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特許7407792水性口腔ケアチオシアネート含有組成物、方法、及びキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】水性口腔ケアチオシアネート含有組成物、方法、及びキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/38 20060101AFI20231222BHJP
   A61K 31/26 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231222BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20231222BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
A61K33/38
A61K31/26
A61K9/08
A61P1/02
A61Q11/00
A61K8/21
A61K8/46
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021504412
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019056377
(87)【国際公開番号】W WO2020021495
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】62/703,976
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イチュン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, タ-ファ
(72)【発明者】
【氏名】オックスマン,ジョエル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ルーシン,リチャード,ピー.
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/092889(WO,A1)
【文献】米国特許第04012839(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性口腔ケア一剤型組成物であって、
銀カチオンの供給源と、
チオシアン酸アニオンの供給源と、
フッ化物アニオンの供給源と、
水とを含み、
カチオンのチオシアン酸アニオンに対するモル比が、0.37未満であり、水が、前記組成物の総重量に基づいて57.1重量%未満である、水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項2】
12.2~20重量%の銀カチオンと、
2.0~4.0重量%のフッ化物アニオンとを含み、
前記重量%が、前記組成物の総重量に基づくものであり、
カチオンのチオシアン酸アニオンに対するモル比が、0.1以上である、請求項1に記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項3】
前記銀カチオンの供給源は、フッ化銀、塩化銀、硝酸銀、ヨウ化銀、フッ化ジアミン銀、及びこれらの組み合わせから選択され、
前記フッ化物アニオンの供給源は、フッ化銀、フッ化ジアミン銀、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項4】
前記チオシアン酸アニオンの供給源は、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸グアニジウム、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項5】
前記チオシアン酸アニオンの供給源は、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸グアニジウム、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項6】
前記銀カチオンの供給源は、フッ化銀であり、
前記チオシアン酸アニオンの供給源は、チオシアン酸アンモニウムまたはチオシアン酸グアニジウムであり、
前記フッ化物アニオンの供給源は、フッ化銀である、
請求項1に記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【請求項7】
患者の歯表面に適用してフッ化物を前記患者の歯表面に付与するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性口腔ケア一剤型組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
銀及びフッ化物イオンは、知覚過敏に対処しかつ齲蝕を阻止するのに歯表面を処置するためによく知られている。
【0002】
フッ化物処置は、フッ化物を歯表面に適用して、フッ化アパタイト及びフッ化カルシウムを形成することを含む。現在、2つの主要なインオフィスのフッ化物処置方法が使用されている。
【0003】
1つの処置方法は、トレイ内でフッ化物ゲル/発泡体を使用する。この方法は、トレイ内に貯蔵され、次いで患者の口内で歯の上に載置される、数グラムのフッ化物ゲルを必要とする。このトレイは、ゲル/発泡体が歯と接触しながら、1~4分間、口内に残される。ゲル/発泡体製剤は、2%のフッ化ナトリウムを含む水性系である。この材料は、不必要な大量のフッ化物の摂取を回避するために、口から余分なゲルを引き出すための吸引の使用を必要とする。
【0004】
別の処置方法は、歯科用フッ化物ワニスである。市場にあるほとんどのフッ化物ワニスは、疎水性の性質を有するロジン/エタノール系製剤である。歯にワニスを塗り、数時間適所に留まらせて、組成物からフッ化物を放出させる。典型的には、歯科医師は、インオフィスのフッ化物処置のためにフッ化物ワニスを使用する。ほとんどの歯科用フッ化物ワニスは、5%のフッ化ナトリウムを含む。ワニスの用量は、約0.5gである。歯科用ワニスは、患者の口内に載置するフッ化物の量が、フッ化物ゲル/発泡体と比べてはるかに少ない。したがって、フッ化物ワニスでは、フッ化物の摂取はより少ない。更に、フッ化物ワニスは、患者の歯の上に単純に塗られるので適用がより簡単であるが、フッ化物ワニス処置はゲル処置よりも労働集約的であり、かつフッ化物ワニス処置は、患者に、不快な「汚れている歯」という感覚を残す。
【0005】
銀イオン及びフッ化物イオンの両方を含有する安定な水溶液が必要である。このような溶液の1つは、フッ化ジアミン銀(silver diamine fluoride、SDF)を含むが、SDFは、露光されたときに歯表面を黒くすることも知られている。
【0006】
ワニスとして歯に適用するのが簡単であり、ゲル/発泡体製剤と同様に短い期間で作用する組成物が望まれており、特に、銀及びフッ化物を含む組成物であるが、露光されると歯表面を着色しない組成物が望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)、及び処置する方法(例えば、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法)を提供する。このような組成物は、一剤型組成物である。
【0008】
このような一剤型組成物(例えば、溶液)は、インオフィスの口腔ケア溶液として(例えば、フッ化物処置溶液として)使用することができる。それらは、所望であれば、歯表面上に塗ることができる溶液中に配合することができる。それらは、ゲル/発泡体製剤よりも短い期間で、ワニスの有効性と同様のフッ化物の有効性をもたらすことができる。
【0009】
一実施形態では、本開示は、銀カチオン、チオシアン酸アニオン、フッ化物アニオン、及び水を含む、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を提供する。
【0010】
ある特定の実施形態では、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比は、0.37:1未満であり、水は、組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて57.1重量%未満である。ある特定の実施形態では、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比は、少なくとも0.1:1かつ0.37:1未満である。
