IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤフー株式会社の特許一覧

特許7407780情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図1-1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図1-2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231222BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021152548
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2023044495
(43)【公開日】2023-03-30
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五味 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 照彦
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-252428(JP,A)
【文献】特開2013-050918(JP,A)
【文献】特開2013-050919(JP,A)
【文献】特開2015-106234(JP,A)
【文献】特開2015-203934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域を訪問した利用者の端末装置から、当該利用者が訪問した前記所定領域の位置情報と、当該位置情報に関連付けられた提供情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定する条件設定部と、
前記所定領域に対して前記訪問条件が設定された提供情報を関連付けて記憶する記憶部と、
前記所定領域を訪問した利用者の訪問態様と前記訪問条件との比較結果に基づいて前記記憶部に記憶された前記提供情報を提供する提供部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記条件設定部は、前記提供情報に指向性を付随させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記条件設定部は、前記所定領域において前記提供情報を提供する提供範囲を経過時間に応じて変化させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶された前記提供情報に設定された訪問条件と新たな利用者が前記所定領域を訪問したときの訪問条件との一致度が判定値以上であるかを推定する推定部を有し、
前記提供部は、前記推定部により推定された前記一致度が前記判定値以上である場合に、新たな利用者に対して前記記憶部に記憶された前記提供情報を提供する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶されて前記所定領域に関連付けられた前記提供情報を時間の経過に伴って減衰させる減衰部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定領域を訪問した利用者の端末装置から、当該利用者が訪問した前記所定領域の位置情報と、当該位置情報に関連付けられた提供情報とを取得する取得工程と、
取得された前記所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定する条件設定工程と、
前記所定領域に対して前記訪問条件が設定された提供情報を関連付けて記憶する管理工程と、
前記所定領域を訪問した利用者の訪問態様と前記訪問条件との比較結果に基づいて記憶された前記提供情報を提供する提供工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
所定領域を訪問した利用者の端末装置から、当該利用者が訪問した前記所定領域の位置情報と、当該位置情報に関連付けられた提供情報とを取得する取得手順と、
取得された前記所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定する条件設定手順と、
前記所定領域に対して前記訪問条件が設定された提供情報を関連付けて記憶する管理手順と、
前記所定領域を訪問した利用者の訪問態様と前記訪問条件との比較結果に基づいて記憶された前記提供情報を提供する提供手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の情報を管理する情報管理システムは、所定のアクセス制御ポリシーに基づいてアクセス制御を実行する。すなわち、情報管理システムは、外部からの不正な操作の脅威に対抗する制御を実行。そして、情報管理システムは、アクセス制御ポリシーを満たしたアクセスに対して情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4273869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の情報管理システムでは、所定のアクセス制御ポリシーに基づいてアクセス制御を実行している。今後、利用者同士で、新たな情報提供の形態において改善の余地がある。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、新たな形態の情報提供を可能とすることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、所定領域を訪問した利用者の端末装置から、当該利用者が訪問した前記所定領域の位置情報と、当該位置情報に関連付けられた提供情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定する条件設定部と、前記所定領域に対して前記訪問条件が設定された提供情報を関連付けて記憶する記憶部と、前記所定領域を訪問した利用者の訪問態様と前記訪問条件との比較結果に基づいて前記記憶部に記憶された前記提供情報を提供する提供部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、新たな情報提供を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1-1】図1-1は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示す説明図である。
図1-2】図1-2は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、利用者情報データベースの一例を示す図である。
図5図5は、更新情報データベースの一例を示す図である。
図6図6は、提供情報データベースの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る情報更新処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1-1.情報処理装置の概要〕
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の一例について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示す説明図である。なお、図1では、情報処理システム1に含まれる本願に係る情報処理装置100が、所定領域を訪問した利用者に関する情報を取得し、取得した前記情報に訪問条件を設定し、所定領域に訪問条件が設定された情報を関連付けて記憶し、記憶されて所定領域に関連付けられた情報を時間の経過に伴って減衰させる。そして、所定領域を訪問した利用者の訪問態様と訪問条件との比較結果に基づいて減衰された減衰情報を提供する処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1-1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10(10A,10B)と、情報処理装置100とを含む。端末装置10と情報処理装置100とは、それぞれネットワークN(図2参照)を介して有線または無線で互いに通信可能に接続される。本実施形態では、端末装置10と情報処理装置100とは連携する。
【0012】
端末装置10は、利用者U(UA,UB)により使用されるスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者Uから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付ける。なお、画面のうち、コンテンツが表示されている領域上で行われた操作を、コンテンツに対する操作としてもよい。また、端末装置10は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
情報処理装置100は、利用者Uの端末装置10と連携し、利用者Uの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム、ビーコン等により実現される。
【0014】
