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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】制御装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20231222BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20231222BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231222BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20231222BHJP
   F24F 140/50 20180101ALN20231222BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/61
F24F11/64
F24F11/65
F24F140:50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021049650
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148111
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】509086464
【氏名又は名称】株式会社関電エネルギーソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 知之
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐二
(72)【発明者】
【氏名】中川 耀仁
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-060506(JP,A)
【文献】特開2020-109331(JP,A)
【文献】特開2014-190619(JP,A)
【文献】特開2012-247078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0093916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御装置であって、
前記室外機の消費電力値を計測する計測部と、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出する算出部と、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するレベル制御部とを備え、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記レベル制御部は、前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替え、
前記制御装置は、前記第1閾値を変更する第1設定部をさらに備え、
前記算出された負荷率が前記第1閾値以上である状態が基準時間継続しており、前記基準時間中の当該負荷率の変動幅が第1基準値未満であって、かつ、前記第1制限レベルが前記第2制限レベルに切り替えられる直前の前記算出された負荷率と、前記第2制限レベルに切り替えられてから一定時間経過後の前記算出された負荷率との第1差分が第2基準値未満である場合、前記第1設定部は、前記第1閾値を大きくする、制御装置。
【請求項2】
前記レベル制御部は、前記第2制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第2制限値よりも小さくかつ前記第1制限値よりも大きい第2閾値とに基づいて、前記第2制限レベルを前記第1制限レベルに切り替える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記レベル制御部は、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が前記第1閾値以上である状態が第1の時間継続した場合に、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替え、
前記第2制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が前記第2閾値
以下になった場合に、前記第2制限レベルを前記第1制限レベルに切り替える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数の制限レベルは、前記室外機の運転が第1所定時間停止される第3制限レベルと、前記室外機の運転が前記第1所定時間よりも長い第2所定時間停止される第4制限レベルとをさらに含み、
前記レベル制御部は、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第3閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第3制限レベルに切り替え、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第4閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第4制限レベルに切り替え、
前記第3閾値は、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第4閾値よりも大きい、請求項2または請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が制限されない第5制限レベルをさらに含み、
前記レベル制御部は、
前記第2制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第5閾値以上である状態が第2の時間継続した場合に、前記第2制限レベルを前記第5制限レベルに切り替え、
前記第5制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第6閾値以下になった場合、前記第5制限レベルを前記第2制限レベルに切り替え、
前記第5閾値は、前記第2制限値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きく、
前記第6閾値は、前記第2制限値よりも大きい、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1設定部は、
前記変動幅が前記第1基準値未満であり、前記第1差分が前記第2基準値以上であり、かつ、前記基準時間中における前記算出された負荷率の平均値と前記第1閾値との第2差分が所定範囲の上限値よりも大きい場合には前記第1閾値を大きくし、
前記変動幅が前記第1基準値未満であり、前記第1差分が前記第2基準値以上であり、かつ、前記第2差分が前記所定範囲の下限値よりも小さい場合には前記第1閾値を小さくする、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御装置であって、
前記室外機の消費電力値を計測する計測部と、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出する算出部と、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するレベル制御部とを備え、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記レベル制御部は、前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替え、
前記制御装置は、