【0011】
ある特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、追加の水又は唾液と接触すると析出物(precipitate)(例えば、AgSCN)を形成する。
【0012】
このような実施形態のある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、12.2~20重量%の銀カチオンと、2.0~4.0重量%のフッ化物アニオンとを含み、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。別の実施形態では、本開示は、患者の歯表面にフッ化物を付与する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0013】
別の実施形態では、本開示は、齲蝕の発生率を低減する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0014】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者における象牙質知覚過敏及び/又は歯根知覚過敏(例えば、口腔処置中及び/又は露出した歯根での)を低減する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0015】
別の実施形態では、本開示は、患者の歯表面を処置する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケア一剤型組成物を患者の歯表面に適用することを伴う。ある特定の実施形態では、本方法は、処置された歯表面に歯科用修復材を適用することを更に含む。
【0016】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)と、アプリケータとを含むキットを提供する。
【0017】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲において現れるところでは、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記述される1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを示唆するが、いかなる他の1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も除外されないことを示唆すると理解される。「からなる」により、この語句「からなる」の前のいかなるものも含み、これらに限定することを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」により、この語句の前に列挙されるあらゆる要素を含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい、又は、しなくてもよいことを示す。
【0018】
「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」という言葉は、一定の状況下で一定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0019】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、一般分類を含み、その一般分類の具体例は、例示のために使用し得る。用語「a」、「an」及び「the」は、語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と互換的に使用される。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0020】
用語「又は」は、特に内容に別段の明示がない限り、概して「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0021】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0022】
更に本明細書では、全ての数は用語「約」によって修飾されるものとみなされ、ある特定の実施形態では、好ましくは、用語「正確に」によって修飾されるものとみなされる。本明細書で使用されるとき、測定した量との関連において、用語「約」とは、測定を行い、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合う水準の注意を払う当業者によって予測されるような測定量の変動を指す。本明細書では、「最大」数字(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0023】
更に本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0024】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所でのこのような語句の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0025】
本開示の上記の概要は、開示されるそれぞれの実施形態、又は本開示の全ての実装形態を説明することを意図していない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通し、数箇所において、例の列挙を通して指針が提供されており、これらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。それぞれの事例において、記載された列挙項目は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供する。このような組成物は、一剤型組成物である。
【0027】
本開示はまた、例えば、患者の歯表面にフッ化物を提供すること、並びに齲蝕の発生率を低減することなどの方法を提供する。このような方法は、本明細書に記載される水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、フッ化物処置溶液などの溶液)を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0028】
ある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を適用することは、口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面上に塗ることを含む。
【0029】
ある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を適用することは、この口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を歯科用トレイ中に分配することと、その中に口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む。ある特定の実施形態では、歯科用トレイは、歯科矯正用アライナ処置トレイを含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、銀カチオン、チオシアン酸アニオン、フッ化物アニオン、及び水を含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、銀イオン(本明細書では銀カチオンとも呼ばれる)は、少なくとも12.2重量パーセント(重量%)、少なくとも13重量%、又は少なくとも13.5重量%の量で存在し、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。ある特定の実施形態では、銀カチオンは、最大20重量%、最大19重量%、最大18重量%、又は最大17重量%の量で存在し、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。
【0032】