情報処理装置100は、利用者Uの端末装置10に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、情報処理装置100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、情報処理装置100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0015】
情報処理装置100は、利用者Uに関する利用者情報を取得可能である。例えば、情報処理装置100は、利用者Uの性別、年代、居住地域といった利用者Uの属性に関する情報を取得する。そして、情報処理装置100は、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)とともに利用者Uの属性に関する情報を記憶して管理する。
【0016】
情報処理装置100は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、情報処理装置100は、利用者Uの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、情報処理装置100は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、情報処理装置100は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、情報処理装置100は、利用者Uの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、情報処理装置100は、利用者Uのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済サーバから取得してもよい。また、情報処理装置100は、利用者Uの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。
【0017】
本実施形態では、図1-1に示すように、情報処理装置100は、GPS(Global Positioning System)やRTK(Real Time Kinematic)等の測位方法で、利用者UAの端末装置10Aから、利用者UAが訪問した所定領域の位置情報を取得する(ステップS1)。情報処理装置100は、同様の測位方法で、利用者UAの端末装置10Aから、取得した位置情報に関する提供情報を取得する(ステップS2)。なお、所定領域は、位置情報に限るものではない。
【0018】
なお、情報処理装置100は、上述した測位方法で位置情報および提供情報を取得する場合に限るものではない。例えば、利用者UAは、端末装置10Aを用いて利用者UAが訪問した所定領域の位置情報と、位置情報に関する提供情報を取得し、情報処理装置100は、利用者UAの端末装置10Aから提供された所定領域の位置情報および提供情報を取得してもよい。
【0019】
続いて、情報処理装置100は、端末装置10Aから取得した所定領域の位置情報に対する提供情報に対して訪問条件を設定する(ステップS3)。すなわち、情報処理装置100は、提供情報に対して指向性を付随させる。図1-2に示すように、所定領域に対する訪問条件は、例えば、楕円形状をなす。所定領域に対する訪問条件は、東方向の最も短く、西方向に最も長い。なお、情報処理装置100は、所定領域の位置情報に対して指向性を付随させるように訪問条件を設定してもよい。情報処理装置100は、端末装置10Aから取得した所定領域の位置情報と提供情報を関連付けて記憶する(ステップS4)。すなわち、情報処理装置100は、所定領域の位置情報に対する提供情報として記憶する。この場合、記憶された所定領域の位置情報および提供情報は、訪問条件が設定されている。そして、情報処理装置100は、所定領域の位置情報に関連付けられて記憶された提供情報を、時間の経過に伴って減衰させる(ステップS5)。この場合、情報処理装置100は、少なくとも提供情報の量または質を低下させる。
【0020】
また、情報処理装置100は、上述した測位方法で、利用者UAとは別の利用者UBの端末装置10Bから、利用者UBが訪問した所定領域の位置情報を取得する(ステップS11)。情報処理装置100は、同様の測位方法で、利用者UBの端末装置10Bから、取得した位置情報に関する提供情報を取得する(ステップS12)。なお、所定領域は、位置情報に限るものではない。
【0021】
なお、情報処理装置100は、上述した測位方法で位置情報および提供情報を取得する場合に限るものではない。例えば、利用者UBは、端末装置10Bを用いて利用者UBが訪問した所定領域の位置情報と、位置情報に関する提供情報を取得し、情報処理装置100は、利用者UBの端末装置10Bから提供された所定領域の位置情報および提供情報を取得してもよい。
【0022】
ここで、情報処理装置100は、記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者UBが訪問した所定領域の位置情報との一致度を推定する(ステップS13)。この場合、情報処理装置100は、一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する。情報処理装置100は、記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者UBが訪問した所定領域の位置情報との一致度が、例えば、80%以上であるか否かを判定する。また、情報処理装置100は、記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者UBが訪問した所定領域の位置情報に対する提供情報の訪問条件との一致度を推定する(ステップS14)。この場合、情報処理装置100は、一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する。情報処理装置100は、記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者UBが訪問した所定領域の位置情報に対する提供情報の訪問条件との一致度が、例えば、80%以上であるか否かを判定する。
【0023】
情報処理装置100は、位置情報と訪問条件の少なくとも一方の一致度が、例えば、80%以上ではないと判定すると、利用者UAの処理と同様に、端末装置10Aから取得した所定領域の位置情報に対する提供情報に対して訪問条件を設定(ステップS3)し、所定領域の位置情報と提供情報を関連付けて記憶する(ステップS4)。すなわち、利用者UAの端末装置10Aから取得した所定領域の位置情報や訪問条件と、利用者UBの端末装置10Bから取得した所定領域の位置情報や訪問条件とが相違することから、端末装置10Aから取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供場情報とは別に、端末装置10Bから取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供場情報として記憶する。そして、情報処理装置100は、所定領域の位置情報に関連付けられて記憶された提供情報を時間の経過に伴って減衰させる(ステップS5)。
【0024】
一方、情報処理装置100は、位置情報と訪問条件の両方の一致度が、例えば、80%以上であると判定すると、利用者UBに対して減衰された状態で記憶された所定領域の位置情報に関連付けられた減衰情報を、利用者UBの端末装置10Bに提供する(ステップS15)。すなわち、図1-2に示すように、所定領域の位置情報に対して楕円形状をなす訪問条件(例えば、一致度80%)が設定されるとき、利用者UB1は、訪問条件が一致しているが、利用者UB2は、訪問条件が一致していない。この場合、情報処理装置100は、推定した一致度に応じて利用者UBに対して提供情報を提供する。例えば、情報処理装置100は、一致度が高いほど、利用者UBに対して多くの提供情報を提供する。
【0025】
また、情報処理装置100は、一致度が、例えば、80%以上であると判定すると、利用者UBの端末装置10Bから取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報に基づいて、記憶された所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報を更新する(ステップS16)。
【0026】
このとき、情報処理装置100は、記憶され提供情報を取得した利用者UAと、記憶された所定領域を新たに訪問した利用者UAとが一致したとき、記憶された提供情報を新たに訪問した利用者UAの提供情報に置換して更新する。
【0027】
また、情報処理装置100は、記憶され提供情報を取得した利用者UAと、記憶された所定領域を新たに訪問した利用者UBとが一致しないとき、記憶された提供情報に新たに訪問した利用者UBの提供情報を追加するように合成して更新する。
【0028】
また、情報処理装置100は、記憶された提供情報と、記憶された所定領域を新たに訪問した利用者UBの提供情報とが同じ分野であるとき、記憶された所定領域に関連付けられた提供情報に所定領域を新たに訪問した利用者UBの情報を追加して更新する。
【0029】
このように本実施形態では、情報処理装置100が、所定領域の位置情報および提供情報を取得し、位置情報に関連付けられた提供情報を時間の経過に伴って減衰させ、所定領域を訪問した利用者に対して減衰された減衰情報を提供する。
