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特許7407769コア腫瘍、マージン、及び健康組織の範囲を含む腫瘍焼灼治療計画のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】コア腫瘍、マージン、及び健康組織の範囲を含む腫瘍焼灼治療計画のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20231222BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20231222BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/10
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021087151
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2017549479の分割
【原出願日】2016-03-24
(65)【公開番号】P2021130023
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】62/138,425
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ダラル
(72)【発明者】
【氏名】クルエッカー ヨヘン
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066449(WO,A1)
【文献】特表2015-500664(JP,A)
【文献】特表2010-516371(JP,A)
【文献】特表2012-507324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
A61B 34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼灼の計画及び治療のためのシステムであって、前記システムは、
画像中で組織タイプを区別する境界付けモジュールであって、前記組織タイプは、少なくとも、コア組織と、前記コア組織を包囲するマージンゾーンとを含み、前記マージンゾーンは、前記コア組織の外側にある複数のシェル又は外接領域を含む、境界付けモジュールと、
付随損傷を最小にするか、焼灼したい前記マージンゾーンの範囲を最大にするか、前記コア組織及び前記マージンゾーンを含む計画標的ボリュームの範囲を最大にするかのユーザの優先事項に従った複合焼灼領域を達成する治療計画を決定するために、前記コア組織及び前記マージンゾーンを含む前記組織タイプの焼灼範囲に優先順位を付けるように、コスト関数内で重み付けを適用する、治療計画モジュールと、
前記コア組織、前記マージンゾーン、前記複合焼灼領域を示し、1つ又は複数の治療方法をユーザが選択することを可能にするために、ディスプレイにレンダリングされるグラフィカルユーザインターフェースであって、前記1つ又は複数の治療方法は、異なる重み付けを含み、前記治療計画に従って前記グラフィカルユーザインターフェース上で選択される、グラフィカルユーザインターフェースと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記コア組織の外側にある前記複数のシェル又は外接領域は、自動的に選択可能な事前定義された構成、又はユーザによって提供された構成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組織タイプは、前記コア組織を取り囲む健康組織と、重要構造とをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の治療方法は、均等治療計画、対数治療計画、及び焼灼したい前記マージンゾーンの範囲を最大にする最大マージン治療計画の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
計画される焼灼処置の範囲を決定するために、前記1つ又は複数の治療方法について、前記マージンゾーンの範囲が、表、グラフ、又は数の1つ又は複数で提示された指標の形で示される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器に関し、より詳細には、コア腫瘍ゾーンを境界付けするために使用される診断撮像スキャンからは腫瘍細胞の存在が明らかでない、腫瘍を取り囲むマージン領域に合わせて範囲の度合いを調整する、焼灼治療計画システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波焼灼(RFA:radiofrequency ablation)などの介入処置は、より侵襲的な外科的処置に代わる手法として行われてきている。RFAでは、絶縁されていない先端を持つ電極を、焼灼しようとする腫瘍又は病変に撮像誘導下で挿入する。電極が配置されると、無線周波電流を先端に印加し、それにより組織の加熱を生じさせ、組織の温度が60℃を超えたときに細胞の死滅を生じさせる。1回の焼灼で加熱され破壊される針先端周囲のボリュームよりも大きい腫瘍を破壊するために、針先端は、腫瘍の異なる部位を焼灼するように、焼灼領域を部分的に重複させて繰り返し位置決めし直す必要がある。このプロセスは、焼灼の組によって腫瘍全体が「カバー」されるまで繰り返す必要があり、これは「複合焼灼」とも呼ばれる。焼灼は、低温焼灼、マイクロ波、レーザ、集束超音波等によって生じさせることもできる。これらは組織の中にエネルギーを送達する異なる方法であり、エネルギー送達のそれぞれのモダリティには、専門家に知られるそれぞれの利点又は不利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
