(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】生産システムの情報収集装置、情報収集方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20231222BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20231222BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021171963
(22)【出願日】2021-10-20
(62)【分割の表示】P 2021519174の分割
【原出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】若松 剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 智之
(72)【発明者】
【氏名】中西 光章
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-198447(JP,A)
【文献】特開平08-240452(JP,A)
【文献】特開2020-149531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積するデータハンドリング部と、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出する制御信号抽出部と、を備え
、
前記制御信号抽出部は、同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出する、生産システムの情報収集装置。
【請求項2】
前記データハンドリング部は、前記ローカル機器の動作時刻に関する時間情報を、前記データベースに更に蓄積し、
前記制御信号抽出部は、前記時間情報に基づいて、前記信号セットを抽出する、請求項1記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項3】
前記データハンドリング部は、前記ローカル機器を動作させるプログラムに関するプログラム情報を、前記データベースに更に蓄積し、
前記制御信号抽出部は、前記プログラム情報に基づいて、前記信号セットを抽出する、請求項1又は2記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項4】
前記データハンドリング部は、前記ローカル機器により生産されるワークに関するワーク情報を、前記データベースに蓄積し、
前記制御信号抽出部は、前記ワーク情報に基づいて、前記信号セットを抽出する、請求項1~3のいずれか一項記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項5】
前記制御信号抽出部が繰り返し抽出した複数の信号セットに基づいて、前記同一の工程に対する信号セットの経時変化を表す経時変化画面を生成する経時変化画面生成部を更に備える、請求項
1~4のいずれか一項記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項6】
前記データハンドリング部は、前記複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報を前記データベースに更に蓄積し、
前記制御信号抽出部は、前記グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する前記2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出し、
生産システムの情報収集装置は、
前記同一グループの信号セットに基づいて、当該グループに対応する前記ローカル機器の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成する動作評価部と、
前記動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成する一覧画面生成部と、を更に備える、請求項1
~5のいずれか一項記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項7】
前記データハンドリング部は、2以上の工程を含む前記ローカル機器の動作により生産されるワークに関するワーク情報を含む前記グルーピング情報を前記データベースに蓄積し、
前記制御信号抽出部は、少なくとも前記ワーク情報に基づいて、同一ワークに対する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、前記同一グループの信号セットとして抽出する、請求項
6記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項8】
前記データハンドリング部は、前記ワークの品質の検査結果を表す品質情報を前記データベースに更に蓄積し、
前記一覧画面生成部は、前記品質情報をワークごとに表示する品質一覧画面を更に生成する、請求項
7記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項9】
前記データハンドリング部は、前記ローカル機器の2以上の工程を含む複数のジョブプログラムに関するジョブ情報を含む前記グルーピング情報を前記データベースに蓄積し、
前記制御信号抽出部は、少なくとも前記ジョブ情報に基づいて、同一ジョブプログラムに属する前記2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、前記同一グループの信号セットとして抽出する、請求項
6~
8のいずれか一項記載の生産システムの情報収集装置。
【請求項10】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積するデータハンドリング部と、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出する制御信号抽出部と、を備え、
前記データハンドリング部は、前記複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報を前記データベースに更に蓄積し、
前記制御信号抽出部は、前記グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する前記2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出し、
生産システムの情報収集装置は、
前記同一グループの信号セットに基づいて、当該グループに対応する前記ローカル機器の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成する動作評価部と、
前記動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成する一覧画面生成部と、を更に備える、生産システムの情報収集装置。
【請求項11】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、
同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出することと、
を含む情報収集方法。
【請求項12】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、