【0030】
また、本実施形態では、情報処理装置100が、所定領域の位置情報および提供情報を取得し、所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定し、所定領域の位置情報に対して提供情報を関連付けて記憶し、所定領域を訪問した利用者の訪問態様と訪問条件との比較結果に基づいて記憶された提供情報を提供する。
【0031】
したがって、新たな情報提供を可能とすることができる。
【0032】
〔1-2.情報処理方法の概要〕
以下、上述した情報処理により実現されるサービスの一例について説明する。なお、かかるサービスは、情報処理装置100単独で実現されてもよく、複数のサーバ装置や端末装置が協調することで実現されてもよい。また、以下のサービスは、上述した情報処理のみならず、後述する機能構成により発揮されてもよい。また、以下のサービスは適宜組合せで実行されてもよい。なお、以下の例では、サービスの一例として、利用者UAに関する情報を、利用者UBに対して提供する例について説明する。
【0033】
〔1-3.情報提供の概要〕
例えば、利用者UAが駅の改札前や、山道の途中等、あらかじめ定められた場所を訪問した場合、情報処理装置100は、利用者UAに関する情報を端末装置10Aから取得する。例えば、端末装置10Aは、ジオフェンス等の技術によりあらかじめ定めれらた場所を訪問したと推定される場合には、利用者UAに関する情報、すなわち提供情報と位置を示す情報とを情報処理装置100へと送信する。例えば、端末装置10Aは、「利用者UAがここにいました」といった内容の提供情報と、A駅の改札位置(以下、「場所A」と記載する)を示す位置情報とを情報処理装置100へと送信する。
【0034】
このような場合、情報処理装置100は、上述した情報処理により、受信した提供情報を利用者UAの仮想的な残り香(すなわち、仮想的なにおい)と見做して、提供情報を他の利用者に対して提供する。例えば、情報処理装置100は、利用者UBが利用者UAの後で場所Aを訪問した場合、すなわち、利用者UAの提供情報(以下、「提供情報A」と記載する。)が紐づけられた場所Aの位置情報を端末装置10Bから受信した場合、あたかも利用者UBが利用者UAの残り香を感知するがごとく、提供情報Aを利用者UBに伝達する。例えば、情報処理装置100は、利用者UBが場所Aを訪問した場合、場所Aに紐づけられた提供情報Aを利用者UBの端末装置10Bへと送信する。
【0035】
ここで、情報処理装置100は、匂いをメタファーとした提供情報Aの伝達を行う。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aが紐づけられた場所Aと利用者UBの現在位置とを比較し、利用者UBが場所Aから所定の範囲内となった際に、提供情報Aを提供してもよい。また、情報処理装置100は、場所Aからの距離に応じた態様で、提供情報Aを加工した情報を提供してもよい。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aのうち場所Aからの距離に応じた範囲を提供してもよい。より具体的には、情報処理装置100は、利用者UBが場所Aから10メートルまで近づいた場合は、提供情報Aのうち半分を利用者UBに配信し、利用者UBが場所Aから1メートル以内に近づいた場合は、提供情報Aの全体を配信してもよい。
【0036】
また、情報処理装置100は、提供情報Aが示す内容の精度を調整してもよい。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aが「10時にお茶を飲みました」という情報だった場合に、利用者UBが場所Aから10メートルまで近づいた場合は、提供情報Aの内容の精度(粒度)をさせた情報(例えば、「午前中に飲み物を飲みました」といった情報)を生成し、この情報を利用者UBに配信する。そして、情報処理装置100は、利用者UBが場所Aから1メートル以内まで移動した場合は、「10時にお茶を飲みました」といった精度の高い情報を提供してもよい。なお、上述した例では、2段階で情報を提供する例について説明したが、情報処理装置100は、任意の段階で情報の精度(粒度)を調整した情報を提供してよい。
【0037】
なお、情報処理装置100は、任意の対応で精度(粒度)を調整した情報を提供してよい。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aに店名が含まれる場合は、その店が所在する国、県、市を特定し、特定した情報に置き換えた情報を配信してもよい。例えば、情報処理装置100は、場所Aに近づく程、「日本の店に訪問しました」、「埼玉県の店に訪問しました」、「川口市の店に訪問しました」、「店舗Xに訪問しました」というように、段階的に場所の精度を向上させた情報を配信してもよい。また、情報処理装置100は、場所以外にも、時間、位置、取引対象のカテゴリ、利用者の行動等、任意の情報の精度(粒度)を徐々に調整し、利用者UBが場所Aに近づくほど、より精度(粒度)を向上させた情報を提供すればよい。なお、このような情報処理は、あらかじめ設定した辞書による情報加工技術等により実現可能である。
【0038】
また、情報処理装置100は、利用者UAが場所Aに訪問してから経過した時間や、場所Aと提供情報Aとを紐づけてから経過した時間等に応じて、提供情報Aの提供態様を変更してもよい。例えば、ある場所にある匂いは、時間の経過とともに拡散し、香りが少なくなっていく。そこで、情報処理装置100は、利用者UAが場所Aに訪問してから経過した時間(以下「経過時間」と記載する。)に応じて、情報の精度(粒度)を低下させてもよい。また、例えば、情報処理装置100は、経過時間が経過する程、提供情報Aを提供する範囲を拡大させつつも、提供する提供情報Aの精度を低下させてもよい。より具体的な例を挙げると、情報処理装置100は、場所Aから1メートル以内であっても、経過時間が経過する程、提供される提供情報Aの精度や粒度を低下させてもよい。また、情報処理装置100は利用者UAが場所Aに訪問してから所定の期間内は、場所Aから半径10メートル以内に利用者UBが近づいた場合に、提供情報Aを利用者UBに配信し、所定の期間を経過した場合は、場所Aから半径15メートル以内に利用者UBが近づいた場合に、提供情報Aを利用者UBに配信してもよい。なお、このような場合、利用者UBには、精度を低下させた提供情報Aが配信されてもよい。一方、情報処理装置100は、経過時間が経過するほど、提供情報Aを提供する範囲を狭めてもよい。
【0039】
ここで、匂いが拡散する場合、風に応じて流れる方向が変化する。そこで、情報処理装置100は、提供情報Aを提供する範囲(以下「提供範囲」と記載する場合がある。)を経過時間に応じて変化(拡張)させる際、同心円上に変化させてもよいが、所定の方向に指向性を持たせた状態で変化させてもよい。例えば、情報処理装置100は、場所Aの西方向や東方向等、所定の方向に向けて提供情報Aを提供する範囲を拡張させ、他の方向については、拡張させない、あるいは、所定の方向よりも遅く拡張させてもよい。また、情報処理装置100は、所定の方向については、提供情報Aをそのまま提供し、他の方向については、提供情報Aの精度を落とした状態で提供してもよい。
【0040】
なお、このような提供範囲を拡張する方向は、あらかじめ人手(例えば、利用者UA)により定められてもよく、任意のルールにより自動的に定められてもよい。例えば、情報処理装置100は、場所Aを訪問した際の利用者Aの移動方向に提供範囲を拡張してもよい。また、情報処理装置100は、利用者Aの属性や提供情報Aの内容に応じた方向に提供範囲を拡張してもよい。
【0041】
また、例えば、情報処理装置100は、地点Aの気温や風向きといった気象情報、地点Aの人の多さや人流の方向等に応じて、提供範囲を変更してもよい。また、情報処理装置100は、SNS上における提供情報Aと対応する内容の投稿情報の数や増減数、地点Aと対応する投稿情報の数や増減数、同様の検索クエリの数や増減数等に応じて、提供範囲を変更してもよい。すなわち、情報処理装置100は、地点Aに関する各種の外部要因に応じて、提供範囲を変更してもよい。
【0042】
なお、上述した提供情報Aを提供する際の精度(粒度)、提供範囲の拡張や縮小等は、任意の対応で組み合わせて実行してよい。また、このような提供情報Aを提供する際の精度(粒度)、提供範囲の拡張や縮小等は、各種利用者の設定に従って変更してもよく、自動的に変更してもよい。また、例えば、情報処理装置100は、利用者Aの属性や提供情報Aの種別に応じて、提供する精度(粒度)を適宜変更してもよい。例えば、情報処理装置100は、利用者Aが若い程、精度(粒度)を落とさないようにしてもよい。また、例えば、情報処理装置100は、提供情報Aが利用者Aに関する情報であるか、他の情報であるか、いつ頃の情報であるのか等に応じて、精度(粒度)を落とす態様(例えば、経過期間や地点Aからの距離に応じて精度(粒度)を落とす速さや量)を変更してもよい。このようにして、情報処理装置100は、情報を増減させてもよい。
【0043】