焼灼治療のための介入処置は、患者に利益を提供するが、焼灼処置に認められる限界の1つは、腫瘍の外科的切除(摘出)と比べて、大きい(>3cm)腫瘍の焼灼で結果が比較的不良であることである。これは、大きい腫瘍の範囲が不完全なことが原因である可能性がある。
【0004】
大きい腫瘍は、完全な範囲を保証するためにより多くの回数の焼灼を必要とする。臨床医は通常、何回の焼灼が必要であるかについての知識が不正確であり、診断撮像スキャンで見られる腫瘍に対して焼灼をどこに配置するかについて観念的な計画方法を使用する。
【0005】
すべての個々の焼灼の最適な3次元(3D)位置は、手動(コンピュータの支援なし)では計画するのが難しく、ここで、「最適」とは、通常、腫瘍を最大に範囲する最も少ない回数の重複する焼灼の使用と、所与の回数の焼灼に対して破壊する健康組織のボリュームが最も少なくなる焼灼の精密な配置とを言う。コンピュータ支援の介入に関連する結果が不良である別の重要な理由は、処置の実行中に焼灼の正確な配置がないことである。
【0006】
この問題は、例えば、針、スタイレット、誘導針等に埋め込まれた電磁気追跡センサなど、処置中機器の位置特定を利用して解決することができる。腫瘍は、完全に手動、半自動、又は完全に自動の分割方法をコンピュータワークステーション上で使用して境界付けされる。この境界付けは、診断撮像スキャン、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放出断層撮影(PET)-CT、磁気共鳴撮像(MRI)等で行われる。コア腫瘍だけが境界付けられるが、これは、コア腫瘍は撮像スキャン内で区別可能であるためである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の原理によると、焼灼の計画及び治療のためのシステムは、画像中で組織タイプを区別するように構成された境界付けモジュールを含み、組織タイプは、少なくとも、コア組織と、コア組織を包囲するマージンゾーンとを含む。治療計画モジュールは、ユーザの優先事項に従った焼灼組成を達成する焼灼特性を決定するために、コア組織及びマージンゾーンを含む組織タイプの焼灼範囲に優先順位を付けるように、コスト関数内で重み付けを適用するように構成される。グラフィカルユーザインターフェースは、コア組織、マージンゾーン、焼灼組成を示し、治療方法をユーザが選択することを可能にするために、ディスプレイにレンダリングされる。
【0008】
焼灼の計画及び治療のための別のシステムは、画像中で組織タイプを区別するように構成された境界付けモジュールを含み、組織タイプは、少なくとも、コア組織と、コア組織を包囲するマージンゾーンとを含み、マージンゾーンは、コア組織の外側にある複数のシェル又は外接領域を含む。治療計画モジュールは、ユーザの優先事項に従った焼灼組成を達成する焼灼特性を決定するために、コア組織及びマージンゾーンを含む組織タイプの焼灼範囲に優先順位を付けるように、コスト関数内で重み付けを適用するように構成される。グラフィカルユーザインターフェースは、コア組織、マージンゾーン、焼灼組成を示し、1つ又は複数の治療方法をユーザが選択することを可能にするためにディスプレイにレンダリングされ、1つ又は複数の治療方法は、異なる重み付けを含み、焼灼治療計画の目標に従ってグラフィカルユーザインターフェース上で選択される。
【0009】
焼灼の計画及び治療の方法は、画像中で組織タイプを境界付けするステップであって、組織タイプは、少なくとも、コア組織と、コア組織を包囲するマージンゾーンとを含む、ステップと、ユーザの優先事項に従った焼灼組成を達成する焼灼特性を決定するために、コア組織及びマージンゾーンを含む組織タイプの焼灼範囲に優先順位を付けるように、コスト関数内で重み付けを適用するステップと、コア組織、マージンゾーン、及び焼灼組成を示すために、ディスプレイにグラフィカルユーザインターフェースをレンダリングするステップと、を有する。
【0010】
本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び利点は、添付図面と併せて読まれる以下のその例示的実施形態の詳細な説明から明らかになろう。
【0011】
本開示は、以下の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明を詳細に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1つの実施形態による、焼灼の成果を評価するためにマージンゾーンを用いる焼灼計画及び治療システムを示すブロック図/流れ図である。
図2】1つの実施形態によるコア組織(腫瘍)及びそれに関連するマージンシェルを示す図である。
図3】別の実施形態によるコア組織(腫瘍)及びそれに関連するマージン領域を示す図である。
図4】例示的実施形態により組織領域が境界付けされた画像を示す、例示的なグラフィカルユーザインターフェースの図である。
図5】1つの実施形態による焼灼方法を比較するための焼灼指標を示す表である。
図6】別の実施形態による焼灼方法を比較するための焼灼指標を示すグラフである。
