックフレーム21と、位置変更機構22と、が備えられている。なお、左側の後クローラ8と右側の後クローラ8とは、同一の構成であるため、以下では、左側の後クローラ8を例として説明する。
【0023】
駆動輪16は、後車軸15と一体回転可能なように、後車軸15に設けられている。前遊輪17は、駆動輪16よりも前側に配置されている。前遊輪17は、クローラベルト20のテンションを調整可能なように、テンション調整機構23を介してトラックフレーム21の前端部に支持されている。すなわち、前遊輪17は、テンション輪によって構成されている。後遊輪18は、駆動輪16よりも後側に配置されている。後遊輪18は、トラックフレーム21の後端部に支持されている。
【0024】
複数の転輪19は、前遊輪17と後遊輪18との間に配置されている。前側二つの転輪19は、前側の転輪フレーム24に支持されている。前側二つの転輪19は、前側の転輪フレーム24を介してトラックフレーム21の前部に支持されている。前側の転輪フレーム24には、クローラベルト20を案内する前側のクローラガイド25が取り付けられている。
【0025】
後側二つの転輪19は、後側の転輪フレーム24に支持されている。後側二つの転輪19は、後側の転輪フレーム24を介してトラックフレーム21の後部に支持されている。後側の転輪フレーム24には、クローラベルト20を案内する後側のクローラガイド25が取り付けられている。
【0026】
クローラベルト20は、駆動輪16、前遊輪17、後遊輪18及び複数の転輪19に巻き回されている。トラックフレーム21は、前遊輪17、後遊輪18及び複数の転輪19を支持するものである。トラックフレーム21は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸26を支点として揺動可能に構成されている。揺動軸26は、後車軸15よりも下側に配置されている。詳しくは後述するが、揺動軸26は、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されている。
【0027】
〔位置変更機構〕
図2から
図5に示すように、位置変更機構22は、揺動軸26を機体前後方向に沿って位置変更可能なものである。位置変更機構22は、揺動軸26を、揺動軸26の中心X1が後車軸15の中心X2よりも前側に位置する前側位置(
図2及び
図4参照)と、揺動軸26の中心X1が後車軸15の中心X2よりも後側に位置する後側位置(
図5参照)とに亘って、機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されている。
【0028】
位置変更機構22には、固定側フレーム31と、移動側フレーム32と、複数(本実施形態では、四本)のガイドロッド33と、油圧シリンダ34(本発明に係る「アクチュエータ」、同「油圧シリンダ」に相当)と、が備えられている。
【0029】
固定側フレーム31は、機体フレーム6側に設けられている。固定側フレーム31は、後車軸ケース14の底面にボルト固定されている。固定側フレーム31には、上板35と、前板36と、後板37と、が備えられている。
【0030】
移動側フレーム32は、トラックフレーム21側(揺動軸26側)に設けられている。移動側フレーム32は、固定側フレーム31に対して機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されている。移動側フレーム32には、前板38と、後板39と、中板40と、左右の側板41と、ボス部42と、が備えられている。
【0031】
ボス部42は、左側の側板41と右側の側板41とに亘って設けられている。ボス部42は、中板40を介して前板38及び後板39に支持されている。ボス部42には、揺動軸26が回転可能に挿通されている。
【0032】
揺動軸26の左端部は、ボス部42の左端部から突出し、かつ、左側の側板41を貫通している。揺動軸26の右端部は、ボス部42の右端部から突出し、かつ、右側の側板41を貫通している。揺動軸26の左右両端部には、夫々、ステー43が取り付けられている。トラックフレーム21は、揺動軸26の中心X1周りで揺動可能なように、左右のステー43を介して揺動軸26に支持されている。
【0033】
ガイドロッド33は、固定側フレーム31と移動側フレーム32とに亘って設けられている。具体的には、ガイドロッド33は、前板36、前板38、後板37及び後板39を貫通する状態で設けられている。ガイドロッド33は、丸棒状の部材によって構成されている。移動側フレーム32が固定側フレーム31に対して機体前後方向に沿って位置変更される際に、移動側フレーム32がガイドロッド33によって案内されることになる。
【0034】
油圧シリンダ34は、揺動軸26を位置変更するためのアクチュエータである。油圧シリンダ34は、機体前後方向に沿って伸縮可能に構成されている。油圧シリンダ34は、固定側フレーム31と移動側フレーム32とに亘って設けられている。油圧シリンダ34は、後車軸ケース14の下方に配置されている。具体的には、油圧シリンダ34は、上板35とボス部42との間に配置されている。すなわち、油圧シリンダ34は、側面視で後車軸15と揺動軸26との間に配置されている。
【0035】
油圧シリンダ34には、シリンダチューブ34Aと、ピストンロッド34Bと、が備えられている。シリンダチューブ34Aの基部は、ステー44を介して前板36に支持されている。前板38には、ステー44及びシリンダチューブ34Aと干渉しないように、開口部38aが形成されている。ピストンロッド34Bは、後板37を貫通する状態で設けられている。ピストンロッド34Bの先端部は、後板39に連結されている。
【0036】
図4に示すように、油圧シリンダ34が縮長すると、移動側フレーム32が揺動軸26及びトラックフレーム21と共に前側に移動することになる。これにより、揺動軸26が前側位置に位置変更されることになる。