ある特定の実施形態では、銀カチオンの供給源は、フッ化銀、塩化銀、硝酸銀、ヨウ化銀、フッ化ジアミン銀、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0033】
ある特定の実施形態では、フッ化物イオン(本明細書ではフッ化物アニオンとも呼ばれる)は、少なくとも2.0重量%、少なくとも2.1重量%、少なくとも2.2重量%、又は少なくとも2.25重量%の量で存在し、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。ある特定の実施形態では、フッ化物アニオンは、最大4.0重量%、最大3.9重量%、最大3.8重量%、最大3.5重量%、又は最大3.0重量%の量で存在し、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。
【0034】
ある特定の実施形態では、フッ化物アニオンの供給源は、フッ化銀、フッ化ジアミン銀、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0035】
ある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、12.2~20重量%の銀カチオンと、2.0~4.0重量%のフッ化物アニオンとを含み、ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである。ある特定の実施形態では、口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、12.2~20重量%の銀カチオンと、2.2~3.5重量%のフッ化物アニオンとを含む。
【0036】
ある特定の実施形態では、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比は、0.37:1未満である。ある特定の実施形態では、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比は、少なくとも0.1:1である。
【0037】
ある特定の実施形態では、チオシアン酸イオン(本明細書ではチオシアン酸アニオンとも呼ばれる)の供給源は、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸グアニジウム、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0038】
ある特定の実施形態では、ヨウ化物も存在する。ある特定の実施形態では、チオシアネートに加えてヨウ化物が存在する場合、銀イオンのヨウ化物イオンに対するモル比は、0.42:1未満である。ある特定の実施形態では、チオシアネートに加えてヨウ化物が存在する場合、銀イオンのヨウ化物イオンに対するモル比は、少なくとも0.09:1である。ある特定の実施形態では、ヨウ化物イオン(本明細書ではヨウ化物アニオンとも呼ばれる)の供給源は、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化銀、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0039】
ある特定の実施形態では、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量の水を含む。
【0040】
ある特定の実施形態では、水の量は、組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて57.1重量%未満である。
【0041】
口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、口腔環境内の追加の水又は唾液と接触すると析出物(すなわち、組成物(例えば、溶液)から形成される固体)を形成する。析出物は、抗菌効果をもたらすAgSCNを含む。
【0042】
ある特定の実施形態では、口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、12.2~20重量%の銀カチオンと、2.0~4.0重量%(又は2.2~3.5重量%)のフッ化物アニオンと(ここで、重量%は組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである)、チオシアン酸アニオンと、を含み、ここで、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比は、少なくとも0.1:1かつ0.37:1未満であり、口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、追加の水又は唾液と接触すると析出物を形成する。
【0043】
本開示の口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、水性組成物(例えば、溶液)であるが、少量の1つ以上の有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒の例は、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプレンスルホン(IS)、ブタジエンスルホン(BS)、ピペリレンスルホン(PS)、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0044】
好ましくは、水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、(風味剤又は甘味料の担体/溶媒として使用される有機溶媒とは対照的に)液体担体として機能する有機溶媒を含まない。例えば、特定の添加剤は、液体担体として、有機溶媒中の溶液又は分散液として提供されてもよい。本開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)中に存在する任意の有機溶媒(液体担体として機能する)が存在する場合、それは、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在する。
【0045】
好ましくは、本開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、歯を着色することはなく、これは、銀の潜在的酸化を考えると、特に驚くべきことである。これは、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を1%のリン酸塩溶液と3:1の比で組み合わせ、それを、商品名3M ELIPAR DEEPCURE-S LED硬化光(3M Company、セントポール、MNから入手可能)で市販されているものなどの、波長430~480nm及び出力約1500mW/cm(-10%/+20%)の青色LED光に20秒間曝露し、混合物が暗色の(例えば、黒色、茶色、又は灰色の)析出物を形成するかどうかを見ることによって、判定することができる。
【0046】
有意に、本開示の組成物(例えば、溶液)は、析出して(precipitated)LED光に曝露された後、黒色、茶色、又は灰色などの暗色に変化(変色)しない。理論に束縛されるものではないが、AgSCN、フッ化物イオン、及び過剰なチオシアン酸イオンは、歯内のカルシウムと錯体を形成し、それによって変色を回避すると考えられている。
【0047】
好ましくは、本開示の水性口腔ケア組成物は、特に封止された容器内にあるときに、析出物(precipitation)(ヒトの目に検出可能)を有さずに、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年にわたって安定保存可能な溶液である。したがって、本開示の水性口腔ケア溶液は、追加の水又は唾液と接触するまで、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年間透明(すなわち、濁りのない透明又は半透明)である。
【0048】
追加の任意の活性薬剤
本開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)はまた、フッ化物の供給源に加えて、1つ以上の活性薬剤も含有することができる。含まれる場合、1つ以上の更なる活性薬剤としては、常にではないが通常は、歯、歯肉、頬、舌、口蓋などの、障害、疾患、又は状態に対して口腔内で活性な1つ以上の活性薬剤が挙げられる。