前記複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報を前記データベースに更に蓄積することと、
前記グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する前記2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出することと、
前記同一グループの信号セットに基づいて、当該グループに対応する前記ローカル機器の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成することと、
前記動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成することと、を含む情報収集方法。
【請求項13】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、
同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出することと、を装置に実行させるプログラム。
【請求項14】
モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、
前記データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、
前記複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報を前記データベースに更に蓄積することと、
前記グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する前記2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出することと、
前記同一グループの信号セットに基づいて、当該グループに対応する前記ローカル機器の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成することと、
前記動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成することと、を装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産システムの情報収集装置、情報収集方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生産設備において、データのグループ分けの基準が動作した時間情報を含む基準データを取得する基準データ取得部と、生産設備に設けられた検出器により検出された生産設備の状態に関する対象データを取得する対象データ取得部と、基準データのグループ別に、対象データにおいて基準データの動作時間帯と同一時間帯に検出されたデータを、基準データと結合させたグループ別結合データを生成する結合データ生成部と、を備える、生産設備のデータ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ローカル機器のコンディション変化の早期把握に有効なデータ収集装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る生産システムの情報収集装置は、モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積するデータハンドリング部と、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出する制御信号抽出部と、制御信号抽出部が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成する制御信号評価部と、を備える。
【0006】
本開示の他の側面に係る情報収集方法は、モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、制御信号抽出部が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成することと、を含む。
【0007】
本開示の更に他の側面に係るプログラムは、モータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、制御信号抽出部が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成することと、を装置に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ローカル機器のコンディション変化の早期把握に有効なデータ収集装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】生産システムの構成を例示する模式図である。
【
図3】情報収集装置の機能的な構成を例示するブロック図である。
【
図10】一覧画面の他の変形例を示す模式図である。
【
図13】情報収集装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図14】信号蓄積手順を例示するフローチャートである。
【
図15】信号評価手順を例示するフローチャートである。
【
図16】評価情報の生成手順を例示するフローチャートである。
【
図17】一覧画面の生成手順を例示するフローチャートである。
【
図18】一覧画面の生成手順の変形例を例示するフローチャートである。
【
図19】経時変化画面の生成手順を例示するフローチャートである。
【
図20】信号チャート画面の生成手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
〔生産システム〕
図1に示す生産システム1は、複数のローカル機器の協調動作によって、ワークの生産を行うシステムである。以下、ワークの生産過程において、各ローカル機器の作業対象となる物体の全てを「ワーク」という。例えば「ワーク」は、生産システム1における最終生産物、最終生産物の部品、及び複数の部品を組み合わせたユニット等を含む。
【0012】
協調動作は、少なくとも一つの上記最終生産物を得るための複数の工程を分担するように複数のローカル機器が動作することを意味する。複数のローカル機器は、一つの最終生産物を得るための複数の工程を工程単位で分担するように動作してもよいし、複数の最終生産物を得るための複数の工程を最終生産物単位で分担するように動作してもよい。
【0013】
生産システム1は、複数のローカル機器2と、制御システム100とを含む。ローカル機器2は、ワーク9の生産現場においてワーク9に対し直接的に作業を実行する機器である。直接的な作業は、例えば、熱エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー等の何らかのエネルギーをワーク9に付与する作業である。複数のローカル機器2の少なくともいずれかは、少なくとも1つのサーボモータを含む。例えば複数のローカル機器2は、少なくともロボットを含む(少なくとも1つのローカル機器2はロボットである)。
【0014】
図1に示す複数のローカル機器2は、搬送装置2Aと、ロボット2B,2Cとを含んでいるが、これに限られない。少なくともいずれかのローカル機器2が少なくとも1つのサーボモータを含んでいる限り、ローカル機器2の数及び種類は適宜変更可能である。
【0015】