前記第1制限レベル設定されている期間における前記算出された負荷率のデータを蓄積するデータ格納部と、
前記データ格納部に蓄積された前記負荷率のデータに基づいて、前記第1制限レベル設定されている期間における負荷率の度数分布を生成する分布生成部と、
前記度数分布に基づいて、前記第1閾値を設定する第2設定部とをさらに備え、
前記第2設定部は、前記度数分布の基準度数値に対応する少なくとも1つの負荷率のうちの最大負荷率を特定し、前記最大負荷率から第1の値だけ小さい値を前記第1閾値として設定する、制御装置。
【請求項8】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御装置であって、
前記室外機の消費電力値を計測する計測部と、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出する算出部と、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するレベル制御部とを備え、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記レベル制御部は、
前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替え、
前記第2制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第2制限値よりも小さくかつ前記第1制限値よりも大きい第2閾値とに基づいて、前記第2制限レベルを前記第1制限レベルに切り替え、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の運転が第1所定時間停止される第3制限レベルと、前記室外機の運転が前記第1所定時間よりも長い第2所定時間停止される第4制限レベルとをさらに含み、
前記レベル制御部は、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第3閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第3制限レベルに切り替え、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第4閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第4制限レベルに切り替え、
前記第3閾値は、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第4閾値よりも大きく、
前記制御装置は、
前記第1制限レベル設定されている期間における前記算出された負荷率のデータを蓄積するデータ格納部と、
前記データ格納部に蓄積された前記負荷率のデータに基づいて、前記第1制限レベル設定されている期間における負荷率の度数分布を生成する分布生成部と、
前記度数分布に基づいて、前記第3閾値を設定する第2設定部とをさらに備え、
前記第2設定部は、前記度数分布の最大度数値に対応する負荷率を特定し、当該特定された負荷率から第2の値だけ小さい値を前記第3閾値として設定する、制御装置。
【請求項9】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御方法であって、
前記室外機の消費電力値を計測するステップと、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出するステップと、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するステップとを含み、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記制限レベルを設定するステップは、前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替えることを含み、
前記制御方法は、前記第1閾値を変更するステップをさらに含み、
前記算出された負荷率が前記第1閾値以上である状態が基準時間継続しており、前記基準時間中の当該負荷率の変動幅が第1基準値未満であって、かつ、前記第1制限レベルが前記第2制限レベルに切り替えられる直前の前記算出された負荷率と、前記第2制限レベルに切り替えられてから一定時間経過後の前記算出された負荷率との第1差分が第2基準値未満である場合、前記第1閾値を変更するステップは、前記第1閾値を大きくすることを含む、制御方法。
【請求項10】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御方法であって、
前記室外機の消費電力値を計測するステップと、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出するステップと、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するステップとを含み、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記制限レベルを設定するステップは、前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替えることを含み、
前記制御方法は、
前記第1制限レベル設定されている期間における前記算出された負荷率のデータに基づいて、前記第1制限レベル設定されている期間における負荷率の度数分布を生成するステップと、
前記度数分布に基づいて、前記第1閾値を設定するステップとをさらに含み、
前記第1閾値を設定するステップは、前記度数分布の基準度数値に対応する少なくとも1つの負荷率のうちの最大負荷率を特定し、前記最大負荷率から第1の値だけ小さい値を前記第1閾値として設定することを含む、制御方法。
【請求項11】
室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御方法であって、
前記室外機の消費電力値を計測するステップと、
計測された前記消費電力値に基づいて、前記室外機の負荷率を算出するステップと、
前記算出された負荷率に基づいて、前記室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するステップとを含み、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、前記室外機の負荷率が前記第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含み、
前記制限レベルを設定するステップは、
前記第1制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、前記第1制限レベルを前記第2制限レベルに切り替えることと、
前記第2制限レベルが設定されている場合、前記算出された負荷率と、前記第2制限値よりも小さくかつ前記第1制限値よりも大きい第2閾値とに基づいて、前記第2制限レベルを前記第1制限レベルに切り替えることとを含み、
前記複数の制限レベルは、前記室外機の運転が第1所定時間停止される第3制限レベルと、前記室外機の運転が前記第1所定時間よりも長い第2所定時間停止される第4制限レベルとをさらに含み、
前記制限レベルを設定するステップは、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第3閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第3制限レベルに切り替えることと、
前記第1制限レベルが設定されており、かつ、前記算出された負荷率が第4閾値以下になった場合、前記第1制限レベルを前記第4制限レベルに切り替えることとを含み、