【0049】
使用され得る更なる活性薬剤の例としては、1つ以上の他のフッ素含有化合物、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化亜鉛、フッ化カリウム亜鉛、フッ化アンモニウム、フッ化マグネシウムカリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
使用され得る更なる活性薬剤の例としては、1つ以上の増白剤、抗結石剤、再石灰化剤、第一スズ源、抗菌剤、抗酸化剤、唾液刺激剤、呼気清涼化剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、H拮抗薬、減感剤、栄養素、及びタンパク質が挙げられる。所望の場合、このような更なる活性薬剤の様々な組み合わせが使用されてもよい。使用される場合、1つ以上の更なる活性薬剤は、典型的には、それらの意図される効果を達成するのに十分な量で使用されることになる。
【0051】
使用される場合、増白剤は、多様な、好適な増白剤であり得る。増白剤には、例えば、パーオキシド増白剤、非パーオキシド増白剤、又はその両方が挙げられる。パーオキシド増白剤としては、過酸化水素、アルカリ又はアルカリ土類金属の過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウムなど、過酸化水素グリセリル、過酸化水素アルキル、過酸化ジアルキル、パーオキシ酸又はパーオキシ酸塩、過酸化ベンゾイル、過酸化尿素などが挙げられる。過酸化水素が、最も一般的である。非パーオキシド増白剤としては、二酸化塩素、亜塩素酸、及び次亜塩素酸が挙げられる。亜塩素酸及び次亜塩素酸は、典型的には、アルカリ又はアルカリ土類金属塩の形態、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、又はバリウムの塩の形態にある。着色剤、二酸化チタン、及びヒドロキシアパタイトもまた、使用することができる。
【0052】
使用される場合、抗結石剤は、多様な、好適な抗結石剤であり得る。抗結石剤には、例えば、ホスフェート、ポリホスフェート、例えばピロホスフェート、スルホン酸ポリオレフィン、リン酸ポリオレフィン、ジホスホネート、ホスホノアルカンカルボン酸、及びこれらの塩、典型的にはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0053】
使用される場合、再石灰化剤は、多様な、好適な再石灰化剤であり得る。再石灰化剤としては、例えば、カルシウムイオン、リン含有イオン、又はその両方を放出する材料、例えば、リン酸カルシウム(例えば、リン酸モノカルシウム、リン酸ジカルシウム、及び/又はリン酸トリカルシウム)、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0054】
カルシウムイオンを放出する材料の例は、水溶性のカルシウム塩、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択されるものである。ある特定の実施形態では、カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0055】
カルシウム塩はまた、フッ化物放出プロファイルを調節するために使用され得る。
【0056】
使用される場合、第一スズ源は、多様な、好適なスズイオンの供給源であり得る。第一スズイオン源には、例えば、ハロゲン化第一スズ、有機第一スズカルボン酸塩、例えばギ酸第一スズ、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズ、及びクエン酸第一スズが挙げられる。フッ化物源がフッ化第一スズである場合、これはまた、第一スズ源としても機能することができる。
【0057】
使用される場合、抗菌剤としては、多様な、経口的に許容される抗菌剤が挙げられる。例としては、トリクロサン、8-ヒドロキシキノリン、亜鉛イオン、第一スズイオン、第二銅化合物、フタル酸及びその塩、第四級アンモニウム化合物、サンギナリン、サリチルアニリド、サリチル酸、チモール、オイゲノール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、クロロヘキシジンなどが挙げられる。
【0058】
使用される場合、抗酸化剤は、多様な、経口的に許容できる抗酸化剤であり得る。例としては、ブチル化ヒドロキシアニゾン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンE、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸又はその塩、クロロフィル、メラトニンなどが挙げられる。
【0059】
使用される場合、唾液刺激剤は、多様な、経口的に許容される唾液刺激剤であり得る。例としては、クエン酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。
【0060】
使用される場合、呼気清涼化剤は、多様な、経口的に許容可能な呼気清涼化剤であり得る。例としては、亜鉛塩、例えばグルコン酸亜鉛塩、クエン酸亜鉛塩、亜塩素酸亜鉛塩、α-イオノンなどが挙げられる。
【0061】
使用される場合、抗歯垢剤は、多様な、経口的に許容される抗歯垢剤であり得る。例としては、第一スズ塩、銅、マグネシウム又はストロンチウムの塩、ジメチコンコポリオール、例えば、セチルジメチコンコポリオール、パパイン、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、尿素、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ポリアクリル酸ストロンチウムなどが挙げられる。抗歯垢剤の更なる例としては、バイオフィルム阻害剤、詳細には、米国特許第8,968,709号(Yang et al.)に記載されているものが挙げられる。
【0062】
使用される場合、抗炎症剤は、多様な、経口的に許容される抗炎症剤であり得る。例としては、ステロイド、例えばフルシノロン及びヒドロコルチゾン、非ステロイド抗炎症薬剤、例えばケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アセチルサリチル酸、サリチル酸、ジフルニサル、メクロフェナメート、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾンなどが挙げられる。
【0063】
使用される場合、H拮抗剤は、多様な、経口的に許容されるH拮抗剤であり得る。例としては、シメチジン、エチニジン、ラニチジン、チオチジン、ルピチジン、デネチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン、ラムチジン、ザルチジン、ニザチジン、ミフェンチジン、ラミキソチジン、ロキシチジン、ビスフェンチジン、サフォチジン、エブロチジン、イムプロミジンなどが挙げられる。
【0064】
使用される場合、減感剤は、多様な、経口的に許容される減感剤であり得る。例としては、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、ストロンチウム塩、アルギニン、アセチルサリチル酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、コデイン、アセトアミノフェンなどが挙げられる。
【0065】
使用される場合、栄養素は、多様な、経口的に許容される栄養素であり得る。例としては、ビタミン、例えばビタミンC、ビタミンD、チアミン、リボフラビン、葉酸、ニコチンアミド、ナイアシン、ピリドキシン、ビオフラボノイドなど、サプリメント、例えばアミノ酸、脂肪作用薬、魚油、多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、コエンザイムQ10、ユビキノン、カリウムなどのミネラルなどが挙げられる。
【0066】
使用される場合、タンパク質には、多様な、経口的に許容されるタンパク質が挙げられる。例としては、乳タンパク質、パーオキシド産生酵素、アミラーゼ、パパイン、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。