搬送装置2Aは、例えば電動式のサーボモータ等を動力源としてワーク9を搬送する。搬送装置2Aの具体例としては、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等が挙げられる。ロボット2B,2Cは、搬送装置2Aが搬送するワーク9に対する作業を行う。ワーク9に対する作業の具体例としては、搬送装置2Aが搬送するワーク9(例えばベースパーツ)に対する他のワーク9(例えばサブパーツ)の組付け、搬送装置2Aが搬送するワーク9におけるパーツ同士の締結(例えばボルト締結)・接合(例えば溶接)等が挙げられる。
【0016】
例えばロボット2B,2Cは、6軸の垂直多関節ロボットであり、
図2に示すように、基部11と、旋回部12と、第1アーム13と、第2アーム14と、第3アーム17と、先端部18と、アクチュエータ41,42,43,44,45,46とを有する。基部11は、搬送装置2Aの周囲に設置されている。旋回部12は、鉛直な軸線21まわりに旋回するように基部11上に設けられている。第1アーム13は、軸線21に交差(例えば直交)する軸線22まわりに揺動するように旋回部12に接続されている。交差は、所謂立体交差のようにねじれの関係にある場合も含む。第2アーム14は、軸線22に実質的に平行な軸線23まわりに揺動するように第1アーム13の先端部に接続されている。第2アーム14は、アーム基部15とアーム端部16とを含む。アーム基部15は、第1アーム13の先端部に接続され、軸線23に交差(例えば直交)する軸線24に沿って延びている。アーム端部16は、軸線24まわりに旋回するようにアーム基部15の先端部に接続されている。第3アーム17は、軸線24に交差(例えば直交)する軸線25まわりに揺動するようにアーム端部16の先端部に接続されている。先端部18は、軸線25に交差(例えば直交)する軸線26まわりに旋回するように第3アーム17の先端部に接続されている。
【0017】
このように、ロボット10は、基部11と旋回部12とを接続する関節31と、旋回部12と第1アーム13とを接続する関節32と、第1アーム13と第2アーム14とを接続する関節33と、第2アーム14においてアーム基部15とアーム端部16とを接続する関節34と、アーム端部16と第3アーム17とを接続する関節35と、第3アーム17と先端部18とを接続する関節36とを有する。
【0018】
アクチュエータ41,42,43,44,45,46は、例えば電動式のサーボモータ及び減速機を含み、関節31,32,33,34,35,36をそれぞれ駆動する。例えばアクチュエータ41は、軸線21まわりに旋回部12を旋回させ、軸線22まわりに第1アーム13を揺動させ、軸線23まわりに第2アーム14を揺動させ、軸線24まわりにアーム端部16を旋回させ、軸線25まわりに第3アーム17を揺動させ、軸線26まわりに先端部18を旋回させる。
【0019】
なお、ロボット2B,2Cの具体的な構成は適宜変更可能である。例えばロボット2B,2Cは、上記6軸の垂直多関節ロボットに更に1軸の関節を追加した7軸の冗長型ロボットであってもよく、所謂スカラー型の多関節ロボットであってもよい。
【0020】
生産システム1は、検査装置5を更に備えてもよい。検査装置5は、ワーク9の品質を検査する。検査装置5の具体例としては、例えばワーク9の外観を検査するカメラが挙げられる。検査装置5は、レーザ光等により、ワーク9のサイズ等を検査するセンサであってもよい。生産システム1は、複数の検査装置5を備えてもよい。
【0021】
〔制御システム〕
制御システム100は、上位コントローラ300と、複数のローカルコントローラ400と、情報収集装置200とを有する。複数のローカルコントローラ400は、複数のローカル機器2をそれぞれ制御する。例えばローカルコントローラ400は、制御対象のローカル機器2の動作指令を取得し、当該ローカル機器2の動作を動作指令に追従させる。
【0022】
例えばローカルコントローラ400は、動作指令に基づいて、ローカル機器2のモータに対するローカル指令信号を生成し、モータからフィードバック信号を取得し、ローカル指令信号とフィードバック信号とに基づいてモータを制御する。例えばローカルコントローラ400は、ローカル指令信号とフィードバック信号との偏差を縮小させるように駆動電力をモータに出力する。ローカルコントローラ400は、1つのモータに対して複数のローカル指令信号を生成し、1つのモータから複数のフィードバック信号を取得し、複数のローカル指令信号と複数のフィードバック信号とに基づいて1つのモータを制御してもよい。
【0023】
ローカル指令信号の具体例としては、位置目標値(例えば回転角度目標値)を示す位置指令信号、速度目標値(例えば角速度目標値)を示す速度指令信号等が挙げられる。フィードバック信号の具体例としては、位置の検出値を示す位置信号、速度の検出値を示す速度信号、出力電流の指令値又は検出値を示す電流信号、出力電圧の指令値又は検出値を示す電圧信号等が挙げられる。
【0024】
ローカル機器2が複数のモータを有する場合、ローカルコントローラ400は、モータごとに1つ又は複数のローカル指令信号を生成し、モータごとに1つ又は複数のフィードバック信号をそれぞれ取得し、複数のモータをそれぞれ制御する。
【0025】
図1において、制御システム100は、3つのローカルコントローラ400A,400B,400Cを有する。ローカルコントローラ400Aは搬送装置2Aを制御し、ローカルコントローラ400Bはロボット2Bを制御し、ローカルコントローラ400Cはロボット2Cを制御する。ローカルコントローラ400の数及び各ローカルコントローラ400の構成は、ローカル機器2の数及び各ローカル機器2の種類に従って適宜変更可能である。
【0026】
上位コントローラ300は、複数のローカルコントローラ400に対し動作指令を出力し、複数のローカルコントローラ400からステータス情報を取得する。ステータス情報は、1つ又は複数の上記ローカル指令信号及び1つ又は複数の上記フィードバック信号を含む。また、上位コントローラ300は、検査装置5からワーク9の検査結果を取得する。上位コントローラ300の具体例としては、ラダープログラムに従って動作するプログラマブルロジックコントローラが挙げられる。
【0027】
情報収集装置200は、ローカル機器2の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成することと、を実行するように構成されている。内部情報とは、ローカルコントローラ400と、制御対象のローカル機器2との間で閉じた制御ループ内で生成・取得される情報である。例えば制御信号は、上述した1つ又は複数のローカル指令信号と、1つ又は複数のフィードバック信号とを含む。
【0028】
情報収集装置200は、有線通信又は無線通信により複数のローカルコントローラ400から制御信号を取得する。一例として、情報収集装置200は、有線通信又は無線通信により上位コントローラ300と通信可能であり、上位コントローラ300を介して複数のローカルコントローラ400から制御信号を取得する。
【0029】
図3に示すように、例えば情報収集装置200は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、データハンドリング部211と、制御信号抽出部212と、制御信号評価部213と、一覧画面生成部214とを有する。これらの機能ブロックは情報収集装置200の構成要素なので、各機能ブロックが実行する処理は、情報収集装置200が実行する処理である。
【0030】