図7】例示的実施形態による焼灼の計画及び治療の方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の原理によると、侵襲が最小となる焼灼処置のための処置前又は処置中治療計画を作成する、コンピュータ支援の腫瘍焼灼治療計画システムが提供される。治療計画はコア腫瘍領域を最大に範囲するように最適化され、コア腫瘍領域は、診断撮像スキャン、例えば、CT、PET-CT、MRI 3Dボリューム測定データセット等の上で分割又は境界付けすることができる。加えて、治療計画は同時に、明らかに腫瘍領域の外側にある重要構造若しくは健康組織を範囲しないように、又は範囲が最小となるように最適化される。臨床医は、個々の患者のニーズに合わせて治療計画を適合するために異なる優先事項及びニーズを有し、例えば、小さなコアを完全に範囲すること、又はコアを越えてボリューム的な範囲を最大にすることのどちらかに着目する。
【0014】
本発明の原理は、中間領域の範囲の度合いを調整する治療計画システム及び方法を含み、中間領域は例えば、例えばコア腫瘍ゾーンを境界付けするために使用される診断撮像スキャンからは腫瘍細胞の存在が明らかでない、腫瘍を取り囲むマージン領域又はゾーンである。ユーザのニーズに合わせてマージンゾーンの範囲を調節するための焼灼治療計画方法及びユーザインターフェースが提供される。
【0015】
腫瘍に加えて、臨床医は、コア腫瘍の周囲のマージンゾーンを焼灼したい場合がある。妥当なマージンの定義は臨床医によって異なり、例えば、腫瘍の周囲数mmから1センチメートルの間である。本発明の原理によるコンピュータ支援の腫瘍焼灼治療計画システムは、境界付けにマージンゾーンを含める機能を提供する。そのようなシステムで生成される治療計画は、対象となる関連領域としての腫瘍及び健康組織だけでなく、マージンゾーン又はマージンゾーンの一部分の範囲も反映する。
【0016】
本明細書に記載される治療計画システムは、コア腫瘍とは異なるマージンに何らかの優先度又は重み付けを適用することにより、焼灼の最適化された場所を算出する際に腫瘍のマージンゾーンを明示的に考慮に入れる。この治療計画システムの目標の1つは、必要不可欠な回数の焼灼でコア腫瘍ゾーンを最大又は完全に範囲すると共に、治療計画システムのユーザの要件に基づいてマージンの範囲を調節するために、腫瘍周囲のマージンゾーンを範囲するための重み付け機能の選択肢を提供することである。
【0017】
コア腫瘍に対してマージンゾーンに関連付けられた優先度/重み付けの度合いは、焼灼が3次元空間内でどのように配置されるかを決定し、治療計画指標に影響する。この治療計画は、治療計画指標についての追加的な属性を含む。追加的な属性は、マージンゾーンの範囲を反映する。例えば、マージンゾーンが、腫瘍に隣接する1mm厚さのシェルの組として記述される場合には、追加的な属性は各シェルの範囲の比率となる。別の例として、マージンゾーンが、腫瘍に隣接する空間的に分散した独立した領域の組として記述される場合には、追加的な属性は各領域の範囲の比率となる。生成される治療計画は、ユーザによる定義に従って、コア腫瘍ゾーンと、マージンシェル/領域各々との範囲に優先順位を付けるために、個別の重みを使用する。これらの重みは、所与の計画方法に関するパラメータとして事前定義することができる。
【0018】
本発明について医療機器の面から説明するが、本発明の教示はそれよりもはるかに広く、複数の治療領域が組み合わせられる任意の計画システム又はツールに適用可能であることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、本発明の原理は、複雑な生体システム又は機械的システムの追跡又は分析に用いられる。詳細には、本発明の原理は、肺、胃腸管、排泄器官、血管等、身体のあらゆる部分における処置を含む生体システムの内部追跡又は分析処置に適用することができる。図に示される要素は、ハードウェアとソフトウェアの様々な組み合わせとして実施され、単一の要素又は複数の要素として組み合わせられる機能を提供する。
【0019】
図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、並びに適切なソフトウェアとの関連でソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供することができる。プロセッサによって提供される場合、それらの機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有されるプロセッサ、又はその一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供されることができる。さらに、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアだけを排他的に指すものと解釈すべきでなく、これらに限定しないが、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、不揮発性ストレージ等を暗黙的に含み得る。
【0020】
さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態並びにその具体例を述べる本明細書内のすべての文言は、それらの構造的均等物及び機能的均等物の両方を包括することが意図される。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物(すなわち、構造に関係なく、同じ機能を行う開発される任意の要素)の両方を含むことが意図される。したがって、例えば、当業者には、本明細書に提示されるブロック図は、本発明の原理を具現化する例示的なシステム構成要素及び/又は回路の概念図を表すことが認識されよう。同様に、あらゆるフローチャート、流れ図等は、実質的にコンピュータ可読記憶媒体中に表現され、したがってそのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示される否かに関わらず、コンピュータ又はプロセッサによってそのように実行される様々なプロセスを表すことが認識されよう。