【0067】
緩衝剤
本開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、薬学的に許容される緩衝剤を含むことができる。このような緩衝剤の種類及び量は、少なくとも5.5、少なくとも6、又は少なくとも6.5のpHを有する口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供するように選択される。ある特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、最大9、最大8.5、最大7.5、又は最大7のpHを有する口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供するように選択される。ある特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、6.5~7.5のpH、又は7.0のpHを有する口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供するように選択される。多様な、好適な薬学的に許容される緩衝剤を挙げることができる。例としては、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、炭酸ナトリウム、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、酒石酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
増粘剤
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)は、所望の適用方法を可能にする好適な粘度を有する組成物(例えば、溶液)を提供するために、増粘剤を含む。例えば、反転されたマウスピーストレイアプリケータ内で最大4分間(専門的に適用されるフッ化物処置のための典型的な時間)組成物(例えば、溶液)を維持するのに適切ではあるが、ただし歯科技師にとって許容される取り扱い特性を有する(例えば、歯科用トレイアプリケータ中に分配するとき)のに十分流体であるような、組成物(例えば、溶液)粘度を達成するのに十分な量の好適な増粘剤を使用することができる。又は、十分な量の好適な増粘剤を、歯表面上に塗るのに適切な粘度を達成するために使用してもよい。
【0069】
ある特定の実施形態では、増粘剤の種類及び量は、1.0/秒の剪断速度で少なくとも0.5パスカル秒の粘度を有する口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供するように選択される。ある特定の実施形態では、増粘剤の種類及び量は、1.0/秒の剪断速度で最大500パスカル秒の粘度を有する口腔ケア組成物(例えば、溶液)を提供するように選択される。
【0070】
ある特定の実施形態では、増粘剤は、口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)中に、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて2.5重量%未満の量で存在する。ある特定の実施形態では、増粘剤は、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%の量で存在する。
【0071】
好適な増粘剤は、典型的には、ヒトの摂取に一般的に安全である(FDAが、内部使用について承認している)ものであり、フッ化物イオンに結合しないものであり、かつフッ化物イオンの生物学的利用能に有意に影響しないものである。
【0072】
ある特定の実施形態では、増粘剤は、天然ゴム、非酸セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、無機充填剤(例えば、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、及び酸化亜鉛)、アルキレンオキシドポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー)、非酸変性デンプン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0073】
任意の添加剤
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、香味剤(flavoring agents)(すなわち、風味剤(flavorants))及び甘味料を含む1つ以上の任意の添加剤を含む。他の任意の添加剤としては、界面活性剤が挙げられる。所望であれば、このような添加剤の様々な組み合わせが使用されてもよい。
【0074】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、甘味料を含む。多様な、経口的に許容される甘味料を使用することができる。一般的な甘味料としては、キシリトール、ソルビトール、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、通常はサッカリンナトリウムなどが挙げられる。存在する場合、甘味料は、任意の好適な量で、ほとんどの場合、組成物(例えば、溶液)に心地よい甘味を付与するのに十分な量で使用することができる。その好適な量は、典型的には、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて0.5重量%~15重量%である。
【0075】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、香味剤を含む。多様な、経口的に許容される香味剤を使用することができる。一般的な香味剤としては、ペパーミント油、スペアミント油、サクランボ香味、クエン酸、オレンジ香味、バニラ、イチゴ香味、ココナツ香味、及び風船ガムの香味が挙げられる。存在する場合、香味剤は、任意の好適な量で、ほとんどの場合、組成物(例えば、溶液)に所望の香味を付与するのに十分な量で使用することができる。その好適な量は、典型的には、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて1重量%~4重量%である。
【0076】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、界面活性剤を含む。典型的には、このような界面活性剤はアニオン性界面活性剤であり、その例としては、ポリソルベート、グリセロール、ポリグリセロール系界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。存在する場合、界面活性剤は、任意の好適な量で、ほとんどの場合、濡れ性を付与するのに十分な量で使用することができる。好適な量は、典型的には、水性組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて0.1重量%~5.0重量%である。
【0077】
キット
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、キットに含まれる。典型的には、このようなキットは、口腔ケア組成物(例えば、溶液)用のアプリケータ(例えば、歯科用ブラシ、綿棒)を含む。このようなアプリケータは、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を内部に有する容器に一体化されてもよい。
【0078】
ある特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、個々の封止された単回投与容器内に提供される。使用時には、このような個々の封止された単回投与容器の封止部は破壊され、アプリケータで組成物(例えば、溶液)を取り上げ、組成物(例えば、溶液)を歯表面に適用する。
【0079】
ある特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、多回投与容器内に提供される。使用時には、組成物(例えば、溶液)の液滴を、トレイ、プラスチック片、紙片、皿、ウェル、パンなどの上に分配することができ、アプリケータで組成物(例えば、溶液)を取り上げ、組成物(例えば、溶液)を歯表面に適用することができる。
【0080】