データハンドリング部211は、ローカル機器2の制御信号を複数のローカルコントローラ400から取得し、データベースに蓄積する。データハンドリング部211は、ローカル機器2の動作時刻に関する時間情報を、データベースに更に蓄積してもよい。例えばデータハンドリング部211は、
図4に例示するように、モータごとの位置指令信号、速度指令信号、位置信号、速度信号、電圧信号、電流信号等を、時刻に対応付けて制御信号データベース223に蓄積する。データハンドリング部211は、例えば情報収集装置200のタイマ(後述のシステムタイマ297)が測定した時刻に基づいて、時間情報を取得する。データハンドリング部211は、時間情報を上位コントローラ300又はローカルコントローラ400から取得してもよい。
【0031】
データハンドリング部211は、ローカル機器2を動作させるプログラム(以下、「動作プログラム」という。)に関するプログラム情報を、データベースに更に蓄積してもよい。動作プログラムは、複数のジョブプログラムを含む。プログラム情報は、例えば制御対象のローカル機器2の識別情報と、各ジョブプログラムの識別情報とを含む。ジョブプログラムは、ローカル機器2の一まとまりの作業を表すプログラムである。一まとまりの作業の具体例としては、一連の経路に沿ったワーク9の搬送、一連の溶接ラインに沿ったワーク9の溶接、一連の塗装ラインに沿ったワーク9の塗装等が挙げられる。
【0032】
例えばデータハンドリング部211は、
図5に例示するように、ジョブプログラムの識別情報(図中の「ジョブ」)と、開始時刻と、終了時刻とを対応付けてプログラムデータベース221に蓄積する。ジョブプログラムは、時系列の2以上の工程を含んでいてもよい。この場合、データハンドリング部211は、ジョブプログラムの識別情報に、工程の識別情報(図中の「ステップ」)を更に対応付け、各工程に開始時刻と終了時刻とを対応付けてプログラムデータベース221に蓄積する。
【0033】
ジョブプログラムが2以上の工程を含む場合、複数の工程が、ジョブプログラムに関するジョブ情報(例えばジョブプログラムの識別情報)によって複数のグループにグルーピングされる。各グループは、同一ジョブプログラムに属する2以上の工程を含む。従って、ジョブプログラムの識別情報と、工程の識別情報とを対応付けてプログラムデータベース221に蓄積することは、ジョブ情報を含むグルーピング情報をデータベースに更に蓄積することの一例である。グルーピング情報は、複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングする情報である。
【0034】
データハンドリング部211は、ワーク9に関するワーク情報を、データベースに更に蓄積してもよい。例えば
図5に例示するように、データハンドリング部211は、ジョブの識別情報と、工程の識別情報とに、ワーク9の種別(図中の「種別」)と、ワーク9の個体識別情報(図中の「シリアルNo.」)とを更に対応付けてプログラムデータベース221に蓄積する。
【0035】
ワーク9が、2以上の工程を含むローカル機器2の動作により生産される場合、当該ワーク9の個体識別情報が2以上の工程の識別情報に対応付けられることとなる。この場合、複数の工程が、ワーク情報によっても複数のグループにグルーピングされる。各グループは、同一ワークに対する2以上の工程を含む。従って、ワーク9の個体識別情報と、工程の識別情報とを対応付けてプログラムデータベース221に蓄積することは、ワーク情報を含むグルーピング情報をデータベースに更に蓄積することの一例である。
【0036】
データハンドリング部211は、ワーク9の品質の検査結果を表す品質情報をデータベースに更に蓄積してもよい。例えば、
図6に示すように、データハンドリング部211は、ワーク9の種別と、ワーク9の個体識別情報と、検査装置5による検査時刻と、検査装置5による検査結果とを対応付けてワーク品質データベース222に蓄積する。検査装置5による検査時刻は、検査装置5による検査結果をプログラムデータベース221が取得した時刻であってもよい。
【0037】
図3に戻り、制御信号抽出部212は、制御信号データベース223に蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出する。制御信号抽出部212は、時間情報に基づいて信号セットを抽出してもよい。また、制御信号抽出部212は、プログラム情報に基づいて信号セットを抽出してもよい。例えば制御信号抽出部212は、上記1工程の開始時刻及び終了時刻をプログラムデータベース221から取得し、取得した開始時刻から終了時刻までの信号セットを制御信号データベース223から抽出する。
【0038】
なお、時間情報を媒介変数として制御信号を抽出することは必須ではない。例えば、プログラムデータベース221と制御信号データベース223とが一つのデータベースにまとめられている場合、制御信号抽出部212は、上記1工程の識別情報に基づいて、当該1工程の信号セットを抽出し得る。
【0039】
制御信号抽出部212は、ワーク情報に基づいて信号セットを抽出してもよい。例えば、制御信号抽出部212は、ワーク9の個体識別情報に対応付けられた工程の開始時刻及び終了時刻をプログラムデータベース221から取得し、取得した開始時刻から終了時刻までの信号セットを制御信号データベース223から抽出する。
【0040】
なお、この場合も、時間情報を媒介変数として制御信号を抽出することは必須ではない。例えば、プログラムデータベース221と制御信号データベース223とが一つのデータベースにまとめられている場合、制御信号抽出部212は、上記ワーク9の個体識別情報に基づいて、当該ワーク9に対応する工程の信号セットを抽出し得る。
【0041】
制御信号抽出部212は、ワーク品質データベース222におけるワーク9の検査時刻から、当該ワーク9に対する工程の開始時刻及び終了時刻を逆算し、逆算した開始時刻から終了時刻までの信号セットを制御信号データベース223から抽出してもよい。制御信号抽出部212は、抽出した信号セットを評価対象データベース224に格納する。
【0042】
制御信号抽出部212は、同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出し、評価対象データベース224に蓄積してもよい。例えば制御信号抽出部212は、工程の識別情報を指定する工程条件に基づいて、工程の識別情報が工程条件を満たす工程の信号セットを繰り返し抽出してもよい。また、制御信号抽出部212は、ワーク9の種別を指定するワーク条件に基づいて、ワーク9の種別がワーク条件を満たす工程の信号セットを繰り返し抽出してもよい。
【0043】
制御信号抽出部212は、同一の工程であって、且つ同一の時間帯に実行された工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出してもよい。例えば制御信号抽出部212は、工程の識別情報を指定する工程条件と、時間帯を指定する時間条件に基づいて、工程の識別情報が工程条件を満たし、開始時刻及び終了時刻が時間条件を満たす工程の信号セットを繰り返し抽出してもよい。また、制御信号抽出部212は、ワーク9の種別を指定するワーク条件と、時間帯を指定する時間条件に基づいて、ワーク9の種別がワーク条件を満たし、開始時刻及び終了時刻が時間条件を満たす工程の信号セットを繰り返し抽出してもよい。
【0044】