前記第3閾値は、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第4閾値よりも大きく、
前記制御方法は、
前記第1制限レベル設定されている期間における前記算出された負荷率のデータに基づいて、前記第1制限レベル設定されている期間における負荷率の度数分布を生成するステップと、
前記度数分布に基づいて、前記第3閾値を設定するステップとをさらに含み、
前記第3閾値を設定するステップは、前記度数分布の最大度数値に対応する負荷率を特定し、当該特定された負荷率から第2の値だけ小さい値を前記第3閾値として設定することを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、個別分散空調システムにおける制御装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のオフィスおよび複数のテナントが入居しているビル等では、建物内の空調環境を効果的に調整するため、個別分散方式の空調機が用いられている。個別分散方式では、空調を必要とする部屋毎に空調機が設置されるため、複数の空調機が建物内に設置される。例えば、特開2020-109331号公報(特許文献1)は、個別分散空調高効率制御方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-109331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、簡易な構成で、個別分散空調システムのエネルギー消費効率の良い制御を行なうことを検討しているが、当該制御には改善の余地があると考えられる。
【0005】
本開示のある局面における目的は、個別分散空調システムにおいて、室外機の負荷率に応じて適切なエネルギー消費効率が得られるように当該室外機を制御することが可能な制御装置、および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うと、室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御装置が提供される。制御装置は、室外機の消費電力値を計測する計測部と、計測された消費電力値に基づいて、室外機の負荷率を算出する算出部と、算出された負荷率に基づいて、室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するレベル制御部とを備える。複数の制限レベルは、室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、室外機の負荷率が第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含む。レベル制御部は、第1制限レベルが設定されている場合、算出された負荷率と、第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、第1制限レベルを第2制限レベルに切り替える。
【0007】
他の実施の形態に従うと、室外機と1つ以上の室内機とを含む個別分散空調システムにおける制御方法が提供される。制御方法は、室外機の消費電力値を計測するステップと、計測された消費電力値に基づいて、室外機の負荷率を算出するステップと、算出された負荷率に基づいて、室外機の負荷率に関する複数の制限レベルの中からいずれかの制限レベルを設定するステップとを含む。複数の制限レベルは、室外機の負荷率が第1制限値以下に制限される第1制限レベルと、室外機の負荷率が第1制限値よりも大きい第2制限値以下に制限される第2制限レベルとを含む。制限レベルを設定するステップは、第1制限レベルが設定されている場合、算出された負荷率と、第1制限値よりも小さい第1閾値とに基づいて、第1制限レベルを第2制限レベルに切り替えることを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、個別分散空調システムにおいて、室外機の負荷率に応じて適切なエネルギー消費効率が得られるように当該室外機を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】空調制御システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】制御盤のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】制限レベルと制限量との関係を説明するための図である。
図5】室外機の負荷率とエネルギー消費効率との関係を示す図である。
図6】制限レベル4と制限レベル5との切替方式を説明するための図である。
図7】制限レベル3と制限レベル4との切替方式を説明するための図である。
図8】制限レベル1,2と制限レベル3との切替方式を説明するための図である。
図9】制御盤のフローチャートを示す図である。
図10】省電力制御処理を示すフローチャートである。
図11】閾値の設定方式の一例を説明するための図である。
図12】制限緩和方向に制限レベルが切り替えられた場合の閾値の変更処理を説明するためのフローチャートである。
図13】制限強化方向に制限レベルが切り替えられた場合の閾値の変更処理を説明するためのフローチャートである。
図14】閾値の設定方式の他の例を説明するための図である。
図15】制御盤および情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<全体構成>
図1は、空調制御システム1000の全体構成の一例を示す図である。図1を参照して、空調制御システム1000は、個別分散空調方式の空調機を制御するためのシステムである。具体的には、空調制御システム1000は、空調制御装置100と、空調装置200とを含む。
【0012】
空調装置200は、1つの室外機20により複数の室内機22を個別に運転することができる。例えば、空調装置200は、ビル用マルチエアコン、パッケージエアコン等である。空調装置200は、室外機20と、複数の室内機22とを含む。図1の例では、室外機20が1つである構成を示しているが、2つ以上であってもよい。
【0013】
室内機22は、室内温度と当該室内機22の設定温度とに基づいて、室内温度を自動で制御する。なお、空調装置200は、空調制御装置100によるデマンド制御指令に基づいて出力を制限する場合もある。
【0014】
空調制御装置100は、空調装置200を制御するための装置である。具体的には、空調制御装置100は、制御盤10と、情報処理装置12と、電力計14とを含む。
【0015】
電力計14は、室外機20の消費電力値を計測する。計測された消費電力値は、制御盤10に入力される。典型的には、電力計14と制御盤10とは有線接続されているが、無線接続されていてもよい。
【0016】
制御盤10は、計測された消費電力値と所定の演算式とに基づいて、室外機20の負荷率を算出する。所定の演算式は、過去のデータの分析・統計処理により、室外機20の消費電力値から負荷率を算出するための近似式である。制御盤10は、算出された負荷率の状態に応じて、適切なエネルギー消費効率が得られるように室外機20を制御する。制御盤10の動作の詳細については後述する。
【0017】
情報処理装置12は、制御盤10と通信可能に構成される。典型的には、情報処理装置12は、制御盤10と無線接続されているが、有線接続されていてもよい。情報処理装置12は、通信により制御盤10にアクセスして、制御盤10が室外機20を制御する際に必要な制御パラメータを遠隔で設定する機能を有する。なお、制御盤10には、制御パラメータを直接設定するためのインターフェイスが設けられている。
【0018】
<ハードウェア構成>
(制御盤10)