ある特定の実施形態では、キットは、歯科用修復材、トレイ、皿、ウェル、又はパンのうちの1つ以上を更に含んでもよい。歯科用修復材の例としては、接着剤、プライマー、セメント、ライナー、シーラント、アマルガム、樹脂、樹脂複合体、ガラスアイオノマー、樹脂変性ガラスアイオノマー、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチック、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
製造及び使用方法
本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、当業者に既知の任意の技術を用いて製造することができる。ある特定の実施形態では、成分は、順不同で水に一緒に添加され、溶解される。あるいは、添加の順序は、組成物(例えば、溶液)を得る際に重要であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、銀及びフッ化物の供給源(例えば、AgF)を最初に水に溶解した後、チオシアネートの供給源(及び任意に、ヨウ化物の供給源)が添加される。あるいは、各成分を別々に水に溶解させ、次いで組み合わせて、水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を形成することができる。
【0082】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、患者の歯表面にフッ化物を提供する方法において使用される。本方法は、本明細書に記載の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、それを必要とする患者における齲蝕の発生率を低減する(例えば、齲蝕を予防又は阻止することによって)方法において使用される。本方法は、本明細書に記載の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む。
【0084】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、それを必要とする患者における象牙質知覚過敏及び/又は歯根知覚過敏(例えば、口腔処置中及び/又は露出した歯根での)を低減する方法において使用される。本方法は、本明細書に記載の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む。
【0085】
ある特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、患者の歯表面を処置する方法において使用される。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用して、処置された歯表面を形成することと、任意に、歯科用修復材を、処置された歯表面に適用することとを含む。
【0086】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法で処置される患者の歯表面は、エナメル質、象牙質、セメント質、歯根、又はこれらの組み合わせを含む。
【0087】
上述の方法の特定の実施形態では、適用することは、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面上に塗ることを含む。上述の方法の特定の実施形態では、適用することは、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を歯科用トレイ(例えば、歯列矯正アライナ処置トレイ)に分配することと、その中に口腔ケア組成物(例えば、溶液)を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む。
【0088】
上述の方法の特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、その後、歯表面に適用された後に(例えば、流動空気を使用して)乾燥される。流動空気の供給源は、115psiの高圧限界で供給する空気圧縮機から供給することができる。好適な空気圧縮機の一例は、Dental EZ Integrated Solutions(マルヴァーン、PA)、又はPatterson Dental(セントポール、MN)から市販されているRAMVAC(モデルOSP22、OSP13、OSP23、OSP24、OSP25、OSP28)からのOsprey Compressorである。空気圧縮機の別の例は、Patterson Dental(セントポール、MN)から市販されているAIR TECHNIQUESによるAirStar Neo空気圧縮機(AirStar 10 Neo,AirStar 21 Neoなどのモデル)である。あるいは、加圧ガス装置は、加圧空気を送達するために多くの歯科医院で見られる典型的な空気/水シリンジであり得る。典型的な歯科用空気/水シリンジで用いられる最適な空気圧は、40~80psiである。このようなシリンジを使用して歯を乾燥させるか、又は肥厚した歯石を歯から吹き飛ばすために使用される。このようなシリンジの一例は、Patterson Dental Supply Inc.,Patterson Item #:404-1893から市販されているJohnson-Promident 3-Way Air/Water Syringeである。そうでなくても、ガスは、いくらかの加圧ガス源によって吹き込まれ、空気若しくは何らかの他の不活性ガス又はガス混合物であってもよい。例えば、ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、又は亜酸化窒素であってもよい。加圧ガス源は、恒久的に設置された「院内の」加圧空気/ガスシステム又は手持ち式の内蔵型キャニスタの一部であり得る。
【0089】
上述の方法の特定の実施形態では、続いて、水を、歯表面に適用された後の口腔ケア組成物(例えば、溶液)に適用して、その上に(すなわち、歯表面上に)析出物を形成させる。上述の方法の特定の実施形態では、続いて、唾液を歯表面上の口腔ケア組成物(例えば、溶液)に接触させて、その上に(すなわち、歯表面上に)析出物を形成させる。
【0090】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、溶液)は、その後、綿、紙、及び任意の他の拭き取り材料で拭き取られ、歯表面に適用された後に歯表面上の過剰な口腔ケア組成物(例えば、溶液)を除去する。
【0091】
上述の方法の特定の実施形態では、本方法は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を適用した歯表面上に歯科用修復材を配置すること(組成物(例えば、溶液)を乾燥させ、洗い流し、拭き取り、及び/又は歯表面上に析出物を形成する前又は後のいずれかで)を更に含む。歯科用修復材の例としては、接着剤(3M Company of St.Paul,MN,USAから入手可能な3M SCOTCHBOND Universal Adhesiveなど)、プライマー、セメント(3M Company of St.Paul,MN,USAから入手可能な3M RelyX Unicem 2 Automix Self-Adhesive Resin Cementなど)、ライナー(3M ESPE VITREBOND Plus Light Cure Glass Ionomer Liner/Baseなど)、シーラント、アマルガム、樹脂、樹脂複合体(3M FILTEK Z250 Universal Restorative)、ガラスアイオノマー(3M KETAC Universal APLICAP Glass Ionomer Restorativeなど)、樹脂変性ガラスアイオノマー(RelyX Luting Plus RMGI Cementなど)、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチック、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
例示的な実施形態
実施形態1は、銀カチオン、チオシアン酸アニオン、フッ化物アニオン、及び水を含む、水性口腔ケアフッ化物一剤型組成物(例えば、溶液)である。
【0093】