【0021】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能で、コンピュータ又は任意の命令実行システムによる使用のために、又はそれに関連してプログラムコードを提供するコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的には、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによる使用のために、又はそれに関連して、プログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は移送することが可能な任意の装置であってよい。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム(若しくは装置若しくはデバイス)又は伝搬媒体であってよい。コンピュータ可読媒体の例には、半導体又は固体状態メモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク及び光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク-読出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-書き込み/読み出し(CD-R/W)、Blu-Ray(商標)、及びDVDが含まれる。
【0022】
本明細書における本発明の原理の「1つの実施形態」又は「一実施形態」、並びにそれらの他の変形例の参照は、その実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、特性等が、本発明の原理の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な箇所に現れる「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という表現、並びに何らかの他の変形例の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0023】
例えば、「A/B」、「A及び/又はB」、及び「A及びBの少なくとも1つ」の場合における「/」、「及び/又は」、及び「の少なくとも1つ」のいずれかの使用は、第1の列挙される選択肢(A)のみの選択、第2の列挙される選択肢(B)のみの選択、又は両方の選択肢の選択(A及びB)を包括することを意図することを認識されたい。さらなる例として、「A、B、及び/又はC」、及び「A、B、及びCの少なくとも1つ」の場合に、そのような言い回しは、第1の列挙される選択肢(A)のみの選択、第2の列挙される選択肢(B)のみの選択、又は第3の列挙される選択肢(C)のみの選択、又は第1及び第2の列挙される選択肢(A及びB)のみの選択、又は第1及び第3の列挙される選択肢(A及びC)のみの選択、又は第2及び第3の列挙される選択肢(B及びC)のみの選択、又は3つの選択肢すべての選択(A及びB及びC)を包括することが意図される。これは、当分野及び関連分野の当業者によって直ちに明らかであるように、列挙される項目の数だけ拡張され得る。
【0024】
次いで、同様の符号は同じ又は同様の要素を表す図面を、最初に図1を参照すると、1つの実施形態による焼灼治療計画及び進行追跡のためのシステム100が例示的に示されている。システム100は、ワークステーション又はコンソール112を含み、ここから処置が監督及び/又は管理される。ワークステーション112は、好ましくは、プログラム及びアプリケーションを記憶する1つ又は複数のプロセッサ114及びメモリ116を含む。メモリ116は、事例に応じて治療計画及び/又は計画実行を行うためのアプリケーションを記憶する。ワークステーション112は、治療計画機能を行い、独立型のシステムであるか、又は例えばX線、MR、若しくはCTシステムに関連する診断コンソールなど、焼灼処置で使用される別のシステムの一部として含まれ、さらには例えば超音波システムの内部に埋め込まれることもある。診断コンソール115は、別個のシステムの一部であるか、又はワークステーション112に接続され、焼灼の計画のための画像136を提供する。診断コンソール115には、例えば、X線、MR、超音波、又はCTシステムが含まれる。
【0025】
境界付けモジュール124は、組織領域を境界付けするための、コンピュータで自動化された、又は対話型(人による監督を伴う)の分割/境界付けツールを提供する。対象者131内で組織を区別し、それらの組織の内部又は周囲で領域及び特徴を識別するために、当技術分野で知られる分割技術が用いられる。組織領域には、診断撮像スキャンの中で明らかである癌組織の領域であるコア腫瘍ゾーン126と、腫瘍ゾーン126に隣接して境界付けされたマージンシェル又はマージン領域の組128とが含まれる。これらのマージンシェル又はマージン領域128は、デジタル生成し、ディスプレイ118に表示することができる。すべてのマージンシェルが合わさってマージンゾーン130を構成する。健康組織132は、コア腫瘍ゾーン126及びマージンゾーン130の外側にある組織領域である。重要構造133(例えば血管、他の器官等)も考慮される。重要構造133の組(任意選択)は、腫瘍126及びマージンゾーン128の外側に、しかしそれらの近くにある。診断撮像スキャンの皮膚表面上で皮膚入口点134を指定することができる。これらの皮膚入口点134は、焼灼針が焼灼療法を加えるために腫瘍ゾーン126に接近するための進入場所としてマークされる。