なお、端末装置10Aは、利用者UAが予め設定した情報を送信してもよく、自動的に取得した情報を送信してもよい。また、情報処理装置100は、端末装置10Aから受信した位置情報から、利用者UAが所定の位置を訪問したと判定される場合は、例えば、検索履歴や購買利履歴、SNS等に投稿された投稿情報等、利用者UAに関する各種の情報を提供情報として取得してもよい。また、情報処理装置100は、提供情報Aを場所Aに紐づけてから所定の期間(あらかじめ設定された期間やその内容、利用者UAの属性等に基づいて設定される期間)が経過した場合は、提供情報Aの配信を取りやめてもよい。
【0044】
〔1-4.複数利用者の情報〕
ここで、情報処理装置100は、場所Aを訪問した複数の利用者の情報を提供情報として場所Aに紐づけてもよい。例えば、情報処理装置100は、場所Aに利用者UA、UBが訪問した場合は、利用者UAの提供情報Aと、利用者UBの提供情報Bとをそれぞれ個別に場所Aと紐づけ、場所Aを訪問した利用者UCに対して、提供情報Aと提供情報Bとをそれぞれ個別に提供してもよい。この際、情報処理装置100は、提供情報Aと提供情報Bとの提供態様(例えば、精度(粒度)や提供範囲、経過期間に応じた各種の処理)をそれぞれ個別に設定してもよい。
【0045】
また、情報処理装置100は、場所Aを訪問した利用者UA、UBの提供情報A、Bを合成し、利用者UCに提供してもよい。例えば、情報処理装置100は、場所Aを利用者UAが訪問した場合は、場所Aに提供情報Aを紐づける。続いて、情報処理装置100は、場所Aを利用者UBが訪問した場合は、場所Aに紐づけられた提供情報Aと、提供情報Bとを合成した合成情報ABを生成する。このような合成の際、情報処理装置100は、利用者Aが場所Aを訪問してからの経過期間に応じて、提供情報Aに重み(1よりも小さい重み)を設定した状態で、合成情報ABを生成してもよい。また、情報処理装置100は、利用者Aが場所Aを訪問してからの経過期間に応じて、精度(粒度)を変更した情報と提供情報Bとを合成してもよい。そして、情報処理装置100は、利用者UCが場所Aを訪問した場合は、合成情報ABを利用者UCに提供する。
【0046】
なお、情報処理装置100は、提供情報Aと提供情報Bの内容に応じて、情報の強化や劣化(精度の悪化等)を実現してもよい。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aの内容と提供情報Bの内容とに共通する部分がある場合は、共通する部分を強調した合成情報ABを設定してもよい。また、情報処理装置100は、提供情報Aが紐づけられてから所定の期間が経過し、ある部分の情報の精度を劣化させている場合であっても、提供情報Bの内容にその部分と共通する部分がある場合は、その部分について精度を元の精度に戻してもよい。
【0047】
また、単純に情報処理装置100は、提供情報Aが場所Aに紐づけられてから所定の期間が経過した後で、利用者Bが場所Aを訪問した場合、提供情報Bで提供情報Aを上書きしてもよい。
【0048】
なお、情報処理装置100は、提供情報A、Bをそれぞれ個別に場所Aを紐づけておき、経過時間に応じて、異なる態様で提供範囲を制御してもよい。このような場合、情報処理装置100は、利用者UCが場所Aを訪問したタイミングや、利用者UCと場所Aとの位置関係に応じて、提供情報A、Bを合成する際の重みを決定する。例えば、情報処理装置100は、提供情報A、Bの各提供範囲に利用者UCが含まれているか否か、場所Aと利用者UCとの距離、利用者UCが訪問したタイミングに応じて、提供情報A、Bの提供態様を決定し、決定した提供態様に応じた重みで提供情報A、Bを合成した合成情報ABを生成し、合成情報ABを配信してもよい。
【0049】
〔1-5.感度のメタファ〕
ここで、匂いを感じる際の感度は、利用者によって変動する。そこで、情報処理装置100は、提供情報の提供先となる利用者属性や、提供情報に含まれる情報の内容や、提供情報に関する各種の情報(以下、「提供情報の属性」と総称する。)に応じて、提供情報の提供態様を変動させてもよい。
【0050】
例えば、情報処理装置100は、利用者UBに提供情報Aを提供する場合は、利用者UBの提供情報Aに対する感度を設定する。例えば、情報処理装置100は、利用者UBの属性(デモグラフィック属性やサイコグラフィック属性等)に応じて感度を設定してもよく、利用者UBの属性と、提供情報Aの属性との組み合わせに応じて感度を設定してもよい。より具体的な例を挙げると、情報処理装置100は、提供情報Aに利用者UBが好む情報が含まれている場合は、提供情報Aに対する利用者UBの感度を「100」とし、提供情報Aに利用者UBが好む情報が含まれていない場合は、提供情報Aに対する利用者UBの感度を「50」とする。
【0051】
そして、情報処理装置100は、利用者UBの提供情報Aに対する感度が高い程、提供情報Aの精度(粒度)を高くした状態で、提供情報Aを提供する。例えば、情報処理装置100は、提供情報Aに対する利用者UBの感度が「50」であり、場所Aからの距離が5メートルである場合は、提供情報Aの精度を低くした状態で提供し、提供情報Aに対する利用者UBの感度が「100」であり、場所Aからの距離が5メートルである場合は、提供情報Aの精度を低くすることなく提供してもよい。また、例えば、情報処理装置100は、提供情報Aに対する利用者UBの感度が「50」である場合は、場所Aからの距離が1メートルであっても、提供情報Aの精度を低くした状態で提供し、提供情報Aに対する利用者UBの感度が「100」である場合は、場所Aからの距離が10メートルであったとしても、提供情報Aの精度を低くすることなく提供してもよい。
【0052】
同様に、情報処理装置100は、経過期間が所定の閾値を超えていたとしても、提供情報Aに対する利用者UBの感度が高い場合は、提供情報Aの精度を低くすることなく提供してもよい。また、情報処理装置100は、例えば、提供情報Aに対する利用者UBの感度が高い場合は、利用者UBが場所Aから100メートル離れている場合であっても、提供情報A(もしくはその精度を落とした情報)の提供を行ってもよい。一方、情報処理装置100は、例えば、提供情報Aに対する利用者UBの感度が低い場合は、利用者UBが場所Aから10メートルの距離まで近づいた際に、提供情報A(もしくはその精度を落とした情報)の提供を行ってもよい。
【0053】
また、情報処理装置100は、場所Aに提供情報Aと提供情報Bとが対応付けられている場合、利用者UCの属性と提供情報Aの属性との組み合わせに基づいて、利用者UCの提供情報Aに対する感度を設定し、利用者UCの属性と提供情報Bの属性との組み合わせに基づいて、利用者UCの提供情報Bに対する感度を設定する。そして、情報処理装置100は、提供情報A,Bごとに個別に設定した感度に基づいて、提供情報A,Bを合成した合成情報ABを生成し、生成した合成情報ABを利用者UCに提供してもよい。
【0054】
また、情報処理装置100は、提供情報Aに関する利用者UAの属性と、提供情報Aの配信先(もしくはその候補)となる利用者UB属性との関係性に基づいて、利用者UBの提供情報Aに関する感度を設定してもよい。例えば、情報処理装置100は、利用者UAの属性と、利用者UBの属性との組み合わせに応じて、利用者UBの提供情報Aに関する感度を設定してもよい。例えば、情報処理装置100は、利用者UAが20代の女性である場合、利用者UBが20代の女性である場合は、利用者UBの提供情報Aに関する感度を所定値よりも高くし、利用者UBが50代の男性である場合は、利用者UBの提供情報Aに関する感度を所定値よりも低くしてもよい。また、例えば、情報処理装置100は、利用者UAが50代の女性である場合、利用者UBが20代の男性である場合は、利用者UBの提供情報Aに関する感度を所定値よりも低くし、利用者UBが50代の男性である場合は、利用者UBの提供情報Aに関する感度を所定値よりも高くしてもよい。なお、情報処理装置100は、利用者UA、UBの属性の共通性が高い程感度を高くしてもよいが、利用者UA、UBの属性の共通性が低い程感度を高くしてもよい。また、情報処理装置100は、利用者UA、UBの属性の組合せごとにあらかじめ定められた感度を設定してもよい。
【0055】
なお、上述した属性とは、例示した年代や性別に限定されるものではなく、例えば、好みや住所、ウェブ検索の履歴や購買履歴の傾向、SNS上での関係性、現在実行している行動内容等を含む概念である。また、情報処理装置100は、利用者UAの属性と、提供情報Aの属性と、利用者UBの属性との組み合わせに応じて、利用者UBの提供情報Aに対する感度を設定してもよい。また、情報処理装置100は、例えば、SNS上で利用者UAとつながりのある利用者UBにのみ、提供情報Aを配信してもよい。
【0056】
〔1-6.匂いのメタファのまとめ〕
上述したように、情報処理装置100は、利用者が訪問した場所に利用者に関する情報を提供情報として紐づける。そして、情報処理装置100は、例えば、利用者と場所との距離、利用者の属性、提供情報に関する利用者の属性と提供情報の提供先となる利用者の属性との組み合わせ、提供情報の属性、提供情報を紐づけてから経過した期間、利用者の属性と提供情報の属性とのマッチ度等に応じて、提供情報を提供する対応を決定する。
【0057】
より具体的には、情報処理装置100は、上述した各種の処理により、提供情報Aを提供する提供領域、地点Aからの距離に応じた提供情報Aの提供態様、提供情報Aに対する利用者UBの感度等をそれぞれ設定し、設定結果に応じて、提供情報Aを利用者UBに提供する態様(例えば、そのまま提供するか、精度を落として提供するか等)を決定する。そして、情報処理装置100は、決定した態様で提供情報Aを利用者UBに提供する。