例えば制御信号抽出部212は、工程の識別情報を指定する工程条件と、時間帯を指定する時間条件に基づいて、工程の識別情報が工程条件を満たし、開始時刻、及び終了時刻が時間条件を満たす工程の信号セットを繰り返し抽出してもよい。制御信号抽出部212は、同一の工程であって、且つ同一の時間帯に実行された工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出してもよい。
【0045】
制御信号抽出部212は、上記グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出し、評価対象データベース224に格納してもよい。例えば制御信号抽出部212は、少なくとも上記ワーク情報に基づいて、同一ワークに対する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、同一グループの信号セットとして抽出してもよい。また、制御信号抽出部212は、少なくとも上記ジョブ情報に基づいて、同一ジョブに属する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、同一グループの信号セットとして抽出してもよい。
【0046】
制御信号評価部213は、制御信号抽出部212が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成する。信号セットの評価の具体例としては、信号セットの大きさ(以下、「信号レベル」という。)と、所定の基準レベルとの比較評価が挙げられる。この場合、評価情報は、信号レベルが基準レベルを超えているか否かを示す情報であってもよく、信号レベルが基準レベルを下回っているか否かを示す情報であってもよい。評価情報は、信号レベルと基準レベルとの差分を示す情報であってもよい。
【0047】
制御信号評価部213は、制御信号抽出部212により抽出された評価対象の信号セットと、過去に制御信号抽出部212により抽出された少なくとも一つの比較対象の信号セットとに基づいて評価対象の信号セットの評価情報を生成してもよい。この場合、評価情報は、評価対象の信号セットの信号レベルと、比較対象の信号セットの信号レベルとの差分を示す情報(以下、「異常度」という。)であってもよく、異常度が所定の基準乖離レベルを超えているか否かを示す情報であってもよく、異常度が当該基準乖離レベルを下回っているか否かを示す情報であってもよい。
【0048】
制御信号評価部213は、信号セットが入力されると評価情報を出力する複数種類の評価エンジン231のいずれか1つを、信号セットの抽出条件に基づいて選択し、信号セットと、選択した評価エンジンとに基づいて評価情報を生成してもよい。図中には、3つの評価エンジン231を示しているが、評価エンジンの数はこれに限られない。
【0049】
複数種類の評価エンジン231の具体例としては、上記基準レベルが互いに異なる複数の評価エンジン231、上記基準乖離レベルが互いに異なる複数の評価エンジン231が挙げられる。いずれかの評価エンジン231が、上記信号セットの信号レベルと上記基準レベルとを比較するエンジンであり、他の評価エンジン231が、上記評価対象の信号セットの信号レベルと上記比較対象の信号セットの信号レベルとを比較するエンジンであってもよい。
【0050】
制御信号評価部213は、生成した評価情報を、ジョブプログラムの識別情報、工程の識別情報、ワーク9の種別、ワーク9の個体識別情報等と対応付けて評価結果データベース225に格納する。上述したように、制御信号抽出部212が上記抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出する場合、制御信号評価部213は、制御信号抽出部212が繰り返し抽出した複数の信号セットを評価し、その評価結果をそれぞれ表す複数の評価情報(以下、「追跡対象の評価情報」という。)を生成して評価結果データベース225に蓄積してもよい。
【0051】
制御信号評価部213は、制御信号抽出部212が抽出した上記同一グループの信号セットのそれぞれを評価し、その評価結果をそれぞれ表す複数の評価情報(以下、「同一グループの評価情報」という。)を生成して評価結果データベース225に蓄積してもよい。
【0052】
一覧画面生成部214は、評価結果データベース225に蓄積された同一グループの評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成し、表示デバイス等に表示させる。一覧画面生成部214は、ワーク品質データベース222に蓄積された品質情報をワーク9ごとに表示する品質一覧画面を更に生成し、表示デバイス等に表示させてもよい。
【0053】
一覧画面生成部214は、
図7、
図8及び
図9に例示するように、一覧画面と品質一覧画面とを一画面で表示するように生成してもよい。
図7の画面においては、各行において、ワーク9の検査時刻と、ワーク9の種別と、ワーク9の個体識別情報と、同一グループ(ワーク9に対応するグループ)の評価情報(図中の「ステップ1評価」、「・・・」、「ステップN評価」)と、検査結果とが対応付けられている。
【0054】
図8の画面においては、各行において、評価情報の生成時刻(図中の「解析時刻」)と、ジョブプログラムの実行開始時刻(図中の「開始時刻」)と、ジョブプログラムの実行終了時刻(図中の「終了時刻」)と、ジョブプログラムの識別情報(図中の「ジョブ」)と、同一グループ(ジョブプログラムに対応するグループ)の評価情報(図中の「ステップ1評価」、「・・・」、「ステップN評価」)とが対応付けられている。
【0055】
図9の画面においては、各行において、ワーク9の検査時刻と、ワーク9の種別と、ワーク9の個体識別情報と、ジョブプログラムの識別情報と、同一グループ(ジョブプログラムに対応するグループ)の評価情報とが対応付けられている。
【0056】
上述のように、制御信号評価部213が追跡対象の評価情報を評価結果データベース225に蓄積する場合、一覧画面生成部214は、一覧画面において、いずれのワーク又はジョブプログラムが追跡対象の評価情報であるかを視認させる強調表示を行ってもよい。
【0057】
図2に戻り、情報収集装置200は、動作評価部215を更に有してもよい。動作評価部215は、評価結果データベース225に蓄積された、同一グループの信号セットの評価情報に基づいて、当該グループに対応するローカル機器2の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成する。例えば評価結果データベース225は、同一グループの信号セットの評価情報に統計処理を施して動作評価情報を生成する。例えば評価結果データベース225は、同一グループの信号セットの評価情報の平均値、最大値、最小値等を動作評価情報として生成する。
【0058】
情報収集装置200が動作評価部215を有する場合、一覧画面生成部214は、動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成してもよい(
図7、
図8及び
図9参照)。
【0059】
一覧画面生成部214は、
図10の(a)に示すように、同一グループの評価情報は表示せずに、動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成してもよい。この場合、一覧画面生成部214は、
図10の(a)の画面において、いずれかのグループが選択されるのに応じて、同一グループの評価情報を表示する一覧画面(
図10の(b)参照)を生成してもよい。
【0060】