【0026】
1つの実施形態では、ワークステーション112は、治療対象のボリューム131の中で上記の画像領域の表現を生成し、表示するように構成された画像生成モジュール142を含む。空間又はボリューム131内の画像136は、表示装置118に示された領域表現と共に表示することができる。ワークステーション112は、対象者(患者)又はボリューム131の内部画像を見るためのディスプレイ118を含み、また、画像136をオーバーレイとして含め、又は画像領域の位置の他のレンダリングを含めることができる。ディスプレイ118はまた、ユーザがワークステーション112並びにその構成要素及び機能、又はシステム100内の何らかの他の要素と対話することも可能にする。これはインターフェース120によってさらに容易にされ、インターフェース120は、キーボード、マウス、ジョイスティック、触覚デバイス、又はワークステーション112からのユーザへのフィードバック及びワークステーション112との対話を可能にする何らかの他の周辺機器若しくはコントロールを含む。
【0027】
インターフェース120は、コア腫瘍126の周囲にマージンを作成し視覚化するためのディスプレイ118及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)122を含む。ディスプレイ118及びGUI 122は、計画に関連する個々のゾーン(例えば、コア、マージン、重要構造)の品質指標を表示し、計画するために用いられる。GUI 122は、ユーザが、異なる臨床ニーズ(例えば、あるゾーンを別のゾーンよりも強調する)に対応する計画を作成するために、いくつかの方策の選択肢から選択できるようにする仮想コントロール121を含む。
【0028】
治療計画モジュール140は、焼灼治療計画を算出する。治療計画モジュール140は、境界付けモジュール124によって境界付けされた組織領域を用いる。治療計画モジュール140で、ユーザは、治療計画で使用する1つ又は複数の焼灼デバイス102を選択することができる。焼灼針102は、それに関連付けられた焼灼形状寸法を有する(例えば、製造者による規定に従ってデバイスを使用したときに予想される焼灼サイズを表す、関連する半径を持つ球/楕円形状)。焼灼針102の他のパラメータは焼灼コントローラ144によって制御され、焼灼コントローラ144はワークステーション112の一部であるか、又はワークステーション112によって制御される独立型デバイスである。治療計画で使用する焼灼の回数(N)が、治療計画モジュール140に入力される。焼灼の回数はユーザによって選択されるか、又は、計画方法が、コア腫瘍だけを最大に(若しくは完全に)範囲する(若しくはコア腫瘍及びマージンゾーンを共に範囲する)ように、必要な焼灼の回数を計算することができる。治療計画モジュール140は、組織領域の組織分割についての重み付けパラメータを反映させる治療計画方法又はプログラム146を含む。重み付けパラメータは、計画及び実行の両方に関する算出で用いられる。治療計画モジュール140は、例えばGUI 122上の仮想コントロールを使用して起動されて算出を開始し、その結果、焼灼計画及び指標を得る。
【0029】
治療計画モジュール140は、焼灼計画の量的属性を反映する指標を用いて焼灼計画を生成する。焼灼計画の指標には、例えば、焼灼によってカバーされるコア腫瘍の比率、焼灼によってカバーされるマージンシェル又は領域各々の比率、破壊される健康組織(付随損傷とも呼ばれる)の合計ボリューム、それぞれの入口点から焼灼中心のいずれかに到達したときに焼灼探針の軌道によって焼灼又は交差される重要構造(含まれる場合)の合計ボリューム、選択された治療計画方法、その焼灼計画に対して算出された最適化されたコスト関数の値等が含まれる。
【0030】
治療計画モジュール140は、焼灼ゾーンの視覚化と共に焼灼計画を生成し、視覚化は、その計画に含まれる様々な組織分割をカバーする(又はカバーしない)ために、どのようにすれば焼灼が精密に配置されるかをユーザに示すことができる。個々の焼灼を組み合わせて、複合焼灼と呼ばれる単一の領域にすることができる。焼灼計画の視覚化は、焼灼計画の一部として、コア腫瘍126、マージンゾーン130、健康組織132、重要構造133(含まれる場合)、及び皮膚入口点134(含まれる場合)の、複合焼灼による範囲間の空間的関係を明確に表す。
【0031】
図2を参照すると、コア腫瘍126が図示され、コア腫瘍126は、この腫瘍に隣接する複数のシェル128(例えば1mm間隔であるが、任意の距離が用いられてよい)によって取り囲まれている。マージンシェル128はマージンゾーン130を構成する。コア腫瘍126をマージンシェル又は領域128から区別することができ、これらの領域を共に1つの領域にまとめることはしない。従来のシステムは、これらの領域をまとめて、計画標的ボリューム(PTV)と呼ばれる単一の領域にする。本発明の原理による治療計画システムは、コア腫瘍126とは異なるマージンに何らかの優先度又は重み付けを適用することにより、最適化された焼灼の場所を計算する際に腫瘍のマージンゾーン130を明示的に考慮に入れる。治療計画システム(100、図1)の目標の1つは、必要不可欠な回数の焼灼でコア腫瘍ゾーン126を最大又は完全にカバーすると共に、ユーザの要件に基づいてマージンの範囲を調節するために、腫瘍126周囲のマージンゾーン130をカバーするための重み付け機能の選択肢を提供することである。
【0032】