実施形態2は、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比が、0.37:1未満である、実施形態1に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0094】
実施形態3は、銀イオンのチオシアン酸イオンに対するモル比が、少なくとも0.1:1である、実施形態1~2のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0095】
実施形態4は、12.2~20重量%の銀カチオンと、2.0~4.0重量%のフッ化物アニオンとを含み、重量%が、組成物(例えば、溶液)の総重量に基づくものである、実施形態1又は2に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0096】
実施形態5は、12.2~20重量%の銀カチオンと、チオシアン酸アニオンと、2.2~3.5重量%のフッ化物アニオンとを含む、実施形態4に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0097】
実施形態6は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)が、追加の水又は唾液と接触すると析出物(例えば、AgSCN)を形成する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0098】
実施形態7は、フッ化銀、塩化銀、硝酸銀、ヨウ化銀、フッ化ジアミン銀、及びこれらの組み合わせから選択される銀カチオンの供給源を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0099】
実施形態8は、フッ化銀、フッ化ジアミン銀、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、及びこれらの組み合わせから選択されるフッ化物アニオンの供給源を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0100】
実施形態9は、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸グアニジウム、及びこれらの組み合わせから選択されるチオシアン酸アニオンの供給源を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0101】
実施形態10は、ヨウ化物アニオンを更に含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0102】
実施形態11は、銀イオンのヨウ化物イオンに対するモル比が、0.42:1であり、ある特定の実施形態では、少なくとも0.09:1である、実施形態10に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0103】
実施形態12は、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化銀、及びこれらの組み合わせから選択されるヨウ化物アニオンの供給源を含む、実施形態10又は11に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0104】
実施形態13は、薬学的に許容される緩衝剤を更に含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0105】
実施形態14は、増粘剤を更に含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0106】
実施形態15は、増粘剤が、2.5重量%未満の量で存在する、実施形態10に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0107】
実施形態16は、5.5~9のpHを有する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0108】
実施形態17は、5重量%未満の有機溶媒を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0109】
実施形態18は、有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプレンスルホン(IS)、ブタジエンスルホン(BS)、ピペリレンスルホン(PS)、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態17に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0110】
実施形態19は、組成物(例えば、溶液)の総重量に基づいて、57.1重量%未満の水を含み、ある特定の実施形態では少なくとも20重量%の水を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0111】
実施形態20は、1つ以上の活性薬剤を更に含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0112】
実施形態21は、1つ以上の活性薬剤が、増白剤、抗結石剤、再石灰化剤、第一スズ源、抗菌剤、抗酸化剤、唾液刺激剤、呼気清涼化剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、H拮抗薬、減感剤、栄養素、タンパク質、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態20に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0113】
実施形態22は、香味剤を更に含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0114】
実施形態23は、甘味料を更に含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0115】
実施形態24は、カルシウムカチオンを更に含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0116】
実施形態25は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択されるカルシウムカチオンの供給源を含む、実施形態24に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0117】
実施形態26は、界面活性剤を更に含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0118】
実施形態27は、界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、実施形態26に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0119】
実施形態28は、アニオン性界面活性剤が、ポリソルベート、グリセロール、ポリグリセロール系界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態27に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0120】
実施形態29は、歯を着色しない、実施形態1~28のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0121】
実施形態30は、1%のリン酸塩組成物(例えば、溶液)と3:1で組み合わせ、それを波長430~480nm及び約1500mW/cmの出力の青色LED光に20秒間曝露する場合(変化した混合物が暗色の(例えば、黒色、茶色、又は灰色の)析出物を形成するかどうかを見て)の、実施形態29に記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0122】
実施形態31は、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年にわたって安定保存可能である、実施形態1~30のいずれか1つに記載の口腔ケア組成物(例えば、溶液)である。