図2は、制御盤10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。典型的には、制御盤10は、PLC(Programmable Logic Controller)をベースとしたハードウェア構成を有する。図2を参照して、制御盤10は、プロセッサ121と、ROM(Read Only Memory)122と、RAM(Random Access Memory)123と、通信インターフェイス(I/F:Interface)124と、入力インターフェイス(I/F)125と、記憶装置126とを含む。
【0019】
プロセッサ121は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0020】
プロセッサ121は、各種プログラムを実行することで室外機20の動作を制御する。プロセッサ121は、記憶装置126からROM122に各種プログラムを読み出す。RAM123は、ワーキングメモリとして機能し、各種プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0021】
通信インターフェイス124には、LANやアンテナなどが接続される。これにより、制御盤10は、外部機器(例えば、情報処理装置12)とデータをやり取りする。入力インターフェイス125は、電力計14により計測された消費電力値の入力を受け付ける。
【0022】
記憶装置126は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置126は、プロセッサ121で実行される各種プログラムを記憶する。
【0023】
(情報処理装置12)
図3は、情報処理装置12のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置12は、例えば、パーソナルコンピュータである。図3を参照して、情報処理装置12は、プロセッサ150と、主記憶装置152と、二次記憶装置154と、ディスプレイ155と、入力装置156と、通信インターフェイス(I/F)158と、汎用インターフェイス(I/F)164とを含む。
【0024】
プロセッサ150は、典型的には、CPUあるいはMPUといった演算処理部であり、二次記憶装置154にインストールされているOSを含む各種プログラムを読出して、主記憶装置152に展開しつつ実行する。
【0025】
主記憶装置152は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性記憶媒体であり、プロセッサ150によって実行されるOSを含む各種プログラムのコードの他、各種プログラムの実行に必要な各種ワークデータを保持する。二次記憶装置154は、ハードディスクあるいはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性記憶媒体であり、OSを含む各種プログラムの他、各種設定値などを保持する。
【0026】
ディスプレイ155は、プロセッサ150に指示に従って各種情報を表示する。入力装置156は、典型的には、キーボードやマウスなどから構成され、ユーザからの各種設定および操作を受付ける。
【0027】
通信インターフェイス158は、他の装置との通信に係る処理を実行する。典型的には、通信インターフェイス158は、情報処理装置12が制御盤10と通信するためのインターフェイスである。通信方式としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)等による無線通信方式や、各種の有線通信方式が用いられる。汎用インターフェイス160は、典型的には、シリアル通信インターフェイス、パラレル通信インターフェイスなどを含み、外部装置などとの間でデータをやり取りする。
【0028】
<制御盤10の制御方式>
(制限レベルと制限量)
図4は、制限レベルと制限量との関係を説明するための図である。具体的には、図4(a)は、制限レベルに対応する負荷率の制限量の例を示している。図4(b)は、各閾値と制限レベルの切替との関係の例を示している。
【0029】
図4(a)を参照して、制限レベルが“5”に設定されている場合、制御盤10は、室外機20の負荷率(以下、単に「負荷率」とも称する。)を制限しない。この場合、負荷率は0~100%をとり得る。制限レベルが“4”に設定されている場合、制御盤10は、例えば、負荷率を70%以下に制限する(この場合、負荷率は0~70%をとり得る)。制限レベルが“3”に設定されている場合、制御盤10は、例えば、負荷率を40%以下に制限する(この場合、負荷率は0~40%をとり得る)。制限レベルが“2”に設定されている場合、制御盤10は、短時間(例えば、6分間)の間、負荷率を0%に制限する(すなわち、負荷率の上限値を0%に設定する)ことにより室外機20を短時間停止させる。制限レベルが“1”に設定されている場合、制御盤10は、比較的長い時間(例えば、12分間)の間、負荷率を0%に制限することにより室外機20を比較的長い時間停止させる。
【0030】
図4(b)を参照して、閾値y6(例えば、80%)は、制限レベル5から制限レベル4への切り替えの判断に用いられる。閾値y5(例えば、60%)は、制限レベル4から制限レベル5への切り替えの判断に用いられる。閾値y4(例えば、50%)は、制限レベル4から制限レベル3への切り替えの判断に用いられる。閾値y3(例えば、30%)は、制限レベル3から制限レベル4への切り替えの判断に用いられる。閾値y2(例えば、20%)は、制限レベル3から制限レベル2への切り替えの判断に用いられる。閾値y1(例えば、10%)は、制限レベル3から制限レベル1への切り替えの判断に用いられる。
【0031】
上記より、閾値y6(=80%)は、制限レベル4における負荷率の上限である制限値x4(=70%)よりも大きい値に設定される。閾値y5(=60%)は、制限値x4(=70%)よりも小さく、かつ閾値y4(=50%)よりも大きい値に設定される。閾値y4(=50%)は、閾値y5(=60%)よりも小さく、かつ制限レベル3における負荷率の上限である制限値x3(=40%)よりも大きい値に設定される。閾値y3(=30%)は、制限値x3(=40%)よりも小さく、かつ閾値y2(=20%)よりも大きい値に設定される。閾値y2(=20%)は、閾値y3(=30%)よりも小さく、かつ閾値y1(10%)よりも大きい値に設定される。閾値y1(=10%)は、閾値y2(=20%)よりも小さい値に設定される。なお、制限レベル1および制限レベル2における負荷率の上限値(すなわち、制限値)は0%である。
【0032】
図5は、室外機20の負荷率とエネルギー消費効率との関係を示す図である。縦軸は室外機20のエネルギー消費効率(COP:Coefficient Of Performance)を示しており、横軸は室外機20の負荷率を示している。
【0033】
図5を参照すると、室外機20では、負荷率が40%付近においてCOPが最大となり運転効率が高いことがわかる。そのため、室外機20を運転する場合には、エネルギー消費効率の観点からは、負荷率が40%以下に制限される制限レベル3で運転することが望ましいといえる。一方、負荷率が低すぎる(例えば、20%以下)場合には、エネルギー消費効率が著しく悪化するため、室外機20の運転を停止することが望ましいといえる。
【0034】
(制限レベルの切り替え)
図6は、制限レベル4と制限レベル5との切替方式を説明するための図である。図6の縦軸は室外機20の負荷率を示し、横軸は時間を示している。これは、図7および図8でも同様である。図6を参照して、時刻t0の時点では、制限レベルが“4”に設定されているとする。時刻t1において、負荷率が60%以上となる。時刻t2において、制御盤10は、負荷率が閾値y5(=60%)以上である状態が時間T1(=t2-t1)継続したと判断する。この状態がさらに継続すると室内温度を適切な温度(例えば、設定温度)に保つことができない可能性があるため、制御盤10は、制限レベルを“4”から“5”に切り替える。
【0035】