コア腫瘍126に対してマージンゾーン130に関連付けられた優先度/重み付けがされる度合いは、焼灼が3次元空間内でどのように配置されるかを決定し、治療計画指標に影響する。この治療計画は、治療計画指標についての追加的な属性を含む。追加的な属性は、マージンゾーン130の範囲を反映する。例えば、マージンゾーン130が、腫瘍126に隣接する1mm厚さのシェル128の組として記述される場合には、追加的な属性は各シェルの範囲の比率となる。
【0033】
別の実施形態である図3を参照すると、コア腫瘍126に隣接するマージン領域160が例示的に示されている。マージン領域160は、可能性としてはそれらの領域各々に癌細胞が存在する確実性の高低を反映して、異なる向きに沿って異なるサイズとなっている。マージン領域160はマージンゾーン130を構成する。この例では、マージンゾーン130が、腫瘍126に隣接する空間的に分散した独立した領域の組(160)として記述される場合には、追加的な属性は、例えば各領域の範囲の比率となる。
【0034】
図2及び図3は領域128、160を2次元として図示するが、コア腫瘍126、この領域を取り囲む個々のマージンシェル/領域128/160、存在する場合には重要構造又は健康組織は、3次元領域であり、治療計画方法は、3次元ボリュームの範囲を考慮する。図2及び図3はマージンの単純な境界付けを例示するが、マージンゾーンを画定する他の方式が存在することから、本発明の原理はそのようなマージンに限定されない。本開示の実施形態により生成される治療計画は、ユーザの定義に従って、コア腫瘍ゾーン126と、マージンシェル/領域128/160各々との範囲に優先順位を付けるために、個別の重みを使用する。これらの重みは、所与の計画方法に関するパラメータとして事前定義することができる。
【0035】
再度図1を参照すると、治療計画モジュール140は、コア腫瘍126、マージンゾーン130、及び健康組織132の上に重ねて目標回数の焼灼Nを配置することによって計画を作成し、この計画を評価付けするコスト関数150を算出する。異なる治療計画方法は各々、コスト関数150に入力される組織タイプごとに相対的な重み付けの選択肢を有する。
【0036】
コスト関数150は、例えば次のように定義される。
【0037】
【数1】
【0038】
上記のコスト関数(式1)において、Wctは、どの焼灼によってもカバーされないコア腫瘍中のボクセルの重みであり、Whtは、いずれかの焼灼によってカバーされる健康組織中のボクセルの重みであり、Wmiは、どの焼灼によってもカバーされないマージンシェル又は領域中のボクセルの重みであり(iは、マージンシェル/領域のインデックスであり、上記のiについての加算は、マージンシェル又は領域の完全な組にわたる範囲をとる)、Wcrjは、焼灼デバイスの軌道によって範囲又は交差される重要構造中のボクセルの重みである。jは、重要構造のインデックスであり、上記のjについての加算は、重要構造(含まれる場合)の完全な組にわたる範囲をとる。
【0039】
上記加算における種々のボクセル数には、Nct=どの焼灼によってもカバーされないコア腫瘍中のボクセル数、Nm1、Nm2等=どの焼灼によってもカバーされないマージンシェル/領域各々の中のボクセル数、Ncr1、Ncr2等=いずれかの焼灼によってカバーされるか、又はそれぞれの入口点から焼灼中心までの焼灼デバイスの軌道と交差する重要構造(含まれる場合)各々の中のボクセル数、及び、Nht=いずれかの焼灼によってカバーされる健康組織中のボクセル数、が含まれる。
【0040】
一般性を失うことなく、マージンゾーン130について、以下ではコア腫瘍126に外接するシェルの組として説明し、シェルの順序は図2に示される通りである(例えば、1mmのマージンシェル128がコア腫瘍126のすぐ隣にあり、最も外側のマージンシェル128まで漸増的に1mmずつ増えていく)。或いは、ユーザは、腫瘍の周囲に空間的に分散したマージン領域を、領域ごとに異なる重みと共に使用することを選択する(図3)。
【0041】
マージン領域は、システムに既知の事前定義された構成とすることができ、例えば、コア腫瘍を、事前定義された度合いに、例えばコア腫瘍の境界から5mmまで取り囲む、各々1mm厚さの同心のシェルの組とすることができる。別の事前定義された構成は、事前定義されているが均一でない厚さの同心シェルの組を含む(例えば、コア腫瘍を取り囲む1番目のシェルは2mm、そしてそれ以後(から事前定義された度合いまで)のシェルは1mm))。或いは、マージン領域はユーザによって定義された構成とすることもでき、その場合、ユーザは、各シェルの厚さ及びシェルの数を別々に選択する。事前定義された構成には、径方向に依存した異なる領域(160)又は他の構成も含まれる。
【0042】
1つの実施形態によると、均等(UNIFORM)治療計画方法が説明され、これは、表1に列挙するように、少なくとも3つの可能な重み付けを有する。
【表1】
【0043】
別の実施形態によると、対数(LOGARITHMIC)治療計画方法が説明され、これは表2に列挙するように、少なくとも3つの可能な重み付けを有する。
【表2】
【0044】
別の実施形態によると、最大マージン(MAXMARGINS)治療計画方法が説明され、これは表3に示されるような重み付けを有する。実際の数は、大きく動的な重みの範囲を反映するので、科学的な形式である。
【表3】
【0045】
他の方法又は計画が可能であることから、表1~3にある数は制限的なものとみなすべきでない。ユーザは、実際、上記の数を介して示される動向に似ているがそれらと全く同じではない重み付けを選択することができる。重み付け関数はカスタマイズされてもよい(ユーザ指定の重み付け関数)。
【0046】