【0058】
上述した処理を実行するのであれば、情報処理装置100は、上述したすべての処理を同時並行して実行してもよく、任意に選択された一部の処理のみを実行してもよい。
【0059】
また、上述した提供情報Aの提供態様は、利用者UAによる設定に従ってもよく、利用者UBによる設定に従ってもよい。例えば、情報処理装置100は、利用者UAが設定した属性の利用者にのみ、提供情報Aを配信してもよく、利用者UAが設定した距離や感度の利用者に提供情報Aを配信してもよい。また、情報処理装置100は、利用者UAが設定した方向に提供範囲を徐々に拡張してもよく、利用者UAが設定した経過期間が経過した後は、提供情報Aの配信を取りやめてもよい。また、情報処理装置100は、利用者UBが設定した属性の提供情報のみを利用者UBに配信してもよく、利用者UBが設定した感度に基づいて、利用者UBに提供情報を提供する際の提供態様を制御してもよい。
【0060】
このような各種の設定により、例えば、上司から部下、あるユーザからそのフォローワー等にのみ提供情報が提供されるといったサービスを実現することができる。なお、例えば、情報処理装置100は、山を下山する人が山道の途中に設定した「山頂は危ない」という情報を、山に登る人(すなわち、「山に登る」という属性の利用者)に対して提供するようにしてもよく、このような提供情報の提供範囲を、山道の下山方向に徐々に拡張させてもよい。このような処理を行った場合、情報処理装置100は、下山中の利用者に対しては、「山頂は危ない」という情報を伝えないが、登山中の利用者に対しては、「山頂は危ない」という情報を提供することができる。
【0061】
また、情報処理装置100は、例えば、駅からショッピングモールに向かう人と、ショッピングモールから駅に向かう人とで異なる情報を提供することができる。なお、情報処理装置100は、これら以外にも、渋滞、タイムセール、事故、不審者、混雑、山火事、熊の出没、猟の獲物の情報、落石情報等、時間と共に重要性が減衰するような、フレッシュネス、タイムリーさが重要な情報の配信を適切な態様で行うことができる。なお、例えば、情報処理装置100は、提供情報Aの精度を徐々に低下させたり、提供範囲を徐々に狭くするだけではなく、例えば、時間の経過とともに精度を徐々に上昇させたり、範囲を徐々に広げてもよく、例えば、最初は精度を徐々に低下させるあるいは提供範囲を徐々に狭くするが、残り時間が所定の閾値を下回った場合は、精度を元の精度に戻したり、範囲を最大まで拡張してもよい。
【0062】
〔1-7.情報移動について〕
また、情報処理装置100は、利用者の移動に応じて、ある場所と紐づけられた提供情報を他の場所に伝播させ、その場所と新たに紐づけてもよい。すなわち、情報処理装置100は、残り香のメタファで情報の伝播を実現してもよい。
【0063】
例えば、情報処理装置100は、利用者UBが提供情報Aを紐づけた地点Aを訪問した場合は、利用者UBに提供情報Aを紐づける。ここで、情報処理装置100は、利用者UBが地点Aから所定の範囲内に訪問した場合や、利用者UBの属性と提供情報Aの属性あるいは利用者UAの属性(もしくはその組み合わせ)が所定の条件を満たす場合、利用者UBの提供情報Aに対する感度、提供情報Aが場所Aに紐づけられてから経過した時間等に応じて、利用者UBに提供情報Aを紐づけるか否か、利用者UBに紐づける際の提供情報Aの態様(例えば、どの程度の精度にするか)を適宜制御してもよい。なお、以下の説明では、利用者UBに紐づけた情報を提供情報ABとする。
【0064】
続いて、情報処理装置100は、利用者UBが所定の場所Bに訪問した場合は、提供情報ABを場所Bに紐づける。この際、情報処理装置100は、提供情報ABをそのまま場所Bに紐づけてもよく、例えば、利用者UBが場所Aを訪問してから場所Bを訪問するまで移動した距離や時間、利用者UBの属性や提供情報ABの属性等に応じて、提供情報ABの精度を変更し、変更済みの提供情報ABを場所Bに紐づけてもよい。そして、情報処理装置100は、場所Bに近づいた利用者UCに対して、提供情報ABを提供する。なお、情報処理装置100は、例えば、提供情報ABと、利用者Bの提供情報Bとを合成した合成情報ABBを場所Bに紐づけてもよい。このような合成の際、情報処理装置100は、利用者UBが場所Aを訪問してから場所Bを訪問するまで移動した距離や時間、利用者UBの属性や提供情報ABの属性等に応じて、合成時の重みを制御してもよい。
【0065】
なお、例えば、情報処理装置100は、利用者UBに対して場所Aの提供情報Aを伝播させるかを問い合わせ、許諾が得られた場合に、上述した処理を実行してもよい。また、情報処理装置100は、利用者UBが設定若しくは許諾した位置に、提供情報Aを紐づけてもよい。
【0066】
また、情報処理装置100は、利用者UBが移動した経路上に、利用者UBを紐づけた提供情報ABを適宜紐づけてもよい。このような場合、情報処理装置100は、利用者UBが移動した経路情報を訪問した利用者UCに、もともと場所Aに紐づけられていた提供情報A(もしくは提供情報Aに基づく提供情報AB)を伝達することとなる。この際、情報処理装置100は、提供情報ABの提供範囲を、提供情報Aの提供範囲よりも狭く設定してもよく、提供情報ABを提供する期間を、場所Aに紐づけた提供情報Aを提供する期間よりも短くしてもよい。また、情報処理装置100は、さらに利用者UCに提供情報ABを紐づけてもよい。
【0067】
また、例えば、情報処理装置100は、利用者UBに提供情報ABを紐づけた場合、利用者UBから所定の範囲内の利用者UCに対して、提供情報ABを提供してもよい。すなわち、情報処理装置100は、利用者UCが場所Aに訪問していない場合であっても、場所Aを訪問した利用者UBにちかづくことで、あたかもその残り香を感じるように、場所Aに紐づけられていた提供情報A(もしくはそれに基づく提供情報AB)を利用者UCに提供してもよい。また、情報処理装置100は、さらに利用者UCに提供情報ABを紐づけてもよい。
【0068】
また、情報処理装置100は、利用者UBに近づいた利用者UCに提供情報ABを提供する際、場所Aに紐づけられた提供情報Aを利用者UBに提供する際と同様に、利用者UBと利用者UCとの距離、利用者UBに提供情報ABを紐づけてから経過した期間、利用者UBの属性、利用者UBの属性、提供情報ABの属性、これらの組合せ等に応じて、提供情報ABを利用者UCに提供する際の精度等を制御してもよい。
【0069】
なお、情報処理装置100は、利用者UBが意識的に提供情報ABを提供する旨を許諾したか否かに応じて、提供情報ABの提供態様を変化させてもよい。例えば、情報処理装置100は、利用者UBが意識的に提供情報ABを提供する旨を許諾した場合は、提供情報ABの精度を悪化させる期間を長くしてもよい。
【0070】
〔2.情報処理システムの構成例〕
図2を参照し、実施形態に係る情報処理装置100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10(10A,10B,10C)と情報処理装置100とを含む。端末装置10(10A,10B,10C)と情報処理装置100は、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0071】
なお、図2に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、図2では、図示の簡略化のため、端末装置10を3つの端末装置10A,10B,10Cにより構成したが、1台または2台であってもよく、4台以上であってもよい。
【0072】
端末装置10は、利用者Uによって使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機やAV機器、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス、スマートスピーカ、カメラ等である。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0073】
端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、情報処理装置100と通信することができる。
【0074】
情報処理装置100は、例えばPCやサーバ装置、あるいはメインフレームまたはワークステーション等である。なお、情報処理装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0075】
〔3.情報処理装置の構成例〕
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0076】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(図2参照)と有線または無線で接続される。
【0077】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図4に示すように、記憶部120は、利用者情報データベース121と、更新情報データベース122と、提供情報データベース123とを有する。
【0078】