制限レベルの切り替えを行なった時刻t2から時間Tx経過すると、制御盤10は、閾値y6を用いた制限レベルの切替判定処理を開始する。時間Tx経過後の時刻t3において、制御盤10は、負荷率が閾値y6(=80%)以下になったと判断すると、制限レベルを“5”から“4”に切り替える。なお、時間Txは、制限レベルの切り替えを行なってから、新たな閾値に基づく切替判定処理を開始するまでの待機時間である。
【0036】
上記より、制限レベル4から制限レベル5への切り替え(すなわち、制限緩和方向への切り替え)には、負荷率が閾値y5以上である状態が一定時間(例えば、時間T1)継続することが条件となる。一方、制限レベル5から制限レベル4への切り替え(すなわち、制限強化方向への切り替え)には、負荷率が閾値y6以下に到達することが条件となり、閾値y6以下である状態が一定時間継続する必要はない。
【0037】
これにより、制限緩和方向への移行は起こり難く、制限強化方向への移行は起こり易くなる。制限レベル5での負荷率よりも制限レベル4での負荷率の方がエネルギー消費効率が高い(図5参照)ため、上記切替制御により、できるだけエネルギー消費効率が高い負荷率で室外機20を運転させることができる。
【0038】
なお、閾値y5は制限値x4(=70%)と同一にするのではなく、制限値x4よりも若干小さい値に設定される。これにより、負荷率の制限緩和のタイミングが遅れて、室内温度と設定温度とに大きな齟齬が生じてしまうことを防止できる。また、制限レベル5が設定されている場合には、負荷率は、制限レベル5に対応する制限値x4(=70%)よりも若干小さい値を維持することがある。そのため、閾値y5を制限値x4よりも若干小さい値に設定することで、負荷率の制限緩和を適切に発生させることができる。また、閾値y6は制限値x4(=70%)と同一にするのではなく、制限値x4よりも若干大きい値に設定される。これにより、負荷率の制限強化のタイミングが遅れて、電力を無駄に消費してしまうことを防止できる。
【0039】
図7は、制限レベル3と制限レベル4との切替方式を説明するための図である。図7を参照して、時刻t0aにおいて、制限レベルが“3”に設定されているとする。時刻t1aにおいて、負荷率が30%以上となる。時刻t2aにおいて、制御盤10は、負荷率が閾値y3(=30%)以上である状態が時間T2(=t2a-t1a)継続したと判断する。この状態がさらに継続すると室内温度を設定温度に保つことができない可能性があるため、制御盤10は、制限レベルを“3”から“4”に切り替える。
【0040】
制限レベルの切り替えを行なった時刻t2aから時間Tx経過すると、制御盤10は、閾値y4(=50%)を用いた制限レベルの切替判定処理を開始する。時間Tx経過後の時刻t3aにおいて、制御盤10は、負荷率が閾値y4以下になったと判断すると、制限レベルを“4”から“3”に切り替える。
【0041】
図6で説明したように、制限緩和方向への移行(制限レベル3から制限レベル4への移行)は起こり難く、制限強化方向への移行(制限レベル4から制限レベル3への移行)は起こり易くなる。制限レベル4での負荷率よりも制限レベル3での負荷率の方がエネルギー消費効率が高い(図5参照)ため、上記切替制御により、できるだけエネルギー消費効率が高い負荷率で室外機20を運転させることができる。なお、上記の同様の理由により、閾値y3は制限値x3(=40%)よりも若干小さい値に設定され、閾値y4は制限値x4よりも若干大きい値に設定される。
【0042】
図8は、制限レベル1,2と制限レベル3との切替方式を説明するための図である。図8を参照して、時刻t0bにおいて、制限レベルが“3”に設定されているとする。時刻t1bにおいて、制御盤10は、負荷率が20%以下となったと判断して、制限レベルを“3”から“2”に切り替える。具体的には、制御盤10は、負荷率の上限値を制限値x3(=40%)から0%に変更することにより所定時間Ts1(例えば、6分間)だけ室外機20を停止させる。
【0043】
時刻t1bから所定時間Ts1が経過した時刻t2bにおいて、制御盤10は、制限レベルを“2”から“3”に切り替えて、負荷率の上限値を0%から40%に変更することにより室外機20の運転を再開させる。制限レベルの切り替えを行なった時刻t2bから時間Tx経過すると、制御盤10は、制限レベルの切替判定処理を開始する。時間Tx経過後の時刻t3bにおいて、制御盤10は、負荷率が20%以下となったと判断して、制限レベルを“3”から“2”に切り替えて、負荷率の上限値を40%から0%に変更することにより所定時間Ts1だけ室外機20を停止させる。
【0044】
時刻t3bから所定時間Ts1が経過した時刻t4bにおいて、制御盤10は、制限レベルを“2”から“3”に切り替えて、負荷率の上限値を0%から40%に変更することにより室外機20の運転を再開させる。制限レベルの切り替えを行なった時刻t4bから時間Tx経過すると、制御盤10は、制限レベルの切替判定処理を開始する。時間Tx経過後の時刻t5bにおいて、制御盤10は、負荷率が10%以下であると判断して、制限レベルを“3”から“1”に切り替えて、負荷率の上限値を40%から0%に変更することにより所定時間Ts2(例えば、12分間)だけ室外機20を停止させる。
【0045】
上記のように、負荷率が低い場合にはエネルギー消費効率が著しく悪化するため、制御盤10は、室外機20の運転を停止させる。ここで、負荷率が20%以下に到達した場合に、制御盤10は、まず室外機20を短時間(すなわち、所定時間Ts1)停止させる。そして、室外機20の運転を再開しても負荷率が10%以下である場合には、制御盤10は、室外機20を比較的長い時間(すなわち、所定時間Ts2)停止させる。
【0046】
これにより、室外機20の運転を再開した際の負荷率の大きさに応じて一時停止する時間が変更されるため、より効率の良い室外機20の運転が可能となる。具体的には、負荷率が低い場合にはエネルギー消費効率が著しく悪化するため、短時間または長時間一時停止することにより、効率の良い室外機20の運転が可能となる。また、一時停止していた室外機20の運転が再開した際には、停止期間中に負荷が蓄積した状態であるため、停止前よりも高い負荷率での運転が見込まれる。また、運転の再開時にはエネルギー消費効率が高い制限レベル3が設定される。そのため、エネルギー消費効率が高い負荷率(例えば、40%付近)で蓄積した負荷をより効率よく処理することができる。
【0047】
(処理手順)
図9は、制御盤10のフローチャートを示す図である。図9に示す各処理は、主に、制御盤10のプロセッサ121により実行される。
【0048】
図9を参照して、制御盤10は、電力計14から室外機20の消費電力値を取得する(ステップS10)。制御盤10は、消費電力値と予め定められた演算式とに基づいて室外機20の負荷率Kを算出する(ステップS12)。制御盤10は、デマンド制御を実行するか否かを判断する(ステップS14)。例えば、制御盤10は、電力会社の電力メーターからの電力パルス信号を受けて、施設全体の受電電力値が目標となるデマンド値(例えば、30分間の平均消費電力値)を超えると判断した場合にデマンド制御を実行する。
【0049】
デマンド制御を実行する場合(ステップS14においてYES)、制御盤10は、室外機20の出力を制限する。例えば、複数の室外機20が存在する場合、制御盤10は、予め定められた優先順位に基づいて出力制限する室外機20を選択し、当該選択した室外機20の出力を制限する。デマンド制御を実行しない場合(ステップS14においてNO)、制御盤10は、省電力制御処理を実行する(ステップS20)。
【0050】