重要構造は任意選択でのみ用いられるので、Wcrはこの表には定義していないことに留意されたい。重要構造が使用される場合、Wcrの値は、通常はマージン又は健康組織に関するすべての他の値よりも高いコア腫瘍の範囲についての重みであるWctの値よりも、さらに高い値に設定される。
【0047】
これらの方法には各々、達成可能な組織の範囲に関係する利益がある。それらには以下が含まれる。均等方法の利点は、PTV全体の範囲が最大になることであり、すなわち、コア腫瘍及びマージンゾーンがその他の方法に比べて含められるようになる。対数方法の利点は、他の方法に比べて健康組織の範囲が最小になることである。最大マージン方法の利点は、内側のコアマージンシェル(その他のシェルよりもはるかに高く重み付けされる)をその他の方法よりも大きい比率で範囲することである。この利点は、内側のマージンシェルが外側のマージンシェルと比べて高く重み付けされるのと同様に、他のマージン領域と比べて高く重み付けされるマージン領域に対して得られる。
【0048】
本発明の原理の一態様によると、治療計画方法は、適切なユーザインターフェース(GUI 122)を通じてユーザによって選択される。ユーザインターフェース122は、治療計画方法の選択肢を提供する。
【0049】
図4を参照すると、1つの例示的実施形態によるGUI 122が示されている。ユーザによって選択された計画方法を用いて焼灼計画が算出され、それが次いでワークステーション112(図1)のGUI 122に視覚化される。焼灼計画視覚化の一例が示されており、コア腫瘍204として境界付けされたエリア、コア腫瘍204を取り囲むマージンゾーン又は領域206、及び複合焼灼領域208(例えば複数の個々の焼灼からなる)がある。複合焼灼領域208は、治療計画システムの出力である。焼灼計画をリアルタイムで視覚的に監視して、焼灼の数がマージンゾーン206をカバーするのに十分でないときにそのことを判定し、又は、その焼灼計画で焼灼がコア腫瘍204及びマージンゾーン206を完全にカバーすることを保証する。
【0050】
GUI 122は、腫瘍204を含む対象領域、マージン領域206、及び焼灼治療領域208の表示を示すペーン(pane)202を含む。GUI 122は、治療計画方法の選択肢を選択するためのドロップダウンメニュー210又は他のコントロールを含む。例えば均等、対数、最大マージンなど、ユーザによって選択される治療計画方法の名前が、それに関連する重み値と共に表示される。GUI 122は、ユーザ指定の治療計画方法を明示的に選択するためのコントロール又は入力フィールド212を含み、これは、ユーザが各ゾーンについて重みの組を入力することを意味する。
【0051】
GUI 122は、治療計画方法を選択するためにユーザに誘導を提供するように構成された誘導コントロールウィンドウ214を含む。例えば、臨床的に関連する文言をシステムによってユーザに提供して、計画方法の選択を暗黙的に可能にする。例えば、ユーザは方法を選択するか、又は方法の名前の上にカーソルを置く。誘導ウィンドウ214は、その方法の重み付けの利点を強調表示する。代替実施形態では、ユーザが、治療計画の目標を助ける文言を選択する。例えば、「付随損傷を最小にすることを優先したい」は、対数方法が自動的に選択されることを意味し、ユーザが「マージンゾーンの範囲を最大にすることを優先したい」と示す場合は、最大マージン方法が自動的に選択されることを意味し、又は、ユーザが「マージンに対するコア腫瘍は全く優先せずに、PTVの範囲を最大にしたい」と示す場合は、均等方法が自動的に選択されることを意味する。
【0052】
別の実施形態では、治療計画は、所与の腫瘍に対して異なる重み付けの組を用いて、2つ以上の治療計画方法を実行することができる。「治療計画の事前指定された設定」が、自動的に実行されるか、又は、様々な計画の結果を例えば表や他の視覚的な提示形態で比較できるようにすることをユーザが承認して実行される。例えば、システム100(図1)は、方法のすべて又は一部を、選択されたパラメータセット(重み付け値)と共に用いて、自動的に焼灼治療計画を実行する。次いで、ユーザインターフェース120(図1)が、算出された焼灼計画を、それらのパラメータセットを用いて各方法に達成された指標と共にユーザに示す。指標の提示は、図5に例示的に図示されるように、所与の指標について、最も成績がよい方法対次に成績がよい方法をユーザが検出するのを支援するために、色分け等を施した表の形態をとる。
【0053】
図5を参照すると、表300が、異なる治療計画方法(例えば、最大マージン、対数、及び均等)の指標の比較を例示的に示している。表の列304の一番上にある数10000、1000、100は、その選択された方法でのコア腫瘍の重みを反映している。任意のセル302内で強調された網掛け部分306は、それぞれの行312にあるその焼灼回数での指標(指標の列310に列挙される)の1つについて、最良の(それぞれ2番目によい、3番目によい等)成績を達成した方法を表す。最良、2番目によい等は、異なる色や網掛け等によって示される。
【0054】
提示は、図6に例示的に図示されるようにグラフ形態であってもよく、ユーザは、各方法の相対的な成績を一目で判断することができ、ユーザは提示された焼灼計画の1つを選択してさらに治療処置の実行を続ける。
【0055】
図6を参照すると、4つのグラフ330、332、334、及び336が、異なる治療計画方法(例えば、最大マージン、対数、及び均等)で達成された2つの指標である、付随損傷対PTVの範囲のグラフによる比較を提供している。各グラフ330、332、334、及び336中の円のサイズは、その方法によって達成された連続したマージンのサイズを表し、大きい円ほど連続性の高いマージンを示す。他の提示方法及び比較が用いられてもよい。