(利用者情報データベース121)
利用者情報データベース121は、利用者Uに関する利用者情報を記憶する。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの属性等の種々の情報を記憶する。図4は、利用者情報データベース121の一例を示す図である。図4に示した例では、利用者情報データベース121は、「利用者ID(Identifier)」、「年齢」、「性別」、「自宅」、「勤務地」、「興味」といった項目を有する。
【0079】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。なお、「利用者ID」は、利用者Uの連絡先(電話番号、メールアドレス等)であってもよいし、利用者Uの端末装置10を識別するための識別情報であってもよい。
【0080】
また、「年齢」は、利用者IDにより識別される利用者Uの年齢を示す。なお、「年齢」は、利用者Uの具体的な年齢(例えば35歳など)を示す情報であってもよいし、利用者Uの年代(例えば30代など)を示す情報であってもよい。あるいは、「年齢」は、利用者Uの生年月日を示す情報であってもよいし、利用者Uの世代(例えば80年代生まれなど)を示す情報であってもよい。また、「性別」は、利用者IDにより識別される利用者Uの性別を示す。
【0081】
また、「自宅」は、利用者IDにより識別される利用者Uの自宅の位置情報を示す。なお、図4に示す例では、「自宅」は、「LC11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「自宅」は、地域名や住所であってもよい。
【0082】
また、「勤務地」は、利用者IDにより識別される利用者Uの勤務地(学生の場合は学校)の位置情報を示す。なお、図5に示す例では、「勤務地」は、「LC12」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「勤務地」は、地域名や住所であってもよい。
【0083】
また、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uの興味を示す。すなわち、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uが関心の高い対象を示す。例えば、「興味」は、利用者Uが検索エンジンに入力して検索した検索クエリ(キーワード)等であってもよい。なお、図5に示す例では、「興味」は、各利用者Uに1つずつ図示するが、複数であってもよい。
【0084】
例えば、図4に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uの年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、自宅が「LC11」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、勤務地が「LC12」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「スポーツ」に興味があることを示す。
【0085】
ここで、図4に示す例では、「U1」、「LC11」および「LC12」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「LC11」および「LC12」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0086】
なお、利用者情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの端末装置10に関する各種情報を記憶してもよい。また、利用者情報データベース121は、利用者Uのデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ジオグラフィック(地理学的属性)、ベヘイビオラル(行動学的属性)等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。
【0087】
(更新情報データベース122)
更新情報データベース122は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報の更新情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。図5は、更新情報データベース122の一例を示す図である。図5に示した例では、更新情報データベース122は、所定領域の位置情報「位置L11」に対して、「日付」、「時間」、「利用者ID」、「提供情報」といった項目を有する。
【0088】
「位置L11」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置を表す情報である。「日付」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報と提供情報を記憶または更新した日付を表す情報である。「時間」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報と提供情報を記憶または更新した時間を表す情報である。「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。「提供情報」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた情報である。
【0089】
例えば、図5に示す例において、所定領域の位置情報「位置L11」は、相違する3個の利用者ID「U1」「U2」「U3」により識別される3人の利用者Uによる提供情報「渋滞1」「渋滞2」「渋滞3」により更新されたことを示す。
【0090】
例えば、所定領域が「東名高速道路」であり、位置情報「位置L11」が「大和トンネル」であるとき、提供情報は「渋滞情報」である。「渋滞情報」は、時間の経過と共に、3人の利用者Uの提供情報により更新されたことを示す。なお、提供情報は「渋滞情報」に限らず、例えば、道路の「事故情報」や「落石情報」、百貨店の「混雑情報」や「タイムセール情報」、住宅街の「不審者情報」、山地の「火事情報」、地域の「熊出没情報」や「獲物発見情報」などとしてもよい。
【0091】
(提供情報データベース123)
提供情報データベース123は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報の減衰情報(減衰度)に関する各種情報を記憶する。図6は、提供情報データベース123の一例を示す図である。図6に示した例では、提供情報データベース123は、「日付」、「位置情報」、「提供情報」、「減衰度」といった項目を有する。
【0092】
「日付」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報と提供情報を記憶または更新した情報である。「位置情報」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置を表す情報である。「提供情報」は、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた情報である。「減衰度」は、時間の経過と共に減衰した「提供情報」の減衰度の情報である。
【0093】
例えば、図6に示す例において、所定領域の位置情報「位置L30」「位置L20」「位置L15」「位置L12」に対する「渋滞」「事故」「混雑」「クマ出没」は、それぞれ時間の経過と共に、「減衰度」が「100%」「80%」「50%」「20%」まで減衰していることを示す。
【0094】
例えば、所定領域が「東名高速道路」であり、位置情報「位置L30」が「大和トンネル」であるとき、提供情報は「渋滞情報」である。ここで、提供情報を記憶または更新してから時間の経過がないことから、「減衰度」が「100%」であることを示す。また、所定領域が「百貨店A」であり、位置情報「位置L15」が「食料品売場」であるとき、提供情報は「混雑情報」である。ここで、提供情報を記憶または更新してから時間が経過していることから、「減衰度」が「50%」であることを示す。
【0095】
(制御部130)
図3に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報処理装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。図3に示す例では、制御部130は、取得部131と、条件設定部141と、推定部132と、更新部133と、減衰部134と、提供部135とを有する。
【0096】
(取得部131)
取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの端末装置10から、コンテキストとして、利用者Uが訪問した所定領域の位置情報と、位置情報に関連付けられた提供情報を取得する。
【0097】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uに関する利用者情報を取得してもよい。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)や、利用者Uの位置情報、利用者Uの属性情報等を取得する。また、取得部131は、利用者Uのユーザ登録時に、利用者Uを示す識別情報や、利用者Uの属性情報等を取得してもよい。そして、取得部131は、利用者情報を、記憶部120の利用者情報データベース121に登録する。