【0123】
実施形態32は、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法であって、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0124】
実施形態33は、それを必要とする患者における齲蝕の発生率を低減する(例えば、齲蝕を予防又は阻止することによって)方法であって、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0125】
実施形態34は、それを必要とする患者における象牙質知覚過敏及び/又は歯根知覚過敏(例えば、口腔処置中及び/又は露出した歯根での)を低減する方法であって、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0126】
実施形態35は、患者の歯表面を処置する方法であって、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0127】
実施形態36は、患者の歯表面が、エナメル質、象牙質、セメント質、歯根、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法である。
【0128】
実施形態37は、適用することが、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を患者の歯表面上に塗ることを含む、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法である。
【0129】
実施形態38は、適用することが、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を歯科用トレイ(例えば、歯列矯正アライナ処置トレイ)に分配することと、その中に口腔ケア溶液を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法である。
【0130】
実施形態39は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)が、その後、歯表面に適用された後に(例えば、流動空気を使用して)乾燥される、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法である。
【0131】
実施形態40は、続いて、水を、歯表面に適用された後の口腔ケア組成物(例えば、溶液)に適用して、その上に(すなわち、歯表面上に)析出物を形成させる、実施形態32~39のいずれか1つに記載の方法である。
【0132】
実施形態41は、続いて、唾液を歯表面上の口腔ケア組成物(例えば、溶液)に接触させて、その上に(すなわち、歯表面上に)析出物を形成させる、実施形態32~39のいずれか1つに記載の方法である。
【0133】
実施形態42は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を適用した歯表面上に歯科用修復材を配置すること(組成物(例えば、溶液)を乾燥させ、洗い流し、拭き取り、及び/又は歯表面上に析出物を形成する前又は後のいずれかで)を更に含む、実施形態32~41のいずれか1つに記載の方法である。
【0134】
実施形態43は、歯科用修復材が、接着剤、プライマー、セメント、ライナー、シーラント、アマルガム、樹脂、樹脂複合体、ガラスアイオノマー、樹脂変性ガラスアイオノマー、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチック、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態42に記載の方法である。
【0135】
実施形態44は、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)と、アプリケータ(例えば、歯科用ブラシ、綿棒)とを含むキットである。
【0136】
実施形態45は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)が、個々の封止された単回投与容器内に提供される、実施形態44に記載のキットである。
【0137】
実施形態46は、口腔ケア組成物(例えば、溶液)が、多回投与容器内に提供される、実施形態44に記載のキットである。
【0138】
実施形態47は、アプリケータが、口腔ケア組成物(例えば、溶液)を内部に有する容器に一体化されている、実施形態44~46のいずれか1つに記載のキットである。
【0139】
実施形態48は、歯科用修復材を更に含む、実施形態44~47のいずれか1つに記載のキットである。
【0140】
実施形態49は、歯科用修復材が、接着剤、プライマー、セメント、ライナー、シーラント、アマルガム、樹脂、樹脂複合体、ガラスアイオノマー、樹脂変性ガラスアイオノマー、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチック、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態48に記載のキットである。
【0141】
実施形態50は、トレイ、皿、ウェル、又はパンを更に含む、実施形態44~49のいずれか1つに記載のキットである。
【0142】
実施形態51は、実施形態1~31のいずれか1つに記載の水性口腔ケア一剤型組成物(例えば、溶液)を製造する方法であって、銀の供給源とフッ化物の供給源(これは同じであってもよく、例えば、AgFである)とを水中で組み合わせ溶解することと、チオシアネートの供給源(及び任意に、ヨウ化物の供給源)を添加し溶解して、水性口腔ケア組成物(例えば、溶液)を形成することとを含む、製造方法である。
【実施例
【0143】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例に記載された特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0144】
【表1】
【0145】
調製例
一般的な試料調製手順は、以下の通りであった。正確なパーセント量を、以下の表に記載する。0.5グラムの量の銀化合物を適切なサイズのプラスチック管に添加した。水の全量(以下の表に記載)を容器に添加して、銀化合物を溶解した。残りの成分を銀化合物溶液に添加した。最初に、この添加により、析出物が発生した。本開示の例では、一剤型組成物(例えば、溶液)を調製したときに、残りの成分の全量の連続した添加により、析出物を再溶解させた。比較例では、残りの成分の全量を連続して添加すると、析出物を再溶解させず、析出物は残った。
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【0150】
実施例の光感度
以下の実施例は、本開示の組成物(例えば、溶液)が、(1)緩衝液(口腔環境内の唾液を模倣するために)を添加して析出させ、(2)3M ELIPAR DEEPCURE-S LED硬化光を使用して露光させた後に、黒色、茶色、又は灰色などの暗色に変化(変色)しないことを実証した。
【0151】
比較例10(C-10)
25mgの量のフッ化ジアミン銀溶液(ADVANTAGE ARRESTフッ化ジアミン銀溶液(38%))を、40mgの1%KHPO水溶液と混合した。混合物は析出物を形成した。混合物を、約450nmの波長及び約1500mW/cmの出力を有する3M ELIPAR DEEPCURE-S LED硬化光を使用して青色LED光に20秒間露光させたところ、混合物は黒色に変化した。
【0152】
実施例10
23mgの量のEX-4溶液を、42mgの1%KHPO水溶液と混合した。混合物は析出物を形成した。混合物を、約450nmの波長及び約1500mW/cmの出力を有する3M ELIPAR DEEPCURE-S LED硬化光を使用して青色LED光に20秒間露光させたところ、混合物は、黒色、茶色、又は灰色などの暗色に変化(変色)しなかった。
【0153】
本明細書に引用した特許、特許文献、及び刊行物の全開示は、それぞれが個別に組み込まれたかのごとく、それらの全体が参照により組み込まれる。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。