図10は、省電力制御処理を示すフローチャートである。図10を参照して、制御盤10は、現在の制限レベルを確認する(ステップS22)。制限レベルが“1”または“2”に設定されている場合、制御盤10は、当該制限レベルが設定されて室外機20が停止してから、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS24)。制限レベル2が設定されている場合、制御盤10は、室外機20が停止してから所定時間Ts1(例えば、6分間)が経過したか否かを判断する。制限レベル1が設定されている場合、制御盤10は、室外機20が停止してから所定時間Ts2(例えば、12分間)が経過したか否かを判断する。
【0051】
所定時間が経過した場合(ステップS24においてYES)、制御盤10は、現在の制限レベルを“3”に切り替える(ステップS26)。所定時間が経過していない場合(ステップS24においてNO)、制御盤10は現在の制限レベルを維持する。
【0052】
次に、現在の制限レベルが“3”に設定されている場合、制御盤10は、負荷率Kを確認する(ステップS30)。負荷率Kが閾値y1以下(すなわち、K≦y1)である場合には、制御盤10は制限レベル3を制限レベル1に切り替える(ステップS32)。負荷率Kが閾値y1よりも大きく閾値y2以下である(すなわち、y1<K≦y2)場合には、制御盤10は、制限レベル3を制限レベル2に切り替える(ステップS34)。
【0053】
負荷率Kが閾値y2よりも大きく閾値y3未満である(すなわち、y2<K<y3)場合には、制御盤10は制限レベル3を維持する(ステップS36)。負荷率Kが閾値y3以上である(すなわち、y3≦K)場合には、制御盤10は、負荷率Kが閾値y3以上の状態が時間T2継続したか否かを判断する(ステップS37)。一定時間継続していない場合(ステップS37においてNO)、制御盤10は制限レベル3を維持する(ステップS36)。一定時間継続した場合(ステップS37においてYES)、制御盤10は制限レベル3を制限レベル4に切り替える(ステップS38)。
【0054】
次に、現在の制限レベルが“4”に設定されている場合、制御盤10は、負荷率Kを確認する(ステップS40)。負荷率Kが閾値y4以下(すなわち、K≦y4)である場合には、制御盤10は制限レベル4を制限レベル3に切り替える(ステップS42)。負荷率Kが閾値y4よりも大きく閾値y5未満である(すなわち、y4<K<y5)場合には、制御盤10は制限レベル4を維持する(ステップS44)。
【0055】
負荷率Kが閾値y5以上(すなわち、y5≦K)場合には、制御盤10は、負荷率Kが閾値y5以上である状態が一定時間(例えば、時間T1)継続したか否かを判断する(ステップS45)。一定時間継続していない場合(ステップS45においてNO)、制御盤10は制限レベル4を維持する(ステップS44)。一定時間継続した場合(ステップS45においてYES)、制御盤10は制限レベル3を制限レベル5に切り替える(ステップS46)。
【0056】
次に、現在の制限レベルが“5”に設定されている場合、制御盤10は、負荷率Kを確認する(ステップS50)。負荷率Kが閾値y6以下(すなわち、K≦y6)である場合には、制御盤10は制限レベル5を制限レベル4に切り替える(ステップS52)。負荷率Kが閾値y6よりも大きい(すなわち、y6<K)場合には、制御盤10は制限レベル5を維持する(ステップS54)。
【0057】
<閾値の設定方式>
制限レベルの切替判断に用いられる閾値の設定(変更)方式について説明する。
【0058】
(時系列データを用いた設定方式)
図11は、閾値の設定方式の一例を説明するための図である。図11では、負荷率の時系列データが示されている。図11の縦軸は負荷率であり、横軸は時間である。ここでは、時刻tx0における制限レベルは“3”であり、時刻tx1に制限レベルを“4”に切り替えた場合を想定する。ここでは、制限レベル3から制限レベル4への切替判断に用いられる閾値y3の設定方式について説明する。
【0059】
情報処理装置12は、制御盤10により算出される負荷率の時系列データを取得して、当該時系列データを分析することにより閾値y3の設定を行なう。現時点では閾値y3が30%に設定されているとする。図11では、制御盤10は、時刻tx1において、負荷率が閾値y3以上である状態が時間T2(例えば、10分)継続したと判断して制限レベルを“3”から“4”に変更する。情報処理装置12は、条件A1~A3に基づいて、閾値y3を変更する。
【0060】
具体的には、条件A1は、制限レベル3が制限レベル4に切り替えられる前の負荷率の安定度G1に関する条件である。具体的には、安定度G1は、負荷率が閾値y3以上である状態が基準時間(例えば、時間T2)以上継続している場合における、当該基準時間中の負荷率の変動幅(例えば、基準時間中の最大負荷率と最小負荷率との差分)である。
【0061】
条件A2は、制限レベルが“3”から“4”に切り替えられる直前の負荷率と、制限レベル4に切り替えられてから一定時間(例えば、3分)経過後の負荷率との差分G2に関する条件である。例えば、差分G2は、時刻tx2における負荷率から時刻tx1における負荷率を減算した値である。
【0062】
条件A3は、基準時間中の当該負荷率の平均値と閾値y3との差分G3に関する条件である。当該差分G3は、閾値y3に対する、制限レベルを切り替える前の負荷率の余裕度に相当する。
【0063】
図12は、制限緩和方向に制限レベルが切り替えられた場合の閾値の変更処理を説明するためのフローチャートである。図12に示す各処理は、主に、情報処理装置12のプロセッサ150により実行される。図12における以下の説明では、制限レベル3から制限レベル4への切り替えが1日のうちに1回だけ発生したものとする。
【0064】
図12を参照して、情報処理装置12は、制限レベル3が制限レベル4に切り替えられる前に、負荷率が閾値y3以上である状態が基準時間以上継続しており、当該基準時間中の負荷率の変動幅が基準値Th1(例えば、5%)未満であるか否かを判断する(ステップS60)。当該変動幅が基準値Th1以上である場合(ステップS60においてNO)、情報処理装置12は、負荷率が変動していると判断して閾値y3を変更しない(ステップS68)。当該変動幅が基準値Th1未満である場合(ステップS60においてYES)、情報処理装置12は、負荷率が安定していると判断してステップS62の処理を実行する。
【0065】
情報処理装置12は、制限レベルを切り替える直前の負荷率と、切り替えてから一定時間経過後の負荷率との差分G2が基準値Th2(例えば、10%)以上であるか否かを判断する(ステップS62)。差分G2が基準値Th2未満である場合(ステップS62においてNO)、情報処理装置12は閾値y3を現在値よりも所定値(例えば、2%)だけ大きくする(ステップS70)。なぜなら、この場合、制限レベルを緩和しても負荷率がそれほど大きくなっておらず、閾値y3を大きくしても室内温度を快適に保つことができると考えられるためである。
【0066】
差分G2が基準値Th2以上である場合(ステップS62においてYES)、情報処理装置12は、基準時間中の負荷率の平均値と閾値y3との差分G3が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS64)。差分G3が所定範囲内(上限値U以下かつ下限値L以上)である場合(ステップS64においてYES)、情報処理装置12は閾値y3を変更しない(ステップS68)。例えば、上限値Uは2%であり、下限値Lは1%である。
【0067】
差分G3が所定範囲外である場合(ステップS64においてNO)、情報処理装置12は差分G3が所定範囲の上限値Uよりも大きいか否かを判断する(ステップS66)。差分G3が上限値Uよりも大きい場合(ステップS66においてYES)、情報処理装置12は閾値y3を所定値だけ大きくする(ステップS70)。なぜなら、この場合、制限レベルを切り替える前の負荷率に余裕があり、閾値y3を大きくしても室内温度を快適に保つことができると考えられるためである。
【0068】