【0037】
図5に示すように、油圧シリンダ34が伸長すると、移動側フレーム32が揺動軸26及びトラックフレーム21と共に後側に移動することになる。これにより、揺動軸26が後側位置に位置変更されることになる。
【0038】
〔制御構成〕
図6には、本トラクタの制御構成を示している。本トラクタの制御構成には、制御装置45と、操作スイッチ46と、切り替えスイッチ47と、油圧制御弁48と、が備えられている。制御装置45には、駆動制御部49と、旋回判断部50と、記憶部51と、が備えられている。
【0039】
駆動制御部49は、油圧シリンダ34を駆動制御するものである。駆動制御部49は、油圧シリンダ34によって、揺動軸26を前側位置と後側位置とに亘って機体前後方向に沿って位置変更可能に構成されている。本実施形態では、揺動軸26は、前側位置及び後側位置の二位置に位置変更可能に構成されている。駆動制御部49が油圧制御弁48を切り替えることにより、油圧シリンダ34が伸縮されることになる。駆動制御部49は、油圧シリンダ34を駆動制御する制御モードとして、走行機体1の旋回に応じて油圧シリンダ34を駆動制御する自動制御モードと、操作スイッチ46の人為操作に応じて油圧シリンダ34を駆動制御する手動制御モードと、を有している。
【0040】
旋回判断部50は、走行機体1が旋回するか否かを判断するものである。旋回判断部50は、本トラクタで所定の動作が行われた場合に、走行機体1が旋回すると判断する。前記所定の動作としては、例えば、前輪7の切れ角が一定角度以上である場合、旋回外側の前輪7が後クローラ8の約二倍の回転数で駆動する状態で旋回する動作が行なわれた場合、旋回外側の前輪7が後クローラ8の約二倍の回転数で駆動し、かつ、旋回内側の後クローラ8にブレーキがかかる状態で旋回する動作が行なわれた場合、二輪駆動状態で旋回する動作が行なわれた場合、ステアリングハンドル11が大きく切られて前記作業装置が自動的に上昇する動作が行われた場合、走行機体1を後進走行させるための操作が行われて前記作業装置が自動的に上昇する動作が行われた場合等が挙げられる。
【0041】
記憶部51には、駆動制御部49や旋回判断部50の各機能を実現するためのプログラムの他、自動制御モード及び手動制御モードが記憶されている。
【0042】
操作スイッチ46は、油圧シリンダ34を駆動操作するためのものである。操作スイッチ46が人為操作されることにより、油圧制御弁48が切り替えられて油圧シリンダ34が伸縮されることになる。操作スイッチ46は、油圧シリンダ34を伸長させるための指令(伸長指令)及び油圧シリンダ34を縮長させるための指令(縮長指令)を行うように構成されている。切り替えスイッチ47は、制御モードを自動制御モード又は手動制御モードに切り替え操作するためのものである。
【0043】
自動制御モードでは、駆動制御部49は、旋回判断部50によって走行機体1が旋回すると判断された場合は、油圧シリンダ34を縮長する。これにより、揺動軸26が前側位置に位置変更されることになる。また、自動制御モードでは、駆動制御部49は、旋回判断部50によって走行機体1が旋回しないと判断された場合(例えば、牽引時)は、油圧シリンダ34を伸長する。これにより、揺動軸26が後側位置に位置変更されることになる。
【0044】
手動制御モードでは、駆動制御部49は、操作スイッチ46の人為操作に応じて油圧シリンダ34を伸縮する。具体的には、手動制御モードでは、駆動制御部49は、操作スイッチ46の縮長指令に応じて油圧シリンダ34を縮長する。これにより、揺動軸26が前側位置に位置変更されることになる。また、手動制御モードでは、駆動制御部49は、操作スイッチ46の伸長指令に応じて油圧シリンダ34を伸長する。これにより、揺動軸26が後側位置に位置変更されることになる。
【0045】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、揺動軸26は、前側位置及び後側位置の二位置に位置変更可能に構成されている。しかし、揺動軸26は、前側位置及び後側位置に加えて、前側位置と後側位置との間の中間位置(一又は複数)に位置変更可能に構成されていてもよい。また、揺動軸26は、前側位置と後側位置との間で無段階に位置変更可能に構成されていてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、後クローラ8に、四つの転輪19が備えられている。しかし、転輪19の数は、四つに限定されるものではない。例えば、後クローラ8に、三つの転輪19が備えられていてもよい。
【0047】
(3)上記実施形態では、本発明に係る「アクチュエータ」は、油圧シリンダ34によって構成されている。しかし、本発明に係る「アクチュエータ」は、油圧シリンダ34に限定されるものではない。例えば、本発明に係る「アクチュエータ」は、油圧モータによって構成されていてもよいし、あるいは、電動モータによって構成されていてもよい。
【0048】
(4)上記実施形態では、制御装置45は、制御モードとして、手動制御モードと、自動制御モードと、を有している。しかし、制御装置45は、制御モードとして、手動制御モード及び自動制御モードのうちの何れか一方のみを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、トラクタに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 走行機体
7 前輪
8 後クローラ
15 後車軸
16 駆動輪
17 前遊輪
18 後遊輪
19 転輪
20 クローラベルト
21 トラックフレーム
26 揺動軸
34 油圧シリンダ(アクチュエータ、油圧シリンダ)
45 制御装置
46 操作スイッチ
X1 揺動軸の中心
X2 後車軸の中心