制御信号評価部213が上記追跡対象の評価情報を生成して評価結果データベース225に蓄積する場合、情報収集装置200は、経時変化画面生成部216を更に有してもよい。経時変化画面生成部216は、追跡対象の評価情報に基づいて、評価情報の経時変化を表す経時変化画面を生成し、表示デバイス等に表示する。経時変化画面の生成及び表示は、例えば
図7~10のいずれかの画面における所定の部分に対して操作(例えばマウスのクリック操作)が行われるのに応じて実行される。
図11は、経時変化画面を例示するグラフである。グラフの横軸は経過時間を表し、グラフの縦軸は評価情報の大きさを表している。
【0061】
情報収集装置200は、信号チャート生成部217を更に有してもよい。信号チャート生成部217は、ユーザにより指定された期間における制御信号の経時変化を表す信号チャート画面を生成し、表示デバイス等に表示する。例えば、信号チャート生成部217は、
図7においていずれかの検査時刻が選択された場合に、当該検査時刻よりも所定期間前から当該検査時刻までの期間の信号チャート画面を生成する。また、信号チャート生成部217は、
図8においていずれかのジョブプログラムの識別情報が選択された場合に、当該ジョブプログラムの開始時刻から終了時刻までの期間の信号チャート画面を生成する。信号チャート画面の生成及び表示は、例えば
図7~10のいずれかの画面における所定の部分に対して操作(例えばマウスのクリック操作)が行われるのに応じて実行される。
図12は、信号チャート画面を例示するグラフである。グラフの横軸は経過時間を表し、グラフの縦軸は制御信号の大きさを表している。
【0062】
以上に示した情報収集装置200の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば情報収集装置200は、評価情報の生成と蓄積を定期的に実行するように構成されていてもよいし、一覧画面を表示する度に評価情報を生成するように構成されていてもよい。また、情報収集装置200は、評価結果データベース225に蓄積された評価情報に基づいて、ISO9001等に準拠した評価レポートを自動生成するように構成されていてもよい。
【0063】
図13は、情報収集装置200のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図13に示すように、情報収集装置200は、少なくとも一つのプロセッサ291と、メモリ292と、ストレージ293と、通信ポート294と、表示デバイス295と、入力デバイス296と、システムタイマ297とを有する。ストレージ293は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。ストレージ293は、サーボモータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、制御信号抽出部212が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成することと、を装置に実行させるプログラムを記憶している。例えばストレージ293は、上述した情報収集装置200の各機能ブロックを構成するためのプログラムを記憶している。
【0064】
メモリ292は、ストレージ293からロードしたプログラム及びプロセッサ291による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ291は、メモリ292と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能ブロックを構成する。通信ポート294は、プロセッサ291からの指令に従って、ネットワーク回線NW1を介して、上位コントローラ300との間で通信を行う。
【0065】
表示デバイス295及び入力デバイス296は、情報収集装置200のユーザインタフェースとして機能する。表示デバイス295は、例えば液晶モニタ等を含み、ユーザに対する情報表示に用いられる。入力デバイス296は、例えばキーパッド等であり、ユーザによる入力情報を取得する。表示デバイス295及び入力デバイス296は、所謂タッチパネルのように一体化されていてもよい。表示デバイス295及び入力デバイス296は、情報収集装置200に組み込まれていてもよいし、情報収集装置200に接続される外部機器に設けられていてもよい。システムタイマ297は、例えば一定周期の基準クロックパルスをカウントすることにより、経過時間を計測する。
【0066】
〔情報収集手順〕
続いて、情報収集方法の一例として、情報収集装置200が実行する情報収集手順を例示する。この手順は、サーボモータを含むローカル機器の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積することと、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出することと、制御信号抽出部が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成することと、を含む。以下、情報収集手順を、「信号蓄積手順」、「信号評価手順」、「一覧画面の生成手順」、「経時変化画面の生成手順」、及び「信号チャート画面の生成手順」に分けて詳細に例示する。
【0067】
(信号蓄積手順)
信号蓄積手順は、制御信号と、ワーク9の品質情報とを蓄積する手順である。
図14に示すように、情報収集装置200は、まずステップS01,S02を実行する。ステップS01では、データハンドリング部211が、ローカル機器2の制御信号を複数のローカルコントローラ400から取得し、制御信号データベース223に蓄積する。ステップS02では、動作プログラムの1工程が完了したか否かをデータハンドリング部211が完了する。
【0068】
ステップS02において動作プログラムの1工程が完了したと判定した場合、情報収集装置200はステップS03を実行する。ステップS03では、データハンドリング部211が、完了した工程のプログラム情報をプログラムデータベース221に蓄積する。
【0069】
次に、情報収集装置200は、ステップS04を実行する。ステップS02において動作プログラムの1工程が完了していないと判定した場合、情報収集装置200は、ステップS03を実行することなくステップS04を実行する。ステップS04では、検査装置5による検査が完了したか否かをデータハンドリング部211が確認する。
【0070】
ステップS04において検査が完了したと判定した場合、情報収集装置200はステップS05を実行する。ステップS05では、データハンドリング部211が、上位コントローラ300等からワーク9の品質の検査結果を取得してワーク品質データベース222に蓄積する。その後、情報収集装置200は処理をステップS01に戻す。ステップS04において検査が完了していないと判定した場合、情報収集装置200はステップS05を実行することなく処理をステップS01に戻す。情報収集装置200は以上の処理を繰り返す。これにより、制御信号データベース223に制御信号が蓄積され、ワーク品質データベース222にワーク9の品質の検査結果が蓄積される。
【0071】
(信号評価手順)
信号評価手順は、制御信号データベース223に蓄積された制御信号を工程ごとに評価する手順である。
図15に示すように、情報収集装置200は、まずステップS11,S12,S13,S14,S15を実行する。ステップS11では、制御信号抽出部212が制御信号の抽出対象の時刻を設定する。例えば制御信号抽出部212は、抽出条件を満たす工程の開始時刻及び終了時刻をプログラムデータベース221から取得する。ステップS12では、制御信号抽出部212が、取得した開始時刻から終了時刻までの信号セットを制御信号データベース223から抽出する。ステップS13では、制御信号抽出部212が、抽出した信号セットを評価対象データベース224に格納する。