一方、差分G3が上限値Uよりも大きくない場合(すなわち、所定範囲の下限値Lよりも小さい場合)には(ステップS66においてNO)、情報処理装置12は閾値y3を現在値よりも所定値だけ小さくする(ステップS72)。なぜなら、この場合、負荷率が制限値x3(=40%)付近を維持し、切り替え前後の負荷率の差分G2も大きく、かつ制限レベルを切り替える前の負荷率に余裕もないため、閾値y3を小さくしないと室内温度を快適に保つことができないと考えられるためである。
【0069】
ここで、制限レベル3から制限レベル4への切り替えが1日のうちに複数回(例えば、3回)発生した場合について説明する。この場合、情報処理装置12は、制限レベルを切り替えるごとに閾値y3を変更するのではなく、3回分の閾値y3の変更判断処理の結果に基づいて、閾値y3を変更する。具体的には、情報処理装置12は、3回分の閾値y3の変更判断処理において、閾値y3を大きくするとの判断(例えば、図12のステップS70)を少なくとも1回行なった場合、閾値y3を所定値だけ大きくする。また、情報処理装置12は、3回分の閾値y3の変更判断処理において、3回ともすべて閾値y3を小さくするとの判断(例えば、図12のステップS72)を行なった場合、閾値y3を所定値だけ小さくする。それ以外の場合、情報処理装置12は閾値y3を変更しない。
【0070】
次に、制限レベル4から制限レベル3への切替判断に用いられる閾値y4の設定方式について説明する。情報処理装置12は、制御盤10により算出される負荷率の時系列データを取得して、当該時系列データを分析することにより閾値y4の設定を行なう。現時点では閾値y4が50%に設定されているとする。
【0071】
図13は、制限強化方向に制限レベルが切り替えられた場合の閾値の変更処理を説明するためのフローチャートである。図13に示す各処理は、主に、情報処理装置12のプロセッサ150により実行される。図13における以下の説明では、制限レベル4から制限レベル3への切り替えが1日のうちに1回だけ発生したものとする。
【0072】
図13を参照して、情報処理装置12は、制限レベル4が制限レベル3に切り替えられる直前の負荷率が閾値y4(=50%)以上であるか否かを判断する(ステップS80)。具体的には、制限レベル3が制限レベル4に切り替えられてから時間Txが経過して、閾値y4を用いた制限レベルの切替判定処理が開始されるまでの期間に、負荷率が閾値y4以上になった場合、情報処理装置12は、直前の負荷率が閾値y4以上であると判断する。一方、上記期間に負荷率が閾値y4に到達しなかった場合、情報処理装置12は、直前の負荷率が閾値y4未満であると判断する。
【0073】
直前の負荷率が閾値y4以上である場合(ステップS80においてYES)、情報処理装置12は、閾値y4を現在値よりも所定値(例えば、2%)だけ大きくする(ステップS82)。一方、直前の負荷率が閾値y4未満である場合(ステップS80においてNO)、情報処理装置12は、直前の負荷率に閾値y4を変更する(ステップS84)。具体的には、情報処理装置12は、制限レベルが“4”に切り替えられてから時間Txが経過するまでの上記期間における負荷率の最大値Mx(<50%)に、閾値y4を変更(すなわち、閾値y4を現在値よりも小さく)する。
【0074】
ここで、制限レベル4から制限レベル3への切り替えが1日のうちに複数回(例えば、3回)発生した場合について説明する。この場合、情報処理装置12は、制限レベルを切り替えるごとに閾値y4を変更するのではなく、3回分の閾値y4の変更判断処理の結果に基づいて、閾値y4を変更する。具体的には、具体的には、情報処理装置12は、3回分の閾値y4の変更判断処理において、閾値y4を大きくするとの判断(例えば、図13のステップS82)を少なくとも1回行なった場合、閾値y4を所定値だけ大きくする。また、情報処理装置12は、3回分の閾値y4の変更判断処理において、3回ともすべて閾値y4を小さくするとの判断(例えば、図13のステップS84)を行なった場合、3回のうちの各々における負荷率の最大値Mxを抽出する。例えば、1回目、2回目、3回目の最大値Mxが、それぞれ46%、44%、48%であったとする。この場合、情報処理装置12は、3つの最大値Mxのうちの最大値である48%に、閾値y4を変更する。
【0075】
図12で説明したように、できるだけ閾値y3を大きくする変更処理がなされている。これは、閾値y3が大きいほど、制限レベル3(40%制限)から制限レベル4(70%制限)への移行が起こり難くなるため、室外機20のエネルギー消費効率が高い運転を促進できるためである。図13で説明した閾値y4の変更処理についても同様である。
【0076】
なお、制限レベル4から制限レベル5への切替判断に用いられる閾値y5,y6の設定方式は、上述した閾値y3,y4の設定方式と同様である。
【0077】
(負荷率の度数分布を用いた設定方式)
図14は、閾値の設定方式の他の例を説明するための図である。図14には、負荷率を横軸とし、度数を縦軸とする度数分布が示されている。度数は、負荷率のデータの総数を1としたときの割合(すなわち、相対度数)で表される。例えば、度数分布曲線500は、制限レベル3設定時において制御盤10により所定時間(例えば、1分)ごとに算出された負荷率(瞬時値)の蓄積データを用いて生成される。
【0078】
情報処理装置12は、度数分布曲線500において、閾値y3および閾値y2を設定可能な範囲(以下「閾値設定範囲」とも称する。)を決定する。具体的には、情報処理装置12は、基準度数(例えば、1%)に対応する少なくとも1つの負荷率のうちの最大値(以下、「最大負荷率」とも称する。)を特定する。最大負荷率は、閾値設定範囲の上限値に設定される。そして、上限値から規定値(例えば、10%)だけ小さい値を閾値設定範囲の下限値に設定する。
【0079】
情報処理装置12は、上限値から値J1(例えば、2%)だけ小さい値を閾値y3に設定する。また、情報処理装置12は、閾値設定範囲の中から度数のピーク値(最大度数値)に対応する負荷率Peを特定する。情報処理装置12は、負荷率Peから値J2(例えば、3%)だけ小さい値を閾値y2に設定する。
【0080】
上述したように、室外機20のエネルギー消費効率を高くするためには閾値y3を大きい値にした方がよいが、安定性の観点から、閾値y3は上限値よりも値J1だけ小さい値に設定される。また、閾値y2も大きい方がエネルギー消費効率は高くなるが、閾値y2を負荷率Pe以上にしてしまうと、度数分布曲線500が全体的に右方向(負荷率が高い方向)に移動する。この場合、大きい負荷率で室外機20が運転する機会が多くなる(度数が増大する)ため、結果的に、エネルギー消費が大きくなる。そのため、度数のピーク値に対応する負荷率Peから値J2だけ小さい値を閾値y2に設定する。
【0081】
なお、閾値y4および閾値y5は、制限レベル4設定時の負荷率の蓄積データを用いて生成される度数分布曲線を用いて設定される。閾値y5の設定方式は閾値y3の上記設定方式と同様であり、閾値y4の設定方式は閾値y2の上記設定方式と同様である。
【0082】
ここでは、時系列データを用いた設定方式(図11図13参照)および度数分布を用いた設定方式(図14参照)について説明した。典型的には、負荷率のデータが少ない初期段階において図11図13の設定方式を用いて閾値を設定し、負荷率のデータが蓄積されてきたら図14の設定方式を用いて閾値を設定する。
【0083】
<機能構成>
図15は、制御盤10および情報処理装置12の機能構成の一例を示すブロック図である。図15を参照して、制御盤10は、主たる機能構成として、入力部201と、算出部203と、レベル制御部205とを含む。例えば、これらの機能は、制御盤10のプロセッサ121がプログラムを実行することにより実現される。
【0084】
入力部201は、電力計14により計測された室外機20の消費電力値の入力を受け付ける。算出部203は、計測された消費電力値に基づいて、室外機20の負荷率を算出する。典型的には、算出部203は、予め定められた演算式に消費電力値を入力することで、当該消費電力値に対応する負荷率を算出する。