【0056】
説明されるように、本発明の原理は、腫瘍に外接するマージンシェル又は腫瘍の周囲の領域のどちらかによってコア腫瘍の外側で明示的に境界付けされるマージンゾーンの画定などの組織要素を、グラフィカルユーザインターフェース内で視覚的に提示することを可能にする。焼灼計画の視覚的提示は、複合焼灼及びマージンの範囲の視覚化中で明示的に識別されるマージンゾーンの範囲が、コア腫瘍又はPTVの上になるように示される。治療計画方法は、明示的又は暗黙的にユーザによって選択される。個々のシェル又は領域のマージンゾーン範囲の、表/数値による提示の出力も提供される。ユーザによって好ましい治療計画方法が選択されることにつながる、異なる治療計画方法に対応する焼灼計画指標の数値による/視覚的な提示も提供される。
【0057】
図7を参照すると、例示的実施形態による焼灼の計画及び治療の方法が例示的に示されている。ブロック402で、焼灼処置を計画するために1つ又は複数の画像が収集される。ブロック404で、その画像内で組織タイプが境界付け又は分割される。組織タイプは、少なくとも、コア組織と、コア組織を包囲するマージンゾーンとを含む。他の組織タイプは、コア組織を取り囲む健康組織、皮膚接近点、及び重要構造を含む。
【0058】
ブロック406で、ユーザの優先事項に従った焼灼組成を達成する焼灼特性を決定するために、コア組織及びマージンゾーンを含む組織タイプの焼灼範囲に優先順位を付けるように、コスト関数内で重み付けが適用される。重み付けは、組織タイプ、治療計画で使用される焼灼デバイスのタイプ、治療計画で使用する焼灼の回数(N)、ユーザが求める方針を最もよく反映する治療計画方法、を含むいくつかの要因によって影響される。コスト関数は、焼灼の量を最小にするために、また重み付けを通じて、付随損傷(健康組織の損傷)の量、マージンゾーンの範囲比率、コア組織の範囲比率等を最適化する/最小にするために用いられる。
【0059】
ブロック408で、選択可能な治療方法を使用して重み付けが提供される。選択可能な治療方法は、選択コントロールを含むグラフィカルユーザインターフェースを使用してユーザによって選択される。選択コントロールで、ユーザは1つ又は複数の治療方法を選択することができる。各治療方法は、異なる焼灼の方針を有し、ユーザに情報を提供して適切な選択を支援する。1つ又は複数の治療方法は、コスト関数に関して異なる重み付けを含む。異なる重み付けは、焼灼治療計画の目標に従って決定される。1つ又は複数の治療方法は、均等治療計画、対数治療計画、最大マージン治療計画、及びユーザ指定の治療計画の少なくとも1つを含む。
【0060】
ブロック410で、計画が生成され、ディスプレイ上でグラフィカルユーザインターフェースにレンダリングされて、コア組織、マージンゾーン、及び焼灼組成を示す。ブロック412で、複数の治療方法の各々に従って、計画される焼灼処置の範囲を決定するために、表、グラフ、又は数の1つ又は複数で提示される指標を使用して、マージンゾーンの範囲が示される。治療計画システムは、焼灼計画の量的属性を反映した指標を持つ焼灼計画を生成する。焼灼計画の指標には、焼灼によってカバーされるコア腫瘍の比率、焼灼によってカバーされるマージンシェル又は領域各々の比率、破壊される健康組織(付随損傷とも呼ばれる)の合計ボリューム、それぞれの入口点から焼灼中心のいずれかに到達したときに焼灼探針の軌道によって焼灼又は交差される重要構造(含まれる場合)の合計ボリューム、選択された治療計画方法における焼灼の回数、その焼灼計画に対して算出された最適化されたコスト関数の値等が含まれる。
【0061】
これらの指標を用いて治療方針を比較し、また総合的な目標の点から計画を評価する。マージンゾーンは複数のシェルを含み、各シェルは互いと間隔が空けられ、コア組織の外側に存在する。ブロック414で、マージンゾーンの各シェル内で焼灼範囲指標が算出される。マージンゾーンは、コア組織に隣接し且つそれを取り囲む複数の領域を含み、各領域はコア組織の外側に存在する。ブロック416で、マージンゾーンの各領域内で焼灼範囲指標が算出される。
【0062】
ブロック418で、最良の計画が選択され(コストの最小化、マージンゾーンの最良の範囲等)、その計画を実行して患者を治療する。
【0063】
添付の特許請求の範囲を解釈する際には、以下を理解すべきである。
a)単語「を含む」は、所与の請求項に列挙されるもの以外の要素又は動作の存在を排除しない。
b)要素の前にある単語「a」又は「an」は、複数のそのような要素の存在を排除しない。
c)特許請求の範囲に何らかの参照符号がある場合でも、請求項の範囲を限定しない。
d)いくつかの「手段」は、同じ物品又はハードウェア若しくはソフトウェアとして実施された構造若しくは機能によって表される。
e)特に断らない限り、動作の特定の順序が必要であることは意図されない。
【0064】
コア腫瘍、マージン、及び健康組織の範囲(これらは例示的なものであり、制限的なものではないことが意図される)を含む腫瘍焼灼治療の計画のためのシステム及び方法の好ましい実施形態を説明したが、上記の教示に照らして改変及び変形を当業者により加えることができることが留意される。したがって、添付の特許請求の範囲によって概説される、本明細書に開示される実施形態の範囲内にある変更を、開示される本開示の特定の実施形態において加えることが可能であることを理解されたい。このように特許法によって要求される詳細及び具体的事項を説明したので、特許請求され、特許証による保護が求められる事項は、添付の特許請求の範囲に述べられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-I】
図6-II】
図7