【0072】
ステップS14では、制御信号評価部213が、制御信号抽出部212による信号セットの抽出条件に基づいて、複数種類の評価エンジン231のいずれかを選択する。ステップS15では、制御信号抽出部212が抽出した信号セットと、選択した評価エンジン231とに基づいて、制御信号評価部213が評価情報を生成する。
【0073】
選択した評価エンジン231が、上記評価対象の信号セットの信号レベルと上記比較対象の信号セットの信号レベルとを比較するエンジンである場合、制御信号評価部213は、例えば
図16のステップS21を実行する。ステップS21では、制御信号評価部213が、評価対象データベース224に所定数の比較対象の信号セットが蓄積されているか否かを確認する。
【0074】
ステップS21において所定数の比較対象の信号セットが蓄積されていると判定した場合、情報収集装置200は、ステップS22を実行する。ステップS22では、制御信号評価部213は、評価対象の信号セットの信号レベルと比較対象の信号セットの信号レベルとの差を上記異常度として算出する。ステップS21において所定数の比較対象の信号セットが蓄積されていないと判定した場合、情報収集装置200は、ステップS22を実行せずに信号セットの評価を完了する。
【0075】
図15に戻り、情報収集装置200は、次にステップS16,S17を実行する。ステップS16では、制御信号評価部213が、評価情報を評価結果データベース225に蓄積する。ステップS17では、制御信号抽出部212が、抽出条件を満たす全ての工程の評価が完了したかを確認する。
【0076】
ステップS17において評価が完了していない工程が残っていると判定した場合、情報収集装置200は処理をステップS11に戻す。以後、抽出条件を満たす全ての工程の評価が完了するまで、信号セットの抽出と評価とが繰り返される。
【0077】
ステップS17において全ての工程の評価が完了したと判定した場合、情報収集装置200は信号評価手順を完了する。情報収集装置200は、以上の信号評価手順を定期的に繰り返す。
【0078】
(一覧画面の生成手順)
図17に示すように、情報収集装置200は、まずステップS31,S32,S33,S34,S35を実行する。ステップS31では、一覧画面生成部214が、評価結果データベース225において、いずれかのワーク9を選択する。以下、選択したワーク9を「評価対象ワーク」という。ステップS32では、一覧画面生成部214が、評価対象ワークに対応する全ての評価情報を評価結果データベース225から抽出する。ステップS33では、一覧画面生成部214が抽出した評価情報に基づいて、動作評価部215が評価対象ワークに対応するローカル機器2の動作評価情報を生成する。
【0079】
ステップS34では、一覧画面生成部214が、評価対象ワークの品質の検査結果をワーク品質データベース222から取得する。ステップS35では、一覧画面生成部214が、全てのワーク9のデータ抽出が完了したか否かを確認する。
【0080】
ステップS35においてデータ抽出が完了していないワーク9が残っていると判定した場合、情報収集装置200は処理をステップS31に戻す。以後、全てのワーク9のデータ抽出が完了するまで、ワーク9の選択とデータ抽出とが繰り返される。
【0081】
ステップS35において全てのワーク9のデータ抽出が完了したと判定した場合、情報収集装置200は、ステップS36,S37を実行する。ステップS36では、一覧画面生成部214が、ワーク9ごとに抽出したデータに基づいて、一覧画面のデータを生成する。ステップS37では、一覧画面生成部214が、一覧画面のデータを表示デバイス等に出力する。以上で一覧画面の生成手順が完了する。この手順によって、例えば
図7の一覧画面が表示される。
【0082】
図18は、一覧画面の生成手順の変形例を示すフローチャートである。
図18に示すように、情報収集装置200は、まずステップS41,S42,S43,S44を実行する。ステップS41では、一覧画面生成部214が、評価結果データベース225において、いずれかのジョブプログラムを選択する。以下、選択したジョブプログラムを「評価対象ジョブ」という。ステップS42では、一覧画面生成部214が、評価対象ジョブに対応する全ての評価情報を評価結果データベース225から抽出する。
【0083】
ステップS43では、一覧画面生成部214が抽出した評価情報に基づいて、動作評価部215が評価対象ジョブの動作評価情報を生成する。ステップS44では、全てのジョブプログラムのデータ抽出が完了したか否かを一覧画面生成部214が確認する。
【0084】
ステップS44においてデータ抽出が完了していないジョブプログラムが残っていると判定した場合、情報収集装置200は処理をステップS41に戻す。以後、全てのジョブプログラムのデータ抽出が完了するまで、ジョブプログラムの選択とデータ抽出とが繰り返される。
【0085】
ステップS44において全てのジョブプログラムのデータ抽出が完了したと判定した場合、情報収集装置200はステップS45,S46を実行する。ステップS45では、一覧画面生成部214が、ジョブプログラムごとに抽出したデータに基づいて、一覧画面のデータを生成する。ステップS46では、一覧画面生成部214が、一覧画面のデータを表示デバイス等に出力する。以上で一覧画面の生成手順が完了する。この手順によって、例えば
図8の一覧画面が表示される。
【0086】
(経時変化画面の生成手順)
図19に示すように、情報収集装置200は、まずステップS51,S52,S53を実行する。ステップS51では、経時変化画面生成部216が、上述した追跡対象の評価情報のうち、最新の評価情報を評価結果データベース225から抽出する。ステップS52では、経時変化画面生成部216が、追跡対象の評価情報のうち、直前に抽出した評価情報よりも一つ古い評価情報を評価結果データベース225から抽出する。ステップS53では、経時変化画面生成部216が、予め設定された表示対象期間の評価情報の抽出が完了したかを確認する。
【0087】
ステップS53において表示対象期間の評価情報の抽出が完了していないと判定した場合、情報収集装置200は処理をステップS52に戻す。以後、上記表示対象期間の評価情報の抽出が完了するまで、過去の評価情報の抽出が繰り返される。
【0088】
ステップS53において表示対象期間の評価情報の抽出が完了したと判定した場合、情報収集装置200はステップS54,S55を実行する。ステップS54では、経時変化画面生成部216が、抽出した複数の評価情報の経時変化画面のデータを生成する。ステップS55では、経時変化画面生成部216が、経時変化画面のデータを表示デバイス等に出力する。以上で経時変化画面の生成手順が完了する。この手順によって、例えば
図11の経時変化画面が表示される。
【0089】
(信号チャート画面の生成手順)
図20に示すように、情報収集装置200は、ステップS61,S62,S63を実行する。ステップS61では、信号チャート生成部217が、ユーザにより指定された期間における制御信号を制御信号データベース223から抽出する。ステップS62では、信号チャート生成部217が、抽出した制御信号の信号チャート画面のデータを生成する。ステップS63では、信号チャート生成部217が、信号チャート画面のデータを表示デバイス等に出力する。以上で信号チャート画面の生成手順が完了する。この手順によって、例えば