【0085】
レベル制御部205は、算出された負荷率(以下、単に「算出負荷率」とも称する。)に基づいて、室外機20の負荷率に関する複数の制限レベル(例えば、制限レベル1~5)の中からいずれかの制限レベルを設定する。
【0086】
負荷率が制限値x3(=40%)以下に制限される制限レベル3が設定されている場合、レベル制御部205は、算出負荷率と、制限値x3よりも小さい閾値y3(=30%)とに基づいて、制限レベル3を制限レベル4に切り替える。具体的には、レベル制御部205は、算出負荷率が閾値y3以上である状態が時間T2継続した場合に、制限レベル3を制限レベル4に切り替える。
【0087】
負荷率が制限値x4(=70%)以下に制限される制限レベル4が設定されている場合、レベル制御部205は、算出負荷率と、制限値x4よりも小さくかつ制限値x3よりも大きい閾値y4(=50%)とに基づいて、制限レベル4を制限レベル3に切り替える。具体的には、レベル制御部205は、算出負荷率が閾値y4以下になった場合に、制限レベル4を制限レベル3に切り替える。
【0088】
制限レベル3が設定されており、かつ算出負荷率が閾値y2(=20%)以下になった場合、レベル制御部205は、制限レベル3を制限レベル2に切り替えて、負荷率の上限値を0%に設定することにより所定時間Ts1(例えば、6分間)だけ室外機20の運転を停止させる。制限レベル3が設定されており、かつ算出負荷率が閾値y1(=10%)以下になった場合、レベル制御部205は、制限レベル3を制限レベル1に切り替えて、負荷率の上限値を0%に設定することにより所定時間Ts1よりも長い所定時間Ts2(例えば、12分間)だけ室外機20の運転を停止させる。
【0089】
制限レベル4が設定されており、かつ算出負荷率が閾値y5(=60%)以上である状態が時間T1継続した場合、レベル制御部205は、制限レベル4を制限レベル5に切り替える。制限レベル5が設定されており、かつ算出負荷率が閾値y6以下になった場合、レベル制御部205は、制限レベル5を制限レベル4に切り替える。
【0090】
情報処理装置12は、主たる機能構成として、データ取得部301と、データ格納部303と、分布生成部305と、閾値設定部310とを含む。データ格納部303は、情報処理装置12の内部メモリ(主記憶装置152および二次記憶装置154等)により実現される。他の機能構成は、例えば、情報処理装置12のプロセッサ150がプログラムを実行することにより実現される。
【0091】
データ取得部301は、算出負荷率を制御盤10(例えば、算出部203)から取得する。典型的には、データ取得部301は、制限レベルおよび計測時刻に関連付けられた算出負荷率を取得し、当該算出負荷率をデータ格納部303に格納する。データ取得部301は、算出負荷率を順次取得してもよいし、一定期間ごとに、当該期間における各算出負荷率を取得してもよい。これにより、データ格納部303には、制限レベルおよび計測時刻に関連付けられた算出負荷率が蓄積されていく。
【0092】
分布生成部305は、特定の制限レベル(例えば、制限レベル3または4)設定時における算出負荷率の度数分布を生成する。例えば、分布生成部305は、データ格納部303に蓄積された、制限レベル3設定時における算出負荷率の蓄積データに基づいて、図12に示す度数分布曲線500を生成する。
【0093】
閾値設定部310は、データ格納部303に蓄積された負荷率のデータに基づいて、閾値を設定する。閾値設定部310は、第1設定部311と、第2設定部312とを含む。
【0094】
第1設定部311は、複数の条件(例えば、条件A1~A3)に基づいて閾値(例えば、閾値y3)を設定(変更)する。具体的には、基準時間(例えば、時間T2)中の負荷率の変動幅(例えば、最大負荷率と最小負荷率との差分)が基準値Th1未満であって、かつ差分G2が基準値Th2未満である場合、第1設定部311は閾値y3を所定値だけ大きくする。負荷率の変動幅が基準値Th1未満であり、差分G2が基準値Th2以上であり、かつ差分G3が所定範囲の上限値Uよりも大きい場合、第1設定部311は閾値y3を所定値だけ大きくする。
【0095】
負荷率の変動幅が基準値Th1未満であり、差分G2が基準値Th2以上であり、かつ差分G3が所定範囲の下限値Lよりも小さい場合、第1設定部311は閾値y3を所定値だけ小さくする。
【0096】
負荷率の変動幅が基準値Th1以上である場合には、差分G2および差分G3に関わらず、第1設定部311は閾値y3を変更しない。また、負荷率の変動幅が基準値Th1未満であり、差分G2が基準値Th2以上であり、かつ差分G3が所定範囲内である場合、第1設定部311は閾値y3を変更しない。
【0097】
さらに、制限レベル4が制限レベル3に切り替えられる直前の負荷率が閾値y4以上である場合、第1設定部311は、閾値y4を所定値だけ大きくする。一方、当該直前の負荷率が閾値y4未満である場合、第1設定部311は、当該直前の負荷率に閾値y4を変更する。
【0098】
第2設定部312は、分布生成部305により生成された度数分布に基づいて、閾値を設定する。例えば、第2設定部312は、制限レベル3設定時における度数分布(例えば、度数分布曲線500)に基づいて、閾値y3および閾値y2を設定する。第2設定部312は、度数分布曲線500の基準度数値(例えば、1%)に対応する少なくとも1つの負荷率のうちの最大負荷率(例えば、上限値)を特定し、最大負荷率から値J1だけ小さい値を閾値y3として設定する。また、第2設定部312は、度数分布曲線500の最大度数値に対応する負荷率(例えば、負荷率Pe)を特定し、当該特定された負荷率から値J2だけ小さい値を閾値y2として設定する。
【0099】
<利点>
本実施の形態によると、負荷率の制限緩和と制限強化とをバランスよく制御できる。そのため、室内温度を快適に保つとともにエネルギー消費効率をできるだけ高くすることができる。したがって、個別分散空調システムにおいて、室外機20の負荷率に応じた適切なエネルギー消費効率が得られる。
【0100】
<その他の実施の形態>
(1)上述した制御盤10および情報処理装置12の各機能構成は、上記とは異なる装置に含まれる構成であってもよい。例えば、図15に示す制御盤10の機能構成の一部が情報処理装置12に含まれていてもよいし、図15に示す情報処理装置12の機能構成の一部が制御盤10に含まれていてもよい。
【0101】
(2)コンピュータを機能させて、上述の実施の形態で説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0102】
(3)上述の実施の形態として例示した構成は、一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理および構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0103】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
10 制御盤、12 情報処理装置、14 電力計、20 室外機、22 室内機、100 空調制御装置、121,150 プロセッサ、122 ROM、123 RAM、124,158 通信インターフェイス、125 入力インターフェイス、126 記憶装置、152 主記憶装置、154 二次記憶装置、155 ディスプレイ、156 入力装置、160 汎用インターフェイス、200 空調装置、201 入力部、203 算出部、205 レベル制御部、301 データ取得部、303 データ格納部、305 分布生成部、310 閾値設定部、311 第1設定部、312 第2設定部、500 度数分布曲線、1000 空調制御システム。
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