【0098】
また、取得部131は、通信部110を介して、各利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得してもよい。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報を取得する。そして、取得部131は、各種の履歴情報を、記憶部120の利用者情報データベース121に登録する。
【0099】
また、取得部131は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報と提供情報を関連付け、更新情報データベース122に記憶する。すなわち、取得部131は、所定領域の位置情報に対する提供情報として、更新情報データベース122に記憶する。
【0100】
(条件設定部141)
条件設定部141は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に対する提供情報に訪問条件を設定する。条件設定部141は、提供情報に指向性を付随させる。例えば、所定領域の位置情報が道路であり、提供情報が渋滞情報や事故情報などであったとき、訪問条件は、上り車線または下り車線に設定される。また、所定領域の位置情報が登山路であり、提供情報が山頂の混雑情報などであったとき、訪問条件は、登山路の登りに設定される。
【0101】
また、条件設定部141は、所定領域の位置情報が変形するように訪問条件を設定してもよい。この場合、所定領域の位置情報における範囲が円形ではなく、例えば、楕円形に変形させる。
【0102】
(推定部132)
推定部132は、更新情報データベース122に記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報との一致度を推定する。この場合、推定部132は、一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する。例えば、更新情報データベース122に記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報とが全く同位置であれば、一致度を100%とし、ずれる距離に応じて一致度を低下させる。
【0103】
そして、推定部132は、更新情報データベース122に記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報との一致度が、例えば、判定値としての80%以上であるか否かを判定する。判定値としての80%は、適宜設定すればよいものである。
【0104】
推定部132が推定した一致度が、判定値(例えば、80%)以上ではないと判定したとき、取得部131は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報と提供情報を関連付け、更新情報データベース122に記憶する。すなわち、取得部131は、所定領域の位置情報に対する提供情報として、更新情報データベース122に記憶する。
【0105】
また、推定部132は、更新情報データベース122に記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報との一致度が判定値以上であるとき、更新情報データベース122に記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者Uが訪問したときの訪問条件との一致度を推定する。この場合、推定部132は、一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する。例えば、更新情報データベース122に記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者Uが訪問したときの訪問条件とが同じであれば、一致度を100%とし、ずれ量に応じて一致度を低下させる。
【0106】
そして、推定部132は、更新情報データベース122に記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者Uが訪問したときの訪問条件との一致度が、例えば、判定値としての80%以上であるか否かを判定する。判定値としての80%は、適宜設定すればよいものである。
【0107】
(更新部133)
推定部132が推定した一致度が、判定値(例えば、80%)以上であると判定したとき、更新部133は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報に基づいて、更新情報データベース122に記憶された所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報を更新する。
【0108】
このとき、更新部133は、更新情報データベース122に記憶され提供情報を取得した利用者Uと、更新情報データベース122に記憶された所定領域を新たに訪問した利用者Uとが一致したとき、更新情報データベース122に記憶された提供情報を新たに訪問した利用者Uの提供情報に置換して更新する。
【0109】
また、更新部133は、更新情報データベース122に記憶され提供情報を取得した利用者Uと、更新情報データベース122に記憶された所定領域を新たに訪問した利用者Uとが一致しないとき、更新情報データベース122に記憶された提供情報に新たに訪問した利用者Uの提供情報を追加するように合成して更新する。
【0110】
また、更新部133は、更新情報データベース122に記憶された提供情報と、更新情報データベース122に記憶された所定領域を新たに訪問した利用者の提供情報とが同じ分野であるとき、更新情報データベース122に記憶された所定領域に関連付けられた提供情報に所定領域を新たに訪問した利用者の情報を追加して更新する。
【0111】
なお、更新部133は、更新情報データベース122に記憶された提供情報をこうしんするとき、提供情報データベース123に記憶された提供情報の利用者Uと新たに所定領域を訪問した利用者Uとの相性に応じて、更新形態を異ならせてもよい。例えば、両者の位置情報の一致度は高いが、提供情報の内容が相違する場合、更新しない、または、更新量を減少させる。
【0112】
(減衰部134)
減衰部134は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられて更新情報データベース122に記憶された提供情報を、時間の経過に伴って減衰させる。減衰部134は、減衰させた提供情報を提供情報データベース123に記憶する。この場合、減衰部134は、提供情報の量または質を低下させる。すなわち、減衰部134は、提供情報の精度を低下させたり、提供情報の一部をランダムに欠落させたりしてもよい。提供情報が画像であるとき、減衰部134は、提供情報の画像の解像度を低下させてもよい。なお、減衰部134は、提供情報の種類に応じて減衰態様を変更してもよい。また、減衰部134は、提供情報が減衰して完全に消滅するまでの時間を設定してもよい。さらに、減衰部134は、端末装置10のユーザUの属性に応じて減衰度合を異ならせてもよい。
【0113】
なお、減衰部134は、更新情報データベース122に記憶された提供情報を時間の経過に伴って減衰させるものであるが、この構成に限定されるものではない。例えば、減衰部を増減部とし、増減部は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられて更新情報データベース122に記憶された提供情報を、時間の経過に伴って減衰または増幅させる。
【0114】
(提供部135)
提供部135は、通信部110を介して、所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報を利用者Uの端末装置10に提供する。提供部135は、所定領域を訪問した利用者の訪問態様と訪問条件との比較結果に基づいて利用者Uの端末装置10に提供情報を提供する。具体的に、推定部132が推定した一致度が、判定値(例えば、80%)以上であると判定したとき、提供部135は、提供情報データベース123に記憶された提供情報を利用者Uの端末装置10に提供する。この場合、利用者Uの端末装置10に提供する提供情報は、減衰部134が減衰させた減衰提供情報である。
【0115】
提供部135は、推定部132が推定した所定領域の位置情報の一致度が判定値以上であり、且つ、推定部132が推定した訪問条件の一致度が判定値以上であるとき、提供部135は、提供情報データベース123に記憶された提供情報を利用者Uの端末装置10に提供する。
【0116】
なお、提供部135は、一致度に応じて利用者Uに対する提供情報の情報量を変動させてもよい。例えば、一致度に対する判定値を50%とし、提供部135は、一致度が60%であるとき、提供情報の60%を利用者Uに提供する。また、提供部135は、提供情報データベース123に記憶された提供情報の利用者Uと新たに所定領域を訪問した利用者Uとの相性に応じて、新たな利用者Uの端末装置10に提供する提供情報量(減衰度)を異ならせてもよい。例えば、新たに所定領域を訪問した利用者Uは、自分の属性と提供情報データベース123に記憶された提供情報の利用者Uと属性の一致度が高いほど、提供される情報量が多くなる。すなわち、新たに所定領域を訪問した利用者Uの感度に応じて提供情報の減衰度、つまり、情報量が相違する。ここで、感度とは、利用者同士の属性の距離、利用者の能力、物理的距離、時間的距離などである。