図12の信号チャート画面が表示される。
【0090】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、生産システム1の情報収集装置200は、モータを含むローカル機器2の、複数の工程を含む動作時の内部情報である制御信号を、データベースに蓄積するデータハンドリング部211と、データベースに蓄積された制御信号から複数の工程のいずれか1工程の実行中に蓄積された信号セットを抽出する制御信号抽出部212と、制御信号抽出部212が抽出した信号セットを評価して、その評価結果を表す評価情報を生成する制御信号評価部213と、を備える。
【0091】
この情報収集装置200によれば、制御信号の評価と評価情報の蓄積とを工程単位で実行することができる。工程単位で蓄積された評価情報によれば、例えば同一工程同士で評価情報を容易に比較することができる。従って、ローカル機器のコンディションの早期把握に有効である。
【0092】
データハンドリング部211は、ローカル機器2の動作時刻に関する時間情報を、データベースに更に蓄積し、制御信号抽出部212は、時間情報に基づいて、信号セットを抽出してもよい。この場合、時間情報に基づくことで、信号セットを容易且つ適切に抽出することができる。
【0093】
データハンドリング部211は、ローカル機器2を動作させるプログラムに関するプログラム情報を、データベースに更に蓄積し、制御信号抽出部212は、プログラム情報に基づいて、信号セットを抽出してもよい。この場合、ローカル機器2の動作を定めるプログラム情報に基づくことで、信号セットを容易且つ適切に抽出することができる。
【0094】
データハンドリング部211は、ローカル機器2により生産されるワーク9に関するワーク情報を、データベースに蓄積し、制御信号抽出部212は、ワーク情報に基づいて、信号セットを抽出してもよい。この場合、ワーク情報に基づくことで、1つのワーク9に対応する工程の信号データを容易且つ適切に抽出することができる。
制御信号評価部213は、信号セットが入力されると評価情報を出力する複数種類の評価エンジン231のいずれか1つを、信号セットの抽出条件に基づいて選択し、信号セットと、選択した評価エンジン231とに基づいて評価情報を生成してもよい。この場合、例えばローカル機器2の動作内容に応じて複数種類の評価エンジン231を使い分けることによって、信号セットをより適切に評価することができる。
【0095】
制御信号抽出部212は、同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出し、制御信号評価部213は、制御信号抽出部212により抽出された評価対象の信号セットと、過去に制御信号抽出部212により抽出された少なくとも一つの比較対象の信号セットとに基づいて評価対象の信号セットの評価情報を生成してもよい。この場合、過去の同一工程の信号セットとの比較によって信号セットを評価することによって、当該信号セットの異常度をより高い信頼性で評価することができる。
【0096】
制御信号抽出部212は、同一の工程を指定する抽出条件に基づいて信号セットを繰り返し抽出し、制御信号評価部213は、制御信号抽出部212が繰り返し抽出した複数の信号セットを評価し、その評価結果をそれぞれ表す複数の評価情報を生成してデータベースに蓄積し、生産システム1の情報収集装置200は、データベースに蓄積された複数の評価情報に基づいて、評価情報の経時変化を表す経時変化画面を生成する経時変化画面生成部216を更に備えていてもよい。この場合、評価情報の経時変化の表示によって、評価情報の早期把握を更に図ることができる。
【0097】
データハンドリング部211は、複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報をデータベースに更に蓄積し、制御信号抽出部212は、グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出し、制御信号評価部213は、同一グループの信号セットのそれぞれを評価して評価情報をデータベースに蓄積し、生産システム1の情報収集装置200は、データベースに蓄積された、同一グループの信号セットの評価情報に基づいて、当該グループに対応するローカル機器の動作の評価結果を表す動作評価情報を生成する動作評価部215と、動作評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成する一覧画面生成部214と、を更に備えていてもよい。この場合、各グループにおける2以上の工程の評価情報を、一つの動作評価情報にまとめることで、ローカル機器2のコンディションの概況を把握しやすい一覧画面を表示することができる。
【0098】
データハンドリング部211は、複数の工程を、一まとまりの作業に属する2以上の工程ごとにグルーピングするグルーピング情報をデータベースに更に蓄積し、制御信号抽出部212は、グルーピング情報に基づいて、同一グループに属する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを同一グループの信号セットとして抽出し、制御信号評価部213は、同一グループの信号セットのそれぞれを評価して評価情報をデータベースに蓄積し、生産システム1の情報収集装置200は、データベースに蓄積された、同一グループの信号セットのそれぞれの評価情報をグループごとに表示する一覧画面を生成する一覧画面生成部214を更に備えていてもよい。この場合、複数の工程の評価情報を、一まとまりの作業ごとにグルーピングすることによって、評価情報を把握すべき工程を発見し易い一覧画面を表示することができる。
【0099】
データハンドリング部211は、2以上の工程を含むローカル機器2の動作により生産されるワーク9に関するワーク情報を含むグルーピング情報をデータベースに蓄積し、制御信号抽出部212は、少なくともワーク情報に基づいて、同一ワークに対する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、同一グループの信号セットとして抽出してもよい。この場合、ワーク情報に基づくことによって、より適切なグルーピングが可能となる。
【0100】
データハンドリング部211は、ワーク9の品質の検査結果を表す品質情報をデータベースに更に蓄積し、一覧画面生成部214は、品質情報をワークごとに表示する品質一覧画面を更に生成してもよい。この場合、品質一覧画面を更に生成することによって、評価情報を把握すべき工程の発見が更に容易となる。
【0101】
データハンドリング部211は、ローカル機器2の2以上の工程を含む複数のジョブプログラムに関するジョブ情報を含むグルーピング情報をデータベースに蓄積し、制御信号抽出部212は、少なくともジョブ情報に基づいて、同一ジョブプログラムに属する2以上の工程にそれぞれ対応する2以上の信号セットを、同一グループの信号セットとして抽出してもよい。この場合、ジョブ情報に更に基づくことによって、より適切なグルーピングが可能となる。
【0102】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1…生産システム、2…ローカル機器、9…ワーク、200…情報収集装置、211…データハンドリング部、212…制御信号抽出部、213…制御信号評価部、214…一覧画面生成部、215…動作評価部、216…経時変化画面生成部、231…評価エンジン。