【0117】
〔4.処理手順〕
図8を用いて実施形態に係る情報処理装置100による情報処理手順について説明する。図8は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す情報処理手順は、情報処理装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0118】
図8に示すように、情報処理装置100の取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの端末装置10から、利用者Uが訪問した所定領域の位置情報を取得する(ステップS101)。情報処理装置100の取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの端末装置10から、取得した位置情報に関する提供情報を取得する(ステップS102)。
【0119】
続いて、取得部131は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に対する提供情報に対して、訪問条件を設定する(ステップS103)。取得部131は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に対して、訪問条件を設定した提供情報を関連付けて記憶する(ステップS104)。そして、情報処理装置100の減衰部134は、所定領域の位置情報に関連付けられて記憶された提供情報を、時間の経過に伴って減衰させる(ステップS105)。
【0120】
〔5.更新処理手順〕
図9を用いて実施形態に係る情報処理装置100による情報更新処理手順について説明する。図9は、実施形態に係る情報更新処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す情報処理手順は、情報処理装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0121】
図9に示すように、情報処理装置100の取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの端末装置10から、利用者Uが訪問した所定領域の位置情報を取得する(ステップS111)。情報処理装置100の取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの端末装置10から、取得した位置情報に関する提供情報を取得する(ステップS112)。
【0122】
情報処理装置100の推定部132は、記憶された所定領域の位置情報と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報との一致度を推定する。そして、推定部132は、推定した一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する(ステップS113)。ここで、推定部132が推定した一致度が判定値以上ではないと判定(No)すると、取得部131は、端末装置10から取得した所定領域の位置情報に対して、取得した提供情報を関連付けて記憶する(ステップS114)。そして、情報処理装置100の減衰部134は、所定領域の位置情報に関連付けられて記憶された提供情報を、時間の経過に伴って減衰させる(ステップS115)。
【0123】
一方、推定部132は、推定した位置情報の一致度が判定値以上であると判定(Yes)すると、記憶された提供情報の訪問条件と、新たな利用者Uが訪問した所定領域の位置情報における提供情報の訪問条件との一致度を推定する。そして、推定部132は、推定した一致度が予め設定された判定値以上であるか否かを判定する(ステップS116)。
【0124】
ここで、推定部132が推定した訪問条件の一致度が判定値以上であると判定(Yes)すると、利用者Uに対して減衰された状態で記憶されている所定領域の位置情報に関連付けられた減衰情報を、利用者Uの端末装置10に提供する(ステップS117)。そして、利用者Uの端末装置10から取得した所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報に基づいて、記憶された所定領域の位置情報に関連付けられた提供情報を更新する(ステップS118)。但し、推定部132が推定した訪問条件の一致度が判定値以上ではないと判定(No)すると、利用者Uの端末装置10に減衰情報を提供しない。
【0125】
〔6.ハードウェア構成〕
上述した実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図9は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0126】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0127】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0128】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、およびプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0129】
また、出力I/F1060および入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010および入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010および入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0130】
また、出力装置1010および入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060および入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0131】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0132】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0133】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0134】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0135】
〔7.効果〕
上述したように、本実施形態の情報処理装置100は、取得部131と、条件設定部141と、記憶部120と、提供部135とを備える。取得部131は、所定領域を訪問した利用者に関する情報を取得し、条件設定部141は、取得部131が取得した情報に訪問条件を設定し、記憶部120は、所定領域に対して訪問条件が設定された情報を関連付けて記憶し、提供部135は、所定領域を訪問した利用者の訪問態様と訪問条件との比較結果に基づいて記憶部120に記憶された情報を提供する。
【0136】
また、本実施形態の情報処理装置100は、取得部131と、減衰部134と、提供部135とを備える。取得部131は、所定領域を訪問した利用者に関する情報を取得し、減衰部134は、所定領域に対して取得部131が取得した情報を時間の経過に伴って減衰させ、提供部135は、所定領域を訪問した利用者に対して減衰部134により減衰された減衰情報を提供する。
【0137】
そのため、新たな情報提供を可能とすることができる。
【0138】
〔8.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0139】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0140】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0141】
例えば、上述した情報処理装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0142】
また、上述した実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0143】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0144】
1 情報処理システム
10,10A,10B,10C 端末装置
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 利用者情報データベース
122 更新情報データベース
123 提供情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 更新部
134 減衰部
135 提供部
141 条件設定部
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9